※あずきバーの固さの解釈違いが許せない人は注意
「プロデューサーさんあの……」
「はい?」
困り顔のちひろさんが、俺のデスクにやってきた。言いたいことは大体想像がつくが……
「冷蔵庫の冷凍室にあずきバーがパンパンに詰まっているんですが……」
まぁ、そうだろうな。
事務所の大きめの冷蔵庫に詰められるだけのあずきバーを突っ込んだのだ。何も知らない人が冷凍室を開ければギョッとすること間違いなしだ。
「セールだったんで、つい買っちゃいました」
「いくらなんでも多すぎですよ」
「アイドル達が食べればすぐですよ」
そう、この大量のあずきバーはアイドル達にあげるためのものなのである。
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ガチャ
「ただいま」
「お疲れ様です。凛ちゃん」
早速、凛が仕事から帰ってきた。
それではあずきバー大作戦といきますか……
冷蔵庫から、あずきバーを取り出す。
「お疲れ凛。ちょっとこっちに来てくれないかな」
「どうしたの、プロデューサー」
「今日暑かっただろ? ほら、アイス」
「うん、ありがと。えっと、あずきバー?」
「セールやってたんだよ」
「ふーん。暑くてもまだ夏前だから安いのかな?」
ソファーに腰掛け、袋からあずきバーを取り出して口元に運ぶ凛。
ガンッ
「……固っ」
(かかったなッ!)
そう、あずきバーはとてつもなく硬いのだ!ほかのアイスと違い、噛み砕いて食べることができない程に!
そうなれば食べ方は自ずと決まってくる!
ぺろっ
「あずきバーって固いんだよね」
そう言って、凛はあずきバーをぺろぺろ舐め始めた。
「はむっ……」
今の食の柔らかブームでは使わないであろう舐めるという行為。慣れない舌の動きで必死にあずきバーを柔らかくしようとする凛。
事務所は外と違って涼しい温度だ。そう簡単にあずきバーは食べられないぞ。
「えっと……プロデューサー」
「どした?」
「なんでこっち見てるの? 仕事したら?」
凛はなんだか恥ずかしそうに、あとちょっと怒っているような表情だ。
「すまん、すまん」
クルリと椅子を回す。
でも使ってない方のパソコンの黒い画面が鏡のようにそっちの様子が見えちゃうんだよなぁ。
見られているのに気がついた凛は遠慮がちに、ほんの少しだけ舌を出して、ちろちろとアイスを舐め始めた。
恥ずかしそうに、見られていないか視線を時々、俺の方に向けながらアイスを舐める凛。
移動すればいいのにと思ったが、凛的には意識しすぎていると思われるのも嫌なのかも。
いつもクールでガードが固い凛だが、あずきバーの固さには敵わなかったようだな。
これぞあずきバー大作戦。
どんなアイドルでも、このアイスは舐めるか咥えるかでしか食べられない。その様子を楽しもうという、我ながら悪趣味なプランである!
(冷蔵庫だと溶けね?)
「あの、プロデューサーさん」
呆れるような表情でちひろさんがこちらを見ていた。どうやら目論見に気がついたらしい。
「まあまあ、ちひろさんもどうぞ。あずきバー」
あずきバーを受け取ったちひろさんはハァとため息をついて
「……仕事はちゃんとしてくださいね」
と言ってデスクに戻っていった。
どうやら許していただいたようだ。別に悪いことをしているわけじゃないからな。アイスを配っているだけだし。悪い考えは持っているのは確かだが……
でも止めない。なぜなら、1万円をすでに使ってしまったから!
もう後には引けぬのだ!
>>5
冷蔵庫の冷凍室だから大丈夫、のはず
昔に比べあずきバー柔らかくなった気がする
そのうちあずきバーを凶器にした事件起きそう。証拠隠滅簡単だしナー
「次は誰かな~」
あずきバーを舐めながら考える。
「やっほー★ プロデューサー」
こんどは美嘉がやってきた。美嘉といえばカリスマ……
カリスマがあずきバーに苦戦する姿を想像して、しめしめと次のターゲットを決定する。
「あ! あずきバー食べてんの?」
「あぁ。美嘉も食べる? これ」
「え、えぇ!? ダメだって! プロデューサー、口つけてるじゃん! 間接キスじゃん!」
そう言って顔を真っ赤にするカリスマJK。
早とちりが過ぎるぞー。
「いや、冷蔵庫にいっぱいあるから」
「へ?」
冷凍室オープン。うん。三本減っただけじゃ全然見た目が変わらない程にパンパンだ。
「新しいのがあるなら言ってよ!」
顔を真っ赤にして抗議する美嘉。
あずきバーなくてもカリスマが危ういんですが……
「なんか、多くない? 何本あるの、これ?」
「百本以上はあるな」
「えぇ……」
さっきまでの照れ顔は息を潜め、軽く引いてるご様子。よしよし、カリスマを維持したまま、あずきバーに臨んでもらおうか。
「じゃあ、遠慮なくいただくね★」
ガンッ
「痛……これちょっと固すぎるんじゃ……」
それは俺も食べながら思った。でも今回はそれがいいのだ。
「固いから舐めて柔らかくするしかないんだよなぁ」
ぺろっとわざとらしくアイスを舐める。
「あははっ。プロデューサーがアイスをぺろぺろ舐めてるのなんだかおかしいね」
反応したなッ! その言葉を狙っていた!
「そう? そんじゃあ、カリスマJKの美嘉さん、舐める以外の上手いあずきバーの食べ方教えてくださいな」
「え、えぇ!? 舐める以外で……?」
茜ちゃんに投与したい
舐める以外となるとこれはもう一つしかない。
「あ……あ──む」
あずきバーを一気に咥える美嘉。
「ん……んむ……はぁ、あむ」
あずきバーの冷たさで顔をしかめつつも、必死に柔らかくしようとするカリスマJK。
「ん……これ、全然固いまんまだよ……はむ」
これはちょっと絵面的にマズイのでは……?
「あの、すんません。こっちが悪かったです。普通に食べて頂いて結構です……」
「え。 な、何? なんで引いてんの!?」
「いや、なんかエッチすぎたんで……」
「はああぁ!? アタシの食べ方ってそんな感じだったの!? もー、プロデューサーのせいだからね!」
美嘉は顔真っ赤にしてそのまま回れ右で逃げてしまった。
カリスマの威厳は保てたのか、ブレイクしたのか……判断に困る結果となってしまった。
歯の立て方のコツを掴むとサクッと割れるようになるよね、あずきバー
というか、ガチ凍りしたあずきバーなんて舐めたら舌貼りつくんじゃ……
専用のかき氷機出てるぐらいですしね
前歯部の連中ならガリガリやりそう
あと桃華に「こんなに大きいのははいりませんわ」とか(ry
あずきバーと雪見だいふくでクリームぜんざいにする子とか居そう
茜「美味しいですねえ!程良く軟らかくて!」
持ってるだけでどんどん溶ける
「さーて、あずきバーはまだまだあるんだ。どんどん投与するぞー」
休憩時間にあずきバーを持ちながら、事務所内をウロウロ歩き回る変態がテラスで次なるターゲットを見つけた。
「時子様」
「あぁん?」
そう、時子様である。
女王キャラクターの圧倒的な隙のなさは事務所の中でもかなりの上位に食い込んでくる。
そんな時子様のあずきバーをぺろぺろ舐める姿は、やはりこの目で見なければなるまい。もはや興味関心ではなく一種の義務感すら感じる。
「あずきバーでございます」
この夏と間違えるほどの暑さだ。
あずきバーを突然渡されてもそう変に思ったりしないはずだ。
「……気がきくじゃない。頂くわ」
袋からあずきバーを取り出し口に運ぶ時子様。さあ、見せていただきましょう!
ガンッ
「…………チッ」
ふふふ……残念ながらあずきバーを通常のアイスと同じように扱うことはできない。
その時だった。
グググググ…………
とてつもない圧。圧倒的顎力。響くアイスの悲鳴。
バキイィッ!
あずきバーが……砕けた。
「なん……だと……」
「さて……そこの豚は何を期待していたのかしら」
「い、いえ……何も」
バキバキとあずきバーを噛み砕く音が聞こえてくる。ていうか、食べ物を噛む音じゃあないぞこれ。冷静に考えたら、あずきバーってこんなに固かったっけ?
「躾が必要のようね……」
(死んだわ俺)
このあとめちゃくちゃ躾られた。
時子様に躾てもらえたならおっけーだな
あずきバーを献上するだけで躾けてもらえるとか時子様優しすぎぃ!
アイスじゃなくて時子様を舐めていた。
まさかあそこまでのパワーとは……
方向性を変えよう。
ギャップを見るんじゃなくて、純粋にアイスを可愛らしく舐めているのを眺めてみよう。時代はほのぼの系だよ。
そんなことを考えていたら机の下にいる乃々発見。
「乃々ー、アイス食べるか?」
「あ、プロデューサーさん……アイスですか、いただきます……」
冷凍室からあずきバーを一本持って机の下へ。
「ほいよ」
「あ、あずきバーですか」
袋からあずきバーを取り出して齧り付く乃々。
ガンッ
もはやお約束となったこれだが、なぜみんな最初は噛もうとするのだろうか。
「これ、森久保には無理なやつですね……」
スッ
袋に戻しやがったッ!
パワフル過ぎるのもダメだけど、ダウナー過ぎるのもダメというわけか……
ならば次なる作戦だ!
「乃々、食べないのか? じゃあ俺がいただくぞー」
乃々が戻したアイスをいただこうとする。
「へぇえ!? ダメです! 無理です!」
バシィッ!
顔真っ赤にして慌てて俺からあずきバーを取り返す。
「でも乃々は食べないんだろ?」
「うぅ……た、食べます……食べますからぁ」
俺に食べさせまいと涙目になって小さな舌でアイスを舐める乃々。
「はむ……うぅ、全然柔らかくならないんですけど……」
時々アイスを齧ってみて硬度を確認しては、またアイスを舐める。
俺が見ていると気づくや否や、アイスの棒を大事そうに両手で握り、キュっと自分の方へアイスを寄せて、俺に取られまいとする。
「ううぅ、見ないで欲しいんですけど……食べるときは一人で静かに食べたいので……はむはむ」
なんかどっかで聞いたようなセリフを……
あずきバーを舐め始めてしばらくして、ようやく完食したようだ。
「ん……ようやく、食べ終わりました」
「おつかれ。棒はもういらないだろ? 捨てておくよ、ほら」
そう言うと、棒を大事そうに握ったまま森久保は目を逸らしたまま、なにかを警戒するようにジトーっとした目つきになった。
「乃々?」
「だ、ダメです……プロデューサーさんは変態さんなので……棒を捨てるとは限らないので、これは森久保が厳重に保管して廃棄します」
「……え? なんて?」
「で、ですからこれは森久保が──」
「その前!」
「へ? プロデューサーさんは変態さんですから──」
「もう一回!」
「絶対聞こえてるんですけど! 変態って言われて喜ぶなんて変態なんですけど……!」
「ありがとう……お礼にあずきバーをもう一本あげるよ」
「ひいいいぃぃ! あずきバーはもうこりごりなんですけどぉ!」
ネタ切れなので終わり
残ったあずきバーは全部プロデューサーが食べました。
おつお
おつー
礼子さん辺りは普通に棒を引き抜いて軽く叩いて潰した後に皿に移してスプーンで食べたりしそうだな
さえはんにあげたらどんな反応するのかちょっと気になる
うちの親父あずきバーで歯欠けてたな
桃井のあずきさんにあげてほしい
乙だがこのネタであずきにあげないまま終わりとは思わなんだ
井村屋だっているのに
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