春香「本当にあった話なんですけど……」 (36)

ミーンミンミンミン


春香「暑い……」


千早「もう少しで事務所に着くわ。頑張りましょう」


春香「現場から事務所まで電車と徒歩で帰宅なんて、私たち一応アイドルだよね?」


千早「まだFランクだけどね」


春香「はーあ。プロデューサーさんがいれば送迎してくれるのかな」


千早「社長が採用活動はしてるって言っていたから、待つしかないわね」


春香「大丈夫かな、私たち。ちゃんと売れるかな?」


千早「わからない。けど、やれることをやるしかないわ」


春香「そうだよね。ごめん」


千早「ううん。私も不安なのは同じだから」


春香「えへへ、ありがとう千早ちゃん」


千早「ふふっ」

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ミーンミンミンミン


春香「う~。でもその前に暑くて干からびちゃうよ~」


千早「そうね」


春香「まさに太陽のジェラシー」


千早「そうね」


春香「千早ちゃん、聞いてる?」


千早「そうね」


春香「やよいが千早ちゃんのこと好きだって」


千早「そうね」


春香「千早ちゃんしっかりして! 暑さに負けちゃダメだよ!」ユサユサ


千早「うあー」ガグガク


春香「あ。あんなところに駄菓子屋さんがあるよ。アイス食べよアイス!」

◆◆◆


チリンチリン


春香「はー涼しー」


千早「こんなところに駄菓子屋なんてあったのね」


千早「それにしても、少し冷房効きすぎじゃないかしら」


春香「んー……あった。アイスアイス~♪ 千早ちゃんはどれにする?」


千早「春香と同じのでいいわ」





老婆「いらっしゃい」


春香「おばあちゃん、これください」


老婆「はいよ。アイスふたつね」


春香「今日も暑いですねー」


老婆「暑い?」

春香「あっ、外がです。お店の中は涼しいですよ!」


老婆「そうだねぇ。わしはずうっと店ん中に居るから涼しくてええわい。はっはっは!」


春香「いいなー。私もここから出たくないですよ」


老婆「はっはっは! 若いもんがなにを言うとる」


春香「あははは!」


老婆「そうそう。そうやって笑っとらんとねぇ」


春香「え?」


老婆「なにがあったか知らんが、辛気臭い顔しとると幸せが逃げちまうよ」


春香「そんなに暗い顔してました?」


老婆「ああ。──そっちの細い姉ちゃんも。笑っとらんと家の人が心配するよ」


千早「……私は一人暮らしですから」


老婆「はー。その歳でしっかりしとるねぇ」


千早「いえ」


老婆「まあ、アイス食って元気だし」


春香「はい。ありがとうございます!」

春香「またねー、おばあちゃん!」


老婆「毎度ありー」


◆◆◆


春香「私たち暗い顔してたんだね」


千早「そうね。アイドルなんだし、気をつけないと」


春香「うん。頑張ろう千早ちゃん!」


千早「そうね」





千早「それにしても凄いわね春香。お店の人とあんなに楽しそうに話せるなんて」


春香「えぇっそんな。あのおばあちゃんが話しやすかったんだよ」///


千早「それだけじゃなくて、春香のコミュニケーション力が高いのよ。私も見習わなくちゃ」


春香「えへへ、ありがとう。なんだか照れちゃうね」


千早「ふふっ」

春香「あっ、このアイスクリーム美味しい!」


千早「そんなに?」


春香「食べてみて。はい、あ~ん」


千早「あ~ん」///


千早「本当。美味しいわ」


春香「ね!」


千早「私のもどうぞ。はい」


春香「あ~ん」


千早「どうかしら?」


春香「美味しいけど買ったの同じ味だったね、そう言えば」


千早「そうだったわね」


春香「あははは♪」


千早「ふふふっ♪」

◆翌日◆


ミーンミンミンミン


千早(暑い)


千早(もう少しで事務所に着くけれど──)


千早(その前に昨日の駄菓子屋に寄っていこう)





千早「──あれ?」


千早(駄菓子屋がない)


千早(この辺りだと思ったのだけれど、記憶違いかしら)


ミーンミンミンミン


千早(仕方ないわね。このまま事務所に向かいましょう)

◆◆◆


千早「おはようございます」


春香「おはよう千早ちゃん」


千早「あ、春香。昨日行った駄菓子屋の場所ってわかるかしら。さっき寄ろうと思ったんだけど見つからなくて」


春香「え、千早ちゃんも? 私も見つけられなくて千早ちゃんに聞こうと思ってたんだ」


千早「そうなの」


ガチャ


美希「おはようなのー」ペロペロ


春香「おはよう美希。──あっ、そのアイス」


美希「事務所に来る途中のお菓子屋さんで買ったの」

春香「ねえ美希、お願いがあるんだけど」


美希「ヤ! いくら春香でもこのアイスはあげられないの!」


春香「そうじゃなくて、そのお菓子屋さんに案内してほしいなって」


美希「えー。外は暑いからやっぱりヤなの」


春香「アイスもう一本奢るから」


美希「いいよ!」


春香「行こう千早ちゃん」


千早「そうね。正しい場所を覚えておきたいし」

◆◆◆


美希「あれ?」


春香「……」


千早「……」


美希「確かこのビルと、このビルの間だったはずだけど」


千早「人ひとり分ぐらいのスペースしかないわね」


美希「ミキ、ウソ付いてないの! ホントだよ?」


千早「ええ。私もさっき、ここだと思って来たところなの。春香は?」


春香「わ、私も」


美希「??? どういうことなの?」

一旦ここまでなの

早く続きを書くの

はよ

◆◆◆


美希「──なるほど。ミステリーなの」


春香「ホラーだよ」


美希「もー! あえてぼかしたのに!」


千早「あの駄菓子屋が本当に怪奇的なものだとしたら、私たちが食べたアイスって一体なんだったのかしら?」


春香「」ゾッ


美希「み、ミキ……全部食べちゃったの」


3人「…………」


◇◇◇


春香「──結局その駄菓子屋さんは見つかってないんです」


P「ふーん」ハナホジ


春香「もう! 信じてくださいよぅ!」ポカポカ


P「だってなあ」


美希「本当なの。ハニーも気をつけたほうがいいの」


P「へいへーい」


美希「もー!」ポカポカ


千早「……」


春香「千早ちゃん、黙ってるけどどうかしたの?」


千早「えっ。……なんでもないわ。あのときのことを思い出していただけ」


千早「……」

◇◇◇


千早(初めてあの駄菓子屋を訪れてから三日。何度か探したけど未だ見つからない)


千早(ただの記憶違いだと思っていたけれど、ここまで見つからないとなると本当に──)


千早「……」


千早(いいえ、そんな訳ないわよね)


千早(それにしても遅くなってしまったわ。夏とはいえ暗くなる前に帰らないと)


千早(はぁ。今日も歌の仕事はできなかったな)


千早(こんなことで、この先大丈夫なのかしら)


千早(────ん?)


子供「~♪」テクテク


千早(こんな時間に子どもが歩いてる。早く帰るように促したほうがいいかしら)


千早「──────」


千早「──────」


千早「──────え?」


優「~♪」


千早「………………」


千早(優?)

千早(優の幻を見るなんて、疲れてるのかしら)


優「~♪」


千早(……幻じゃない。本物?)


千早(そんな訳ないわ。他人の空似ね)


千早「きみ」


優「!?」バッ


千早(やっぱり似てる。私の記憶や写真そのままだわ!)


千早(落ち着いて。この子は優じゃない。優じゃない)


千早「こんな時間に外にいては危ないわ。早くお家にお帰り」


優「ぁ……」


優「──!」ダッ


千早「えっ!?」


千早(どうして逃げるの!?)

◆◆◆


優「はぁはぁ……走ったから暑いや」


優「ねー駄菓子屋のおばちゃん。このお店にクーラー付けようよー」


老婆「そんなもん付けられるなら、とうに付けとるわい」


優「ちぇー」


老婆「そんな走ってどうしたぁ?」


優「お姉ちゃんに見つかっちゃった」


老婆「ありゃりゃ。──元気そうじゃったか?」


優「うーん……なんかお仕事大変そうだった」


優「でも大丈夫! お姉ちゃん強いし! お歌上手だし!」


老婆「そうかい」


千早「優」

優「え!?」


千早「優なの?」


優「お姉ちゃん……なんでここに」


千早「優を追って来たらここに辿り着いたの」


優「……」


千早「貴方は幽霊なの? このお店は一体……」


優「これは夢だよ」


千早「夢? そんな、でも──」


優「お姉ちゃん、お仕事頑張ってね!」


千早「え──」


優「いろいろ大変かもだけど、お姉ちゃんなら大丈夫だよ!」


千早「……」


優「お姉ちゃんの楽しそうなお歌が聴けるの、天国で見てるから!」


千早「待って優──」


優「バイバイ!」


千早「待って!」

千早「────え?」


千早(消えた。優もお婆さんもお店ごと)


千早(どうなってるの? 私がおかしいのかしら)


千早(さっきまでのは幻覚?)


千早(わからない。ただ──)


千早(なんだか気持ちが楽になった気がする)


千早(ありがとう、優)


◇◇◇


千早「……」♪


美希「あの頃しばらくは古いお店に入るのが怖かったの」


春香「ねー」


P「う~ん……」


社長「その話、あながち嘘じゃないかも知れないよ」

P「社長。どういうことですか?」


社長「戦時中、この辺りは空襲にあっていたらしいのだが」


社長「毎年お盆の時期になると、亡くなった駄菓子屋の主が爆撃された店ごと帰って来るのだとか」


社長「そして同じく里帰りしている仏様たちが買い物をしていくそうだよ」


春香「じゃあ、ひょっとしてあのとき幽霊のお客さんがいたのかな……」サー


美希「ひいいいいいいなの!」


社長「はっはっは!」


P「大丈夫だって二人とも。そんな非科学的なことある訳ないから」


春香「Pさんが頑なに信じようとしない!」


美希「酷いの! バツとしてアイス買ってくるの!」


P「なんでそうなる!?」


美希「アイスアイスアイスー!」


P「わかったわかった! まあ俺も食べたいしいいか」


美希「いってらっしゃーい」

◆◆◆


ミーンミンミンミン


P(コンビニまで地味に距離あるんだよなぁ。暑い)


P「──お?」


P(へー。こんなところに駄菓子屋さんがあったんだ)


P(ここでいいか)


チリンチリン


老婆「いらっしゃい」





おわり

お付き合いありがとうございました
依頼出してきます

前に書いた765のSS置いとくのでもしよろしければ

P「団結2015を収録するぞー」
P「団結2015を収録するぞー」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449419668/)

亜美「タイムマシンに飛び乗って!」真美「ラジャー!」
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(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1493264887/)

春香「なんで下着姿なんですか?」小鳥「暑いし」
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おつ

Pはいつからいたの?
>>1で春香「はーあ。プロデューサーさんがいれば送迎してくれるのかな」
千早「社長が採用活動はしてるって言っていたから、待つしかないわね」
こんな会話があって翌日にいたけどさ
一日しかたってないのに美希からハニー呼びはおかしくね?
春香たちはまだFランアイドルで、しかもその日に入ったばかりのPなのにハニー呼びは無理あるでしょ

美希がハニー呼びするのは無印ならランクBからか。当たり前みたいにハニーハニー言ってる気がしたのはゲームクリア後の印象が強いせいか。ミリシタでもプロデューサー呼びだもんな。SSが書かれるベースは「アイドルとして一人前になっている」ように思われるから、違和感を覚えなかったわ。

>>23
ありがとうございます!

>>24-25
すみません、自分で読み返したんですが解りづらいですね
Pや社長がいるシーンは現在で、それ以外は過去(Pが765プロに入る前)のお話ってことになってます
前半は春香が昔話をしていて、後半は千早の回想です

次同じような話書くときはもっと解りやすいように気をつけます

>>26
いや、だから回想だとしてもおかしいっていってる
>>1-6が過去の話だとするよ?
そしたら>>7からの現在に繋がるのがおかしいんだって
>>6までが昔話としても>>7に翌日と書かれてるのがおかしいって話
Pや社長がいるのが現在なのはわかった、そうなると時系列おかしくなるのよ
>>1-6(過去)→翌日(現在)>>7-14で次の日にPがいることになってるのよ
そうしたら一日で美希がPをハニー呼びするようなことになるから一日でFが高ランクに上がったことになる
一日でそれは不可能だろ、ステスラでもステラステージクリアしてSなってからハニー呼びなるんだぞ

同じ夏のこととは一つも書いてないだろ

>>14の◇◇◇が昔話と現在の境目なんじゃね?
>>7は昔話の中の翌日、仮に2015年とでもすると、>>6までが2015年8月5日、>>7からが2015年8月6日みたいな
で、>>14の境目を越えて2018年の話になる感じ

>>29
これです

なんか時系列がぐちゃぐちゃになる話を書きたくなってきた

なんかうるせえやつがいるなあ素直に面白かったじゃだめなのか?

(文頭で同じ記号が連続したら時系列や視点が区切りになるのは常識だと思ってた)

>>29のわかりやすいのがなければ意味不明なままだった
ちゃんと○○後の翌日みたいに書かないとわけわからんぞ
>>28みたいな意味のわからないレスするバカもいるくらいだし

>>28がわからないってよっぽとだぜ

>>27
お前の頭が悪いだけ
馬鹿は口開くな

>>31
面白くないからダメ

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