孫「おじいちゃんの運転でドライブ」 (24)


おじいちゃんが新しい車を買った。


「ジャーン! どうじゃ!」


車はぼくの姿が映るぐらい、ピカピカと光ってる。

ぼくはすごく喜んだが、パパとママはなぜか苦い顔をしていた。

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事故りそう


「まだわしも運転しとらんのじゃが、明日にでもこいつでドライブに行かんか?
 もちろんわしの運転でな」


にっこり笑うおじいちゃん。

ぼくはさらに喜んだが、パパとママはさらに顔を曇らせていた。


その夜、パパとママは口ゲンカをした。


「嫌よ、わたし! お義父さんの運転でドライブだなんて!」

「そりゃま、俺もあの年で新車だなんてビックリしたけど、大丈夫だって」

「大丈夫!? お義父さん、もう70過ぎてるんでしょう!?
 もしものことがあったらどうするのよ!」

「さすがに運転ミスるほどボケちゃいないよ。心配することないって……」

「しかも、あの新車のメーカーって、こないだ大規模リストラしてたとこじゃない。
 もっといいメーカーのを買えばいいのに……お義父さんって、いつもそう!」

「おい、あまり人の親を悪く言うなよ……」


ぼくはこのやり取りをビクビクしながら聞いていた。


「分かったよ。親父を説得して、近くの大きな公園に行って戻ってくるだけにしよう。
 それぐらいだったら、道路で難しいところもないし、大丈夫だろ?
 近々、免許も返納させるし、最後の思い出作りだと思ってさ……頼むよ」

「…………」



二人が静かになる。

どうやらこのパパの提案を、ママも受け入れたらしい。
だが、納得はいってないというようすだった。


翌日、おじいちゃんはいつもよりオシャレをしていた。

そのおかげか、いくらか若く、そしてかっこよく見えた。


「さ、ドライブしようかのう」


腕を振り回し、はりきるおじいちゃん。

ただし、山ほど交通安全のお守りをつけたママを見て、少し顔をしかめていたが。


ぼくは後ろの席に座り、おじいちゃんに声をかける。


「おじいちゃん、早く早くー」

「分かっとるわい」


おじいちゃんの目つきが変わる。
まるでレーサーみたい。

少しの迷いもなく、ギアを入れ、ペダルを踏み、新しい車を出発させた。


はしゃぐぼくをよそに、助手席のパパは不安そうな顔をし、ぼくの隣に座るママは祈っていた。


ぼくらを乗せた車はスイスイと目的地に向かっていく。

危なっかしいところなんか少しもなかった。



むしろ、パパの運転の時よりあまり揺れないし、心地よささえ感じた。

機嫌が悪くなるからいわないけど、パパの運転、正直いって乱暴なんだよね。


ママも上機嫌になる。


「お義父さん、あなたより運転うまいんじゃない?」

「そんなことないだろ」


パパも笑っていた。

おじいちゃんはパパのパパでもあるのだ。
自分のパパが褒められるというのは、やっぱり嬉しいのだろう。


出発してからおよそ20分ぐらいで、公園についた。


今は春で、この公園には桜の木もあるので、お花見に来てるらしい人で少し混雑していた。


おじいちゃんは滑らかなバックで、よその人の車と車の間に車を止めてみせた。


公園では桜を見たり、おじいちゃんやパパとキャッチボールをしたり、
アスレチックをしたり、とても楽しかった。


最初はドライブに乗り気じゃなかったママも、ぼくたちが遊んでるのを見て微笑んでいた。


とても楽しい一日になった。


夕方になり、なごりおしいけど帰宅の時間。

おじいちゃんは帰りの運転もとても上手だった。


「今度から、お義父さんに買い物の運転頼んじゃおうかしら」

「ハッハッハ、わしゃかまわんよ」

「おいおい、俺の立場はどうなるんだ」


車の中が笑い声でいっぱいになった。

おじいちゃんは年をとってもまだまだ元気で、しっかりしている。
ぼくも自分がおじいちゃんになったら、こういう風になりたいな、と思った。


夕ご飯は、ご飯とみそ汁とトンカツとキャベツだった。

とてもおいしかった。


食べ終わって、みんなであれこれ話してると、テレビにおじいちゃんの車が映った。

一番に気づいたのはぼくである。


「あれ、これおじいちゃんの車じゃない?」

「おお、本当じゃ。なんとも奇遇じゃな」


テレビに映ってるスーツを着た人がニュースを伝える。


「今回メーカーからリコールがあったのは、このタイプの車です。
 不具合の内容は、なんとアクセルとブレーキの位置が逆になっているというものです。
 生産台数も少なく、発売されたばかりで、ほとんど市場には出回っていないとのことですが、
 リストラ対象にされた内部の人間が、意図的に細工をした可能性もあり……」


ぼくとおじいちゃんはこのニュースに大笑いしたけど、
パパとママの顔はなぜかものすごく青ざめていた。







~おわり~

逆にすげーよwwwwww

スレタイで想像出来る展開が>>2で言われてて草

ジジイは全て見切った上で運転していた可能性が微レ存…?

生きててよかった、乙

じいさんは笑ってる場合じゃないw

こっわww

(-1)^2

じいさんすげーな

カローラⅡに乗~って、買い物に出掛け~たら~
止まれないのに気付いて~そのまま入店~

ブレーキ踏まないとエンジン付かないだろうしおじいちゃん気が付いてるだろ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年04月09日 (日) 23:55:16   ID: X3ZGW0nG

じいちゃん…何で…ブレーキとアクセル反対なのに運転できたの…?もしかして…じいちゃん…

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