二週間前に七咲のを書いたら他のも書きたくなったので二人目として薫を
心が折れない限りは全員分書きたいなと思ってます
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1530292541
棚町「あん、動かないでよ」
橘「お前が引っ張りすぎなんだよ」
棚町「だって、まだ慣れてないし…」
橘「バッチリ完璧じゃないのか?」
棚町「気持ちの上ではね」
棚町「あ…」
橘「か、薫…それは切りすぎだろう」
棚町「うっさいわね!」
棚町「これから暖かくなるから短くしてあげんのよ」
橘「素直にミスったって言えよ」
棚町「誤差の範囲よ!」
橘「誤差って何だよ!」
棚町「あ~っ!うっさいうっさい!」
橘「……」
棚町「ねぇ純一」
橘「うん?」
棚町「これからも一緒にいようね」
橘「何だよ、急に?」
棚町「あははっ、何でもない!!」
三年後
棚町「純一~!」
橘「薫、どうだった?」
棚町「へへー、もち合格!」
橘「やったな、これで薫も美容師なのか」
棚町「まあね~」
橘「それにしても以外だな」
棚町「あたしが美容師になったことが?」
橘「それもあるけど、試験って実技だけじゃなくて筆記もあるんだろ?」
橘「しかも就活もしてさ」
橘「それを全部合格したなんて」
棚町「それどういう意味よ」
橘「は、はは…薫なら合格するって信じてたよ」
棚町「ほんとに…?」
橘「もちろん、だって自分が一番好きな人を信じないなんて失礼だろ」
棚町「そう…てんきゅね」
棚町「あれはあたしの人生の中で一番勉強したかもね」
棚町「そもそもあんなに机の前に座ってるってことがなかったもん」
橘「たしかに薫が勉強してる姿なんて想像もつかないな」
棚町「アンタ、中学、高校とあたしの勉強しているところを近くで見てたでしょ」
橘「勉強…してた?」
棚町「うーん…」
棚町「……」
棚町「そんなことより久しぶりのデートなんだから勉強の話は終わり!」
遊園地
棚町「えっと…どこに行こうかな」
橘「あれ?」
棚町「ん?どうしたの?」
橘「いや、前来たときはかたっぱしから全部って言ってたから今回もかと思ったから」
棚町「そ、そうだったわね」
棚町「よーし、あそこから全部乗るわよー!」
―――――――
棚町「次は…観覧車ね!」
橘「か、薫…それとジェットコースターは今日はいいんじゃないか?」
棚町「どーしよっかなー」
棚町「全部乗るって言っちゃったしー」
棚町「あ、そうだ!」
棚町「じゃあこうしない?」
棚町「観覧車とジェットコースターに乗るかあれに入るか」
橘「あれ?」
棚町「あれよあれ!」
橘「ファラオ…か」
棚町「さあどうすんの?」
橘「はぁ…高い所よりはマシか…」
橘「うん、じゃあこっちで」
棚町「よし、れっつごー!」
橘「……」
棚町「……」
橘「なあ薫」
棚町「…なに?」
橘「その肩をつかんで後ろにいられると歩きにくいんだが」
棚町「こういうところじゃ男が女の前を歩いていくものでしょ」
橘「ここじゃどっちも男になっちゃうだろ…」
棚町「あれはあたしだけが…変身しちゃったからでしょ」
棚町「こうしてれば…アンタが…変身することになる」
ウォォォオオオォォ~~ン!
橘「出たな小っちゃい方のやつ」
橘「じゃあもうそろそろあいつが…」
棚町「……」
ゴゴゴゴゴゴ
キング「ウォオオオォ~ン!」
キング「我の眠りを妨げる者よ」
キング「千年王国の呪いを受けるがいい!」
キング「その罪、自らの身で思い知るがいい!」
キング「ウォオオオォ~ン!」
橘「うっ!」
橘「……」
橘「こ、今度はどうなったの?」
橘「薫、大丈夫?」
橘「あれ、薫?」
橘「薫ー!どこなのー!」
ガッ
橘「!?」
棚町「うっ…」
橘「薫!?」
棚町「ちょ…ちょっとビックリして倒れちゃった…だけ…だから…」
橘「薫?」
橘(様子がおかしい、尋常じゃない汗に目の焦点があってない)
橘「これがファラオの呪いだとしても、このままはマズイ!」
橘「私がおんぶしてでも早く外に」
橘「ふぬっ」
橘「あ、あれ力が…」
橘「どういうことなの?」
男性「お姉さん大丈夫ですか?」
橘「あ、す、すみません!助けてください!」
橘「連れの子の様子がおかしくて!」
男性「棚町!?どうしたんだ?」
橘「え?」
橘「う、梅原!」
梅原「ん?」
梅原「どこかでお会いしましたっけ?」
橘「何こんなときにふざけてるんだ」
橘「私よ、橘よ!」
梅原「橘ぁ!?」
梅原「……」じーっ
梅原「俺の知ってる橘…で、いいんだよな?」
梅原「美也ちゃんじゃなくて、その兄貴の…」
橘「それしかいないだろ!」
梅原「そこに鏡があるから自分の姿を見てみろ」
橘「……」じー
橘「な、なんじゃこりゃああ!」
橘「わ、私がお、おおお女に!」
橘「なんだか胸が重くて下半身がスース―すると思えば…」
橘「って今はそんな場合じゃないの!」
橘「梅原、手を貸して!」
橘「薫を早く外に!」
梅原「お、おう!」
―――――
橘「もどった…」
梅原「ほんとに橘だったんだな」
橘「だからそう言ってただろ」
橘「そんなことより、薫が…」
橘「どうやらファラオマジックだったわけじゃなさそうだ」
橘「僕は救急車で病院に連れて行く」
橘「すまん、この借りは必ず返すから!」
梅原「そんなこといいから急げ!」
香苗「棚町さん大丈夫かな…」
梅原「おお、よかった香苗さんも戻ったんだ」
香苗「うん、でも肩がちょっと…もうお寿司にはなりたくないかな…」
数時間後
棚町「ごめんね、純一…」
棚町「せっかくのデートだったのに…」
橘「いや…僕は薫が元気になってくれればそれでいいよ」
棚町「……」
橘「先生が過労って言ってたけど、無理してたのか…」
棚町「無理なんかしてない、あたしは」
薫母「薫!」
薫母「ごめんね、遅くなって」
薫母「純一君、ありがとうね、薫のために」
橘「いえ…僕は…何も…」
薫父「薫ちゃん、大丈夫かい?」
棚町「お母さん…お…お義父さん…」
棚町「私の方こそ心配かけてごめん…」
棚町「ねえ、来てもらって悪いけど、純一と二人で話たいの」
棚町「少し出てもらっていいかな」
薫母「ええ、いいわよ」
棚町「……」
橘「……」
棚町「……」
橘「……」
橘「薫のお母さんが抱いてた子って…」
棚町「見るのは初めてだったね、妹よ」
棚町「もう2歳、結構大きかったでしょ」
棚町「この年であたしの下ができるなんて思わなかった」
棚町「ごめんね純一…」
棚町「ほんとに…あたし…」
橘「どうしたんよ、薫らしくない…」
棚町「今回だけじゃない、今までずっとアンタに迷惑かけてた…」
棚町「あたしってあんたの彼女にふさわしくないのかな…」
橘「そんなことないよ」
棚町「本当は今日お母さんに止められてたんだ…」
橘「止められてた?」
棚町「あたしの普段見てたからこうなることがわかってたのかも…」
棚町「あたしは絶対行くって言って軽く喧嘩しちゃって…」
棚町「自分から会えないって言っておいて、会えるってなったときは嬉しくて嬉しくて…」
棚町「結果こうなっちゃったのよね…」
橘「倒れるかもって心配されるなんてよっぽどじゃないのか?」
棚町「あたしバカだからさ、他の人の何倍も勉強しないと合格できるとは思えなかったの」
橘「ずっと勉強してたんだな」
棚町「ううん、バイトもしてた」
橘「えっ」
棚町「習慣になってたのもあるし、二人にお金のことで心配をかけたくなかったから…」
棚町「起きている間は勉強とバイトと食事だけだったわね」
棚町「試験に合格できないとあんたに会えない期間が延びるなんて嫌だった」
棚町「もう必死で…」
棚町「結局倒れちゃってバカなのは変わらないけどね」
棚町「……」
棚町「ねえ」
橘「なんだ?」
棚町「このままあたしなんかと付き合ってたら、ずっと迷惑をかけ続けることになるんじゃないかな…」
棚町「あたし…アンタのこと大好きなの…」
棚町「できることならずっと…一緒にいてほしいぐらい」
棚町「でも、そのことでアンタが不幸になるなんて絶対嫌…」
棚町「だから…」
橘「いい加減にしろ薫!」
橘「ごめん…大きい声出して…」
棚町「……」
橘「……」
橘「……」
橘「僕がもっとしっかりしてればよかったんだ…」
棚町「どうしてよ」
橘「薫の様子が普段と違うことに絶対気づけたはずなんだ…」
橘「誰よりもそばで見てきたはずなのに…」
棚町「ほんとに?」
橘「あたりまえだろ」
棚町「……」
橘「たしかに薫といるといつも何かあったけど、僕は一度たりとも迷惑だなんて思ったことはない」
橘「そりゃまあ…トラブルメーカーかもしれないけど…」
橘「僕はそんなところ全部含めて好きなんだ」
棚町「…それ本気で言ってる?」
橘「うん」
棚町「あはは、そっかー」
棚町「それなら、今度からはもっともーっと苦労させてあげるから、覚悟しなさいよ」
橘「はは、望むところだよ」
橘「さて、あんまり薫のご両親を待たせちゃいけないな」
橘「僕はこれで…デートの続きはまた今度だな」
棚町「うん…」
棚町「元気になったら、アンタのところ行くからね!」
翌週 純一と薫の部屋
ピンポーン
橘「はーい」
ガチャ
棚町「ぐんもー」
橘「薫!もう平気なのか?」
棚町「もうバッチリよ!」
橘「そうか、よかった」
橘「まあ入れよ」
棚町「うん」
棚町「あ、純一」
橘「ん?」
棚町「ただいま」
橘「ふっ…おかえり薫」
棚町「……」
棚町「……」そわそわ
橘「?」
橘「どうしたんだ?一年ぶりだと変に感じるか?」」
棚町「その…この前のことちゃんとお礼言えてなかったよね」
棚町「てんきゅね…ほんと」
棚町「アンタがいてくれてよかった」
橘「お前を助けるのは当たり前だろ、それに困った時はお互いさまだ」
橘「ああ、そうだ、梅原も手伝ってくれたんだ、あいつにもお礼言わないとな」
橘「それと、薫のそういうのは似合わない」
橘「いつもの元気な薫の方がいいぞ」
棚町「うん」
棚町「ねぇあたしがいた時より片付いた?」
棚町「大学生の男が一人暮らしになったら散らかってると思ったのに」
橘「僕はキレイ好きだからな」
棚町「ふ~ん」
棚町「……」
棚町「でも残念ねー」
橘「何が?」
棚町「そりゃもちろん、あたしという彼女がいながら」
ガラッ
棚町「こんなものがあるってことよ」
橘「あっ!それは僕のお気に入りの…」
棚町「お気に入り~?」
橘「あ、いや…」
橘「と…というよりなんでわかったの?」
棚町「女の勘よ」
橘「勘って…」
棚町「でもこれだけじゃないわよね」
橘「い、いやそれだけだよ」
棚町「その反応はまだあるわね」
棚町「ここか!」
棚町「あれ~、ない」
橘「……」にんまり
棚町「な、なんかむかつく~!絶対見つけてやるんだから!」
棚町「ベッドの下とか…」
橘「おっ」
棚町「ん?反応あり?」
橘「いや、そこにはないよ」
棚町「…たしかに、ないみたいね」
橘(薫のポーズが…すごくいい…)
橘(これはしばらく探させていろんなポーズを見てみよう)
棚町「じゃあこっちか」
橘(限界まで背伸びをしたときの肩から足へのライン…)
棚町「さすがにこんな単純なとこにはないか」
棚町「ん?あ、これもしかして」
棚町「お宝はっけ~ん!」
橘(うん、たしかにこれはお宝だ)
橘(薫の四つん這い!レアだ…)
棚町「ねえこれでしょ!」
橘「ああ、これだ!」
棚町「すごいでしょ」
棚町「!」
棚町「じゅ、純一~!//」
橘「え?」
棚町「せいっ」ビシッ
橘「うっ」
橘「な、何するんだよ」
棚町「ふん、あたしのセクシーポーズ見れたんだから安いもんでしょ」
橘「自分からやったくせに…」
棚町「ガン見する必要はないでしょ」
橘「いいじゃないか、僕と薫の仲なんだから」
棚町「うーん…まあそうねー…」
棚町「あたしとアンタはあんなことやこんなことをやった関係だし」
橘「やらしいことみたいな言い方するなよ」
棚町「あたしだけが恥ずかしいポーズを見せるってのは不公平だと思うの」
橘「なんだよ、僕に恥ずかしいポーズをとらせる気かよ」
棚町「さっすが~、わかってるじゃない」
橘「や、やだよ!そんなの!」
棚町「あ、そうだ」
棚町「アンタこの前のファラオのとき女の子になってたでしょ」
橘「うっ…な、なんのことだろう…」
橘「あの時薫意識が朦朧としてたから変な記憶があるんじゃないのか?」
棚町「いーや、あれはしっかり覚えてる」
棚町「純子ちゃんに会いたいなー」
橘「純子って言うなよ」
橘「それにそのためだけに行くのなんて面倒じゃないか」
棚町「つまんなーい」
橘「つまらなくて結構」
橘「他のことなら…聞いてもいいけど」
棚町「じゃあ女装して」
橘「僕を女にしようとすることから離れろ」
棚町「なんでよ、あたしの服と化粧をするだけなんだから、ここでできることじゃない」
橘「移動どうこうじゃなくて、僕を女にしようとするのをやめろって言ってるんだよ」
橘「それに恥ずかしいことじゃなくてもいいだろ」
棚町「だって見たいじゃない」
橘「僕の趣味じゃないもん」
棚町「ケチー」
夜 お風呂
棚町「純一ー、新しい着替え置いとくねー」
橘「うん、ありがとう」
橘「……」
橘「あれ?僕持ってきてなかったけ?」
橘「まあいいや、薫やさしいな」
―――――
橘「ふぅ、そろそろ出るか」ザパァ
橘「……」ふきふき
橘「……」ガラッ
橘「あれ?」
橘「僕の着替えが…」
橘「…これは?」
橘「薫ー!おい!」
棚町「はいはーい」ガチャ
橘「薫!これはどういうつもりだよ!」
棚町「アンタこそどういうつもり?」
棚町「前ぐらい隠しなさいよ」
橘「あっ」サッ
棚町「何?誘ってんの?」
橘「ち、違う!」
橘「そうじゃなくて、これだよこれ!」
棚町「アンタの着替えよ」
橘「これどう見ても女物じゃないか」
棚町「うん、あたしのだもん」
橘「しかも下着まで」
棚町「安心しなさい、それは新品だから」
橘「それはせめてお前のつけたやつにしてくれ」
棚町「……」
橘「……」
棚町「やっぱり女装はなしにしよっか…」
翌日
棚町「もーにんっ!」
棚町「もう朝よ朝」
棚町「起きる時間よ」
棚町「ほら、さっさと起きて」
橘「うーん…」
棚町「ってなに、その不満そうな顔」
棚町「せっかくあたしが起こしてあげてるんだから、ちょっとはうれしそうな顔しなさいよね」
棚町「さあ、今日もはりきっていくわよ!」
橘「ふわー…」
橘「まだこんな時間じゃないか…何かあったのか」
橘「のり(ピー)が逮捕されたのか?それともSMA(ピー)が解散したのか?
棚町「そんなことあるわけないでしょ、寝ぼけてんじゃないわよ」
棚町「まともな人間は活動してる時間よ」
棚町「春休みだからってぐーたらしてていいわけないでしょ」
棚町「しっかりしろ大学生」
橘「大学生ほどぐーたらした人種を僕は知らないぞ」
棚町「ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと起きる!」
棚町「アンタ、そんなことで就職なんてできるの?」
棚町「超就職氷河期とか言われてるじゃない」
棚町「あたし大変だったもん」
橘「それは一昨年までだよ」
橘「まあ今でも大変だけどさ…」
棚町「別にアンタが無職だとしてもかまわないけど、やれるだけのことはしっかりやってよね」
橘「うん、きっちりやるよ」
橘「それに僕が無職は嫌だから、なんとしても就職はするよ」
橘「僕のためにも、薫のためにも」
棚町「へー頼もしいじゃない」
棚町「あたしのためにもってことは、将来的なことも考えてくれてるわけ?」
橘「まあ…その…」
橘「……」
橘「さ、先のことは考えないようにしてるんだ」
橘「今を一生懸命生きるために」
―――――
橘「なあ、梅原のとこ行かないか?」
棚町「梅原君のところ?どうして」
橘「遊園地で助けてもらったじゃないか」
橘「まだ直接お礼は言えてないんだ」
棚町「あ、そうか」
棚町「そうね、梅原君にちゃんとお礼しなきゃ」
橘「ついでにそこで夜ご飯食べるか」
棚町「営業中に行くの?」
橘「うん、お礼とごはんを同時に済ませることができるからね」
棚町「あー…アンタにしてはいい考えかもね」
東寿司
梅原「らっしゃいっ!」
棚町「やっほー!梅原くーん!」
梅原「おっ棚町と大将じゃねえか」
橘「相変わらず元気がいいな」
梅原「あったりめえだろ、こちとらそれが取り柄なんだよ」
棚町「梅原君、これどうぞ」
梅原「ん?お土産か?どこ行ったんだ?」
棚町「ううん、この前あたし助けてくれたでしょ、そのお礼」
棚町「ありがとね、助かったわ」
梅原「ああ、あの時か、もう平気なのか?」
棚町「うん、もうバッチリよ」
棚町「ねえ、梅原君が握ってくれるの?」
梅原「おっ?俺の寿司が食いたいのか?」
橘「僕としては修行中の梅原よりも親父さんの方がいいな」
棚町「あたしもー」
梅原「なっ、ひどくないかお前たち!」
棚町「じょーだん、冗談」
棚町「あたしたち梅原君のお寿司食べに来たんだから」
棚町「ね?」
橘「うん、期待してるぞ」
梅原「ほいよっ」
棚町「おいしそう!いただきまーす!」
棚町「……」ぱくっ
梅原「どうだ?」
棚町「おいしー!」
棚町「ほら、アンタも食べてみなよ」
橘「ああ、そうだな」
棚町「はい、あーん」
橘「え?」
棚町「あーんって言ってんのよ、口開けなさい」
橘「こ、こんなところでか!?」
棚町「いつもやってることじゃない」
橘「たしかにいつもやってることではあるけどさ…」
橘「ここでやらなくても…」
棚町「恥ずかしがってんの?」
橘「その…なんていうか…」
棚町「あーもうっ、ごちゃごちゃ言わず食べなさいっ」シュバッ
橘「むぐっ」
梅原(おそろしく速いあーん)
梅原(俺でなきゃ見逃しちゃうね)
棚町「あれ、どうしたの梅原君」
梅原「どうしたって…目の前でそんなことされて無反応なやついないだろ」
梅原「いつもやってんのか?」
棚町「毎食やってるわね、最初の一口目だけ」
棚町「ちなみに最初にやりだしたのは純一の方から」
梅原「そうなのか?」
橘「たしかに何も間違ってはいないけど…」
棚町「けど…なに?」
橘「僕たちだけか、知ってる人がいなかったからできてたってのもあったからさ…」
梅原「俺がいたらできねえってわけか?」
橘「そうなるな…」
橘「梅原は僕がそんなことやってるところ見たくないだろ?」
梅原「いや、興味はあるな」
橘「そんなことに興味もつなよ…」
橘「……」
橘「わかったよ…薫」
橘「あ…あーん」
棚町「あーん」ぱくっ
棚町「んー、おいしい!」
橘「味よりも恥ずかしさが勝つよ…」
梅原「はっはっは、いいもの見せてもらったぜ」
橘「くそ…こうなったらお前と香苗さんのちょっと恥ずかしいシーンを見せてもらうからな」
梅原「……」
梅原「さてお客さん、次は何を握りましょうか」
棚町「あたしサーモン」
橘「話そらすなよ」
棚町「いいじゃない別に」
橘「いいと言われれば別にいいことだけどさ…」
――――――
棚町「ふー、おいしかったー、満足満足」
棚町「梅原君ごちそうさま」
梅原「おう、また来てくれよな」
橘「うん」
橘「ああ、そうだ、一応もう一回」
橘「薫を助けてくれてありがとうな」
梅原「なあに、いいってことよ」
梅原「飯をおごってくれればいいだけだから」
橘「う、うん…また今度な…」
数日後
棚町「もしもし?」
棚町「うん…」
棚町「あー…純一がいいなら」
棚町「ちょっと待ってて」
棚町「ねえ、お母さんたちどうしても外せない用事があって、その間あたしの妹預かってほしいって言ってるの」
棚町「別にいいかな?」
橘「うん、いいよ」
棚町「いいってさ」
棚町「うん、じゃあ待ってるね」
棚町「もうすぐお母さんとお義父さん来るって」
橘「あー…じゃあ着替えとかないとな」
橘「さすがにこのまま会うわけにもいかないし」
橘「そうだ、ごはんとか買っとかないと」
棚町「それは来てからでいいんじゃない?」
棚町「今からだと、どっちか残ってないとだめでしょ」
棚町「あたし、アンタと出かけたいし」
橘「…じゃあ待つか」
―――――
ピンポーン
棚町「来たわね」
ガチャ
棚町「はいはーい」
薫母「薫、ごめんね」
薫母「純一君もほんとありがとう」
橘「いえいえ、僕は全然いいですよ」
薫母「二人ともお願いね、私たち夜には戻ってくるから」
橘「けっこう薫に似てるよね」
棚町「そお?」
橘「うん、このもじゃなんか特に」
棚町「そこだけでしょ」
橘「この子も成長したら焼きそばもじゃ子になるのかな」
棚町「アンタ、足腰立たなくなるほど蹴り飛ばすわよ」
橘「すみませんでした」
薫妹「ねね!」
棚町「はーいどうしたのー?」
薫妹「ここ!」
棚町「おっけー、だっこねー」
橘「あ…」
棚町「なに?」
橘「子どもを抱いてる薫がその…」
橘「いや、なんでもない」
棚町「気になるじゃない、言いなさいよ」
橘「いいよ、それよりちゃんとお姉ちゃんやってるんだな」
棚町「まあね」
棚町「そうだ、アンタも抱いてみる?」
橘「え、いいの?」
棚町「うん」
棚町「ほーら、お兄ちゃんに抱っこしてもらいましょうねー」
橘「おっと」
薫妹「……」
橘「え、えっと…」
橘「……」にこっ
薫妹「……」ぷいっ
橘「あっ」
棚町「笑顔が不自然」
棚町「もっとリラックスしなさいよ」
棚町「でも知らない人じゃ無理ないかな」
―――――
棚町「ねえ、そろそろ買い物行かない?」
橘「そうだな」
棚町「今日ちょっと遠いけどあそこのスーパーで安売りしてるみたいよ」
棚町「散歩も兼ねて行ってみない?」
橘「んー…そうだなー…」
橘「まあいいか、行こう」
スーパー
橘「めちゃくちゃ安かったな」
棚町「でしょ?」
棚町「ちょっと遠出した価値はあったわね」
田中「あれっ薫?」
棚町「ん?」
棚町「恵子!ひっさしぶりー!」
橘「田中さん」
田中「やっぱり一緒にいたのは橘君だったんだ」
田中「あれ?」
薫妹「……」
田中「えっ?」
棚町「?」
田中「えっ?」
橘「?」
田中「ええーっ!!」
棚町「ど、どうしたの恵子!?」
橘「そうだよビックリした」
田中「びっくりしたのはこっちだよ!教えてくれればよかったのにー」
棚町「何を…?」
田中「薫、橘君、おめでとう」
橘「おめでとう?」
田中「結婚したんだね」
棚町「け、結婚ー!?」
棚町「そ、そそ、そんなあたしたちはまだ…」
田中「そうだよね、学生の間じゃお金の問題とかで式は難しいよね」
田中「でもよかったじゃない、薫そっくりの子どもまで生まれて」
棚町「あ…あのね…」
田中「今度からはそういう大きなニュースがあったら教えてよね」
棚町「恵子、よく聞きなさい!」
棚町「あたしたちはまだ結婚してないし、この子もあたしたちの子じゃなくて、あたしの妹だから」
田中「あ、そうなの?」
田中「そういえば妹が生まれたって言ってたよね」
田中「その子がそうなんだ」
田中「薫そっくりだったし、三人がどう見ても仲のいい家族だったから」
棚町「そ、そう…?」
田中「ねえ、まだって言葉が気になったんだけど…」
田中「橘君プロポーズしたの?」
橘「いっ!?」
棚町「なっ…!?」
棚町「な、なな何言ってるの恵子」
棚町「まだっていうのはその…」
棚町「ね?」
橘「え、その…なあ?」
田中「あはは、二人とも顔赤いよ」
棚町「……」
橘「……」
田中「いいなぁ、私もかっこいい彼氏がほしいよ」
棚町「は、はは…」
――――――
橘「相変わらずだったな、田中さん」
棚町「そうね、今でもたまに相談とか受けたりするの」
橘「へぇ、そうなんだ…ん?」
薫妹「てて」ちょんっちょんっ
橘「どうしたの?」
棚町「やっとアンタに興味を持ち始めたんじゃないの?」
棚町「手をつないでほしいって言ってるのよ」
橘「て、手を…うん、わかった」
薫妹「……」にこっ
橘「なんか恥ずかしいな」
老人「あの、すみません」
橘「はい」
老人「道をおたずねしたいのですが、交番はどこですか?」
橘「ああ、交番でしたら、ここの道を真っすぐ行って、大通りに出るんで、そこを右に行くと交番ですよ」
老人「どうもありがとうございます」
橘「いえ、どういたしまして」
老人「ふふ、お幸せそうね」
老人「こんなかわいい奥さんと娘さんだものね」
橘「あ、いや…」
老人「どうもありがとう、助かったわ」
橘「か、勘違いされちゃったな…」
棚町「そ…そうね…」
橘「……」
橘「なあ、僕たちって夫婦に見えるのかな…」
棚町「こ…こんな小さい子を連れてるからじゃない…?」
橘「さっきの田中さんのときもだけどさ…」
橘「僕たちが結婚してても不自然じゃないってことだよな…」
棚町「…そう…なのかな」
棚町「じゃあ結婚しちゃう?」
橘「えっ」
棚町「…な、なんてね!冗談よ!冗談!」
夜
薫母「助かったわ、ありがとう二人とも」
棚町「何かあったらいつでも預かるから」
薫妹「ねね、ばいばい」
棚町「はーい、またねー」
バタンッ
橘「あーあ、帰っちゃった」
棚町「なんでがっかりしてんのよ」
棚町「アンタにはあたしがいるじゃない」
棚町「たっぷり遊んであげるわよ」
橘「うん…」
カプ
橘「んあっ!?」
橘「な、なんだよ、びっくりしたな」
棚町「あたしじゃ不満?」
橘「ちょーっと不満だな」
棚町「言ったわねー!じゃあ満足させてあげるわよ」
橘「お手柔らかにな」
棚町「いっくわよー!」
ドスーン ゴロゴロ
橘「…薫」
棚町「ねえ…いい?」
橘「うん…」
棚町「……」チュッ
橘「……」
橘「なあ…僕、就活がんばるよ」
棚町「うん」
三年後
棚町「ありがとうございました」
棚町「ふぅ…」
店長「薫ちゃん、ちょっといいかしら」
棚町「あ、はい」
店長「薫ちゃん、また腕上げたわね」
店長「さすがね、やっぱりいいセンスしてると思ったのよ」
棚町「そ、そうですか?」
店長「今までのどのアシスタントの子よりもいいわよ、本格的なデビューが楽しみね」
棚町「ありがとうございます!」
店長「何より、すごくがんばってるってのもあるんだけどね」
店長「やっぱり彼氏ちゃんの影響かしらね」
棚町「えっ」
店長「薫ちゃん、男の子選びもセンスいいわね」
店長「あの子あたしの若いころにそっくりだわー」
棚町「はは…て…店長の…」
棚町(若いときの店長に似てる似てないは別として、あいつはこういう風にはならないよね…)
棚町「……」
棚町(今何してるのかな…)
棚町(あいつそろそろ終わったころだよね)
橘「うーん…」
同僚「おつかれさん」
橘「おう、おつかれ」
同僚「この後飯どうだ?課長がおごってくれるってよ」
橘「あー…ごめん、この後予定があるんだ」
同僚「そうか、じゃあまた明日な」
橘「ああ」
橘「…よし、行くか」
――――――――
東寿司
橘「ちはー」
梅原「へい、らっしゃい!」
梅原「おっ、大将じゃねえか」
橘「あれ、今日はお前だけ?」
梅原「最近はちょっと任せてもらえるようになったんだ」
橘「へえ、やるじゃないか」
橘「がんばってるんだな」
梅原「まあな」
橘「なんだか、梅原がうらやましく思えるよ」
梅原「俺が?どうしてだ?」
橘「だって修行して今じゃ店を少しとはいえ任せてもらえるようになったんだろ?」
橘「自分の店をもつって目標もある」
橘「日々成長してる…それがなんだかうらやましくてさ…」
橘「僕思うんだよ、何も変わらない自分に対して」
橘「今までやってたことはやったつもり…」
橘「がんばったつもり、できたつもり…」
橘「そりゃ成長できないわけだな」
橘「でもお前は違う…」
橘「なあ…僕はどうしたらいいんだ?」
梅原「はあ…いいか橘」
梅原「人ってのは限界を決めてしまうとそこで何でも止まっちまうんだ」
梅原「お前はやればできるやつなんだからさ、やる前から逃げ腰になってんじゃねえよ」
梅原「俺の知ってる橘はもっと前向きなやつだぞ」
梅原「俺ができる最大のアドバイスは思いっきり行け!だ」
梅原「お金とかそういう問題もあるかもしれねえが、気持ちを伝えるだけならできるだろ」
梅原「棚町も待ってるんじゃねえのか?」
橘「えっ…僕薫のことなんて一言も…」
梅原「何年の付き合いだと思ってんだ」
梅原「お前が仕事の愚痴を俺に言うかよ」
梅原「最初から棚町のことだってわかってた」
梅原「お前は次のステップに進もうという考えはあっても実行しようとはしてないんだろ」
梅原「頭のどこかでこのままでいいと勝手な限界点を作ってるんじゃねえか」
橘「限界か…」
橘「……」
橘「梅原…」
梅原「なんだ?」
橘「プロポーズの言葉はなんて言った?」
梅原「いっ…!?さ、さすがに俺もそれは…」
梅原「それに俺のはちょっと特殊すぎるからさ…寿司屋以外じゃ使いにくい…ぞ」
橘「それはそれで気になるな…」
橘「寿司屋以外は使いにくいって…」
――――――
純一と薫の部屋
橘「ただいまー」
棚町「あれ、遅かったね、残業?」
橘「いや、梅原のところで食べてきた」
棚町「なーにー、自分だけお寿司ー!?」
橘「ちゃんと薫の分ももらってるよ」
棚町「ほんと?さっすが!大好きよ純一!」
橘「はい、これ」
棚町「おお、いいわね」
棚町「どれから食べようかな~」
橘「……」
橘「なあ薫…」
棚町「はぁに?」
橘「…薫はさ、僕たちの関係をどう思う?」
棚町「どう思うって…恋人同士でしょ」
棚町「アンタとあたしはつき合ってる」
橘「ええっと…そうじゃなくてだな…」
橘「なんて言うか…今の関係に満足してるのか?」
棚町「え…あ…あたしは満足してるけど…アンタは満足してないの…?」
棚町「あたしじゃ足りなくなったの…?」
橘「違う違う!」
橘「僕もま…満足してるよ」
橘「そ、そっか…薫が満足してるなら大丈夫だ」
橘「ぼ…僕お風呂入ってくるよ」
棚町「はーい」
棚町「……」
棚町「どうしたんだろ、純一のやつ」
橘「はぁ…」
橘「どうしよう…」
橘「このままでいいのかな…」
橘「僕の勝手な決めつけなのか…」
橘「でも薫は満足って言ってるし…」
橘「まだ早いのかな…」
橘「……」
橘「練習ぐらいしとこかな…」
橘「……」
橘「薫、好きだ、結婚してくれ!」
橘「…普通だな」
――
橘「僕のパンツを洗ってくれないか」
橘「……」
橘「怒られそうだな…」
橘「うーんと…やっぱストレートに言った方がいいかな」
橘「うん、結局はそうだよな最初に戻ろう」
ガラッ
棚町「ねえ純一、あんたもお寿司食べるでしょ、残しとこうか?」
橘「薫!絶対幸せにするから、僕と結婚してくれないか」
棚町「えっ」
橘「え…」
橘「そ、その…これはだな…」
棚町「あ…えっと…」
棚町「お風呂上りビールでいいよね?」
橘「うん…」
棚町「わかった!」
バタンッ
橘「……」
橘「……」ぶくぶく
ザパァ
橘「……」
橘「はぁ…」
―――
ガチャ
橘「……」
棚町「あ…」
棚町「お…お寿司…おいてるからー…ね」
棚町「あ、あたし一人じゃ食べきれなくってさ」
橘「ごめん、買いすぎた、梅原がいっぱいくれたんだよ」
棚町「いいのいいの!そんなこと気にしないから」
橘「……」
棚町「……」
橘(ど、どうする…あんなの聞かれて、何事もなかったように過ごすなんて難しすぎないか!?)
棚町(や…やっぱりあれって…プロポーズ…なの!?)
棚町(純一のやつ本気なのかな…)
棚町(さっきは誤魔化したけど…この空気は…)
棚町(はっきりと聞いちゃったしな…)
棚町(純一と…)
棚町(そ…そりゃあたしだって考えてなかったわけじゃないけど…)
橘(もう言っちゃった方が楽なんじゃ…)
橘「……」
橘(無理だ…)
一週間後
棚町(あれから一週間か…)
棚町(結局あのことに関することは何も聞いてない)
橘「薫、薫ってば」
棚町「えっ、な、なに?」
橘「さっきから呼んでるのにどうしたんだ?」
橘「せっかく今日は外食がいいって薫が言ったから来たのに」
棚町「あ…ちょっと考え事してて」
橘「めずらしいな」
棚町「どうしてあたしが考え事してたらめずらしいのよ」
棚町「あたしだって悩みの一つや二つあるんだから」
橘「例えば?」
棚町「そ、そうね…例えば…」
棚町「どうすればもっと接客が上手くなるのかとか、ちょっとでも安い野菜を買うにはどこのスーパーがいいとか…」
棚町「あとは…」
橘「一つや二つじゃないのか」
棚町「言葉のあやよ、きっちり二つじゃないわ」
棚町「一つ一つ言っていったら日が変わっちゃうわよ」
橘「それは大変だな」
橘「さすがに全部聞いてると時間ないし、一番大きいのは何だ?」
橘「僕に協力できることなら何でもするよ」
棚町「……」
橘「あ、やっぱりちょっとそういうのは言いにくいか」
橘「無理にとは言わないからさ」
棚町「うーん…無理…じゃないけど…」
棚町「また今度でいいかな」
橘「そ、そうか」
棚町「……」
棚町「ごちそうさま」
棚町「なんか、ごめんね、あんまり楽しい食事じゃなくて」
橘「いやそんな…あっ」
橘「じゃあそういうなら僕の行きたいところに付き合ってくれないか」
棚町「うん、いいよ」
駅前広場
橘「……」
棚町「ねえ、こんなとこに来て何かあるの?」
橘「……」
棚町「ねえってば」
橘「か、薫…覚えるか?」
棚町「…何を?」
橘「ここで言ってたよな、その…ずっと一緒に…って」
棚町「ああ…あの時の…」
橘「僕たちは中学校で出会ってさ…」
橘「悪友、相棒、腐れ縁…そんな関係だったな」
棚町「うん」
橘「高校になってさ、僕たちは次の段階…っていうのかな」
橘「恋人になったよな」
棚町「うん」
橘「えっと…ずっと一緒にいるっていうことは今のままでもできなくはないと思うんだけどさ…」
橘「僕としては薫と次に進みたいって思ってる」
棚町「純一…」
橘「一回聞かれちゃったから、改めて言うのはちょっと恥ずかしいけど…」
橘「……」
棚町「……」
橘「ずっと一緒にってのは変わらない、でももっと近い距離で…家族としていてほしい」
橘「薫…僕と結婚してください」
棚町「……」
棚町「バカ…」
橘「え…?」
棚町「前も言ったじゃない…」
棚町「こんなとこで告白されたら、嬉しくても泣けない…って」
橘「うん、それも覚えてる」
棚町「セリフだってぐだぐだじゃない…ちゃんと考えてたの…?」
橘「はは…」
棚町「ほんとバカなんだから…」
棚町「でもアンタみたいなバカな夫には、あたしみたいなバカじゃないと妻は務まらないよね」
橘「薫…」
橘「うわっ」
棚町「……」ガシッ
棚町「純一…あたし、アンタに出会えてほんとによかった…ぐすっ」
橘「僕もだよ」
橘「薫、手を出して」
棚町「うん」
一ヵ月後
棚町「ほら、何やってんの」
橘「そ、その…きききき、緊張…して…」
棚町「まだ自宅から出てすらいないんだけど」
橘「しょ…仕方ないだろ…ふ、震えが止まらないんだもん」
棚町「初対面じゃないんだし、そこまで緊張しなくても」
棚町「堂々として、娘さんをください!って言えばいいじゃない」
棚町「何だったら玄関開けて一言目に」
橘「失礼すぎるだろ」
棚町「緊張をほぐすための冗談よ」
棚町「あ、もうそろそろいい時間よ」
橘「う…うん…」
棚町「あはは、ほんとガチガチじゃない」
棚町「しょうがないわね」
棚町「純一、こっち向いて」
棚町「……」チュッ
橘「あ…」
棚町「あたしがついてるんだから、シャキッとしなさい」
終わり
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アマガミSSありがとういつかでいいのでリサ
ちゃんの妹も出してほしいな
乙!
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