耕介「ありがとう!」
瞬斗「おー、んじゃこれ」
耕介「ん? なんだ?」
瞬斗「慕ちゃんにプレゼント。 渡しといて」
耕介「お、わざわざ悪いな。 何入ってんの?」
瞬斗「秘密」
耕介「……お前変なもん入れてないよな?」
瞬斗「いや、普通に無難なものしか贈れねぇよ……」
耕介「じゃあなんだよ」
瞬斗「タオル」
耕介「タオル!? お前、お歳暮かよ!? それ中学生の女の子の誕生日に贈るもんじゃないだろ……」
瞬斗「でもこういう確実に使う無駄にならないものの方がいいだろ。 つーか慕ちゃんこういうの喜ぶだろ」
耕介「…………うん。 まあ、慕は確実に喜ぶな」
瞬斗「ほら、慕ちゃん主婦だし」
耕介「まぁ……そうだな。 そうだね、うん」
瞬斗「……で? お前は何しに来たんだよ? 慕ちゃんの誕生日だし、学校行ってる間に家のこととかやっといてやれよ」
耕介「ちゃんとやって来たよ!」
瞬斗「……なんかアレだな。 俺の台詞もやっぱおかしいな。 完全に嫁さんの誕生日ぐらい家事やってやれよ的な……」
耕介「会話から中学生の誕生日を祝う感じが全くしない……」
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耕介「でさ!」
瞬斗「急にどうした」
耕介「いや、慕の誕生日プレゼントなんだけどさ……」
瞬斗「え、まさかまだ……」
耕介「学校行ってる間に用意しようかと思って……」
瞬斗「えー……」
耕介「だってさ! なんか、その……難しいじゃん! 悩むじゃんか!」
瞬斗「まあ、俺から慕ちゃんに、ってのとお前から慕ちゃんにだと全然違うしな」
耕介「何がいいんだろう……」
瞬斗「慕ちゃんの好きなもの! はい!」
耕介「えー……麻雀」
瞬斗「牌はセットであるもんな。 麻雀するのに特に追加で必要なものもないだろ?」
耕介「それな……」
瞬斗「他にもなんかあるだろ?」
耕介「いや、慕ってなかなか何が欲しいとか言わないからさ……基本必要なものしか買わないし」
瞬斗「料理とかは結構こだわるじゃん。 お前もだけど」
耕介「最近はまってるからな! まあ、そこら辺も必要なものの範囲で嗜好品ではないし……」
瞬斗「その辺でもいいんじゃね? キッチン回りで……」
耕介「あー……そういえばでっかい鍋欲しいとか言ってたな」
瞬斗「へぇ、鍋? 何作るの?」
耕介「ラーメンのスープを……」
瞬斗「それはやめとこう。 俺が慕ちゃんに勝てる料理が無くなる」
耕介「大人げねーなお前」
瞬斗「料理といえば……ほら、バースデーケーキ手作りするとか。 今から間に合うか知らんが」
耕介「それも考えたけど失敗すると悲惨だろ? はやりちゃんち行ってケーキは予約してきた」
瞬斗「たしかに失敗した時を考えるとそれが賢明か……つーか俺いまだに食ったことないけどはやりちゃんちのお店うまいの?」
耕介「おいしいぞ。 しかもはやりちゃんのお母さん美人だし」
瞬斗「マジかよ。 今度行ってくるわ」
耕介「……いや、お前……人妻だぞ?」
瞬斗「関係ねーよ! 美人なら見に行きたいだろ! ケーキもたまには食べたい時もあるし! ちなみにどんな感じ?」
耕介「ん……全部いいけど特にクリームが滑らかで……」
瞬斗「ケーキじゃねぇよ! 美人の奥さんの方だよ!」
耕介「……結構ほわほわした感じの……たぶんお前の好みとはちょっとズレてる……」
瞬斗「そりゃ残念。 今度行くわ」
耕介「結局行くのかよ……」
瞬斗「別にいいだろ! つーかお前が最初に言い出したんだろうが! 美人のお母さん!」
耕介「いや……それは……だって、お店の人が美人だと嬉しいだろ! 慕とはやりちゃんの繋がりもあるから結構話したりするし! ちょっとうれしいじゃん! 俺回りに女っ気ないし!」
瞬斗「女の子はいっぱいいるだろ」
耕介「中学生はいろいろダメだろ!」
瞬斗「人妻もダメだろ! 俺は好きだけど!」
耕介「聞いてねぇわ!」
瞬斗「あー……年上の美人の奥さん欲しい……」
耕介「条件付けすぎるといい人見つからないぞ」
瞬斗「年上の奥さん欲しい……」
耕介「美人を諦めるのかよ!? どんだけ年上好きなんだよ!」
瞬斗「バカお前、さすがにどこまでも年上だと困るわ! 具体的には3つから8つぐらい上がいいわ!」
耕介「具体的な好みも聞いてないから!」
瞬斗「とにかく、ここでぐだぐだやってたって仕方ないだろ。 さっさとなんか買ってこいよ」
耕介「いや、でもやっぱり喜んでもらいたいし……」
瞬斗「お前があげれば慕ちゃんは何でも喜んでくれるって」
耕介「そうだとしても……」
瞬斗「あーめんどくせぇなもう……いっそ慕ちゃんに何が欲しいかちゃんと聞けよ……」
耕介「はぁ……まあ、そうするかあ……どうせあとで慕と二人で出掛けるし……」
瞬斗「は?」
耕介「ん? いや、慕に誕生日どうする? って聞いたら『どこかお出かけしよっ』って言うから……」
瞬斗「…………」
耕介「……? なんだよ?」
瞬斗「いや……うん。 いいんじゃないの、それで」
耕介「なんだよ?」
瞬斗「なんでもねぇって。 ほら、さっさと帰れよ。 もう用もないだろ?」
耕介「……まあ、そうだな。 んじゃ、わざわざありがとな」
瞬斗「俺も慕ちゃんには世話になってるしな。 気にすんな。 慕ちゃんによろしく」
耕介「おう」
ーーーーーー
心「白築おねーさん! 今平気かな?」
慕『心ちゃん! もちろん、大丈夫だよっ! 久しぶりだねー』
心「いやあ、うちの若菜おねーさんがどうしても白築おねーさんの誕生日を祝いたいって」
若菜「言ってねぇ」
慕『いやあ、それはわざわざありがとうございます。 与那嶺さん、一緒なんだ?』
心「うん。 友達いないみたいだから遊んであげてるんだよ!」
若菜「おい」
心「電話かわろっか?」
慕『わ、いいの?』
若菜「え、ちょ、そんな急に……」
心「あ、ごめんね白築おねーさん。 若菜おねーさん恥ずかしいから電話かわれないって! 照れ屋さんだから許してあげてね!」
慕『あはは、残念だなぁ』
若菜「おい!」
心「誕生日おめでとう! お金ないから特にプレゼントとか用意できないけどお祝いする気持ちはあるから!」
慕『う、うん……なんかごめんね……』
心「じゃ! 言いたいことは言ったから! 電話代もったいないから切るね! 来年また全国大会で会おうね!」
若菜「お前な……そんな、言いたいことだけ言って一方的に切るってどうよ?」
心「礼儀的なことなら若菜おねーさんには言われたくないかな!」
若菜「ぐっ……… …で? 白築なんだって?」
心「与那嶺殺すって」
若菜「だからそれぜってー言ってねーだろ!?」
玲奈「電話、誰だったの?」
慕「心ちゃん。 誕生日おめでとう、って」
閑無「……誰だっけ?」
杏果「こらこら……ほら、沖縄の」
閑無「…………ああ、はいはい、あいつねあいつ。 あの……アレな」
玲奈「覚えてないのはわかった」
はやり「去年慕ちゃんが全国で打った子だよ。 今年も優勝してた……」
閑無「ああ! あのちびっこな! なんだよ、敵と仲良くしてんのか」
慕「敵って……まあ、来年は与那嶺さんと一緒の学校だって言ってたし、全国行けたら戦う可能性は高いと思うけど……」
はやり「昨日の敵は今日の友って言うじゃない。 それに、みんなで仲よくする方がいいよっ☆」
玲奈「昔はあんなに敵視してたはやりちゃんとも今は仲良くやってるじゃん」
閑無「う、うっせーな……い、今は実際に仲間なんだし……」
はやり「はやっ!? はやり、閑無ちゃんに敵視されてたの?」
杏果「まあ……敵視というか、ライバル視?」
玲奈「表面上はね。 実際はただの行きすぎたファンだし」
閑無「行きすぎたってなんだよ!? ……つ、つーかファンじゃねーし! 」
杏果「そこは意地張るよね」
玲奈「バレバレなのにな」
閑無「うっせーうっせー!」
はやり「ふふ……もう、喧嘩しちゃダメだよー?」
慕「相変わらず仲いいなぁ……」
はやり「それじゃあ慕ちゃん、改めて誕生日おめでとう! プレゼントどうぞ!」
慕「ありがとうはやりちゃん!」
閑無「あ? なんだよ、クッキー? 誕生日って言ったらケーキだろ」
はやり「さすがにケーキは学校には持ってこれないし……うちでケーキも予約してくれてたみたいだったから」
慕「うん、ケーキははやりちゃんのおうちのがいいなっておじさんにお願いしてたんだ~」
はやり「毎度ありがとうございます! ふふ、はやりははやりで気合入れて作ってきたから! よかったら食べてね」
慕「もちろん! はやりちゃんの作るお菓子すっごくおいしいもん!」
閑無「……にしてもちょっと多くないか? 気合入れすぎだろ」
杏果「食べたいの?」
玲奈「人の誕生日プレゼントに手を出すなんて意地汚いぞ」
閑無「なっ……! 別にそんなこと言ってないだろ!?」
玲奈「涎拭けよ……」
閑無「えっ!?」
玲奈「いや、冗談だけど」
閑無「玲奈! てめぇこのやろっ!」
杏果「かんなパンチだ」
玲奈「暴力反対っ!」
はやり「……あの、材料たくさん用意しちゃってたから、慕ちゃんの誕生日プレゼントとは別に少し作ってきてるんだ。 よかったら食べて?」
閑無「なんだよおい仕方ないな私が食べてやるから感謝しろよはやりてめー」
杏果「食いつきいいな……」
玲奈「今度こそ涎拭けよ」
慕「……おいしい! さすがはやりちゃん! すっごくおいしいよ!」
はやり「本当? よかったぁ」
慕「はやりちゃんは本当に……お菓子作りは上手だし、かわいいし、おっぱい大きいし! 言うこと無しだね!」
はやり「はやっ!?」
閑無「セクハラやめろよ」
玲奈「慕のその胸に対する情熱はなんなの?」
慕「単純に羨ましいかな! ……私、背も低いしいまだに小学生に間違えられるし……」
閑無「意外と気にしてんのな」
慕「私もいずれははやりちゃんみたいにもっとセクシー路線に……」
はやり「はやりはセクシー路線目指してないよ!? 健全なかわいい系! 牌のお姉さん目指してます!」
玲奈「とは言っても胸でかいのは事実だよね」
はやり「はやぁ……」
杏果「はやりちゃん気にしてるんだからやめてあげなよ……」
慕「まあ、セクシーとまでは言わなくてもやっぱりもうちょっと大人っぽくなりたいなぁ……せめて、年相応に見られるぐらいには!」
杏果「慕ちゃんは年不相応に大人びてると思うけどね」
慕「それは杏果ちゃんの方じゃない? すごくしっかりしてて凄いと思うよ?」
玲奈「私からしたらどっちもどっちだぞ……」
閑無「私には及ばないけどな」
玲奈「……え? ギャグ?」
閑無「面白いことなにも言ってないだろうが!」
玲奈「うん、面白くなかった。 バカなの?」
閑無「バカじゃねーよ! そもそも笑かそうとしてないから!」
杏果「もう……隙あらばわーわーと……」
はやり「元気なのは閑無ちゃんのいいところだよっ」
杏果「まあ、そうなんだけど……このままだとなにひとつ話が進まないし……」
はやり「はやりはプレゼントも渡したし、任務完了ですっ☆」
慕「お疲れ様です瑞原少佐!」
はやり「わ、結構偉いっ」
閑無「ちょっと待てよ、私の階級はいくつなんだ!? まさかはやりより低いなんてことは……」
玲奈「閑無は一等兵な」
閑無「……よく考えたらどれくらい偉いのかわかんねぇ!」
玲奈「一等賞の一等だ」
閑無「よし! すごく偉そうだな!」
杏果「また適当なことを……」
はやり「……変に揉めるよりはいいんじゃないかな」
杏果「たしかに……慕ちゃん、今日お出かけでしょ? いつまでもぐだぐだに付き合わなくてもいいからね」
閑無「ん? 慕、どっか行くのか?」
慕「あ、うん……おじさんとちょっと……」
玲奈「へぇ。 ま、いいんじゃない? せっかくの誕生日だし一家団欒ってのも」
閑無「…………うん、そうだな。 さっさと帰れよ。 おっさんも待ってるだろ」
慕「え? うん、そうかもしれないけどもう少しぐらい……」
玲奈「ま、適当に帰ってもいいんじゃない? 部活も休みだし」
杏果「部室でだべってるんだけどね」
閑無「顧問が帰るまでは打てるぞ! 慕がいなけりゃ休みなしで打ち続けられるし!」
玲奈「いや、休みなしはきっつい……」
閑無「面子足りなくなるのも困るしな……よし! 先輩捕まえてくっか!」
杏果「この時期にか……」
玲奈「鬼だな」
はやり「まあまあ、あんまり根詰めてやっても……っていう坂根先生の方針だし、ね? 適度に力抜いて……」
閑無「お前、そんな半端な覚悟でやってたら牌のお姉さんなんて夢のまた夢だぞ!」
杏果「だからその熱血一本はやめようって話でしょうが……」
慕「春の大会に向けてみんなで頑張ろうねっ!」
玲奈「落ち着け麻雀バカ」
杏果「今日はお休みっ。 ほら、もう解散解散!」
ーーーーーー
慕「ただいまー」
耕介「おかえり、慕」
慕「えへへ、みんなからいろいろもらっちゃった」
耕介「さすがだなバースデー。 今日の主役!」
慕「えっへん! それじゃあ、晩御飯の支度だけしてから……」
耕介「いや、さすがに全部家事はやってあるよ」
慕「本当? ごめんね、いろいろやってもらっちゃって……」
耕介「いやいや、慕の誕生日なんだし今日ぐらいなにもしなくていいって……じゃ、慕の用意ができたら出かけよっか」
慕「うん! ……あ、そこの荷物なに?」
耕介「ああ、それ周藤から慕にって」
慕「周藤さんから? なんか申し訳ないなぁ」
耕介「たいしたものじゃないらしいからあんま期待しない方がいいぞ」
慕「あはは、そうなんだ。 それじゃあ帰ってきたら開けよっかな……今度お礼言わないとだねー」
耕介「いいよ、周藤だし適当で」
慕「ふふ、そういうわけにもいかないでしょ。 じゃあ、着替えてくるからちょっと待ってて!」
耕介「はいよー」
慕「おまたせー」
耕介「おっ、今日は随分とおめかしさんだな」
慕「えへへ、誕生日だからね」
耕介「誕生日なら仕方ないなー」
慕「そうそう、仕方ないよー」
耕介「よしっ、じゃあどこ行こっか? 行きたいとこある?」
慕「んー? そうだなぁ……ちょっとそこら辺ぶらぶらしてー」
耕介「そんな散歩みたいなのでいいのか? せっかくなのに……」
慕「いいよいいよ。 そういうのも楽しいから」
耕介「そっか。 それじゃあそうするか……誕生日ぐらい遠慮しなくていいんだぞ? 欲しいものとかあったらなんでも買ってやるぞ?」
慕「遠慮なんてしてないよ? それに、簡単になんでもとか言ったらダメだよー? もし私が土地が欲しいとか言ったらどうするの?」
耕介「…………こ、この家の名義を慕に……」
慕「いやいや! そんなことになっても困っちゃうよ!?」
耕介「じょ、冗談だって冗談……ま、慕がいなかったらマジでこの家も手放してたかもだしなー……」
慕「え、そうだったの?」
耕介「ひとりで暮らすにはちょっと広いしな……ま、ガキの頃から住んでるわけだし、愛着もあるから……ここで慕と一緒に暮らせてるのも嬉しいことですよ」
慕「…………えへへ、そうですか。 そうなっちゃいますかー」
耕介「うん……ほんと、ありがとな。 俺は、慕が居てくれて本当に幸せだよ」
慕「…………っ!!!」
耕介「おわっ!? ど、どうした慕?」
慕「おじさんは……おじさんは……もうっ! バカ!」
耕介「え!? なんで!?」
慕「急にそういう……は、恥ずかしいこと言うのは……禁止ですっ! ダメ!」
耕介「え、いや、こういう機会だしたまにはいいこと言おうかと俺なりにだな……」
慕「もう……もうっ!」
耕介「な、なにもそんなに怒らなくても……」
慕「全然怒ってないです! 照れてるだけだから!」
耕介「そうなの?」
慕「そーなの! うぅ……もう、おじさんは……」
慕「…………わ、私も、おじさんが一緒に居てくれて、すっごくありがたいし、うれしいし、幸せだからね……?」
耕介「へへ、そっか」
慕「そうだよ」
耕介「……そっか」
慕「うん」
耕介「へへ」
慕「ふふっ」
耕介「……よし! 慕、久しぶりに手とか繋いでみるか!」
慕「えっ!?」
耕介「こう……仲よし感を!」
慕「ち、中学生にもなってそんな、恥ずかしいんだけど!? 正気ですか!?」
耕介「あ、やっぱり嫌か?」
慕「嫌じゃないけど! お願いします!」
耕介「お願いされましたー」
耕介「ふーむ……」
慕「ど、どうしたの?」
耕介「いや、普段いつも一緒だからなかなか気がつかないけど……やっぱり、慕もおっきくなってるんだなぁ……」
慕「本当に!? 背とか伸びたかな?」
耕介「んー……たぶん。 手もちょっと大きくなった」
慕「へへ、もう中学生だからね! すぐに大人の仲間入りだよっ!」
耕介「中学生なんてまだまだ子どもですって……まあ、実際あっという間なんだろうけどなぁ……慕もちょっと前までこんなにちっちゃかったのに」
慕「あ、おじさん今のはすっごくおじさんっぽい台詞だよ?」
耕介「ぐっ……おじさんじゃない方のおじさん的な意味でか……」
慕「今のはおじさん的な意味でのおじさんですねー」
耕介「それはやだなー……ほら、俺もまだまだ若いし! 慕のためにもちゃんとカッコいいおじさんでいたいしなー」
慕「…………お、おじさんはちゃんとカッコいいよ?」
耕介「本当に? そうだといいけどなぁ」
慕「大丈夫だよ! おじさんは私の自慢のおじさんだから!」
耕介「そっか、ありがとな。 慕も、俺の自慢の姪だよ」
慕「えへ、ありがとうっ!」
耕介「……なあ、慕、本当に何か欲しいものとかないのか? 誕生日だし、ちゃんと何か贈りたいんだけど……」
慕「いいよ、そんなの。 私、おじさんとお出かけしてるだけですっごく楽しいし」
耕介「とは言ってもそういうわけにもなぁ……」
慕「おじさんが今日私のために、って家のことやってくれたり、一緒にお出かけしてくれるだけで本当にうれしいんだもん」
耕介「……そっか。 でもそれじゃあ俺の気がすまないし……晩御飯、どっかで食べてくか? 奮発してちょっと豪華なお店とかでも……」
慕「無駄遣いしちゃダメ! あ、それじゃあ帰りは一緒にスーパー寄ってお買い物しよっ? ちょっと豪華にご飯作ろうよ、ふたりでっ!」
耕介「……それじゃあ、そうするかあ……あ、でも慕」
慕「なぁに?」
耕介「俺は、慕のために何かお金を使うのは無駄遣いだとは思ってないからな? 誕生日だからってわけじゃないけど……普段からやっぱり欲しいものとかあったらちゃんと言ってほしいぞ」
慕「……うん、ありがとうおじさん!」
耕介「……結構歩いたし、そろそろどっかで休憩するか? のんびりお茶とかしてさ」
慕「あ、それなら私、この前行った喫茶店がいいな。 坂根先生のお友だちのやってる……」
耕介「ああ、あそこか。 あの店は雰囲気いいし落ち着いた感じして良かったよなあ……よし、行くか! あっちだっけ?」
慕「うん!」
耕介「ケーキとかどんどん食べていいからなー」
慕「え? でもはやりちゃんのところで買ってきてくれたんでしょ?」
耕介「それはそれ、これはこれ! 慕だってケーキ好きだろ? 食べられるときに食べないと!」
慕「うん……でも、あんまり食べて太っちゃったら嫌だしなぁ……」
耕介「むしろ慕は細すぎだろ? まだまだ中学生だし、普段しっかりしてるから大丈夫だって」
慕「…………それじゃあ、ちょっとだけ、食べちゃおっかな……?」
耕介「うん、晩御飯食べられる程度にしとけよ?」
慕「むぅ……大丈夫だよっ! そこまでお子様じゃないもん」
耕介「はは、そうだな。 悪い悪い……慕も中学生だもんなぁ」
「いらっしゃいませ」
慕「こんにちはっ!」
「あら、チサのとこの……今日もデートですか」
耕介「はは、まあそんな感じで」
慕「!」
耕介「こいつ今日誕生日なんですよ」
「あら、それじゃあサービスしないとですね」
慕「そ、そんっ……そんな! 大丈夫ですよ! えへへ……悪いですし……」
「いえいえ、気にしないでくださいな。 あなたたちが入ってきてからチサも本当に張り切ってて楽しそうですし……春の大会も頑張ってね」
慕「あ、ありがとうございますっ! 頑張りますっ!」
「うん、応援してるから! それじゃあ、注文が決まったら声かけてくださいねっ」
慕「はいっ」
耕介「……店員のお姉さんともすっかり仲よしだな」
慕「へへ、すっごくいい人だよね。 先生のお友だちで……冬の大会の時は会場まで応援に来てくれてたし」
耕介「そうなのか……母校でもないのにありがたいなぁ」
慕「うん……先生も期待してくれてるみたいだし、私ももっともっと頑張るからねっ!」
耕介「うん、俺も応援してるからな」
慕「ありがとうおじさん。 ……ふふ、もうすぐ後輩も入ってくるんだろうし、しっかりしないと!」
耕介「そうか、もうそんな時期になるのか……この前までランドセル背負ってたのになぁ……」
慕「ふふ、もう……だからそれはおじさんっぽいってば」
耕介「む……ついつい感傷的になっちゃうな……気をつけないと」
慕「ふふ、そうそう、気をつけて! あ、後輩といえば今日心ちゃんが電話くれてね……」
耕介「ああ、沖縄の……そういや、慕のいっこ下だったから来年からはまたライバルか」
慕「そうなの! 与那嶺さんと一緒に全国で打つことになるだろうから……今からもう楽しみなんだぁ」
耕介「あんまり気を抜いちゃダメだぞ? 県内にだって強い選手はいっぱいいるんだからな?」
慕「わかってますって! 悠彗ちゃんたちともまた戦わないとだし……楽しみ!」
耕介「楽しみがいっぱいでいいな」
慕「うん! 麻雀すっごく楽しいから!」
慕「…………」
耕介「……どうした、慕?」
慕「ケーキ……おいしい……」
耕介「黙っちゃうほどかー」
慕「うん、最近あんまり食べてなかったし……なんかアレだね。 革新的なものを食べた気分に……」
耕介「ふふ、もう一個ぐらい食べちゃうか?」
慕「……いやいや! 大丈夫です! 帰ったらはやりちゃんのとこのケーキもあるし! それを楽しみに今日も一日頑張ります!」
耕介「もう一日やることも特にないけどな……」
慕「いやいや、おじさん……これからタイムセールという名の戦場に飛び込むんだから甘いこと言ってられませんよ?」
耕介「あ、スーパー行くのってそれもあるのか……」
慕「卵!お一人様2パックまで! 絶対4つ確保するよ!」
耕介「そんなに卵買って消費しきれるか……?」
慕「オムライスとかにしようよ。 あとは……久しぶりにお菓子とかも作りたいし……結構使いきる見通しはできてますから!」
耕介「なるほど……はやりちゃんに感化されたか」
慕「うん! はやりちゃんがお菓子作ってきてくれたし、私も何か作ってお返ししたいからね! まあ、腕前はちょっと劣っちゃうけど……」
耕介「そんなことないって。 俺は慕の作るものが一番だよ」
慕「……えへへ、もう、おじさんったら口が上手なんだから~」
耕介「いやいや、本当に思ってるって」
慕「もう! もうっ! えへへ……」
耕介「ふふ……あ、もうこんな時間か。 タイムセール目指すならそろそろ向かった方がいいだろ」
慕「え? ……あ! ほんとだ、もうそんな時間かぁ……じゃあ、名残惜しいけど行きますかっ」
慕「ケーキ、おいしかったです」
「ふふ、それはよかったです。よかったらまたお越しくださいね」
慕「もちろんですっ! ありがとうございましたっ!」
「こちらこそです。 ありがとうございました!」
耕介「いや、しかしほんといいとこだよな。 コーヒーもうまいし、食べ物の方もかなり……」
慕「うんうん、お店の雰囲気もいいし、先生のお友だちのお姉さんもすっごくいい人で!」
耕介「しかもけっこう美人だしな」
慕「…………うん、そうだね」
耕介「……ん? どうした慕?」
慕「あ、おじさん! そういえば今日はトマトも特売ですっごく安いんだよっ! せっかくだからたくさん買っておかないとね!」
耕介「へ!? な、ちょ、そんなにトマトあっても食べ切れな……」
慕「大丈夫大丈夫、毎日食べればたくさんあっても食べきれるから、ねっ?」
耕介「え、いや……でもですね、慕さん……慕さん!?」
慕「そういえば、年明けてからまだ一回もやってなかったもんね! 今日は今年初のトマトパーティーにしよっか!」
耕介「し、慕!? いや、でもほら、それは……それは、ね!?」
慕「私、誕生日プレゼントはいっぱいのトマトがいいな?」
耕介「…………はい、わかりました……トマトにします……」
カン!
慕たんイェイ~
シノリチャが公式から供給過多でどうにかなりそう
電話する度に心ちゃんが「白築おねーさんが与那嶺殺すって言ってたよ!」ってしつこいほど言うからだんだん信じちゃって全国で会ったときに半泣きで慕ちゃんに謝罪する若菜ちゃんください
乙
いいぞ~これ
やっぱりシノリチャがナンバーワン!
おつおつ
最新話のデートですか?で顔が緩む慕ちゃんは今まで一番露骨なシノリチャ描写でしたね
く そ か わ
あぁ^~シノリチャええんじゃぁ^~心が洗われるんじゃぁ^~
乙です
尊い・・・尊いわぁ~
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