エレン「同棲時代」(398)

エレンへ

毎日ごはんをきちんと食べていますか。

忙しさにかまけて昨日まで気付かなかったのですが、家の裏手は今一面の菜の花です。

開拓地にいた頃に食べたことがあるのを覚えていますか?

少し苦かったと記憶しています。

懐かしいです。

さて、突然ですがあなたがそこから出られる日が決まりました。

○月○日です。

前日にアルミンが必要なものを届けに行きます。

当日は私があなたを迎えに行きます。

みんなで一緒に迎えに行けないのは残念ですが、みんなあなたに会える日を心から待ちわびています。

お身体に気をつけて。

□月□日   ミカサ

およそ2年ぶりに太陽の光に全身をつつまれた。

まぶしい。

地下牢から出たばかりで足元がおぼつかない自分が情けない。

ミカサがオレの右手をつかんで少し前を歩いている。

地下牢に迎えにきたミカサは管轄の兵士に通り一遍の挨拶を済ますとすぐに建物からオレを連れ出した。

そして何かに急かされているかのように早足で歩き出した。

どこに向かっているのか、と訊ねると「あなたの家」とだけ返された。

それ以上何を話せば良いのかわからず黙ってミカサに手を引かれるまま歩いた。

無言のままミカサはどんどん進んでいく。

商店街を抜け、住宅地を抜け、ミカサは森へと入っていく。

周囲に民家など一軒もない、何もない森の奥にオレンジ色の屋根の家がひっそりと建っていた。

裏手に菜の花畑は無い。

「着いた」

「ここか」

「うん。エレン、ごめんなさい。私、早足で疲れたでしょう」

「いや……」

「まずは行水を……地下は埃っぽかったでしょう?あなたを迎えに行く前に一度ここに来てお湯を沸かしたからすぐに用意はできる」

「ああ」

「新しい服もタオルもあるし」

「ありがとう」

「うん。ごはんも用意してる」

「うん」

「じゃあ盥に水を……」

「盥ってこれだよな?」

「あ、エレン、私が……」

「これぐらいできる」

「……じゃあ私、お湯を持ってくる。エレンは適当に水を張ってて」

「おう」

お湯が冷めていないか確認してみる。

当然のことながら少しぬるくなっている。

大きなポットと大きなお鍋をもう一度火にかけた。

湯が沸くのを待ちながらエレンがポンプで井戸から水を汲み上げている音を聞く。

エレンが今、私のすぐ近くにいて水を汲み上げている。

それが信じられないくらい幸せに感じた。

2年前、巨人のこと、王族のこと、壁外のこと、色々なことにけりがついた。

もう戦う必要も無くなった。

平和な毎日がやっと戻ってくるのだと思った。

私もエレンも当時は兵団の宿舎に住んでいたけれど、家を探して一緒に宿舎を出ようなんて話をしていた。

本当に遠い昔のよう。

家が決まりかけた矢先、エレンが地下牢に収容されることが決まった。

エレンの能力、置かれている状況について賛否両論あるのは知っていた。

それでもこんなに酷いことになるとは思わなかった。

私達は楽観視しすぎていたのかもしれない。

エレンを一人の人間と捉える人よりもエレンを一個の兵器と考える人の方が多かった。

下手をすれば自分達の存在を脅かすかもしれない、けれど他の何物にも代え難い強力な兵器。

廃棄か、保存か、結論が出るまでの間、エレンは“物”として一時的に保管されていたのだ。

調査兵団の働きかけ、世論の変化、その他色々なことが影響してエレンの保存が決まった。

不本意ながら“物”としての保存だ。

だからエレンは一生兵団に属したままだし、最低限の監視もつく。

こんな森の奥の家に住まなければならないのもエレンが危険な兵器だとみなされているからだ。

それでも私はエレンが地下から出られて良かったと思っている。

エレンが日の光を浴びる権利は私達が戦って勝ち取った。

これからも状況はより良くなっていく。

そう信じている。

「ミカサー、お湯は?」

「あ、ちょっと待って」

「なんだよ。沸かしなおしてんのか」

「うん」

「でけえ鍋……」

「うん」

「もう、良いんじゃねえの?今日暖かいし」

「うん。運ぼう」グッ

「あ、待てよ。オレも」

「エレンはそっちのポット持ってきて」

「オレも鍋持つ」グイッ

「いや、エレンはポット」グイイッ

「おいっ」

「ポット持ってきて。今はまだ無理しないで」

「無理って何だよ」

「お鍋は体力が戻ったら持たせてあげる」

「ちぇー…お前が思ってるほど体力落ちてねえよ」

「本当?」

「たぶん」

「……」

「お前、手紙に色々書いてただろ。オレ真面目に読んでたんだぞ」

「そう。……手紙、届いてたんだ。きちんと」

「悪かったな。一通も返せなくて」

「あ、いや、そういうことを言ってるわけでは……」

「わかってるよ」

「うん」

「……ありがとな」

「うん」

オレが地下にいる間、ミカサは3日に一度は必ず手紙をよこした。

ミカサからの手紙にいつも日付が書かれていたからオレは日の光も届かず暦もない地下にいながら月日の経過を把握することができていた。

手紙はオレの手に届くときにはすでに開封され、中を確認されていた。

封筒に便箋以外のものは入っていないか、手紙の内容は適切か。

アルミンからの手紙はたまに一部の文字が切り抜かれていることがあって不安な気持ちにさせられた。

ミカサからの手紙は文字が切り抜かれていたことなど一度もなく、何でもないことばかり書いてあった。

“今日は雨が降りました”

“虹が出ました”

“髪を切りました”

“ごはんをきちんと食べていますか”

“身体のために日々の運動を欠かさないでください”

“明かり取りの窓はありますか。あるならできるだけ日の光を浴びてください”

“風邪に気をつけて”

“寒いです”

何度も読み返した。

手紙の要望にはできるだけ応えた。

可能な限り牢の中でも運動したし、出されたものは全て食べた。

たとえ死ぬまで会えなくても、返信できなくても、手紙には応えたかったのだ。

幸運にも生きているうちに再会できたが。

「あ、エレン。行水終わった?」

「おう」

「ふふ、おかえりなさい」モフッ

「うおっ」

「どうだった?すっきりした?」ワシャワシャ

「やめろよ。タオルあるって。体拭いたやつ」

「髪を濡らしたまま戻ってくるあなたがわるい」ワシャワシャ

「オレ自分でできるって」グイッ

「そう?」

「自分でできる」ワシャワシャ

「ふふふ」

「何だよ」ワシャワシャ

「何でもない。なんだか楽しくて」

「そうかよ」ワシャワシャ

「うん……」

「……」ワシャワシャ

「……」グス…

「あ、おい……」ワシャ…

「……」ギュッ

「お前、泣い」

「え、エレン」グスグス

「え、あ?」

「会えて……良かった」グスグス

「……そうだな」

「……」グスッグスッ

「……」ギュウッ

思わずミカサの身体を抱きしめた。

熱と弾力を持った身体が確かにオレの腕の中にある。

肩をふるわせて泣きながらオレの腕の中に。

身体を離して、顔を見て、何か言わなければ。

ミカサを泣き止ませなければ。

そう思うだけで身体を離すことはできなかった。

離したくない。

いっそうきつく抱きしめるとミカサもそれに応えるように身体を押しつけてきた。

ふいにミカサが顔をあげてオレを見た。

そのとき初めて自分も泣いていることに気がついた。

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「いちおうこの部屋があなたの寝室」

「こっちの隣の部屋は?」

「そっちは空き部屋になってるので好きに使って」

「へえ」

「何か質問ある?」

「……いや、別にないな」

「……エレン」

「ん?」

「今から少し歩ける?」

「え、ああ」

「じゃあ少し外に出よう。私の家の場所を教えておきたいし、買い物も……今日の夜みんなも来るって言っていたし」

「他の奴らも元気にしてたか?」

「うん。何人か兵団を辞めてしまったけれどみんな元気」

「そうか」

「うん」

「オレ、もう出られるけど」

「そう?じゃあ行こう」

「おう」

エレンと手をつないであたたかな春の日差しの中を進む。

手をつないだら嫌がられるかと思ったけれどエレンはおとなしく私についてきている。

今日だけ、今日だけは手を握っていたかった。

エレンをまたどこかに連れて行かれはしないかと不安だったから。

まず私の家に行った。

そこで一度休憩をしてお茶を飲んだ。

エレンにはたくさんのものを食べて、飲んでもらわなければならないと思う。

エレンは2年前よりも明らかに痩せてしまっている。

行水が終わってエレンの身体に触れて確信した。

たくさん食べさせなければと思い、お昼はお椀になみなみとスープをよそった。

よそってしまった後で、いきなりたくさん食べさせては体の負担になることに思い至った。

食べきれなかったら残して、と言うとエレンは少し笑った。

そしてゆっくりと全部食べた。

無理をさせただろうか。

お茶を飲み終わると家の裏手の菜の花畑を一緒に見た。

やわらかい表情で菜の花を眺めるエレンの目元は少し赤かった。

お昼の前に泣いたからだ。

菜の花を見た後、二人で商店街に向かった。

私の目元も赤いのだろうか。

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「エレン、次の休みはいつなの?」

「えっと……たしか8日後だ。と、思う」

「そう。なかなか一緒の日に休みにならない」

「そうか?」

「うん。そう」

「お、着いたぞ」

「あ、うん……じゃあ、また。また明日も行く」

「ああ。気をつけて帰れよ」

「ええ。エレンも」

「おう」

夏になった。

兵団に戻ってもう3ヶ月経つだろうか。

思っていたよりもすぐになじむことができた。

所属兵科は変わっていなかったし顔なじみが多かったせいもあるだろうと思う。

それに加えてミカサの存在が大きかった。

ほぼ毎日仕事終わりにオレの家に来てオレの世話をやいた。

地下から出されたばかりで何からどうやっていけばいいのかわからなかった時期もこまめにオレを構った。

いつしかミカサが来るのが普通になってしまった。

互いの家の中間地点にある木の下で毎晩別れてそれぞれの家に戻る。

木には今、白い花が咲いている。

何の木かは知らない。

ミカサに「もう来なくても良い」と言わなければならない。

いつもそう思う。

こいつはいつまでオレのもとに通う気なのだろう。

早くやめさせなければ。

一生兵団の監視下にあるオレに関わっていても仕方がない。

ミカサはミカサの人生を生きれば良い。

もう、来なくても良い。

その一言がいつも言えない。

今日こそエレンに「もう来るな」と言われるのではないかと毎日ハラハラしている。

嫌われてはいない、と思う。

でもなぜか「もう来るな」と言われそうな気がしている。

エレンの所に行けないなんて嫌。

絶対に嫌。

本当は別々の家に住んでいることだって嫌。

私はエレンが地下から出てきたら私の家に住むのだとばかり思っていた。

エレンと一緒に暮らしたい。

ずっと、一緒に暮らしたい。

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「なあミカサ」

「ん?」

「お前さ、ここに来ること以外に何かすることないのかよ」

「ない」

「…………」

「…………」

「…………」

「……エレンは何かしてみたいことがあるの?例えば、休みの日、なんかに」

「え……」

「ある?」

「そうだな……」

「ねえ、今度一緒に」ガタッ

バシャッ

「「あっ!」」

「あ、ご、ごめんなさい」

「いや、ほらふきん。ふきん」

「うん。ありがとう」フキフキ

「服は濡れてないか?」

「うん。大丈夫。こぼれたのが水だけで良かった」

「ああ」

「ふきんしぼってくる。エレン、スープのおかわりいる?」

「え、ああ」

「じゃあ、ついでに」

「いや、自分で注ぐよ」

「あ、そう」

「うん」

「美味しかった?」

「ああ」

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ーー

エレンは私をあの家から遠ざけようとしている。

今日一緒にごはんを食べていたあのとき、エレンは私にもう来るなと言いたかったのではないだろうか。

そんな気がする。

話をそらそうとあわてて口からでまかせに喋っていたら、あわてすぎて水をこぼしてしまった。

水をこぼしたのが幸いして話はうやむやになったけれど。

わざとではないけれど水をこぼして良かった。

エレンの家からいつもの木の所まで一緒に歩いている間も不安でハラハラしていた。

なぜだろう。

私の勘違いであってほしい。

不安でたまらない。

のどが腫れたみたいに苦しい。

気がつくと目に涙がたまっていた。

エレンは何を考えているのか。

エレンのことを思うと不安でじっとしていられなくなった。

コンコン

コンコン

「?……はい」

「エレン?」

「え、ミカサ?」

ガチャッ

「どうしたんだよ。忘れ物でも…」

「エレン」

「え」

「え、あの、エレン。私は、あなたの家族だと思う」

「は?」

「どうして、ど、なぜ別々の家に住まなきゃ…」

「いや、ちょっ、お前」

「この家に私が」

「は?ちょっと、ちょっと待てって」

「私が一緒に住んではいけない……?」

「いや……」

「え、エレ……」

「……」

「……」

「……入れよ」

「っ……」

「とりあえず……中に」

帰れ、と言うべきだった。

でも言えなかった。

家の中に入れてしまった。

玄関口でしどろもどろに話すミカサの身体が小刻みに震えているのがわかったからだ。

それだけじゃない。

オレがこいつを手放したくなかったからだ。

読ませる文章だ
ミカサいじらしいね

いいね

乙!
良かったよ

ミカサいい女だなあ

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「……ということになってるんだが」

「うん」

「どう思う?アルミン」

「えっ」

「……」

「どう、と言われても……ふーんっていうか。とりあえずミカサに用があるときはエレンの家に行けば良いんだね」

「いや…そうじゃなくて」

「そうじゃなくて?」

「オレの質問が悪かったな。ミカサのこと、どうすれば良いと思う?」

「え、ミカサ?うーん……確かにこのままじゃいけないよね。ミカサ、床に布団敷いて寝てるんでしょ?今は夏だからまだ良いけど……」

「ああ。やっぱり自分の家に帰らせてベッドに寝かすべきだよな」

「まあ、それでも良いんだけど……エレンはどうしたいの?」

「え、オレ?」

「うん」

「オレか……オレは……どうしたいんだろうな……」

「……」

「でも…」

「でも?」

「オレの置かれてる立場を考えると、あいつがオレと一緒にいるのは……あまり良いことだとは思えない」

「まあ、それは……ミカサも承知の上でしょ」

「だよな……」

「ミカサもそれは理解してて君の家にいるんだしさ、それをいまさら言っても仕方ないよ」

「仕方ない……?」

「うん。大事なのは君たちの意思なんじゃないの」

「意思?」

「だってミカサ、すでに居ついてるんでしょ?今になってそんなわかりきったこと言われても、じゃあどうして最初に言わなかったのって言われるよ」

「う……」

「現状として君の置かれてる立場が微妙なのは確かにそうだろう。でも、だからといってそのことのために気持ちを無視して良いことにはならないよ」

「そうなのか……」

「そう思うけど。僕は」

「……」

「まずはミカサの話をよく聞いてみなよ。当事者なんだからさ」

「確かに。そうだよな」

「同居がしっくりこなければまた別々に暮らしても良いんだし」

「なるほど」

「どうせ、どんな状況になっても僕らの関係は切れないだろうから、ゆっくり考えてみれば良いんじゃない」

確かに、一緒に住むのが難しくなればまた別々に住めば良い。

今、ミカサを家に受け入れてしまうことは終着点ではないのだ。

やり直しは、きく。

そう考えると気が楽になった。

と、同時に今まで気にならなかったことが猛烈に気になり始めた。

ミカサが夜中、咳をしていたのだ。

風邪のひきかけではないか。

今は夏だがあいつは寒がりだ。

やはり床は寒いのかもしれない。

ベッドが必要だ。

「あ、エレンおかえりなさい」

「ただいまー」

「どうだった?アルミンの家」

「なんか、思ったより物が少なかったな」

「ふふ、もっと本がたくさんあると思った?」

「ああ。……ミカサさ」

「ん?」

「お前、夜中に咳してなかったか?」

「え……そう?あの、エレン、ごはんできてるけど」

「え、ああ。手伝うよ。用意するの」

「ええ、ありがとう」

「で、お前、夜咳してたよな」

「……寝てたからわからない」

「やっぱり床で寝るの良くないだろ」

「……それは……エレン、もしかして、遠まわしに私に家に帰れと言っている?」

「……じゃあ率直に聞くけどお前、家に帰る気あんのかよ?」

「……怒ってる?」

「怒ってねえよ」

「返答次第で怒る?」

「怒らない」

「それなら、正直に言うけど、帰る気は、ない」

「そうか」

「うん。そう」

「……」

「……」

「じゃあ、ベッドを運ぼう。ここに。お前の家から」

耳を疑った。

エレンが私のベッドを運ぼうと言っている?

この家に?

この家に転がり込んで以来、いつ追い出されるのか、そればかり考えていた。

無理に居座っているという自覚は私にもあったのだ。

でもエレンは寝室のとなりの部屋が空いたままなのでベッドを運び込んで良いと言う。

私が他の物も運び込んで良いかと聞くと「お前がそうしたいなら、オレは構わない」と。

さらに私が家を引き払ってここに引越しても良いかと聞くと、さすがにエレンもぎょっとした顔をした。

けれど、少し考えてそれも構わないと言った。

本当だろうか。

夢じゃないだろうか。

風邪もひいてみるものだと思う。

エレンは私が寒くないようにと上掛けを一枚、部屋から持ってきてくれた。

エレンの上掛けに蓑虫のようにくるまれて、私は今床の上の布団で眠ろうとしている。

とりあえずここまで

子供時代のやり直しみたいでいいな

こういうのいいね
エレンの手を引くミカサかわいい

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「あっ」

言ったときにはもう遅かった。

一番上に積んであった小さな木箱が落ちる。

今日はミカサの引っ越しだ。

午前中からミカサが自宅の荷物をまとめ、午後からはオレも一緒になって借りものの荷馬車に荷物を積む。

そして森の家に運び込む、という予定になっている。

今は八割方荷物を積み終え、ミカサは近所に挨拶に、オレは残った荷物運びをしているところだった。

いちいち家の中に戻ってくるのも面倒だと思い、荷物を積み上げ一気に運んでいた。

結果、一番上の木箱を落としてしまっ たのだ。

しぶしぶ持ち上げていた荷物を床におろす。

落とした木箱の方を見ると、蓋と本体を縛っていたリボンがズレて中身がはみ出していた。

結局面倒なことになってしまった。

箱の中身は結構な枚数の紙のようだ。

もと通りに戻すため、いったんリボンを完全にほどく。

紙を整えて箱に戻す。

……はずだった。

紙に書かれていた文字がちらりと見えてしまった。

“エレンへ”

が書き出しとなっている。

ミカサの字だ。

これはただの紙の束じゃない。

便箋だ。

手紙の束だった。

しかも一枚は確実にオレ宛ての。

読んでも良いのだろうか。

いや、良いわけがない。

宛名は“エレン”になっているが、オレのもとに届いたものではない。

この手紙はまだオレのものではなくミカサのものだ。

届けられないようなことが書かれているのかもしれないし、いつも通り何でもないことが書かれているだけかもしれない。

どちらにしろ、手紙を勝手に見るのは、だめだ。

便箋の端を揃え、箱に入れ、リボンをかけた。

なぜオレ宛ての手紙は出されることなくミカサの元にあるままなのか。

手紙を書いている途中でオレの解放が決まったのだろうか。

オレ宛ての一通を除いた残りの便箋は何なのか。

誰かからミカサに送られてきたものだろうか。

一体誰が……?

友達か?

およそ2年も会えない日が続いていたのだ。

その間のミカサの交友関係は知る由もないし、ミカサがオレに伝える義務もない。

(案外、ミカサを家から嫁に出す日も遠くないのかもな)

そんなことを思った。

小さな木箱を持ったまま。

床に座ったまま。

息をするのも忘れ、ミカサが戻ってきた音にも気付かずに。

ここまで
たぶん夜にもう一回くらい来る

おつー
ミカサせつない

「エレン。見て。隣の人に枇杷を……」

「っ……あ、ミカサ」

「枇杷をもらった……」

「おう」

「エレン、その箱……」

「一番上に乗せて運んでたら落としちまって……」

「……中、見た?」

「は?」

「見た?箱の中」

「いや……」

「……」

「一瞬だけ……わざとじゃないからな!箱落としたときに蓋開いて……」

「一瞬?」

「便箋が入ってて、その中の一枚はオレ宛てだった。それだけだ。見えたのは」

「そう……」

「オレ宛てのやつも内容は読んでない」

「うん……別に読んでも良かった。全部」

「は……」

「エレンはもしかしたら引くかもしれない。私のこと馬鹿みたいと思うかもしれない」

「は?それって、どういう……」

エレンに向かい合って腰を下ろした。

箱を取ってリボンをほどく。

エレンに訊ねる前から一度箱が開けられた(もしくは開いてしまった)ことはわかっていた。

蝶結びのリボンが縦に傾いていたから。

私はもっときれいにリボンを結んでいた。

中途半端に中を見られてたままでは具合が悪い。

蓋を開け、中の便箋を一枚取り出してエレンに渡す。

エレンは黙って便箋を見る。

さらに困った顔で私を見た。

エレンに残りの便箋全てを箱ごと差し出す。

この箱の中の便箋は全てエレンに宛てた手紙の書き損じだった。

それもただの書き損じではない。

字を間違えた場合は上から訂正してそのまま手紙を出していた。

そういった“普通の書き損じ”とは違い、箱の中のものは書いている途中で涙がこぼれインクがにじんでしまったものだった。

いくら手紙を書いても返事は来ない。

エレンのもとに手紙は届いているのか。

エレンは手紙を読むことができる状態なのか。

エレンは生きているのか。

手紙を書いていると、ふとした瞬間に馬鹿みたいに不安になった。

涙ににじんだ手紙は辛気くさくてエレンに届けたくなかった。

でもすでに宛名を書いてしまっている手紙を捨ててしまうのも不吉な気がした。

だから、ずっとため込んでいたのだ。

私の説明を聞き終わるとエレンは気の抜けた顔をして「へえ」とかそんな感じのことを言った。

「引いてる?」と聞くと「引かねえよ」と言って立ち上がった。

荷物の積み込みに戻ろうとしているエレンを追いかけて「あきれた?」と聞いた。

エレンは振り返り、私の髪をくしゃくしゃにしながら「あきれてない」と言った。

なんだかおかしくなって2人とも笑った。

とりあえずここまで

エレンかっこいいな

乙!

最後まで読むのが楽しみだな

荷物を部屋に運び終え、借りた荷馬車を返すため再度家を出た。

ミカサには、オレ一人で行くから荷物の整理してろよ、と言ったが一緒に行くと言うので一緒に行った。

ついでに食糧の買い出しをし、帰る頃には夕日が沈みかかっていた。

夕暮れ時でも街中は人の熱気で蒸し暑く、ミカサの頬にも汗で髪がはり付いていた。

はりついている髪を指ではがしたくなる。

森に入り、家に近づくにつれ徐々に涼しくなった。

森の中で「涼しくなった」とミカサがオレの方を見て言ったが、その頃にはだいぶ暗くなっていて顔はよく見えなかった。

家に着いてからはオレが食事の支度をし、ミカサは部屋を片付けていた。

食事を終え、濡れたタオルで体の汗を拭い、オレは早くもベッドに寝ころんでいる。

寝ころんだまま隣の部屋の物音に耳をすます。

ミカサはまだごそごそとやっているみたいだ。

この家は壁が薄いな、と思った。

ミカサが今まで隣の部屋に布団と最低限の衣類くらいしか持ち込んでいなかったから、そのことに気付かなかったのかもしれない。

隣の部屋に背を向けて、今日一日を振り返る。

荷馬車で荷物を運んでいたとき、ミカサと取りとめのない話をした。

少し笑ってオレを見る黒い瞳に夏の濃い青空が映っているように見えた。

森の中でオレに話しかけたときも、あいつは同じように少し笑っていたのだろうか。

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ーー

「エレン、お待たせ」

「おう。じゃ、帰るか」

「うん、帰ろう。ねえ、エレン」

「ん?」

「今日のお風呂屋さん、なんだかお湯が熱くなかった?」

「え、そうか?」

「私の方だけ?」

「何かあんのかもな。釜の調子が良いとか悪いとか。よくわからんが」

「そうかも。ねえ、エレン」

「ん?」

「今日もまた曇ってる」

「ああ、最近天気悪いよな」

「聞いた話によると、晴れてたら今日はすごくたくさん星が見えるって」

「へえ。じゃあ残念だな」

「うん。残念」

暮らしが落ち着いてからは家で湯を沸かすよりも風呂屋に行くことの方が多くなっていた。

風呂屋に行くことについては兵団側からも何も言われなかった。

住む場所は定められていたが、その辺はどうでも良いのだろうか。

どこからが駄目なのかいまいち基準がわからないが、まあ良いのか。

兵団以外の場所に出ると興味本位で人が寄ってくるかと思ったが、誰もオレに興味を示さなかった。

というか、巨人になれる奴の顔をよく知っている人がいないようでもある。

辺りが暗いのも影響しているかもしれない。

風呂屋から帰るとだいたいオレもミカサも自分の部屋に直行してさっさと寝る。

いつも店仕舞い直前に行くので、家に着くともう寝る時間だった。

今日ももう寝ようかと思ったが、ふとミカサが星の話をしていたのを思い出した。

窓辺に立ちカーテンを少しずらす。

先ほどまで空を覆っていた雲が晴れ大量の星が見えた。

部屋の境の壁を見る。

あいつはもう寝ただろうか。

寝ていて起こしたとしても怒りはしないだろう。

それくらいすごい星だった。

森の中は周りが暗いのでよけいにすごく見えた。

ミカサを呼びに行くため部屋の扉に向かおうとしたところ、部屋の境の壁を叩く音が聞こえた。

続いて「エレン」と呼ぶ声も。

「エレン、起きてる?」

「起きてる。今お前の部屋に行こうと思ってた」

「星でしょう?」

「そう。それ」

「ねえ、エレン窓開けてみて。虫が入るから明かりは消して」

「明かりとかつけねえよ。星が見えなくなっちゃうだろ」

窓を開けるとミカサが隣の部屋の窓から顔を出しているのが見えた。

オレも顔を出す。

ミカサとどうでも良いようなことをぽつぽつと話しながら星を見た。

こいつは普段からどうでも良いことしか言わない。

あと、この家の壁はやっぱり薄い。

ここまで
話が進むの遅くてごめそ


良い雰囲気


いいね

久しぶりに進撃SS読んだ
ミカサかわいいな

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ーー

いってらっしゃい、と言ってエレンを送り出した。

いってらっしゃいは良い言葉だと思う。

帰ってくる人に向かって言う言葉だから。

エレンは日が暮れる頃には帰ってくる。

これはとても幸せなこと。

エレンが帰ってくるまでに洗濯をし、掃除をし、買い物に行き、食事を作る。

私は今日一日仕事が休みだ。

5日前はエレンが休みだった。

なかなか休みが一緒にならない。

いつもどちらかが休みの日に洗濯、掃除、買い物をまとめてすることになっている。

いつの間にか決まった約束だった。

ただし、下着は各自で洗っていたし、相手の部屋には入らないようにしていたけれど。

これもいつの間にか決まっていた約束だった。

洗濯は、ため込むとなかなか面倒だ。

今はまだ夏だから良いけれど冬になるともっと面倒だと思う。

絶対にすごく寒い。

お母さんやカルラおばさんみたいに、ため込むことなく家事をこなせれば良いのだろうけれどそうもいかない。

私達は2人揃って兵士だ。

仕方ない。

洗濯物はたまるし、食糧は買い貯めしなければならない。

洗濯が終わる頃には太陽が結構高いところに来ていた。

この家はなんとなく私の生家に似ている、と床を掃き清めながら思う。

誰も来ないような森の奥、周りには木しかない。

あの頃は自分の家が見えるところまでが世界の全てだった。

森は危ない所で、危険なものがひそんでいると教えられていた。

私は両親の言いつけを守り、家から離れずに過ごした。

人買いから身を守るためにそう教えられていたのかもしれないと今になって思う。

人買いが家に来ず、エレンが家を訪れていたら私達は友達になっていたのだろうか。

人買いなど、いなければ私はあの森の中を見ることもできたのかもしれない。

ふいに家の裏手の森に興味がわいた。

玄関の方は道がのび、町に続いているが、裏の森の中を進むとどこに出るのか。

掃除を早々に切り上げて探検してみることにした。

子供みたい。

探検なんて。

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ーー

「おかえりなさい、エレン」

「ただいまー」

「エレン、裏の森の奥に入ったことある?」

「え、無いけど」

「今度一緒に行こう」

「は?」

食事の用意をしながら次の休みはいつか、とミカサが尋ねる。

今日の昼頃に森を探検したのだと言う。

森の奥に「なんだか良い場所のような気がする」地点を発見したらしい。

何とも言えない評価だが、ミカサがその場所を気に入っているということはわかった。

表情に出ている。

2人の休日が同じ日になるのはほぼ一ヶ月後だった。

ちょうど秋が始まるくらいの時期だろうか。

その日、一緒にそこに行くことに決まった。

機嫌の良いミカサの顔を見ていると、シガンシナ区にいた頃のことを思い出す。

こいつをこのままこの家に留めていてはいけない。

常にそう思う。

巨人と少数民族の末裔。

お互いに立場が特殊すぎた。

それでもミカサはよそに嫁げばどうにかなりそうではある。

いつか絶対にこの家からミカサを嫁に出す。

そう思っていても、このままずっとシガンシナ区にいた頃のようにミカサと暮らしていたかった。

色々な問題を先送りにしていることがわかっていても今の生活が幸せすぎた。

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ーーー
ーー

「私が言ってた場所、ここ」

ミカサがオレを連れてきた場所は広々とした草原だった。

何の変哲もない。

が、なぜミカサがここを気に入ったのかわかった。

幼い頃2人でよく薪を拾った草原に雰囲気が似ていた。

昼食を持ってきていたので一緒に食べた。

「薪拾ってた場所に似てるよな、ここ」

エレンが言った。

私もそう思う。

生えている植物もこんな感じだった気がする。

薪を拾いに行くとエレンはサボって寝てしまうことがあった。

薪拾いに来ているのになぜ眠ろうとするのか、不思議だった。

そんなに眠りたかったのだろうか。

でも、エレンがサボって寝ていると寝顔観察ができてなんとなく楽しくもあった。

一度眉毛を撫でてみたことがある。

エレンは起きなかった。

睫毛をなぞると、不機嫌な顔をして、起きた。

この草原に2人でいると、シガンシナ区で一緒に暮らしていた頃のことを思い出す。

これからもずっとエレンと一緒に暮らしたい。

そうして奪われた時間を取り戻したいと思った。

草原の中、オレから少し離れたところをミカサがぷらぷらと歩いている。

時折しゃがみこんで草花をしげしげと観察し、たまにオレの方を見てくる。

そうしているミカサを見ていると、何度もシガンシナ区で一緒に暮らしていた頃の姿と重なった。

色んな意味でミカサを遠いところまで連れてきてしまった。

ミカサをオレと出会う前の普通の女の子に戻してやりたかった。

戻さなければならないと思った。

そのためにもこいつをオレのもとに留めておいてはいけない。

その思いが強く胸を締め付けた。

「エレン?」

「……え?」

「気分悪いの?なんだか表情が……」

「は?別になんともねえよ」

「本当に?」 

「本当だ」

「そう……でも」

「でも?」

「気分悪そうな顔してる」

「いや、元からこんな顔だろ」

「……そう」

各自のんびりした後、2人で食糧の買い出しのため町に出た。

エレンの顔色は悪くなく、体調に異常は無いようだった。

それでもいつもと何かが違う。

本当にいつもこんな表情をしていただろうか。

エレンを見ているとわけもわからず不安になった。

あの草原に連れて行ったのが良くなかったのだろうか。

故郷に似たところなんて見たくなかっただろうか。

それとも私が草原をふらふら歩き回っていたのが癇に障ったのだろうか。

エレンはそんなに短気じゃないと思う。

でも考えればいくらでも思い当たる節があるような気がした。

夕食の後、堪えきれず聞いてしまった。

「エレン怒ってる?」

「え、別に」

「あの草原、本当は行きたくなかった?」

「そんなことはないけど」

「……本当に?」

「何だよお前。そんなことねえって言ってるだろ」

「それなら、もし私がまた一緒に行こうと言ったら行ってくれる?」

「まあ、もう一回くらい行っても良いかもな」

「え……」

「あ?」

「それは……あと一回一緒に行ったら、もう一緒に行ってくれないの?」

「いや……そういうわけじゃ」

「……エレン、私は今日もこの家で眠る」

「まあ、そうだよな」

「エレンはそれが嫌?」

「は?別に嫌じゃねえよ」

「明日もこの家にいる」

「……いれば良いだろ」

「明後日も」

「……」

「ずっとこの家で暮らす」

「……いや……それは、ダメだろ」

「……なんで?」

「お前、どっかに嫁ぐだろ」

「どうして?そんなことしない」

「何でだよ。嫁げよ」

「どうして赤の他人と暮らさなきゃいけないの」

「いや、でも」

「エレンと私は家族でしょ?違う?」

「……子供でもできればお前のその考えも変わるんじゃねえの」

「……エレン、本気?」

エレンを居間に残したまま自分の部屋に入った。

扉の音が大きく響いたのでかなりの勢いをつけてしまっていたのだと思う。

子供の作り方を知ったのは訓練兵になってすぐのときだった。

最初の座学の時間がその説明にあてられた。

そのとき初めて、陰茎という普段おちんちんと呼んでいたものを、膣という私がそれまで存在に気付いてすらいなかった穴に挿入するという行為を知った。

その頃はまだ生理も始まっていなかったし、おちんちんからおしっこ以外のものが出てくることも知らなかった。

中におちんちんを入れたまま射精すると子供ができるのだそうだ。

そして、もし訓練兵の身分で子供をつくった者がいれば、罰を与えると言われた。

孕ませた男は一定期間の拘禁と罰金。

孕んだ女は兵団を追い出されて罰金。

ただし女の方は産んだ子供が入団して、きちんと卒業できればお金が少し戻ってくると言われた。

その話を聞いて私もエレンもアルミンも震え上がった。

私達には払えるお金なんて無かったし兵団を追い出されてしまったら行くところも無かった。

見知らぬ者と密室に入り込まないように、と3人で約束しあってその日は別れた。

そして同日の夜、女子訓練兵だけ抜き打ちの頭髪検査という名目で講堂に集められたのだった。

実際は頭髪検査など行われず、教えられたのは堕胎方法と避妊方法だった。

まず種々の堕胎方法を説かれた。

次に避妊方法の講義が始まった。

完璧な避妊法など存在しない、初めにそう言われた。

しかし、妊娠の確率を下げる方法はある。

逆に妊娠の確率を上げる方法も。

要は排卵日を避けろという話だった。

妊娠したいのなら排卵日前後になるべくたくさん性行為をしろと言われた。

男子訓練兵には教えなかったが生理前の数日間と生理中は妊娠の可能性が低くなる。

将来結婚して子供を作るとき、そして訓練兵であるのにどうしても性交を避けられない事態に陥ったとき、この知識を役立てるように。

ただし生理周期が狂うこともあるし、周期が狂っていなくても妊娠することはある。

「妊娠しない時期」など無く「妊娠しにくい時期」が存在するだけなのだ。

しかし男子訓練兵は「妊娠しにくい時期」を「妊娠しない時期」と捉えて安易に体を求める可能性が高い。

堕胎にしろ出産にしろ大きな負担を強いられるのは、女子だ。

男子は妊娠しないから深く考えずに興味本位で関係を持とうとする。

だから今日この場で得た知識は決して外に漏らさないように。

そう締めくくられ女子は宿舎に戻された。

私は今まで、この女子だけの秘密を誰にも話したことが無い。

エレンにも、アルミンにも。

妊娠しない時期など無く、妊娠しにくい時期があるだけだ。

エレンはこのことを知らない。

そして、私の体は今、妊娠しにくい時期のはずだった。

確実とは言えなくとも妊娠する可能性は、低いのだ……

ここまで
次からどんどんいかがわしくなっていくと思うから苦手な人はそっ閉じでよろしく

見知らぬ者と密室に入り込まないように約束する3人
いいねー
みんなかわいい


震え上がる三人可愛いなw

コツコツと壁を叩く音、そして壁越しにオレを呼ぶ声が聞こえた。

どうかしたのか、とオレも壁越しに尋ねる。

そっちへ行っても良い?とミカサが言った。

何と答えるか少し迷った。

居間で話していたときのミカサの顔を思い出す。

今にも泣きそうな、そしてオレに殴りかかってきそうな顔をしていた。

何が目的でこの部屋に来ようというのか。

仲直りの挨拶か、泣いてオレに文句を言うのか、それともオレに一発お見舞いする気か。

この中のどれでも別に構わないと思った。

あいつの好きにすれば良い。

殴りたきゃ殴れ。

殴られるのは嫌だがミカサを拒む理由にはならない気がした。

そう思い、来いよ、と答えた。

すぐにミカサが部屋のドアを開けて入ってきた。

燭台まで持って来やがった。

一言ですむ仲直りの挨拶の可能性は消えた。

長丁場になりそうだと思った。

「エレン……あなたにとても大事な……お願い事がある」

「……何だよ」

「一度で良いので」

「……」

「私と……あの、性行為、というか、性交渉をしてほしい」

「は?!」

「あ、その、つまりセックスを……」

「……おま、お前、何言って」

「いや、えと……違う。性交渉なんてそんな気の利いたものはしなくて良いので……一度だけ、私の中で射精してほし……」

「いや、お前ふざけるのも大概にしろよ」

「違う。ふざけてなんかない」

「真面目に聞けってのかよ?ふざけてんだろ」

「エレン、お願い」

「いや、聞けるわけねえだろ」

「どうして?」

「は?いや……だってお前、子供が出来たらどうすんだよ」

「大丈夫。出来ない」

「いや、出来るって」

「エレン、私は女子だけに教えられたことを知っている。その方法に従えば、今は子供は出来ない」

「どんな方法だよ?言えるなら言ってみろ」

「それは、できない」

「やっぱりな。デタラメ言ってんだろ?」

「違う。訓練兵のときに外部に漏らすなと言われた」

「何でだよ」

「それは……言えない」

「お前な、言えないでこっちが納得するとでも」

「エレン」

「あ?」

「私はさっきあなたが言ったように、いずれどこかに嫁ぐ。約束する」

「え、そうか」

「その前にお願い。一度だけ私のお腹の中に出して」

「は、お前バカだろ。つまんねえこと言うなって」

「バカでも良い。でも……」

「でもじゃねえよ。部屋戻れ」

「でも、エレンに触れられたこともない場所を他の人に触られるなんて嫌」

「嫌とか……そんなこと……」

「絶対に、嫌」

「……」

「エレン私……」

「……んだよ」

「私、いま、下着穿いてない」

ミカサの腕をオレの手が掴んだ。

こいつを部屋から追い出すのか、と思ったが、あろうことかその手はミカサをベッドに押し倒した。

ミカサも素直に倒れた。

抵抗しろ。

抵抗してくれ。

オレにはミカサを離せない。

長いスカートを捲り上げ、足を開かせる。

本当に、下着を付けていなかった。

性器がむき出しの傷口のように見える。

蝋燭の明かりのもとでは色がはっきりせず、周りよりも色が濃いことだけがわかった。

迷いなくそこに手を触れた。

粘膜として最低限の湿り気があるだけで、そこは口の中よりも乾いていた。

こんなに乾いてちゃできねえだろ、と言いかけたそのとき、オレが触れている場所の湿り気が増した気がした。

知っている。

こいつはオレのことが好きだ。

性器は信じられないほどに柔らかい。

襞にそって、傷を付けないよう慎重に、おそるおそるなでた。

徐々に、どこからか、ぬるぬるとしたものが分泌される。

時折ミカサの反応が気になって耳をすましたが、ミカサは一切声を出さなかった。

スカートに小さなしみができる。

どこに触れればより多くの分泌液が出されるのか。

割れ目の付近か、尻の穴の近くか、右か、左か。

いつしかミカサの声に注意を払うことも忘れて性器を弄りまわしていた。

スカートにできたしみがずいぶん大きくなっている。

濡れそぼった陰毛が股間で間抜けによじれていた。

十分すぎるほど塗れていると思った。

尻の穴から上の方に親指を這わせる。

肉の窄まる一点を見つけた。

狭苦しいそこに、小指を押し込んだ。

途端にミカサが小さく声をあげた。

我に返る。

痛いか、と聞く。

ミカサは首を横にふった。

が、両手でシーツを握りこみ、下唇を噛んだその顔を見ればわかる。

痛いんだ。

誰もここに触れたことがなかった。

オレが今、初めて触れた。

これぐらいで痛がってちゃ何もきないだろ、と言った。

部屋に戻れ、と言った。

やっと言えた。

ミカサを起きあがらせ、部屋に戻らせた。

帰り際、明日も来て良い?とミカサは言った。

来るな、と言わなければならない。

言えなかった。

無言であいつの顔を見ることしかできなかった。

あいつも黙って部屋に戻った。

明日の夜も来るのだろう。

ミカサがきつく握ってできたシーツのしわがそのままベッドの上に残っている。

ミカサを離したくない。

知っている。

あいつはオレのことが好きだ。

そしてたぶん、それ以上にオレはミカサのことが好きだった。

ここまで!
おやすみ

エロいのに泣ける

乙乙
エロキター!!

エレンに嘘をついた。

子供が出来ないなんて嘘。

でも可能性が低いのは本当。

……だから何だというのだろう。

エレンに嘘をついたことに変わりはない。

エレンを裏切ってまで私は何をしているんだろう。

どうすれば良かったのかわからない。

エレンの言う通りにするべきだった?

てっきりエレンは私と離れたくないのだとばかり思っていた。

でも違ったみたい。

エレンは私と他人が性行為をしても良いと思っている。

誰にも見せたことのない肌を見られても良いと思っている。

エレンから離れられないのは私の方だったのだろうか。

きっと嫌われてはないと思う。

でも、思っていたより好かれてもいなかったのだとも思う。

自惚れていた。

たぶん、何年も。

考えるとお腹の辺りが苦しくなる。

エレンは私がいなくなっても平然としていられるのだろうか。

痛がってちゃ何もできない、と私に言ったときのように。

知らなかった。

痛いなんて。

それでもエレンの精液がお腹の中に欲しかった。

そうすればエレンと離れていても生きていけるような気がした。

「おはよう」

と朝、居間で顔をあわせたときどちらからともなく言っていた。

まるで昨日の夜に何もなかったみたいな顔をして。

昨夜スカートにしみを作っていた女と、目の前にいるミカサが同一人物だと思うと変な気持ちになった。

本当は昨日の夜に何も起こらなかったのではないか、そんな気持ちになる。

全部バカみたいなオレの妄想だったんじゃないか。

……いや、そんなはずはない。

しっかり覚えている。

ふよふよと頼りない粘膜の手触り、ミカサが上げた細く短い声、苦しげな表情。

日に焼けたことのない太ももの内側を見た。

あいつがシーツにつけたしわの形をありありと思い出せる。

あれはオレしか知らない。

あのミカサを誰も知らない秘密にしておきたかった。

今日もまた夜がくる。

ミカサに触れるのを恐れているのか待ちわびているのか自分でもよくわからなかった。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

私は今、エレンの部屋の前で悩んでいる。

何と言って入れば良いだろう。

仮に「入っていい?」と聞いたとして「だめだ」と言われたら入れない。

昨日私は何と言ってエレンの部屋に入ったんだっけ。

忘れた。

エレンは今日こそ最後までしてくれるだろうか。

また指で弄られるのだろうか。

股間をぬるぬるにされるのだろうか。

ぬるぬるになるのはあまり好きではない。

昨夜はお尻まで伝っていて気持ちが悪かったし、毛が変な風にひっついたまま乾いて痛かった。

指でしないで、と言ったら聞いてくれるだろうか。

でも余計なことを言ってしまうとエレンからまた追い返されるのでは。

喉が渇いてきた。

ここはひとまずお水でも……

と、思った瞬間心臓が止まるかと思った。

部屋の扉が内側から開いてエレンと目が合った。

何か言われる前に急いでエレンの部屋の中に滑り込む。

そしてベッドのわきで下穿きを脱いだ。

オレの部屋の前にミカサがいるのは知っていた。

足音でわかる。

入ってくる気配がないので、部屋に戻れと言えば戻るんじゃないかと思って扉を開いた。

そうするやいなやミカサはするりとオレの横を通り抜け、部屋の中で下着を脱いだ。

止める間もなく。

それともそれは言い訳で、止めることができたのにオレは止めなかったのだろうか。

よくわからない。

ミカサが白っぽい下着を握りしめ、こちらを見た瞬間、どうしようもなく触れたいと思った。

あれこれ考えるのが面倒になっていた。

ミカサは当然のようにベッドに横たわり、膝を立てた。

勝手にオレのベッドにあがりやがって厚かましい奴。

体の奥からミカサを無茶苦茶に抱きしめたい気持ちがわき上がってくる。

暗闇の中どちらも無言のままだった。

昨日ミカサが置いていった蝋燭に火を灯す。

椅子をベッドの足側に寄せ、その上に燭台を乗せた。

足を開かせる。

昨日は燭台が机の上に置かれていたため陰になってよく見えなかった場所が、今日はよく見える。

思っていた以上に薄い粘膜が重なり合っていて複雑だ。

傷つけないよう慎重に襞を左右に広げた。

徐々に指を下の方へずらしながら広げていくと、入口らしき場所が見つかった。

小さな穴が見える。

幼い頃に川で捕まえた小魚の口を思わせる、狭く、丸い形をした穴だった。

昨日はよく見ずに指を突っ込んだが、たしかにこれは痛かっただろう。

小指が入るかさえ微妙に思える。

こんな所に本当に陰茎が入るものなのか。

でもここから子供が生まれてくるんだから挿入も出来るはずだよな。

女っていうのは最初はこんなものなのか。

よくわからない。

オレはミカサしか知らない。

指の腹で撫でてみた。

きゅ、と穴が窄んだ。

何だこれ、本当に魚みたいじゃねえか。

なんとなく微笑ましい気分になって撫でまわしていると、愛液が溢れ出た。

オレはバカか。

こいつは魚じゃない。

溢れ出てくるものを性器全体に塗り広げながら、ミカサの太ももに噛みつきたい気持ちを必死に抑えた。

蝋燭の明るさが気になる。

エレンの方からは私の性器がはっきり見えていると思う。

自分でよく見たことは無いけれど、ごちゃごちゃと入り組んでいる印象があって、じろじろ見られるのは抵抗がある。

でも仕方ない。

見えなければできない。

エレンはやはり今日も指で弄り始めた。

わざとではないと思うけれどエレンはなんだかくすぐったい所ばかりを触る。

ぞわぞわして少し嫌。

早くおちんちんを入れてほしい。

でもエレンはやめてくれない。

お尻の割れ目にぬるぬるしたものが垂れてきているのを感じて、スカートが濡れてしまう、と伝えた。

エレンは黙って私の腰の下にタオルを敷いた。

指で弄るのをやめる気は無いようだった。

くすぐったい所ばかりを延々と攻められて、お腹が引きつる感じがする。

少し呼吸が苦しくなった。

お尻の方のぬるぬるが空気にあたってひんやりしてきた。

気持ち悪い。

息が苦しい。

エレンの手の動きがふいに止んだ。

もう片方の手がぴとりと私の右膝を包んだ。

あ、と声が出そうになるのを堪える。

痛かったら教えろ、と言いエレンが私の膣口に指をあてがうのがわかった。

痛いと言えばエレンはやめてしまうのだろう。

絶対に声を出すまいと思い、口を両手で塞いだ。

魚の口のような穴に小指を差し入れる。

方向を探りながら徐々に、徐々に。

ミカサに痛い思いをされるのは嫌だった。

蝋燭の光を反射してひくつく性器全体が指の侵入を許すかどうか悩んでいるように見えた。

犬を落ち着かせるようにミカサの脚を撫でさすりながら少しずつ指を進めていく。

刺激に耐えようとしているのか、足の指がシーツを握り込んでいていじらしい。

ときに緩く包まれ、ときに締め上げられながらとうとう指の付け根までを差し込んだ。

ミカサは終始無言だった。

指を突き刺したまま、下腹部を撫でた。

ミカサが微かに声をあげて息をするのが聞こえた。

ミカサの呼吸が少し落ち着くまで待って、指を抜いた。

ミカサもオレも消耗していた。

今日はもう部屋に戻れ、と言うとおとなしく部屋に戻っていった。

ミカサが部屋に戻る音を確認した後、愛液に濡れた右手を見た。

その手で自分の陰茎を猛然と扱いた。

ここまで

微笑まし羨ましい
少しずつ慣らしていくのエロいな……

エレンに触られたところが少しヒリヒリする。

でも朝起きたら私達は何事も無かったかのように一緒に食事をする。

何事も無かったかのように話す。

一緒に家を出て、各々帰宅する。

そして夕食をとる。

居間には魔法がかかっているようだと思う。

そこでは私もエレンも夜のことを忘れていられる。

少なくとも忘れているふりができる。

今日もまた、夜になる。

エレンの部屋の扉を叩き、返事を待たずに開いた。

「お前、勝手に入ってくんなよ」

「入っちゃ駄目だった?」

「駄目とは言わねえけど……」

「そう。良かった」

「……」

「では、下着を脱ぐ」

「……」

「エレン」

「あ?」

「……あの、脱いだのでベッドに」

「え、ああ……来いよ」

「うん」

「……」

「今日は自分でタオル持ってきた」

「……そうか」

「じゃあ、あの……お願い」

「わかってるよ」

「うん」

「……お前さ」

「ん?」

「この蝋燭部屋に持って帰らねえの」

「うん。部屋にもあるから大丈夫」

「そうか」

「……」

「……」

「……エレン」

「あ?」

「あの……どうしても、指でしなきゃ駄目なの?」 

「え……?」

「あ、変なこと聞いてごめんなさい。別に答えなくても」

「指だと痛かったか?」

「いえ、そういうわけでは……」

「じゃあ何だよ」

「何でもない」

「やっぱり痛かったんだろ?痛いなら言えって」

「違う」

「じゃあ何だよ。言ってみろよ」

「……私におちんちん入れるの嫌?」

「は……?」

「入れたくない?」

「それは……」

「だから指入れるの?嫌だから?」

「……いや、そんなんじゃねえだろ」

「じゃあ何?正直に言ってほしい」

「だって……お前、初めてだよな?」

「何が?」

「いや、誰かと……こういうことすんの」

「え?うん」

「だからお前の、慣れてねえから……いきなり入れたら……入らねえだろ」

「……そうなの?」

「まあ……たぶん」

「私、入らないの?」

「いや……今はな」

「……」

「……」

「……私が慣れてないから」

「え?」

「だからあんなにぬるぬるになるの?」

「は?」

「いつもお尻までぬるぬるする。それも慣れてないから?」

「は?え?それはお前、濡らさねえと入らねえだろ」

「……そうなの?」

「いや、そうじゃねえの。たぶん」

「エレンは……」

どうしてそんなことを知っているの?

思っただけで聞くことはできなかった。

私以上に私の体の仕組みを知っているなんて。

エレンは他の女の人と行為に及んだことがあるのだろうか。

誰と?

いつ?

お金を払ってそういった経験を出来る場所があることくらいは私も知っている。

エレンも行ったことがあるのだろうか。

知ったところで私にどうこう言う権利はないけれど。

私に触れるあの指を知っている人が他にもいるのかもしれない。

単純に、悲しい。

悲しい、悲しい、悲しい。

叶いそうもない夢だけれど仮に子供を産むとしたら私はエレン以外の人の子供は欲しくないと思っている。

でもエレンは違うのだろうか。

よくわからない。

夜のエレンは特にわからない。

私に触れてくれる。

きっと嫌われてはない。

でも私にこの家から出て行けと言う。

たぶん、そんなに好かれてもない。

じゃあどうして私に触れるの?

考えが堂々巡りになっていつも結論は出ない。

いつの間にエレンの知らない所がこんなに増えたんだろう。

エレンのことを一番知っているのは私だと思っていたのに。

エレンのことを誰よりも理解することができていれば、ずっと一緒にいられたのだろうか。

近いうちにエレンのそばにはいられなくなる。

その日までに何としてでもエレンの精液を体の中に入れておきたい。

これ以上ないくらいエレンのそばにいたことを体に記憶させたい。

こんなことを考えるのはおかしいだろうか。

きっと、おかしいと思う。

お母さんとお父さんみたいに恋をして、愛し合った人達に許されるべき行為を踏みにじっている。

この気持ちは、たぶん恋ではないと思う。

どういう気持ちなのか自分でもよくわからない。

でも家族としての情愛の域を越えていることは私にもわかっていた。

エレンは……と言ったきりミカサは喋るのをやめてしまった。

続きを話し始めるのを少しの間待ってみたが、口を開く気配が無いので昨日と同じように脚を開かせた。

先ほどの会話を思い返すと不安がよぎる。

ミカサは慣らすことも濡らすことも知らなかった。

確かに座学で習うようなことではない。

オレだって同期の話を聞きかじった程度しかわかってない。

座学の時間に見せられた図の中でオマケ程度にしか扱われていなかった陰核が実は性感帯だとか、そこはちんこみたいに皮が剥けるだとか、処女は痛がるとか血が出るかもとか……

ミカサもそのことは知っているのだろうか。

性行為の際に性器が濡れることも知らないこいつの言う避妊法は信じて良いのか。

ミカサがオレに嘘をつくとは思えない。

でもミカサ自身間違った知識を信じている可能性は大いにあり得る。

もし子供が出来てしまったら?

オレたちの子供なんて生まれてしまったらその子は確実に実験動物扱いされる。

オレもミカサも立場が特殊すぎる。

だからミカサをオレのもとにとどめておいてはいけない。

子供なんて作れるはずがない。

ミカサを信じられなければ、この関係をやめれば良い。

簡単な話だ。

そんなことはわかっている。

それなのにやめられない。

結局、自分の欲望に抗えない。

ミカサの体中に噛みついて歯形を付けたい。

いつからこいつをそんな風に思うようになったのか。

気がついたら離したくなくなっていた。

誰かが、オレを殴り殺してくれれば良いのに、と思った。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

お昼、トイレに行くと生理が始まっていた。

今夜からしばらくエレンの部屋には行けない。

せっかく指を入れられるようになったのに、間が空いたらまた戻ってしまわないか不安。

昨夜、エレンには変な所を触られた。

変な所、といってもどこを触られたのか、はっきりとはわからない。

今まであんな感覚を味わったことがなかった。

そこに手を触れられるとお腹の筋肉が引きつって意図せず脚が少し浮いた。

エレンもびっくりして、痛かったか、と聞いた。

でも私は痛みを感じたわけではなかった。

だから首をぶんぶん横にふった。

エレンはもう一度そこに触れた。

痛みではない。

強いてこの感覚を表すなら「熱い」が一番近い気がする。

声を出すまいと口を押さえていたけれど、堪えきれずにむせた。

エレンはかなり困惑していた。

私も混乱した。

エレンはその場所に触れるのをやめて性器全体を揉むように撫でていた。

たぶん私に指を入れるかどうか迷っていたと思う。

しばらく撫でた後、私のぬるぬるした部分をなぞり、ゆっくりと指を入れてくれた。

入る瞬間がゾクッとくる。

入れられた後はかすかに異物感がある。

エレンの指に慣れればこの異物感も無くなるのだろうか。

「熱い」あの場所に触れられると何故か喉元と足の裏も熱くなった。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

夜、隣の部屋からコツコツと壁を叩く音が聞こえた。

続いてオレの名を呼ぶ声も。

ミカサだ。

返事をすると「今日から何日かそっちに行けない」と言われた。

聞いた瞬間、心臓が早鐘を打ち始めた。

何でだ?

どうしてこの部屋に来られないんだ?

オレ、何かしたか?

黙っているとミカサがまたなにやら話し始めた。

「たぶん、ひと月近くそっちには行けないと思う」

「行けそうになったらまた連絡する」

「おやすみなさい」

ここで会話、というかミカサの一方的な発言は終わった。

ミカサは自分のベッドに入ったのだろう。

隣から物音はしない。

もう眠っただろうか。

オレはなかなか寝付けない。

ミカサが来ないことと昨夜のことは何か関わりがあるだろうか。

昨日、たぶんミカサの陰核、クリトリスを発見した。

発見、というとおかしいかもしれないが今までどこにあるかよくわかっていなかった。

昨日触れたところがそうだと思う。

昨夜、濡らしている最中に一カ所だけ硬くなっている場所を見つけた。

そこは皮を被っている、というより瞼のように襞が重なり、内側に何かを隠しているように見えた。

割れ目全体を引き上げるようにして襞の重なりをずらすと、小さくつるりとした突起が出てきた。

たぶん陰核だ。

ここを触ると女はよがると言っていたのは誰だったか。

愛液で指を濡らしてそこに触れた。

途端にミカサの体が跳ね上がった。

ミカサは弄っている最中、ほとんど声をあげないから良いのか嫌なのかよくわからない。

痛かったのかと尋ねると首を横にふった。

表情を見ると痛くはなかったように思えた。

だからもう一度触れた。

するとミカサは激しく咳き込んだ。

びっくりした。

嫌だったのだろうか。

これ以上触って良いものか悩んだ。

悩んだが、指を入れずに帰してしまうと、この性器がまた何も知らない頃に戻ってしまうような気がした。

愛液は十分で尻に伝うほどしっかり濡れていた。

たぶん入れても大丈夫だ。

この体にオレを忘れさせたくない、というつまらない感情もあったと思う。

結局は昨夜も小指を差し込んだ。

挿入したまま探ってみると、硬くなっていたクリトリスは硬さを失い肉に埋もれてしまっていた。

無理をさせただろうか。

刺激が強すぎたのではないか。

痛かったのではないか。

今も痛みを感じているのではないか。

だから今夜は来られないのか。

直接聞きたかった。

壁を叩いてみた。

ミカサはもう眠ったしまったのか、呼びかけてみても返事は無かった。

ここまで
>>124ミカサを少しずつ開発する話を書きたくてスレ立てたんだぜ
エロまでの前置きがやたらと長くなったけど


どっかで見た、限りなく原作に近い絵のエロ同人を思い出す

昼と夜で別の顔が見えるのいいよね

最後まで読むのが楽しみ

魚の口にぶちこみたい

>>1だけど訂正
>>143
×眠ったしまった
○眠ってしまった

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

20日あまりが何事もなく過ぎた。

天気が良いというだけでミカサは微笑み、ちょっとしたことで小言を言い、オレが言い返すとむっとした顔をし、また元に戻る。

この繰り返しだ。

この繰り返しの毎日が幸せだった。

ミカサの内側に触れたことなどないような顔をして過ごす。

そのまま過ごしていれば、オレの過ち全てが無かったことになるような気がした。

秋の明るい日の光にミカサの白い肌が溶け込んで見える。

それを見る度に、あの真っ白い太股の内側を思い出しては強引に頭から消した。

明日が今日の繰り返しであれば良いと毎晩眠る前に願った。

私が以前住んでいた街の家よりも森の中は気温が低いと思う。

少し肌寒い。

洗濯物を干す手先が冷える。

冬はすごく寒いだろう。

今日は私だけ休みの日だった。

家に入り、エレンがいつも座っている椅子に座ってみる。

私が座っている椅子と同じ形なのに何かが違う気がする。

なんだか楽しい。

テーブルに突っ伏す。

少し、疲れた。

私の計算ではすでに排卵日は過ぎている。

もうそろそろ俗に言う安全日だ。

実際には安全な日なんて無いけれど、まあ可能性は低い。

次の生理まで少なくともあと5日はある。

エレンはお腹の中に出してくれるだろうか。

エレンは今、何をしているだろうか。

エレンは私のことを少しでも好きだろうか。

どうしても私はエレンと離れてお嫁に行かなければならないのか。

エレン、エレン、エレン、エレン……

突っ伏したまま考えているとふいにお腹の辺りからエレンの匂いがした気がした。

同時に地面が消えて無くなるような恐怖がお腹から這い上がってきた。

エレンのことが怖いんじゃない。

エレンにとんでもないことをさせているとわかっているのにやめられない自分が怖かった。

午後からは雨になった。

昨日は晴れていた。

オレが願っても今日は昨日の繰り返しにはなってくれない。

帰る時間になっても降り続いている。

雨具を持ってきていなかったので止むのを待ってみたが一向に止む気配がない。

俄雨じゃないのかよ。

心持ち小降りになった気がしたので、この隙にいっそ走って帰ろうと決めた。

外に出てすぐ、こちらに向かって走ってくる人影が目に入った。

雨具のフードを目深にかぶっていて人相がはっきりしない。

でも誰だかわかった。

ミカサだ。

「ミカサ?!」

「エレン、良かった。まだそんなに濡れてない。とりあえずそこの軒下を借りよう」

「あ、おう」

「エレンの分の雨具持ってきた」

「え、どこだよ」

「ここ。手で持ってたら走りにくいし濡れるからシャツの中に。どうぞ」

「どうも……」

「ぬるくなってたらごめんなさい」

「いや、別に気にしねえよ。ぬるくても」

「そう。良かった」

「ありがとな」

「うん。帰ろう。ごはんできてる」

ミカサと二人並んで帰った。

雨具は別にぬるくはなかったが、ミカサの匂いがした。

シャツの中に入れていたから当然か。

ほのかに甘く、なんとなく美味そうな匂いだ。

ミカサのスカートの奥からも同じ匂いがすることを知っている。

しっとりと吸い付く肌、柔らかい粘膜と同じ匂いだ。

雨具に包まれていると、何度頭の中から追い出しても繰り返し夜の記憶が蘇る。

家に帰って濡れたブーツを脱ぎ上着を壁にかけた。

椅子に座るとまたミカサの匂いを感じた。

たぶん雨具のせいで、今日のオレは少しおかしくなっている。

何度もしつこく夜のことを思い出す。

昨日までのように忘れたふりをできない。

今日は昨日とは違う。

夕食後、部屋に入って寝支度をしていると、オレの心を見透かすように壁を叩く音が聞こえた。

条件反射のように蝋燭に火をつける。

ミカサが部屋に入ってくる。

ミカサと性的な接触をしていることに対する罪悪感など一瞬で忘れた。

この夜をひと月近く待ち望んでいた。

そして、同じくらいこの夜を恐れてもいた。

洗濯物を取り込む時点で、今夜エレンの部屋を訪れることは心に決めていた。

でも居間でそのことを伝えるのは、はばかられた。

居間は夜のこととは切り離された空間のままにしておきたい。

だから前と同じように壁越しにエレンに伝えた。

エレンの部屋に入ることを拒否されるのではないかと不安に思っていたので正直拍子抜けした。

でも考えてみれば今までに一度もエレンから部屋に入るなと言われたことはない。

私はもっと自信を持っても良いのかもしれない。

きっとエレンは少しくらいは私のことが好きだ。

部屋に入ると蝋燭に火が灯されていた。

エレンがベッドを目で示した。

足音をたてずにベッドに近づき、下着を脱いで静かに横たわった。

蝋燭だけの薄暗い部屋でもエレンの目は輝いている。

あの明るい瞳で見る世界は私が見ている世界よりもずっと明るいのではないかと思う。

エレンが私のスカートを捲り上げ、脚を開かせた。

割れ目を広げ、指を触れる。

そして、ふと思いついたように「ずっと来なかったのは、この前痛くしたからか」と私に尋ねた。

黙って“濡らして”くれるものと思っていたので戸惑った。

そうではない、痛くはなかった、別の事情があった、だから来られなかったのだと答えた。

自分が思っていたよりも、しどろもどろな話し方になってしまった。

下半身を露出した状態で、まともに話すこともできず、私は何をしているんだろうと思う。

別の事情とは何か、とエレンは続けて問うた。

私はさらに狼狽した。

まさか排卵日を避けていたとは答えられまい。

追究されれば避妊方法の不確実性がばれる。

とっさに生理だったのだ、と答えた。

嘘ではない。

訓練兵時代の座学で男子も月経の説明は受けたと思う。

さらに何か聞かれるかと身構えたけれど、そのことについてはそれ以上何も言ってこなかった。

その代わり広げた粘膜の一部を指でかすかに揺さぶるように触り、痛くないか、と尋ねられた。

痛くなかったので痛くないと答えた。

触っても何ともないか、と尋ねられた。

くすぐったい、と答えた。

なぜか妙に恥ずかしい。

そのままエレンは少しずつ指の場所を変えながら何度も痛くないかと尋ねた。

その度に、くすぐったい、少しくすぐったい、くすぐったくない、のどれかを答えた。

痛い場所は無かった。

くすぐったい場所が多い。

尋ねられ、答えながら明らかに濡れてきているのがわかってものすごく恥ずかしかった。

一通り触り終えるとエレンは広げていた割れ目を一旦元に戻した。

そして閉じた割れ目の上から、ある一点をぐりぐりと押さえ、ここは?と尋ねた。

押された瞬間性器全体とお尻の穴が、ぎゅっと縮こまった。

恥ずかしかった。

痛くない、と答える。

くすぐったいのか、と尋ねられた。

くすぐったくない、と答えた。

くすぐったいという表現は少し違う気がした。

くすぐったい、という言葉では足りない感覚。

エレンはさらに尋ねる。

何ともないのか。

そういうわけではない。

触られると気持ち悪いか。

そんなことない。

触られるの嫌か。

嫌じゃない、でも……

でも?

なんだか変な感じがする。

私がそこまで答えると、エレンはそこから指を離した。

そしてよく濡れているお尻に近い部分を弄り始めた。

濡れているので弄られると唇を開くときのようなかすかな音がする。

しばらく弄った後、エレンはさきほどぐりぐりと押さえたところ付近の割れ目に指を差し入れた。

変な声が出た。

指を挟み込んだまま、動きを止めてエレンが痛いか、と尋ねる。

これ以上変な声を出さないように手で口を押さえて首を横に振った。

目と鼻の辺りが熱い。

エレンが差し入れた指をこするように動かした。

どうすれば良いかわからず目をぎゅっと瞑って声を出すのをこらえる。

割れ目を広げられた。

同じところを濡らした指でこすられる。

決して痛くはない。

でも溜まった涙が目尻からこぼれるのがわかった。

目も鼻も手も足も喉も熱い。

そして息が苦しい。

エレンが指を離し、大丈夫なのか、と尋ねる。

ひゅ、ひゅと変な音を鳴らして空気を吸い込む。

少し呼吸が落ち着いてから先ほどと同じように、変な感じがするのだと答えた。

エレンからの返事は無かった。

その代わり、割れ目を広げていた指が、性器全体をお臍の方に引き上げるように動いた。

そしてある一カ所をエレンが撫でた。

熱い。

以前触れられたらあの場所だ、とわかった。

声を堪えようとして私はまたむせた。

エレンは黙って私の様子をうかがっている。

やっとのことで、痛くない、熱い、と伝えた。

エレンの手が触れた所が体中のどこよりも熱かった。

剥いたクリトリスに触れると何故かミカサは咳をする。

咳き込む姿が妙に幼く見えた。

咳が止まり、呼吸が落ち着くと「痛くない」「熱い」とかすれた声で言った。

熱い。

どういう感覚なのだろうか。

体中が熱いのかそれともどこか特定の部位が熱いのか。

ここは触らない方が良いのだろうか。

気持ちいいとは一度も言わない。

オレが下手ってことか。

よくわからん。

一度ミカサの自慰を見てみたい。

どこに触れられるのが好きなのか知りたい。

いや、そんなことを考えてる場合か。

それ以前にミカサとこんなことをするのをやめなければならない。

でも、できない。

何度も同じことを考えて、一度も思う通りに行動できない。

ミカサを解放しなければならない。

それなのに離れたくない。

だめだ。

無言でうつむいているとミカサの手がオレの手に重ねられた。

予期せぬ出来事に手がビクッとはねる。

何のつもりだ……?

オレが動かないでいるとミカサが小さな声で問いかけた。

「今、どこを触ったの?」

「……は?」

「今の、熱いの、どこ?」

「え、そりゃ……ク……いや」

「……」

「ここだろ」

「ぅ……」

「自分の目で見れば良いだろ」

こんなことをしているくせにミカサにクリトリスだの陰核だのと言うのはなんか恥ずかしかった。

左手でミカサの背を支えて上半身を起こす。

右手でクリトリスを剥き、示した。

ここ?と言いながらミカサは自分で触れた。

触れた瞬間、泣き声を堪えるような音がミカサの喉の奥から聞こえた。

自分の性器なのにクリトリスを知らないのか。

避妊方法を知っていると言い張り、でかい図体をして、こいつの性器は幼い頃のままなのか。

濡れていて、感じているように見えても「気持ちいい」とか「いきそう」とかは言わない。

「くすぐったい」「変な感じがする」「熱い」

ミカサは肉体の快楽を知らないのか。

もしかして自慰をしたことも無いのだろうか。

というか、女ってどうやってやるんだ。

いや、そもそも女は自慰をしないのかもしれない。

体は十分に成熟しているというのに。

本人すら触れたことのない場所にオレは初めて触れたのか。

優越感、独占欲、征服感。

およそミカサのためにならない感情が心を占める。

そのままの体勢で小指を差し入れた。

ぴっとりと粘膜が密着する。

この体はオレを覚えている。

手がつるんじゃないかと思いながら親指でクリトリスを弄る。

ミカサは両手で口を覆っている。

両手の下から熱い息がもれる。

突然、ミカサが両脚を閉じた。

右手がむっちりとした太ももに挟まれる。

はっとしてミカサの顔を見た。

目尻に涙が浮かんでいる。

ヤバい。

泣くほど痛くしてしまったのか。

慌てて謝ると、ミカサは首を横に振り、少し息が苦しくなっただけだと言った。

本当に息が苦しいのか、実は痛いのか、その両方か、よくわからなかった。

とりあえずオレの理性が働いているうちにと思い、部屋に返した。

このままだとこいつをめちゃくちゃにしそうだった。

部屋に返した後、ミカサの苦しげな表情を思い出して抜いた。

終わってみると罪悪感がすごかった。

ここまで
矛盾がないようにと自分で読み返しながら書いてたら、何がエロなのかわかんなくなってきた

お互いエロに慣れてない二人に萌える
まだあんなプレイやこんなプレイもあるんだよって教えてあげたいな

ミカサに愛のある性的悪戯だな
最高です

>>170
エレンがミカサに触れてること自体が例外なくエロいから安心して続けてくれ
少しずつエレンの触れ方がレベルアップしてるのがまたエロいな

いやーいいよ!すごく良い!ssとは思えないくらい面白い。

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ーーー
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お腹の中にエレンの精液出してもらう。

それがこんなに困難を伴うことだとは思わなかった。

第一に、おちんちんが入るようになるまで慣らさなければ痛くて挿入できない。

第二に、慣らす過程が想像を絶する息苦しさだった。

たぶん10キロを全力で走ってもあそこまで息は切れない。

涙まで出る。

どうしてあんなに苦しくなるのか。

くすぐったい場所を触られるからだろうか。

くすぐったい場所を弄られて苦しくなるのはある意味普通のことだと思う。

くすぐられるとむずむずして、笑いたくなって、苦しくなる。

でも、あのお腹の奥から湧き上がってくるような、妙な感覚は何なのだろう。

それに私はエレンに触られても笑いたいとは全く思わない。

座学では性行為について痛いとも苦しいとも習わなかった。

ただ膣に陰茎を入れて射精する。

それだけだ。

それだけ聞くと簡単そうに思える。

訓練兵時代に見た馬の交配でも、牝馬は平然として、種付けに気付いてすらいないように見えた。

だから性行為は、簡単にできるものなのだと思っていた。

でも実践になると、意外とわからないことが多い。

初めの頃はくすぐったい場所を弄られるとぞわぞわして嫌だった。

今はそんなに嫌じゃない。

少しだけ、もっと触れてほしいとも思う。

慣れてきたのかもしれない。

きっと、あの“熱い場所”も慣れればそんなに熱くなくなるのだろう。

もっともっと触れてほしくなるのかもしれない。

早くそんな体になって、エレンに中で出してほしいと思う。

ミカサの割れ目を広げ、膣口を覗く。

狭い。

まだ、狭い。

ちんこなんて入らねえ。

今ならまだ取り返しがつくと思う。

まだ、大丈夫だ。

そう自分をごまかしながら薄い粘膜の襞に触れる。

じわりと水気を増す陰部。

シーツを握り込むミカサの指。

昨夜、クリトリスを弄ったときのミカサの表情を思い出す。

苦しいと言っていた。

ミカサを苦しませるのは良くないことだと思う。

だからあそこに触れてはいけない。

これ以上ミカサの体を変えてしまってはいけない。

膣口を人差し指で撫でた。

新たに愛液があふれ出る。

蝋燭の光を反射した愛液が涙のように見えた。

シガンシナの家に引き取られてきたばかりの頃によく見た、ミカサの丸い頬を伝う涙みたいだ。

あの頃は、自分がこんなことになるなど想像したこともなかった。

膣口の周辺を撫でていた人差し指をそのまま挿入する。

悲しいくらい素直に入った。

内側で粘膜がしっかりと絡みつく。

初めは小指ですら痛がっていたのに。

ミカサの体は変わってしまった。

元には戻らない。

オレが、変えた。

エレンが熱いあの場所に触れてくれるとばかり思って心の準備をしていたのに、今夜は触れてくれなかった。

今か今かと緊張していたのに、触れてもらえないとお腹の辺りが寂しい感じになる。

弄って、濡らして、指を入れるところまではしてくれた。

それだけされて部屋に戻された。

それだけだったけれど、やはり呼吸は苦しくなった。

でも、初めの頃は痛かったことも、最近は全く痛くない。

私の体がエレンを受け入れる準備を着実に進めている。

そう考えると何故だかもっとお腹が寂しくなった。

布団の中で下着の上からあの熱い場所の辺りを押さえた。

指をふるわせるようにして割れ目を押さえ続けると、少しだけ寂しさが満たされた気がした。

明日もあの場所に触れてくれないようだったら、触れてくれるように願いしようと思う。

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ーーーー
ーーー
ーー

今日は中指を入れてみた。

ほんの少しきついだろうか。

でも、入った。

膣内は熱く濡れている。

なんとなく、膣壁を押すように指を動かしていると、ミカサが小さくオレを呼んだ。

「呼んだか?」

「ん……」

「何だよ」

「あの……この前のところも……」

「え、どこだよ」

「えっと、ここ……?この辺……?」

「こっちか?」

「ぅあ……中じゃなくて……あの、この前、教えてくれた……熱いところ」

「え……ああ……」

「そこも、してほしい」

「お前、あのとき苦しいって……」

「それは、たぶん慣れていないからだと思う」

「え、そういう問題じゃ……いや、そんなもん、なのか……?」

「たぶん。きっと」

「でもお前咳するし……」

「触るとき言ってもらえれば大丈夫だと思う」

「……」

「それに昨日、下着の上から触ったときも大丈夫だった」

「え……お前、自分で?」

「うん。昨日してもらえなかったから」

「は……え、お前、してほしかったのかよ」

「え……あの、昨日も、あなたがしてくれると思っていたので」

「……」

「……待ってた。でも、そのままにされて」

「……」

「部屋でなんだか……お腹が寂しい感じになって」

「……それでしたのか。自分で」

「うん。少しだけ、良くなった」

「お前……それは……」

「だめだった?」

「だめじゃないけど……」

「エレン、触るの、いや?」

「は?いや……そういうわけじゃ」

「だったら……お願い」

「して」と、ほとんど無声音で囁くミカサの声を聞いた。

すでにクリトリスが小さく膨れているのが見てわかる。

幼い頃に3人で食べた赤いグミの実のようだと思った。

穫る時期を間違えば渋いが、真っ赤に熟れた頃に食べると酸っぱく、ほのかに甘い。

川の魚、夜の涙、グミの実。

ミカサの体は幼い頃の思い出を集めて出来ている。

あの頃を思い出す度に罪悪感で叫びたくなる。

でも、こんな挑発のようなことをされては耐えられない。

自慰を告白され、それでは足りないからオレにやれと言っている。

そういうことだよな?

女でも、やっぱり弄るのか。

それともミカサが特別なのか。

オレが教えてしまったから?

オレが……

中指を差し入れたまま、もう片方の手で陰核をゆるく撫でた。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

足に力が入らない。

部屋の前までエレンに支えてもらった。

おかしなことになった。

混乱して、気持ちをうまく整理できない。

信じられない。

私の体が私の意思と関係なく動いたのだから。

エレンにあの場所を触ってもらった。

やはり熱かった。

でも、エレンが触るとき事前に声をかけてくれたので咳き込みはしなかった。

咳はしなかったけれど、呼吸はどんどん苦しくなっていった。

苦しくて、空気を吸い込まなければと体が判断して吸い込む。

同時に小さく変な声が出そうになる。

声を抑えようと頑張る。

そうすると徐々に呼吸の方法が、わからなくなる。

体にバネでも入っているように全身がびくびく動く。

でも耐えた。

せっかくエレンが慣らしてくれているのだから。

足の裏と喉元をくすぐられているような変な感覚。

体中が熱い。

エレンと触れているところが一番熱い。

突然、体の奥から何かがこみ上げてきた。

力が入って、お腹が板みたいになった。

力を抜こうにもどうすれば良いのかわからず、体がガクガク動いていることだけはわかった。

性器も勝手に、信じられないほど勝手に律動した。

脚を閉じようとしたらエレンの肘に遮られた。

太ももに食い込んだ肘から熱が広がって、耐えきれず泣き声みたいな声をあげた。

ずいぶん長いことそんな変な状態だった気がする。

気が付くと体から力が抜けて汗びっしょりになっていた。

エレンの方を見ると、びっくりした顔をしていた。

立てない、と伝えた。

エレンは慌てて何か言い、ぐしょぐしょになった私の股をタオルで拭って下着を穿かせた。

水で濡らしたタオルで顔も拭ってくれた。

泣きそうだった。

されるがままで、エレンが何と言っていたかよくわからなかった。

支えられながら部屋を出た。

自分のベッドに入って横になっていても、エレンの手が私に触れているような気がする。

何が何だかわからなくて、怖くなった。

本当に、怖い。

情けないことに、ぼろぼろと涙が出た。

初めてミカサをイかせた。

たぶん、あれがそうだろうと思う。

性器がびくびくと収縮を繰り返し、挿入した指が吸い上げられた。

体中をふるわせていた。

ミカサが脚を閉じようとしたので肘で遮った。

別に嫌がらせをしたかったわけじゃない。

単純にあのまま脚を閉じられたら変な風に手が挟まれて性器を引っ掻いてしまいそうな気がしたからだった。

肘が柔い太ももに食い込んだ。

ミカサが声をあげた。

行為中に聞いた中で最も大きな声だったと思う。

たまに喋りはするが、基本的にミカサは無言だったから。

それからすぐに体から力が抜けたようになり、膝を立てていた脚をぐったりと伸ばした。

ガキみたいに無防備に開かれた長い女の脚が、なんともアンバランスだった。

顔を覗き込むと、何がなんだかわからないというような表情をしていた。

オレもびっくりしていた。

たぶん、ミカサも初めてだったんだと思う。

自分勝手な達成感。

そして罪悪感。

その二つの感情が心を占める。

ミカサに肩を貸して部屋に戻すとき、明らかにオレは興奮していた。

自分のベッドに潜り込んだ今も、しっとりと重いミカサの半身が右肩に感じられる。

ベッドは甘い匂いがする。

ミカサの匂いだった。

ここまで
>>173良かった。がんばる。

イッた!!とうとう!!
この文章は新婚の人かな
ありがとう
ミカサかわいい

事実上イってるのに気持ちいいことに気付いてないミカサがかわいいな
毎回続きが待ちきれないしこのストーリー設定だけで妄想が広がるありがとう

支援あげ

期待

確かに新婚の人っぽい
久しぶり

いや、これはアルミンだ。

アルミンの香りがする。

そう感じだしたら俺のライナーが天を衝いてベルトルトになった。

ミカサが突然カマキリを貪りだし立体起動装置を頭につけ飛び出した。

ガニ股の状態になりミカサは街を闊歩する。

おれはどうしたらいいのか分からずジャンに相談した。

ヤバイ ジャンの顔が面白い。

俺はもう笑いを堪えられずにパンを吹き出した。

ジャンは珍しく泣いていた。

その時 ミカサが大量のカマキリを背中に着けてサシャを追いかけ回しているのみて

ライナーが再びいきり勃った。

イかせる興奮を覚えたエレンが次にどう動くか気になる

>>193>>197荒れる要因になるからむやみに他の作品名は出さなくていい

楽しみあげ

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

耳をすます。

壁一つ隔たった部屋でミカサがたてる物音を聞き逃すまいとしていた。

今、困惑している。

昨日と今日で、ミカサが全くの別人に変わってしまったみたいだった。

いや、それとも時が逆戻りしたと言うべきだろうか。

今夜は小指一本さえ入らなかった。

そもそも脚をいつものように開こうとしなかったし、濡れなかった。

腹の奥につながっている入口も閉じてオレの指を無視していた。

勝手が違って焦りながら弄っていると、数秒の間だけ蝋燭の火が明るくなって、消えた。

燃え尽きてしまったようだった。

今夜は蝋燭が消えたところで終わりになった。

そのまま部屋に帰らせた。

妙な気まずさの中、真っ暗でお互いの顔がよく見えなかったのは幸いだったと思う。

これはつまりどういうことなのか。

昨日ミカサは足も立たないほど感じていた。

と、思う。

が、正確にはよくわからない。

ミカサ以外の人間の性器を弄ったこともなければイったところを見たこともない。

女と寝た奴の話によると、イくと中がすげえ動くらしい。

昨夜の指を吸い上げられる感覚がそれだと思ったんだが。

今夜は何もできなかった。

オレにされるのが嫌になったのだろうか。

原因は何だ。

考えてみれば、今日は下着を脱ぐときもぐずぐずしていた気がする。

オレ何かしたか?

やっとイかせられるようになったのに。

わからない。

こうなった原因はよくわからないが、考えているうちに、ふと思ったことがある。

これはミカサとの関係を終わらせる良い機会なんじゃないだろうか?

その考えが浮かぶと同時に激しく落胆した。

そう感じている自分に気づいてイラついた。

隣の部屋からは物音一つ聞こえてこない。

たぶん、もう眠ってしまったのだろう。

とても困ったことになった。

正直言って私はエレンの部屋に行くのが怖かった。

正確には、エレンの部屋で昨日のように体中がガクガク動いたり立てなくなったりする、あの状態になるのが怖かった。

このままでは中に出してもらえない。

今夜は怖くてビクビクしながら下着を脱ぎ、脚を開いた。

いつものようにエレンは触ってくれたけれど、私はずっと落ち着かなかった。

結局、蝋燭が消えてしまって、本当にただ触られただけで終わった。

部屋に戻って、濡れてすらいなかったことに気付いた。

あの熱い場所に触れられると私はおかしくなる。

これは普通のことなのだろうか。

私だけが異常なのだったらどうしよう。

エレンは何も言わないけれど、本当は私のことを変だと思っているかもしれない。

怖いからあそこに触らないでほしい。

でも怖いなんて口が裂けても言えない。

私はエレンに無理を言っている身で、あれこれ指図できる立場にはない。

そもそもあそこを触ってとお願いしたのは私なのだ。

それに、言えばきっとエレンは夜の行為をやめてしまう。

エレンは優しいから、絶対にやめようと言う。

それだけは絶対に嫌だった。

自分の身勝手さにめまいがする。

何か対策を講じなければならない。

明日の夜までに。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

もう、やめよう。

その一言が言えないまま夜になった。

昨日と同じようにミカサが部屋に来て、ベッドの上に座った。

スカートを捲りあげ、太股から脛へと下着をすべらせている。

ミカサがあまりにも平然とした顔をしているので、今夜はいつも通りにできるんじゃないかと期待が膨らむ。

いや、期待なんてしてる場合じゃない。

今は、やめるチャンスだ。

このままだとこいつを妊娠させてしまう。

そうなる前にやめなければ。

ふと、ミカサがこちらを見た。

下着が脱げきらず、足首で丸まっている。

やはり下着を脱ぐ場面でぐずついている。

ミカサが膝を抱えた。

昨日と同じだ。

これはチャンスだ。

口を開きかけたそのとき、ミカサがオレを呼ぶ声が大きく部屋に響いた。

「え、何だよ。声でかすぎだろ」

「あ、ごめんなさい……」

「いや、別に……」

「エレン、あの、聞きたいことがある」

「……何だよ。言えよ」

「あのね、一昨日のこと覚えてる?」

「一昨日って……それは……イったときのことか?」

「いった?いえ、あの、立てなくなったときの……」

「いや、だからそれだろ。覚えてるけど。何だよ」

「え?……いった?って何?」

「は?」

「え……」

「あの、ああいう風になるの、イくって言うんじゃねえのかよ」

「ん?あ、それって動詞?“いく”っていう」

「え、おう。たぶん」

「私は“いった”の?」

「まあ、たぶん」

「えっと……それは、その……やっぱり私が慣れていないから?」

「は?」

「違う?」

「違うっつーか、どっちかと言えば慣れてきたからイったんじゃ……?」

「え……?」

「……」

「じゃあ、あそこを触られて、ああなるのは普通のこと?」

「そうじゃねえの」

「みんなもなってる?」

「いや、みんながどうかは知らないけど……」

「私、普通?おかしくない?」

「おかしくねえよ」

「慣れたの?」

「オレはそうかなと思ったけど」

「そう……」

「いや、本当のところよくわからん。お前はどう思ったんだよ。それに昨日お前」

「エレン、あの、昨日は私……」

「昨日は全然濡れなかったよな。だから」

「あの、それは、いくのが……いえ、一昨日いったときにとてもびっくりしたので」

「……」

「だから、緊張してしまって……」

「でもな、濡れなかっ」

「ちょっと待ってエレン。それで私も考えた。今日だけで良い」

「何が」

「今日だけ、手をつないだまま、して」

「……はぁ?」

「あ……ダメなら、いい」

「いや……言ってねえだろ。ダメとか」

「それなら、良かった」

左足だけ下着から抜き、脚を開かせた。

そのままミカサは横たわる。

触ってみる。

やっぱり乾いてんじゃねーか。

ミカサが右手を伸ばした。

左手を差し出す。

手をつなぐというよりは、互いに手をつかみ合う形になった。

幅の狭い白い手がぎゅっと力を込めてきた。

それに応じるように握り返す。

再び脚の間に触れると、かすかだが確かに濡れていた。

以前、くすぐったいと言っていたところに愛液を塗り、こするように触る。

ミカサが大きく息を吸った。

つないだ右手がかすかに動いた。

強く握り返す。

愛液が溢れた。

手をつなぎながらエレンにしてもらった。

我ながら良策だったと思う。

安心していっぱい濡れた。

少しだけドキドキした。

今夜は指を入れてくれたし、中を広げるように指を動かしてくれた。

息苦しかったけれど、お腹の底がじんわり暖まるような感覚が好きだと思った。

あそこには触れてこなかった。

終わってから聞いてみると、別に無理にいく必要はないと言われた。

そう言われると少し寂しかった。

怖いのは本当なのに、いかなくても良いと言われると物足りない。

本当に私は勝手だと思う。

部屋に戻って右手をあそこに押し付けながら眠った。

エレンの手の温度がまだ残っているような気がしたから。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

壁を叩く音が聞こえた。

今日からしばらく行けない、とミカサが言う。

わかった、と応えてベッドに入った。

冷たい。

昨日のベッドにはミカサの熱がこもっていた。

一人だと寒い。

ここ数日で一気に冷え込んだ。

冬が間近に迫っていた。

まだ月のものが来たわけではないけれど、念のため今夜からエレンの部屋には行かない。

部屋で一人になると寒い。

今日の私の体はエレンの温もりを宿していない。

1日経っただけであの熱はどこかに行ってしまう。

毎日でもエレンに触れてほしい。

大切にしまっていたマフラーを出す季節が来ていた。

枕元に置いたマフラーを撫でる。

エレンはもう眠っただろうか。

私は全く眠くならない。

昨日エレンとつないだ右手を服の裾から滑り込ませ乳房を包んだ。

エレンは私に無理にいく必要はないと言った。

いかなくてもできるらしい。

それに、あそこを触られていくことは、おかしいことではないとも言った。

エレンの言葉を、あの声を、思い出して安心した。

同時に心がざわついた。

なぜエレンは私以上に私の体に詳しいのか。

座学で習わなかったことも知っている。

やはりエレンは他の女としたことがあると思う。

ずっと一緒にいたのに、一体いつ?

こんなにエレンのことを大切に思っていても、私はエレンの初めてにはなれなかったのだ。

そして、最後にもなれない。

たぶん、私はエレンの一番ではないから。

柔い乳房を掌で押さえつけた。

生理前で気持ちが不安定になっているのだと思う。

開いたままの目から涙がこぼれた。

ーーーーー
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ーーー
ーー

20日と少し経過して、またミカサが部屋に来るようになった。

あれ以来手をつないでしている。

なんとなく、この関係が安定したものに思えてきていた。

手をつないだまま、濡らして、指を入れて、部屋に戻す。

朝起きて顔を洗うような感覚でこなせるようになっていた。

これで良い。

このままミカサが飽きるのを待とう。

まだ最後までしたわけじゃない。

取り返しがつく段階だ。

出会った頃に限りなく近い体のままミカサを解放するんだ。

待っていれば、機会はある。

生理前も生理中も、寝る前になると泣き叫びたいような気持ちになっていたのに、終わると何ともなくなった。

エレンが他の女の人と関係を持っていても私にはどうすることもできない。

私はエレンに触れてもらうことができる。

最終的には中に出してもらう。

それで良い。

それだけで満足しよう。

排卵日が過ぎてしばらくして、エレンの部屋に行った。

私が入るときにはいつも蝋燭を灯してくれる。

蝋燭の光にきらめいて、エレンの瞳はきれいだ。

いつものようにエレンが指を挿し入れる。

昨日あたりから違和感のようなものを感じていた。

エレンは指を入れた後、いつも膣内を押し広げるように指を動かしてくれる。

じんわりとおなかの奥が暖かくなって、息が苦しくなって、つないだ手にも力が入る。

手をつないでもらえると、満ち足りた気持ちになる。

それに加えて昨日は、ある場所を押されたとき、背中から首筋にかけて、痺れるような感覚が走った。

一瞬ぐっと体に力が入ったかと思うと、次の瞬間くたっと力が抜ける。

エレンがそこに触れたのも、私の体が反応したのもほんの一瞬だったので、エレンは気づいていないと思う。

少しだけ、怖い気がした。

あの“熱い場所”を触られて、いくときの感覚に近いものがあった。

ミカサの中はいつも熱く絡みつく。

その度に、この体が欲しているのはこんな遊びではないのだと思う。

オレにミカサの願いは叶えられない。

オレたちの子供を望んではいけない。

誰か他の、ミカサを大切にしてくれる、オレよりもミカサを幸せにできる男の子供をいつかミカサは産むだろう。

そうしていくうちにミカサの血は薄まって、一族に異質な者がいたことなどみんなが忘れていく。

それが最も幸せな結末だと思う。

そのためにもオレとミカサ、異質な者同士が寄り添っていてはならない。

地下牢の暗さを知っているのはオレ一人で十分だ。

挿し入れた指を逃すまいとするミカサの中を、ゆるゆるとかき回す。

激しく抜き挿しはしない。

爪で傷をつけそうで怖かったから。

ゆっくりとこすったり、押してみたりしている。

その程度の刺激ならミカサもクリトリスを弄ったときのような乱れ方はしない。

静かに、少し苦しげに胸を上下させているだけだ。

ぎゅ、と一瞬ミカサが強く手を握った。

握り返す。

ミカサが「あ」と言ったのが聞こえた。

何の前触れもなく、膣内がびくびくと動き始めた。

あ、と思ったときにはもう遅かった。

体が制御できない。

勝手に痙攣している。

怖い。

エレンがつないでくれている手だけが頼りだった。

エレンが離さないでくれれば怖くても耐えられる。

体の奥から末端に向かって、水が流れるように静かに素早く熱が広がる。

一生懸命に息を吸った。

声をこらえながら。

何度も何度も空気をいっぱい吸って、吐いた。

少し落ち着いて、エレンと手をつないだまま上体を起こした。

エレンの指をくわえ込んでいる性器を見る。

そして、触れてみた。

おしっこを漏らしたような気がして不安だったのだ。

漏らしていなかった。

良かった。

ミカサがむくりと起き上がった。

イったのも、起きあがったのも、いきなりのことで焦る。

中を傷つけないようにミカサの体に合わせて指の向きを変えた。

挿し込まれたままの指をミカサがじっと見ている。

そして、そっと自ら性器をなでた。

束の間、目が合う。

ミカサは潤んだ瞳を伏せ、かすかに口を開いた。

何か言うのかと思ったが、浅く空気を吸う音だけが聞こえた。

そのまま性器をなでた左手でオレの服をつかみ、胸に頭をあずけた。

真っ直ぐな黒髪がサラサラと揺れ、甘い匂いを運んだ。

ぐっと頬をオレの胸に押しつける。

また、静かに膣内が収縮を始めた。

ここまで
随分間があいてメンゴ~

最高かよ…
事前の二人の会話が毎回初々しくてかわいいしその後の性的なギャップがまた良い
じわじわとミカサが開発されてますな

うおおきてた!!
ミカサの体すっかりエレンを覚えとるやん

手をつなぐ行為がこんなにもエロいとは…
エレンがどんどんテクニシャンになってるな

ここからは更新ペースが上がるってコトかな?

どちらからともなくつないだ手を解いて、互いの背を抱いた。

ほとんどしがみつくようにしてエレンの胸に頬を押しつける。

まだ収まらない。

怖い。

体がしびれる。

熱い。

喉を通る空気が信じられないほど熱い。

頭がくらくらする。

お腹の底から何かが押し寄せてくる。

体に力を入れる方法も、体から力を抜く方法もわからなくなっていた。

服を掴んだ手を、背を抱いた手を、離してしまうかもしれない。

怖い。

体を制御できないのが怖い。

エレンと離れるのが怖い。

エレン、離さないで。

離さないで。

離さないで。

離さないで……

気づいたらエレンに抱えられるような体勢でうつらうつらしていた。

とても眠い。

いつ、いくのが止まったのか自分でもよくわからない。

肩を揺すられた。

眠いと言うと、部屋で寝ろと返された。

もっともな意見だ。

のろのろとエレンから体を離し、ベッドを下りた。

足下がふわふわして綿の上に立っているような気がした。

以前いったときのように手足に力が入らないということはなく、自分で立てた。

これが慣れというやつだろうか。

そのまま部屋に戻った。

ベッドに横たわると、ふわふわしていた体が急に重さを取り戻したように感じた。

布団を体にきつく巻きつけてエレンの腕を思い出しながら寝た。

ミカサのなまめかしい姿を思い出して抜くのが日課のようになっている自分に引く。

しかし、こうしておかないと本当にミカサを手込めにしてしまうと思う。

特にイった後のミカサは危険だ。

絶対にオレの方が物理的に強い。

一度、中でイって以来イきやすくなった。

どこが感じやすいのかいまいちよくわからないが、中に入れた指をゆるゆる動かしていると唐突にびくびくと動き始める。

唐突なので毎回ビビる。

ミカサ自身も「いく癖がついてしまった」とかなんとか暢気な顔で言っていた。

果てた直後、頼りない足取りで部屋に戻る後ろ姿を思い出す。

あの背中をオレが強引に抱き寄せてしまえば、たぶんあいつは逃げられない。

隣の部屋にオレが押し入っても抵抗できないだろう。

いや、そもそもミカサは抵抗なんてしなさそうだ。

危険だ。

ミカサの言う避妊法とやらを今となってはほとんど信じていない。

ミカサを信じていないというわけではない。

そうではなくて、ミカサ自身が間違った知識を信じているのではないかと思っている。

避妊法を知っているとは言うが、それにしては性に関してあまりに無知だ。

訓練兵時代、女子同士はそういった話をしなかったのだろうか。

仮にしていたとしても、ミカサのことだ。

うまく話に入れないまま終わったのだと思う。

女子たちが話している間中、ぼんやりと宙を眺めているミカサの黒い瞳を容易に思い描ける。

その結果、信憑性の低い避妊法を信じ込んでしまった。

たぶん外に出せば大丈夫とかそんなレベルの方法だろう。

そもそも完全な避妊法があるなら男子訓練兵にも教えられていなければおかしい。

どうしてオレとミカサはこんな妙な関係になってしまったのか。

最初に断れなかったのは、なんでだ。

子供ができなければミカサとしても良いと、オレは思っていたのだろうか。

子供ができるからやめなければならないのだろうか。

オレの身の上が特殊じゃなければミカサとやっても良かったのか。

ミカサのことは好きだ。

好きなのにミカサとしてはいけないのだろうか。

いや、違う。

好きだからこそしてはいけないのだろう。

子供を作る気がないのに、子供ができるようなことをするなんてクソ野郎だ。

どうして今に至るまでこの関係を続けられているのか自分でもよくわからなかった。

結局また、エレンに中で出してもらう前に生理がはじまった。

目標達成までにこんなに時間がかかるとは思っていなかった。

中を弄られて初めていったあの日の後、二回ほどエレンの部屋に行き、二回ともいった。

怖いのに、体があの感覚を、あそこに至るまでの道筋を覚えてしまっていた。

あ、と思った瞬間にはもう遅い。

歯を食いしばってみても、ぐっと体を縮めてみても、いくのはどうしてもこらえられない。

自分の体なのに意思に反して勝手に動く、あの怖ろしい感覚は何回経験しても慣れそうにない。

エレンはずっと手を離さないでくれた。

いっていると体を思うように制御できないので手を離してしまわないか不安だと言うと、離さないでやると言ってくれた。

エレンの優しさに触れて嬉しくなった。

いくと一層強く握ってくれる。

もっときつく、痕が残るくらい強く握ってほしい。

いきやすくなったのに加えて、濡れやすくもなっていると思う。

下着を脱いでエレンの前に出ると条件反射のようにぬるぬるし始める。

エレンに触ってもらう前から濡れていることもある。

そういう日は、私だけやる気まんまんみたいで少し恥ずかしい。

もう十分に準備は整っただろうと思い、中で精液を出してくれと言うと、ダメだと言われた。

エレン曰く、指一本が入る程度では、到底おちんちんは入らないとのことだった。

……本当だろうか?

だってエレンはいつもズボンを穿いているけれど、服の上からだとおちんちんの存在感は皆無と言って良い。

幼い頃に実物を見たこともある。

凝視したわけではないので詳細はわからないけれど、何か付いてるな、くらいのちんまりとしたものだった。

あの頃に比べて背も伸びたし、おちんちんも多少大きくはなっているだろうが、そんなに……?

一体どれほどのものになっているというのか。

誇張では?

そもそも股に指以上のサイズのものがぶら下がっていたら邪魔ではないか。

にわかには信じがたい話だった。

昼、珍しくオレとアルミンの二人になった。

いつもは同期か、その他の知り合いか、誰かしら一緒にいて、みんなで話す。

今日は二人で端っこの席にひっそりと座っている。

前置き無しで浮かない表情をしていると指摘された。

さらに、顔色もあまり良くないね、と。

世話焼きのミカサと一緒にいるのに一体どういうわけ?と。

アルミンは友達が少なかった割に昔から口調は優しいし、人当たりも良い。

ただ、考え方が周りと少し違っていただけだ。

今日も冗談めかした優しい口調だった。

でも目が笑っていなかった。

心配そうな瞳がのぞき込んでくる。

真面目にオレたちのことを案じている。

オレたちの異常性は端から見てもわかるほど大きなものになっているのか。

どれだけ取り繕ってもいつかは全てばれてしまうのか。

でも、オレの口からアルミンに言えるわけがない。

ミカサを脱がせていかがわしいことをしているなんて。

ミカサはオレのものじゃない。

オレたちのミカサだと思う。

アルミンだってミカサが大事なはずだ。

なのにオレがミカサを傷つけようとしている。

オレだけがクズになってしまった。

アルミンは怒るだろう。

軽蔑するだろう。

ミカサを台無しにされて。

途中から目を見て話すことができなかった。

アルミンもオレにあわせてテーブルの端を見ていた。

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ーーー
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いくらなんでも挿入に至るまでの時間がかかりすぎではないか。

最近そのことに思い至って毎日が不安。

エレンの部屋に通い始めたのが秋で、今はもう冬。

朝起きたらうっすら地面に雪が積もっていることもある。

その雪が夜まで解けない日もある。

結婚してすぐに赤ちゃんができた人を知っている。

結婚する前から体の関係があったのかもしれないけれど。

それに私は毎日エレンとできるわけではないのだけれど。

それでも、もう10回以上は部屋に行った。

そんなに時間がかかるものなの?

性行為とはこんなにも苦しく、怖く、痛く、手間のかかるものなのか。

よく人類は滅亡しなかったものだと思う。

ふと妙案を思いついた。

慣らすだけなら別にエレンにしてもらわなくても良いではないか。

自分でやればいい。

きっと毎日でも慣らさなければ10年しても中で出してもらえない。

エレンは10年も待ってくれないだろう。

ぐずぐずしているうちによそに嫁がされてしまってはたまらない。

たとえ怖くてもやらなければ。

エレンを思い出せば大丈夫だと思う。

方法もわかっているのだから。

ここまで


いいね
ミカサが自分で慣らし始めるのか…

エレンの身体を覚えたミカサが自分でな…
いいな

続き楽しみあげ

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布団にもぐり込んで下着を膝まで下ろす。

自分で慣らそうと思い立った日から数日が過ぎていた。

やってみようとは思うのだけれど、いざ下着を脱ぐとなるとかなりためらう。

一人で、というのがいけないのだろうか。

エレンの前では易々と脱いでしまうことができるのに。

もう夜だし今日はひとまず寝ようとか、明日からでも良いとか、毎晩適当に理由をつけて、結局自分でできずにいた。

着替えるわけでもないのに下着を脱ぐことに抵抗があった。

エレンのいないところで脱ぐことが不安でもあった。

私よりもエレンの方が、そこに関しては詳しいので。

正直なところ、私は自分の性器のことをいまいち把握できていないと思う。

よく観察したこともなければ指を入れたこともない。

だからと言ってエレンに教えを乞うのも恥ずかしい気がする。

やはり自分でやるしかない。

そう思い、今日、初めて下着を脱いだ。

誰も見ていないとは思うけれど、布団からは出ない。

下半身が布団に隠されていなければ落ち着かない。

仰向けになり、膝を立てる。

下着があるのでエレンにして見せているように股は開けない。

太ももに手を挟み込み、陰部に指をあてがった。

エレンがするように割れ目を開いて粘膜に触れる。

ぴとりと指に密着する感覚。

からからに渇いているわけではないけれど、エレンにしてもらうときのように濡れてもいない。

エレンにしてもらうときはもっとぬるぬるしていると思う。

これではだめ。

慣らして、濡らさなければ入らない。

エレンはそう言ったはず。

神経を股間に集中させて濡れるように祈った。

ふにふにと肉の土手を押しながら念じる。

濡れて。

きちんと濡れて。

なかなかうまくいかない。

下着を脱いでいて、落ち着かないのも影響していると思う。

太ももに手を挟み込んだまま、うつぶせた。

枕と頬が互いに押しつぶし合う。

突然、自分の胸元、肌と寝間着の間からエレンの匂いを感じた。

私からエレンの匂いがするなんておかしいのだけれど。

そうは思っても一度思い出したエレンの匂いは鼻の奥から離れない。

枕ではなくエレンの胸に頬を押しつけていると錯覚した。

エレンと手をつないで、つないだ手をほどいて、互いの背を抱いて……

体の奥に震えが走る。

わずかに、濡れた。

濡れた箇所を指でなぞり、他の箇所にもぬりのばす。

切れ切れに、何度も、エレンのことを思い出した。

そのたびに足が、お腹が、胸が、しびれたようになった。

一度濡れ始めると止まらなかった。

熱に浮かされたようにぼんやりした。

頭の中がごちゃごちゃと乱れる。

乱れた記憶の中のそこかしこにエレンがいる。

疲れていたのもあってそのまま眠ってしまった。

夢の中で、お母さんにひどく叱られて、泣いた。

目が覚めると本当に泣いていた。

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ーー

本気でミカサをこの家から出さなければならないと思う。

すでにオレたちの異常さは隠しきれるレベルを超えている。

アルミンとの会話でそう思った。

そもそも隠しきれれば良いという問題ではない。

すぐにでも町の中にミカサの家を探して、そこに移す。

ついでに兵団から辞めさせても良い。

たぶん、これが最善策だと思う。

いつ切り出そうか。

朝起きてすぐに居間で?

いやだ。

居間にはこの変な関係を持ち込みたくない。

では、次にミカサがオレの部屋に来たとき?

言えるだろうか。

部屋に入ってきたミカサを拒めた試しがないというのに。

だが今まで失敗してきたからと言って次も失敗すると考えていては何も始まらない。

次こそは絶対にミカサを受け入れまい。

ミカサを手放さなければ。

オレではない誰かとともに生きればいい。

そして家族を作ればいい。

ミカサが他人に抱かれている姿を思い浮かべて吐き気がした。

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濡らすところまではうつ伏せになれば自分でもできる。

目を瞑り、まぶたの裏にエレンを描けば容易い。

でも指を入れるのは何度しても成功しない。

入れようとすると、痛くて、怖くなって、やめてしまう。

もう安全日だというのに、何も進歩していない。

むしろ退行しているのでは。

エレンにしてもらっていたときは指は入っていた。

そう、確かに入っていたはず。

……入っていた、と思うけれど。

……本当に、入っていたのだろうか?

エレンに背を支えられながらしたことがある。

そのとき見た。

入っていたと思う。

でも、本当に?

しっかりと見て、確実に記憶しているわけではない。

私の指は一度も中に入ったことがない。

果たして私の体はエレンと性行為をできる構造になっているのだろうか?

性行為を完遂するまでに時間がかかりすぎではないかと常々思っていた。

世の中のお父さんやお母さんはみんなやってる。

兵団の馬だってすました顔でしていた。

それがこんなに困難を伴うものだなんておかしいと思う。

つまり、私の体は何かが人と違うのでは?

私の体は実際に他人とは少し違う。

エレンに出会った日から少しだけ変わった。

それが性行為にも何か影響を与えるなんてことがあるのだろうか。

無いとは言い切れない。

下着を完全に脱いだ。

下着を脱いだ姿で部屋をうろつくことに抵抗はあったけれど、スカートを穿いていたし、不安の方が勝った。

机の上の蝋燭に火を灯し、椅子に腰掛けた。

椅子の上でスカートを捲り上げ脚を開いた。

よく見えない。

鏡を手にとって映した。

指で襞をかき分ける。

小さく穴があいているのが見えた。

これが膣口だろうか。

これ以外にそれらしきものは見当たらない。

指を押し込む。

痛い。

すぐに指を抜いた。

不安が喉元までせり上がってきていた。

ミカサが壁を叩く音が聞こえた。

そろそろ来る頃だとは思っていた。

ぼそぼそと話す声が聞こえる。

よく聞こえなかったので聞き返そうとしたら、隣の部屋の扉が開く音が聞こえた。

もうこっちに向かっているのか。

すぐにオレの部屋の扉をノックする音が聞こえ、扉が開いた。

今からミカサに切り出す。

オレたち、離れて暮らした方が良いだろ。

途中までは声に出して言えたと思う。

でも途中から言えなかった。

混乱した。

ミカサがめそめそと泣いている。

何だ。

どうしたんだ。

何かを言おうとしているのはわかる。

だが言葉が不明瞭で聞き取れない。

ベッドに座らせた。

とりあえず落ち着けよ、と言いながら自分は椅子に座った。

いっそう激しく泣きだす。

こいつがこれほどまでに大泣きするのを見たことがない。

こんなとき、どうすれば良いのか、たぶんわかる。

泣きやむまで抱きしめれば良い。

小さな子供にするように安心させてやれば良い。

抱きしめたい。

そんなことができるはずがない。

黙って、体をくっつけないままミカサが泣きやむのを待った。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

「少しは落ち着いたか」

「……ん」

「何言ってたんだよ。さっき」

「あの……え、エレン……ぅ」

「まあ、まず落ち着け」

「う……あのね、私、私の体」

「体がどうかしたのか。どっか調子が悪いのかよ」

「いえ、それは……そうじゃなくて」

「……」

「私の体は、ほ、他の女の、人と、違う……?」

「え、それは違うだろ。みんなそれぞれ違うし」

「そういう意味じゃなくて、う、ふっ……ひっ……ぐ」

「お、おい、なんで泣くんだよ」

「そうじゃ、なくて……」

「……」

「あの、ずっと、なかなか、性行為をできないのは」

「は?」

「私の体、変だから……?」

「は?……え?」

「いくら何でもおかしいと、思う」

「いや、おかしいって何がだよ」

「エレンがまだだまだだって言うから、自分で」

「え……」

「入らなかった。指。一本も」

「そりゃ、お前」

「きちんと濡らした。でも」

「……」

「エレン。私の体、変?他の女の人と比べて」

「ちょっ、他の女って言われてもな……わからん……」

「他の女の人のこと覚えてない?全く?私と何かが決定的に違うんじゃないの?」

「覚えてないも何も、そもそも知らねえし……」

「え……」

「……」

「あの……え?」

「いや、お前だって」

「……」

「……」

「……エレン」

「あ?」

「私に指入ってた?」

「え、まあ」

「本当に?」

「ああ」

「エレンそれなら……」

ミカサが立ち上がり、こちらに歩み寄る。

オレの右手をそっと両手で包み、スカートの裾から中へと導いた。

熱く、柔らかな肉が手に触れる。

こいつ、また下着を穿いてねえ。

入る?と小さな声で尋ねられた。

顔を上げると不安そうな瞳と視線がぶつかった。

ごそごそとまさぐる。

すでにいくらか濡れている。

濡れた箇所を中心に、円を描くように撫でた。

オレの手を掴んだままのミカサの指に力が入る。

腰がビクビクと動き、逃げようとする。

やりづらいので腰に手を回し、動きを封じた。

愛液が溢れ、掌を伝い、床にしみを作った。

膣口を指で探る。

内側に向かって窄まった所を見つけ、ゆっくりと挿入した。

きゅ、と指を吸い上げられる。

指の腹で膣内をこすった。

スカートからのぞく脚が小刻みにふるえている。

息が荒い。

泣き声に似た、寂しい呼吸音だった。

ふいにミカサの膝の力が抜ける。

とっさに腰を抱き寄せた。

服越しにではあるが体が密着する。

甘い、良い匂いだ。

ミカサの声が聞こえた。

「見たい」と言っていた。

何を見たいのかは聞かなくてもわかった。

ベッドの上で座ったまま脚を開いた。

エレンが私を抱きかかえるように後ろに座っている。

小さな子供のように背をあずける。

エレンの息が首筋にかかってくすぐったい。

後ろから回された手が私の内側を暴いていく。

襞をかき分ける指先。

この指先を小さな頃から知っている。

幾度も触れたことのある馴染み深い関節と爪。

エレンが今、私に触れている。

そう思うと変な気分になる。

自分でも信じられないほど濡れた。

あたたかい指が、剥き出しの性器を撫でる。

触れたところから熱が生まれる。

胸が苦しくて、エレンの名前を呼びたくなった。

エレン。

今あなたの名前を声にしたら私はどうなるんだろう。

エレンの指が、優しく私を犯す。

その様子を凝視した。

確かに入っている。

痛くもない。

エレンの右手に自分の右手を添わせる。

私の指も中に押し込んだ。

少し圧迫感がある。

けれど痛くはない。

視覚、触覚で、本当に入っていると確認する。

エレンがわずかに身じろぎした。

中の指もかすかに動いた。

熱を持った喉元まで出かかっている声を抑え込む。

油断すれば、たぶん変な声が出る。

変な声を聞けばエレンがやめてしまうかもしれない。

息を整え、俯いたまま言う。

ーー中に出して。

ーーもう十分に準備はできてる。

言いやらぬうちにエレンの指が中で動いた。

こらえきれない。

内側の襞が私とエレンの指をまとめて締め付ける。

体が痙攣してエレンの指を放すまいとしている。

強引に指が引き抜かれた。

振り向くとエレンが怒ったような顔をしている。

背中がエレンの体から離れ、ベッドに沈み込んだ。

エレンはやっぱり怒ったような顔をしていた。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

動悸が止まらない。

体の先端から冷えていくようだ。

血が出ていた。

そりゃそうだろう。

あいつは初めてだったんだから。

ベッドに押し倒してもポカンとした表情でオレを見ていた。

膝裏を抱え、降伏した犬のように脚を開かせても小言一つ言わなかった。

拒んでほしかった。

言葉で、体で、オレを拒んでほしかった。

ミカサの中に押し入り、覆い被さるようにベッドに手をつき、そして目にした表情が忘れられない。

痛みを内に押し込めるような表情だった。

肋骨をやったときのことを思い出させた。

あのときもオレがミカサに怪我をさせたんだった。

今までに何度もミカサを傷付けた。

今日も。

あの表情を見た瞬間、頭の奥が凍りついて、萎えた。

ミカサの愛液にまみれ、いじけた姿の陰茎がみじめだった。

ぐしょぐしょになったミカサの股間を拭ってやると、うっすら血が付いた。

オレが悪いと思った。

謝った。

抜いた後も痛そうにしていた。

ミカサは、オレが他の女と寝たことがないか確認して部屋に帰った。

どうして今頃そんなことを聞くのか。

今更聞いても色々遅いだろ。

今までにこんな関係になった相手はいなかったし金を払ってやったこともない。

金で女とやっても咎める人はいなかった。

むしろ兵士を孕ますよりはそっちの方が良しとされていた。

でも、そういった店にいる女の境遇を考えると行くのが恐ろしかった。

ミカサの家を人買いが襲った理由を理解できるようになってからは、なおさら行く気が失せた。

何かが少し違っていれば、客をとらされていたのがミカサだったかもしれない。

行けばミカサを裏切ることになるような気がしていた。

行かないことがミカサの救いになるような気もしていた。

結局、オレがミカサを汚した。

泣いてすむことではないとわかってはいたが、涙が出た。

部屋に戻って一人で横になっていても、エレンのおちんちんが入っているように感じる。

指先もつま先もお腹もじんじんと熱い。

エレンが指一本入るくらいではおちんちんは入らないと言っていた意味を初めて理解した。

勃起した性器を見て色々と驚いた。

幼い頃に見た可愛らしいおちんちんはすでに無く、長くて太い芋みたいなものに変わってしまっていた。

しかも上を向いていた。

ぎょっとした。

座学のときに見た図はおちんちんだけ切り取られて描かれていたので、なんとなく垂直に飛び出しているのだと思っていた。

脚を大きく開かされ、挿入されると内側からの圧迫感がすごかった。

少しだけ、痛かった。

入ってすぐに抜かれてしまった。

中に出してくれたのかと尋ねると、そんな簡単に出るものじゃない、と怒ったように返された。

精液は簡単に出せるものではないらしい。

いつものことながら座学で習う内容は不十分だと思う。

黙っていると股を拭ってくれた。

優しい手つきだったので、怒ってはいないようだった。

エレンは私の股間を拭いながら、血が出ていると言った。

びっくりして飛び起きた。

起きるときにお腹に力が入って、にぶい痛みを感じた。

生理周期がずれたのだと思い、なんと言い訳すれば良いか焦っていると、エレンに謝られた。

初めては血が出ることがあるらしい。

どうしてそんなことを知っているの。

他の女の人としたことがあるのかとつい聞いてしまった。

無いと言われ、卑しいことに、内心大いに満足した。

部屋に戻ってからもエレンに触れられた感覚が体から離れない。

目を閉じると、ほどなくして熱いまぶたの裏に目まぐるしく夢が映し出された。

ここまで
書いてたら賢者タイムに襲われて間があいてしまった
すまんこ

とうとう…
エレン乙

賢者モードワロタ
やっちまったなエレンさんよ
あの状況なら理性ぶっとんでも誰も文句言えねえ
よく今まで耐えてきたエレン

このミカサかわいいあげ

よくやったエレン
脱童貞おめでとうエレン
非処女になったミカサ…いい響きだ

キスをしないままやってしまいましたな

頼まれたその日にやってしまえば一回きりの挿入で済んでいたのに
ためらうが故に何回にも分けて段階的に快楽を与えるなんて
なんて罪な男なんだいいぞもっとやれ

挿入はゴールじゃなくてスタートだったんだな

手放そうと決めたその日にヤってしまったな

続き楽しみ

いいねエレンの優しさ

続き待ってる

この二人ってキス通り越して先に体の関係を持ちそうなイマゲ

忙しいのかな
続き待ち遠しいあげ

昨日は結局一睡もできなかった

何度考えてもやはり取り返しのつかないことをしてしまったとしか思えない。

時間を戻したい。

ミカサと出会ったとき、あのまま首を絞められて殺されていれば良かった。

いや、あのときオレが死んじまってたらミカサも助からなかったのか。

なぜ拒めなかったのか。

ミカサを傷つけたくなかった。

傷痕は、一生残る。

今後よそに嫁いだとき、ミカサはどう説明する気なのか。

初めてじゃないとわかったら相手はミカサを問いつめるだろうか。

問いつめて、詰りながらミカサを抱くのか。

日に焼けたことのない白い肌に口をつけるのか。

そうして生まれた子は父親から愛してもらえるのだろうか。

毎度のことながらミカサが他の男と寝ると考えると気分が悪くなる。

朝、まともにミカサの顔を見られなかった。

たぶん、今夜も来る。

どんな顔をしてミカサを迎えれば良いのかわからない。

ミカサはどんな表情を見せるのだろうか。

それもわからない。

何もかもわからない。

中に出すまでミカサはこの部屋に来る。

オレはミカサを拒めない。

それだけは確かだった。

朝、目が覚めたとき、脚の間の違和感を真っ先に意識した。

エレンに触れられた感覚がよみがえる。

脚の間に何か挟まっているような感じ。

そっと手をそこに持って行ってみたけれど、何も挟まってはいなかった。

エレンのおちんちんが私の身体の中にわずかな時間でも入っていたのだと思うと変な気持ちになる。

出血は、お昼にはすっかり止まった。

もともとそんなにひどく血が出たわけではなかった。

今夜こそは中に出してもらえるだろうか。

やはり今夜も痛いだろうか。

でも、痛くされてもかまわない。

エレンにされるのなら、それでも良い。

部屋の扉を叩き、返事を待たずドアノブに手をかける。

朝から目を合わせてくれないのが不安だった。

昨夜何か気に障るようなことをしただろうか。

私は性行為についてエレンよりもわかってないことが多い。

だから気付かないうちにへまをしたんじゃないかと不安になる。

何か怒らせるようなことをしたなら言ってほしい。

言ってくれさえすれば、エレンの言うとおりにする。

部屋に入ると真っ暗だった。

いつもは蝋燭に火をつけてくれているのに。

やっぱり怒ってる?

そろそろと部屋に入る。

エレンはベッドの上に寝転がっているように見える。

怒っているのかと不安に思いながら、摺り足でベッドに近づいてみて、わかった。

眠っていた。

上掛けの上で寝入っている。

冬なのに。

幼い子供のようだった。

足の方から布団を引き抜いて、上に掛けた。

途中で目を覚ますかと思ったけれど、ぐっすり眠って起きない。

昨日遅くまでつきあわせたからだろうか。

何も言わず私につきあってくれているけれど、エレンは無理をしていたのだろうか。

背中が冷えないように布団をきっちりと巻き込みながら、罪悪感で胸が痛んだ。

最後に、エレンの額を撫でて部屋を出た。

幼い頃、お父さんとお母さんが、おでこにしてくれたキスを思い出していた。

エレンと私の子供にも同じキスをしたい。

叶わない夢だと思うと辛かった。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

朝、やけにすっきりとした気分で目が覚めた。

布団が身体にきっちり巻き付いている。

昨日、うたた寝してしまったはずなのに。

ミカサか。

てきぱきとした手つきと小言を言いたげな顔を容易に想像できる。

どうやらオレが眠っていればミカサは諦めて部屋に戻るらしい。

寝たふりをしていれば何事もなく夜が過ぎるのだろうか、と寝たふりをする気もないのに思った。

ミカサともう一度やりたいと思っている自分が確かにいる。

どうせあと一度だけだ。

中で出せば終わりなんだから。

一度やってしまったんだし、もう一度くらい。

そんなことを考えるオレは最低だと思う。

痛がっていた。

血まで出ていた。

それでもまたミカサに入れたいと思うなんてオレは頭がどうかしているんじゃないか。

どうしてミカサを大切にできなかったのか。

たぶん、オレと寝れば寝るほど、ミカサは汚れる。

今夜も眠っているのではないかと思ったけれど、エレンは起きていた。

大きな瞳が蝋燭の灯を映してきらめいている。

私の瞳は蝋燭の明かりの近くにいても、晴れた空の下でも、きっと暗い色のままなのだろう。

私の瞳がもっと明るい色をしていたら、エレンは私に出て行けなんて言わなかっただろうか。

それとも瞳の色なんて関係なく、やはり出て行けと言われていただろうか。

よその男の人と一緒になれと、エレンは言うのだろうか。

絶対に、他の男の人と、体の関係を持ちたくない。

スカートの中を見るのも、体の内側に触れるのも、エレン以外には絶対に許さない。

もう、この関係も終わりが近い。

一昨日は挿入までできた。

エレンに膣内で出してもらったら、終わり。

離れたくない。

でも、約束してしまったからしかたがない。

膣内に精液を出してくれればこの家から出ると言ったのは私だった。

離れていてもはっきりと思い出せるくらい、エレンのことを記憶しておきたい。

触られているときの息苦しさも、いくときの恐ろしさも、エレンが与えてくれるものは全て忘れたくなかった。

ベッドに腰掛けて、下着を脱いだ。

いつも通り、上半身を横たえ、脚を開く。

エレンがのぞき込むと、濡れる。

あたたかい指が、もう何度もしてきたように襞に触れた。

手をつないでもらおうと思い、右手でエレンの手の甲をぺちぺちと叩く。

少しだけ上体を起こし、エレンの顔を見た。

目が合う。

残念なことに私の右手の意図がわかっていないようだった。

手をつないでほしい。

でないと、いくとき怖い。

この間だってつないでしていたのだから、頼めば良かったのかもしれない。

でも、気づいてもらえなかった以上、なんとなくお願いできなかった。

しおしおと右手を引っ込め、胸の上に置いた。

途端、エレンがひったくるように私の右手をつかんだ。

つないでほしかったんなら言え、と怒ったように言われた。

応えるかわりに手を握り返した。

やっぱりエレンは優しい。

しっかりと手をつないだ。

割れ目を広げ、いじられる。

ぬるぬるした粘液があふれ、お尻の方にまで伝っている。

粘液にまみれた熱い指が、滑るように襞をこすり、なぞり、揺さぶる。

体が挿入を待ちわびている。

エレンが様子をうかがうように数度膣口の周辺をふにふにと押さえ、重なり合った粘膜を左右に広げた。

指が入り口にあてがわれる。

じわじわと内側を押し広げながら指が奥へと進む。

ゆるゆると膣内をかき回される。

お腹がぞくぞくして、息が苦しくなる。

今夜もまたいってしまう。

もう、すぐにでも。

いきそう。

くせになってしまった。

いくときの奇妙な感覚が、怖い。

膣壁の、お腹側の方を揺さぶるようにこすりながら、エレンがつないでいた私の右手を唐突にぐいと引っ張った。

右手がそのまま濡れた性器に導かれる。

いつもと違う動きに困惑しつつも、私の中指が、エレンの手によって膣口に押し込まれるのがわかった。

入れ違いにエレンの指が私の中から抜かれる。

私が何か言うより先に、人差し指まで中に押し込まれた。

きつい。

エレンが私の脚をいっそう大きく開かせる。

「自分でやってみろ」と言われた。

太股が持ち上げられ、足の裏がベッドから離れ、膝が胸につきそうになる。

そんなことできない、エレンがいい。

そう言いたいのに言葉にならず、すすり泣いているような声しか出なかった。

首を横にふり、指を抜こうとしたら、手の甲を押さえられた。

エレンの手のあたたかさに反応した体が、新たに濡れた。

私の手に手を重ねたまま、もう片方の手でエレンが太股の内側を撫でた。

きゅ、と自分の指が膣に吸い上げられるのを感じた。

もう今夜で最後だと思い、自分の欲望を思い切りミカサにぶつけた。

今までに何度か、ミカサは自慰を告白してきた。

それを自慰だと認識しているのかどうなのかはよくわからないが、その告白を聞く度に妙に心が乱れた。

見てみたかった。

どこを触られるのが好きなのか、知りたかった。

つないでいた手をひいて、指を挿入させた。

一昨日、自分では指を入れられないと泣いていたが、オレがしてやればこんなに簡単に入る。

今、ミカサの身体はオレの支配下にある。

ミカサが首を横に振り、指を抜こうとしたから押さえた。

性器が指を吸い上げているのが見てわかった。

嫌がるそぶりを見せるくせにしっかり感じてるじゃねえか。

重ねた手を揺さぶると、脚が跳ね上がった。

ミカサの白い指と、膣口の隙間から愛液が溢れる。

押さえていた手を離すと、すぐにミカサが指を抜いた。

愛液にまみれたその手を掴む。

ミカサがわずかに抵抗したが、無視した。

強引にミカサの指をクリトリスにあてがった。

すでに硬く充血していた。

指も、硬く膨らんだそこも、十分に濡れている。

わずかになで上げただけで簡単にイった。

律動が止む間を与えず、しつこくクリトリスをいじらせると、ミカサはもがくようにイき続けた。

泣き声のように息を吸う音が聞こえる。

膣口が誘うように収縮を繰り返す。

涙のような愛液が溢れた。

一瞬、このままミカサを部屋に戻そうかと思った。

だが、結局こらえきれなかった。

蠢く膣内に陰茎を押し込む。

粘膜がまとわりつく。

きつく、奥へと吸い上げられるような感覚。

一昨日と同じようにミカサに覆い被さるように手をつき、顔をのぞき込んだ。

目をきつく閉じて、横を向いていた。

幼い頃の面影を残す長い睫毛がふるえている。

痛くないか聞くと、小さく「うん」と返された。

罪悪感と愛おしさで胸が締め付けられるようだった。

汗ばんだミカサの頬に手を添え顔を仰向ける。

顔にかかっていた前髪をかき分け、そのまま頭を抱いた。

手の中で真っ直ぐな黒髪が流れる。

無言のまま、瞳を閉じた顔に、顔を寄せた。

半開きになった口から熱い息が漏れている。

唇が何かの果実のように見えた。

熟れすぎて割れてしまった甘ったるい木の実のようだ。

この唇も甘いのだろうか。

互いの鼻先がふれあう距離まで近づいたとき、ふいにミカサが目を開いた。

近すぎて焦点はあわなかったが、目が開かれたことはわかった。

反射的にミカサから身体を離していた。

離れたときに挿入も解かれた。

心臓が痛いほど激しく鳴っている。

ミカサが中で出したかと尋ねた。

出してないと答えた。

答えながら射精した。

間抜けにもほどがある。

でも、間抜けさを恥じるよりも、ミカサに口づけをせずにすんだことへの安堵の方が感情の大部分を占めた。

もう少しでミカサの唇に噛みつくところだった。

口づけてしまったら本当におしまいだと思う。

オレたちはそういう関係じゃない。

これが終わればミカサは出て行く。

なんだかよくわからん関係だが恋人でも夫婦でもない。

口づけはしてはならない。

ミカサのためにも。

それでもミカサの口に口をつけたいと思った。

ーーーーー
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ーーー
ーー

今夜のエレンは少し様子がおかしかったと思う。

いつもならあんなにきつくしてこない。

顔つきもいつもと違った。

目が、怒っているときに似ていた。

怒っていないとは思うけれど。

いつもはもっと、違う。

とにかく違う顔をしている。

きつくされるのはそんなに嫌じゃない。

もっと激しくされても、痛くされても良い。

そうされた方が記憶に残るような気がするから。

身体中でエレンを覚えておける気がする。

今日も中で出してもらえなかった。

中で出されたらわかるものなのだろうか。

中で出してもらって、運良く赤ちゃんが出来はしないだろうか。

赤ちゃんがほしい。

とてもほしい。

エレンの子供を産みたい。

排卵日前後にエレンの部屋に行っても訝らずにしてくれるだろうか。

それで、もしも子供が出来たとしたら。

一人でも育てていけるとは思う。

でも、エレンはどう思うだろうか。

これ以上エレンを騙すようなことをしてはいけないのはわかっている。

そもそも避妊できるということ自体が嘘なのだから。

父親に望まれない子供を産むことはしたくなかった。

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ーー

人影の絶えた山道を歩いている。

腕の中に幼いミカサを抱えている。

早く家に連れて帰らなければならない。

茂った木々に日の光が遮られ、道は薄暗い。

そのせいで今が朝なのか昼なのか、夕方なのかいまいちわからない。

とにかくミカサを家まで送り届けなければならないと思い先を急いだ。

泡のように柔らかいミカサの身体と体温がオレを焦らせる。

早く、早くしなければ。

先の見えない一本道をひたすら急ぐ。

いつの間にかミカサの身体が重みを増し始めていることに気付きさらに焦る。

甘く、なんとなくうまそうなミカサの匂いが強くなっている。

エレン、とミカサがオレを呼んだ。

その瞬間、間に合わなかったのだと思い絶望した。

ミカサの頬が切れ、血が流れている。

脚の間から出血し、くるぶしを赤く染めている。

痛い、とミカサが泣いている。

オレも泣いた。

そこで目が覚めた。

目が覚めて、夢だとわかっても、喉元が苦しくてうまく息をできなかった。

この夢は、すべて現実のことだ。

ミカサの顔と身体を傷付けた。

部屋に甘い匂いがこもっている。

窓を開けても。

シーツを変えても。

ミカサは数日前から生理がどうとかでまた部屋に来なくなっていた。

それまでは部屋に来る度に挿入したが、一度も中で出せなかった。

最中、色々なことを考えてしまう。

まず、ミカサを妊娠させてしまうのではないかという不安がある。

ミカサの言う避妊をオレは信用できない。

子供が出来たらどうする?

育てられるのか?

オレたちで?

オレもミカサも立場が特殊すぎる。

それで普通の家庭を築けるのか?

いや、そもそもミカサはオレが中出しすればこの家を出て行くと言っている。

ここを出てどこへ行くのか。

離れたくない。

でも、離れたい。

挿入する度に同じことを繰り返し考えてしまう。

結局毎回中で出せない。

抜いた直後、雨樋を伝う雨水のように勢いの無い射精をした。

精液をミカサにかけたことは、無い。

ここまで
一回書いたやつ間違って消してしまったんでこんなにも間があいてしまったよすまんこ~

いいね
エレンもムラムラしてきてるな

待ってました!ありがとう

思ってること言い合える中じゃないのか・・・

挿れるだけでまだ突き上げたりはしてないんだな…
まだ開発しがいがありそう

続いて欲しい

恥じらいがないミカサちゃん可愛い


いいねー

まだエレンのおちんちんではイってないんだな…

あげ

いいね
キス楽しみ

続き待ってる

エレンの罪悪感がよく表れた怖い夢だな

待ってます

保守

おーい

>>1だけどずっと放置してすまんこ
今までのノリで行って良いか迷ったけどこのままのノリで最後まで一気にいく

エレンがなかなか中で出せない。

射精できないわけではない、と思う。

中に出せないだけで、どうやら抜いた後に出ているらしい。

あまりまじまじ見ては悪い気がするので詳しいことはよくわからないけれど。

それに、かつての小さく弱々しいおちんちんと今のおちんちんが似ても似つかないというのもあり、私はおちんちんに及び腰になっていた。

だから詳しいことはわからない。

いつもおちんちんを出し入れしては苦しそうにしている。

その顔を見ると、とても申し訳なく思う。

言い訳をするならば、性行為がこんなにも辛く苦しい困難を伴うということを私は知らなかったのだ。

おちんちんは指よりも奥まで来る。

出し入れされるとお腹の中が持ち上がるみたいで、最初は痛かった。

今は痛くない。

慣れた。

痛くはないけれど、中でこすれて、熱に浮かされているみたいにぞくぞくする。

おちんちんでお腹の中をひっかかれると身体中がしびれる。

エレンが苦しそうに呼吸をしているとき、私も同じように息を切らしている。

どうやら、この出し入れする作業がなければ精液は出ないらしい。

私がエレンに慣らしてもらったように、こうすることでエレンも慣らしているのだと思う。

私も慣らしてもらうとき苦しかった。

そして、相変わらずいくのには慣れない。

出し入れされているときも、もう少しでいってしまうのではないかと思って逃げたくなる。

エレンも射精するとき同じ思いをしているのかもしれない。

もしかしたら出し入れしながら怖いと思っているかもしれない。

それでも私はエレンにやめても良いと言うことができない。

怖がっているならば、せめて抱きしめて安心させてあげたいと思う。

思うだけで一度も抱きしめたことはないけれど。

許可無く触れると怒られそうな気がする。

普段ならエレンを怒らせても怖くもなんともない。

でも、ベッドの上で怒られたら立ち直れそうにない。

以前は、夜ミカサが部屋に来なければそれなりに普通の生活を送れていたと思う。

自分の部屋を出て、居間に入れば過ちがリセットされたような気分になっていた。

だが今はもう、そうは考えられない。

部屋を出ても罪悪感は消えないし、いつも考えがまとまらない。

常に何かに追われているような焦燥感にかられている。

ミカサとの会話も減った気がする。

それとも、もともとこんなもんだったか。

よくわからない。

よくわからないが、ほぼ無言で食う夕食は、まずいと思う。

黙りこくってパンをちぎっているミカサを盗み見る。

目があうのが怖くて最近はこんな方法でしかミカサを見ることができなくなっていた。

疲れたような顔をしてミカサがパンを口に入れ、飲み込むまでを見届けてから、ふと壁にかかった暦を見た。

なんとなく日付を目で追う。

そこで初めてオレとミカサの次の非番が同一日だということを知った。

突然心臓を握りつぶされるような痛みを感じ、散らばっていた思考が急にまとまった気がした。

久しぶりにミカサに語りかけた。

「おい」

「……え?」

「お前、今度いつオレの部屋に来るんだよ?」

「え、あの、そういう話は、今……ここでは……」

「次の休み、同じ日だよな。知ってたか?」

「うん」

「お前、それまでにオレの部屋来るだろ。来れるよな?今までのペースなら」

「たぶん……うん……休みの何日か前くらいには」

「じゃあお前、今度の休みにどこかよそに引っ越ししろよ」

「……え?」

「……オレも約束は守る」

「あの、それは……」

「絶対に来いよ。休みの前までに」

「でも、引っ越しって……どこに」

「それは今から探す。いざとなれば官舎って手も」

「……」

「……」

「……わかった。エレンがそう言うのなら」

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

「ミカサ!」

「え……あ、アルミン……」

「ね、僕の家の近所、一つ空き部屋が出たんだけど、ミカサそこに来るつもりない?」

「それは……もしかして、エレンからそう言えと言われたの……?」

「え。違うけど」

「そう……」

「……」

「……」

「なんかその言い方、僕がエレンの言いなりみたいで嫌だな……」

「あ、ご、ごめんなさい。そういうつもりじゃ……ただ、ちょっと……」

「ちょっと?」

「……アルミン、私のこと好き?」

「うん」

「うん……知ってる」

「はは……で、何?」

「あ……あの、最近気付いたんだけど」

「……」

「実は……エレンは私のこと好きじゃないかもしれない」

「えー……そんなことないよ」

「でも……そんなこと……ある。わかる」

「うーん。なんだか二人とも疲れてるなとは思うけど」

「……そう?」

「うん。だからちょっとお互いに一人の時間があった方が良いかなとは思ったよ」

「……」

「二人だけだと喧嘩しちゃったら大変だと思うし」

「喧嘩は、してない……と、思う」

「そっか」

「うん……」

「でも、色々あるんでしょ?まあ言わなくてもいいけどさ」

「……」

「君が家を出たくないなら、エレンを定期的に僕の家に家出させてもいいよ」

「……」

「ころあいを見て家に返すからさ」

「うん……」

「……」

「でも……私、引っ越そうかな」

「そっか……それもいいと思うよ」

「そう?」

「うん」

「あ……」

「え?」

「わ、私もアルミンのこと、とても好き、なので……」

「はは……ありがと」

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

今夜でミカサに触れるのは終わりだ。

だらだらと続いていたこの変な関係も。

もっと早くにこの関係を終わらせることができたのかもしれない。

でも、言い出せなかった。

休みがたまたま同じ日で、引っ越しに都合が良いというなんとも言えない理由がなぜかオレを後押しした。

明日、ミカサの荷物を運び出す。

今夜、一度だけ中に出せば良い。

他のことは考えるな。

それが良いことか悪いことかはこの際どうでもいい。

とにかくそうしなければミカサは出て行かない。

それが事実なんだから。

そう約束したんだから。

蝋燭の灯りの下でミカサの頬にまつげの影ができている。

影が一瞬、涙に見えてむしょうに腹が立った。

いつものようにすました顔をしてミカサが下着を脱ぐ。

いつものようにオレはスカートの中に手を入れた。

今夜、エレンは確実に膣内に出してくれると言った。

期待だろうか、不安だろうか、怖れだろうか。

下着にかけた手が震えていた。

エレンにばれないように素早く脱いだ。
身体を倒し、脚を開く。

濡らすのもそこそこに、挿入された。

いつもより早いタイミングだったと思う。

十分に濡れていなかったからか、少し痛かった。

おちんちんに痛いことをされるのは久しぶりだ。

そして、今日が最後だ。

今夜の精液を一生お腹に抱いて私は生きていく。

確実に、こぼさないように、精液を搾り取らなければ。

唐突にエレンが私の体の奥を突いた。

結合部から背筋を通り、喉元から脳へ、ビリビリとしびれが走った。

いつもより確実に激しい。

エレンは本気だ。

怒ったような、怖い顔をしている。

私をまっすぐに見てくれている。

私の瞳から目をそらさずに。

エレンを抱きしめたい。

それができないのなら逃げ出したい。

そのどちらも、私は実行することができない。

大人しく、無抵抗に、背中をベッドにくっつけたまま、開いた脚の指先に力を込めた。

何も考えずに性行為に耽ることは、これほどまでに難しいのか。

ミカサの顔を見る。

避妊の問題が頭をよぎる。

明日の引っ越しを考える。

ミカサの今後が気になる。

唇を舐めたい。

服を脱がしたい。

駄目だ。

何も考えるな。

考えるな。

気になることを全て胸の奥に押し込んで、頭の中を空にする。

ひたすらミカサの身体を貪ることだけを考える。

ガツガツと激しく、獣のように、突き上げた。

ふと思う。

ミカサは痛くないだろうか。

いや、違う。

何も考えるな今は。

とにかく中に出すことだけを考えろ。

馬の種付けのように。

子供を作る気がないくせに。

こんなことをしていて良いのか。

駄目だ。

考えるな。

考えるな。

何も考えるな。

ひたすら黒い瞳を見つめる。

見つめ返される。

熱を出したときのように瞳が潤んでいる。

ふいに、ミカサの体が跳ねた。

次の瞬間、膣口が激しく収縮を始めた。
ミカサの顔に困惑と恐怖の色が浮かんだ。

エレンにしてもらっている間中、突き上げられる刺激に気が狂いそうだった。

こんなにきつくされたことは今までになかった。

膣の奥が執拗にこすられる度に喉が焼けつくように熱くなった。

性器全体が揺すぶられる。

熱い。

いくときの、あの感覚が秒毎に強くなる。

腰がビリビリと痺れる。

逃げることも、止めることもできず、されるがまま、いった。

今までの感覚がぬるいと思えるほど苦しいいき方をした。

必死で声を抑えた。

声を出すとエレンはやめてしまうかもしてない。

今までにも私が声をあげて、エレンがやめてしまったことがあった。

それだけはさせてはならない。

エレンと一緒にいられないのなら、私はどうしてもお腹にエレンの精液が欲しい。

エレン、やめないで。

恐怖に似た思いが私に声を出すことを禁じた。

喉元まで出かかった喘ぎ声を飲み込む。

呼吸があまりにも難しい。

事実、私は呼吸の仕方を忘れてしまっていたように思う。

息を吸って、吐く、その簡単な行為ができなかった。

声を出すまい、と思うと空気を吸うことしかできなくなった。

空気も、声も、痺れも、私の体内に蓄積されていくばかり。

どうやってその体勢になったのかよく覚えていないけれど、気がつくと横向きにうずくまってきつく目を閉じていた。

苦しい、くるしい、くるしい。

息苦しさが収まらずますますパニックになった。

エレンが何かを言っているようだけれど、気のせいかもしれない。

そのまま一度意識が途切れた。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

気がつくと毛布にぐるぐる巻きにくるまれていた。

エレンが脚をさすってあたためてくれている。

起き上がる。

エレンが何か言うより先にまず謝った。

「ごめんなさい……」

「いや、それよりお前、大丈夫か。身体は。めまいとか」

「それは大丈夫」

「医者に診てもらったりとかは……」

「大丈夫。あの、今のは、単純に焦って息のしかたがわからなくなったからで……」

「そう、なのか……そんなことあんのかよ」

「ある」

「……」

「だから、えっと、大丈夫なので……大丈夫。続き、できる」

「大丈夫ってお前な……」

「本当に、本当に大丈夫だから」

「……」

「……」

「いや……」

「……」

「もう、やめよう」

「…………え?」

「やめにしないか。こんなことするの」

「え、どうして……エレン、私はまだできる。大丈夫」

「でもな……でも、そういう問題じゃなくてだな……」

「でも……」

「オレは、やめたい」

「……え?」

「最初お前が言い出したときに……オレがきちんと断れなかったのが悪かったよ」

「え?……え?」

「オレが悪いと思う」

「……」

「やっぱり中では出せそうにねえよ」

「エレンは……」

「ごめんな」

「したくない?したくなかった?」

「そうだな……もう、やめたいと思う」
「……そう、だったの」

「……」

「ごめんなさい……」

「いや、お前は悪くない」

「……」

「……」

「部屋に……戻る」

「ああ」

やっと言った。

やめよう、と。

今更遅いという思いはある。

だが、一秒でも早くこの言葉はミカサに伝えられるべきで、言ったことに後悔はしていない。

後悔しているとしたら、それは言うのが遅すぎたことに対してだ。

ミカサの身体をむちゃくちゃにした。

ミカサを汚した。

もっと早くに拒めていれば。

やはり、今更遅いのだ。

でも、言わなければならなかった。

なぜ、もっと早くに言えなかったのか……

なんかオレ、思考がまとまってねえな……

ミカサが部屋を出た後、突っ立ったまま同じことを何度も繰り返し考えた。

“後悔”と一言で片付けるにはあまりに複雑で巨大な感情に溺れて動くことができなかった。

絶えずこのまま死んでしまいたいという思いがちらつく。

胸の中に渦巻くこの感情は後悔なのか、怒りなのか、悲しみなのか、何なのか。

わけがわからず突っ立っている。

突然、大きな音が家中に響いた。

二度目に響いた音で、それが何の音かわかった。

開いた扉を力任せに閉じる音だ。

部屋を出て玄関を見やる。

力が強すぎた反動で、扉が開いてしまっている。

半開きの扉からパラパラと雪が降り込んでいた。

ミカサの部屋の方を見た。

こちらも半開きだった。

中をのぞき込む。

ミカサはいなかった。

エレンは私としたくなかったらしい。

それなのに私は強引に関係をせまったとうことだろうか。

つまり、私はエレンを陵辱した……?

……ということであっているだろうか……?

わからない。

わからない。

ただ、私は本当に、思っていた以上に、さらにそれ以上に、エレンから好かれていなかった。

好かれていなかった。

むしろ嫌われていたのではないか。

とんでもない罪を犯した。

エレンの家にいてはいけないと思った。

衝動的に家を出た。

猛然と走る。

自然と足がアルミンの家の方に向かう。

しかし、思い直す。

すぐに見つかってしまうのではないか、と。

方向を変えた。

方向を変えて気付いた。

エレンが私を探す必要なんて無いことに。

すぐにミカサの後を追った。

うっすら積もった雪の上に残された足跡をたどる。

町に出た辺りから足跡がよくわからなくなってしまった。

でもこの方向なら行き先はほぼ決まったようなものだ。

迷わずアルミンの住居に向かった。

着いた先で、とにかく扉を叩いた。

アルミンが出てくるまで叩いた。

出てきた姿が明らかに寝起きだったことに嫌な予感がした。

ミカサはいなかった。

行く宛てもなくとりあえず走り続け、迂回するルートでエレンの家の裏の方に着いた。

エレンに見つけてもらおうとでも言うのだろうか。

きっとエレンは私を見たくもないだろう。

泣いた。

泣きながら、家から離れて森の奥に進んだ。

アルミンと話し合い、朝までにミカサが見つからなければ憲兵に届けることになった。

オレはまた外を探す。

アルミンは家で待機してミカサを待つ。

言いたくないことが多すぎて、事情説明は要領を得ないものだったと思う。

それでも、なんとなく話が通じている印象をうけた。

たぶんオレとミカサの関係がなんか妙なことに気付いていたのだと思う。

ミカサが行きそうなところを一通り回って、一旦家に戻った。

薄着すぎて寒かった。

適当に上着を着込む。

ミカサもたぶん寒そうな格好で出て行っただろう。

上着をとるために、ミカサの部屋に入る。

荷物がまとめてある。

そういえば夜が明けたら荷物を運び出す予定だったな。

殺風景な部屋だった。

掛かっていた上着を手に取り、なんとなく机の上に目をやった。

見覚えのある箱が置かれていた。

丁寧にリボンがかかっている。

書き損じだオレへの手紙が入っていた箱だ。

ただの書き損じではない。

涙でインクがにじんだものだと言っていた。

そんな話をしたのはこの家に荷物を運び込んだ日だったか。

ミカサの頬に髪が貼り付いていたのを思い出す。

空が濃い青色の夏だった。

あのときはまだ、こんなおかしな関係になっていなかった。

束の間の幸せだったように思う。

なぜ今はこんなことに。

星がきれいだと笑っていた夜もあった。

一緒に裏の森の奥まで行ったこともある。

森の奥まで進むと開けた場所に出る。

なんとなく故郷の草原に似ていた。

そこに行ったときもミカサは笑っていた。

あの草原はまだ探していなかったことに気付く。

もしかしたらミカサはそこにいるかもしれない。

というか、ミカサがいるとしたら、もうそこしかないような気がしていた。

寒い。

気付けば肩にうっすら雪が積もっている。

森の奥の草原しか、私が行っても良い場所を思いつくことができなかった。

とりあえず、大きな木の下に避難する。

膝を抱えて座る。

おでこを膝に押し付けた。

エレン、お父さん、お母さん、おじさん、おばさん。

ごめんなさい。

みんなに謝らなければならない。

謝ってすむ話ではない。

誰かが私のことを呼ぶ声が聞こえた。

いや“誰か”ではない。

声がした方を見る。

エレンだ。

私に近付きながら「帰るぞ」と言った。

どうすればいいかわからなくなって、また泣いた。

やはりミカサは草原にいた。

白っぽい服が夜闇に目立つ。

上着を羽織らせ手をひいて立たせた。

手を繋いだままアルミンのもとにむかった。

ミカサの手があまりに冷えていたので、こいつだけ家に戻してオレ一人でミカサ発見の報告に行こうか迷った。

が、また失踪されてはかなわない。

だから一緒に連れて行った。

無言ですすり泣きながら、うなだれて歩くミカサの手をひくのは罪人を連行するようで嫌だった。

ミカサは罪人じゃない。

こいつは何も悪くない。

ミカサの体が冷えているのも気になっていた。

アルミンのところに行って帰ってくるまでの間、肩を抱いてやれば少しは冷えもおさまるのではないかと思い続け、ついに実行しないまま家に着いた。

寝室から持ってきた毛布でミカサをくるみ、火を入れた居間の暖炉の前に座らせた。

オレは少し離れたところに立ったままミカサを見ていた。

あと何時間、私はこの家にいられるのだろう。

救助された遭難者のような格好で座ったままそればかりが気になっていた。

家を出てしまえばエレンと話す機会もなくなるだろうか。

それならば、今きちんと謝罪をしなければ。

もう今しかない。

それなのに、なかなか言い出せない。

声を出すとつられて涙が出そうだった。

グズグズしているとエレンに先を越された。

「悪かったな。お前に……嫌な思いさせて」

「え……」

「オレが悪かったんだ」

「え、エレン、違う。……ごめんなさい」

「お前は謝らなくていい」

「そうじゃない。エレン、ごめんなさい」

「いや……」

「避妊、できない本当は。嘘ついた」

「そうか。それは……オレも薄々感づいてた」

「そ、それに……私は、あなたを、汚した」

「……は?」

「わ、私、あなたが私と……その、せ、性行為したくないなんて思ってなくて」

「いや、それは……そうだな……」

「ごめんなさい……ごめんなさい……エレンは……あの、そ、それなのに私、あなたに無理に、関係、を……」

「え?いや……は?」

「エレン、私のこと嫌だったんでしょう……?」

「いや、お前のことは嫌じゃ……ないけど……ないけどだな」

「いい、わかってる。本当に……ごめんなさい……」

「いや、わかってねえって」

「え、エレン……も、いいから……ほんとに、ひっ…く、うっ……ぅ」

「お、おい……泣くなよ……」

「うっ、ご、ごめんなさ……ごめ…ひっ、う」

「……オレは、お前のこと嫌いじゃないし」

「……」

「いや、お前のこと好きなんだよ」

「え、エレ……む、ムリはしなくていい。大丈夫。も、泣かない」

「無理じゃねえって」

「で、でも」

「好きだから、お前と寝るのやめられなかった。……最低だよな」

「え、あの……え……?」

「できることならお前と一緒にいたかったし、子供も欲しかった」

「……」

「でも、わかるだろ。子供生まれてもな……オレもお前も立場が……オレなんか地下牢に軟禁されてたんだぞ」

「エレン……」

「子供がかわいそうだ」

「……」

「でも、お前だけなら……お前だけでも普通の……」

「……どうして」

「どうしてって、いや、お前」

「……」

「……」

「エレン、戦わなければ勝てないと私に言ったのは、誰……?」

「は?……お前、何だよ」

「あなたが今言ったこと、以前私も考えた」

「そうだろうな」

「でも、それで諦めようなんて思わない」

「……」

「エレン、言った。戦えって」

「……」

「だから私は生きてる」

「……」

「エレン、私は……あなたが私といてくれるなら、戦いたい」

「……」

「一緒に」

いつの間にかミカサは毛布を椅子の上に畳み、オレの真正面に立っていた。

真剣な顔でオレに語りかける。

ミカサが話し終えると再び沈黙が訪れた。

ミカサはオレと一緒にいてくれると言う。

オレは、こいつと一緒にいても良いのだろうか。

今までに諦めてきたことをすべて、もう一度望むことができるだろうか。

それが許されるだろうか。

沈黙の中、互いに相手の出方をうかがう。

オレが先に動いた。

衝動的にミカサを抱き寄せ、唇と唇をくっつけた。

舌で唇を割るより先にミカサが口を開き、オレの舌を舐める。

先を越されたのが悔しくてミカサの舌を噛んでやった。

のどの奥でミカサが小さく声をあげたので、舌を噛むのをやめ、まっとうに口を吸った。

エレンと口をくっつけてから耳鳴りのようなものが止まらない。

エレンの腕、体温、声、息、唇……情報量が多すぎて、いつベッドのある寝室に移ったのかよくわからない。

しかも、どちらの寝室なのかすら判別できなかった。

辺りを見回しても、視覚情報を思うように処理できない。

エレンがそばにいることだけは、わかった。

きっと私はとても緊張している。

エレンと離れたくないと思い、ベッドに座ってしつこく頬ずりをした。

その間、エレンは私の髪を撫でていた。

しばらくして暖かい両手が私の頬を挟んだ。

ドキドキする。

口づけが再開された。

二人でもつれ合い、酔っ払いのように壁にぶつかりながらベッドまでたどり着くと、ミカサは頬をこすりつけてきた。

動物めいたその行動に、なごんだ。

しばらくはミカサのやりたいようにさせながら、まっすぐな髪に手を通して感触を味わっていたが、顔を見たくなった。

両手で頬を挟む。

顔を覗き込んだ。

どちらからともなく、唇を重ねた。

オレがミカサの舌を追いかけると、その分だけ誠実にミカサはやり返してくる。

その誠実さが愛おしいと思う。

もっと奥までミカサの口内を味わいたい。

そう思ったとき、頬に添えた左手が歪な傷跡に触れた。

ミカサの頬の傷は深かった。

跡が残った。

オレが付けた傷だった。

ミカサに触れるのが急に怖くなってきた。

それでも口づけを続けていると、ミカサの方から唇を離した。

つかの間、オレの顔を訝しげに見つめ、ふと目を伏せた。

ミカサの両手がオレの左手を包む。

照れたように笑い、ミカサが指先に口づけた。

カーテンの隙間から白い光が滲んでいる。

じきに夜が明ける。

ミカサだってオレたちの関係の危うさには気付いている。

それでもこうして口づけをくれる。

こいつに報いたい。

初めて、ミカサのシャツのボタンに、ふるえる手をかけた。

エレンが私のシャツの前を開けていく。

冷たい空気が肌をなでた。

丸く膨らんだ胸の下で心臓がうるさい。

エレンは私の身体を気に入るだろうか。

シャツを脱がなくても行為はできる。

でも、エレンが私の服を脱がせようとする理由はなんとなくわかった。

なぜなら私もエレンの服を脱がせたかったから。

シャツを脱がされ、肌着も脱がされ、上半身が赤裸になってから、私もエレンの着ていた服をグイグイ引っ張った。

私はやはり緊張しているらしい。

うまくできなくて、やっと脱がせ終わったときエレンの髪はボサボサになっていた。

責任を感じてエレンの髪をなおしていると、再び口づけをされてそのままベッドに倒れ込んだ。

苛立った声で、オレの髪はどうでもいいだろ、と言われた。

スカートと下着を脱がされながら、確かに今は髪のことなどどうでもいいような気がした。

ミカサの服を脱がせ、白い胸が露わになったとき、どうしようもなく乳房に吸いつきたい衝動にかられた。

が、とりあえずはこらえた。

ミカサに赤ん坊扱いされそうな予感がしたからだ。

こんなときまで母親面されたくはない。

ことの最中にオレの髪をなおそうとしてくるので少しイラついた。

やはり胸を吸わなくて正解だったと思う。

下を脱がすと、すでに結構濡れていた。

ミカサの反応を見つつ、柔い粘膜に愛液を塗り広げた。

今までに何度もやってきた行為だ。

それなのに、今初めてミカサを知ったような気分だった。

そろそろと指を挿入してみる。

すんなりと抵抗なく入った。

こいつの身体はオレのことを覚えている。

入れるときよりも、抜くときの方が抵抗を感じる。

膣肉が熱く指に絡みつき、離さない。

ひくひくと蠢きながらこの身体は待ちわびている。

指ではないものを。

不安になるほど柔らかい内腿を持ち上げ脚を大きく開かせた。

互いの性器をすり合わせると、口づけに似た音が聞こえた。

探るように慎重に挿入し、肌を密着させる。

弱々しい朝日の中、白く冷たく浮かび上がって見えたミカサの身体は、驚くほど熱く柔らかかった。

熟れた木の実のような唇に、迷わずキスをした。

エレンにおちんちんを挿入され、そのまま口づけされた。

エレンの舌が私の口の中をゆっくりと引っ掻き回す。

舌で舌をこすられたとき、お腹の底から全身へ、しびれが走った。

私の身体が、私の身体じゃないみたいにはねる。

おちんちんの出し入れをされたわけではないのに、キスで、いってしまった。

初めてわかった。

いく、というのは恐怖ではない。

快感だ。

ヒクヒクと収縮を繰り返し、いっとき鈍くなっていた膣の感覚が再び鮮明になる。

エレンのおちんちんは、まだたしかに私の中にいる。

早く奥までおちんちんを押し込んでほしい。

もう一度、いかせてほしい。

エレンの腕の中なら、何も怖くない。

息苦しささえ、ひどく幸せなものに感じた。

このままずっと抱きしめて、キスをしてほしい。

もっと気持ちよくなりたい。

それなのにエレンはキスをやめてしまった。

やめないで。

そう言いたかったのに、喉から出たのは自分の声じゃないみたいな喘ぎ声だった。

エレンが私の頬をぺちぺちと叩き、息をしろ、とうるさく言っているのが聞こえた。

「おい、大丈夫か。ミカサ。息、しろよ。吸って、吐け。ゆっくりな」

「あ、ぅ……んっっ」

「お、おい!大丈夫かよ。落ち着けって」

「え、エレ……だいじょぶ…で、も、いま、う、うごかさないで…あっ」

「は?!」

「ぅ……エレン、お、落ち着いて……いまうごかされると、また……いっ…ぅ」

「は?また?……また、イっちゃいそう……?なのか?」

「ん……」

「お、おう……そうか……すまん」

「ううん、あやまらないで……わたし、もっと……あの……ぁ……」

「え?」

「あの、息、しようとすると、こ、声、でる」

「え、ああ」

「だから、声、だしても、やめないで」

「……」

「きもちいい……ので、もっと、きもちよくしてほしい。エレンも……あ、えっと…ど、どうぞ」

そう言ってミカサはおずおずとオレの背に手を回した。

オレが拒まないとわかると腕に力を込めて身体を引き寄せる。

ミカサがオレの唇を舐め、はにかむ。

ミカサの「きもちいい」という言葉が気持ちを昂らせる。

むっちりとした下半身に陰茎を突き立て何度も内側を引っ掻いた。

押し込む度にミカサの喉から声が押し出される。

快感なのか何なのかわからないまま、夢中でミカサの身体に溺れた。

どさくさに紛れてミカサの柔らかく尖った乳首に吸い付いて、甘く噛んだ。

一際高い声があがり、ヒクヒクと子宮が精液を吸い上げようとする。

ミカサの身体が望む通りに、膣内で射精した。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー

目が覚めるとすでに日が高かった。

ちょうどお昼頃だろうか。

エレンは私を抱きしめたまま、まだ眠っている。

エレンを起こしてしまわないように、目が覚めたときの体勢を保ち、再び目を閉じた。

エレンと一緒に寝ているというこの状況をじっくり味わいたかった。

寝たふりをしながらぼんやり色んなことを考えた。

お腹の中で出されたら、果たしてそれを私は感知できるのか、という疑問の答が今回の性行為でわかった。

中で出されたら、わかる。

エレンのおちんちんが中で暴れたから。

エレンは一回私の中で出した後、さらにもう一度出してくれた。

最中、何度も口づけもしてくれた。

あまりに幸せで、気が狂いそうだった。

二回の中出しの後、ぴったりと抱き合って寝た。

その頃になってようやく私は周囲の状況を把握できるようになり、ここが自分の部屋だということに気付いた。

ここは、私の部屋だった。

……今でもここは私の部屋だろうか。

本来ならば今頃はもう私はこの家を出ていなければならない。

ここで寝たふりなどしている場合ではないはずだった。

でも、昨日、いや、今朝、色々と状況が変わった。

と、思う。

けれど、私の身の振り方について二人で話し合って新たに結論を出したわけではない。

不安が胸を締め付ける。

今までに色々なことを言ってきたけれど、やはり私はエレンと離れたくない。

エレンが身じろぎした。

目を覚ましたようだ。

私は寝たふりを続行した。

目を覚ますとミカサがまだ眠っていたので妙な優越感を覚えた。

が、ミカサの寝顔を見て優越感は消え去った。

こいつ、狸寝入りじゃねえか。

ベッドの足下の方で丸まっていた服をごそごそと引っ張り出して着た。

服を着ても、ベッドの外は寒かった。

いや、ベッドの中が暖かすぎたのか。

ミカサの分の服も引っ張り出して枕元に置いてやった。

ミカサも狸寝入りをやめたようで、布団の中に服を引っ張り込んで着始めた。

ベッドに腰かけてミカサが服を着終わるのを待つ。

ミカサには色々と言わなければならないことがある。

「服、着たか?」

「あ、エレン、待っててくれてたの?うん。服着たのでこっち見ても大丈夫」

「おう。あのさ、今まで色々と、その、苦労かけたな」

「そんなことない」

「そうか……ここの荷物だけどな、お前まとめただろ」

「……うん」

「けど、もしお前が嫌じゃなければ……荷解きしないか。この家で」

「え……」

「お前が良ければ、このままここにいてほしい。お前と……所帯を持ちたい」

「……いいの?」

「いいぞ」

「じゃあ、ここにいる」

「ずっと?」

「うん。ずっと」

おわり

なんかダラダラ書き続けてすまんこ
半年もかかるとは思わなんだ
保守とかどうもありがとう

おめでとう
幸福だな
エロ泣けた

素晴らしい

アルミンもかわいいな
素晴らしい

待ってました
ミカサもエレンも幸せになれて良かった
アルミン良いね

一気に読めて感激した
あなたの書くミカサもエレンもアルミンもかわいいな

セリフパートいらなくね?

ありがとう…ありがとう…
エレン視点・ミカサ視点・会話パートの組み合わせが絶妙でエロかった
視点が入れ替わるからすれ違いっぷりがよく分かるし会話のテンポよくて小説なのに漫画読んでるみたいだった
幸せなエロをありがとう
またどこかで会いたい

毎日更新を楽しみにしていたSSがついに終わってしまった・・・
上質な萌をありがとう・・・
しかし。どうぞって・・・
かわいすぎかよ!!!

おつかれした。ひょっとして鍵のかかる…を書いた人?

新婚の人じゃない?
十月十日の人

乙!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年08月04日 (木) 20:13:50   ID: Fftlp8mf

ちょーよかった!!最高!!また別の作品も見てみたいです!!(個人的にエレペト)

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