闇に堕ちし騎士・ダークナイト「我、目覚めたり」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトはベッドから体を起こすと、腕をぐっと伸ばした。
一日の始まりである。
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闇に堕ちし騎士・ダークナイト「漆黒なる発酵食品と、暗雲渦巻く熱湯を食す」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトの朝食は、いつも黒パンとブラックコーヒーである。
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「我が牙を蝕む微生物どもに死の制裁を」シャカシャカシャカ
闇に堕ちし騎士・ダークナイトの歯磨きは非常に念入りである。
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「黒き鎧を装着せし時、我、騎士となる」
鈍く黒光りする鎧を装備すると、闇に堕ちし騎士・ダークナイトは騎士団駐屯地へと出動する。
騎士A「おはようございます!」
騎士B「おはようございます!」
白騎士「おっす!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「お早う。我は闇に堕ちし騎士・ダークナイトなり」
大勢の騎士が、闇に堕ちし騎士・ダークナイトに挨拶をする。
後輩騎士「先輩、おはようございます!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「君は女性でありながら、声は男性よりも快活でよろしい」
後輩騎士「あっ、今の言葉、女性差別ですよ!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「我、失言せり」シュン…
後輩騎士「アハハ、冗談ですよ、冗談!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「これより訓練を開始する」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトは騎士の中でもトップクラスの実力を誇り、
騎士団では教官のような役割を務める。
キィンッ! ギンッ! キンッ!
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「貴様ら、訓練不足なり」
キンッ! ギィンッ! キンッ!
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「そのような腕前では、民を守ることかなわぬ」
騎士A「す、すみませんっ!」
騎士B「申し訳ありません!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトの訓練に妥協はなく、厳しい。
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「しかし……精神力は一人前になってきたようだ」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「あとはひたすら鍛錬あるのみである。恐れず我についてこい!」
騎士A「はいっ!」
騎士B「光栄です!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトはムチを浴びせた後は、アメを与えることも忘れない。
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「次は後輩、かかってくるがよい」
後輩騎士「お願いします!」
キィンッ! ギンッ! キンッ!
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「だいぶ腕を上げたが、まだ脇が甘い」
後輩騎士「はいっ!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトは女性にも分け隔てなく接する。
後輩騎士「あのう、白騎士さん」
白騎士「ん?」
後輩騎士「先輩はどうして≪闇に堕ちし騎士・ダークナイト≫になってしまったんですか?」
白騎士「あいつの過去を……知りたいのかい?」
後輩騎士「知りたいです!」
白騎士「やめときな……後悔するぜ」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトの過去は深い深い闇に覆われている。
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「迷える子羊たちを導かねばならぬ」
昼食(イカスミスパゲティ)を食べ終えると、闇に堕ちし騎士・ダークナイトは任務遂行のため町に出る。
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「そっちは馬車が通るから危ないよーっ!」ピピーッ
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「こっちは大規模なペンキ塗りをやってるから近づかないでねー!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「はーい、みんなさようならー!」
子供A「さようならー!」
子供B「さよならー!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトは、交通安全の誘導が得意である。
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「本日の任務終了なり」
白騎士「お疲れ!」
後輩騎士「…………」
交通安全やパトロールを終え、これといって事件が起こらなければ、
闇に堕ちし騎士・ダークナイトの任務は終了となる。
後輩騎士「先輩っ!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「……ん?」
後輩騎士「私、先輩にどうしても聞きたいことがあるんです!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「質問する権利を与えよう」
後輩騎士「先輩の過去を教えて下さい! なぜ≪闇に堕ちし騎士・ダークナイト≫になったんですか?」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「それを聞いても後悔せぬな?」
後輩騎士「しませんっ!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「ならば教えてやろう……我が過去を」
闇に堕ちし騎士・ダークナイトに秘められし過去が、ついに明かされる。
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「あの日を思い出すたび、我の心と体は漆黒の闇に沈んでいく……」
後輩騎士「…………」ゴクッ
生唾を飲み込む後輩騎士。
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「実は五年前、私は任務中にドブ川に落ちてしまってね」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「なにしろ鎧をつけてたから、いくらもがいても体が沈むわ沈むわ」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「どうにかはい出ることはできたんだけど、鎧の黒い汚れが全然落ちなくてね」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「それを白騎士たちに“闇堕ち”ってからかわれて、ならいっそ開き直ることにして」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「≪闇に堕ちし騎士・ダークナイト≫を名乗ることにしたんだ」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「で、キャラを演じてるうちに、すっかりその気になっちゃって……」
後輩騎士「…………」
アーカムの蝙蝠男ではなかったか
後輩騎士「うわああああんっ!」タタタッ
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「ああっ!?」
衝撃の過去を知った後輩騎士は、闇に堕ちし騎士・ダークナイトから逃げるように走り出した。
町に飛び出す二人。
後輩騎士「うわあああああああんっ!」タタタッ
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「ま、待ってくれ!」タタタッ
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「こんなしょぼい過去で、本当にすまない……!」タタタッ
泣きながら走る後輩騎士と、謝りながら走る闇に堕ちし騎士・ダークナイト。
すると――
後輩騎士「アハハ、冗談ですよ、冗談!」クルッ
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「へ?」
後輩騎士「全然しょぼくないですよ! 先輩らしい、いい過去じゃないですか!」
後輩騎士「むしろ先輩のこと、余計好きになり――」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「あっ、走りながら急に振り返ったら――」
後輩騎士「へ?」
後輩騎士「きゃっ!」ズルッ
ベチャッ……
後輩騎士「あらら……鎧がペンキまみれに」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「今日ここは大規模なペンキ塗りが行われてるんだよ」
ペンキ職人「大丈夫かい!? 立て札を用意しとくの忘れてた! すまんかったな!」
後輩騎士「こちらこそすみませんでした……」
後輩騎士「ところで……この赤い色、多分洗っても落ちませんよねえ」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「ちょっと難しいかもしれないね」
後輩騎士「よーし、だったら! 私も先輩みたいに開き直ります!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「へ? どういうこと?」
後輩騎士「私も≪紅炎に彩られし騎士・レッドナイト≫になります!」
闇に堕ちし騎士・ダークナイト「えええええ!?」
この瞬間こそまさに、
後に国中の騎士・兵士から尊敬を集めることになる二人組の騎士≪闇炎ナイツ≫誕生の瞬間であった――
― 完 ―
乙
中身は別に黒くなかったのか…
≪闇に堕ちし騎士・ダークナイト≫になっても優しい周囲の人たちがよかった
家で一人の時もキャラ守ってるのに、子供相手だと優しい騎士の鑑
総合スレのネタが実現してしまったのか。草。
乙。
やさしいせかい
わろた
かわいい人たちだ
乙
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