【デレマスSS】イドの開放 (10)

すべてに一区切りついた。アイドルのステージも。仲間との思い出も。友情にも。仲間の失恋と、そして修復も。

全部終わって、今始まる中で。どうしても発散したい感情があふれて、私は今こうして一人パソコンのロックフォルダに彼にも見せられない思いをぶつけている。

一ノ瀬志希。私は昔から飛びぬけた天才、それが相まって変人一歩手前とも見られている。
そのせいか小さいころからいろいろ聞かれた。「なぜ化学に興味を持った?」「なぜいろんなことが理解できるんだ?」ってね。

でもみんな、そして彼も追及しなかった疑問がある。「なぜ香水に興味を持ったんだ?」ということ。たぶん皆納得したんだろう、女の子だからね。

通り一遍に私は「いい香りが好きで、その組成は何なのか、どうしていい香りとそうでないものがあるのか知りたかった」って答えている。でもそんなわけはないんだ。
誰かに追及してほしかった。本当?って。志希、実はもっととんでもないこと企んでるんだろうって。

私、本当の愛を感じたかったんだ。そんなことができる相手と出会ったんだと気づいた。

ダッド、つまり私のパパは、私の疑問に答え教えてくれた。小さいころはその成長にとても喜んでいた。でも、私が才能に目覚めて常人ではないスピードで進化すると距離は離れていった。
娘はいずれ父親から離れていく。一緒にお風呂入ったり、抱き合うこともしなくなる。
人から聞いてそんなものなんだと思った。でも留学とかするうちに、私も相当イカれているけど、ダッドも大概だね、親子なんだねと苦笑した。
そしていつしか疑問視した。ダッドは私を愛しているのか?とね。

そんな折の11歳の夏。サマーバケーションを利用し日本へ一時帰郷した私は、想像だにしないものを聞いてしまった。ダッドとママが愛し合ってたんだ。

ママの声はどんな女優よりもセクシーで、女の私でもドキドキして足がガクガクと震えてきた。
ああこれが女なんだって初めて知った。暗がりの中で、ハァーハァー響く吐息の中に、時折くぐもった嬌声が混じる。
だんだんとペースが上がり、声が上ずって大きくなると、私はその場に座り込んで壁に身を任せながら、果てていくママの声を聞き入っていた。
嫌悪感なんてなかった。ダッドは私を今も愛しているか微妙だ。でも、ダッドとママは愛し合っている。そう思うと何だか嬉しくてベッドの上でドキドキした。

それから数日、私は早めに寝入っては両親の行為に聞き入った。これが男女なんだって思うと胸が狭まり体がうずく。
いつか私も恋をするなら、ダッドとママみたいになりたい。秘かにそう思った。

でも、巷の情報は私を満足させてくれなかった。映像の女優はどうしてもママには勝てなかった。違う、こんな声じゃない。
こんな台本めいた話は、二人はたぶんしてないよ。人に言えない欲求不満が高まってはインターネットを見回したけど、理想とした二人はいなかった
こんなのじゃ私は満足できない。なぜだ?この男女は愛してないからだ。
ではどうする?恋をすればいい。素敵な男性と巡り合えればママみたいになれる。

でも私はそうとも行かなかった。声はかけてくれるけど、皆私と波長が合わず去っていく。
もう慣れたからいいと思ったけど、これじゃママにはなれないな。と悟った。

そんな中で興味を持ったのが香水だった。確か何かの広告だ、「オトコの本能を刺激する」なんてキャッチコピーの香水。
なにそれ?って思って調べたのがきっかけだったね。とても本心は言えないでしょ?
そんなものあったら、二人のようになれたら。ドーパミンだかフェニルエチルアミンだが分泌させまくってやるんだから。
調べては実験し、作ろうとしたんだ。二人のような愛を作るために。

だから二人になると、私はもう本心を隠さないことにした。

食事を終え、シャワーが済むとゴロン、と横になり楽な姿勢をとる。
ベッドランプの明かりだけつけると、彼を待ちつつ少しまどろむ。
今日はどうだろう?来るかな?来ないかな?

少しして彼が来ると、私に顔を近づける。ああ、する気だ。瞳孔開いちゃってるよ。
いいよ、しようよ。目いっぱい。明かりを消すと抱きしめられ、二人の距離はゼロになる。

密着した唇から、行き場を求めて息が噴き出る。ふーっ、ふ-っ、んちゅ、ちゅ。
愛を確かめるフレンチキスから、段々と奥底まで体が絡まる。
ちゅ、ちゅ、ちゅ。んちゅ。二人だけの空間に音がこぼれる。

ひとしきりのキスが終わると、服を脱がされ胸にしゃぶりついてくる。
男って好きだね。でもそんなキミが好きだよ。私を求めているんだね。
そう思うと嬉しくて、むずがゆくて、頭に手を回し抱き寄せる。
彼も嬉しくなって、吸い付いては触り、なめて私を喜ばせる。
ああ、ああ、ママもこうして喜んでたのかな。いいな、これって。ダッドとママなら誰も文句言わないよ。絶対。
私たちもいいよね?誰も文句言わないよね?これは自然なことだよね。
ふいにジュルッ、と吸われた。歯を立てないように、痛くしないようにタップリ湿らせての吸引。ドキリとしてああっ、と声がもれると自分でドキリとした。
あ、いい。ああ、ああっ。吐息の中に声が混じって溶け合う。はぁー、はぁー、ああっ、ん。

より一層体が触れる。もう熱くて、溶け合ってしまいたい。このまま溶けて二人一緒になってしまえたら、何か幸せになるかもね。いいね。
隠すのが馬鹿らしくなって、でも少し恥ずかしくて。声を上げてはくぐもらせる。
彼はそれがうれしくて、色々まさぐっては気持ちいいところを探す。

んあ、あん。
首筋にキスをされると、密着されつつ彼の香りがした。石鹸の香りに混じる、汗ばんだ彼の匂い。体がうずくと抱きしめた。ああこれだ、化学じゃ作れないよ。
口づけをされつつ彼を堪能する。匂いと、体温と、唾液から伝わる刺激。
自然と二人はくっ付く。奥まで、できるまで奥まで。密着したくてたまらない。

体の奥底まで貫かれると、一気に声が漏れだす。突かれると下から声が昇って、感情と共に声帯を震わせ声になる。吐息はもう喘鳴になり、下半身のみに神経が集中する。
自分の声と高ぶりで力が入らない。ただ彼にされるがまま抱きしめていた。
覆いかぶさった彼も、動きながら抱き寄せる。挿入スピードが速くなり、やがてピークを迎えていく。

高ぶりに身を任せて抱きしめると、その夜一番の声を出し果てていった。
満足して、それでも懲りずに、数日後、また彼を求めては手を変え愛し合った。
そのたびに私は声をあげ、喜びを表しては彼を抱き寄せた。

私はもうすぐママになり、彼はパパになる。
でも彼は彼なんだ。たとえパパでも、部長や課長になったって。彼は私の彼なんだ。

鍵付きの引き出しから小瓶を取り出し、変色などないか確かめると丁寧に仕舞った。
これは今必要ないや。でももし、私はないと思うけど、彼が私を彼女ではなくママとしか見なくなってしまったら、こっそり彼につけてやろう。

そうして再度思い出させてやるんだ。私はママであり彼女なんだって。
ダッドとママみたいな夫婦へ。秘めた野望は始まったばかりだ。
今夜は彼、私のベッドへ入るかな?

乙。食虫植物かな?

おつ

なるほどな
確かに「フェロモン」という言葉が作られる前から
香水とエロチシズムはよく並べて語られてた


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