【デレマス】さちまゆアラカルト (26)

幸子とまゆが付き合ってる短編集です。
キャラ崩壊、設定変更、百合等あるかもしれませんので、苦手な方はご注意ください。



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「手料理」

まゆ「お待たせしました~」コトッ

幸子「わぁ、美味しそうです!」

幸子「……すみませんね、急に押し掛けたうえわざわざおやつまで作ってもらっちゃって」

まゆ「いいえ、お仕事で疲れてる幸子ちゃんにはそれぐらいのご褒美があって当然です!」

まゆ「それにパンケーキなんて簡単な料理ですから。好きなだけ食べてくださいね」

幸子(おぉ……家庭的です)

まゆ「メープルシロップとチョコシロップがありますけど、どっちにします?」

幸子「じゃあメープルで」

まゆ「……あ、じゃあまゆがっ、まゆが文字描いてあげますっ」ピョコピョコ

幸子「お、おぉ、なんか恋人っぽいです」

まゆ「えへへ」

まゆ(だ、い、す、き……っと)トロー

まゆ「よし、できましたぁ」


幸子「…………」

まゆ「…………」

まゆ「透明だと染み込んで見えないです……」

幸子「チョコシロップにすればよかったですね」

まゆ「上からかけます?」

幸子「……いえ、甘いのはもう充分です」

幸子(ボクたちだけで……なーんてね)フフン

幸子「んっ」パクッ

幸子「……ん! おいしいです、とっても! まゆさんは料理上手なんですね!」モグモグ

まゆ「うふふ、お口に合って良かったですよぉ」

幸子「あっという間に一枚ペロリといけちゃいますねっ!」モグモグモグ

まゆ「嬉しいですけど、よく噛んで食べてくださいよ?」

幸子「はいっ! はふっ、あぢ、あぢっ!」

まゆ(言ってるそばから……)

~~~

幸子「もぐもぐもぐ」

幸子「ふうっ……」ケプ

幸子(コレ、一人前にしては多すぎる……)

幸子(どんなに食べてもいいように、たくさん焼いた……にしたって多すぎですよ。まゆさんらしいですけど)

幸子(どうしよう、もうお腹はちきれそうなのにまだ二枚もあります……)

幸子(ここまででもかなり無茶した方なんですけど……)

まゆ「…………」ニコニコ

幸子(ううっ……! そんな顔をされたら、食べ残すわけにはいかないじゃないですかぁっ……!)

幸子(多少大盛りな愛でも、すべて受け止め切るのが輿水幸子なんです!)

まゆ「……もう、いりませんか?」

幸子(し、しまった! ちょっと手を止めすぎました?)

幸子「そ、そんなことありません! あとちょっとですし、全部いただきますよ! とってもおいしいですから!」

幸子(そうです、おいしいです。全部食べますとも!)モグ

幸子「パクパクパクパク」

幸子「むぐっ……ごくっ……ぜえっ……ふー……」

まゆ「幸子ちゃん? 無理はしなくても……」

幸子「無理してません。全然無理とかしてませんから」キリッ

幸子(あと一枚……呼吸を整えて……)スーハー

幸子「はむっ、はむっ!」

幸子(うっ、パンケーキってこんなに口に残りましたっけっ……)モチャモチャ

まゆ「…………」

幸子(ああぁあまゆさんが不思議そうな不安そうな目で見てる!)

幸子(大丈夫です! ボクがまゆさんの手料理を残すわけがありませんから!)

幸子「うぷ」

幸子(あとは……牛乳で一気に……!)ゴクゴク

幸子「……っ、ぷはー……ごちそう、さまでした……」

まゆ「…………」ジー

幸子「はぁ……はぁ……なんですか? どこかシロップでも付けちゃってますか……?」ウプ

まゆ「いえ……すっごくお腹空いてたんですね、幸子ちゃん」

まゆ「余った分食べようと思って、二人分作ったんですけど……まさかペロリなんて」

まゆ「あ! いえいえ、良いんですよ? 何度でも焼けば良いんですから! そんなに喜んでもらえて嬉しいですし……あ、おかわりいりますか?」

幸子「……さ」

幸子「先に言ってください! それぇ……」ガクッ

まゆ「幸子ちゃんっ!?」

幸子「」キュー

まゆ「あぁ……やっぱり無理して……」

幸子「気付いてたんならなおさらですよ……ドSですか?」

まゆ「……ちょっぴり」

まゆ「言わなかったら全部食べてくれちゃうかなー、なんて。うふふ」

幸子「……食べますよ、まゆさんが作ってくれたんですから」

まゆ「……!」

まゆ「あぁ! もう! 幸子ちゃんてばぁ……!」グワ

幸子「あ、今ホント限界なんで抱きつくなら蹴ります」ゲシッ

まゆ「ふぎゃ! もう蹴ってるじゃないですかぁ……」

幸子「乙女の尊厳のためです」

まゆ「……じゃあ腕なら」ギュ

幸子「……いいですけど、腕なら」

まゆ「…………」

まゆ「また今度、パンケーキ焼きますね」

まゆ「その時は、二人で食べましょう」ニコ

幸子「…………」

幸子「いや、もう当分はいいです……」

まゆ「えー」

おわり

「ねこ」

幸子「はぁ、はぁ」タッタッ

幸子「すみません! 待たせちゃいましたか!?」

まゆ「きゃーんっ、くすぐったいですっ」

ねこ「にゃーん」

幸子「……!?」

まゆ「あ、幸子ちゃんどうも、まゆも今着いたばかりですよ」

幸子「それはよかったです……で、そのねこは一体……?」

まゆ「のらねこです。あんまり可愛かったので菓子パンをあげたら、懐かれちゃいまして~」

幸子「はぁ」

まゆ「ほらほら! もうだっこ出来るくらい仲良くなったんです! かわいいでしょ~?」ダキッ

ねこ「なー」

幸子「確かに、ノラにしてはだいぶ毛ヅヤも綺麗ですね」ジー

幸子「人を怖がらないところを見ると、いろんな人から食べ物を貰っているんでしょうか」ジロー

ねこ「…………」

ねこ「しゃーっ!」ネコパンチ

幸子「あぅ!?」ベチッ

まゆ「あらあら~、幸子ちゃんは嫌われちゃったみたい?」ニコニコ

幸子「うぅ……いきなりアイドルの顔を殴るなんて……」

ねこ「しゃー」トクイゲ

幸子「ぐぬぬ」

まゆ「まぁまぁ、ねこちゃんのすることだから、ね? ゆるしてにゃ~」

幸子(完全にねこの虜になっちゃってますね、まゆさん……)

幸子(そいつはわがままで王様気分で気分屋です! はやく目を覚ましてください!)

ねこ「ぺろぺろぺろ」

まゆ「!!」ビクッ

幸子「って、指舐められてますよまゆさん! ノラだからバイ菌とか……」

まゆ「かっ……!」キューン

幸子「えっ」

まゆ「かわいぃぃぃぃ~~!」バタバタ

まゆ「なんですかこの愛くるしい生き物は! 欲しいです! 飼いたいです! もううちの子です!」

まゆ「よしよしよーし、気持ちいいにゃー?」ナデナデ

ねこ「ふにゃー」ゴロゴロ

まゆ「ふにゃぁぁーー!」デレー

幸子(あ、あぁ、ボクのまゆさんがさらに遠くにぃー!)

まゆ「かわいいっ、かわいいっ!」

幸子「……こほん、まゆさん。そろそろ映画館に向かわないと良い席取れませんよ?」

まゆ「えー、あとちょっとー」ナデナデ

ねこ「うにゃー」スリスリ

幸子「…………」

まゆ「よーしよし……ほら幸子ちゃんも抱いてみませんか? かわいいですよー?」ダキアゲ

幸子「ボクは結構です。嫌われてるみたいですし」イライラ

まゆ「んー……なにがいやなのかにゃ? にゃ~?」

ねこ「…………」クンクン

幸子「ちょっ! そのねこ顔に噛みつこうとしてませんか?」

まゆ「いえいえ、これはまゆのにおいを嗅いでるだけですよ?」

まゆ「こうして、ねこは仲間を見分けて……ひっ、ひゃんっ!?」ビク

ねこ「ぺろっぺろっ」

幸子「うわぁぁぁぁああああ!? ほっぺ!? まゆさんのほっぺた舐めた!」キャー

まゆ「幸子ちゃん! そんな大声出したら……!」

ねこ「ふしゃー!?」ビクッ

ねこ「」ダダダダッ

まゆ「ほらー、ねこちゃんが逃げちゃったじゃないですかぁ」

幸子「……え? ボク?」

まゆ「ねこちゃんにほっぺ舐めてもらえるなんて生まれて初めてだったのに……台無しですよぉ……」ムスッ

幸子「え、えと……」

まゆ「ほーらねこちゃ~ん」クルッ

まゆ「またこっちおいでにゃ~? だっこもしてあげるよ~?」シャガミ

幸子「…………」

幸子「…………」プチッ

まゆ「怖くないよ~、今度はおどかしたりしないよ~」

幸子「…………」ユラァ

まゆ「ほらトゥットゥッ……きゃっ!? な、何!?」

幸子「…………」ダキツキ

まゆ「なんですか幸子ちゃん……? 背中から抱きついたりして」

まゆ「今ちょっと大事なところなんです、邪魔しないでください!」

幸子「…………」

幸子「……にゃあ」

まゆ「……えっ?」

幸子「にゃあん」スリスリ

まゆ「どっ……どうしちゃったんですか!?」

幸子「……これなら満足かと思って。ねこが大好きなまゆさんは」ムスー

まゆ「……え? え?」

まゆ「…………」ピーン

まゆ(何? そーゆーことですか? え? 妬いちゃったってこと? ねこちゃんに? さすがに可愛すぎませんかそれは!)

幸子「いい……んですよ? 別に無理になんて言いませんから……」モジ

幸子「ここでねことずっと一緒に遊んでたいんですか……? それとも……」

幸子「ボクと、二人っきりのデート……再開しますか?」ウワメ

まゆ「!!!」ズキューン

まゆ(そんな言い方されたら……断れるわけないですよぉ!)

まゆ「はいっ……行きます行きます幸子ちゃん!」ギュ

幸子「ふ……フーン! それでいいんです! あのねこもカワイかったかもしれませんが、ボクはその上をいくカワイサです!」ドヤ

まゆ(それだと幸子ちゃんが超カワイイペットみたいなポジションになっちゃうんじゃ……)

まゆ「…………ふむ」

幸子「さぁまゆさん、お手を拝借……って何ですかこの手は」

まゆ「…………」ナデナデ

幸子「わわっ、あんまぐりぐりしないでください、髪が乱れちゃいます~」ワタワタ

まゆ「…………」サラサラ

幸子「あっ、耳のとこは……あぅ……くすぐったい……やめ、っ」フニャ

まゆ「なるほど……アリですね」

幸子「何がですか」

おわり

「すきなこと」

幸子「…………」シンケン

まゆ(タイクツです……)

幸子「…………」ペラ

まゆ(いくら面白い本見つけたからって、二人きりの時にまで読むことないじゃないですかぁ……)

幸子「…………」ペラ

まゆ「はぁ……」アミアミ

幸子「…………」ペラ

まゆ「綺麗な髪……」アミアミ

幸子「……?」

幸子「ちょっと!? 何勝手にボクの髪を編んでるんですか? うっとーしーです!」

まゆ「幸子ちゃんが構ってくれないから……」アミアミ

幸子「やめてください」

まゆ「あっ、三つ編みじゃなくて盛り髪とかの方がいいですかぁ?」

幸子「」ジトッ

まゆ「ご、ごめんなさい冗談です……」

幸子「そーですか」プイ

まゆ「…………」

幸子「…………」ペラ

まゆ「あ、あのー……」

幸子「何ですか?」ジッ

まゆ「い、いや、何でもないんですけどー……」

幸子「…………」

まゆ「……用もないのに声掛けてゴメンナサイ」

幸子「はい」

まゆ「…………」

幸子「…………」

まゆ「……あっ、そ、そうだ!」ゴソ

まゆ「今日駅前でケーキ買ってきたんですよ、美味しそうだと思って」

まゆ「ほら幸子ちゃんの分もありますよぉ。ショートケーキとシュークリーム、どっちがいいですか?」

幸子「…………別にどっちでも(いいのでまゆさんは好きな方どうぞ)」ペラ

まゆ(ついにこっちすら見てくれない!)ガーン

まゆ(いつもなら『カワイイボクに似合うのはショートケーキに決まってますよ!』とか言いそうなのに……)

幸子(……シュークリーム……ショートケーキ……その2つならショートケーキ食べたい)

幸子(まぁいいや、残ってたらで)ペラ

まゆ(くすん……素っ気ないです……)

まゆ(いいですもん、まゆもハニートラップ仕掛けちゃいます……)

まゆ(本なんかには、負けません……)

まゆ「…………」ゴソゴソ

まゆ「あむ」

まゆ「」トントン

幸子「んー? 何ですか?」ペラ

まゆ「」とんとんとんとん

幸子「だーっ! 何なんですかもう!」クルッ

まゆ「ふがふふが」

幸子「……なんでシュークリームを咥えてるんですか?」

まゆ「」チョンチョン

幸子「シュークリームの反対側を……? まさか、かじりつけと?」

まゆ「」コクコク

幸子「えっ……」

まゆ「」ウワメ

幸子「はぁ……何考えてるんですか……」

幸子「食べ物で遊んじゃダメですよ。てゆーかくだらない事で邪魔しないでください。今良いとこなんです」プイ

まゆ「」ガーン

幸子「…………」ペラ

まゆ「」

まゆ「」モグ

まゆ(くだらない……くだらないこと……)モグモグ

まゆ(くだらなくないもん……)ゴクン

まゆ(なくないもん、嫌われてなんかないもん……)

まゆ(きっと虫さんの居所が、悪いだけだもん……)グスン


まゆ「…………」シュン

幸子「…………」チラ

幸子(ちょっと今のは言葉選びが悪かったかなーと思ったらこれですよ)

幸子(隣でそんな顔されたら読書に集中出来ないじゃないですか)ムー

幸子「…………」

幸子(あ、ほっぺに、クリーム付いてる……)

まゆ「…………」ズーン

まゆ(やっぱりうっとーしかったんですかね……まゆは幸子ちゃんの気を引きたかっただけで――)

幸子「……ぺろ」

まゆ「ひゃあっ!?」ビク

幸子「れろ……ちゅっ……」

まゆ「ひゃ、ひゃ、ひゃ……!」ゾクゾク

まゆ「な、ななになんですか……!?」

幸子「……クリーム、付いてました」

幸子「それだけですっ……」プイ

まゆ「!」パァッ

まゆ(嫌われてなかったぁ~!)

まゆ(いつもなら恥ずかしがってしてくれない、クリーム舐めとりまでしてくれるなんて……!)

まゆ(嫌われてない! むしろ好かれてます! そりゃ当然です! えへへぇ~……)

まゆ(しあわせ、しあわせ、幸せすぎますっ!)

まゆ(あ、もしかして……今までのも嫌がってたのは、見た目だけ? そういうフリ?)

幸子「…………」ペラ

まゆ(顔赤くしちゃって……冷静に本読んでるふりしても、ムダですよ~)

まゆ(期待してるんですよね? 幸子ちゃんも実はまゆにちょっかい出して欲しいんですよね? つっけんどんな態度でもスキンシップ、求めてましたね? 幸子ちゃんのツンデレっ)

まゆ「…………」ジー

幸子「…………」ペラ

まゆ「…………」コチョコチョ

幸子「うひゃうッ!」ビクン

幸子「……っ!」ギロリ

まゆ「」ドキッ

幸子(甘やかすとすぐこれって……どんだけボクが好きなんですか)ジトー

まゆ(あれ、あんまり嬉しそうじゃない……?)

幸子「…………」ジト

まゆ「…………」アセ

幸子「……あー、もう面倒です……膝枕してあげますから、読み終わるまで大人しくしててください」

まゆ「あ、えっと、はーい」ポス

幸子「やれやれ……」ペラッ

さちまゆ(……まぁ、これはこれで結果オーライですかね)

おわり

「まほう」

まゆ「幸子ちゃんトリックオアトリートー」ガチャ

幸子「はいアメどうぞ」

まゆ「はいありがとうございます」

幸子「魔女コス気合入ってますねー。ホウキまで持って」

まゆ「うふふ。幸子ちゃんにも魔法をかけちゃいますよ? それーっ」

まゆ「……というのは建前で、一息つきにきました……この恰好だと引っ張りだこなので」ポス

幸子「なかなかの人気者ですね」

まゆ「次のライブまで、見つからないように休憩したくて……」

まゆ「ふー……」

幸子「…………」チラ

まゆ「…………?」チラ

幸子「っ!」

まゆ「……どうかしました?」

幸子「……えー、その。疲れてるとこ悪いんですけど、できればドレス姿のまゆさんもよく見ておきたいなー……って」

まゆ「あ、み、見たいんですか! どうぞどうぞっ」パアッ

幸子(見せたかったんですね……)

まゆ「ど、どうですか……?」ファサ

幸子「おぉー……」

まゆ「…………」ドキドキ

幸子(カワイイとはかけ離れた、大人の雰囲気ですね……)ジー

幸子(そしてそこはかとなく……エロい)ジロジロ

まゆ「そ、そんな舐めるように見られると……」カァ

幸子「えっ!? いやよく見ようとしただけ……」ギクッ

まゆ「……じっくり見ても、透けてませんよ? ステージ衣装ですからね?」

幸子「そっそんなこと考えてませんよ! もうっ!」

幸子「……こほん。とっても、似合ってますよ」

まゆ「えへへ、ありがとう」

幸子(もっと褒めて褒めて褒めまくりたいのに、うまく言葉にならないです……)ジー

幸子(あー……なんというか、黒くて……ヒラヒラで……それがとっても大人っぽく艶やかで……まるでキャバ――)ハッ

幸子(なわけないっ!)ゴンゴンゴン

まゆ「いきなり机にヘドバン!?」

幸子(ちがうちがうなにもかんがえてません)グリグリ

まゆ「幸子ちゃん……」ドンビキ

幸子「まゆさんは魔女まゆさんは魔女まゆさんは魔女」ブツブツ

まゆ「いや魔女ではないんですけど……」

幸子「魔女です! どっからどーみても立派な魔女だとこのボクが保証してあげます!」

幸子「どうですかー、これだけ完璧な魔女スタイルだと、もし魔法が使えたらとか思っちゃいませんか!」

まゆ「魔法……いいですねぇ」

幸子「ええ! なんでも叶う、おとぎ話の。まゆさんならやっぱり、ファンの皆さんを魅了する魔法とか使うんでしょうか?」

まゆ「うーん……あれは、えぇ……あれも、嘘じゃないんですけどー……やっぱり一番したいことって言われたら違いますねぇ」

幸子「そうなんですか?」

まゆ「まゆが魔法でなんでもできるとしたら……多分自分だけのために使ってしまいますよ。それはもうメチャクチャに」

幸子「え、自分のため、というと……」

まゆ「わがままな恋の魔法、ですよ」

幸子「まぁ……ですよね」

まゆ「もっと一緒にいたいって。相手の望むように綺麗になりたいって。振り向いてくれるような偶然が欲しいって。邪魔する人がいるなら……」

幸子「…………いるなら?」

まゆ「うふっ」


まゆ「まゆはシンデレラよりも、人魚姫のほうがお似合いなのかもしれません」

まゆ「一度きりの出会いに運命を感じて、届かないとしても無理に手を伸ばして、その人のためなら声も命も投げ出して奇跡にすがる……なんて」

まゆ「やりかねませんね。うふふ……」

幸子「…………」

まゆ「…………」

幸子「……届いてますよ」

まゆ「…………」

幸子「…………ねっ?」ギュッ

まゆ「そう……ですね。いいこと言いますね幸子ちゃん」ニコ

幸子「ボクはいつもいいことしか言いません」フン

まゆ「…………」

幸子「なんですかその目は」

まゆ「いえ、べつに……」


まゆ「じゃあ、今は魔法で無理矢理にでも手に入れたいものはないですね」

幸子「……いやいや、もっと平和な使い道でいいんですよ」

まゆ「それじゃあ……いつでもどこでも幸子ちゃんが何をして何を考えてるのかわかる魔法とか欲しいですねぇ」ウフフ

幸子「…………」

幸子「……え?」ガンミ

まゆ「あっ……や、ちがっ、冗談です!」アタフタ

幸子「ウソです。今のは目が本気でした」カタカタ

まゆ「目なんかでわかるんですか!?」

幸子「なんかコーコツとした表情してたので……」ブルブル

まゆ「……まぁ、実際かなり欲しいですけど」

幸子「あ、ほらそろそろスタンバイですよ、休憩終わりです」

まゆ「あっ、あっ! 目を逸らさないで幸子ちゃん!」

幸子「…………」プイー

まゆ「……うぅ」

幸子「……はいはい、そこまで引いてませんから」クルッ

まゆ「……っ! じゃあついでに、これからライブのまゆに励ましのキッスでも……」

幸子「調子に乗らないでください! はい立って立って!」

まゆ「幸子ちゃんのけちんぼぉ……」

幸子「…………」

幸子「ちゃんと頑張れたらごほうびくらいは……考えといてあげなくもないです」フン

まゆ「!」

幸子「が、頑張ったら、頑張れたらですよっ」カァ

まゆ「ありがとう幸子ちゃん~」スリスリ

幸子「あぁ……も、もう! 時間がないんですしシャンとしましょう!」

まゆ「は、はいっ!」ピシッ

幸子「えーと……箒はもちましたか? アクセサリー取れてませんね?」ジロジロ

幸子「……よし」

幸子「では、頑張ってきてくださいねまゆさん」

まゆ「……はい、いってきます、幸子ちゃん」

まゆ「ファンの皆さんに……とびっきりの魔法をかけてきちゃいますっ」

おわり

前回のフェスでは、無事銀枠の幸子を引き当てました。満足です。

ご覧頂きありがとうございました。

乙。

かわいいから大丈夫だよね
おつ

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