【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【四輪目】 (1000)

このスレは安価で

久遠天乃は勇者である
結城友奈は勇者である
鷲尾須美は勇者である
乃木若葉は勇者である
久遠陽乃は……である?

を遊ぶゲーム形式なスレです


目的


・バーテックスの殲滅
・勇者部のみんなを生き残らせる
・勇者部の精神安定


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる

※HPに関しては鷲尾ストーリーでは0=死になります


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%


wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新 ※前周はこちらに



前スレ
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【一輪目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1464699221/)
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二輪目】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【二輪目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1468417496/)
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【三輪目】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【三輪目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1472477551/)


立て乙


天乃「ええ、同じ理由よ」

天乃は逡巡ののちに、そう答えた

東郷に真実を語ること

それはすごく避けたいことで、叶うならば

不運でありながら幸運な忘却に委ねようとさえ思っていた

しかし、大切な記憶を失いながらも東郷は気づき始めている

よくよく考えれば、気づいてしまいかねないこと

自分たちの障害の理由や、精霊の数の不一致

ちりばめられたそれらを紡ぎ、けれどもたどり着く寸前で立ちすくんでいる東郷の疑問に

天乃は続けて、答えを差し出す

天乃「貴女が思っている通り、私達の障害は勇者であるがゆえのもの……満開を使用した結果」

東郷『ッ!』

電話越しではあるが、微かな吐息の変化に気づき

天乃はその動揺を感じ取って、けれど、後戻りしようとはしなかった

天乃「貴女も、私と同じ一世代前の勇者だったのよ」

東郷「私……が?」


覚えはない。が、言われてみればなんだか間違っていないような気がする

東郷は動揺し、跳ね上がった脈拍を抑え込むように胸元に手を宛がうと

ごくりと息を飲んで、目を瞑る

空白の二年間、失った二年間

それと同時に失った両足の機能

なんてひどい事故だ。最初はそう思ったのだが

よくよく考えてみれば、そう【目立った外傷】が何一つない

記憶を失うほど、両足が動かなくなるほどの事故だったはず

なのに、どうして外傷がないのか。答えは簡単

事故のせいだなんて言うのは、嘘だったのだ

天乃「貴女の失われた二年間……そこで貴女と私。三ノ輪銀、乃木園子。この四人で勇者をしていたの」

東郷『……三ノ輪銀、乃木園子』

繰り返しても聞き覚えも言い覚えもない

しかし、どこか懐かしさを感じる

失ってからの自分が天乃と初めて出会った日

その時に感じた安堵と温もり

それとは少し違うが、けれどもどこか似たものを感じて

東郷が頬に触れると、一滴が指に吸い付く

指先を見る瞳、その視界の中にわずかに収まる緑のリボン

天乃のものではないが、今聞いた中の誰かのもので間違いないと東郷は直感的に思った


東郷『久遠先輩は以前、自分以外の勇者はもういないとおっしゃいましたが、それは……』

天乃「ええ。全員が死んだわけじゃない」

東郷美森、別名鷲尾須美は

記憶を失ったことで、その存在が抹消されただけで

東郷美森としては普通に生き残っているし

乃木園子もまた、同じように満開の後遺症によって動けない体ではあるものの

やはり、生きている

しかし……

天乃「銀……三ノ輪銀だけは、亡くなったわ」

東郷『っ、そんな』

ある程度覚悟はしていた

いや、むしろ天乃に自分以外は。と、言われた時点で

死者の躯の上にいることなど、すでに覚悟はしていた

だが、問題はそこだけじゃない

そんな大切なことまでも忘れ去ってしまっていたということが

東郷にとっては、何よりも衝撃的なことだった

東郷『私は……私はそんな大切なことを、忘れるべきではないことを。忘れてしまったんですか?』


天乃「満開を使ったせいよ」

東郷『だとしても……そんな……』

天乃「東郷?」

電話の奥の声が途切れ、

通話中の端末からは呻き声にも似た言葉が零れ落ちている

耳を澄ましても聞き取れない小さなそれは

帳の下りた夜ゆえか、呪詛のようにも聞こえ

天乃はもう一度「東郷」と、名前を呼ぶ

しかし、返事はない

東郷が障害に気づくことが出来ず

傷つけているだけだった今までを後悔しているのは知っている

けれど、そのあと何を思い、何を考えてきたのかを天乃は知らない

時期尚早だったかもしれない

そう思いなおしても、語り始めてしまったことは覆せはしない

天乃「東郷……」


1、神樹様のせいよ
2、黙っていてごめんね
3、だからこそ、私は貴女やみんなに戦いから退いて欲しかった
4、大丈夫よ。満開を使わなければ問題はないわ。その役目は、私が引き受けるから
5、大丈夫よ。満開を使わない限りは、ね


↓2

2

1

3

暴走フラグ…?

地雷を踏みぬいていくスタイル

実際神樹のせいじゃね?

やべーよやべーよ


天乃「神樹様のせいよ」

際限なくうわごとのように呟いていた東郷だったが

それを聞いた途端、声は止んで「神樹様のせい、ですよね」と

東郷らしからず、護国精神を感じさせない言葉が飛び出す

天乃「満開は神樹様の力で、その代償だからね。だから、別に東郷は――」

東郷『……解ってます』

一聞、普段と変わらないように思えるが

神樹様と呼ぶことがあまり好きではなく

もともと嫌悪感が織り交ざっている天乃の声以上に

東郷の声には暗い感情が含まれているように感じて、天乃は目を見開く

何かが変だ

何かがおかしい

そう思うのが遅かったのか

いや、そもそも

こんな話をするのが早すぎたのか、

東郷『神樹様が全て持っていく……失いたくない。大切な物を、私からも、久遠先輩からも』

天乃「東郷、私が言いた――」

東郷『今までも、これからも。それなら、私は』

言うだけ言って東郷は電話を切る

最後の方の言葉は、天乃に向けてなのかどうかさえ、怪しいほどに一方的なものだった


ただ、東郷は悪くないと言いたかった

自分を責めて、思い悩んでしまいそうだったから

だからその必要はないのだと

そう、言っておきたかっただけなのに

天乃「東郷、貴女一体……」

何も言わせてはくれなかった東郷のことを想い

天乃は真っ暗で、しかし白く光るものが浮かぶ空を眺める

あれは希望かそれとも絶望か

窓に映る自分以外の少年を見つめると、彼は不敵に笑った

悪五郎「難儀なこったな。相手のことを考えたお前の言葉は、お前自身のためになりゃしない」

天乃「……解るの?」

悪五郎「ま、多少はな。俺と神樹は仲間じゃぁない。敵の力の動きくらいは把握してるさ」

天乃「………………」

黙り込む天乃を、少年はじっと見つめると

小さく息を吐いて、「それで?」と、口を開く

悪五郎「止めに行くかい? 女狐共も口を挟んではこないが待機はしてるみたいだぞ?」



1、勇者部のみんなに連絡
2、急行する
3、東郷を信じる


↓2

2

好きにさせてやれ

1

マジかこれ
大丈夫か東郷さん


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


現在ゆゆゆ本編での園子的立ち位置ですが、勇者部崩壊中+風は参戦不可です

東郷さんもヤバイといえばヤバイが
唆したような形の久遠さんもヤバイ精神的にも大赦的にも


今回ばかりは言わせてくれ
今のはどう考えても止めなきゃアカンやろ…

正直びっくらこいたがことが起こりそうになってからでもまだ止められる
…ついでに記憶もなんとかしよう

作中ではまだ5月なのにまさかこんな展開になるとは…
まだどうなるか分からないけど秘密明かしたせいで大惨事になったら久遠さん責任とらされるんじゃ…

乙...もういっそ行けるとこまで行っちゃえ

いやー…これはいくらなんでも…
大赦との関係悪化避けられないのでは

まあ大赦には貸し作りまくってるんだし一回や二回やらかそうが問題ないだろ
悪化する余地があるほどまともな関係じゃないとも言う

>>24
久遠さんは言われなくても取ってくれちゃう人だから…
だからこそ原作ラストレベルの被害を請け負いそうで不安しかない

ショック療法で行こう
落ち込み気味の久遠さんも頑張るでしょ東郷さんが暴走したら


では、少しだけ

おk


天乃「ううん、私は東郷を信じるわ」

天乃は窓を通して、少年の姿をした精霊神野悪五郎に言う

本当に伝えたいことは伝わらなかっただろうし

きっと、今行おうとしていることは大変なことなのかもしれない

天乃はそれを考え不安に思いながら、けれども、制止を行おうとはしなかった

悪五郎「良いのか? あの女が神樹の結界ぶち抜いたら敵がわんさか来るんだろ?」

天乃「ええ、まぁ……そうなったらそうなったで。私の見る目がなかったわけだし。何とかするわ」

天乃は苦笑しながら言うと、

ゆっくりと首を動かして悪五郎を見る

その瞳にはなにゆえか、迷いは感じられず

悪五郎は驚いた様子で息をつく

悪五郎「お前の見る目……と言ったな。お前はあいつをどう見てる。どうすると考えている?」

天乃「あの子は良く突拍子もないことをするけれど、でも、しっかりと考えてから行動に移す子だから」

そう、言動や考え方は色々と違うかもしれないが

東郷美森は結城友奈と似たようなものなのだ

もっとも、友奈が東郷に似ているのかもしれないけれど

天乃「私が話したこと。その勢いのままにみんなが困ることはしない。しっかりと吟味してからが本番」

悪五郎「つまり、少なくとも今日は手出ししないって言いたいのか?」

天乃「端的に言えば、そうなるかしら」


悪五郎「ほう……だが、あの女は真実を知るだろう」

天乃「…………」

悪五郎「己の戦、友の戦。それが永久に続く果て無き戦争であると。その時、女はお前の望まぬ道に行くかもしれんぞ」

それはそうかもしれない

東郷がバーテックスや勇者についての知識をさらに仕入れて行き

どうするかの判断をする分かれ道に差し掛かった時

天乃が選んだ道、望んだ方向へは来てくれない可能性がある

彼はそれを分かったうえで、行くか行かぬかを問いてきたのだろう

悪五郎「討てるのか? 女」

天乃「……必ずしも討つ必要はないわ」

悪五郎「だが、お前のそれはあの娘の体ではなく心を穿つ。戦えなくなることも……」

悪五郎はそこまで言ってから

自分のそれがまったくもって無意味であることに気づき

いや。と、呟くと、呆れたように息をついて首を振る

悪五郎「悪魔のような女だな。お前は。最悪、あの女による被害を受け止めて、傷ついて、見せつけて、戦意をへし折るつもりなんだな」

天乃「……東郷は優しいから。思うあまり止まれないのなら、真正面からぶつかってあげるしかない」

悪五郎「互いが砕けるとしても?」

天乃「それであの子をこの世界から除外できるのなら、本望よ」


淡々とした口調で、天乃は答えていく

嘘は付いていない、それが望みであることは間違いないのだから

けれども、叶うのならばそんな手荒な真似はしたくはない。というのもある

東郷だけじゃない

友奈も、夏凜も、樹も、風も、園子だって、沙織だって

みんなにはバーテックスに怯えたりなんだりすることない場所で生きていて欲しいと思っている

みんなの意志を酌んで参戦することを許可したけれど

今でも、その思いは残り続けているのだ

悪五郎「……俺はこの世界がどうなろうと構わぬが、お前が殺される時は俺が殺す」

天乃「物騒なことを言うのね」

悪五郎「殺されたくなきゃ、老いて死ね。それなら黙って看取ってやる」

腕組みする少年型精霊は

軽く鼻で笑うと「問題はなさそうだな」と呟いて姿を消す

端末の警報はならない

空模様も相変わらずで、はるか遠くにあるであろう壁の爆発も起こる気配はない

天乃「悩んで、考えて……答えを見つける。東郷、貴女は何が正しいと思う?」

電源が切れていると言い続ける端末を一瞥して目を瞑る

鷲尾須美との、懐かしい記憶を夢に見た

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流有(満開、生きて欲しい人)
・   乃木若葉:交流有(傷つけたくないから)
・ 伊集院沙織:交流無()

・      九尾:交流無()

・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



5月13日目 終了時点

  乃木園子との絆 42(少し高い)
  犬吠埼風との絆 38(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 31(中々良い)
  結城友奈との絆 49(少し高い)
  東郷三森との絆 35(少し高い)
  三好夏凜との絆 23(中々良い)
  乃木若葉との絆 32(中々良い)
     沙織との絆 45(少し高い)
     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 38(中々良い)
      稲狐との絆 30(中々良い)
      神樹との絆 8(低い)

 汚染度???%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します

おつ


01~10 
11~20  九尾
21~30 
31~40 
41~50  若葉
51~60 
61~70 
71~80 悪五郎

81~90 
91~00 

↓1のコンマ

※イベント別  


若葉「……なぜ、それを私に話した」

九尾「いずれ、必要になるやもしれぬからじゃ」

真剣に話していることを、全てうそだと思わせるような笑みを浮かべる九尾を前に

若葉は驚きを隠せないまま、眼を逸らす

唐突に言われたそれは、はっきり言ってしまえば

そんなことを言われても困る。というような代物だった

自分の意志でどうこう出来ることではなく

たとえできるとしても、天乃の体に多大な負担がかかると言われては使うつもりなどないからだ

九尾「きゃつらは確実に力をつけてくる。強くなってくる。主様を守りたいと思うのならば、使うほかあるまい」

若葉「だが、守るために辛い思いをさせるのは……可能ならしたくない」

まだだれも使ったことはないと九尾は言う

だから、どれほど影響があるものなのかは分からないが

しかし、些細なものではないのだろう。と、若葉は九尾を見つめる

若葉「確かに私は力不足だ。きっと、守るより守られる立場になり得るだろう……だが、それは力をつければいいことだ」

九尾「力をつけようと、お主には死神の力は宿っておらぬ。封印の儀も行えぬ。時間稼ぎに等しいぞ」


若葉「それでも、それでも……私は嫌だ」

天乃を守るために、天乃を苦しめる

それなら、自分が消えうせるまで力の限りを尽くす方がマシだ

そう思う一方で、力不足を自覚しているとはいえ

九尾にまで、揶揄い目的ではなくはっきりと言われるのは屈辱的で

握り締めたこぶしからの僅かな痛みに、歯を食いしばる

若葉「九尾の助言は受け取っておく。だが、使う気はないぞ」

九尾「……ふむ」

困ったように漏らした九尾は

顰めた眉をほどきつつ息をついて

やれやれとでも言いたげに首を振る

九尾「仕方があるまい。念頭に入れておくだけでも良かろう。悪五郎も居る。いざとなれば追加も可能じゃからな」

そう言い残して姿を消した九尾を目で追うと、

若葉はゆっくりと目を閉じながら窓の外へと視線を移す

その瞳は、どこか悲し気で

何度も握り解く手は、刀を求める

若葉「……精霊による精霊の力。私の体に絡みついた力の記憶。使えば天乃の体に負担がかかるとなれば、使うわけにはいかない」

だからこそ強くなりたい

そう固く意思を持った若葉は、

普通なら筋力や体力が上がることのない精霊であることを、強く。恨んだ


13日目延長終了→変化はなし


1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流有(満開、生きて欲しい人)
・   乃木若葉:交流有(傷つけたくないから)
・ 伊集院沙織:交流無()

・      九尾:交流無()

・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



5月13日目 終了時点

  乃木園子との絆 42(少し高い)
  犬吠埼風との絆 38(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 31(中々良い)
  結城友奈との絆 49(少し高い)
  東郷三森との絆 35(少し高い)
  三好夏凜との絆 23(中々良い)
  乃木若葉との絆 32(中々良い)
     沙織との絆 45(少し高い)
     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 38(中々良い)
      稲狐との絆 30(中々良い)
      神樹との絆 8(低い)

 汚染度???%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します


では、ここまでとさせていただきます
明日もできればお昼頃から




若葉さん、秘奥義的なもの追加


とりあえず東郷さんがすぐには暴走しなかったようなので油断ならないけど少し安心したわ

そして若葉様に新技か…原作のわゆの切り札とはまた違うものなのだろうか

そこらへんはこれからコンマとかで判定しそうだけど

あ、東郷さんの暴走のことね


では、初めて行きます


√ 5月14日目 朝(自宅) ※日曜日


↓1 コンマ 30以下または50~59 東郷


東郷「朝から押しかけてすみません、先輩」

部屋に招かれ、一礼した東郷は天乃をまっすぐ見つめる

昨日の今日で早速会いに来ることには多少驚きもしたが

それを表情に出さず、笑みを浮かべて天乃はそれで? と、声をかけた

天乃「昨日の件何でしょう?」

東郷「はい。昨日の件を……と、言うつもりでしたが……」

半ばでとどめた東郷の瞳は

天乃の左目を覆い隠す眼帯へと向けられている

その隠している理由が

両足や味覚と同じようなものなのではないか。と不安を覚え

大赦や沙織から聞いていた【お役目】が

そういうものなのではないか。と、憤りを感じていた

東郷「その左目は、それも。また、満開によるものなのですか?」

天乃「物貰い。と、言えば信じてくれるのかしら」

東郷「そうであると証明してくだされば、絶対に」


東郷の瞳は、ゆるぎなく

言葉が偽りであるのだと確信しているのが目に見えて

天乃はくすくすと笑って見せる

それ一つで空気が変わることはなく

むしろ、少しばかり空気が引き締まったのを身に感じて

仕方がないわね。と、心の中で呟くと

天乃は東郷を見返す

右目に映る東郷は怒っていて、悲しんでいて

何よりも不安そうに見える

天乃「この左目について、夏凜からは何も聞いていないの?」

東郷「夏凜ちゃん……?」

ぴくりと反応した東郷は

昨日の夏凜の反応を思い出して「そういうことですか」と

独り言ち、天乃の眼帯を見つめる

東郷「何があったんですか? お役目とは、いったいなんだったんですか?」


1、バーテックスとの戦闘。戦友の園子と一緒にその任務を行ったのよ
2、あぁ、これはただの病気よ。瞳の色彩異常で視覚が駄目になっちゃって
3、答えてあげる質問は一つだけだけど。大丈夫?


↓2

3

3


天乃「答えてあげても、良いけれど」

その目は東郷を見ていない

自身の体を覆う布団、その上にある自分の手

それを見つめていて

東郷はその言い表しようのない不可思議な雰囲気に、息を飲む

天乃「答えてあげる質問は一つだけだけど。大丈夫?」

東郷「それは冗談で言っているんですか?」

聞きたいことが多すぎる

それでもなお頑張っていくつかの質問だけにまとめたのに

それからさらに疑問を増やして、しかし答えてくれるのは一つだけ。などと……

いつものように茶化そうとしているのかと半ば怒ったような表情を浮かべた東郷だったが

天乃の横顔は依然変わらないことに気づいて、歯噛みする

東郷「……なぜ、一つだけなんですか?」

天乃「貴女には貴女の考えがあるわ。私の答えに繋がれて欲しくはないの」

東郷「つまり、別の道に行けと?」

天乃「そういうわけじゃ、ないんだけどね」


勿論、近しい答えになって欲しいという願いはあるが

それはあくまで東郷美森の考えで。なのだ

久遠天乃の思考、その答えに絡みつかれた答えでは、

東郷自身が、本当の意味で納得する可能性は高くはない

天乃「自分自身が本当に納得できる答え。それを、私は貴女に見つけて欲しいのよ」

東郷「……だからと言って、さんざん問題を出して、でも答えは一つというのはあんまりです」

天乃「小学生だって、問題を出されたらまずは解いて見ると思うけど」

そんな簡単な話じゃないのだ

算数や国語、理科社会

間違っても笑ってすまされるようなことではないのだ

取り返しがつかないことなのだ

なのに、笑みを浮かべて茶化すように言った天乃から眼を逸らして、東郷はこぶしを握り締める

東郷「では、一つだけお願いします」

天乃「うん」

東郷「今回のお役目は、久遠先輩の身を危険にさらすようなことでしたか?」


天乃「……私の身を危険に、ね」

見れば解ること

けれども東郷はそれを聞く

天乃の言葉で聞きたいからだ

お役目の内容、満開の事、自分の二年間

他にもたくさんあるが……けれど

今はそれだけが聞きたいと思った

東郷「たった一つしか答えてくれない。その代わりに、嘘は付かないでください」

天乃「じゃぁ、実力上は問題ないとかは?」

東郷「駄目です」

天乃「そう……」

それなら、答えは一つしかない

自分から一つだけと言う身勝手な制約を設けた以上

東郷の嘘をつかないで欲しいという願いを拒否できず

天乃は深く息を吐いてから、目を向ける

天乃「答えはイエス。確かに、実力の有無を考慮しなければ身を危険にさらすお役目だったわ」


東郷「…………」

答えを聞いて

しかし、何も言わない東郷を横目に見ると

とても深い怒りを握り締めて

何かを噛み締めているように、唇を引き締めていて

天乃が心配そうに眉を顰めると

何でもありません。と、否定する

天乃「何か言いたいことがありそうね」

東郷「……いえ」

天乃「本当に?」

二度目の問いにも、東郷は大丈夫です。と、言う

その瞳も、声も、体も

あまりよくない感情に揺れていることは、天乃には筒抜けだった

そして、それに気づいていようがいまいが

嘘をつく時点で、考えさえも良くないものになりつつあるのだと、分かる

天乃「………………」

――下手を打てば、やっぱり。五郎くんが言うようなことになりそうだわ



1、何をするつもり? 私は答えたわ。貴女も答えて
2、神樹様を傷つけたところで、意味はないわよ
3、みんなともしっかりと話し合うべきじゃないの?
4、ねぇ、二年間については知りたくないの?
5、何もないなら。それでいいけれど……私は最悪の場合勇者を討たなければいけない。私に手を出させないでね?
6、風の事について、話しておくべきかしらね


↓2

2

4

1


天乃「ねぇ、二年間について知りたくないの?」

東郷「それは……ですが、一つだけだと先輩が言われたのでは?」

東郷は怪訝そうに言うと、

自分の手が強く拳を作っていることに気づいて

目を見開き、天乃を見る

天乃の困った表情、不安そうな瞳

自分の内面に気づいているのだと、すぐに分かった

東郷「……なのに、そう言い出すなんて。先輩はずるい人です」

天乃「そうね。自覚してるわ」

天乃の笑顔には、不安は感じられない

笑顔だけが仮面と化している先輩を前に

東郷は一瞬、目を伏せて、首を振る

一晩考えて、聞きに来たのだ

であるのなら、答えを聞いた後の自分の決意は歪めるべきではない

そう、思うからこそ

東郷「すみません。先輩……私は、大赦の味方にはなれません」

はっきりと、答えた


東郷「久遠先輩は、もう。ご存知ですよね」

そう切り出してから東郷が語ったのは壁の外の地獄

まだ天乃と園子の作戦、天乃の満開による多大な被害から日が経っていないにもかかわらず

すでに、大量の星屑やバーテックスができ始めているらしい

東郷は昨夜、壁を破壊しようとしたものの

冷静になって考え直そうと引き返す際に様子を見てしまったのだ

東郷「戦いは続きます。ずっと……私たちが何もかもを失っても。きっと」

天乃「……………」

東郷「大切な記憶さえ失って、何を守りたいのかさえ分からなくなってしまう。何もなくなってしまう。それなら……」

いっそ、滅んでしまった方が良いのかもしれない

そう考えている東郷の言葉を聞き、悩みぬいた姿を見て

天乃は息をつく

勢い無く、冷静に話すために

天乃「さっきの貴女の質問は、この世界の多くを占める大赦が守るべきかどうかを判断するためだったのね?」

その結果、守る価値がないと判断したのだろう

自分自身が東郷にとって大切であることがうれしい反面、少し複雑だった

原作より意外と冷静だった東郷さん、だが…


東郷「すべて消えてしまえば、悩む必要はない。悲しむ必要だって……そう、考えました」

自分の考えが見透かされた今、

嘘やごまかしを用いても仕方がないことだと判断したのか

東郷は自分のワンピースの裾を握り締めながら、気持ちを紡ぐ

自分が何を考えていたのか

そして、そこからどう動いて、どうなったのか

東郷「今回だって、久遠先輩ではなくても良かったはずです! 私達でよかったはずです!」

なのに

現在も戦闘中である勇者の中で

一番体に負担がかかっている天乃を引っ張り出した

それも、みんなに何も知らせないで、だ

東郷「それだけでも許せないのに、なのに……満開による後遺症のことまで、黙っている」

天乃「知ったら戦えなくなる。守って貰えなくなる。だから、黙っているしかなかった」

満開による後遺症の件を大赦に問いただした時

言われたことをそのまま繰り返して、天乃はゆっくりと東郷に目を向けて

そこにある憤りに満ちたきれいな瞳と向かい合う

東郷「そんな言い訳……ッ、知っているのと知らないのとでは、わけが違います!」


天乃に怒鳴っても無駄だ

いや、無駄などころか最低なことでさえある

なにせ、天乃だって利用されている側なのだから

怒鳴ってからハッとした表情を浮かべた東郷に

天乃は困ったように笑いながら、肩を竦めて見せる

私に怒鳴られてもね? とでも言いたげなその表情には

一部の茶化したい性格が紛れていて……

自分の憤りを過去に経験しているであろう先輩の

そんな、変わらない姿が、羨ましいと思った

東郷「……先輩は、それでも世界を守っている。なぜ、ですか?」

天乃「私が答えるのは一つだけって言ったはずだけど?」

東郷「お願いします……もう一つだけ。この一つだけで構いません。教えてください」

必死になって願い、頭を下げる東郷を見つめていた天乃は

少しばかり困ったように息をついて

それが気になったのか、東郷は顔を上げると

東郷「教えて貰えれば、私も。久遠先輩のお願いを聞きます。これではだめですか?」



1、駄目よ
2、私が守ってるのは世界じゃない。貴女達だもの。たとえ自分の全てを失っても、みんながいればそれで良い
3、言ったら怒るから言わない
4、私が世界を守っていると思うのなら、貴女はきっと。私のことをまだ分かっていないのよ



↓2

2

2


天乃「そうね……」

東郷に願いを聞いてもらえるから言うわけではないと自分に念を押しをしながら

天乃は東郷を見つめて笑みを浮かべる

言えば夏凜や沙織のように怒るかもしれない

けれど、結局誰かから伝わってしまう可能性があるのなら、と

天乃は口を開く

天乃「私が守っているのは、厳密に言えば世界じゃないの」

東郷「世界では、ない……?」

天乃「そう。世界ではなく貴女達だから」

世界なんてものではなく、

東郷や友奈、沙織達の命や日常だ

天乃「たとえ自分の全てを失っても、みんながいればそれで良い」

東郷「そんなこと……考えていたんですか」

東郷の表情には

やはり、沙織達にも見られた感情がある

流石に三度目ともなれば心の準備もできている天乃は

平然と「そうよ」と、答えて眼を逸らす

天乃「私はずっとそう考えて戦っているの。自分だけの犠牲であれば、喜んで引き受けようと思ってる」


今回の事だってそうだ

世界を守ろうと思って戦ったわけでも

世界を救うために左目を犠牲にしたわけでもない

ただ、沙織たちのことを守りたかっただけ

そのために自分を犠牲にした

似たようなことを伝えて沙織には泣かれてしまったが

東郷はと言えば、浮かない表情で、天乃を見ている

天乃「東郷?」

東郷「……それでは、それではいけないと。誰も言わなかったんですか?」

いや、言われたはずだ

言ったはずだ

昨日の夏凜の様子からして、同じ話をして同じことを言われたのだと

東郷は推測し、考えて、天乃を睨み

さっきまでは勢いばかりで怒鳴ってしまったから

そうならないように、深呼吸をする

東郷「少なくとも夏凜ちゃんに言われて、なお。その考え方は変わらないのですね」

天乃「これ以上のサービスはなしよ。東郷」


ぴしゃりと断ち切る一言に

東郷は悲しげな瞳を向けて

しかし、天乃は一言も言わずに首を振る

変えないんじゃない

変えるわけにはいかないのだ

銀を死なせたから

犬吠埼姉妹の両親を殺してしまったから

だから、自分の命も体も

自分のものであって自分のものではなく

ゆえに、何かを守るために使い果たさなければいけない

今は、犬吠埼風と樹。二人と二人の失われるべきではないものの為に使う

たとえ、嫌われていようと

恨まれていようと、憎まれていようと

天乃「私は変わらないわ」

東郷「……その頬を、引っ叩いても」

天乃「変わらない」

東郷「その髪に、口付けをしても。ですか?」


天乃「変わらない」

天乃の変わらない答えに

東郷もまた、悔しそうに唇を引き締めて、

目を伏せる

夏凜の表情、抱いていた想い

そのすべてを察して、自分のあまりにもな無力さを思い知って

自分たちが彼女に愛されてしまっていることを知って

同じ気持ちなのにと、言いたくて

けれどもそれでも変わらないという彼女の頑なな意志に

東郷は勝機を見ることが出来なかった

東郷「そう……ですか」

天乃「……………」

東郷「なら、それなら……私は」

強く握った拳を、空いた手で握り締めて

自分の胸元へと引き上げて、祈るように頭を下げる

東郷「私は、いえ、私も変わらないままでいることにします。たとえそれが、望まれない選択だろうと」

そう言い残して、東郷は去っていく

部屋に残された天乃は

東郷の残像を追うように視線をさまよわせて、笑みを浮かべる

それは、とても笑みとは言えない崩れた笑みだった

√ 5月14日目 昼(自宅) ※日曜日

1、九尾
2、死神
3、若葉
4、悪五郎
5、稲荷
6、イベント判定
7、勇者部の誰かに連絡 ※再安価
↓2

※7は電話

6

7


1、風
2、友奈
3、東郷
4、樹
5、沙織


↓2

ksk

4


樹『は、はい! 樹です!』

割と長いコール音の後に出た樹の声は

端末の画面で天乃だと分かっていたからか

とても張り切っていて、明るい声だった

樹『お久しぶりです……久遠、先輩』

それからぼそぼそと小声のような話し方に切り替えた樹は

ごくりと息を飲んで、「先輩」と、呟く

樹『勇者部が解散してから、お姉ちゃんの様子がおかしいんです』

天乃「……うん」

樹『ずっと浮かない表情で、時々お母さんとお父さんの写真を見たまま上の空なこともあって』

心配なんです。と

不安そうな樹の声が聞こえて、天乃は目を瞑る

自分とのことを悩んでいるのだ

恨んでいて、憎んでいて、怒りを覚えている

その扱いに、困っているのだ

天乃「何か言ったりしていないの?」

樹『……一度だけ。どうしたらいいのってお母さんの写真に言っているのを聞きました』


天乃「…………」

どうしたいのか、どうしてほしいのか

それを一言でも言ってもらえれば

その通りにするのに、されるのに

そう思いながら、しかし樹には言っていいのかどうかと、口ごもる

犬吠埼姉妹は風と樹だ

全てを知って悩んでいる風もだが

知らない樹もまた、風と同じようにする権利がある

問題は、自分が勝手に話していいのかどうかだ

同年代である風にならばともかく

後輩である樹に

今まで仲良くしていた先輩が

大切な家族、両親を殺したのだと……




1、貴女は知りたい? 風の悩み。私達の秘密を
2、お姉ちゃんに変わってくれるかしら
3、それは私にはどうもできないわ。それより、聞きたいことがあるの
4、任せて。何とかするわ



↓2

1

1


天乃「貴女は知りたい? 風の悩みを、私たちの秘密を」

そういえば樹が食いついてくる事くらい分かっている

風がそれを教えることを拒む事くらい分かっている

けれど、天乃はあえてそれを言葉にした

樹はもう中学生だ

それに、いつまでも後ろに隠れているような子でもない

そう、思っているからだ

樹『お姉ちゃんの悩み……秘密』

悩ましげな呟きの後

樹はしばらく何も言わなかったが、

意を決したような「よしっ」という声に続いて

久遠先輩。と、天乃を呼ぶ

樹『教えてください』

天乃「とても大事なこと、今までの何かを壊してしまうようなことでも?」

樹『っ……そ、それを。それを知ることで。お姉ちゃんの助けになれるのなら』

恐怖を感じる震えた声だ

けれど、それは震えていても、芯の部分は微動だにしていない

本当に、心から助けになりたいと願っている

最初は人見知りで、隠れていたのに

いつの間にこんな子になったのかと

結果を知りつつも覚えのない過程を気にして、息をつく

天乃「なら、教えてあげるわ」


天乃「貴女達の両親を殺したのは、私なの」

樹『え……え?』

驚きしか、なかった

重大な秘密、姉を助けるための手札

そう言われて聞かされたのは、

慕っている先輩が両親を殺したという告白

信じられるはずがない

今思えば、報告してきた人たちは大赦の人間だったが

彼らは樹に事故だと言ったのだ

殺されたのではなく、事故に遭ったのだと

だから、天乃が殺したわけがない、そんなはずがない

そう否定し、信じて、頭の中で必死に考える

樹『そんなはずありません……お父さんたちは、事故で』

天乃「ええ、そう。戦いによる樹海の損傷。それによる現世への影響その事故で亡くなった」

そしてそれは

天乃「私が満開したことによる、樹海のダメージが原因でもある事故。だから、私が二人を殺したことに偽りはないわ」


天乃「許して欲しいとは言わない。けれど、本当に、ごめんなさい」

黙っていたこと

殺してしまったこと

全てを悔いて、反省の意を込めて謝罪をする

電話の向こうの彼女のために

頭を下げて、ごめんなさいと繰り返して

樹から何もないままに

天乃はもう一度、口を開く

天乃「風が悩んでいるのはそのせいなの……たぶん私に対してどうしたら良いのか分からないんだと思う」

樹『お姉ちゃんは知って……』

天乃「本当は私が言うつもりだった。謝罪すべきだった。でも、大赦が余計なことをして」

いや、違う

自分が余計なことをしてしまったから、両親が死んでしまったのだと

天乃は考え直して、首を振る

何もかも悪いのは自分だ、生きてしまった自分だ

天乃「貴女も、私を好きにする権利がある。死んでほしいのなら、死ねと言ってもいいの」

樹『なにを……言って』

天乃「愛すべき肉親を殺した女だもの。その命を貪って生きている女だもの。貴女達の一言は、神の勅命よりも守るべきものだから」

願う権利があなたにはある

求める権利があなたにはある

復習する権利も、憎み、恨み、怒り、傷つける権利があるのだと

天乃は樹に、告げた

久遠さん病んでる…

でも言ってることは筋通ってね?


衝撃的なことというには、

それはあまりにも重い話で、受け止めきれない話で

矢継ぎ早に放たれるその言葉の数々を

樹はすべて聞き覚えるなんて出来なかったのかもしれない

天乃「……………」

電話の奥では、わずかに荒い呼吸が聞こえる

東郷のように何かを呟いていない

ただただ、苦しそうにして、息を飲む音が聞こえる

そして、数分経ってからだった

樹『お姉ちゃんに関しては、なんて言われたかわからないから、はっきりとは言えません』

でも。と、樹は繋いで

樹『今の先輩の言葉に対しては、一つだけはっきりと言えることがあります』

天乃「うん。何でも言って――」

樹『それは、被害は全部バーテックスのせいで、久遠先輩のせいではないってことです』


天乃「そんなこと――」

樹『あるんですっ!』

無いと、言わせてはくれない

珍しく怒鳴った樹の声は

初めて出会ったときや電話した時のように

とても震えている声で、樹は言う

樹『殺したのはバーテックスで、久遠先輩じゃない』

それ以外なんて絶対にないのだと、樹は叫ぶように言い放って

久遠先輩。と、涙声で呼ぶ

樹『それでももしも、自分が悪いと思うなら、お願いします。居なくならないでください』

天乃「それは」

樹『私にとって、お姉ちゃんにとって。久遠先輩は大切な人だから、大好きな人だから』

だから、居なくならないで欲しい

血のつながりはなくても、仲間で、友人で、家族で

だから、大切な人を守ってあげられなかったという負い目があるのなら

今度こそは守り切って欲しいと、失わせないで欲しいと、樹は言う

樹『私のお願いは、久遠先輩に聞いて欲しい願いは……久遠先輩がこれからも、私達と一緒にいてくれることです』

天乃「それは、そんなお願いは、だって、私は……」

樹『久遠先輩が知らない間にすごく傷ついていたこと。それだけで凄く嫌な気持ちになったんです』

天乃「…………………」

樹『居なくなっちゃったらもっと嫌な気持ちになる。辛くて、苦しくて、きっと、痛いです。そんなの、私は嫌なんです』

だからお願いします。と、樹はもう一度繰り返した


では、今回はここまでとさせていただきます
明日は少し早めの再開となります




樹「何でも聞いてくれるんですよね?」

天乃「ええ」

樹「では、IPS細胞で女性同士でも子供が作れるそうなので、お願いします」

天乃「えっ?」

樹「名前は久遠さんが決めて良いですから、前回出来なかった事を今こそ」

天乃「前回? IPS? いったい何の話を……」


樹ちゃん前作では実質主役だった分今回はここまで来るまで影が薄かったからね
久遠さんや勇者部復活のためにも久々の活躍に期待したいな

あと公式の方もついに続編を製作するっぽいぞ
久遠さんと共々応援せねば


そういやだいぶ前に言ってたけど14日目って事はそろそろ大赦の人がまたくるんだっけ?

ようやく続編か…
同人と違って一文にもならないスレを燃料無しに二年間続けた愛が報われるんだな
こんな続けるのは俺には無理だったな


>>93
大赦の優しい方が来るはず

つーか東郷さんお願いひとつ聞いてくれるって言ってたのにバックれたな


では、進めていきます

やったぜ


樹が言っているのは、みんなと同じように

天乃には生きていて欲しいというものだ

けれど、両親を死なせたのが自分であると伝えたうえでの樹の言葉であるということが

天乃に変わらない拒絶を許さなかった

天乃「けど、私は樹のご両親を死なせたのよ? 私の力で、私のせいで……」

だから、驚きを残して問う

なぜ許せるのか

なぜ、そんなことを言えるのか

どうして、それが願いになるのか

樹はすぐには答えず、小さな吐息が端末から漏れて

先輩。と、優しい声が響く

樹『それは先輩のせいじゃないからです。でも、もしもそれでもって言うなら』

それこそ。

樹『お母さん達の分まで私達のことを見守って欲しいです』

樹の言葉、そこに込められた思い

それは何も変わらない。何と言われようと、天乃を悪者になどしてはくれない

天乃が身を捧げたいというのなら、そうする理由を以てして、するなと樹は言う




1、その願いだけは聞けない
2、なんで、どうして……みんなそんなに私を。私に生きていて欲しいと言ってくれちゃうのよ
3、それが貴女の願いなの? ほかのどんな願いよりも優先すべきことなの?
4、分かったわ……けれど、私は許されたくない。両親を死なせた責任は、私にある


↓2

2

2


天乃「なんで、どうして……みんな、そんなに私を……私に生きていて欲しいと言ってくれちゃうのよ」

何度も言われたこと

けれども、どうしても口から零れてしまった疑問に

樹はなぜか、おかしそうに笑って、「何言ってるんですか」と、呟く

樹『そんなの、決まってるじゃないですか』

十人十色

きっと、そこに出てくる言葉は不揃いで

みんなバラバラなのかもしれないが

しかし、そこに含まれた思いは絶対に変わらないのだと

樹は自信ありげに言う

樹『みんな久遠先輩が好きなんです』

誰かのために一生懸命になれる優しさ

誰かのためにと厳しくなれる強さ

極稀に見ることのできる本当の笑みの愛らしさ、尊さ

そのすべてが大好きで

だから、とても切なく、悲しい年齢以上のものを感じさせる言葉や思いに対して

何かしてあげたいと、思わせる

たとえその背中が遥か遠くにあって、届きそうにないようなものだとしても

樹『私は、友奈さんと決めたんです。動かなければ離される。でも、動けばいつか追いつけるから』

一歩踏み出そう。と

樹は友奈と話し、決めたことを天乃に告げて恥ずかしそうに笑った


天乃「……だから、夏凜に戦闘訓練なんて頼んだのね?」

樹『えへへっ、やっぱり、知られちゃってたんですね』

本当は知られるつもりはなかった

そんな風に笑った樹は、そうなんですよ。と

吹っ切れたように呟く

電話越しだから

天乃は樹を、樹は天乃を見ることはできない

言葉だけが気持ちを伝える手段で、感情を伝える手段

しかし、時々聞こえる樹の静かな吐息は、とても落ち着いていて

いつものような控えめなおとなしさではなく

少しばかり大人びた穏やかさを抱いているのではないかと、天乃は思う

樹『今まで背負わせてしまったこと、失敗しちゃったこと。取り返すために私は強くなりたいです』

まずは足を引っ張らないようになる

次は隣に並べるようになる

次は背中を守り合えるようになる

遠く果てしない目標だが、だからこそお立ち止まってなんていられないのだ


樹『久遠先輩、お姉ちゃんは私に任せてもらえませんか?』

天乃「どうして?」

樹『久遠先輩が話してくれたことが原因なら、二人で話さないといけないんじゃないかなぁって、思うんです』

何の問題もなく、滞りなく

そんな風に終えられる自身はまだないが

けれども、これは犬吠埼家の話なのだ

天乃の事、両親の事

それらが絡み合ったこれからの事

守られているだけじゃなく、隣に並びたい

そう思う妹は、姉を想い「お願いします」と、言う

天乃「樹……変わったわね」

樹『弱いままじゃダメだって、それで諦めてるのはダメだって。久遠先輩が教えてくれたことです』

自分には才能がないだのなんだの

そう諦めることを、天乃自身が否定したわけではない

けれども、彼女の出来ないはずの体でやろうとすること、やり遂げてしまうこと

それらを前にして、やってもいないことをあきらめるのは、恥ずかしかった。申し訳なかった

樹『精一杯頑張ります。いつか、久遠先輩の姿が見られるように』

そう言って、樹は電話を切る

通話を終えた天乃は、なんとなく笑みを浮かべて息をつく

あれだけ頑なに変えるわけにはいかないと思っていたことを

絶対的な命令権を持つ人に変えろと言われてしまった

けれど、それでも。天乃はみんなのためになりたいと――思う



√ 5月14日目 夕(自宅) ※日曜日



大赦から使いの人が来ています。通しますか?


1、はい
2、通します
3、イエス
4、いいえ


↓2

2

1


「お久しぶりです、久遠様」

天乃「そこまで昔の話でもないんだけどね」

夕方になってやってきた大赦職員の女性は

以前、金曜日辺りに婚約者がどうのこうのという話をしてきた人だ

しかし、婚約云々に関しては

沙織経由ですでにお断りしているはずで

そうでなくとも、現状、前線から外すというのは得策ではないことなど

はっきりとわかっているはずだ

それでもここに来た理由が天乃にはわからなくて、思わず、視線は鋭くなる

天乃「それで? 婚約も戦線離脱も断ったはずよ」

「はい。今回お戻りいただいたのも、犬吠埼風様の不調が原因ですし……」

その戦力が欠けた状態で

さらに天乃まで差し引くというのは、どうにも誤りな気がしてならない

「今回はその件ではありません。乃木様にお話を通したところ、久遠様の許可が必要とのことでしたので、伺いました」

天乃「園子が? 何かあったかしら……」

婚約などの話をするために訪れる予定だったのだが

たった二週間足らずで戦局が大きく変動していて

そんな浮ついた話をする余裕など、大赦にはなかった

「久遠様、乃木園子様を戦線に加えて下さい」

天乃「なっ」

「すでに消耗が激しいことは承知しています。ですが、少しでも戦力の増強を行い、有事に備えていただきたいのです」


天乃「貴女達はまた園子に――」

「無理を強いることは分かっています。ですが、それを出し惜しんで満開をされては困るのです!」

天乃「……………」

「自身の左目、つい先日のことをお忘れになられたわけではありませんよね?」

女性の引かない瞳の強さ

そこに見える焦燥感と、一握りの不安と悲しさ

天乃は眼帯越しに左目に触れると

ゆっくりと視線を下げて、頷く

散華したのならともかく、忘れるわけがない

天乃「何をそんなに焦っているのよ」

「……………」

女性職員が焦っていると知りながら、

天乃は落ち着き払った声で問う

下手に慌てても意味がない、何も解決などしない

それを、知っているからだ

女性職員は乗り出しかけていた体を椅子に戻し

すみませんと一言謝って、息をつく

「近日中に、再度バーテックスが襲来する可能性があります。正確な情報はありませんが、少なくとも数は一つや二つではありません」


「それも、何度も巫女様がお告げを受けているんです」

天乃「何度もって、まさか」

天乃の驚き交じりの声に女性職員は気難しい表情で、頷く

考えていることは、

それが最悪の想定であれば、間違いではないからだ

「襲来は連日行われる可能性があります」

連日襲来してきた場合、

前日の被害次第では、戦力の大幅な減少があり得る上に

最悪の場合、満開を使わなければいけなくなる

もちろん、だとしても天乃の満開があれば防ぎきれるのだろうが……

「そこで世界を守れても、久遠様を失ってしまっては未来が潰えます」

天乃「…………」

「だから、乃木様の戦線復帰が大赦内部にて持ち上がりました」

それを園子に持ち掛けた結果

勝手に参戦したら天乃に怒られるからと言われ

それで、ここにきているのだと改めた女性は

椅子から立ち、離れた床に膝をついて、額を床に打つ

「どうかお願いします。久遠様……お認め下さい」



1、園子の体は平気なの?
2、園子はどこに行くの?
3、園子をこの家に入れてくれるなら
4、園子に関してはどう説明するつもりなの?
5、駄目よ。絶対にダメ


↓2

ksk

3

3


天乃「園子をこの家に入れてくれるなら、考えてあげるわ」

「乃木様を、ですか?」

天乃「ええ、医療に専念するという建前を聞き入れたから仕方がなく預けていたけれど。戦うなら、ね」

戦うだけ戦わせて

戦闘が終わったらまた離れ離れで一人きり

そんな寂しい思いを、園子に味わわせたくない

などとは言わずに、天乃は女性職員を見下ろす

「そうなりますと、医療班をこの家に上げることになりますが」

天乃「貴女、医療の知識無いの?」

「いえ、私は医師や看護の医学系学校出身ではないので」

余計な人たちを家に上げるというのは

あまりうれしくないことだが、それだけで園子を招けるのなら、と

天乃は深々とため息をついて「いいわ」と、答える

天乃「それでも構わない。どうせ、断ったところで戦線復帰させるんでしょう?」

「……おそらく」

天乃「それなら。ね。もちろん、嫌がらせをするような人たちは嫌よ? 寝ている間に人が死ぬのは困るわ」


死神たちは平気だろうが

九尾はかなり可能性が高いし

悪五郎に関してはより酷く危険なために

そういった手を出しそうな人は絶対にそばに置きたくないのだ

もちろん、自分の為ではなく相手の為に

天乃「それが約束できるなら、許可する」

「分かりました。現状の医療班でも問題はないかと思いますが、各自に話を通してみます」

天乃「手違いは絶対にダメよ。絶対に」

「は、はい」

同じことを繰り返して

険しい表情を見せた天乃を見上げる女性職員は

もう一度頭を下げ「有難うございます」というと

早速立ち上がって、調整するために出ていく

天乃「園子も戦線復帰、ね」

あまりさせたくはないが、

けれども、させるしかないというのなら、受けるほかない

そして

天乃「出来る限り、私が引き受ける」

これ以上、園子を傷つけさせたくないから


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば、通常時間から
二期が始まるころでも終わらない鈍足さです




園子の加入は6月一日目から

おつ


今作は相当長い長編なりそうだな、どこまでも付き合うぞ

そして今回は園子様もレギュラー入りか…
闘いになる前に勇者部のみんなも集めて話し合いしたいな

読み忘れた知らんけどいつの間にか婚約の話断ってた
まあペースがペースだし同じ流れ2連続で来るのもしんどいから助かるけど、

久遠家が婚約拒否を認めるかは怪しいところだな…
前作では久遠さんの意志あんまり関係なかったし

戦力的に考えて子作りの余裕はないって作中で言われてるし
>>1が今回は平気って言ってたはず

園子駆り出すくらいやししゃーない

一周目でイザナミイザナギの件があったし子作りは大地さんを引っ張り出してくるのも一つの手かと
兄はここぞってときは理性強いし、久遠さんともたとえ記憶がなくとも仲良く出来るだろうし、どうせ大赦は力を次の世代に残してほしいだけで久遠さんがどんな家庭を持とうがどうでもいいんだろうし


では、少しだけ

ばっちこい

√ 5月14日目 夜(自宅) ※日曜日

1、九尾
2、死神
3、若葉
4、悪五郎
5、稲荷
6、イベント判定
7、勇者部の誰かに連絡 ※再安価
↓2

※7は電話

7

7

1、風
2、樹
3、友奈
4、東郷
5、沙織
6、夏凜

↓2

ksk

5


天乃「……出ない」

沙織に何かがあったなんて言う連絡は受けていない

だから、電話に出られないような非常事態ではないはずだけれど……と

想いながらも、内心不安を感じてコールを続ける

数秒は数十秒に、数十秒は数分に

時間が経過し、それでもつながらない電話を切ると

天乃は「喧嘩、したままだものね」と、つぶやいて窓に映る自分を見る

自分が招いたことだというのに

なんて不安そうに、悲しそうに、寂しそうにしているのだろうか

自身のふがいなさに苦笑して、すぐに訪れる静けさから

孤独というものをひしひしと感じ、もう一度沙織に電話をかけようとした時だった

端末が震えだし、着信音が高らかに鳴り響く

したことはないが、バレエなどで用いられそうな

古き良き時代のレトロなクラシック音楽というもので

沙織がこれにしておいて。と、勝手に設定したものだ

沙織曰く、幻想の中での愉快なひと時を。とのことだが、真意は分からない

それはさておいて、電話の相手は当たり前だが、沙織で

天乃はすこし躊躇いながらも、通話の方へとスライドする


天乃「もしもし?」

沙織『久遠さん、電話長いよ。出なかったらすぐに切って欲しいな』

天乃「……もしかして、寝てたの?」

声に眠気は感じないし

寝ぼけていた様子もないが、迷惑そうな物言いに

申し訳なさを含めてそう聞くと

返事の代わりに小さなため息が聞こえた

沙織『”ね”じゃないよ。”み”だよ』

天乃「ねじゃなくて……み?」

一瞬、なんのことだか分らなかったが

すぐ直前の自分の言葉

寝ていたのか? という言葉を変換して、そっか。と、こぼす

沙織は端末を見ていたのだ

天乃からの電話を着信して震えている、あるいは、着信音を響かせている端末を

そのうえで、出なかったのだ

天乃「長々と、悪かったわ」

沙織『こんな人なんて無視してやろうって、固く決めてたのに。あたし、想像以上に弱かった』


沙織『電話が切れて、自分の決意が守れて。ほっとすべきなのに、悪いことしちゃったかなって。思っちゃって』

あははっと笑う沙織の声は

自分への失望からか、少しばかり寂しさを感じる

だから、天乃は口を挟むことなく耳を傾ける

今は余計なことは良いのだ

自分の言葉などどうでもいいのだ

誰かの話を聞くときは、答えてあげるときは

まずは相手の全てを聞かなければいけない

知っていたはずの初歩の初歩。つい忘れていた相談の手法

それを胸に、天乃は黙って耳を傾ける

沙織『結局、こうして電話してる……駄目だなぁ。本当に』

天乃「………………」

沙織『酷いこと言ったのに、電話をくれた。突き放したのに、長々と電話をくれた。それを喜んじゃってる自分がいる』

そして、

自分が絶対にして欲しくないこととは言え、あんな風に突き放してしまったこと

あんなことを言ってしまったことが、とても。申し訳なく思えてしまった

沙織『久遠さんがすっごく傷ついて、とても苦しんで、悲しんだからこその気持ちだって分かってたのに』

それなのに。と、沙織は繰り返して

沙織『あんなこと言っちゃって、ごめんね。傷ついていく姿を見ているだけなのが辛くて、何もできないのが苦しくて』

一つ一つの言葉をしっかりと紡いでいく

向かい合っているからこそ言えることがあるのなら、こうして離れているからこそ、言えることもある

沙織『あれはあたしの八つ当たり。悲しいのも辛いのも苦しいのも嫌だって、我儘だったんだ』

だからごめんね。と、沙織はもう一度、囁くように言った


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


もうしばらくシリアスパート
沙織は暗い部屋、ベッドの上で膝を抱えています


さおりんとの仲直り…久遠さんも若葉様や樹ちゃん等のやり取りで何か変われてたらいいな

ひざかかえさおりんかわいいたべたい

こういう切ない雰囲気好き
周りが描写されない間に時間停止してないから
天乃の外の話も知りたくなる
仲直りできると良いが…


では、少しだけ

よしきた


天乃「…………」

沙織が謝るようなことじゃない

むしろ、謝罪は自分がすべきだと、天乃は思う

沙織に言われ、死神に言われ、九尾に言われ

若葉、夏凜、東郷、樹

かかわってきた人の殆どにそれは正すべきことだと叱られた。間違っていると泣かれた

そうでなくとも、自分の目的が彼女たちの望みとは相反するものであることなど

初めから分かっていて、けれども、強行していたのだから

沙織『でも、言ったことは撤回なんてしてあげない。キツイこと言っちゃったけど、でも、取り消さない』

沙織は罪悪感を残しながらも

はっきりと、告げる

それは自分の本心だから

自分の願いだから、自分の希望だから……そう言って

沙織『そう思ってない。なんて、嘘は付きたくないから』

最後まで自分の意思を貫き通す

天乃「……それを私にあえて言うってことは、考え直してくれるかもしれない。なんて、思っているの?」


沙織の話がひと段落ついて

彼女の口からため込んだ息が漏れたのを聞いてから、そう切り出す

向こうの言葉を聞いた。だからこその、問い

多少は吹っ切れたのか

それとも、今はただ。こうして話せているだけで嬉しいのか

沙織は「どうだろうね」と、思ったよりは軽めの答えを返す

天乃「あなた自身の事なのに、えらく曖昧じゃない」

沙織『久遠さんのその思いが、あたし一人で簡単に変えられるだなんて自信はないんだよね』

天乃「あら、どうして?」

沙織『考えてみてよ。もしもあたしが久遠さんにとってのオンリーワンなら可能性は十二分にあるよ?』

けどさ、でもさ

そんなちょっぴり膨れているような

いつもらしさを感じる声で、沙織は言う

沙織『久遠さんにとってとびぬけた一つなんてないでしょ。人類みな平等的なものを地で行く朴念仁でしょ?』

天乃「電話越しだけど、面と向かって悪口言える貴女の性格。嫌いじゃないわ」


沙織『久遠さん、押しに弱いくせに変に強い部分あるから』

天乃「それは否定しないけど……」

沙織『だから、大きなかぶ的な要素が必要だと思うわけです』

真面目な話をしているはずなのだが

沙織は普段と変わらず他愛もない話をするかのような声色で話を進める

その明るさには、電話を取ったばかりの暗さが嘘のように思わされそうで

天乃は気づかれないように、苦笑する

沙織『あたし、自分ひとりでは無理だとは思うけど。諦めてるわけじゃないよ』

天乃「それを私に言ってどうするのよ」

沙織『自覚してるストーカーの質の悪さを教えておこうかと思って』

天乃「言う時点で違うとは思うけれど、そうはならないで欲しいものだわ」

今はなんの話をしているのか

゙不明瞭になりそうな会話を続けようとする沙織に対し

天乃は呆れ気味なため息をついて、遮断する

いつもらしさが戻ってきているのは望ましいことだが

しかし、そんな話をしたくて電話をしたわけではないし、受けたわけでもない



1、樹からの命令が下ったの。一緒に生き抜いて欲しいって
2、風や友奈には聞いてないけれど、みんなから沙織みたいなことを言われたわ
3、私にだって、特別くらいいないわけでもないわよ
4、園子がこっちに合流することになったのだけど。何か聞いてないの?
5、貴女の鞄に入っていたノート。見せて貰ったわ


↓2

2

5


天乃「ストーカー云々はともかく、言っておくことがあるの」

沙織『?』

天乃「実はこの前。貴女の鞄の中にあったノートを見せて貰ったの」

沙織『え、あ、あー……そっか……』

すぐには分からなかった沙織だが

ガサゴソと音がしたのちに、察したような声を間延びさせ

あはは。と、困ったような笑い声をあげて、ため息一つ

沙織『他人の鞄開けるのは感心しないかな』

天乃「その点については、申し訳なかったと思ってるわ」

けれど、と

天乃は弓を引くように空気を張らせるような声で

ゆっくりと、言葉を紡いでいく

天乃「あのノート。あの中身が本当なのなら、大赦はとても余計なことをしてくれたってことになるわ」

沙織『……うん』

天乃「どうして、風にあのことを伝えちゃったの?」


沙織が伝えたわけではないことは承知の上で

けれども、沙織の背後、大赦を責めるように言い放つ

沙織は黙って言葉を聞き

一拍置いてから「久遠さん」と、声を絞り出した

沙織『大赦は、久遠さんの抑止力となれる人がどうしても必要だったんだ』

天乃「だからって、言っていいことと悪いことがある。確かに、二人を殺したことは事実だけれど。でも……」

沙織『うん。それに関してはあたしも後から聞いて、そんなの絶対許さないはずだよって、言ったんだけど』

後から聞いて言ったところで後の祭りだ

それどころか、沙織は【彼女を放し飼いにするような真似は出来ない】と、言われたらしい

沙織『久遠さんに言うべきだとは思った。でも、勝手に伝えるなって言われちゃって』

大赦と天乃

天秤にかけるわけでもなく、天乃に傾きがちな沙織だが

それでもやはり、自分の家族が大赦側にいる以上

そういった命令に関しては、中々に逆らい難いのだ

沙織『そのせいで、犬吠埼さんは久遠さんとの距離を確実に開けちゃってたんだよね』

天乃「だからずっと、久遠って呼び捨てで」

沙織『うん。でも、久遠さんと付き合っていく中で、その優しさを知って。大赦の言葉の真偽が不確かになって』

だから、本気で心配したあの時だけは天乃。と、名前で呼んでしまった

馬鹿な質問をして、端末を没収されるようなことになってしまった

沙織『自分で自分の首を絞めるなんて、蜷局を巻いた蛇、大蛇みたいだね』

天乃「……大赦だけにって繋げない中途半端なうえに、今はそういう場合じゃないの。分かって?」

怒ったつもりはないのだが

電話な成果、沙織は少しばかり萎縮して、「ごめんね」と、呟いた


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から





沙織「実は、あたし以上のストーカーがいるんだけど」

天乃「えっ? そんなまさか……ねぇ?」

ベッド「そうだ。そんなことはあり得ない」

天乃「ほら、彼だってこうい――えっ?」


樹ちゃんがいるとはいえやはり風先輩とは直接話し合いした方がいいのかも知れないな…

そういえば今作はあの変態の出番がやたら遅いな

姉の方はちょっとだけ出てきたけどね


では、すこしだけ

あいよ

やったぜ


沙織『じゃぁ、真面目な話を続けるけど。もしかしたら明日、大赦の人がそっちに行くかもしれない』

天乃「明日? なにしに?」

沙織『久遠さんが無茶ばっかりするし、それを強行するしで未来が危ないからその対策で』

言い方は違えど

夕方に来た職員もそんなようなことを言っていた気がする。と、息をつくと

そう呆れないでよと、沙織は笑う

沙織『対策としては戦力の追加しか方法がないっていうのが大赦側の見解』

言っても聞いてはくれないだろう

お願いしたところで無意味だろう

だから、戦力の増強が唯一の方法

そう考えた大赦の行動は先刻、受けたばかりだ

天乃「要するに、園子を勇者チームに加える予定ですってことでしょ?」

沙織『ん……あれ。もしかしてもう行ったの?』

天乃「ええ、もう来ちゃったの」

沙織『変なことだけ素早いんだから……もう』


こればかりは沙織も呆れたように呟いて

聞こえないように配慮したつもりなのだろうが

沙織『……仕方がないなぁ』

というささやきが僅かに電話口から聞こえる

確かに、彼らの行動力は中々に見事だと天乃も思う

風の端末の接収だってきっと素早かっただろうし

今回、左目を失う結果の作戦だってとても素早い行動だった

……もっとも、それに関しては

ただ単に焦り過ぎていただけかもしれない

沙織『それで、久遠さんは受けたの?』

天乃「どちらにせよ、参加させるのは確定なのに、選択肢を迫るのはあくどいわよね」

沙織『じゃないと、負担が全部久遠さんに行くからね』

行くというよりも、全部持って行っちゃうって向こうは考えてるからね。と

沙織はやはり、困ったように言う

大赦に関して言っていたはずなのに

なぜか自分を悪く言われた気がして、天乃は溜まらず笑って

天乃「流石ね」

事実なのだから、否定のしようがなかった


沙織『大赦も一応は、久遠さんを気遣ってのことだったんだよ』

天乃「どうだか」

沙織『乃木さんのことまで背負わなくちゃ。なんて思う久遠さんには、信じられない話かな』

まだまだ楽し気な声で語る沙織のそれには

どことなく皮肉めいたものが混ぜられている気がして

天乃は一拍置いて、「沙織」と呼ぶ

天乃「貴女はやっぱり、私のパートナーだわ」

良く分かっている。本当に

口にしていないこと、抱いた覚悟

それをしっかりとわかっている彼女は

やはり、なくてはならない存在だと天乃は思う

ましてや、その彼女が巫女として大赦側にいるのなら尚更

沙織『えへへ、久遠さん下着の色まで把握してるからね。思考を読むくらいは簡単だよ』

天乃「白か黒だし……でも、それが分かってるのなら。止めて欲しかったわ」

沙織『乃木さんを一人ぼっちにはしたくないから。ボロボロで、なのに孤独。そんなの可哀そうだったから』

沙織が声のトーンを落として言うと

微かにパンッパンッと、枕か布団を叩く音がした

沙織『それに、久遠さんなら。もう、私の気持ちは知ってるはずだよね?』


天乃にどうあって欲しいのか

どうしてほしいのか

本来の自分を取り崩してまで叫んでくれた先日のことを思い返して

天乃は「聞いたわ」と、答える

分かっていたのに、それでも強行しようとして

それで怒られて、鞄を投げつけられて

そこからさらにみんなに聞いて、怒られて、泣かれて

想えば、ほんの数日間だというのに

人間関係の推移としてはとても濃密だったようにも感じる

沙織『だから、私は止めなかった』

天乃「私がより背負うと知っているのに?」

沙織『久遠さんとみんなの絆を信じてるから。そこに託した』

天乃「…………」

沙織『みんなに聞いてみるといいと思う。ノートを見たなら、犬吠埼さんにも、ちゃんと。そのうえでもう一回
答えを出して欲しい』

沙織はそういうと

今日は疲れたからもう寝たい。お休みと、電話を切る

天乃「風にも、ね」

それが一番難しいと、沙織も分かっているはずなのだが

しかし確かに、いつまでも逃げるべきではないとも思う

もうすぐ六月だ。月が替わって15にもなる。変わるべきなのだ――きっと

1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(一緒に暮らす)
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流有(秘密、生きて欲しいと願うのか)
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流有(一つ、二年間、守っているもの)
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流無()
・ 伊集院沙織:交流有(ノート)

・      九尾:交流無()

・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



5月14日目 終了時点

  乃木園子との絆 43(少し高い)
  犬吠埼風との絆 38(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 34(中々良い)
  結城友奈との絆 49(少し高い)
  東郷三森との絆 38(少し高い)
  三好夏凜との絆 23(中々良い)
  乃木若葉との絆 32(中々良い)
     沙織との絆 46(少し高い)
     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 38(中々良い)
      稲狐との絆 30(中々良い)
      神樹との絆 8(低い)

 汚染度???%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します


では、ここまでとさせていただきます
土曜日、日曜日は最悪無し。日曜日はあっても通常時間(21時頃)が目安です



恋愛減、シリアス増


シリアスは続いてこそいるけど段々と解決の道が見えてきた気がする
ヒロインレースはさおりんが一歩リードかな?

沙織が言ってたように誰か特別って人が支えてあげた方がいいんだけどねメンタル的に
それこそ沙織さんがひと肌脱いでもいいのよ?

さおりんってこう見えて165あって上から82-60と中3にしては中々の発育してるんだよなぁ…
久遠さんや勇者部のみんなと共にそそるねえ

さおりん165もあるのかいでけえな
なんとなく小柄なイメージだった

さおりんは大きいよ
まぁ久遠さんが小さいだけなんだけどな

だが身体の一部分は二人とも大きいのであった

中三で165って大きいのかな
久遠さん抜きにしても

大きいな
さおりんの年齢平均身長は156~157
だから+9~8cm
ただ風も163cmと大きめ


では、少しだけ

あいあいさ


√ 6月1日目 朝(自宅) ※月曜日


「おはようございます、久遠様」

天乃「おはよう、園子は?」

「お昼ごろには、こちらに移送完了の予定です」

先月の約束通り、園子は天乃の家に来ることになる予定で

その設備等を先に運び込んでから園子を移送してくるらしい

精霊や神樹様の加護によって

ほんのひと時なら、体を守ることはできるが

残念ながら、守っているのは体ではなく命

入れ物ではなく中身だ

「久遠様、園子様はどちらの部屋に?」

天乃「あぁ……」

車椅子での移動や、九尾などの一般人に見える精霊の対策として

一軒家を宛がわれている天乃の家は、広い

だから、一つを大赦からの医療班

一つを園子に割り振っても部屋の余裕はあるが……


1、園子は天乃と別室
2、園子と天乃は同室


↓2

2

2


天乃「この部屋で良いわ」

天乃はそういうと、自分の部屋の無駄な広さを現すように手を広げて笑う

両足の動かない天乃の車いすの為に広い部屋にあるのは

洋服箪笥や、テレビ、ベッド程度で

余計な娯楽品やインテリアはほぼ皆無

だからもう一人平気、と、困った様子の職員に告げる

「畏まりました、そのように手配します」

天乃「ええ、よろしく。それと、医療班には余計なことしないようにと念押ししておいて頂戴」

今話している女性職員の背後、壁際に佇む少年は

腕を組み、明らかに不服そうな表情を浮かべている

部屋に招くという時点でこれだ

余計なことをしようものなら、本当にただでは済まない

「勿論です。念のため、医療スタッフは女性のみですし。間違いも起こることはないかと」

天乃「ならいいわ。出来るだけ早く済ませて頂戴」

「はい。では、失礼いたします」


女性職員が去っていくのを見送り、悪五郎は深々とため息をつくと

組んでいた腕を解き、天乃の傍へと近づく

悪五郎「本当に家に入れるつもりか?」

天乃「今更の話だわ。園子を家に入れる条件がそれなんだもの。受けるほかない」

悪五郎「だが――」

天乃「私はもう、園子を一人にはしたくない」

悪五郎へと目を向けることなく

独り言ちるように呟いて、自分の両手を遊ばせる

寂しい思いをさせた

心細い思いをさせた

ほんわかとしていて、弱く見えるが強い心を

だからと、弱らせるようなことをしてしまった

――それもあるけれど

天乃「やっぱり」

悪五郎「なんだ?」

天乃「私が寂しいだけかもしれない」

悪五郎「お前の周りに人はいるだろうに」

天乃「そうだけど……」


だけど、そうじゃない

天乃は言いかけたその言葉を飲み込み

何でもないわ。と、首を振る

不完全燃焼な気分の悪五郎は、はっきりすべきだと文句を言ったが

しかし、何でもないからと繰り返し笑う天乃を見つめて

嘆息一つで姿を消す

天乃「……ほんとうに」

先月末、天乃は沙織の激高を皮切りに

九尾達精霊を含め、勇者部の一部とも自分の在り方について話をして

その全員に、怒られ、泣かれ、却下され、拒否された

だからとすぐさま考え直したわけではない

以前からどこかで考えてはいたのだ。死にたくないなんて我儘ではなく

生きていたいという欲望でもなく

ただ、そう

行ってきますと言えば、行ってらっしゃい。と

ただいまと言えば、お帰りと言ってくれるような相手がいてもいいのではないか。と。


天乃「求めすぎてる。かしら」

悪五郎が言ったように

周りにはたくさんの人がいる

けれども、特別な意味で天乃は一人ぼっちだった

気づけば、隣には誰もいない

前にはもちろん、後ろを振り返ってみても誰もいない

そして、いつしか背負っているものだけが大きく重くなっている

誰かが科したものではない。自分自身で科したもののせいで

天乃「……少しくらい」

立ち止まったって良いはずだ

休んでしまったって良いはずだ

ウサギと亀のように、延々とサボったりはしないから

少しだけ、ほんの少しだけでいいから

今の【非日常】を【日常】として感じていたいと天乃は思う

そうして欲しい、そうあって欲しいという沙織達の願いに応えるためにも

それくらいはと……

けれど、願えば願うほど銀を死なせたこと、風と樹の両親を死なせてしまったこと

その負い目を感じ、天乃は自分の体を抱く

今はまだ、誰もいない。何もいない

抱いてくれるその腕は――自分自身の腕だけだった


では、ここまでとさせていただきます
明日、明後日はお休みをおいただく可能性があります
出来れば通常時間から




「女性職員だから平気――」

九尾「そんなわけがない」

「え?」

九尾「主様の手にかかれば、生娘から子の親まで容赦なく奪い去るぞ」

「なん……ですって?」


そろそろ本格的に男女問わずの恋人探しでもした方がいいかもしれんな
原作、オリキャラ共に魅力的で誰にするか悩みどころではあるが…


千景のようで千景じゃない感じだ
千景は愛されたくても愛されず
天乃は愛されてるが愛されるべきじゃないと思ってる

包み込んであげるべきなんだ…良いんだよって

あとは家族にも早く会わせてやりたいなあ
兄さんや姉さんに抱きしめられた時の温もりも今の久遠さんには必要だと思う

園子が相手ならいつも受けな天乃が攻めに回るところを見られるぞ!


では、少しだけ


√ 6月1日目 朝() ※月曜日


1、学校に行く
2、学校に行かない


↓2

1

1


√ 6月1日目 朝(学校) ※月曜日


家の中では、大赦の職員が医療用精密機器の設置などを行うなど

やや日常離れしたことが行われてはいるが、学校に来てみれば、一転して天乃の周りは穏やかだ

と言っても、いまだに勇者部は休部中で

風とも少し、距離が出来てしまっているのだが……

沙織「おはよう、久遠さん」

天乃「おはよう」

天乃が教室へと入ると、誰よりも早く沙織が声をかけてきて

他のクラスメイトも天乃を見て、「おはよう」と、声をかけてくる

退院した当日、学校で会った二人のクラスメイト以降

天乃の左目が眼帯に覆われていること

それを誰かが気にすることも、聞いてくることもなく

沙織曰く、それはクラスメイトからのお願いが全員に行き渡っているからだとか

天乃が願ったわけではない

けれど、あまりつつかないで欲しいと思っていたことをすでに根回ししておいてくれるその優しさには

素直に、有難いと思った


「今日も出席確認、だね」

天乃「余程のことがない限りは基本的に登校するわよ」

「大赦のお役目ってやつ?」

天乃「あまり罰当たりな言い方しないの」

軽んじているような物言いに

大赦なんてどうでもいいと同調しながら

しかしその思いを口にしないよう笑いながら、注意する

左目の件を口封じしてくれ多一人、セミロングの女子生徒は

はーい。と、冗談ぽく呟くその横からひょっこりと顔をのぞかせた女子生徒は

フィッシュボーンに纏めた赤茶の髪を揺らして、天乃の席に腕を敷く

「今日は? 今日こそお出かけしない?」

自称帰宅部で、成績は中の上だが

良く課題を忘れて怒られている覚えのある女子生徒だからか

沙織は「まずは課題をやって机の中に入れておいた方が良いよ」とアドバイスすると

分かってるけど、と困り顔で返した女子生徒は

課題か久遠さんのどっちとるかって言ったら久遠さんでしょ。と、笑う


課題を忘れると怒られるし、最悪の場合補修にもなり得るのだが

しかしながらクラスメイトにとっては、部活動のない天乃というのはとても貴重で

期間限定、数量限定……等々

プレミアに弱い女子には課題より優先して遊びに誘いたくもなってしまうらしい

「いっそ、クラス全員で遊びに行くとかどうかな」

天乃「全員って、それはさすがに多いわ。みんなの都合だって考えなきゃ」

沙織「そうだよ。それに、いつお呼びがかかるか分かったものじゃないし……」

大赦職員の呼び出しというだけなら

沙織経由、瞳経由

あるいは、自分自ら後で話を聞くから。と

先伸ばしにもできるのだろうが、バーテックスはそうはいかない

だから、一般人の体感ではほんの一瞬で姿を消すことになる樹海化が起こる可能性がある以上

中々、誘いを受けにくかった

「そっか」

「部活のあるクラスメイトはともかく、帰るだけなら全然、参加できるんだけどね」

もちろん、用事がある人もいるにはいるけど。と続けたセミロングの女子生徒は

自分の机から取り出した紙を見つめ、「受験勉強したい人もいるか」と、付け加える

何はともあれ、少し考える時間が欲しい……


√ 6月1日目 朝(自宅) ※月曜日


1、クラスメイト
2、沙織
3、風
4、二年生クラス
5、1年生クラス
6、イベント判定

↓2

2

3

あれ?自宅?

風が家に来るんじゃねえの?


では、ここまでとさせていただきます
明日は休みの可能性。できれば、21時頃から



>>190の自宅はミス、正しくは学校
学校での朝交流安価です。失礼しました


なるほど、学校でしたか

風先輩との話し合い上手くいくといいなあ…


風先輩か...なんか胃が痛くなってきた

まあいずれ話し合わなきゃなんないし

問題は急ぎすぎてないかって事なんだがな
勇者部の休部だって周りが休みはゆっくりって言ってるのに遊びに誘ったのが起因だった
性急過ぎると良いこと無い
風について周りから聞くべきだったと思う


では、初めて行きます

きてたー


クラスメイトにはすこしごめんね。と告げて

席の離れた風の元へと近づいていく

体が不自由ではなく、車椅子で無ければ

後ろから近付いて驚かしたりするのだが

キュルキュルという隠密性皆無の音を響かせる天乃の接近に

風は容易く気づいて、振り向く

風「どうかした?」

天乃「おはよう、風」

風「……おはよう」

とりあえずは挨拶

そう笑った天乃を凝視し、怪訝そうな表情へとシフトさせた風は

挨拶を返すや否や、ついさっきまでのように

机に肘をつき、手のひらにほほを乗せて、窓側へと目を向ける

そこには一応、天乃と風が映ってはいるが

しかし、やはり見てはいない


先月末、学校に登校するようになってから

風はずっとこんな調子なのだ

話しかければ応答してくれるし、周りの人と話しているときなどは今までと変わらないし

なにか風自身が変わってしまったわけではないと思うが

けれど、天乃に対する態度だけは、冷え切っている

いや、冷たいというよりも

コミュニケーションが苦手な人が陥りがちな短い会話

そうなってしまっている

その原因としては、そっぽを向いたような風に見える、【話したくない】雰囲気だろう

天乃「ねぇ、風……どうしてこっちを見てくれないの?」

風「……見たくないから」

天乃「…………」

風「ごめん」

何も言い返さなくても、風はそれを口にする


先月、樹は風と話をしてくれた

自分は天乃を信じたい

自分は天乃を裏切れない

自分は天乃を憎まないし、恨めない

そう言った上で、【私にとって、久遠先輩も大切な家族なんだよ】と言った

それに対する風の反応は

驚いたようで、困ったようで

呆然として開いた口をゆっくりと閉じて

ただ一言【ごめん】という言葉だけ

それからだ。風がはたから見てそっけない態度をとるようになったのは

クラスメイト曰く、嫉妬してるんじゃないかとのことだが

恐らく、それはない

しかし何かがあるのだ

だから、こんなにも――快晴なはずの外を阻む窓は曇っている


1、部室に行きましょう
2、授業なんて良い。部室ではなしましょう
3、……お願い、私を見て
4、樹に話したこと。悪かったと思ってるわ。でも、あの子にも話すべきだったはずよ
5、風は、貴女は私にどうして欲しいの?

↓2

2

3

2


自分のことを気に欠けてくれない人など、大勢いる

利用するだけしようとしている人だって、普通にいるし、接触だってした

嫌われること、恨まれること、憎まれること

そういうことには慣れているはずなのに

なのに、なぜか

天乃「……お願い。私を見て」

その声は切実だった

木枯らしに巻かれたように心が寂しく

体の内側からシンっと静まり返る

天乃「風」

求めて、名を呼ぶ

けれど窓ガラスに映る天乃ではない双瞼はゆっくりと閉じる

そして風は「ごめん」と言って、席を立つ

天乃「あ……」

風「っ」

天乃「…………」


席を立って、差居ろうとした風の手に思わず触れてしまった天乃は

離そうとして、しかし、意思とは無関係にその手を握り

けれど、風は俯きがちなまま天乃の手に手を重ねて

優しく引きはがす

天乃「……ごめん」

手放された手が膝に戻ると

天乃はそうつぶやいて、風は何も言わずに教室を出ていく

どうしたら良いのか

どうすべきなのか、いまだに迷っているのだろうか

それとも

天乃のように【そうできない】何か理由があるのか

風の席の傍、動かない車椅子を

クラスメイトは心配そうに見つめ、頭を振る

二人の問題、手を出すことのできない問題

だから、見ているしかないのだろうかと

少年少女は――悩む


「くーちゃん、授業が始まっちゃうから」

天乃「ええ、そうね」

風の席の傍

動かない車椅子を見ていられずに声をかけたクラスメイトは

言ったそばから動かすね? と、車椅子を動かす

風がなぜ素っ気ないのか

夫婦喧嘩でもしたのかと茶化しそうな子も

この時ばかりは口を謹んで、けれどもごくりと息を飲む

「どっちも辛そうな顔してた……どっちの得にもならない事は早く何とかした方が良いと思う」

天乃「…………」

「手伝えることあったら、言ってね? あたしじゃなく、さおりんとかでも良いから」

天乃を席に運んだクラスメイトは天乃の肩を軽くたたいて自分の席に駆ける

みんなを心配させてしまっている

その負い目を感じ、天乃はふっと息を吐いて授業の準備を進めて

けれど、視線は空席となったところに向かう

天乃「……弱いのね、私は」

ぼそりと呟いたそれは誰の耳にも届かず消えていく


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



天乃「……お願い。私を見て」

風「……ごめん」

風(見たら好きになる。抱きたくなる。撫でたくなる)

風(きっと、それだけじゃ終わらない……だから)

風「ごめん」


風先輩も思った以上に病んでたな…
久遠さんの眼帯にも特にノーリアクションだったし

今度は友奈ちゃんたちにも相談してみるか

風が怪訝そうな顔ってあるからなにか思うところがあるんだろうが
天乃以外の内面描写をカットしてるからかまるで読めんぞ


遅くなりましたが、少しだけ

がってん

√ 6月1日目 昼(学校) ※月曜日

1、風
2、樹
3、友奈
4、東郷
5、沙織
6、夏凜
7、イベント判定
8、勇者部部室

↓2

3

6


夏凜「予め言うけど、私は駆け込み寺じゃないわよ?」

会いに来た天乃が浮かない表情だったからか

部室に来た直後、夏凜は困ったように言うと

東郷の使っているパソコン、みんなの座る椅子

それらを見渡してから、天乃を見て

それで? と、切り込む

夏凜「わざわざ連絡寄こして、私単独なんて何の用事なの?」

天乃「迷惑そうな顔して聞かれても、答えにくいのだけど」

夏凜「そりゃ、可能なら巻き込まれたくないし」

あっけらかんという夏凜は

どこか心配そうな雰囲気を残しながら

けれども、面倒くさそうな表情で、お手上げだと言わんばかりに

両手を上げる

夏凜「あんたみたいな出来た……いや、ある意味出来た人間ならともかく。私は誰かを導くほど老けてないから」

天乃「ここぞとばかりに、悪口を言ってくれるじゃない」

夏凜「不平不満って、言って欲しいんだけど」


天乃のようににやりと笑うこともなく

心の底から気だるげな息を吐き、夏凜は天乃を見つめる

天乃「……………」

何かあるなら早く言え

何かしたいのなら早くしろ

面倒くさそうな言い方に反して求め、急かす夏凜に目を向ける

夏凜は眼を逸らさない

夏凜「何にもないなら、帰るけど。良い? 正直、友奈が心配すんのよ。また、友達が裏で頑張ってるのかもって」

天乃の左目が見えなくなっていることは

もうすでに勇者部全員に伝わっており、それを知った友奈の開口一番のセリフが

ごめんなさい。という、謝罪

手伝えなくて、気づけなくて、知らなくて、守られる事しか出来ていなくて

――ごめんなさい

その時の友奈の表情は、普段の明るい表情からは全く想像できないほどに辛そうだった

その表情を見るのが、夏凜は嫌らしい

もっとも、天乃としてもそれは見たくないものなのだが


1、風が顔を合わせてくれなくて……
2、園子が今月から勇者として合流するのは聞いてる?
3、風に関して、何か聞いてない?
4、夏凜は優しいのね……ほんと。私なんかよりも



↓2

4

1


天乃「……私的なことで申し訳ないんだけど」

そうは思うが、沙織を除けば、

こんなことを話せるのは夏凜ぐらいのものだろう。と、天乃は思う

友奈や東郷、樹や沙織

みんなに比べて夏凜はまだ歩み寄りが不足している感じはあるが

けれど、だからこそ厳しいことを平気で言ってくれるし

もともとの性格からか、甘やかすようなことも言わない

それでいて、一応はしっかりと考えていてくれる

そんな見習うべき人格者である夏凜だからこそ、天乃は口を開く

天乃「実は、風が顔を合わせてくれないの」

そういった瞬間

部室に場にふさわしくないため息が流れ込んで

天乃は思わず、目を見開く

部室にいるのは二人。自分と夏凜

当然のことながら自分のため息ではなく、夏凜のもので

目を向けると、夏凜はあからさまに面倒くさそうな表情だった


天乃「なんなのよ……その顔」

こっちは真剣に悩んでるのに

そういった天乃に対する夏凜の返答は

それは悪いと思ってるんだけど。と

困り果てたモノで

手櫛で自分の髪を掻いた夏凜は、

逡巡ののちに、またため息をつく

夏凜「風はほんとに、なんも言ってないのね」

天乃「……風から何か聞いてるの?」

夏凜「聞いてるも何も、今日だって逃げたでしょ。犬先輩、あれ、私が飛び火してんのよ」

一語一語に八つ当たりのような感情をこめて

はっきりと述べた夏凜は、「ついにあんたもなのか」と、不満を漏らす

夏凜「大赦繋がりはあんたを除けば私だけだから、仕方がなくそうなるってわけ」

それもあるが

一番の理由としては、不安定な友奈や東郷には相談できないし

妹である樹には弱音を吐き辛いというのが主な理由だろう


では、ここまでとさせていただきます
明日は早めの開始、19時頃を予定しています


風→夏凜の相談内容開示


相変わらずの夏凛ちゃんの頼もしさよ
一方友奈ちゃんには悪いことしたなあ…

いつの間にやら夏凛が勇者部復活の要の一つになりつつあるな


では、少しずつ進めていきます

あいよ


夏凜「……さて」

がたがたとパイプイスを鳴らした夏凜は

微量のゴミを払うように椅子を叩いて座り込むと

髪をかいて、息をつく

何から言うべきかと迷っているそんな姿を

天乃は見つめて、待つ

夏凜「最初に言っておきたいのは、風は別にあんたのことを嫌ってるわけじゃない」

天乃「けど――」

夏凜「けども何もない。本人がそう言ってんのよ」

反論を即座に握りつぶし、

まっすぐ向けてきた夏凜の瞳には

あからさまに煩わしさが含まれている

黙って聞いてろ

反論すんな、まずは聞け

そう言いたげな雰囲気に気圧されるような天乃ではないが

とりあえずはと、息を飲む

夏凜「ま、だから。嫌われてるんじゃないか。なんて不安そうにする必要はないわよ」


天乃「別に不安そうには、してないけど」

夏凜「思いっきりしてるんだけど」

誰が見ても一目瞭然

隠しきれな寂しさと不安を抱き、眼を逸らした天乃に対して

夏凜は困り果てながら

しかし、そのしぐさをどこか愛らしく、ほほえましく思いながら

息をつく

面倒ごとでだからではなく、気を張る気が失せたからだ

夏凜「あんたがその眼帯をしてる理由を風は知ってるでしょ?」

天乃「ええ、話したもの」

夏凜たちに話しておきながら

他のみんなには黙っているなんて言うわけにはいかず

眼帯を外し、どうなっているのかまで、見せた

その結果の一つが、友奈の多大な心配症だ

天乃「……まさか」

まさかとは思うが

この眼帯の理由、その原因それを知ったからなのかと目を見開くと

夏凜はそれを口にされずとも「大正解」と、呟く


夏凜「風とあんたの間にあること、私も聞いたわ」

風の両親の死

それに関して、天乃が根強く関わっているというどころか

その死の原因である事故の

さらにその事故の原因である樹海の侵食が天乃の満開によるものだということも

まだ実際に目にしたことはないのだが、

報告書の通りなら、それもあながち嘘ではないのだろう

しかし、だ

夏凜「残り一個の飲み物買った結果、買えなかった人がさらに遠出して事故に遭った」

天乃「……?」

夏凜「あんたが思ってるのも、大赦がなすりつけようとしてんのも。そのレベルの事だって自覚ある?」

少なくとも

話を聞いた夏凜は気の毒だとは思いつつも

天乃を憎んだり恨んだりするのや

それを天乃が背負わなければいけないという点に関しては、疑問しかなかったし

むしろ、そんなのふざけんな。とさえ思った

夏凜「憎むのも、恨むのも。それを背負わなきゃいけないのも……全部バーテックスに決まってんでしょうが」


確かに、満開を使わなければいけないほどに追い込まれた無力さというものは

無きにしも非ず。というところなのかもしれない

だが、そう簡単にどうこう出来るものではなかったはずだ

多勢に無勢の戦力差から、さらに一人減って追い込まれて

それでもなお守るためにと体を張ったのだ

むしろ、こう言っては失礼なのかもしれないが

たった二人の犠牲で済んだのは、不幸中の幸いだとさえいえるのではないだろうか

天乃「………………」

けれど、天乃はそう考えないのだ

自分が死ぬべきだった、自分のせいだ

そう思ってしまう

それは誰かに言われたわけでもなく

大親友で、同じく勇者として活動していた三ノ輪銀を失ってしまったからだ

天乃「違う。違うわ。夏凜……私がもっと強くあるべきだったの」

夏凜「っ」

天乃「あの子を失って守り抜く力を得ると誓ったのに……なのに」

なのに、得た力はどうだった。なんだった

得た力は守り抜くどころか、二つものとお問い命を奪い去り

あろうことか、姉妹の未来を潰し、心に傷をつけた

天乃「万が一にバーテックスが悪いのだとしても、それで私が悪くないことにはならない」

夏凜「……あんた」

天乃「……だって、大赦の人は言ったわ。樹海を傷つけた私を、お前もバーテックスと同じだって」


全員が言ったわけではない

むしろ、ごく一部の人間

それも、災害が起きたがゆえに錯乱した人の言葉

本来ならばそこまで強く気にすることもない言葉だ

なんならお前が守ればいいと、

バーテックスの眼前に心無い言葉を言った人々を突き出せば済むような話

けれど

三ノ輪銀を失って、守り抜くことを誓って

自分の体がどうなろうと構わず頑張りぬいた結果、二つの命を失ったことを知り

すでにボロボロだった天乃の心には、その言葉はとてつもない衝撃だった

夏凜「ふ、ふざけ……そんなのッ!」

机をたたき、椅子を蹴とばして立ち上がった夏凜の眼前

車椅子に座りっぱなしの天乃は顔を上げることなく、首を振る

否定しようとしてくれることは

とてもうれしいことだとは思う。思うが

天乃「私の力が樹海を傷つけるのは事実……だから、別に間違ってなんていないの」

夏凜「だけど、それは。その力を、あんたは……っ、このッ!」

言葉がまとまらず

イラついた夏凜は自分の拳をもう一度机にたたきつけ、痛みをもって思考を留める

夏凜「あんたの力は傷つけるかもしれない。でも、あんたのそれは守るためにあるものじゃないの!?」


天乃に怒っているわけではないが

どうしても強くなる声を抑えるように奥歯を噛み締め

夏凜は倒れていた椅子を立て、座る

大赦の一部が天乃を嫌っていることは知っていたが

あろうことか、バーテックス呼ばわりしていることなど

夏凜は知らなかったのだ

だから、苛立つ

いや、なぜ、苛立っているのか

混乱しかける頭を振り、夏凜は息を吐いて

けれども落ち着かない心を宥めるために天井を見る

前は見たくない

俯き沈んだ友人の姿など、痛ましくて見ていられない

夏凜「……私は」

天乃「…………」

夏凜「私はそんなこと、認めてなんてやらない」

天を仰ぎ、目を合わせずに夏凜は続ける

その瞳が開いているのか閉じているのか、目を向けても天乃には見えない

夏凜「誰よりも人のこと考えて、考えすぎて人を悩ませて心配させる」

そんな本末転倒な大馬鹿者が

揶揄うことを楽しんで、けれども偽りの笑みを携えている

本当の幸せになり切れない不憫な人が

夏凜「……そんなあんたが、バーテックスと同じだとか。全部悪いだとか。そんなの、私は認めてやらない」


夏凜はそういうと、おもむろに立ち上がって

何も言わない天乃の肩を軽く叩く

友奈なら、風なら、樹なら、東郷なら、沙織なら

きっと抱きしめたりするんだろうと、

雰囲気とは裏腹に、甘さを感じるようなことを考えて

ちらっと時計を見る

昼休みも残すところ数分で、もうすぐ予鈴がなりそうな時間だ

夏凜「五限目始まるから、戻るわよ」

天乃「……そう、みたいね」

夏凜の視線の先にある時計を確認し、天乃はか細く答える

風が自分を嫌っていないということは一応、分かったが

その分、嫌なことを思い出してしまったし

夏凜にもまた、否定され始めてしまったからだ



1、……さぼりましょう?
2、私は良いわ。残る
3、どうして、否定するのよ
4、夏凜は優しくない。意地悪だわ
5、風について、まだ途中までしか聞いてないわ
6、そうね、戻りましょ


↓2

5

3


天乃「……ねぇ、どうしてそんなに否定するのよ」

夏凜「ん?」

天乃「私が人のために投げ出すことや、風の両親の件が私の責任であることとか」

事あるごとに、夏凜はそれは違う。それは認めない

そんな風に否定して、拒絶する

どうしてそんなにも意地悪なのか

疑問の目で夏凜を見上げると、夏凜は顔を顰める

夏凜「そんなの、私が違うと思ってるからに決まってるでしょ」

予鈴が鳴って

どこからか駆け出す音がする

どこかの教室で、がたがたと机を動かす音がする

どこかで、誰かが授業が嫌だという声がする

けれど、夏凜は動かない

天乃もまた動かないまま、見つめ合って

夏凜「私の中のあんたは、色々とウザったいところもあるけ――」

天乃「……………」

嫌がらせをするように、予鈴の折り返しが一際大きく響く

夏凜の表情は気恥ずかしそうで、声はかき消されるように乏しくて

けれども

夏凜「でも、私の中のあんたは良い奴で、優しい奴で。なにより、友達に全部背負わせるとか、したくないからよ」

片耳だけの衰えたからこそ鋭敏な聴覚は

しっかりと、聞き取ってくれていた

夏凛もいいやつ


予鈴が鳴り終わると

夏凜は変な笑みを浮かべて、「あんたのせいで遅刻だわ」と悪態をつく

夏凜は聞こえなかったと思っているのか

それとも、聞こえたことに気づいているけど、何も言わないのか

今さっきの話を無かったことにするかのように、

天乃を部室から出し、鍵をかけて入るの気まずい。とぼやく

ならいっそサボろうかと天乃はいうことも考えたが

言っても「はぁ?」と、何言ってるのかと言いたげな目を向けられるのを先読みして

ごめんね。と、苦笑する

夏凜「別に謝らなくても良いわよ」

天乃「でも、私を教室に運んでからだともっと遅くなるし」

いっそおいて行って平気だと言うと

1分も10分も遅刻は遅刻なんだから。と、夏凜は呆れたように溢す

夏凜「それに、教室に入るのが気まずいってだけで、授業自体は別にどうでもいいし」

天乃「それは学生としてどうかと思うけど」

夏凜「私の本分はあくまで勇者。学業なんて二の次よ……なにせ、生きるか死ぬかなんだから」

天乃「……………」

夏凜「それになにより、死にたがり先輩の背中さえ見えない」

天乃の車椅子を手慣れた様子で階段の昇降機に取り付けながら

夏凜は話を続ける

夏凜「何か背負ってなきゃって強迫観念あるなら。責任もって、後輩の勉強でも見て欲しいもんだわ」

天乃「そうね、時給次第で考えようかな」

夏凜「……はっ、そういうだろうと思ったわよ。性悪先輩」

天乃の苦笑しながらの返答に少し唖然とした夏凜だったが、

すぐに笑いを堪えながら答えると「動かすわよ」と、昇降機を動かす

死にたがり先輩なんて意地悪を言うから、天乃は意地悪と共に笑う

時給次第だなんて意地悪を言うから、性悪先輩と共に笑う

非日常に生きる二人にとって、ただの学生のようなその瞬間は、とても愛しいものだったからだ


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



あの時友奈を討ち、
打ちのめされたからこその距離感…死にやすい立ち位置


夏凛ちゃんデレの破壊力が尋常じゃなく高いなあ
今度は久遠さんへの説得が上手くいったようでなによりだわ

反面、このあと夏凛ちゃんが犠牲にでもなったら久遠さん二度と立ち直れないかも…


夏凛は1周目2周目ともにガチ惚れだったしそろそろ三度目の正直あってもいいと思う

よきかなよきかな
咲き誇った百合の花も良いけど咲きかけも素晴らしい
この絶妙な距離感大事にしたい

そろそろ花が開いてくる時期だな
スレ番的には


では、少しだけ

ういーす


√ 6月1日目 夕(学校) ※月曜日

1、風
2、東郷
3、友奈、樹、夏凜と共に訓練場
4、沙織
5、クラスメイト
6、イベント判定

↓2

3

3


勇者部が解散して以降

それぞれがばらばらに行動するようにはなっているものの

友奈、樹、夏凜に関しては

夏凜指導のもと、砂浜にて特訓を行っている

東郷も時折顔を出すそうだが、風に関しては完全に孤立しているようで

夏凜達曰く、まだ一度も見学にさえ来ていないそうだ

天乃「今日、東郷は?」

友奈「東郷さんは用事があるらしいです。HRの後、今日はいけないって言われました」

後ろから聞こえる声に振り向くと

なので、今日はここが私の定位置です。と

どことなく誇らしげな笑みが返ってくる

けれども、そこには微かな不安が見えた

――昼休み、遅れたのはまずかったかしらね

きっと、心配しているのだ

不安を抱いてしまったのだ

夏凜が言っていたように、【また頑張ってしまっている】のではないか。と


よく見れば、車いすの持ち手を握る手には

力を入れすぎていることを示すように、

親指と人差し指の間に、しわが走っている

離したくない。離れたくない

そんな気持ちを表す、微かな違い

気づかなかったと目を瞑ることは容易だ

樹「今日は久遠先輩も参加するんですか?」

夏凜「天乃なんて、相手にするだけ無駄だと思うし、自己鍛錬でもしてて欲しいもんだけどね」

天乃「化け物相手を想定するなら、必要だと思うけど」

力量差は圧倒的で

だからこそ、ただの特訓ではみんなは天乃の足手纏いで

天乃はみんなの助けにはなりにくい

けれども、その力量差がある相手を想定しての戦いというのなら、話は別だ

夏凜「それは否定できないけどさ……」

隣を歩く夏凜は

困ったようにぼやき、人差し指で額を掻く

昼間、あんな話をした後での化け物という自称が

少しばかり引っ掛かったのだろう


夏凜「勇者になれば左目見えるわけ?」

天乃「ん……あ、そういえば試してなかった」

左目には穢れが集まっており、そのために赤く

そのために何も見えなくなってしまった。というのを聞きはしたが

勇者になった際に、見えるようになるのかどうかは聞いた覚えがない

もっとも、純粋な勇者である園子でも

見えなくなった目は見えるようにはなっていないという話なのだから

これも恐らく、見えるようにはならないはずだ

天乃「けれど、恐らく無理でしょうね」

夏凜「そっ。じゃぁつまり現代の伊達政宗ってことね」

天乃「伊達政宗? なんで?」

夏凜「片目だし、髪色に似合わずあんた、黒衣の時があるじゃない。だからよ」

そう言われても

ソコマデ歴史を深く掘り下げていない天乃からしてみれば

だからどうしたのかと、疑問は浮かび

話についてこれないのだと悟った夏凜は「それは良いから」と

話を途絶えさせると、樹が「久遠先輩」と、切り込む

樹「どうしますか?」


天乃「そうねぇ」

ここについてきたのは三人の様子を見たいからだ

いや、もしかしたら逃げたいと思ったのかもしれないが

とにもかくにも、訓練に参加する意思はそこまでなかったと言ってもいい

けれど

友奈「久遠先輩」

キィッと微かに軋みながら車いすが止まり

友奈の声が聞こえて、振り向く

赤髪を纏めたサイドテール

丸く赤いルビーの瞳

いつもと変わらないそれらを維持しながら

けれども、雰囲気だけはがらりと変えた友奈は、見返していて

天乃「……どうしたの?」

樹と夏凜も立ち止まり、何も言わない

車さえ、通らない

そして視界の端にある青信号が赤くなるのと同時に

友奈「私と、模擬戦してもらえませんか?」

友奈はそう、申し出てきた



1、受ける
2、三対一なら受ける
3、受けない


↓2

1

1


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



友奈の分岐点


友奈ちゃん…ここで焦って後々悲惨な目に合わないといいけど…

どういう分岐なのかまったく予想がつかない


では、少しだけ進めていきます

ハーイ


天乃「ん」

まさか友奈が、戦いを挑んでくるとは思っていなかった

しかも、【私達】ではなく、【私と】だ

つまり、三人でかかるのではなく友奈一人で相手して欲しいということ

正直に言えば勝ち目はないだろう。だが、たった数日間とはいえ

夏凜がどんな特訓をし、友奈がどれほどまでに成長できたのか

天乃が知らない空白の期間がある

だから、天乃はくすっと笑うと

唯一見える右の目をゆっくりと閉じて、前を向く

天乃「良いわ。相手をしてあげる」

友奈「お願いします」

樹「友奈さん、私達はまだ……」

友奈「うん。でも、やらせて欲しい」

樹の不安交じりの声に、友奈は気を張った声で返す

不安がある。恐れがある

何より、緊張してしまっている

そんな状態では勝てる試合も勝てない

それが分かっているはずの夏凜は、天乃を一瞥すると、また歩き出す

まるで、友奈に対して勝手にしろと言うかのように


天乃「模擬戦はいつもの訓練場?」

夏凜「そうなるわね。道場とかありがたいけど、あんたの場合。人に見られたら厄介だしね」

確かにそうかもしれない

天乃は歩けない為、

模擬戦を行うには、必然的に勇者にならなければいけない

そんな勇者姿を見られるわけにはいかないし

なにより、歩いている姿や戦っている姿なんて言うのは

学校の関係者にでも見られたら、大変な話どころではなくなるだろう

もっとも、

そのあたりは大赦が握りつぶしてくれる可能性もあるが……

それ以前に、悪五郎などが切り捨て御免。とでもいうかのように消しかねないから期待はできない

友奈「私の有利な条件でいいんですか?」

天乃「この程度なら、ハンデにさえならないわよ」

フィールドの優劣だけで勝敗が左右されるほど

ちっぽけな差ではないのだから

そう言いたげに振り向いた天乃と、友奈の目が合うと同時に

数歩先を歩く夏凜の足音がじゃりじゃりとなり出して、吹く風に塩の匂いが混ざり出す

夏凜「そろそろつくわよ。友奈、天乃を車椅子から突き落とすのは止めなさいよ?」

友奈「そ、そんなことしないよ!」

夏凜「ならいいけど。あんまり、敵だなんて意識するのは止めなさい。そんなこと、あんたには向かないんだから」


友奈「そんなこと……」

夏凜「……違うってんなら。別にいいわ」

天乃の視界に映る夏凜は、ずっと後ろ姿だ

ならば当然、友奈にも見えているのはそのはずだが

しかし、天乃が振り向けば、友奈と目が合う

友奈が下を向いているからだ

友奈の目に映るのは夏凜の背中ではなく、天乃の瞳

これから模擬戦を行う相手

天乃「大丈夫?」

友奈「大丈夫です。ちょっと、考え事してただけですから」

天乃の不安を打ち消すように笑うと

友奈は早くしないと時間が~っと元気よく車椅子を押し出し、駆ける

しかし

その場にいた全員が、それはカラ元気であると。見抜いていた


勇者状態での戦闘となります
全力で攻撃しても、【死ぬことはない】ので安心してください
ただし、死神勇者、混合勇者は精霊の守護である精霊バリアを問答無用で破壊するので
使用は出来ません

よって、今回は九尾勇者で参戦します


先攻と後攻を決めてください


1、友奈が先攻
2、天乃が後攻
3、コイントス(コンマ判定)


↓2


http://i.imgur.com/m0WrNUt.png






3

2


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



明日で模擬戦が終われればと


模擬戦終わったらできれば友奈ちゃんから悩みを聞き出して夏凛ちゃんや樹ちゃんとも共有したいところ

ひとつ聞きたい
友奈先攻と天乃後攻という選択肢は全く同じではないだろうか?

死ぬことはないって強調されると逆に不安になる

精霊バリア無かったら友奈ちゃん死ぬだろうね
>>272
疲れてるんだろ


始めていきますが
確かに、選択肢があってないようなものなので
もう一度だけ、安価を取ります



1、友奈が先攻
2、天乃が先攻
3、コイントス(判定)


↓1

友奈先攻で

1


天乃「友奈が先攻で良いわよ」

友奈「……いいんですか?」

天乃「ええ、貴女には悪いけれどそのくらいのハンデは必要だと思うし」

それは半分事実だが、半分は別の理由だ

正直、久しぶりに踏む砂場の感覚は

短期間とはいえ、特訓で踏み続けていた友奈と比べれば圧倒的に経験不足

挑発することで隠したが、

車椅子の足場とは違って、不安定に沈み込む砂場は違和感しかない

天乃「貴女も、それは分かってるでしょう?」

友奈「分かってます」

天乃と同じ桃色になった髪を揺らす友奈は

自身を包む勇者装束、天乃を包む勇者装束を見比べて、息をつく

落ち着け、落ち着け。そう言い聞かせるような吐息を、夏凜と樹が黙って見つめる

友奈「久遠先輩」

天乃「うん?」

友奈「手加減なしでお願いします」


力量差は分かっている。そう認めてからの言葉に

天乃は思わず、言葉を詰まらせて首を振る

否定したわけじゃないが

しかし、いったんは思考を振り払う必要があったからだ

天乃「どうして?」

友奈「本気の久遠先輩じゃなきゃ、駄目なんです」

死神の力のない天乃

玉虫色の装束ではない天乃

その時点で、手抜きされていることを知っている

けれど、それは死なせない為の措置なのだから、必要不可欠なこと

だから、友奈はそれに関して言っているわけではない

天乃の優しさゆえに、手心を加えてしまいそうだから、あえて言ったのだ

天乃「…………」

でも、正直に言えば

本気で相手などすれば、相手になるならない以前の問題

天乃はちらっと夏凜を見たが、やはり。何も言ってはくれない


1、手加減 ※カウンター無し 能力×0.5

2、普通   ※カウンター有り 能力×0.7
3、本気   ※カウンター有り 能力×1.0


↓2

3


天乃「分かったわ。本気で相手する……怪我しても、東郷にはちゃんと言い訳してよ?」

友奈「えへへ……考えてません」

笑いながらも、友奈の瞳には強さが宿る

怪我なんてしない

たとえ負けても、そんな弱った姿なんて見せたくない

そう言いたげなその表情を見せられては

流石の天乃も、戦いを前にして笑わずにはいられなかった

声を押し殺し、にやりと笑う

期待してるわね。と、煽るように

友奈「――行きます!」

両拳を握り締め、足を開きながらゆっくりと腰を下ろした友奈に対し

天乃は右半身を前に出し、友奈を見定める

左側は死角だが、問題はない。見えなくても気配は感じる

クイックイッっと右手を動かし、招く

天乃「遊んであげるわ。可愛い勇者様」

天乃の挑発

それに乗るかのように、友奈の足が砂を蹴とばす

じゃりっと砂場を踏み荒らし、友奈が駆ける

しかしそれは、天乃にとっては圧倒的に――遅い


友奈の命中率、-18%
ただし、イベント中の為
ぞろ目なら命中

↓1コンマ  (00  22  30~40 はカウンター)


天乃→友奈
命中率は214%ですが、イベント中なので ぞろ目回避


↓の1コンマ  (01~10  40~50   70~80  CRI)

さて


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



ダメージ処理、1085 勇者戦、半減 540ダメージ
友奈、残りHP10


友奈ちゃん、気合いと根性で踏みとどまった感じに見えるな
とはいえちょっと本気はやり過ぎだったか…?

友奈の攻撃惜しいな
コンマよく見たらイチタリナイ

ここのコンマは演出家だからな
家族壊滅させたり久遠さんを追い詰めるために樹海化したり
夏凜ちゃんを立ち上がらせてバーテックス倒したり


では、少しだけ

よしきた


左目が見えない状態での初戦闘は

肌に触れるほんの些細な空気の流れさえ見逃さないほどに

過敏に神経を張り巡らせる

ゆっくりと息を吸い、脱力

いまだ右目に映る友奈の可哀そうにも思う遅さを見つめ、

ゆっくりと腰を下ろす

広がっていく両足に合わせ

ズリズリと抉れていく足場の感覚を足になじませていく

天乃「……友奈」

真っ直ぐだ。とても

左目の隙をつくルートを取ったって良い

いや、むしろ戦ううえでの情けを捨てるのなら

他人に求めた【本気】に徹するならば、その目に見えた弱点を突くのが普通だ

だが、友奈は一直線に突っ込んでくる

心のように、思いのように、その精神のように、その人格のように

ただただ、まっすぐに

もっとも、死角を突く可能性も考慮はしているし

そのカウンターに配慮した可能性も――いや、きっとない

天乃「貴女はどこまでも、まっすぐね」


友奈はそれ以外の選択を捨てている

それは、紅い眼を見れば解る

力強く見据えた瞳、強い想いを宿した光

きっと、それはとても強力な力

けれど、それだけでは駄目なのだ。それだけでは……

天乃「ん」

ザッザッザッっという足音がザッザッっと、近づくにつれ一つだけ、減っていた

駆ける友奈に変化はなく、ただ足音だけの違い

けれども、天乃にはそれがはっきりと聞こえてしまう

天乃「――ごめんね」

一歩一歩、踏みしめる力が強くなっているのだ

だから、わずかながら歩幅が広がって音が変わる

友奈の目つきが変わり、右こぶしが緩やかに引き下がっていく

――そして

距離が友奈の二歩分まで近づいた瞬間

天乃は右足の踵を浮かせ、つま先に力を込めて足を滑らせると

右足が浮き上がるのと同時に左足を前に出して砂地をけり出す


体は低く落ちたまま

一歩間違えれば転倒しかねない状態で

天乃と友奈の体が肉薄する

桃色の髪が舞う。砂が迸り、波がさざめく

けれども、友奈には一瞬だが、すべてが止まって見えた

友奈「ぁ」

天乃が下から見上げている

左手は甲を上にして待機させ、右腕を強く引き絞ったその体制は

撃ち合えば確実にカウンターを貰えないかねない下剋上

上から見下ろしているというのに優越感などみじんもない

友奈「っ!」

だが、友奈は奥歯を噛み締め、

引いていた右手を横ではなく斜め下、天乃の体に狙いを変える――が、振り下ろせばいいという指令が脳から腕に伝わる間に

天乃の左手は振り上がっていて、バチンッっと、右手に痛みが走った

天乃「――牛鬼、しっかりと守りなさい」

引き下がっていた天乃の右手が消え、気づいた時には牛鬼のバリアが自分を覆い

しかしながら、体が大きく打ち上げられていて

友奈は大きく見開いた瞳に、高く振り上げられた天乃の踵を見つめ手を動かす

だが、それさえも間に合わない速度で踵が振り下ろされ、ズドンッ! と、地響きにもにた音が轟く

容赦ねえッス


夏凜「…………」

見守る夏凜は、真横の心配そうに身を縮こませた樹を一瞥すると

また、二人へと目を向ける

あまりにもレベルが違いすぎるのだ

一直線な友奈に、あえて自分から突っ込むことで不意を突き

なおかつ、友奈の予定よりも姿勢を低くすることで次の一手を一瞬でも考えさせる

その刹那をついて拳を打ち弾き、自分の一撃を腹部に一つ

バリア共々浮いた友奈の右わき腹を狙った左フック

戻った右拳で斜め上から左側頭部、地面への接触寸前

振り上げた右踵落とし

ほんの数秒程度だ

たったそれだけの時間で、連撃を叩きこんだ

ごくりと息を飲んだ夏凜は、しかし、その目を背けることなく

佇む天乃、倒れこんだ友奈を交互に見る

立ち上がれないのなら、試合を止めなければいけないからだ


天乃「……けほっ、砂が」

土煙をパタパタと手で払い、天乃は友奈を見下ろす

牛鬼に守られたおかげで大した怪我はないが、衝撃はほぼほぼ伝わっただろう

守ったことを示すように丸く抉れた砂場を足で蹴る

天乃「ゲームオーバー、気は済んだ?」

友奈「っ……ぅ」

友奈は呻き声を漏らして、投げ出した左手を微かに動かす

友奈「ま、まだ……まだっ」

左半身を起こすだけで

全身に激しい痛みが駆け巡り、衝撃を受けた体の中身がじんわりと痛みを増す

体が震え、視界が揺らぐ

けれど、それでも友奈は死力を振り絞って体を起こし、顔を上げる

友奈「まだ、やれますっ!」

腕を持ち上げるのが辛い

体を支えるのが苦しい

でも、それでも自分はまだやれるのだと

瞳の力だけは何よりも強い


夏凜「友奈、やれるの?」

友奈「うん……やれる。まだ、私は戦える」

夏凜の問いかけに友奈は答えたが

しかし、そこに余裕を感じさせる笑顔はない

満身創痍、それを体現しながら友奈はまだ戦おうというのだ

樹「もうやめてください! 友奈さんっ!」

友奈「……大丈夫。大丈夫だから」

樹「友奈さん……」

何が大丈夫だというのか

なぜ、大丈夫だと言えるのか

一瞬でボロボロになった友奈を見る樹の瞳には、思わず涙が溜まって

介入しようと足が動いた矢先、夏凜の左手が阻む

夏凜「続行の意思を示してるわ。あとは、相対してる天乃が許可するかどうか」



1、私が決めることなの?
2、続行
3、中止


↓2

3

とめるのか…

この流れならやり切っちゃった方が良いと思ったけど…さてどうなるか


天乃「なら、悪いけれどこれ以上はやりたくないわ」

友奈「!」

天乃「甚振るような趣味、私にはないの」

目を見開いた友奈に告げて、天乃は首を横に振る

本気でと言われたから、相手をした

けれど、その結果はどうだ

こんなにも一方的で、話にさえならないなんてものじゃない

にも拘らず意思だけは立派で、まだ戦おうとしている

友奈「でも、私はまだ……まだ……」

天乃「貴女のそれは、私に殺せと言っているものだという自覚はある?」

友奈「そんなつもりは」

ないだろう。当たり前だ

そもそも、まだ戦えるという言葉が殺せと言っていることに繋がるなんて

友奈は全く考えられていない

けれど

天乃「言い換えれば、蟻が象に一緒に遊んでくれって言ってるようなもんなのよ。現状ではね」

天乃ははっきりと言う

戦う意思を示す、可愛い勇者様を前に

天乃「私の意思に関わらず、貴女の弱さが自分を守り切れないかもしれない。そのレベルの話なの」

友奈「っ…………」

呆然と立ち尽くす友奈は変身が解けるや否や、

膝から砂場に崩れ落ちて、しかし倒れずに座り込む

頑張ったのだ。本当に

少しでも、ほんのちょっとでも……その一心で

けれども、自分は何も進めてなんていなかった

全身全霊の一撃さえ、見せる間もなく終わりを告げられてしまった

その無念さが、その悲嘆が、友奈の手から端末と共に転げ落ちる

悔しくて、悲しくて、辛くて、耐えきれないものが募りに募って

しかし、友奈は涙を溢さない

否――溢せるほど、優しい痛みではなかった


樹「久遠先輩……そんな、そんな言い方は」

事実だと分かっている

けれど、友奈がどれだけ頑張っていたのか

隣で見てきたから、だから、そんな言い方は酷いと思って

しかし自分自身も弱くて、友奈も弱くて

言い返せることが何もない樹は

ただ無念に拳を握り締めて、首を振る

夏凜「本気の天乃になんて、私でも勝ち目なさそうなもんだけど」

天乃「あら、そうかしら」

夏凜「ふざけんなっての」

さっきの戦いが【四連撃で止めた】だけ

あるいは【それ以上がある】と見込んでの、言葉

目で追うことは出来たが、体が追いつくことが出来るかと言えば

そんなことはきっとできやしない

友奈「…………」

立ち上がった友奈は、スカートの砂を払うこともなく、

一人で、とぼとぼと歩いていく

その後を、天乃は追えない。追わないで欲しいと、背中がそう泣いていたからだ


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来ればお昼頃から



分岐


友奈ちゃん、一番辛い時期だろうな…
この現実としっかり向き合って成長に繋がることを祈るばかりだ

これ夏凜と友奈で天乃の攻撃描写が違うのは
夏凜には見えた四連撃が友奈には最後しか見れなかったって事か…
本気を頼まれたとはいえ側頭部とか[ピーーー]気かよ


では、初めて行きます


樹「わ、私友奈さんと帰ります!」

夏凜「悪いけど、よろしく」

友奈が起きっぱなしにした鞄と自分の鞄をひっつかむと

樹は慌てて友奈の後を追う

その後ろ姿を見つめていた天乃は、大きく息をついて、

自分の右手を何度も握りなおして、首を振る

夏凜「……嫌だったんでしょ。あんた」

天乃「正直に言えば、遊ぶ程度にしたかった。本気で誰かに手を上げるなんて、嫌だった」

けれど、友奈は本気で相手して欲しい。と言った

だから天乃は友奈に期待したのだ。自分の力を使った上で

それでも、しっかりと組みあえる相手であるのだろうと

だが、結果は非情にも冷酷にも圧勝だった

手ごたえも何もない、あるのはただ、甚振るだけに終わった罪悪感だけ

天乃「私が強すぎたの? それとも、友奈が弱すぎたの?」

夏凜「あんたが強い。でも、友奈はまっすぐすぎたのよ」

自分に有利な足場を最大限に利用することも

相手の弱点を利用することもなく、ただただ、直線的な突進だった

夏凜はもの言いたげに首を振ると、自分の鞄と天乃の鞄を手に取って、海の方に目を向ける

夏凜「だから多分、あのまま続けてたらあんたは本気で怒ることになったかもね。もしくは、悲しむことになったかもしれない」


天乃「どうして?」

夏凜「さぁね。でも、そんな気がしたわ」

夏凜の思わせぶりな言い方に

天乃は「焦らさないで」と言ったが、夏凜は半笑いのままごめん。と返す

夏凜「気がしただけだから。なんて言葉にしたらいいのか、分かんないのよ」

直感的なものだったのだ

たとえるならば、空を見ていつもより雲が多いから

雨が降るかもしれない。と、思うような、不確かなもの

だから夏凜は何も言えないし

言われた側の天乃は不服そうに「仕方がないわね」というと、変身を解く

天乃「友奈、大丈夫かしら」

夏凜「頑張ったうえでの惨敗だから、難しいんじゃない?」

天乃「師匠の癖に、弟子に厳しすぎない?」

夏凜「ここで腐るようならそこまでってこと。そんな奴がこのまま勇者になり続けたって……」

天乃「……そうね」

最後まで言わなかったが、しかし、天乃は透明の言葉を理解して

笑みもなく、夕暮れを眺めて言う

天乃「夏凜は」

夏凜「ん?」

天乃「……夏凜は腐ったりしないわよね。あの時、盾突いてきたみたいに」

夏凜「うっさい、それは忘れろ……いや、あれはほんと申し訳なかったって思ってるわよ。ほんとに」


ばつが悪そうに言う夏凜を横目に、天乃は自分の手を握り合わせる

本当にそれが言いたかったのだろうか

そんな古傷をつついて遊ぶようなことがしたかったのか

違う、そうじゃない。でも、きっと

言えば夏凜は大丈夫だというから。彼女のような笑顔を見せるから

その言葉にとても、温かいものを感じてしまうだろうから

だから、【夏凜はいなくなったりしないでね】と

甘えるようなことを言うわけにはいかなかった

夏凜「それじゃ、私達も帰るわよ。瞳ももうすぐ到着するらしいから、向こうまで押すわ」

天乃「うん、ありがと。夏凜はやっぱり優しいわ」

夏凜「いちいち言わんでいい!」

ぺしっと頭を叩かれて、天乃はふふっと笑うと

今後ろで照れくさそうに顔を赤くしているであろう夏凜を思い

天乃は小さく息をついて、「照れちゃって可愛いわね」と、言う

夏凜「ふんっ、やっぱりあんたなんて嫌いだわ」

天乃「でも、私は貴女の事好きよ」

夏凜「なっ……ぅ」

天乃「さ、早く向こうに行きましょ」

そうはいったが、動き出すまでには少しだけ――時間がかかった


√ 6月1日目 夜(自宅) ※月曜日

1、九尾
2、死神
3、若葉
4、悪五郎
5、稲荷
6、イベント判定
7、勇者部の誰かに連絡 ※再安価
↓2

※7は電話

6

6


01~10  悪五郎
11~20  樹
21~30  東郷
31~40  九尾
41~50  園子
51~60 大赦

61~70 死神
71~80 夏凜
81~90 友奈
91~00 園子

↓1のコンマ  


「夕刻は、何やら派手にやられたようで」

嫌味たらしく、不釣り合いな笑みを浮かべた大赦職員は

上半身を起こしているだけの天乃を見つめ、「失礼」と、咳払いする

だが、そんなものはただの言葉でしかない

「あまり、勇者を潰さないで頂きたいものです。久遠様。貴女の後釜が潰えては困る」

天乃「私が現役の間には戦いが終わらないって聞こえるんだけど?」

「では、逆に。久遠様はこの戦いが、この戦いの終局が見えておいでで?」

丁寧に見せかけただけの、挑発するような言葉遣い

品定めするような細い瞳

初老とまではいかないのかもしれないが

年季を感じさせる顔つきの男性職員は、天乃が何も言わないのを確認すると

困ったように、息をつく

「先の先を見ていただかなくては困ります。四国を守り切れば終わる話では無いのですよ、久遠様」

天乃「前回、私と園子を外に出させたのも、それの試験的な部分もあったりするとか言わないで頂戴ね」

「いえ、あれに関してはまさしく想定外でした。緊急時であったがために足手纏いのない最高戦力で出ていただいたのです」

足手纏い…まあなあ


天乃「足手……纏い?」

「本日の件で、それはより痛感なされたのでは?」

男性職員は表情一つ変えることなく

天乃もそう感じているだろうと言いたげに、問いかける

侮蔑するような表情ではない

だが、友奈達を天乃達と比べれば力不足だと確信している物言いに

天乃は緩やかながら、冷徹な瞳を向ける

天乃「ご自分が何を言われているのか。お分かりですか?」

「……その言葉遣い。どうやら、私は逆鱗に触れてしまったようですね」

見つめられていても、男性職員は冷汗一つなく

落ち着いたまま答えて、苦笑する

分かっているのだ、久遠天乃という少女は

どれだけ怒っていても、【相手が一般人である以上、手を出してはこない】と

それが分かっているから、絶対的なものだから

彼は余裕を保ち、笑みを浮かべる

「ですが、久遠様も分からないとは言いますまい。適正値がイコール戦闘力ではないと」

天乃「………………」

「以前と比べれば、飛躍的に戦いやすさはありましょう。ですが、それでも彼女たちは一般人だ。ただの少女だ」

天乃「そうね……」

「久遠様の世代のような訓練も行っていない者達は、久遠様からしてみれば足手纏いに他ならないのではありませんか?」


いや、きっとそれどころか

園子ですら、天乃にとっては足手纏いになりかねない

なぜなら、天乃は強いが

周りの人間を気遣わずにはいられないからだ

自分ひとりなら問題なく片付けられる敵であろうと

サポート役の誰かがいると

その誰かを庇って余計な力を使ったり、怪我をする

ゆえに、天乃にとっては足手纏いでしかないはずなのだ

「三好夏凜を用いて訓練を行っているようですが、どうやら変化は見られなかったようで」

天乃「結局、貴方は何が言いたいの? 何を言いたくてここに来たの?」

「静なる憤怒とは流石です。が、やはり、貴女もまだ子供だ」

天乃「良いから、要件を言いなさい」

友奈達を蔑む彼の言葉を聞きたくなくて

これ以上、虐げられるのが嫌で先を促すと

彼はやはり、笑みを浮かべたまま「失礼」と言う

「要件は一つ、大規模な襲来以外での戦闘には参加しないで頂きたい」

天乃「え?」

「今後を考えれば、久遠様に頼りきりになるわけにはいかないのです」



1、嫌よ
2、……考えてはあげるわ
3、断ったら?


↓2

3



天乃「考えてはあげるわ」

「そんな答えが許されると――」

他にも言いたいことがあって

けれど、それを堪えて答えた天乃に対して

異議ありと口を出しかけた男性職員の言葉が途絶え、目が見開く

悪五郎「不敬を見逃されてる分際でほざくな小僧」

言葉を止めたのは少年だった

口をふさぐのではなく

喉を鷲掴みにして、強制的に止めたのだ

言葉も、呼吸も

悪五郎「小僧、お前は俺に抵抗できるか? 出来んだろう」

「ぅ……ぁ、がっ」

悪五郎「だが、お前が足手纏いと言った小娘ならできる。それに、お前のような弱い瞳で敵を見てもいなかったぞ」

外見的には小学生高学年程度だが

その力は大人ですら勝ち目がない妖ゆえのもので

徐々に締め上げられて行っているのか、男性は言葉を発することさえなく、呻き

両手が悪五郎の腕をつかむ

悪五郎「女、こいつの首をへし折るぞ。雑兵一人消えたところで、金と飯が浮くだけだ。損はなかろう?」

五郎くん前作での九尾みたいなことしてる…


天乃「駄目に決まってるでしょう?」

悪五郎にとって、あるいは、妖にとって

自分の興味がない人間に関しては

命など道端の石ころにも満たないのだと、感じて

天乃はそう言って、首を振る

天乃「放してあげて。その人にもその人の繋がりがあるの。私達のように」

悪五郎「……………」

悪五郎は特に何も言わなかったが

お人好しだと思ったのだろう

呆れたように息をつくと、男性を手放して天乃へと目を向ける

悪五郎「お前のような女は、いつも利用されて捨てられる。俺は、お前にそんな女で終わって貰いたくはない」

天乃「そうならないように、貴方達が守ってくれるんでしょう?」

悪五郎「……相変わらず、嫌な女だよ。お前は」

そういいながら、しかし

怒った様子も何もない悪五郎は一転、男性職員を睨むと

悪五郎「そういうことだ。図に乗るなよ? 死にたくないならな」

そう吐き捨てて姿を消す

きっと、ずっと見ていたのだろう

堂々と出てきた覗き魔に苦笑しながら、天乃はそういうことだから。と、呟く

天乃「考えると言ったら考える。その時間を貰えますか?」

「あ、ああ……良かろう。だが、精霊はしっかりとしつけて貰わなければ困る」

そう言い残して、男性職員は帰っていった


一瞬の騒がしさが消えた部屋で

天乃は深く息をつくと、すぐ横で眠ったままの園子に目を向ける

前回戦いに参加して力を使ったせいか

眠っていることが多くなったらしい園子だが、表情はいたって穏やかだ

天乃「大きな戦い以外に参加するな、ね」

それは多分、園子まで酷使することになるからだ

根本的にその問題を解決するには

天乃がそもそも引退してくれればいいのだが現状ではそれは難しい

だから、天乃の力の使用を抑制するために、園子を出すが

可能な限り出したくないというのが、大赦側の考えだろう

天乃「……園子の為なら」

樹海に行くこと自体は禁じられていないし

そもそも、樹海に行ってしまうのは神樹様のせいだ

危なくなったらそく介入という手段もある

天乃「……………」

そう考えながら

天乃はゆっくりと眠りに落ちていく

いつもとは違って、園子の小さな寝息を聞きながら


1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(一緒に暮らす)
・   犬吠埼風:交流有(私を見て)
・   犬吠埼樹:交流有(特訓)
・   結城友奈:交流有(特訓、模擬戦、本気、中断)
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流有(風について、どうして、特訓)
・   乃木若葉:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()

・      九尾:交流無()

・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



6月1日目 終了時点

  乃木園子との絆 43(少し高い)
  犬吠埼風との絆 38(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 34(中々良い)
  結城友奈との絆 50(高い)
  東郷美森との絆 38(少し高い)
  三好夏凜との絆 25(中々良い)
  乃木若葉との絆 32(中々良い)
     沙織との絆 46(少し高い)
     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 38(中々良い)
      稲狐との絆 30(中々良い)
      神樹との絆 8(低い)

 汚染度???%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します



√ 6月2日目 朝(自宅) ※火曜日

01~10  樹海化
11~20 
21~30 九尾

31~40 
41~50 
51~60 樹海化

61~70 
71~80 
81~90 
91~00  園子

↓1のコンマ  


√ 6月2日目 朝(自宅) ※火曜日

1、九尾
2、死神
3、若葉
4、悪五郎
5、稲荷
6、園子
7、イベント判定
8、勇者部の誰かに連絡 ※再安価
9、勇者部の部室に行ってみる ※一定確率で部員

↓2

※8は電話

鯖落ちてた?
9


√ 6月2日目 朝(学校) ※火曜日

01~10  東郷
11~20  風
21~30 
31~40 
41~50  友奈
51~60 
61~70  樹
71~80 
81~90  夏凜
91~00 

↓1のコンマ  


休部することになった勇者部の部室は

扉の上の方にあった室名を外され、本来あるべき家庭科準備室に切り替わっている

けれど、それでも

みんなで使っていた机などはそのままで

黒板に書いてあった名前も……

天乃「それは、もう、ないか」

誰かが必要だったのだろう

黒板に書かれていた部員名簿は消され

新しく予定が書かれて、消されたのを示すように白く汚れていた

天乃「…………」

部室だったことを示すものが少しずつ磨り減っていく

いずれ、五か条も埋もれて

机や椅子も折りたたまれて教室の隅に置かれて

天乃達が使い始める前の姿に戻ってしまうのかもしれない

それは、あるべき姿

この教室が本来保っていた状態

天乃「異物……だったのかな」

自分たちは

あるいは、自分だけが

この場にいるべきではなかったのかもしれない


そっと黒板を撫でると

掃除されていない白い粉が手につき、拭われた部分が綺麗になった

天乃はその指をこすり合わせ、汚れていく指をじっと見つめる

天乃「……………」

黒板と同じように、

余計なものが払拭されただけなのかもしれない

もしかしたら

自分という白い粉が周りを汚して

まとめで拭われてしまったのかもしれない

ネガティブな考えかもしれないけれど

天乃には、それが間違いに思えなかった

友奈も、樹も、東郷も、夏凜も、風だって

みんなが変わった

いい方向にも、悪い方向にも

それには少なからず関わっているから

そして、勇者としては大きく関わってしまっているから

だから、その可能性を捨てきれない


交わるべきではなかったのだろうか

関わるべきではなかったのだろうか

園子と二人、バックアップとして引きこもっていればよかったのだろうか

天乃「……駄目ね」

ああすればよかった、こうすればよかった

一人でいると、そう考え込んでしまう

卑屈になってしまう

それが、良く分かっているのに……

こんこんっと扉がたたかれた音が聞こえて振り向くと

讃州中学の制服に身を包んだ若葉が、立っていた

若葉「天乃、そろそろ授業が始まるぞ。戻らないのか?」

天乃「その制服、どうしたの?」

若葉「職員室から一式拝借してきたんだ。ちゃんと書置きもしてある。少し、着てみたくてな」

着れたことが嬉しいのだろう

書置きなんてしたら面倒になることに気づいてない様子の若葉は

くるりと回って、「似合うか?」と、問う

天乃「私のを着てみればよかったのに」

若葉「天乃の制服は胸が余るのに丈が足らなかったんだ。残念ながらな」


園子も着ることが出来たら、こんな感じになるのだろうか

そう考えて、笑みを浮かべる

そうなれたらいいなと

そうあれたらいいなと

若葉一人の姿を見ただけで考えは優しく彩られていく

だから、誰かと居たい

誰かに傍にいて欲しい

そう、願いを持ってしまう

天乃「……ありがとう、若葉」

それはきっと、弱いからだ

それはきっと、甘えたいからだ

勇者としての進退だけでなく

学生としての進退も考えなくてはいけない

そう思った天乃の耳に、予鈴が響いた


√ 6月2日目 昼(学校) ※火曜日

1、風
2、東郷
3、友奈
4、樹
5、夏凜
6、沙織
7、クラスメイト
8、イベント判定

↓2

8

6

下か


01~10 
11~20  夏凜
21~30 
31~40 
41~50  友奈
51~60 
61~70 
71~80 
81~90  夏凜
91~00 

↓1のコンマ  

それ

ほい


元部室だと、何か嫌で

適当に空いた教室へと、東郷を呼び出す

東郷は友奈も、夏凜も

誰も誘うことなく教室にきて、扉を閉めるや否や、深く息を吐く

緊張感を解す為ではなく

日常の狭間ゆえに、和やかな空気を引き締めるために

向けられた瞳は、鋭い

東郷「友奈ちゃんは、何も言っていません」

天乃「…………」

東郷「ただ、大丈夫だから。とだけ言います」

昨日、私達は特訓があるんだーと

一緒にいこーっと

そう誘ってくれた大親友の変わり果てた姿に

東郷は、拳を強く握りしめていた

東郷「夏凜ちゃんから聞きました……模擬戦を、したんですね」

天乃「ええ」

東郷「本気で戦い、友奈ちゃんの続行の意思を拒否したんですね」

天乃「ええ……相違ないわ」

最後までやった方がよかったか?

まああのまま続けてたら死なないだけで普通に殺してたしあれでいいだろ


東郷「なぜ、友奈ちゃんの意思を最後まで酌んであげなかったんですか?」

弱かったかもしれない

甚振るだけだったかもしれない

だけど、それでも

戦いたいという意思、その思いに

最後まで付き合ってあげて欲しかった

東郷「どうして、ですか?」

天乃「……私が甚振る趣味はないと言ったのは、聞いた?」

東郷「夏凜ちゃんが教えてくれました。夏凜ちゃん自身、中断は間違ってなかったと思う。とも」

夏凜がどこまで話したのかは分からないが

恐らく、余計な推察は話していないだろう

そして、どちらかと言えば

友奈と東郷ではなく、天乃よりの考えであると言ってくれたのだろう

天乃「なら、聞いた通りよ。あのままでは甚振るだけだった。殺せと言っているようなものだった」

それを聞いていながら

そんなことを聞いてくるというのなら。と

天乃は穏やかな瞳を少しだけ厳しくして、東郷を見る

天乃「貴女は私に、友奈を殺して欲しかったの?」


東郷「そんなつもりはありません。ただ、友奈ちゃんの気持ちを最後まで受け止めてあげて欲しかったんです」

天乃「私が友奈を拒絶したこと、それが問題だって言いたいのね。貴女は」

天乃の問いかけに、東郷はこくりと頷いて目を伏せる

いかなる形であれ

友奈の真っ直ぐな思いをしっかりと受け止めてあげていれば

きっと、あそこまで気落ちすることなんてなかった

東郷はそう考えているのだろう

天乃も、それはそうなのかもしれないと思う

夏凜は受けない方が良かった

受けていなくてよかった。というようなことを言っていたが

中途半端に断ち切るよりも

根本から叩く方が良かったのかもしれないとも思うのだ

天乃「それで、友奈が死ぬとしても?」

東郷「死にはしません。久遠先輩が死神の力を使えば可能性はありますが、使わなかったと聞いています」


天乃「貴女って人は」

それが間違っていると決めつけたりはしない

けれども、正しいとも言えない

友奈の気持ちを酌んであげる事

それはきっと大切なことだったのかもしれない

でも、あのままやっても

結果は変わることがなかったのだ

雑草に例えるのは聊か気が引けるが

根元から抜いてしまったら、生えることはなくなってしまう

切り株に出た芽のように、

撒かれた種のように

無ければいけないものが、友奈から無くなってしまった可能性だってあるのだが……


1、分かったわ。今日、受けてあげる
2、ここで終わるのなら、友奈はそれまでってことよ
3、友奈に甘いのね、貴女は
4、友奈の気持ちを受け止めろという割に、貴女は私の気持ちを受け取らないのね

↓2

1


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来れば19時頃から



夏凜ちゃんは天乃の味方


どちらの言い分も間違ってるとは言い切れないなあ…
ただ友奈ちゃん、どこか死に急いでいる感じがするし話は聞きたいな

それはそうと夏凛ちゃんに段々恋人フラグが

前々や前のこと考えると押しが強すぎるくらいでいいぞ夏凛

では、初めて行きます

あい

おk

かもん


深く、息をつく

頭の中にある思いを隠したり、紡いだり

科学のように複雑にくみ上げて、口を開く

天乃「友奈の気持ちを受け止めろという割に、貴女は私の気持ちを受け取らないのね」

友奈を傷つけたくない

友奈を苦しめたくない

友奈に辛い思いをして欲しくない

友奈を――失いたくない

そんな思いを、そんな願いを

東郷「久遠先輩の気持ちを……でも、友奈ちゃんを、私は」

天乃「その結果が、友奈を失う形になっても構わないというの?」

東郷「……っ」

東郷は友奈を優先したい気持ちもあるが、

天乃のことも優先したい気持ちもなくはないのかもしれない

だが、友奈の今の姿を見て、傾いてしまったのだろう

天乃「夏凜も言っていた通り、私はあれを続けたくはなかったの。友奈には悪いとは思うけど、嫌だった」

かもん

かもん

なんか鯖重いよな?
気のせい?


あの真っ直ぐな気持ちが悪いとは言わないが

しかし、少なくとも、あの場では間違いだったと、天乃は思う

力が思いについていけていなかった

心に体が負けていた

だから、そう……あのままでは死んでしまっていてもおかしくなかった

もちろん、加減はする。本気ではあれ、死ぬようなことにはならない

でも、いつか死んでしまう

穏やかに老いて死ぬのではなく、バーテックスにつぶされ、打ち抜かれ、刺され、喰われ、死んでいた可能性がある

夏凜との特訓の意味は何だ

その時間を使って築いたものがそれなのか

天乃「……正直に言えば、失望さえした」

東郷「………………」

天乃「でもきっと、あんな友奈にしてしまったのは私」

とてもまっすぐで、純粋なのは変わらないまま

とても危うい道とは言えない道に進めさせてしまったのは自分なのだと

自分の存在ゆえなのだと

天乃は考え、思い、悔いて、東郷を見る

天乃「友奈を支えてあげて。私ではきっと、余計に折り曲げてしまうだろうから」

むしろ支えが必要なのは…

むしろ支えが必要なのは…


投稿できていれば……
恐らくはサーバーのせいですが
専ブラでのエラー多発等で投稿不可なので
とりあえずここまでにしておきます


今回もですが、以降も問題があれば
【 https://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/pages/11.html 】
上記のコメントでお知らせするようにします

乙です
本当に昨日のは一体なんだったんだろうな…

支えが必要なのはお前だろって言いたい
主人公がいたらそう言うだろうけど久遠さんは笑って私は平気って言うよなぁ…

上条「なに言ってんだ!支えられるべきなのはお前だろ!」

京太郎「他人よりも自分を大事にしろよ」ダキシメ

キリト「天乃がみんなを守るなら、俺が天乃を守ってやる!」

八幡「お前が死んだら、みんなが悲しむんじゃないのか?」


では、初めて行きます

ほいさ


部室であんなことを思ってしまったのは

きっと、友奈のことがあって、どこかでそう考えていたからだろう

自分は勇者部にとって余計なのだ

不和を生み出す異物

不協和音を生む濁音

だから、友奈の真っ直ぐな心があんな風に道をそれて

風の優しい心があんな風に壊れてしまったのではないのだろうか

……卑屈になっていく

一人じゃないのに、嫌な考えばかりになりそうで

天乃は、懸命な笑みを浮かべて見せる

東郷「久遠……先輩?」

天乃「お願い」

甘えたいと思ってしまった

支えられてしまった

寄り添いたいと思ってしまった

自分がいるべきではない【非日常】に、見惚れて、憧れ、恋をしてしまった

天乃「私は。私では、ダメ……だと思うから」

そんなことはしないと

そんな風にはならないと、決めていたのに


離れるべきかもしれない

園子のように、遠くから見守るべきかもしれない

けれど、果たして今から離れることが出来るのだろうか

寂しさなら耐えよう。虚しさなら耐えよう

だけれども

自分という異物が作り出した隙間を、正しく埋めることが出来るのだろうか

天乃はそう考え、東郷を見る

東郷は友奈と違って真っ直ぐなようで真っ直ぐではない

友奈に絡みつくようにして、道を進んでいる

支えているようで、支えられている。そんな、形

だからこそ、東郷には友奈の支えとなって貰いたい

友奈には支えるだけの――そう、いうなれば自分のような人間にはして欲しくないと思う

東郷には、芯がなければ圧されて潰れる紙の束にはなって欲しくないと思う

だから、友奈を東郷に願う

そして、自分は

天乃「私は……」


東郷「久遠先輩?」

天乃「ぁ……ふふっ。ごめんなさい。左目のせいか、つい、転寝しちゃって」

自分の眼帯に触れながら、天乃は笑う

誤魔化すために、心配をかけない為に

手慣れた様子で、冗談めかしたことを言うのだ

天乃「とにかく、ね? 悪いけれど……私は友奈を失いたくないから」

東郷「…………」

その気持ちを分からない東郷ではない

東郷にとっても、友奈は大事な人だから

友奈の頑張りを酌みたいが、天乃の気持ちも酌みたいと

東郷は悩んで、頷く

東郷「分かりました……」

何かを言いたげに、けれど言わず

東郷は車椅子のまま一礼して、ゆっくりとホイールの部分を握り締める

天乃「…………」

その東郷の心の内を完全に窺い知る事は出来ないが

けれど、何か言いたいことだけは解って

しかし、聞いても答えはしないのだろう。と、見逃す

一瞬だけ、東郷が悲しげだったからだ

√ 6月3日目 夕(学校) ※水曜日


1、風
2、東郷
3、樹、夏凜と共に訓練場
4、沙織
5、友奈
6、クラスメイト
7、イベント判定

↓2

3


夏凜「今日は、友奈は欠席よ」

天乃「でしょうね」

天乃がそう答えると、

夏凜は表情を変えなかったが

樹は少し悲し気に首を振ると、遠慮がちに天乃へと目を向けた

樹「友奈さん、凄く落ち込んでました。あの時みたいに……もしかしたら、あの時以上に」

あの時。という言葉が指すのが

左目のことについて話した時だと気づき

その時の友奈を思い出し、夏凜へと目を向けると

夏凜は「確かにね」と、否定はしなかった

夏凜「今日学校に来たのが奇跡ってレベルだわ。ま、そこは余計な心配かけたくないって意地か」

樹「昨日、あの後追いついた時。友奈さん言ってたんです。私じゃダメなのかな。何もできないのかな。してあげられないのかなって」

とても悩んでいた

とても苦しんでいた

とても辛そうだった

樹は同じく心を痛めている表情で言うと

天乃へとむけていた目線を下げる

樹「追いかけたのに、頼まれたのに……私。何も言えませんでした」


自分も無力だと思ってしまったのだ

友奈が容易く屠られているのを目の当たりにして

積み重ねた努力を一瞬で崩されているのを見て

自分は……自分では、もっと、何もできないと

そう思ってしまったから

友奈にかける言葉を見つけられなかった

天乃「……………」

樹「……ごめん、なさい」

友奈が打ちのめされて

樹まで気を病んでしまったのだろう

ぽろぽろと涙をこぼし始めた樹は、歩みを止めて、俯いたままだ

夏凜も足を止め、樹へと目を向けたが

しかしすぐには動かずに、天乃へと目を向ける

夏凜「私が行くの?」


1、夏凜に任せる
2、もとはと言えば、私が悪いわ。だから、謝らなくていいわ
3、頭を撫でてあげる
4、ただそこにいるだけで良い。笑ってくれているだけで、十分なのに
5、やっぱり……私は異物ね


↓2


※1以外は樹に対して

ksk

3


では、今回はここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から

13日、14日は投下がない可能性があります




園子「天さんは、どうしても。助けてしまう人だからね……」

「……損な性格ですね」


風先輩の事もあって大変であろう樹ちゃんまで病ませる訳にはいかないな
何とかこの三人で相談しながら友奈ちゃん達をどうにか助けてやりたいけど…

後、さっき気づいたけど日付まだ2日目やで

ぶっちゃけ久遠さんって不器用だよね…
1周目は、優しいから人を過度に拒絶してたし
2周目からは、ハンデがあるのに何でも出来てしまうから、その不器用さが一部覆い隠されて人との距離感が上手くいってない気がするし


確かに、二日目ですね。失礼しました
では、少しだけ

きてた


見つめる夏凜に首を振り

やや強引に体をひねって、樹に向かって手を伸ばす

天乃「…………」

少しばかり心に触れてしまわないだろうか

頼られてしまわないだろうか

そう逡巡し、けれどそんなことの意味はなく

天乃は樹の頭に触れる

髪のふんわりとした柔らかさを潰さないように

けれど、しっかりと触れていることをが分かる温かさを伝える

天乃「……樹」

樹「…………」

天乃「樹、顔を上げ――あ、なくても良いわ。その方がよく見える」

茶化すように笑い、樹に触れる手に力を込めて

その頭をゆっくりと撫でて、頬へと下ると

樹の驚きながらも悲しげな表情がはっきりと見えた


天乃「……貴女、よく見ると瞳の色が風より深いのね」

樹「っ」

悲しそうだからじゃない

本当に、風より深い緑色をしているのだ

けれども顔はやはり、幼い

まだ子供

風はもちろん、友奈や東郷よりも

まだどこか幼さを残した顔立ちをしている

そんな子に、どれほどの重荷を背負わせてしまっているのだろうか

天乃「樹……そんなに背負う必要はないし、気負わなくていいの。まだ子供なのだから、出来ないことがあって当たり前なんだから」

樹「でも……でも……」

天乃の言葉は大人が言うべきことだ

樹から見れば、二年は大人かもしれない

けれど、それでもやはり中学生で、

成人どころか大学生でも、高校生でもない

だから、見守る夏凜はその明らかに行き過ぎたものにたいして、眉を顰めていた

毎回無自覚に後輩キラーで落としにかかる久遠さん


天乃「思うところがあると思う。でも、悪化させなかっただけで、友奈の気持ちを伝えてくれただけで。十分なの」

そぅっとほほを撫でながら

親指の先で樹の目元、涙を拭って笑みを浮かべる

悔いることはない。嘆く必要はない

無力だと思ったかもしれないが

けれど、しっかりと出来る限りのことはしてくれた

天乃は樹に終始笑みを見せ、褒めて、礼を述べる

樹「でも……私、何も言えませんでした。出来ませんでした……それで、良かったんですか?」

天乃「ええ。大丈夫、貴女がそこにいたから。黙って聞いていたから。友奈の悩みを私達は聞けたのだから」

頬を撫でていた手を、もう一度樹の頭に乗せて

やっぱり、嬉しさを感じさせる笑みを浮かべて頭を撫でる

抱えないように、悲しまないように

無力さに打ちひしがれることはないように

けれども、自分の実力のなさを、嘆くことがないような言葉を選んで紡ぐ

天乃「ね? 夏凜」

夏凜「ん……まぁ、そうね。今の状態の友奈に聞くわけにもいかないし」


急に話を振られた夏凜だったが難なく言葉を返して、息をつく

取り繕うような言葉を選んだつもりはなく

純粋に、思っていたことを言っただけだが

天乃の御膳立てのおかげか、樹はそのことを気にすることなく

まだ、微かに涙は残っているが、ほんの少しの笑みを浮かべる

天乃「そうと決まれば、ほら。樹。今日も特訓頑張りましょ」

樹「久遠先輩……」

天乃「過去を振り返る子は勤勉だけれど、振り返ったまま今を見ないのはただの愚か者よ。樹」

にやりと笑う天乃に向かって、

樹はやはり、まだ戸惑いの色は残しているけれど

でも、しっかりと笑みを浮かべて、頷く

今出来る事、やるべきこと

それが振り返り悔いることではないと、思ったからだ

樹「夏凜さん、久遠先輩……お願いしますッ」

天乃「ビシバシニボシ、頑張っていくわよ」

樹「ビシバシ……ニボシ?」

天乃「夏凜が秘かに考えた掛け声よ」

夏凜「誰が考えたって? え? もう一度言いなさいよ。海に突き落としてやるから」

今は悩まなくていい

そう、【樹】は、悩まなくていいのだ


では、とりあえずここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から





夏凜「ったく……節操ないわね。あんた」

天乃「?」

夏凜「気づいてないから質が悪い」


とりあえず樹ちゃん鬱病回避で一安心だな
久遠さんの発言がことごとくブーメランと化してるけど…

むしろ自分のようになって欲しくないから
ブーメランぶん投げてる気がする
自分は取り返しがつかないけど樹ならまだ平気…的な

久遠さんは自分を反面教師と見てるってはっきりわかんだね

もう夏凛が女房として支えてくれていいのよ


では、少しだけ

よしきた


夏凜「天乃、今日はどうすんの?」

昨日は友奈から直接模擬戦を申し込まれたから受けて

その結果がああなってしまったが

今回は樹から模擬戦を申し込んでくる様子はないし

夏凜も聞いてくるあたり、その気はなさそうだ

天乃「そうね……二人はどうする予定?」

夏凜「私は樹と組んで模擬戦するわ。自分が何をできるのか。それを考えてこさせたから」

戦闘において、樹の力はどうあるべきか

どう扱われるべきか

夏凜は樹の能力の性質だけを教えて、どう活用するかは樹自身に委ねたのだ

そして、

その力の扱い方を、今日見る予定らしい

要するに、今回は正直邪魔するな。と言ったところか……


1、夏凜と樹VS天乃
2、二人の模擬戦を見る
3、砂の城建設
4、精霊と交流


↓2

2

2


天乃「じゃぁ、今日は私審判やろうかしら」

夏凜「そ……あんたのことだから2対1で。とか言うと思ってたんだけど」

夏凜は想像と違っていたからか

僅かに顰めた眉を動かして髪を掻くと

樹へと目を向けて「そういうことだから」と、頷く

樹「分かりました。夏凜さん、本気でお願いします」

夏凜「分かってるわよ。私は手を抜けるほど、強くはないし」

天乃「なんで私を見るのよ。私だってちゃんと本気でやってるんだからね?」

ちらりとむけられた視線に文句を言う

本当に、【九尾の力だけでは】本気で相手したつもりだ

まだ変身を二つ残してるし、そっちの方が能力的には上であるのは事実だから

手を抜いていると言えなくもないのだが

しかし、それは抜かなければいけないものなのだ。仕方がない

夏凜「知ってる」

天乃「じゃぁ、なんで私を――」

夏凜「別に……理由がなくても見るだけタダで良いでしょうが。スマイル0円」

天乃「他の注文がないとだめよ。お客様」

夏凜「面倒くさいやつだわ。あんた」

天乃「それいちゃもんだってば」


樹「夏凜さん、久遠先輩。準備お願いします」

夏凜「ったく、あんたが余計なこと言うから」

天乃「スマイル0円とかいうからよ。うっかりんに警告一回。二回で失格だからね」

夏凜「んな理不尽なことあってたまるかってのッ」

怒鳴りながらも、

すでに勇者に変身していた樹と相対するように並び、

夏凜もまた、勇者の装束を身に纏って笑みを浮かべる

夏凜「まぁ、警告とかいうハンデ付きでも。勝つのは私だけど」

樹「本当にあるんですか? そのルール」

天乃「ないから安心していいわよ」

無垢な問いに笑顔で答えた天乃は

軽く咳払いをしてから、二人の邪魔にならない位置に陣取って

両者を交互に見やる

刀を手にすらりと立つ夏凜

ワイヤーのような糸を遊ばせるように腕を動かす樹

二人は互いを見合い、距離を目算して、息を飲む

そして、場の空気の緊張感が高まっていくのを感じた天乃の手にある木刀が砂場に突き刺さった瞬間

試合が――始まった


先に動いたのは夏凜

右手に持っていた刀を樹に向かって投げ、それからコンマ遅れて地面をけり出して

投擲された刀は樹のワイヤーに接触した瞬間に爆発し

薄い煙幕を発生させたが、夏凜は構わず真ん中を突っ切って空気を割き、樹へと刀を振り下ろす

けれど、その刃は精霊が守ることなくワイヤーにからめとられて、動きが止まった

樹「夏凜さんが最も得意としてるのは、その速さ」

――だから、動きを止める!

刀を絡めるワイヤーを伸ばしていた右手をさらに強く引いてよろけさせ、

左手を引いた瞬間、地面から無数のワイヤーが波打つ

夏凜「!」

樹「逃がさないっ!」

樹の思惑に気づき、刀を手放してバックステップで引き下がった夏凜だったが

ワイヤーの広がった範囲は広く

飛び出したそれに足をすくわれ、視界が傾く

樹「捕まえ――」

夏凜「まだ甘いッ!」

ワイヤーがさらに追加指示を受けたのとほぼ同時に

もう一本の刀が夏凜の右手に出現

すぐさまそれを地面に突き刺した夏凜はそれを爆発させ、ワイヤーと自分を吹き飛ばして距離を置く

夏凜「まだ遅い、もっと早く……じゃないと。双子座はおろか、私でさえ捕まえられない」

土ぼこりを払った夏凜は、もう一度刀を両手に具現化し、身構える

その姿を見つめていた樹の表情は、一瞬、残念そうだったが

すぐに切り替えて、まっすぐな目を向けた

樹「捕まえます。夏凜さんも、バーテックスも――久遠先輩も!」


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



樹対夏凜。明日で決着できれば


このシリーズでは二周目以降、樹ちゃんがイケメンになってくなぁ

そういえばこの二人前作じゃ闇堕ちしかけてたんだよな…
友奈ちゃん達と立場が逆転してて面白くなってきたぞ

分かる→友奈ちゃん、樹ちゃん、夏凜ちゃん、風ちゃん、園子ちゃん
やや可→美森ちゃん
違和感→天乃ちゃん

久遠さんってさん付けしたくなるのはなぜだ

いやー風ちゃんは違和感バリバリ

つまりお母さんにはちゃん付け出来な…ん?誰か近づいて(ドゴォ

1周目が好きだから、entyとかpatreonで再安価の権利を買いてー

まあ天乃もさんづけ似合うかっていうと久遠さんの語感が良すぎるだけな気がする

クラウドファインディングなら是非2周目バッドをですね、はい

正直大好物です

でもそんなこと(集金)全くする気ないだろうし一から百まで趣味と久遠さん愛しかなさそう

>>415
確かに久遠さんって言いたいのは語感が完璧だからかもな


では、初めて行きます

あいあいさ


今まで風の後ろについていくばかりで、全然前に出ようとはしなかったが

けれど、こんな人になりたい、こんな風になってみたい

そんな理想と夢を見ていた樹は、人を見る目は普通の人よりもあるのだろう

だから、夏凜の得意としているのがスピードであり

スピードに合わさった手数の多さが最高の武器だと見ていた

樹「それさえ止められたら……なんて」

威勢よく捕まえるとは言ったが、初手を成功させながら

しかし結果的に失敗に終わった樹は、簡単にいくことではないと解っていて

それがどちらかといえば出来ない部類のことだというのも微かに感じて、息を呑む

だが、瞳に諦めの色は無い

それを感じた天乃は笑みを浮かべ

相対している夏凜もまた、満足そうに頷く

夏凜「どこまで出来るのか、見せて貰うわよ。樹」

地面を踏み抜く勢いで駆け出すや否や、刀を一つ斜め上に投げ出す

樹の視線が一瞬だけ上空に誘導され、夏凜が死角へと消えていく

ほんの一瞬だ。本来なら何の意味もなさない刹那

しかし、夏凜は着地した瞬間につま先で蹴る事で一歩一歩の無駄を省き、

その一触に全力をこめることで、超低空の跳躍力を飛躍的に加速させる

ゆえに

夏凜「余所見するなッ!」

樹「!」

樹の目が再び夏凜を捕らえたときにはもう、切っ先の射程圏内だった

こいや


かわせないと悟った樹は、精霊の守りではなく束ねたワイヤーを衝突させることで防ぎ

その衝撃を利用して跳躍、夏凜を視界に納めたままワイヤーで地面を叩くことでさらに跳躍し

次の一手を模索する――が、ついさっき夏凜の投げた刀が夏凜の背後に落ちた瞬間、炸裂

開いたはずの距離は一瞬で消え、肉薄する

樹「!」

爆発の勢いを利用した超加速の刺突

速度と威力を上乗せしたその一撃で勝負は決まる


――はずだった


夏凜「っ……」

精霊の加護が発動するはずだった。勝負が決まるはずだった

けれど、木霊による緑色の光はなく阻まれることの無い視線が交錯する

樹「凄い早さです……予想以上で、もうだめかと思いました」

夏凜「……やってくれるじゃない」

夏凜の刀は、接触する直前で樹の体に巻きついたワイヤーによって止められていて

樹の体を離れたワイヤーは脱兎も逃さない速さで夏凜の刀ごと、右手を捕らえる

樹「どうするべきか考えて、どうやっても速さでは勝てないと思って……」

それなら、受けるしかないと考えたのだ

自分の力を信じて、諦めず、全力で立ち向かって、あえて受け止め捕らえる

それが、樹が考えた最終手段だった


夏凜「……一か八かに賭けた?」

樹「信じました。夏凜さんが言ってくれた言葉を」

樹は嬉しそうに笑みを浮かべ、夏凜もまた

どこか大人びたような、弟子を見る師のような笑みを浮かべて

けれど

夏凜「残念だけど、ゲームオーバーよ」

夏凜は捕らえられた右手を勢い良く引き、接触すると

樹を背負うように体を大きく捻り、地面へと叩きつけ、

樹「わぶっ」

左手の刀の切っ先を樹に向ける

夏凜「試合は諦めたらそこで終了、それは私も同じって事」

鼻先の刀を防ぐすべの無い樹は

夏凜の右手の拘束を解いて、両手を挙げる

樹「私の負――」

天乃「夏凜ちゃん大人気ないから失格。負け」

夏凜「まじめに仕事しなさいよ。ダメ審判」

茶々を入れてきた天乃にため息をついた夏凜が「起きれる?」 と、手を差し出すと

樹は「ありがとうございました」と、手を取り立ち上がる

負けは負けだ

悔しさがある。けれど、それ以上に満足感があって

だからこそ、樹は思う

樹「力を出し切れなかったから……友奈さんは、あんなにも辛そうだったんですね」

悔しさしか残らなかったから。出し切れた満足感がなかったから

ただただ敗北の苦渋を舐めるだけで終わってしまったからだと、樹は気づいた


夏凜「私は中途半端でよかったと思うわよ。あくまで私は、だけど」

自分の服の砂を軽く払い、樹の後ろ向くよう指示すると

その背中の砂埃を叩き落としながら、夏凜は呟く

樹「久遠先輩もですか?」

天乃「私のとった行動自体が答えよ」

樹「そう、ですか……そうですよね」

樹もまた、東郷と同じく友奈寄りなのか

少しばかり表情を曇らせたが、軽く頷くと、表情を一転させ、天乃を見る

樹「私には良いとか悪いとか。たぶん、決められません。でも、久遠先輩なら……」

思えば思うほど、寂しさが湧き出す

悲しい気持ちが押し寄せてくる

それを抑え込むように、一旦言葉を区切ると

小さな手を握りこぶしに換えて、息をつく

樹「久遠先輩なら、また。楽しい時間を作ってくれるって信じてます」

天乃「私には荷が重い期待だわ」

樹「そんなことないですよ。だって、夏凜さんといる時の久遠先輩が作る空気はとっても賑やかで、温かくて、楽しくて、幸せですから」

夏凜「樹、あんた私をダシ扱いするなんて良い度胸してるじゃない」

天乃「煮干し夏凜ちゃんが本名だったのねっ!?」

夏凜「んなわけあるか!」


樹「本当に、楽しそうです」

夏凜「私はいい迷惑してるんだけど……」

夏凜がそう言うと、

樹は嬉しそうな笑顔のまま「そうですね」と、明らかに思っていないことを呟き

もう一度楽し気な笑い声を溢した

そんな笑みを崩す気にはなれないのか

夏凜は困ったように頭を掻き、ちらっと天乃を見てため息一つ

諦めたように頭を振って体を伸ばす

夏凜「それじゃ、ささっと帰るわよ」

樹「はいっ、有難うございました。夏凜さん。久遠先輩」

天乃「私は見てただけだけど、やりたければ声をかけてね。叩きのめしてあげるから」

夏凜「いちいち物騒なこと言うんじゃないわよ」

天乃「夏凜もよ? 私は別に貴女の弟子ではないんだし。リベンジしたいでしょ?」

夏凜「満面の笑みでウズウズすんな。怖い」

でも。と

夏凜はどこか照れくささのある表情で

天乃とは目を合わせずに、呟く

夏凜「あんたを力でねじ伏せてみたいとは思う。それくらい強くなれたらきっと……」

夏凜は物思いに耽った様子で言葉を飲み込み、苦笑して何でもない。と、呟いた


√ 6月2日目 夜(自宅) ※火曜日

1、九尾
2、死神
3、若葉
4、獺
5、稲荷
6、悪五郎
7、園子
8、大赦
9、イベント判定

↓2

9

7


では、ここまでとさせて頂きます
明日もできれば、少しくらいは



久遠さんが一番生き生きしている時間=夏凜がいる時


今のところ夏凛ちゃんが数少ない癒し要素だし大事にしたいな


夏凜の「強くなれたらきっと……」って言葉の先が気になる
ホントに今回は恋愛抜きに完璧な距離感描いてるな

流石わかっていらっしゃる

http://i.imgur.com/ot1Th3k.png

ワロタ
これは夏凛ちゃんが本気出し始めてますねえ

では、少しだけ進めます

まさかの朝スタート


天乃「……園子」

園子「うん?」

いつも返事の帰ってくることがない呼び声に、珍しく声が返ってきて

天乃は思わず目を見開いて、園子の髪を撫でる

自分と似た匂い。けれど、違う匂い

そんな微かな違いを嗅覚で感じながら、瞳と瞳

視線を絡めるように目を向ける

園子「どうかしたの? 天さん」

馴染み深いその声は、不安定に揺らいでいて

雲のように実体を感じられず、今にも消えてしまいそうな儚さを思わせ

天乃は微笑みかけて、繰り返し髪を撫でる

あやすように、愛でるように

力を使いすぎた園子の体は、身体機能のほぼほぼが使えない状態で

片目、片耳、声

コミュニケーションにおいて重要なそれらが残っていることが奇跡で

生きているというのは、より……奇跡的だといえるかもしれない


園子「天さん、くすぐったいよ」

声色は嬉しそうながら、恥ずかしさのある声

天乃は「ごめんね」と呟くと、手を離して息をつく

この家に来てからまだ二日目の夜

部屋の外では、今までは聞こえることの無かった足音がいくつもしている

この家も、ある意味では寂しくなくなった

どこかに逃げ出す必要も無い

誰も何も言わないし

むしろそんなことは無いと振舞ってくれているが、

片耳、両足、片目に障害があって、

明らかに授業を行ううえでの邪魔者になっていると自覚している天乃は

園子の目を見て、苦笑する

天乃「私が園子の代わりにそんな状態だったら良かったのに」

そうすれば園子は東郷―須美―と離れ離れにならずに済んだし、

大赦に見張られてるような祭られ方をされて、嫌な思いをすることもなく

学校に通うことが出来ていただろうから……


けれど、困り果てた表情で「天さん」と、寂しそうに呼び

手を握れないことがもどかしそうに目を動かした園子は、天乃を見つめた

園子「そんなに背負わないで。私は、私の意志でこうしたんだから」

いつものほんわかとしたものではない生真面目な声で言った園子は

天乃の癖を否定して、眉を潜める

そもそも、背負い込みたいのは自分のほうだと園子は言う

園子「私が全然ダメだったから、天さんが怪我をして。ミノさんが犠牲になったんだから……」

守りきれなかった自分が悪い。察知できなかった自分が悪い

天乃はそう言って抱え込んでしまっているが、しかし

それは違うと、そんなことはないのだと

園子は天乃の言い分を認めない


むしろ自分が足を引っ張ったのがいけない

守られなければいけなかったのが、駄目だった

後悔した。辛いよりも悲しいよりも、ただ

自分自身の弱さを憎んだ

園子は天乃を見つめたまま、「ごめんなさい」と

やはり、消え入りそうな声で言う

包帯に頭の大部分を包まれている園子の見えている瞳に涙が浮かぶ

体を大きく犠牲にした理由の一部がその悔恨であり

天乃にできる限り背負わせまいとしたからだ

しかし、それさえも天乃の負担になっている

それが、園子は悲しくて、辛くて

動かない体が、嫌に憎たらしくなっていく

園子「これは私の意志だよ~、意志なんだ、だから……」

だからお願い

園子「そんなこと言わないで……私にも、背負わせて……」



1、それは出来ないわ
2、なにも言わない
3、そっと抱き締める
4、樹も……私が悪くはないって言う。貴女もなのね


↓2

3

4


天乃は園子の懇願を瞳に映し、笑みを浮かべる

嬉しくない。けれど、笑うしかないから笑う

誰も彼もが、身に纏った鎧を引き剥がしていく

そんなものは要らないからと、奪おうとする

天乃「樹も……私が悪くはないって言う。貴女もなのね」

園子「だって……天さんは悪くない」

力を使ったせいで人が死んだ

それがもしも私利私欲の力なら最低だろう

けれど違う

体の負担、身体機能の犠牲

それを覚悟し、みんなのために頑張ったのだ

その上で、惜しくも亡くなった人を罪として背負えなど

背負わせるなど出来るはずがない

そして

園子「私は自己責任だから」

自分で選んだことだ。強制されたことじゃない

だから、自分のことは自分で背負う


園子「それに、自分の覚悟が……」

言うか迷い、園子は言葉を止める

体が動かないから逃げられない

でも、今言わなければ変わらず背負われてしまいそうで

園子は一度瞳を閉じて、くすりと笑う

言えば変わると思っている自分は

とても自信過剰で、自惚れていると思ったからだ

天乃「園子?」

園子「あはは……」

名前を呼ばれていきを呑む

いずれにしろ、言わなければ背負われたままなのだ

だから、園子は瞼を開く

園子「それに、大好きな先輩への気持ちが負担になってるのは嫌だからねー」

決めてからは、するりと気持ちがこぼれた


天乃「別に、園子気持ちが負担になってるわけじゃ……なんで睨むのよ」

園子「体がこうなったのが私の気持ちだから」

大好きな先輩という言葉が全く聞こえていなさそうな天乃に

園子はやっぱり天さんだ。と笑みを見せる

嬉しいような、悲しいような

そんな思いを胸に、園子は目を合わせて

園子「だから、私のことは背負わないで……お願い」

もう一度、伝える

園子「私は天さんの隣に居たいから」

今度は更に気持ちを付け加えて


園子は背負わないでと言う

隣に居たいから。と、言う

天乃は園子の瞳をまっすぐ見返して

その意志の固さを確かめるように、頬に触れる

照れ臭さを感じる瞳

だけれども、決して揺らぐことはなく

園子「置いていくなんて、言わせないよ」

追い討ちをかけて来さえする

のほほんとしている分

心はとても、強いのかもしれない

もしくは……


1、分かった……でも無茶しないで
2、どうして、そんなに強情なのよ
3、仕方がないわね、暫くは預けてあげる
4、隣……ね。ついてこられるかしら
5、連れては行けないわ。貴女が戻る世界は私と違うから


↓2

1

1


では、ここまでとさせていただきます
今日は出来れば22時頃から


昨日分
園子の心、天乃知らず


園子はほとんど家の中で身体も動かないし毎晩添い寝位はしてもいい気がする

園子って体動かないから夜這いもかけれないし毎日生殺しでキツそう


では、戻って少しだけ

ほーい


天乃「分かった、でも……無茶しないで」

天乃がそう言うと、園子は眉を顰めて

あはは。と、苦笑して「酷いなぁ……」と、感慨深そうに呟く

無茶しないでと言っただけなのに

なにが酷いのかと首を傾げると、園子は軽く息をついた

呆れているけれど、どこか楽しそうな嘆息

失ったものを取り戻したかのような

喜びを感じる、微笑み

園子はそれらを携え、天乃を見つめる

園子「みんなが言っても無茶してる天さんが、無茶するなって、言うところかな~」

なんの冗談なのか。とさえ思う

みんながあれこれ言っても聞かず

無茶して、無理して、背負い込んでいく天乃が

なぜ、どうして、無茶しないで欲しいと言えるのか

園子「ミノさんが言ってた。お前がいうな~って、やつだよ~」

笑ってはいるが、本気で

それを天乃も感じ取って、笑うにも笑えなかった天乃は

そっと眼を逸らして、「そういわれたって」と、こぼす


園子「動きたいなぁ」

天乃「……でしょうね」

園子「もう。絶対に天さん分かってないよね」

全く動くことが出来ないから、動きたいと零したのだろう

そう思った言葉への返しが

どこか棘のあるものということに驚いた天乃が目を見開くと

園子は困ったような顔をしていた

園子「私が動きたいのは、その手を掴みたいから。その体を抱きしめたいからだよ。天さん」

動けないのが悲しいからとかじゃない

ましてや、動くことのできる天乃への当て付け、八つ当たりなんかでは決してない

一緒にいる。そばにいる

一人にすべては任せない

そんな思いとともに、自分を感じて貰えることがしたいからだ

園子「今の天さんでも、十分捗るから嬉しいんだけどね~」

天乃「は、捗るって、何が?」

園子「積極性に目覚めた天さん、周りからの圧力に押される天さん。むふふーっ、充実してるよ~」

そう言われてもうまく解釈できず、困惑の色を浮かべる天乃をおいて

園子は一人楽し気に、笑っていた

√ 6月2日目 夜(自宅) ※火曜日

01~10  継続
11~20 
21~30 
31~40  継続
41~50 
51~60 
61~70  継続
71~80 
81~90 
91~00  継続

↓1のコンマ  


夜、大赦職員の慌ただしい足音も途絶え

寝静まったであろう時間

鋭敏になった耳に微かに届く車の音のあとに

小さな小さな「天さん」という呟きが聞こえた

寝言か、気のせいか

静かに寝返りを打って園子へと目を向けるが

その顔は残念ながら見えず

動かせないから、顔を向けてくる事さえない

天乃「………………」

もしも寝言なら、起こしてしまう

もしも気のせいなら、起こしてしまう

でも、もしかしたら

呼んだけれど、思った以上に声が出ていなかっただけかもしれない



1、どうしたの?
2、黙り込む


↓2

1

1


天乃「どうしたの?」

起こしたらごめんね

そう思いながら、意を決して声をかけると

園子の方から「起こしちゃった?」と、心配そうな声が返ってきて

天乃はそんなことないわ。と、苦笑する

寝付けなかったわけではないし

もう寝ようかと考えていたが、でも、起きていたことには変わりない

天乃「まだ寝られてなかったの。園子も?」

園子「うん……昼間寝ちゃってるから。起きてる時間が変な時間になっちゃって」

天乃「でも、昼間起きてる時もあるのよね……辛くない?」

園子「ん~……」

聞かれたことに対して

なぜか悩んだ園子は「そうだなぁ」と、呑気に呟く

園子「夜なら、天さんの寝顔が見られるんだよね~」

天乃「見ても面白くはないわよ」

園子「うん、昔見た天さんの寝顔はただただ、可愛かった」


今はどうなのかわからないけれど

大変なことがいくつもあった中で

泊まり込んだ合宿の日

そこで見た天乃の寝顔を思い出して言った園子は

もう一度可愛かったんだよ。と嬉しそうに語る

あの頃が懐かしい

あの頃の、まだ、みんなが非日常にかかわりながらも

確かに、日常を生きていた時間が、懐かしい

園子は天乃の視線を感じたが

目を向けることのできない体ゆえに、笑う

園子「天さん、あの時みたいに一緒に寝てくれないの?」

天乃「もう中学二年生でしょ」

二年前でも小学生とはいえ、卒業を数か月後に控えた高学年

それでも小学生だからと押し切られて添い寝して

そんな懐かしさの一部にも虫食いのような穴がある

その空白の寂しさを埋めるように、小さく笑う

天乃「してあげれば、寝られるの?」

園子「ぽかぽか出来たら、きっと」

ぽかぽか、ぬくぬく

そうできれば寝ることが出来るというが……



1、する
2、頭を撫でる
3、抱きしめる


↓1

1

1


ではここまでとさせていただきます
明日は出来れば19時頃から



園子様のターン
絆値43


ここにきて園子様、恋人候補に急浮上か
夏凛ちゃんやさおりんもいるし今作もヒロインレース大混戦の予感

園子が他の子とイチャイチャする場面って意外とレアかも

久遠さんが受けでも攻めでも捗るのには同意
久遠さんは誘い受けが基本装備だからな


遅くなりましたが、進めていきます

よっしゃー

園子が相手だと責めにならざる得ない
物理的に


天乃「もう……仕方がない子ね」

わざとらしく、年上ぶった言葉遣いで言いながら

天乃は自分の布団を剥がし、車椅子を経由して

園子のベッドへと移る

広げられた手足を潰さないよう、丁寧に避けさせて

そっと、顔を覗く

園子「えへへ~お母さんみたい」

天乃「今日だけよ?」

園子「前も、そう言われた気がするよ~」

嬉しそうに言う園子に、

天乃は苦笑すると「そうだったかしら」と、恍ける

言われてみればそうだったかもしれない

流れた二年間が濃密だった自分と、希薄だった園子の記憶の鮮明度の差

気づかされた天乃は、しかし、悲し気な思いを噛み潰して園子の頭を撫でる

天乃「どうせ、私は甘い甘ーいお母さんだもの」

園子「ん~……意外と厳しそう。でも、同時に優しい。好かれるお母さんになるんじゃないかなぁ」

天乃「ふふっ、過大評価もいいところだわ。私はそんな立派な母親にはなれないわよ。きっと」


厳しくするかもしれない

優しくするかもしれない

けれど、きっと、失うことを恐れて

どうしようもなく、甘やかしてしまうかもしれない

それ以前に、子供なんていない可能性だってあるのだから

けれど、園子の優しい瞳は

天乃のことを見つめたまま、笑顔を見せる

そんなことないよ。と、表情で語り

好かれるよ。と、雰囲気で感じさせ

園子「私は天さん、大好きだもん」

言葉でその気持ちを述べる

頬を撫でて髪に触れたい願いを抱き

出来ないもどかしさを、押し殺す

天乃「二年しか違わない娘がいるなんて……」

園子「天さんってば、すぐそうやって茶化す」

天乃「え?」

園子「もしも体が動いたら、今抱きしめてるところだよ~?」

天乃「して欲しいの?」

園子「むぅ~違うのに~あ、でも、抱きしめて~」


やっぱり「仕方がないわね」と言いはするけれど

言えばしてくれるその温もりは

確かに優しく、当たり前に温かい

ずっと欲しかった。ずっと感じたかった

体の一部では感じることが出来なくなったそれを、感じられるところでだけでも

直接触れていない、心でだけでも

園子「………………」

だから、

心配させたくない、困らせたくない

へんな気持ちにさせたくないと思っていても

温めすぎた水が鍋から噴き零れてしまうように

瞳からは、涙が伝う

天乃「……………」

包み込むように抱きしめながら、優しく涙を拭ってあげる

大赦の人たちがいた。たくさんいた

けれど、それでは誤魔化せないものがあったのだ

それでは賄えないもの、補えないものがあったのだ

それが分かっているからこそ、天乃は何も言わずに、ただ、寄り添っていた


√ 6月3日目 深夜(自宅) ※水曜日


天乃「ん……」

頑張って横に目を動かしてみても

ギリギリ死角に入って見れない寝顔を想像しつつ

園子はふっと、息を吐く

園子「やっぱり、無理だよ」

九尾「試すことすら、せぬのかや?」

園子「困らせたくないから」

21体の精霊の中には、夢を見せることが出来る精霊もいて

その力を使えば、夢の中に閉じ込めることだって可能だ

九尾にそうしてはどうかと言われ、考えてしまったことを恥じるように

園子は唇を噛んで「ごめんなさい」と、呟く

九尾「夢ならば抱くことが出来よう。主様とて、お主の願いをすべて無視することなどできはしまい」

園子「うん。今だってそう……でも、だから。だから、このままでいいって思うんだぁ」

言えばしてくれる優しさがある

自分からしたい、感じたいそんな自己満足の為だけに

その優しさゆえに苦しむような悩みは抱かせたくないと、園子は拒絶する

園子「だって、私は天さんが大好きだから」

九尾「お主がそう思うたのなら、妾の言葉などありはせん」

言い残し姿を消したのを感じて、目を瞑る

包み込む温もりに抱かれながら、園子は微睡の中に沈んでいく

1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(悪くない、無茶しないで、継続、添い寝)
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流有(頭を撫でる、特訓)
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流有(気持ち)
・   三好夏凜:交流有(天乃が、特訓)
・   乃木若葉:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()

・      九尾:交流無()

・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



6月2日目 終了時点

  乃木園子との絆 47(少し高い)
  犬吠埼風との絆 38(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 37(中々良い)
  結城友奈との絆 50(高い)
  東郷美森との絆 39(少し高い)
  三好夏凜との絆 27(中々良い)
  乃木若葉との絆 32(中々良い)
     沙織との絆 46(少し高い)
     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 38(中々良い)
      稲狐との絆 30(中々良い)
      神樹との絆 8(低い)

 汚染度???%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します


√ 6月3日目 朝(自宅) ※水曜日

1、九尾
2、死神
3、若葉
4、悪五郎
5、稲荷
6、イベント判定
7、勇者部の誰かに連絡 ※再安価
↓2

※7は電話

6

6


01~10  大赦
11~20  クラスメイトA
21~30  樹海化
31~40  九尾
41~50  クラスメイトB
51~60 友奈

61~70  園子
71~80  死神
81~90  夏凜
91~00  風

↓1のコンマ  

あちゃあ…


↓1 コンマ

最低1 最高0での難易度判定

たのむ


http://i.imgur.com/PuuhqL3.png

天乃のステータスは、九尾勇者状態のデフォルト



1、九尾勇者
2、死神勇者
3、混合勇者
4、戦闘に参加しない


↓2

4

3


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


一日一体、3日以内に終わる予定
園子も参戦、風は端末無し
友奈は気力マイナス中


万全な状態だったら一度は不参加でもいいかなとも思ったけど風先輩が丸腰であることに気づいた

友奈ちゃんも心配だがまずは風先輩を助けに行かないと…

きっついな…風か友奈か
混合使ったら久遠さん体に影響あるが大丈夫なのか?
短期決戦狙うから仕方ないか…

旧勇者部になってら

風先輩にHPの表示がないのは攻撃受けたら即死ってこと?
だとしたらかなり不味いのでは…

勇者部側じゃなく一般だから多分死ぬな
全力で守らなきゃヤバい…けど友奈の気力減まで重なってるとは
回避出来てないツケがここに来たか

天乃に負担が行ってまた友奈と風にメンタルダメージ入りそう

友奈は自分の無力にうちひしがれて
風はなんだっけ…風の内面はまだ出てないか


では、初めて行きます

いえす


天乃「……風も来ちゃってるの? 端末持ってるのかしら」

端末のマップを確認した天乃は

仮端末が反応しているのか、名前の載っている風の文字を見つめ、呟く

仮端末ではなく、本来の勇者になるための端末を持っているのなら問題はない

けれど、あらかじめ大赦が渡しているとは、考えにくかった

九尾「主様の端末が特殊なだけじゃ。妾や黄泉の者によって、勇者の力を持つ犬姉の存在を感じ取っているにすぎぬ」

園子「? どういうこと~?」

九尾「つまり、犬姉の存在を知っているのは現段階で主様らと、隣にいるであろう犬妹のみ。ということじゃ」

きわめて深刻な表情で述べる九尾を

二人の勇者と一人の元勇者かつ現精霊である若葉は見つめ、同時に自分たちも目を合わせる

九尾が言っていることは、恐らく冗談ではない

だとすれば、友奈や東郷、夏凜は風がいないと思っているだろうし

逆に樹は変身できない一般人である風がいることで焦っているはずだ

九尾「今回、犬姉は勇者と敷いて行動はおろか、最悪死ぬ可能性もある。主様」

天乃「っ」

九尾「今の犬妹には守り切る力はないぞ」

天乃「分かってるわ。だからこそ……最初から全力で行く」

そう、覚悟を決めた表情を見せた天乃のすぐ横に、

小さな死神が姿を現す。彼は何も言わない

ただ、天乃に纏われるように周囲を旋回する

それは、何もなくとも負荷のかかる【混在する力】の肯定

九尾「短期決戦で行くぞ。若葉、乃木の娘。良いな?」

園子「もちろん! 天さんに無理させすぎないのが、今の私のやるべきことだから!」

若葉「友を守りたい。私の理由はそれだけだ」

玉虫色のカラフルで毒々しい装束を身に纏う天乃をよそに

二人の守護者、先祖と子孫は目的を同じくして、頷いた


若葉「とはいえ、下手に動くのは得策ではないな」

園子「うん……天さんの端末を見るに、にぼっしー以外は一応二人一組だけど」

若葉「ああ、犬吠埼姉妹は現状、戦力的には一人とみるべきだ。天乃、三好さんに戦術眼はあるか?」

天乃「あるとは思うけど、なくても。夏凜は【一人ぼっちの】樹を捨て置ける性格じゃないわ」

この場合、夏凜は確実に樹に合流するだろう

合流して、風の存在を認識して、そこからどうするか……

天乃「夏凜なら、たぶん。自分を囮にして樹と風を下がらせる」

園子「天さんタイプ……だね」

天乃「それは」

若葉「否定は出来ないぞ」

天乃「むぅ」

二人の乃木に言い迫らせた天乃は

否定しようとした言葉を丸のみにして

困ったように眉を顰めて、息をつく。今は、言い争う場合じゃない

若葉「天乃、どう動く? 私達のリーダーは天乃だ。決めてくれ」

天乃「っ……」

園子「………………」



1、勇者部が動いてから動く
2、若葉と園子を友奈側へ  ※天乃は夏凜側に行くことになります
3、若葉と園子を夏凜側へ  ※天乃は友奈側へ行くことになります
4、移動箇所を画像から選択 ※若葉と園子は付いてきます
5、夏凜達との合流を最優先


↓2


http://i.imgur.com/rmPOKwo.png

5


天乃「若葉は園子と二人で友奈と統合の援護に回って頂戴」

園子「天さん、それはっ」

天乃「大丈夫よ。夏凜がいるし、五郎君もいるから」

この程度なら。なんて甘く見るつもりはないけれど

でも、満開を使うほどの難敵ではない

ただただ、全力で移動して、追いついて、戦って、戦闘終了

過程をほぼ省けばそんな単純なものだ

若葉「今の自分には精霊の加護がないことを、絶対に忘れないでくれ」

園子「若葉さん……」

若葉「いつも通り若様で良い……園子。私達の友を信じよう。信じて信じて信じて。死すれば嘆くと、分からせてやろう」

物騒なことを平然と

しかも目の前で言う若葉を困り顔で見つめる天乃に目を向けた園子は

若葉へと視線を動かして、頷くと

園子「泣くからね? 私は、強く、激しく、永久を求めて」

そう言い残して、二人一緒に飛び去って行く

取り残された天乃は、小さく息をつき、頭を振って夏凜達がいる方向を見つめる

天乃「泣かせないわよ。出来る限りは、ね」


若葉達が動いてからすぐに、

夏凜達との合流を目指して移動を開始する

それとほぼ同時に夏凜が先に風と樹に合流し

何を話したのか、風が僅かに下がり、その後を追わせまいと

樹が風の向かった道に立ちふさがるようにして立つ

夏凜「樹、あんたも下がりなさい!」

樹「ここで下がったら今までと何も変わらない……だから、ここで一緒に食い止めます」

夏凜「風を無防備には出来ないって言ってんのよ。今の風には何の力もないただの一般人なんだから」

樹「それは……」

喧嘩しているわけじゃない。争っているわけでもない

どちらにも守りたいものがあって、守り合いたくて

だから、どちらも引くことが出来ずにいる

しかし、風は夏凜が言うように一般人で

逃げようにも、僅か(1マス)しか動くことはできない

天乃「夏凜!」

鋭い聴覚ゆえに声は聞こえるが

残念ながら、天乃の声はまだ、夏凜達には届かない


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



現状→【http://i.imgur.com/3JgCh9e.png

バーテックス戦術行動注意


相手が露骨に狙って来ている辺り今回の闘いは風先輩の防衛戦がメインになりそうだな



友奈達と距離があるのが怖すぎるな
受け切れるなら挟み討ちもありだけど今回は混合勇者のうえ防衛目標ありだからジリ貧になりそう

本当に狙ってきてるのか?
横にしか動いてないし狙ってなさそうに思えるんだが…
というか久遠さんいる方狙うとか神風もいいところだろ

風先輩に集中しすぎて油断したところに左から双子の片割れが乱入してくるに一票

園子と若葉も考えて動くはずだけど…どう動くか
というか思えば若葉と園子の共闘とか幻じゃないか


では、少しだけ

よしきた


天乃「近づいてこなかった……?」

機動力にたけた双子座は動かなかった上に

蠍座、乙女座は右サイドに動いただけで

それ以上の動きは見られなかった

無防備な風に気づいているとすれば

その弱点を狙ってきていると考えられるかもしれないが……

天乃「……不気味だわ」

バーテックスが多少なりと知能を持ち

ある程度の作戦、戦術的行動を行うことは痛いほどに理解している

だからこそ、

自分が考えている以上の何かがあるのではないか、と

天乃は不安を覚えていた


友奈と東郷の方に向かった若葉と園子は合流済み

向こうのルートはバーテックスのいない、いわばもぬけの殻

それは、園子たちの端末を見ても明らかなはずだ

天乃「園子たちはどう動くべきと考えるのかしら」

恐らくだが、

若葉と園子は不安を煽らないよう、風のことに関しては伏せようとする算段だったと思う

でも、こんなあからさまなねらい目をつけられたら

風を守るためにと事情を話して全力で直行する可能性も無きにしも非ずだ

天乃「ただ……」

あの二人がそんな分かりやすく単純な動きをするのだろうか

それを良しとするのだろうか

なにより、あっちには園子がいる

天乃「そんなボタンを押せば電気がつくみたいな流れ。園子は……」



1、園子に連絡
2、夏凜達と合流
3、全力特攻で蠍座との戦闘に入る
4、全力特攻で乙女座との戦闘に入る
5、全力特攻で双子座との戦闘に入る


↓2

2


天乃「…………」

頭を振る

園子だって立派な勇者だ、信頼できる仲間だ

園子だけじゃない

若葉も、夏凜も、樹も、東郷も

今は不安定な友奈だって、戦えない風だってそう

だから考えるべきことは違うだろう。と

天乃は深く息をつき、佇む

天乃「まずは左、次に右で上」

端末に表示されたマップを確認

人差し指で乙女座から蠍座、蠍座から双子座

その順番に指を動かす

敵は3体いるが、戦闘能力的には2体いるかいないかだ

つまり、風を守るための最善策は

天乃「攻撃こそ、最大の防御」

撃たれる前に撃つ、先制の一手

天乃「ふぅ……」

精霊の力を借りて、自身の脚力をさらに上昇させ、

一気に地面をけり跳ぶ

通常状態よりもすでに早かった機動力はそれをさらに上乗せされた爆発的超加速をして

かなり遠かった乙女座の目の前まで、ほぼ一瞬でたどり着く


天乃「存在そのものが、罪なのよ」

肉薄し、超加速の反動をかき消すことなく体を捻り、

乙女座の爆弾の射出口となっている尾のような部分を右手でつかむと

直後にそれを【蹴り千切り】右手に力を籠め、地面へと引き落とし

両足が地面につくや否や、天高く跳躍する

砂埃が舞う中、引き倒されたバーテックスは体の再生を行おうとするが

天乃の力故、再生できず、圧倒的な力を前に身動きもできず

乙女座のバーテックスが、天乃の接近を感知できたのか

天乃の拳による一撃を痛覚として感じ取れたのか

何もかもが不明ではあるが……

しかし

天乃「やぁッ!」

巨大な化け物を相手にし、マウントを奪った小さな勇者

彼女が空から舞い降りるたった拳一突きで

その巨躯が、中に隠されていた御霊が跡形もなく消し飛んだのだけは、明白だった

天乃「……時間がない」

樹海の根が抉られたように出来ている大きなクレーターから蠍座の方に目を向けた天乃は

指で眼球を圧し潰されているような激痛、

喉に手を突っ込まれ内臓を引きずり出されようとしているような吐き気

さまざまな苦痛を感じながら、しかし、歯を食いしばって拳を握り締める

天乃「みんなの前で倒れるわけにはいかない……早く倒して、早く、帰らなきゃ」

無理を重ねている体には、多大な負荷がかかっていた


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




戦闘処理。不要の為、判定していません
天乃→乙女座  2500ダメージ(700オーバー)で殲滅


久遠さん安定のオーバーキル
…なのだがまた無茶したらみんなに怒られるぞ


消耗戦で久遠さん離脱狙いか?

久遠さんのスタミナが切れてから全力侵攻
勇者部を壊滅させるんですね解ります

…鬼畜過ぎる


では初めて行きます

かもん


夏凜→蠍座 命中判定 01~65 命中  ぞろ目CRI

はい


戦闘結果 先出  夏凜攻撃失敗


蠍座→夏凜 命中判定↓1  01~78 命中 

よけて

うっかりん


戦闘結果 先出 蠍座攻撃成功

ダメージ=115ダメージ

友奈、東郷、園子、若葉 樹、風 双子座行動終了


http://i.imgur.com/SmKJmS0.png


夏凛までピンチに


天乃「……っ」

体の気だるさや、激痛、吐き気

これでもかというほどの苦痛を身に受ける天乃は

乙女座を潰したところから上がった先

樹木の陰に背中を預けて、うめく

まだ、倒れるわけには行かない

こんな場所で、みんなの前で、痛みに呻いたり、吐くわけには行かないと

精神力だけで保つ

心配させるから、不安にさせるから、背負い込ませてしまいそうだから

端末をちらりと確認

夏凜は樹を置いてさそり座に直行したようで、意外と近くにまで来ているようだ

一方で、若葉たちはそのまま横に移動することなく

斜めに進んできている

左側をがら空きにすることなく、しかし、みんなとの合流を目指して動いているのかもしれない


天乃「夏凜も動かずにいてくれたら」

それなら、さっとさそり座を倒してふたご座を倒して終われたのに

そう思った天乃は苦笑して、端末をしまう

天乃「夏凜に怒られるのが怖いのね、私」

絶対に怒られる。何があろうと確実に

こんな無茶をしているのだから

きっと「あんた、一体なにやってんのよ!」とか、叱られるんじゃないか。なんて

予断を許さない状況下でも

叱る夏凜を想像すると、なぜか笑みがこぼれてくる

天乃「ごめんね、夏凜。でも、私はみんなを守りたいの……そのためには、保身なんて考えられない」

力強く歯を噛み締めて、拳を握り、地面を踏みつける

自分が生きていること、まだ戦えること

それらを世界に、自分に。示すように立つ

天乃「もう少しいける。大丈夫」

そう、意気込んだ瞬間

精霊の加護の光が、夏凜がいるべき方角で瞬いたのが見えた


樹海にも阻まれる視界では

何が起きているのか、その把握は難しくて

端末で位置情報を確認する

天乃「友奈がこっちに直進してきてる……それに」

蠍座は健在で夏凜と戦闘中だろうか

双子座に限っては、樹と風めがけてまっすぐ直進してさえいる

天乃「樹……」

夏凜を助けに行くか、樹を助けに行くか

戦闘能力で考えれば、夏凜に手助けはいらないかもしれない

だが、バーテックスの戦闘能力を加味するなら

個人的な戦闘能力の低い双子座と相対する樹の方には、援護は必要ないかもしれない

でも、樹には単独封印の術がなく加えて、風を守る必要がある

天乃「っ……どうしよう、手が足りない」

精霊の力を借りれば、【無理をすることになるが】一気に二つの行動を行うことだってできる

天乃「満開は、出来れば使いたくない……この、程度では」


1、【SPアビリティ 覚醒】  蠍座戦闘後、双子座戦闘
2、夏凜の援護
3、樹の援護
4、勇者部の動きを見てから行動


↓2

1

3


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




この選択、吉か凶か


数字上では出てないけど段々弱ってきてるな久遠さん…
友奈ちゃんたちは間に合うのだろうか

これでにぼっしー失ったらいよいよ久遠さんのメンタルが…

まあ夏凛の方は死なないでしょ


では、初めて行きます

ばっちこい


夏凜のことが気になって、方角に目を向けるが

残念ながら、樹海が邪魔で見ることは出来ない

天乃「夏凜……」

心配だ。怖い

でも、だけれども、と。天乃は首を振って真逆、樹の方角へ足を向ける

天乃「大丈夫、大丈夫だって、私……」

いつか失った彼女のことを思い、天乃は胸元に手を宛がう

前もそうだった。あの絶望的な状況下で

彼女の笑顔を、彼女の力を

信じて、願って、祈って――奪われた

天乃「っ……絶対、絶対、行くから」

その恐怖を抱きながら

しかし、天乃は樹たち犬吠埼姉妹の元へ急行する


双子座の力が弱いことなど、関係ない

樹がいて、一般人である風がいる

そうでなかったとしても

両親を奪ってしまったのだ

彼らの代わりに、守らなければいけない

天乃「双子座――」

樹海の根を蹴り飛ばし、

高く跳躍しながら、世界を見下ろす天乃は

一部、何かが駆けた跡の土煙を見つけ、その先

勇者に匹敵する高速で駆ける双子座を視認する

――いた

判断はしなかった

いや、一瞬だったから、しなかったのと同じようなものだった

着地するや否や、

双子座が向かうであろう方向、その先の先

丁度合流するであろうルートめがけて直進する


狙いは精確だった

複雑に歪曲している樹海の目をかき分けるように駆け巡っていた天乃は

端末を確認せず、それの騒々しい足音で位置を把握

時には足を止め、時には速め

タイミングを的確に調整して、抜刀

天乃「……ここ!」

刀の柄を強く握りしめ、地を蹴る

迷いのないそれは

刃をまっすぐ正面にした刺突の型

精霊の力を借りた速さは、やはり、異常で

樹海の根から平原のような場所へと切り替わった瞬間

天乃の刀に双子座の矮躯が突き刺さり、体が砕けて、崩壊する

一瞬かつ、一撃

自身の崩壊さえ悟らせることなく、天乃はバーテックスを屠る

その力はやはり、バーテックスの追随さえ許すことのない

最強で災厄の力だった


戦闘結果 後出 
天乃→双子座

判定不要、討伐完了


夏凜→蠍座
封印行動成功判定 ↓1


01~64 成功  それ以外失敗


封印成功
攻撃判定補助、  防御無視


↓1 CRI判定  ぞろ目 01~10


戦闘結果、 攻撃成功

蠍座御霊に550ダメージ
残り、1450

封印限界残り3ターン


双子座を打倒したのとほぼ同時に

夏凜がいる場所で力強い神樹様の力を感じて

天乃は思わず振り返ると、笑みを浮かべる

封印を行い、成功したと感じたからだ

天乃「……夏凜」

不安はあって、怖くて

けれども信じた天乃の思いに答えるような力

それは確かに、三好夏凜のもの

天乃「すぐ、いくからね」

端末を操作して、マップを開く

動かない蠍座、隣接した夏凜

確実に向かってくる友奈、園子

左サイドの警戒をする若葉と東郷

風を守る樹

それぞれの動きを把握して、息をつく



現状→【http://i.imgur.com/IRuf2no.png


それぞれがどう考え、この動きをしているのか

天乃は考えて、友奈の名前をタップする

友奈の動きからして、向かってきているのは天乃がいる場所だ

つまり、天乃を助けようとしてくれているのだろう

しかし、園子を置いて移動しているのを見る限りでは

あの四人の計画通りにはいっていない可能性が高い

つまり、友奈が独断専行しており、園子は後を追う形になってるというわけだ

若葉と東郷の間隔が一定なのは、互いにサポートできるようにという配慮

つまり、二人は問題なくチームを組んでいる

風と樹に関しても問題はなさそうで、夏凜も

最初こそ不安な部分はあったが、封印も無事に成功して

後は御霊を破壊するだけと、もはや時間の問題になった


天乃「他に問題があるとすれば……」

天乃はそう言って笑いながら、自分の胸元に手を宛がう

肺に穴が開いているかのような、突き刺された痛み

走り続けた後の、鼓動の激しさに似た痛み

内側から湧き上がってくる吐き気

自分自身の体こそが大問題だと分かっている

だから、笑う

戦闘終了後に、どう逃げるか

どう言い訳するか、そればかりを考える

もちろん、蠍座のことも忘れてはいないし

奇襲その他、警戒も怠ってはいないけれども



1、勇者部が動いてから動く
2、さっさと蠍座を倒しに行く


↓2

2

1


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来れば早めの再開



明日で戦闘終了


友奈ちゃん余裕が無さすぎて周りが見えなくなってきてる…?

久遠さんが考えてくれてるから動きが分かりやすいな
その分、久遠さん視点であって友奈視点じゃないのが怖いな


この戦闘終了後に、経験値加算します
だいぶサボっていたみたいなのですごいことになりますが、ご了承ください


では、初めて行きます

よしきた


勇者部行動開始


友奈→蠍座  CRI判定↓1  ぞろ目 01~10

夏凜→蠍座  CRI判定↓2  ぞろ目 01~10

ほい


戦闘結果 先出

夏凜→800ダメージ  友奈→500ダメージ
計1300ダメージ

残り150


夏凜「ったく……天乃のやつ」

戦闘が始まってからの天乃の動き

戦闘が始まってからの経過時間

精確なことは分からないが、しかし

夏凜は絶対に無茶してるんだろう。そうとしか考えられない

見ずとも思い、考え、深々と息をつく

夏凜「これ以上、無茶はさせられない」

不可をかけさせるわけにもいかない

満開の一歩手前

最高峰の能力と引き換えに多大な犠牲を払う力

それでも、身体機能を失う満開と比べれば――いや

そんな生易しいものではない

夏凜「早く終わらせなきゃ……早く、もっと早く、もっとずっと、早く!」

右手の刀、左手の刀

それぞれを握り直し、勢いよく地面をけり出す

むき出しにした御霊は無防備ではあるが

しかし動くこともあるし、抵抗してくることもある

今回には毒のキリを噴出して、僅かに動く。そんな御霊

だが、夏凜にはそんなこと関係なかった


駆けだした夏凜は御霊が左に動くと、後を追わずに右に跳躍

直後、樹木を蹴とばして方向を変え、体をひねり――

夏凜「ったりャァッ!」

御霊の真後ろから一閃

直撃したその一瞬、その滞空

その間を逃すことなく、左の刀を逆手に持ち替え、直上から突き立てる

ピシッ!

そんな音が聞こえたが、しかし崩壊にまでは至らず

もう一撃を入れようとしたところで

背後から気配を感じ、思いっきり、飛びずさる

ある教官の訓練中、何度も行われた一瞬の奇襲

受け続けたからこそ、反射的に動いてしまった夏凜は

せめてその存在だけでもと、振り返る

友奈「っ――!」

友奈だった

目標であると語っていた天乃と同じ色の髪を激しく掻き乱し

一直線に接近してくるその姿は、牛鬼の作り出す薄くも強靭な光に守られている

夏凜「友奈……」

それは、友奈が見つけた一つの答え


本来、敵の攻撃から身を守る方法である加護を

自身の突撃を阻害されない為に展開した攻撃方法

友奈「夏凜ちゃん下がって!」

そんなものを被害なしに止められるすべのない夏凜は

悔しそうに歯を噛み、刀の柄をへし折りそうなほどに強く握る

夏凜「友奈ッ!」

そんな力の使い方は誰も望んでない

ましてや、そんなやり方で貢献などすれば

天乃は絶対に許さない

全てを知っていると自負はしない

けれどそれでも、夏凜はそう思った

目の前で、友奈と御霊が衝突する

桃色の火花を散らす衝撃は眩い

しかし、夏凜は一瞬も逃さず記憶にとどめる

見るべき人がいない

知るべき人がいない

だから、夏凜は伝えるために、それから眼を逸らすことはなかった


園子「まだまだ遠いけど」

園子と蠍座の距離はまだまだ遠く

友奈や天乃達のような近接特化のタイプでは絶対になす術のない距離

園子も、二年前はどうしようもなかった

何もできなかった

だからこそ願い、望み、与えられたその力を、浮遊する刃に込めていく

園子「少し、上にずれる癖があるから」

練習で撃った際、言われたことを繰り返し口にして

園子は触手のような補助機能を駆使して跳躍すると

園子「二人とも下がって!!」

友奈と夏凜に当たらないように狙い定め――投擲のごとく刃を放つ

友奈に声は届かなかったし、夏凜にも聞こえたのかは分からない

けれど、夏凜は振り返ることなく友奈の型を掴むと

後ろに跳び、樹木の陰に隠れる

その瞬間、園子の放った一撃が蠍座の御霊を貫き、吹き飛ばす

殺しきれなかった勢いは大爆発のような炸裂音を轟かせ、木々を吹き飛ばし砂塵をまき散らせる

天乃の一撃にも匹敵するそれを目の当たりにして、

夏凜はまた一つ、先代との実力の差を感じた


天乃被害↓1 コンマ一桁  1~0  ホセイコンマ+3


戦闘結果 勝利


被害、夏凜軽傷(問題なし)、天乃(意識消失)

樹海被害6%
災害等なしで問題なく終了


天乃「園子……」

園子が高く飛び上がったことで、

姿を見る事の出来た天乃は

続いた爆音に御霊の完全崩壊を確信して、笑みをこぼす

樹木に寄りかかっていた体は

動かそうとしても震えるばかりで

ズルズルと滑り落ちていくのを、まるで他人事のように感じた天乃は

そのまま座り込むと、ふっと、糸の切れた人形のように倒れる

全力以上の移動を繰り返したのだ

戦闘が終わるまで保っただけでも奇跡的なほどに

天乃の体は摩耗しているのは当然で

意識のない天乃の口元から、赤い血が漏れ出ていく

九尾「愚か者め、無茶しおって」

その体を優しく抱いた九尾

そのすぐそばで浮遊する死神は

手に持っていた鎌を振りかざすと、【出口】を開く

死神「ツレテイッテ」

九尾「とりあえず、家に連れてゆく。お主は乃木の二人を連れて戻れ」

死神「ワカッバ」

九尾「冗談を聞く者はおらぬ、すぐに行動に移せ、よいな」

言い残し、空間に消えた九尾を見送った死神は

一度空間を閉じて、若葉と園子の元に向かっていった


>>572
判定【3】
補正【3】
結果【6】

6/3の(昼)(夕)(夜)
6/4の(朝)(昼)(夕)
今回は、上記6回分の行動が飛ぶのみで終了します


開始は6月4日目夜


1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(戦闘)
・   犬吠埼風:交流有(戦闘)
・   犬吠埼樹:交流有(戦闘)
・   結城友奈:交流有(戦闘)
・   東郷美森:交流有(戦闘)
・   三好夏凜:交流有(戦闘)
・   乃木若葉:交流有(戦闘)
・ 伊集院沙織:交流無()

・      九尾:交流有(戦闘)

・       死神:交流有(戦闘)
・       稲狐:交流有(戦闘)
・      神樹:交流有(戦闘)



6月3日目 終了時点

  乃木園子との絆 47(少し高い)
  犬吠埼風との絆 38(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 37(中々良い)
  結城友奈との絆 50(高い)
  東郷美森との絆 39(少し高い)
  三好夏凜との絆 27(中々良い)
  乃木若葉との絆 32(中々良い)
     沙織との絆 46(少し高い)
     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 38(中々良い)
      稲狐との絆 30(中々良い)
      神樹との絆 9(低い)

 汚染度???%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します


√ 6月4日目 夜(自宅) ※木曜日

01~10 
11~20  東郷
21~30 
31~40  友奈
41~50 
51~60 
61~70  風
71~80  樹
81~90 
91~00  沙織

↓1のコンマ  


※夏凜固定

はい


では、ここまでとさせていただきます
明日は出来ればお昼頃から


開始時メンバーは夏凜、園子、天乃


久遠さん、目覚めて早々二人からお説教タイムだな


約2日間意識不明か
前回と比べれば短いけど…夏凜ちゃん付きっきりだろうなぁ

ん?今回は?のみで終了?
どういう事だおいつまりもっときついのがあるってか?


経験値リザルト累計

名前 獲得    結果

天乃 5300  Lv.15→Lv.35
若葉 4400  Lv.10→Lv.27
園子 2600  Lv.12→Lv.24
友奈 0600  Lv.5→Lv.11
夏凜 0600  Lv.10→Lv.13
東郷 0600  Lv.10→Lv.12

  風 0600  Lv.6→Lv.11
  樹 0600  Lv.5→Lv.10


では、初めて行きます


√ 6月4日目 夜(自宅) ※木曜日


目を覚まして、

一番最初に見えたのは暗い部屋を照らす月明り

一番最初に感じたのは左手を握り優しい温もり

一番最初に聞こえたのは普段は部屋にいることのない友人の、寝息

天乃「…………」

痛みは体だけじゃなく頭も含めた全身に広がっていて

ズキズキとした痛みに加えて、絞り出されようとしているような窮屈な痛みが絶え間なく

火傷したような痛みのある左目に右手で触れると、包帯が接触を阻む

体の中の異物感も、多少和らいだとはいえ

まだ完全には拭えてはおらず、体を起こしたら吐くかもしれない。と

貧弱な自分の体に笑みをこぼす

天乃「……あ」

そうっと、左手を捉えて離さない人に目を向けると

見慣れているが、ここではめったに見ない夏凜の姿があって

天乃は思わず声を上げかけ、飲み込む

シワだらけの制服

片方だけリボンの解けた髪

いつからいるのか、どれだけ起きていたのか

聞くまでもなさそうなその姿に、天乃はやはり、罪悪感を抱いた


ごめんねと、心の中で口にする

起こしたくない、迷惑をかけたくない

心配したはずだ、不安にさえ、なったかもしれない

戦いを終えてどう戻ってきたのかは定かではないけれど

誰がどう連れ戻したとしても

夏凜だけでなく、みんなを不安にさせ心配させただろう

天乃「…………」

けれど、そうするしかなかったのだと、天乃は思う

風は戦えなくなっていたし

友奈や東郷はバーテックスから離れすぎていた

戦力としては夏凜と樹で、樹を風の護衛に付ける以上

実質天乃を抜けば夏凜のみの戦力でバーテックス3体の相手をする必要があったのだ

間に合うためには

確実に安全な勝利をつかむためには

体の酷使など、一日や二日の意識の消失など

安いものだった。と、天乃は近くの端末が表示する時間を見て思う

天乃「……大体、二日」

あの苦痛で二日程度の昏睡状態

なら次はどうなるのか、不安を覚えながらも、天乃はそれを噛み潰す



1、九尾を呼ぶ
2、夏凜の頭を撫でる
3、様子を見る
4、園子の様子を見る
5、おとなしく、休む
6、端末を確認する


↓2

2

2


天乃「っ!」

右手をゆっくりと上に上げる

それだけで、骨が軋み

筋肉が強張ってるような張った痛みが駆け巡る

それでも、天乃は夏凜の頭に触れて、さっと撫でおろす

天乃「これ……」

それでようやく、

自分の右手には夏凜の使っているリボンと全く同じものが結ばれていることに気づく

いや、まったく同じものではなくそれこそが、夏凜のもの

左手は握るから、右手にはリボンを

そう考えたのか、どうなのか

聞けばわかることではあるかもしれないけれど

天乃「ごめん……なさい……」

強い不安を感じる

鋭い恐怖を感じる

それは天乃ではなく、この約二日間夏凜が抱いていたもの

叱られるかもしれないなんて、冗談めいたことを考えていたけれど

とんでもない

どこにも怒りなんてない

ただただ不安で、ただただ怖かった

悲しみも怒りも、勝利の喜びさえも置き去りにして

夏凜にはそれだけしかなかったのだ

だからずっとここにいる。ずっと左手を握り締めて

握れない右手に、自分の髪留めを結び留めて

自分はここにいると、どこにも行かないでと、念じ続けていたのだ


それでも、ああするしかなかったと言うのかと

そこにはいない誰かが問う

それが【最善】だったと

それで【全て助かった】と

みんなが問題なく【日常に戻れる】と

そう言うのかと、その誰かは聞いてくる

天乃「…………」

頭が痛い。吐き気がするそう考えを振り払って

夏凜の頭から手を放し、自分の額を抑えると

普段触っていないが

けれども、それが熱を持っていることくらいは、分かった


結果だけ言えば【犠牲のない】勝利のはずだった

けれどもそう思っているのは自分だけで

みんなは【大きな犠牲を払った】勝利だったのかもしれない

夏凜や東郷、友奈や園子達みんなから思いを聞いて

それは分かっていたはずだ。そうなると予想くらいできたはずだ

けれど

天乃「体はどうしようもなくそう動く、頭はどうしてもそう働く……だって、私は」

今の天乃にはまだ、それを変えることは難しい

どうしても失いたくない

どうしても守りたい

そう思っているから、だろうか

天乃は二人の寝息を聞きながら

しかし、穏やかな気持ちに離れず、痛みと吐き気を心身に受けて

決して眠ることのできない苦痛の時を刻んでいく

園子も夏凜も眠っている

九尾や死神たちの誰もいない

しかし【お前がいるからだ】と、誰かの恨み言が聞こえた気がした


夏凜 判定↓1

01~20   70~80

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流有(ナデナデ)
・   乃木若葉:交流無()
・ 伊集院沙織:交流無()

・      九尾:交流無()

・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



6月4日目 終了時点

  乃木園子との絆 47(少し高い)
  犬吠埼風との絆 38(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 37(中々良い)
  結城友奈との絆 50(高い)
  東郷美森との絆 39(少し高い)
  三好夏凜との絆 27(中々良い)
  乃木若葉との絆 32(中々良い)
     沙織との絆 46(少し高い)
     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 38(中々良い)
      稲狐との絆 30(中々良い)
      神樹との絆 9(低い)

 汚染度???%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します


√ 6月5日目 朝(自宅) ※金曜日


夏凜「ん……」

天乃「おはよう、夏凜」

精神面をさんざん打たれ、それでも睡魔と戦い抜き

ついぞ敗北した愛しい親友の目覚めに

天乃は笑みを携えなgら、言葉を呟く

ずっと聞きたかった言葉ではない

けれど、聞きたかった声に

夏凜の意識は一気に覚醒して、目を見開く

けれども、飛びつくことも飛び上がることもない

夏凜「天乃……っ」

握ったままの左手はそのままに

自由な右手をもどかしそうに動かす夏凜は、きゅっと唇を結んで耐える

ここで下手に衝撃を与えては、傷つけると思ったからだ

夏凜「いつ……起きたのよ?」

天乃「昨日の夜。かな……」

夏凜「10時くらいまでは起きてたはずだけど、そのあとか」


ちらっと園子を確認した夏凜は

深く息をつくと、自分の乱れた髪を整えるために

もう一つのリボンも解く

夏凜「園子は起きる時もあるけど、変身したせいで疲れたんだろうって医療班は言ってるわ」

天乃「うん。昨日……じゃなくてこの前からずっとそんな感じなの。園子も満身創痍だから」

夏凜「園子もって、言える程度には自覚あるわけ? あんた」

無意識に使った言葉

それを指摘された天乃は一瞬驚いて

それもそうだろうと、考えを落ち着かせる

分かってはいる。知ってもいる

でも、夏凜には申し訳ないが【それだけ】なのだ

夏凜「今回、自分が何したかも。分かってるわけ?」

天乃「なにしたのか、分かってるわ。その程度の判断能力はあった」

夏凜「だったら、なんで力を使ったのよ。あんた、あの程度の戦いなら手を出すなって言われてたんじゃないの?」



1、風が力を使えなかった。攻撃されたら確実に死んでた。だから、使った
2、言い訳なんてしない。力を使ったのは事実だから……貴女の責めは受け止めるつもりよ
3、知ってても、分かってても。そうしてしまうのだから、仕方がないじゃない
4、私の体は良いのよ……ううん。良くないかも。でも、それ以上に貴女達が危険な目にあうのが嫌なの
5、だったらもっと強くなってよ……私が不安にならなくていいくらい、強くなってよ!


↓2

2

4


天乃「私の体は良いのよ……ううん。良くないかも」

自分で言い、即座に否定する

みんながそう言っていたから

それが全員の総意だと、願いだと、思いだと

言われ続けたから

それを知らない、分からないなんて侮辱することなど

天乃にはできない

けれど、だからこそ罪悪感があって、言葉はどうしても悲しみが満ちる

天乃「でも、それ以上に貴女達が危険な目にあうのが嫌だから」

夏凜「だけど、その結果が――」

天乃「分かってる。分かってるわ……その言葉も、思いも。ひっくるめて自分自身に返ってきてくれてる事くらい」

夏凜「…………」

天乃「だからこそ、夏凜だってわかると思う。私がどう思ってるのか」

なぜ、そんな行動をとらざるを得ないのか

それが分かるという天乃に、夏凜は目を瞑り、頷く


夏凜「あんた一人で済むことを、私達は若葉含めてなら、7人でカバーしなきゃいけない」

それはつまり

最悪の想定をすれば、天乃一人を戦闘に扱わないだけで

7人の少なくない犠牲が必要になるということだ

まだ初めての満開だから別に平気

そう考えている一部もいないこともない

むしろ、それ以上に危なっかしい考え方の勇者がいるレベルだ

はっきり言えば、それは得策じゃない

天乃「夏凜はまだ、付き合いなんて長くはないのに……良く分かってくれてるわ」

夏凜の辛そうな表情で察した天乃は

笑えないことを笑う、はかなげな笑みと共に呟く

天乃「私はもうすでに、仲間を一人死なせてる。一般の人を、風と樹の両親を死なせてる」

夏凜「それは」

天乃「なのに、これ以上誰かに肩代わりして貰うなんて嫌だわ」

それさえも

自分自身に帰ってくる思いであると

天乃は理解していて、それでも言葉にしたのだと夏凜は悟って口を閉ざす


天乃「……こんなに、ううん。元から学校になんて行くべきじゃなかったのかもしれない」

風や樹、彼女たちに尽くそうと

あえて近づくこと自体が間違いだったのかもしれない

その考えはきっと、

今の彼女たちにとっては間違いだとしても

その当時の彼女たちからしてみれば

あながち間違いではなかったはずだと、天乃は苦笑する

天乃「だって、そうすれば……私が犠牲になっても関係なんてなかった」

夏凜「友奈達はそれでも犠牲になったあんたに負い目を感じるはずよ」

天乃「ばれなければどうということはないわ。そのための、死神の隠密スキル……というと恥ずかしいけど、能力があるし」

夏凜「だとしても……」

言っていることは正しくはない

だが、間違いと言えるのだろうか?

今となっては不確かなものだが、しかし

その言葉が本当に間違っていると、言えるのだろうか?



1、夏凜。私……みんなに会うのをやめるわ
2、九尾なら、幻覚とかでみんなの記憶から私を消すことが出来るかもしれない
3、お願い、夏凜。分かって……私に誰も背負わせないで
4、酷いことを言ってるわよね。分かってる。でも、どうしても言わずにはいられない。考えずにはいられない
5、それならきっと、こんなにも罪悪感を抱かなくて済んだのかもしれない
6、……なんて。ごめんなさい。私も少し、弱ってるみたい。愚痴ばっかり出て来ちゃう


↓2

5

6


01~10 勝負

11~20 
21~30 
31~40  勝負
41~50 
51~60 
61~70 
71~80 勝負

81~90 
91~00 

↓1のコンマ

※ぞろ目でも勝負  


しばらく沈黙してしまったが

夏凜が躊躇っていると、天乃が不意にため息をついて

物悲しそうに、笑いだした

天乃「……なんて。ごめんなさい。私も少し弱ってるみたい」

なんて悲しそうなんだろうか

なんて寂しそうなのだろうか

なんで、自分は何も言わなかったのだろうか

なんで、今ここで動くことが出来ないんだろうか

夏凜は自分のその不甲斐なさを悔しそうに噛み締める

天乃「愚痴ばっかり出て来ちゃうわ」

夏凜「た、たまに、は……さ」

天乃「?」

夏凜「球になら、そういうのも必要ってことなんじゃないの? あんたにも」

愚痴を溢せとは言わない

けれど、息抜きをすることも必要なんじゃないか

と、夏凜は言いたいらしい


夏凜「だからって、今回した無茶が許されるわけでもない」

天乃「ええ、それは承知の上よ」

自分もきっと許さない

だから、みんなもきっと許してはくれない

それを分かり合っているからこそ

天乃の穏やかな返事に、夏凜は追撃を加えたりはしなかった

優しい目をしている

でも、それはきっと、はるか遠くを見ていると

自分のことを見ているわけではないと夏凜は、気づく

言うべきことがあるのに

まだ、言うことが出来ない不得手な部分

背中を押しても躓くだけの一部

そんな自分に呆れたため息をついた夏凜は、

笑みを浮かべて、天乃の右手に結んだリボンを指す

夏凜「それ、あげるわ」

天乃「え? でも」

夏凜「良いから……受け取りなさいよ。付けろとは言わないから。ただ、そばに置いておくだけで良いから」


天乃「良いなら貰うけど、でも。夏凜がいつも使ってるものでしょ?」

夏凜「使ってるけど、だからこそっていうか……いや、深い意味はないけど」

しどろもどろな夏凜を見つめる天乃は

何が言いたいのかと聞くために黙っていたが

夏凜の言葉が一向に伝わってこなくて、思わず、吹き出す

天乃「ふふっ、あははっ」

夏凜「な、なんで笑って」

天乃「いや、だってなんだか夏凜。本命を義理って渡す女の子みたいなんだもの」

その行動をしたことはないけれど

そうなってしまう理由くらいなら多少なりと理解できるし

それは馬鹿にするようなことでもないと思うが

しかし、笑わずにはいられなかった

天乃「お守りみたいなものでしょ? そんな恥ずかしがるようなものでもないじゃない」

夏凜「それはそうだけど……」

天乃「だから、貴女があんまりにも乙女っぽくて。そんな必要ないのにーって、つい笑っちゃったの。ごめんね」

てへっ。とでも言いたげなお茶目な笑みを浮かべる天乃に

夏凜は少しばかり悲しさを抱いて、「ふざけんなっての」と、ぼやく

夏凜「正直に、似合わないから馬鹿馬鹿しかったって言えば良いじゃない」

天乃「あら、勇者な夏凜には格好良くて似合わないかもしれないけれど」

夏凜「んなっ」

天乃「普通の夏凜には可愛らしくて似合うと思うし、私は好きよ。そういう貴女も」

夏凜「は、はぁっ? 意味わからない……意味わからないっての。目が覚めたなら帰る!」

顔を真っ赤にした夏凜はそう怒鳴って、足早に部屋から出ていく

天乃「……可愛いの何がいけないのよ。怒らなくたっていいじゃない」

あれだけ騒いでも目を覚まさない園子を見つめ、天乃は寂しそうにつぶやいた


√ 6月5日目 昼(自宅) ※金曜日
1、九尾
2、死神
3、若葉
4、悪五郎
5、稲荷
6、園子
7、イベント判定
8、勇者部の誰かに連絡 ※再安価
↓2

※8は電話

6

3


では、少し中断します
21時までには再開予定です

一旦乙


では、再開


若葉「あぁ、天乃の回収をしたのは九尾だ。死神が作った扉から抜け出したらしい」

天乃「そう……やっぱり」

若葉「みんなすごく心配していたぞ。力不足だった自分たちが悪いのだとしても、な」

怒っているわけではないのだろう

しかし、言葉の一つ一つが突き刺さる天乃は

ばつが悪そうに俯いて、首を振る

天乃「別に力不足だったわけじゃないわ。殲滅を急ぐ必要があっただけで」

若葉「正直、今回の戦いは天乃からしてみれば役不足だったはずだ。本当なら」

けれども

大赦に端末を奪われたままの風が樹海に来てしまった

朝ということもあり、全員ばらけてしまった

そのうえ、バーテックスは風達のいる右サイドを進攻しようとしてきた

不幸の連鎖――その程度ならいいが。と

若葉は顔を顰める


若葉「大赦が仕組んだわけではないと思う。が、今回バーテックスは天乃がそうすることを狙ってきたんじゃないか?」

天乃「そうするって、私があの力を使うってこと?」

若葉「そうだ。右サイドを狙う姿勢、動かなかった双子座」

あれはどう見ても。とつなぐと

若葉は「天乃の疲弊狙いだ」と拳を握り締める

天乃「…………」

若葉「私達の主力が天乃だと向こうも学習しているんだろう」

天乃「だとしたら」

若葉「ああ、次も狙ってくる可能性が高い」

悔しい話だが

天乃が戦線離脱すると若葉もまた

少しの間なら行動可能だが、途中退場は免れない

今なら園子がいる分カバーできるかもしれないが

それでも、無理が祟って園子までもが離脱する可能性があるし

そうなれば、勇者部は間違いなく崩壊する

若葉「天乃。悪いことは言わない。しばらく戦うのを控えてくれないか?」

だから、そう進言するしかなかった


傍にいる若葉は天乃が戦いに参加する理由が分からないわけではないし

その思いも十分に理解できるのかもしれない

というのも

進言したその表情は、とても辛そうだったからだ

若葉「同じ立場なら、同じことをするだろうな……だが、だからと看過できない」

天乃「…………」

若葉「バーテックスは本気で天乃を潰しに来てる」

今回はたまたま連戦にならなかったが

出現が不規則な現状、連戦も踏まえなくてはいけない

若葉「大赦も、天乃の状態を考えて風に端末を戻したらしい」

天乃「私云々以前に返すべきだわ」

若葉「だから天乃、以前の申し出を受けて控えて欲しい」

若葉はそう言うと、頭を下げる

心から無事を願う

自分が消えるとかどうとかではなく、単純に

若葉は天乃を失いたくないからだ


1、……解ったわ
2、それは出来ないわ
3、守れるの? 私を狙っているバーテックスを止められるの?
4、人気者はつらいわね


↓2

3

1


天乃「……解ったわ」

若葉「本当か!」

身を乗り出すようにしてまで喜ぶ若葉に驚いた天乃は

思わず引いてしまった体を正死ながら、息をつく

天乃「そんな喜ぶ事じゃない……わけじゃないのよね」

自分も同じような反応するかはさておくにしても

気持ちだけは同じだと、天乃は思っている

だから、気持ちが先行して「すまない」と萎縮した若葉に

天乃は笑みを向ける

天乃「夏凜に愚痴を溢せたからかしら……後悔して暗い考えばっかりしてたのが少し変わってね」

若葉「…………」

天乃「出会わなかったことにするのも最終手段としては有り。でも、その前にできるだけの事はしようかなって思ったの」

右手に結んだままの夏凜の赤いリボン

それを左手で撫でながら、天乃は微笑を浮かべる

優しく、穏やかに

天乃「無かったことにするのは、きっと寂しいから。だから、まずは自分が我慢してみる」

若葉「そうか……なら、私達は天乃の為に精進しよう。特訓の辛さなど苦しみなど。不安と恐怖に比べれば大したことではないからな」


天乃「あら、でも。私はそれで無茶されるのも嫌だわ」

若葉「多少は許して欲しいものだな。そう、かすり傷程度は」

言い合って、苦笑する

非日常に半分片足を突っ込んだ会話だが

それでも、穏やかなものとして

和やかなものとして

こうやって話すことが出来るのが、二人は嬉しかったからだ

若葉「しかし、そうか」

天乃「?」

若葉「天乃は勇者部の中では、夏凜が一番親しみやすいか」

天乃「ん? いや、そんなことはないと、思う。けど」

突然言われたことに驚いて

変に途切れ途切れな返事を返しながら、頬を掻く

どうなのだろうか

特にこれと言って意識したことは全くないが……

天乃「揶揄いやすいからじゃないかしら? 多分、それだから仲良く見えるんだと思う」

若葉「だが、あんなに弱音を吐いたのは初めて見たぞ。言葉が上手く見つからないが、信頼。しているんじゃないか?」


天乃「なんでそんなに食いつくのよ」

若葉「それは……少し、妬いたからだ。わ、悪いか?」

天乃「え、う、ううん。別に」

理由を聞かれ、

自分がなぜこんなに暑くなっているのかを冷静に考える羽目になった若葉は

上手く隠すことが出来ないとあきらめたのか

頬を赤らめながら答えて

その照れくさそうな姿に、天乃も思わずどもってしまった

若葉「深い意味は、ないが」

天乃「うん」

若葉「傍にいる者としては……というだけで」

天乃「分かってるから」

必死に言わけしようとされると

逆に分からなくなるから。と天乃は言いながら、困ったように笑う

天乃「今回だって、たまたま夏凜だっただけよ。私が弱ってて。その場に夏凜がいたってだけ」

若葉「分かってる。その役を夏凜に取られたのが悔しいだけで、天乃が少しでも軽くなれたのなら。私はそれで満足だ」

自分以外の誰であれ、少しは妬いていただろう

けれど、恨んだり僻んだり、憎んだりなんだり。そんな悪い感情は一切浮かんでくることはない

そう言いたげな若葉に、天乃は「そうね」と、返した


√ 6月5日目 夕(自宅) ※金曜日


01~10 
11~20  沙織
21~30 
31~40 友奈と夏凜

41~50  風
51~60 
61~70 樹

71~80 
81~90  東郷
91~00  樹海化

↓1のコンマ  


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



夏凜ちゃんからのプレゼントは
東郷さんのように大事に持つことになるかもしれません


夏凛ちゃんとのやり取りを通して久遠さんも少しずつ変わっていけるといいなあ

そして次は風先輩…こちらもそろそろ仲直りして関係修復したいところだ

夏凜とのやりとりホント好き互いに理解しあってて互いに好意が感じられるゆうみもっぽさがある

みんなのおかげで久遠さん大分変わってると思う


では、少しだけ

あいよ


風「ごめん……久遠」

神妙な面持ちで訪ねてきた風は

開口一番、その言葉を口にすると

深々と頭を下げる

そしてまた「本当にごめん」と、言葉にする

風「ずっと謝りたいと思ってた。ずっと、申し訳ないと思ってた」

風は顔を上げないまま

何かを堪えるように、何かへの怒りをあらわしているように

拳を震わせて、続ける

風「なのに、あわせる顔がなくて。今更、そんなのふざけてるって思って」

天乃「風、そんなに自分を――」

風「そんなことない。あたしは、あたしはさ……ずっと久遠を憎んできたんだ。ずっと、敵だと思い続けてたんだ」

天乃「……間違ってないわ。だから、責める必要なんてないのよ」

すぐさま風の言葉に割り込んで

天乃は下がったままの風の頭に触れて、上げさせる

天乃「理由がどうであれ、私のしたことは結果的に風と樹の両親を死なせた。恨まれても仕方がない」


風「違う。苦渋の決断をしてなお、重責を背負わされた久遠のことを恨んで良いはずがなかった」

天乃「それは違うわ」

風「違わない。何も違わない」

自分の身体機能が失われる

かもしれないではなく、確実に

それでもなお力を使って守ってくれたのだ

その結果、守り切れなかった二つの命があった

けれども、世界が失われるのを防いでくれたのだ

どうしても賭してなお救いきれなかったことを

誰が恨めるというのか、誰が憎めるというのか

誰が責められるというのか

風「……久遠はこんなにも苦しんだ。こんなにも尽くしてくれた」

天乃の両足を撫でて、

頬に触れた風は、悲しそうな表情で目を伏せる

風「久遠がなんて言おうと、あたし達はただ……ごめんねと言うべきだった。ありがとうっていうべきだった」

天乃「っ」

風「頼ってばかりでごめん、守ってくれてありがとう。久遠が力を使って守ったのを知った時。そういうべきだったんだ」


なのに

恨んでしまっていた。憎んでしまっていた

喪失感ゆえに、その方向にしか行くことが出来なかったのかもしれないが

それが、風にとっては悔やんでも悔やみきれないことで

天乃に対する強い罪悪感を抱かせた

風「恨むだけ。憎むだけだった自分が情けなくて……」

どんな顔をしていいのか

どんな一言目を切り出せばいいのか

何もかもが分からなくなって

気が付けば、逃げ出すようになってしまった

避けるようになってしまった

風「そんなあたしを、久遠はまた気にかけてくれて……守ってくれて。あんな、辛い思いをして」

天乃「!」

不意に離れた風は

そのまま動くことのなかった天乃を

力強く、抱きしめる

風「ごめん……あたしがバカだった。もっと早くこうしておくべきだったもっと、もっと早く、勇気を出すべきだった!」

天乃「ちょ、風――」

風「失ってからの後悔なんてしたくない……だから、今までごめん。今までありがとう。それから」

強く抱きしめるのは変わらず

しかしそれはとても優しい抱擁で、痛みも苦しみもなくて

風「ずっと酷いことしてきたあたしだけど、出来たら。さ……仲良くしてくれない?」

耐えかねた気持ちが、伝わってきた



1、天乃って、呼んでくれるのなら
2、貴女が私をそう思ってくれているのなら、拒む理由はどこにもないわ
3、私こそ……貴女達の両親を奪ってしまって、ごめんなさい
4、……なによ。貴女、樹よりもずっと、妹みたいじゃない


↓2

2


では、短めですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




風はずっと合わせる顔がなかっただけ
許せなかったのは天乃ではなく自分自身


ついに仲直りか、長かったなあ
このまま勇者部復活まで突き進みたいな

なるほど夏凜が風は嫌ってない的な事を言ってたのはそういう事か
無茶したからこそ動く展開とは…何が正しい選択か判らなくなるな


では、進めて行きます

おk


天乃「それにこたえる前に、言わなくちゃいけないことがある」

天乃はそう言うと、抱き着いている風と離れようとしたが

離れきれずに息をついて「風」と、呼ぶ

天乃「私こそ……貴女達の両親を奪ってしまって、ごめんなさい 」

何がどうあったとしても

守り切ることが出来なかったのは事実だ

その責任を負う必要はないと言われようと

決して変わらない失ったという事実を受け止めて、天乃はいう

風「うん……いいよ。あたしも天乃には酷いことをしてきたから。それで、ここで、あたし達のその罪悪感を清算しよう」

謝る必要はない

それは天乃のせいじゃない

そういっても無駄だと判断した風は、

そんな妥協案を提示して、天乃の頭を撫でる

風「それに、天乃は樹にとって良き姉としていてくれた。親代わりの家族のようにいてくれた」

それで十分賄えたのだと、風は言う

風はこれ以上抱えることを許してはくれないだろう

認めてはくれないだろう

いいや、もう、抱える必要はないのかもしれない

残された二人が、こんなにも。想ってくれているのだから

その気持ちに反するなんて、それこそ許されることではないからだ


天乃「……馬鹿ね。貴女達みんな甘すぎる」

風「天乃が言えたことじゃないでしょ」

確かに、優しすぎた面はあるかもしれないが

それでも時にはしっかりと厳しくしていたのだから

そんなに甘々で対応されるようないわれはないと思った

けれど、その疑問符が顔に出ていたのか

風の不満そうな顔が見えて、言いかけた口を閉じると

風が逆に、口を開いた

風「みんなに話したんでしょ? 自分はどうしても犠牲にならないとって」

天乃「似たようなことは言ったわ」

風「その時に言われたんじゃない? みんな、天乃のことが好きなんだって。甘い理由はそれだけ」

本人は罪滅ぼしだったり

自分の二の鉄を踏ませないために、優しかったり厳しかったり

誠心誠意付き合ってきたのだろうが

それこそが、他人を引き付けていた要因なのだ

残念ながら、天乃はミリ単位でさえも嫌われることなどできてはいない


風「大体ね、天乃は不器用すぎるのよ」

天乃「下手に避けてた人に言われたくない」

先日までの

執拗に避け続ける風の態度を思い出した天乃は

やや膨れてぼやくと、そっぽを向く

もっとも、抱きしめられたままなのは変わりないのだが

そんな仕草を見せた天乃に、

風は困ったように、笑って

風「寂しかった?」

天乃「別に」

風「悲しかった?」

天乃「ちょっとだけ」

風「イライラした?」

天乃「とっても」

風「……ごめん」

謝った風の背中に手を回し直して

優しく抱きしめて、上に滑らせた手で頭を抱えるように抱き込む

天乃「仕方がないから、許してあげるわよ」

ここまで長かったとは思う

けれどきっと、こうなった経験は無駄じゃない

きっと、ここまで過ごしてきた時間は何一つとして、無意味にはならないだろう


天乃「これからは、天乃って呼んでくれるのね」

風「呼ばない理由がないから」

初めからそうだったのだ

色々なことが積み重なりすぎて

まともな判断ができないまま進んで、定着して

あんなことになってしまったが

普通ならあんな少しばかり険悪な感じにならずに済んだはずなのだ

と言っても

東郷が東郷と呼ばれたがっているために

その呼び方でも、不思議と不自然ではなかったけれど

風「それと……今回は本当にごめん。大赦からもちゃんと端末返して貰えたし。次からは戦える」

天乃「戦えるからって無茶はしないで欲しいものだわ」

風「相変わらず、天乃ってば自分自身に突き刺さることばかり言うわよね」

天乃「そうでもないわよ」

風「え?」

天乃「一応、考えてね。必要以上に戦闘には参加しないことに決めたの。平気そうなら、みんなに委ねるつもりよ」


風「……えっ」

天乃「何よその反応、傷つくわね」

そんな馬鹿なことがあり得るのかとでも言いたげな

風の驚いた表情に

天乃はすこしばかりむくれた苦笑いを浮かべて、ため息をつく

傷つくというのは冗談だ

無茶の代名詞と言われてもおかしくないレベルのことをしてきた身としては

無茶しないと言っただけで

そこまで大げさになられるのはもはや致し方がないと言える

だから天乃は笑うし、風もまた

ごめんごめん。と笑って謝る

風「でも、そっか……ようやく受け入れてくれたのね」

天乃「私が前に出すぎて後輩が育ってないってコーチが言うから」

風「そりゃ言い返す言葉がないけど……ってコーチ!?」

後から気づいた風に

天乃は不満そうに唸って、30点と無意味な点数を告げて息をつく

天乃「夏凜なら誰よコーチって! 大赦? 大赦なの!? ってところまで行くわ」

風「あー……あたしは芸人目指してないから」

天乃「そう、私の後を継いでボケ担当になって貰おうと思ったのに残念ね。樹でいいかしら」

風「頼むから樹を変な道に連れて行かないで」


風「ただ、そうなると問題が一つあるのよね」

天乃「問題ないわ。夏凜ならソロでも行ける」

風「そうじゃなくて」

長引きそうな天乃を遮った風は

椅子に深々と座り込むのをやめて姿勢をを正し、咳払い一つ

緩んだ空気を引き締めて、天乃を見る

風「友奈が少し暴走気味なのよ」

天乃「……………」

風「力不足を補うんだって、精霊ガード身に纏って特攻してたらしいのよ」

夏凜があの時言っていた嫌な予感

友奈が出来なかったという全力の一撃

その二つを同時に理解した天乃は

あの時の自分の行いを思い返して

しかし、間違っていたとは思わなかった

友奈のそんな姿を目の当たりにしていたら

ただ怒るだけでは済まさなかった可能性さえあるからだ

天乃「気絶してよかった」

風「ほんと……正直話を聞いた時は天乃がみてなくてよかったって樹と二人で頷いたわ」


けれど、それでも今こうして友奈の問題を告げたのは

勇者部を復活させたいからだ

そうするためには、天乃や風だけでなく

友奈達のこともしっかりと解決する必要がある

だから言わなければいけなかった……のに

夏凜の奴め言わなかったな。と

口にはせずに思うだけ思うと、天乃を見つめた

風「友奈は今、少しでも認めて貰おうって無我夢中らしいのよ」

天乃「知ってる。それで、大事なことを見失ってるっていうのも知ってる」

そうでなければ無茶の説明がつかない

そのきっかけは、たぶんあの模擬戦を最後まで受けてあげなかったせい

しかし、そこからの考え方によっては

正しく向かうことが出来たはずなのだ。なのに

天乃「……放っておいたのが間違いなんでしょうね。きっと」

突き放しただけで見てあげなかった

きっとそれが問題だったのだ

天乃自身、あの頃からすでに弱り始めていたとはいえ

鞭を打っただけで終わってしまったのが、最大のミスだったのかもしれない


風「夏凜はすごく怒りそうだったらしいんだけど……」

そうだった。というのは結果的には怒っていないからだ

というのも、怒る前に天乃が意識不明で連れ帰られたことを知り

友奈のことを後回しにしてしまったらしい

と言っても、見ていた樹曰く「天乃の前でそんな真似したら私が切り伏せてやるッ!」と

殺気立ってはいたらしいのだが

風「とにかく、友奈が今やばめでね……一応、東郷がケアするとは言ってるけど」

天乃「東郷が話してくれるなら私よりましなんじゃない?」

風「そうとも限らないからこうして話してるのよ。今日はあれだから、明日にでも連絡してみてくれない?」

天乃「そう、ね」

冗談でも謙遜でもなく

東郷なら何とかしてくれそうな気がしたが

天乃は一息ついて頷くと、外へと目を向ける

来たのが夕方ということもあって、外はいつの間にか暗くなっていた




1、今日は泊まっていったら?
2、分かったわ。出来れば会いたいけれど、話してみる
3、私なんかでそんなに思いつめなくてもいいのにね
4、風もする? 私と模擬戦
5、どうしてそんなにまで追い込まれちゃうのかしらね

↓2

2

2


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


勇者部復活までの壁、友奈ちゃん
夜は死神控え、前回保留の追加精霊


良かった…元気な風先輩が戻ってきた
勇者部復活まで後もう一息だな


では、少しだけ


天乃「分かったわ。出来れば会いたいけど……」

暴走しているというのは言いすぎな気もして

天乃は口を閉ざして首を振ると

天乃「とにかく話してみる」

と、困ったように続けて、息をつく

友奈なら大丈夫かもしれないと思った

その信頼が裏目に出たと思いながらも

決して、友奈のことを責める考えを持たない

そうしたのは自分だから、きっかけは自分だから

それをしっかりと受け止めて

けれども、自分ひとりでは抱え込まない

天乃「もしも失敗したら、ごめんね?」

風「その時は、みんなで何とか説得する。根っこが良い子過ぎるからこそのアレだから」

きっと何とかなる

そういった風と天乃は互いに顔を見合わせて

口を揃えて「成せばたいてい何とかなる!」と、五か条の一つを呟いた

きてた


天乃「やっぱり、凡庸性高いわね」

風「一応、真面目な部分なんだけど」

風はそう言いながらも

久しぶりに普通に話すことが出来たのが嬉しいのか

それとも、ずっというのを我慢していたのか

笑顔のままで

風「本当に、天乃ならなんとかできる気がする」

そういって、天乃の体をもう一度抱きしめて離れる

風「もうしばらく学校に来れないって話だから。成分補給」

天乃「成分?」

風「こっちの話」

風はそう言うと、照れくさそうに笑って椅子から立ち上がり、

スカートのシワを軽く伸ばして鞄を取る

風「あのさ、天乃」

天乃「なに?」

風「ブラしてないと、やっぱ柔らかいわね」

言うや否や逃げた風を目で追った天乃は

しばらく理解が出来ずに考え込んで――

天乃「風の馬鹿ぁっ!」

その言葉の意味気づいて、思わず叫んだ


√ 6月5日目 夜(自宅) ※金曜日
1、九尾
2、死神
3、若葉
4、悪五郎
5、稲荷
6、園子
7、イベント判定
8、勇者部の誰かに連絡 ※再安価
↓2

※8は電話

8

2

凡庸性


死神の名前を呼ぶと

どこからともなく「クオンサン!」と

少しばかり怒った声が聞こえてきて

頭にこつんっと何かがぶつかった

死神「ワタシ、オコッテルヨ」

無茶したことに関して怒っているのは明白だったから

天乃はごめんなさいと素直に謝って、小さな黒い体を抱きしめて

頭であろう部分を優しくなでる

天乃「でも、もう控えることに決めたから。だから、ね?」

死神「アンマリ、シンヨウ、デキナイ、クオンサン、ダッテ、ヤサシイカラ」

天乃「そんな」

死神「セキニンカン? ヒトニバイサンバイヨンバイ、クオンサン、アルカラ」

死神はなおも続けていると

体をぐるぐると動かして天乃の手から逃れて

じっと目を見つめる

死神「ヤメルトキモ、スコヤカナルトキモ、ムチャヲシナイト、チカエマスカ?」

天乃「どこから拾ってきたのよ、その言葉」


では、短いですがここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から


このあと、死神の精霊交渉


死神の言動が珍しく感情的で何となくさおりんを思い出すなあ

あと追加精霊か…大丈夫なら是非過去の勇者を呼び出したいが…

何気に次の日は久遠さんの誕生日だな

前回とかは誕生日周辺で絶望プレゼントされてなかったっけ?
久遠さんの誕生日に良い思い出がない

凡庸性じゃなくて汎用性...

前は汎用性って打ってた気がするが…
>>1の誤字脱字は今に始まったことじゃないんだよなぁ
疲れてるせいもあるんだろうけど書き込む前に見直すべきだろうな


基本勢いでしか打ち込んでいないのと
聞き馴染んでる方でタイピングと即変換なので結構ミスが多いかもしれません
気を付けてもわりと多いですが、確認はしようかと思います



では、初めて行きます

りょーかい


正直な話をすれば

死神が言うように、誰かのことを守らないなんてことは出来ないと思う

きっと駄目だと言われても

体がもう限界だとしても

次使えば死ぬのだとしても

沙織や園子、友奈、東郷、樹に風

そして夏凜

誰かが失われそうになった時に、力を使ってしまうと思う

でもそれは、責任感があるからじゃない

天乃「私は、みんなが好きなの」

死神「…………」

天乃「みんながいる。みんなが生きてる、この世界を……そうね」

きっと愛しているのだろう

そうつぶやきながら、天乃は微笑を浮かべる

月明りに照らされて

魅惑的な雰囲気を放つ主人を、死神はじっと見つめて頷く

死神「ネェ、シッテル?」

天乃「?」

死神「セカイハ、ジブンヲ、チュウシンニ、マワッテル。ケド、マワシテイルノハ、ジブンイガイノ、ダレカダッテ」

天乃「…………」

死神「マワスヒトガイナキャ、セカイハ、マワラナイ。ササエル、チュウシンガイナキャ、セカイハマワラナイ」

だから、と

死神は言葉を紡ぎ、死神の鎌の刃の部分を天乃にを差し向ける

死神「イキロ、コノセカイガ、スキナラ」


天乃「……随分な口を利くようになったものね」

死神「ソレダケ、ワタシ、オコッタ。クオンサン、ワカッテホシイ」

死神はいつもの雰囲気に戻ると

天乃の周りをゆらゆらと浮遊する

世界は自分を中心に回っているが

その世界を回しているのは自分ではなく他人である

回し手がいなければ世界は回らないが

中心で支える者がいなくても世界が回ることはない

死神が言った言葉は、知っている、分かっている

だけれど、天乃が知っている言葉には続きがある

天乃「誰かが死ねば、誰かの世界を止める。代替品を使って回しても、決して同じ回り方をすることはない」

同じように動いているように見えても

それは決して同一ではなく、どこかで齟齬が生まれ、無理が生まれ、崩壊していく

天乃は知っているところまでを呟き、すぐそばで眠る園子に目を向ける

天乃「……分かってるわよ。そんなことは」

死神「…………」

天乃「でも、どうしようもない時はきっとあるから」


久遠天乃という少女の力は

他の勇者とは比べ物にならないほどに強力で

だからこそ、比べ物にならないほど多大な犠牲を必要としている

力を扱うだけで体が穢れていき、

満開を使わずとも意識不明に陥ったり、吐血するほどの負荷がかかる

それは精霊の力を持ってしても抗いようのない死を招く

天乃「それを避けるために、大赦は園子をまた戦いに連れ出した」

死神「ウン」

天乃「だったら、私も……誰かが無茶しなくて済むように誰かを連れ出すべきだと思う」

天乃はそう言うと

死神の方に目を向けて「そうでしょう?」っと言うと

死神は軽く頷いて、鎌をぐるっと回転させ柄の部分で床を叩く

死神「ナラ、モトメレバイイ。ワタシタチノジュンビハ、トトノッテイルノダカラ」



1、妖類
2、神類
3、先代勇者


↓2

3

3


天乃「先代勇者」

死神「………」

端末の電源を入れて、以前撮影した先代勇者のみんなが映る写真の写真

それを死神に差し向けて、天乃はその目を見上げる

天乃「この子達から選択することはできる?」

死神「ワタシノ、ナマエハ、カザリジャナイ」

天乃「……でも、誰が出てくるかは分からないんでしょう?」

天乃がそう言うと

死神は困ったように体を傾けて残念そうにうなずく

死神「カノジョタチトノ、ツナガリ。ソレガカケテイル」

若葉にとっての刀

それと同様の物があれば少しは変わるのかもしれないが

残念ながら、完全に保存されているものは手元にない

死神「ダカラ、ワタシハ、タマシイノ、ツナガリヲサグレナイ。ザンリュウスルカミノチカラデ、テキトウニヒッパリダスコトシカデキナイ」

天乃「……そう」


そこまでの贅沢は言えない

なにせ、過去の勇者から引っ張り出せるなんて

本来はあり得ないことが出来るのだから

大赦が神にさえできるはずがないということを

やってのけてしまうのだから

天乃「分かったわ。それでいい」

天乃はふっと息を吐いて

そういえばと、何かを思って死神に問う

天乃「陽乃さんを呼び出すことはできる?」

死神「クダケチッタタマシイヲ、ヒキモドスコトハデキナイ」

天乃「砕け散ったって……そんな」

死神「ハルノハ、ムリヲシスギタノ。ガンバッテ、ガンバッテ、ガンバルナトイワレテモ、ガンバッチャッタカラ」

死神は悲しそうに言うと

それでも、少しだけ頑張ってみると答えた


01~10 友奈
11~20 杏
21~30 千景
31~40 球子
41~50 白鳥
51~60 千景
61~70 杏
71~80 球子
81~90 友奈
91~00 白鳥

↓1のコンマ  


※ぞろ目奇数で陽乃さん


01~10 有
11~20 無
21~30 有
31~40 無
41~50 有
51~60 無
61~70 有
71~80 無
81~90 有
91~00 無

↓1のコンマ  

記憶の有無


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
少しずつ先代勇者も絡めていければ



今回も球子、ただし記憶持ち
蠍座を見つけたら確実に殺りにいく戦い方です
冗談で入れた陽乃さんにあと1とは、驚きです


あら本当だ、陽乃さんも見てみたかった

そしてまさかの球子記憶アリで再登場か…他の子もそのうち登場できるチャンスはあるのかな?



記憶を持ち越せるのは勇者部再結成にかなりプラスになりそう
他の勇者も見たいっちゃ見たいがそのために寿命磨り減らすんじゃ意味ないしな


では、初めて行きます


最後まで感じていた物を確かめるように

そこに現れた少女は強く手を握り締めて、顔を伏せる

はっきりと覚えている

そこにはなくても、しっかりと彼女の事を感じる

呼び出された精霊、先代勇者の一人土居球子は

生前のお転婆な一面を感じさせない表情であたりを見渡して

知り合いに似て、しかし違うと判る少女を見下ろした

球子「……陽乃。じゃ、ないな」

天乃「ええ。私は久遠天乃。陽乃は私の先祖にあたる人よ」

球子「タマは土居球子だ。死んだはずなんだけどな……どういうわけなんだ?」

大切な物を守り抜くことが出来なかった後悔

守れなかった約束

それを胸に抱く球子は、息をつく

球子「杏はいるのか?」

天乃「申し訳ないけれど、いないわ。貴女は私の精霊として呼び寄せられたの」

天乃はそう言うと

球子の口ぶりからして、最初から最後までの記憶があるのだろうと察して

少しばかり、罪悪感を抱く

天乃「いるのは若葉だけ。若葉も私の精霊としてこの世界にいるのよ」

今作のタマはシリアスな登場


球子「そうか……若葉も」

球子は、天乃が陽乃を先祖と言った時点で

自分がいた時代とはかけ離れてることを考え

そして、一応は自分たちの世代が

何をしたのかは不明瞭ではあれど、守り通せたのだと

ほんの少し安堵して、ふと気づく

死神「……………」

球子「天乃、で、良いか?」

天乃「ええ」

球子「教えてくれ、天乃の精霊にいる先代勇者は、タマと若葉だけなんだな? 間違いはないか?」

球子はすぐ横で浮遊する死神を一瞥してから

天乃へと目を向けて、問う

その不思議な問いかけに、天乃は一瞬、呆然として



1、ええ、間違いないわ
2、どうかしら。若葉に関しては陽乃さんの仕業だから。他にも何かあるかもしれないわ
3、何か気になることでもあるの?



↓2

2

2


天乃「どうかしら。若葉に関しては陽乃さんの仕業だから。他にも何かあるかもしれないわ」

球子「陽乃かぁ」

生真面目そうな雰囲気から一転

髪をガシガシと掻いた球子は

それなら仕方がないとでも言いたげにため息をつく

先代勇者や精霊にとって

陽乃だから。という言葉はもはや一種の魔法の言葉ではないのだろうか

と、天乃は思って苦笑する

天乃「納得できるの?」

球子「するも何も、陽乃は別格だったからなー……諦めてたというべきかもしれないな」

それはもう、

気にしたら負けというぐらいに

そう続けた球子は困ったように両手を広げた

球子「正直、こうして世界が守られたのだって陽乃のおかげっていえば説明要らない気がする」

天乃「まさか」

球子「そのまさかなんだ。なんて言ったって、陽乃だけは精霊に姿を与えていたからな。言葉だって話せてたし」


先代の時代で話すことのできた精霊

それで思い浮かぶのは、写真に写っていた九尾ただ一人で

天乃は現代の勇者には精霊がついていて

それぞれ神樹様の力で具現化していることを伝えると

それがあったらな。と

残念そうにつぶやいて、「悪い」とすぐさま謝る

球子「どうしても思わずにはいられないことがあるんだ」

天乃「………」

球子「こんなこと、天乃に言うだけ無駄だろうけどさ……タマは守れなかったんだ」

守ると誓った相手を

一緒に生きたいと願った相手を

自分のふがいなさが、弱さが、守り切れなかったのだと

球子は唇を噛み締めて、唸ると

球子「そんな奴を精霊にするより、もっと長く生きたやつを精霊にするべきだと思うんだ」

天乃「もっと長く……?」

球子「違うか? 死神、その鎌の持ち主の方がタマよりもずっと戦い慣れてるんじゃないか?」

黙り込んだ死神に向けて、そう言い放った


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



球子「先代の時代、大抵の悪戯は陽乃だからということで黙認されててな」

天乃「え?」

球子「星屑でチーズフォンデュしてたのはいい思い出だなぁ」

天乃「!?」


球子…のわゆ本編で悲惨な最期だったせいかまるで元気がないな
なんとか励ましてやりたいが…


?「チーズフォンデュ?なるほど...で、味は?」


では、初めて行きます

あいあいさ


死神「ソンナコト、ナイ」

球子「そんなことないって、だって、千景はタマ達よりもずっと……」

長く生きたはずだ

あの場で自分たちは死んでしまったが

けれども勝利することはできたはずだから

そう驚く球子を死神は見つめ、頷く

死神「タシカニ、イキタ。デモ、モンダイガアッタ。タクサンアッタ。ダケド……」

天乃「どれだけ生きたかじゃなく、どう生きたかが問題。ということでしょうね」

天乃の挟んだ口に、球子は千景を思い出して

最後はどうだったのか、何があったのか

それを思い出して……

球子「千景は、駄目だったのか? やっぱり……友奈だけでなく陽乃もいないとだめだったのか?」

千景にとって大事なのは友奈だった

陽乃に関して言えば、千景が最も嫌いな存在で

仲なんて全くよくない一方的な犬猿の仲だったと言ってもいい

それでも一緒にいるべきだと球子が思ったのは

陽乃が【千景に悪い考えをさせない】存在だったからだ

常に邪魔をして、常に悪戯して

千景の意識にウザったい存在を刻み込み、嫌な気持ちを全部引き受けていた

それが、久遠陽乃という道化師だったから


球子の悲し気な表情に

天乃はもちろん、死神も何も言うことは出来ない

その胸中を知ることなんて出来ないからだ

球子「なら、せめて教えてくれ……陽乃は、怒ってたか?」

死神「スゴク、オコッテタ」

死神はそこで言葉を終わらせたが

天乃がそのあとに自分に対してという言葉が続くのだろうと

察して、目を伏せる

陽乃という人間がどんな存在だったのか

沙織達からも色々と聞いているから、想像がつく

球子「そうか……悪いことしちゃったな」

いつも以上の物量作戦を挑んできたバーテックス相手に、切り札とは違う

陽乃曰く【奉納】という驚異的な力を使った代償として

意識不明になった陽乃に、自分が守るからと約束していた球子としては謝っても謝り切れない

そして、守れなかった自分だからこそ、この場に来るのはふさわしくないと思ってしまう

けれど同時に、これは最後のチャンスだとも思う

換えられないのなら、自分がやるほかないのなら

球子はそう思い、天乃を見つめた

球子「今度こそ、タマは守りたい。みんなも、約束も……力を貸してくれるか? 天乃」


精霊であり、先代勇者

自分の先祖を知る一人

その球子の差し出してきた手を

天乃はしっかりと受け取って、頷く

天乃「ええ、貴女が守ってくれる限り。私は私の力を最大限に貸し与えるわ」

球子「……その言葉も、陽乃そっくりだな。陽乃はおっきくてちっこい奴だったけどな」

懐かしそうに、球子は思いをはせて言うと

これからよろしく頼むと一言残して姿を消す

きっと、天乃が陽乃に似ているから

違うと分かっていてもそう見えてしまうから

気持ちの整理がしたいのだろう。と

天乃は考えて、ふっと息を吐く

天乃「貴方は、千景さんの関係者?」

死神「ワタシハ、チカゲノ、タマシイヲアズカッタダケ。ハルノイッタ。カノジョハワタシガコロシタヨウナモノダカラッテ」

天乃「…………」

死神「ハルノト、チカゲハ、キュウビクワシイ。キクト、イイ」


球子絆値判定  ↓1


補正+10  コンマ一桁+二桁

1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流有(ごめんなさい、話してみる)
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流無()
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流有(弱ってて)
・   乃木若葉:交流有(承諾)
・   土居球子:交流有(召喚)
・ 伊集院沙織:交流無()

・      九尾:交流無()

・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



6月5日目 終了時点

  乃木園子との絆 47(少し高い)
  犬吠埼風との絆 40(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 37(中々良い)
  結城友奈との絆 50(高い)
  東郷美森との絆 39(少し高い)
  三好夏凜との絆 32(中々良い)
  乃木若葉との絆 32(中々良い)
  土居球子との絆 22(中々良い)
     沙織との絆 46(少し高い)
     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 38(中々良い)
      稲狐との絆 30(中々良い)
      神樹との絆 9(低い)

 汚染度???%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します


↓1コンマ  30~40   50~60追加

はい

ほい


追加ナシということで、ここまでとさせていただきます
明日は出来ればお昼頃から



毎回久遠さんの誕生日付近が難関です


陽乃さん達の詳しいことは後々のわゆ時代の回想とかでも語られるのだろうか
思った以上に千景とは色々関わりがあるみたいだし


では、始めていきます


√ 6月6日目 朝(自宅) ※土曜日

01~10  バーテックス
11~20 
21~30  夏凜
31~40 
41~50 勇者部

51~60 
61~70  沙織
71~80 
81~90  大赦
91~00 

↓1のコンマ  

はい


「おはようございます、久遠様」

目を覚ますなり、一番最初に目に入ったのが大赦の人間

ともなれば、天乃があからさまに不快そうな顔をするのも納得で

そんな表情を向けられた職員は、

困ったように笑みを浮かべた

「そんなに嫌そうな顔をなさらなくても」

天乃「理由を知ってるくせに、よく言えるわね」

「ええ。図々しさが取り柄ですから」

それを取り柄と言って良いのか疑問だったが

天乃は特にいうこともなく、端末の時刻を確認して

なるほど、と呟く

今日は6日だ。ただの6日ではなく6月の6日

それはつまり、天乃にとって特別な日でもあるわけで

「久遠様、お誕生日おめでとうございます」

天乃「大赦に祝われても嬉しくないと言ったら困る?」

「いえ、それはもはや想定済みですから」

天乃「ならどうして、毎回用意しているのかしらね」

「しなくてもお小言言われるのは承知してますから。どうせなら、お祝いして不服そうな顔をしてもらおうかと」


にっこりと満面の笑みで語った職員の女性は

それでですね、と言いながら、鞄の中をあさって袋を取り出すと

天乃の手元に、それを置く

「プレゼントです。どうぞ開けてみてください」

相変わらずな笑顔の女性を一瞥して

天乃は包みに隠されて中身の解らない袋を持ち上げると

何かに気づいたように、女性へと目を向けた

天乃「……一つ聞いて言いかしら」

「はい」

天乃「去年も似たような重さのプレゼントを貰って、私はふざけないでと言ったわよね?」

「ええ、覚えています」

忘れていたなら投げ返そうとも思ったが

しっかり覚えているならと、

天乃は訝し気ながらも息をついて、袋の中

どこかで聞いたような店名の入ったプレゼント用の包装を解いて

中身を確認して、深くため息をついた

「昨年は全体的にレースの黒い下着で透け感が多いと不評でしたので、付け根付近のみレースという控えめな――」

天乃「なに、おちょくってるの? ねぇ、バカにしてるの?」

「そ、そんなまさか……恒例行事の一種だとは思ってますが」

天乃「解雇させるわよ、貴女」


「あはは、それはご勘弁を」

本気でそこまでいかないと分かっているからか

女性職員は楽しそうに笑って頭を下げて、息をつく

大赦の組織内部では

その力故か、嫌っているような人も多いが

誰かを傷つけるような言動でなければ

基本的には笑い事で済ませてくれる

そんな優しい人だと、少なくともこの女性職員は信じている

だから、こういった悪ふざけもできる

「それは私からの個人的なプレゼントです。久遠様ももう、15歳ですから。そろそろセクシーさが欲しいじゃないですか」

天乃「要らないわよ別に。誰に見せるわけでもないんだから」

「恋人の一人や二人。久遠様なら簡単におつくりになられると思いますが」

天乃「こんな体で、殆どの家事ができない女でも愛してくれるのならそれは嬉しいわ」

けれど、と

天乃は言葉をつないで女性を見つめて笑う

天乃「今は恋人を心配させてしまうから……ね。体だけでなく心にまで負担はかけたくない」


「久遠様は中学生でもしっかりと考えていて、憧れてしまいます」

天乃「その必要があるから考えているだけよ。一応、勇者だから」

そういう天乃を女性は見つめ

やはり、見た目で言えば齢の離れた子供であると感じ

しかし中身は決して幼くないその違いが、なんだか危うく思えた

天乃「それで本題は? 悪いけれど、婚約の話なら」

「いえ、それに関しては現状では完全な戦線離脱は好ましくないので延期させていただいています」

天乃「だったらなに?」

「その件なのですが、久遠様が恋人を全く作る気がないのなら無意味なんですよね」

どうやら、今回女性職員が来たのは

婚約云々はさておいても

せめて、異性との交際程度はしてもらえないのか。というお願いをするためだ

と言っても、大赦の魂胆としては

そういった交際をし、この世界に傷つけられない存在を作って貰うことで

絶対に裏切らないようにと保険をかけさせたかったのかもしれない

と、女性職員は語って、苦笑する

「大赦の目論見破れたり……とはいえ、相変わらず久遠様のことを分かっていない人たちばかりですね」

天乃「…………」

「久遠様は縛り付ける必要なんてないほどに優しい心をお持ちです。それを、偉い人は何も分かっていない」


学校の教育がどうのこうのなど関係なしに

とても優しい人だと、女性は語って鞄からもう一つ、包みを取り出す

「私としては、本題はこれです」

天乃「これは?」

「中身は存じ上げませんが、久遠様にどうしても渡して欲しいと言われたのです」

女性は困った様子で包みを手渡すと

確かにお渡しいたしましたよ。と、お辞儀をする

天乃「誰から?」

「それは公表するなと言われてまして……申し訳ありません」

天乃「……そう」



1、それなら返しておいて
2、とりあえず開けてみる
3、どんな人かくらいは教えてくれない?
4、分かったわ。有難うって伝えておいて



↓2

3


天乃「それなら」

とりあえず、と前置きしつつ女性職員が帰る前に、包みを開ける

出てきたのは白く小さな箱で

それを開けると何やら嫌な予感がする、高級感のある箱が出てきて

なにかを察したのだろう

女性職員は「これ怒られるやつだ」とあきらめ交じりにぼやいて

額に手を宛がって、俯く

天乃としても、見るまでもなく受け取ってはいけないような気がしたが

せっかくだから最後までと、二つ目の箱を開ける

入っていたのは、ネックレスだった

雫型のトップで、その中央にブルーサファイヤが控えめではあるけれど

しっかりと光を受けて輝く

天乃「ネックレスなんて、私つけないんだけど」

「指輪では……ないんですね。良かったです、いえ、安心はできませんが」

天乃「?」

「ああ、いえこちらの話です。あの方も、15歳は大人への第一歩だと考えているのかもしれませんね」


0.3ctのブルーサファイヤで、pt950

ブランドとしても、一応聞いたことはあるようなところで

正直、子供が手を出すようなものではなかった記憶がある

そんなものを目の前にして

天乃はさすがに、匿名のままではいけないだろうと思った

そんな話に聞くサンタクロースのような人が

親兄弟以外にいて良いはずがないと思ったからだ

けれど、女性職員は絶対に口外は出来ません。と、頑なで

天乃「そんなこと言われたって明らかに高価なもの、貰えないわ」

「あの方はお金は無駄に持っていますし、貰われて頂かないと逆に嘆くというか」

天乃「……あの方あの方って、何なの? ストーカーなの?」

そう言われた女性職員は

驚いた様子で笑みを浮かべると

すぐに困った顔をして唸り、「まぁ、否定はできないですね」と認めた

天乃「…………」



1、駄目よ。受け取れないわ
2、教えてくれないなら受け取らない
3、分かったわ。受け取っては置くけど……その人に有難う。でももうやめてと伝えておいて
4、分かったわ……仕方がない。受け取らないと後々大変そうだわ


↓2

3

4


天乃は頭を痛めたように顔を顰めながら額を抑えると

どうしたものかと考え、ため息をつく

どうしたもこうしたもない

相手がストーカーならば、

受け取らなかった場合、この家に潜り込んできて

朝気が付いたら首に付けられているなんて事もありそうで怖い

いや、ない可能性の方が高くはあるが

高価なものを軽く購入するほどに行動力のある人だ

天乃「分かったわ……仕方がない。受け取らないと後々大変そうだし」

記憶にはないが、片隅で何かがくすぶっているが

遠い記憶なのか何なのか、思い出せなかった

「そうしていただけると助かります」

天乃「でも、ちゃんとお礼は言っておいてもらえると助かるわ」

「ええ、しっかりと」

そう言い残し笑顔で去っていく女性職員を横目に

天乃は手元のネックレスを見つめる

誰が送ってきたものかはわからないけれど

これは確かに綺麗で、付けるべき人がつければよりよくなると思った

だからこそ、自分ではない人にあげるべきだとも……思う

√ 6月6日目 昼(自宅) ※土曜日

1、九尾
2、死神
3、若葉
4、悪五郎
5、稲荷
6、園子
7、球子
8、イベント判定
9、勇者部の誰かに連絡 ※再安価

↓2

※9は電話

9

9


1、風
2、東郷
3、友奈
4、樹
5、夏凜
6、沙織
7、全員にメール一斉送信 ※内容をもう一度安価

↓2

3

7



1、お誕生日おめでとう
2、貰ったのだけど、似合う? と、ネックレスをつけた写真を送る
3、今日は時間あるかしら。出来れば……会えたらなと
4、みんなに話したいことがあるの。会えないかしら
5、戦闘の参加に関してと、球子の件

↓2

4

3


天乃「…………」

別に、誰からも誕生日に関してのあれこれが来ないから拗ねているとか

そういうことはないけれど、と

天乃は誰に弁解するわけでもなく呟いて

すぐそばに置いておいたネックレスを見つめる

出かけるのは基本的に学校があるときのみで

そういう時にはこういうのをつけていくことが無い為に

きっと、これをつける機会はない

でも、せっかく貰ったものだから

一度くらいはつけてあげるべきだと思った

似合うなんて思われない

そう思いながらも、どこかで少し、似合うと言われたいなと思う自分がいた

天乃「……ふふっ」

少し前までは、そんな風に考えたことが無くて

誰かに見られたことの評価なんて気にしたことはなくて

それを気にする自分がいることに、天乃は思わず笑う

天乃「私もやっぱり、女の子ってことなのかしらね」

留め具を外して、後ろに回し付け直した後に

巻き込まれた後ろ髪をさっと舞わせて、鏡を見る

普段つけないものをつけている自分を見るというのは、ただただ気恥ずかしかった


鏡を見て、照れる

そんな自分に天乃は苦笑して、端末を手に取る

みんなはどう思うだろうか

みんなは、似合うと思ってくれるだろうか

夏凜はきっと、似合わないっていうだろうな。なんて思いながら

自分の左手首の赤いリボンを見つめて笑う

情熱の赤も、きっと似合わない

天乃「……似合うかしら。と」

友奈に送るべきかどうかは迷ったが

ここで下手に壁を作っても意味はないと判断して

沙織を含めた勇者部全員あてに、写真と一言を一斉に送る

天乃「でも、誰がくれたのかしらね。ほんと」

胸元に光る淡く青い光

それをみて、やはり

自分には似合わないかなと、思った


↓1コンマ


01~10  6
11~20  5
21~30  4
31~40  5
41~50  6
51~60 4

61~70 5

71~80  4
81~90  6
91~00  5

↓1のコンマ  

それ


一番最初に反応してきたのは風だった

似合っているいない以前の話で

【貰った!? 貰ったって、え、ネックレスを? えっ!?】

などという文面のほか

そんな相手がいるのか、相手は誰だ。というもので

きっと、ネックレスを贈られたというのが

風にとっては衝撃的だったのだろう

しかも、簡単に手に入れられそうなものではなく

高級感を感じるものなら、尚更

そのあとに続いて、樹だ

風の驚きの声が届いたのだろう

最初にお姉ちゃんは驚きすぎだと思いますがと一言入れて

樹『似合ってると思います。なくても大人びてますが、そのワンポイントでさらに大人っぽいです!』

そんな明るい言葉の後に

知ってますか? ネックレスは束縛したい相手、独占したい相手に贈るものなんですよと

少しばかり、怖い言葉が続いていた


天乃「……まぁ、ストーカーだし」

それで納得していいのかどうかわからないが

そういう人間が贈ってくるのだから

束縛だったり独占欲だったり

あからさまなものを感じても仕方がないのかなと、天乃は諦めて息をつく

もちろん、

天乃自身が強いうえに、九尾達もいるおかげで

そう簡単に被害にはあわないし遭う気はないが

そんなことを考えていると、

ドレス着たらもっと似合うから、結婚式場見学行かない?

と、一人いろんな意味で抜けたものを送ってきたクラスメイトがいた

言うまでもなく、沙織だ

沙織はそのうえで、それは冗談だけどと続けて

待ち受け画面にはしておいたと、笑顔の絵文字を使って喜びを表す


東郷に関しては、風のように相手について驚いていて

勇者部の厳格な調査を通してないなら駄目ですよ。と

なぜか冗談に思えない言葉の後に

雰囲気に似た大人びた印象を受けますねと、続く

夏凜はそんなもの贈りつけるなんて誰よと怒ってはいたけれど

似合っているとも、似合っていないとも言わなくて

ただ、なぜか

あんたが嬉しいなら別にいいけどと、ふてくされたような言葉選びで

天乃「……夏凜?」

そういう相手がいるなら

その相手との時間を大切にした方が良いんじゃないの?という言葉で終わる

そして、最後に来たのが友奈だった

友奈から返事が返ってくるかどうか

正直言えば、50%にも満たない確率だった

けれど、返ってきた

それだけでも天乃は嬉しくて、安堵して、一息ついてから

メールを開く



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 久遠先輩、元気になったみたいで良かったです

 夏凜ちゃんから聞いてはいたけど
 
 でも、こうして写真で見られてとすっごく安心しました

 これからもきっと、バーテックスは襲ってきます

 だけど、これからは私も頑張ります
 
 久遠先輩が無理しなくて済むように

 私は、全力で頑張ろうと思います

 だから、そのとっても綺麗なネックレスをくれた人と

 幸せな日常を歩んで欲しいです 
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


天乃「まぁ、贈ってきたのはストーカーさんなんだけど」

本当にそうなのかは分からないし

多分違うのだろうが

天乃はそう言って苦笑すると

友奈の言葉に感じた危うさを飲み込んで息をつく

風は暴走気味だっと言った

ゆえに、この頑張るという言葉は

いつもの友奈の頑張るという言葉とは別の意味だと思ったからだ


天乃「ほんの冗談のつもりだったけど」

友奈だけでなく

一部冗談だと思っていない人もいたのが少し申し訳なくて

天乃はそれぞれ6人のメールを見返す

ただ、考えてみれば誕生日にネックレスを贈られて

それを喜んでつけて友人に似合う? なんて言うのは

誰かそういう相手がいると思われても仕方がないのかなとも思う

悪戯としては、少し意地悪すぎただろうか

特に、風に対しては

天乃「友奈はメールで話をできる感じではなさそうだけど……」

夏凜に怒鳴られてもなお

ああ言えるというのが、暴走しているのをはっきりと明確にしている



1、友奈
2、夏凜
3、東郷
4、沙織
5、風
6、樹
7、全員に家に来て欲しいと送る


↓2

ksk

7


みんなが覚えているかどうかわからない

だから、誕生日云々なんて言うことはなかったが

夕方くらいに会いに来れないかと聞くと

友奈も含めて、全員が問題なく来てくれることになった

友奈と夏凜が一触即発な状態になる恐れもあるが

目の前で喧嘩するなんてことはないだろうと信じる

それに、

誕生日のことが無くても

今後のバーテックス戦について

話さなければいけないこと、紹介しなければいけない人

色々とあるから

全員集合は避けられない

やるなら早い方が良いだろう



√ 6月6日目 夕(自宅) ※土曜日

01~10 
11~20  樹海化
21~30 
31~40 
41~50 
51~60 樹海化

61~70 
71~80 
81~90 
91~00 樹海化


↓1のコンマ  


夕方になると、友奈も含めた全員が

同時に久遠家へと訪れた

風「一日誰にも会えない時間があったから、寂しかったんでしょ~?」

天乃「そういうわけじゃないけど……それに、ずっとそばにいてくれていたのは感じたから」

そう言って目を向けた先で

夏凜が照れくさそうに眼を逸らしたのが見えて

天乃は思わず、苦笑する

自分からしてくれたことなのだから

照れることは無いのに……

樹「写真で一緒に見えてましたけど、この赤いリボンって夏凜さんのですよね?」

東郷「そういえば、昨日からずっと夏凜ちゃんは久遠先輩と同じく後ろで――」

夏凜「別に深い意味はないわよ……それはほら。まぁ、気分よ気分!」

沙織「ふふ~ん? 気分? 久遠さんの寝顔を見れていい夢気分?」

夏凜「んなっ、そういうんじゃなくてっ」


普段の勇者部とはほとんどかかわりのない沙織も

夏凜を通せば楽し気な会話を繰り広げられていて

それを見守る天乃は声には出さずに笑って、

すぐそばにいながら

笑っていながら

しかし、空気になじめていなそうな友奈へと目を向ける

すると、友奈も天乃を見ていて

視線がぶつかった

友奈「園子さんと一緒に暮らしてるんですね」

天乃「伝えてなかったかしら?」

友奈「えへへ……あのネックレスも園子さんからだったりするんですか?」

ごく自然な感じで声をかけてきた友奈は

天乃が写真で見せたネックレスがまだ気になっていたようで

風「そ、そうそう! あのネックレス誰? 園子? それともまさか……大赦の職員?」

風も話に食いつき

一部の部屋を間借りしている大赦職員の誰かではないか

と、思っているようだった


1、ええ、園子よ
2、誰でもいいじゃない
3、私も知らないのよ。匿名で貰ったの
4、なんでそんなに気にしてるのよ
5、自分で買ったのよ


↓2

3

3

3


天乃「私も知らないのよ。匿名でもらったの」

もちろん、勝手に家に送られてきたわけではなく

ちゃんとした大赦の職員が

誰かから受け取ってきて

その相手が匿名希望しているだけであることも話して

天乃は小さく笑う

天乃「どうしても教えてもらえないのよ」

風「ん~……どう思う?」

東郷「そうですね、考えられるのは相手が極度の恥ずかしがり屋とか――」

園子「もしくは、その女性職員が本当に渡したかったプレゼント。だね~」

東郷の言葉に割って入った声の主に

全員の目が向けられて

それはさすがに恥ずかしかったのだろう

苦笑いを浮かべた園子は「その可能性も捨てきれないよね~」と続けた


天乃「いや、それはさすがに」

沙織「そうだね。久遠さんにネックレスをプレゼントしたのはその人じゃないよ」

樹「知ってるんですか?」

沙織「うん。久遠さんを独り占めしたい人なんてあたしは一人しか知らない」

風「……自己紹介?」

沙織「あはは」

風の挟んだ口に苦笑して

折られた話の腰を戻すように、ため息をついて

沙織は天乃を見つめなおす

沙織「知る覚悟はある? きっと、これを知ったら久遠さんは驚くと思う」

天乃「え?」

沙織「今はまだ引き返せるよ。知らなくてもいいことだって、世界にはきっとあるはずだから」

沙織は真剣な表情で良い、

天乃のすぐそばにまで歩み寄ると

その手を優しく握り、頷く

沙織「どうする? 久遠さん」



1、聞く
2、聞かないでおく
3、その人は悪い人なの?


↓2

2


天乃「それなら尚更、聞いておきたいわ」

確かに知らなくていいこともあるだろうし

それが結局のところ幸せであることだってないわけじゃない

それでも、天乃は知るべきだと思った

こんな高価なプレゼントをくれる人だ

知らないままでいいわけがない

それが、誰であろうと

その意志を感じた沙織は

仕方がないなぁと、嬉しそうにつぶやいて

沙織「久遠さんのお兄さんだよ。あと一年で結婚できる年齢だからね。指輪送りつけようとしてたから、それはさすがにって止めたの」

天乃「……えっ?」

友奈「お兄さん……ですか?」

沙織「まさか触ってもいない久遠さんの指のサイズ完全に把握してるとは恐れ入ったよ」

あははーと

笑う沙織を取り残して

勇者部や天乃の空気が固まって

樹「お、お兄さんが指輪? 結婚できるから……? ですか?」

樹の疑問が、空気中を漂った


沙織「お兄さんはすごいよ。本当に、うん。色々と」

天乃「と、とにかく……怪しい人ではないのね?」

東郷「妹に指輪という時点で怪しいを通り越して危けんぐっ」

風「しーっ、東郷、しーっ」

東郷の口をふさいで止めたものの

途中までの言葉で察した天乃は苦笑して

それを見た友奈は困ったように頬を掻く

友奈「だとしたら、久遠先輩はまだ、その……いないんですか?」

天乃「何の話?」

園子「天さんが付き合ってる人がいるかいないかじゃないかな~?」

夏凜「そこで目を輝かせてるあんたが不思議でならないんだけど」

園子「私はね~、天さんが幸せならそれでいいから~」


きらきらと目を輝かせる園子と

何か言いたげな目で

けれど言えない夏凜の視察戦を横目に

天乃は呆れ交じりのため息をつく

けれど

その表情はとても楽しそうで

その日常にしっかりとあてはまっている気がして

離れて見守る球子は

何かを思い出して、頷き、ほほ笑む

球子「陽乃にしてやれなかったことを、出来てるんだな……友奈も」

自分があれを守るのか

守れるのだろうか

いや、守らなければいけない

そう心に決めて、球子は現代の勇者たちを見守る

樹「あ、あの!」

天乃「?」

樹「それより、話があるって呼ばれたような」

好きな人の話が発展しそうだと察した樹は

切り替えるために、声を上げた




1、そうね、実は新しく精霊が増えたの
2、球子と若葉に関して話しておこうと思って(先代関係)
3、今日、私の誕生日なのに、みんなお祝いしてくれないんだもの! 久遠さんはお怒りよ!


↓2

2

1


天乃「そうね、実は新しく精霊が増えたから紹介しておこうと思って」

そういった天乃に対して

みんなは元から気になっていた球子の方へと目を向ける

球子「宜しくな。基本的には守る戦い方だから、守りなら、タマに任せタマえ」

具現化した旋刃盤を見て、友奈や樹がかっこいいっと声を上げて

風は軽く叩いて、「あたしの剣も攻守で役立つわよ」となぜか張り合う

夏凜「それ、投げたら戻ってくるまで守れないんじゃないの?」

球子「今はそうでもないぞ。投げれば手元に戻せる……きっと天乃の力が強いから精霊としても強いんだ」

昔は投げたら戻ってくるまで無防備だった

守り切れずに砕け散ることもあった

けれど、今は違うんだと球子は天乃に目を向ける

天乃「……それでね? もしかしたら聞いてるかもしれないけど、私は戦闘に関して後方で見守るようにするわ」

夏凜「え?」

友奈「ほ、ほんとうですか?」

天乃「もちろん、戦況によっては戦うけど。みんなに任せる事もあると思う」


戦えるくせに戦闘から退いて後方から見守るようにする

時代が時代なら絶対に嫌われるような

あるいは、怒られるような言葉を

誰一人拒絶することなく

それどころか喜んでいるのを見て球子は驚いた

先ほどからの空気感。それで多少は分かってはいたが

やはり、みんな天乃のことを大切に思い

心から、好意を抱いているのだと、思わず笑う

球子「そのバックアップとして、タマが出てきたわけだ」

夏凜「つまり、天乃が下がる分。あん……球子が参加するってこと?」

天乃「簡単に言えばそうね」

樹「良かったです……本当に」

樹は心から嬉しそうに言うと

天乃の近くに歩み寄って、心配そうに体を見て、左目を見る

そんな視線を受けた天乃は、優しく微笑む

天乃「これは貴女達の責任じゃない。私が自分で選んだことよ」

東郷「それは分かっていても、もう少し早く決断していただけたらと、欲を言いたくもなります」

天乃「……手厳しいわね。でも、事実だわ。ごめんなさい」


東郷「いえ、謝罪が欲しいわけでは」

切なげにそう溢した東郷の隣で

黙り込んでいた友奈が拳を握り締める

友奈「そうだよ……謝罪なんていらない。私達がもっと強ければ、私がもっと強ければ」

天乃「友奈……」

暗く影のさしたその表情は

普段の友奈からは、今までの友奈からは

絶対に見られないような、表情だった

友奈「久遠さんはこんなことにならなくて済んだんだ」

夏凜「友奈、それはここでは言わないって」

友奈「ごめんね夏凜ちゃん……でも、久遠先輩にだけ背負わせるのなんて間違ってるって思うから」

友奈は悲しげにそう言うと

振り払ったように笑って

友奈「でも、下がってくれるなら安心だよね!」

そう、明るく言って見せる

そのずれた言動が、

暴走しているどころか、誤り、壊れていることをより明確にしていく


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



7日目が日曜日なので、誰か宿泊
あるいは全員宿泊も可能です


闇を抱えた友奈ちゃんの説得…大変そうだけどみんなの力も必要だろうな
そういや今作はさおりん以外誕生日知ってるのかな?

ネックレスをつけた時の久遠さんが久々にかわいく感じた

http://i.imgur.com/pMxphtO.jpg

Wikiとかから引っ張ってやってみたが
久遠さんってやっぱ美人だと思った


では、はじめていきます


樹「でも、こうなっちゃうと逆に私達がサプライズプレゼントされちゃったことに……」

風「ていうか、そもそも天乃が寂しさに耐え切れずあたしたちを呼んだ時点で、ねぇ?」

友奈の危うさを払拭するように、明るい声で犬吠埼姉妹は言うと

東郷も笑みを浮かべて、確かにそうかもしれませんねと、続ける

友奈の危うさは無視していいことではないが

しかし、今ここで何かをするのは得策ではない

というのが、総意だからだろう

夏凜「一歳年取って少しは成長したってことなんじゃないの?」

天乃「夏凜も風も酷い言いぐさだわ。泣くわよ、流石の私でも」

風「頑なに進化キャンセルしておいて良く言うじゃない。まぁ、それはあたしもなんだけど」

園子「天さんは進化すると完全無欠少女になっちゃうからね~抜けてる天さんの方が可愛いよ~」

一進一退どころではない会話

けれど、それこそが日常で、それこそがあるべきもので

天乃は自分の事ながら

そこにいながら

しかし、遠巻きに見るような感覚を覚えて、小さく笑みをうかべる

天乃「今年は色々あった。みんなを騙していたし、酷いことして、向けられた手を弾いたりした」

それだけではない

天乃「そのせいで休部になった。みんなバラバラになった」

だから

天乃「私はみんなに喜ばれたり、祝われる存在なんかじゃないって思ってた」


天乃「だから誕生日の事なんて、どうでも良かったはずなの」

誕生日を祝うな、呪え

そう思ったことだってないわけじゃない

むしろ、

一年前はそんな幻聴さえ聞こえたほどだ

祝いの言葉を受けて、笑って

でもその言葉の裏に【お前が生きている分死んだ人間がいるんだぞ】そう、恨み言が含まれている気がして

隠した手を震わせていたこともあった

天乃「でも……」

ネックレスをつけて、鏡を見て

それをいたずらでみんなに送ろうと考えたとき

初めて、自分が誰かに見てもらいたいと思っていることに気が付いた

まともに整えていない姿ではあったけれど

女性らしさ一つ手に取って

それで自分がどう思われるのかを知りたいという気持ちが沸いていることに気が付いた

だから自分は誰かに認めてもらいたいと思っているのかもしれない

……なんて、言えるわけもなくて

天乃「だって誰一人、なんの言葉もないんだものっ! 久遠さんはとっても悲しいわ!」

茶化してしまう

真っ赤な顔をフイッと背けながら

怒っているようで、まったく怒っていない声で

誰もが、つい謝ってしまいそうな子供らしさを前面に押し出してしまう

あらかわいい


樹「わわわっ、ご、ごめんなさい!」

風「あははは、ごめんごめん」

東郷「私達としても、すぐにでもお祝いしたかったんです。でも、久遠さんはどうせ祝って貰えない。そう見限っていると……」

東郷が言葉をつづけながら目を向けた先では

普段はツインテールにしている髪をポニーテールに纏めた少女が佇んでいて

彼女はポリポリとほほを掻くと

天乃の視線から逃れるように顔をそむけた

夏凜「別に私はただ。そう言うのがあるとき、どう対処したらいいのか分からなかったから相談しただけで……」

友奈「だけで?」

夏凜「う……な、なんだっていいじゃない! 他意なんてなかったわよ別にッ!」

何も言っていないのに

一人で怒鳴る夏凜を見つめて、天乃はクスリと笑う

どう対処したらいいのか分からなかった。その点を挙げて言えば

きっと、悲しいことなのかもしれない

でも、そう思っていない

ただの強がりではなく、本当に悲しいことだと思っていなさそうな姿が

天乃にはただ、嬉しくて

夏凜「だ、だからその……サプライズ未遂だけど。そういう形になったのは、まぁ。みんなで決めたことだから」

友奈「えへへ、提案は夏凜ちゃんだったらしいんですけどね」

夏凜「いちいち口を挟むなーっ!」

今は友奈も普通に思える。きっと、今この時だけは

何も変わりのない勇者部であろうと決めていたのかもしれない

いいや、もしかしたら

友奈にもまだしっかりとした心が残っているのかもしれない

そう思う天乃は、嬉しそうに笑みを浮かべた


01~10 風

11~20  樹
21~30  友奈
31~40  東郷
41~50  夏凜
51~60 友奈

61~70 樹
71~80 東郷

81~90  風
91~00  夏凜

↓1のコンマ  

ぞろ目


その、瞳を閉じた一瞬を風は見逃すことなく、

天乃「!」

両頬を捉えて、その額にキスをする

色々な方面で守られてばかりで、庇って貰ってばかりだった

でも、これからは自分も

守る立場というのは難しいとしても、そばにいられる存在ではありたいのだと

親愛なる気持ちを込めて

風は周りが驚く中で一人、キスをすると

するときは早く、離れる時はゆっくりと

天乃の見開かれた瞳を見つめる

風「……どうよ。このサプライズは」

天乃「な、ぇ……ぁ、えっと……」

風「そんな調子だと、唇にした方が良かった?」

天乃「ば、バカ言わないで風、急にこんなこと……」

キマシ


恋愛相談に進路相談

何から何まで手馴れているように思えるその一方で

実は全然、真っ新であると知っているから

額へのキス一つで紅潮させる愛らしい友人を、風は見つめて

夏凜「な、何してんのよ!」

園子「にぼっしーもする~?」

夏凜「し、しないわよ!」

樹「わ、私もしようかな……おでこ、なら」

夏凜「ちょ、何言って――」

東郷「私は手の甲に」

友奈「久遠先輩の二の腕気持ちよさそう」

思いを持つみんなを見渡して、笑う

夏凜「いい加減にしろーっ!」

球子「大変そうだな、天乃」

天乃「そ、そう……ね」

風にキスされた額を抑える天乃

その真っ赤な頬、気恥ずかしそうな様子に

球子でさえ、思わずため息をつく

球子「前言撤回。大変なのは、周りだな」

きっとそうだろうと、球子は思った


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



久遠さんはみんなに愛されています


久遠さんハーレム状態じゃないか
ようやく明るい展開になってきて良かった…

ぞろ目だったらどうなってたんだろう
唇にもらってたのかな?

友奈さんが腕にしようとしてるのは良いのか?
ところで友奈や風の園子呼称違くないか

のわゆ公式でストーリー開示されたけど
陽乃さんが魂預かった理由が解った気がする…


では、初めて行きます

来てたか


園子「なんにしても、天さんおめでと~」

風のキスに園子の火付け

暴走気味になった勇者部の面々の間を縫った園子の言葉が、天乃に届く

狙ったわけではないが

好都合にも道を開けてくれたのだ

キスというサプライズには驚かされたけれど

でも、言葉だけは譲れるものか。そう言いたげに笑う園子を

みんなは各々に見つめ、嵌められたと苦笑する

そして祝いの言葉を口にする

風「おめでと、天乃」

友奈「お誕生日、おめでとうございます」

樹「久遠先輩、お誕生日おめでとうございます」

東郷「おめでとうございます、久遠先輩」

若葉「……おめでとう。天乃」

様子を見守っていた若葉も、それだけは口を挟む

大好きだから、大切だから

その力が世界にとってどれだけ凶悪な物であろうと

自分たちをだまし、傷つけていたのだとしても

それらはすべて、自分自身を深く傷つけながらも世界の為みんなの為にあるものだと、分かっているから

夏凜「……祝ってやるわよ。いくらでも。あんたがここにいる限り」

友奈、風、東郷、夏凜、樹、園子、若葉、球子

見渡した天乃は勇者達の輪の一部であることに気づいて、思わず眼を逸らす

そこにいて欲しいという、みんなの願いを感じた

いるからこその世界であると、想いを感じた

自分という歯車が欠ける事。それは願わくば回避されるべきであることを……感じた



√ 6月6日目 夜(自宅) ※土曜日


1、全員で宿泊
2、判定でのランダム宿泊


↓2

2

2

01~10 風

11~20  樹
21~30  友奈
31~40  東郷
41~50  夏凜
51~60 友奈

61~70 樹
71~80 東郷

81~90  風
91~00  夏凜

↓1のコンマ  

これは説得のチャンスか…?

若葉と園子と沙織がいない…

お泊りで何が起こるかもコンマ次第かな?


沙織が……

若葉、球子、園子に関しては元から同じ家にいるので
宿泊判定には入ってないです


01~10 
11~20  沙織
21~30 
31~40 
41~50 
51~60 
61~70 
71~80 沙織

81~90 
91~00 

↓1のコンマ


※空欄は友奈
※公平性をもって20%

はい


√ 6月6日目 夜(自宅) ※土曜日


友奈「宜しくお願いします」

友奈が嬉しそうな笑顔で、丁寧に言う

色々とあって、友奈が泊まることになったのだ

色々と。と、言っても大したことはない

誰かが泊まりたいと言い出したが、大人数では家にも大赦にも迷惑だろうということで

ここは誰か一人羨まし……運のいい人を決めようということで

公平にじゃんけんでの戦いとなった

そして勝ち残ったのが、友奈だ

夏凜は不安だから自分も残ると言ったが

友奈は危ないことはしないからと、約束し

とりあえずは一人で宿泊することとなったのである

天乃の傍らには園子がいる

それに、いざとなれば若葉や球子

過剰防衛機能ともいえる神野悪五郎、九尾もいるのだ

どんな愚か者でも、勝ち目のない状況であることは容易く分かる


園子「幸運なゆーゆはね、そのっち布団か~、天さん布団かを選べるよ~?」

友奈「えっと……」

天乃「いや、別に選ばなくてもいいし。それに、園子の方は難しいんじゃない?」

いくつかの医療機器が繋がっており

管やらなんやらが伸びている園子のベッドは

はっきり言って、二人で寝るのには適していない

もっとも、それを乗り越えて添い寝した人もいるのだが

天乃「……そんな目で見ないでよ。園子」

園子「えへへ~天さんはゆーゆ布団が良いらしいよー」

天乃「そんなことは言ってないわよ」

瞳を輝かせた園子の自由気まま、思うまま

鳥のように自由な大空に羽ばたいている園子の言葉に

天乃は苦笑しながら、照れくさそうに頬を掻く

友奈「本当に選んでいいなら、久遠先輩が良いかなー……なんて」

友奈も似たような気持ちなようで

少しばかり恥ずかしそうに、そう言った



1、物好きね
2、良いわよ
3、暑くても知らないわよ
4、友奈を窓際に押しやることになるから、ちょっと……


↓2

3

2


天乃「良いわよ」

友奈「やったー」

いつもの友奈だった

今までと変わらない明るさで、元気良さで

向う見ずに命を投げ捨てた戦いをしたとは思えないほど

しっかりとしている

少なくとも、今の友奈はそう見える

友奈「失礼します」

ふわりと布団が捲られて、温められた体に

体温よりは冷えた外気が触れる

続いて敷布が足の方向へと皺を伸ばすように引っ張られて、

人肌が足に当たる。友奈の足だ

友奈「ごめんなさい」

天乃「気にしなくていいわ。もともと狭いもの」

それ以降も、窓側に入りゆっくりと隣に並んだ友奈は

天乃の体にすっと、寄せる

友奈「……………」

もう6月だ。少し暑い

けれどその暑さは、必然に心地良いと友奈は感じる


だから、友奈はその背中に触れる

抱き着くのではなく

縋るように、幼子が気づいて欲しいと触れるように

そっと触れて、友奈は額を押し付ける

友奈「……久遠先輩」

確かに感じる

今目の前に、すぐそこに

生きている久遠天乃という存在を感じて

友奈は、自分の目頭が熱くなっていくのを感じた

天乃が昏睡状態に陥ったあの日

それは奇跡的にもたった一日で済んだのだが

しかし、友奈にとってそれは

限りなく長く、永遠のようにも思える一日だった

友奈「ごめんなさい」

その間言いたかったこと

ずっと思い続けた言葉を、友奈は紡ぐ

友奈「また、頑張らせちゃって……ごめんなさい」


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から



ここでのイベントはキャラによって固定


ここで安心させられるか否かで友奈ちゃんの運命が決まりそうな予感

原作の千景が可哀想過ぎる…
こっちの世界での陽乃さんとの話とかますます気になった


では、少しだけ
固定イベントなので選択無しで進みます

はいよ


友奈「私がもっと早く動けてたら。もっと、頑張ってたら……」

天乃が無茶する必要はなかったかもしれない

そうすれば、昏睡状態になんてならなかった

一日も、みんなが不安になることなんてなかった

頑張れれば、もっと力があれば

どうしても、後悔しか出来ない

蠍座の御霊を夏凜と一緒に破壊した、けれど

たったそれだけだ。たったその一つの仕事の間に、天乃が何をしていたのか

端末で確認をしていた友奈は、自分の力不足さを、より、強く感じてしまう

友奈「でも、これからは私も力になれると思います」

笑顔だ

力になれるということが、嬉しそうな笑顔

けれど、それではダメだ

それは間違っている

天乃はそう確信していた

なぜなら、それはすでに天乃が通っている道だからだ


友奈「次は満開が使えます。もちろん、無駄に使う気はないです。でも、一回くらいなら久遠先輩が力を使う必要をなくせるはずです」

そして、使えば精霊が付与されて

より強い勇者になることが出来る

もちろん、その代償というものがあるが

まだ一度も満開していない友奈としては、まったく問題にならないと考えているのかもしれない

友奈「まだまだ久遠先輩の背中は遠いです。でも、きっと少しなら――」

天乃「ねぇ、友奈」

友奈の語りを遮る。友奈の思いなのだから

最後まで聞いてあげてからでも遅くはないはずなのに

けれど、聞いても仕方がない。そう思ったから口を挟む

天乃「はっきり言って、貴女のそれは間違いだわ」

友奈「え……? な、なに言ってるんですか?」

呼びかけられたかと思えば、間違っているといわれ

驚いた友奈は、上半身を起こす

勢いに捲られた布団が剥がれて、横になったままの天乃の上半身が見えた


友奈「私は、勇者として――」

天乃「私のことを助けたい? ええ、それはとっても立派な【蛮勇】ね」

友奈「っ」

天乃「そうして救われる立場の貴女が、それを行うことの愚かさを知らないなんて、冗談でも止めて欲しいわ」

そうやっているのは久遠先輩じゃないですか

そう生きてきているのは久遠先輩じゃないですか

そう言いたげな友奈の瞳に、天乃はうなずく

天乃「そうね、ええ。解っているわ」

自分がどれだけ愚かな行いをしているのか

そんなことはっきりと解っている

散々怒鳴られてしまったし、泣かれてしまったし、自分を犠牲にしてでも救おうとする後輩まで居るのだから

解らない方がおかしいだろう

けれど、天乃は自分の発言を撤回しようとはしなかった

でも久遠さんも割とこの思考に陥るよね…
一周目とか一周目とか一周目とか


天乃「私は間違っているわ。私は勇者ではなく蛮勇を行う者。全部解ってる。だからこそ、貴女が間違っているとはっきりいえる」

なにせ、友奈が歩いているのは天乃の後ろだ

歩いてきた道を、同じように足跡を踏んで近づいてきているだけ

だから、それが間違いだと天乃には断言できる

友奈「それなら……それならどうしてっ。解ってるならどうして、久遠先輩はッ」

天乃「みんなに生きていて欲しい、幸せで居て欲しい。何一つ欠けることのない日常の中で遅くて早い人生を生きて欲しい」

天乃は語る。楽しげに、切なげに

心からそれを望んでいるのだと解る表情で

優しい笑みを浮かべた天乃は、そのまま「そんな自分勝手な……そう、自己満足」と、困ったように笑う

友奈「自己満足……なんて」

天乃「違わないわ。私も、今の貴女も」


だってそうでしょう? と、天乃は問うように言いながら

友奈が何かを言う前に、自分自身への呆れか、天乃は寝返りを打ち、苦笑して友奈へと目を向けた

天乃「私はそれでみんなを心配させているし。貴女はその行動でみんなを心配させているんだもの」

友奈「…………」

否定できない。間違っていないのだから当たり前だ

言い返す言葉はある。が、

天乃が自分自身にも突き刺さる言葉であることを理解したうえで話している以上、それはただの感情論

夏凜の怒り、東郷や風、樹

みんなの不安そうな顔、心配そうな顔

それらを思い出した友奈は

自分の用意できた言葉が勢いだけのモノだと分かった友奈は、思わず口を閉ざして

天乃はなおも笑みのまま、続ける

天乃「でもきっと、私はどうしようもなくその道を選んでしまうと思う」

みんなが、誰かが

犠牲なると解った時に、止まれる自信がない

それでみんなが悲しむんだって分かっているのに

きっと、自分勝手だから。どうしても守りたくて、見捨てられなくて

体が勝手にそうしてしまうと思うから


天乃「だからね、友奈。貴女には私のように蛮勇を振るうのではなく勇者であって欲しいと心から思う」

友奈「私に、ですか?」

天乃「そう」

さっきまでの勢い任せではない

どこか落ち着いた雰囲気の友奈を見つめて、頷く

今なら言えるはずだ。言っても否定せず、壊れたことを言わず

ちゃんと受け止めてくれるはず。そう、信じて

天乃「どうしても犠牲になってしまう、意地悪な先輩を助けたいと。貴女が本気で思うのなら」

後ろではきっと、守るだけだから

きっと助けて欲しいだなんて言えないだろうから

天乃「私の背中を追いかけるんじゃなくて、一歩だっていいから私の足跡から逸れて、後ろではなく隣に並べるようになって欲しい」

友奈「…………」

それでね? と、楽しそうに紡ぐ

その姿はまるで、未来を語る子供のようだった

天乃「こっちにいきましょうって差し出された貴女の手を。自分勝手な私が受け取ることが出来るように正しく強い、貴女でいて欲しい」


そんな風に、頑張って欲しいと思った

がむしゃらな姿もプラスになるかもしれない

けれど少なくとも、今の無鉄砲さは

自分自身を顧みないやり方は間違いでしかないから

自分を反面教師であると理解し、諭す天乃を見つめる友奈は、思わず、涙をこぼす

友奈「そんな、そんなこと……っ、ずるいじゃないですかっ」

自分は散々無茶しておきながら、他人には無理をするなと言って

自分はどうしてほしいのか、他人はどうあればいいのか

それを決して間違ってはいない言葉で話してくれる

友奈「私……全然、違うじゃないですか……正しくなくて、強くもない。全然、久遠先輩の理想になれてないじゃないですかっ」

悔しいと思った

元々、天乃が抱く理想に近しい存在だなどと自負したことはない

けれど、それでも

強くなることが出来れば、今のまま行けば

いつかそこにたどり着けるだろうと思った。なのに、

全然真逆に向かっていたことが、悔しくて、悲しい


嗚咽を溢す友奈を、天乃は困ったように見つめて息をつく

そうだ、確かに狡い

散々無茶して無理して犠牲を払って

そんな自分を守るために頑張ろうとしてくれている友奈の

無茶や無理を全否定して、間違っていると歯止めをかけている

本当に狡い女だと、天乃は笑って

天乃「こんな狡い先輩の事なんて、見捨てても構わないのよ?」

友奈「嫌ですっ」

天乃「だったら、勇者になりなさい」

自意識過剰と思われる可能性もあるが

天乃は、友奈が嫌だというと思っていた。信じていた

だから、考えていた言葉をすぐに吐き出し、

友奈の右手に触れる

天乃「貴女なら、きっとなれるはず。万が一、間違えたとしても、必ず私が正してあげるから」

友奈「久遠先輩……」

天乃「いつか間違えそうになった私を、貴女が正せるように」

友奈「……はいっ」

明るい返事を聞き受けて、天乃は満足そうに笑みを浮かべた


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から






久遠さんの特技はブーメランを扱うこと


確かに説得力なさすぎて草


とはいえこれで問題はほぼ一件落着と見ていいかな
そういや蛮勇って序盤にも少しだけ話にあったのを思い出した


お前ふざけんなって言いたいけど久遠さんは理解した上で反面教師として諭してるから言ってることは何一つ間違っちゃいないっていう…

自分が間違ってるって初めから解ってるけど
きっと銀を失ってるから失うくらいならって行動しちゃうんだろうな
自分達は大丈夫だって安心させてあげるべきだな

友奈の成長イベントかと思いきや普通に久遠さんの成長イベントだったな


では、少しずつ進めていきます


友奈「久遠先輩」

天乃「うん?」

友奈「私……夏凜ちゃん達に謝らないといけないです」

夏凜に怒られ、みんなを悲しませて

それでもなお、友奈は自分の有り方を変えようとはしなかった

それは、目指している人がそう言う生き方で

その人は、とても強くてみんなを守ることが出来ている人だから

そして、同じような存在に自分がなれれば、その人が無理をしなくて済むんじゃないかと

希望を抱いてしまったからだ

けれど結局、それは紛い物で叶うはずもないもの

そう教えてくれた反面教師を見つめて、友奈は身を縮める

友奈「自分たち自身がその行為の苦しめられてるって、気づくべきだったから」

そういって笑ってみせる友奈に

貴女もいい皮肉を口にするようになったわね。笑顔で言うと

友奈はあわてたようにすみませんと、萎縮する

友奈には、一直線なところがあるから怖い

悪い意味で、自分のあとを継いでくれそうな気がする

だから、天乃は友奈のことが心配だったのだ


天乃「けれど、そうね……夏凜も今は怒ってるけど。本当、ただ心配してるだけだから」

安心させてあげた方がいいんじゃないかしら。と、天乃は悪びれる様子もなく言う

本当に自分勝手な先輩で、直すべきことを直さない先輩ではあるが

しかし、進展はあった

全ての戦いに参加するのではなく、本当に必要だと思った戦いにだけ

参加するやり方に変えてくれた

それはつまり、友奈たちが正しく強くなれば、

その分だけ、戦闘に参加する必要がなくなるということ

それが嬉しくて笑みを浮かべた友奈に「何よ」と、少し膨れて聞くと

友奈はうれしそうに、抱きついていいですかと聞いてきた



1、いいわよ
2、流石に暑いわ
3、抱きしめる
4、だーめ。もう寝ましょう


↓2

2

1

2


天乃「良いわよ」

子供なんだから。と思い、苦笑しながら答えると

友奈は「ぎゅーっ」と、口に出して言いながら、抱き着いてくる

抱き着く力加減を模索しながらのそれは

少しばかり、不慣れで

天乃「いつも、東郷たちにしてるようにしたらいいのよ」

それが、自分の体を気遣っているからなのだと天乃は察して言う

していいのかどうかを聞かれ、許可したのだから

多少のミスは許容するし、貧弱な体ではない

少しばかり力が強くても、何も問題は無かった

友奈「えへへ、それは分かってるんですけど」

天乃「けど?」

友奈「優しくしなきゃって思っちゃって……それに」

友奈は口ごもると、えへへっと誤魔化すように笑って目を伏せる

そこには後ろめたさというよりも

気恥ずかしさが感じられて、天乃は下手な追及はしなかった

けれど、友奈は口を開く

友奈「少し、緊張しちゃって。力が上手く入らないんです……こう、悪いことをしてる。みたいなドキドキ感が」


天乃「私に抱き着くだけって、そんなに緊張することなの?」

今まで、普通に近いこと、同じこと

いろいろしてきた覚えがある

だから、天乃は緊張するようなことではないと思った

でも、友奈にとってはそうではないらしい

友奈「いつもはしない夜だから。なんだか、特別な気がして……えへへ」

おかしな話ですよねと、友奈は笑って言うと

天乃の体に回した腕に少しずつ力を込めていって

友奈「このくらいかな」

丁度よさそうな力加減で身を寄せた友奈は、自分自身の体の熱、天乃の体の熱を感じ

贅肉が不足していて、少し押せば力を入れてない筋肉の感触を感じて、目を瞑る

確かに暑い

6月なのだから少し当たり前かもしれないが

でも、まったくもって不快ではなくて、むしろ、心地よささえ覚える

友奈「暑いですか?」

天乃「ええ、まぁ……時期的には、ね」


曖昧な言葉を返してくる天乃を見つめて

友奈は口を開きかけたが、閉じる

後一言聞きたいことはあったけれど

絶対に聞かなければいけないことでもないからだ

友奈「久遠先輩、もうちょっと脂肪付けませんか?」

天乃「上に行くから要らない」

別に不満はなかったが、なんとなく黙り込むのが嫌で放った言葉

それに対する答えに、友奈は思わず羨ましそうな息をついて、抱き込む腕に力を籠める

天乃「ちょっ、友奈?」

お腹が多少圧迫され、苦しくない程度の息苦しさを感じ、驚く

驚いたのが分かったのか、友奈の抱きしめる力はすぐに弱まって

申し訳程度に、友奈は天乃と視線を合わせると

友奈「おやすみなさい、久遠先輩」

幸せそうな、お休みを告げる

友奈「……えへへ」

今のこの暑いという感覚が

出来る事なら、不快ではなく心地いいものであって欲しいと。友奈は思った


1日のまとめ

・   乃木園子:交流有(誕生日)
・   犬吠埼風:交流有(写真、誕生日、キス)
・   犬吠埼樹:交流有(写真、誕生日)
・   結城友奈:交流有(写真、誕生日、お泊り、抱き着く)
・   東郷美森:交流有(写真、誕生日)
・   三好夏凜:交流有(写真、誕生日)
・   乃木若葉:交流有(誕生日)
・   土居球子:交流有(誕生日)
・ 伊集院沙織:交流有(写真、誕生日)

・      九尾:交流無()

・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



6月6日目 終了時点

  乃木園子との絆 48(少し高い)
  犬吠埼風との絆 42(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 39(中々良い)
  結城友奈との絆 55(高い)
  東郷美森との絆 41(少し高い)
  三好夏凜との絆 34(中々良い)
  乃木若葉との絆 33(中々良い)
  土居球子との絆 23(中々良い)
     沙織との絆 48(少し高い)
     九尾との絆 40(中々良い)
      死神との絆 38(中々良い)
      稲狐との絆 30(中々良い)
      神樹との絆 9(低い)

 汚染度???%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




友奈「久遠さんといる時の夜って、特別な気分に浸れて私は好きです」

天乃「そうね、私も」

友奈「!」

天乃「誰かと居る時、みんなといる時は、好きだわ」

友奈「あはは……そうですね」


さすが、いつもの鈍感久遠さんだ

そういえば誕生日に何かが起こる的なことを大分前に言ってたような気がするけどなんだったんだろう?

wikiが全力更新中だな
そう言えば公式が精霊憑依による精神汚染を使う前から
このスレでは穢れと穢れによる精神汚染を扱ってたんだよな…
純粋にすげぇや


では、初めていき来ます


√ 6月7日目 朝(自宅) ※日曜日

01~10  友奈
11~20 
21~30  樹海化
31~40 
41~50 精霊関係

51~60 園子

61~70 
71~80 
81~90 精霊関係

91~00 

↓1のコンマ  


ふと気配を感じて目を覚ますと

体に抱き着く友奈の幸せそうな表情が見えた

友奈「ん……」

それはとても愛らしくて

思わずその頬に触れると、小さな声を漏らす

普段は園子しかいない部屋だが、一人増えただけで

布団の中が二人分の体温に温められただけで

いつもとは全く違った感覚を覚えて、息を吐く

天乃「……気のせいかしら」

額に手を宛がう

友奈のせいか、それとも気配か

汗に濡れていて、前髪が張り付く

何もなかったし、悪夢を見たわけでもない

軽く見渡してみても

何かを取られた形跡もない

なら気のせいだろうと、友奈へと目を向けた

寝てる間にでこちゅーされたか


友奈も同じように汗をかいているのに

不快さを全く感じていないようで

それどころか小さく呻くたびに、ぎゅっと抱き着いてくる

友奈「……いかないで、下さい」

嫌な夢を見ているのだろうか

そう考えて、相変わらず酷い女だと自分自身を馬鹿にする

もちろん、それが自意識過剰である可能性もあるけれど

しかし、恐らくは。

友奈は自分がどこかへ行く夢を見ているんじゃないか

だから抱き着いてきているんじゃないか

と、天乃は困ったように顔を顰めた

天乃「もしも本当に行かなくちゃいけなくなったら……どうするのよ」

そんな調子で見送ることが出来るの?

そう疑問を感じて、視界に涙が見えて、天乃は目を閉じ息を飲む

ただの夢だ

それでも、その夢の中にいる友奈にとっては現実で

だから、友奈は泣いている

それくらいに、天乃にいなくなって欲しくないのだ



1、抱きしめる
2、涙を拭う
3、頭を撫でる
4、友奈、愛してるわ
5、起きなさい、友奈。もう朝よ


↓2

2

2

5


友奈「久遠……先輩……」

そっと頬を拭ってあげると

それに縋るように友奈の手が動いて、掴む

その手が離れないようにと

ずっと触れていて欲しいのだと

友奈はそう言っているようで、天乃は声に出すことなく目だけを向ける

差し出した左手

それを掴み、委ねるように頬を乗せる友奈

ここにいて欲しいという願いを受けて、天乃は笑みを浮かべると

今度は右手で友奈の頬を撫でる

片手だけじゃ不安だというのなら、両の手を差し出そう

今はまだ、ここにいる

友奈「ん……」

左手も、右手も

両手を掴んだ友奈は、いまだ悲し気な雰囲気を隠しきれていないが

けれども、嬉しそうな声を漏らして、頬を擦る

友奈「えへへ」

天乃は自分がいなくなった後のことが不安になったが

しかし、なればこそ、いなくなればいいのではないかと自分の中の誰かが言う

だから天乃は思う

出来る事なら、そうありたいと

>>845

× しかし、なればこそ、いなくなればいいのではないかと自分の中の誰かが言う

〇  しかし、なればこそ、いなくならなければいいのではないかと自分の中の誰かが言う


手のひらに感じる友奈の体温を受け入れて、じっとしていると

ゆっくりと友奈の瞼が開いていくのが見えて

天乃は笑みを浮かべて「おはよう」と言う

友奈「おはよう……ございます……」

寝起きで半開きの瞳にはどう映っているのだろう

そもそも自分がいるということ自体分かっていなさそうな気もしたが

むにむにと弄びたくなるような頬を

お餅を丸めるように優しく手のひらで包むと、友奈の手は天乃の手を頬から引き離し

なぜかぼーっとして

友奈「あむっ」

天乃「にゃっ」

指をくわえて、お石沿いにもむもむと唇を動かす

友奈「……クリームついてた?」

天乃「な、なんの話よ!」

指が解放された瞬間の意味不明な言葉

僅かに迫る体

それに声を上げつつ咥えられた指を隠した天乃は身を引こうとして、

真後ろがベッドからの落下一直線であることを思い出す

天乃「ちょ、ちょっと友奈……落ちる。落ちるからっ!」

友奈「んぅ?」

天乃「寝ぼけてないで起きてってば、ちょ、本当に――」

友奈「ぅ……あっ、久遠先輩!」

ベッドから半身が消えかけた天乃の腕をとっさに掴み、

力いっぱい引っ張って体を抱きしめる

お腹のあたりに柔らかい感触を感じながら、しかし友奈は安堵のため息をつく

友奈「あ、危なかったぁ」

天乃「貴女のせいだからね?」


友奈「私……?」

自分のせいだと言われても

ついさっきまで未覚醒だった友奈としては理解が出来なくて、疑問符を頭に浮かべる

そんな様子を見て、元々怒るつもりはなかったが

そうでなくとも怒れるわけもなく、天乃はため息をつくと

友奈に微笑みかけた

天乃「何でもないわ。とりあえず、離して貰っていい?」

友奈「あ、ご、ごめんなさい」

天乃の体を手放した友奈は

ほんの少し寂しそうだったが、そういえば。と、すぐに表情を切り替えて

まだ眠っている園子、乱れた髪を手櫛で軽く流す天乃を見て頷く

友奈「おはようございます、久遠先輩」

天乃「いまさら言われても……けれど。おはよう友奈。暑くなかった?」

友奈「全然平気でした。汗はかいちゃってますけど、寝てる間は気にならなかったです」


襟首を少しだけ引っ張って中を確認した友奈は

天乃の体を見て、思わず笑う

友奈「えへへ……」

天乃「?」

自分とは全く違う秀でた体

それが少し羨ましくて、目を向けたのが

その場所だったのが、恥ずかしかったのだ

友奈「あの、お風呂入っても良いですか?」

天乃「ええ、それは構わないけれど……どうかしら。この時間は職員が使って良そうだわ」

友奈「……えっ? 同じお風呂使ってるんですか?」

天乃「時々ね。夜間勤務の人なんかは、流石に何も許さないのも可愛そうだから」

それは確かにそれもそうだろうとは思う

けれど、職員は女性だけではないだろうし

となると、天乃の入浴前後には男性職員がいるわけで

何がどうとは思わないが、もしも前後で自分が出くわしたらと思うと

友奈は少し困ったように頬を掻く

友奈「な、なら……止めておきます」



1、汗臭いわよ?
2、別に怖がらなくても平気だけど……心配なら一緒に入る?
3、そう。なら、早めに帰る方が良いわね
4、友奈もそういう人の目を気にする年頃なのね
5、あら、友奈ならまだお父さんと一緒にお風呂入るくらい平気だと思ってたわ


↓1

4

2


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




天乃「友奈も人の目を気にする年頃なのね」

友奈「そ、それは……もう中学生ですから」

友奈(気にしてなさそうだから心配なんです……久遠先輩が)

友奈(お風呂上がりのブラジャーつけてない状態で普通に会話しそうだもん)

友奈「職員の人たちも大変ですね」


友奈ちゃんの想像の久遠さんがエロ過ぎる件


では、少しだけ

よっしゃ


友奈の照れくさそうな態度を見た天乃は

クスッと笑って、面白いものを見つけたような目で友奈を見る

天乃「友奈もそういう、人の目を気にする年頃なのね」

お母さんは成長が嬉しくて悲しいわ

そう言いたげな表情に、友奈はより一層困り果てて、眼を逸らす

確かにそれを恥ずかしいと思ったからだ

友奈「わ、私も中学生……なので」

むしろ天乃が気にしていないことに驚きさえある

そんな表情を浮かべた友奈は、しかし口ごもって首を振る

それを口にしたところで、今の天乃には揶揄われそうだからだ

友奈「もちろん、男の人が嫌いってわけじゃないですけど。でも、やっぱり恥ずかしいです」


天乃「別に恥ずかしいと思うことを馬鹿にしたりはしないわよ」

色々な赤の他人に体を隅々まで触れられている天乃は

もはやあきらめの境地に達しているし

風呂上がりを見られたところで……と、やや達観してしまっているのだが

そんな経験なんてないのなら

他人の視線が気になることは間違いではないし

それを馬鹿にする意味もない

天乃「私はただ、友奈はまだ子供かなと、思っていただけで。そうじゃなかったことが、少し嬉しかっただけ」

友奈「褒められて……ますか?」

そう聞いてきた友奈に

天乃は笑みを浮かべて、「どうかしらね」と、答える

天乃「少なくとも、半分はバカにしてるかも」

友奈「酷いですっ」

ごめんねと、友奈に告げて笑う

ただ揶揄っただけだ。本当は、そう

その目に見えない成長が、嬉しかった


天乃「ねぇ、友奈」

友奈「はい?」

ふと、感じた雰囲気の変わり目に

振り向いた友奈は思わず黙り込む

言葉を発した天乃が、次の言葉を口にしようとしないから。というのもあったが

そこに見えた表情が

とても。先ほどまで揶揄っていたのと同じ人には見えなくて

天乃「……貴女は今、幸せ?」

その言葉の意味が上手くつかめなかった

なぜそんなことを言うのか

どうして今ここでその言葉なのか

思わず呆然とした友奈は

少ししてから、ハッとして息を飲む

自分はどうだろうか

今の自分は、幸せと言えるのだろうか

いつもなら、自分はなんていうだろうか

それを考えて、友奈は天乃を見つめる

友奈「今の私はきっと……まだ幸せだとは言えないと思います」


まだ何もなしえていない

成長していると天乃は言ったが

けれど、それは自分の望んでいるものとは違っていて

そして何より、天乃の姿を見れば

幸せだなんて言えるはずもなくて

友奈「後悔してばかりで、だから。今は言えません」

天乃「……………」

友奈「でもきっと、私は幸せになりたいです」

出来なら。そう、もしもこの願いがかなうのならば

友奈はその思いを込めるように

瞼を一度ぎゅっと閉じてから、天乃を見据える

友奈「久遠先輩と……みんなと。幸せになりたいです」

そう言ってから、友奈はやっぱりと首を振る

友奈「なります!」

宣言して、天乃を見て笑う

それが絶対的な願いだ。何をしてでもかなえたい

けれど、何もかもを差し出さずに得たい未来だ

寝落ちかな?
珍しい

前にも寝落ちしてた気がするが…確か似たような時期だったな

ところで久遠さん諦めてるならみせて(懇願)

投下感覚が30分→60分となった時点でダメでした。失礼しました
昨夜の続きから始めていきます


しかし、そんなことはきっとできはしない

100%なにも損なわないで得られるものなんてきっとない

だから。と、友奈は思う

久遠先輩には悪いけど、どうしようもないことがあった時

本当に使わなければいけない時に

私は満開を使って、みんなを守ります。

友奈「えへへ」

天乃「……………」

友奈を見つめていた天乃は

その顔が笑顔に変わるのと同時に眼を逸らして「そっか」と、呟く

残念ながら、言葉にしなくても伝わってしまう

友奈は嘘をつくのも誤魔化すのも不得手で

天乃は逆に、それらを見抜くのを得意としているから

けれど、やめろとは言わない

なぜなら、そうしなければいけないこともあるのだと

天乃自身が、良く分かっていたからだ



√ 6月7日目 昼(自宅) ※日曜日

友奈は身を清めるため帰宅しました


01~10  風
11~20 樹海化
21~30 精霊
31~40 
41~50 夏凜
51~60 樹海化
61~70 
71~80 沙織

81~90 
91~00  精霊

↓1のコンマ  


√ 6月7日目 昼(自宅) ※日曜日

1、九尾
2、死神
3、若葉
4、悪五郎
5、稲荷
6、園子
7、球子
8、イベント判定
9、勇者部の誰かに連絡 ※再安価

↓2

※9は電話

7

1


九尾「昨晩は楽しめてよかったのう? 妾らが祝ってやろうとも考えたが要らぬ世話じゃった」

天乃「貴方達に祝われても、嬉しいは嬉しいけれど。嫌な予感しかしないわ」

プレゼントなんかはその最たる懸念事項だろう

開けて何が出てくるか分かったものではないからだ

九尾「しかし、娘らも、気遣いに遠慮が無くなっておったな。あれは、主様にとって良きことじゃったか?」

天乃「ぎこちない配慮じゃなくて、そうすべきだとみんなが決めてくれたことだし。私は私で気遣いが必要なかったからね」

友奈達がケーキなど、通常の祝いで持ち出すものを持ち出さず

しかしながら、楽し気に、幸せそうに。普通と変わりない賑わいをもたらしてくれたのだ

感謝こそすれ、そこに何か不満があるはずもない

九尾「さようか。なれば妾の言葉もない。しかし……少々厄介なことになってきたのう」

唐突に雰囲気を切り替え、

茶化すような表情をするのをやめた九尾は

低く唸ると、天乃をじっと見つめて、息をつく

何か心配事があるのだろうか

そう問おうとした瞬間、九尾が口を開いた

九尾「奴が川入りしおったのじゃ。主様も気配を感じたであろう?」

天乃「気配って……朝の? なんなの? それ」

九尾「うむ。主様の精霊には獺がおったであろう?」

九尾はそう言うと、そのまま続けた

九尾「きゃつじゃ。きゃつは定められた月日に川入することで力を増す。それが、ちょうど主様の生誕日というわけじゃな」


九尾「獺とは仮の姿で、きゃつは本来禿げ頭……人間の言葉で言えば河童じゃった」

天乃「どっちも人間の言葉なんだけど。それは置いておいて。なら、河童になったってこと?」

九尾「否。きゃつは猿猴となった。違いは見た目もそうじゃが、性格が非常に荒々しい」

九尾はあからさまに気にくわないと言った様子で言うと

天乃の瞳を見つめ、言うべきか躊躇う

けれども、伝えるべきだと、続けた

九尾「下手に触れなければ問題はないが、下手に触れれば喰われる。もしも姿を現したら、歩み寄ろうとはするでないぞ」

それが物理的にであり、心的なことでもあるのだと

天乃は言われないままで感づいて、息を飲む

まさか、自分の精霊がそんな危険だとは。と、思って

天乃「まぁ、貴女達と同様に下手に障らなければいいだけの話なんでしょう?」

自分の精霊は大体そんなものであるのだと

今更ながら、思い出した


九尾「やつと同等にみられるのは聊か不満ではあるが、間違ってはおらぬな」

くくくっと、自分自身を嘲るように笑って見せた九尾は

そういえば、と、天乃へと目を向けた

九尾「主様、妾に千景について聞きたいのかや?」

天乃「……死神との話、聞いてたのね」

九尾「精霊ならばほとんどが聞いておる。聞かぬのは若葉ぐらいじゃな」

悪びれる様子もない盗聴者に天乃は軽く息をつく

分かっていたことだから今更だが

何度も開き直られると、何とも言えないのだ

九尾「わざわざ妾を呼んだのじゃ。理由があるのではないか?」


1、久遠陽乃と郡千景
2、天乃の体の限界
3、バーテックスの襲来
4、死神について


↓2

1

1


天乃「ええ、そうよ。貴方が言ったように。陽乃さんと千景さんについて聞きたいわ」

天乃がそう言うと、九尾はそれを分かってはいたのだろうが

しかし、不満有り気に小さく唸る

それは恐らくではあるが、

あの手毬玉め。とでも思っているからなのだろう

どこかを見る瞳には、死神が映っているようにも思えた

九尾「二人は、さほど仲が良かったわけではありはせん。むしろ、陽乃からの一方的な物じゃった」

天乃「千景さんは、それを?」

天乃が問いかけると九尾は首を横に振った

九尾「受けるわけがなかろう。むしろ嫌悪しておってな。それは球子が言うように嫌われようとしているようにしか思えなんだ」

球子が先日言っていたこと

それを思い返した天乃は、写真の中から二人を思い浮かべ

その一方的な付き合い方を、想像する

天乃「ま、まぁ……そうね。性格が釣り合わなそうだわ」


九尾「主様も、やはりそう思うか?」

天乃「?」

実物を見たわけではない

だから、語られていることから想像するしかないし

それで想像するのであれば、球子が言うようなものにしかなり得ない

けれど、九尾の表情から察して、天乃は「違うのね?」と、問う

九尾「……千景は誰からも愛しては貰えなんだ。家族からも」

だから陽乃は、決して自分の過去を語ろうとはしなかった

それは、愛されても愛されなくても

結局は絶望することがあるのだと、千景に知られたくはなかったし

なにより、自分を悲劇のヒロインとして語るのは、誰かの同情を誘い愛されてしまうから

そしてそれは、千景に対する嫌味にも似ていたから

そうだ

陽乃は、千景が誰かに愛されたい。誰かに必要とされたい。そう思っていることに気づいていた

それはきっと、陽乃が何もかもを失う直前

否、何もかもを奪われる直前に

愛してくれていた人々が向けていた願いと千景のそれが等しく【誰かを求めていた】からだろう


九尾「陽乃は見逃せば良いものを……できる人間ではなかった」

心の底からへし折られ、、どん底へと叩き落されて

人も神もバーテックスも

自分以外の全てを激しく嫌悪する一方で

どうしようもないほどに、人が好きだったのだ

だから、陽乃は千景を見捨てられなかった

見かけるたびに話しかけた。抱き着いたり手を繋いだりもしたし

休み日には乗り込んで、ゲームをしようともした

九尾「陽乃は千景を救いながらも、千景と居ることで心の穴を埋めようとしていた」

天乃「……だから。どれだけ嫌われていてもその態度を変えなかったの?」

九尾「うむ。嫌われようとしているように思えたのはそこじゃ」

九尾はそう言うと、困ったように笑う

九尾「主様は嫌われていようと千景の中に自分がいればいいと思っていたからな。下手な娘よ」


陽乃は裏切られて何もかもを失ったから

裏切らない何かが欲しかったのだろう

それが、誰かを求めている千景で

千景を愛することで千景を救い

千景から求められることで、陽乃は自分自身の願いと両立させようとした

それはそう、言ってしまえば依存だ

しかしそれは、勇者として愛され、必要とされていた千景にとっては

ただただ煩わしいものでしかなく、その心になど、陽乃の存在はなかった

九尾「そんな中、大規模な襲撃があった際に陽乃は力を使い、倒れたのじゃ」

もちろんたった一回力を使ったからではなく

それまでの戦いで力を使いすぎて、少しだけ頑張った瞬間にそれらが耐え切れなくなったがゆえに

それで戦えなくなっている間に球子と杏が討たれた

それは純粋に相手が強力になっていたこともあるが

一番は陽乃が抜けたことによる穴だ

強力そうな敵は、まず陽乃が叩き潰しに行く。だから、杏も敵の力を図り切ることが出来なかったのだから

そして防ぎきれなかった災害に見舞われた市民が勇者を非難しだし、

九尾「そして千景が問題を起こした。陽乃が経験したことよりも些細じゃが、似たようなものは千景には辛かったのだろうな」

天乃「その問題って、まさか市民を傷つけたの?」

九尾「流石じゃな。主様は。いかにも、非難しだした市民。といっても、元々千景を蔑んでいた者達だが、それに対して、な」


別に殺したりはしていない

もっとも、若葉が止めていなければ確実に殺していただろうが

止めたのだから、そこはもう問題ではない

けれど、その行為を咎められた千景は勇者を剥奪され、

あろうことか、不仲な両親の元へと送られた

九尾「だから陽乃は動けるのが奇跡な状態で病院を抜け出して千景に会いに行ったが、同時に、千景は病院に行ってしまっていた」

天乃「なぜ無茶をしたのか分かってしまう私は。きっと、陽乃さんと同じ人間なんでしょうね」

悲しそうに言う天乃を一瞥した九尾は、

そこで一息つくように、唇を噛み締める

女性体の九尾の瞳が僅かに陰った

九尾「貴女は一人じゃない。私がいる。何があっても傍にいる。私だけは、いつまでも変わらず貴女を見ているわ」

そう言った九尾は「陽乃が伝えたかった言葉じゃ」と、呟く

それはつまり、伝えられなかったということに他ならなくて

天乃もさすがに目を見開き……顔を伏せた

九尾「陽乃は無理が祟って状態が悪化した挙句の厳重な監視に遭い、そして陽乃を含めない戦闘がまた行われたが」

九尾はそこで区切りをつけると

少しためらいながら、自分の手を握り合わせて、瞳を動かす


勇者が批判されてしまったとはいえ

人間が頼らなければいけない存在なのは変わることのない事実だ

しかし、千景を止めた若葉という存在がある以上

人々は千景よりも若葉の方へと惹かれていく

無理もない、千景は一般人に手を出したし

その時の映像等がどこかから流れてしまったからだ

九尾「だから千景は残りの若葉さえいなくなれば自分は周りから認められると。そう考えて、若葉を襲った」

天乃「……………」

今の勇者部も多少険悪なことになったりもしたが

殺し合うなんてところまでに発展してはいない

ゆえに、その恐ろしさを想像する天乃は、思わず体を震わせた

九尾「それは現状、主様がため込んでいる穢れが原因じゃ。ため込みすぎると侵され、普通ではなくなるからのう」

天乃「え……?」

九尾「今でこそそうではないが、先代の時代は全員が精霊の力を使うたびに、穢れていたのじゃ」

さらりと恐ろしいことを言う九尾は

どこか納得した様子の天乃を一瞥すると、話を続ける

九尾「じゃが結局、若葉が生き千景が死んでしまった」

だから陽乃は自らを激しく責め立てた。自分がもう少ししっかりと触れ合えてさえいれば。と気持ちを伝えられていれば。と

そして、凶行に走ったことで勇者として供養して貰えないことが決まった千景を、

天乃は自分の力を使い、千景の使っていた鎌と結び付けて死神に託したのだ

>>879

×  天乃は自分の力を使い、千景の使っていた鎌と結び付けて死神に託したのだ

〇  陽乃は自分の力を使い、千景の使っていた鎌と結び付けて死神に託したのだ

まさか死神の鎌がここまで重要な意味をもつことになるとは…


全てを話し終えると

九尾は深々と息を吐いて、やはり、どこかを見る

そしてきっと、そこには死神がいるのだろう

九尾「簡単言えば愛したかった女と愛されたかった女。二人はそんな感じじゃな」

天乃「……それは違う。と、思うけど」

九尾は暗くなった空気を払拭したかったのだろうが

そんな、最悪の状態なままに死に別れした陽乃のことを思うと

冗談に笑うことも

それに対していつものように何か言うのも、憚られた

九尾「主様は、そんなことにはなるでないぞ」

天乃「…………」

九尾「言いたいこともしたいことも。全部しておけ。主様らはただの人間ではない。勇者なのだから」


勇者ではなくとも、それはしておくべきこと

出来るのならしたいことだ

誰だって、そういうものではないのだろうか

それはきっと、自分も

天乃「とはいえ、したいことやりたい事なんて、欲望のままに生きるのはね」

九尾「むしろ、主様は足りないくらいじゃぞ。もう少しわがままでよかろうに」

天乃「そんなことはないわよ」

多少は。そう付け足した天乃は

ふふっと、小さく笑って、外を眺めて、ふと思う



1、死神の鎌を使えば、千景さんが戻るの?
2、陽乃さんは、辛い経験ばかりだったのね。私は、恵まれすぎているのかも
3、ねぇ、どうして穢れは私だけになったの?
4、ねぇ……ところで。貴女の最後の言葉がとても不穏に思えるのは気のせいかしら


↓2

1

1

1


天乃「ねぇ、死神の鎌が千景さんと結びついているのなら、死神の鎌を使えば、千景さんが戻るの?」

九尾「それは……」

普段、言葉をとぎることもあるし

口ごもる事だって多くはないけれど少なくもない

けれど、今の九尾の表情は

申し訳ないというような罪悪感に似た感情が含まれているような気がして、珍しくて

天乃は一拍置いてから、「九尾」と呼ぶ

天乃「何かあるの?」

九尾「う、む……まぁ、時期も時期じゃ。いずれ話すことじゃからな」

誰かに言うような言葉ながら

しかし、それは天乃へと向けられてはいない

そして、九尾は天乃を両目に捉え頷く

九尾「いかにも。若葉を呼ぶことで素戔嗚が消えたように。千景を呼べばきゃつが消える」

天乃「なっ……でも、待って。死神は元からいるって。過去を知る精霊に死神も」

九尾「きゃつは千景を呼び起こすまでの代替にすぎぬ。呼び出せばその力ごとすべてが千景に移行される」

天乃「……なぜ?」

九尾「結び付けた魂が途切れぬよう、一体化しておるからじゃ。人魂と呼ばれる絵画に似た姿なのはそれが理由じゃ」


天乃「な……」

九尾「まぁ、容姿は嘘じゃが」

そう茶化して見せても

落ち込んだ天乃は何も変わらない

声が届いたのかさえ、分からない

死神が魂と密接なつながりを持ち

もはや切り離すことが出来ず、呼び出すための代償となることは避けられない

九尾「千景が持っていた鎌は、単体では生太刀のように保存されない可能性があった」

天乃「…………」

九尾「ゆえに、陽乃は死神と鎌を結びつけることで一括りに精霊とし、喪失を免れることにしたのじゃ。仕方があるまい」

そうしなければ失われている可能性さえあったのだから

だとしたら、その当時の陽乃にとって

それはきっと、考えに考えた末での判断だったはずだ

天乃「そう……消えちゃうのね」

九尾「そうじゃ」

死神が自分では力不足だと言い出してから、精霊の追加を求めてきた理由

それが、なんとなくわかった気がした

天乃「私から死神の力は消えるの?」

九尾「それはあり得ぬ。死神が千景に入れ替わるだけで、主様への影響は何一つ変わることはない」


ただ切り替わるだけで、死神の力が消えることはない

それは死神とのつながりが途切れるわけではないからで

それは要するに、死神は千景であり、千景は死神であるということで

けれどもやはり、死神が消えてしまうことには変わりがないのだ

天乃「そっか。千景はすぐに呼び出せるの?」

九尾「それに関しては、分からぬが。不可能とは言えぬ」

それはあいまいだった

でも、陽乃と死神の力を考えれば

力に依存する成功率なのなら絶対に呼び出せるだろうとは思う

九尾「別に急ぐことでもあるまい。必要ならば呼ぶ。それで十分じゃ」

天乃「……そうね。ありがとう」

お礼は言ったが

感謝の気持ちがこもっているのかどうか、分からない

本当のことを言えば、

死神の持っている鎌を武器として、千景が現れて

死神はそのまま残っていてくれると、思っていたから

でもそうではない。死神が千景に変わる

天乃「……………」

いつの間にか九尾が消えた部屋で

天乃は深く、息を吐いた


√ 6月7日目  夕(自宅) ※日曜日

01~10 
11~20  死神
21~30 
31~40  大赦
41~50 
51~60 猿候

61~70 
71~80 樹海化

81~90 
91~00 

↓1のコンマ  

ほい

√ 6月7日目  夕(自宅) ※日曜日

1、球子
2、死神
3、若葉
4、悪五郎
5、稲荷
6、園子
7、イベント判定
8、勇者部の誰かに連絡 ※再安価

↓2

※8は電話

8

1


球子「ごめんな、話は全部聞いた」

呼び出した瞬間から罪悪感をひしひしと感じさせていた球子は

少しためらいながらも、謝罪を口にする

けれど、そんなのは九尾で慣れっこで

べつに、聞かれたら困る話でもない

しかし、球子が謝りたかったのはきっと、聞いたことではない

天乃「別にいいわ。私は私で陽乃さんじゃないもの」

球子「……でも、天乃のご先祖様だろ? 出来る事があったんじゃないかって言いたくなるんじゃないのか?」

天乃「それは、むしろ陽乃さんに対してだわ。球子に言うことはないわよ」

天乃がまるで責め立てようとしない姿勢であることに球子は一瞬驚きはしたものの

久遠天乃という人間はそういう人間だったのだと、思い出したように笑みを浮かべて頷く

球子「そっか」

天乃「それに。過去は責めれば責めるほど虚しさは増すばかりで。何も満たされてくれないから」


球子「ん、ん?」

球子には天乃ほどの詩人チックな思考回路は用意されていないらしく

唐突に何を言い出すんだと言いたげな表情を浮かべる

それを見た天乃はおもむろに口元に手を宛がってクスリと笑う

沙織ならきっと、何を言ってるの! とか怒っただろうし

夏凜ならばかいってんじゃないわよ。と怒っていただろう

天乃「ふふっ、ふふふっ」

いずれにしろ怒られるだけ

そう気づいた天乃は思わず笑って、唖然とする球子に笑みを浮かべて見せて

ごめんね、何でもないから。と、首を振る

球子の事を笑ったわけじゃない。そう言っておかないと

何か誤解が生まれるような気がしたのだ

天乃「私、思えば怒られることばかりだなって思って。みんな、呆れちゃうわね」

球子「今更、分かり切ったこと言うなよな」


それもそうねと、天乃は笑う。

正直な話、ここで球子がいてくれたことが少しだけ嬉しいと思った

沙織にはわからないが、少なくとも

夏凜には自分の気持ちを吐露してしまうことはまず間違いない

それがどんな形になるのかはその場でしか分からないけれど

しかし、頼ってしまうことは……

首を振って、いったん思考を切り離す

いつからこんなにも頼るようになってしまったのか

気づいたら、こんな状態で。

一昨日なんてそれはもうすさまじいほどに頼り切ってしまった

茶化すことさえなく、弱っているなんて言ってしまうなんて

深々とため息を突く天乃を見て、球子は困ったように髪を掻く

球子「で、どうしたんだ? タマを呼んだのはなんでだ?」

天乃「あ、ああ。ごめんなさい」



1、貴女と千景さんは仲良かったりする……わけないか
2、陽乃について
3、模擬戦に付き合ってもらう
4、貴女から見て、今の勇者部はどう?


↓2

1

2


天乃「貴女からみた陽乃さんについて聞きたいな。と」

球子「ついさっき誤解していたことを謝ったばっかりなのにか!?」

それでも聞きたいからそう言ったことは

球子でも容易に分かってしまう。

それほどに、天乃の笑みは悪戯に満ち満ちている

ああ、これは子孫だ。と、思うくらいには

球子「ガセネタだったとしても文句いうなよな」

天乃「ええ」

本当に言わないのかという疑問はあれど

しかし聞きたいというのなら答えてあげるしかないか、と

球子は小さく息をつく

別にシリアスな話ではないが

先ほどまでこの部屋に流れていた空気を思うと

どうにも、他愛ない話は切り出しにくかった


球子「陽乃はみんなが集まるところでは、常に明るかった」

けれど、ふと一人でいるところを見かけたときは

まるで別人のように、心を閉ざしているというか

誰も寄せ付けようとしていないような

そんな雰囲気だった。と、球子は語って、

球子「でも、話しかけると。ぼーっとしてたって笑うんだ」

陽乃には何かがある

それはみんなも分かっていたことで

若葉がそれについて文句を言ったこともあったと後から聞いた

悩みがあるなら言ってくれ

何かができるかもしれない。だから、話して欲しいと

でも陽乃は、明日のことが心配なだけ。と言ったり

今日もどこかで誰かがくるしんでいるわというくらいで

球子「自分の部屋に引きこもることもあったな。千景に会いに行かない時だけど」


はっきり言ってしまえば、確実に表裏のある不思議な女の子だった

その理由が、さっきの天乃と九尾の会話で分かってしまったわけだが

対応はまずったなと、球子はばつが悪そうにつぶやく

球子「陽乃は凄く優しい奴だった。でも同時に、人を観察してるその目がタマは怖いと思った」

天乃「観察……?」

球子「そうだ。どういう人間か観察して、適度に態度を変える。当たり障りない人間になってその場だけの仲を作り上げてた」

と、杏は言ってたな。と

球子は補足してから、また続ける

球子「ここまで言っておいてあれだけど、タマの印象だけを言えば、優しくて怖い。だな」

怒ったときは本当に手が付けられないほどだ

一度だけ。陽乃が怒っているのを目撃したけれど

二日は陽乃を避けてしまっていたし、悪夢を見てしまうくらいには恐ろしかった

球子はそう語り、寂しそうに目を伏せる

球子「全部昔の思い出で。そんな怖い陽乃も。もはや思い出だって思うと。なんだか寂しいもんだな」


ポロリと零れた本音に

天乃は思わず目を伏せて、すぐに球子へと視線を戻す

天乃「ごめんなさい。聞くべきではなかったかしら」

球子「いや、そんな気にすることじゃないぞ。ただ、懐かしいなって」

そういう球子は

けれども、寂しさと、切なさを感じさせる雰囲気で

若葉がいる

けれど、若葉には当時の記憶がない

だからきっと

仲良くなれても、昔を語らう仲にはなれないから

寂しさは、拭うことが出来ていないのだろう




1、球子を引き寄せる
2、寂しい……わよね
3、千景を呼ぶわ
4、頭を撫でる
5、寂しいならそう言っていい。抱え込む必要。私達の間にはないわ


↓2

Ksk

5


天乃「…………」

その悲しみを孕む心を

易々と人に曝け出さない姿勢は素直に評価すべきかもしれない

それはとても弱っているところだから

付け入られてしまいかねないところだから

しかしそれは、赤の他人に対してすべき警戒・配慮だ

もちろん、親しい間柄でも言えないことはあるかもしれないけれど

天乃「寂しいならそう言っていい。抱え込む必要。私達の間にはないわ」

少なくとも、自分たちにそれは必要ないと天乃は言う

球子「けど」

天乃「強くいようとしなくていい。ううん、そうじゃない」

天乃は自分の言葉を即座に否定する

それは違うから。間違っているから

天乃「強くなる為に弱くなりなさい。人は弱くなった数だけ、強くなることが出来るのだから」

それは必ずしも弱くなれということではないし強弱自体がたとえの話だが

球子は天乃を見つめたまま、強く瞳を閉じる

その目元からは、涙が伝う


球子「ごめん、天乃」

椅子に座っていた球子は項垂れてベッドに手をつくと

ゆっくりと天乃に寄り添い、体を預けていく

球子「ごめん……ごめんな。タマは――寂しい」

すぐそばにいてくれる

話しかけてくれる

けれども、球子は孤独だから

知っている人がいても

その人は自分を知らず、結局は一人ぼっちで

九尾や死神はいるが、やはり。それはどこか違う

一人になると思い出す。楽し気なみんなを見ていると思い出す

ああ自分たちにもそんな世界があったのだと

そして、その幸せだったころが浮かぶほどに

今はない腹の穴が酷く熱を持ち疼き、嘲笑うのだ

球子「タマは……ごめんな……」

天乃「うん、うん、うん……分かってる。良いわよ。良いの」

そっと頭を胸に抱き寄せて、天乃はただ優しく、囁く

それは決して悪いことではない。憚られることでも。非難されることでも。笑われることでも

だからそう、安心して頼っていいのだと、天乃は――球子の弱さを抱き込んだ


球子「なんか……さ」

天乃「うん」

球子「……いや、もう少しだけ。このまま」

一度は顔を上げた球子だったが

何かを言いかけて、言わず。そのまま天乃の腕の中に頭を戻す

それはきっというべきではないと思った

陽乃ではなく、天乃が300年前

自分たちのそばに寄り添い歩いてくれていたのなら

全ては上手く進んでいたのではないか

千景が壊れてしまうことも、杏や自分がしぬようなことも

何もなかったのではないか。なんて

その腕の、その体の、その熱の、

抱かれる心地よさに身を委ねる球子はその考えを拭い捨てて目を瞑る

言うだけ無意味で無価値なことだから


√ 6月7日目 夜(自宅) ※日曜日

01~10 
11~20 猿候 
21~30 
31~40 
41~50  死神
51~60 園子

61~70 樹海化

71~80 
81~90 
91~00  若葉

↓1のコンマ  


光りの弱まった部屋に、それは突然現れた

前身は毛むくじゃらで、だらりと右腕を垂らし、

まるで意識していない、ただの人形であると言いたげに呆然と佇みながら

しかし、二つの見開かれた真っ赤な瞳でじっと見つめる

妖怪という言葉がふさわしいその姿を見てしまった天乃は

自分のほほに感じる冷汗に、驚きをかみ殺して眉を顰める

眼を逸らせば近づかれる。そんな恐ろしさがあったからだ

「……_」

赤い瞳の下で、粘ついたねちゃりという不気味な音をさせながら

ゆっくりと何かが開き、瞳よりも薄く赤いものがむき出しになっていく

それが猿候だというのは、天乃にはわかったが

九尾が言うように歩み寄るつもりはないがしかし、どうすればいいのかが、分からない

「……タ?」

天乃「?」

「……ヒ」

何かを言いたいのか、もう言っているのか

どちらにせよ

「……ネ?」

不気味なことに変わりはなかった


二の舞になる前に、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から




千景を呼び出すのも一つの選択ですが
絶対に必要というわけではありません

猿候(えんこう)は四国の河童(シバテン)が旧暦6/6に川入してなると言われている存在です
獺は四国では河童とされているので、獺→猿候となりました


のわゆ時代のことといい、獺のことといい盛り込み方が相変わらず上手いなあ
それにしても陽乃さん、千景達を救いたくても救えない状態だったとか思った以上に悲惨やん…

珍しく真面目な解説の後書き
久遠さんってやっぱり聖母様だよなぁ
抱きながらの「うん、うん、うん……分かってる。良いわよ。良いの」はズルいって…ぐんちゃんやられたら絶対に堕ちる


では、初めて行きます

いえす


天乃「………」

声をかけるべきか否か、迷う

見てみぬ振りをするのもひとつの手かもしれないけれど

それが最善だとは、中々に思えない

本当に僅かで、よくよく見ていなければ解らない程度ではあるが

猿候は確実に近づいてきているのだ

擦って音を立てないように、目に見えて動いているのを悟られないように

数ミリ程度、足を上げて

まるで動かしていないような正確さで足を進め、下ろす

「ァ?」

三日月形の口、満月の赤い瞳

不気味さに満ち満ちたそれが近づくにつれて

天乃は思わず、息を飲む



こんなにも何かを恐れたのはいつ以来だろうか

バーテックスにさえ抱かなかった恐怖を

天乃は肌に感じて、手をぎゅっと握り締める

相手が誰であろうと負ける気はまったくないが、しかし

なにをされるのか解らないのが、恐ろしい

「イ」

天乃「………」

一言一言、呻くように言う

何か話しているつもりなのかもしれないけれど……


1、何が言いたいの?
2、なにをするつもり?
3、九尾!
4、五郎君!
5、私は貴方の主人よ。私は園子たちに手を出してただで済むと思わないことね
6、黙って様子を見る


↓2

1

1


天乃「何が言いたいの?」

九尾は歩み寄るなとは言ったが

何かを伝えようとしているのだったら

それが警告や挑発、脅し

それ以外の何かにせよ、言葉は聞かなければならないと、思った

だから、天乃は猿候に声をかけた

「ア」

天乃「?」

「オ?」

何を言っているのかさっぱりではあるが、

天乃は彼が口にした言葉を、

頭の中でくみ上げていく

言葉というよりは、単語だろうか

た ひ ね あ い あ お

……まるで意味が分からない

いや、むしろ。これは

天乃「貴方、言葉を覚えようとしているの?」

「タ、ヒ」


そうだと言いたいのか、違うと言いたいのか

頷くだのなんだのしてくれれば一目瞭然なのだが

それは相変わらずにやりと笑うまま、不明な言葉を漏らす

「メ、オ、ハ、ヌ」

天乃「目を……はぬ?」

一つ一つ言葉になっているような気もしたが

やはり、違う

「シ」

天乃「なんなの……?」

「タ」

真っ赤な瞳はぎょろりと動くと

それは園子を通り過ぎて壁へと向く

そこには何も置かれていないが

壁の奥には廊下があって、部屋があって、大赦の住み込みの人がいる

「イ?」

天乃「した、い?」

め、お、は、ぬ、し、た、い

まさか死体ではないだろうかと思ったが、それなら若葉達がすぐに知らせてくるはずだから違う

では、なにをしたいと言ったのか



1、なにを?
2、いいえ、したくはないわ
3、ええ、したいわ
4、悪いけれど。私には貴女の言葉が分からない。出直して来てもらえるかしら


↓2

ksk

2


天乃「いいえ、したくはないわ」

何をしたいと言ったのか

それは相変わらず分からないけれど

沈黙は肯定になってしまうだろうし

もちろん、肯定なんてするわけにもいかない

天乃「私はそんな気、まったくないわ」

「ア?」

天乃「嘘ではないわ。本当に、私はそう言うの嫌いだから」

それが何を言ったのか分かったわけではないが

しかし、なんとなく「本当か」と聞かれた気がした天乃は

完全に否定すべきだと考え、言葉を上乗せして拒絶する

妖怪がしたいということなんて、基本的にろくなことではないからだ

「イ」

そうつぶやいた猿候は、そのまま何もせずに姿を消す

断ってよかったのだろう

きっと、それが正解だったのだろう

そうしなければならなかったのだろう

天乃「っ」

自分の頭の中がそんな自己弁護にあふれ、布団の上に冷汗が滴ったのを見て息をつく

天乃「……せめて理解できる言葉を発してくれたなら。良かったのに」


√ 6月7日目  夜(自宅) ※日曜日

1、九尾
2、死神
3、若葉
4、悪五郎
5、稲荷
6、園子
7、球子
8、おとなしく、寝ておく
9、勇者部の誰かに連絡 ※再安価

↓2

※9は電話

9

3


若葉「どうした、天乃」

天乃「ん、うん……まぁ、その」

若葉は恐らく、あの異様な気配の存在がこの部屋にいたことには気づいていただろうし

何かがあればそれが怒る前に止めに入れるように準備していたのだろう

しかし、盗み聞きというのは若葉にとっては悪事なようで

すっとぼけた言葉に続いて、

誤魔化していますと言いたげに目が泳ぐ

天乃「貴女って、分かりやすいわね」

若葉「んなぁっ!? そ、そうか? 私の渾身……」

何かを言いかけた若葉だったが

言葉半ばに肩を落とすと、小さく首を振った

若葉「いや、すまない。話を聞いていた。ただ、分かってくれ。やましい気持ちは、本当に、なくてだな……」


問い詰めたわけでも責めたわけでもない

なのに、罪悪感を感じる様子で目を伏せた若葉の謝罪に

天乃は笑いを堪えながら、首を振る

従順というべきか、忠実というべきか

馬鹿真面目というべきか、純情というべきか

色々な言葉を思い浮かべながら、目を向ける

天乃「別に、謝って欲しいなんて言ってないし、貴女が守ろうとしてくれていたのは解ってるわよ」

若葉「そう……なのか? なら、なぜ私を」

天乃「私は呼び出した生徒を必ず叱るような先生なの?」

若葉「そうとは、思っていないが」

しかし、さっきの今で、この時間で

呼び出されたのは説教の為ではないかと、思わずにはいられなかったのだ



1、違うわよ。球子と仲良くしてあげて欲しいの
2、えっと……迷惑じゃなければなんだけど。一緒に寝てくれない?
3、猿候の言葉、貴女解ったりした?
4、園子の事、どう思う?
5、実はね、若葉。貴女は球子と同じく300年前の勇者なのよ


↓2

1

5

4


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から
以下が今回猿候が言っていた言葉





「_、タ、ヒ、ネ」


「メ、オ、ハ、ヌ シ、タ、イ」


「  _
   タヒ ネ 」

「 メハ
  オヌ  シ タ イ ? 」


…こいつは本気でヤバイ奴なのでは…?

一つ目はわかったが…
これは妖怪の先達に任せたほうが良いのでは

もししたいわにしてたら大惨事になってたんじゃ…
九尾や五郎くんの方が遥かにまともに見えてきた

九尾は今回に限って言えば頼れる姉だよ
だけどこいつは明らかにヤバい
けど>>1はよくこんな言葉遊び考えたな…間違えたらどうすんだよ(怒)


では、初めて行きます


天乃「実はね、若葉。貴女は球子と同じく、300年前の勇者なの」

伝えた所で何かできるわけでもない

若葉の記憶はきっと戻らないだろうし

忘れていることで悩んでしまうかもしれない

だけど

球子のあんな姿を見せられては、貴女は無関係です。というままで居るのは

なんだか、違う気がして

若葉「……そうか。そうなのか」

不思議と若葉に驚きは見られなかった

普段から見る落ち着き払った凜とした表情

そのどこかに悲しさを帯びさせて、若葉はふっと息を吐く

若葉「球子が300年前の勇者という時点で、私もそうなのではないかと。可能性は考えていたんだ」


だが、そんな確証も記憶もない

だからそれは気のせいなのかもしれないと考えて

球子と自分がどこか似ているのも、ただの偶然かもしれないと切り捨てていた

しかし、

若葉「球子は私を見ると、ふと。切なげな目をする。しかし、どうしたのかと聞くと、なんでもないという」

そんなの嘘に決まっている

何かがあるに決まっている

そう、自分には言うことが出来ないような悩みが……

そう考えた若葉は、しかし言い出すことが出来ずにここまで来てしまった

なぜなら

やはり、若葉はその真実を知ったところでどうすることも出来ないからだ


天乃「……解ってたのね」

若葉「ああ。薄々だが……ふとした瞬間に懐かしさや、切なさを感じることもあったからな」

しかし、それは記憶の引き金にはならず

浮き釣りの浮きをちょんちょんとつつくだけの魚のようなモノでしかない

若葉「だが、これでようやく。私は球子に話せる」

若葉は気落ちした様子もなく

言葉通り嬉しそうに、いいながら自分の胸元に手を当てる

ずっとつっかえていたものを、取り払えたかのように

若葉「確証が持てなくて、ただ傷つけるだけなんじゃないかと。気を使わせたと思うんじゃないかと。そう思っていたんだ」

天乃に自分がどういったものか聞くことが出来なかったのだってそう

天乃に何か気を使わせてしまわないかと不安で

それなら何も知らないままで良い、気づかないままで良い

そうやって現状に甘えてしまっていたのだ


けれど、天乃から真実を話してくれた

それは球子の為に話しただけで、自分のことに気づいてではないかもしれないが

しかし、それでも望んでいたものは、得られた

若葉「これで球子にすまない。と、言える。なぜその言葉を使うのか。それを自信を持って答えられる」

誇らしそうに言う若葉に

天乃は一瞬呆気にとられてしまったが、

すぐに笑みを浮かべて、押し殺したような笑い声を漏らす

天乃「誇るようなことじゃないでしょ」

若葉「それは、解ってはいるが」

笑われたことに対してか

それとも、目の前の少女の笑う姿がとても愛らしかったからか

若葉はちょっぴり照れくさそうに頬を掻いて、はにかむ

どちらかと言えばそう

多分、後者だろうか。と


天乃「でも……そう。良かったわ。球子のためとはいえ、私は貴方に負担をかけて――」

若葉「いや、これからもそうしてくれ」

え? と、天乃の口から零れ落ちる

まだ言い終えてはいなかったが、言葉はしっかりと伝わっているようで

ピシャリと言った若葉はもう一度、そしてくれと繰り返す

若葉「そうやって頼ってくれること、わがままを通してくれることが、私は嬉しいんだ。きっと、みんなも」

いままでの天乃なら、頼ったりなんだりすることなく

一人で悩んで、考えて

決して間違ってはいないが正しくもない答えを出していたかもしれない

だが、今回は違った

若葉の負担になるかもしれないことを考慮しながらも、真実を話してくれた

それが、何よりも喜ばしくて

若葉は嬉しそうに笑うと「任せてくれ」と、言う

若葉「記憶が戻るかどうかは解らない。だが、球子に寂しい思いはもうさせない」

天乃「…………」



1、ええ、よろしくね
2、記憶のこと、私も考えてみるからね
3、ありがとう、若葉
4、ふふっ、頼もしいわ


↓2

1

2


天乃「記憶の事、私も考えてみるからね?」

若葉「ああ、すまない」

ここに来た当初は、不安がなかったと言えばうそになってしまう

けれど、今では記憶がなくても良いと思えるようになった

それは、天乃が覚えているのかは分からないが、「今は名前だけ覚えてくれればいい」と

優しく言ってくれたからであり、

そしてなにより、ここにきて出会ったみんなが、優しく迎え入れてくれたからだ

だが、それでも

記憶があるに越したことはない

若葉「私も個人的に思い出そうとしてはいるが、中々な」

天乃「思い出すためだって言って、頭打ち付けたりしないでね?」

若葉「それは平気だ。もうしたからな……駄目だったが」

天乃「したのね……」

その変な方面での行動力に呆れ、笑った天乃は

小さく息をついて、照れくさそうな若葉を見つめる

自分もだいぶ酷い経験をしたとは思うが

しかし、若葉達はそれ以上に酷い経験をしてきたのだと

そう思う天乃は、思わず陰鬱なものになりそうな空気を飲み込んで、「さて」と、間を潰した



1日のまとめ

・   乃木園子:交流無()
・   犬吠埼風:交流無()
・   犬吠埼樹:交流無()
・   結城友奈:交流有(年頃)
・   東郷美森:交流無()
・   三好夏凜:交流無()
・   乃木若葉:交流有(真実、記憶)
・   土居球子:交流有(陽乃について、寂しいのなら)
・ 伊集院沙織:交流無()

・      九尾:交流有(陽乃と千景)

・       死神:交流無()
・       稲狐:交流無()
・      神樹:交流無()



6月7日目 終了時点

  乃木園子との絆 48(少し高い)
  犬吠埼風との絆 42(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 39(中々良い)
  結城友奈との絆 56(高い)
  東郷美森との絆 41(少し高い)
  三好夏凜との絆 34(中々良い)
  乃木若葉との絆 35(中々良い)
  土居球子との絆 26(中々良い)
     沙織との絆 48(少し高い)
     九尾との絆 42(少し高い)
      死神との絆 38(中々良い)
      稲狐との絆 30(中々良い)
      神樹との絆 9(低い)

 汚染度???%

※夜の交流で稲荷と話せば、汚染度が判明します



√ 6月8日目  朝(自宅) ※月曜日

01~10 
11~20  大赦
21~30 
31~40 
41~50  若葉
51~60 
61~70 
71~80  球子
81~90 
91~00  樹海化

↓1のコンマ  


昏睡状態に陥った戦いから、今日で5日目

目を覚ましてからは3日と少し

残念ながら、学校への登校はもう一日様子を見てからで

今日もまた、そこまで面白みのない一日というわけだ

というのも、昨日一昨日と違って

勇者部の面々は学校があるから早くても夕方まで会いに来ることが出来ないからだ

天乃「いや、別に、会いにきて欲しいわけでもないけれど」

誰かに向かってそう言った天乃は

ふと、いつもの風景とは違っていることに気づいて

自分のベッド脇へと視線を落とす

天乃「車椅子が……ないんだけど」

園子用の車いすは園子側に残っているのだが

天乃が普段使っている車椅子が、部屋のどこにも見当たらないのだ

昨日の夜までは確かにあったし

今日の朝メンテの為に持ち出したのなら、ひと声かけられているはずだ

いや、そもそも。現時刻朝六時の段階ですでに持ち出しているなど、あるはずがなかった


天乃「誰か持ち出したとしか思えないのはそうなんだけど……」

本来あるべき場所に手を伸ばしてはみたが、当たり前ではあるけれど

手は空を切って下へと落ちていく

九尾の幻覚の悪戯なら、感触はあるはず

つまり、少なくとも質の悪い狐の悪戯ではないということだ

いや、もちろん

車椅子に座って持ち逃げした可能性もあるけど

園子「ん……ふへへ……天ドンだぁ」

天乃「……呑気なんだから」

そんなことが起きているなど露知らない園子の寝言

くすりと笑った天乃は、困ったように息をつく


1、九尾
2、死神
3、若葉
4、悪五郎
5、稲荷
6、大赦
7、球子
8、イベント判定
9、勇者部の誰かに連絡 ※再安価

↓2

※9は電話

3

1

8


天乃「九尾」

あんまり頼りすぎると

後から何か要求してくる可能性があるとか

母親みたいに―と言っても実母ではなく小説での母親像だが―愚痴愚痴言ってくるかもしれないとか

色々と問題はあるかもしれないが

とりあえず、基本的には何かの原因である九尾の名前を呼ぶ

天乃「……?」

普段ならすぐに姿を現すはずなのに

1分、2分、3分と経過しても

九尾が姿を現すことはなくて

もう一度、名前を呼ぶ

天乃「どうかしたのかしら……」

それでも、九尾が姿を見せることはなかった


天乃「死神さん……も、だめなの?」

死神の名前を呼んでも姿を現さない

九尾の場合は、面倒くさいから出てこないという可能性もあり得るのだが

死神もとなれば話は別だ

千景の件を聞いてしまったことで

二人で喧嘩しているだけというのなら

心配にはなるが、そこまで慌てたりする必要はないのだけれど

しかし、恐らくそんな単純な話ではないはずだ

天乃「若葉」

若葉「呼んだか?」

天乃「球子」

球子「どうかしたのか?」

若葉と球子に関しては、呼べば出てくるようで

これは悪五郎と稲荷も同様に呼べば出てくる

危険があるために猿候は呼び出していないが、火明命も招集には応じてくれる

つまり、呼べない猿候を除き、死神と九尾以外は

普通にこの場にとどまっているということだ


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から





天乃「ねぇ園子。天ドンってなんなの?」

園子「天ドンはね~天さんがドンするんだよ~。具体的に言うと」

園子「身長差があるから、タイをぐって引っ張って体制崩させてから、壁にドンッてやるんだよ」

園子(それで、身長くらい合わせてくれない? 唇合わせたくないの? って言うんだよ~)

園子「わっはーっ」キラキラ


色々区切りがついたところで新展開か
いつの間にやら五郎くんもちゃっかり馴染んでるな

園子様の妄想素晴らしいな…「身長くらい合わせてくれない?唇合わせたくないの?」とか年上の強気+甘えとか最高かよ

天乃と園子の取り合わせってお互い体動かないから背徳感あるよなあ

昨日投下が無かったのは樹のやつ書いてたからだな(名推理)


では、少しだけ

待ちわびたぞ


天乃「死神と九尾が居ないの……それに、私の車椅子もないのよ」

死神はともかくとして、暗躍することのある九尾が何かやっている可能性は高く

そして、それを同じ精霊なら知っている可能性が高い

だからたずねた天乃に、球子と若葉はさっぱりだと言いたげに首をかしげて

しかし、悪五郎は意味ありげに鼻を鳴らして、手を上げる

悪五郎「女、それを知ってお前に得はあるのか?」

天乃「得……?」

悪五郎「妖怪の業に踏み入る意味はお前にあるのかと聞いている」

悪五郎は腕を組みながら天乃に対して厳しい目を向ける

言動一つ見逃すまいとしているような

そんな観察する瞳を避けることなく、天乃は向かい合う


悪五郎「むやみやたらに俺達の縄張りに入るものじゃない。特に」

トントンっと

自分の頭を叩いた悪五郎はにやりと笑う

悪五郎「悪いやつなら、なおさらな」

天乃「……頭が悪いってこと?」

悪五郎「お前な……」

絶対に解っている笑顔から一転、思いついたような顔をした天乃に

悪五郎は文句ありげに唸って、息をつく

天乃がそういう人間だと分かっているから

今更そんな言葉に苛立つような気もないが……

むしろ、あんなことを言われておきながら

そんな余裕のある天乃のことを、悪五郎はすこしだけ、また気に入った

悪五郎「人間の言葉で言えば、悪霊の類だ。お前が昨晩忌避していた猿候もその一つだと言えば、分かりやすかろう?」


悪五郎の言葉に、天乃の体がぴくりと反応する

昨晩、すがたを現した化け物と呼ぶべき精霊、猿候

言葉を話していたのかすら怪しいが

何かを呟き、紅い瞳を大きく開きながら近づいてくる様は

まさしく悪霊だったと断言してもいいかもしれない

悪五郎「あやつは左腕が無いが、それは恐れを知らぬ証だ。ゆえにお前が主人であろうとやつは容赦なくお前を喰らう」

天乃「…………」

悪五郎「もっとも、お前は俺の大事なデザートだからな。易々と横取りさせるつもりはないが」

デザートではないし

そんな気遣いなどなくとも、天乃自身が易々と襲われるつもりなんてないが

言葉ではわかり難い悪五郎のやさしさにを感じ

天乃はくすくすと笑みをこぼして、ふっと息を吐く

儚さを感じるその表情は、どこか魅惑的だった

天乃「私は別に貴方のモノでもないんだけどね」



1、死神たちの行方
2、猿候について
3、九尾達が悪戯するつもりなのかどうかだけ聞く
4、それでも。いざとなったら助けてくれるの?



↓2

1

1


天乃「それよりも、死神たちがどこに行ったのか聞きたいのだけど……」

悪五郎「それならば、学校とやらに向かったぞ」

ごく自然と、当たり前に悪五郎は言った

死神と九尾は学校に向かったのだ。と

九尾達が人間で、学校生活を送らなければいけないのならいざ知らず

その場しのぎの教員という設定しかない九尾が

天乃が登校していない今現在行く理由などない

極めつけは、死神だ

死神に限っては生徒や教員と言った設定すら存在していない

天乃「……どういうこと?」

悪五郎「どういうことも何も、そのままの意味だ。女狐共は学校とやらに向かった。それも朝早くにな」

悪五郎はそう言うと、立て続けにこうとも言う

悪五郎「死神は女狐が連れ出してたな。奴の力が必要になるかもしれないと。そう言っていた」


直接的な因縁があるわけではないにしてもも

二人きりで出かけるような間柄ではないはずの二人

それが一緒に、しかもそこまで目的がないはずの学校へと向かったともなれば

何かがあると思わないわけにはいかない

悪五郎「良い目だ。女」

悪五郎はそんな天乃の瞳をまっすぐ見抜き

なぜか誇らしげに笑みを浮かべて、天乃の頭に手を置く

悪五郎「探求心の強い女は、嫌いじゃない」

天乃「貴方の二転三転する言葉。私は嫌いだけどね」

うぐっと唸る悪五郎を尻目に、

本来は車いすがあるべき場所へと目を向けると

丁度、座り込んだままの白い狐が目に入る

九尾と同じく狐ではあるが

しかし神格であり、誰もが望んで止まない癒しの力を持つ稲荷神の遣い

天乃「貴方がいかないということは、少なくとも神樹様に影響のあることではないのね?」

稲狐は首を少し傾けると、鼻先をベッドに付けて、頷く

九尾や死神たちと違って言葉を話すことはできないからだ

天乃「そう……でも。気になることは気になるわね」


若葉「出かけた理由か……学校なら。友奈達に会いに行ったと考えるべきか」

球子「と言っても、死神の力が必要になるかもしれないんだろ? 普通の用事じゃないよな」

球子の言葉にそれもそうかと若葉は同意して、

二人を見ていた悪五郎は、ふと。何かに気づいたように頭を掻いて

お前らな。と、切り出す

悪五郎「何を言っているのかまるで分らん」

球子「どういう意味だ?」

悪五郎「どうもこうもあるものか。俺とお前たちとでは根本的なものが明らかに食い違っているようだ」

一人状況を理解している悪五郎だけが

その場の空気に不快感を示してため息をつく

その悪五郎の目が向いた天乃もまた

一つだけ除外してしまっていた存在を脳裏に思い浮かべて「まさか」と呟く

悪五郎「分かったか」

天乃「……でも。まさか」

悪五郎「女狐が警戒する何か。死神の力が必要になる何か……考えれば簡単だろう」

ソレが現れるまでは、無くなることが無かった車椅子

九尾が警戒する存在。死神の力が必要な存在

そんなのは、考えるまでもなく――

天乃「まさか、猿候が学校に行ったとでも言うの?」

悪五郎「知らないのか? あいつは女狐と同様の幻術使いだぞ」

悪五郎は正誤を定めることなく

ただそれだけを、言い放った


では、ここまでとさせていただきます
明日もできれば通常時間から







天乃「……ア」

夏凜「ん? あんた、学校来て平気なの?」

天乃「ゥ……」ダキッ

夏凜「! ちょ、ちょ……っ!」

天乃「………イヒ」ギュッ

夏凜(な、なんなのよ一体ーッ!)


確かWikiには女性を襲うこともあるって書いてあったっけ…
全くとんでもない化け物になっちまったぜ


猿候が人間の女を犯すっていうのは猿候のWikipediaに載ってたから…でもあれ?この後書きだとただのレズセッ…

くおんさんに代わって既成事実を作りにいったのか

久遠さんのふりをして実は生えてましたとかだったらドえらい事に…

女の子だからと諦めてた(疑問符)みんなから狙われるんですね解ります
執拗に連れション求めてきそう

では、初めて行きます

よしきた


悪五郎「まぁ、そこまで大きな悪意は感じられなかったからな。女狐がその場で処さなかったのもそれが理由だ」

天乃「……みんなに害はないの?」

悪五郎「断定は出来んな。俺は猿ではない」

悪五郎はすこし不快そうに言うと

小さく息をついて首を振る

そのどこか呆れた様子に、天乃は目を細めた

悪五郎「そう睨むな。可愛い顔が台無しだぞ。それでは武士のようだ」

くっくっくっと

嬉しそうな笑い声を漏らす悪五郎は

天乃のほほに触れて、にやりと笑う

悪五郎「不安なら、俺が負ぶって連れて行くが?」

若葉「お前になど任せられるか。私が行く」

対抗する若葉の姿勢には

流石の球子も一瞬驚いて苦笑する

球子「と、言っているけど……どうするんだ?」



1、死神たちに任せる
2、若葉に見て来てもらう
3、悪五郎に連れて行ってもらう
4、若葉に連れて行ってもらう
5、球子に連れて行ってもらう


↓2

4

4


天乃「なら、若葉に連れて行ってもらいたいわ」

悪五郎「なん……だと?」

球子「驚くことじゃないだろ……」

恐らく聞こえないように配慮したのだろうが

球子の呟きは悪五郎に聞こえていたらしい

嫌悪感を激しく感じる表情を浮かべ、そのまま姿を消す

天乃「後で嫌がらせされるわよ?」

球子「いつものことだからな。気にすることないだろ」

天乃「いつもの事なのね……」

遊んであげているのか、遊ばれているのか

どちらがどうとまではいわないが

天乃は苦笑いを浮かべて息をつくと

若葉の方に目を向けた

天乃「それで、頼んで良いのよね?」

若葉「ああ、私に任せろ。準備が出来次第出発しよう」

そして、

若葉と共に、学校へと向かうことになった


【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【五輪目】
【安価でゆゆゆ】久遠天乃は勇者である2nd【五輪目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1481292024/)


では、こちらはここまでとさせていただきます
続きは次スレで


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では乙

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