いつき「肇ちゃんの下着ってさぁ」 (42)
短め。
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まだ暑さの残る秋口の午後。
ダンスレッスンが終わり、更衣室で着替えていると、ふといつきさんがこちらを見ながらつぶやいた。
肇「な、なんですか……?」
いつき「なんか、地味じゃない?」
肇「!?」
紗枝「ん~~、せやなぁ。」
聖來「確かに、質素なのを着けてるのが多いよね。」
先に着替えを終えて待っていてくれた二人も、うんうんと頷いている。
肇「……そ、そうなんでしょうか?」
思わず、汗を拭いていたタオルで身体を隠してしまう。
いつき「そうだよー。なんかいつも見ても、白ばっかりじゃない?私もスポブラとか多いし派手なのはつけないけど、それにしたって地味だよー。」
聖來「まぁ、肇ちゃんの場合は素朴な感じもするから、そういう路線なのかなーって思ってたんだけど。」
紗枝「素朴、どすか?」
肇「あっ、いえ、そういうことは、考えてなくて…」
あまり、意識したことはなかった。
確かに聖來さんや、年上のアイドルの人たちは、おしゃれなものをつけていて。
何度か、羨ましく思ったことはあったけれど。
肇「動きやすければいいかなぁって……。」
ごにょごにょと、尻すぼみになる。
だんだん恥ずかしくなってきて、俯いてしまった。
聖來「そんなことない!そんなことはないよ肇ちゃん!」
突然、ガシッと肩を掴まれる。
驚いて顔を上げると、目の前に聖來さんが。
聖來「確かにね、下着っていうのは服の下に隠れちゃうし、人に見せるものでもないよ。でも、だからって手を抜いちゃいけないの!」
肇「で、でも、大人っぽいのって、私にはまだ早いんじゃ…」
聖來「なに言ってるの!アイドルでしょ!?女の子でしょ!??」
掴まれた肩が、前後にガクガクと揺さぶられる。
かつてないほど真剣な眼差しがまっすぐにこちらを見ている。
聖來「そんなんじゃ、いざって時に困っちゃうよ!?」
肇「いざって時ってなんですか!?」
聖來「Pさんもガッカリしちゃうよ!?」
肇「どうしてここでPさんの名前が出てくるんですか!?」
いつき「あれ?Pさんと付き合ってるんじゃないの?」
紗枝「あらまぁ、うちらはてっきり…」
肇「違います!全然、ほんと、そんなんじゃなくて!」
いつき「ありゃ、まだ片想いだったかー。」
紗枝「肇はん、うち応援してますえ!」
肇「だから違くて!」
聖來「だったら余計に大事じゃない!!」
肇「あーーもーー!!!」
収拾がつかない。
どうしてこうなっちゃうんだろう。
結局その後、ヒートアップした聖來さんに「こうしちゃいられない!」と押し切られて、買い物へいくことに。
いつきさんと紗枝ちゃんも一緒にくることになったけど、この二人は絶対に面白がっているだけだ。
いつき「そういえば気になってたんだけどさ。」
道中、いつきさんが思いついたように口を開く。
いつき「紗枝ちゃんも、下着つけてるんだね。」
そういって紗枝ちゃんを見る。
視線が胸にいっているような気が、しないでもない。
紗枝「……いつきはん?それ、どういう意味なんやろか?」
にっこーっと、とっても良い笑顔で聞き返す紗枝ちゃん。
あ、まずい。
いつき「ち、違う違う!紗枝ちゃんって和服よく来てるじゃん!?和服って下着つけないって聞くし!ほんと!それだけ!」
聖來「あ、それあたしも気になってたんだー。」
両手をぶんぶん振るいつきさんに、聖來さんがさらっとフォローを入れる。
ふーっと息をつく紗枝ちゃんを見て、二人でほっと胸を撫で下ろしている。
紗枝「和服かて、下着は着けますえ。そら、昔は着けへんかったみたいやけど、今やとそれはご年配の方くらいやろか。」
そう教えてくれる紗枝ちゃんは、今は制服姿だ。
紗枝「それにうち、制服はせーらー服やし。」
そういって胸のスカーフをひらひらさせる。
確かに、セーラー服で下着を着けないのは色々と問題があるだろう。
紗枝「だから、うちもちゃあんと、かいらしいの持ってますえ~。」
―――――――
そんなやりとりをしつつ、お店に到着。
入ったことのない雰囲気に思わず後ずさりしそうになっていると、
聖來「なにしてるの。さっさと行くよー!」
いつき「ほーら、観念しなー。」
紗枝「おひとり様、ごあんな~い♪」
と、聖來さんに引っぱられ、いつきさんと紗枝ちゃんに背中を押されて、連れ込まれてしまった。
可愛らしい内装に色とりどりの下着が並んでいる店内。
その中を、聖來さんを先頭にずんずんと奥へ進んでいくと、そのまま試着室へ放り込まれる。
聖來「さぁ、覚悟しなさい!」
肇「お、お手柔らかに……」
いつき「とりあえず、どうする?」
聖來「似合いそうなのを、片っ端から!紗枝ちゃん!」
紗枝「はいな~♪」
応じた紗枝ちゃんの手には、いつの間にやら、ブラが一杯。
ほんと、どうやって持ってきたのその量。
紗枝「これなんかいかがやろか?」
聖來「うーん、ちょっと派手すぎないかな?」
いつき「えー、そうかなぁ?冒険してみるのもありじゃない?」
紗枝「ほんなら、こっちは?」
聖來「あっ、いいかも。」
いつき「落ち着きすぎな気がするけどー?」
紗枝「ほんなら……これ?」
いつき「わーぉ……」
聖來「……意外と、イケる、かも?」
数々のブラを試しながら、あーでもない、こーでもない、と言い合っている。
私はもう着せ替え人形状態だ。
まぁ、私のためにやってくれていることなので、大人しくすることにした。
紗枝「肇はん、お次はこれやでー。」
肇「はーい……って、何コレ?!ほとんど紐じゃないですか!?」
聖來「あっ、気づいた。」
肇「こ、こ、こんなの着られるわけないじゃないですか!!」
手渡されたのは、紐の様な細い布が1本。
これは下着と言えるのだろうか。
いや、言えるとしてもこれはさすがに着けられない。
恥ずかしすぎる。
というか、こんなものまで売ってるの?!
いつき「いやー、されるがままになってるからさー。つい。」
肇「つい、じゃないです!」
紗枝「似合うと思たんやけどなぁ。」
肇「本気で言ってるの!?」
前言撤回、やっぱり、遊ばれてるだけかも。
―――――――
その後も何度か、アブナイものを着せられそうになりつつ、何とか一組、選んでもらった。
聖來さんが勧めてくれた、水色に白のフリルがついたブラ。
胸元には、ワンポイントに小さな紺のリボン。
ショーツは、お揃いの水色のレースのもの。
なぜか買うだけで緊張してしまい、お店を出た時にはすっかり疲れ果ててしまった。
肇「はぁ~~~~~~~……」
聖來「お疲れさま♪」
肇「ほんと、こんなに疲れるとは思いませんでした…」
いつき「いやー、ファッションショーみたいで面白かったね!」
肇「おかげさまで……」
紗枝「ひも……」
肇「紗枝ちゃんまだ言ってるの…」
なぜか名残惜しそうな紗枝ちゃんを引っ張って、四人で事務所に戻る。
着いた頃には、もうすっかり日も傾いて綺麗な夕焼け空だった。
遊ばれはしたものの、またこの3人にはお世話になってしまった。
ちゃんと、お礼は言わないと。
肇「あ、あの、ありがとうございました!」
いつき「いいよいいよー、楽しかったしねー。」
紗枝「またお買い物、いきましょな~。」
二人がひらひらと手を振って、先に事務所に入っていく。
肇「あの、聖來さんも、色々と、教えてくれて…」
聖來「いいよいいよー。いつきも言ってたけど、あたしたちも楽しかったし。あ、でもちゃんと大事な時に着けるんだよ?」
肇「???」
聖來「だってその色、Pさんが好きな色だから♪」
そう告げて、足早に事務所へ駆けていく。
一瞬、何を言われたのかわからず立ち尽くしてしまう。
ドウイウコト?
コレ、Pサンノスキナイロ……?
思わず、紙袋を持った手にキュッと力がこもる。
肇「~~~~~~~~~~~~ッッッ!!!!」
言われた意味を理解した途端、ボッと顔が赤くなる。
今なら多分、夕日にも負けてない。
熱くなりすぎて、焼き物も焼けるんじゃないか。
入り口のドアで待っていた聖來さんは、いたずらっぽくニッと笑う。
聖來「たっだいま戻りました~!あ、Pさん、聞いて聞いて~!」
肇「あああああ!!だ、ダメですーっ!聖來さん!Pさんも聞かないでくださいーー!!」
大慌てで追いかける。
まだしばらくは、聖來さんには頭が上がらないことになりそうだ。
でも今は、とにかくあの口を塞がせないと。
何を言おうとしたのかのフォローも考えなきゃ。
様々なことを考えながら、私も事務所に入っていった。
以上になります。
ありがとうございましたー。
ふぅ
これはいけませんねえ
ついでにウインクのURL載せとけば?
紗枝はんいつも紐下着なんか
はよ
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