「大人には見えないドラゴンが居た」 (4)


「あれ、お前今日も来たのか」

「ぴゅい!」

大人には見えないドラゴンを、親に内緒で飼っていた。
飼っていた、といえば語弊があるが、家の納屋に出入りしていたそいつに、たまにドングリなんかをあげるのが楽しみだった。

「ぴーい!」

不思議と肉なんかは食べずに、ドングリとか、驚いたことにビー玉なんかを好んで食べた。
ひとしきり食べた後は決まって口から火を噴く。

一度顔に向かって思い切り吹きかけられたことがあるが、少し温かな風と言った様子で、焦げ跡一つ見つからなかった。
不思議な生き物だ。

「あ、今日持ってきたのもうなくなっちゃったや」

「むー!」

「明日も来るからさ、またいっぱい松ぼっくりとか持ってきてやるよ」

「ぴいい!」

昔から、こういうファンタジーな事が起こらないかずっと夢見て過ごしてきた。
だからこいつを見つけた時には心が躍った。

高校一年生にもなってロクな友達も出来なかった僕にとって、こいつは初めての友達と呼べる存在なのだ。

「じゃ、明日な!」

「ぴ!」

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君が死んでからもう1年。

君は今も僕を見守ってくれているのかな?

君は、僕の生まれて初めて出来た友達だった。

すごく嬉しくて、幸せだったなあ。

突然、白血病だって医者に宣告されてから、君は病室で日に日に弱っていった。

「病院ってひまねえ」

そう笑う君を見て、僕はいつも泣いていたんだ。

君の為に、僕の小汚いノートパソコンをあげたら、君はすごく喜んでくれたよね。

ネットをするようになった君がいつも見ていたサイト、それが「2チャンネル」だった。

ある日君はいつものように、笑いながら言った。

「ほら、見て今日も2ゲット出来たよ」

「あまりパソコンばっかいじってると身体に障るよ」

なんて僕が注意すると、

「ごめんねえ。でもね、これ見てよ。ほら、この3のひと、2げっとぉ!なんて言っちゃってさぁ、ふふ」

僕は黙っていた。君がすごく楽しそうで、僕は何も言えなかった。

「ほらみて、この3のひと、変な絵文字使ってくやしぃ~!だって。かわいいねえ。ふふ。」

僕はまだ黙っていた。笑う君を見て、どうしようもなく悲しくなった。

「憶えててくれるかなあ」 

君がふと言った。

「この3のひと、私がいなくなっても、あの時変な奴に2をとられたんだよなー。なんて、憶えててくれないかなあ……無理かな……憶えてて、ほしいなぁ……」

それから数ヶ月後、君は家族と僕に見守れながら息を引き取った。

君はもうこの世に居ない、なのに僕は今F5を連続でクリックしている。

君の事を、3のひとが忘れないように、いつまでも、いつまでも忘れないように。

天国にいる君と一緒に、今ここに刻み込む

      2 ゲ ッ ト

ぷかぷかドラゴンか

続きは?

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