綾乃「二人で作る幸せ」千歳「・・・やで!」 (10)

初投稿です。書き溜め無しです。
ひたすら綾ちとがいちゃいちゃするだけの短編集です。

次から始まります。

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死 ね よ

期待

【変わること、変わらないこと】

千歳と、お付き合いを始めて一週間。

二人でいる日常は、その前とはそんなに変わらない。

一緒に勉強したり、生徒会の仕事をしたり。たまに、お互いの家に泊まりっこしたり。

でも、『親友』だったときと、『恋人』である今では、そんなことの一つ一つが違ったように思える。

いちばん、変わったのは……


「あ、綾乃ちゃん、……キス、せぇへん?」

二人きりの帰り道、その言葉で足が止まる。

「もう、しょうがないわね、千歳は」

そう言いながらも、心の中は嬉しくて仕方がない。

こんな田舎じゃ、誰も、通らないだろう。恥ずかしがる私を、そう納得させる。

二人で、向き合う。夕日が千歳を照らす。銀色の髪がオレンジ色に染まっていた。

きっと、千歳の頬がいつもより赤いのも、夕日のせいだけじゃない。

「綾乃ちゃん、……好き」

顔が近づいて、そっと目を閉じた。

次の瞬間、千歳の唇が触れて、一瞬で離れる。

千歳がお酒入りのチョコで酔っ払ってしまったときに、強引に重ねられたときなんか比べものにならないくらい優しいキス。

心の中を『幸せ』で満たすには、それで十分だった。

「私も、……好きよ、千歳」

千歳の前だと、いつだって素直でいられた。

世界でたった一人だけの、体を預けられる人。

自然と抱き合った体からは、優しい温もりが伝わってきた。


【変わるもの、変わらないもの】完

【知らなかったことは】

「ねえ、千歳、初めて私とキスしたときのこと覚えてる?」

もちろん、覚えとるよ、綾乃ちゃん。

二人きりになった生徒会室で、綾乃ちゃんの本当の気持ちを知って。

ずっと、綾乃ちゃんは歳納さんが好きと思ってたうちには、最初「千歳が好き」という言葉が理解できひんかった。

でも。「千歳と一緒にいられることが、私の幸せ」という言葉に、思いっきり揺さぶられて。

うちが綾乃ちゃんのこと、心の奥ではどう思っていたのか、気づかされた。

「うちも、綾乃ちゃんと一緒にいると、……幸せや」

自然と抱き合って、ほんのちょっとだけ背伸びした。

これからすることが、最初からわかっていたみたいに。

唇が重なって、それから顔を見合わせて笑った。

もうあのときから4年も経って、二人で暮らすようになっていても、そのことは昨日あったみたいに思い出せる。

「もう、からかわんでよ、綾乃ちゃん~」

「本当はね、その前に一回だけしてたの」

「えっ……?」

綾乃ちゃんの言ったこと、頭の中が受け付けへん。

だって、そんなもの、ないはずなんやから。

「千歳は覚えてないだろうけど、みんな知ってるわ」

そう切り出された話は、うちの心を芯まで揺さぶった。

うちがお酒入りのチョコを食べて、手が付けられない状態になってしもうたらしくて。

綾乃ちゃんも、歳納さんも、船見さんも、赤座さんも。

そこにいた人に手あたり次第にキスをしてしまったという。

「そのとき、すっごくびっくりして、……でもほんのちょっとだけ、嬉しいって思ってたの」

「ううん、ごめんなぁ……覚えてへんけど」

「いいのよ、千歳」

髪を優しく撫でられる。いつも、綾乃ちゃんがうちのこと慰めてくれるときにしてくれること。

「だって、それで、千歳に思ってたことに気付けたんだもの」

頬が、熱くなるのを止められへん。

恋人との初めてしたキスを、そんな形でしてしもうたことに。

かわいいこと言ってくれる綾乃ちゃんに。

うちの体が、燃やされたみたいになる。

綾乃ちゃんのほう、向けなくなって、俯いていると、不意に顔を持ち上げられた。

見えるのは、もちろん、綾乃ちゃんの顔。

「うちの顔、見ぃひんといて……?」

ささやかな抵抗は、「だめっ」というからかい声に一周された。

「だって、千歳と、もっとキスしたくなっちゃったもん」

綾乃ちゃん、反則。

そないなこと言われて、断れるわけあらへんよ。

奪われたように唇を重ねられて、それでも優しいと思ううちがいた。

【知らなかったことは】完

>>4のタイトルは【変わること、変わらないこと】です。

間違えてすいませんでした。

【つないだ手と手】

「歳納さんと船見さん、お付き合い始めたみたいやねー」

「まだ付き合ってなかった方にびっくりよ、もう」

私と千歳が付き合ってからしばらくして、船見さんと歳納京子もお付き合いを始めたらしい。

「ホント、あの二人は仲よかったもんなぁ」

最初、歳納京子のことを想っていた(らしい)時は、その二人がそうしていたことが、ほんのちょっとだけ切なくなっていた、気がする。

もちろん、今はそんなので寂しくなったりはしない。

だって、千歳がそばにいてくれるから。

「でも、お付き合いを始めたのは私と千歳んほうが先なんだからね!」

そう言うと、「そんなんまで歳納さんと張り合わんでもええのに」とからかわれ。

「よっ、綾乃、千歳!」

「と、歳納京子!」

噂をすれば、というものだろうか。突然後ろから声をかけられる。

「ごめんな、京子がびっくりさせて」

その声は、もちろん船見さん。

そういえば、普段なら、抱きつかれたりされそうなのに、今日はそんなことされてない。

気づいて振り向いて、二人の手がつながっていることに気づく。

「歳納さんと船見さん、仲ええなー」

千歳がメガネを外そうとするのを慌てて止める。鼻血で倒れられて、救急車を呼ばないといけないことになったら大変だもの。

4人でごらく部のある茶室に向かう。今日は、生徒会の仕事もないし、遊びにいこうとしていたところだ。

「あ、これ?結衣が全然離してくれなくてさー」

「お前が『離さないで』て言ったんだろ?」

そんなことを言えて、なおかつそうできる二人がちょっと羨ましい。

「綾乃ちゃん、うちらも……手、繋ぐ?」

耳元で言われる。その声に、「ええ、そうするわ」と頷く。

千歳の左手が、右手に触れる。それを、そっと握った。

柔らかくて、私より暖かい、千歳の手。

歳納京子が船見さんと繋ぎたがるのも、わかるような気がするくらい、気持ちよくて幸せ。

二人になった帰り道、千歳にこう言われる。

「船見さんのこと、羨ましかったやろ?」

「そ、そんなことないないナイアガラなんだから!」

ああ、もう、千歳には何でもお見通しだ。

「浮気したら、許さへんからな?」

笑顔で言う千歳に、こくんと頷く。

そんなことしないわ、千歳。

だって、千歳といる今が、幸せなんだから。

手を握ると、そっと千歳が身を寄せてきた。

【つないだ手と手】完
またミスってしまった・・・・・・orz

【甘い日々に】

『綾乃ちゃんの幸せがうちの幸せ』

昔からそう思ってきた気持ちは、今も変わらへん。

言い始めたときと違うのは、綾乃ちゃんが、うちのことを好きでいてるってこと。

そして、言葉でも、体でも、好きということを伝えられること。

「千歳の幸せが、私の幸せなの」

そう言ってくれる綾乃ちゃんが、大好きで。

照れてまうけど、それ以上に嬉しくてうれしくて仕方がない。

「綾乃ちゃん、……大好きやで」

そっと抱き寄せると、綾乃ちゃんも抱きしめてくれる。

「私も、……大好きよ、千歳」

二人きりの部屋で、『好き』といいう温もりを伝え合う。

髪からか肌からか、綾乃ちゃんのにおいがする。

甘くて、温かくて、幸せなきもちにさせてくれる香り。

不意に、おでこにキスをされた。

「ひゃっ、……もう、不意打ちは反則やで?」

「千歳の声、かわいいんだもん、……ごめんね」

目が合った。体は、もう自然と目を閉じた。

今度は、唇と唇で。

……ちゅっ


【甘い日々に】完
遅くなってすいませんでした。

【溶けて混じる心】※微エロ注意

初めて出会ったときから、千歳は優しく私のことを引っ張ってくれた。

たくさんの友達にも、生徒会にも、――そして、愛情表現の、もっと先にも。

「千歳、ちとせぇ……っ」

重ねられた口づけに、溶かされていく心。千歳の熱を、体がもっと求めているみたいに。

「どないしたん?」

「もっと、私のこと、触ってよぉ……っ」

千歳の手が、髪に触れる。優しい手つきに、体の熱が、ますます増していく。

「もう、綾乃ちゃん、震えとるよ?」

抱きしめられて、ようやく、自分の体がガクガクご震えてるのがわかる。

これから、取り返しのつかないようなことするからなのかな、今更なのに。

「うちとするの、恐いん?」

「恐いわけじゃないわよっ、……ただ、すっごくドキドキするの……」

吐く息がかかる距離。ただ千歳と私の立てる音だけがこの空間に満ちる。

「もぅ、うちもやで?」

「……本当?」

「こないなことで、嘘なんてつかへんよ、ほら」

千歳に手を取られて、胸に手を当てられる。

柔らかい胸の感触とともに感じた、激しい千歳の鼓動。

「ふふっ、本当ね」

思わず笑みが漏れる。つられて千歳も。

不意に、千歳が、眼鏡を外した。

昔はよく鼻血を出していたのに、今はそんなこと起きない。

「鼻血、出ないのね」

「だって、うち、」

綾乃ちゃんのことしか見えへん。言われなくても、そんな事言われるのがわかる。

そんなこと言われたら、私の心臓が持たない。

体が勝手に、千歳の唇を塞いでいた。そのまま、激しいキスを交わす。

互いの欲望が絡み合うような水音。漏れる声。

体は離さないようにしていたかったのに、息が出来なくなって離れる。

白く光る橋が、千歳と私の間の架かる。

「どうして、最後まで言わせてくれへんの?」

「これ以上かわいいこと言われたら、私、壊れちゃいそうだもん」

「もー、綾乃ちゃん、ずるいわ」

そう言いつつも、もっと先まで進めてくれるって、ちゃんとわかってる。

私たちの夜は、まだ、始まったばかりだ。

【溶けて混じる心】完

これで終わりです。
拙いとこだらけでしたが、読んでくださりありがとうございました。

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