ほむら「これが…運命なの?」
少女は誰にともなくつぶやき、目の前に広がる絶望的な光景をただただ眺めていた。
ほむら「巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子…誰一人として欠けることなくこの日を迎えることが出来たというのにッ…!」
頼りの仲間は皆、酷く傷付き倒れている。誰一人として微動だにせず、意識を失っている。
ただ一人、この絶望的な光景を産み出した元凶と対峙する彼女も、もはや立っているのがやっとの満身創痍といったところだ。
ワルプル「アハハハハ…!!」
しえ
また嫁ほっぽってロリに唾付けにきたのか
ほむら「分かってはいたけど…これほどまでに強大だなんて!!」
ワルプル「アハハハハハ…!アハハハハハハ…!!」
彼女達に絶望をもたらした元凶はまるで嘲笑うかのように奇声を発し続けている…。
ほむら「はぁはぁ…。どうやら今回はこれまでね。けれど次こそはっ…。」
そう言うと彼女は左腕の小さな円形の盾に手を延ばし…右手が盾に触れようとした瞬間、彼女の手はピタリと動きを止めた。
ほむら(次…こそは…?今回は最善を尽して誰一人欠けることなくワルプルギスの夜に挑むことができた。)
ワルプル「アハハハハハハハ…!」
ほむら(でも結果はダメだった。これ以上ないくらいの最高の状況にも関わらず手も足も及ばなかった…!)
ワルプル「アハハッ!アハハハハハハハ…!!」
ほむら(また繰り返したところで勝ち目はあるの?…いえ、それ以前にまた皆揃って決戦の日を迎えられるような奇跡は起こるの??)
ワルプル「アハハハハ…!ア~ハハハハハハハ…!!」
ほむら「まどか…私は……。………ッ!?」
ほむら(…しまった!!)
ほんの少しの迷いや油断が命取りになる。…そんなことは普段の彼女なら百も承知だが、今のほむらは迷っていた。故に生じた僅かな油断。時間にしてほんの数秒。
しかし、決して予断を許さない魔女との戦闘においてこの隙は致命的だった…。
ワルプル「アハハハハハッ!」
勝鬨と言わんばかりにひときわ大きな奇声を上げる最強の魔女。
僅かな隙に練り上げられた膨大な魔力を正面に集中させ…今まさにそれは放たれようとしているッ!
ほむら「もう間に合わな…ッ!!」
少女の悲痛な叫びと同時にワルプルギスの夜から強烈な閃光。
次の瞬間。ほむらがいた場所は広範囲に渡って光の奔流に飲み込まれ消し飛んだ……!
何も見えない…聞こえない。
それにさっきまで鉛のように重かった体が嘘のように軽い。体全体が浮遊感に包まれているような妙な感じがする。
ほむら(私は…死んだの?)
そんな考えがふと頭をよぎったちょうどその時背中と両足の膝裏に軽い衝撃が伝わってきた。
ほむら「…きゃっ!!」
…ザッ!!
赤坂「…ッ!間に合った!!」
それはどこかで聞いたことがある懐かしい声だった。
気がつけば彼女はいわゆるお姫様だっこの形で抱きかかえられていた。
察するにこの声の主に危ないところを間一髪で助けられたらしい。
そっと顔を上げると自分を心配そうに見つめる、整った顔の男と視線がぶつかった。
ほむら「あっ////…ありがとう。…でもあなたは一体?」
赤坂「僕は赤坂。赤坂衛。刑事なんだ。」
ほむら「刑事の…赤坂、さん?」
赤坂「あぁ。…この町にはちょっと用事があってねぇ。」ニコッ
赤坂「ほむらちゃん!…君を、…助けに来たッ!!」
ほむら「どうして私の名前を?…それに助けるって…??」
赤坂「…昔に約束、してたからね。」
ほむら「約束?…それって一体??」
赤坂「今は分からなくていいんだ。」
ほむら「??」
赤坂「それより、立てるかい?ほむらちゃん。」
ほむら「え?あっ!そ、そうよね。…重かったかしら?」
赤坂「ははは。そんなことないよ。」
そう言って彼は少女を優しく降ろした。
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