【ガルパン】 絹代 「嘘は嫌いです。」 (45)
キャラ崩壊注意
独自解釈多々有り
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知波単vs大洗女子練習試合
8輌vs8輌 殲滅戦
試合会場 知波単学園内戦車道演習場
優花里 「知波単の戦い方って変わりましたね。」
華 「突撃一辺倒のチームでしたのに…」
みほ 「ゲリラ戦に絞って訓練をしてきたんだね。」
優花里 「戦車を隠す迷彩シートも良く出来てました。」
沙織 「そう! 気が付いた時は3輌にかこまれてたもん。」
麻子 「正直、知波単相手にIV号が白旗を掲げることになるとは思わなかった。」
沙織 「残ってるのは…」
「うさぎさんと西さんの旧型チハ。」
「次期隊長、健闘してるよ。みぽりん何かアドバイス贈ってあげたら?」
みほ 「そうだね。」
「澤さん聞こえますか?」
梓 「ハイ!隊長。」
「今、旧型チハが逃げ込んだ森の中を捜索しています。」
みほ 「相手は演習場を熟知していますから先に発見されると圧倒的に不利になります。」
「ですから、誰か車外へ捜索に出して旧型チハの発見に全力を挙げてください。」
梓 「ハイ!隊長。」
「残り1輌、撃破してみせます。」
麻子 「おーー、心強いな。」
梓 「沙希、車外捜索お願いできる?」
沙希 コクリ
梓 「これ背負ってもらえる。」 携帯無線機
「この演習場、圏外でケータイ使えないんだ…」
「重くて申し訳ないけど…」
沙希 フルフル
梓 「桂利奈、沙希が走って追いつけるように、周囲を警戒しつつ徐行で前進。」
桂利奈 「あい~。」
梓 「あゆみ、あや、先輩達はみんな迷彩シートで隠れた戦車に奇襲を受けてやられてる。」
「見つけたら私の砲撃命令なしでも撃っていいからね!」
あゆみ あや 「了解!」
沙希 タタタタタ キョロキョロ
タタタタタ キョロキョロ
タタタタタ キョロキョロ
優季 「沙希ちゃんから受信!」
『後方、中央。及び後方、右翼。及び後方、左翼。敵影無し。』
「梓ちゃん、一度戻す? それとも引き続き捜索させる?」
梓 「『一度、帰還されたし。』で、お願い。」
優季 「了解……………………っと。」
沙希 コクリ
タタタタタ
旧型チハ砲手 「正面からM-3。こちらに気付いている様子はありません。」
旧型チハ操縦手 「隊長、さすがにこれ以上は危険かと……突っ込みますか?」
絹代 「ギリギリまで待て!M-3の正面装甲は厚い。」
「どれだけ接近して砲撃できるかにかかっている。あとは、M-3が白旗を揚げるまで撃ち続けろ!」
「もう少し、もう少し、…………」
「…………今だ!突撃!」
桂利奈 「出た~!」
梓 「なに!」
沙希 タタタタタ ピョコン
「え!」
絹代 「撃て!」
あゆみ あや 「「砲撃!」」
ドォン ドン ドン ドォン ドン
ガァン ガン ガン ガァン ガン
シュタッ シュタッ
梓 絹代 「「相討ちか……」」
梓 「みんな、お疲れ。撃破して隊長に褒めてもらいたかったなぁ~。」
あゆみ 「梓、負けた訳じゃないよ。お疲れ様、車長。」
優季 「…………あ 梓ちゃん……沙希ちゃん遅くない?」
梓 あゆみ あや 桂利奈 『・・・・』
梓 「まさか!」
バタバタッ
梓 「沙希!」
絹代 「皆、よくやってくれた。大洗相手に引き分けに持ち込んだのは自信を持っていい結果だ!今後も…」
旧型チハ操縦手 「隊長!大洗の様子が変です。」
絹代 「どうした?」
旧型チハ砲手 「大変です!M-3の傍に一人倒れてます!」
絹代 「なんだと!」
「救急箱をよこせ!」 タタタタ
梓 「沙希!しっかりして!」
あゆみ 「ダメだ。血が止まらない。」
タタタタ ザザッ
絹代 「私が代わります。」
「ふ、深い…」
ギュー ギュー クルクル キュキュ
あや 「なんでこんな深い傷が?」
絹代 「砲弾か車輌の破片が飛んできたのでしょう」
「それより救護車の要請を!」
優季 「梓!さっきの被弾で無線も携帯無線機も使えない!」
絹代 「こっちはどうだー?」
旧型チハ搭乗員 「ダメです。使えませーん!」
ポタッ ポタッ ポタッ ポタポタ ポタポタ
ザザーーー
絹代 「こんな時に…」
桂利奈 「救護を呼べる所までどれくらい離れているんですか?」
絹代 「あいにくここは演習場の一番奥になります。」
「私が回収トラックを呼んできます。皆さんは戦車の中で待っていてください。」
梓 「呼んでくるって、こんな雨の中無茶ですよ!」
絹代 「ここは、我々の庭みたいなものです。ご心配なく。」
「丸山さんは、すでにかなりの出血をしています。一刻を争いますので、雨の中申し訳ありませんが私が背負ってお連れします。」
梓 「そんなの無茶です!」
絹代 「途中で無線の使える戦車を見つければ、さほど時間もかかりません…」
「丸山さんに雨具を着せて下さい。」
梓 「…………」
「わかりました。沙希のことお願いします。」
絹代 「ハァ ハァ …………」
「(福田の九五式が撃破されたのはこの辺のはず、回収されてなければいいが…)」
「ハァ ハァ …………」
ザザーーー ザザーーー
沙希 「(えっ?雨?)」
「(おなかがポカポカする。ビショビショなのに寒くない。)」
「(おんぶ?)」
「(誰の背中?)」
絹代 「(見つけた、九五式!)」
ドンドンドン!
「福田!」
ドンドンドン!
「福田!居るか!」
沙希 「(西さん?どうして雨の中、西さんに?)」
福田 「西隊長!何事でありますか?」
絹代 「説明は後だ、無線は使えるか?」
福田 「ハイであります!」
絹代 「至急救護車を呼んでくれ!」
「重傷者がいると伝えろ!」
福田 「了解であります。」
沙希 「(救護?重傷?何があったの?)」
沙希 「(西さんの背中、優しくて、あったかい。まるで…)」スヤスヤ…………
『ウェーン ウェーン』
『沙希、転んだぐらいで泣くんじゃありません。』
『ウェーン ウェーン』
『しょうがないわね、乗りなさい、ほら。』
ニヤニヤ キャッキャッ
『沙希!』
『!』
『嘘泣きしてたの!』
『!』
『おかあさん、嘘は、嫌い!』
『……………』
『人をだますような事する子、おかあさんの子じゃない!』
『……………』
『……………ごめんなさい。』
『ウェーン ウェーン ウェーン…………』
『沙希、嘘をつくことはとてもイケナイ事なの』
『…………』
『もう嘘ついたりしないって、お約束できる?』
コクリ
『うなずいてるだけじゃダメ!』
『おかあさんに嘘ついたりしないって言って。』
『もう嘘ついたりしない。』
『約束よ。』
コクリ
『ほら、また。』
『約束する。』
『嘘はつかない事、それができたら、皆んな沙希のこと大好きになってくれるわ。』
『…………歩く。』
『ほら、嘘ついた。』
『!』
『おんぶしてほしい時はおんぶしてって言うの。』
パア
ぎゅー
『…………おかあさんのおんぶ大好き。』
『おかあさんもよ。沙希をおんぶしてると背中がポカポカしてとっても幸せな気持ちになるの。』
『…………おかあさんの背中、優しくて、あったかい。』
『…………大好き。おかあさん。』スヤスヤ…………
『おかあさんも沙希のこと大好き。』
搬送先病室
沙希 「…………おかあさん」
ボロボロ…………ボロボロ…………
ボロボロ…………ボロボロ…………
梓 「沙希!気が付いた?私のことわかる?」
沙希 「…………おかあさん」
ボロボロ…………ボロボロ…………
ボロボロ…………ボロボロ…………
梓 「大丈夫?」 涙 フキフキ
沙希 ボロボロ…………ボロボロ…………
ボロボロ…………ボロボロ…………
搬送先病室前
絹代 ガクガク ブルブル
福田 「西隊長、大丈夫でありますか?」
「顔色が……真っ青です。」
絹代 「す、すまない。」
「福田、一人で行ってもらえるか?」
福田 「…………」
「わかりました。」
練習試合事故から10日後
大洗生徒会室
絹代 「このたびは、申し訳ございませんでした!」 土下座
みほ 「やめてください。土下座なんて。」
「それより、こんなに震えて。顔色だって悪すぎます。真っ青じゃないですか!」
絹代 「このような事故を起こしておきながら謝罪が遅れました事、重ねてお詫び致します。」
絹代 「この10日間どのようなつぐないが出来るか考えに考えましたが、もはや、こうするしか無いと…………」
スッ 短刀
杏 桃 柚子 みほ 『????』
絹代 「腹を切ってお詫び致します。」
シャキーン
杏 「西をおさえろ!」
杏 桃 柚子 みほ 「「「「わーーーー」」」」
ドタッ バタッ ガシッ 絹代、拘束。
絹代 バタバタ…………
「放して下さい。こうするしか~、こうするしか~~。」
柚子 「刀を抜くなんて何考えてるんですか!」
絹代 バタバタ…………
「それではウラヌスもろとも学園艦から身を投げます。」
桃 「死に方をどうこう言ってるんじゃない!バカかお前は!」
絹代 バタバタ…………
「バカです。私は人に向かって『撃て!』と言った、大バカ者です。」
ポロポロ…………ポロポロ…………
脱力
絹代 「私は人を撃ったんです。」
「丸山さんを撃ったんです。」
「ウワァーーウワァーー」
絹代 「勝利に目がくらんだ私のせいで丸山さんを意識不明にさせ、左腕と心に生涯消えることのない傷を残しました。」
絹代 「丸山さんが命を取り止めたのは運が良かったにすぎません。」
「人に砲身を向けるなんて人殺しと同じです。」
「私は、もう生きている資格なんてないんです。」
ボロボロ…………ボロボロ…………
杏 「落ち着け!いいから落ち着けって!」
「次の日には意識は戻ったし、点滴も外れてちゃんと食事も摂ってる。左腕のリハビリももう始まってる。」
「ちゃんと連絡しただろ!」
みほ 「西さん、あれは事故だったんです。防ぎようの無い事故だったんです。」
「その事故の原因を作ったのは私です。」
「1対1の緊張状態で車外捜索を指示した私が軽率だったんです。」
絹代 ウルウル…………ポロポロ…………
杏 「さぁ、とにかく立って。」 グイッ
杏 「むしろ、礼を言わせてくれ!」
「治療にあたった先生が驚いてたよ。『事故の現場に看護師が居合わせてたのか?。』って。」
絹代 「看護師?」
杏 「完璧な応急処置だったって。」
「あのまま出血が止められなかったら命を落としてたか左腕に障害が残った可能性が高いって。」
「丸山ちゃんが生きてるのは運なんかじゃない。」
杏 ピシッ
「うちの丸山沙希を助けていただきありがとうございました。」
深々おじぎ
桃 柚子 みほ ピシッ
「ありがとうございました。」
深々おじぎ
杏 「病院への搬送から入院の手続き、大洗への転院まで、何から何までやってもらって、ホント感謝してる。」
深々おじぎ
絹代 「やめてください。お礼を言われるような事は何も…………」
杏 ニヤッ
「だったら一つ頼まれ事してもらえるかな?」
絹代 「はい、なんなりと。」
杏 「丸山ちゃんのお見舞い行ってもらえるかな?」
絹代 「…………」
桃 「会長!」
杏 「どう?ダメ?」
絹代 「いえ、ただただ申し訳なく会わせる顔が無いと言うのが本心ですが…」
杏 「丸山ちゃんは会いたがってるよ。」
「命の恩人に。」
絹代 「…はい、では、早速、本日……」
「失礼致します。」
柚子 「会長、大丈夫でしょうか?」
桃 「会長もご存じのはずです。今の丸山は西と会っても混乱するだけです。」
みほ 「会長、何か考えがあるのですか?」
杏 「ない!」
「ただ、今の丸山ちゃんを変えられるのは西ちゃんだけの気がしてね~。」
沙希の病室前
絹代 ガクガク ブルブル
『どうした!西絹代!何度逃げ出すつもりだ!向き合え!自分のおかした罪に!丸山さんに!』
絹代 コンコン
「知波単学園の西です。」
沙希 「!」
「…////」
梓 「沙希、西さんが来てくれたよ。」
あゆみ 「私、出てくる。」
ガラガラ~
「西さん、わざわざありがとうございます。」
優希 「沙希ちゃん…」
沙希 ボロボロ…………ボロボロ…………
ボロボロ…………ボロボロ…………
桂利奈 「あゆみ、ちょっと待って。」
あゆみ 「あっ!」
「(沙希…)」
ガラガラ~
絹代の視界をさえぎりながら病室の外へ
「すいません…今…ちょっと……」
「き、着替え、寝汗かいたみたいなんで着替えてるんです。」
あや 「沙希、せっかく来てくれたんだよ。涙拭いて、挨拶だけでもしようよ。」
沙希 コクリ
優季 涙フキフキ
沙希 ボロボロ…………ボロボロ…………
ボロボロ…………ボロボロ…………
「…………ごめんなさい。」
桂利奈 「梓…」フルフル
梓 「私がいってくるね。」
ガラガラ~
梓 「西さん申し訳ありません。今日は私たちが長居しちゃって沙希のこと疲れさせたみたいで…」
絹代 チラッ
あゆみ ギクッ 「(長居して寝汗はないよね~)」
絹代 「いえ、突然押しかけて、こちらこそ申し訳ありませんでした。」
「丸山さんにこれを…」 花束
梓 「お送りします。」
絹代 「いえ、ここで結構です。また、日を改めて出直します。」
「丸山さんによろしくお伝えください。」
優季 「沙希ちゃん、どうしちゃったの?」
桂利奈 「大洗に帰ってきてからは落ち着いてたのに…」
あや 「ゆっくり治せばいいよ。退院したらみんなで西さんのとこ行こうね。」
沙希 コクリ
「…………ごめんなさい。」
「(…………西さんごめんなさい。)」
「(…………会いたかった。)」
「(…………西さんは優しい人だから、今の私を見るときっと自分を責めてしまうから。)」
「(会いたい……会いたいのに……。)」
「(…………ごめんなさい。)」
翌日
大洗生徒会室
梓 「会長、沙希のことでちょっと。」
杏 「いつもお見舞いありがとね~。」
「どう?丸山ちゃんの様子は?」
梓 「事故直後に比べれば随分落ち着きました。」
「あの頃は一日中泣いていましたから…」
「それが昨日……」
「西さんがお見舞いに来てくれたんですが……」
「部屋の外の西さんの声を聞いただけで…今まで見た事のないくらい涙を流して……」
桃 「会長、やっぱり、まだ早かったんですよ!」
梓 「西さんには申し訳なかったんですが……」
杏 「西ちゃんを行かせたのは私なんだ…」
「西ちゃんにも丸山ちゃんにも悪い事しちゃったね。」
梓 「沙希、西さんと何かあったんでしょうか?」
柚子 「何かって?砲撃を受けてから、ほとんど意識がなかった訳だし…」
杏 「意識が戻ったとき澤ちゃんが居てくれたんだよね。何か気付いたことある?」
梓 「小さな声でよく聞き取れなかったんですが『おかあさん』ってそう言った気がします。」
杏 「丸山ちゃんって父子家庭だよね……」
「う~ん、やっぱ西ちゃんにたのむか!」
桃 柚子 梓 『???』
練習試合事故から一ヶ月後
知波単学園会議室
福田 「西隊長殿、大洗女子よりお便りが届いております。」
絹代 「見せてみろ。」
福田 「なんでございましょうか?」
絹代 「練習試合の申し出だ。試合会場を大洗女子学園艦演習場にすること以外、日程、試合形式などは知波単にゆだねるとの事だ。」
福田 「何とお返事いたしましょうか?」
絹代 「日本一のチームからの申し出だ、断る理由などない。できるだけ早く調整させてもらおう。」
福田 「はい!隊長。」
「ですが……隊長の表情が晴れません。いかがなさいましたか?」
絹代 「晴れぬか…………」
「あの事故以来気分が晴れたことなどない…………」
福田 「…………」
絹代 「丸山さんは今、何をされてるのだろう」
遠くを見ながら
福田 「た、隊長?」
練習試合
大洗女子学園艦戦車道演習場
桃 「みんな、準備はいいか?」
一同 「もうすぐで~す。」
桃 「急げ!知波単学園が到着したらすぐにはじめるぞ!」
一同 「は~い。」
桃 「磯辺、お前達は先にかかれ、すぐに出せるようにな!」
典子 「了解!」
「みんな、いくよ~。」
絹代 「(日を改めて出直しますと言いながら何もしないままこの日が来てしまった。)」
「(何をしているのだ私は…………)」
細見 「隊長、なにか様子が変ですが…」
玉田 「大洗の戦車の姿が見えません。」
福田 「何やら良い匂いが…」
絹代 「どういうことだ…?。皆、体操服姿ではないか…」
杏 「やぁ~やぁ~。知波単学園の皆さんようこそ。大洗女子バーベキューガーデンへ。」
絹代 「角谷殿、これはいったい…?」
杏 「いやね~、やっぱりウチとしても、知波単にあんだけ世話になっといて何の礼もしないんじゃ戦車道日本一の名がすたるってもんでね。」
絹代 「ご迷惑をおかけしたのは私です。」
「お礼などとんでもありません。」
杏 「やっぱ、かたいなぁ~。西ちゃん。」
「『お礼にバーベキューパーティーするから食べに来て』って言っても素直に来てくれないでしょ。」
「だから練習試合ってことで来てもらったわけ。」
絹代 「いや、しかし……」
ナカジマ 「乗って来ていただいた戦車は格納庫へどうぞ、後で私たちが日頃、行き届かないところのメンテナンスお手伝いしますから。」
典子 「知波単のみなさ~ん。こちらへどうぞ~。」
「ガンガンお肉焼いてますよ~。」
福田 「アヒル殿!」
細見 「隊長、ここは大洗の皆さまの好意を快く受け取るのも、また誠意かと。」
絹代 「…………そうだな。」
「今日は楽しませていただこう。」
知波単全隊員 「では、いただきま~す。」
タタタタタ…………
杏 「西ちゃんには特別メニュー用意してるからまずは、そっち食べてもらえる。」
絹代 「特別?」
杏 「丸山ちゃ~ん。」
絹代 「!」
梓 「沙希、いくよ。」
沙希 「…………////」
梓 「今になって何照れてんのよ!」
杏 「西ちゃんの特別メニュー用意してくれたシェフね。」
沙希 「…………////////」
梓 「西さんすいません…。これでも、昨日、食材買いに行った時は凄くはしゃいでいたんですよ。」
沙希 「////////////////」
梓 「ほら。」
沙希 「…………////」
スッ 重箱
「…………お礼です。」
「…………食べて……ください。」
「……………………いっしょに。」
絹代 「私のために…」
沙希 コクリ
絹代 「私の………、感激です!」
沙希 「////////」
絹代 「傷はまだ痛みますか?」
沙希 「フッ!」 力こぶ アピール
うっすらドヤ顔
絹代 「…………」
サスサス 傷あとをそっと手で撫でる
沙希 「////」
絹代 「…………申し訳ありません。」
ウルウル…………
沙希 フルフル
「……………………気になりません。」
「…………食べましょ。」 ニコッ
絹代 「////」
絹代 「はい、いただきます。」
絹代 「おぉ~、これはどれも美味しそうなお料理です。」
モグモグ モグモグ
「おぉ!素晴らしい!」
「お上手なんですね。」
沙希 「…////」ニコッ
絹代 「ごちそうさまでした。」
沙希 ニコッ
「…………お肉、取ってきましょうか?」
絹代 「いえ! 満腹でございます。」
「とても美味しいお弁当でございました。」
沙希 「////」
絹代 「このお弁当のお礼をさせていただきませんか?」
沙希 フルフル
絹代 「元はと言えば私がまねいた事故です。このままいただきっぱなしでは、私の気がすみません。」
沙希 「…………////」
絹代 「丸山さん、私に何か話したいことがあったのではないですか?」
沙希 「……………………////////」
絹代 「そのためにお弁当を作っていただいたのでは?」
沙希 「…………おん…。」
絹代 「えっと? 今何と?」
沙希 「…………もう一度」
「…………おんぶ…してください。」
絹代 「おんぶ…。で、ございますか?」
沙希 コクリ
絹代 「はぁ……お安い御用です。」
『????』
沙希 ピョコン
沙希 ウルウル…………シクシク…………
絹代 「!」
「どうかされましたか?」
沙希 「…………同じ……なんです。」
絹代 「!」
沙希 「…………おかあさん……大好き…だった」
絹代 「(だった!)」
沙希 「…………おります」
「…………ありがとうございました」
絹代 「ダメです。」
沙希 「!?」
絹代 「嘘は嫌いです。」
沙希 ドキッ!
「(言う事まで………同じ……)」
絹代 「私には聞こえます。『このまま、こうしていたい。』」
「丸…いや、沙希さんの心の声がそう言ってます。」
沙希 「…………おろしてください」
ポロポロ…………ポロポロ…………
「…………耐えられなくなる前に」
ボロボロ…………ボロボロ…………
絹代 「耐えることなんてありません。私が受け止めます。」
沙希 「…………西さん。………もう」
ポロポロ…………ポロポロ…………
絹代 「沙希さん 、何も心配ありません。」
沙希 「うっ…うっ…うっ…うわーーーー」
「おかあさ~ん。」
「何だ?」 「どうした?」 「沙希ちゃん?」 「隊長?」 「おんぶ?」 「おかあさん?」………………………………????????????
杏 「まあまあ~。みんな~おなかいっぱい食べてもらえた?」
「だったら澤ちゃん、デザートのアイス用意してもらえる。」
杏 「(西ちゃん、たのんだよ。)」
絹代 「話していただけますか?」
「ゆっくりでいいですから。」
「すこしだけ楽になると思います。」
沙希 「…………小さい頃、おとうさんと二人きりになって。」
「…………おとうさんは大事にしてくれた。」
「…………おかあさんの分まで。」
「…………いつも、いっしょにいてくれた。」
「…………休みの日はいつもいっしょに遊んでくれた。」
「…………運動会や参観日も必ず来てくれた。」
「…………私に寂しい想いをさせないように。」
「…………とても嬉しかった。」
「それなのに私…………」
「おかあさんのこと思い出すと寂しくて泣いちゃうんです…………」
「どうしても…………我慢できなくて泣いちゃうんです…………」
沙希 「…………泣いてるところおとうさんに見つかって」
沙希 「…………おとうさん、私に『ごめんね』って謝るんです。」
「…………おとうさんだって寂しかったはずなのに」
「…………おとうさん何も悪くないのに」
「…………いっぱい大事にしてくれるのに」
「…………いっぱい可愛がってくれるのに」
沙希 「…………私が泣き虫だから」
沙希 「…………おとうさん、すごくつらい顔してた」
沙希 「…………だから」
「…………もう、泣かないようにしよう」
「…………おかあさんのことは思い出さないようにしよう」
「…………思い出に鍵をかけて」
沙希 「出来たんです…………」
「思い出さずにいれたんです…………」
「泣かないで…………あの事故までは」
絹代 「!」
沙希 「…………西さんの背中が、おかあさんの思い出のままだったから」
「…………優しくて、あったかくて」
沙希 「…………鍵が壊れて」
「…………思い出が頭の中で暴れ出して」
「また、小さい頃みたいに涙があふれて止まらなくなるんです。」
沙希 「…………どうしても、鍵がかからないんです」
絹代 「鍵なんて必要ありません。」
沙希 「…………でも」
絹代 「人にとって忘れられてしまう事ほど悲しい事はありません。」
沙希 「…………」
絹代 「泣いたっていいじゃないですか。」
「お母様は沙希さんに思い出してもらって喜んでいると思います。」
沙希 「…………でも、おとうさんが」
絹代 「お父様がつらかったのは、沙希さんが泣いていた事ではなく、『隠れて』泣いていた事だと思います。」
「お父様に気付かれないようにしようとした沙希さんの優しさが胸を打ったのでしょう。」
沙希 「…………」
絹代 「今、あふれてくる涙は、小さい頃流すはずだった涙です。」
「体の中に残ったままではむしろ体に毒です。」
「流してしまいましょう。」
沙希 「…………もう少しだけ、いいですか?」
絹代 「はい。気がすむまで…………」
沙希 「うっ…うっ…うわーーー」
みほ 「会長、行ってあげた方がいいでしょうか?」
杏 「大丈夫!」
「西ちゃんの顔見てごらんよ。」
みほ 「!」
「(優しくて、おだやか…………) 会長、大丈夫ですね。」
麻子 「感情を爆発させる丸山さんなんて初めて見たな。」
沙織 「ねぇ。麻子もおんぶしてやろうか?」
麻子 「…………」
沙織 「ご、ごめん。」
「悪い冗談だったね。……ホントごめん。」
麻子 「…………頼む////」
沙織 「えっ?」
麻子 「…………頼む////。あとで」
沙織 「…いい…よ」
沙希 「…………西さん」
「…………おります。」
絹代 「よろしいのですか?」
沙希 「…………もう大丈夫です。」
ピョコン
絹代 「今更ですが、一度もお見舞いに行けずに申し訳ありませんでした。」
沙希 「嘘は嫌いです。」
絹代 ドキッ
沙希 「…………私、知ってます。」
「…………毎日病室の前まで来てた事。」
「…………嬉しかった。」
絹代 「…………事故の光景が頭をよぎると体が震えて…………病室に入ることが…………。」
絹代 「…………あの時、本当は逃げ出したかったんです。」
「血を流す沙希さんの姿を見て…………自分のした事が怖くなって…………。」
ガクガク ………… ブルブル…………
沙希 『!』
ダキッ ぎゅー
沙希 「…………私が受け止めます。」
「…………こうして」
「…………震えが止まるまで。」
絹代 「沙希さん………」
ウルウル…………
絹代 「事故以来、沙希さんのことが頭から離れたことはありません。」
「震えながら言うのも変ですが………沙希さんの容態を心配しているうちにいつしか…その…………////」
沙希 「…………に 絹代さん」
絹代 「!」
沙希 「ありがとうございます。」
「…………絹代さんのおかげです。」
絹代 なでなで
沙希 「…………絹代さん」
「…………私の優しい人。」
「…………大好きです////。」
絹代 「…………私も大好きです////。」
ぎゅー
沙希 「(おかあさんの言ってたこと本当だ。)」
番外編
麻子、沙織の場合
麻子 ピョコン
沙織 「どおぉ?」
麻子 「…………ちがう」
沙織 ムカッ!
「ちょっとぐらい気の利いた事、言ってくれてもいいでしょ!」
「やだも~。おりてよ!」
麻子 「やだ。」
沙織 「なによ!」
麻子 「…………いい」
「母さんより…………」
沙織 「そうなの////」
麻子 「…………優しくて、あったかくて、やわらかい」
「…………もう少しだけいいか?」
沙織 「…………いい…よ」
麻子 「…………また、たのんでも?」スヤスヤ~
沙織 「しょうがないな////」ニコッ
麻子 「沙織、好…だ。」
沙織 「えっ、なに?今なんて?」
「そんな、急に、私も麻子のこと…」
麻子 「zzz…zzz…zzz…」
沙織 「えっ?!」
「寝言かよ!麻子ーーー!」
麻子 「なんだ、騒々しい。zzz…zzz…zzz…」
沙織 「コラーーー!起きろーーー!」
「今の私の気持ちに責任とれーーー!」
麻子 「う~~~あと1時間。zzz…zzz…zzz…」
沙織 「コラーーー!麻子ーーー!」
みほ 「会長、行ってあげた方がいいでしょうか?」
杏 「ほっとけばいいんじゃない。」
みほ 「ですよね。」
沙織 「起きろコラーーー!」
お読みいただきありがとうございました。
ガルパンは血を流さないという原則をやぶってしまいました。申し訳ありません。
完
感動しました
乙でございます
京太郎「麻子ちゃん結婚しよ」
アンチョビ「我と言う幼馴染が居ながら」
堕尻凛「妄ヤケクソヨ弘世菫様嫁一号にチクったる」
京太郎「菫様は寛大だ故に不倫も許される」
絹豆腐「亦WAPIの干支ペン蹴りたい」
跡部様の魔球「」マーン
愛宕貧乳「何絹豆腐の中古家に妹何て男らへん」
絹「竜華の裏切り者」
伊168「之は罠だちひろがDMM会社に遠隔誤操作条例犯を行う罠だ」
伊8二世香取二世「ぐっす私達殺されるの」
咲艦これガルパンSS完結
沙希ではなく紗希でした。
申し訳ありませんでした。
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