希「一人暮らしって無性に寂しくなる時あるんよ」 (19)

ラブライブ!のssです。
多分割とすぐ終わるので感想やアドバイス等頂けたら嬉しいです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1476971043



「東條希、です」

この言葉を何回言った事だっただろう。

何回も転校を繰り返すうちに、友達なんて作ったって仕方ない事に気がついてしまった。

いつからか私は、ずっとひとりぼっちだったんだ。

____________________

____________________

「あ~、今日も練習疲れたね~!」

「ふふっ、その割には最近ずっと楽しそうですよ?」

「練習してる時の穂乃果ちゃん、いきいきしてるもんね~」

「ダンスの練習は凄く楽しいにゃ!」

「凛ちゃんもう振り付けほとんど完璧だもんね、やっぱり凄いなぁ…」

「凛はちょっと気合い入りすぎなのよ…」

「新曲も皆ようやく形になってきたわね!練習のしがいがあるわ」

「ちょーっとだけにこのレベルに追いついてきたかもしれないわね~」


練習終わり。皆で帰る道が、私は好きだった。



「そんな事いってにこっち最初はバテバテやったやん?」

「な…!なによ~…」


皆で笑って、盛り上がって…

楽しくてずっと笑ってた。


「あ、ウチはこっちだから…皆また明日な!」

「また明日ね希ちゃん!」

「うん、またね……」

「………………。」



だからその分…

ガチャッ

「ただいま…」

ひとりはさみしかった。




小さい頃から転勤続き。


そんな私が初めて作れた私だけの居場所、それがμ'sだった。


色々大変な事もあったけどそれも今ではいい思い出だ。

皆といるのは凄く楽しい。


でも、誰もいない家の扉を開けて薄暗い玄関に入ると途端に寂しさが押し寄せてくる。

音のない部屋。

皆で撮った写真を眺めると、私1人だけ遠くにいるような…そんな感じがした。


「ひとりは…寂しいな…」


ふと呟いたそんな言葉に返す相手はどこにもいなかった。


ピンポーン


…?
誰だろうかこんな時間に。
宅配便かな…





「はいはーい、今出ますよ~」



ガチャッ




「最近寒くなってきたわね~、ちょっと上がらせてよ」

「にこっち…?どうしたん急に?」

「決まってるでしょ?最近アンタ元気ないっていうか、なんか寂しそうに見えるのよ」

「ウチが?ないない!皆と一緒にいれるから今すっごく楽しいんよ」



嘘じゃない、だけど嘘だ。

…本当にこっちは鋭い。
特に人の感情とかそういう事に関しては心を読んでるんじゃないかってくらいに鋭い。

の癖に自分の恋愛に関しては全然ダメなんだけどね。

「嘘つかないでいいわよ」

「えっ…?」

「だから、私には嘘つかないでいいって言ってるの」


そういったにこっちの目は、私の事をまっすぐに捉えて離さない。


「希は嘘つくのがうまいのよ。だから今まで気づいてあげられなかった」

「でももういいの。私は希の事分かってるつもりよ」

期待してる

遅くなりましたが、投稿します

______________________________


「や、やだな~…にこっちったら本当にどうしたん?今日はやけに真剣やん?」

「もしアンタが色々気にかけてくれてなかったら学校に居場所なくなってたかもしれない。それくらい救われてるの」

「だから私だって希の寂しさを無くしてあげたい。…あの一人ぼっちだった私に希がそうしてくれたように」



にこっち…そんな事思ってくれてたんだね…
あれ、おかしいな…
涙が止まらないよ。

「や、やっぱり…にこっちは、お…お馬鹿さん、やなぁ……」ポロポロ


本当に馬鹿なのは私の方だった。
私の事をこんなに考えてくれる人がいるのに気づかずにひとりぼっちな気がして…

こんなに最高な仲間に出逢えてたんだね。

「ほら、仕方ないわね…特別ににこの胸を貸してあげるわ。こんな事滅多にないんだから」

にこっちが私の事を抱き締めてくれる。
私よりも小さな身体だけど、凄く大きく感じて寂しかったのがふっと消えるくらい安心した。


「にこっちに貸せるくらい胸あったんやなぁ…」グスッ

「くっ…また減らず口を…!」

「でも、ありがとね…すっごく柔らかくて、優しくて…安心するよ」

「えっ、希今の口調……」

「よし、元気で明るい希ちゃんの完全復活やね!」

「…もう、調子いいわね……」


「また寂しくなった時はにこっちに抱き締めて貰おっと!」

「にこはそんな安くないんだけど!…まあ元気になってくれたみたいでよかったわ」

「本当にありがとねにこっち、お陰さまで自分が馬鹿だって気付けたんよ。ウチが思ってた以上にウチは幸せ者やったんやね」

「そうね、アンタは馬鹿よ、大馬鹿者よ!…だから、たまには誰かに頼りなさいよね」


そう言うとにこっちは照れを隠すかのように足早に帰って行った。
…家事とかもあったはずなのに、お人好しさんやねにこっちは。

こんなに私の事を考えてくれる人がいるなんて、あの頃の私は想像できただろうか。

寂しい思いをさせてごめんね、あの頃の私。

何年後かの私には、最高の仲間が沢山出来たよ。
もう、ひとりぼっちじゃないよ。

____________________________


「あの~…これはどういう状況なのかしら?」

「私にわかるわけないでしょ…」

「凛もちょっとわからないにゃ…」

「私も、わからないかな…」

「ん~、にこちゃんに抱き締められてる希ちゃん?」

「そんなのは見てわかります!どうしてこんな事になってるんですか!」

「そんなこと言われても、今まではこんな事なかったよぉ…」

「……あ~もう!もうそろそろ離れなさい!」

「あ~ん、もうちょっとだけ~…こうしてるとすっごい落ち着くんよ…」

「もう昼休み中ずっとこうしてるんだけど!それもあれから毎日!」

「とか言って文句いいつつやってくれるのがにこっちのいいところやね~」

「はぁ…もういいわよ、飽きるまで付き合ってあげるわ」

「やった!にこっちだ~い好き!」

「んなっ!…はぁ、またそうやってアンタは…」

「…私は本気だよ……」ボソッ

「ん?なんかいった?」

「ううん、なんにも!」




はぁ~…ウチ、幸せ!

ハッピーエンドね

いいね

良かった
乙です

よかった

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom