シリーズの過去作
レーベ「初めての耳掃除」
レーベ「初めての耳掃除」 - SSまとめ速報
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マックス「初めての耳掃除」レーベ「Zwei」
マックス「初めての耳掃除」レーベ「Zwei」 - SSまとめ速報
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私はビスマルク級戦艦のネームシップ・ビスマルク
日本の工廠で建造されて艦娘として生まれ変わった私は、そのまま日本の鎮守府に籍を置くことになった
建造されて二ヶ月が経ち、鎮守府での生活には慣れた。料理は美味しいし、日本の艦娘は個性があって話していて楽しい。それに同国の艦娘としてレーベとマックスも居るので、心細くも感じなかった
でも、楽しい事ばかりではなかった。何故なら、私は一つの壁にぶつかっていたのだから
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1456028635
今日の演習がすべて終わり、空も暗くなってきた。私は一人、部屋の中で電気もつけずに座り込んでいる
『……今日も、あまり活躍出来なかったわね』
独り言を言いながら、演習での事を思い出す。今日は金剛型のうち比叡を除いた三人と最低限の艦攻と多くの艦戦を配備した正規空母の加賀と赤城、そして私の六名だ
赤城と加賀が連携し、制空権を優勢にするコンビネーションは素晴らしかった。しかし、金剛型三隻のコンビネーションはそれを凌駕していた
私は自分の事で手一杯で、そんな余裕なんて無い。どうすれば彼女達のように戦えるようになるだろうか
やはり練度や艤装の改造が必要なのだろうか? 私の練度は彼女達と比べてもかなり低いし、改造だって一度はして改にはなったけど、彼女達は改二と言う二度の改造を施されている
私の艤装にも改二相当の改造は存在するらしいが、練度が足りないと言われて出来ずに居る。これについては今後も演習や出撃に出続ければいずれ達成できるだろう
でも、それだけであの姉妹達のように連携を取って戦えるようになるのか? 私にはそれが分からない
一人で考えていても仕方ない事は分かっている。本人達から話を聞いて、自身の悩みを話すべきだと
でも、私はそれが出来ずにいる。原因は、私のプライドの高さ
他人に対して弱みを見せたくない。ドイツの戦艦の代表として、日本の戦艦達には負けたくない。そんなプライドの高さ
『……いつまでも考えていたら気が滅入りそうね。あの子達のところでも行こうかしら』
私は立ち上がって、部屋から出て彼女達の部屋へ向かった
――――――――――
私がやってきたのはレーベ、マックスの部屋だ。彼女達は私と同じドイツの艦娘で、他の艦娘よりも話しやすい相手だ。それに、慣れ親しんだドイツ語で会話できる事も話しやすさの一つとなっている
二人と話していれば、少しは気を紛らすことが出来るだろう。私はドアを開けて部屋に入る
『こんばんは。レーベ、マックス』
『あっ、ビスマルク姉さん。こんばんは』
『……こんばんは』
部屋に入り挨拶すると、マックスはレーベの膝に頭を乗せ、レーベは見覚えのない細い棒を持ちながら挨拶を返す
何かをしている最中なのだろう。疑問に思った私は二人に訊いてみることにした
『……ところであなた達、何をしているの?』
『これは耳掃除って言う、日本では有名な耳の中を綺麗にする行為だよ』
『ミミソウジ……日本ではそんな事もするのね』
『ボクも最初はとても驚いたよ。耳の中の掃除が自宅で普通に行うなんてね』
『でも……してもらうととても気持ちがいいわ。耳の中の痒みがあった時は特に』
『うんうん。ボクも初めて耳掃除をしてもらった時は怖かったけど、痒みが無くなってとても良かったよ』
どうやら、二人とも一度はミミソウジの経験があるみたいだ。体験談を喜々として語っているので、私も少し興味が出てきた
『ところで、姉さんはボク達に何か用があってきたんじゃないのかな?』
『……耳掃除を見てすっかり忘れちゃったんじゃないかしら。それより続きをしてくれる?』
『うん』
マックスから言われてレーベは耳掃除を再開した
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とりあえずここまで
書き溜めしてまた投下する
乙
待っていたぞ
>>5
>『これは耳掃除って言う、日本では有名な耳の中を綺麗にする行為だよ。』
上のセリフを訂正
『これは耳掃除って言う、日本では有名な耳の中を綺麗にする行為だよ。手に持っているのは耳かきという掃除用の道具さ』
乙です
有名な……?
一般的なの方が……
確かにその通りだと思ったので訂正しとこう
>>10
>『これは耳掃除って言う、日本では有名な耳の中を綺麗にする行為だよ。手に持っているのは耳かきという掃除用の道具さ』
上のセリフを更に訂正
『これは耳掃除って言う、日本では一般的な耳の中を綺麗にする行為だよ。手に持っているのは耳かきという掃除用の道具さ』
遅くなったけど投下します
「提督、入るわよ」
私はノックを忘れて執務室に入室する
「おっ、ビスマルクか。何か用か?」
提督は書類を書く手を止めて私に話しかける
「ちょっと頼み事があるけど……秘書艦は今居ないのかしら?」
「今はちょっと用があって席を外している。すぐに戻ってくると思うが」
「そう。なら執務が終わった後で私もミミソウジをお願いしてもいいかしら?」
「へ?」
私が慣れない日本語を使って頼むと、提督は目を丸くして変な声を出す
「……もう一度言うわ。ミミソウジをして欲しいのだけど」
「聞こえているさ。そうじゃなくて、ビスマルクが頼んでくるとは思わなくてな」
「レーベがマックスにミミソウジをしていたから聞いてみたのよ。そしたら提督にしてもらって聞いて私もちょっとしてもらおうと思ったわけ」
「あーそう言うことか……今日はもうすぐ終わりそうだし、二時間くらいしたらまた執務室に来てくれ」
「ミミソウジをしてくれるって事かしら?」
「そういうことだ」
「分かったわ。じゃ、また後で宜しくね」
「ああ」
ミミソウジの約束を取り付けた私は執務室を後にする。二時間後が楽しみな私は少し心を踊らせていた
「……さーて、俺もさっさと終わらせないとな」
提督はビスマルクが執務室を去ると、また書類を書き始めた
―――――
―――――
執務が終わり耳掃除の準備をした俺は、指定の時間までソファに座り待つ。すると、ビスマルクが執務室に入ってきた
「来たな。まずは鍵を掛けてくれ」
「分かったわ」
俺の指示通り、ビスマルクは鍵を掛けてからこちらに向かってくる
「それで、耳掃除をしてもらうために先に耳の中を――」
俺がビスマルクに指示をしていると、帽子を外してソファの端に放り投げる。そして直ぐ様膝の上に頭を乗せてきた
「び、ビスマルク!?」
突然のことだったので俺は驚いてしまう
「あら、マックスはこうして頭を乗せていたんだから、これで合っているでしょう?」
「そ、そうだけど……」
いきなりビスマルクみたいな美人がこんな事をしてきたら動揺する……とは言えないので黙ることにした
「じゃあ、まずは耳の中を覗かせてもらうぞ」
「ええ」
ビスマルクは耳に掛かってる髪を手で掻き分ける。俺は終わるのを待ってそっと左耳の外を確認し、中を覗き込んだ
いい匂いがするな。シャンプーの匂いだろうか……ってそんな事気にしてないで耳の中を見ないと
ビスマルクの耳の中は見通しが良く、あまり耳垢がついていない。二人の耳はもう少し見通しが悪かったのでこれは意外だった
耳垢は湿っている方では無いみたいだ。これは日本の工廠で作られたからだろうか
「ビスマルク、一つ聞きたいことがあるんだが」
「何かしら?」
「一度も耳掃除をしたことはないんだよな?」
「ええ、そうだけど?」
「お前の耳はあまり耳垢が無くてな。正直あまり掃除しなくても平気とも言えるぞ」
「えっ……そ、そうなの?」
俺の話を聞いて、ショックを受けていた。どうやら耳掃除を期待していたらしい
「別にしないとは言ってないから安心しろ」
「そう……良かったわ」
してもらえると分かってホッとしたようだ。その様子が子供っぽくて、可愛らしいと思った
「それじゃ、早速始めるからじっとしてくれ。動くと耳の中を傷つけかねないからな」
「了解」
俺はゆっくりと耳かきを耳の中に入れていく。レーベの時は怖がっていたが、ビスマルクは平気らしいな
近くにある耳垢を耳かきで少しずつ剥がしていく。力は最低限に抑えて、耳の中を傷つけないよう細心の注意を払う
「んっ……今擦っているのはミミアカと言うのを取っているから?」
「そうだ」
俺は短く返事をして、また耳垢剥がしに意識を集中する。少しすると完全に剥がれたので、耳かきをそっと動かし、ティッシュの上に耳垢を落とした
「今ので取れたのかしら?」
「ああ。まだ中にあるからどんどん取っていくぞ」
「ええ、頼むわね」
俺はまた耳かきをそっと耳の中に入れていく。一つ目より奥にある耳垢は少々取りづらいが、ゆっくり時間をかけて剥がしていけばいいだけだ
ゆっくりと時間を掛けて一つ一つ取っていくと、ビスマルクが話しかけてくる
「提督は、私やレーベ、マックス以外にミミソウジをしたことがあるのかしら?」
「いや、まだ無いな」
「そう……二人のときはどういう経緯でミミソウジをしたの?」
「レーベの時は執務中に耳を気にしていたから俺が聞いて、そこからだな。マックスはレーベが俺のところにアポを取って来て、その日の夜にした」
「つまり、レーベがここでは最初にミミソウジをしてもらった艦娘ってことね。日本の艦娘達にはしないのかしら?」
「頼まれたらするかもしれないが、多分殆どの子は出来るんじゃないか? 夕雲型なら夕雲とか、軽空母なら鳳翔とか……重巡なら古鷹辺りか」
「正規空母なら翔鶴や赤城も出来そうね。戦艦なら……扶桑とか?」
「ビスマルクがあげた辺りの艦娘も出来そうだな。戦艦なら他に金剛に対して比叡がしそうだ」
「比叡ね……何となく想像が付くわ」
「やっぱりか。気合、入れて、耳かきしますって言いながら凄い繊細な手つきでやりそうだ」
「くすっ……比叡に似てないけど、分かるわ」
何となく真似したら笑われてしまい、少し恥ずかしくなる
思えばこうしてビスマルクと雑談したのはこれが初めてかも知れない。今までは忙しくて話すことが滅多に無かった気がする
普段は生真面目さや規律を重んじる固いイメージがあるが、こうして話してみるとそんな事もないと分かった。もしかしたら雑談とか好きなのかもしれないな
雑談をしつつ耳垢をあらかた取り終わった俺は、耳かきを持ち替え、梵天を耳の中に入れる
「提督、この肌触りのいい綿みたいな物は何かしら?」
「これは梵天と言って、残った細かいカスを取るために使うものだ」
ボンテンを耳の中で動かして、耳垢の残りを絡めとっていく
「ボンテン……これは癖になりそうね」
梵天の感触が気に入ったらしい。俺はその様子が可笑しくて吹き出しそうになるがぐっと堪えて仕上げを済ませた
「左耳はこれで終わりだな。次は右耳をやるぞ」
「分かったわ」
そう言ってビスマルクは身体を反転させようとして動きを止める
「……身体の向きを変えてもいいかしら?」
「ぜひそうしてくれると助かる」
どうやら気づいたようで、俺としては助かった。あの二人ならそこまで気にすることは無いが、ビスマルクの場合はどうしても意識してしまうからだ
ビスマルクが頭を載せ直し、また右耳の中を確認してから俺は耳かきを再開した
―――――
―――――
>>27
>ビスマルクが頭を載せ直し、また右耳の中を確認してから俺は耳かきを再開した
上記を訂正
ビスマルクが頭を載せ直し、俺は右耳の中を確認してから耳掃除を再開した
ちょっとこの先修正とか必要そうなのでまた朝や昼に投下します
乙です
いいねぇ
こんな時間だけど投下
提督の膝に頭を乗せ直し、私は右耳を掃除してもらっている。耳かきが耳の中で擦れる感触は痒い所を掻くのと似ていて、少し気持ちいい
このまま終わるまで待っていると寝てしまいそうだ。それくらい、この体勢と耳かきの感触が心地よく感じている
何か話すことは無いかと考えを巡らせると、一人で悩んでいたことを思い出す。今ならいつもと違ってちゃんと話せそうな気がした私は、話しかけてみることにした
「ねえ、提督」
「何だ?」
「その……最近悩んでいることがあるのだけど、聞いてくれるかしら?」
「ああ、いいぞ」
提督は耳かきを動かしながら返事をする。私は深呼吸して、話し始める
「最近、金剛型の姉妹とよく演習や出撃をするじゃない?」
「そうだな」
「彼女達の個々の練度の高さによる軽快な動き、そして砲撃の正確さ。いつ見ても凄いと思うわ。そしてそんな彼女達の息のあったコンビネーション……そんな中で自分の事で手一杯な私は彼女達と比較してしまって自分が強くなっているのか分からなくなってしまったの」
「なるほど、あいつらと一緒に戦ったことで実力差を感じて不安になったんだな」
「ええ……」
私の話を聞いて、提督は耳かきを取り出してから黙って考えだす。少し待つと、提督はまた話し始めた
「俺は、ビスマルクが参考になるかと思って金剛型姉妹と一緒に出撃や演習をさせていたんだ。同じ高速戦艦として、低速戦艦とは違った機動力を活かした戦いをする彼女達の戦いから、ビスマルクも何か学べることがあると思ってな」
私は無言で提督の話に耳を傾ける。何となく、高速戦艦繋がりで一緒に編成していたのではないかと思っていたことはあったけど、合っていたみたい
「でもな、金剛姉妹だって最初からあんなに強かったわけでもないし、コンビネーションだって長く戦って練度とお互いの信頼を高めていたから出来るようになったんだ。今のビスマルクくらいの練度の時はコンビネーションもバラバラで、個々としてみても命中率がそんなに高いわけでも無かった」
「金剛達にも、そう言う時期があったのね」
「そうだ。どんな優秀なやつでも最初から優秀だったわけじゃない。たくさん失敗して、そこから経験を積み重ねて段々と出来るようになり、そこから更に実力をつけて凄い人と周りから呼ばれるようになるんだ。ビスマルクは最初からそのラインに並び立とうと高望みしてしまっているから、自信が無くなってしまうんだ」
提督の言うことは最もだ。私はここの工廠で生まれ変わってからまだたったの二ヶ月しかいない
対して金剛達は一年以上も前からずっと戦っている歴戦の艦だ。私なんか足元にも及ばない
「だから、ビスマルクにはまず練度を上げてもらって、金剛達の戦いを見ながら自身の戦い方を身につけて欲しいと思う」
「自身の戦い方……私にそんな事、出来るかしら?」
「出来るようになるさ。どんなに自信のない艦娘だって、練度が上がっていくうちに自分なりの戦い方を身につけてここで活躍しているんだからな。それに、金剛達と違って、お前には経験豊富な先輩がたくさんいるんだ。色々アドバイスをもらって、そこから弱点を補ったり、長所を見つけて伸ばしていけばいいさ」
提督の励ましの言葉は、私が無くしていた自信を取り戻させてくれた。今ならきっと、なんとかなりそうな気がしてきた
「提督……私、頑張ってみるわ。練度の事も、自分の戦い方を見つけることも」
「おう、その意気で明日からも出撃、演習も頑張ってくれ。応援してるぞ」
そう言って、突然私の頭を撫でる
「て、提督!?」
驚いて声が上ずってしまう。提督も驚いて手を頭から離した
「す、すまん。つい……」
「ついって……駆逐艦ならまだしも、戦艦の私を撫でるなんて変だと思わないの?」
「うーん……金剛や榛名はたまに要求してくるからどうなんだろうな」
「……ぷっ……くくっ……あはははは!」
あの二人の意外な一面を知り、思わず吹き出してしまう
「そんなに可笑しかったか? 今の話」
「だって、あんなに強い二人が提督に撫でられたがってるなんて……くくくっ」
「まあ、それが二人のやる気につながってるんだけどな……耳掃除を再開するぞ」
提督はそう言って、また耳かきを私の耳の中にゆっくり入れていく。私も笑いが止まり、また無言でミミソウジに意識を傾ける
耳垢が少しずつ剥がれていく感じがする。音にするとぺりぺりってところかしら。完全に剥がれて耳垢を取り出す時はもう取れてしまったのかと思い、少し物足りなさを感じる
しばらく無言で横になっていると眠くなってきた。室温のせいか、提督の膝が心地よいからなのか、または両方のせいだろうか
「提督、ひとつ聞きたいことがあるのだけれど」
「何だ?」
「提督の膝に頭を乗せているこの状態って、名前とかあるのかしら?」
「ああ、これは膝枕って言うんだ。一般的には親が子供にしてるイメージだな」
「ヒザマクラ……いいわね、これ」
「そうか? する側は足が疲れてくるから俺はそこまででもないかな」
「される側とする側ではまた違うのね。終わったら私がしてもいいわよ?」
「へ?」
私が何の気なしに提案すると、提督は手を止めて驚く
「いや、俺は昔親にしてもらったから平気さ。そろそろ終わるから仕上げにしよう。じっとしてろよ?」
慌てながら言い、梵天の方に持ち替えて私の右耳にゆっくりと入れていく。何故そこまで慌ててるのか分からないけど、私はそれ以上追及はしなかった
――――――――――
その後、演習や出撃が終わると金剛達に今日の自分の戦いはどうだったか聞くようになった。すると、砲撃の時に変な癖があることや、やたら深追いして隙だらけなこと、その他にも色々と問題点が挙がって私は驚いた
私はそれを全てメモして、少しずつ直すように努めた。よく分からない時は相談に乗ってもらって、いろいろと助けてもらった
しばらくすると、高速戦艦の会に加わらないかと誘いが来た。私は彼女達との交流を深めるための機会だと思って参加し、以前よりも仲良くなることが出来た
他の艦娘とも、演習や出撃の後に話をしたり間宮で甘味を食べることで少しずつ交流を深めていき、関係を深めていった
そして肝心な練度の方はと言うと――
――――――――――
あの日から二週間後、私はめきめきと練度が上がり、遂に二度目の改造が出来るようになった
嬉しい気持ちを抑え、工廠で艤装の改造が終わるのを待つ
改造が終わり、艤装を身につけて鏡で確認していると、提督がこちらに向かってくる
「どうだ? 改造して強化された艤装は」
「そうね……塗装以外はあまり変わった感じはしないかしら」
「使い心地が変わらないなら、これまで通り戦えてむしろいいんじゃないか?」
「提督の言う通りね」
私は砲塔を触りながら、自分がここまで来るまでの事を思い返した
そこには金剛型姉妹の厳しい指摘やアドバイス、そして彼女達に積極的に教わるためのきっかけをくれた提督……私は色々な人に支えられていることを感じた
「提督……ここまで頑張れるきっかけをくれて、本当にありがとう」
私は、少し照れながらも感謝の言葉を口にする
「お、おう。どういたしまして」
提督も私につられてか少し照れながら返事をした
「それで……提督にお礼と言っては何だけど、してあげたいことがあるの」
「それはなんだ?」
「……ここじゃ目立つから、私の部屋に来てくれるかしら?」
―――――
―――――
「……あの、これは一体どういうことだ?」
俺は部屋につくなり、何故かビスマルクに膝枕をしてもらうことになった
「お礼のつもりでヒザマクラをしてあげようと思ったのよ。提督もこの前は断ったくせに、今日は断らないのね」
「ま、まあな……」
この前の耳掃除の時に断ったら、少し落ち込んでいたように見えたので少し罪悪感を抱いていた。今回の誘いでそれを思い出し、渋々OKを出した……なんて言えないので言葉を濁した
「それで、私の膝枕はどうかしら?」
「心地よい……と思うぞ」
「何で疑問形なのよ。そこは言い切ってほしいわ」
「す、スマンな……」
正直なところ、ビスマルクに膝枕をされて俺は全然落ち着いていない。いい匂いがするし、膝の感触を肌で感じて色々と危うい
そんな事を考えていると、ビスマルクが服のポケットから何かを取り出す
「……それ、耳かきか?」
「ええ、明石の所で買ってみたの。私も提督にミミソウジをしてあげたくて」
「ま、待て……俺はこの前やったからほとんど残ってないと思うぞ?」
嫌な予感がした俺は慌てて嘘をつく
「そう、なら私がやる必要も無いわね……」
ビスマルクはがっくり項垂れる。その表情を見て俺はまた罪悪感を抱いた
「……でも、ちょっとだけ残っているのがあるだろうし、それで練習という形でやる分にはいいと思うぞ。やらないとうまくならないしな」
俺が言うと、ビスマルクはぱあっと表情を明るくさせる。こう言うところが可愛げがあって、大型建造を頑張った甲斐があったなと思わせられる
「じゃ、始めるわね。まずは耳の中を見るわよ」
「ああ、ちゃんと確認して、的確に掘り出してくれ」
この後は結局、先ほどの嫌な予感が的中し大変なことになった
終わり
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ドイツ艦達の初めての耳掃除はこれでおしまいです
残り三隻を書く予定はないです
これの完結により書いてたシリーズSSすべて終わったのでまたなにか思いついたらまた書きます
誘導は多分無理ですが
長くなりましたが、ここまで読んでくださりありがとうございました
乙
進研ゼミ的な勢いを感じた
やっぱり耳掃除ってすごい!
乙
スレタイがピケティに見えた
※ピケティ(フランスの気鋭の経済学者)
乙です
乙
やはりビスマルクはいいな…
乙です
おつ
明石のもとには匠の技とか揃ってそう
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