少年「学校が大ピンチだ!」霊感少女「学校七不思議の霊の仕業だわ……」 (55)

<教室>

児童A「先生!」

教師「なんだ?」

児童A「なんだか気分が悪いです……」

教師「む、そうか。では保健室へ行きなさい」

児童B「先生、ぼくもー……」

ボクモー… アタシモー…



少年「…………」

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友「俺も早退しよっかな……さっきから吐き気がする……」オエッ

少年「君もか……」

少年(ここ最近、ずっとこうだ)

少年(学校にいるとみんな体調が悪くなる。ボクたちみたいな児童だけじゃなく、先生たちも)

少年(いったいどういうことなんだろう?)

少年(ずっとこんなことが続けば、学級閉鎖どころか学校閉鎖になってしまう……!)

少年(でも、こんな中、一人だけ平然としてる子がいる)

少年(あの子だ……)

霊感少女「…………」

少年(いつも無口でなに考えてるのか分からないけど、あの子は特に体に異変はないみたいだ)

霊感少女「……ねえ」

少年「!?」ビクッ

少年(この子が自分から話しかけてくるなんて……雪でも降ったりして!)

霊感少女「これは……霊の仕業よ」

少年「……え?」

少年「霊って……なにいってんのさ」

霊感少女「この学校に伝わる七不思議、あなたも聞いたことあるでしょう?」

少年「そりゃ、もちろんあるけど……」



トイレの花子さん

校長室の怒る初代校長の写真

夜になると一段増える十三階段

音楽室に鳴り響くピアノ

理科室のしゃべる人体模型

プールに潜む河童

図工室のしかめ面のモナリザ



少年「この七つでしょ?」

霊感少女「そう」

せくしせくしーアーン

少年「こんなの……ただの言い伝えじゃないの? 信じてる奴なんていないよ」

霊感少女「ただの言い伝えなんかじゃないわ。七不思議は実在する」

霊感少女「学校七不思議を司る霊たちが、なにかしらの不安や不満を溜め込んでしまってるから」

霊感少女「その怨念が学校中を包み込み、児童や先生たちに悪影響をもたらしてしまっているのよ」

少年「そ、そんな……」

霊感少女「私が何とかしてあげたいけど、一人だけだと不安があるわ」

霊感少女「だからあなた、手伝いなさい」

少年「え!?」

少年「なんでボクが!?」

霊感少女「あなたも私ほどじゃないけど霊感が強そうだし、それに元気そうだから」

少年「でも……霊と戦うなんて……」

霊感少女「学校がずっとこのままでもいいの?」

少年「う……」

霊感少女「それに今のうちになんとかしないと、怨念がさらにひどくなって」

霊感少女「誰かの命がなくなるような、取り返しのつかない事態になる可能性もあるわよ」

少年「…………!」

少年「わ、分かったよ……ボクも手伝うよ」

霊感少女「決まりね。じゃあ放課後、七不思議に会いに行きましょう」

少年(とんでもないことになっちゃったなぁ……)

放課後――

<教室>

霊感少女「じゃ、行くわよ」

少年「う、うん」



教師「おーい何してる! もう授業は終わったんだから、すみやかに帰るように!」



少年(ゲ、先生に見つかっちゃった……)

霊感少女「帰りません。だって、これから七不思議に会いに行くんだから」

教師「七不思議ィ~?」

少年(すごい、先生にまでハッキリ言った!)

教師「ふんっ、バカバカしい!」

教師「先生もその話は聞いたことがあるが、あんなものは迷信だ!」

教師「先生だって多少体調を崩してるが、きっとただの風邪――」

霊感少女「…………」ギロッ

教師「え」

霊感少女「……呪うわよ」

教師「ええっ……」ゾクッ

霊感少女「分かったら、許可しなさい」

教師「は、はいっ!」

少年(弱っ!)

霊感少女「あ、そうだ。先生も多少霊感あるみたいだし、私たちを手伝いなさい」

教師「は、はははは、はいっ!」

少年(弱すぎ!)

少年「七つのうち、まずどこに行く?」

霊感少女「あなたが決めていいわよ」

少年「んー……じゃあトイレの花子さんから行こうか」

霊感少女「ベタな怪談から攻める……いい判断だわ」

少年「ど、どうも」

霊感少女「じゃあ行きましょう」

教師「まったく……花子さんなんかいるわけないだろうに……」ブツブツ…

教師「いいか、何も出なかったらすぐ帰るんだぞ!」

<トイレ>

少年「言い伝えによると、このトイレに花子さんが現れるらしいけど」

教師「フッ、やっぱりいないじゃないか」

霊感少女「……花子さん」

霊感少女「私の声が聞こえたら、出てらっしゃい」



花子「はーい!」ボワンッ



少年「うわっ!」

教師「おぎょわわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

少年(花子さんより、先生の声にビビった!)

教師「あわわわわ……花子しゃんや……」ガタガタ…

花子「花子でーっす!」

花子「あたしになにか用?」

霊感少女「今、霊たちの怨念によって、学校中の児童や先生の体調が悪化する事件が起きてるの」

霊感少女「私たちはそれを解決したいんだけど……あなた、なにか不満を抱えてない?」

花子「不満? 特にないけどー?」

少年「え、ないの?」

花子「あー……でもぉ、強いていうならぁ……」

花子「トイレにずっと座ってるの飽きたから、もっといいイスに座りたいかなーとは思ってる!」

少年「アハハ……」

少年「たしかに便座って、冷たくて固いしね」

霊感少女「とりあえず、職員室にある先生の座布団をプレゼントしましょうか」

教師「ええ、俺の!? そんな勝手なこと――」

霊感少女「呪うわよ」

教師「ご自由にどうぞ」

少年(彼女が強すぎるのか、先生がヘタレすぎるのか、どっちなんだろう)

スタスタ…

少年「これで一つ目解決か、なんか拍子抜けしちゃうな」

少年「次はどうする?」

霊感少女「そうねえ……」

霊感少女「ベタ続きで、理科室の人体模型にしましょう」

教師「ええ!? あれ、霊とか関係なしに怖いから後回し――」

霊感少女「…………」ギロッ

教師「行くぞ理科室へ! 二人とも、先生についてこい! 俺の生徒に手は出させない!」

<理科室>

人体模型「…………」

少年「これだ」

霊感少女「人体模型さん、私の声が聞こえる?」

人体模型「ああ、聞こえるともさ!」

少年「しゃべった!」

教師「あぎゃはわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

霊感少女「あなた、なにか不満や怒りを抱えてない?」

人体模型「うーん……そうだねえ」

人体模型「私のこの肉体を存分に生かすようなことがしたいねえ!」

霊感少女「じゃあ、先生とプロレスごっこでもしたら?」

人体模型「そうさせてもらおう!」

教師「は!?」



人体模型「コブラツイスト!」グググッ…

教師「いだだだだだ……!」メキメキメキ…



少年「お気の毒に……」

霊感少女「しょうがないわよ。私たちじゃ体格が違いすぎてプロレスにならないもの」

<音楽室>

ポロロロン… ポロロロロロン…


少年「誰もいないのに、勝手にピアノが……!」

教師「ひいいぃぃぃぃぃぃ……! 祟りだ、祟りだぁぁぁぁぁぁ……!」

霊感少女「ピアノを弾いてる霊さん、現れてちょうだい」


ボァァ…

幽霊「はぁい」


少年(男の子の幽霊だ!)

少年「君、なにか悩みや不満を抱えてない?」

幽霊「うーん……ぼく、本当はノーベル賞を取るような学者になりたかったんだ」

少年「学者に?」

霊感少女「それなのに、どうしてピアノを?」

幽霊「ムリヤリ習わされてたんだ。パパもママも音楽関係の仕事してたから」

幽霊「それで、ピアノ教室やだなーと思って歩いてたら、車にひかれちゃったってわけ!」

少年「恨みや怒りなんかはないの?」

幽霊「ないかなぁ……。ボケッとして赤信号渡っちゃったの、ぼくだしね」

霊感少女「このあまり過去を引きずらない性格は、研究者向きかもしれないわね」

少年「でも君のピアノの腕、かなりイケてると思うよ!」

幽霊「そうかな?」

霊感少女「ええ、自信を持っていいと思う……だから元気出して」

幽霊「あ、ありがとう」

教師「そうかぁ? ムリヤリ弾かされてる感があって、イマイチな演奏だったが」

少年「…………」ギロッ

霊感少女「…………」ギロッ

教師「さ、最高の演奏でした。君ならベートーベンになれる!」

スタスタ…

少年「あの男の子の霊もおだてて自信をつけさせて、これで三つクリアだ!」

霊感少女「それじゃ四つ目は、図工室に行きましょう。ここから近いし」

少年「しかめっ面のモナリザ、だね」

教師「アホらしい。モナリザは微笑んでるんだ。しかめ面なわけが――」

<図工室>

モナリザ「…………」ムスッ

教師「ホントにしかめっツラぁぁぁぁぁっ!!?」

少年「もういい加減に慣れてよ、先生……。さっきからうるさい」

霊感少女「モナリザさん、昼は美しく微笑んでるあなたが、どうして今はしかめっ面をしているの?」

モナリザ「…………!」ビキッ

モナリザ「あんたたちに……話すつもりはないわぁぁぁぁぁっ!!!」

ゴォッ!!!




霊感少女「きゃああっ!」

少年「うわあああっ!」

教師「ぎょええええええっ! 図工室の外に飛ばされるぅぅぅぅぅっ!」

スタスタ…

少年「……追い出されちゃったね」

霊感少女「うん……なすすべがなかったわ」

教師「ったく、なんつう女だ! カリカリしやがって!」

教師「俺の昔の彼女があんな感じだったなぁ……腹痛の時なんかすぐ当たり散らして……」

少年「でも、ボクたちをふっ飛ばしたことで、多少はスッキリしたんじゃない?」

霊感少女「そうだといいんだけどね」

少年「七不思議、残りは三つ……次は夜中に十三段になる階段に向かおう!」

<階段>

少年「数えてみるよ!」

少年「いち、にー、さん、しー、ごー、ろく、しち、はち、きゅー、じゅう、じゅういち、じゅうに……」

少年「じゅうさん……」スタンッ

少年「増えてる……いつもは十二段のはずなのに」

教師「怖いよぉぉぉ……!」

霊感少女「ねえ、階段の十三段目さん」

十三段目「あぁん、なんだよ!?」

教師「階段がしゃべった!」

十三段目「悩み? 不満? 怒り? そりゃあるさ!」

十三段目「オレは……目立ちたいんだよぉぉぉぉぉっ!!!」

少年「へ……?」

十三段目「だってよ、他の七不思議はわりとド派手なのにさぁ……」

十三段目「階段が一段増えるだけ、なんて地味すぎるだろぉぉぉぉぉっ!」

十三段目「オレはもっと……劇的に自分を表現したいんだよぉぉぉぉぉっ!」

少年「分かった、分かったよ。愚痴を聞いてあげるから……」

十三段目「聞いてくれるの!?」

スタスタ…

少年「うへぇ~……長かった」

霊感少女「まさか、一時間も愚痴られるとはね」

教師「なんて話好きな階段だ! 校長といい勝負だ!」

教師「校長も職員会議の時、いつも話が長いのなんのって……」ブツブツ…

少年「……校長」

少年「じゃあ次は校長室にある“怒る初代校長の写真”に会いに行こう!」

<校長室>

初代校長「うぬぬ……」ムカムカ…



霊感少女(怒ってる……)

少年(怒ってる……)

少年「どうしようか?」

霊感少女「私にいわれても……」

教師「ふっふっふ……二人とも、こういう時は俺に任せておきなさい!」

教師「怒ってる人をなだめるには、いい手がある!」

教師「これはこれは初代校長先生、ご機嫌うるわしゅう」モミモミ…

教師「いつ見ても精悍な顔つきをしてらっしゃいますなぁ~」モミモミ…

教師「つきましては、あなたのお力で私を学年主任に……」モミモミ…

初代校長「…………」



霊感少女「ごますりで機嫌を取ろうってわけね」

少年「でもたしかにいい手かも……。褒められて嬉しくない人っていないし」

初代校長「バッカモーン!!!」

教師「うわっ!?」ビクッ

初代校長「キサマはワシのことなーんも分かっておらん!」

初代校長「ワシはおだてられるのが大嫌いなんだ!」

教師「す、すみませんすみません!」

初代校長「ホントはワシは痛めつけられるのが好――いや、なんでもない!」

初代校長「とっとと出てけえっ!!!」

教師「は、はいぃぃぃぃぃ!」

スタスタ…

教師「ハァ……初代校長を怒らせてしまった……」

少年「まあまあ、あくまであの校長先生は幽霊なんだから。先生の出世に影響はないよ」

少年(でもあの校長先生、なにか言いかけてたよな……)

霊感少女「二人とも、気を取り直して」

霊感少女「最後の七不思議、“プールに潜む河童”のところに向かいましょう」

<プール>

霊感少女「河童さん……いるのなら出てきて……」



ザバァッ!

河童「出てきたっパーッ!」



少年「河童だ!」

教師「あんぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

ザブザブ… ブクブク…

河童「っぷはぁっ! やっとプールサイドにたどり着けたッパ!」

少年「河童さん、河童のわりにあまり泳ぎうまくないね。ボクのがうまいくらいだ」

河童「ふん、河童だからって泳ぎがうまいという偏見はやめて欲しいッパ!」

河童「せっかくプールサイドに上がったんだから、水で絵を描くッパ!」

少年「水で絵を?」

河童「こうやって地面を濡らして、絵を描くッパ! オイラの特技ッパ!」ビショビショ

少年「へぇ~、うまいもんだなぁ」

霊感少女「お上手……」

河童「水が蒸発したら、消えちゃうッパけどね」

河童「楽しかったッパー」

少年「じゃーねー」



スタスタ…

少年「……さて、これで七つ全部回ったわけだけど――怨念は消えた?」

霊感少女「いいえ……」

霊感少女「少し減っただけで、まだまだ怨念は渦巻いてるわ」

少年「ってことは、学校の七不思議たちの不満は解消されてないってことか……」

霊感少女「そういうことね」

少年「うーん……どうすればいいんだろう?」

教師「ハッ、俺たちのような生きてる人間が、霊の不満を解消しようってのが無謀だったんだよ」

教師「霊や妖怪には、そいつらしか分からない事情ってもんがあるだろうしな!」

少年「そうかもしれないけど……」

教師「だいたいさっきの河童なんか、明らかに絵描きの方が向いてるじゃないか!」

教師「それがなんでプールにいるんだ! 適材適所って言葉を知らないんじゃないのか!?」ブツブツ…

少年「…………」

少年(河童は……絵描きの方が向いてる……)

少年「――――!」ハッ

少年「そうか! そうだったんだ!」

霊感少女「……何か分かったの?」

少年「うん、分かった!」

少年「七不思議は、みんな間違った場所にいたんだよ!」

教師「どういうことだ?」

少年「ようするに、七不思議のみんなは、みんないるべき場所が一つずつズレていたんだよ!」

少年「たとえば、河童は図工室にいるべき、という風に!」

霊感少女「……なるほど。このズレがつもりつもった怨念を生み出したというわけね」

少年「だから……みんなを正しい場所に移せば、学校を包み込んでる怨念は晴れるはずだよ!」

霊感少女「やってみる価値はありそうね」

<トイレ>

少年「花子ちゃん!」

霊感少女「花子ちゃん」

教師「は、花子しゃん」

花子「なーに?」

少年「騙されたと思って、ボクたちと一緒に校長室に来てみてよ!」

花子「…………?」

<校長室>

花子「わーっ! フカフカーッ! このイス、最高!」フカフカ

花子「こんないい場所を紹介してくれて、ありがとう!」

少年「やったぁ!」

霊感少女「怨念がかなり減ったわ。花子ちゃんの不満が解消された証拠……」

教師「まさか、こんなことで……うーむ、教育って奥が深い」

少年「よぉし、この調子で他の七不思議がいる場所を一つずつズラしていこう!」

<トイレ>

教師「いいのかなぁ……モナリザの絵をこんなとこに置いて」ゴトッ

霊感少女「学校を救うためなんですから」

少年「そうそう!」



モナリザ「ここは……トイレね!? やっと用を足すことができるわ!」

モナリザ「私ずっとお腹が痛かったの! 三人ともありがとう!」パァァ…



少年(うわ、ものすごくいい笑顔)

<図工室>

河童「おお……!」

少年「ここでなら、絵の具やスケッチブックもあるし、好きなだけ絵を描けるよ!」

河童「すごいッパ! こんなとこあったなんてッパ!」

河童「ありがとうッパー! 必ずいい作品を描いてみせるッパ!」

少年「頑張ってね!」

霊感少女「作品ができたら見せてね」

教師「図画工作の教室に河童……なんというミスマッチだ」

<プール>

少年「うわぁ~……」

霊感少女「速いわね」



ザバッ ザバッ ザバッ

人体模型「これだ! これだったんだ!」

人体模型「私がやりたかったことは!」

人体模型「水泳こそ、私の肉体を100%生かせる全身運動!」ザバァァァッ

<理科室>

幽霊「ここは……」

霊感少女「あなたが好きな理科室よ」

霊感少女「もうあまり好きじゃないピアノなんか弾かなくていいのよ」

幽霊「うん……ここでいっぱい実験するよ! やっとピアノから離れられる!」

少年「先生の“ムリヤリ弾かされてるようなイマイチな演奏”ってのは正しかったわけだ」

教師「そういうことだな!」ムフッ

幽霊「じゃあさっそく、この先生で人体実験を……」

教師「やめて!!!」

<階段>

教師「階段なんかどうやって動かすんだ?」

霊感少女「増えた一段は、霊的な物質だから持ち上げることができるはずよ」

少年「先生、頑張って!」

霊感少女「先生……お願い」

教師「んもう、こんな時だけ先生扱いして……よいしょぉ!」グイッ

十三段目「うおお! オレをどこに運ぶ気だ!?」

少年「音楽室だよ」

霊感少女「あなたが自分を表現するのには、うってつけな場所でしょ?」

十三段目「音楽か……たしかに!」

<音楽室>

十三段目「Yo! Yo!」

十三段目「オレは階段! 増えた一段! かなり大胆! 趣味は猥談!」

十三段目「夜になると、増えてる一段! 泣く子も黙る、怖い怪談!」

十三段目「十三といったら不吉な数字! 起きる気しまくる不吉な凶事!」

十三段目「だけどオレはホントは無害! もっとみんなと仲良くしたい!」

十三段目「オレはやるぜ、みんなと仲良く! 少しずつやるぜ、だんだん仲良く!」

十三段目「チェキラァ!!!」ビッ



少年「……う、うーん」

霊感少女「まさか、こういう音楽でくるとはね……」

教師「階段くん」

十三段目「なんだい?」

教師「俺はちょっとラップにはうるさいんだが……」

十三段目「ほう?」

教師「今のはもっと改良の余地があるな……たとえば……」

十三段目「ふむふむ、なるほど……」



少年「なぜか意気投合してるよ……」

霊感少女「ま、いいんじゃない」

<階段>

教師「ここへ初代校長の写真を置けばいいんだな?」ゴトッ

初代校長「キサマら、なぜワシをこんなところへ!?」

霊感少女「階段に潜んでれば、思う存分踏まれることができるわよ」

初代校長「あっ、そうか! ナイスアイディア!」

霊感少女「じゃあ、階段を踏みましょう」スタスタ

少年「うん」スタスタ

初代校長「た、たまらんっ! もっと踏んでぇぇぇぇぇんっ!」ビクビクッ

少年「これで七不思議、全てのズレを解消できたね!」

霊感少女「ええ……怨念がすっかり消えたわ」

教師「たしかにさっきより、体が軽くなって、気分が楽になったような……」

霊感少女「怨念が消えた証拠よ、先生」

少年「明日からはもう、みんなが学校で体調を崩すことはなくなるわけだね!」



パァァァ…



三人「!」

花子『フカフカ椅子に座らせてくれてありがとう!』

モナリザ『とてもスッキリしたわ!』

河童『三人のおかげッパ!』

人体模型『もう怨念で君たちを苦しめるようなことはないだろう!』

幽霊『今までのことは許してね』

十三段目『これからは音楽室にたまに現れる段差として頑張るYo!』

初代校長『学校の児童たちと職員たちに幸あれ……』

パァァァ…



少年「みんな……スッキリした表情してたね」

霊感少女「うん、彼らはもう人々を苦しめる悪霊じゃない。立派な守護霊よ」

教師「さ、もう夜中だ! 親御さんも心配してるだろうから、帰るぞ!」

少年「はいっ!」

霊感少女「はい」

その後しばらくして――

<教室>

友「なぁなぁ!」

少年「ん~?」

友「うちの学校って七不思議があったじゃん?」

少年「! ……うん、あったね」

友「だけど今は、七不思議が新しくなったって噂が立ってるんだ」

少年「へぇ~、どんな風に?」

友「聞いた話じゃ、こんな具合だな」



校長室で偉そうにしてる花子さん

階段であえぐ初代校長の写真

音楽室でラップをかます謎の段差と教師

理科室で生き生きと実験する男の子

プールで泳ぎまくる人体模型

図工室でうまい絵を描く河童

トイレでやたら満面の笑みのモナリザ



少年「……アハハ」

友「どれも邪悪な感じじゃないし、むしろ出会うと幸運になるらしいぜ!」

少年「へぇ~」

少年(って先生、あの人何やってんだよ……)

少年(そういえばあれ以来、彼女はまた元の無口に戻ってしまったけど……)

少年(それでも話しかけると――)

少年「新しい七不思議ができたみたいだね! みんな楽しそうだよ!」

霊感少女「……そうね」クスッ



少年(明るく笑いかけてくれるようになった!)









―おわり―

以上でおしまいとなります

乙乙!

そうきたか
お見事!

おつおつ

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