王子様と魔法使い【シャニマスSS】 (18)
以前書いた
王子様と事務所で
王子様と事務所で【シャニマスSS】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526541056/)
と同じく、ユニットごとにプロデューサーがいるという設定です。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1529828373
P「なあ咲耶、もういいだろ?」
咲耶「まだだよ、もう少し待ってくれ。焦る男はみっともないよ、プロデューサー。」
P「お預けにはうんざりなんだよ、いい加減こっちは我慢の限界なんだ。」
咲耶「仕方ないね。もう、トイレじゃあるまいし…はいどうぞ。」
P「おおっ、ありがとう。いやあ待ちくたびれたよ、やっと続きが読める。」
咲耶「まったく。この少女漫画がそんなに気に入ったのかい。」
P「今まで少女漫画は読んだことなかったんだけど、こんなに面白いとは思わなかったよ。最初は話題作らしいから一応目を通しておくかぐらいのつもりだったんだけどな。」
咲耶「そこまでハマるなんて、作者が聞いたら喜ぶだろうね。しかし今更だけどこれ、智代子が持ってきた物だろう。勝手に読んで良かったのかな?」
P「平気だろ。事務所に置いてったんだし、プロデューサーが読んでもいいって言ってたし。」
咲耶「それはアナタにじゃなくて、放課後クライマックスガールズPに言ったんだろう。」
P「俺だってアンティーカのプロデューサーなんだ、同じようなものだろ。それよりじっくり読みたいんだ、少しの間静かにしておいてくれないか。」
咲耶「はいはい、汚さないように気をつけるんだよ。」
P「いや〜面白かった。所々笑わせながら泣かせるツボをきっちり押さえてくるいい作品だったな、ドラマ化されるのも納得だよ。」
咲耶「それのオーディションが次のお仕事か、頑張らせてもらうよ。」
P「脇役とはいえゴールデンのドラマだからな、期待してるぞ。咲耶にピッタリの役柄だしな。」
咲耶「ヒロインをさりげなくフォローするキャラクターだったね。生徒会長で全生徒の憧れの的。スポーツ万能で成績優秀、おまけに気配りも出来て嫌みな所が全くない、か。そんなパーフェクトな人間がいたらお目にかかりたいものだね。」
P「……鏡ならそこにあるぞ。」
咲耶「どういう意味だい?」
P「しかし、少女漫画ってのはよくわからんシチュエーションが多いな。壁ドンだの顎クイだの、こんな事されて嬉しいものなのか?」
咲耶「あれ、やった事無いのかい。」
P「オレは王子様じゃないし、周りにお姫様もいなかったからな。前にもファンの子にやってるの見たけど、咲耶はよくやってるのか?」
咲耶「学校とかではたまにね、頼まれる事も多いから。アンティーカのみんなと遊びに行った時も結華と摩美々相手にやらされたよ。」
P「へえ。そんな事されて嬉しいものかね、男から見たらなんかカツアゲされてるみたいで怖いだけのようにも思えるんだけど。」
咲耶「相変わらず女心が分かってないねアナタは。女の子というのはそういうちょっと怖さや乱暴さを感じるシチュエーションに憧れるものさ。本当の暴力は絶対にダメだけどね。」
P「ふーん。分かるようなイマイチ分からないような話だな。」
咲耶「……じゃあ、試してみるかい。」
P「試すって、壁ドンをか?」
咲耶「ああ。さっき言ったように、私は慣れてるからね。お試し相手ならちょうどいいだろう。」
P「いや、お遊びみたいなものとはいえアイドルにそんな事させるのはさすがにちょっと。」
咲耶「今更だよ。さっきは女の子の気持ちを理解する為に少女漫画を読んだんだろう、どうせならとことんやるべきじゃないかな?」
P「う、うーん。」
咲耶「ほら、早くしないとはづきさんが起きるか他の子達が来るかもだろう。そうなったらもう試す機会は無いかもしれないよ?」
P「まあそうだけど。でも咲耶はいいのか?」
咲耶「どうってことないさ、アナタならむしろ大歓迎…」
P「え?」
咲耶「い、いや。とにかく、私は気にしないから。」
P「そうか。せっかくだしお願いするかな。」
咲耶「ああ。じゃ、そこの壁がいいだろう。ほら、立って立って。」
P「はいはい。たく、変な事に張り切るんだな。」
P「……」
咲耶「何をしてるんだい?そんな所に立って。」
P「何って、壁ドンしてくれるんだろ。」
咲耶「いや、私がやってもしょうがないだろう。アナタが私にするんじゃないか。」
P「あ、そういう意味だったのか。すまん、慣れてるっていうからてっきり。」
咲耶「まったく。ほら、場所代わって。」
P「ふむ、こういう感じか?」
咲耶「そうそう。腕はもう少し上に…うん、いい感じだよ。」
P「なんか近くないか?」
咲耶「これぐらい普通だよ。でもいつもと立ち位置が違うから何か新鮮な感じがするね。」
P「咲耶はする側だもんな。」
咲耶「ああ。それに目線がね。たいてい見下ろす感じになるけど、アナタは私と背の高さがほとんど同じくらいだから。」
P「なるほどな。何にせよありがとう、貴重な体験が出来たよ。それじゃあ。」
咲耶「まだだよ」ガシッ
P「うわ、腕掴むなよ…何がだ?」
咲耶「こんな事する時は気の利いたひとことぐらい言ってあげるのがマナーというものさ。ただ黙って迫るだけじゃ、なんの為にこんな事したか分からないだろう。」
P「いや、何もそこまでしなくても。」
咲耶「さっきから言ってるだろう?どうせやるなら徹底的に、だよ。」
P「分かった分かった。えーと…」
P「咲耶。これからも一緒に、トップアイドル目指して頑張ろうな…」
咲耶「……その台詞自体は悪くないと思うんだけど。こういう状況でいう事かな?」
P「し、仕方ないだろ。急に言われても思い付かないんだよ。」
咲耶「これじゃあ合格点はあげられないな、もう一回。」
P「ええ?もういいだろ。」
咲耶「駄目だよ、やりたいと言い出したのはアナタだろう?ほら、頑張って。」
P「しょうがないな。ええっと…」
P「もう離さないからな。お前をオレだけの物にしてやる…」
咲耶「…………ぶふっ!」
P「おい。」
咲耶「す、すまない。アナタが真面目な顔してそういう台詞を言うの見てたらなんだかおかしくなっちゃってつい…あ、あはは!」
P「お前なぁ。散々やらせておいてそれは無いだろ。」
咲耶「ごめんごめん、本当に悪かった。もう一回だけお願い出来ないかな?」
P「またかよ。まあ、さすがにこれでおしまいじゃこっちもいい気はしないけど。」
咲耶「だろう?さ、よろしく頼む。」
P「よーし。じゃ、もう少しきちんと立ってくれ。行くぞ……」
(ガチャ)
智代子「プロデューサーさん、早く早く。急がないとせっかく買った限定チョコアイスが溶けちゃいますよ。」
放課後クライマックスガールズP(以下別P)「落ち着いて。大丈夫、ちゃんとドライアイス入れてもらってるから…」
咲耶&P「………」
智代子&別P「………」
P「………よう、お疲れ。」
咲耶「お疲れ様智代子。トークイベントは終わったのかい?」
智代子「わ、私は何も見ませんでしたから!」ダッ
咲耶「あ、待って!」
智代子「なんにも見てませんから!私まだ、そういうの分かんない年頃ですから!」
咲耶「いや私と一つしか違わないだろう…じゃなくて!違うから、誤解だから!」
別P「…そういうの良くないですよ、先輩。いくら好きだからって事務所で白昼堂々。はづきさんだっているし、まして相手は担当アイドルですよ?」
P「いや、これはそういうのじゃなくてだな。その、ちょっとしたお遊びみたいなもんで。」
別P「うわ出たよ。それ、まんまπタッチをスキンシップとかコミュニケーションなんて言ってるセクハラオヤジですからね。」
P「親愛度が高いと平気になるだろ!」
P「…はあ、とんだ目に遭った。」
咲耶「災難だったね。まあ誤解は解けたから良かったじゃないか。」
P「これからは軽はずみな事は言わないようにするよ。」
咲耶「ふふっ、よっぽどこたえたと見えるね。」
P「他人事みたいに言うなよ。そりゃ言い出したのはこっちだけど、咲耶の悪ノリも原因なんだからな。」
咲耶「分かってるよ、お詫びは必ずするから。」
P「仕事で返してくれればいいけどな…まあ、やっぱりオレにこういうのは向かないと分かっただけでもよしとするか。」
咲耶「あまり自分を卑下するのは関心しないね。女の子は誰でもお姫様になれるけど、同じように男性が王子様になる機会だってもあるだろう。」
P「オレは王子様って柄じゃないよ。強いて言うなら魔法使いだな。」
咲耶「え……そうなのかい?」
童貞なのか
P「ん、どうかしたのか?」
咲耶「い、いや。急にそんな事を言われてちょっと驚いただけさ。私は気にしないけど、他の子にはなるべく言わない方がいいよ?」
P「そうか?まあたしかにちょっとクサイい言い方だったかもな。」
咲耶「そ、そうだね…」
P「?」
咲耶「プロデューサー。謙虚なのはアナタの良い所だと思うけど、そこまで行くと自虐になってしまうよ。大丈夫、アナタは見た目もそこまで悪くないし、性格もいいから必ずいい相手に巡り会えるさ。」
P「…その魔法使いじゃねえよ!プロデューサーはそういうものだってよく言うだろ!!」
咲耶「え?あ、ああ違うのか。すまない、てっきりそっちの意味かと。」
P「いきなり担当アイドルに下ネタぶちかますって、とんでもないセクハラだろ。しかし咲耶もそういうの知ってるんだな。」
咲耶「女子校にいると、どうしても耳に入っては来るからね。」
P「外で口に出すなよ?お前が下ネタ喋ったりなんかしたら、ショックで寝込むファンが続出しかねん。」
咲耶「もちろんさ、私に何が求められているかは分かってるつもりだからね。」
P「ならいいけどな。はぁー、それにしても打ち合わせ前だってのにどっと疲れた。霧子と恋鐘はまだかな。」
咲耶「メッセが来てたよ、あと一時間くらいだそうだ。お詫びと言っては何だけど、その前に珈琲でもどうかな?」
P「お、淹れてくれるのか。頼むよ。」
咲耶「ああ……ところで。」
P「ん?」
咲耶「さっきの話だけど。アナタにも恋人がいた時期があったのかい?」
P「一応はな、すぐフラれたけど。言っとくけどそれ以上はノーコメントだぞ。」
咲耶「あまり思い出したくないって事かな。」
P「担当アイドルに得意げにベラベラ喋るような話でもないってだけだよ。」
咲耶「それもそうか。なんか、今日は色々ゴメン。」
P「気にするなよ、王子様の暴走に付き合うのも魔法使いとしての役目なんだから。」
咲耶「おっと、そう来るか。」
P「はは。ところで珈琲はまだなのか、王子様?」
咲耶「はいはい、ちょっと待っててくれ…あ、そうそう。」
P「ん?」
咲耶「私はたしかに王子様だけど。お姫様にしてくれるのを待ってもいるんだよ、魔法使いさん。その時は、アナタに王子様になってもらうからね。」
P「え?おい、それはどういう…」
咲耶「あ、霧子から電話だ。すまない、珈琲はもう少し待っててくれ。もしもし?」
P「今日はなんなんだよ、本当に……」
終わりです。
おつおつー
乙
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