【Fate】セイバー?「君が俺のマスターかい?」 (106)
これは、あらゆる世界線が交差してしまった、聖杯戦争のお話…。
遠坂邸
凛「抑止の環より来たれ、天輪の守り手よ!!」
・・・・・・
凛「かんっぺき・・・・・・!間違いなく最強のカードを引き当てた・・・・・・!」
しかし、目の前に居るはずのサーヴァントはいない。
ドガシャァァぁ!!
凛「なんなのよーーー!?」
急いで音のした居間の方へ走る、
そこには剣を背負った赤い服の男がいた。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468648605
???「・・・・・・」
凛「貴方が私のサーヴァント?」
???「・・・・・・・・・」
凛「…あんたが私のサーヴァントで間違いないのよね?」
???「・・・・・・・・・・・・」
凛「ちょっと!なんか答えなさいよ!」
???「ハハハっ悪いな嬢ちゃん。黙ってた方が面白そうだったからな。いい顔してたぜ」
凛「くっ、まあいいわ。で、あんたは私のサーヴァントなの?違うの?どっち!」
ダンテ「ああ。俺は確かに嬢ちゃんのサーヴァント、アーチャーのダンテだ」
スレタイにダンテって入れた方が食い付き良かったんじゃね?
とりあえず支援
凛「アーチャー?セイバーじゃなくて?」
ダンテ「悪いか?」
凛「悪くはないけど…いや悪いわ!えっと、じゃあその背中の剣はなんなの?」
ダンテ「こいつか?こいつは確かに俺の剣だ」
凛「…あんたアーチャーなのよね?」
ダンテ「ああそうさ」
凛「……で、あんたの宝具は剣ってわけ?」
ダンテ「ああ。イカすだろ?」
凛「んなわけないでしょ!剣が主兵装なのに、アーチャーのクラスで現界するとか劣化もいいとこでしょ!ああもうなんでこんなヤツ…」
ダンテ「こんなヤツとは心外だな。俺は別に剣しか使えないわけじゃない。もっと前向きに考えろよ、嬢ちゃん」
凛「…確かに、引き出しが多いのはいいことね。ステータスもかなり高水準みたいだし…ていうかその嬢ちゃんって言うの止めてちょうだい。私の名前は遠坂凛よ」
ダンテ「遠坂凛…か。いい名前だな。よろしくたのむぜ、嬢ちゃん」
凛「くっ…ぬぬ…はぁ、疲れた。私もう寝るから。これからよろしくねアーチャー。あと、ここ綺麗にしといてね」
バタンッ
ダンテ「フッこいつは楽しくなりそうだな」
そしてその翌日。私は本調子とはほど遠い状態だったから魔力の回復に専念し、学校は休んだ。そしてまた次の日。
放課後
凛「そういえば、貴方にこの街を見せておかなくちゃね。私が案内するわ」
ダンテ「おおそいつは助かる。意外と気が利くんだな嬢ちゃん」
凛「…もう怒んないわよ」
ダンテ「そうか」
それから数時間後。ほとんど暗くなってきたころ。
凛「それであっちが…」
ダンテ「嬢ちゃん。サーヴァントの反応だ」
凛「っ!どこから?」
ダンテ「学校からだな。明らかに誘ってる感じだが、どうする?」
凛「行きましょう。貴方の実力も確かめないとね」
ダンテ「いいね嬢ちゃん。なら俺も、期待に応えないとな」
>>3
ダンテをうまく書く自信ないんや…
学校
そいつは校庭の中心に立っていた。
黒と白のまるで天使のような翼。ランスと呼ばれる形状の槍を持っている。
凛(!?あの姿、まるで天使そのものじゃない!そんなことが…天使がサーヴァントとして召喚されるなんて…)
???「来たか」
ダンテ「おう、来てやったぜ」
???「お前はセイバーのサーヴァントか?」
ダンテ「いいや残念。、アーチャーだ。お前はランサーでいいのか?」
ランサー「ああ」
ダンテ「そうか。じゃあ、ほら来いよ。遊んでやる」
ランサー「…誘ったのはこちらだったはずだが」
ダンテ「挑発ってのは強いほうがするもんだろ?」
ランサー「ふむ、たしかにな。では俺も、遊ぶとしようか」
ダンテ「ハッ言うじゃねぇか。おい嬢ちゃん」
凛「あれは別に天使に似ているだけであって、別に天使そのものとは限らないし…」ブツブツ
ダンテ「?おい嬢ちゃん!」
凛「ふぇ!?な、なにアーチャー?」
ダンテ「何って…自分で言ったこともわすれたか?ちゃんと見ててくれよ俺の戦いを。ま、嬢ちゃんには刺激が強いかもしれないけどな」
凛「え、ええ。アーチャー貴方の力ここで見せて」
ダンテは背中を見せたまま親指を立てる
凛(今はアーチャーをしっかりと見守らなくちゃ)
うん、ダンテとは名ばかりの別人だわこれ
ランサー「はあ!」
ダンテ「ふん!」
剣と槍か交差点する。
打ち合うたびに迸る、膨大な魔力。
槍が突き弾かれ、剣が振り下ろされ弾かれる。
その全が不可視の剣戟。それも、お互いに身の丈ほどの武器をそのスピードで振り回しているのだ。
人間の戦いじゃない。
凛「これが…サーヴァント同士の戦い…」
ダンテ「よっと、危ねぇ危ねぇ。デカい獲物のわりに、ずいぶんとすばしっこいじゃねぇか」
ランサー「…」
ランサーは無言で突進する。
それをまたアーチャーが受け止める。
そして幾度も打ち合い、いきなりアーチャーが校舎に吹き飛ばされた。
ダンテ「うを」
いや違う。ランサーは今、槍を握っていない。
打ち合っている途中に槍を手放し、徒手で間合いをズラし、詰めることでアーチャーを投げ飛ばしたのだ。
そしてまた槍を握り、投げる。
ランサー「ふん!」
ドスッ
凛「アーチャー!」
ランサーの槍はアーチャーの胸に深々と突き刺さり、校舎に打ち付けられている。
ランサー「…」
凛「そんな…アーチャー…」
ダンテ「やるなランサー」
凛「え?」
アーチャーは自分で胸に刺さった槍を引き抜いた。
ランサー「手応えは感じなかったが、まさか無傷とはな」
ダンテ「まあ、そういう体なんでね」
凛「アーチャー…いったいどうやって…」
ダンテ「ん?やっぱり嬢ちゃんには刺激が強すぎたか?」
凛「そんなことじゃなくて!」
ダンテ「ほら返すぜ」
槍が先ほどのランサーに匹敵する速度で投げ出される。
パシィ
ランサーはそれを容易く受け取る。
お互いに間合いをはかっている。そして…
ジャリ
ランサー「誰だ!」
~~~
士郎「ふう、かなり遅くなっちまったな」
ガキィン
士郎「ん?校庭の方から何か?」
何かよく分からない者がいた。
赤い男と翼の生えた奴が斬りあっている。
士郎「なんだ…あれ…」
赤い男が校舎に吹き飛ばされる。
人間の戦いじゃない。
士郎「やばい…逃げないと!」
ジャリ
???「誰だ!」
士郎「ーーーー………!!」
全力で逃げる。だが、
???「運が悪かったな少年」
士郎「なっ!?」
それはたやすく衛宮士郎の心臓を貫いた。
???「今の俺には少年に幸運をやることはできない。悪いな」
ダッダッダッ
???「っ……アーチャー、ランサーを追って」
???「わかった」
???「……やめてよね。なんたをって、あんたが…」
そこで意識は完全に途切れた
見てくれてる人いるかわかんないけど、頑張ってダンテ修正してみる
とりあえずスレタイ回収まで期待
衛宮邸
士郎「……あ…はあ、はあ…っく」
胸が痛む。それが真実を伝えていた。
あれは夢ではないと。
士郎「くそっ…何だったんだよあれ…」
ランサー「運が良かったようだな少年。いや悪いと言った方が正しいか」
士郎「!?」
逃げて逃げて、土蔵の所まで追い詰められた。
士郎「くそったれ」
ランサー「じゃあな、少年。今度は迷わないでくれよ」
士郎「ふざけんな、俺はーーーー!」
ガキィン
それは魔法のように現れた。
その剛撃をうけ、吹き飛ばされるランサー。
ランサー「ほう。七人目のサーヴァントか」
俺と同い年くらいの少年が立っていた。
その右手には漆黒の剣がにぎられている。
セイバー「えっと…君が俺のマスターかい?」
士郎「え……マスター?」
セイバー「俺も聞きたいことがあるんだけど…まずこの状況をどうにかしないとな」
少年は躊躇うことなく土蔵の外へ踏み出る。
士郎「あ、待て!あぶーーーー」
ない、と言おうとした声は遮られた。
戦いが始まった。
俺と同じくらいの背丈、年の少年はあのランサーと打ち合っている。
大地を揺るがすような少年剛撃。ランサーはそれを受けきれず、少しずつ後退する。
確実にあのランサーを追い詰めている。
士郎「何なんだ、あいつ…」
セイバー「はあ!」
ガキィン
ランサー「くっ……大した腕力だな、セイバー」
セイバー「そりゃどうも。…なあランサー一つ提案があるんだけど?」
ランサー「…なんだ?」
セイバー「お互い初見だしさ、ここらでやめにしないか?」
ランサー「ふむ。…まあ、いいだろう。さらばだセイバー」
ランサーは翼を広げ飛び去っていった。
セイバー「ふう」
士郎「お前…何者だ」
セイバー「一応セイバーのサーヴァントだ。よろしくマスター」
士郎「セイバーとかサーヴァントっていったい…」
セイバー「悪いけどマスター、話はもう少し待ってくれ。すぐ近くに敵がいる」
士郎「なっ…敵っていったい、おい待ってくれ!」
へんじを待たずセイバーは塀を乗り越える。
士郎「もうなんなんだよ!」
急いで後を追う。
ガキィン
ダンテ「おっと、こりゃまたカワイイのが出てきたな」
セイバー「できれば退いてくれないかな?こっちは色々立て込んでるんだ」
ダンテ「斬りかかってから言う事じゃねぇな坊や」
セイバーは剣を背中にしまう。
セイバー「悪かった。あんたが剣をとらなければ、俺もとらない」
ダンテ「いい子だ」
ダンテ再現したいならアニメ版ダンテを参考にしとけ
原作ダンテは洋物作品を結構読んでジョークの感覚を覚えないと出来ん
そのあと、遠坂に色々と説明してもらった。聖杯戦争、サーヴァント、マスター。
そしてマスターの登録と聖杯戦争につてもう少し詳しく聞くため、言峰教会に向かった。
綺礼「喜べ少年。君の願いはようやく叶う」
士郎「なっ、お前…」
綺礼「さらばだ衛宮士郎。帰り道には気をつけたまえ」
ダンテ「ずきぶんと胡散臭い神父さんだったな」
凛「私も来たくなかったわ。さて、帰りましょうか衛宮くん。町までは面倒見てあげる」
~帰り道~
???「今晩は。お兄ちゃん」
>>17
ありがとう。参考にする
???「今晩は。お兄ちゃん」
少女がいた。そしてその後ろには、
悪魔がいた。
漆黒の鎧に身を包み、巨大なバルディッシュを持っている。もちろん顔なんて見えないし、体の起伏から辛うじて女性かもしれないというだけだ。
だが分かる。あれは悪魔だ。そこにいるだけで邪悪な気配を放っている。
凛「バーサーカー…とんでもないステータスね。アーチャー。あれは力押しでどうにかなるあいてじゃない。ここは貴方本来の戦い方に徹するべきよ」
ダンテ「そうか。なら力押しだな」
パァン
発砲音が聞こえた。もちろんアーチャーの所からだ。
凛「ちょっとアーチャー!貴方、もっと考えて動きなさいよ!」
ダンテ「俺の思考はいつでもcoolだぜ。だが、こいつは予想外だな」
凛「え?」
アーチャーの眉間からは血が流れ出ている。それも、弾丸で打ち抜かれたように。
ダンテ「どういう仕掛けだ?弾丸をそのまま打ち返すとは」
見てみれば、バーサーカーはいつのまにか、少女の前に立ち武器を構えていた。
???「話す前に攻撃してくるなんて、躾がなっていないんじゃない?リン」
バーサーカー「まったくです。他は下等生物しかいないから、少しは期待していたのだけれど。所詮は雑種ね」
イリヤ「改めて、はじめまして、リン。私はイリヤ。イリヤスフィール・フォン・アインツベルンって言えばわかるでしょ?」
凛「アインツベルン…」
イリヤ「フフ、じゃあ殺すね。やりなさいバーサーカー」
バーサーカー「畏まりました」
突如としてその体が消えた。
セイバー「士郎、下がって!」
ズガガガガ
一瞬のうちに重ねられるいくつもの剣戟。
地面が震え、削れる。
ダンテ「なかなかやるなぁセイバーのやつ」
凛「なに呑気なこと言ってるの!アーチャー、援護!」
ダンテ「ああ任せときな。アイツは十中八九、俺の領分だからな。俺がやるさ」
凛「頼んだわよアーチャー」
ズドン!
セイバーがバーサーカーの一撃を流しきれずに吹き飛ばされる。
セイバー「くっ、」
バーサーカー「はっ!」
パァンパパパァン
バーサーカー「!?」
ガガガガキィン
アーチャーは打ち返された弾丸を全て切り落とす。
ダンテ「っと、銃はやっぱりダメか。よう俺とも遊んでくれよお嬢さん」
バーサーカー「ふん。下等生物が、虫のように潰れればよいものを」
ダンテ「坊や。そのまま座っててもいいんだぜ」
セイバー「問題ないさ、まだいける」
二対一になった。だが戦況は傾かない。バーサーカーは2人の攻撃を完全に捌ききっている。
そんうえカウンターまでいれてくる。
士郎「ウソだろ…」
凛「サーヴァントを2人相手にしてここまで…」
セイバー「くっ、」
ダンテ「よっと」
バーサーカー「…ふん」
ダンテ(確定だな。こいつは悪魔だ。ならこれ以上遊ぶ理由は…)
セイバー「アーチャー」
ダンテ「なんだ」
セイバー「俺が一発でかいのをいれる。合図を送ったら少し離れててくれ。あんたも斬るかもしれない」
ダンテ「そいつは恐ろしい。期待してるぜ」
セイバー「ああ。じゃあ、い……」
???「そこまでよ!」
その声は空から聞こえた。
金髪の少女。手には身の丈ほどの杖があり、近くに大きく釜が浮遊している。
士郎「なんだ…いったい」
空から現れた少女は夥しい量の魔力を孕んでいる。
凛「キャスターの…サーヴァント?」
キャスター「いかにも。この場にいる全員に告げる!この私の目の届く所で戦うのは止めなさい!」
凛「は?」
士郎「あいつ何を言って…」
セイバー「……」
ダンテ(また面白いのが来たな…)
キャスター「パリのマルセルに追われし古き者。ロベの魔女の求めに応じしばし姿を現せ!」
少女が釜な何かを落とす。そして、その釜から異形が溢れ出る。
「Gyyyyyyyyeeeeeeeee!!!」
イリヤ「!?」
凛「そんな…あれって…!」
士郎「ドラゴン…なのか?」
竜、最強の幻想種と謳われる種族。その召喚。
その巨躯は数十mに及ぶ。
凛「退くわよ!三人とも!」
ダンテ「なんだ、一発ぐらいカましてかないのか」
凛「絶対にダメ!好奇心でツツいていい相手じゃないわ!」
士郎「遠坂の言う通りだ。一旦退こう。セイバーも消耗してるし」
セイバー「ありがとう、士郎。俺も、凛に賛成だ」
ダンテ「ふむ。ま、そいつはいいがあっちはどうすんだ?」
バーサーカーとそのマスターはまだ不動の姿勢をたもっている。
バーサーカー「不快な…イリヤスフィール様、どういたしましょう?無礼にもこの戦いに割って入ったあの下等生物の処分は」
イリヤ「…興が冷めたわ。帰りましょうバーサーカー」
凛「ホッ 私達も帰るわよ」
士郎「あ、ああ」
双方の撤退の意思を感じとったのか、ドラゴンとキャスターは動かない。
キャスター「私は戦いが大ッ嫌い!それを存知で抗うなら容赦はしない!」
そして最後に奴はとんでもないことを言い放った。
マリア「このふざけた戦いを私は許さない!この魔女マリアが聖杯戦争を止めるわ!」
とりあえずここまでです。続きはまだフワフワしてますが頑張ります。
出てくる鯖って何か共通項があるのだろうか
キャスターとランサーは全く知らないな。
セイバーは武器や口調に特徴ないから判断できない。
バーサーカーはアルベドか。
鯖同士に共通項はないよ
各クラスに合いそうな好きなキャラあてただけ
デビルメイクライと純潔のマリアしかわからん
衛宮邸
士郎「セイバー、体は大丈夫か?」
セイバー「ああ、問題ない。もう全快しているよ」
士郎「ホッよかった。…で、」
凛「どうしたの?衛宮くん。こっち見て」
士郎「どうしたの?じゃねぇよ!なんだって遠坂も俺ん家にいてるんだ!」
帰り道でもしかしてとは思ったが、遠坂があからさまにイライラしていたので話すに話せなかったのだ。
凛「私から一つ提案があるの。私と手を組まない?衛宮くん」
士郎「え、なんで遠坂が俺なんかと」
凛「単純よ。貴方とセイバーの力を借りたいの。今回の聖杯戦争は強者揃いよ。ランサー、バーサーカー、キャスター…まさか聖女様が実は魔女だったなんて…。それに、あんな手順でドラゴンまで召喚するとか…」
士郎「魔女マリアとあ言ってたな。でも嘘って可能性もあるんじゃないか。サーヴァントは真名を伏せるもんなんだろ?」
凛「ええそうね。でもあれは真実の可能性が高いわ。少なくとも生前『マリア』の名を冠していたはずよ。でなきゃあそこまで強力なサーヴァントにはならないわ。日本とはいえ知名度の恩恵もバカにならないでしょうし」
士郎「知名度の恩恵?」
凛「ええ。サーヴァントはその土地での知名度によって能力にボーナスがつくの」
士郎「それなら、日本人の英霊を召喚すればかなり強くなるんじゃないか?」
凛「いいところに気がついたわね。でも、冬木の聖杯は基本的に西洋の英霊しか召喚出来ないようになっているのよ」
士郎「なるほど」
セイバー「……」
凛「それで、どう?衛宮くん。私、まだ答えを聞いていないのだけど」
士郎「もちろん、手を組ませてくれ。遠坂が力を貸してくれるなら頼もしい」
凛「決まりね。とりあえず、私は帰るわ。色々と整理したいし」
士郎「ああ。じゃあな遠坂」
セイバー「士郎」
士郎「なんだ?」
セイバー「話があるんだ。俺の名について」
士郎「そうか、セイバーもどこかの英霊なんだよな。いったいどこの英霊なんだ?」
セイバー「まさにそのことなんだけど…、俺の名前は桐ヶ谷和人だ」
士郎「キリ…って、セイバーお前まさか!」
キリト「ああ。日本人だ」
士郎「いや…でもさっき遠坂が…」
キリト「俺は英霊なんかじゃない。それに、そもそも俺はまだ死んでなんかいない」
士郎「…っ、くそっ。いったい何が起こってるんだよ…。聖杯戦争の事もまだ整理できてないのに…」
キリト「俺だって滅茶苦茶こんがらがってるよ。最後の記憶はあやふやだし、いきなり呼ばれて聖杯戦争について頭に叩き込まれるし…。それで、凛にもこのことを相談したいんだ。もしかしたら、今回の聖杯戦争とやらはとても危険なものかもしれない」
士郎「俺もそれがいいと思う…はぁ、もう寝よう。さすがに色々ありすぎた」
キリト「じゃあ、俺は外を見張ってるよ」
士郎「セイバーは休まなくてもいいのか?」
キリト「ああ。なんて言うか、魂だけ持ってこられたって感じなのかな。この身体は霊体だ。眠る必要はないよ」
士郎「そうか。なんにしろ、助かるよセイバー。ありがとう」
あれ、凛ちゃんさんたかがドラゴン如きで撤退したの?、FGOだとドラゴン中ボス感覚で出てくる相手なのに?
ダンテ「嬢ちゃん。確認したいことがあるんだが」
凛「なに?アーチャー」
ダンテ「サーヴァントってのは、英霊サマとやらがなるもんなんだよな?」
凛「ええそうよ。なにを今更」
ダンテ「悪魔がサーヴァントになるってのは、ありえるのか?」
凛「ありえないでしょうね。人類史の英雄が死後、召し上げられて英霊になるからね」
ダンテ「ふむ…」
凛「どうしたのよアーチャー」
ダンテ「バーサーカーがいただろ。あいつは悪魔だ。間違いねぇ」
凛「え?」
ダンテ「それに、俺はまだ死んでねぇ」
凛「でも貴方、霊体化だつてできるじゃ…」
ダンテ「魂だけ持ってきて、器にブチ込まれてるってかんじなんだよ」
凛「…それで、なんでバーサーカーが悪魔だと思うの?」
ダンテ「俺は悪魔を狩りまくってたからな。分かるんだよ」
凛「いったい、何が…」
ダンテ「さあな。ただ、この聖杯戦争とやら、どうもきな臭い。あの神父さんの話とはかけ離れている気がするが」
凛「…今度、士郎とセイバーにも話を聞いてみましょう。向こうも、違和感があるなら話してくれるでしょうし」
ダンテ「久々に楽しめそうな奴が見つかったんだがな。他が面倒そうだ」
凛「ほんと、面倒臭いったらありゃしないわ」
>>32
FGO感覚だからねそれは
ピンキリではあるだろうけど、
実際は相当強いぞ竜種
同日夜~新都-某所~
???「その身はアサシンのサーヴァントじゃな?」
アサシン「そうみたいだが、俺にはマスターとやらがいない」
???「なら、儂と契約せぬか?マスターなしではその身、そう長くは持つまい」
アサシン「…いいだろう。何も分からずに消えるのも癪だからな」
???「では、お主の名を聞いておこうか」
ソニック「ソニック、音速のソニックだ。今回はあんたに雇われるとしよう」
???(聞いたこともない出鱈目な名前じゃな。やはり今回の聖杯戦争、何かがおかしい。ライダーは日本人の娘、アサシンはマスターも無しに現界ときた。今回は傍観に徹するつもりだったのじゃが、大聖杯に何かあったとしては困る)
臓硯「マキリ500年の悲願。こんなところでしくじるわけにはいかん」
翌日
チュンチュン
士郎「…ん、朝か。でもやけに明るいな」
キリト「まっ、朝って時間でもないしね」
士郎「おはようセイバー…って、今何時だ!?」
時計はもうすぐ11時を回ろうとしている。
キリト「仕方ないだろ。昨日は色々あったんだ」
士郎「それにしてもこれは…まあでも、日曜日でよかった。とりあえず飯にするか。セイバー、食べれないものとかあるか?」
キリト「俺はいらないよ。食事も必要ないからね」
士郎「そうか。サーヴァントって霊体なんだよな」
キリト「ああ。だから、俺のことは気にしないでいい」
台所に行き冷蔵庫を開く。
士郎「うわっ…これは買出しに行かないとまずいな。でも、今日は遠坂とも連絡を取りたいし…」
あっ、俺あいつの家も電話番号も知らない。
士郎「セイバーにどうするか相談しないとな」
手早く朝食兼昼食をすませる。
士郎「セイバー。昨日の事、遠坂に相談したいのは山々なんだけど、俺、遠坂と連絡を取る手段が無いんだ」
キリト「それは、困ったな…。あっ、二人はたしか同じ学校に通っているだろ?」
士郎「ああ、そうだな」
キリト「なら、明日に学校で話せばいいんじゃないか?今日走り回って、時間を無駄にするよりはそっちの方が確実だろ」
士郎「確かに、それもそうだな。よし、俺少し出掛けてくるよ」
キリト「えっと…今の話聞いてたかい?」
士郎「ん?…ああ別に遠坂を探しに行くわけじゃない。冷蔵庫がスカスカだから買出しに行くんだよ」
キリト「そういうことか。なら、俺も行かないとな。昼間とはいえ、襲ってくる奴がいるかもしれない」
士郎「ああ頼む」
~商店街~
自転車のカゴに買ったものを入れる。
士郎「よし、こんなもんかな」
キリト「っ!…なっ、……え?」
士郎「ん?どうしたんだ?セイ…」
くいくいと後ろから服を引っ張られたので振り返ってみる。
そこには銀髪の少女、バーサーカーのマスターがいた。
士郎「なっ、ええ!?」
イリヤ「こんにちは、お兄ちゃん」
士郎「……?」
少女からは殺気というか、敵意がまったく感じられない。
士郎「イリ、ヤ?」
イリヤ「え?」
士郎「あ…いや、違った!イリヤス…そう、イリヤスフィールだつた!ごめん!」
反射的に頭を下げる。
イリヤ「……名前、教えて。私だけ知らないの、不公平」
なんでも、イリヤは話をしに来ただけらしい。バーサーカーを連れていなかったからセイバーも驚いて動けなかったそうだ。
イリヤとの話はそれこそ一時間ほど続いたと思う。
士郎「また会えるかな、イリヤ」
イリヤ「…ダメよ。次に合う時は殺し合いだもの」
士郎「え、」
イリヤ「バイバイ、シロウ。とっても楽しかったわ」
士郎「あ、おい!…行っちまった。しょうがない、帰るか」
それからは本当に静かだった。
いつも通り夕食をとり、昨日はサボってしまっ魔術の鍛錬をし、そのまま床についた。
同日-夜~大橋付近~
そこには二人の男女がいた。片方は学ランを着た、とても容姿の整った少年。だが、その顔には人を見下すような軽薄な笑みがうかんでいる。
もう一方は、これまた、非常に容姿の整った少女だ。普通の人なら着るのを避けてしまいそうな真紅のドレスに身を包み、それを優雅に着こなしている。
ライダー「で、こんなところで何をしようっていうのマスター?」
慎二「決ってるだろ。食事だよ。ただでさえ弱いんだ、魔力量ぐらい稼いどかないとね」
ライダー「はぁ…今更だけど、貴方って本当に下衆で、下劣で、外道な人間だったのね」
慎二「はあ?お前が弱くすぎるからいけないんだろライダー!筋力も、耐久も、敏捷も、軒並みE-のお前に何が出来る!」
ライダー「あら、私説明しなかったかしら?言ったでしょ、戦うのは私じゃないって」
慎二「偉そうな口を利くんじゃない!こっちには令呪だってあるんだぞ。僕がその気になれば、お前を殺すことだって…!」
ライダー「貴方みたいのに従うくらいなら、死んだ方がマシよ。だいたい、その令呪だって貴方のものじゃ…!?、誰!」
慎二「ひっ…なんだ!?」
少女が見た方向には、翼をはためかせ降りてきた男がいた。
ランサー「ライダーのサーヴァントと、そのマスターだな?」
ライダー「…ええそうよ。そっちはランサーのサーヴァントで合ってるかしら?」
ランサーは無言で槍を構える。
ライダー「いいわね。そういうわかりやすいの、好きよ。最初の相手が天使サマなんて、なかなか楽しそうじゃない。…来なさい!ア…あー、名前って言っちゃいけないんだっけ?」
???「ええ。以後、気をつけてくださいマイマスター」
何処からともなく女性が現れる。
美しい女性だ。
目元の強さから分かる聡明さと落ち着いた雰囲気。美麗で整った顔立ち。そして、官能的を通り越してもはや造形美といえる肢体。
ライダー「分かってるわよ。でも、それじゃやりにくいわね…。ア…、アル、ならセーフなんじゃない?」
アル「それなら問題ないでしょう」
慎二「なっ…誰だお前」
ライダー「見て分からない?私の…宝具って言えばいいのかしら、ここでは。それでアル、あれが私のマスター…被るわね…」
アル「私はマイマスターを名で呼ぶわけにはいきません」
ライダー「あっ、それなら私が名前で呼べばいいじゃない。そういうことだから、よろしくね慎二」
慎二「…っ、僕はお前のマスターなんだぞ。サーヴァント風情が偉そうに…!」
ライダー「嫌ならマスターにふさわしい態度ってのを意識しなさい。そしたらマスターって呼んであげる」
慎二「くっ…!」
ライダー「さて、待っててくれてありがとうランサー。それじゃ、始めましょうか」
ランサー「む…ああ」
ランサーは槍を構えなおす。そして、
ランサー「はっ!」
放たれる神速の突きは、
ガキィン!
聳え立つ鋼の球体に阻まれた。
ランサー「!?」
ランサーは後方に飛び間合いをとる。
ライダー「アル。一応言っておくけど、慎二も守ってあげてね」
アル「承知しておりますマイマスター」
球体が脈打ち、稲光を伴ってその形を変えていく。
白銀の体毛から稲妻を迸らせ、威風堂々とした大きな山羊が、ライダーのにを守るように立ち塞がっていた。
ライダー「さあアル、『敵を討ち取りなさい!』」
アル「了解しましたマイマスター」
バリィ!
アルの体からさらに強い稲妻が迸る。
ズガガガガッ!!
もはや一つの音に聞こえる打ち合い。
ランサーは"何か"を防ぎ続けている
慎二「は…ははは!なんだやるじゃないか ライダー!いいぞ、そのまま押しつぶせ!」
ライダー「…!、アル!」
ガキィン!
ランサー「ちっ」
慎二「ひっ!」
ランサーの突きは、再び鋼の球体に阻まれる。
稲妻がランサーを貫こうとし、それを避け、また後方に飛ぶ。
慎二「お、おいライダー。こっちに攻撃は当たらにいんだよな?ちゃん全部防げよ!僕に当ったらどうするんだ!」
ライダー「ああ、もううるさい!『貴方は黙って見ていなさい!』」
慎二「……!?」
それだけで、慎二は嘘みたいに静かになる。
なにかもがいているが。
ライダー「アル、どう?」
アル「スピードはこちらが圧倒しています。マスターやシンジを守るのは問題ないでしょう」
ライダー「分かったわ。はぁ、カードはあるのになんで貴女しかいないのかしら…」
アル「む…私では不服だと?」
ライダー「いいえ。いてくれたのがあなかでよかったわ。いや、本当に…」
幾度も続く攻防。そして唐突に、
ライダー「…逃げるつもりランサー?」
ランサーは飛び退くのではなく、空中に飛翔していた。
ランサー「ああ。元よりそのつもりだ」
ライダー「腕試しってわけね…。いいわ。許してあげる」
慎二「……!…!?」
慎二は何か訴えている。何を言っているかは分からないが、ご立腹なのはみてとれる。
ライダー「私達も帰るわよ。安心しなさい、家に着いたら解いてあげるから」
翌日-朝~学校~
士郎(遠坂に会って話したいんだが…さすがにあいつのクラスに乗り込むのは…。放課後に会いに行けばいいか?)
考えながら階段を上っていると、
凛「あ、衛宮くん」
ばったり出会した。
士郎「遠坂!ちょうどよかった。はなし…」
凛「ちょうどよかったわ。話したいことがあるの。昼休み、屋上に来てくれる?」
士郎「た…え、ああ、うん。俺も遠坂に相談したいことがあるんだ」
凛「そう。それじゃ、よろしくね」
昼休み~屋上~
凛「それで、相談したいことって何?」
士郎「その前に一つ確認したいんだけど、この聖杯戦争に日本人は召喚されないんだよな?」
凛「ええ。昨日話した通りよ」
士郎「…ふう、セイバーは日本人なんだ。それに、英霊でもないし、そもそも死んですらいないらしい」
凛「…それ、本当?セイバー」
キリト「ああ。本当だ。俺の名前は…士郎、言っても大丈夫か?」
凛「そこまでしなくていいわ。はぁ、やっぱりそういう話か…」
士郎「やっぱり?」
凛「ええ。アーチャーも自分は死んでないって言っててね。昨日史実とか色々調べたのだけど、アーチャーの特徴と真名が一致するような人物は出てこなかったわ」
士郎「アーチャーも…」
凛「はぁ…嬉しい情報というか、また面倒になったっていうか…」
頭を抱える遠坂。それに、滅茶苦茶不機嫌そうだ。
>>34
でも燕より弱いし・・・
誤字脱字が酷い、キリト君の台詞に違和感、ホントになんかもう色々とアレなんだけど面白いから続き楽しみにしてる
士郎「あのー、遠坂さ~ん?」
凛「一応、綺礼にも伝えとこうかしら。腐っても監督役だし…。とりあえず、今は勝ち抜いていくしかないわね。そういうわけで、まずどうにかしなきゃいけないのはキャスターよ」
士郎「え、なんでさ?戦いが嫌いとか言ってたんだから一番大丈夫なんじゃないのか?」
凛「バカ!それが一番困るのよ!いい?あいつは戦いが嫌いとか言って私達の戦闘を"止めに来た"。ってことは、どんな敵と戦うにしても派手にやってると、あいつが横槍を入れてくるかもしれないのよ」
士郎「な、なるほど…」
凛「あいつの行動はこの聖杯戦争を拗らせるだけよ。例えば、衛宮くんが止めたいって思ってる奴らと戦ってる時も、あいつが邪魔しに来るのよ」
士郎「それは確かに困る。…でも、一度話し合った方がいいだろ。キャスターのあの行動を許してるってことは、マスターも戦いが嫌いなのかもしれない。それなら、話し合えると思うし説得も出来るんじゃないか?」
凛「…一理あるわね。うん、その方針で行きましょうか。まずは、キャスターの拠点を掴まないとね」
士郎「分かった。俺に出来ることがあったら言ってくれ」
凛「そうね。そういえば衛宮くん、魔術はからっきしなんだっけ?」
士郎「ああ。強化の魔術ぐらいしかできない」
凛「強化って…またビミョーな…。まっ、私と手を組んだんだから、衛宮くんにもそこそこ戦えるようになってもらわないとね。今日の放課後、時間ある?衛宮くん」
士郎「別にないけど、それがどうしたんだ?」
凛「私が魔術を教えてあげる」
士郎「え、本当か!遠坂!」
凛「ええ。放課後、校門前でまた合いましょう。私の家に案内するから」
士郎「ああ、分かった。…って、遠坂の家でやるのか!?」
凛「当たり前でしょ。そっちの方が色々便利だし…ははー、衛宮くん、女の子の家で緊張してる?」
士郎「ばっ、そ、そんなわけないだろ!」
凛「ふふっ、なかなか楽しめそうだわ。また後でね」
そこでタイミングよく予鈴が鳴った。
>>43
すまんな…、ss書くの初めてなんだ…
面白いって言ってくれるとすごく嬉しい
~放課後~
校門で遠坂と合流し、遠坂の家にに向かう。
桜にも藤ねぇにも今日は遅くなると言ってあるから大丈夫だろう。
エーテル塊とかいうやつに強化の魔術をかけながら、遠坂の質問に答えた。で、なぜか質問の度に遠坂は顔を曇らせ、最後には黙り込んでしまった。
凛「…ふん。とりあえず、衛宮くんにはスイッチのオン・オフを仕込んであげないとね。衛宮くん、これ飲んで」
遠坂は赤っぽいドロップを手渡した。
士郎「?」
ごくん、と飲み込む。
少しすると、異状はやってきた。
体が熱い。手足の感覚が麻痺していく。
凛「大丈夫。苦しいでしょうけど、今の状態を維持すれば少しずつ楽になるわ」
なんでも、魔術回路っていうのはオンオとフを切り替えるだけで魔力が成るそうだ。それを俺は、毎回一から作ろうとしていたという。
士郎「…っ、それは…分かったけど…」
凛「え、もう喋れるの?…ふうん、今夜は泊まる必要があるかなって思ったけど…大丈夫そうね。落ち着いたら、今日は帰っていいわよ」
士郎「あ、ああ」
そのあと、これからは昼休みに定時報告をしようという話をし、体は熱かったがなんとか家に帰った。
ここまでです。
最初は勢いで投下してしまいましたが、今はもう流れが決まっているので、次は早めに投下出来ると思います
わるくない がんばって
~~~
凛『・・・・・・そういうことなんだけど、そっちでも調べといてくれる?』
綺礼「いいだろう。伝えられることはそちらにも伝えよう」
凛『よろしく』
ガチャン
綺礼「…流石だな。この短期間で異変に気付くとは」
ランサー「呼んだか、マスター」
綺礼「ああ。アサシンについて、何か分かったか?」
ランサー「いや、まだ発見すらできていない」
綺礼「そうか。ならば、アサシンの捜索を続行したうえで、仕事を一つ付け加える」
ランサー「なんだ」
綺礼「キャスターと遭遇。または、拠点を掴みしだい…始末しろ」
翌日-朝
今日は桜と一緒に登校することにした。たまにはこういうのもいいかなと思ったし、桜が喜んでくれたのが嬉しかった。
~弓道場前~
士郎「ん?あれは遠坂と…」
桜「兄さん…」
二人は何かを話している。だが、慎二が何かを言って、遠坂がそれをあしらっている感じだ。そして、遠坂が校舎の方に歩いて行く。
士郎「何があったんだろう?…おーい、慎二ー」
慎二「っ…、おはよう、衛宮」
士郎「おはよう。さっきは遠坂と何かあったのか?」
慎二「…何でもないさ、別に」
それだけ言って、慎二は立ち去ろうとする。
士郎「おい、慎二!朝練があるんじゃないのか?」
慎二「はあ?お前には関係ないだろ、そんなこと」
士郎「それはたしかにそうだけど…あ、おい!…行っちまった…」
桜「…先輩はこの後どうするんですか?」
士郎「うーん、とくにやることも無いしなー」
桜「よかったら、見ていきませんか?、練習」
士郎「…うん。そうする」
そうして、朝は弓道場で過ごした。
昼休み~屋上~
凛「昨日は大きい収穫があったわ。キャスターの居場所、分かったわよ」
士郎「本当か!?すごいな、遠坂!」
凛「まあ、運が良かったのよ。あいつ、夜中にパトロールしてるみたいでね。アーチャーがそれを見つけたから、追跡させたの」
士郎「なるほど…。それで、その場所って?」
凛「柳洞寺よ。まったく、やっかいな所に陣取られたわ。でも、場所が分かったし、今夜乗り込むわよ」
士郎「え、大丈夫なのか?」
凛「問題ないわ。サーヴァントにとってあの山は鬼門だけど、セイバーとアーチャーがいれば撤退ぐらいは充分に可能なはずよ」
士郎「分かった。それで、それは現地集合っとことでいいんだよな」
凛「それでもいいんだけど…貴方の家に連れて行ってくれない?衛宮くん」
士郎「は?え、あ…な、なんでわざわざ俺の家に?」
凛「そっちの方が都合がいいでしょ?一緒に出ればいいだけだし。…それに、確認したいこともあるしね」
士郎「確認したいこと?」
凛「ええ。昨日言ってた、投影したものがまだ残ってるって、本当?」
士郎「ああ。そりゃあ壊したりしなきゃ残るだろ、普通」
凛「なるほど…。思い出したらまたムカついてきた…。貴方の本分は"強化"じゃなくて"投影"よ。どこでどう勘違いしてるか知らないけど、鍛えるならそっちね」
士郎「む、そうか…。よく分からないけど分かった。でも、家に来るなら桜は大丈夫だろうけど、藤ねぇ…藤村先生をどうにかしてくれよ?俺じゃどうしようもできない」
凛「まかせといて」
話が一段落ついて、今朝の光景を唐突に思い出した。
士郎「そういえば遠坂。今朝、慎二と何を話してたんだ?」
凛「ああ、あれ…。慎二がマスターだったの。それで、僕もライダーのサーヴァントと契約してマスターになっんだ。だから、二人で手を組まないかって」
士郎「慎二が…マスター?」
凛「私も驚いたわ。あ、もちろん誘いは断ったわよ。だっていうのにあいつ、しつこく食い下がってくるんだもの。つい、士郎がいるから間桐くんはいらないって言っちゃった」
士郎「だから今朝あんなに不機嫌だったのか…いやそれはいい!慎二がマスターってことはあいつも魔術師なのか!?」
凛「ああ、そっか。そりゃあ、衛宮くんは知らないわよね。私が説明してあげる」
そうして、間桐の家について教えてもらった。間桐の家が代々魔術師の家系だったこと。いまは血脈か枯れてしまって、魔術師としての力は殆ど残っていないということ。
それを整理する暇もなく、予鈴が鳴った。
放課後~教室~
慎二「衛宮。ちょっと付き合ってくれよ」
士郎「…ああ」
慎二について行き、校舎の裏手、人気のない所につく。
慎二「遠坂から僕のことは聞いてるんだろ?」
士郎「…ああ」
慎二「なら話は早い。僕と手合わせをしないか?そうだな、できれば今夜がいい」
士郎「…」
慎二「僕はサーヴァント同士の戦いが見てみたいんだ。場所は、新都にある公園とかどうだい?あそこならちょうどいいだろ」
士郎「俺は…お前と戦いたくない」
慎二「そうビビるなよ衛宮。あくまで手合わせだぜ?お互いにいい経験になるだろうし、悪くない話だろ?」
士郎「…俺達と手を組まないか?」
慎二「……は?」
士郎「遠坂は断ったけど、俺が説得する。俺はお前と一緒に戦いたい。お前が手を組んでくれたら、俺にとって心強い。だから…」
慎二「だまれよ…」
士郎「え…」
慎二「お前はいつもそうだ。いつも上から目線で僕を見下してくる!」
士郎「俺は…そんなつもりは!」
慎二「うるさい!」
士郎「おい、慎二!」
慎二は走り去ってしまった。
~~~
ライダー「素直じゃないのね、慎二」
慎二「うるさい」
ライダー「本当は嬉しかったんじゃないの?」
慎二「うるさい」
ライダー「じゃなきゃ、桜が彼の家に行くことなんて許さないんじゃない?彼の所なら大丈夫だって思ってるんでしょう?なら素直に…」
慎二「うるさい!!」
走るスピードが速くなる。
慎二「今更…衛宮と手を組むなんて…」
雑魚ワカメ
~衛宮邸~
凛「…」
遠坂は土蔵に入ってからしばらく黙り込んでしまった。
凛「…ほんっとデタラメね」
士郎「?」
凛「鍛えてあげるって言ったけど…正直、私が教えられることって、殆どないのよね」
士郎「え、それってどういう…」
凛「投影魔術なんて専門外だもの。私が貴方に教えられるのは、魔術の基本と、投影魔術がどういったものか、それぐらい。あとは衛宮くんの鍛練しだい」
士郎「いや、充分すぎるくらいに助かるよ、遠坂」
凛「そう。じゃあ、夜まで時間があるし、その辺について話しましょうか」
そうして、遠坂に魔術についての講義を受けた。
夕方くらいにやって来た桜と藤ねぇは遠坂に見事に言いくるめられ、遠坂が今日家にいることに納得した。
それから、時間が過ぎ…
士郎「それじゃあ藤ねぇ。二人を送ってくる」
タイガ「はいはーい。それじゃ、私も帰ろっかなー」
~間桐邸~
桜「ありがとうございます。また、明日…」
士郎「ああ。またな、桜」
凛「さようなら、間桐さん」
桜はお辞儀をして家に入っていく。
凛「…行きましょうか、衛宮くん」
士郎「ああ」
~柳洞寺~
士郎「なんだ…これ…」
境内は荒れに荒れていた。地面が焼け、焦げ臭い。さらに、所々爆発したようにめくれ上がっている。
凛「ちっ、先を越された…か。士郎、帰るわよ。ここにいても意味はないわ」
士郎「…」
凛「士郎!行くわよ!」
士郎「え…あ、ああ、分かった」
~衛宮邸~
凛「私達と同じ事を考えてた奴がいたんでしょうね。…いや、私達とキャスターが組む可能性を恐れた?…考えすぎね。何にせよ、障害は無くなったわ。あとは、バーサーカーをどうにかすればいいだけね」
士郎「遠坂、キャスターは殺されたのかな」
凛「でしょうね。…なに、まさか貴方、キャスターも守りたかったとか言うんじゃないでしょうね」
士郎「いや、そうじゃなくて…。キャスターが殺られたってことは、アレを倒した奴がいるっことだよな…」
思い出す。あの巨大な竜を。
凛「可能性が高いのはランサー、次にアサシンってところね。というか、そこ以外ありえないわ」
士郎「どうして分かるんだ?」
凛「ただの消去法よ。バーサーカーには見るからに対空手段が無い、慎二は自分から出向いて戦うタイプじゃない、ってだけ。ただ、ランサーが単騎で下したとなると厄介ね。高い対魔力と、あのドラゴンをどうにかできるだけの宝具があるってことだから」
士郎「なるほどな…。それで、これからどうするんだ?」
凛「バーサーカーを倒す。それが終わったら、私達も晴れて敵同士よ」
士郎「え、」
凛「え、じゃないわよ。聖杯戦争で勝ち残るのはただ一人。それぐらい分かってるでしょ」
士郎「あ、ああ、そうだな。分かってるよ」
凛「それじゃあ、詳しい方針はまた明日決めましょう」
数時間前~柳洞寺~
マリア「何のようかしら、ランサー」
ランサー「…」
ランサーは答えない。ただ、その手には槍が握られている。
マリア「そう…。なら、容赦はしないわ!」
繰り出される数多の火球。ランサーはそれらを掻い潜り、キャスターに迫る。
強力なサーヴァント同士の衝突。だが、その決着は以外にも早かった。
繰り広げられる苛烈な空中戦。
ランサー「はっ!」
ランサーの強烈な突き。キャスターは迎撃しようと爆炎を巻き起こす。しかしそれは、ランサーに当たる少し手前で霞のように消え去る。
マリア「!?」
間一髪で躱すキャスター。
マリア「対魔力ってやつか…。なら…!」
広く間合いを取る。
マリア「タラニスよ!そなたの放つ電撃をして武器を持つ者の汚れた目を焦がせ!」
キャスターの前で編み上げられる膨大な魔力。
しかし、ランサーがそれを許さない。ランサーはその渦に突っ込み…
ランサー「"反逆者の末路(ベルグランデ・ミセリア)"」
己の力を解放する。
編み上げられた魔力は急速に力を失っていく。逆に、ランサーが強力な魔力を帯びる。
マリア「なっ、そんな!」
ランサーはそのままの勢いで突貫する。
ドスッ
槍が華奢な少女の体を貫く。
マリア「かはっ、く…そ……こんな…」
少女の体が消えていく。
ランサー「…」
ランサーは無言で柳洞寺を後にする。ただ、境内を出る前に言葉が漏れた。
それは本心なのだろうか。だが、聞いている者は誰もいない。伝えるべき相手ももういない。
そんななか、ただ一言、
ランサー「…すまない」
~言峰教会~
綺礼「キャスターの始末は終わったのか?」
ランサー「ああ」
綺礼「では、引き続きアサシンの捜索にあたれ」
ランサーの気配が薄れていく。
ギル「…わざわざ潰す必要があったのか?綺礼」
綺礼「あったさ。キャスターがいつまでも残れば、聖杯戦争自体が滞る。…それに、キャスターが脱落したことで、分かったこともある」
ギル「ほう」
綺礼「今回の聖杯は確実に成就しない。それどころか、大聖杯が崩壊する可能性もある」
ギル「それにしては、随分と愉しそうじゃないか」
綺礼「器が壊れれば、中のモノは自然と生まれいずる。求める結果は変わらん。そのうえで、過程に大きな変化が生じているのだ。実に興味深い」
ギル「そうか。それならば、まあよい」
~間桐邸~
桜「あ…兄さん…」
慎二「また衛宮の所に行ってたのか?」
桜「…」
慎二「そうかそうか。お前はいいよなぁお気楽で。敵の家にノコノコと入り浸っちゃってさあ!」
桜「敵だなんて、先輩は…!」
慎二「…っ、なんなんなだよその偉そうな目は!」
慎二が桜に掴みかかろうとする。そこに、
ライダー「いいかげんにしなさい!」
慎二「なっ、引っ込んでろよライダー!お前には関係ないだろ!」
ライダー「関係あるないなんてどうでもいいのよ!ただ、貴方に一言言ってやらないと気が済まないの!」
桜「ライダー…私は…」
ライダー「桜、貴女は黙ってなさい。ねぇ慎二 、こんなことして貴方の気は本当に晴れるの?」
慎二「はあ?」
ライダー「意味なんて無いでしょ、こんなこと。いくらその怒りを桜にぶつけたって、貴方の中の蟠りは残ったままよ」
慎二「うるさい…。何を知ったような口を!お前に何が分かる!」
ライダー「分かるわよ。貴方は、彼を許せない自分自身を許せないだけ」
慎二「…!?」
ライダー「心の中につっかえてる言葉があるなら、全部出しなさい。彼ならきっと、正面から受け止めてくれる。あとは貴方が前を向けばいいだけよ、慎二」
慎二「…」
ライダー「言いたいことがあるなら、後悔する前に全部口に出しなさい!それでさっさと仲直りするの!親友なんでしょ貴方達!」
慎二「……分かってるさ…」
慎二は振り返って歩き出してしまう。
桜「兄さん…」
慎二「僕はもう寝る。……桜」
桜「…はい」
慎二は振り向かない。背中を向けたまま、本当に、本当に小さな声で呟いた。
普通なら確実に聞こえないだろう。だが、この屋敷は非常に静かだ。本来なら届かなかったかもしれない声が耳に届く。
慎二「………ごめん」
翌日-朝~衛宮邸~
桜「~~♪」
士郎「楽しそうだな、桜。何か、いい事でもあったのか?」
桜「はい。とても」
士郎「そっか。それは、俺も嬉しいよ」
そのあと、学校で遠坂との定時報告。遠坂は今日、やりたい事があるらしいので、魔術講義はなしになった。
そうして学校から帰り、ちょうど家に着いた時、
プルルルプルルル
電話の呼び鈴が鳴り響く。
士郎「はい、もしもし衛宮ですけど」
慎二『僕だ、衛宮』
士郎「慎二…。いったいどうしたんだ?…もしかして、何かあったのか!?」
慎二『いや、話があるんだ。今夜の9時、新都の公園に来てくれ。遠坂は絶対に連れてくるなよ』
ブツ
士郎「あ、おい慎二!急にどうしたんだあいつ…」
夜~新都某所~
ライダー「彼とはいったい、何をお話するの?」
慎二「うるさい」
ライダー「私に話せないようじゃ、本人に言うなんて到底できないんじゃない?」
慎二「全部お前のせいなんだ!お前に話す必要なんてないだろ!いいから黙ってついてこい。全部吐き出して、決着をつけるんだ」
ライダー「ふふっ。はい、マスター」
少女は心の底からの笑顔を己の主に向ける。
二人は目的の場所へ向かう。その途中で、ソレと出会った。出会ってしまった。
イリヤ「なぁんだ。シロウじゃなかったのね」
ライダー・慎二「!?」
バーサーカー「申し訳ありません。サーヴァントの反応があったので」
イリヤ「いいわ。まだ誰も落ちていないのだし、シロウだったらよかったなってだけ。行くわよ、バーサーカー」
バーサーカー「畏まりました」
ライダー「待ちなさい!」
イリヤ「…なに?」
ライダー「貴女の言ってるシロウって、衛宮士郎のこと?」
イリヤ「そーだよ」
ライダー「…会ってどうするつもり?」
イリヤ「もちろん、殺すだけだよ」
慎二「…!、ライダー!」
ライダー「来なさい!アル!」
稲妻を纏った大きな山羊が顕現する。
ライダー「行かせないわ…絶対に!」
イリヤ「せっかく見逃してあげようと思ったのに、愚かね。やりなさい、バーサーカー」
バーサーカー「はっ」
バーサーカーがライダー目掛けて突進する。
が、それは鋼の球体に阻まれる。
ガキィン!
バーサーカー「…」
だが、バーサーカーは退かない。
バーサーカー「はああああ!」
ガガガガガガッ!!
そのまま鋼の球体にとてつもない剛撃を加え続ける。衝撃で地面が抉れ、バーサーカーの足がめり込んでいる。
ピリッ
バーサーカー「!」
バーサーカーが大きく飛び退く。
バチィン!!
強烈な雷がバーサーカーのいた場所を撃ち抜く。
ライダー「アル、大丈夫?」
アル「ええ。問題ありませんマイマスター」
慎二「ライダー…」
ライダー「ふふっ。貴方、そんな顔もできるのね。大丈夫よ。マスターはお話の練習でもしてなさい」
慎二「…ああ。頼んだぞ、ライダー」
ライダー「まかせなさい。さあアル!『敵を討ち取りなさい!』」
アル「了解しましたマイマスター」
幾度も続く攻防。バーサーカーがアルの攻撃を防ぎ、アルがバーサーカーの攻撃を防ぐ。戦況は一向に傾かない。が、布石は整いつつあった。
ライダー「…堅いわね。どう?、アル」
アル「あちらも、私と同じように守ることに特化しているようです。それで、あの鎧ですが、あれは物理攻撃に対して高い耐性を持っています。傷を付けることすら難しい程に。ですが、魔法などへの耐性はかなり低い」
ライダー「それなら、貴女の雷霆で…」
アル「ええ。捉えることができれば、確実に致命傷を与えられます」
ライダー「分かったわ。タイミングを作ってちょうだい。私が合わせる」
アル「了解しましたマイマスター」
再び繰り返される攻防。だが、先程とは違う。アルのスピードが格段に上がっている。繰り出される猛烈な連撃。そして、
ガキィン!!
バーサーカー「くっ、」
バーサーカーが体勢を崩す。ほんの小さな隙。しかし、今はそれが致命的となる。そこへ、
ライダー「『貫きなさい!"震天雷霆(アルマティア)"!!』」
一つの雷霆と化すアルマティア。大気が熱膨張を起こして雷鳴が響き渡る。
バリィ!!
迸る膨大な魔力、稲妻。莫大な熱量を持ったそれは、バーサーカーを貫いた。
莫大な熱によって地面すら蒸発し、煙が立ち込める。アルマティアの雷霆は確実にバーサーカーを貫いた。視界は悪いが、それだけは確信を持てる。
慎二「……」
言葉が出ず、ただライダーを見つめる。あのバーサーカーを正面から打ち倒した。
ライダーが慎二の視線に気づいたのか、振り向き、微笑む。
その体に黒いものが走る。
ライダー「う…そ…」
慎二「ライダー!」
それは、ライダーの体を肩口から腰にかけて切り裂いた。
少女の体が虚空へと消えていく。
そこには、バーサーカーが立っていた。大きなダメージを受けた様子はない。それどころか、鎧には傷一つ見られない。いや、少し形状が変わっているだろうか。
バーサーカーがこちらに歩いてくる。
死ぬ。
少年は悟ってしまった。確実に死ぬと。
できることなど何一つない。走馬灯が過去の記憶を掘り起こす。
煩わしい。そんなことをしても、生きる術などありはしない。何をしても意味は…そうだ、一つだけ、やらねばならないことがある。伝わることはないだろう。たが、だからこそせめて、口に出さなければ。後悔する前に…
慎二「ごめんな、衛…」
ボトリと。
それなりの質量を持った何かが地面に落ちた。
~~~
バーサーカー「完了いたしました。お見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ありません」
イリヤ「うそ…なんで…」
バーサーカー「どうかなさいましたか?イリヤスフィール様」
イリヤ「うるさい!行くわよ、バーサーカー!」
バーサーカー「はっ」
慎二くん、原作で桜レイプしてるんじゃ・・・
>>67
し、知らなかった訳では無いですョ
~~~
士郎「少し早かったかな」
道を歩きながら呟く。
士郎「セイバー、何があっても、戦うのは最後の最後にしてくれ」
キリト「ああ。分かってる」
ピリッ
士郎「!?、あれは…」
強い光が見え、そこから煙が上がっている。かなりの距離があるが、それでも伝わってくる強力な魔力。
士郎「新都の方だ…急ごうセイバー!」
煙の上がっていた場所に向かって走る。しかし、辿り着く前に、ソレと出会ってしまった。
イリヤ「こんばんは、シロウ」
士郎「イリヤ…。どうしてここに…」
イリヤ「もちろん、シロウを殺すためだよ。いきなさい、バーサーカー」
バーサーカー「畏まりました」
キリト「士郎、下がるんだ」
互いに武器を構える。
キリト「ふっ!」
セイバーが斬り込む。あの時のような激しい打ち合い。また地面が揺れ、削れる。
だが一つ、違うことがある。セイバーは一人で、バーサーカーと拮抗している。
士郎「あの時の戦いだけで、太刀筋が視えているのか…」
ぶつかりあう力と技。こんな状況なのに、それを美しいと思った。
ガキィン!
だがしかし、ステータスの差は歴然としている。
セイバーは攻撃が弾かれ、大きく後ろに飛び退く。
士郎「セイバー!」
セイバーは片手を出しこちらを制止する。
来るんじゃないと。
士郎「くっ、」
何もできない自分が恨めしい。ただ見てることしかできない。
キリト「はっ!」
セイバーがもう一度斬り込む。右手に漆黒の剣を握りしめ…そういえば、セイバーはなぜ片手にしか剣を持っていないのか。いや、そこまでおかしいことではないだろう。しかし、彼に関しては違和感があった。
そう思った矢先…
ガリィ!
バーサーカー「なっ、」
バーサーカーが後退していた。
キリト「…浅かったか」
セイバーはさっきまで使われていなかった左手を突き出している。
どこから現れたのか、その手には黄金の剣があった。
キリト「次は、鎧ごと叩き斬る!」
再び、セイバーが斬り込む。
だが、先程とはまるで違う。セイバーがバーサーカーを押している。
太刀筋は読まれ、相手の攻撃は大きく変化しているのだ。バーサーカーは対応しきれていない。
バーサーカー「くっ、はあ!」
横一文字の薙ぎ払い。それをセイバーは苦もなく躱し、懐に飛び込む。そして、二振りの剣に強力な魔力が帯びる。
キリト「"我が剣よ星を砕け(スターバースト・ストリーム)"!」
繰り出される連撃。その全てが、バーサーカーの体に叩き込まれる。
バーサーカー「がっ、ああああ!」
バーサーカーは防御を棄て反撃する。セイバーもここで決めるため斬り続ける。
キリト「はあああああ!!」
ドスッ!!
最後の突きが鎧を突き破り、バーサーカーの胴を貫いた。
キリト「はぁ…はぁ…」
セイバーもかなりの傷を負っている。
士郎「やった…のか…?」
あの高速の十六連撃を全て打ち込まれ、最後の一撃は胴を貫いたのだ。少なくとも致命傷のはずだ。しかし、
ガシャ
バーサーカーがバルディッシュを大上段に構える。
キリト「なに!?」
セイバーが避けようとする。だが遅い。肩口から入り込んだそれは、セイバーの体を深く切り裂いた。
バーサーカーの鎧が砕ける。その下にはまた鎧があった。
傷は無い。それどころか、胴を貫かれた痕も無い。
士郎「セイバー!」
走った。衛宮士郎に戦う術などない。だが走った。
そうだ、俺には何もない。戦う力などない。なら、ないというのなら、作ればいい!
士郎「投影、開始(トレース・オン)!」
両の手に握られる漆黒の剣と黄金の剣。
士郎「はあああああ!!」
バーサーカー「…!?」
バーサーカーが後方に避ける。
士郎「逃がすか!」
無心で突っ込む。
ズガガガガッ!!
激しい打ち合い。しかし、
ガキィン!
士郎「くっ…」
弾かれ、吹き飛ばされる。
士郎「はぁ…はぁ…、セイバーのやつ、こんな重いもん振り回してたのか…」
バーサーカーがこちらに歩いてくる。
やってやる。こんなところで、やられてたまるか…!
イリヤ「、!?バーサーカー!」
イリヤが叫ぶ。その後方には、
凛「Neun、Acht、Sieben!」
イリヤに迫る三つの魔弾。
バーサーカー「イリヤスフィール様!」
バーサーカーが間に入り、その全てを体に受ける。
バガァン!!
あまりの衝撃に地面めくれ土煙があがる。
凛「士郎!生きて、る…ウソ…」
遠坂が駆けつける。緊張が解け、イメージを保てなくなった剣が砕ける。
士郎「俺のことはいい…。セイバーは…無事か?」
辺りを見回す。いない。どこにもセイバーがいない。
士郎「そん…な…」
あったはずのセイバーとの繋がりもない。手の甲を見てみれば、そこにあったものが色褪せている。
凛「そう…何があったのか、だいたい分かったわ。アーチャー、バーサーカーはここで仕留めるわ。セイバーと戦って、さっきのを正面から受けたのだから、かなり手負いのはずよ」
ダンテ「…そうでもないみたいだぜ」
アーチャーは土煙の方を見つめている。
凛「え?」
土煙が晴れる。
そこには、純白のドレスをまとった美しい女性がいた。
金色に輝く虹彩と縦に割れた瞳孔。黒髪は艶やかに流れ落ち、左右のこめかみからは、太い角が曲がりながら前に突き出している。さらに、腰からは黒く染まった天使の翼が広がっていた。
その美しさを損なうような傷はない。
凛「ウソ…あれをくらっても無傷なんて」
バーサーカー「当然です。あの程度防げなくては、御身の盾は務まらないわ」
ダンテ「いいじゃねぇか。ここまで盛り上げたんだ、楽しませてくれよ」
バーサーカー「楽しむような余裕が、あるのならね」
凛「アーチャー…大丈夫なの?」
ダンテ「ああ、まかせときな。さあ、Show timeだ!」
激しくぶつかり合う赤と白。
ダンテ「ふん!」
バーサーカー「はあ!」
ガキィン!ガガガガガキィン!!
凛「士郎。大丈夫?」
士郎「ああ、俺は問題ない。それより…バーサーカーを…」
凛「バカ!あんたは大人しく休んでなさい!宝具を投影するなんて無茶しすぎよ!それに、今はアーチャーが戦ってるから心配ないわ」
士郎「…」
黙って戦場を見つめる。
信じられない。
アーチャーはあのバーサーカーと正面から斬りあって押している。
ダンテ「ふん!」
ガキィン!!
バーサーカー「くっ、」
バーサーカーが後ずさる。
ダンテ「おいおい、そんなもんか?」
バーサーカー「…っ、戯れ言を!」
互いにに斬り込む。武器がぶつかり、衝撃で地面が震える。
ギギギギギッ!
バーサーカー「ぬううううあああ!!」
ダンテ「はあああああ!!」
鍔迫り合いのなか、ダンテの体が膨大な魔力を帯びる。肌は黒くなり、左右のこめかみから角が生える。
ダンテ「はあああああ!!」
ズシャァ!
アーチャーはバルディッシュを押し切り、バーサーカーの体を断ち切る。
バーサーカー「かっ…は…」
さらに踏み込み、銃をバーサーカーの眉間に押し当てる。
ダンテ「Jackpot!」
バァン!!
弾丸はバーサーカーの眉間を撃ち抜き、その体が地面に倒れた。
バーサーカー「かはっ…、はぁ…ぁ…」
凛「なっ、まだ生きて!」
士郎「いや…もう待たない」
バーサーカーは這うようにイリヤに近寄っていく。
バーサーカー「申し訳…ありま、せん。不甲斐ない私を…お許しください。ただ、最後に…どうか…私の名を、お呼びください…」
イリヤに手を伸ばすバーサーカー。
イリヤ「は……ぁ…」
言葉が出なイリヤ。ただ見つめることしかできない。
バーサーカー「ふふっ。いけずな…御方…」
伸ばした手は届くことなく、バーサーカーの体は消えていった。
いい感じ
翌日-朝~衛宮邸~
陽の光で目が覚める。
士郎「ん、ふあぁ…」
イリヤ「おはよう、シロウ」
枕元に銀髪の少女が座っていた。
士郎「…!?」
転がるようにイリヤから離れる。
士郎「イリヤ!な、なんで!」
イリヤ「なんでって、シロウが連れてきてくれたんでしょ?」
士郎「いや、そういうことじゃなくて…」
バーサーカーが消えたあと、俺は倒れてしまったイリヤを連れて帰った。もちろん、遠坂にさんざん言われたが、最後にはあいつなりに何か答えが出たようで、納得してくれた。
士郎「朝の男には…いろいろあってだな…」
イリヤ「だってシロウ、ぜんぜん起きないんだもん」
士郎「それは、その…ごめん…」
イリヤ「うん、よろしい」
イリヤは向き直り、普段とは違った表情になる。
士郎「イリ、ヤ?」
イリヤ「礼を言います、セイバーのマスター。敵であった我が身まで気遣うその心遣い、心より感謝いたしますわ」
呆然とイリヤを見つめる。
イリヤはにっこりといつもの笑顔をすると、
イリヤ「なーんてね。うん、やっぱりシロウはお兄ちゃんだー!」
一直線に俺の首ったまに飛び込んできた。
士郎「わ、ば、ばか!今は本当にまずいんだって!」
そのあと、一緒に朝御飯を作るという交換条件でイリヤをなんとか引き離し、台所に向かった。
桜と藤ねぇにどう説明しようかと悩んでいたが、もうそんな時間ではなく、時計は9時頃をさしている。というか、イリヤが言うには今朝は誰も来なかったらしい。
二人で朝飯を作った。イリヤは本当に楽しそうで、俺はそれが本当に嬉しかった。
士郎「うん。うまいぞ、イリヤ」
イリヤ「本当?やった!」
午前中はイリヤといろんな話をした。他愛のない話でもイリヤは楽しそうに聞いてくれる。聖杯戦争の話はしない。俺自身、考えがまとまっていないのもあったし、なんとなく話題にしたくなかった。
午後には買い物ついでに遊びに行った。
その帰り道。いつぞやの公園に立ち寄った。
士郎「これから、どうしたもんかな…」
ベンチに座って気が緩み、そんな言葉が漏れてしまった。
イリヤ「士郎はまだ、戦うつもりなの?」
士郎「あ、」
しまった。聖杯戦争の話はしないようにしてたのに…。いや、こればかりはいつまでも棚上げにはできないか。
士郎「ああ、戦う。聖杯を悪用するような奴に、聖杯は渡せない。できれば俺は遠坂に勝って欲しい。協力したいって言っても、遠坂は断るだろうけどな…」
イリヤ「その聖杯が、どんなモノでも?」
士郎「え、それってどういう…」
イリヤ「そのまんまの意味よ。シロウはこの聖杯戦争に何が起きてるか気付いてる?」
士郎「えっと、英霊じゃないのにサーヴァントとして喚ばれてる奴がいる、とか?」
イリヤ「そう。それが、今回の聖杯戦争で起きてしまった取り返しのつかない事故。本来、英霊を喚ぶべき大聖杯は、全く違うところに道を繋げてしまった」
士郎「いったいどういうことなんだ?ていうか、イリヤはなんでそんなこと…」
イリヤ「…シロウには知られたくなかったけど…、今日と私を助けてくれたお礼。話してあげるわ。私になんでそんなことがわかるのか。私は何なのか…」
イリヤは全てを話してくれた。人造人間。聖杯戦争のためだけに作られたアインツベルンの聖杯。脱落したサーヴァントの魂を回収し、大聖杯を起動するための鍵。
淡々と語るイリヤには、感情が一切無かった。
イリヤ「これがアインツベルンの聖杯の役割、なんだけど…」
士郎「…何があったんだ?」
イリヤ「昨日脱落したサーヴァントを、誰一人回収することができなかったの。目の前で消えていったのに。英霊であれば座に帰るだけ。だけど、今回喚ばれたサーヴァント達は、そもそもこの世界には存在してはいけないモノだった。元の居場所に引っ張られ、この世界からも拒絶されるその圧倒的な力で、私のな中に留めることができなかった」
士郎「…普通のサーヴァント、英霊だってこの世界にいちゃおかしいだろ」
イリヤ「それは、現し世に過去の霊体が存在していることがおかしいという話。世界っていうのはもっと広い意味。もう気付いてるんじゃないシロウ?」
士郎「…"この世界"の人間じゃない。まったく違う、異世界の住人だっていうのか?」
イリヤ「そういうことよ」
士郎「いくら聖杯でもそんなデタラメな…」
イリヤ「可能だから、今回の聖杯戦争はこうなった。でも、さっき言ったように、これは予期せぬ事故なの。その代償は大きいわ。大聖杯は、本来繋ぐべきではない場所に道を、穴を作ってしまった。当然、サーヴァント達は帰る時にそこを通るわ。自分のいるべき世界に戻るため、無理矢理に、我武者羅に。その結果、ただでさえ不安定なその穴は彼らが帰還する度に広がっていった。七騎のサーヴァントが全て帰還すれば、大聖杯が崩壊してしまうほどに広がるわ」
士郎「崩壊しちまったらどうなるんだ?」
イリヤ「そこが一番の問題。穴がどんどん広がっていって、大聖杯に近い私は中を少し覗くことができたの。そのおかげで、さっきのとも分かったし、聖杯の中身が何なのかも分かったの。復讐者(アベンジャー)というサーヴァントを」
士郎「復讐者…?」
イリヤ「そう。彼はもう、現界する準備ができている。大聖杯、殻が壊れれば生まれ落ちる。そして、命ある限り人間を殺し尽くす魔王となる」
士郎「…」
そんなもの、いったいどうすれば…。聖杯戦争が終わった瞬間に、世界が終わるっていうのか?
イリヤ「…自分がどうしたいか、もう一度考えてみて。…帰りましょう、シロウ」
イリヤが立ち上がり、歩き出す。
士郎「新しい器があれば…」ボソッ
イリヤ「シロウ?」
士郎「あ、ああ、うん。とりあえず帰ろうか」
顔を上げる。すると、イリヤの背後に黒い影が…
士郎「っ!?、イ…」
ズドン!!
イリヤ「きゃあ!」
士郎「ぐ……あれは!」
イリヤの近くにランサーの槍が突き立っていた。
ソニック「ちっ!」
それを転がるように避けたのか、全身黒づくめの男(?)が低い姿勢で身構えている。
ランサー「ようやく現れたか、アサシン」
ランサーはイリヤの近くに降り立つ。
ランサー「退くというのなら追わないが」
ソニック「ふん、貴様程度が俺に……む、そうか。了解した」
アサシンは踵を返し、その姿は虚空えと消えていく。
士郎「いったい…」
イリヤ「きゃっ、なにするのよ!」
士郎「!!」
見てみれば、ランサーがイリヤを抱きかかえている。
士郎「っ!投影、開始(トレース・オン)!」
右手に漆黒の剣が握られる。
士郎「ランサーーーー!!」
踏み込み、振った剣は空を斬った。
士郎「くっ、」
飛翔するランサー。奴は少しの間俺を見つめ…
ランサー「…言峰教会に来い」
士郎「は?」
それだけ言って飛び去った。
士郎「くそ!なんなんだあいつ!」
走る。とにかく、言峰教会に向かうしかない。ランサーが飛んでいった方角は確かに言峰教会の方角だ。
全力で走り、言峰教会に辿り着く。
バァン!!
扉を開け放つ。
綺礼「…?」
凛「え、士郎?」
士郎「…イリヤはここにいるのか?」
綺礼「…いったい、何のことだ?」
こいつの顔を見た時、なぜかこう思った。仕向けたのはこいつだと。
士郎「イリヤはどこだ!」
綺礼「…」
凛「綺礼。これはいったいどういうこと?」
綺礼「ランサーめ。余計なことを…」
その一言で全てが吹っ切れる。
士郎「言峰!」
近づき、殴りかかる。
だがそれを、神父は容易く受け止める。
綺礼「落ち着け、衛宮士郎」
イスに突き放される。
士郎「くっ…」
凛「落ち着いて、士郎」
士郎「遠坂、なんでここに…」
凛「綺礼と話があってね。それで、これはどういうことか説明してくれる、綺礼?」
綺礼「…まず言っておくが、イリヤスフィールの安否なら案ずることはない。なにしろ、私は彼女を保護したのだからな」
士郎「そんな言葉、信じられるわけ…!」
綺礼「落ち着けと言っている、衛宮士郎。ランサーがイリヤスフィールを保護した時、アサシンが現れたのではないか?」
士郎「…」
それは、確かにそうだったが…
凛「ちょっと待って。一つ確認していいかしら?」
綺礼「なんだ」
凛「ランサーのマスターは貴方なの、綺礼?」
綺礼「ああ、そうだ。マスターがいなくなってしまったランサーを、私が引き取ったのだ」
凛「……そう…。色々と言いたいことはあるけど、とりあえず話を続けてちょうだい」
綺礼「…ランサーには元々、アサシンの捜索を命じていたのだが、一向に尻尾が掴めなくてな。だが、その周到さで誰がマスターなのか予想はついた」
士郎「誰だ?」
綺礼「間桐臓硯だ。ヤツは、聖杯のために鍵であるイリヤスフィールを奪おうとしている。その時には、必ずサーヴァントであるアサシンを動かすと判断したのだ。だから、ランサーにイリヤスフィールを監視させ、アサシンが動いたら、即座に保護しろと命じた。…これ以上の説明が必要か?」
士郎「イリヤを保護する理由があんたにあるのか?」
綺礼「もちろん、監督役として、聖杯戦争を円滑に進めるためだが」
士郎「保護ってのは、この聖杯戦争が終わるまでか?」
綺礼「当たり前だ」
士郎「この聖杯戦争が終わったらどうなるのか、あんたは分かってるのか!」
綺礼「!?」
凛「士郎、それってどういう…」
士郎「悪い、遠坂。後で話す。答えろ!言峰!」
綺礼「…ふふ、見直したぞ、衛宮士郎。まさか、お前がそこまで辿り着いているとはな。…ああ、知っているさ。七騎のサーヴァント全てが帰還した時、大聖杯が崩壊し、"この世全ての悪(アンリマユ)"が誕生する」
士郎「お前…それを知ってて、くだらない嘘を並べて聖杯戦争を続けようとしたのか!」
綺礼「虚言など何一つない。事実、間桐臓硯はイリヤスフィール必要としている。広がりすぎた大聖杯の穴を塞ぐためにな」
士郎「っ…、てめぇ!」
綺礼「君たちには、最後まで聖杯戦争を続けてほしかったのだが、致し方あるまい…」
パチンと、言峰が指を鳴らすと、ランサーが虚空から現れ、奥から金髪の謎の男が現れた。
凛「っ、!アーチャー!」
アーチャーも姿を現す。
綺礼「アーチャーを始末しろ」
ギル「…お前にしては、あまりいい演出とは言えないな」
綺礼「許せ。だが、予想外続きというのも、それはそれでおもしろい。任せたぞ」
そう言って、言峰は奥に歩いて行く。
満ちる殺気。数泊の静寂。最初に動いたのはランサーだ。こちらに歩いてくる。
ジャカン!
アーチャーに銃を向けられても歩き続け、俺達と金髪の男の中間ほどで立ち止まる。そして、槍に膨大な魔力を纏わせる。
凛「アーチャー!!」
凛が叫ぶ。だが、アーチャーは銃を向けたまま動かない。そして槍は俺達に向けられ…いや、俺に…?
ランサー「"幸あれ気高き者よ(ラック・インジェクション)"」
魔力は槍から解き放たれたが、何もおきない。
ランサー「土産だ、ブロウ。今回のヒーローはお前だ」
士郎「は?」
ランサーは俺を見ながらそう言い、背中を向ける。
ランサー「行け」
凛「なっ…、どういうつもり?」
ランサー「なに、アーチャーを始末しろと言われたのでな。それに、もうウンザリしていたんだ。令呪を使われたわけでもないし、やりたいようにやるさ」
ダンテ「…」
アーチャーが銃をしまう。
凛「アーチャー…」
ダンテ「野暮なことは言うなよ、凛。それで、どうすんだ?」
凛「…士郎、イリヤスフィールを探すわよ」
士郎「ああ、分かった」
そうして、教会の奥へ走る。
~~~
ギル「…」
ランサー「追わないのか?」
ギル「構わん。多少順番が変わっただけよ」
ランサー「なるほど」
ギル「…貴様、視えているのだろう?」
ランサー「ある程度はな。未来が視えるっていうのも、案外おもしろい」
ギル「敗北を知ったうえで挑むのがおもしろいと?」
ランサー「ああ。俺はお前に負ける。だから少年に託した」
ギル「…そうか、。なら、疾く失せるがいい」
~~~
部屋のイスにはイリヤスフィールが寝かされている。
綺礼(あの二人であれば、アーチャーの始末も容易いだろう。イリヤスフィールを保護していれば、アサシンも自ずと現れる。その後にランサーを始末すれば……!?)
背後に悪寒を感じ、黒鍵を飛ばす。だが、それは空を切り…
綺礼「な…に……」
神父の頭は胴から離れ、床に落ちた。
ソニック「神父は始末した。女を回収してそちらに向かう」
~~~
士郎「イリヤ!どこにいるんだ!」
ダンテ「…!」
アーチャーが急にスピードを上げ、ある部屋の扉を蹴り破り、
バァンババババァン!!
そのまま部屋に発砲。
ダンテ「ちっ」
凛「アーチャー!イリヤスフィールはいた?」
ダンテ「だめだ。アサシンに連れてかれた」
士郎「くそ!こうなったら、間桐の家に直接…!」
凛「待って、衛宮くん。大聖杯に用があるなら、臓硯のいる場所は一つよ。付いてきて」
~柳洞寺-地下大空洞~
臓硯「ああ、間に合ったか。これで、大聖杯の崩壊は免れる」
ぽっかりと浮かぶ黒い穴からは何かが漏れ出ている。
臓硯「アインツベルンの聖杯を使い、穴を塞ぐ。此度の聖杯戦争はこれで終いじゃ」
ソニック「…誰だ!」
臓硯「む!?」
カツ、カツ。と金髪の男がゆっくりと歩いてくる。
臓硯「ランサーめ。もう少し持ちこたえると思うたが…。アサシンよ、時間を稼げ」
ソニック「了解した」
アサシンの体が霞む。
圧倒的なスピードとその特殊な歩法により、10の残像が生まれる。
ソニック「奥義、十影葬!」
ギル「ほう…」
あらぬる角度からギルガメッシュに迫るアサシン。
ソニック「風刃きゃ…!」
ズドン!
その体を一本の剣が貫いた。
ソニック「なっ!?、かっ…は……」
ギル「なかなか、よい見世物であったぞ」
ズドドドドッ!
数多の武器がアサシンを貫き、その体が消えていった。
臓硯「な…、」
また、ギルガメッシュがゆっくりと歩き出す。
臓硯「させん。させぬぞ!我が悲願を、こんなところで…!」
ギルガメッシュの背後に、数多の武器が現れる。
ギル「虫は虫らしく、地を這っていろ」
~~~
士郎「ここって、柳洞寺だよな…」
凛「ええ。大聖杯はこの下にあるわ」
移動中に、俺がイリヤから聞いたことを遠坂に全て伝えた。
遠坂は、ひとまずイリヤを救出するが、大聖杯の崩壊を食い止める方法が他になければ…という考えだ。
士郎(何かないのか…。イリヤを助けて、大聖杯もどうにかする方法は…)
入口となる洞窟を発見し、中に入る。奥に進んで行くと大きな空洞に出た。そこには、ぽっかりと空いた大きな黒い穴が浮んでいる。その前に…
ギル「…」
ヤツが立っていた。
士郎「なんで…あいつが…」
凛「臓硯も見あたらない…。たぶん、あいつにやられたんでしょうね」
士郎「俺達が移動している時間だけで、ランサーとアサシンを倒したっていうのか…?」
凛「あいつがここに来る時間もいるから、もっと早いわ…。アーチャー、あいつを抑えて。私と士郎でなんとかイリヤを回収する」
ダンテ「…」
凛「アーチャー?」
ダンテ「…悪いが、穴に引っ張られる力が強すぎてまともに動けん。斬り込んだら、そのまま穴に吸い込まれる」
凛「な、なにを今更!」
ダンテ「悪いな。ここまで強くなるとは思わなくてよ」
凛「そんな…」
士郎「……遠坂、俺が行く。抑えるぐらいなら、なんとかなるはずだ」
凛「はぁ、言うと思った…」
士郎「怒らないのか?」
凛「怒ってるわよ。でも、貴方しかいないでしょ。あれが対魔力持ちだったら、私なんて何もできないし」
士郎「…ありがとう、遠坂」
凛「礼なんていらないわよ。…できる限り、援護するわ」
士郎「…ふう……」
呼吸を整える。あの時は我武者羅にやってしまったが、今回は丁寧にイメージを編み上げていく。
士郎「投影、開始(トレース・オン)」
両の手に握られる、漆黒の剣と黄金の剣。
ギル「…贋作者(フェイカー)……」
士郎「はっ!」
駆ける。距離は数十m。
士郎(一気に詰める!)
金髪の男は構えようともしない。ただ、その背後に数多の武器が、伝説に謳われるあらゆる宝具が現れる。
凛「なによ、あれ…」
それが射出される。
士郎「せあ!」
それを叩き落としながら突き進む。だが、
士郎(くそ、数が多すぎる!)
圧倒的な物量。進む足は次第に遅くなっていく。
ギル「どうした?もっと足掻いてみせろ、フェイカー」
さらに量とスピードが増す。そして、
士郎(あ、)
可能な限りの全てを捌ききり、その限界を超えて撃ち込まれる剣。
体はもう間に合わない。
士郎(死…)
バァン!!
ガキィン!!
弾丸が剣を撃ち落とした。
ダンテ「邪魔なやつは全部俺が落としてやる。真っ直ぐ走れ!シロウ!」
士郎「アーチャー…」
ギル「はっ、小賢しい。その大道芸、どこまで続く?」
新たに開かれる数十の門。そこから一斉に宝具が射出され…
ガガガガガッ!!
その全てが撃ち落とされた。
ギル「なに!?」
ダンテ「知らねぇのか?お客様を最後まで満足させるのが、大道芸だぜ」
ギル「図に乗るなよ…雑種!」
さらに量もスピードも増していくが、アーチャーはそれら全てを撃ち落としていく。
俺はただ真っ直ぐ走る。
士郎「はあ!」
すでに、数十mあった距離はもうゼロだ。
ギル「おのれ…」
ヤツの背後に剣の柄が出現する。
ギル「調子に乗るな小僧!」
剣戟が響き渡る。
直接打ち合って分かった。ひどい剣技だ。こいつは数多の宝具を持ちながら其の実、ただの一つも扱いきることができないのだ。
ギル「おのれ…おのれ、おのれおのれおのれおのれ!!贋作者風情に…この我が…!」
士郎「せあ!」
ガキィン!
ギル「なっ」
剣を弾き飛ばされ、大きく体勢を崩す。そこへ、
士郎「"偽・流星剣(スターバースト・ストリーム)"!」
繰り出される高速の十六連撃。
ギル「ぐっ、ぬおあああ!!」
士郎「はあああああ!!」
ズシャァ
ギル「……かっ」
その体はかき消えていった。
士郎「はあ…はあ…」
息は切れているが、不思議と疲れていない。
凛「士郎!」
士郎「遠坂…怪我はないか?」
凛「こっちのセリフよ!怪我はない?」
士郎「ぜんぜん大丈夫。むしろ漲ってる感じだ」
凛「ハイにでもなってるの?まぁ、とにかく大丈夫そうね」
ダンテ「それで、どうすんだアレ」
アーチャーは黒い穴の方を見る。
凛「何かいい方法が~、なんて、考えてる時間はなさそうね」
士郎「いや、大丈夫だ。俺がなんとかする」
凛「…貴方、本当にハイになってる?」
士郎「んなわけあるか!ちょっと考えてみれば、簡単な事だったんだよ。器が壊れるってなら、新しい器を用意してやればいい」
凛「…!?、士郎、まさか貴方!」
ダンテ「?」
凛「ダメよ!そんなの絶対に許さない!成功するわけないし、うまくいっても士郎が…」
凛「大丈夫だよ、遠坂。力なら…」
~『土産だ、ブロウ』~
士郎「…ある!」
凛「でも…」
ダンテ「凛。信じてやれよ、男の覚悟ってやつを。どういう事かはさっぱり分からんが、俺はお前に賭けるぜ、シロウ」
凛「アーチャー…」
ダンテ「…なんとかなりそうだし、俺は帰るぜ。じゃあな、うまくやれよ」
こちらの言葉も待たず、アーチャーは消えていった。
洞窟が揺れる。大聖杯の崩壊が始まった。
凛「士郎…」
士郎「だから大丈夫だって。今度は、二度と出れないように蓋も付けてやる」
そして前を見つめ、唱える。己に刻んだ呪文を…
士郎「…投影、開始(トレース・オン)」
聖杯の投影は見事に成功したらいし。らしいっていうのは、投影をしてすぐに俺がぶっ倒れたからだ。魔力(?)は十二分にあったのだが、聖杯の投影は衛宮士郎の限界を優に超えていたのだ。それでも成功したのは本当に運が良かったとしか言いようがない。
そんな感じで聖杯戦争は丸く収まり、以前の日常が戻ったきたわけだが…
イリヤ「ライガね、タイガより私の方が可愛いって言ってくれたわ」
藤ねぇ「あわわわ…!どうしてくれるのよ士郎、この子とんだ悪魔っ娘じゃない!」
桜「先輩。仕込み、終わりましたよ」
凛「こんにちは。ご馳走してくれるって聞いたから来たわよ、衛宮くん」
家は少し賑やかになった。
おわり
乙
以上です。
初スレ&理系人間の駄文でしたが、ここまで読んでくれた方、本当にありがとうございます。
各サーヴァントは、
セイバー:桐ヶ谷 和人
「SAO-ソードアート・オンライン」
ランサー:ガレア
「白猫プロジェクト」
アーチャー:ダンテ
「Devil May Cry 」
ライダー:久遠 飛鳥
「問題児たちが異世界から来るそうですよ?」
キャスター:マリア
「純潔のマリア」
アサシン:ソニック
「ワンパンマン」
バーサーカー:アルベド
「オーバーロード」
でした。全部分かった俺と趣味の合う人はいるかな?
重ねて、ここまで読んでくれて本当にありがとうございます。
乙です。
今更というか終わったからというか、サーヴァントがそれぞれ誰か聞いてもいいですか?ソニック以外はダンテとキリトの名前くらいしか知らなくて、名前もほとんど出てないから調べられなくて。
デビルメイクライ以外知らないわ
興味無いのも3つあるし
タイミング……ありがとうございます。
夏厨無理すんな
クソSSなんて書いてないで宿題かバイトでもやってろ
>>102
そしてわざわざ見に来るニート
見た限りキャスターとアサシン以外めっちゃ良い奴やん
キリトが持ってた黄金の剣はエクスキャリバーかな?
この中から最強のサーヴァントを選ぶのは難しい
ダンテとギルだったら相性でダンテだし(銃がある)
ランサーはキャスターより強い
ダンテもキャスター本体を狙えばいけるかも
ギルは宝具の中に対天使用はあっても対悪魔翌用はあるか?
あっても銃でズドンされそう
結論 = ランサーとダンテどっちが強いんだ?
あと慎二が惨め過ぎる
つまんなすぎワロタ
ぶっちゃけ、面白いかつまらないかと言われたらつまらないよ
ただ二次キャラを使うfate作品が最近無い事、それをちゃんと完結させた事、これだけで俺は評価出来る
>>1にはこれからも頑張って欲しい
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません