■注意事項
・あんことティッピーメインの短編です(人間キャラは最低限しか出ません)
・今回は性的暴力的な描写はありません(多分)
・以前書いた【ごちうさ】ハッピーの素はあんこ【あんこ×ティッピー】の別編です(繋がりはありません。また別スレで書いた新約編とも繋がりはありません)
前スレ
【ごちうさ】ハッピーの素はあんこ【あんこ×ティッピー】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1411643119/)
・心がぴょんぴょんしなくても責任は取りません。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1476191929
ココア「ちゃんと手順を踏んでお付き合いすれば、きっとティッピーもあんこを受け入れてくれると思うの」
千夜「そうね」
最近になり、ようやくティッピーがあんこを拒絶しているという事に気づいたココアと千夜は、自分たちが飼い主として二羽の仲を取り持つ決意をしたのであった。
―ラビットハウス―
ティッピー「(ゾクゾクゾク)」
チノ「どうかしたんですか?おじいちゃん」
ティッピー「なにか今すごい悪寒が……」
チノ「風邪でしょうか?」
―甘兎庵―
あんこ「・・・」
その日から千夜とココアによるあんこへの教育が始まった。
まずは「我慢」を教え込んだ。
ティッピー(のぬいぐるみ)を前にしても飛びつかずに、自然に接せるようにするためである。
ココア「も~ダメだよあんこってば~」
千夜「あんこ。めっ」
あんこ「~(はーと ~ ~」
その道のりは困難かと思われた……だが
あんこ「・・・」
ぬいぐるみティッピーを前にしてもあんこは以前のように飛びついたりはしない。
もともと利口であったあんこはココアと千夜の言うことを素直に聞き、すぐに「相手の嫌がることはしてはいけない」ということを理解したのである。
ティッピー「(ビクビク)」
あんこ「・・・」
ココア「大丈夫だよティッピー。そんな身構えなくてもー」
千夜「そうよ。あんこはとっても紳士なんだから。ほら」
あんこ「・・・」(スッ
あんこは普段なら我先にとがっつき独り占めをするスイーツを………なんとティッピーに「先に食べて」と差し出してきたのである。
ティッピー「!!」
千夜「そうよあんこ。とても素敵よ」
ココア「どうティッピー。あんこってばとっても優しくて男らしいでしょ?」
あんこ「・・・」(ポンポン
あんこはティッピーに食べるよう促すかのごとく前足で背中を撫でるように叩く。
今までのあんこからは考えられないことであった―――。
ココア「それじゃー私たちは隣の部屋にいるから」
千夜「ごゆっくりね」
ティッピーとあんこを残し二人は部屋を出て行ってしまう。
ティッピー「………」(ビクビク
あんこ「・・・」
今の所あんこはいつものように襲ってくる気配は無い。
しかしこれではまるで「お見合い」ではないか?
既にティッピーはココアたちの目論見を察していた。
ティッピー「まったく困った娘たちじゃ」
あんこ「・・・」(モジモジ
ティッピー「!?」(ビク
ティッピーがやれやれどうしたものかと少し考え込んでいる間に、それまで千夜に置かれた場所から動こうとしていなかったあんこが、徐々に距離を縮めていること。
そしてやたら落ち着かぬ様子でモジモジしていることに気づいた。
ティッピー「………」
あんこ「・・・」
ティッピーが距離をとるとあんこはそれを詰めるように一歩踏み出す。
確かに以前のように問答無用に速攻で飛びついてこなくなった点は大した成長であろう。
だが……だからといってあんこが自分にとって危険な存在であることには何ら変わりはないのである―――。
―ガシャーン!!―
ココア&千夜「!?」
突然響いた大きな音に驚き二人は急いで隣の部屋へ駆け込む。
だがそこに二羽の姿はなく、ガラスの割られた窓から風が吹き込んでくるだけであった。
ティッピー「ノオオオオオオオオオオオオオオ」
あんこ「・・・」
いつものように追いかけっこを始める二羽。
道を駆け抜け、公園内へと逃げ込むティッピーであったが、あんこはピタリとくっついたままであった。
「やはりこやつは何も変わっておらぬ」そう思いながら駆け続ける中で不幸は起こった。
ティッピー「ぬあああああああ」
あんこ「・・・」
体勢を崩し転んでしまったティッピー。
そんなティッピーに対しあんこは駆けるのを止め、ゆっくりとトコトコと近づいてくる。
ティッピー「ひいいいいいい」
あんこ「・・・」
そしてあんこがあとひとっ飛びでティッピーへ抱きつける位置まで近づいてきた時にそれは起きた。
カラス「カアアアアアアアアア」
けたたましい鳴き声をあげながら二羽へ向かい急降下してくる黒い塊。
いつもあんこを捕まえては取り逃がすカラスであった。
今日もまた懲りずにあんこを捕獲しに来たのかと思いきや、今日の彼の獲物は違った。
ティッピー「ぬあ!?」
カラス「カアアアアアアアア」
なんとカラスはあんこでなくティッピーをガッチリと摑んだのである。
ティッピー「!?!?!?」
あんこより大きく重い分、そのまますぐに大空へと戻ることは出来ずその場で羽ばたきを続けるカラスだが、ティッピーが状況を理解できず固まってしまっていた事が幸いしゆっくりと獲物ごとその身を浮かせてゆくのであった。
ティッピー「た、助けてくれーーー」
ティッピーは暴れ脱出を試みるもカラスはがっしりと毛を摑んでおり放す気配は無い。
そしてこんな時に限り周囲には誰もいなかった。
そう……あんこ以外は……。
ティッピーは必死にもがき続けるが、その身体はゆっくりとだが確実に地上から離されてゆく。
そしてティッピーがもはやこれまでかと観念しようとしたその時であった……何かが自分の視界を覆うようにへばりついて来たのであった―――。
そう―――あんこである。
なんとあんこが今まさに連れ去れようとしているティッピーに飛びつき、そして抱きついてきたのであった!!
―後半へつづく―
カラス「カアアアア」
カラスは急に捕獲した獲物の重さが倍になった事にバランスを崩したのか、ゆっくりと高度を下げてしまっていた。
そんな中であんこはモゾモゾと身体を器用に動かしながら素早くティッピーの背後へと回り込む。
絶好のマウンティングポジションであって。
そしてそのまま大きく身体をカクカクと揺らし始めたのである!!
ティッピー「―――!!」
やがて10秒とかからずあんこは盛大にビクンと痙攣をした。
カラス「!!」
ティッピー「ぬあ!?」
あんこ「・・・」
ボスン。
そんなぬいぐるみが地面へ落ちるような音が響く。
ティッピー「た、たすかったのか?」
あんこ「・・・」
そう……獲物の重さが突然増えたこと、そして今の一連の振動によりカラスは思わずティッピーを放してしまったのであった。
自由の身となったティッピーであったが、頭上を飛ぶカラスは一度大きく上空へ戻ると、逃がすまいと再度獲物であるティッピー目掛け急降下してきたのであった。
ティッピー「ノオオオオオオオオオ」
なんとか逃げようとするも地面に落ちた際の衝撃と恐怖で身体が思うように動かない。
このままではまたカラスに捕まってしまうが、ティッピーにはどうする事も出来なかった。
ティッピー「―――!!」
カラス「カアアアアアアアアアア」
ティッピーは目の前に迫るカラスの姿とけたたましい鳴き声に思わず目を瞑ってしまう。
カラス「カアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
ティッピー「??」
カラスの鳴き声や羽をはばたかせる音は依然すぐ傍で聞こえるのに、いつまでたっても身体が宙に浮くことも、鋭い嘴に啄ばまれる痛みが身体を襲うことは無かった。
それを不思議に思い、ゆっくりと目を開けたティッピーの前には信じられない光景が繰り広げられていた。
あんこ「・・・」(フンスフンス
カラス「ギャアアアアアアアアア」
なんとそこにはティッピーとカラスの間に割って入り、必死にカラスを追い払おうと身体をぴょんぴょんさせる、頭に光り輝く王冠を乗せた小さな黒いうさぎの姿があるではないか!!
そう―――あんこ―――である。
あんこ「・・・」
カラス「カアアアア」
あんこはいつの間に咥えたのか、小さな木の棒を口にしながら必死にカラスを追い払おうとしていた。
カラスはしばらく威嚇しながらバサバサと羽をはばたかせると、あんこの頭めがけ、その鋭い嘴を突き出し攻撃を開始した。
あんこ「・・・」
その攻撃は運良くあんこの王冠を弾き飛ばすだけで済んだが、それでもあんこはその攻撃に驚いたのか、背中から倒れこんでしまう。
カラス「ギャアアアアアアアアアアアアア」
そしてカラスはそのまま獲物を倒れこんだあんこへと変えたのか、あんこを?み上げようとした時であった。
ココア「~~~」
ティッピーの視界にココアが入り込む。
どうやら自分たちを探し、追いついてきたらしい。
ティッピー「ココアーーーここじゃーーー」
ティッピーはチノが居ないにも関わらず、大声でココアの名を叫んだ。
ココア「へ?」
ココア「そっちに誰かいるの?」
ココアが声のした方へと小走りで近づいてくる。
そして―――
ココア「うわわ。こらーダメだよー。あっちへ行ってーーー!!」
視界にカラス……そしてそれに襲われているあんこに気づいた途端ココアは大声を上げながら駆け寄ってきた。
カラス「カアアアアアアア」
カラスはそれに驚いてか、せっかく掴まえたあんこを手放すとそのままいずこかへと飛び去ってしまう。
ココア「あんこ、ティッピー大丈夫?」
ココアはぐったりしているあんこを抱え上げ心配そうに覗き込む。
ココア「ティッピーも怪我とかないよね?」
千夜「ココアちゃ~ん。どこー?」
それからしばらくして千夜がようやくココアに追いついてきた。
ココアは千夜に事情を話し、あんこを彼女へと手渡す。
千夜「無事でよかったわね。あんこ……あら?」
既に意識を取り戻し、千夜の腕の中でどこか落ち着かぬ様子でモゾモゾとしているあんこ。
そんな珍しい事態だが千夜はすぐにその原因が分かった。
千夜「あんこ。王冠はどうしちゃったの?」
ココア「あっ。本当だ」
ココアはあんことティッピーの身体に怪我などが無いかばかり気にしていたため、今になってあんこの頭にトレードマークである王冠が無くなっている事に気づいたようである。
千夜「ん~。その辺に落ちてないかしら?」
二人は周囲をキョロキョロと見回すがそれらしい物は落ちていなかった。
ココア「あのカラスが持って行っちゃのかな?」
千夜「残念だけどもう暗くなってきたし今日は帰りましょう?」
ココア「うん」
ココア「ティッピーも帰ろうね」
こうして長い一日は終わりを告げるのであった。
―――数日後、甘兎庵
あんこ「・・・」
ココア「んー。なんかあんこ元気無い?」
千夜「どうかしら?でも確かに最近シャロちゃんに飛びつく際のキレが少し落ちたような………」
いつもの台座の上で置物の如く微動だにしないあんこ。
ただし、その頭部には何も乗っておらず、そのせいかあんこもどこか寂しげである。
ココア「そういえば王冠は結局見つからなかったの?」
千夜「ええ。残念だけれど見つからなかったわ」
ココア「そっかー」
そんな残念がる二人を他所にチリンチリン♪と店の扉が開く。
千夜「いらっしゃ―――あら。チノちゃん。いらっしゃい」
チノ「こんにちわ。千夜さん」
来店したのはティッピーを抱えたチノであった。
ココア「あれ?どうしたのチノちゃん。それにティッピーを連れてくるなんて」
チノは何故かティッピーを甘兎庵へ連れて行くのにはいつも反対するので珍しい事もあるものである。
チノ「はい。それはティッピーが………」
チノ「……はい。あの千夜さん。すみませんがあんこを掴まえていてくれませんか?」
千夜「ええ。いいわよ」
千夜がしっかりとあんこを摑んだのを確認してから、チノはティッピーをゆっくりとあんこの前に抱え上げた。
ティッピーは少しもぞもぞと動き毛の中から「ある物」をとりだした。
それはあんこの王冠であった。
ティッピー「……あの時は……助かったわい」
ティッピー「………その、礼を言うぞ」
そしてそれをそっとあんこの頭へと王冠を乗せてやるのであった。
ティッピー「探すのに苦労したんじゃ。これで貸し借りは無しじゃぞ」
あんこ「・・・」
千夜「きゃっ!あんこ!?」
どこか気恥ずかしそうにしながら、ティッピーがあんこから離れようとした時、あんこはしっかりと摑んでいたはずの千夜の手を振り払うと、今までに無い勢いでティッピーへと飛びついた。
チノ「きゃっ」
ティッピー「ぬおおおお」
あんこ「~♥」
そしてそのまま二羽は床をコロコロとしばらく転がってゆき、ココアの足元で止まる。
ココア「ふふふ。あんこったらよっぽど嬉しかったんだね」
ティッピー「―――!!」
あんこ「~♥~♥~♥」
そこには今までに無いくらい嬉しそうにティッピーにじゃれ付くあんこの姿があった。
チノ「そうですね」
千夜「うふふ。ありがとう。チノちゃん」
普段なら出来るだけすぐにティッピーからあんこを引き剥がすチノも今日くらいはいいかと、ココアと千夜とともに二羽を眺めているのであった。
―エピローグ―
そして時は過ぎココアが高校卒業と同時に木組みの街を去り1年が経ったある日。
ココア「あ、チノちゃんからの手紙だ」
ココアの元へは毎月必ずチノから手紙が送られてきていた。
ココア「………」
熱心にその手紙を読み終えたココアは、今度は同封されていた写真へと視線を落とす。
そこには皆がティッピーとあんこによく似た子うさぎたちの誕生日を祝う幸せそうな光景が写し出されていた。
―完―
―あとがき―
多分ここで書く最後のあんこSSなので虐待ネタではないのを書いた。
後悔なんてあるはずがない。
認めよう。今はあんこが可愛い。
あんこ、お前の勝ちだ。かわいい親子。いつも一緒にいつも一緒にうさぎの親子エンドとして満足して逝け。
ではまたいつか会う日まで。
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