ヴィーネ「花火をするわよ!」 ガヴ「待って」 (24)


ヴィーネ「え?」

ガヴ「いや、なんで今冬なのに花火なのかとか、なんでそんなに大量の花火セット持ってるのかとか色々言いたいことはあるんだけどさ」

ヴィーネ「うん」

ガヴ「まずここ、私の家の中なんだけど」

ヴィーネ「うん」

ガヴ「……」

ヴィーネ「……」



ヴィーネ「……」スッ

ガヴ「やめろ無言で火を点けようとするな」ガシッ





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ヴィーネ「止めないでガヴ! 私は花火がしたいの!」ジタバタ

ガヴ「いやそれは別にいいけどせめて家の外でやれよ!」

ヴィーネ「え、なんで!?」

ガヴ「なんでは私のセリフだよ! 私の家を燃やす気か!」

ヴィーネ「違うわよ! 私はガヴの家を燃やしたいんじゃなくて家の中で花火がしたいの!」

ガヴ「同じだよ! 動機は違えど結果は火事一択だよ!」

ヴィーネ「嫌だーー!! 打ち上げ花火やりたいーー!!」

ガヴ「しかもよりによって打ち上げ花火かよ! 天井を破壊する気か!」

ヴィーネ「うわーーーん!!」

ガヴ「あーもう! とにかくこの花火は没収!」バッ

ヴィーネ「あっ……」




ヴィーネ「うぅ……」シュン

ガヴ「ったく……なんで急に花火やりたいなんて言い出したんだよ」

ヴィーネ「そこに花火があったから……」

ガヴ「なんだその登山家みたいな発想……大体、なんで花火セットなんか持ってるんだよ」

ヴィーネ「安かったから……」

ガヴ「安けりゃなんでもいいのか」

ヴィーネ「だってこんなに大きくて1パック800円なのよ! お買い得じゃない!!」

ガヴ「いや、そんなスーパーの惣菜みたいなノリで言われても困るんだけど」

ヴィーネ「こんなに安かったら、これはもう、花火らなきゃ失礼……そう思ったのよ」

ガヴ「なんだよ花火るって」

ヴィーネ「花火をするって意味よ」

ガヴ「いやそれは分かるけどそうじゃなくてだな」


ヴィーネ「とにかく! 私は花火をしなきゃいけないの! これは運命なのよ!」

ガヴ「うん。別にそれは好きにしていいから、お願いだからその運命に私を巻き込まないでくれる?」

ヴィーネ「嫌よ! 私1人で花火なんて寂しいじゃない!」

ガヴ「そうだな。じゃあサターニャあたりと一緒にやっててくれ」

ヴィーネ「私はガヴとやりたいの! あなたの事が好きだから!」

ガヴ「すごいな。こんなに嬉しくない好意は生まれて初めてだ」



ヴィーネ「うおーー!! Yes we can 花火!!」

ガヴ「はぁ……なんで今日のヴィーネはこんなにテンション高いんだよ。疲れる……」

ラフィ「それについては私が説明しますね」

ガヴ「おう。さも当たり前のように会話に混ざってきたけどどっから入ってきた」


ラフィ「もちろん、窓からです♪」

ガヴ「そうか。頼むから玄関使ってくれないかな。鍵開いてるんだし」

ラフィ「だってそれじゃあ面白くないじゃないですか」

ガヴ「面白さのためにうちの窓ガラスを切り取ったのかお前は」

ラフィ「ああ、それでヴィーネさんのことなんですが……」

ガヴ「何事も無かったかのように説明始めてるけど、窓ガラスは後で弁償して貰うからな?」

ラフィ「実はサターニャさんの持っていたテンションがHighになる薬を、ヴィーネさんが飲んでしまったんですよ!」

ガヴ「うん、どっからツッコめばいいのか分からんが、まずなんでそんな薬持ってんだよあのアホ悪魔は」

ラフィ「それはもちろん、魔界通販です♪」

ガヴ「だよね。知ってた」


ラフィ「それで、サターニャさんはそのHighになる薬を飲んで学校の課題を終わらせようとしたんですが、間違えて……」

ガヴ「ヴィーネの飲み物に混ぜちゃったとか?」

ラフィ「いえ、町の浄水場に」

ガヴ「なんでだよ! もはやテロだろそれ!」

ラフィ「その日はたまたま浄水場に行く用事があったそうで、それでうっかり……だそうです」

ガヴ「浄水場に行く用事ってなんだよ……」

ラフィ「さあ」

ガヴ「はぁ……まあいい、それでヴィーネは薬が混ざった水を飲んだってことだな?」

ラフィ「はい。それはもうゴクゴクと。なので今のヴィーネさんは超ハイテンション状態なんです」


ヴィーネ「今日の私は無敵よ!! ファイヤーーー!!」ビシッ

ガヴ「それであんな変なポーズしてるのか……理解した」

ラフィ「そうですねー。あの分だと、薬の効果はあと2時間くらいと言ったところでしょうか」

ガヴ「そうか。……なあラフィ」ポン

ラフィ「なんですか?」



ガヴ「ヴィーネが元に戻るまでラフィの家で預かっててくれない?」ニコッ

ラフィ「嫌です♪」ニコッ




ガヴ「いやいや、あの状態のヴィーネとあと2時間一緒とかほんと無理だから。お願いしますよラフィエルさん」グググ…

ラフィ「いえいえ、ヴィーネさんと仲良しなガヴちゃんならきっと大丈夫です。自信を持ってください」グググ…

ガヴ「いやいや、ラフィだってヴィーネと一緒に仲良くカフェ行ってたりしてたじゃん。ね?」グググ…

ラフィ「いえいえ、私はガヴちゃんほど深い仲ではありませんから……それより良いんですか? 今のヴィーネさんを放ったらかしにしていて」グググ…

ガヴ「え?」

ヴィーネ「うおーーー!! 瓦割り!!!」バッ

ガヴ「ちょっ!? 待ってそれ瓦じゃなくて私のPC!!」




ヴィーネ「こんな、こんな物があるからガヴはーーーー!!!」

ガヴ「やめて!! 壊れる!! 壊れるから!!」ドンッ

ヴィーネ「きゃあっ!」ドサッ

ガヴ「はぁ……はぁ……危なかった……」

ヴィーネ「……ぶったわね」

ガヴ「え?」

ヴィーネ「ぶったわね! ちゃっぴーにもぶたれたことないのに! うわぁぁあああん!!」ビエーッ

ガヴ「あーもー! なんなんだよもう次から次へと! 泣くな!」

ラフィ「ふふ、流石ガヴちゃん。ヴィーネさんと息ぴったりですね♪」

ガヴ「うっさい! これが息ぴったりに見えるなら眼科に行け!」


ヴィーネ「うぅ……愛を、愛をください……」シクシク

ガヴ「あー……突き飛ばしたのは悪かったからさ、そんな泣くなって」ナデナデ

ヴィーネ「ナデナデ貰いました!! 愛のチャージ完了です!!」バッ

ガヴ「復活早過ぎだろ」

ヴィーネ「月乃瀬=ヴィネット=エイプリル、愛と勇気とガヴだけが友達です!!」ビシッ

ガヴ「そうか。もっと友達が増えるといいな」

ラフィ「……」ナデナデ

ヴィーネ「ラフィも友達です!!」ビシッ

ラフィ「うふふ♪」ニコニコ

ガヴ「ナデナデ基準かよ」




ヴィーネ「なんのためーにーうーまれてー♪ なーにをしーてーコスタリカー♪」ルンルン

ガヴ「なあ……本当にこれがあと2時間も続くのか? もうそろそろ限界なんだけど」

ラフィ「大丈夫、限界を越えた先に新しい世界が見えるはずです! 頑張ってください!」

ガヴ「私に見えるのはこの部屋が崩壊する未来だけだけどな」

ラフィ「うーん、でも確かにガヴちゃん1人でヴィーネさんの相手をするのはちょっと大変かもしれませんね」

ガヴ「そうだな。出来ればもっと早く気付いて欲しかったよ」

ラフィ「という訳で、そんなガヴちゃんに心強い助っ人を呼んできました!」

ガヴ「助っ人?」

ラフィ「はい♪ こちらの……」



ラフィ「『テンションを元に戻す薬を飲み過ぎて逆にものすごくローテンションになってしまったサターニャさん』です!」

サターニャ「はぁ……何もしたくない……ダルい……魔界に帰りたい……いっそ土に還りたい……」ブツブツ

ガヴ「おいやめろこれ以上私の家に面倒ごとを持ち込むな」




ラフィ「これでガヴちゃんとサターニャさん、2人で協力すれば2倍早く解決出来るはずです! やりましたね!」グッ

ガヴ「むしろ今この瞬間から解決すべき問題が2つに増えたけどな。お前のせいで」

サターニャ「呼吸するのが辛い……未来に希望がない……寝て起きたら世界が滅んでたりしないかしら……」ブツブツ

ガヴ「つーかどうするんだよこれ。いつぞやの飴のときより酷いぞ」

ラフィ「はい。今のヴィーネさんはテンションがハイな状態なので、テンションがローなサターニャさんと合わせれば丁度良くなると思ったんです」

ガヴ「なんだその砂糖が多かったら塩をかければいいみたいな発想。絶対失敗するだろ」

ラフィ「まあまあ、物は試しです♪ えいっ」トンッ

ガヴ「あ」

サターニャ「あうっ」ドサッ



サターニャ「……」

ヴィーネ「あ、サターニャ! こんにちは! 今日はいい天気ね!」

サターニャ「……ラフィエルに突き飛ばされた……そう……あいつにとっても私は邪魔な存在なのね……当然よね……こんなダメ悪魔なんて……」ブツブツ

ヴィーネ「あれれー? 返事が聞こえないぞー? もう一度、こーんにーちはー!」

サターニャ「……ああ、ヴィネット? 居たのね。ごめんなさい、気付かなくて……」

ヴィーネ「はーい! ヴィネットです! ねぇサターニャ、花火をしましょう!」

サターニャ「花火……? 花火なんて無いじゃない……そう……ヴィネットまで私をからかうのね……」

ヴィーネ「あら? もしかして、花火は嫌だった?」

サターニャ「ほら……笑いなさいよ……このみじめなゴミクズを……ふふ……」


ヴィーネ「うーん、それじゃあ、歌を歌いましょうか! 楽しいわよ!」

サターニャ「歌……鎮魂歌……?」

ヴィーネ「ううん、もっと楽しい歌よ! ね、ちょっとだけでいいから!」

サターニャ「……良いわ……せいぜい……私の壊滅的な歌声に絶望すればいいのよ……」

ヴィーネ「オッケーd(^_^o) それじゃあ行くわよ!せーのっ、わーたしたちー♪」

サターニャ「好きなことーだけーしてー……生きていけるほど甘くないわよね……分かってたはずなのに……」

ヴィーネ「あなたもれっとーれっつとらい♪」

サターニャ「ドロップアウトー……したい……現世から……」

ヴィーネ「はいっあくのみちこそわれらのー♪ はいっそんざいいぎのはずでしょー♪」

サターニャ「はい、今日も迷惑かけてます……ごめんなさい……生まれてきてごめんなさい……」



ガヴ「おいどうするんだこの地獄絵図」

ラフィ「本当ですね。どうしてこんな事になったんょう」

ガヴ「お前のせいだよ」


ラフィ「いえ、ここはガヴちゃんの家なので一切の責任はガヴちゃんに帰属します」

ガヴ「おい」

ラフィ「というかもうああなったら間に割り込むのは無理ですよ! 何なんですかあの混沌空間!」

ガヴ「知るか! 何逆ギレしてんだ! お前が何とかしろよ!」

ラフィ「嫌です! 私はもう帰りますから!」ダッ

ガヴ「ふざけんな逃すか!!」ガシィッ!

ラフィ「うぐっ」

ガヴ「こうなったらお前も道連れだ……覚悟しろラフィ」



ラフィ「……し、仕方ありませんね。こうなったら最終手段です」

ガヴ「なんだよ最終手段って」

ラフィ「それは……」



ラフィ「……薬の効果が切れるまで、2人で見守りましょう」

ガヴ「……最初からそうしろよ」



ヴィーネ「ぜんりょくでわるぶってます♪ かしこっ♪ いぇいいぇーい♪」

サターニャ「大悪魔だった私は死んだ……今の私は……そう……DIE悪魔……」ブツブツ





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





ヴィーネ「本っ当にごめんなさい!!」バッ

ガヴ「いや、良いって。そんなに謝らなくても」

ヴィーネ「で、でも、私ガヴの家でとんでもないことしようとしちゃったし……」

ガヴ「それは薬のせいだから仕方ないでしょ。結局何もなかったし、ヴィーネは悪くないよ」

ヴィーネ「ガヴ……」

サターニャ「そうよね! 薬のせいだから仕方ないわよね!」

ガヴ「お前は少しは反省しろ」ガシッ

サターニャ「あだだだだだっ!!」メキメキメキ…

ラフィ「でも、本当に何もなく終わってよかったですね。何度か危ない所はありましたが……」

ヴィーネ「本当にね……なんでガヴの家で花火なんてしようとしたのかしら……」


ラフィ「あ、そう言えば、この大量の花火どうします?」

ガヴ「どうするって言われてもなー……私は要らんぞ」

ヴィーネ「一応私が責任持って持ち帰るけど、来年の夏までとっておいたら湿気ちゃいそうね……」

サターニャ「はいはーい! それなら今度みんなで花火をしましょうよ!」

ガヴ「冬に花火って……季節外れにも程があるだろ。寒いし」

ラフィ「いいじゃないですか。寒空の下でやる花火も、中々オツなものかもしれませんよ♪」

ヴィーネ「まあ、私は花火が無駄にならないなら嬉しいけど……ガヴは嫌なら参加しないでおく?」

ガヴ「……いや、まあ行くけどさ」

サターニャ「決まりね! 今夜は花火大会よ!」

ガヴ「今度って今夜かよ」


サターニャ「クックック……我がデビルズファイヤーの妙義、見せてあげるわ!」

ガヴ「あーはいはい。もう好きにしてくれ」



ピンポーン



ガヴ「ん?」

ヴィーネ「誰かしら。ちょっと見てくるわね」

ガヴ「あー頼んだ」

ラフィ「そこは自分で行かないんですね」

ヴィーネ「はーい。今行きまーす」スタスタ




ガチャッ



タプリス「ひゃっはーー!! 汚物は燃えるゴミです!! 天真先輩!! 一緒にマフラー教を広めましょう!!」ズバァァアアアン

黒奈「一人ひと巻き青マフラー……全人類総千咲化計画始動……!」ドギャァァアアアン



ガヴヴィネサタラフィ「…………」





ガヴ「……あー……そう言えば、サターニャは浄水場で溢したんだっけか……」



ガヴリール達の戦いは続く──!     -完-


ハイテンションなSSが書きたくて突っ走りました。ヒャッハー

HTML化依頼出してきます。

こういうハイテンションギャグ大好き


結構好きだな

おつ

「全人類~」は黒猫のウィズネタかな?

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