勇者「行こうとは思ってるんですけどね」
店主「お前が来てから半年も経つんだ。いい加減ただ飯ぐらいを置いておく訳にはいかねーんだよ」
勇者「仲間が全然集まらないんですよ」
店主「お前の理想が高すぎるからだろうが。可愛い女戦士や女僧侶、女魔法使いなんてそうそう集まらねえよ。だいたいなんで女だらけなんだよ」
勇者「ハーレムは男の夢じゃないですか」
店主「娼婦でも雇え、アホか」
勇者「とにかく! 僕は女戦士と女僧侶、女魔法使いが集まらないと旅に出ないですからね!」
店主「ダダをこねるな! お前は何様だ!」
勇者「勇者様ですよ!」
店主「なにが勇者様だ! この似非勇者!」
勇者「な、似非とはなんだ!」
店主「うっせー! てめえは勇者らしいことしてねーじゃねえか」
店主「毎日毎日この席で飲み食いして、偶にくる女の冒険者をエロい目で見て、貸してる部屋で自家発電のサイクルじゃねえか!」
勇者「なに人の情事覗いてるんですか!」
店主「誰が覗くか! テメーの部屋を誰が掃除してると思うんだ。イカ臭いんだよ、毎回毎回!」
女店主が娼婦になって一緒に旅に出るんですね
店主「はぁ、なんでテメーが勇者なんだよ……」
勇者「神殿の人に文句言ってください。僕はただ勇者適性があっただけなんで」
店主「くっ……どうしても冒険に行く気はないのか?」
勇者「はい」
店主「じゃあ、仕方ねえ。オイ」
屈強な男×2が 現れた!
勇者は 動揺している。
店主「やってくれ」
勇者「ちょ、なんですかコレ!」
店主「営業法第25条。店主は迷惑な人間を店から追い出す権利を有する」
勇者「迷惑!? 心外ですよ! 勇者がいる酒場ってことで客を呼べるでしょうが!」
店主「それが人様にだして恥ずかしくなければな」
勇者「僕が恥ずかしい人間だと言いたいんですかっ!」
店主「はい、やってください」
屈強な男「はい」
勇者「ちょ、ちょ、待て! クソ店主! こっちが下手に出てやってんのによ、舐めてんのか!」
店主「知らん。お前は出入り禁止だ、じゃあな」
屈強な男「行くぞ」
勇者「お、覚えてやがれよ」ズルズル
屈強な男「二度と敷居を跨ぐなよ」
勇者「誰がこんな汚い店に二度と入るか! こっちから願い下げじゃ!」ペッ
屈強な男「ふん」
勇者「……とは言ったものの。宿と飯を失ってしまった」
勇者「一文無しだし、どうするか……」
ヒュー
勇者「寒っ! こんな寒い時期に野宿なんて死んじまうよな」
勇者「そうだ、教会に行こう。あそこなら保護してくれるだろ」
教会
勇者「はぁ!? 無理だって?」
シスター「ええ、この教会で寝泊まりすることはできません」
勇者「何でだよ!? 僕は勇者だよ? 教会は勇者をバックアップしてくれるんじゃないの?」
シスター「……」
勇者「なんで憐れんだ目で僕を見るの」
シスター「ハァ。良いですか? 確かに教会は勇者様をバックアップするのに強力は惜しみません」
勇者「じゃあ泊めてくれたって良いじゃないか」
シスター「ただ、勇者様のグレードに合わせてバックアップするんですよ。こちらも資金には限りがあるので」
勇者「ぐ、グレード?」
シスター「ご存知ありませんでした? 勇者様は自分のしてきた行いでポイントが加算されたり引かれたりします。そのポイントがどれだけあるかでグレードが決まるのです。神官様から聞きませんでしたか?」
勇者「そ、そういえば言っていたような気が……」
シスター「あなたの現在のポイントは、-250ポイント。歴代でもぶっちぎりの最下位です」
勇者「マジで?」
シスター「はい。そんなあなたに私たち教会が出来るのは……」
シスターは ニコリと笑みを 浮かべた。
シスター「頑張ってください♪」
勇者「声援だけかよ! チクショー!」
勇者「結局教会も追い出されてしまった。僕、このまま死ぬんじゃないか……?」
勇者「うう……まだパフパフも味わったこと無いのに。女の子を両脇に侍らせたことも無いのに……こんなのってないよ」
勇者「勇者になったらモテるんじゃないのかよ……騙されたよチクショー」トボトボ
?『破門だぁ? 俺ほど熱心な僧侶も珍しいだろ』
シスター『よくもそう平然と嘘がつけますよね』
教会の中から 怒鳴り声が 聞こえてくる。
勇者「なんだ?」
シスター『もうこれは決定事項です。さっさと出て行ってください』
?『ハン、後悔すんじゃねえぞ』
シスター『あなたこそ、今更後悔しても遅いですからね。一文無しなのは知っているんです。野垂れ死にそうだからって、戻ってこないでくださいよ』
?『上等だ、貧乳女! 二度と戻ってこねえ!』
シスター『誰が貧乳ですか!』
教会の扉が 乱暴に開かれた!
勇者「! お前は……」
?「あん? テメーは……」
期待
勇者「久しぶりだね、僧侶。相変わらず恥ずかしい格好してるね。改造礼服? カッコいいと思ってるの?」
僧侶「おお、久しぶりじゃねえか。お前こそ昔と変わらず冴えない顔してんな。冴えなさすぎて一目で分かったぜ」
勇者「そういえば君、ここに勤めてたんだ。あ、今クビにされたんだったんだっけ。ゴメンね、無職さん」ピキッ
僧侶「お前は勇者なんだよな。それはそれはさぞかし世のため人のために働いてきたんだろうな」ピキッ
勇者「……」メンチの切り合い
僧侶「……」メンチの切り合い
勇者「止めよう。この戦いはお互いに無意味だよ」
僧侶「……そうだな」
勇者と僧侶は うなだれている。
期待
勇者「はぁ。僧侶に久しぶりに会えたのはいいけど、一文無しだからな……金をたかれないじゃないか」
僧侶「たかってきても返り討ちにするからな。なんだ、お前も文無しなのか」
勇者「酒場を追い出されちゃってね」
僧侶「金もないし行くところがないと、ざまあねえな」
勇者「お前もな」
僧侶「それにしてもあのクソ女、腹立つな。この俺を追い出すなんて」
勇者「僧侶は一体何したの? 教会から破門されるなんて聞いたこと無いけど」
僧侶「なにも特別なことはしてねえよ。金もってそうな奴らからカツア……募金をしてもらったり、悪事働いた奴や粋がってるガキに拳で説法してやったりな」
勇者(絶対原因それだよ。昔から金にがめつかったし)
僧侶「俺ほど熱心に布教する僧侶も今時珍しいのにな。知ってるか? 俺がどれだけ信者を増やしたか」
勇者(そりゃ金髪オールバックのタバコ加えた目つきの悪い男に、入信しろよなんて言われたら断れないって)
ヤーさんじゃないですか
僧侶「チッ、こうなりゃ徹底的に教会を弾圧してやる。俺を敵に回したらどうなるか思い知らせてやんよ」
勇者「いくらお前でも無理でしょ。相手は巨大な組織だし」
僧侶「……まあ、そうだな。莫大な財産か権威があれば話は別だが。ん?」
勇者「なんで僕を見るのさ」
僧侶「オーケー。金の卵発見」ニヤリ
勇者「はぁ?」
僧侶「いいか、勇者。コレから俺たちで魔王を倒すぞ」
勇者「…………」
勇者「いやいや無理でしょ」
勇者「僕は勇者の肩書きしか持たないただの一般人だよ?」
僧侶「魔王は勇者にしか倒せないんだから仕方ないだろう。今弱くても魔王戦までに強くなりゃいいんだ」
勇者「無理無理! だいたいなんで魔王を倒すことになったのさ!」
僧侶「お前、魔王を倒すことは勇者の本分だろうが」
勇者「命が惜しいもん!」
僧侶「本当に情けないほど勇者に向いてないなお前は」
僧侶「ハァ。考えてもみろ? 魔王を倒せば金と地位、名誉がいっぺんに入ってくるだろう」
勇者「別に興味ないもん。魔王を倒すだけなら他の勇者についていけばいいじゃないか」
勇者「わざわざ僕じゃなくてもさ。自慢じゃないけど僕は歴代勇者の中でも一番評価低いんだよ」
僧侶「無理だ。お前の他にもう一人勇者がいるが、そいつは聖人君子の善人だ。魔王倒しても絶対に報酬は辞退するだろうよ。お前みたいな中途半端な勇者じゃないとな」
勇者「中途半端って……」
僧侶「しかも、だ」
勇者「なんだよ?」
僧侶「魔王を倒せば超モテモテになれる。なんたって世界を救った英雄様だからな」
勇者「僧侶、何グズグズしてんの。早く旅に出るよ」キリッ
僧侶「扱いやすいな、コイツ」
僧侶「めでたく魔王退治にでることが決まったワケだが、まず装備を整えなければいけない」
勇者「うん、僕たちは何も装備してないしね。でもお金無いよ?」
僧侶「そこら辺は考えてある。コレを被れ」
僧侶は 黒い布を 手渡した。
勇者「何これ?」
僧侶「目だし帽だ」スチャ
勇者「分かるけど、何する気?」
僧侶「ついてくりゃ分かる」
勇者「とてつもなく嫌な予感がする」スチャ
二人で魔王を目指すんですねわかります
武器・防具屋
店主「な、なんだテメーら!? ウチの商品を盗む気か!?」
僧侶「盗む? 人聞きが悪い。この間、寄付してくれるって言ってたじゃないですか」
店主「いつだ!? というかテメーらなんてしらねえ! はやく警吏に通報を」
僧侶「パーンチ」ドゴッ
店主「うっ」ぱたんきゅー
僧侶「うし、勇者好きな装備選べ」
勇者「犯罪だッ!」
僧侶「犯罪ぃ? 違いますー善意の寄付ですー」
勇者「これのどこが寄付だ! 思い切り強盗じゃないか!」
僧侶「いいんだよ、俺らは魔王退治するんだぜ? 少しくらい援助してくれても罰は当たんねーよ。おっ、この杖貰い」
僧侶は 三千gの杖を 装備した。
勇者「全然少しじゃないよ!」
僧侶「うっせえな、さっさと装備パクれ。じゃないと本当に警吏が来るだろ」
勇者「うう、犯罪行為だけはしてこなかったのに……母ちゃんゴメンよ。親不孝者で」
僧侶「もともと親不孝者だったろ」
勇者「うるさい!」
かくして、勇者と僧侶は旅立ったのであった。
現在の勇者グレード -250(歴代最低)
勇者lv1 僧侶lv10
一応、プロローグ終了。
レスを下さった方、読んでくれた方ありがとうございました。
本編は明日以降投稿します。それでは、おやすみなさいー
しえん
ひでえww
まあ勇者一行はタンスや壷漁るくらいやってるから仕方ないか
面白い
山道
勇者「……鎧重い」キラキラーン
僧侶「軟弱すぎるだろ」
勇者「今まで筋トレとかしてこなかったからね」
僧侶「まあコレから嫌でも筋肉がつく」
勇者「その前に死ぬんじゃないかな、僕」
僧侶「ハッハッハ」
勇者「否定してよ!」
勇者「んで、コレからどういうプランなの?」
僧侶「魔王を倒す」
勇者「そうじゃなくて、魔王を倒すまでの道のりだよ」
僧侶「そんなのねえよ。行き当たりばったりさ」
勇者「マジで?」
僧侶「だいたい勇者はな、ただ旅に出るだけでいいんだよ。フラグやら面倒ごとやらは勝手にやってくる。んで、それを消化していけばすぐ魔王までたどり着けるさ」
勇者「なんでそんなこと分かるのさ」
僧侶「仕様だよ。まあ行き当たりばったりとはいえ、最初はもう一人の勇者が通ったルートを進むさ。アイツらがイベントをこなしたはずだから面倒ごとは無いはず。魔王にたどり着くまでの時間を短縮できる」
勇者「セコくない?」
僧侶「しのご行っている状況じゃないさ。半年の差を埋めないといけないんだからな」
僧侶「俺の目的は教会を潰すこと。魔王を先に倒されちゃ困るんだよ」
id変わってた。1です。
僧侶「そういやお前魔物と戦ったことあるか?」
勇者「ない」キリッ
僧侶「予想はしてたが言わせてくれ。本当に勇者だよな?」
勇者「戦うだけが勇者じゃない! 僕は僕なんだ!」
僧侶「そういうセリフは、情けない自分を擁護するためにあるんじゃねえ」
ウルフが現れた!
僧侶「お、ナイスタイミング。勇者、お前アイツと戦ってみろ……って、どこいった」
勇者「ガンバレ僧侶!」フレーフレー
僧侶「何でそんな遠くまで逃げてんだ! 戦えバカ!」
勇者「痛い……」
僧侶「ったく、余計な手間とらせんな。ホラ、ご丁寧にウルフも待っててくれてんだから倒せ」
勇者「うぅ、無理だよぅ……」
僧侶「危なくなったら助けてやるから、ホラ」
勇者「クソ、やってやる!」
勇者の攻撃! ミス!
ウルフの攻撃! 勇者は なんとか 避けた。
勇者「無理無理無理!」
僧侶「おいおい、ウルフなんて武器があれば今時ガキでも倒せる雑魚だぜ?」
勇者「剣重い鎧重いウルフ怖いィィィ!」
僧侶「……旅、諦めよっかな」
勇者「うわぁぁぁ!」
勇者は 混乱している。
勇者は がむしゃらに剣を 振った。
ウルフ「キャイン!」ドサッ
勇者「あ、倒した」
勇者「ふふふ、実は僕って強い?」
僧侶「弱えよ。どんだけ取り乱してたんだよ」
僧侶「まあ、お前の実力が分かっただけ良かった」
勇者「あ、僧侶僧侶。回復魔法かけて?」
僧侶「どこ怪我したんだ?」
勇者「ホラ手の甲にうっすらと血が」
僧侶「唾でも付けてろ」
勇者「そんな! こっからばい菌が入ったらどうするのさ!」
僧侶「お前はどうしてそう情けないんだ! 同じ男として軽蔑するぞ!」
僧侶「地図によるとこの山道をまっすぐいけばトスファ村につくらしい」
勇者「トスファ村?」
僧侶「俺らが居た村と同じ寂れた村らしい。もう一人の勇者はそこでイベントをこなしたみたいだな」
勇者「イベント? なんか合ったんだ」
僧侶「ああ。もうクリアされたイベントだからその村では何も起きないと思う」
僧侶「だが、旅の初めから野宿は嫌だろ? だからその村で一泊してドカンセの街に向かう」
勇者「ふーん。まあ僧侶に任せるよ」
僧侶「お、見えたぞ。あれがトスファ村だ」
トスファ村・宿屋
女将「一泊10gだよ」
僧侶「ぬかった、金が無い」
勇者「なんでそんなこと忘れてたんだよ!」
僧侶「うるせー! お前も止めなかっただろうが!」
女将「あんたら、喧嘩なら外でやりな。営業妨害だよ」
勇者・僧侶「「うるせえ、ババア!」」
女将「なんだと、クソジャリども! タマ引きちぎるぞゴラァ!!」
勇者「追い出された」
僧侶「チッ、仕方ねえ野宿だな」
勇者「ええ!? こんな寒い中野宿したら凍え死ぬって!」
僧侶「金がねえんだからガタガタ言うな。この世界はな貧乏人にはモノを言う資格がねえんだよ」
勇者「うわっ、なんか深イイ言葉だ。引くわ」
僧侶「……殴るぞ?」
勇者「あれ? なんか広場に人だかりが」
僧侶「本当だ。一体なんだ?」
勇者「ねえ、一体何の集まり?」
村人a「大変なことになった!」
村人b「うわぁ! もうおしまいだ!」
勇者「……」
僧侶「ナチュラルに無視されたからってさめざめと泣くな。キモイ」
僧侶「あんたら一体何を騒いでんだ?」
村人a「ヒァッ!」
勇者「僧侶、お前顔怖いんだから近づいちゃダメだって」
僧侶「チッ。わーったよ。で、何の騒ぎだ」
村人a「じ、実は半年前に勇者様が倒してくださった魔物が先日復活しまして」
村人b「腹いせにこの村を滅ぼすと言うのです!」
勇者「……面倒ごとは起きないんじゃなかったの?」
僧侶「予想外だ。もしかして消化し切れてなかったのか?」
勇者「というと?」
僧侶「未回収イベントだ、ったく面倒な」
ボケとツッコミ交互なのがいい
村人a「ん? あなた、その手の甲の証は」
勇者「あ、ちょっと」
村人b「おお、これは勇者の証! 良かった、村は救われるぞ!」
勇者「いや、あの」
村人a「勇者様! どうか村を救ってください!」
勇者「話を聞いてって」
勇者「僧侶どうする?」
僧侶「……おい、俺たちがその魔物を倒したら何か報酬はあんのか?」
村人a「ほ、報酬?」
村人b「勇者一行のくせに金をとるのですか!?」
僧侶「当たり前だろう。世の中ギブアンドテイクだ」
村人a「私たちは税金を支払っているのですよ! 勇者支援のための!」
勇者(まったく支援を受けられないんですけど、僕は)
僧侶「教会め、国とも結託してやがんのか」ボソッ
僧侶「とりあえずだ。無償の助けなんてねえんだよ。そんなのがあるのは聖書の中だけだ」
村人a「私たちを見捨てるのですか!?」
僧侶「勇者行くぞ」
勇者「うん」
村人a「勇者様!」
村人b「どうかどうかお慈悲を」
勇者「や、止めて! 足をつかまないでよ!」
村人a「このままだと村が、村が!」
勇者「ええい離して! 僕だって人間だ。命は惜しいんだよ!」
村人a「うぅ……娘の晴れ結婚式まで生きていたかったがここまでか」
勇者「その話くわしく聞かせて」
僧侶「おい、勇者?」
村人a「え?」
勇者「あなたの娘さん、可愛い?」
村人a「ええ、贔屓目なしに」
勇者「彼氏はいるの?」
村人a「いませんが……」
勇者「オーケー、分かった。あなたの娘さんを僕に紹介してくれるのを条件に、この村を救います」
僧侶「勇者!?」
村人a「本当ですか!?」
僧侶「おい、お前何を勝手な……」
村人a「分かりました約束します!」
勇者「うん。じゃあその魔物の居場所を教えて」
僧侶「何勝手に決めてんだ」コソコソ
勇者「僧侶。僕たちは勇者だよ? 困っている人を救うのは当たり前」コソコソ
僧侶「さっきまで命が惜しいって言ってたじゃねえか!」コソコソ
勇者「それはそれ。それに可愛い女の子が死ぬのはこの世界にとって重大な損失だよ」コソコソ
僧侶「本音だだ漏れじゃねえか」コソコソ
村人a「その魔物は森の奥の祠に住んでいます。オークという豚鼻の恐ろしい魔物です」
勇者「分かった。それじゃあ行ってくるよ」
村人a「どうかお気をつけて!」
英雄色を好むとはよく言ったものだ
④
森・道中
僧侶「安請け合いしやがって……。俺がこの世で一番嫌いなものはただ働きなんだよ」
勇者「聖職者だったとは思えないセリフだね……」
僧侶「だいたいな、俺がスルーしたのはただ働きが嫌だって理由だけじゃないぞ?」
勇者「え?」
僧侶「ウルフすらまともに倒せなかったお前が、中ボスレベルの敵を倒せるか?」
勇者「……あ」
僧侶「まったく、お前はバカすぎる。昔から女が絡むとすぐ視野が狭くなるんだからよ」
勇者「ごめん」
僧侶「受けちまった以上は仕方ねえ。約束を破るのは不義理だからな」
僧侶「ただそうなると、短期間でお前をある程度の技量の所まで鍛えなければなんねえ」
勇者「つまり?」
僧侶「祠につくまで魔物を狩りまくってレベル上げだ」
勇者「ぇ」
~暫くして~
ウルフ×2が 現れた!
勇者「てぇぇい!」ズバッ
僧侶「ハッ!」ドゴッ
勇者の攻撃! ウルフaを 倒した!
僧侶の攻撃! ウルフbを 倒した!
勇者「ハッ……ハッ……」
僧侶「だいぶこなれてきたじゃねえか」
勇者「そりゃ、ウルフ、だけを、狩りまくって、れば、誰だって、慣れる」ゼイゼイ
今日はこれだけ?
僧侶「お前のレベルもだいぶ上がったし、そろそろ突撃するか」
勇者「休憩させて……」
僧侶「軟弱な……まあ一時間くらいなら大丈夫だろ。万全な状態で挑むべきだろうしな」
勇者「良かっ……た」バタン
僧侶「おー、だいぶ無理してたようだ。レベル上げの最中に弱音を吐かなったことだけはほめてやるか。普段のコイツだったら逃げ出してもおかしくないのにな。勇者としての自覚が現れたのか?」
勇者「むにゃ……げへへ……乳……尻……」
僧侶「……いや、ちげえな。コイツはただ可愛い女の子に会いたいだけだ。んな高尚な人間じゃねえ」
勇者「すーすー」
僧侶「起きろ」ゲシッ
勇者「グベェ! 何すんだ!」
僧侶「ボス戦のお時間だ」
勇者「あぁ、そういえば」
僧侶「それじゃあ行くぞ」
勇者lv5 hp30
僧侶lv12 hp75
森の祠
僧侶「……」
勇者「……」
僧侶と勇者は 言葉を失った!
僧侶「いたな」
勇者「うん、いたね」
僧侶「だが、なぁ」
勇者「うん。言いたいことは分かるよ」
オークa「ブヒヒww早苗ちゃんカワイス」ピコピコ
オークb「奏ちゃんマジ天使!」ピコピコ
二匹のオークは ゲームに夢中だ!
勇者・僧侶(ただのキモオタじゃねぇぇか!)
僧侶「先手必勝で攻撃を仕掛けるか」
勇者「うん……どことなくシンパシーを感じるけど、楽に倒せるならそれが良いし」
僧侶「行くぞッ! 一人ノルマ一体な!」
僧侶の奇襲! オークbはなすすべなく吹き飛んだ!
僧侶は 追撃を仕掛けるため 怒涛の勢いで走り出した!
勇者「うわっ、人間のパンチってあんなに強いんだ。つか、僧侶って武道家目指した方が良いんじゃないか?」
オークa「何事でござるか!」
勇者「気づかれた」
オークa「お主は……!!」
オークa「くっ、勇者め! また拙者たちの夢を砕く気か!?」
勇者「夢?」
オークa「こんなピザでグロ面に生まれたから拙者たちは魔界でモテなかったでござる。だからひ弱な人間の雌をさらってハーレムを築こうとしていたのに……!」
勇者「なんかどことなく考え方が僕に似ていて嫌だ」げんなり
オークa「前回はすぐにやられたでござるが、拙者tueee!! しちまうぞww」
オークaは 槍を 構えた。
勇者「お前には同情の余地があるけど、僕にも譲れないもの(女の子)はあるんだ!」
オークaが 襲いかかってきた!
勇者「たぁぁ!」ズバッ
オークa「ブヒヒww遅い!」ヒョイ
勇者の攻撃! ミス!
勇者「くっ、これは!」ズビィ
オークa「甘すぎるww」
勇者の攻撃! ミス!
勇者「攻撃が当たらない」ハァハァ
オークa「あれれー? この前戦った勇者より弱いでござる」
勇者「クッ、まだまだァ!」
支援
勇者の攻撃! ミス!
勇者の攻撃! ミス!
勇者の攻撃! ミス!
勇者「どうして……!」
オークa「下っ端でも魔王軍の幹部でござるwwそんな付け焼き刃のような攻撃に当たるわけないでござろう」
オークa「お主が弱いのではない。拙者が強すぎるのだ」キリッ
オークa「おっと、拙者としたことがつい似合わないことをwww今度は拙者の番でござるなww」
オークaの攻撃! 勇者に20のダメージ!
勇者「グアッ!」
オークa「フヒヒwか・い・か・ん♩」
オークa「弱すぎるwwそんなんでよく勇者やってられるなww」ニヤニヤ
勇者「カハッ……ケハッ」
勇者は 血を吐き出した。
勇者(なんだよこの強さ。ウルフなんかと全然違うじゃないか)
勇者(うぅ、痛いよ……どうして僕がこんな目に)ジワッ
勇者(ダメだ。僕には勝てないよ)
オークa「ブヒヒwwトドメさしますかww風子ちゃん、エンディングは見えてるでござるよぉ!」
オークaは 槍を 振り上げた!
勇者(ああ、僕死ぬんだ)
勇者(童貞のまま、こんなむさ苦しい化け物にやられて)
勇者(この世には腹上死なんて羨ましい死に方で死ぬ奴もいるのに……)
オークaの 槍が 勇者の目の前に 迫る!
勇者(そういえば昔隣の家に住んでたイケメン君は、幼なじみとかツンデレ少女とかと仲良く遊んでた)
勇者(僕はただそれを横目に砂場で遊んでたけど)
勇者(モテる奴は昔からモテるんだよな)
勇者(……)ブチ
勇者(あれ、なんか腹立ってきた)
勇者(僕は勇者になってもモテないのに、イケメン君は何もしないでモテる。そんな、そんなのって)
勇者「不条理すぎるだろぉぉぉぉ!!」
オークa「ぬ!?」
勇者は オークaの槍を すんでの所で避けた!
オークa「何事でござる?」
勇者「あああ妬ましい! なんで僕はモテないんだ! 女の子からちやほやされたいのに! 女の子からモテる方法なんて学校で習わなかったぞ!!」
勇者の体から 正体不明のエネルギーが ほとばしる!
オークaは 冷や汗を かいた。
オークa「何だかよく分からんでござるが、早めに決めるでござる!」
オークaの 攻撃!
ミス! 勇者に傷をつけられない!
オークa「防御力が上がっている!?」
勇者「僕だって女の子とイチャイチャしたい! 女の子独特の甘い匂いをクンカクンカしたい! 女の子の柔肌をモミモミしたい! 女の子と楽しくお喋りしたいんだよぉぉぉ!」
勇者は 狂乱 している。
勇者は 水平に剣を 構えた。剣に 風が 集まって行く!
勇者「だからこんなところで」
オークa「ヤバいヤバい! 勇者の攻撃で拙者がヤバい!」
オークaは 逃げ出した。
勇者からは 逃げられない!
オークa「なんででござるか!?」
勇者「死ぬわけにはいかねぇぇんだよぉぉ!!」ドゴォォン
オークa「うぃぃぎゃあぁぁぁ!」
勇者の攻撃! 圧縮された空気の塊が 轟音を立てて 荒れ狂う!
オークaに100のダメージ。
オークaを倒した!
勇者「はぁはぁ……あれ、僕は一体」
オークa 返事がないただのしかばねのようだ。
勇者「オークも倒れてるし……何があったんだ」
勇者「あ、そうだ僧侶はどうしたんだ」ヨロヨロ
一区切りついたところで、申し訳ありませんが今日はここまでとさせてもらいます。
少し体調がおかしいので、はやめに休むことにします。
明日はこのイベントの最後…といってもあと少しですが…までを投稿する予定です。
それでは、おやすみなさい。
乙
どうやら俺は勇者にやられてたようだ
ゆっくりお休み
勇者「おーい、僧侶」
僧侶「お、遅かったじゃねえか」
勇者「遅かった、じゃないよ! 僕は死にかけたんだから! って、僧侶沢山血出てるよ!?」
僧侶「あん? コレは俺のじゃねえよ。豚の返り血だ」
僧侶「あの豚野郎、見た目はキモイが良い声で泣きやがるからな。ついつい遊んじまった」
勇者は 隅にあったナニカの塊を見て 戦慄した。
勇者(ここで一体どんな殺戮が……!)
僧侶「それよりな豚野郎から面白い情報が聞けた」
勇者「面白い情報?」
僧侶「もう一人の勇者に倒されたはずのオークたちがなぜまたここに来たのか。それは宝を守るためだったらしい」
勇者「宝?」
僧侶「この祠の地下にあるらしいぜ。行ってみようじゃねえか」
祠・b1
勇者「何も無いよ」
僧侶「おかしいな……パチこかれたのか?」
勇者「ん、なんだ?」
勇者の証が 妖しく光る。
勇者たちの 目の前に 古びた宝箱が現れた。
僧侶「これが宝か? 開けてみるぞ」ギィ
勇者「ん? 白色の水晶かな」
僧侶「なんだ金じゃねえのか」
勇者「これは何だろうね?」
僧侶「多分イベントアイテムだ。もう一人の勇者が手に入れ忘れたな」
勇者「はぇぇ。どんな用途に使うんだろう」
僧侶「さてな。ただラッキーだな」
勇者「なにが?」
僧侶「見てくれが綺麗だろ? 高く売れるぜ」
勇者「いやいやいや! イベントアイテムだったら売っちゃダメでしょ!」
僧侶「バッカ。俺ら一文無しだぜ? 売れる物は売らないと」
勇者「もし魔王を倒すためのキーアイテムだったらどうするのさ!」
僧侶「そん時はそん時だ」
勇者は 白色水晶を 手に入れた!
トスファ村
村人a「おお、勇者様! お帰りなさい」
勇者「うん、ただいま」
村人a「してオークどもは?」
勇者「倒したよ」
村人a「おおさすがは勇者様だ! 皆のもの! また勇者様に救って貰ったぞ」
ワーワー
勇者「あはは。それより村人さん、約束は分かってるよね?」
村人a「ええ。ですが勇者様たちはお疲れの様子。それにもう遅いですし、今夜は宿で休まれて、明日紹介するってことでどうです?」
勇者「別にいいけど、僧侶は?」
僧侶「宿代はタダだろうな?」
村人a「もちろんですとも!」
僧侶「ならそれでいい。早めに休むぞ、勇者」
しえん
宿屋
勇者「僕、他人からあんなに感謝されたの初めてだよ」によによ
僧侶「……」
勇者「いやぁ、勇者やってて良かったなー。これで明日村人さんから可愛い女の子を紹介してもらうんだから、僕もようやく勝ち組かな」アハハ
僧侶「そう上手く行くかね……」
勇者「うん? 僧侶なにか言った?」
僧侶「別に。さあ、早く寝ろ。明日も歩くんだからよ。疲れたなんて言っても知らねえからな」
勇者「あー明日が待ち遠しいなぁ!」
次の日
勇者「え?」
村人a「どうかなさいました?」
勇者「えっとこの子?」
村人a「ええ、私の自慢の娘ですよ」
勇者「うん、娘だよ。娘だけどさ」
娘「ゆうしゃさまーはじめまちて。娘でしゅ」ロリーン
勇者「……」←唖然としている
僧侶「……」←笑いを堪えている
村人a「どうですか? 可愛いでしょう? この子が結婚するまでは生きていたかったのですよ。ありがとうございました、勇者様」
娘「ちた」ペコリ
勇者「……ぅ」
村人a「?」
勇者「ロリはダメなんだ。ダメなんだよ、ど畜生ぅぅぅ!!」ダダダダ
勇者は 涙を流しながら 走り去った。
村人a「わ、私は何か粗相を?」
僧侶「ククッ……気にすんな。アイツがバカだっただけだからよ」
僧侶「ダメだ、傑作すぎる! ほんと昔から面白いなアイツは!」ガハハハ!
僧侶は 腹を抱えて 笑い転げた。
勇者と僧侶の旅はまだまだ続く。
現在の勇者ランク -250(歴代最低)
勇者lv8 僧侶lv14
これにてトスファ村編、完です。ここまで読んでいただきありがとうございました。
次の冒険の構想は出来てるんですが、書きためがありません…。
ある程度書きためを作ってからまた投稿します。
それでは。
lv8でもランクは歴代最低なのか
オーク倒したがまだ最低なのか…更新待ちだよな?
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