オーク隊長「んじゃお疲れさーん」

竜爺「……ん？会議はまだか？」

側近「もう終わりましたよ。なに虚無になってたんですかまったく……」



魔王「……ッ」

リザード兵「……」

リザード兵「おい」

リザード兵「起きろクソ魔王」

魔王「……起きてたよ」

リザード兵「嘘　つ　く　な」

リザード兵「人が結構重要な話してる最中に普通寝るか！？国長が！？」

魔王「だから寝てないって」

リザード兵「仮面の下からよだれ垂れてるぞ」

魔王「え？そんな……」ｻｽｻｽ

リザード兵「嘘だよ」

魔王「……」

リザード兵「……」

――――――
―――
―


側近「それでボコボコにされたって訳ですか」

リザード兵「こんな理不尽許してたまるか……」ﾎﾞﾛｯ

側近「それは貴方の日頃の行いの悪さから来てます。まぁ魔王様には後から私が竜爺様とまとめてお説教しておくとして」

リザード兵「俺の尊厳が奴の存在を許さない」

側近「でしょうね。大怪我しない程度に復讐でも何でもどうぞ」

リザード兵「フフフ……どんな目に合わせてやろうか……」

側近（結果は見えてるけど面白そうだから放置した方がいいですねコレ）

リザード兵「よし！そうと決まれば作戦会議だ！！」

側近「一人でですか」

リザード兵「ああ、どうせ手伝ってくれないんだろ？」

側近「私怨に付き合う程暇ではないので」

リザード兵「だろうな。さて、それじゃあトイレでゆっくりと……」

側近「あ、そうそう。今魔王城1階から5階のトイレ全て水が止まってますので6階のを使ってください」

リザード兵「は？何でそんな事になってんだ」

側近「5階のトイレから何者かが変な薬品を流し込んで全部ダメになったんですよ。やれやれってやつですね、まったく……」

リザード兵「えぇ……」

……

ｶﾞﾁｬ

リザード兵（さてと、復讐の内容だが……）

リザード兵（物理的に攻めても勿論返り討ちに合うだけ。しかもあっちは暗殺のエキスパートだし闇討ちも不可）

リザード兵（毎度の事ながら正面からやるのは俺の寿命を削る未来しか無い）

リザード兵（こっそりやり過ぎてそもそも復讐だと言う事にすら気づかれないのもある。というかあった）

リザード兵（あの魔王小さいことを気にしなさすぎるんだよなぁ。やりがいがねぇ）

リザード兵（ふーむ、昼飯に何か混ぜる方向で行くか……）

ｺﾝｺﾝ

リザード兵「ん？」

魔王「すまない、そろそろ代わってくれないかな？」

リザード兵「あぁ、魔王か。悪いな、すぐに出……」

リザード兵「……」

魔王「あれ、リザード君か。ごめん、早く出てくれると助かるのだけれど」

リザード兵「……」

魔王「？リザード君？」

リザード兵「あー！俺もなんだか急にまたお腹が痛くなってきちゃったなぁ！！」

魔王「！！」

リザード兵「いやぁクソが溜まり気味でさぁ！最近喰い過ぎかなぁ、いやでも運動とかしっかりしてるし出るもの出ないってのもおかしい話だから体調不良かなぁ！！」

魔王「……」

リザード兵「悪いけど他のトイレ行ってくれない？」

魔王「……分かったよもう！！腹立つな！！」

リザード兵「アッハッハ！！そういう事で勘弁してくれや！！」

リザード兵「あーいい気味」

リザード兵「ったく、こういう小さいことでも気分が晴れるんだから俺も損な性格してるねぇ」

リザード兵「さて、待たせるのも何だしこっちから魔王を迎えに……」


ｺﾝｺﾝ


リザード兵「ん？はーい」

魔王「私だリザード君……」

リザード兵「魔王？何で戻ってきて……あ」

―

側近「5階のトイレから何者かが変な薬品を流し込んで全部ダメになったんですよ。やれやれってやつですね、まったく……」

―


リザード兵「……」

魔王「下のトイレ全部使えなくなってるんだ……あと隣のトイレもノックしても返事無いし……」

リザード兵「へぇ、そう、フーン」

魔王「外に出ようにも……」

リザード兵「出ようにも？」

魔王「間に合わん」

リザード兵「そりゃ災難で」

魔王「出来れば代わってほしいのだが」

リザード兵（……これチャンスじゃね？）

リザード兵（平静を装ってるけど扉越しに分かる焦り具合）

リザード兵（ははーん、さては本当にお腹痛いなコレ）

リザード兵「仮に……仮にだ魔王」

魔王「なんだい？」

リザード兵「俺がトイレをまだ出られないと言ったｒ」

魔王「ここから君を殺す」

リザード兵「ﾋｪｯ」

リザード兵（今ので魔王の本気具合が分かった……が）

魔王「冗談だ、それよりも」

リザード兵「まだ出られん」


ﾀﾞﾝｯ!!


リザード兵「」

魔王「すまない、魔法が暴発した、ワザとではない」

リザード兵（扉から岩が突き出して来た……）

リザード兵（今ので魔王の本気具合が分かった……が）

魔王「冗談だ、それよりも」

リザード兵「まだ出られん」


ﾀﾞﾝｯ!!


リザード兵「」

魔王「すまない、魔法が暴発した、ワザとではない」

リザード兵（扉から岩が突き出して来た……）

リザード兵「殺す気かああああああああああ！？」

魔王「それも厭わない」

リザード兵「冗談って言ってなかった！？」

魔王「なら早くしてくれ。待つから」

リザード兵（待ってはくれるんだな……）

魔王「……」

リザード兵「……」

魔王「……」

リザード兵「……」


ﾀﾞﾝ!!


リザード兵「二射目ェ！？」

魔王「気は長くはない」

リザード兵「1レス持たなかったぞ！？」

リザード兵「まてよく考えろ、俺を殺したらトイレがとてもじゃないが使える状況じゃなくなるぞ！？」

魔王「構わない。血と肉片など見慣れている」

リザード兵「いやいやいや！？そうでなくても同じ規模でまた魔法撃ってみろ！！俺と一緒にトイレもお陀仏だ！！」

魔王「チッ、もっともらしい言い訳を」

リザード兵（冷静に考えりゃどうとでも対処できるのに思考まで短絡的になってやがる）

リザード兵「……」

リザード兵（面　白　く　な　っ　て　き　た）

リザード兵「～♪」

魔王「鼻歌混じりにトイレか、随分ご機嫌みたいだなトカゲ」

リザード兵「トカゲェ！？……あぁ、だんだん調子よくなってきたからな」

魔王「そうかさぞ気分がいいだろうな」

リザード兵「それよりも魔王、昼飯何喰いに行く？ラーメンは食ったばっかりだし、今日はあっさり目にしとくか？」

魔王「食事の事は……今は考えられないな」

リザード兵「どうしてさ、ここで一服終わったら食いに行くって話なのに」

魔王「ハハハ、ころs……ハハハ！」

リザード兵（地が見え隠れしてる）

魔王「しかしだリザード君。君はどうしてその……」

リザード兵「あん？」

魔王「アレだ、お腹を下しているんだ」

リザード兵「そりゃこっちのセリフだよ。なんでアンタそんな苦しそうに……」

魔王「苦しくない」

リザード兵「はいはい強がらなくていいから」

魔王「強がってない」

魔王「まぁ、一つだけ言えるとすれば」

リザード兵「あ？」

魔王「昨日喉が渇いて開発室で変わった色をしたジュースを飲んだのが気になるかな」

リザード兵「いやどう考えても原因それだろ」

魔王「毒には耐性あるから大抵のものは飲めると思っていたんだけどね。あまりにマズくてトイレに捨ててしまったよ」

リザード兵「……それ5階のトイレか？」

魔王「ん？よく知ってるね」

リザード兵「自業自得じゃねーか！！そこで一生苦しんでろ！！」

魔王「下のトイレ全部使えないの知ってて行かせたのか！！」

リザード兵「あたりめーだろ！！そもそも全部が全部自分が蒔いた種じゃねーかバーーーーーーカ！！」

魔王「バカっつったか！？君は何を考えてるんだ！！私が君に何をした！！はやく出ろオイ！！」ｶﾞﾝｶﾞﾝｶﾞﾝｶﾞﾝｶﾞﾝ

リザード兵「アッハッハッハ！！毎度毎度俺で憂さ晴らししてる方が悪いんだよ！！極限まで苦しみやがれ！！」

魔王「あ」ﾌﾟｯ

リザード兵「ん？」

魔王「……」

リザード兵「……」

リザード兵「漏らした？」

魔王「漏らしてないよ」

リザード兵「いや今の流れ漏らしただろ！？俺が悪かった！！早くトイレに……」ｶﾞﾁｬ


ｶﾞｯ!!


魔王「開けたな」

リザード兵「何ッ！？」

リザード兵「お前……嘘か！！」ｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞ

魔王「欺くこともまた戦いだ。詰めが甘かったな」ｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞ

リザード兵「こんのやろう……！！」ｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞ

魔王「せめて苦しまずに一撃で仕留めるからちょっとだけ、ね？」ｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞ

リザード兵「目ェ血走ってるぞ！？お前手段と目的がすり替わってるじゃねぇか！！剣降ろせ！！そうすりゃすぐに代わって……」ｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞ

魔王「あ」

リザード兵「え？」


ﾊﾞﾀﾝ


魔王「リザードくーん、ホントやばいから今の無しで。お腹痛くてしょうがないの」

リザード兵「漏らすならどうぞそちらで漏らしてください魔王様」

魔王「オイ！！慈悲とかそういうのあるだろオイ！！」ﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝ

リザード兵「悪いがここ開けた瞬間アンタ俺をついでに消し飛ばすつもりだろ！！絶対に嫌だね！！」

魔王「そんな事言って、私に何かあった時には最終的に手を差し伸べてくれる癖に」ﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝ

リザード兵「今の行動が無けりゃ明け渡してたよ！！それが嫌なら素直に普段から信用にたる行動をしろ！！」

魔王「……よし、分かった」

リザード兵「何が」

魔王「リザード君って普段から裸足だったよね」

リザード兵「それがなんだよ……」

ｶﾁｬｶﾁｬ


リザード兵「？」


ﾌﾞﾘｯ


リザード兵「！？」


ﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞﾌﾞ

ﾌﾞｯ


リザード兵「……おい魔王」

魔王「ふぅ……なんだい？」

リザード兵「お前今何した？」

魔王「さぁ？」

リザード兵（考えろ……考えろ！？アイツは今何で俺に裸足かどうか確認した！？）

リザード兵（そして扉の前であの汚い音と共に何が行われた！？）

魔王「まぁ」

魔王「辺り一帯が大変なことになっているとは思うけど」

魔王「足の踏み場をよーーーーー…………く探してここから脱出するんだね。ま、足の大きい君では少し苦労するだろうけども」


リザード兵（やりやがったああああああああああああああああああああああああ！！）

リザード兵（魔王は俺への嫌がらせならやりかねん、いややる！！確実に！！アイツに人の心は無い！！）

魔王「こんな下らない事を始めたのは君の方だ。これで少し反省するといい」

魔王「それと、片付けておかないと君に不幸が降りかかると思うよ。それじゃ」


リザード兵（ヤバいって。何がヤバいってこれ）

リザード兵（他の誰かに見られたら外の参事が全部俺のせいにされる……！！）

オーク隊長「お、魔王様、ここに居たか」

魔王「あ、総隊長。ちょっと聞いてよリザード君が」

リザード兵「待てや糞魔王あああああああああああああああああああああああ！！」ﾊﾞｧﾝ!!


リザード兵「あっ」

魔王「退け」ｶﾞｯ


ﾊﾞﾀﾝ

―
※綺麗な水の流れる音で本SSをお楽しみください
―


リザード兵「あんにゃろう最後まで騙してやがったのか……」

オーク隊長「何の話だ一体」

ｶﾞﾁｬ

魔王「あースッキリした」ﾊﾟｧｧｧｧｧ

リザード兵「汚ねぇ真似しやがって、ったく」

魔王「さっきも言ったが喧嘩を吹っかけてきたのは君の方だろう」ｷﾞﾘｷﾞﾘｷﾞﾘ

リザード兵「イタイイタイイタイ」

リザード兵「っつーか隣のトイレに無理いってでも代わってもらえればいい話だっただろ。俺をいびる方がよっぽど時間の無駄だったろうに」

魔王「それが出来るのならとっくにやってるよ。中に気配はあるけど返事も無いんだ。女性だったら失礼だろう？」

リザード兵「そりゃまぁそうだけどよ……悪かったよ」

魔王「よし」

リザード兵「でも殴って来たり俺を殺しに来たのは忘れねぇからな！？」


ｶﾞﾁｬ


竜爺「ふぃー」

オーク隊長「お、竜爺も居たか。丁度いいや、さっきの会議の事なんだけどよ」

竜爺「うむ、よく寝たよく寝た」

オーク隊長「……トイレで？」


リザード兵「……」

魔王「……」


二人（（このクソジジイ））

――――――
―――
―

リザード兵「って事が昨日あってだな」

エルフ「全面的にアンタが悪い」

リザード兵「ホワイ！？何故！？」

側近「当たり前でしょう子供ですか貴方は。大体貴方が殴られるのなんていつもの事なんですから」

リザード兵「ひでぇパワハラだな！？」

側近「裏を返せば」

リザード兵「？」

側近「魔王様がそんな態度を取る人間は貴方しか居ないんですよ」

エルフ「そういえば、魔王様ってアンタと一緒に居る時だけは何だか素っぽいんだよね」

側近「私たちの前でも基本的にそうなんでしょうけど、そうやって砕けた態度を取る"友人"みたいなのは貴方だけなんでしょうね」

リザード兵「……」

側近「一番一緒に居る時間が長いのは護衛の貴方ですから。不器用な性格なのはよく知っているでしょう」

側近「大目に見てあげてください。それが今貴方に出来る魔王様への忠誠です」

リザード兵「ま……そう言われると弱いな、俺も」

リザード兵「まー毎度の事だし、今回も大目に見といてやるかな。俺はあいつの友人ポジションだしな！！」


側近（とまぁ、とりあえず口からデマカセ言っただけなんですけど）

エルフ（チョロイなぁ……）


リザード兵「そういやトイレってもう直ったのか？」

側近「急ピッチで進めていますが……すみませんが、また5階のトイレを使ってください」

リザード兵「あとトイレぶっ壊した犯人だけど……」

側近「はい、昨日の一部始終見てましたから知ってます。あのウンコ魔王あとで折檻ですね」

リザード兵（見てたなら止めろよ……）

……

ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ

リザード兵（ん？誰か入ってる）


魔王「入ってるよ」

リザード兵「あぁ魔王か。昨日は悪かったな」

魔王「もう既に謝られている。二度も謝罪はいらないよ」

リザード兵「いや、先に謝っておかないとトイレ譲ってもらえないかと」


ｶﾞﾁｬ


魔王「そんな子供じみた事、私がする訳がないだろう」

リザード兵「慌てて言動がおかしくなってた人間がよく言うよ」

魔王「それじゃ、お昼待ってるよ」

リザード兵「ああ、すぐ行くから待ってろ」


リザード兵（ま、平常時ならこんなもんか）

リザード兵（確かに、俺の日頃の行いの悪さもあるからなぁ……一応俺も反省しとくかな）

リザード兵「さて、俺もとっとと用を済ませて」ｶﾞﾁｬｯ


ﾇﾁｬ


リザード兵「……」

リザード兵「…………」

ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ


リザード兵「……？」


ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ


リザード兵「……」

ﾇﾁｬ

リザード兵「……」

リザード兵「――――――――――――！！」

リザード兵「！！？！？！？」


アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱｱ









側近「喧しいですね。何かあったんですか」

魔王「さぁ？」




き　た　な　い

完

終わった
なんか超久しぶりにSS書いた気がする

もしお付き合いしていただいた方がいましたら、どうもありがとうございました

過去作
http://blog.livedoor.jp/innocentmuseum/

今回のSSブログで予告したのと違うやつだけどゆるして

あっ乙
面白かった