ロボ「ユウシャ……?」(59)
勇者「違う違う。 それは俺の名前」
勇者「俺はあんたの名前を聞いてんの」
ロボ「……」
ロボ「名前……? ワタシノ……?」
ロボ「……」
ロボ「でーたガ アリマセン」
勇者「はあ……なんなんだこいつ」
ロボ「アナタハ 誰デスカ?」
勇者「俺は勇者。 さっきそう言ったろ」
ロボ「ソウデスカ」
ロボ「ワタシハ 誰デスカ?」
勇者「知らねーよ」
ロボ「ソウデスカ」
勇者「……やっぱり起動させるべきじゃなかったかな」
ロボ「勇者サン」
勇者「なんだよ」
ロボ「ココハ 何処デスカ?」
勇者「そんなことも知らないのか」
勇者「魔王城の地下だよ」
ロボ「マオウジョウ?」
勇者「……なにも知らないってことは」
勇者「あんたは一切ここの情報を持ってないのか?」
ロボ「ワタシノ……でーた……」
ロボ「検索中……」
ロボ「……」
ロボ「しすてむヲ起動スル際ニ イクツカノ情報ガ破損シタ ヨウデス」
勇者「ふーん……それってもう戻らないのか?」
ロボ「復元ハ 困難ダト思ワレマス」
ロボ「ソレデ 勇者サン」
ロボ「マオウジョウトハ 何デスカ?」
勇者「そのまんまだよ」
勇者「魔王が住んでた城」
ロボ「……魔王トハ 何デスカ?」
勇者「たぶんあんたを作ったやつだ」
ロボ「ナント! ワタシノ創造主デスカ!」
ロボ「魔王城ハ 魔王ガ住ンデイタ城……」
ロボ「住ンデ……イタ?」
ロボ「デハ魔王ハ モウ……」
勇者「いや、残念ながら生きてるよ」
勇者「俺はここに攻め込んで」
勇者「それっぽい老人を倒したんだけど」
勇者「たぶんあれは影武者だね」
ロボ「ナント!」
ロボ「……デハ」
ロボ「ワタシト 勇者サンハ 敵同士!?」
勇者「そうだな」
ロボ「ナラバ ワタシハ 貴方ヲ 排除セネバ ナリマセン」
勇者「そうか」
ロボ「カクゴ!」
ロボ「……」
ロボ「……」
ロボ「ワタシノ 武器ハ ドコデスカ?」
勇者「捨てた」
ロボ「ナント!」
勇者「あんたを起動する前に全部処分したよ」
ロボ「困リマシタ……戦エマセン」
勇者「戦えないならそれでいいんじゃないか?」
ロボ「ナルホド、合理的デスネ」
勇者「というか武器があることは覚えているんだな」
ロボ「ソレハ コノぼでぃノ説明デスカラ」
ロボ「破損シテイルノハ ワタシ個人ノでーたデス」
勇者「わたし個人?」
勇者「……まあバリバリ感情と自我あるし今更か」
ロボ「創造主ノコトヲ知ラズ 武器ニ執着スル……」
ロボ「ツマリ ワタシハ 最下層ノ兵士!」
勇者「自分で言うのか」
これは期待
ロボ「でーたガ 復旧サレルマデハ」
ロボ「停戦トイウコトニ シマショウカ」
勇者「なんでもいいよ」
勇者「……」
勇者「それじゃあ、そろそろ俺は帰るかな」
ロボ「エッ? モウデスカ?」
勇者「とりあえず人を襲う気はないみたいだし」
勇者「付近の村にすぐ帰ると言ってあるからな」
ロボ「付イテ行ッテ イイデスカ?」
勇者「だめだ」
勇者「あんた見たまんまの戦闘マシンだし。みんな怖がっちまう」
ロボ「ウーン、困リマシタネ」
勇者「人里に降りる気なのか?」
ロボ「特ニ目的ハ アリマセンガ」
ロボ「一人デハ 暇デス」
勇者「そっか。 じゃあまた来るよ」
勇者「まだ何か手がかりがあるかもしれないし」
ロボ「優シイ!」
勇者「うるせえ」
――
ロボ「創造主ノでーたガ 無イナラ」
ロボ「ワタシハ 魔物ニかてごらいずサレル 兵士ナノデショウカ」
ロボ「シカシ ソレナラバ自我モ 必要無イハズ」
ロボ「ワタシハ 誰デスカ?」
ロボ「……」
ロボ「コノ質問ハ 勇者サンヲ困ラセテ シマイマスネ」
ロボ「次ハ 楽シイ会話ニ シタイデス」
トコトコ
ロボ「ソレニシテモ」
ロボ「魔王城ハ 広イデスネ」
ロボ「魔物ガ一匹モ 居マセンシ」
ロボ「備品等モ 回収サレテイル ヨウデス」
ロボ「何モ アリマセン」
ロボ「暇デス」
ロボ「勇者サン 早ク来ナイカナ」
――
勇者「おーい、来たぞー」
ロボ「勇者サン!」
魔法使い「ふーん……こいつがあんたが言ってた機械の魔物?」
勇者「そうだ。 魔物かどうかも分かんねえけど」
ロボ「コノ方ハ?」
勇者「魔法使い。 俺の仲間だよ」
魔法使い「あなたのことを調べてほしいって頼まれたのよ」
魔法使い「まあ、よろしくね」
ロボ「ウーン……」
ロボ「反応ニ 困リマスネ」
魔法使い「えっ?」
ロボ「ウヒョー! イイけつシタ ネーチャンガ 来ヤガッタゼー!」
ロボ「ト 喜ブベキ ナノカ」
ロボ「マア! 勇者サンニ 近ヅク泥棒ネコ!」
ロボ「ト 怒リヲ露ワニスルベキ ナノカ」
ロボ「ドウ反応スルノガ イイノデショウ」
勇者「……」
魔法使い「……」
魔法使い「き、聞いてた以上にすごいわね」
勇者「えっと……」
勇者「まずお前性別あるの?」
ロボ「分カリマセンガ」
ロボ「生殖機能ハ 付イテイマセンノデ 無イ可能性ガ高イデス」
魔法使い「じゃあどっちの反応もおかしいじゃない」
ロボ「ソウデスネ」
ロボ「デスガ ワタシハ 一人デ暇ダッタノデス」
ロボ「コノ会話ヲ 楽シミニ シテイタノデス」
勇者「……」
ロボ「ダカラ」
ロボ「ぼけテ ミマシタ」
勇者「なんでだよ」
魔法使い「とりあえず自我があるのは本当みたいね」
魔法使い「ただの戦闘マシンってわけじゃなさそう」
勇者「となるとやっぱ魔物なんじゃねーの?」
魔法使い「無機物の魔物……ゴーレムの類かしら……」
ロボ「ナント! めたるナごーれむデスカ!」
ロボ「カァッコイイ!!」
魔法使い「ゴーレムじゃないわね。 陽気すぎる」
ロボ「ナント!」
勇者「そうだ、あれからなにか思い出したか?」
ロボ「全然駄目デシタ」
ロボ「ワタシノ処理能力デハ でーたノ復旧ハ」
ロボ「デキナイッポイデスネ~」
魔法使い「何その言い回しふざけてるの?」
ロボ「陽気ナきゃらくたーデ イッテミヨウカト……」
勇者「もしかして昔はそんな感じだったとか?」
ロボ「分カリマセン」
魔法使い「というかあなたには昔……過去があるの?」
ロボ「分カリマセン」
ロボ「ガ」
ロボ「ナンダカ 楽シイデス」
魔法使い「楽しい?」
ロボ「ハイ 談笑ヲスルナド 初メテナノデ」
ロボ「今 トテモ充実シテイマス」
勇者「あんたさ」
勇者「元は人間なんじゃないか?」
ロボ「ナント!?」
魔法使い「ど、どういうことよ」
勇者「だって馴染みすぎだろ。 そうとしか考えられねえよ」
勇者「こう……人間の意識を移す器的なものなんだよ多分」
ロボ「抽象的デスネ」
ロボ「デハ 何ノ為ニ ソンナ事ヲ?」
勇者「それは分かんねえ」
勇者「死してもなお戦う兵士的なあれじゃね?」
ロボ「抽象的デスネ」
ロボ「デモ」
ロボ「ソレハ格好良イ デスネ!」
勇者「うん?」
ロボ「ツマリ破損シタ でーたハ記憶!」
ロボ「ワタシノ 過去!」
ロボ「戻ッタ時 ワタシハ兵士トナル!」
勇者「おお!それならその記憶が戻れば!」
勇者「本物の魔王の居場所も分かるな!」
ロボ「ナルホド!」
魔法使い「……はあ?」
魔法使い「あんたまだそんなこと言ってんの?」
ロボ「……?」
勇者「だって未だに実感が無いんだ」
魔法使い「実感も何もないわ!」
魔法使い「あの爺さんだか婆さんだかわからなかった奴が魔王よ!」
ロボ「エッ?」
勇者「だからあれは影武者だって」
魔法使い「強かったじゃない!」
勇者「今までの中では一番ってだけだろ」
勇者「魔物を束ねる王なんだからもっと段違いなはずだ」
魔法使い「昔はもっと強かったとかそんな感じでしょ!」
魔法使い「もう魔王なんていないの! 世界は平和になったの!」
ロボ「ナンデスッテ!?」
ロボ「ユ、勇者サン!」
ロボ「ココニ攻メ込ンダノハ イツノ話デスカ!?」
勇者「一年前だ」
ロボ「ナァント!!」
ロボ「城ガ カラッポナ ワケダ!」
勇者「まあ付近に村ができるぐらいには平和になったな」
ロボ「ワタシガ ココノ住人デ」
ロボ「守ルベキ魔王ハ モウ死ンデイル?」
ロボ「ソレガ 本当ダトシタラ……」
勇者「本当だとしたら?」
ロボ「切ナイネ!」
魔法使い「そうね」
勇者「あんたが過去を思い出したら全てわかる」
勇者「もし魔王が生きていて、居場所を話してくれたら」
勇者「あんたは殺さないよ」
ロボ「どらいナ取引デスネ」
魔法使い「死んでるって嘘ついたら?」
勇者「つかねーよ」
魔法使い「なんで言い切れるのよ」
勇者「そりゃあ」
勇者「友達だからな」
ロボ「!!」
ロボ「優シイ! 暖カイ!」
勇者「よせやい!」
魔法使い「馬鹿じゃないの」
勇者「なんだと!?」
勇者「こういうのは信頼が大事なんだよ」
勇者「話したら殺さないってのも本心だ」
勇者「こうお互いに信じあうことでだな……」
魔法使い「いやいや、敵同士だから」
ロボ「敵同士ノ友情!」
ロボ「切ナイネ!」
魔法使い「あなたはちょっと黙っててね」
ロボ「フェェ……」
魔法使い「今不思議なバランスで仲良くやれてるのは」
魔法使い「この人が何者なのか分かってないからなのよ?」
ロボ「人扱イ! 嬉シイネ!」
魔法使い「黙っててね」
魔法使い「それで記憶があって、それが戻ったとしたら」
魔法使い「今の自我なんて全部無くなっちゃうわよ」
魔法使い「たった数日しか経ってないんだから」
ロボ「……」
勇者「そうか? 俺はそうなっても友達のままだと思うけど」
魔法使い「根拠は?」
勇者「友情に時間は関係ないからだ!」
魔法使い「馬鹿じゃないの」
勇者「なんだと!」
魔法使い「……まあいいわ」
魔法使い「百歩譲って記憶が戻ってもなお友人だったとしましょう」
魔法使い「それであなた主人を売るの?」
ロボ「……」
魔法使い「友達だから、戦うことになるわよ?」
勇者「どうしてだよ」
魔法使い「忠誠心が人並みにあったら」
魔法使い「友達相手でも大将の居場所を吐いたりしないでしょう」
魔法使い「だから記憶が戻ればどう転んでも倒すべき敵に……」
勇者「それはどうかな?」
魔法使い「えっ?」
勇者「こいつの初期データとやらには、魔王の情報がなかった」
勇者「つまり信頼されてない可能性が高い!」
魔法使い「ふぅん……昔は制御不能の狂戦士ってこと? ありえなくはないわね」
魔法使い「それでも戦うことにはなりそうだけど」
ロボ「……」
魔法使い「ま、ここで話しててもしょうがないわね」
魔法使い「日を改めてまた来るわ。 私も暇じゃないんだから」
ロボ「……」
勇者「どうかしたか?」
ロボ「……」
魔法使い「なによ、言いたいことがあるなら言いなさいよ」
ロボ「黙ッテテネ ト言ワレタノデ……」
魔法使い「空気を読みなさいって意味よ」
ロボ「本場ノぶらっくじょーくハ キツイゼ! ハハハ!」
魔法使い「そんな空気じゃなかったでしょ!」
魔法使い「もういい! また来るわ!」
魔法使い「まったく、骨折り損とはこのことね!」
勇者「おいおい、正式に依頼したんだから金は出すぞ?」
魔法使い「馬鹿なの? 仲間から本気で金とるわけ無いでしょ」
勇者「そっか」
勇者「じゃあ俺も一度引き返すよ」
勇者「……またな!」
ロボ「マタナ!」
――
ロボ「マタ 一人ニ ナッテシマイマシタ」
ロボ「デモ 寂シクハ アリマセン!」
ロボ「友達ガ デキマシタカラ!」
ロボ「……」
ロボ「記憶ガ戻レバ 友達デハナクナル カモシレナイ」
ロボ「友達ト戦ウコトニナル カモシレナイ」
ロボ「ソレハ……切ナイネ……」
ロボ「……」
ロボ「ソレナラワタシハ……」
ロボ「ワタシハ……!」
――
魔法使い「あら? 勇者はまだ来てないの?」
ロボ「オオ! イラッシャイ!」
魔法使い「はいはい、お邪魔します」
魔法使い「それでどう? 記憶は戻った?」
ロボ「ソノコトデ 話シタイコトガ アリマス」
魔法使い「ふーん……」
魔法使い「奇遇ね、私もよ」
ロボ「デハ、勇者サンガ 来タラ」
魔法使い「そうね。同時に言ってみましょうか」
勇者「おっと、もう来てたのか」
ロボ「勇者サン!」
魔法使い「来たわね」
ロボ「デハ! 言イマスヨ! ヨイコラセッセ!」
魔法使い「なにその掛け声気持ち悪い、音頭は私がとるわ!」
魔法使い「せーのっ!」
ロボ「元ノ記憶ッポイでーたヲ 全消去シマシタ!!」
魔法使い「こいつの正体は魔王よ!!」
勇者「なんだって!?」
ロボ「ナンデスッテ!!?」
魔法使い「なんですって!!??」
ワロタ
勇者「ど、どどどど」
勇者「どういうことだ!?」
ロボ「マルデ 意味ガ 分カリマセンゾ!?」
魔法使い「ええい! 落ち着きゃなしゃい!!」
魔法使い「順番に説明していけばいいだけの話よ!」
ロボ「ワタシガ 魔王!? 大変興味深イデス!」
勇者「そ、そうだ! まずそれから話してくれ!」
魔法使い「そう……じゃあ私から話すわね」
勇者「おう!」
ロボ「ハイ!」
魔法使い「すーはー……こほんっ」
勇者「あ、これ実は話したくてしょうがなかったやつだな」
ロボ「説明ノ 練習トカ シチャッテタぱたーんデスネ」
魔法使い「聞きたくないの!?」
勇者「聞きたいです」
ロボ「聞キタイデス」
魔法使い「まず! あなたは魔王城制圧の1年後にようやく見つかった!」
魔法使い「つまり厳重に保管されていたということ!」
魔法使い「そうよね勇者!」
勇者「たしかに。地下室の奥にあったな」
魔法使い「外部から見つかりにくい場所に隠されていた……つまり!」
魔法使い「あなたは重要視されていた存在なのよ!」
ロボ「ナント!」
ロボ「最下層ノ兵士デハナイ!?」
魔法使い「そして! あなたは魔王の情報を持っていなかった!」
ロボ「ハイ! 信用サレテイナイカラデス!」
魔法使い「違う! そうじゃない!」
ロボ「エエエ!?」
魔法使い「それは! そんな情報必要なかったからよ!」
魔法使い「そう!」
魔法使い「あなた本人が!」
魔法使い「魔王だったから!!」
ロボ「ナ……」
勇者「な……な……」
ロボ「ナンダッテー!?」
勇者「なんだってー!?」
魔女「う、うん。そんな反応が欲しかったの。ありがとね」
勇者「なるほど……」
勇者「あんた自身が頂点だったら」
勇者「敬うべき創造主の情報なんか入ってるわけがないな」
ロボ「オオー……」
魔女「さあ、次はあなたの番よ」
魔女「全消去ってどういうこと?」
ロボ「ワタシハ……」
ロボ「ワタシハ 自分ガ自分デ無クナルノガ 怖カッタノデス」
勇者「おお、言ってみたいセリフ」
魔法使い「茶化さないの」
ロボ「前回聞イタヨウニ 記憶ガ戻レバ」
ロボ「ワタシノ人格ガ崩壊シテシマウ カモシレナイ」
ロボ「勇者サンヤ……」
ロボ「……」
ロボ「エット……二人ガ友達デハ 無クナル カモシレナイ」
ロボ「ソウ考エルト……」
魔法使い「名前を忘れておいて友達面とはいい度胸ね」
勇者「茶化すなよ」
ロボ「ソウ考エルト 怖クナッテ……」
ロボ「復旧シヨウト シテイタ でーたヲ 削除シテシマイマシタ」
勇者「そっか」
魔法使い「消す前にひとこと言ってくれたらよかったのに」
ロボ「ソノでーたヲ 持ッテイルコト自体ガ 怖クナッタノデス」
勇者「まあ消しちまったものはしょうがねーな」
ロボ「エット……マ、魔法使イサン!」
魔法使い「あら、名前思い出した?」
ロボ「魔法使イサンノ 情報コソ 事前ニ勇者サント 相談スルベキダッタノデハ?」
勇者「あ、確かに。 魔王と自覚したら戦うことになるしな」
魔法使い「あなた一人に隠したところで勇者から伝わるでしょう?」
勇者「あ、確かに。 友達に隠し事はできないもんな」
勇者「……」
勇者「あれ?」
魔法使い「なによ」
勇者「一件落着しちゃってるんじゃないかこれ?」
ロボ「……エッ?」
魔法使い「……はっ!」
ロボ「ドウイウコトデス?」
勇者「つまりさ」
勇者「俺の倒すべき魔王はお前の中にいて」
ロボ「ハイ」
勇者「お前はそれを消したんだろ?」
ロボ「ソウデスネ」
ロボ「……」
ロボ「ソウデスネ!!」
勇者「世界は 平和になった!!」
魔法使い「で、でも……勇者はそれで納得していいの?」
勇者「うん?」
魔法使い「証拠がないわよ。 まだこれは私の推測にすぎない」
勇者「……」
勇者「信じるよ」
魔法使い「どうして?」
勇者「一年も手がかり無しだったからな」
勇者「魔王はすでに死んでるってのが一番自然な考えだし」
勇者「その推測なら実感がなかったのにも辻褄が合うし」
勇者「そろそろ折り合いをつけねーとな」
勇者「どこかに答えが書いてるわけじゃないんだから」
ロボ「勇者サン……」
勇者「では改めて……」
勇者「うおー! 世界は平和になったぁー!!」
ロボ「ヤッタゼー!」
魔法使い「平和になっていたというかなんというか……」
魔法使い「まあいいわ。 めでたいことではあるし」
ロボ「メデタシ メデタシ! デスネ!」
勇者「よし、村に降りてみるか!」
ロボ「エエ!?」
魔法使い「ちょっと本気!?」
勇者「そりゃ本気だよ」
勇者「人前に顔を出すなら早いほうがいいだろ」
ロボ「確カニ ソウデスガ……」
魔法使い「怖がられるかもしれないわよ」
勇者「そこはうまく説明しよう」
魔法使い「それなら練習しておかないと……」
ロボ「ヤッパリ好キナンデスネ 練習」
魔法使い「う、うるさい!」
魔法使い「これはあなたの為を思って言ってるのよ?」
勇者「そうだぞ、あんたの……」
勇者「……」
勇者「あんたってものいい加減変だな」
ロボ「ワタシハ モウ 誰デモ無イノデ」
勇者「おお、イカスセリフだな」
勇者「じゃあ名前つけるか」
ロボ「ワーオ! 命名式デスネ!」
勇者「無いと不便だしな」
ロボ「カッコイイノヲ オネガイシマス!」
魔法使い「そう言われるとちょっと自信ないわね」
勇者「うーん……大事なことだしよく考えて決めないとな」
魔法使い「あなたの体に名前はついてないの?」
ロボ「無イデスガ」
ロボ「踵ノ裏ニ 型番ガ アルハズデス」
勇者「へー、じゃあそれを参考にしてみるか」
ロボ「ワタシデハ 構造上 視界ニ入ラナイ位置ナノデ」
魔法使い「分かった。 じゃあ見てあげるわね」
魔法使い「どれどれ……」
ロボ「イヤーン」
魔法使い「うるさい」
魔法使い「本当だ、なにか書いてあるわ」
勇者「読めるか?」
魔法使い「任せなさい。 えっと……」
魔法使い「"魔王のバックアップボディー" だって」
勇者「……」
勇者「答え書いてるじゃねーか!」
おわり
乙 ユーモアあるロボいいよね
おつおつ
こういうロボ物だいすき
面白かった 乙
クロノトリガーで再生できるな
武器無しのキラーマシンで再生してた。乙、面白かったです
乙
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