「あれ、お前今日も来たのか」
「ぴゅい!」
大人には見えないドラゴンを、親に内緒で飼っていた。
飼っていた、といえば語弊があるが、家の納屋に出入りしていたそいつに、たまにドングリなんかをあげるのが楽しみだった。
「ぴーい!」
不思議と肉なんかは食べずに、ドングリとか、驚いたことにビー玉なんかを好んで食べた。
ひとしきり食べた後は決まって口から火を噴く。
一度顔に向かって思い切り吹きかけられたことがあるが、少し温かな風と言った様子で、焦げ跡一つ見つからなかった。
不思議な生き物だ。
「あ、今日持ってきたのもうなくなっちゃったや」
「むー!」
「明日も来るからさ、またいっぱい松ぼっくりとか持ってきてやるよ」
「ぴいい!」
昔から、こういうファンタジーな事が起こらないかずっと夢見て過ごしてきた。
だからこいつを見つけた時には心が躍った。
高校一年生にもなってロクな友達も出来なかった僕にとって、こいつは初めての友達と呼べる存在なのだ。
「じゃ、明日な!」
「ぴ!」
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君が死んでからもう1年。
君は今も僕を見守ってくれているのかな?
君は、僕の生まれて初めて出来た友達だった。
すごく嬉しくて、幸せだったなあ。
突然、白血病だって医者に宣告されてから、君は病室で日に日に弱っていった。
「病院ってひまねえ」
そう笑う君を見て、僕はいつも泣いていたんだ。
君の為に、僕の小汚いノートパソコンをあげたら、君はすごく喜んでくれたよね。
ネットをするようになった君がいつも見ていたサイト、それが「2チャンネル」だった。
ある日君はいつものように、笑いながら言った。
「ほら、見て今日も2ゲット出来たよ」
「あまりパソコンばっかいじってると身体に障るよ」
なんて僕が注意すると、
「ごめんねえ。でもね、これ見てよ。ほら、この3のひと、2げっとぉ!なんて言っちゃってさぁ、ふふ」
僕は黙っていた。君がすごく楽しそうで、僕は何も言えなかった。
「ほらみて、この3のひと、変な絵文字使ってくやしぃ~!だって。かわいいねえ。ふふ。」
僕はまだ黙っていた。笑う君を見て、どうしようもなく悲しくなった。
「憶えててくれるかなあ」
君がふと言った。
「この3のひと、私がいなくなっても、あの時変な奴に2をとられたんだよなー。なんて、憶えててくれないかなあ……無理かな……憶えてて、ほしいなぁ……」
それから数ヶ月後、君は家族と僕に見守れながら息を引き取った。
君はもうこの世に居ない、なのに僕は今F5を連続でクリックしている。
君の事を、3のひとが忘れないように、いつまでも、いつまでも忘れないように。
天国にいる君と一緒に、今ここに刻み込む
2 ゲ ッ ト
ぷかぷかドラゴンか
続きは?
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