俺の名前は万丈龍我!
葛城巧殺害の罪を何者かに被せられた俺は、自分の冤罪を晴らすために政府の目から逃れようとした。逃亡中に正体不明の怪物、スマッシュに襲われるところを戦兎に助けてもらったんだが、そのまま逃亡生活を過ごすはめになっちまった。
事件の真相を隠すために香澄を利用し、スマッシュにしたファウストが許せなかった俺は、生身の身体とこのドラゴンフルボトルを使い、ビルドと共にスマッシュと戦ってた。
そしてなんやかんや色々あって、遂に仮面ライダーに変身し、コウモリ野郎とスマッシュ(…紗羽さんだったけど)をぶっ飛ばしてやったんだ!
そんな俺に戦兎から話があると聞いて一人で待ってるんだが、一向に来る気配もねえ!
ったく相変わらずマイペースな奴だ…と思いつつマスターが久しぶりに淹れてくれた不味い珈琲をあおる。うん、今日も一段と不味い!
もう二度と飲みたくねーなーと、飲んだカップを荒くテーブルに置く。
戦兎を待つのに痺れを切らした俺は、遅いと怒鳴ってやろうと研究室に向かったんだ…その時、自分を止めていれば、あんなことは起きなかったのに…
俺はそこで起きた出来事を、絶対に忘れない。
そう、絶対に。
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龍我「うわっ、なんじゃこりゃ!」
研究室の有り様はひどく、実験が失敗したのか?とからかおうと考えたが煙がひどくなにも見えない。
龍我「おい戦兎!美空!大丈夫か?」
返事もない。妙だと感じたが、きっとボトルのことだ、慌てることもないなと落ち着いて辺りを見渡すが、誰もいない。
龍我「どういうことだよ…ん?」
目を凝らすと煙の向こうに人の姿がうっすらと見えた。ははーん、俺を驚かせようとしてんのか?たちが悪い上に手のこんだイタズラだぜ。
龍我「おーい!もういいから出てこいよ!いるんだろ!姿が見えてんだよ!」
煙が晴れるのも待たずに強引にその影を追う。さあ、正体見せやがれ!なんてな。
龍我「捕まえた!…ってこの感触は…」
その手に触れた瞬間、心が昂った。戦兎でも、美空でも、ましてやマスターでもない。この暖かい感じは…
龍我「香澄…?」
そこには龍我の愛した女性、香澄の姿があった。
香澄?「…」
龍我「なんで…お前が」
香澄…と思われる女は一言も喋らずじっと俺の目を見ている。
龍我「夢…これは夢なのか!?目の前に香澄が…こんな、こんなことって…」
香澄?「…」
龍我「なあ、なんとか言ってくれよ!どうしてお前がここに…いや、そんなことはどうでもいい!俺のせいでお前をひどい目に合わせ…」「龍我」
頭の中が真っ白になって、なんとか出てきた俺の言葉を彼女は遮る。
香澄?「あなたが私に伝えたいことは分かってる。けど、今は後にしてほしいの。」
香澄?「ほら、とりあえず涙ふいて」
龍我「え?あ、ああ」
指摘されてから、自分の目から流れていた涙に気づき、顔を拭う。
香澄?「私もあなたに伝えたいことはたくさんある。でもここじゃすべては無理、そんな時間はないの。だから本当に大事なことだけ言うね」
龍我「おお!どんとこい!」
泣いて赤く腫れた目で、彼女を見る。彼女への自分の気持ちをぐっと抑え、彼女の言葉に耳を傾ける。
香澄?「まずは…辛い思いさせてごめんなさい。おかげであなたは大変な目にあってしまった」
龍我「そんな…なんてことねえよ!…お前に比べたら俺なんか…」
俺なんかのためにどれだけ苦しい思いをしてきたか。言われなくても痛いほど分かっている。
香澄「それから…化物になった私を止めてくれたあの人は…」
龍我「…戦兎のことか。そっちは大丈夫だ!ちょっとムカつくやつだけど、悪い奴じゃない」
香澄?「そう…私のこと、気にしてるかと思ったから…」
龍我「…」
嘘だ。あいつが一番気にしてる。巻き込まれただけなのに、誰よりも責任を感じてやがる。
香澄?「龍我?」
自分の拳を強く握り締める。
龍我「…俺は勝手なやつだよな、やっぱり自分のことしか考えちゃいねーんだ。冤罪晴らすことしか考えてなかった、だから皆に迷惑かけちまって…」
ほんと、最低だな。と心の中で思う。そんな俺を、香澄はぎゅっと抱きしめた。
龍我「香澄…」
やはり暖かい。包まれている感じがひどく懐かしい。
香澄?「あなたは一人じゃない。自分一人で抱え込むことなんてないじゃない」
香澄を抱き返す。
駄目だ。甘えてはいけないと分かっているのに、この夢の中では許されたいという気持ちのほうが強いのかもしれない。
龍我「…俺さ、今、お前の力を使って、ファウストと戦ってんだ」
龍我「俺はファウストを絶対に許さねえ…あいつらのせいでお前は…お前は…!」
香澄?「分かってるよ」
龍我「え?」
香澄?「あなたはきっとこれからも戦わなければならなくなる…だから」
俺を強引に突き放す。その体はもう消えかかっている。
龍我「…行っちまうのか?」
香澄?「うん」
龍我「…そうかよ」
また涙が出そうになるが、ぐっとこらえる。ここで泣いたら台無しだ。
香澄?「…龍我」
龍我「…なんだ?」
「負けないで」
彼女らしい一言と共に、香澄の姿は消えてしまった。
そして俺は、長く、覚めてほしくない夢から現実に引き戻された。
クローズドラゴン「♪♪」
龍我「…」
クローズドラゴン「♪♪♪」
龍我「うるさいわ!」
戦兎「お前がうるせーよ!」
余韻に浸ることもできず、このうるさいお目付け役に起こされた。
美空「万丈さ~…いくらニートだからって寝すぎ…てかだるいし…私も寝たいし…」
戦兎「お前ずっとうなされてたぞ?…変な夢でも見てたのか?」
龍我「…さあな」
美空「なんか格好つけてるけど、そのボトル握り締めたまま寝てたとか超きもいんだけど…」
龍我「何!?…あ…」
美空に言われてた通り、俺はドラゴンフルボトルを握り締めたまま寝ていたようだ。
戦兎「やはりまだお前に変身は早いか…」
龍我「なんだとこの…」
クローズドラゴン「♪♪♪」
美空「ねえ万丈!うるさいからあれ止めてよ!あれ、あんたがうなされてる間ずっとあんなんだったんだから!」
戦兎「よっぽど気に入られたみたいだな。結構結構」
龍我「他人事かよてめえ!」
龍我「おい、もういいぞ」
クローズドラゴン「…」
黙った。まさか俺の言うことを…
クローズドラゴン「♪」
龍我「痛っ!?噛みつくな!やめろ!炎出すな…熱い!熱い!」
美空「…止めなくていいの?」
戦兎「知ったことかよ。さ、実験を始めようか」
龍我「おいてめーら!何見てんだよ!止めてくれよ!あっ、熱い!この野郎!」
美空「だるいし…暑苦しいし…」
大人しく負けを認めて、なんとかドラゴンを落ち着かせた。
龍我「ったく…」
ずっと握り締めていたらしいドラゴンフルボトルを軽く振る。全身から力がみなぎってくる。この力があれば、負ける気がしないほどに。
あれから言おうと思っていた言葉は消え、代わりに深く息を吐いて、
龍我「お前ら…これからもよろしくな」
自分らしくないほどに、ボソッと呟いた。
クローズドラゴン「♪♪」
戦兎達には聞こえていない。
龍我「香澄…俺、負けないから」
クローズドラゴン「♪♪♪」
その名を呼ぶだけで、なぜだか、香澄が一緒にいる気分がした。
終わりです。
ほんとはネタss書こうと思ったのに…どうしてこうなった。
ドラゴンフルボトルは勿論、クローズドラゴンにも香澄の思いがこもっているとかならいいなあ…と途中から考えて書いてました。
思い付いたネタssも、いずれ書きたいですね。
今はともかく話が進んだ後で矛盾とか生まれたら黒歴史になりそうだなこれ…
ビルドほんとすき、乙
ネタだと思ったら違った……
乙彼
ボトルニーの話だと思いました・・・
すみませんでした・・・
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