これはハーフエルフの少年と彼に育てられた人間の娘の旅の話
前スレ
少年エルフ「進路相談?」 - SSまとめ速報
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#1【イントロダクション】
○王都新聞より抜粋
そして探求の旅がはじまった
300年前の魔王復活か!? 近年増加してきた動物の凶暴化 怪事件 そして魔物の出現を異常気象で片付ける事が難しくなった兄王は先日の学校ゾンビ襲撃事件を機に末妹の第七王女が提案していた魔王調査隊をついに正式に承認
行動派で知られる王女は自ら調査隊を率いて魔王ゆかりの地へ馬車を走らせた
○山間の道を行く馬車の中
ガラガラガラ
女騎士「うーん 一面ではなかったですね」
バサッ
女騎士さんが読んでる新聞を王女がひったくる
第七王女「なんじゃと!? うぬぬ この新聞は事の重要性を分かっておらんのか」
彼女は第七王女 15歳 300年前の勇者を始祖とする王国の正真正銘のお姫様 歴史に詳しく勇者にあこがれる『勇者かぶれ』 今回も2代目勇者を襲名してのご出立とあいなった 年が近いのと身分とか気にしない性格なのでアタシ達と友達になれた
女騎士「仕方ないですよ 勇者や魔王なんてほとんどの人間は信じていませんから おとぎ話ですよ」
第七王女「おぬしまでそんなことをいう~」
女騎士「まぁ 魔王かどうかは置いておいて 何かいるのは間違いないのではないでしょうね?」
女騎士さん 36歳 第七王女付きの近衛兵でたびたび城から脱走する王女を連れ戻すのが主な仕事の苦労人 独身 今回の調査でも護衛として参加 剣の腕は確かで頼もしい 元同僚の男さんと色々噂があるみたいだけどどうなのかしらね
第七王女「ぬうう こうなったら男子! 新聞社に抗議するのじゃ」
男子「え!? いや……あの……」
男子君 同い年の16歳 元王国騎士の男さんの一人息子で騎士科の優等生 先日の第七王女杯で準優勝したから『準騎士』になってる この調査には王女からの要望(わがまま?)で参加 いや~イケメンだし背高いし筋肉もりもりだし たまらんわ~ って困ってる
娘友「王女そういうことならアタシが何とかするわ」
第七王女「まことか 友には父君の商人殿からも馬車や旅の支度まで世話になっておるのに すまないのう」
娘友「アタシも半分は商売修行に来てるようなものだし気にしないで」
第七王女「うむ わかった 友はホントに気持ち良いものじゃ」カッカッカ
男子「……ん すまない 助かった」
娘友「いいのよん」
っしゃ! ポイントゲットぉ!! 男子君は娘が好きだったみたいだけどハッキリフラれたからアタシにもワンチャンスあるわよね しゃーんなろー!
娘「友……さっきから変な顔してちょこちょこ何書いてるの」
娘友「え? これは~まぁ旅の記録みたいなものよ 気にしないで」
娘「ふーん」
娘 同い年16歳 アタシと同じ普通科なんだけどアタシと違って剣も魔法もトップレベル 第七王女杯でも優勝したし とある村の生き残りで王女は『賢者』の末裔なんじゃないかと考えてるみたい 美人で人気もあるんだけど 実はファザコン
少年エルフ「うぅ……まだ着かないの?」
娘「パパ大丈夫? まだ気持ちわるい? お薬のむ?」
少年エルフ「何回ものんでも効かないよ」
ファザコンっていうのかなコレ?
少年エルフさん 61歳 ハーフエルフで見た目は10歳くらいでカワイイ 弟にしたいわ~ 魔法や薬に詳しくて喫茶店のマスター 人間の娘の育ての親で一応パパさんなんだけど なかなかそうは思えないわよね~ 人より耳がよかったり魔力的に鋭敏で調査にはうってつけなんだけど 今回の調査にはどうも娘の参加条件として一緒にいくことになったみたい そういえば『パパ一人にしておけない』って娘は調査隊に加わるのずいぶん断っていたわね
娘「王女 まだ着かないの? パパがかわいそうよ」
第七王女「安心せい 見えてきたのじゃ」
ガラガラガラ
看板『ようこそ 魔王温泉へ』
○谷の国 魔王山温泉郷
\ラッシャセーラッシャセー/
\土産物はこちらでどうぞー/
\当店自慢の大浴場を是非どうぞ/
\劇場の新作チケットはこちらで販売してますー/
ガヤガヤガヤガヤ
男子「えっと これは?」
女騎士「谷の国 山間の小国で温泉が有名 魔王山温泉郷として国を挙げての観光事業を行っている」
女騎士はガイドブックを読み上げた
娘友「モグモグ……なるほど それでこの活気なのね……モグモグ」
娘「ちょっといきなり何食べてるの貴方」
娘友「魔王まんじゅう けっこういけるわよ」
娘「もう 遊びに来たわけじゃないでしょ ねぇ王女……王女?」
第七王女「おおおおおお こんな所で『勇者千本桜』を演っておる!? 観逃しておったのじゃ よし いくぞ男子」
男子「えぇ?」
女騎士「コラ王女 それは調査と関係ないでしょう」
第七王女「むぅ わかったのじゃ 後にするわ」
娘「それにしても『魔王』だらけね……温泉 饅頭 煎餅 どこから調べたらいいの?」
少年エルフ「あ あそこに『魔王城』があるよ」
第七王女「なんじゃと!?」」
看板『ファッションホテル 魔王城』 ※ラブホ
娘「パパ あれは違うから」
少年エルフ「え? だって……」
娘友「あれは城は城でも愛の城よ エルフさん」
少年エルフ「あいのしろ?」
娘「変なことをパパに教えないでくれる 友」ゴゴゴゴゴ
娘友「え~ 変なことてナンですか~ 何がヘンか教えていただけますか~」へらへら
スッ
娘のアイアンクロー! 娘友の頭を締め上げる
ギリギリギリギリギリギリ
\ギャアア ギブギブ ゴメンゴメン/
少年エルフ「え ちょっと 娘!?」
女騎士「とにかくアレは違いますから ただの客寄せで魔王城っていってるだけですから」
少年エルフ「そうなんだ」
第七王女「まったくあんなピンク色の魔王城があってたまるか ケシカラン」
男子「しかし本当になんでこんなに魔王だらけなんだ?」
第七王女「さての とにかくまずこの国の王と姉上に会いにいくのじゃ」
娘「お姉さんがいるの?」
女騎士「えぇ この国には第二王女が嫁いでいます」
娘友「それってつまり この国の王妃になってるってこと?」
第七王女「そうじゃ 姉上がこの国の王妃なのじゃ」
※更新終了 今回はここまで 次回は年明けです
乙
#2【ようこそ魔王温泉へ ~ドキッ!リア充爆発危機一髪編~】
○谷の国 国営旅館
女将(第二王女)「あらあら王妃だなんて…… ただの女将でいいのよ」
\姉上ー/ \七ちゃん久しぶりね/
大旦那(国王)「まったくじゃ ここは山ばかりの小国だからの胡座をかいてする仕事は少なくてな それで旅館をやっておる ワシのことも大旦那と呼んでおくれ」
女騎士「有り難く存じます 大旦那様」
大旦那「そんなかしこまらなくてよい 女将の妹なればなおのこと」
第七王女「いやはや 大旦那殿は心が広いのう うちの兄上とは大違いじゃ」
大旦那「いやいや王ならばあれくらいしっかりしとる方がよかろう ワシなんか女将にしょっちゅう小言をを言われておってな」
女将「あら 旦那様 私がいつそのようなことを?」
大旦那「ふぉ!? とにかく長旅で疲れておろう部屋に案内しよう」
第七王女「いえそれにはまだ及ばぬ 今回ここに来たのは調査のためなのじゃ」
大旦那「なんの調査だね」
第七王女「うむ 魔王についてじゃ」
大旦那「ほほう 魔王とな たしかにここは魔王温泉だからの」
第七王女「何故にそのような名前なんじゃ?」
大旦那「魔王山から温泉が湧いておるからの 自然とそう呼ぶようになったの」
第七王女「魔王山?」
大旦那「ここからでも見えるあの火山でな 勇者と魔王があの山で戦ったそうだ その時に勇者が魔王をあの火山に封印したということじゃ」
第七王女「それは奇妙じゃ わらわの調べたところでは勇者と魔王の決戦は魔法国の平原だったはずじゃが」
女将「伝承ですもの 色々あるわよ たしか山の麓の観光センターに歴史の展示があったわよ そこに行ってみる?」
第七王女「うむ 行きたいのじゃ」
大旦那「ならば 若旦那を案内につけよう おーい若はおるか」
二十歳ぐらいの青年があらわれた
若旦那「へい ご用ですか」
大旦那「ふむ 女将の妹御が観光センターに行きたいそうだ 案内しておくれ」
若旦那「かしこまりました ではこちらに」
女将「夕方までには帰るのよ じゃあ若ちゃん頼みましたよ」
若旦那「……へい」
○魔王山行き観光列車
ガタゴトゴトン ガタゴトゴトン
第七王女「こんな山奥に列車が走ってるとはのう スゴイのう」
女騎士「危ないですよ 座ってください」
若旦那「この列車は王国からの技術協力によって出来ました 開通して今年で五周年ですね」
男子「わりと最近だな」
娘友「ねぇねぇ 若旦那さんと大旦那さんは親子ですよね」
若旦那「そうですよ」
娘友「だったらこの国の王子なんですよね」
若旦那「一応そうですね ただ親父の方針で王族でも『働かざるもの食うべからず』ですから 板前と観光大臣をやってます」
娘友「スゴイですねその若さで……(玉の輿も悪くないわよねぇ)」ニヤリ
娘「友……悪い顔になってるわよ」
娘友「あら 出てた?」 娘「出てる出てる」
第七王女「うむ どこぞの口先ばかりのバカ王子よりよっぽど立派じゃ 姉上も幸せそうじゃし良い国じゃの」
若旦那「ありがとうございます 女将もこの国に馴染んで毎日楽しそうです」
少年エルフ「そういえば王女のお姉さんってどうしてこの国で女将さんやってるの?」
第七王女「ん エルフ 言わなかったかの? この国の王に嫁いできたのじゃ」
少年エルフ「え とつぐって」
女騎士「大旦那殿と結婚されたんだ」
少年エルフ「えー!? だってずいぶん歳が離れてない」
娘友「ハッキリ言うわね」
若旦那「ははは エルフ君 色々あってね 大人になったらわかるよ」
少年エルフ「大人って 僕はこれでも61です」
若旦那「ははは そうかそうか」
少年エルフ「むー 信じてない」
娘「もうパパ むくれないの」
若旦那「ははは…… 『大人になったら』かぁ」ボソ
○魔王山の麓
少年エルフ「うわーすごーい」
第七王女「見事な眺めじゃのう」
火山から噴煙が立ち上っている
女騎士「ほら 二人ともこっちですよ」
○魔王山観光センター
スタスタ
若旦那「ここが歴史・民話の展示ですね」
第七王女「ふむ 『魔王退治』の伝説か」
展示パネルに伝承が描かれている
パネル「およそ300年前魔王が火山に城を築いて谷の国を支配し北方と南側の王国へと侵略を開始しました」
少年エルフ「へー」スタスタ
パネル「王国の軍が討伐に来ましたが空飛ぶ魔物に襲われ 魔王城にはたどりつけませんでした」
女騎士「まぁ谷間で空からでは勝てないな」スタスタ
パネル「そこに王国から来た勇者があらわれ 精霊の力をかりて魔王城へもぐりこみ 魔王に戦いを挑みました」
男子「なんかここ雑だな」スタスタ
パネル「激戦の末に勇者は魔王を火口においつめて倒し 魔王を火山に封印しました」
第七王女「ふむ あっぱれじゃな」
パネル「この説話をもとにつくられたのが銘菓『魔王山まんじゅう』 八個入り1080G 売店で発売中」
娘友「って宣伝かい! うまいことやるわね」
若旦那「ははは まぁここは饅頭屋のコーナーですしね」
娘「でもこれだけじゃ 大した事ないわね どうする王女?」
第七王女「うーむ」
○
ドタドタドタ
山男達が若旦那に詰め寄る
山男「若旦那― また出ました 俺たちゃもうガイドなんてやってらんねぇっす」
若旦那「またお前達そんなことを……」
山男「今朝山に行った奴らが戻って来ないんで探しにいったら またバケモノが」
若旦那「そんなモノはいない 不明者がでたなら捜索隊を組ませるから とにかく騒ぐな」
第七王女「もし…… なにやらトラブルかの?」
若旦那「いえ……しかし急用が入ってしまったので ご案内はここまでてよろしいでしょうか?」
女騎士「はい ありがとうございました」
若旦那「夕方には旅館に戻ってくださいね ではここで失礼します」
若旦那は山男たちと行ってしまった。
○
娘「山で何かあったみたいね」
少年エルフ「なんかバケモノが出たとか言ってたね」
第七王女「ふっふっふ 見つけたのじゃ 敵は魔王山にアリじゃ よし山にいくのじゃ」
女騎士「王女 そんな火山ですよ簡単に行けるわけが……」
娘友「あ あっちの窓口で登山ガイドの紹介してるみたいね」
○登山窓口
受付「いまは山には入れませんよ」
第七王女「なぜじゃ?」
受付「えっとね化け……じゃなくて ね ちょっとね事故があったから 入山禁止だよ」
第七王女「むぅ」
女騎士「ほら王女 今は無理ですって お茶でも飲んで旅館に戻りましょう」
○喫茶コーナー
第七王女「山で何か起こっておる 間違いないのじゃ」
女騎士「でも山に入れないんじゃ仕方ないじゃないですか」
娘友「ほーんと 単純に火口みてみたかったなー」
少年エルフ「あ 僕も 火山って初めてだし」
娘「あ そうだったの……なんとかならないかしら」
???「おやおや山に行きたいのですか?」
怪しいオトコがあらわれた
女騎士「あなたは? 地元の方にはみえませんが」
神官「ワタシは旅の神官です この山には修行でよくのぼっていたのでご案内はできますよ」
第七王女「まことか それは助かる」
神官「そのかわり…… 少々『お布施』をいただけますか?」
※更新終了
あけましておめでとうございます 今年も少しづつですが更新していきます では次回は来週です
乙
#3【魔王山とダメ神官 ~お越しの際は魔物にご注意下さい~】
○登山道 裏道
神官「いやー助かりました なにせ路銀が付きかけて困っておりましたので」
第七王女「困っておったのはこちらもじゃ 旅は道連れ世は情じゃ」カッカッカ
女騎士「……それにしても神官殿 貴殿はどちらの宗派ですか?」
神官「それは…………ナイショです」
娘友「ちょっ おい」
神官「いえね 大きな声では言えませんがワタシ 実は破門の身でして それを解いてもらうための旅の途中なんです」
女騎士「それでこのような所に」
神官「はい それに伴って宗派を教えたりすることを禁止されてますので それについてはご容赦ください」
第七王女「あい わかった 不躾な事を訊いたの」
神官「いえいえ とんでもありません」
○
娘友「はぁ 山登りかぁ先が思いやられるわ」
娘「そういえば以前もバテてたわよね」
娘友「まぁ いざとなったら男子君に……グフフ」
娘「友 顔ヤバいわよ…… まったく ところでどう思う? あのオカッパ」
娘友「神官さん? ん~ 顔はまぁまぁね 破門されてなければアリだったかな」
娘「そうじゃなくて なんか怪しい感じがするのよ」
娘友「んー たしかにそうかもでも僧侶とか神官ってどことなく胡散臭くない?」
娘「そうかもしれないけど」
神官「しかし女騎士さん こんなキレイな方とご一緒できるのは光栄です どうです下山したら一杯いかがですか? おごりますよ」
女騎士「おごるって……それはさっきのお布施ではないですか」
神官「あ そうだった スイマセンついつい」ハッハッハ
娘友「うーん 普通に破門されるタイプね」
娘「そうね 気にしすぎかな」
○小一時間後 登山道・山頂付近
神官「あ~ もう歩けない」ドタッ
娘友「あんたがバテるんかい」
神官「いや~ 最近運動不足だったかな」
娘「男子 背負ってやって」
男子「いやそう言ったって」
第七王女「背中は満席じゃ」
男子は王女をおぶさっている
少年エルフ「あ じゃあ 僕はもう大丈夫だから」
抱きかかえられていた少年エルフが男子から降りる
神官「いえいえ お心はありがたいですか男性に抱かれる趣味はありませんので」
女騎士「ならば 少し休憩をとるか?」
神官「それにはおよびません もうすぐそこが火口ですので 先に行ってください 後から追いつきますから」
第七王女「本当か よし行くのじゃ 男子走れ」
男子「こんな所で走れませんよ」
のしのし
娘友「あ 王女 男子君」
タッタッタ
女騎士「仕方ないな 先に行くが本当に大丈夫か?」
少年エルフ「疲労には効かないけど治癒魔法しようか?」
神官「ありがとうエルフ君 しかしコレを飲んだら大丈夫ですから」
神官は懐から瓶を取り出す 中には赤色の液体で満たされている
少年エルフ「なにそれ? ポーション?」
神官「はい ワインという天が与えたポーションです」
少年エルフ「……えっと?」
女騎士「……」ハァ
娘「パパ行きましょ 大丈夫みたいだから」
\え ちょっと/
スタスタ
神官「ふふふ」
きゅぽん
神官「いつになってもアルコールなら飲めますからね……」
グビグビ
神官「ふぅ…… さてどうなりますかね」
○魔王山 火口展望台
第七王女「よーし 一番のりじゃ」スタッ
王女は男子から飛び降りた
男子「やれやれ やっと着いた」
辺りは水蒸気がもうもうと立ち込めている
娘友「うわ~ スゴイ匂いと煙ね コレどこが火口なの?」
女騎士「下手に動かないでください 転げ落ちますよ」
娘「でもこれじゃ どこに何があるのか分からないわね 誰も居ないみたいだし」
少年エルフ「え? あっちに誰か居るみたいだよ」
女騎士「どっちです?」
少年エルフ「こっちこっち」
少年エルフが歩く先に人影が揺らめいている
???「……」ゆらっ
少年エルフ「えっと(水蒸気でよく見えないけど) こんにちわ!」
少年エルフは元気に挨拶をした
???「ボッ?」クルッ
人影が振り返り姿があらわになる
少年エルフ「え」
炎人「ボ」
人型の炎が驚きとまどっている
王女「なんじゃあれは!?」
女騎士「炎のモンスターか!?」
娘「パパっ! 下がって」
炎人「ボボッ ニンゲンダーーッ!!」
炎人が襲いかかってきた!!
少年エルフ「ふ”風弾”」ビュオオ
炎人「ボワーーー!?」
炎人は吹き飛ばされた
少年エルフ「あぁ びっくりした」
娘「よかった なんともなくて」
第七王女「いやはや あんな魔物がおるんじゃのう」
女騎士「おや 煙が……」
魔法の影響で水蒸気が晴れていく
男子「な!?」
娘「こんなに居るなんて」
炎人たちに囲まれてしまった
○
炎人A「ニンゲンダ」
炎人B「オンナダ」
炎人C「オトコダ」
女騎士「これが山に出たバケモノってことか」
娘「そうみたいね 男子は王女と友を守って」
男子「ん…… わかった 気を付けろよ」
炎人D「オノレリア充」
炎人E「リア充爆発シロ! リア充爆発シロ!」
少年エルフ「な 何言ってるの?」
娘「……ワカラナイわ」
\大火球/ \大火球/ \大火球/
炎人たちは魔法を唱えた
ボボボォン
男子「うおっ!? この」
男子は火球を受け流す
バシュバシュ ボボォン
受け流しきれなかった大火球が男子に直撃する
男子「あっつ!」
娘友「大丈夫? 男子君」
第七王女「なんで男子ばかりを狙うんじゃ! このバケモノめが!」
第七王女と娘友が後ろから男子を気遣う
炎人A「ウォオオオオ! 両手ハナァアアア」
炎人B「嫉妬の炎がメラメラトォオオオ!」
炎人C「嫉妬ファイアアアアアアアアア!!」
炎人たちの火力が上がった
女騎士「なんだコレ」
娘友「メンドクサイタイプね~」
娘「もういいわ 一気にいくわ”雷撃”」
ドンガラガッシャーン
炎人たち「ボワアアアアーー!!」
娘「よかった雷は効くのね」
炎人F「ヒィイイ」スタコラ
炎人Fは逃げだした
少年エルフ「あ そっちは」
神官「ふう よっこらせっと」
神官が登ってきた
神官「あ」
炎人F「ボ!」
神官「おっと ”氷牙咬”」ヒュキン
魔法の氷が炎人をかみ砕く
炎人F「ボワッワアアア」
炎人たちを倒した
○
第七王女「ほう 見事じゃ」
神官「やれやれ 危ないところでした」
少年エルフ「よかった 誰もケガない?」
娘友「男子君が火傷をあちこち」
男子「大丈夫だ大したことない 痛ぅ」
娘「つばでもつけてなさい」
少年エルフ「ダメだよ ちゃんと処置しないと ”治癒”」パアア
娘友「それにしてもなんであんな魔物が」
第七王女「そうじゃの 何か手がかりなないかの?」うろうろ
女騎士「あまり時間はありませんよ 日も傾いてきましたし」
神官「そうですね 正規ルートを下りれば早く下りれますよ ……怒られるかもしれませんが」
娘「大丈夫なんじゃない? 魔物も退治したし」
第七王女「うーむ そうじゃな下りて若旦那どのにあの魔物について聞いてみるかの」
娘友「じゃ 帰りましょ」
神官「では 下山しますか こちらです」
ゾロゾロ
○夕方 観光センター付近
女騎士「若旦那殿は歓楽街の監査にいっているそうだ 受付が言うには遅くなるから旅館で待つのが良いとか」
第七王女「ほう 歓楽街とな 見たいのう」
神官「おや だったらご案内しましょうか そこも詳しいので」
女騎士「ダメです 第二王女が夕方には戻るように言っていたじゃないですか」
第七王女「むむぅ」 神官「おやおや」
娘友「まぁまぁ どうせ駅前なんだし 帰り際に少し寄り道してもいいじゃない」
第七王女「さすが友は話が分かるのう 少し見たいだけじゃ」
女騎士「うぅん見るだけねぇ…… 見るだけですよ」
第七王女「やった じゃあさっさと行くのじゃ時間はないぞ」
一行は歓楽街へ向かって歩きはじめる
○
テクテク
少年エルフ「ねぇ 神官さん カンラクガイってどんな所?」
神官「おや そうですね それは……」フフフ
娘「……」ギロリ
娘は神官を睨み付ける
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
神官「ええっとね 飲み屋さんがたくさん集まってるところですよ」
少年エルフ「そうなんだ」
娘「パパはお酒ダメでしょ だからそういう所は無理でしょ」
少年エルフ「うん そうだね」
娘「そうでしょ……」ホッ
ガヤガヤ
男子「人が増えてきたな」
神官「そうですねここから向こうの通りが歓楽街ですから」
歓楽街の入り口にさしかかった
○
※更新終了 今回はここまで モンハンXようやく集会所上位にいけました 次回は来週です
乙
#4【歓楽街といい湯かな? ~命の洗濯で魂の汚れは落とせるか~】
○歓楽街 入口付近
ガヤガヤ
第七王女「ほう 派手じゃのう」
娘友「結構な人混みね」
客引「お兄さんたち これからどうです? 2時間5千円ぽっきりですよ」」
男子と神官が客引きに絡まれた
神官「そうですね~どうします男子クン」
男子「え? いや……その」
女騎士「神官どの 男子君は未成年ですよ」ゴゴゴゴゴ
娘「男子~! 勝手に離れるんじゃないわよ」ゴゴゴゴゴ
客引「おツレさんが居ましたか これは失礼しました~」ソソクサ
客引きは別の客に声をかけにいった
女騎士「何やってんですか 貴殿は聖職者でしょうが」
神官「いやぁ~まぁ その 今は破門もされてるしいいかなって」アハハ
娘友「ダメな大人……」ボソ
スカウト「君 スタイルいいし美人だね~ どうウチの店で働いてみ」 娘「ハァア!?」ギロリ
\シツレイシマシタ~/
少年エルフ「こ 怖いよ娘」
第七王女「見事な瞬殺」
娘「ホントにもう ほらパパ はぐれちゃダメよ」ギュ
娘は少年エルフの手を握った
少年エルフ「う うん」
ガヤガヤ
○
娘「ふぅ やっと人混みを抜けたわね」
第七王女「全員おるか?」
神官「いますよ~」
女騎士「まだ居たんですか どうぞ独りでどことなりと行っていただいて結構ですよ」
神官「そんなツレないこと言わないでくださいよ~」
女騎士「日も暮れたし早く旅館に戻りますよ」
少年エルフ「あ まって」
娘「どうしたの?」
少年エルフ「あのお店なんだろ? すごく怪しい気配がするよ」
第七王女「どれじゃ?」
少年エルフ「ほら あの角の所の……」
歓楽街へ入る角に館のような建物があり看板がかかっている
看板『魔王温泉 湯元秘宝館』
女騎士「えっと……」
娘「あれはね……」
少年エルフ「秘宝があるの?」
神官「そうですね~あそこはオトナの秘宝が展示されてるんですよ~」」
男子「オトナの秘宝?」
女騎士「神官殿!」
娘友「そうね 秘宝というかむしろ珍宝ね」
少年エルフ「珍宝? 珍しいの?」
第七王女「ふーむ たしかに怪しいのう」
娘友「でしょう」むふふ
娘「友~」ゴゴゴゴ
\余計なことを言うなって言ってるでしょ/ \タンマタンマ ソレは一日一回まで/
少年エルフ「あ ほら ヨロイの人が入っていくよ」
ガシャンガシャン
全身ヨロイを着た人が館に入っていった
娘「……オトコってのは まったく ああまでして」
女騎士「いいですか あれは怪しさで商売してるような店ですから 怪しくて当然です」
第七王女「そうなのか」
男子「そうなんだ」
女騎士「分かったら帰りますよ ほら列車が来ましたから」
娘「ほら パパも行くわよ」
少年エルフ「うん……(あの人も変な気配だったような?)」
娘「はやく」
少年エルフ「わかった行くよ」
○数時間後 国営旅館
女将「あらお帰りなさい 遅かったわね」
第七王女「姉上 疲れたのじゃ」
女将「はいはい 夕食は用意してあるから 食べたらお風呂に入ってらっしゃい閉めた後だから貸し切りよ」
女騎士「ありがとうございます こんな遅くに」
神官「女将さ~ん ワタシもいいですか?」
女将「あら 神官さんも遅かったのね いいですよ一緒にどうぞ」
娘友「知り合いですか?」
女将「えぇここ数日ウチに逗留してるわ」
娘「ほらパパ起きて」
少年エルフ「ぅん? ゴメン寝てた?」
娘「いいの ご飯食べたらお風呂よ」
少年エルフ「おふろ?」
女将「えぇ 自慢の露店風呂よ」
○露店風呂 男湯
少年エルフ「うわ~これ全部お風呂? 広いし星が見えるよ スゴイ」
男子「露店風呂ですからね まずかけ湯ですよ エルフさん」ザパー
少年エルフ「うん」ザパー
男子と少年エルフは温泉に入る
男子「あー~ いい湯ですね」
少年エルフ「う……うん(ちょっと熱い)」
ドタバタドタバタ
大旦那「よし行くぞ」
神官「来ました来ました」
大旦那と神官が駆け込んできた
ザパ―ン ザブザブ
大旦那「よし ここだ」
神官「まったく旦那も好きですねぇ」
大旦那と神官が仕切り板に顔を張り付ける
男子「どうしたんですか? 大旦那さんまで」
少年エルフ「何してるの?」
神官「しッ! 静かに」
\すごーい 広ーい/ \一番じゃー/ \まず体を洗ってください王女/
○女湯
第七王女「だったら姉上に洗ってもらうのじゃ」
女将「あらあら まだ洗ってほしいの?」
第七王女「久々によいじゃろう 姉上ー」
女将「ふふ しょうがないわね 洗い場はこっちよ」
ペタペタペタ
娘「……いいわね ああいうの」
娘友「ホント 女将さん何食べたらあんなボインになるのかしら」
娘「そっち!?」
娘友「ちがった? でも王女がアレでお姉さんの女将さんがアレなら……希望をもっていいよね これからよねアタシも王女も」
娘「そうねー」テキトウ
娘友「で? 何がいいの?」
娘「え? うん……最近パパを洗ってあげてないなぁって」
娘友「」ゴフ
娘「もう一年近くパパと一緒にお風呂入ってないわ」
娘友「マテマテマテ…… 去年まで一緒に入ってたの!?」
娘「そうよ パパを洗うのわね こう……楽しいのよ お肌スベスベだし 髪を洗うのもいいし すごく耳は嫌がるんだけどね耳を洗うとね」フフフ
娘友「言うな……それ以上はいけない それじゃあエルフさんも逃げ出すわよ」
娘「何よ 私のせいだっていうの?」
娘友「……どっちもどっちかな そろそろアタシも体洗お」
娘「あ よかったら洗ってあげるわよ どう?」
娘友「遠慮します 勘弁して ゴメンナサイ」
娘「なによもう じゃあ私も……」
\……ォ/ \……シャ!/
娘「!……まって友 こっち来て」ボソ
娘友「なに?」
○男湯
大旦那「よっしゃピチピチギャルキター!」
神官「この角度じゃ洗い場しか見えないんですよねぇ あぁもう女将はまだまな板を洗っているんですか肝心なトコが見えない」
大旦那「ふっふっふ まだまだ青いのう 大きければよいのか?」
神官「そりゃそうでしょ 大きい事は良い事です 何事も」
大旦那「だから青いというのじゃ 大きさよりも形じゃ 美しさじゃ 程よいふくらみとハリ そう美乳こそ至高じゃ」
神官「ぬぬぬ 貴方は揉めるからそんなこと言えるんでしょうけど 揉めないワタクシどもは眼で見て 楽しむのがメインなのですよ そのためには巨乳がベストでマストです」
少年エルフ「ちょっと二人とも何してるの 覗いてるの!?」
大旦那「左様」 神官「それ以外何をしろと」
少年エルフ「そんなのダメでしょ もー」
神官「分かりましたわかりました 後で交代しますから」
少年エルフ「ちーがーう そうじゃなくて 大旦那さんも女将さんが居るのにどうしてそういうことするの」
大旦那「……エルフ君よ これは浪漫じゃ そう男の浪漫なのじゃ 嫁が居る居ないは関係ないんじゃ」
少年エルフ「もー 信じられない もー」
神官「でもエルフさんだって~ 娘の成長を確認してみたくはないですか?」ボソボソ
少年エルフ「な! 娘のって……もう 知らない 髪洗ってくる」ザバザバ
神官「フフフ オトシゴロですね」
男子「いい加減やめた方がいいですよ 娘にバレたら何されるか」
神官「またまた そんなコトいいながらどうしてココから動かないのです?」フフフ
男子「いや……その……」カアアア
大旦那「分かっておる しばしまっておれ さて……もう洗い場にいったかの」
神官「おぉ やっと王女が洗い終える もう少し……」
○
ピシューー
大旦那「ぐあああああああああああああああ」
神官「めがあああああああああああああああ」
ザパーン
二人は覗き穴から眼にシャンプーを穿たれ湯船にひっくりかえった
男子「な!? どうしたんだ」
娘「男子……」ゴゴゴ
仕切り板の向こうから声が響いてきた
男子「む 娘ぇ!?」
娘「アンタ何してるの」ゴゴゴゴゴ
男子「いや違う 俺はしてない 断じて!」
娘「へぇ でも覗いてるオッサン二人を黙認はしてたのね?」
男子「いや…その……」
○ちょっと前 洗い場
少年エルフが目を瞑って髪を洗っている
少年エルフ「……まったく僕はパパなんだよ 娘の成長なんて……」ごしごし
少年エルフ「……あぅ」ドキドキドキ
少年エルフ「僕はパパ僕はパパ僕はパパ……」ぶつぶつ
\ギャアアアアア/ \メガアアアアアアア/
少年エルフ「なに!? あ!! 痛ったーーーー!」
目を見開いてしまいシャンプーが眼に沁みる
○
\イッターー/
男子「ん? エルフさんどうかし」 娘「”爆裂”」
ドカァン
爆風と共に分厚い仕切り板が男子達を襲う!
バギッ!
男子「ぐはっ!」
ザブン ブクブクブク
男子は気絶して湯船に突っ伏した
娘「パパっ! どうしたの」タタッ
娘が女湯から飛び出し少年エルフの元にかけよる
少年エルフ「いたた…… って え? 娘!?」
娘「そうよ どうしたの? シャンプーが目に入ったの?」
少年エルフ「ちょっと いや 大した事ないから 戻って戻って」アセアセ
娘「本当? ちょっと眼を開けてみて」
少年エルフ「……無理無理無理 今は開けれないから!」
娘「そんなにひどいの!? いいから見せて」ギュウ
ムギュウ プニプニ
少年エルフ「娘!? ダメ 放して あぁ」ドキドキ
娘は少年エルフを抱きかかえ目を開けさせようと顔を覗きこんでいる
娘「パパ ほら力抜いて ゆっくり……」
少年エルフ「あうあう……(近い!熱い!柔らかい!息があぁ!!??)」ドキドキドキ
娘「ほら 少しお湯かけるわよ ね」ザプ
少年エルフ「はうはう……はわ?(あれ意識が……)」クラッ
娘「ちょっと パパ? パパ!!」
少年エルフ「……」くたー
少年エルフはのぼせてしまった
○
娘友「あーあ やっちゃった ……死屍累々ね」
男子「」ブクブク
神官「」ブクブク
大旦那「……ぬぅ この子(男子)が盾になったのか 助かった」ザバー
大旦那が気が付いた
女将「……あら 大旦那さま」
大旦那「」ギク!!
女将「どうして露店風呂に入ってらっしゃるのですか?」
大旦那「その……わしは神官殿に誘われてだな」
女将「また女湯をお覗きに? 以前も女魔法使いさんから大火球を受けましたのに?」
大旦那「まてこれには訳があ」 女将「ありませんよね?」
娘友「……(女将さんって絶対怒らせちゃいけないタイプだ)」ゴクリ
女将「大旦那さまは露店風呂出入り禁止でしたわよね」ゴゴゴ
大旦那「いや……しかしだな」
女将「ちょっとこちらへ……女騎士あとを頼みますね」
女騎士「えっと はい」
\ヒィイ 助け/
バタン
女将は大旦那とサウナ室へ入っていった
第七王女「……姉上の説教は朝までかかるぞよ」
娘友「でもコレどうするの? ってヤバくない」
男子「」シーン
神官「」シーン
女騎士「とりあえず湯から出さねば」
女騎士は神官と男子を露店風呂から引き揚げた
娘友「……(うわ~男子君スゴイ)」カアア
第七王女「まったく男子は世話が焼けるのう 大丈夫か男子」ぺチペチ
男子「」
第七王女「息をしとらんぞ」 娘友「ほんと やっだどうしよう」
女騎士「こっちも 何してるんですか心臓マッサージですよ 急いで」
女騎士は神官を心臓マッサージを行う
ドゴッドゴッドゴッドゴッドゴッドゴッ
神官「ごっふおぉ!? 死ぬ死ぬ!!」
神官が気が付いた
女騎士「……もしかして……起きてました?」
神官「いえいえいえ 何をおっしゃるやだなぁ」アハハ
第七王女「女騎士! 男子が」
娘友「ちょっとこれって」
男子「」チーン
男子は死んでしまった
女騎士「そんな!?」
神官「あーらら 間に合うかな 離れてください”蘇生”」ドッカン
男子「」ビクン
女騎士「蘇生魔法!?」
娘友「本当に僧侶だったんだ」
神官「一応そうですよ もう一度”蘇生”」ドッカン
男子「……ぐはっ」
男子は息を吹き返した
第七王女「男子!」
娘友「よかった 本当に死んじゃったかと」
女騎士「すまない助かった なんとお礼を言えばいいのか」
神官「お礼ならもう戴いてますよ」
女騎士「え?」
神官「いや~~眼福眼福」ニヤニヤ
女騎士「!」
娘友「!」
第七王女「?」
女騎士「貴様!!」
ドゴン
神官「はぅ」ガク
神官はみぞおちに一撃を食らい気絶した
女騎士「(しまったつい)……えっと これはおつりだな」
男子「……あれ 王女?」
第七王女「男子 大丈夫かの? わかるか?」
男子「……エルフさんは?」
娘友「そういえば」
娘友は少年エルフと娘を探す
\……うわぁ娘!?/ \あ 気が付いた/
娘友「あ いた」
\ちょっと放して/ \あ~よかった/
娘友「いつも通りね」
○深夜・歓楽街
若旦那「やれやれ 遅くなったな」
テクテク
若旦那「……(終電を逃したか まぁ帰ったところでなぁ)」ふぅ
テクテク
若旦那「……(観光センターで寝るか 連絡しないと女将が心配するなぁ)」
テクテク
若旦那「はぁ……女将……」ボソ
???「ハーイ ちょっとアナタ」
若旦那「!?」ビクッ
ヨロイ男「お兄さん どしたのさえない顔して?」ガシャン
全身ヨロイの男があらわれた
若旦那「……誰だお前? その恰好は?」
ヨロイ男「いえいえこれは特に意味ないです それよりウチの店 きませんか?」
若旦那「店? 客引きか?」
ヨロイ男「そーですよ どうですちょっと寄ってきませんか そこですから」
ヨロイ男は怪しい館を指し示す
若旦那「湯元秘宝館だと……廃業したはず 営業しているのか?」
ヨロイ男「そうですよ 今ならお客さんにぴったり スッキリするよ~」
若旦那「……(届け出は受けてない 無許可営業か? どうせ終電はないんだ調べるか)」
ヨロイ男「他にも色々な新規エンターテイメントが……」
若旦那「よしどんなものか見て見ようじゃないか」
ヨロイ男「ハーイ こちらへどーぞ おひとりさまごあんなーい」ガシャガシャ
若旦那とヨロイ男は秘宝館へ入っていった
※更新終了 今回はここまで
最近では人工呼吸よりも心臓マッサージの方が優先されるのでうっかり溺れたフリすると肋骨を折られるそうです
次回更新は来週です
なに、桃源郷が見られるなら肋骨の一本や二本
いつの間にかにあちこちに変な機械が設置されてるよな
#5【王女とエルフと肉のろう人形 ~秘宝館潜入~】
○朝・国営旅館
第七王女「若旦那殿が戻っていない?」
女将「えぇ そうなの観光センターにも確認したんだけど昨日の夜にお店をでた後行方がわからないの」
女騎士「どこかに泊まっているのでは?」
女将「あのコ 外泊するときは必ず連絡くれたから……あちこち確認してるんだけど泊めたっていうところもないのよ……心配だわ」
第七王女「ならばわらわが探してくるのじゃ 会う用事もあるからの」
女将「ホント? 助かるわ」
第七王女「皆もそれでよいか?」
娘友「全然OK」
男子「というか」
娘「他に目的もないでしょ?」
少年エルフ「そっか あのモンスターの事を聞かないといけないんだね」
女将「そうね……モンスターなんて知らなかったし 大旦那さまも知らないしね」
○
女騎士「では行ってまいります」
女将「うん……やっぱりワタシも行くわ 心配でしょうがないわ」
女騎士「しかし旅館の事は」
女将「あら それなら大旦那さまが全部やってくれるわ 今日はね」
\なんじゃとー/
皿洗いをしている大旦那が奥から叫ぶ
女将「あら 今日はいち従業員として働くって決まりましたわよね大旦那さま?」ゴゴゴゴゴ
\まさか ホントに丸一日か!?/
女将「あらあらご冗談を それともまだ『説明』が必要ですか」ゴゴゴゴ
\……イッテラッシャイマセ/
女将「ではみなさん参りましょう」
○洗い場
大旦那「はぁ 嫁に来たときは良い姫が来たと思ったが……ワシには良すぎたの」
○観光列車
ガタンゴトンガタンゴトン
女騎士「で? なぜ貴方も居るのですか?」
神官「やだなぁ 旅は道連れ世は情けっていうじゃありませんか ワタシも手伝いますよ」
女将「あら 助かるわ」
娘「助かるかもしれないけど 貴方他にすることはないの?」
神官「ないですね 今のところは」
女騎士「大丈夫かな……」はぁ
女将「いいじゃない 人数は多い方が早く見つかるわ」
娘友「女将さん 聞いてもいいですか?」
女将「なに?」
娘友「年齢からみて若旦那さんって女将さんとは血縁はないですよね?」
女将「そうよ 大旦那さまの以前の奥様の息子ですから」
少年エルフ「以前の奥さんってどうしたの?」
女将「若ちゃんが小さい頃に亡くされたの 大旦那さまもそのことで随分苦労されてて それでわたしが大旦那さまに嫁ぐことになったのよ」
第七王女「それで姉上は良かったのか? わらわは姉上が居なくなって寂しかったのじゃぞ 姉上は寂しくなかったのか?」
男子「王女……」
女将「もちろん寂しかったわ 知らない国ですしね アナタ達と離れるのはとても辛かったわ……でも 父上が決めたことですから仕方なかったのよ」
第七王女「姉上」
男子「……(政略結婚か)」
女将「でも全然悪い事ばかりじゃなかったわ 若ちゃんが色々よくしてくれたから」
娘友「その頃って若旦那さんは何歳ぐらいでした?」
女将「そうね三ちゃんと同じぐらいだったから10歳ぐらいね ……だからかしら姉弟といるようで寂しくなかったしこの国にも馴染むことができたわ ホント若ちゃんが居て助かったわ」
女騎士「そうだったんですね だったら早く若旦那さんを見つけないと」
少年エルフ「そうだね 無事だといいけど」
第七王女「大丈夫じゃ 三兄ぃみたいにそのへんからひょっこり帰ってくるかもしれんしの」
女将「そうね やだわ心配し過ぎよねわたし」ウフフ
娘「……」
娘友「どうしたの?」
娘「ん? いやね……若旦那さんも複雑なのかもしれないなぁって」
娘友「あ~そうね 娘もフクザツですもんねエルフさんと」ニヤニヤ
娘「もう 私は整理できてるの今は違うわ」
娘友「あら~そうなの? でも昨日は惜しかったんじゃない? 絶好の既成事実をつくるチャ」
シュ
娘のアイアンクロー! 娘友の頭を締め付ける
\あさイチデスカー ギャアアア/
少年エルフ「ちょっと娘!?」
娘「パパ気にしないで 男子……ちょっと」クイクイ
娘は男子に合図を送る
男子「……エルフさんちょっと神官さんの所にいきましょうか」
少年エルフ「え?」
娘「ちょっと女子同士の話があるから ちょっと席を外してね」
少年エルフ「うん わかった」
○
娘友「つぅー 無言かつ速攻でやらないでよ 心の準備が出来ないじゃない」
娘「余計なこと言うからよ まったく」
娘友「でも湯上りでツルツルモチモチのエルフさんは可愛かったわよね 食べちゃいたいくらいに」
娘「友……まさかアナタ」ゴゴゴゴゴゴ
娘友「!? まって今のは言葉のアヤで 違うって」
○
少年エルフ「娘はホント 友ちゃんと仲がいいんだね」
男子「……そうですね」
神官「いやまったく 若い女子がじゃれ合う光景もまたいいものですね」フフフ
男子「じゃれ合うってレベルなのか?」
\おぉお 荒ぶる娘よ鎮まりたまえ/ \誰が荒ぶってるっていうの/
少年エルフ「そういえば友ちゃんが言ってたキセージジツって何?」
男子「いやそれは……」
神官「あぁーそれはですねー」ニコニコ
ズドン!!
神官の持つ杖に電撃が走り杖の頭部が消し飛んだ
シュー
娘「そういえば……もう一人居たのよね 忘れてたわ」ゴゴゴゴゴ
神官「……えーと」
男子「……(怖ぇ)」
少年エルフ「……娘 さっきからどうしたの?」
\終点 観光センター前 観光センター前/
娘「あら もう着くわ降りる準備はいい?」
神官「そうですね 降りましょう ね」
少年エルフ「え? ちょっと」
男子「降りましょうエルフさん」
少年エルフ「あ……うん」
ガヤガヤガヤ
○駅前
聞き込みを終えた一行は第七王女の元に集まった
娘友「観光センターの人も監査に出たっきり見てないって」
女将「やっぱりこのお店を最後に監査したそうよ」
女騎士「駅の方に確認したが終電にはのっていなかったそうだ」
第七王女「うーむ 姉上最後の店を出てどっちに行ったかはわかるかのう?」
女将「お店の人が見送った時は駅に向かっていたそうよ」
神官「だったらあのお店から駅までの間で何かあったのですかね」
娘「じゃあ」
グラグラグラッ!!
\ワアアアアーー/ \キャア――/
地震だ!
○
第七王女「おぉ 地震か驚いたのう」
女騎士「け けがはないですか おおおうじょ」ガクガクプルプル
神官「大丈夫ですか? 女騎士さん ……まさか地震が怖いとか」ウププ
女騎士「貴様 何をバカなことを……」プルプル
第七王女「無理するでない」
娘友「いやーん 怖かったわ~男子くーん」ベッタリ
男子「……あ はい」
女将「ふぅ この辺りは地震が多いのよ お山が近いですからね」
娘「そうなのね 驚いたわ」
少年エルフ「くるしいよ 放して」ギュウウウウ
娘は少年エルフを抱き込んでいる
娘「あ ゴメンパパ」
○
\ギャアア/ \イヤアア/ \バケモノーーー/
娘友「バケモノ!?」
第七王女「モンスターか? よしいくぞ皆の衆」ダっ
女騎士「お待ちください」ガッ
走りかけた第七王女を女騎士が引き止めた
第七王女「なんじゃ!?」
女騎士「出たのが例の炎のモンスターでは王女では太刀打ちできません それよりも若旦那さんを見つけるのが先決でしょう?」
第七王女「しかし」
女騎士「女将さん達は若旦那を探しててください」
女将「わかったわ」
女騎士「男子君 王女を頼む」
男子「分かりました」
男子は第七王女を軽々と抱き上げる
第七王女「こら男子 放すのじゃ」
女騎士「娘君もいいか?」
娘「いいわ ささっと片付けましょ」
女騎士「よし行くぞ」
神官「いってらっしゃーい」
女騎士「貴方も来なさい 戦えるでしょうが!」
神官「ええ~~」
女騎士は神官を引きずっていった
娘「パパ気をつけてね 男子 王女とパパに何かあったら許さないわよ」
男子「わかってる」
少年エルフ「え? ちょっと」
娘友「アタシの心配は?」
娘「する必要ある?」
娘友「ひどぉい」
娘「じゃ後で」
タタタ
娘と女騎士と神官はモンスターを倒しに向かった
○
女将「それじゃあどうしましょう」
男子「もう一度観光センターから歩いてみます?」
女将「そうね」
第七王女「ならばわらわ達は駅から歩いてみるのじゃ」
女将「そうね じゃあ七ちゃんは駅からお願いね」
第七王女「うむ よし男子は姉上について行くがよい わらわはエルフと行くのじゃ」
男子「いえ俺は王女と行きますよ 頼まれてますから」
第七王女「むぅ しかし姉上を1人にするのものぉ」
少年エルフ「じゃあ僕が」
第七王女「ダメじゃエルフはわらわと居るのじゃ」
少年エルフ「そうなの?」
女将「あら? 別にわたしは大丈夫よ みんなはのんびり探していて」テクテク
第七王女「姉上」
娘友「わかったわ王女 アタシが女将さんについてくから」
第七王女「うむ いつもスマンの友よ」
娘友「あとで話してよ~」タタタ
娘友は女将と一緒に観光センターに向かった
少年エルフ「話?」
男子「どういうことだ?」
第七王女「女子同士の話じゃ 首を突っ込むのは野暮じゃぞ」
男子「はぁ……」
第七王女「それより 喉が渇いたのじゃ 男子 なんぞ飲み物を買ってくるのじゃ」
男子「えぇ だったらどこか喫茶店にでも」
第七王女「もう歩きたくないのじゃ だから買ってくるのじゃ 気がきかんのう」
男子「わかりましたよ」
男子は飲み物を買いにいった
○
第七王女「ふぅ ちょっと座るのじゃエルフ」
少年エルフ「うん」
第七王女と少年エルフは近くのベンチに腰掛けた
第七王女「ふぅー」
少年エルフ「……王女 どうしたの?」
第七王女「のぅ エルフ 最近男子が女騎士に似てきたのじゃ」
少年エルフ「んーと そうかな?」
第七王女「わらわの弟分なのにちっともそんな気がしないのじゃ なんでかのう」
少年エルフ「あぁ (そういえばそんな事言ってたね)……でも仕方ないんじゃない男子君は王女より年上だし」
第七王女「まぁ そうなんじゃろうけど……どれエルフ 弟成分を補給させるのじゃ」ぎゅう
少年エルフ「……(僕も40歳以上年上なんだけどなぁ)」トオイメ
第七王女「うむ エルフをぎゅうっとするのは心地よいの やっぱりわらわの弟にならんか?」ぎゅうぎゅう
少年エルフ「無理です」トオイメ
第七王女「もう 皆いけずじゃのう」ぎゅうぎゅう
少年エルフ「……(なんだか僕は弟扱いされすぎじゃない? ……もしかして 最近娘も僕を弟扱いしてるような?)」トオイメ
少年エルフ「僕はパパなんだけどなぁ」ボソ
○登山道入り口
女騎士「こいつらどこからこんなにも」
炎人達「ウオオオオ」
カップル観光客「キャアア 何コイツ!」「こっち来るな 熱っつ!」
炎人「ウオオオオ リア充爆発しろリア充爆発しろ!」
モンスターたちは観光客に火球を投げつけている
神官「あらーてんやわんやですね」
娘「もー これじゃあ魔法で一掃できないわ」
女騎士「ほら神官殿 避難誘導を 早く」
神官「はいはいはい 人使いがあらいなぁ」
炎人「ウオオオオ 燃えろ爆ぜろここから居なくなれー!」
娘「いい加減にしなさい”雷斬り”」ズバァ
炎人「ボワアアア」
炎人を倒した
\すごーい/ \カッコイー/
パチパチパチパチ
観光客から拍手喝采があがる
神官「鮮やかですねー コレで稼げますよ」
娘「ちょっと貴方」
ゴン
神官「ぎゃふ!」
手甲がぶっ飛んできて神官の顔面にクリーンヒットした
女騎士「何見物してるんですか 誘導 早く!」
神官「はいはいはい 痛いなぁ もう」
○駅前
第七王女「だからのう 一度でよいからわらわを『お姉ちゃん』と呼んでくれぬか」
少年エルフ「イヤです」トオイメ
第七王女「もーエルフはわらわが一度でよいから『お姉ちゃん』扱いされたいこの気持ちが分からんのか?」
少年エルフ「ハッ!!……(スッゴイ分かる 僕も『お兄ちゃん』って……でも)」
……ッ ……シロッ
少年エルフ「あれ?」
第七王女「どうしたのじゃ?」
少年エルフ「なんだろ変な気配と おと……ううん 声がする」
第七王女「昨日も似たようなことを言ってなかったの?」
少年エルフ「そういえばあの時は……」
少年エルフ「そういえばあの時は……」
少年エルフは視線を巡らせて気づく
少年エルフ「あれ? あそこって昨日は開いてたよね?」
第七王女「そうじゃな? 今日は休みかの?」
二人は歓楽街の角 閉店している秘宝館に目をつけた
第七王女「怪しいのう」
少年エルフ「うん」
○秘宝館
少年エルフ「やっぱり閉まってるね」
ガチャッ
第七王女「エルフ こっちじゃ」
少年エルフ「こっち?」
第七王女と少年エルフは細い路地を通り抜けて館の裏側へ出た
少年エルフ「裏口?」
第七王女「左様 ここから入るのじゃ」
ガチャッ
少年エルフ「でも鍵が……」
第七王女「おやエルフ 忘れたかの……」
第七王女は胸元からピッキングツールを取り出すと
カチャカチャカチャ……ガチャン
裏口を開錠した
第七王女「わらわにはこの程度 かかってないのと同じじゃ 不用心よのう」ニヤリ
少年エルフ「そういえば王女 そういうの得意だったね」
第七王女「うむ 王族の嗜みじゃ」
少年エルフ「そうだったっけ?」
第七王女「とにかく怪しい館に潜入捜査じゃ」ワクワク
少年エルフ「……(王女楽しそう)」
第七王女と少年エルフは秘宝館へ入っていった
○駅前
男子「王女 甘酒かお汁粉しかなかったですよ どれにしま……」
しかし駅前には誰もいない
男子「あれ 王女ー エルフさーん ……いない」
――女騎士「王女は脱走癖がありますからね 絶対に目を離しちゃダメですよ」
男子「どうしよう 女騎士さんになんて言えば……いやそれよりも」
――娘「男子 王女とパパに何かあったら許さないわよ」
男子「ヤヤヤバイ 娘に殺される いや死んだ方がマシな目にあわされる」ガクガクガク
男子「とにかく見つけないと 王女―! エルフさーん!」ドタドタドタ
○秘宝館・従業員用通路
テクテク
少年エルフ「暗いねぇ」
第七王女「うむ ここは従業員の通路かの エルフ怪しい気配とやらはどっちじゃ?」
少年エルフ「うん……あっちかな 誰かが何か言ってるみたい」
第七王女「うむ 行くのじゃ」
テクテク
第七王女「こうしてると初めて会った時を思い出すのう」
少年エルフ「そうだね 誘拐された時もこんな風に歩いたね」
第七王女「懐かしいの……と ここから入れそうじゃ」
ギィイ
第七王女は展示場へのドアを開けた
○秘宝館・展示場
???「」
第七王女「ぬ 誰じゃ」
少年エルフ「うわっ」
返事はないただのろう人形のようだ
ろう人形「」
第七王女「なんじゃ ただの人形か」
少年エルフ「そうなの? 人間みたいだね」
第七王女「ふむ ろう人形じゃな よく出来ておる 動き出しそうじゃ」
少年エルフ「ちょっと怖い事言わないでよ」プルプル
第七王女「おぉ スマンスマン エルフは怖がりじゃったな」
少年エルフ「違うよ怖くないよ ちょっと不気味だなぁって」プルプル
第七王女「うむうむ(強がるエルフもまた可愛いモノじゃな)」
少年エルフ「ほら こっち早くいこ」
テクテク
○
第七王女「こう暗いと何があるのかわからんの」
少年エルフ「そ そう」ビクビク
夜目の効く少年エルフはあまり人形を見ないようにして第七王女を先導する
少年エルフ「な 何これ?」ビクビク
第七王女「なんじゃコレは」
棒状のミイラのようなものが置かれており 説明書が展示されている
説明書『久志羅の珍宝』
少年エルフ「……の珍宝 なんだろ読めない」
第七王女「わらわもじゃ どこぞ遠方の国名かの」
少年エルフ「どこかの国の宝なの? 何だか不気味な宝だね」
第七王女「そうじゃな だからこそ珍宝なのかもしれぬな」
少年エルフ「そうだね」
○
第七王女「雰囲気が変わったの」
少年エルフ「うん また人形があるね」ビクビク
順路にそっていくつもの小部屋が再現されておりそのなかで人形が絡み合っている
少年エルフ「何してるのこれ?」
第七王女「むッ!!」
第七王女は何かに気付く
少年エルフ「王女?」
第七王女「ううむ わかったのじゃこれはな……遠方の国の殺人技じゃ」
少年エルフ「ええ!?」
第七王女「聞いたことがある その国では裸で戦う習わしがあってな その殺人技を四十八手というそうじゃ ほれ書いてあるじゃろう」
説明書『四十八手 宝船』
少年エルフ「あ ほんとだ」
第七王女「ここはその技を再現してあるということじゃな」
少年エルフ「こんなにたくさん コワイ国があるんだね」ブルブル
第七王女「まったくじゃな 先をいそごうぞ」
少年エルフ「うん」
スタスタ
○
少年エルフ「ここは? たくさん人形があるね」
第七王女「なんと!?」フハッ
大部屋が再現され中ではたくさんの人形が絡み合っている
少年エルフ「えっと 説明があるよ 乱……」
第七王女「まてエルフ みてはならん」
第七王女は少年エルフの目を塞いで引っ張っていく
少年エルフ「なになに?」
第七王女「えーとそうじゃな……これは遠方の呪術の儀式じゃ」
少年エルフ「え? そうなの」ビクビク
第七王女「そうじゃ こんなものを人形とはいえ再現なぞしたら呪いがかかるぞよ」
少年エルフ「ホント!? コワイ」ブルブル
第七王女「まったくじゃ 皆が入るのを止めたのも無理もない」
スタスタスタ
少年エルフ「あ 王女 あっちに誰かいるよ」
目を塞がれながら少年エルフは指さす
看板『特別展示室』
第七王女「……仕方ない わらわが先にはいるから良いというまで待っておるのじゃ」
少年エルフ「うん わかった」
○
※更新終了
いまさらですが全角「#」で検索すると 各話の前に飛べるようにしてます
次回の更新は来週です
ほう
専ブラで各SSのキーワード「#」「■」「――」などで抽出してスレの横に置いて読むと便利だよね
#6【王女とエルフと肉のろう人形2~嫉妬に用心 火の用心~】
○秘宝館・待合室
ギィイ
第七王女「よし 入るのじゃ」
少年エルフ「うん」
第七王女「ここは待合室のようじゃな」
少年エルフ「そうだね あコレって若旦那さんのものじゃない?」
少年エルフは床からねじり鉢巻きを拾いあげる
第七王女「む まさしく相違ない ではこの先に若旦那が……」
少年エルフ「そうみたい だって声がするよあっちから……」
バッ
第七王女は慌てて少年エルフの耳を塞いだ。
少年エルフ「王女?」
第七王女「まだ聞こえるか?」
少年エルフ「ううん こうされたら近くしか聞こえないよ」
第七王女「そうかよかった…… とにかくわらわが先に確認するから エルフはこうして待っておるのじゃ」
少年エルフ「でも」
第七王女「すばしっこさではわらわの方が上じゃろ」
少年エルフ「そりゃそうだけど」
第七王女「おとなしく このまま待っておるのじゃ よいな」
バタン
第七王女は展示室へ入っていった
少年エルフ「なんなのさ もう」
○観光通り
\王女ー エルフさーん/
女将「あら 男子くんどうしたの?」
男子「う……友 女将さん実は……その」
男子は事情を説明した。
女将「あらあら 七ちゃんは奔放なところがありますからね 仕方ないわ」
娘友「大丈夫よ エルフさんが一緒でしょ」
男子「そうだとしても娘にバレたら」ダラダラ
娘友「しょーがないなぁ あたしも手伝うから女将さんと駅前をもう一度さがして」
女将「そうね 戻ってるかもしれないしね」
男子「あぁ すまない」
○秘宝館・特別展示室
第七王女は音もなく部屋に忍び込んだ。
ボォン ボォン
部屋は大きなガラスで仕切られた浴槽があり、その中で小さな爆発が繰り返し起こっている。
第七王女「……(これはまた……風呂場を改装してあるのか?)」
???「……爆発シロッ! 爆発シロッ!」ブツブツ
ボゥン ボゥン
ガラスの手前に台がありその前に誰かがスイッチを操作しているようだ。
第七王女「……(何をしておる)」
???「リア充……爆発シロッ!!」
ボゥン
ボタンを押すたびにガラスの向こうで爆発が起こり、その人物の顔が照らされる。
第七王女は回り込みその人物の顔を確認する。
第七王女「む なんじゃ若旦那ではないか!? どうしてここに居るんじゃ」
若旦那?「……」ピタ
若旦那らしき人物は動きを止めた。
バタン
少年エルフ「え? 若旦那さん居た? よかったー女将さんが心配してるよ~」
待合室から少年エルフが出てきた。
若旦那「……ダレだ」
第七王女「なんじゃ忘れたのか? わらわの姉上は女将の……」
少年エルフ「まって王女! なんだかヘンだよ モンスターみたいな気配がするよ」
第七王女「なに!?」
若旦那「オンナノコ……とオトコノコ……」ボゥ
少年エルフ「……今 口から火がでたような」ボソボソ
第七王女「……わらわもそう見えた」ボソ
若旦那「オノレ……リア充……リア充……爆発するべし……」ボゥボボゥ
若旦那の口が動くたびに炎が吐き出される。
少年エルフ「こ これ」ガクガク
第七王女「まさか……お主」
若旦那「リア充! 爆発シロッ!!」
ボボォン
若旦那は炎が噴きあげて少年エルフ達に襲いかかる!
少年エルフ「うわぁ!」
第七王女「逃げるんじゃ!!」
第七王女は少年エルフを引っ張って逃げ出した!
○若旦那の回想 昨晩の秘宝館
若旦那は秘宝館の展示を全身ヨロイ男に案内されている。
若旦那「……(なんだ昔のままではないか)」
ヨロイ男「ささ ここから新展示ですよ」
看板『老王と3姉妹』
若旦那「……大丈夫か 隣国からの客もいるんだぞ」
ヨロイ男「大丈夫ですよ ぎりぎり似せてませんから」
若旦那「……」
看板『老主人と乙女の混浴』
若旦那「……おい」ギリッ
ヨロイ男「あ~ 流石にちょっと狙いすぎデスカネー そのうち手直ししますよ」
若旦那「そうしてくれ」イライラ
ヨロイ男「ここで特別展示ですよ ささっ どうぞ」
ガチャ
○特別展示室
若旦那「ここは?」
ヨロイ男「ちょっと今までと違いますよ お客さんならぴったりよ」
部屋にはガラス張りの浴槽があり中は暗くてよく見えない
若旦那「……(何かあるようだが)」
ヨロイ男「始まりますよ」
ピカッ
ガラスの向こうでライトが点き展示が浮かび上がり、仲睦まじい2体のろう人形が照らされた。
若旦那「これが特別か?」
ヨロイ男「ここからですよ 手元のボタンを押してください」
若旦那「これか」カチッ
ドォン
ろう人形が吹き飛んだ!
若旦那「うおっ!」
ヨロイ男「次ですよ」
ピカッ
別のろう人形が浮かび上がる。
ヨロイ男「どうです『リア充爆破ゲーム』 けっこう好評なんです」
カチ
ドォン
再びろう人形が粉微塵に吹き飛ぶ。
若旦那「よく出来たカラクリだな……なかなか爽快だ」
ヨロイ男「えぇ これはおひとり様向けですから よかったらどんどんどうぞ」
若旦那「皮肉か? ……まったく悪趣味だな」ハハ
次々と浮かび上がるろう人形を若旦那は爆破していく。
ドォン ドォン ドォン
ヨロイ男「それ 爆発シロッ! 爆発シロッ!」
若旦那「……」カチッカチッカチッ!
ヨロイ男「リア充爆発シロッ!」
先ほどの展示の老主人と乙女のろう人形が出てきた。
若旦那「……爆発しろッ!」カチ
ドドォン
ろう人形は炎を上げて吹き飛んだ。
なんと、若旦那の口から炎が噴き出した。
ヨロイ男「爆発シロ! 爆発シロ!」
若旦那「ボボァ!? ボボボファァアアアア!!」
ヨロイ男のかけ声とともに噴き出す炎が勢いを増す。
ヨロイ男「リア充!」
若旦那「ボボファア!?」
大炎人「爆発シロッ!!」
若旦那の吐き出す炎が人型になり、炎人が生み出された。
ヨロイ男「ボファファファファ 素晴らしい! これほど大きな炎人ならすぐにでも計画が実行に移せる」
若旦那「な……なにボファア!?」
若旦那から吹き上がる炎が再び勢いをます。
ヨロイ男「もっとだ もっと嫉妬の炎を上げるがよい!」
若旦那「やめ……ぐ……ボボボボファアアアアアアアアアアアア!?」
若旦那は嫉妬の炎にのまれてしまった。
○現在 秘宝館・大部屋の展示室
バタン バタン
ドタドタドタドタ
第七王女と少年エルフは大部屋の展示の入り口までもどり様子を伺った。
少年エルフ「はぁはぁ……あれ炎の魔物と同じ魔力だよ」
第七王女「いったい若旦那はどうしたのいうのじゃ 乗っ取られておるのか?」
少年エルフ「わからない……あ 来た」
特別展示室の扉が開き炎が辺りを包む。
若旦那(炎)「……ココニモ リア充爆発シロ!!」
ボボォン
大部屋の展示に向けて若旦那は炎を放つ。
若旦那(炎)「爆発シロッ 爆発シロッ!!」
ボボォンボボォン
燃やされたろう人形が溶け落ち焦げていく
少年エルフ「あれ何してるの?」
第七王女「正気ではないの 人形と人の区別が出来ておらんのじゃ しばらく時間は稼げるの」
少年エルフ「どうしよう 若旦那さん元に戻せないのかな?」
第七王女「ふむ……若旦那には悪いがちょっと寝てもらうことにするかの」
少年エルフ「どうやって? 僕 睡眠魔法は出来ないよ」
第七王女「案ずるな この靴下を脱ぐじゃろ」ヌギヌギ
少年エルフ「うん?」
第七王女「これを重ねて強度を確保して中にコインを詰める」ジャラジャラ
少年エルフ「いっぱい入れるね」
第七王女「これを縛ったら即席の殴打武器『ブラックジャック』の完成じゃ これで後頭部を殴打すれば気絶させれるじゃろう」ブルンブルン
少年エルフ「……そんなのどこで覚えたの?」
第七王女「……王族の嗜みじゃ」
少年エルフ「そうなの? でも本当に使えるのそれ?」
第七王女「もちろんじゃ……これで城の兵士を気絶させてよく脱走したものじゃ」エッヘン
少年エルフ「……(兵士も大変なんだなぁ)」トオイメ
○秘宝館・『四十八手』の展示室
第七王女「よしここに隠れるから囮はそこの人形がよいの」
少年エルフ「これ? ……えっと”二の口”」シュイン
少年エルフは倒れている人形に発音魔法をかける。
第七王女「よし 配置につくのじゃ」
タタタ
少年エルフは離れた場所に身を隠した。
少年エルフ「”王女 聞こえる?”」
人形の影から王女が合図を送る、聞こえているようだ。
少年エルフ「……(うまくいくといいけど)」
○
ドォオン ボォオン
若旦那(炎)「……」ヒュボボボボ
大部屋の展示を燃やし尽くした若旦那が部屋に入ってきた。
若旦那(炎)「ココニモ……爆発シロッ!!」
ボボォン
若旦那は目についた展示を次々と燃やしていく。
少年エルフ「……(うわぁ早くなんとかしないと ホントの火事になっちゃうよ)」
ボボォン
第七王女「……(もう少し…… 熱いのう)」
ボボォン
人形(少年エルフ)「若旦那さーん!!」
若旦那(炎)「むぅ!? 誰だ」
若旦那は倒れた人形を覗き込む。
第七王女「今じゃ!」ダッ
第七王女が飛び上がり若旦那の後頭部を殴りつける!
バシン!!
若旦那(炎)「グッ!?」ドシン
若旦那は倒れた。
第七王女「うむ 決まったのじゃ 我ながら会心の振りじゃ」ニヤリ
人形(少年エルフ)「ダメ! 王女危ない!」
第七王女「な!?」
若旦那(炎)「オノレ……」ぐぐぐ
若旦那は再び炎をまとって起き上りはじめてた。
第七王女「むんッ!」
第七王女は腰を捻り振り向きざまに若旦那の頭を狙って殴りつける。
ジュッ……チャリンチャリン
熱で劣化したブラックジャックが焼け落ちてコインがこぼれ落ちた。
若旦那(炎)「……オンナ」
第七王女「……マズイのう」
○
タタタ
少年エルフと第七王女は逃げ出した。
第七王女「仕方ない一旦逃げて皆を呼んでくるのじゃ」
少年エルフ「そうだね 外に出ようよ」
第七王女「よし裏口へ……」
グラグラグラ
地震だ!
少年エルフ「うわぁ!」
ガラガラガラ
荷物が崩れ通路が塞がってしまった
第七王女「しまった」
少年エルフ「王女後ろ 来てる来てる」
若旦那(炎)「リア充……」メラメラメラ
少年エルフ「うわわ 若旦那さんゴメン ”風弾”」ゴオッ
魔法の突風が若旦那を吹き飛ばす
ドォン ガラガラ
若旦那は吹き飛ばされその衝突でぞんざいに積んであった荷物が崩れた
第七王女「やったのか?」
若旦那(炎)「ぐ……」ボボボ
若旦那は崩れ落ちた荷物に埋もれて動けない。
少年エルフ「今のうちに表から」
第七王女「そうじゃな」
少年エルフと第七王女は倒れた若旦那の横を通り抜けて再び室内へ戻った。
○駅前
娘友「で聞いてまわったけどあっちには来てなかった」
男子「そんな馬鹿な」
娘友「よく考えてよ王女とエルフさんが一緒に歩いてたら絶対目につくわよ なのに目撃者が居ないのはこっちに来てないからよ」
男子「だとしたらいったいどこに?」
女将「そこのお店の人にきいたらさっき子供たちがあの辺にいたって」
男子「あの辺って」
女将は秘宝館を指さす
○秘宝館・エントランス
第七王女が玄関口の扉を開錠している。
カチャカチャガチャン
第七王女「よし 開いた」
ガッ
少年エルフ「どうしたの?」
第七王女「開かぬ……さっきの地震のせいか」グイグイ
扉は地震でゆがんでいて開かない。
少年エルフ「そんな」
若旦那(炎)「……イタ」ボボボ
少年エルフ「うわーーー きたーー」
第七王女「うぬ! 開け開けというのに!!」
ドンドンドン
二人で扉を押すもビクともしない。
○外・秘宝館玄関口
男子「閉まってるな」
娘友「あ 残念だった?」
男子「そそ そんなことないぞ」
娘友「冗談冗談 本気にしないでよ~」
女将「なんだか 焦げ臭くなぁい?」
男子「え?」
娘友「そういえば」
\うわーきたー/ \うぬ 開け開けというのに/
娘友「王女!」
男子「エルフさん!? 王女ー!!」
\友ちゃん 男子くん/ \おお そこにおるのか男子/
男子「よかった 無事ですか」
\それが若旦那を見つけたのじゃが困ったことになっておって/
\王女危ない/
\爆発シロッ/
ドォン ボボォン
男子「王女? 王女!!」
\あついー/ \逃げるのじゃー/
タタタタ
扉の向こうで二人が走り去り静かになった
娘友「中で何が」
女将「今の若ちゃんの声よね」
男子「……入りますよ」
○魔王山・登山道入口
娘達は炎人たちを倒した後、ケガ人の救護に当たっている。
娘「さっきの地震……パパ大丈夫かな」
女騎士「おおお落ち着け 大した事はない」ガクガク
神官「そうですか」フフフ
山男A「最近おおいな」
山男B「んだな」
娘「地震増えてるの?」
山男A「そだな 最近は特に増えてる」
\うわーまた来るぞー/
炎人達が山から下りてくるのが見えた
山男B「今までここまで来ることなかったのに」
娘「そうなの ……ふぅん」
女騎士「またか! 応戦するぞ」
娘「違うわね 突破よ」
女騎士「え?」
娘「山からイヤな予感がするわ 山頂に大元がいるのよ きっと」
神官「あの ちょっと」
娘は山道を駆け上がり、炎人達の前に立ちふさがった。
\フォオオオオ/ \ヒャッハーー/
娘「”電撃”」バリバリバリ
\ブホオオオオオオァワアアアア/
炎人たちを一掃した。
娘「やっぱり魔法が使えると楽ね」
娘は炎人を魔法で蹴散らしながら登っていく
女騎士「わかった 私も行こう」
神官「じゃあ ワタシはここで戻……」コソコソ
山男A「オナゴだけに戦わしてばかりじゃいけねぇ! だよな皆の衆」
\オオ―/
ドヤドヤドヤ
神官「あ ちょっと 下ります 通してください……」わたわた
娘達と山男達は魔王山へ登っていった。
\下してー/
○秘宝館エントランス
ドカァン
男子は扉を体当たりで壊して秘宝館に入った
ボォオオ
男子「うわっ あっつ」
女将「あらあら ずいぶん燃えてるわね」
娘友「王女― どこー?」
\うわー!/ \爆発シロ!/
奥から声が聞こえる。
男子「エルフさん!」 女将「若ちゃん!」
男子と女将は燃え盛る館内へ入っていった
娘友「ちょっとウソ……もうオンナは度胸よ! おりゃー」
娘友も後を追った。
○秘宝館・大部屋の展示室
メラメラメラメラ
室内ではろう人形が燃えながら溶けており凄惨な光景になっている。
少年エルフ「ゲホゲホ……こっちに来ちゃったけどどうしよう」
第七王女「エルフは他になにか魔法が出来ぬのか?」
少年エルフ「水の魔法ができるけど……」
第七王女「まことか! よしそれで若旦那の頭を冷やすのじゃ」
少年エルフ「でも……」
若旦那が部屋に入ってきて少年エルフ達を探し始める
少年エルフ「えい”水流”」
しかし何も起こらなかった。
少年エルフ「わぁ やっぱり」
若旦那(炎)「ソコカ」
ボオオオオ
少年エルフ「ひぃ」
第七王女「逃げるのじゃ」
ダダダ
第七王女「どうしたのじゃ 魔力が尽きたのかえ?」
少年エルフ「あれは水を操る魔法なんだ だから水源がないと……」
第七王女「そうか……よし 心当たりがある」
○秘宝館・特別展示室
少年エルフ「助かった ここはそんなに燃えてないや」
第七王女「よしエルフはここで待つのじゃ」
第七王女はさらに奥へ何かを探しに行く。
少年エルフ「え? 王女」
第七王女「水を探すからそれまで隠れるているのじゃ」ガサゴソ
少年エルフ「隠れるっていったって……」
○
バァン
炎を共にドアが吹き飛び燃え盛る若旦那が入ってきた。
少年エルフ「きた……」ドキドキ
少年エルフは浴槽に身を潜めている
若旦那(炎)「……」ボボボボ
少年エルフ「……」ドキドキドキ
ドンガラガッシャン
若旦那(炎)「!」
奥から物音がして若旦那が音の方へ向かう
少年エルフ「……(あっちは王女が居る方だ)」
少年エルフ「……」
少年エルフ「うぅ……(コワイ……けど)」
バッ
少年エルフ「こっちだよ!」
少年エルフは姿を現した。
若旦那(炎)「ソッチカ……」
若旦那は少年エルフに火球を投げつける
少年エルフ「うわぁあ!?」
バァアン パリンパリン
ガラスが砕けちった。
若旦那(炎)「爆発シロッ!」
少年エルフ「ふ”風防波”」ビュルルル
ブワァン ボォン
風の障壁が火炎を防ぐ
若旦那(炎)「爆発シロッ!爆発シロッ!爆発シロッ!爆発シロッ!」
若旦那は障壁に向かってなんども火炎を吹き付ける
ブワァブワァン ボボボォン
少年エルフ「ぐうぅ……(熱い……意識が……)」フラフラ
ドタドタドタ
女将「若ちゃん!!」
男子「女将さん危ない」
入口から男子たちがあらわれた。
若旦那(炎)「ぐ……グワアアアアアアアア」ボボボオオオオオオオ
若旦那はわけもわからず女将に火炎を吹き付けた
男子は女将さんをかばった
男子「あちゃちゃちゃ!」
女将「キャア」
娘友「男子君」
若旦那(炎)「オノレ 貴様ぁ! 姉さンにィ」
少年エルフ「男子君にげて!」
ガラガラガッシャーン ザアアアアアアアア
\エルフ! 水じゃ/
奥から水が流れてきた。
少年エルフ「あ……ッ! ”水流”」ギュルル
バシャアアアアンン
少年エルフは水流を若旦那に頭から浴びせかけた
若旦那「ぐわあああああああああああああ」
若旦那は炎が消えて身悶えている。
女将「若ちゃん」ダっ
ひしっ
若旦那「あ……お……」フラフラ
女将「大丈夫……大丈夫よ……若ちゃんは大丈夫よ」ポンポン
女将は若旦那を優しく抱きしめる。
若旦那「俺は……姉さんを……女将さんを……うぅ」
女将「もう大丈夫だから でしょ?」ニッコリ
若旦那「ぐ……うぅぅぅぅ」ボロボロ
若旦那は正気を取り戻した。
○
第七王女「うまくいったようじゃな」
奥から第七王女が戻ってきた。
男子「王女!」
少年エルフ「さっきの水はどこから? 火事も消さなきゃ」
第七王女「あれはボイラーの残り湯じゃったから あれで全部じゃ」
少年エルフ「そんな……」
娘友「だったら早くここから出ないと入口が……」
ガラガラガラ
入口が焼け落ちてしまった。
男子「なくなったな……」
少年エルフ「どうしよう……」
若旦那「地下だ……地下道がある」フラフラ
少年エルフ「若旦那さん……回復を”治癒”」パアア
娘友「それより地下道って」
若旦那「あの化物たちが入っていった そこの隠し戸のむこうだ」
第七王女「ここか」
ガパッ
秘密の地下道を見つけた。
娘友「やった助かった」
第七王女「急ぐのじゃ」
ダダダダ
全員地下道へなだれ込んだ
○地下道
地下道には線路が敷かれており、トロッコが2台用意されていた。
男子「これどこに通じているんだ」
若旦那「わからん……奴らが向かった先だしな」
女将「あらまぁ じゃあ敵さんの本拠地なの」
娘友「えぇ~そんなぁ」
第七王女「ふむ ここにおっても仕方ない 乗り込むのじゃ!」
少年エルフたちはトロッコに乗り込み走りだした。
○
ガーーーーッ!
第七王女「わっはっは! これは良いの」
少年エルフ「うわわ すごいスピード」
男子「どうやって動いてるんだ?これ」
ガーーーーッ!!
若旦那「レールから魔力が供給されてる 観光列車と同じしくみだ」
女将「意外と面白いわね 新しいアトラクションにどうかしら」キャッキャッ
若旦那「女将……(呑気な……だが可愛い)」
娘友「さーて 次から魔王温泉編も終盤よ じゃそういうことで」
ガーーッ
○
※更新終了 今回はここまで
作中のブラックジャックの作り方はリアル傭兵さんが書いた本に載ってたものです よい子はマネしないでね
次回更新も来週土曜日です
ブラックジャックは万が一車の中から脱出するような時に窓ガラスを叩き割る時に使うことができるってどっかでみたな
まずは医師免許を没収します
#7 魔王山の戦い ~始動 リア充爆発作戦~
○魔王山・山道
娘達はモンスターと戦っている。
娘「せいっ!」ズバァ
炎人A「グボファー」
女騎士「フンッ!」ドシュッ
炎人B「ケンプファー」
山男たちが突撃する。
\\おりゃあーー//
ボコボコボコ
炎人達「「ボワーー」」
炎人達を倒した。
女騎士「ハァハァ 地元の人の協力があるとはいえ魔物が多すぎる」
娘「ふぅー そうね 山男さん達にもケガ人が出てるみたいだし……」
山男たちのケガを治療した神官がやってきた。
神官「やれやれ……ここでお知らせです」
娘「なによ」
神官「ワタクシ 魔力が切れました……帰っていいですか? いいですよね」
女騎士「嬉しそうにいうな……まったく どうする一旦出直すか?」
娘「……さっきからイヤな予感が強くなっているのよ 私が様子だけでも確認してくるわ」
女騎士「そうか……わかった私も行こう 神官殿は皆さんとここに残っててくれ」
神官「えぇー帰っちゃだめですか? 魔力ゼロなんですよ」
女騎士「これを飲め?」シュ
女騎士は魔力水を投げ渡した。
神官「あらー こういうの持ってましたか」
女騎士「それで文句はないな……娘君 君もだ」
女騎士は魔力水を娘に渡した。
娘「私は大丈夫……」
女騎士「さっきから戦い続けだろう 遠慮するな」
娘「ありがとう 助かったわ」
キュポン ゴクゴク
娘の魔力が回復した。
女騎士「よし しゅっぱ……」
グラグラグラグラ
地震だ……さっきより強い。
\うわー/ \キャー―――/
女騎士「キャーーッ!! あ…… ゴホンゴホン……またか強かったな」カアア
神官「まるで少女のような悲鳴でしたね」
ドゴンッ
女騎士の肘が神官の鳩尾にめりこむ。
神官「ギャフ」
女騎士「おっとすまないバランスが崩れた!」(棒)
娘「上見て」
女騎士「なに?」
ゴオオオ
山頂から大量の噴煙と炎もちらちらと上がっている。
女騎士「活発化しているのか? 一体何が……」
娘「急ぎましょう」
娘と女騎士は山頂へ向かった。
○火口付近・リア充爆発作戦会場
炎人たちが集会をしており、演壇の上から全身鎧の人物が話している。
ヨロイ男「ついにこの時がきた 爆発の時だ!」
\爆発/ \爆発/ \爆発シロ/
ヨロイ男「色気づいたオンナ 下心で鼻の下ののびきったオトコ そんな奴らのカップル! そうリア充どもを一掃するときが!」
\オノレリア充/ \リア充爆発シロ/ \末永く爆発シロ/
ヨロイ男「そんなリア充どもの巣窟であるあの忌々しい温泉街を滅ぼす手筈が整った」
\\ウオオオオオオ//
○岩陰
娘「なにアレ……バカ過ぎて 頭イタイ」
女騎士「あいつが化物の親玉のようだな」
○リア充爆発作戦会場
ヨロイ男「思い返せば俺はあのリア充どもの巣窟で肩身の狭い奴らからひとりひとり嫉妬の炎を絞り出してやった そうお前達だ」
\ファイアー/ \ファイアー/ \嫉妬ファイアー/
ヨロイ男「そうして この火山に少しづつくべて火山をひそかに活性化させていた……実に手間と時間のかかる作業だった 本当に長かった……くぅ」
\うおー/ \将軍/ \……うぅ/
ヨロイ男「しかし俺はやり続けた リア充どもを倒すその日まであきらめることはないと そして幸運が訪れた いでよ大炎人」
ドドォン ドドォン
演台の後ろには洞窟があり、そこからひときわ大きな炎人が2体あらわれた。
大炎人1号「リア充はいねがー」
大炎人2号「バカップルはいねがー」
\\オオオオオ//
ヨロイ男「昨日のオトコからこんなにも巨大な嫉妬の炎が得られたのだ! こいつらが居ればすぐにでも火山を爆発させれるだろう 今すぐにでもだ!」
\イエェーイ/ \爆発爆発/ \リア充爆発/
ヨロイ男「爆発で吹き上がった溶岩はたちまち麓のリア充の巣窟を焼き払ってくれるだろう そして主の封印も解かれ 我々は新たなステージへと到達するのだぁ!!」
\\ウオオオオオオオオオ//
ヨロイ男「さぁ行け 大炎人1号火口へ飛び込むのだ!」
大炎人1号「ボッ……? 火口? 無理無理この高さじゃ死にますよ」ブンブン
ヨロイ男「なッ 最近の若い奴は! 聞いてなかったのかお前が飛べばあのクソ爺にも一泡吹かせられるんだぞ」
大炎人1号「オヤジ……あんの…… おらー行ったらぁー! くたばれエロオヤジ!!」
バッ
大炎人1号が火口へ飛び込んだ。
\\ワアアアア//
ドボーン
大炎人1号「どわあああ!あっちゃああ!!あつつ死ぬ―」ゴボゴボ
大炎人1号は溶岩に沈んでいく。
ドドォーン グラグラグラ
地震だ、さらに火柱が吹き上がり溶岩が火口の高さまで上昇してきた。
\オオ―/ \オオ―/
○岩陰
娘「あんなことで火山を噴火させようなんて……むちゃくちゃだわ」
女騎士「いいい行くぞ とめなければばば」ガクガク
娘「そろそろ地震ぐらい慣れて」
○リア充爆発作戦会場
ヨロイ男「ボファファッファファッファ さぁ仕上げだ2号よ飛び込め!!」
\ウオオオオオオオオ/ \爆発爆発/ \リア充爆発/
大炎人2号「……いや パスで」
ヨロイ男「ぅオイッ!」ガク
大炎人2号「だってさっきの1号どうなったの? 死んでんじゃん 無理無理無理 オラぁ死にたくね」
ドスドスドス
大炎人2号は逃げ出した。
ヨロイ男「かぁー 本当に最近の若い奴はぁっ!! モノども捕まえて奴を火口へ放り込め!」
炎人達「「シャーーー」」
大炎人2号「やめろ―! ボワーー」
\えっさほいさ/
大炎人2号は全身を炎人に掴まれ火口へ運ばれていく。
女騎士「まてぇ そうはさせん」
女騎士と娘が岩陰から飛び出した。
娘「”雷撃”」バリバリバリ
魔法の電撃が炎人たちに襲い掛かる、と思われたが雷は進路を変えてヨロイ男に吸い込まれた。
バシャ―ン バリバリ
ヨロイ男「うおっ!? びっくりした」
娘「なに!?」
女騎士「吸収された!?」
○
ヨロイ男「ボファファ これは『吸魔の鎧』だ魔法は効かんぞ」
娘「まさかそんな物……」
女騎士「貴様が頭領のようだが 何者だ!」
ヨロイ男「我は……」
娘「”重雷撃”」
ドンガラガッシャーン ドドォン
ヨロイ男「どわーーー」
女騎士「おいおい娘君よ」
ヨロイ男「お前……名乗りの途中だぞ 普通攻撃するか!?」
娘「……全然興味なかったから」
ヨロイ男「ちくしょう これだから最近の若い奴は ちくしょう」
娘「それにしても本当に魔法は効かないのね」
女騎士「この数を魔法無しではきついな」
ヨロイ男「ぐぬぬ お前たちーとっととデカブツを放り込めー爆発させたらこいつらも一毛打尽だ」
\しゃーー/
娘「あーあ 時間もないわね」
女騎士「よし 私がコイツを倒すから娘君はあっちの奴らを引き止めてくれ」
娘「わかったわ」
ダダッ
ヨロイ男「俺を倒すだと? バカを言うな”大火球”」
ボォオン
巨大な火球が女騎士を襲う。
女騎士「フンッ」ズガガガッ
女騎士は足元の岩石を弾き飛ばして火球を相殺する。
ボッボボォン
ガキィン
ヨロイ男「ぐわッ」
弾き飛ばした岩石の一つがヨロイ男の兜を弾き飛ばした。
女騎士「バカを言うのはどちらかな? っとやはり人ではなかったか」
ヨロイ男の顔は燃え盛る骸骨だった。
ヨロイ男「なんつー攻撃だ それがオンナの剣術か!?」
女騎士「……うるさいっ とにかく王国騎士団第七王女付近衛兵 女騎士参る!」バッ
ヨロイ男「俺は嫉妬団団長 炎魔将軍だ! 嫉妬ファイアアア」ゴォオオオ
炎魔将軍は女騎士にまとわりつく炎を吹き付けた。
女騎士「うわぁ なんだ!? ドロッとまとわりつく」バッバッ
女騎士はマントを振り払い炎を振り払う。
炎魔将軍「フフフ 妬み嫉み……嫉妬こそが我が炎我が力 嫉妬パワーを食らうがいいっ!」
女騎士「はぁ……どうして私には面倒な奴ばかり寄ってくるんだ」
○火口近辺
娘「ハァ!」
娘のつるぎのまい! 炎人たちを斬りつけながら大炎人へ迫る。
炎人「”大火球”」ボボォン
娘「”魔防へ”……(ダメ魔力を温存しないと) ぐぅ」バッ
ドドォン
回避が遅れ娘は火球を避けきれなかった。
炎人たち「「おとせーー」」
大炎人「ボワアア オタスケー」
炎人達が大炎人を火口へ放り込む。
娘「ああ!!」
○
ガシッ
大炎人2号「いやだ死にたくなーい」
大炎人2号は火口の壁面にしがみついた。
炎人「おとせおとせー手を狙え」
炎人たちが容赦なく大炎人2号を落とそうと攻撃する。
娘「やめなさい!」ズバァズバァ
\ボギャア/ \ブワァ/
娘「もう 魔法が使えれば」
○洞窟前
洞窟の前で女騎士と炎魔将軍が戦っている。
女騎士「マズイ 急がねば(……こうなれば)」カチャカチャ
炎魔将軍「そこだ”豪火球”」ゴゴォン
ズドドォン
猛火が炸裂する。
炎魔将軍「他愛のない」
シュッ
女騎士の剣が煙の向こうから飛んできた。
炎魔将軍「うおっと」ガキン
しかし鎧に弾かれてしまった。
炎魔将軍「まったく手癖の悪いオンナだ」
ヒュッ
女騎士「悪かったな」
炎魔将軍「な!?」
女騎士「ィヤアーッ!!」
女騎士の爆裂拳! 無数の剛拳が炎魔将軍を打ち付ける。
ドドドドドドッ!
バキバキ
炎魔将軍「うおおお ヤバい!? 嫉妬バースト!」
ドバァン
女騎士「うわぁ!?」
炎魔将軍は全身から炎を噴き上げて女騎士を弾きとばした。
炎魔将軍「空身で突撃とはな……大した奴だな」
女騎士「実は私は武道の出身なんでね」
炎魔将軍「だがもう終わりだ同じ手は食わんぞ」
女騎士「くっ……(鎧を砕ききれなかったか)」
\おちる―シニタクナーイ/
\オチロー/
\女騎士はやく!! もうもたない/
炎魔将軍「ボファファ チェックメイトだ」
○洞窟内・走るトロッコ
ガーッ
第七王女「明かりじゃ 終点じゃぞ」
男子「どうやって止めるんだこれ?」
少年エルフ「えっとこうかな?」ビョォン
少年エルフはトロッコに魔力を送りこむ。
ドギュン!!
トロッコは加速した!!
少年エルフ「うわぁ 違った」
男子「うわぁ脱線するぞ」
第七王女「かまわん突撃じゃー」
ガッ
○洞窟前
\うわぁあ/
炎魔将軍「なんだ?」
洞窟からトロッコが飛び出してきた!
第七王女「外じゃー! あ」
炎魔将軍「あ」
ドゴォン
第七王女たちの乗ったトロッコが炎魔将軍とぶつかる。
炎魔将軍「おごォわ」ガキィン
\うわあああ/
○
男子「ぐわ」ドタッ
男子は地面にたたきつけられた。
少年エルフ「うぐぅ」ポテ
少年エルフは男子の上に落ちた。
第七王女「よっと」スタッ
第七王女は軽やかに着地した。
第七王女「なんじゃ今のは?」
女騎士「王女 どうやってここに!?」
炎魔将軍「オノレ……貴様どこから」
第七王女「それよりお主…… そこをどいた方がよいぞ」
○
ガッ
\きゃーー/
洞窟から女将たちの乗ったトロッコが飛び出してきた。
若旦那「うわっ危ない」
ドゴォン
若旦那たちの乗ったトロッコが炎魔将軍にぶつかった。
炎魔将軍「ゴディバッ」バキィン
\うわああ/
○
少年エルフ「ゴメン 男子君大丈夫?」スタッ
少年エルフは男子から降りた。
男子「いたた 大丈……」
若旦那「おうっ」ドサッ
若旦那は男子の上に落ちてきた。
男子「ゴフッ」 少年エルフ「あ」
女将「あらあら」ドサ
女将は若旦那の上に落ちてきた。
若旦那「ぐっ」 男子「ガフっ」 少年エルフ「あ」
娘友「おっととと」ボイン
娘友は女将の上に落ちてきた。
女将「あら」 若旦那「おわ」 男子「ッ……」 少年エルフ「あ」
○
娘友「おおぅ さすが女将さん 見事な柔軟性 ふへへ」ボインボイン
女将「あらあら いつの間にお山の上に」
若旦那「女将 ケガは無いですか?」
男子「……」チーン
少年エルフ「もーみんな早く降りて男子君が」わたわた
第七王女「皆 無事のようじゃな」
女騎士「女将さんたちまで一体どうやって」
第七王女「それはのぅ……」
○
炎魔将軍「ぐぐぐ 貴様らーーッ」
ガシャーン
炎魔将軍がトロッコの残骸を跳ね飛ばして起き上った。
パキン カラカラカラン
吸魔の鎧が壊れた。
炎魔将軍「あ」
第七王女「あ」
女騎士「あ ……今だ撃てーーー!!」
○火口近辺
大炎人2号「もうだめだぁおしまいだぁ しぬーーー」
ヒュウウ
大炎人2号は火口へ落下していく。
娘「そんな」
\今だ撃てーーー!!/
娘「ぎりぎりよ! ”重雷撃”」バリバリバリ
ガラガラ ドドーン
大炎人2号「ギャボババババーー」
ボボォン
大炎人2号が爆発四散して跡形もなくなった。
娘「間に合った」
大炎人たちを倒した。
○
女騎士「これで終わりだ」
娘「さて 後はアンタだけよ」
第七王女「さぁ観念するのじゃ」
娘友「……(王女の速攻で状況に合わす所 嫌いじゃないわ)」
炎魔将軍「ぐぐぐ」
炎魔将軍「お前らのようなリア充に俺は絶対に負けん! 負けられん!!」
ダダダダ バッ
炎魔将軍が飛び上がった。
女騎士「なっ!?」
女騎士たちの頭上を飛び越しそのまま火口へ飛び込む。
炎魔将軍「ぐわははははは さらばだーー」ブワァ
娘「まさか 自分で噴火させるつもり!?」
ひゅるるるる ドボン
\アチャ アチャチャホアター/
第七王女「……うわー熱そうじゃのう」
男子「熱いで済みませんって」
\アッタ ガバゴボ ミツケタゾ/
娘友「なにか持ってるわね 何アレ」
若旦那「まさか 溶岩の中でか?」
炎魔将軍は黒焦げの異形の腕を掲げて沈んでいく。
\デンデンデデンデン……/
女将「あら なんだか楽しそうね」
娘「腹立つ顔ね……」イラッ
少年エルフ「……でもあの禍々しい感じ 学校の時の」
娘「……そうね」
グツグツグツ
第七王女「なにも起こらんのう」
女騎士「よかった」
ゴゴゴゴゴゴ
女騎士「わわわ また地震!?」
若旦那「デカいぞ」
少年エルフ「……皆逃げて 下から何か来る!」
ズモモモモ
溶岩が盛り上がり巨大な何かがせりあがってくる。
娘友「逃げるっていってもどこに」
女将「こっちよ さっきの洞窟に」
○
ズドドド
火口から火柱があがり噴石が飛び出してくる
ドカドカドカ
女騎士「早く洞窟へ」
男子「王女危ない! ぐぁ!!」
男子は噴石から第七王女をかばった。
第七王女「男子!」 娘友「男子君」
男子「ぐぅう」
娘「バカっ かっこばっかつけて……若旦那さん手伝って」
若旦那「ああ」
娘と若旦那で男子を運ぶ。
女騎士「王女たちも早く」
ドドドドド
第七王女「なんじゃあれは……」
第七王女は頭上を見上げる。
女騎士「な!?」
少年エルフ「そんな……」
○魔王山・山道
山男A「なんだありゃー」
山男B「化物だ― 逃げろー」
ドヤドヤドヤ
神官「おやおや こんなことになるなんて」
○国営旅館
大旦那「……山から煙? 違う……あれは……手か!?」
\山が―/ \キャーー/
○魔王山・火口付近
???「ぐわっはっはっはっは あの方の力が俺に」
火口から巨大な溶岩の腕と顔が覗いている。
少年エルフ「そんな……こんなの」
第七王女「なんということじゃ」
娘「そんな デタラメだわ」
溶岩巨人があらわれた。
女将「あらーおっきいわねー」
若旦那「女将 避難を! それに街の者たちにもしらせなければ」
溶岩巨人「ここから出てリア充どもを焼き尽くしてやるわ」
ドドン ドドン
○洞窟内
男子「ぐぅ……」
第七王女「男子は? 治るか?」
少年エルフ「ダメ 石が体にめり込んでる 下手に動かせないよ」
娘友「男子君……」
ドドドン ドドドン
溶岩巨人は巨大な腕を振って火口から出ようともがき、その腕から無数の噴石が飛び出している。
第七王女「まるで岩の雨じゃ 外には出れぬ」
ドドドド
女騎士「あぁ 洞窟が」
洞窟の奥が崩れてしまった。
第七王女「八方ふさがりじゃな……」
少年エルフ「……このまま みんな死んじゃうの」
第七王女「ぬぬぬ」
女騎士「……」
女将「……困ったわ」
若旦那「……くそ」
娘友「……」
男子「……」
娘「……パパ」
スッ
娘は出口に歩いていく、外は岩と溶岩が飛び交い灼熱地獄になっている。
少年エルフ「娘?」
娘「大丈夫よパパ ちょっと片付けてくるから」ニッコリ
娘は外へ飛び出した。
少年エルフ「娘!」
○
※更新終了 今回はここまで
桜島が噴火しましたね、被害が少ないので自粛しなくてもいいかな?
次回の更新は来週の土曜です。
鹿児島の人からすればいつもよりちょっとだけ元気くらいの印象じゃないか?
乙
)レ _|\/\/\/\/\/|_
_>L \ そう!!これは /
`) く < 天に代わって悪を討つ >
ゝ しイ / 正義のわざ! \ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧
_) て  ̄|/\/\/\/\/\| ̄ >
'っ h ´__ ___|__ < 決して私怨からでわない!! >
\咢)P! || < >
,ゝ__r┘ ||l l l ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨
」 )‐<\ /
厂丁ト、l_ _|\/\/\/\/|_
〉 | | |::ト、 \ /
} } ハ 〉{_7、 < 聖 戦 だ ! ! >
| |/:V |冂\ / \
V::|::〈|| |/ト、  ̄|/\/\/\/\| ̄
}:::|::::}V \! | ,j\
∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧
<爆発爆発!リア充爆発!爆発爆発!リア充爆発!嫉妬ファイア>
∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨
、 、 、 、 、
/っノ /っノ /っノ /っノ /っノ
/ / ∧_∧ / / ∧_∧ / / ∧_∧ / / ∧_∧ / / ∧_∧
\\( )\\( )\\( )\\( )\\( )
※なんと適格なAA さて更新はじめます
#8【魔王山の決戦 ~エルフと一緒なら~】
○火口付近
溶岩巨人からの噴石が辺りに降り注ぐなかを娘は走り抜ける。
ドドドド
ガン
娘「つぅ・・・・・・あと少し」タタタ
溶岩巨人「グオオ」ドタンドタン
溶岩巨人はもがいている。
娘「大人しくしなさい”重雷撃”」ドンガラガッシャーン
ズドドォン
溶岩巨人「オオォ」
モモモ……
雷撃が溶岩巨人の腕を吹き飛ばしたが、見る見るうちに再生していく。
溶岩巨人「ガァ」ボボボボ
溶岩巨人は灼熱の炎を吐き出した
娘「きゃあああ」
○
娘「……(一体どうすれば) あれは?」
娘は溶岩巨人の額から異形の腕が生えているのに気づいた。
娘「あれね! ”重雷撃”」
しかし魔力が足りない。
娘「もう魔力が…… だったら直接!」シャキン
ズダダダタ
娘は剣を構えて溶岩巨人に向かっていく。
○洞窟
娘友「娘、大丈夫かな?」
女騎士「あんな巨大な魔物は娘君の雷魔法でしか対抗できない…… 信じよう」
\きゃああ/
少年エルフ「娘!」
少年エルフは飛び出そうとしたが若旦那に止められてしまった。
若旦那「出るな危ない!」
少年エルフ「だって娘の声がっ……」
若旦那「だとしても無茶だ とてもたどり着けない」
少年エルフ「それでも僕は」
バッ
少年エルフは若旦那の腕を振り払った。
少年エルフ「娘のパパだから」
少年エルフは外に飛び出した。
第七王女「エルフ!」
○溶岩巨人の上
ジュウ ボボォン ジュジュ
娘「ぐぅ」ダダダ
娘は溶岩巨人の上を走っている、全身に火傷をおいながら額を目指す。
溶岩巨人「降りろこの」
ドドンドドン
娘「ぐあっ! ああぁ」
振り落とされないようにしがみつくが、ついた指先から火傷をおう。
娘「まだ……まだぁ!」
娘は渾身の力をこめて異形の腕をめがけて剣を振るう。
バキィン
娘の剣が折れてしまった。
娘「そんな!?」
溶岩巨人「グハハ どけい」
ドドォン
娘「っぁ……」
娘は巨大な腕に薙ぎ払われた。
○
吹き飛ばされた娘は怪我と疲労で動けない。
娘「……(ごめん……エルフ)」
\娘ー/
娘「……(声が……幻聴?)」
少年エルフ「娘ー!」
娘「エルフ!?」
少年エルフが娘の元にかけよった。
少年エルフ「よかった間に合った? もう大丈夫だよ ”大治癒”」シュイイイン
娘の傷が治っていく。
娘「パパ……もう 危ないのに」
少年エルフ「だからって一人で無茶しないで 僕もいるんだから」プンプン
娘「……ごめんなさい」
少年エルフ「ほら僕の魔力をあげるから ”渡魔”」キュイン
娘の魔力が全回復した。
少年エルフ「娘ならあいつを倒せるよね?」
娘「もちろんよ パパと一緒なら なんだって!」ガバッ
娘は立ち上がった。
少年エルフ「うん」ニコ
娘「フフッ……(ありがとうエルフ)」ポゥ
娘の体が白光に包まれる。
ポポポ
娘「これは?(あの時と同じ光)」
少年エルフ「うわぁ キレイ」
娘は魔力と異なる力が沸きあがるのを感じる。
娘「……これなら行けるわ ”重雷撃”」
ドンガラガッシャーン キュポポポ
溶岩巨人「なんだ!? 体か」
白光を纏った雷が溶岩巨人の体にやすやすと突き刺さる。
キュポポポポ……ポワワワ
少年エルフ「いつもの雷と違う!?」
溶岩巨人「馬鹿なこの光は!? グワアアア」
ドドドォン
溶岩巨人が内側から光になって蒸発していく。
娘「これでおしまいよ!!」キュポポポ
溶岩巨人「オノレ 我を倒しても第二第三の嫉妬の炎が……」
娘「そういうの興味ないからはやく消えて」キュババババ
娘の光が増して溶岩巨人を覆いつくす。
溶岩巨人「ちょっ最後くらい…… ちくしょうちくしょ」
バシュン
光は溶岩巨人と異形の腕を光の彼方に消し去った。
少年エルフ「すごい……消しちゃった」
娘「やったわパパ…… もう大丈夫……」
フラッ
少年エルフ「娘!」ぎゅっ
倒れた娘を少年エルフは抱き締めた。
娘「すーすー」
少年エルフ「頑張ったね娘……」ぎゅう
溶岩巨人を倒した。
○何処かの暗闇
???「む」
死霊使い「どうしました我が主」
???「どうやら腕が一本消えたようだ」
死霊使い「まさか御身を滅ぼせるなんて そんな者が」
???「あの一族が生き延びていたようだな 面白い」
死霊使い「あやつめエルフ族共々滅ぼしたと言っておったのに……私めに『消せ』とご命令ください そうすればすぐにでも……」
???「捨て置け」
死霊使い「しかし」
???「どうせ人間には我を倒す事は出来ん ちょうどよい余興だ」クックック
死霊使い「仰せのままに」
○三日後・国営旅館
娘は旅館のベットで目を覚ました。
娘「ここは? ……パパ」
少年エルフ「すやすや」
少年エルフは娘にもたれて寝てしまっている。
娘「……(看ててくれたのね)」ふふっ
少年エルフ「すやすや」ピコピコ
少年エルフの寝息と共に長い耳が揺れている。
娘「……耳」ゴクリ
○
ガラッ
娘友「エルフさん 娘の具合はどう? ……って」
娘「!」
少年エルフ「うぅん……すやすや」
襖を開くと娘が少年エルフの耳を咥えてた。
娘友「えっと……見なかったことにするわ」
ガラッ
娘友は襖を閉じた。
娘友「まったくあのコは……」
\ペロペロ/
\あぁん うぅん/
娘友「コラコラコラ」
ガラッ
○
娘「いやぁ……気が利くなぁって思ったのに」
娘友「そうじゃなくて 見てないウチに止めてってこと もう……なんで耳なのよ」
娘「小さい時からのクセよ……目の前にあると ついね……」
娘友「いやいやいや あの舐め方はクセってレベルじゃないからアタシだからよかったのよ まったく」
娘「そうね 助かったわ ところでパパがどうしてここで寝てるの?」
娘友「娘 アナタ三日も寝てたのよ それでエルフさんが心配して看てたの」
娘「そんなに……あれから何があったの?」
娘友「そうね あの後神官と山男さんたちが来たからそれで男子君や娘を運んで降りてきたの」
娘「男子は?」
娘「男子は?」
娘友「隣の部屋よ エルフさんが治癒魔法で傷を塞いだけど石が入ったままだから王国で手術しないといけなくなったわ」
娘「じゃあ一度王国に戻るのね」
娘友「そうね どっちみちこの時期はこれ以上北へ行くのは無理だし」
娘「他には何かあった?」
娘友「若旦那さんが武者修行に出たわ」
娘「若旦那さんが!? どうして?」
娘友「今回の事には自分にも責任があるって……秘宝館の事を気にしてるのね」
娘「そんな……」
娘友「まぁ それだけでもないでしょうけど ねぇ娘」
娘「……そうね」
バァン
第七王女「おぉ 娘やっと目が覚めたのかよかったのじゃ~」
第七王女が入ってくるなり抱き付いた。
女騎士「ちょっと王女 起きたばかりですよ」
女騎士も入ってきた。
娘「大丈夫よ 王女」
女将「よかったわね 本当に」
大旦那「思ったより元気そうでなによりじゃ」
大旦那と女将も入ってきた。
女将「今回のことでみんな貴方たちには感謝してるわ この国の恩人よ」
娘「そんな……」
第七王女「そうじゃ わらわ達は二代目勇者として当たり前のことをしたまでじゃ」
大旦那「ほほう勇者とな なんとも勇ましいことじゃ」
女騎士「あぁもう 言っちゃうそれ」
娘友「ま 王女だしね」
娘「仕方ないわ」
第七王女「かっかっかっかっ」
○翌日・馬車停留所
女騎士「では王都へ向かいますよ」
第七王女「よーし出発じゃ」
女将「気を付けてねー」
大旦那「またいつでも来い」
\王女バンザーイ/ \勇者バンザーイ/
大勢の人が盛大に見送る。
パカパカ
少年エルフ「うわースゴイことになってるね 男子君見える?」
男子「いえ 見えません」
男子は寝たまま体を固定されている。
娘「絶対安静よ ガマンしなさい」
男子「ああ……そういえば神官さんは?」
少年エルフ「神官さんも昨日旅立ったよ」
女騎士「そうだったのか せいせいするな」
娘友「ま もう会わないでしょうね」
少年エルフ「……そうなるのかな」
○少年エルフの回想
少年エルフ「行っちゃうの?」
神官「ええ 今朝電報が届きまして ボスからお呼びです 直ぐに発たねば」
少年エルフ「そうなんだ……あのこんなこと聞くのは失礼かもしれないけど」
神官「なんです?」
少年エルフ「あの……耳を見せてくれませんか?」
神官「耳? ははぁ……どうぞ」
神官は髪をかき上げて耳を見せた。
少年エルフ「あ……(普通だ) あのありがとうございます ヘンな事きいて」
神官「ふふふ ワタシがエルフ族とでも思いました?」
少年エルフ「え!? はい……もしかしたらって」
神官「どうしてそう思ったのですか?」
少年エルフ「その……神官さんの魔力って他の人と違う感じがしたから……ごめんなさい」
神官「いいんですよ 確かにワタシはちょっと特殊ですので」
少年エルフ「そうなんだ どうして?」
神官「それは……」
少年エルフ「それは?」
神官「ナイショです」
少年エルフ「ナイショなの?」
神官「ふふっ そんな残念そうにしないでください 次にお会いしたら教えますから」
少年エルフ「次っていっても」
神官「大丈夫 また会えますからその時までのお楽しみです 約束しますよ」
少年エルフ「……うんわかった 約束だよ」
神官「では 馬車の時間ですのでお先に」
少年エルフ「うん ありがとう」
○
少年エルフ「不思議な人だったなぁ」
女騎士「そうか? どうしようもない奴だったぞ」
娘友「そうね 今頃別のところで遊んでるんじゃない?」
娘「二度と会いたくないわね」
少年エルフ「……(ヒドイ言われよう)」
第七王女「とにかく王都に凱旋じゃ 兄上も驚くじゃろう」ふっふっふ
少年エルフ「また山道かぁ 仕方ないよね」
娘「大丈夫よ私が居るわ」ぎゅう
少年エルフ「うん……そうだね」
ガラガラガラ
【ようこそ魔王温泉へ ~ドキッ!リア充爆発危機一髪編~】 終了
※更新終了 魔王温泉編は終了です
次回の更新は一身上の都合で3月後半、そうですね26日頃になります。
感想や質問があれば幸いです なかったらさらにテキトーなSSになっていきます。
乙!
はーい質問
娘の耳をペロペロしたらどうなりますか?
こら、魔法で簡単に治るからって怪我を治してすぐ旅させるんじゃない
ゆっくり温泉で養生しなさい
>214
娘の耳をペロペロしようとしたら耳から10万ボルトの”自称静電気”が飛んできて舌がウェルダンになります
>215
谷の国は小国なので僧侶や治療師はいても外科手術できる医者がいないので王都に搬送されます、自分では用も足せないくらい固定されてるので大丈夫です
追いついた
#9【少年エルフの『P』についての冒険】
○王都の宿屋・娘友の部屋
娘友「だったらパンツね」
少年エルフ「パンツ!?」
娘友「うわっと そんなに意外?」
少年エルフと娘友が話をしている。
少年エルフ「だって誕生日プレゼントだよ? それにパンツなんて」
娘友「エルフさんは今時の流行りをわかってないのね~」フフフ
少年エルフ「流行りって……ウソでしょ?」
娘友「ホントよ 娘を驚かせたいんでしょ? 普通のプレゼントじゃダメじゃない」
少年エルフ「そうだけど……」
娘友「じゃあ無難にアクセサリー?」
少年エルフ「それは去年あげた」
娘友「バッグは?」
少年エルフ「一昨年あげた」
娘友「じゃあ時計は?」
少年エルフ「入学祝いにあげたよ」
娘友「花束は?」
少年エルフ「そんなの毎年一緒に贈ってるよ」
娘友「ほら~ だったらもうパンツしかないでしょ あげたこと無いのは」
少年エルフ「そうだけど そんな……パンツってプレゼントするものなの?」
娘友「もちろん! 意外と贈られると嬉しいのよ それに家族じゃないとプレゼント出来ないものなんだから」ニヤニヤ
少年エルフ「そう言われたらそうなんだろうけど……」
娘友「じゃ決まりね 娘のプレゼントはパンツに決定ということで」ニヤニヤ
少年エルフ「でもそんなのどうやって買えば……ねぇ 友ちゃん一緒に……」
娘友「あっらー いけないこんな時間」ガタン
少年エルフ「え?」
娘友「ごめんだけど 新春祭の準備と打ち合わせと搬入と仕入れやら色々立て込んでるから 行かなきゃ」
ドタバタバタ バタン
少年エルフ「え」
ガチャ
娘友「そうそう いい年なんだからオトナっぽいの選ばないとダメよ 子供じゃないだから」
少年エルフ「ええ!?」
娘友「じゃ あとはガンバってね」
バタン
少年エルフ「ええ~~」
○廊下
娘友「というわけでアタシは行くけど エルフさんの活動を後で報告してね バレずに」ボソボソ
召使「かしこまりました ……見ているだけでよいのですか?」
娘友「そーねー ギリギリまでフォローしないでね」フヒヒヒ
召使「心得ました ではいってらっしゃいませお嬢様」
娘友「ふふふ(エルフさんピュアだわ~あんなに信じちゃって 報告が楽しみ)って時間ヤバッ」
バタバタバタ
○数時間後 王都大通り
少年エルフが一人で歩いている。
少年エルフ「……(娘は朝からお城に行ってるから 今日買うしかないけど)」
テクテク
少年エルフ「……(でもパンツを買うなんて……あのお店だよね)」
テクテク
○ランジェリーショップ前
少年エルフ「……」ドキドキ
スタスタ
少年エルフは店前を通り過ぎてしまった。
少年エルフ「しまった つい……(今度こそ)」
スタスタスタタタ
少年エルフは店前を足早に通り過ぎてしまった。
少年エルフ「あぅ もう!(何をしているんだ僕は 娘のプレゼントを買いにきたの! 僕は! よし勢いで行こう勢いで)」ドキドキドキ
タタタタタタタタタ
少年エルフは店前を駆け抜けた。
少年エルフ「あぁダメだぁ……っ!(やっぱり無理ぃ あんなトコロ一人じゃ無理だよ)」ぜーはーぜーはー
少年エルフ「うう ちょっと頭を冷やそう」
○近くのカフェテラス
少年エルフは注文を終えて席で思案に暮れる。
少年エルフ「うーん(よーしまずイメージトレーニングだ イメージ大事)」
――少年エルフのイメージ
店員「いらっしゃいませ」
紳士「やぁ すまないムスメの誕生日祝いにひとつ贈りたいのだがいくつか見繕ってくれないかね? なにぶんこういう店は初めてなので」
店員「それでしたらこちらはいかがでしょう きっと喜ばれますよ」
紳士「よし それを包んでくれたまえ」
店員「ありがとうございます」
――少年エルフのイメージ終了
少年エルフ「よしっ……(大丈夫 娘のプレゼントを買うだけ ヘンじゃないヘンじゃない)」
店員「ミックスジュースのお客さま~」
少年エルフ「あ 僕です」
店員「はい ボク気をつけて飲んでね」
少年エルフ「あ はい……(ボク……)」
店員はジュースを少年エルフの前に置いていく。
――少年エルフのイメージ
少年エルフ「あの ムスメにプレゼントしたいのですが」
店員「え? ムスメ?」
少年エルフ「いえっそのっ 姉です お姉さんにです」
店員「あらー お姉さんにプレゼントするのボク? オマセさんね~」
少年エルフ「あの それでおススメがあったら」カアア
店員「おススメ? お姉さんはどんなのが好きなの?」
少年エルフ「わ わかりません」カアア
店員「じゃあ キミはどんなのが好きなのかな~ こんなの? それともコレ?」フフフ
少年エルフ「あのっあのっ」カアアアアアア
――少年エルフのイメージ終了
少年エルフ「……」プシュ―
少年エルフ「うー もっと身長があったらいいのに」うぐうぐ
少年エルフ「……どうしようプレゼント」
○王城 酒倉
娘は酒倉の扉を開ける。
ギィイ
娘「白竜はいるわよー」
ドタドタドタドタ
\オタスケー/
王城の兵士が中から飛び出してきた。
白竜「あーあ 逃げられちゃったわ」
娘「ちょっと貴方 何やってるのよ」
白竜「何ってお酒をとりにきた兵士の中に中々のイケメンがいたからつい……パクッて」
娘「貴方ねぇ……シャレにならないわよ」
白竜「やーね 甘噛みよ甘噛み たまにはイケメン成分を補給しないと死んじゃうのよ」
娘「よく言うわ それにパパから貴方は雄って聞いてるけど」
白竜「あらやだ でもドラゴンの性別なんて飾りみたいなものよ」
娘「本当かしら?」
白竜「まぁまぁ それで今日は何の用? ただ雑談に来てくれただけでも嬉しいけど 女子トークする? ぶっちゃけちゃう?」
娘「じゃあぶっちゃけてもらおうかしら コレについてね」パアア
娘が集中すると手が光に包まれる。
白竜「あら……キレイねー 何? 新しい魔法?」
娘「……白々しいわね コレは魔法じゃないの」
白竜「……へぇ そうなの 初めて見たわ」
娘「”雷撃”」
バリバリバリ
白竜「いったぁ ちょっとぉ シミになったらどうするのよ!」
娘「嘘をつくからよ 私には『わかる』のよ……それも知ってたんじゃない?」
白竜「……さあ」
娘「白竜 貴方この力について何か知ってるでしょ?」
白竜「んー知ってるような知らないような」
娘「”重雷……”」 白竜「タンマタンマ! 本当に言えないんだって」
娘「言えない…… 知ってるけど言えないのね」
白竜「だって その……色々と制約があるのよドラゴンにも」
娘「300年も寝てたくせに制約とか関係あるの?」
白竜「あら 人間は一晩寝たら昨日の約束は忘れていいの?」
娘「……そう スケールが違うわけね」
白竜「……娘はその力いつから使えるの?」
娘「……(質問はするのね)初めて使ったのは半年ほど前でこないだの戦いでも使えたわ」
白竜「自分の意思で出来るの?」
娘「自分で出来るようになったのは最近よ それにこれが限界」
娘が光に包まれた拳を振ると光の飛沫が酒樽の汚れを落とした。
娘「これじゃ掃除くらいにしか使えないわ……」
白竜「どうやって発動させてるの?」
娘「それは……パパの事を考えると出来るのよ」
白竜「あぁ それで」
娘「でも半年前もこの前ももっとパワーがあったわ」
白竜「ふぅむ」
娘「これをコントロールできないと倒せない魔物がいる…… そうでしょ?」
白竜「……そうね」
娘「だったらこれのコントロール方法を」
白竜「ダメよ! まだダメ」
娘「……『まだ』ね いつになったらいいの? グズグズ出来ないと思うけど」
白竜「そうだけど……」
\娘ー/
タタタタタ ドン
娘「うわっと 王女!?」
第七王女が娘に抱き付いてきた。
第七王女「娘~白竜に会いに来たならわらわにも顔を出してくれてもよかろう? なかなか来ないからわらわから出向いたのじゃ」
娘「ごめんなさいね ちょっと話し込んでたから」
第七王女「何を話しておったのじゃ?」
娘「えっとね」
白竜「美白の秘訣についてよ」
第七王女「そうか確かに白竜は白いからのう 参考になるじゃろうの」
娘「まぁ 確かに白いけど……」
白竜「ついでだからコレ塗ってくれない?」
白竜は美容クリームの樽を開けた。
第七王女「うむ まかせるのじゃ」
第七王女はクリームをすくって白竜の背に登る。
娘「ちょっと白竜 王女にそんなことさせてるの!?」
白竜「だって 他の人は怖がってしてくれないもの」
第七王女「一応 白竜はわらわが管理することになっておるからのこれも勤めじゃて」ヌリヌリ
娘「……仕方ないわね 私も手伝うわ」
娘も袖をまくって美容クリームをすくった。
娘「あ……(コレ 友の所の商品だ)」
○大通り カフェテリア
少年エルフ「うーん(本当にパンツとか贈るのが最近の流行りなのかな? 誰かほかにこんなこと相談できるのは……)」
少年エルフの脳裏に妹弟子の事がよぎる。
少年エルフ「……(薬師おきてるかな?)」
少年エルフは公衆電話を探し始めた。
○南の町 女薬師の店
ジリリリリリリン
女薬師「はいはい 何よ二日酔いなのに」
ガチャ
女薬師「本日は臨時休……てエルフ? どしたの?」
少年エルフ「ちょっと相談したいんだけど」
少年エルフは事情を説明した。
○
女薬師「パンツプレゼント!?」
少年エルフ「やっぱりヘンだよねぇ パンツを贈るなんて」
女薬師「あーでも最近の若いコの流行りかー どうだろ」
少年エルフ「あぁ 薬師は33だったよね わからないか」
女薬師「えぇえぇ どーせ三十路ですよ」ピキピキ
少年エルフ「やっぱり友ちゃんにからかわれたのかなー?」
女薬師「あ でもわたしはショーツとかは贈られるのはアリかな いくらあっても困らないし」
少年エルフ「そうなんだ でもどんなのがいいのか分からないよ」
女薬師「Tよ」
少年エルフ「てぃ?」
女薬師「だからTバックよ オンナ勝負下着はTバックに決まってるでしょ セクシーだしドレスにパンティライン出さないためにも必須よ」※個人的な見解です
少年エルフ「そうなの本当に? じゃあ色は? やっぱり白やピンクがいいかな?」
女薬師「はー分かってないわね 白なんて汚れやすいしピンクなんて子供っぽいじゃない」
少年エルフ「そうなの? じゃあ何色だったら」
女薬師「赤ね」
少年エルフ「あ 赤」カアア
女薬師「黒もいいよね」
少年エルフ「黒ってそんな 娘はまだ16だよ」カアア
女薬師「17になるんでしょ……その年頃なら下着だってもう大人よ エルフは娘のショーツとか見ないの?」
少年エルフ「み 見てないよ」カアア
女薬師「そんなこといって~ こっそり見たりしてないの? こっそり」ニシシ
少年エルフ「見ない! 僕はパパだよ! もーっ からかわないで!」
ガチャン ツーツー
女薬師「ふふ エルフもお年頃になったのねぇ……昔はわたしのパンツも平然と洗ってたのに」
女薬師「それはオンナとして……まぁいいや 考えないでおこ」
女薬師は二度寝しにベットに戻った。
○王都 大通り・公衆電話
少年エルフ「もう 薬師は~」カアア
少年エルフ「うーん(他にこういうことに詳しそうなのは……)」
少年エルフの脳裏にナイスミドルの幼馴染が浮かぶ。
少年エルフ「男……まぁ経験は豊富だよねぇ」
ジーコジーコ
○
少年エルフ「え? こっちに来てるの?」
兵士A「分隊長は朝から城に用事があるって……女兵士も一緒だし今頃その辺にいるんじゃない? バッタリ会うかも」はっはっはっ
少年エルフ「はあ……わかりました失礼します」
ガチャン
少年エルフ「こっちに来てるっていってもバッタリ会えるわけ……」
男「お? エルフか? どうしたこんな所で」
女兵士「ホントだエルフさん久しぶり~」
少年エルフ「会えたー~!?」
少年エルフは男と女兵士とバッタリ会った。
○再びカフェテラス
男「パンツ!? 誕生日にか?」
少年エルフ「やっぱりそんなの贈らないよね」
\スペシャルロイヤルパフェです/ \うわースゴーイ/
男「いやー 無くは無いかな」
少年エルフ「え!? あるの?」
\スプリングベリーソースのパンケーキ5段です/ \わーい美味しそー/
男「まぁ嫁とか……そういや女騎士にもやった事あるぞネタで」
少年エルフ「それ女騎士さん怒ったでしょ」
男「確かに殴られた でも真っ赤になったアイツ面白かったぞ メッチャ動揺してた」クックックッ
少年エルフ「もう女騎士さん真面目なんだからからかっちゃダメだよ」
男「でも一応受け取ってたから満更でもないんじゃないか?」
少年エルフ「知らないよそんなの」
女兵士「モグモグ あたし貰ってないですよ たいちょー パクパク」
男「ちょっ 食うか喋るかどっちかにしろ ってお前どんだけ食ってるんだ!?」
店員「トリプルフルーツサンデーです」ゴトッ
少年エルフ「まだ食べれるの」
女兵士「少したべます? たいちょーのおごりですし」
男「分かってるなら 少しは遠慮しろよ」
女兵士「エルフさんもどうです? 美味しいですよ」
少年エルフ「いえ 見てるだけでお腹いっぱい」
女兵士「それよりたいちょーあたしは貰ってませんよ~パンツ~」
男「えぇ!? お前が欲しいのか?」
少年エルフ「あの……そんなに贈られたいものなの?」
女兵士「そうですよ~ かわいいのって結構高いですし~動いてると直ぐいたんじゃうし~普段頑張ってるあたしにも下さいよ~ たいちょ~」
少年エルフ「そうなんだ(若いコには普通なのかな?)」
\たいちょ~ たいちょ~/
男「は~仕方ないな 行くかエルフ」
少年エルフ「行くって?」
○ランジェリーショップ
\いらっしゃいませー/
男「ここだ」
少年エルフ「だよね 一緒だと助かるよ」カアア
女兵士「わーカワイイのがいっぱい~いくつまでいいですか? たいちょー」ルンルン
男「一着だけだ!」
女兵士「え~? しょうがないな~たいちょーは~」
男「はぁ……どっちがしょうがないんだよマッタク」
少年エルフ「ねぇ 男って女兵士さんと付き合ってるの?」ボソ
男「はぁ? それは無い」
少年エルフ「でも女兵士さんて男にスゴイ甘えてるよね」
男「たかられてるだけだ…… まぁ親父がわりなんだろうな」
少年エルフ「オヤジガワリ?」
男「あいつは親父がいなかったらしいからな それでだろう」
少年エルフ「そういうものなの?」
男「あとは俺が入隊させたからその責任かな」
少年エルフ「そうなんだ」
男「周りはオンナだからって反対したんだがアイツは力もあるし筋もいいんだ……性格がアレだがな」
少年エルフ「そこまでいう程? 元気でいい子じゃない」
ダダダダ
女兵士「たいちょー どうですか? セクシーでしょー」
下着姿の女兵士が現れた。
少年エルフ「ちょっと!?」カアアア
男「そうだないいんじゃないか 馬子にも衣装だな」ボウヨミ
女兵士「わーい マゴニモイショーだって褒められたー」ニコニコ
店員「お客様! 試着したまま動き回らないでください」
女兵士「はーい ごめんなさい」
トコトコ
少年エルフ「……確かになんていうか天然だね」
男「だろう」しみじみ
少年エルフ「えっと(僕も娘のを買わないと)あ あの!」
店員「はい」
少年エルフ「あの娘の……その姉に パン……ッを買っていきたいのですが……その」カアア
店員「あら(おつかいかしら?)……はいどのような物をお探しですか?」
少年エルフ「えと……普通に可愛いくて喜びそうなのでいいです」カアアア
店員「はい サイズはご存知ですか?」
少年エルフ「え? サイズ」
店員「はいヒップサイズです」
少年エルフ「えっとえっと(どうしよう……知らない)」
○
※更新終了 所用が早めに終わったので早めに更新できました。
リサーチした時期がホワイトデー前後だったので知ったのですが、最近はホワイトデーのお返しにパンツを贈るというパンツ屋の陰謀があるそうですね。
では次回更新は来週土曜です。
乙
ふむ、パンツか
どれ、ちょっと被らせt
#10【少年エルフの『P』についての冒険2】
○翌朝 宿屋・少年エルフの部屋
少年エルフ「ふぁ(……昨日はサイズがわからなかったから結局買えなかったな)」
少年エルフ「んー(サイズか……服ならとにかくパンツのサイズなんて直接聞く分けには)」
コンコン
召使「エルフさま御召し物をお届けにきました」
少年エルフ「はーい」
ガチャ
召使「こちらです」
召使は洗濯した着替えを少年エルフに渡す。
少年エルフ「おっとと いつもありがとう」ニコ
召使「いえ お気遣いなく」ニコ
○
バタン
少年エルフ「洗濯ぐらい自分でできたらいいんだけど……ここ(王都)じゃ仕方ないよね」
少年エルフは着替えを畳んでいく。
パタパタ
少年エルフ「あれ? これ娘のだ まざっちゃったかな?」
娘の着替えがまざっている。
少年エルフ「……コレ!?」ドキッ
少年エルフは娘のパンツを見つけた。
○娘の部屋
娘「っと はいった」
娘は着替えている最中。
娘「またキツクなってる……太ったのかな いやねぇ」
娘はブラをつけようとするが。
娘「……やっぱりこっちも届かないなぁ」ウーン
あと少しというところで手で回らずにホックかかけれない。
娘「どうしよう」
トントン
\娘ー 起きてる?/
娘「パパ? 丁度よかった」
ガチャ
少年エルフ「これ着替えが混じって――うわぁ!? ゴメン」カアア
バタバタ
下着姿の娘を見て慌てて出ようとする少年エルフ。
娘「まってまって ちょっと手伝ってよ」
少年エルフ「てつだう!?」ドキドキ
娘「後ろ留めてくれない? 届かなくて」
娘は踵を返してブラのホックを見せる。
少年エルフ「これ!?」
娘「うん……ちょっとキツクなっちゃってて」
少年エルフ「わ わかった」カアア
少年エルフは娘のブラのホックを留めた。
娘「ありがとパパ」
シャツを着る娘を見ないようにして少年エルフは尋ねる。
少年エルフ「いつも誰かに留めてもらってるの?」ドキドキ
娘「うーん? 最近サイズが合わなくなっちゃって……少し前に買ったばかりなのに」
少年エルフ「そ そう育ちざかりだしね 新しいの買わないとね」ドキドキ
娘「……そうね パパ今日は買い物行こうか 一緒に?」
少年エルフ「え? 一緒に?」
○ランジェリーショップ
少年エルフ「うぅ……(二日続けてこの店くるなんて)」カアア
店員にサイズを測ってもらった娘は商品を物色している。
娘「あのサイズだとこの辺りか うーん どっちがいいかなパ……エルフ」
少年エルフ「え! 僕に聞くの!? 娘の好きに決めなよ」カアアア
娘「迷ってるから聞いてるのよ どっちがいいかなこの細い方? それとも薄いやつ? ん?」
少年エルフ「こ こんなの着るの!?」アタフタ
娘「フフ ゴメンゴメンこんなの履かないって でもどうしてここまで一緒に来たの? 表で待ってるかとおもったのに」
少年エルフ「それは……その」
娘「誕生日ね プレゼントに何か買ってくれるつもりなんでしょう」
少年エルフ「べつにプレゼントはまだ早いよ 来週なんだし」ドキドキ
娘「あらそう? (パパ分かりやすい)」フフフ
少年エルフ「もう……それとは別に買ってあげるから今日は好きなの選んだら」
娘「本当? でもこれでいいのよ お店の再建だってあるんだし無駄遣い出来ないでしょ」
少年エルフ「そうだけど……」
娘「とりあえず選んでくるわ」
少年エルフ「うーん(娘の言う通りだし今回の買い物をプレゼントに…… ダメ! やっぱりちゃんとしたプレゼントを誕生日にあげたい けどなぁ……」
娘「コレとコレと……うわぁコレ素敵」
娘は展示されている白いフリルの付いたパンツを見つけた。
少年エルフ「アレがいいの?」
娘「え? ううん素敵だなって思っただけ アレは私には似合わないわ可愛すぎるし高いわ」
少年エルフ「高いっていったって下着でしょ えっと……えぇ!?」
少年エルフは値札を見て驚く。
娘「コレはウェディング用のアンダーよ 買わなくていいの……あとはコレでいいから」
少年エルフ「そう? そっか……うん」
○大通り
少年エルフは悩みながら歩く。
少年エルフ「……(娘は絶対アレを欲しがってた けど高すぎるなぁ でも娘が欲しがるのってめったにないし かといって無理に買っても娘は喜ばないなぁ……今の状況だと……」
娘「……(もう いらないって言ったのにアレのこと気にしてるわね 気分を返させて忘れさせないと)」
テクテク
娘「ねぇ そういえば男子の入院してるトコ ここから近いよねお見舞いにいこっか」
少年エルフ「うん? 男子くん? そうだね行こうか」
○王都中央教会付属病院 男子の個室
ガチャ
娘「具合はどう男子?」
少年エルフ「お見舞いにきたよー」
男子「娘 エルフさんも来てくれたんだ」
男子は体を曲げれないように固定されている。
少年エルフ「動けないと退屈でしょう? 大丈夫?」
男子「確かに退屈です 手は動かせるんですけど」
少年エルフ「そう 元気そうでよかった 今度本か何かもってくるよ」
男子「ありがとうございます」
娘「で 具合はどうなの? 手術は終わってるでしょ」
男子「ああ 終わった けどエルフさんが言った通りに肋骨もいくつか折れてたみたいで 治るのに時間がかかるって」
少年エルフ「内臓までやられなくてよかったよ 本当に運がよかったんだよ」
男子「心配させてスイマセン エルフさん」
娘「王女や友も心配してたけど 見舞いには来た?」
男子「いや まだ来てないけど……王女は無理だろう城を抜け出てこないと行けないし」
バーン
第七王女「それがどうしたのじゃ」
第七王女が現れた。
男子「王女!? どうやってここに?」
娘友「男子君げんきー?」
少年エルフ「友ちゃんも」
娘「友が案内したのね? いいの? 女騎士さんが困ってるわよ」
第七王女「心配ない 女騎士もそのうちに……」
ダダダダ
女騎士「ぜーぜー 王女~また勝手に~」
第七王女「ほら来たのじゃ」
○
女騎士「お見舞いなら私から兄王様に相談して許可をとれますのに勝手に抜け出て……」ガミガミ
第七王女「それが面倒なのじゃ まぁもう来てしまったのじゃから女騎士も見舞いをするのじゃ」
女騎士「まぁ そうですね」
男子「その…… なんかスミマセン」
???「誰だ? 病院でダッシュしてたのは」
女騎士「な゛!?」
男子「父上」
男があらわれた。
○
男「さて男子 具合はどうだ?」
男子「手術は終わりました 肋骨が折れてるのでしばらくかかります」
男「そうか……まぁ よくやったな 王女をかばったんだろう」
男子「はい」
男「そうかそうか……うん」
間
娘友「ぎこちないわねぇ」ボソボソ
娘「昔からこうよ」ボソボソ
少年エルフ「男は近衛兵やってた頃は家に居なかったから」ボソボソ
第七王女「わらわのせいかのう」シュン
女騎士「そんなことはありませんよ王女」
○
第七王女「そうじゃ忘れておった お見舞いを持ってきたのじゃ」
第七王女は怪しい瓶を取り出した。
娘友「何それ?」
第七王女「王宮魔術師の連中が隠してた秘薬じゃ コレを飲めば元気一発じゃ」
女騎士「いつの間にそんなものを」
ポン
第七王女がふたを開けるとえもしれぬ臭いが漂う。
少年エルフ「うわ臭い」
娘「ちょっとそれ大丈夫?」
第七王女「もちろんじゃ ホレ」
男「……(この臭いは)」
娘友「……(たまに親父が飲んでるわね)」
男子「はい(こ……これを飲むのか)」
グイ
男子「ぐ……ッホ ウググ」ゴクンゴクン
娘「うっわ」
少年エルフ「……(きつそう)」
女騎士「……(すまない男子君)」
男子「ケホケホ かっらいですよこれ」
第七王女「良薬は口に苦しじゃ 耐えるのじゃ」
男子「はい……すいません水を下さい……」
娘友「はいコレを……うわっと」
娘友は何かにつまづいてしまい水差しが宙を舞う。
第七王女「あ」
ゴン
男子「あが!?」
バシャアア
水差しが男子の頭に落下して辺りを水浸しにした。
○廊下
看護師「見舞いに来て怪我を増やさないでください もう!」
バタン
男「着替えとシーツの交換かしばらくかかるな」
娘友「ねぇ売店でもいこっか」
第七王女「ほうなんぞあるかの」
娘「私もいくわ パパ何かいる?」
少年エルフ「ううん いらないよ」
娘「はーい」
娘達は売店に向かった。
○
女騎士「しかしこのままだと男子君は次の旅は無理そうだな」
男「まぁ そうだな」
少年エルフ「ねぇ女騎士さん オンナの人ってどんなものプレゼントされると嬉しい?」
女騎士「プレゼントか? 私か?」
男「勘違いするなって 娘が来週誕生日なんだよ」
女騎士「勘違いなんてするか! まぁそうだな……心のこもった手作りの品とかかな」
男「ふっるいし重いよそれは……今時そんなの」
女騎士「うるさいなぁ! お前だって……」
ガチャ
看護師「お静かに! どこだと思ってるんですか」
バタン
女騎士「すいません……」
男「……あーあ しかられたー」
女騎士「貴様はぁ……」
少年エルフ「落ち着いて今言われたばかりだよ……もう男もそんな言い方しないの」
男「へーい」
女騎士「何度もすまない それにしても娘君は新春祭が誕生日か」
少年エルフ「うん 本当はわからないけどオババが決めたの おめでたい日にしようって」
男「そういえばそうだったな」
ガチャ
看護師「終わりましたよ くれぐれもお静かにお願いします」
男「娘達はまだか」
少年エルフ「先に入っていようよ」
○男子の個室
ガチャ
少年エルフ「男子君大丈夫?」
男子「はい……あのエルフさん お願いがあります」
少年エルフ「何?」
男子「あの娘の誕生日なんですが今回はこの有様なので行けません すいません」
少年エルフ「そんなの気にしなくてもいいよ」
男子「代わりにプレゼントを渡して貰えませんか そこの引き出しに引換券があります」
女騎士「……(だいぶ前から用意してたのか真面目な子だ)」
男「……(このマメさは誰に似たんだろうな)」
少年エルフ「これだね……ぬいぐるみかな? もうお店には届いてるの?」
男子「はい 店で受け取って当日に渡してください…… かさばるものでお手数ですが」
少年エルフ「これぐらいいいよ いつもありがとうね」
ガヤガヤ
男「娘たちが戻ってきたぞ」
男子「エルフさん 頼みますね」
少年エルフ「うん」
ガチャ
娘友「あ 終わってる」
第七王女「ただいまなのじゃ ここの売店はすごいのう色々あったのじゃ」
娘「はいパパお土産 男子も」
○数十分後
娘達はすっかりおしゃべりに夢中になっている。
男「よくもまぁ 長々と喋ることがあるもんだな」
少年エルフ「本当だね」
男子「あのエルフさん すいません」ボソボソ
少年エルフ「どうしたの?」
男子「その…… もよおして来たので看護師を それと娘達を……」
少年エルフ「ああ そうだね 丁度いいしそろそろ帰るよ」
娘「どうしたのパパ?」
少年エルフ「そろそろ戻ろうか 男子くんも疲れたようだし」
娘「あらそう」
娘友「そうね あんまり長居してもアレだし」
女騎士「王女も戻りますよ」
第七王女「仕方ないの 早く良くなるのじゃぞ」
男子「はい」
男「その……明日までは王都にいるし ちょいちょい来るから そのなんだ……必要な物があれば言えよ」
男子「はい 父上」
○廊下
少年エルフ「あ 娘は男と先にいってて看護師さんに挨拶しておくから」
男「わかった頼む」
娘友「エルフさんは気が利くわね」
娘「そりゃパパですもの」
男「なんだそれ」
○
少年エルフ「あ 看護師さん」
看護師「はい どうしました」
少年エルフ「あの男子くんが その……もよおして来たって」
看護師「わかりました直ぐ行きます」
タタタ バタン
看護師はシビンをもって部屋に入っていった。
少年エルフ「……(あの年頃でシビンは恥ずかしいだろうな)」
\はい下げますよ/ \すいません/
少年エルフ「……(さて戻ろ)」
\なに大きくしてるんですか/ \す すいません何か急に/
少年エルフ「……(えっと)」
\まったく入れずらいでしょうが/ \ちょっと!? そんな無理やり/
少年エルフ「……」
バリ―ン
\あ/ \ギャアアアア/
少年エルフは耳を塞いで足早に立ち去った。
○更に翌日
少年エルフ「……(ようし 今日こそ)」
娘「パパ どこ行くの?」
少年エルフ「え!? ちょっとそこまでね」
娘「私も行くわ」
少年エルフ「ダメ 娘は待ってて 勉強もあるでしょ」
娘「ふーん」
少年エルフ「……(諦めてくれるかな)」ドキドキ
娘「プレゼント……」ボソ
少年エルフ「!?」ドキッ
娘「そっか……」
少年エルフ「うー(バレてるし~)」カアア
娘「パパ…… 私は昨日買ってもらった分でいいのよ 本当に」
少年エルフ「そうだけど……その…… 男子くんに頼まれた分を取りにいくんだよ」
娘「あら……(ウソじゃ……ないわね) だったらいいけど」
少年エルフ「じゃあ行ってくるね 見に来ちゃダメだよ」
娘「はーい」
バタン
○大通り
テクテク
少年エルフ「……(確かにパンツは買ってあげたけど あれでいいのかな)」
テクテク
少年エルフ「……(でもやっぱりちゃんとプレゼントしたいなぁ でも一人であのお店は)」
テクテク
少年エルフ「……(とりあえず男子くんのプレゼントを受け取りにいかないと)」
○ファンシーショップ
店員「こちらですどうぞ」
少年エルフ「ありがとう」
少年エルフは大きな包みを受け取る。
店員「こちらで以上ですか?」
少年エルフ「えっと……(この際 何かプレゼントになるような物ないかな)」
少年エルフは棚にあるソレを見つけた。
少年エルフ「あ」
――パンツよ
――これ素敵ね
――手作りの品とか
少年エルフ「コレ! これ下さい」
○新春祭当日 王都の宿屋
娘の誕生日会が行われている。
娘友「おめでとう はいコレ」
娘友がプレゼントを渡す。
娘「ありがと こんなに盛大にされたわなんだか恥ずかしいわ」フフフ
娘友「ま 新春祭も兼ねてるからパーッとね」
第七王女「わらわからもおめでとうなのじゃ」
娘「ありがとう これはネコかしら?」
娘は渡された片手を上げた猫の置物を眺める。
第七王女「東洋のラッキーアイテムなのじゃ ご利益があるぞよ」
娘「そうなんだ でも当たり前のように来てるけど…… いいの? お城は?」
第七王女「どうせ三日はやってるんじゃ 今日ぐらい大丈夫じゃ」
娘「そういうものなの?」
女騎士「ダメですよ プレゼントを渡しにきただけでしょ 王女」
第七王女「もー 女騎士も今日ぐらいハメを外したらどうじゃ」
女騎士「この後の行事くらい真面目にやってくださいよ 王女」
第七王女「むぅ~」
娘「いいのよ 来てくれただけで嬉しいわ」
第七王女「そうか ならよかったのじゃ」にぱー
娘「ふふ」
女騎士「いつもすまないな…… あと私からも 官製品ですまないが」
女騎士は王宮騎士の剣を渡した。
娘「これが王宮の…… ありがとう 使いやすそうね」
男「やれやれ年頃のコにそんなの贈るなよ」
女騎士「男! 貴様また来てたのか」
男「まぁな 男子の事もあるからな ほら娘」
男は小奇麗な小箱を渡した。
娘「ありがと でもコレ……髪留め?」
男「あぁ 娘はロングにしても似合うと思うぞ」
娘「それは男の好みでしょ まったく 一応もらっておくわ」
男「あと男子からもあるんだ だよなエルフ」
少年エルフ「うん はいコレ男子くんから」
少年エルフは大きな包みを渡した。
娘「まったくあのバカは律儀なんだから それに何よコレ」
プレゼントはウサギのぬいぐるみだった。
娘「もう17だってのに ホント……センスないわねいつも」フフフ
少年エルフ「僕からも はい」
少年エルフもラッピングした紙袋を渡す。
娘「パパ……今年はいいって言ったのに ありがとう」
少年エルフ「えへへ でも気に入ってくれるかな 自分で作ったから……」
ガサガサ
娘「あら これは手作りの……マフラー? じゃないわね」
娘は少年エルフのプレゼントを広げた。
男「うお マジか」
女騎士「エルフ君が編んだのか!?」
娘友「あらー そうなっちゃった」
娘「これって……」
第七王女「ほう キレイな毛糸のパンツじゃのう」
娘は純白の毛糸のパンツを手に入れた。
少年エルフ「や やっぱりヘンだったかな」
娘「そんなこと無いわ ありがとうパパ」フフフ
少年エルフ「ホント!? よかった」ニコニコ
娘友「でもこれすごいわね フリルみたいなのもついてる…… それに結構エロイ」
少年エルフ「え エロイってそれはその お店のを真似てつくったから その」アタフタ
娘「わかってるわパパ 友もヘンな言い方しないの」
第七王女「いいのう わしもそういうの欲しいのう エルフわらわには無いのか?」
女騎士「王女 そんなワガママいってもエルフ君が困るだけで……」
少年エルフ「ああ それなら練習につくったのがあるけど欲しい? ちょっとサイズが小さくなっちゃったんだ」
娘「え!?」
娘友「ちょっと!」
少年エルフは一回り小さい毛糸のパンツを渡すと第七王女は服の上からそれを履いてみせた。
スパーン
第七王女「うむ ぴったりじゃ ありがとうエルフ 娘もこれでお揃いじゃな」ニコニコ
娘「……」
男「うわちゃー」
女騎士「その…… なんだ…… 本当にすまない」
少年エルフ「ん? そうだ余った糸でみんなにもマフラー作ったからよかったら……」
娘「もうっ パパのバカっ!!」
少年エルフ「ええー!?」
男「わかってないなエルフは……」
娘友「ちゃんちゃん」
○後日
少年エルフ「うぅ……やっぱりパンツがいけなかったかな」ぐすぐす
男「……いやお前 それ以前の問題だぞ」
○
娘友「あーらら でもそれどうするの履くの?」
娘「当たり前じゃない パパがくれたのよ」
娘友「でも毛パンになるなんてアタシも想像してなかったわ~」
娘「あらだったら何になる予定だったの?」
娘友「そりゃあエロエロのウッヒッヒなパンツにって…… ちょっとまって 何その手は」
娘「そりゃあ 誰かがパパに何か言わないとこうはならなでしょう? でしょ友?」
娘友「えーと そりゃ相談には乗ったけど決めたのはエルフさんだし」
娘「召使さんか誰かに尾行させてたでしょ」
娘友「えっとその……はい 痛くしないでね」
ガッ
娘のアイアンクローが娘友の頭を締め上げる。
\ギャアアアア/
○
※更新終了 今回はここまで
最近は女性の冷え対策に見直されている毛糸のパンツですが、履いてるのを見られるのは死ぬほど恥ずかしいらしいので見てもみないフリするのがマナーだそうです。
別のSS書くので次回更新は再来週です
乙
#11 甦るキンパラ伝説 ~砂漠の遊球~
○砂漠の遺跡
砂嵐が吹きすさぶ砂漠の遺跡で調査員達が発掘を行っている。
ザッザッ ガチン!
調査員A「むっ…… これは? まさかこれが」
ピロリ―ン ピロピロピロ
調査員A「こいつ動くぞ!?」
謎の音と光の明滅が放たれる。
調査員B「なんの音ですかコレ!? ヤバいんじゃ……」
ジャラララ……
\うわーオタスケー/
調査員Bは逃げ出した。
調査員A「まったくあいつは それよりもこれが都を滅ぼした幻の」
ジャラララ ジャラララ
\なんだ!? うわああああ/
○王都新聞
『第七王女一行 温泉地で火山見物』 魔王調査隊こと第七王女とその愉快な仲間たちは温泉で有名な谷の国を遊行してきたもよう。 ちょうど数百年に一度の大噴火を見れたためか第七王女は実に満足した様子で先日凱旋された。
○王城・第七王女の部屋
バサッ
女騎士「また小さくなってますね」
第七王女「なんじゃとお! わらわ達があの火山爆発の危機を救ったのいうのになんじゃこの扱いわ!?」
第七王女は悔しさのあまり地団駄を踏む。
娘友「かなり詳細に書いたんだけどねー 信じてもらえなかったかな? 溶岩のバケモノなんて」
娘「そうね そんなの聞いたことないしにわかには信じてもらえないでしょうね」
第七王女「ぬうう……ぬ? なんじゃこの記事は?」
女騎士「こっちですか? えっと『幻の都の調査隊が行方不明。 一人戻ってきた調査員によると行方不明になる直前に謎の石版を発掘していたとのこと。 ヒドイ興奮状態のため真偽のほどは不明。 この調査隊には高名な学者が参加しており……』
第七王女「それじゃ!」
女騎士「え?」
第七王女「幻の都の謎を解くのじゃ」
娘「でもそれ魔王と関係あるの?」
第七王女「ある!」
少年エルフ「なんでわかるの?」
第七王女「カンじゃ!」
女騎士「あぁ もう またそういう思いつきで」
第七王女「しかし現に行方不明者がおるではないか おそらく魔物の仕業じゃ」
娘友「まー ないとは言い切れなわね」
第七王女「じゃろう? それに幻の都ならわらわも文献を読んだことはある 300年程まえに砂漠で滅びたという都じゃ……300年前なら魔王のいた時代じゃなんらかの関係があるのやもしれぬ」
女騎士「さすがにそれはこじつけでは…… 第一にどうやって砂漠までいくつもりですか?」
第七王女「それは……」
○王城・酒倉 ホワイトドラゴンの部屋
第七王女「と いうわけで調査員が消息をたった砂漠の遺跡に行きたいのじゃが乗せてっておくれ」
白竜「いーやーよ! 砂漠なんて紫外線だらけじゃない 絶対行かない」
娘「いうと思った」
少年エルフ「普通に行けないの?」
娘友「普通にいくとなったら大森林に山脈越えでしょ? 迂回してたら1ヵ月はかかるわね」
女騎士「そんな長期間の調査は兄王でも流石に許して貰えないな」
第七王女「お願いじゃー山を越えるところまででもいいからー」
第七王女がホワイトドラゴンの顔面にしがみついて頼み込む。
白竜「だーめ いくら王女の頼みでも砂漠は無理よ 最近は乾燥にも気を使ってるの 行くメリットが私にはないわ」
\たーのーむー/ \だーめーよー/
娘「無理そうね プランの練り直しが必要なんじゃない?」
娘友「フッ 仕方ないわね アタシにいい考えがあるわ」
少年エルフ「どうするの?」
娘友「乾燥にお悩みのようね それなら最近売り出したコレ知ってる?」
娘友は小さなカップを取り出す。
白竜「あら それは?」
娘友「最新の美容泥パックよ 使ってみる?」
白竜「本当? ちょっとつけてよ」
娘友「肌ケアと美白が出来て保湿成分もたっぷり お肌に必要な栄養も入ってるわ」ぬりぬり
娘友は説明しながら白竜の指先に泥パックを塗り広げる。
白竜「すごいじゃない これもケアメニューに入れなきゃ」
娘友「でもねーこれは原料がとっ……ても少なくて大量生産できないのよ」
白竜「そんな!?」
娘友「そうよねー でもその原料の泥っていうのは…… オアシスの泥なのよ」
白竜「オアシス…… 砂漠の?」
娘友「そうよ そろそろいいかな」ぺリぺリっ
娘友は泥パックをはがした。
白竜「……」
ホワイトドラゴンは指先で肌の感触を確かめる。
つやつやしっとり
白竜「……(いい)」
娘友「そこまでいったら泥パックし放題なんだけど まぁ白竜は砂漠とか行かないからムリよね~」
○夜間・大森林上空
びゅごおおおお
白竜「ま 夜明けまでに着けば問題はないわよね~」
一行を乗せた馬車を掴んだホワイトドラゴンが飛んでいる。 背中にも数名が乗っている。
○白竜の背中
第七王女「しかしこう暗くては景色が見えんのう」
男「残念だな」
女騎士「見えん方がいいわい」ガタガタ
男「お前 高いところダメなクセになんでここに居るんだ?」
女騎士「それは私は王女の近衛兵だからって どうして今回はお前が一緒なんだ!?」
男「まぁ 男子は養生中だしなその代わりだ こないだ呼ばれたのはそのこともあったんだぞ」
第七王女「そうじゃったか しかし男といっしょは久しぶりじゃのう」
男「そうだな 昔はよくこうして馬に乗せてたな…… それが今じゃドラゴンに乗ってるなんてな はっはっは」
第七王女「はっはっは そうじゃろうそうじゃろう」
女騎士「ぬぬぬ」
びゅおおお
グラッ
第七王女「ひゃっほー」
女騎士「きゃああああああああああ」
グギギギ
女騎士は男の首に抱き付くが強すぎて男の首が絞まる。
男「ちょっ お前 首が」
白竜「ごっめーん ちょっとゆれたわ」
第七王女「かまわぬ それよりただ飛ぶのはツマランのじゃ 一回転とかできんのか?」
白竜「出来るわよ~ 挑戦する? 5連続とかバレルロールも出来るわよ」
女騎士「待て待て待て! やめろムリだお願いだからー!!」
ギュウウウ
男「」ぱくぱく
○白竜が掴んでいる馬車の中
娘「上が騒がしいわねー」
少年エルフ「王女がまたワガママ言ったみたいだよ」
娘友「むしろ女騎士さんの叫びが聞こえたんだけど」
娘「もうすぐ夜明けね……」
地平線から太陽が昇ってくる。
少年エルフ「うわっ すごいキレイ」
娘友「ホント すごいわー」
白竜「もう日の出!? ちょっと飛ばすわよー」
少年エルフ「え ちょっと」
娘「つかまって!」
娘友「うほおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
白竜は急激に速度を上げて降下しはじめた。
\きゃあああああああああああああああああああああああああああ/
○オアシス
ざぶーん
ホワイトドラゴンはオアシスの泉に飛び込む。
白竜「じゃ この中にしばらくいるから 帰る時は言ってね」
白竜はオアシスの泉に潜っていった。
第七王女「最後はオモシロかったのう」
娘「そう言ってるのは王女くらいよ」
娘友「娘もしっかりしてるじゃない…… まったく」
少年エルフ「帰りは安全第一にしようよ」ガクガク
女騎士「まったくだ しぬかと思った」ガクガク
男「それはこっちのセリフだ 絞め殺されるところだったぞ どこぞのゴリラに」
女騎士「貴様ァッ! 誰がゴリラだ!! くっ 腰が……ぬけた」ガクガクブルブル
男「……すまん 生まれたてのゴリラだったか ぶふっ」
女騎士「このっ!」
ブオン!
女騎士は手近にあった樽を投げつけた。
男「ぐげっ」
ドボーン
女騎士が投げつけた樽は油断した男を泉にぶち込んだ。
男「ぶわあああああ がばっ お前俺が ごぼごぼ 泳げな ゲボゲボ 知って ブクブク」
女騎士「しばらくそうしていろ」
第七王女「まぁ ぬけた腰が戻るまでじゃな」
女騎士「王女!」カアア
第七王女「かっかっか」
少年エルフ「もう 男はいつまでたっても子供なんだから」
「……」
妙な沈黙が流れる。
少年エルフ「なに? ヘンなこといった?」
第七王女「なんでもないのじゃ 気にするでない」
少年エルフ「なに? なんなの?」
娘「それでここからどうするの? 馬車で来たけど馬はいないわよ?」
娘友「馬車はここに置いておくわ ここからはキャラバンよ」
少年エルフ「キャラバン?」
娘友「砂漠の隊商よ 紹介状があるから同行させてもらえるはずよ」
第七王女「こんな異国までに知り合いがいるのか? 友は本当に顔が広いのう」
娘友「ま 親父のツテだけどね 『立ってる物は親でも使え』っていうのよ」
○砂漠の遺跡
第七王女「あっついし 何もないのう」
娘友「ほんとー 砂ばっかりだし どこに何があるのよ」
男「うーむ 調査員って単純に遭難しただけなんじゃないか?」
女騎士「……ありうるな」
娘「パパは何か感じる?」
少年エルフ「うん……なんだろ? このへんかな?」
少年エルフはそう言いつつ辺りの砂を掘る。
サッサッ
第七王女「何かあるのか?」
少年エルフ「なんていうのか…… 何かあったような感じはあるっていうのか 何だろコレ?」
少年エルフは砂の中から小さな銀玉を見つけた。
娘友「なにこれ? 真珠じゃなさそうね」
少年エルフ「ただの金属の玉みたいなんだけど 微かに魔力を感じるよ」
娘「……本当ね 何かの部品かしら?」
女騎士「これだけでは何があったのかはわからないな」
男「仕方ないな 暗くなって来たしそろそろ宿営の準備をするか」
少年エルフ「どうして? あっちに町があるでしょ?」
男「おいおいエルフ こんな砂漠の真ん中に町なんてあるわけないだろ」
少年エルフ「だって音がするし ほら明かりも」
少年エルフが指さす方には夕闇の向こうにいくつもの明かりが見えた。
第七王女「なんじゃ? どういうことじゃ」
娘友「うーん もしかしたら……」
○砂漠の市場
娘「ここは」
娘友「砂漠の市場ねバザールでござーる」
少年エルフ「すごーい店がいっぱいある」
第七王女「おおお 色々珍しいものもあるのう なんじゃこれは」
女騎士「ちょっと! 勝手にウロウロしないでくださいよ」
男「こんな所で市場があるとはラッキーだなしばらくはここに滞在できるぞ」
娘友「そうね アタシが手続きしてくるわ」
女騎士「私も行こう 王女を頼むぞ」
男「まかせろ」
娘友と女騎士は市場の関係者を探しにいった。
少年エルフ「人もいっぱいだね ここなら何か情報があるかも」
娘「そうね でもパパ気をつけてよ ここは抜け目ない商売人ばかりなんだからエルフ族ってばれないようにしてね」
少年エルフ「もう わかってるよ」
男「そうだな バレたら耳をちょん切られるぞ エルフ族の耳は高値で売れるらしいじゃないか」
少年エルフ「ちょっとコワイ事言わないでよ」プルプル
男「エルフ族は貴重だからな耳どころが人さらいにさらわれてもの好きに売ら」
娘「男いい加減にして ”帯電”」
バリバリバリ
男「はばぁ!?」
娘の電撃魔法で男は感電した。
娘「パパを怖がらせないでよ」
男「ったー スマンスマン でも実際そんなことがあってもおかしくないから気をつけろよ」
少年エルフ「わかった」ぎゅ
少年エルフは帽子を深くかぶり直して耳を隠す。
第七王女「のう あの大きなテントはなんじゃ?」
男「あれは? サーカスか何かかな?」
少年エルフ「サーカス! すごい見たい」
第七王女「わらわもじゃ!」
娘友「残念だけどあれはサーカスがじゃないわ」
娘友たちが手続きを終えて戻ってきた。
少年エルフ「え~」
娘「じゃあ何なの?」
女騎士「あれは移動カジノだそうだ」
第七王女「カジノ!!」
男「本当か!!」
○
※更新終了 今回はここまで
今回はカジノ回になります いつも通りベタに参ります。
次回の更新は来週土曜です
ああ、誰かが丸坊主の予感
#12 旧知との遭遇
○カジノ
第七王女「カジノじゃー」
女騎士「走らないでください」
少年エルフ「ここがカジノ?」
娘「その割には……」
娘友「全然人がいないわね」
店内は客もまばらで活気がない。
男「なぁ 兄ちゃんどうなってるんだ?」
店員「今はあちらのコーナーが流行りです こっちはさっぱりでさ」
男「みんなあっちに行ってるのか?」
店員「はい 古代遺跡から発掘されたという伝説のゲームだそうで」
少年エルフ「発掘されたゲーム?」
男「まさか そういう売り文句なんだろう」
店員「まぁ 本当かどうかわかりませんが今の技術では作れないマシンだそうです 古代人かドワーフが作ったとかなんとか」
娘友「ホントかしら?」
娘「見ればわかるわ」
男「行ってみるか」
○
ジャラララ ピーン ピロピロピロピロ
男「はー」
少年エルフ「っー ナニコレ凄いうるさい」
少年エルフは耳を抑えて顔をしかめている。
娘友「これがスロット? ピンボールとスロットが合体してるじゃない!? なんて斬新な」
第七王女「これが発掘されたゲームなんじゃな」
男「王女もきたのか」
第七王女「人がおらんとツマランのじゃ」
男「だよな」
女騎士「しかしこれがカジノか?」
ピロピロピロピロ ジャジャーン オオアタリ― ヤッタネ
\よっしゃあああ/ \43番台のお客様スタートです/ \あーちくしょう/
ずらりと並んだ古代マシンと人の列の中は大音量の機械音と歓声や罵倒を絶えず流し続けている。
娘「こんな所いられないわ 出ましょうよ」
娘は少年エルフの耳を抑えながら言う。
???「おやおや 慣れれば大丈夫ですし面白いのは補償しますよ」
女騎士「あなたは?」
支配人「わたしはこの古代スロットの支配人です」
○
支配人「この古代スロットはパチンコスロットというマシンでして私が遺跡から掘り出しました。 言葉どおりの掘り出し物でしたよ ほっほっほ」
女騎士「掘り出した? 貴方が?」
支配人「ええ 私は以前学者でしてね これを見つけたときにこの仕事に転職しました」
女騎士「では行方不明の発掘員というのは貴方では?」
支配人「おや? そんなことになってますか? 後で連絡をしないといけませんかね」
男「なぜ急にカジノの仕事を?」
支配人「そりゃあこのマシンを有効利用するためですよ」
男「このゲームはどうやって遊ぶんだ?」
支配人「お教えしますよ こちらにゴールドを入れると玉を借りられますのでこれを弾いて途中のゲートに入れて下さい」
第七王女「こうじゃな」ピロリ―ン
女騎士「ちょっと王女」
第七王女「少しくらいいいじゃろ? のう男」
男「仕方ないな 大目にみてやれよ」
女騎士「少しだけですよ」
第七王女はパチスロをプレイしはじめた。
ピーン ジャラララ ポポーン
第七王女「おお スロットがまわったのじゃ」
支配人「はい 真ん中のゲートに玉が入るとスロットの抽選が始まりますあとは普通のスロットと大体同じですが奇数になると確変といって連続で当たりがでますよ」
娘友「そんなんじゃPB率高くならないの?」
支配人「それはどうでしょうね 台によって確立は違いますし釘…… この盤面の突起ですがこれの角度もそれぞれ違いますので」
娘「ふーん でもこれって楽しいの?」
支配人「そりゃあ当たった時の爽快感が魅力ですよ ぜひ体験してみてください」
第七王女「よーし あててやるのじゃ…… ありゃ玉が無くなったのじゃ」
女騎士「はい おしまいですよ」
第七王女「女騎士― 当てるまでじゃー」
女騎士「そんないつまでかかるかわかりません ダメです」
第七王女「男ー」
男「んー じゃあこれを使い切ったら終わりにするんだぞ」
男は第七王女にいくらか渡した。
女騎士「こら 貴様がそうやって王女を甘やかすからわがままになったんじゃないか?」
男「だからといって何もかもダメにしていいってもんなじゃないだろう 加減ってものが……」
\アーダコーダ/
娘友「あらーなんだが夫婦ケンカみたいねぇ」
女騎士「ふ!? ふぅうふ!!」カアアア
男「おいおい 勘弁してくれどうしてこんな前世がゴリラみたいなや」
女騎士「貴様ぁ!!」
ドゴォン
男「ウボァッ!」
女騎士の右ストレートが男の顔面をとらえた。
女騎士「不愉快だ! しばらく王女を任せたぞ」スタスタスタ
女騎士は歩いていってしまった。
娘友「あちゃー 男さん大丈夫?」
男「あたた 効いたなぁ エルフ回復魔法をって エルフはどこいった?」
娘友「娘とどっかいったわ」
男「そうか 仕方ない耐えるか」
\アッタリ― ヤッタァ/
第七王女「おおおおおおおおお やったのじゃ 大当りじゃ!」
ジャラジャラ
娘友「当たったの? スゴイじゃない!」
○別の列 娘と少年エルフ
娘「エルフ大丈夫?」
少年エルフ「うん だいぶ慣れてきたよ」
娘「この辺りは空いてるわね」
娘と少年エルフは空いている席に座る。
少年エルフ「ふーんこれが古代スロットかぁ」
少年エルフはパチスロをしげしげと眺める。
娘「これが発掘品なら 今回はただの観光になりそうね」
少年エルフ「うーん でもこれ機械と魔力の半々で動いてるね こんな複雑な構成初めてみるよ」
娘「そうなんだ ヘンな感じはしないの?」
少年エルフ「……あるようなないような ヘンな音はしてるけど」
娘「音? イヤな感じはしない?」
少年エルフ「……ないと思う」
娘「じゃあ本当にただのゲームなのかしら」
少年エルフ「そういえば拾った玉ってここの玉だよねぇ」
少年エルフは拾った銀玉を取り出した。
娘「やってみる? ここに入れるみたいよ」
少年エルフ「こうかな えい」ピーン
ピロン ピロピロピロ
少年エルフ「あ はいった」
娘「そうね」
ピコーン ジャジャジャジャーン
\オオアタリー ヤッタネ/
少年エルフ「え?」
娘「あら当たったみたいね」
ジャラジャラジャラ
少年エルフ「うわわわ」
店員「おめでとうございます 95番台のお客様スタートです」
少年エルフ「え?え?」
オッサン「すげーな ボーズ」
オバチャン「やるじゃない」
ガヤガヤガヤ
周りに人垣ができる。
娘「ちょっと 何よ?」
少年エルフ「え?え? あの……どうぞ」
少年エルフは逃げ出した。
オッサン「いいのか!? おおおお」
オバチャン「ちょっとアタシにかわったのよおおお」
ドヤドヤ
当たり台の取り合いがはじまった。
少年エルフ「うわー悪い事したかな?」
娘「いいんじゃない そろそろ王女たちの所へ戻りましょ」
少年エルフ「そうだね」
○第七王女たちが遊んでいる列
第七王女「なんで出ないのじゃー」ドンドン
\台をたたかないでください/
男「ほら 機械にも怒られてるぞやめるぞ王女」
ピロピロピロ……ピロン
娘友「ああ~~外れた~ くっそー」
娘「友までやってるの?」
娘と少年エルフが戻ってきた。
娘友「娘 いいところにちょっと貸」娘「ダメ」
娘友「ここまでやって負けらんないのよ~」
少年エルフ「もう二人とも止めておいたら?」
男「あれ 女騎士は一緒じゃないのか?」
娘「あら 居ないの?」
男「そうだが…… エルフ少しいいか?」
少年エルフ「いいよ ちゃんと謝っておいで」
男「うーむ できたらな」
○数分前 別の列
女騎士「まったく……男はいつもいつも」ブツブツ
女騎士は王女たちとは別の台の通路を歩いている。
女騎士「王女も第二王女や第三王子と居た時は素直だったのにアイツのせいで……」ブツブツ
ピーンピロピロピロン
第三王子「……あぁ またダメか」
女騎士「せめて旅に出た第三王子が戻って下されば……って 第三王子!?!?」
第三王子「……あれ女騎士かい? どうしたのこんな所で」
女騎士「どうしたもなにも 第三王子こそ何してるんですかこんな所で!?」
女騎士は放浪の第三王子を見つけた。
第三王子「うーんなんていうか なんだろうねぇ」
女騎士「でも見つかってよかった王国に帰りましょう 第七王女と一緒に」
第三王子「ナナちゃんも来てるのかい? そうかー 困ったなぁ」
男「どうした知り合いか?」
男がやってきた。
男「第三王子!?」
第三王子「男もきてたんだ」
男「久しぶりじゃないか 王国には戻らないのか?」
第三王子「うーん そろそろ顔をだしたいとは思うんだけどねぇ」
男「どうした? 何か問題か?」
第三王子「そうだね~ お金貸してくれない?」
○
女騎士「借金!?」
男「500万もか?」
第三王子「うーんそういうことになってるみたい」
女騎士「そんな金額いったいどうやって?」
男「酒を飲みながらカジノで遊んだんじゃないか?」
第三王子「なんで分かったの? 男はすごいね」
男「マジか…… 困ったな」
第三王子「でしょう」
女騎士「それなら王国に連絡して……」
男「やめろ 兄王が本気で第三と縁をきっちまうぞ」
女騎士「う……」
第三王子「だよねぇ…… それでここで働いてるんだけど金額が金額だからね」
男「それでスロットで当てて返そうってか」
第三王子「そう! だけどそれが上手くいかないんだコレが」
男「だろうな……しかしそんな大金本当にどうしたら」
女騎士「……わかりました 私にお任せください」
第三王子「ホント? 助けてくれるの」
男「おい どうするつもりだ?」
○
※更新終了今回はここまで。
つい数日前に元ネタにしたギンパラが復活してると知りました。 時代回ってるぅ。
次回更新は来週土曜です、できるといいな。
乙
#13 貯金よさらば
○翌日・娘達のテント
女騎士「済まない…… 支度金を使いこんでしまった」
女騎士が真っ青になって報告をした。
娘友「ええ! 女騎士さんも!?」
男「『も』ってお前達まさか……」
第七王女「わらわもじゃ」
男「オイオイオイ じゃあ今いくらあるんだ」
娘友「ハーイ アタシもスッカンピンですー」
娘「明るくいわないでよ 私とパパは使ってないわ」
男「俺もいくらかあるが…… 女騎士の支度金が大半だったよな 厳しいよな」
女騎士「うぅ すまない……」
少年エルフ「終わったことだし仕方ないよ それより女騎士さん鎧はどうしたの?」
女騎士「はう」
第七王女「そういえば剣もないのう どうしたのじゃ?」
女騎士「ぎゃふ」
男「……質に入れたんだ 表ざたになるとマズイから他に言うなよ」
娘「現役の近衛兵がカジノで使い込みの上に装備を担保にしていたなんて……」
娘友「バレたら大問題ね」
女騎士「」ぱくぱく
男「おいおいそんなにいじめるな 無駄に真面目だからな 大丈夫か女騎士?」
女騎士「ぉ……ぉぅ」
娘「で どうして女騎士さんがそこまで負けこんだの? 訳があるでしょ」
男「……言わないでおこうとも思ったが仕方ない おーい王子」
第三王子「やっぱ言わなきゃだめか~」
第三王子があらわれた。
第七王女「三兄ぃ! 三兄ぃなのじゃ!」
ダダダ ガシッ!
第七王女は第三王子に飛びつく。
第三王子「あっはっは 七ちゃん久しぶり~大きくなったねぇ」
少年エルフ「王子って王女のお兄さんなの?」
娘友「第三王子ってあの第三王子!?」
男「そうだな 各国を遊学中の第三王子だ」
第三王子「はっはっは 遊学だなんて 兄貴とケンカしてそのまま出てきただけだよ」
少年エルフ「そうなの?」
男「とにかく王家で一番フリーダムな方だ」
第三王子「そんなに褒めないでよ 照れる」
女騎士「褒めてません」
○
男と第三王子はいきさつを説明した。
男「というわけで王子には借金がある」
第三王子「それを返し終わらないと市場から離れられないんだよね~」
第七王女「よーし みんな三兄ぃを救い出すのじゃ」
娘「とはいっても」
娘友「お金絡みだし いつものように魔法でドーンとはいかないわよねぇ」
男「だよなぁ」
少年エルフ「具体的にどうするの? お城にバレずに500万なんて大金どうやって」
「「「うーん」」」
娘友「お困りのようね皆さん」
娘「友?」
男「何か方法があるのか?」
娘友「こういう格言を知ってる『目には目を歯には歯を』」
少年エルフ「えっと?」
娘友「やられたら同じモノでやりかえすってことよ」ボソ
少年エルフ「そうなんだ」
女騎士「しかし今回の事ではそれは……」
娘友「そうよギャンブルにはギャンブルで……あのパチスロを完全攻略してやろうじゃない!」
第七王女「おお! そうじゃ攻略してやるのじゃ 負けっぱなしでは気がスマンのじゃ!」
女騎士「そうか! よーしやるぞ!! 剣を取り返すぞ!」
「「おおー」」
第三王子「うわー 頼もしなぁ」
少年エルフ「……これでいいの?」
娘「攻略って簡単にいうけど そんなの出来るものなの?」
男「……ワカラン」
○三日後
娘友「今日は5万勝ったわよー」
第七王女「やったのじゃー」
男「少し勝率があがったな」
女騎士「友君が常連から打ち方を教わったらしい」
少年エルフ「へー やり方があるんだ」
――貯金15万G
○一週間後
男「9万近く負けたぁ!?」
女騎士「うう 面目ない……」
少年エルフ「えー 攻略法を見つけたんじゃなかったの?」
娘友「……ただ効率よく打つだけじゃダメね 台の見極めが出来ないと」
第七王女「まだまだ修練が必要ということじゃな」
男「しかしこの分だと稼がないとやっていけないぞ」
少年エルフ「うーん 明日からどこかのお店で働こうか?」
第三王子「だったらウチの店なら紹介できるよ 僕も働いてるし」
娘「仕方ないわね 私とパパで働くわ」
男「俺も何か出来る仕事を探すわ」
第七王女「ぬう スマンのう……必ずや攻略法を見つけるからの」
――貯金2万G
○10日後
女騎士「やったー大勝利よー」
第七王女「安売りしてるから買い物にいこうぞ」
第三王子「行こう行こう!」
男「コラコラコラ 勝ってるからって無駄使いするんじゃない」
女騎士「いいじゃないかたまには息抜きも必要だ」
男「どうした女騎士まで!? 最近おかしくないか?」
女騎士「フフフ そうか? まぁ私も新境地に達したということだ」
男「どんな境地だよ まったくまだまだ400万近く必要なんだぞ」
第三王子「いいじゃん 明日また勝てばいいんだから 順調順調」
娘友「そうよ だから今日は買い物よー」
第七王女「おおー」
女騎士たちは買い物へ出かけていった。
少年エルフ「あーあ いいの?」
男「一体どうしたんだアイツら」
娘「王女や友はとにかく 女騎士さんは異常ね…… やっぱり何かあるわね」
少年エルフ「そうだとしたらどうするの?」
男「しかしなぁ 貯蓄は順調だし…… まだ様子をみるか」
娘「男がそういうなら」
――貯金89万G
○2週間後
女騎士「うああーよこせー! 今日こそ勝つんだー!」
男「バカ野郎 これは晩飯代だろうが」
女騎士が男にすがりついている。
娘友「うわーヒドイことになったわね」
第七王女「負けこんだからのう」
第三王子「いやー 困ったねぇ」
娘「アナタ達ねぇ…… まったく」
少年エルフ「それにしても女騎士さんがやっぱりヘンだよね」
娘友「依存? マジメな人ほどなるんだっけ?」
男「とにかく落ち着け! 娘なんとかしてくれー」
娘「仕方ない…… ”睡眠”」
ポワン
女騎士「次は勝て……りゅ……」スピースピー
女騎士は眠ってしまった。
男「まったく」
――貯金160G
○
男「すまん助かった」
女騎士を寝床に寝かした男が戻ってきた。
少年エルフ「あの真面目な女騎士さんが……ギャンブルってコワイね」
娘「それでどうするの? このまま続けるの?」
男「うーむ 考え直した方がいいな」
第七王女「考え直すとしてもどうやってじゃ? 兄上に頼るのか?」
第三王子「え~」
娘友「それにもうすぐ市場の移動が始まるわよ カジノもそれに合わせて最後のイベントやるらしいし」
少年エルフ「イベントって?」
娘友「パチスロ王決定戦よ」
少年エルフ「パチスロ王?」
第三王子「制限時間内で出玉勝負をするんだよ」
第七王女「優勝賞金として100万Gあるのじゃ」
男「それでも500万には足らないぞ」
第七王女「だったら400万分打ち勝てばいいんじゃ」
男「そんな都合よく勝てる見込みがないのはこないだ負けたのでわかってるだろ」
第七王女「むうう」
男「第一に参加するにも元手がないじゃないかどうするんだ」
娘友「じゃあさ この無駄に買ったアイテムの数々を売っぱらいましょ」
娘「やっと片付ける気になったのねソレ」
娘友「よく考えたらいらないし てへぺろ」
男「元手はそれでいいとして…… バックアップが必要だな」
少年エルフ「負けたら王子さんも連れてかれちゃうしね」
○
娘「ねぇパパ 私たちも今から行ってみない?」
少年エルフ「僕が?」
男「娘も挑戦するのか?」
娘「いえ…… それより確認したいことがあるの パパとね」
男「そうかお前達なら大丈夫だろうし…… エルフも何か異変に気付くかも知れないな 頼んだ」
娘友「じゃあアタシは売ってくるついでに何か情報ないか調べるわ」
男「おう」
第三王子「僕らはどうしよっか」
第七王女「三兄ぃわらわ達も調べに行かぬか わらわなりの方法で」
第三王子「そうだねぇ 怪しいかなーと思ってたところもあるし 行ってみようか」
男「王子何するつもりだ? 無茶はしないよな」
第三王子「しないよ~ 七ちゃんとちょ~っと見て回ってくるだけだよ」
男「……わかった じゃあ俺は」
少年エルフ「女騎士さんを見ててね」
男「……そうかそうなるか」
娘「そうよ じゃ準備が出来たら行きましょ」
○
※更新終了 今回はここまで
次回更新はちょっと忙しいのでGW中のどこかで
そして無一文へ
#14 そして無一文へ
○夜・カジノ
ジャラジャラジャラ
少年エルフ「こんな時間なのに人が結構いるね……」
\ううー あうー/
店内の客は生気なく銀玉を弾いている。
娘「女騎士も最近はこんな感じよね」
少年エルフ「そうなの?」
娘「少し前に迎えに行った時にこんな感じでやってたわ」
少年エルフ「そうなんだ……なんていうか楽しいのかな あれで?」
娘「そうは見えないわね」
ピロピロピロピロ―ン
ジャラジャラジャラ
客「ぐふっぐふふふ」
少年エルフ達は当たり台の客の前まできた
娘「ここは当たってるわね」
少年エルフ「……なんだか怖いんだけど」
娘「ねぇエルフ……ボソボソ」
少年エルフ「え? まぁやって見るけど……」
少年エルフは当たり台に近づく。
娘友「何かあった? 娘」
娘友がやってきた。
娘「友 もう売って来たの? 早かったわね」
娘友「まぁ若干買いたたかれたけどね…… それで情報を仕入れてきたけどやっぱりここ変だわ」ボソボソ
娘「というと?」
娘友「ここ数日ほとんどの客が負けっぱなしなのよ それなのに客足は増えてるの」
娘「それはギャンブル依存なんじゃないの?」
娘友「それともう一つはアレよ」
娘友が指さすホールの中央にはクリスタル制の透明な箱が設置され、警備兵が四方を固めている。 箱の中には金貨が大量に積みあがっているのが見えた。
娘「なにあれ 金庫?」
娘友「このパチスロの売り上げは全部あそこに転送される仕組みだって 数日前からあんな風に設置されてるとか」
娘「趣味わるいわね」
娘友「まぁ派手だし客の射幸心を煽ってるらしいわ」
娘「それにしてもスゴイ量ね」
娘友「それよ なんでも他のカジノがどんどん店を畳んでるんだって」
娘「他のカジノが?」
娘友「ここに客を全部取られてるから……とも考えられるけど 他のカジノの従業員までこのパチスロをプレイしにくるんだって」
娘「……異常なまでの人気なのね」
娘友「人気だけならいいけど 破産する人も出てきたし市場のほとんどの人が働かずにここに通ってるって」
娘「まってまって それじゃあこのカジノに市場の人やお金が集まっての?」
娘友「そ あの金庫にね」
娘「それであんなに……」
少年エルフ「友ちゃんも来たの?」
少年エルフが戻ってきた。
娘友「ええ ところで娘もエルフさんもやらないの?」
少年エルフ「うーん どうしよ」
娘「友やるの?」
娘友「まぁちょっとだけね」
娘「ちょっとねぇ……(友も若干依存なのかしら)」
娘友「じゃあこの台で……」
娘「まって友」
娘友「ん? 何?」
娘「エルフ どう?」ボソボソ
少年エルフ「んー あれかな」ボソボソ
娘友「なになに?」
娘「ねえ友」
○
ピロピロピロ―ン
娘友「よっしゃー確変きたああああ」
娘「まったく……元気ねぇ」
少年エルフ「そろそろ戻らないと」
支配人「おやおや アナタ達はやらないのですか?」
少年エルフ「ヒャ!?」ビクッ
支配人があらわれた。
娘「あら支配人さん 私達はオババ……保護者から賭け事はするなって厳しく言われていたので」
支配人「そうですか ですがたまにはいいものですよ」
娘「でもそろそろ閉店なんじゃないですか?」
支配人「そうなんです…… なのでお客さま 確変のところ申し訳ありませんが……」
娘友「ええ!? まだこれからなのよ! 最後までいいじゃない」
支配人「しかし規則ですのでこれ以上は……ねぇ」
支配人は手を娘友にかざした。
ホワワワ
娘「!?……ッ (今なにか妙な気配が)」
少年エルフ「!!」ブルブル
娘友「うぁ~ そうね仕方ないわね」
娘友は手を止めて玉箱をもってカウンターへ歩いていく、どことなくうつろである。
娘「……(友があんなにすんなりと……妙ね)」
支配人「それでは本日はこれまでですので」
娘「そうね 帰りましょエルフ……? エルフ?」
少年エルフは真っ青になっている。
少年エルフ「え!? あぁうん帰ろっか」
少年エルフは娘をひっぱって走りだす。
娘「ちょっと?」
タタタ
○少年エルフ達のテント
男「支配人が魔物!?」
少年エルフ「最初あった時には感じなかったんだけど…… 魔物みたいな魔力を感じたんだ」
男「魔物がなりすましているのか魔物に憑りつかれているのかどっちかか」
少年エルフ「たぶん憑りついてるかな? 体は人間みたいだったし」
娘「友はさっきなにかされてたけど大丈夫なの?」
娘友「さっき? ん~よくわからないわ」
娘「大丈夫みたいだけど もう友はアレをやらない方がいいかもしれないわね」
娘友「えーそんな」
男「そうだな それにしても支配人が憑りつかれているとなると王子達は大丈夫かな?」
少年エルフ「王女たちまだ戻ってないの? 何処に行ってるの?」
男「お前達と同じくカジノさ」
少年エルフ「でもいなかったよ?」
男「まぁいうなればカジノの裏だな」
少年エルフ「それって……」
○閉店後のカジノ
支配人「では保管庫に戻しておきなさい 私は少し出ます」
警護兵「了解です」
ガラガラガラ
支配人と警備兵が金庫を動かして出て行った。
ゴトッ
第七王女「よーしいったの」
第三王子「暗いから気をつけるんだよ」
シュタ
天井裏から第三王子と第七王女が降り立った。
第七王女「潜入成功じゃな」
第三王子「ふふっ 昔もこんな風だったねぇ」
第七王女「そうじゃのう三兄ぃ よく一緒に城を抜け出したのう」
第三王子「七ちゃんがここまで出来るようになるなんて思ってなかったけど」
第七王女「それは三兄ぃの教え方がよかったのじゃよ」
第三王子「教えていたわけじゃないけど…… まあいいか」
第七王女「にしてもあの金庫は移動式じゃったんじゃな」
第三王子「そうだね どこに行ったのか見に行こうか」
○カジノ裏 保管庫テント
カジノから出た別のテントに金庫の保管庫が設置されており見張りが立っている。
第七王女「ひいふうみい……四人も見張りがおるのう」
第三王子「見張りが多いのは単純だけど効果的な措置だね あれじゃあ近寄れないや」
第七王女「ふーむ ならば次は支配人を調べるのじゃ」
○支配人の部屋
第三王子「誰も居ないね どこ行ったんだろ」
第七王女「むしろチャンスじゃ 悪事の証拠を探すのじゃ」
第三王子「別に悪事をしてるって決まったわけじゃ」
第七王女「あんなに金をため込んでおるのは悪事をしておるに決まっておる 時代劇ではだいたいそうじゃ」
第三王子「時代劇って…… 今は現代だよ七ちゃん」
第七王女「時代は続いておるのじゃ…… とこれは帳簿ではないな日記かの?」
第三王子「んー日記というより調査記録だね」
第七王女達は古代遺跡の調査記録を手に入れた。
○古代遺跡の調査記録
XX月X日
ついに現地に到着した。 すぐに調査をして発掘箇所を選定せねば、幻の都の痕跡がこの砂の下にあると思うと興奮して疲れなど気にしていられない。
XX月△日
発掘をすすめる、遺物がぞくぞくと出てくるが目当ての物が出てこない……都を堕落させて滅亡に追い込んだという遊戯板だ。 遊戯で町が滅ぶなど突飛な話に聞こえるだろうが数々の文献が残っている。 実物を発見して証明したい。
XX月□日
とうとう発見した古代の遊戯板だ、なんと30枚も見つけたがまだまだ埋まっている。
なぜか助手がいなくなってしまったので作業には時間がかかる。 そういえば今朝の記憶があいまいだが何をしていたのだろう? そんなことより早くこの遊戯板を全部掘り出さねば。
○○月XX日
おかしい最近の記憶が途切れている。 私はいつカジノに来たんだ? ここで何を? あの音は一体なんだ? 動いているのか?
■■■■
う■さい■■んだこの音は これはわた■■(これ以上は判別できない)
○少年エルフ達のテント
第七王女「ということらしいのじゃ」
娘「これは支配人さんの最後の記録ね」
男「この日付だと俺たちが初めて会った時にはもう憑りつかれていたようだな」
第三王子「へー あのオジサン魔物だったの? なんだか急にカジノに来たと思ったらアレヨアレヨと支配人になってたけど」
男「王子 支配人がカジノに来た時を知ってるのか?」
第三王子「知ってるよその頃にはすでに借金あったから」
男「まったく…… それでどんな様子だった?」
第三王子「スゴクお金が必要だってことであの古代スロットを売り込みにきて自分も雇ってくれって来たんだ。 オーナー達はためしに遊んだらすぐにのめりこんでたよ」
娘友「それであの地位に上り詰めたのね この短期間に」
第七王女「そんなにも人を虜にするとは 魔性のゲームじゃのう」
娘「魔物に魔性のゲーム それにしても目的は何かしら? 人をギャンブル中毒にすること?」
男「ギャンブル中毒に? それで何の得があるんだ?」
娘友「お金を巻き上げてはいるみたいだけど」
娘「お金稼ぎする魔物…… 魔物がねぇ?」
男「うーむ」
少年エルフ「……ねぇ友ちゃんはさっきさ途中で止められちゃったけど それはどうして?」
娘友「さっき? それは……閉店だったし」
娘「でも普段ならあんな簡単に諦めないわよね? 大当りの最中だったのに」
娘友「そうね あんなチャンスだったのに…… なんだか急にやる気がなくなったというか」
少年エルフ「”欲しくなくなった”んじゃない?」
娘友「そうね……そうかも でもなんで」
少年エルフ「『欲』だよ 『欲』を取られたんだよ」
○
男「支配人に憑いてる魔物は『欲』を吸い取るのか」
少年エルフ「たぶん スロットゲームはその媒体なんだよ」
娘「欲を引き出した上で吸い取ってるわけね」
娘友「それで客に生気がなかったのかな みんな目がウツロだったしね」
第三王子「たしかにのめりこんでる人ほど楽しくなさそうだったね」
第七王女「そうじゃな女騎士も最後はなにかに追われるかのようだったしの」
男「しかし正体が見えてきたとしても どうするんだ? 借金があるのは事実だしな」
第七王女「なにをいっとる 女騎士や他のものがこんな状態になっておるではないか あのカジノは危険じゃ なんとかするのじゃ!」
男「なんとかするといってもな 追い詰められてるのはこっちだぞ 金がないしな」
第七王女「むうぅ」
娘友「お金がない…… そうよ! それよ」
第七王女「何か思いついたのかの?」
娘友「無一文になったら困るのよね」
男「そりゃ誰だってそうだろ」
娘友「だったら…… みんな無一文になればいい」ニヤリ
○
※更新終了 今回はここまで
前回の秀逸なコメントをそのままサブタイにさせていただきました。
次は土曜か日曜に更新できると思います。
乙
#15 古代カジノをぶっつぶせ
○最終日・カジノ
支配人「それではこれよりパチスロキング決定戦を行います これが今季のラストゲームですので存分にお楽しみください」
\ウオオオオ/
客がなだれ込み座席がどんどん埋まっていく。
男「始まったな のんびりしてていいのか?」
娘「大丈夫よ パパも居るし」
男「王女と王子は?」
娘友「二人ともクタクタで休んでるわ」
男「そうか後は娘が優勝するだけだが……」
娘「そうね そろそろ行くわ」
女騎士「ああうー 私もやるんだーああ」
女騎士は興奮している。
男「こらお前は 止めておけ」
娘「最後だしいいんじゃない? 何かあったら男が止めたらいいし」
女騎士「そうだよな いいよな? ほら放せ」
男「……これが終わったら戻ってくれるんだろうな? ほら」
男が女騎士を離すと手近の台で遊びはじめた。
女騎士「うふふ うふふ」
男「……本当に頼むぞ 娘」
○
娘「さてどれにしようかな」
娘はゆっくりと歩く。
少年エルフ「やーめた あっちのが良さそう」
少年エルフが遊んでた台を切り上げて移動する。
娘「じゃあここでやるわ あまりものには福があるのよ……えーとこうかしら?」
隣の客「なんだい姉ちゃん初めてかい? 最終日なのに」
娘「そうね ビギナーズラックって奴をとっておいたのよ」
隣の客「はっはっは そんなの当てにするのかい」
○
ピロピロピロ―ンジャジャジャーン
店員「17番台のお客様スタートしました」
ジャラジャラジャラ
娘「あら箱を交換するのも大変ね よいしょ」
支配人「おめでとうございます こちらに積んでおきますね こちらのお客様の対応を」
店員が玉箱を交換して積んでいく、すでに10箱は積まれていた。
隣の客「すげぇな ホントに当てやがった」
支配人「……(ビギナーズラックか まぁ長くは続くまい)」
第七王女「娘ー どうじゃ?」
少年エルフ「うわー すごいことになってるね」
第七王女と王女がやってきた。
娘「まぁ見てのとおりよ エルフは移動するの?」
少年エルフ「そうだねここの王様目指してがんばるよ」
娘「あらそう……私も移動しようかしら」
○
娘「やっぱり角はよく出るわねー」
ジャラジャラジャラジャラ
角の台に移動した娘は再び確変を当てていた。
支配人「おめでとうございます あちらに置きますので――(こ こいつは出し過ぎだなんとかしないと)」
娘友「いいながめねー 玉箱のピラミッドよ」
娘の玉箱は20箱以上になっていた。
○数時間後
支配人「お おめでとうございます(なぜだ!? 何が起こっている!?)」
ジャラジャラジャラジャラピロピロピロ―ン
娘「ふわぁ また当たったわね」
「すげぇ どこまで出すんだ?」「クイーンだパチスロクイーンじゃ」「あれはいくらになるんだ?数百万にはなるんじゃないか?」
娘の周りには人だかりができて成り行きを見守っている。
娘「みんな疲れてきてるだろうし これでコーヒーをお願い 全員にね」
店員「かしこまりました」
娘は玉箱をひとつ渡して全員分のコーヒーを注文した。
支配人「(おかしい絶対なにかしている?) あのお客様すこしこちらへ」
娘「あら? まあいいわ少し休憩がてらに」
○
女性店員「特に怪しいところはありませんでした」
支配人「なに!? 本当か?」
娘「じゃあ 問題ないわね じゃあ続けるわ…… そうそうお金ちゃんと用意しておいてね そこそこの額になると思うから」
支配人「ぬううううう」
ジャラジャラジャラジャラジャラ
店員「15番のお客さまスタートでーす」
引きつりながらも娘の確変を知らせる店員の声が響く。
支配人「バカな」
○
店員「そこまで 時間終了となりますー」
娘「あら 終わり? 仕方ないわね」
確変中の台を後にして娘が宣言する。
娘「どう見ても 私の優勝ね? 賞金と換金をお願いできるかしら?」
支配人「ぬううう そ それではこちらへ」
脂汗を流しながらも営業スマイルを浮かべて金庫へ向かう支配人。
支配人「いくらだ?」
店員「計上中ですが300万以上はあります」
支配人「その程度ならば……少ない額ではないが」ぐぬぬ
ガチャ
支配人が金庫を開ける。
少年エルフ「やったね あれ全部もらえるの?」
娘「そうじゃないわ……下ごしらえは出来てるのよね?」
第七王女「もちろんじゃ 見ものじゃぞ」
○
支配人「よし 運びだせ」
ボゥ
支配人「ん?」
ボオオオオオオオオオオオォン
支配人「か 金があああああああ」
なんと金庫の中の金貨が燃えだした。
\うわあああああ/
支配人「金 俺の金が!!」
あっというまに火は消えカードが一枚残された。
カード『悪徳にまみれた金を頂戴したのじゃ byセブンガール』
支配人「な!? バカな…… ふざけやがって」
空になった金庫の中支配人は怒りに震える。
娘「それで 換金と賞金はどうなるのかしら?」
支配人「そ それは」
娘「お金なくなっちゃったみたいね~ だったらこのカジノを商品にもらおうかしら」
支配人「何!? カジノを」
娘友「それとここのカジノが持ってる債権もね」
支配人「なんだと!? そんな」
第七王女「さあ観念するのじゃ」
支配人「ぐぬぬぬぬ」
○
店員「支配人」
女性店員「支配人どうしますか?」
支配人「……やらん」
店員「え?」
支配人「やらんやらんやらんやらんぞおおおおおおおおおぼぼああぁぁ!!」
支配人が叫ぶと口から銀色の煙が、いや銀玉が吐き出された。
\キャアア/
男「なんだ!?」
娘「正体を現したわね」
銀玉の塊「ここはワシのカジノだワシの金だワシがゲームだああ」
娘友「きゃああ!」
少年エルフ「危ない 伏せて」
パチスロ台が飛び交い銀玉デーモンに吸い寄せらせていく。
ガコンガコンガコンガコン
なんとパチスロ台が合体してその巨体がテントを突き破った。
\うわああああ/
男「みんな逃げろ 崩れるぞ」
ドドドドド
○
\グオオオオオ/
パチスロゴーレムが現れた。
※更新終了 今回はここまで
次回は次の日曜に
乙
#16 誰がために金はふる
正体をあらわした欲望の銀玉デーモンはパチスロゴーレムを操り娘たちに襲い掛かった!
パチスロゴーレム「ヤッタネ オオアタリィイ!!」
ジャラジャラジャラ
一抱えもある大型の銀玉が辺りに降り注ぐ。
ドドドドドン
\うわあああ/ \キャアアア/
少年エルフ「うわあああ」
娘「パパあぶない」
ガキン
女騎士「大丈夫かエルフ君」
男「女騎士」
少年エルフ「ありがと もう大丈夫なの?」
女騎士「ああ憑き物が落ちたようだ 迷惑をかけて済まなかった」
男「ホント迷惑だったぜ 泣き叫んでねだるお前は……」
ドゴン
女騎士「いや 本当にすまなかったな うん」
男「ごふっ…… ま゛ぁ終っだごどだ それよりあの親玉をどうするかだ」
女騎士「さっきのはとんでもない攻撃だが あんな大技連続では出せまい 今がチャンスだ」
男「おい むやみに突っ込むな」
女騎士はパチスロゴーレムに向かって駆け出す。
女騎士「醜態をさらされた恨み晴らさせてもらうぞ」
ダダダ
ジャラララ
女騎士「い?」
吐き出された銀玉がパチスロゴーレムに戻っていく。
女騎士「うおお? なんだなんだ」
大量の銀玉に流されて女騎士はパチスロゴーレムに吸い込まれてしまった。
\うわあああ/
男「あーあ」
娘「大丈夫かしら」
再びパチスロゴーレムが激しい光と音と共に銀玉を吐き出す。
パチスロゴーレム「フィイバアアアアア!!」
ジャラジャラジャラ
女騎士「――いやああああああああああ」
女騎士も銀玉と一緒に吐き出され空高く舞い上がった。
第七王女「すごい高いのう」
娘友「ホントねー」
娘「のんきなこと言ってる場合!?」
キンキン
男「やばいな」
ガキンガキン
娘と男が銀玉を防ぎながら言う。
少年エルフ「あのままじゃ落ちちゃうよ」
男「本当に世話のやける」
ダダダダダ
男が落下地点へ駆け出す。
女騎士「ひゃああ しぬうううううう」
男「うおおお」
ドドォン ゴロゴロゴロゴロ
男は女騎士を受け止め転がり衝撃を相殺した。
ガバっ
女騎士「わわ 生きてる助かった」
男「当たり前だ はやくどいてくれ重いぞお前 筋肉ばっかりつけてるから余計におも――」
ドゴン
女騎士「ババカヤロー 誰のせいでこうなったと 誰のせいでっ」カアアアア
ドゴンドゴン
マウントポジションで拳を振るう女騎士。
○
少年エルフ「助かったみたいだね」
娘友「男さんやるわね~」
第七王女「女騎士には怒られてばっかりじゃがのう」
娘「そうでもないんじゃない」
少年エルフ「そうなの? あ 戻ってきた」
女騎士と男が戻ってきた。
女騎士「重ね重ね迷惑をかけた」しょんぼり
少年エルフ「怪我しなくてよかったよ」
男「あたたた しかしあれでは近づけないぞ」
娘「だったら魔法ね ”重雷撃”」
カッ ドンガラガッシャーン!!
パチスロゴーレム「ビビビビビビ!!」
第七王女「やったのかえ?」
パチスロゴーレム「ダイヲユラサナイデクダサーイ」
ジャラジャラジャラ
少年エルフ「うわぁ!」
娘友「きゃあ!」
男「これくらい跳ね返して」
ガキン
バチバチバチ
男「あばばばばばばっ!」
男は感電してしまった。
娘「あちゃー」
少年エルフ「帯電しちゃってるね」
○
パチスロゴーレム「フィイイバアアアアア!!」
ジャラジャラジャラジャラ
確変モードになったパチスロゴーレムから激しく銀玉が飛び出す。
女騎士「くっ」
ガキンガキン
男「おらおらおら」
ガキンガキン
娘「ちょっと コレ」
ガキンガキン
降り注ぐ銀玉を防ぐので手一杯である。
娘「いつまで続くのよコレ」
第七王女「なにか打開策はないかのう」
少年エルフ「市場にも被害がでてるよ」
\わーーー/ \ぬわーー/
ガシャン どこーん パリーん
あちこちで悲鳴と破壊音が響く。
娘友「ああ~ もったいない」
ガシャン ドカァン
女騎士「王女たちは下がっててください」
第七王女「この程度に当たるわらわでないわ」ひょいひょい
軽々と回避する第七王女。
娘友「きゃあ!」コケ
易々と転倒する娘友。
第七王女「友!」ビュビュッ
カカン
投げナイフを放って銀玉をそらした。
娘友「ありがと王女」
第七王女「うむ 早く立つのじゃ」
娘友「って 危ない!」
第七王女の後ろから銀玉が飛んできた。
娘友「えいっ!」
娘友はとっさに金貨袋を投げつけた。
ガシャァン バラバラ
第七王女「む!?」
銀玉「マネマネマネ……」
しゅしゅしゅ
娘友「消えた……?」
第七王女「ふむ? いや元の銀玉に戻ったようじゃ」
第七王女は砂の中から元の大きさになった銀玉を拾いあげた。
第七王女「物欲が満たされると元に戻るのかもしれんの」
娘友「そう……だったら」
○
少年エルフ「”風防波”」ギュルル
バシュ バシュシュン
男「エルフ後ろ!」
少年エルフの背後から銀玉が飛んでくる。
少年エルフ「うわぁ」
娘「”炸裂”」
ドドォン
銀玉「キェァー」
銀玉は魔法に弾かれてどこかへ飛んで行った。
少年エルフ「ありがと助かったよ」
娘「危ないから離れないでよ パパ」ぎゅう
少年エルフ「ちょっとちょっとくっつき過ぎ はなれて」カアア
男「しかしキリがないな どうする?」
娘「わたしの雷魔法で……」
少年エルフ「でも効いてないかも……」
娘「そうなのよね」
第七王女「ここで真打じゃ」
男「王女?」
娘友「よーし 皆さんいいですかー」
交易商たち「「おおー」」
第七王女と娘友が商人たちを引き連れてきた。
少年エルフ「何するの?」
女騎士「あの銀玉の弱点を見つけたそうだ」
ガラガラガラ
第七王女と娘友が交易商たちを指示して大砲を持ってきた。
少年エルフ「うわぁ 大砲だ」
男「しかしそれなら娘の魔法の方が……」
娘友「まぁ見ててよ 用意はいい?」
\よっしゃー/
第七王女「よーし うてぇー!!」
ドドーン
○パチスロゴーレム・コックピット
ヒュ―ン ドドン
銀玉デーモン「む 大砲か? そんなもので」
バラバラバラ ガシャンガシャン
着弾したあたりからパチスロゴーレムが崩れている。
銀玉デーモン「なんだ!? なぜパチスロ台が? あの弾は……カネか!?」
○砂漠
第七王女「よーし効果は抜群じゃー どんどん撃つのじゃー」
ドドォン ドドォン
交易商たちが次々と金貨袋を大砲に詰めては撃ち出していく。
男「これはすごいな」
少年エルフ「うわー キラキラだー」
娘友「ゴールドシャワーよー」
娘「派手ねー」
キラキラキラ
パチスロゴーレム「ウオオオオオン」
ガラガラガラ
動力源の銀玉が次々と魔力を失い、体を構成するパチンコ台が崩れ落ちる。
○パチスロゴーレム・コックピット
\物欲パワー低下 物欲パワー低下/
警報が鳴り響くなかで銀玉デーモンは悪態をつく。
銀玉デーモン「くそ! こんな」
ガラガラガラガラ
\物欲パワー低下 両腕崩壊シマシタ/
銀玉デーモン「ああ ちくしょう」
\飛翔体接近 飛翔体接近/
銀玉デーモン「なんだ!? うお!!」
ガラガラガラ
モニターを覗き込もうとしたとたんにモニターが崩壊してコックピットが露出、娘が飛んで来るのが見えた。
銀玉デーモン「おのれえええ」
娘「これで店仕舞いよ ”重雷撃斬”」
ガガガ ジャシャアアアン バリバリバリバリ
銀玉デーモン「ぐああああ カネが 俺のカネェエエエエエエ!!」
真っ二つにされた銀玉デーモンにさらに金貨が降り注いでいく。
半壊したパチスロゴーレムがよろめき砂漠に倒れていく。
ズドドドォオオン
銀玉デーモンとパチスロゴーレムを倒した。
○
少年エルフ「娘ー」
タタタ
娘「パパ」
ひゅるるる
落下する娘を少年エルフが受け止めようと駆け付ける。
少年エルフ「えーい ”旋風”」シュルル
バホォン
風をクッションにして娘を受け止める少年エルフ。
少年エルフ「うわぷぷっ砂かんじゃった」
娘「ふふふ パパの魔法効いてるから着地できたのに」
少年エルフ「あ…… そうだったね」カアア
娘「でもありがと パーパ」ギュウウ
少年エルフ「ちょっとはなれて あーつーいー」カアアアアア
○
男「よーし 娘も無事のようだな」
第七王女「うむ これで一件落着じゃな かっかっかっか」
第三王子「ふわぁあ 終わった?」
あくびしながら第三王子がやってきた。
女騎士「王子!? 何処にいたんですか?」
第三王子「んー? 寝てた」
女騎士「あの騒ぎの中で……」
男「まぁ第三王子だしな」
第七王女「さすが三兄ぃじゃ」
娘友「誉めてるのそれ?」
第三王子「ちょっと見ない間にすごいことになったねー 金貨だらけだ」
砂漠に金貨が散らばっており交易商たちが総出で拾い集めている。
男「商売人はたくましいな……あんなの気が遠くなるぜ」
女騎士「そういえばこの金貨の出どころは何処なんですか? まさかまた借金が……」
第七王女「それは大丈夫じゃよ のう三兄ぃ」
第三王子「そうだね それよりお腹すかない? ご飯にしようよ」
男「そうだな 動きっぱなしで腹ペコだ」
娘友「娘たち読んでくるわ」
タッタッタ
女騎士「ちょっと!? なんか話をそらしてない?」
男「そんなに怒るな余計に腹が減るだろう? それともあれか? まさかお前あのh」
ドゴォン
女騎士の正拳突きが男を吹っとばした。
女騎士「違うわ! バカ」
○
※更新終了 今回はここまで
殴り倒していいキャラがいるとはり倒して締めるという簡便な方法が使えていいですね ラクで
次回も日曜日に
乙
某スレで言ってたお色気回に期待
あと勝手な推測ですがこのスレは大丈夫かと
#17 グランド・アビエーション
○夜・少年エルフ達のテント
食事をしながら女騎士が事の顛末を聞いた。
女騎士「当たり台がわかってたぁ!?」
娘「まー そういうことね」
女騎士「どうやって?」
少年エルフ「んとね 音がね聞こえてて」
女騎士「音ぉ?」
男「つまり当たり設定の台の音がエルフには聞こえたんだと」
女騎士「えぇ!?」
娘友「わかったのは少し前なんだけどね もっと早くに解っていれば……」ニタリ
娘「友 顔があくどいわよ」
娘友「ホント? てへぺろ」
娘「かわいくないから」
娘友「ぎゃふ」
女騎士「でも実際に勝ってたのは娘君じゃないか それはどうして?」
娘「私はパパから当たり台を教えてもらってたのよ」
少年エルフ「そう いろいろ雑談みたいにしてね」
娘「だから台移動した後に当たってたでしょう 私自身には何もないからカジノ側も見抜けなかったのよ」
女騎士「ううむ言われてみれば…… それで娘君が勝てたのは分かるとして 最後にあの大砲の金貨? どこからあんな大金が」
第三王子「そりゃあ あるところから借りたんだよ」
女騎士「あるところって…… そういえば金庫のお金が無くなりましたがまさか盗んで――」
第七王女「違う違う 盗んでなどおらん 隠して偽物と『すり替えた』だけじゃ」
女騎士「それは盗んだっていうんですよ! なんですか二人とも王族としてのっ……」
第三王子「いやいや 本当に盗んではいないよ 保管庫にずっとあったんだもの」
女騎士「はぁ!?」
第三王子は説明する。
金庫は昼間はカジノに夜は保管庫に警備と共に移動しており近寄れなかったが、警備のいない昼の保管庫に侵入してテントの下に穴を掘って偽金と共に待機。 金庫が戻ってきたら金貨を偽物と入れ替えて朝をまって脱出したという、金貨はそのまま床下に隠したままに。
女騎士「じゃあ金貨が燃えだしたのはなんなんです?」
第七王女「あれはフラッシュペーパーで出来ておったんじゃ パッと燃上がって煙もほとんどでない優れものじゃ。 ああしておけばまるで盗まれたように見えるじゃろう」
女騎士「そんな都合のいいモノがどこで」
娘友「ここは天下のバザールよ たいていの物は手に入るわ」
女騎士「じゃあ最後に撃ち出した金貨は」
第七王女「そうじゃ 娘が優勝して本来得るはずの金貨を保管庫から引っ張りだしたのじゃ だから問題はないのじゃ」
第三王子「セーフだよセーフ」
女騎士「ううむ……それなら いや……なんだろう納得が」
男「まぁ ゆっくり考えろ。 お前は長い事憑りつかれていたわけだし」
女騎士「うっ 言うな……」
○
第七王女「それにしても今回は 魔王の手がかりもなかったのう」
娘友「そうねー 結果としては掘り返した魔物に憑りつかれたってことだしね」
少年エルフ「いいんじゃない? ボク達がなにかしなかったらもっと被害があったかもしれないし」
娘「そうね パパのおかげで化けの皮をはがせたわけだし」
第七王女「まっことそのとおりじゃな 事が大きくなる前に食い止めれたのじゃ それも勇者に勤めじゃて」
第三王子「ゆうしゃ? 最近そういうの流行ってるの?」
男「流行ってるって……」
第七王子「それははどういうことじゃ? わらわが二代目勇者を襲名したのはまだ先月じゃぞ」
第三王子「ふーん たしかねー東の町で勇者を募集してるって……」
女騎士「王子! それ以上はいけな」 第七王子「なんじゃとそれはなんとしても行かねば!!」
男「遅かったな……」
女騎士「ぬぅ…… ダメですよ王女 今回は既に調査期間がありませ」 第七王女「イヤじゃ!!」
第三王子「お はじまったねぇ」
第七王女「行くのじゃ! 行かねば二代目勇者の名がすたるのじゃ!」
女騎士「あーもー すたってくださいそんなモノ! わざわざ王女が自ら行く必要があるんですか」
第七王女「あるに決まっておろうわらわは勇者じゃぞ 助けを必要としてるならば行くのが義務じゃ! のう 男 言ってもいいじゃろう」
女騎士「あ! コラ 男に甘えないでください」
男「んー 王女 流石に今回はこれ以上はムリだろ 一旦王都に戻ってから出直さないとな」
第七王女「むー 男までーー 三兄ぃー」
第三王子「えー? うーん 女騎士もそんなに言わなくても少しくらい寄り道したって」
女騎士「王子は何年寄り道してるんですか! 今回は絶対に王都に連れ帰りますよ」
第三王子「あ ハイ」
第七王女「うー なんじゃなんじゃ女騎士も男も反対しよって」
娘友「王女 一旦王都にもどってもドラゴンにまた乗せてもらえばいいじゃない どこでもひとっ飛びだし」
娘「そうね」」
第七王女「しかしのう勇者募集じゃぞ わらわはすぐ行きたいのじゃ す・ぐ・に・じゃ!」
少年エルフ「そんなに焦らなくてもきっと募集はまだ終わってないよ…… 多分」
第七王女「そうかのう……エルフはどう思うのじゃ? 困った者を救いに行くのが勇者じゃと思わぬか? の? の?」
少年エルフ「えぇ? そりゃ困ってたら助けなきゃいけないと思うけど……その」
女騎士「エルフ君 王女のわがままに付き合わなくていいんだぞ ほら王女 無理を言わないでください」
第七王女「うぬぬぅ~~ わかったのじゃ わらわはもう寝るのじゃ!!」
ドスドス
第七王女は寝室へ行ってしまった。
女騎士「……まったく いつまでたってもわががまなんだから」
男「あーあ 知らねーぞ あれはしばらく尾をひくぞ」
女騎士「だいたい お前が王女付の時の教育がだな……」ガミガミ
男「うお 俺にくるのか? 俺なのか!?」
第三王子「うーん 皆あっちに行こう 長くなるから」
娘友「そうね そうしましょ」
男に説教を続ける女騎士を残して第三王子たちは席を外した。
男「まて 俺を一人にしないでくれー」
女騎士「何が一人にだ私だってお前のせいでなぁ」
男「なんだ 俺のせいでどうしたってんだ!?」
女騎士「お前のせいで……その…… うっさいなだいたい騎士見習いの頃からお前は……」
男「見習いって どこまで遡るんだお前!?」
\ガミガミグチグチ/
\タスケテ/
○
娘友「ご愁傷さまね」
第三王子「いやまったく」
娘「私 王女の様子をみてくるわ」
娘友「そうね アタシも」
娘達は第七王女の様子を見に行った。
第三王子「いやー しかし今回は助かったよ ずいぶんとここのカジノで足止めされたからね 飽き飽きしてたんだ」
少年エルフ「そうなんだ 他にもあちこち旅をしてきたのですか?」
第三王子「そうだね 北方や帝国に行って来て 飽きたからこっちに戻って東の町からここまで来たんだ」
少年エルフ「さっきも言ってましたけど 東の町ってどんなところなんです?」
第三王子「知らないかい?」
少年エルフ「ええ 僕は南の町からほとんど出たことないので……」
第三王子「そうかい 東の町は港町だよ 湾の中にあるんだ」
少年エルフ「湾…… 海沿いなんですね 海ってどんな感じですか」
第三王子「ん……(本当に出たことないのか) そうだね海はね……」
少年エルフ「はい……はい……」わくわく
少年エルフは第三王子の旅の話を聞いた。
○
娘「あら 盛り上がってるわね」
娘達が戻ってきた。
少年エルフ「あ おかえり どうだった?」
娘友「王女 ホントに寝ちゃってたわ」
第三王子「そっか なら大丈夫だよ 本当に機嫌がわるかったら寝ないから」
娘「そうなのね 私達ももう寝ましょ 今日は疲れたわ」
少年エルフ「そうだねー」
そういう事になった。
○深夜・娘達のテント
カキカキ
娘友「今回はコレがあるからイケるわ ふふふ」
娘友は書き物をしている。
娘友「さて そろそろ寝ようかな…………(その前にお手洗いに)」
娘友はテントを出て手洗いに行こうとした。
バッサバッサ バリバリバリ バサァーッ
突風と大きな影と共にテントが倒壊した。
娘友「きゃああ!? 何?」
女騎士「なんだこれはー」
倒壊したテントから女騎士が叫んだ。
男「何事だ!」
男性用のテントからも叫びが上がった。 見れば男たちのテントも倒壊している。
娘友「うわー 何今の? 女騎士さん大丈夫? 娘ー 王女ー? アレ?」
女騎士「……いない 娘君も……」
男「女騎士…… 空から手紙が降ってきたぞ」
女騎士「まさか……」
手紙『ちょっと東の町まで行ってくるのじゃ ちょっと様子を見るだけじゃから女騎士たちはそのまま王都へ帰るのじゃ by 二代目勇者 第七王女』
○上空
バッサバッサ
少年エルフ「うん?」
少年エルフは目を覚ました。
少年エルフ「うわぁあ!? 何? どうなってるの!?」
娘「パパァッ 大丈夫!? これは一体どういうこと!!」
娘と少年エルフはホワイトドラゴンに掴まれて夜空を飛んでいる。
白竜「コワイ顔しないでよ えっとねー」
第七王女「わらわが頼んだのじゃ」
○
娘と少年エルフは第七王女と共にホワイトドラゴンの背に乗っている。
第七王女「ちょっと東の町まで行くのじゃ 白竜ならひとっ飛びじゃからな」
少年エルフ「そうだけど 後で女騎士さんに怒られない?」
第七王女「それは覚悟の上じゃ それに特に問題が無ければすぐ戻ればいいのじゃ」
娘「まぁ そうね どうするかは東の町を見てからでもいいんじゃない」
第七王女「ホントは友も連れて行きたかったんじゃがの」
白竜「あのコは寝床に居なかったから掴み損ねたわ」
第七王女「仕方ないの このまま東の町まで直行じゃ」
○砂漠・テント
男「あーあお前がかたくなに反対するから」
女騎士「お前だって渋ったじゃないか」
男「うっ 頭がいたい記憶喪失だ」
女騎士「だったらコレでどうだ ショック療法だ!」
バゴン
男「ぶはっ」
娘友「エルフさんと娘は連れてかれたのね…… さてどうしますかね」
第三王子「んー 何かあった?」
あくびをしながら第三王子が起きてきた。
男「王子……(毎度のことながらホントよく寝てたな) 実は王女がドラゴンに乗って東の町に行ってしまったんだ」
女騎士「ああ!? すっかり王女の荷物も無くなってる フテ寝してると思ったのにいつの間に!?」
第三王子「さすがナナちゃんだね さて僕達はどうするの?」
男「そうだな いくらなんでもほっとくわけにはいかないしな」
娘友「東の町なら ここから向かうキャラバンがあったはずよ 交渉したら同行させてもらえるわ」
女騎士「そうか それは助かる」
男「じゃあ俺が馬を借りて王都まで行ってくる 馬なら大森林を突っ切れる」
女騎士「わかった任せた あと王子も連れてってくれないか」
第三王子「ええー!? やっぱり戻らなきゃダメ? 別に王都にもどるのはもう少し……」
女騎士「ダメです 実は兄王がひそかに捜索されてるのをご存知ですか? 心配されてるんですよ」
第三王子「ううーん でもなぁ」
男「俺も一緒にいくから な?」
第三王子「うーん わかった王都に戻るよ 頼むよ男」
男「任せろ」
娘友「あ 実はアタシも王都に届けて欲しい物があるんだけど いい?」
男「おう すぐ用意できるか? 準備が出来たら出発するからな」
娘友「ええすぐに…… これとコレでハイ 王都のアタシんちまでお願いします」
娘友は書類の束を渡した。
男「よし分かった」
女騎士「我々もキャラバンに相談に行かねば…… 友君交渉に付き合ってもらえるか」
娘友「ええ もちろん 忙しくなってきたわね~」
○上空・ホワイトドラゴンの背中
娘「なんてことになってるわよ多分」
第七王女「そうか 友はそのうちに来るかの」
娘「多分ね あのコなんだかんだで結局楽しんでるから」
少年エルフ「そう? 僕も楽しいよ初めて見るものいっぱいだから」
第七王女「そうか それはよかったのじゃ」
白竜「そろそろ海が見えるわ」
少年エルフ「うわぁ あれがそう!? 本当に水だらけだ 娘見える?」
娘「フフフ こう暗いと私にはまだ見えないわ」
少年エルフ「あ そっか」
第七王女「見よ もうすぐ日の出じゃ」
娘「ホント 明るくなってきたわね」
少年エルフ「え!? それじゃあ」 白竜「マジでぇ!? 下りるわ掴まって」
ギュウウウウウウウウン
少年エルフ「わああああああああああ」
娘「ちょとおおおおおおおおおおお」
第七王女「やっほおおおおおおおおお」
ホワイトドラゴンと娘達は急降下していった。
○
※更新終了 今回はここまで
今回のトリックなどが解りづらかったら、映画『ラスベガスをぶっつぶせ』と映画『グランド・イリュージョン』をどうぞ。 だいたいそのままです。
それにしても書き込みが特定されてますが何故バレタ トリは消したと思ったのですが。
あと次の更新は6月5日に、ちなみに次はお色気回ではありませんのであしからず。
乙
乙
#18 大漁豊漁勇者祭! ~不気味な岬の物語~
○東の町・港
カーンカーンカーン
警鐘が打ち鳴らされている。
見張り番「カニだ―ッ! カニだ―ッ!」
巨大カニ「ブクブクブク」ガチーンガチーン
海から巨大なカニが上がってきて暴れている。
若人A「っしゃー! 一番モリいくぞー」
若人B・C「「うおおー」」
実況者「おっと! 真っ先に向かっていくのは地元の若い衆で結成された漁師チーム 大物ゲットとなるか!?」
若人達の攻撃。
カキンカキン
若人A「かってぇー!?」
若人B「眼をねらえー!」
若人C「届かねぇよ!?」
巨大カニ「ブブ?」ブオンブオン
若人達「「グワーっ!!」」
\ワ―ワー/
人々は遠巻きにこの戦いを見物している、露店も開かれお祭りムードだ。
実況者「残念! 巨大なハサミでなぎ払われてしまいました! 続いて突撃していくのは……」
次々とチームが巨大なカニを攻撃するが分厚い殻のために攻撃が効かない。
実況者「このままではここも危なくなります どうしますか町長」
町長「ううむ しかた無い王国兵の皆さんお願いします」
兵士長「よーし いくぞ突撃」
○物陰
???「いいんですか? 倒されちゃいますよ」
???「なあにアレでは武器では倒せないさ」
???「だったら坊がさっさと魔法で……」
???「勇者は最後に登場するものさ まあもうすぐだ……」
○港
兵士たちが巨大カニを攻撃するもやはり倒せない。
兵士A「隊長! 槍が折れました硬すぎます」
兵士B「やべぇぞ どうすんだコレ」
兵士C「もう帰っていい?」
兵士長「うむむ 仕方ない勇者丸へ伝令! 砲撃準備」
兵士A「こんなところで大砲使うんですか!?」
兵士長「やむをえん」
兵士C「りょうかーい 伝令いきまーす」
ダダダダ
兵士B「はやっ!?」
実況者「なんと大砲で狙うようです 危険ですので見物の方はおさがりください」
町長「おいおい 町に被害がでるじゃないかヤメロ」
兵士長「アレを放っておくほうが被害でるわい 下がって! よーし撃て―!!」
町長「ちょおまっ」
ドォオン ひゅるるる
港に停泊していた船から砲弾が飛んできた。
\おおー/
歓声があがり次いで着弾。
ガキィン
巨大カニ「!!」
ドゴン ドボォン
町長「……」
兵士長「……」
実況者「なんと……弾いてしまいました……」
兵士長「だ……第二射!」
ドォオン ひゅるるる
巨大カニ「ギ」ブン
ガギン
実況者「なんと! カニが砲弾を受け止めた! そして振りかぶり……投げた!!」
ブオン どひゅーん
バコォン バキバキ
\うひゃー/
実況者「おおっと王国が誇る勇者丸が吹っ飛んだ! 燃えます傾きます沈んでいきます!」
兵士長「……えーと」
兵士A「逃げろ――っ!」
\ワアアアアア/
港はパニックに陥った。
○物陰
???「よーしお膳立ては上々だ 出るぞ」
???「え!? こっちに人が」
???「どわあああ」
ドタドタドタドタ
○港
実況者「カニ一匹がこの町の歴史を終わらせてしまうのでしょうか なんという悲劇でしょうか」
娘達が港に着いた
娘「やっと着いたけど 一体なによコレ? 祭?」
少年エルフ「いやなんか大きなカニが…… 魔物みたいだよ」
第七王女「よーし わらわの出番じゃ!」
シュタタタタ
第七王女が巨大カニに突進していく。
兵士A「おい! 何処にいく危ないぞ」
娘「あーもう パ……エルフ 王女をお願い」
少年エルフ「わかった」
少年エルフも第七王女を追いかける。
○
巨大カニ「ブクブクブク」
ドカン バキン
第七王女「なんじゃ デカいだけで遅いのじゃ」
ひょいひょい
第七王女は身軽に攻撃を避けている。
実況者「突如あらわれた女の子が果敢にもカニに立むかった! なんという身のこなしでしょう」
第七王女「せいっ」
第七王女の投げナイフ。
カッ
巨大カニ「!? キュイイイ」
実況者「刺さったぁ! スローインダガ―が目玉にシューッ!」
眼にナイフが刺さった巨大カニは暴れ出した。
バタンドカンバキン
第七王女「おうおう てをつけられんの」
少年エルフ「王女 危ないからこっちに ”風防波”」シュルル
風の防壁が第七王女と少年エルフを包み込む。
娘「行くわよ ”落雷”」
カッ ドンガラガッシャーン
巨大カニ「ギギィ!!」バリバリバリバリ
落雷が巨大カニを貫く。
シュバババ
風の防壁が雷をそらす。
第七王女「ほっほー いつ見ても大迫力じゃな」
少年エルフ「王女 危ないから一人で攻撃しちゃダメだよ 約束したでしょ?」
第七王女「そうであったな しかし体が先に動いてしまったのじゃ許せ」
少年エルフ「もう」
巨大カニ「ギギギ」
巨大カニは立ったまま黒焦げになっている。
第七王女「とどめじゃ とうっ」
げしっ
第七王女の飛び蹴りが巨大カニの眼の間に決まり巨大カニは倒れこんでいく。
ドドォン
第七王女「よーし今夜はカニ鍋じゃ!」
娘「もう火は通ってるわよ」
\ワアアアア/
人々は喝采を上げて巨大カニへ殺到する。
実況者「なんと巨大カニを倒したのは飛び入りのお嬢さん達だ!」
少年エルフ「うわぁ押さないで んぎゅ」
娘「パパこっちに もう何なのよ」
娘は少年エルフを抱き込んで人混みから守る。
少年エルフ「うぐぐ(やわらかい)」カアアア
第七王女「かっかっかっかっか 一件落着じゃな」
第七王女は焦げた巨大カニの上で快活に笑っている。
○物陰
???「あーあ 先を越されちゃいましたよ」
???「おのれ……あのちんちくりんめ それにしてもあの雷魔法の使い手……」
???「ご存じですか?」
???「いや知らん…… しかし実に美しいな」
???「あぁ…… また坊の悪いクセが」
???「クセというよりもうビョーキよビョーキ」
???「うっさいいくぞ」
???「どこへ」
???「着替えだ」
???「はぁ……恰好ばかり気にして……」
???「見た目だけじゃダメですよー」
???「うっさい 早く来い」
???「はーい」
○
※更新終了 今回は想定より短くなりました。 時間が欲しい……。
たとえぎりぎりでも週一のペースは意地でも崩したくないもんです。
では次回更新も日曜の夜になります。
乙
カニはスタッフがおいしくいただきました
#19 その勇者、バカにつき
○町長の家
町長「わたしが町長です」
第七王女「わらわは第七王女じゃ」
町長「いやはや まさか第七王女本人がこんなところにお越しとは…… それに魔物まで退治していただけるとは」
第七王女「なに苦しゅうない それにしても先ほどの魔物はなんじゃ?」
町長「そうですなどこから話したものか…… 最初はたしか一月ほどまえに灯台の明かりが消えたことですな」
第七王女「ほう 灯台とな」
町長「この湾の出口はやたら霧の多い場所でしてそのため岬には古くから灯台があり昼でも灯りをともしてましたがそれが消えたのです」
少年エルフ「単に燃料が無くなったとかじゃないの?」
町長「魔力灯ですしそれは無いでしょう 灯台守もいますし」
第七王女「灯台守はどうしたんじゃ?」
町長「それがわかっておりません 様子を見に行った者が戻って来なかったので王国兵が船で調査に向かうところだったのですが……」
娘「船は燃えて沈んだわね」
町長「ええ 修理に時間がかかるのでそれまで調査は延期になるそうで」
第七王女「灯台が使えないのでは不便じゃろう」
町長「おっしゃるとおりで 実はこの町は300年程前に勇者が出航したという由緒ある港で漁や旅の安全を祈願する海上の祭『勇者祭』を行っていたのですが出来なくなってしまいました」
第七王女「ほうそれは見たかったのう」
少年エルフ「でもさっきのもお祭りみたいだったよね?」
町長「ええ 魔物は出るわ海に出れないわなのでいっそのこと魔物退治を祭にしたらこれがなかなかの評判で今では10ばかりの勇者チームが参加してます」
娘「でもさっきのカニは危なかったんじゃない? パニックになってたじゃない」
町長「そうですな あのように王国兵にも手を負えない魔物まで出てくると今後をどうするか……」
第七王女「祭はいつまでの予定じゃったんじゃ?」
町長「そうですな 灯台の調査も含めてだったので灯台の灯りを灯したチームを優勝として終えるつもりでした…… それに成功したチームがまだいないので結局今まで続いておりますが」
第七王女「あいわかった それならばわらわも祭に参加して灯台を再び灯すのじゃ」
町長「本当ですか!? 貴方がたのように強い方が参加していただけると助かります」
第七王女「そうじゃろうそうじゃろう」
町長「だったら王女様たちはカニを倒されたので『カニさんチーム』ということで」
第七王女「うむ わかった」
娘「まって王女『カニさんチーム』てそれでいいの!?」
第七王女「うん? わらわは好きじゃぞカニ」
娘「そう 王女がいいならそれで……」
少年エルフ「カニ嫌いだった?」
娘「そういうわけじゃないけど……(パパも天然ね)」
町長「では決定ですな この申し込み書に署名を いやぁ期待してますよ」
第七王女「うむ任せるのじゃ」
第七王女は『勇者カニさんチーム』を結成した。
○
???「なるほど王女様ね 魔王を探しに旅立ったと噂を聞いたがまさかアンタ達だったとは」
第七王女「何者じゃ」
魔法勇者があらわれた。
魔法勇者「俺は魔法勇者! いずれ世界を救うものだ」ばーん
町長「ああ『お馬さんチーム』の方ですね 風邪はもうよろしいので」
娘「『お馬さんチーム』」
少年エルフ「風邪ってこの時期に?」
爺僧侶「この町に着くときに坊は馬ごと海に落ちましてな それは盛大に見事な落ちっぷりで……それで『お馬さんチーム』に」
孫僧侶「バカよね~かっこつけようとするから 結局3日間寝込んでいたんですよ ぶふっ」
お伴の老僧侶と孫僧侶があらわれた。
魔法勇者「お前達勝手にでてきて全部言うんじゃねぇ!」
第七王女「それで何の用なんじゃ? 馬勇者よ」
魔法勇者「馬じゃねぇ! とにかく…… お初にお目にかかる美しい姫よ」
魔法勇者はそういってうやうやしく娘の手をとった。
娘「私じゃないわよ」
魔法勇者「へ?」
第七王女「わらわが第七王女じゃ」
魔法勇者「え!? このちんちくりんがか ウソだろ!?」
第七王女「誰がちんちくりんじゃ!」
ゲシッ
第七王女の蹴りが魔法勇者のみぞおちに食い込んだ。
魔法勇者「ぐっほお!!」
第七王女「間違えた上にウソだろとはなんじゃ!」
\ぐごご……/
魔法勇者はうずくまっている。
爺僧侶「いやはや坊がご無礼を……」
孫僧侶「ゴメンナサイ 坊っちゃんバカだから」
第七王女「うむ バカならば致し方あるまい」
娘「そうね」
孫僧侶「そうそう」
少年エルフ「そうなの?」
魔法勇者「じゃねーよこのヤロ―」ガバっ
第七王女「それでなんの用なんじゃ」
魔法勇者「ああ コホン……そうだな お前たち灯台に行くんだろう危ないから俺が一緒にいってやろう」
第七王女「無用じゃ」
娘「いらないわよ」
少年エルフ「病み上がりだったら無理しないほうが……」
魔法勇者「全員一致かちくしょう!」
孫僧侶「ほら 無理だった」
爺僧侶「まず頼み方がなってませんぞ まったく不甲斐ない」
魔法勇者「お前らもフォローしろよ!」
第七王女「用がそれだけなら失礼するのじゃ」
娘「そうね 明日出発するとして今夜はどうすれば?」
町長「こちらの宿をお使いください今はどこも満室でしょうが これを見せればなんとか部屋を用意してくれるでしょう」
町長の紹介状を手に入れた。
第七王女「かたじけない」
娘「じゃ 行きましょ」
娘達は町長の家から出ようとする。
魔法勇者「まて せめて姫……じゃなくて君の名は?」
魔法勇者は娘に問いかける。
娘「……(教えたくないなぁ)娘よ」
魔法勇者「そうか娘君 よかったら今夜食事にでもどうだ」ぐいぐい
娘「ちょっと」イラ
魔法勇者「宿もどうせ同じだろう いいじゃないか ひと晩語り明かそうじゃないか なぁなぁ」
少年エルフ「ん……しょ」ぐい
少年エルフは娘と魔法勇者の間に割って入る。
少年エルフ「だーめ 明日は早いんだから」
魔法勇者「なんだこのガキ」
ドン
少年エルフ「あ」
少年エルフは小突かれて帽子が落ちて耳があらわになった。
魔法勇者「あ! お前エルフぞk……」
シュッ
娘「そこまでよ」
魔法勇者「ふがッ!?」
娘は魔法勇者の口にナイフを突っ込んだ、笑顔だが殺気が出ている。
少年エルフ「娘!? 僕は大丈夫だから ちょっと」アセアセ
娘「……エルフは早く帽子をかぶって」
少年エルフ「う うん」
娘「さてと貴方はこの子がエルフ族と思ったかもしれないけど そう見えただけで違うから…… そうよね? ただの耳が長めの男の子よね?」
魔法勇者「ふがっしかっ」
魔法勇者の舌先をナイフがかすめる、口の端も少し切れた。
娘「わかったら頷いて」
魔法勇者「」ぶんぶん
魔法勇者はうなづいた。
娘「わかったら行って」
娘は魔法勇者の口からナイフを引き抜いて言い放つ。
魔法勇者「お おう」バタバタ
爺僧侶「……失礼した まったく不甲斐ない」
孫僧侶「娘さんカッコイー じゃねー」
魔法勇者たちは立ち去った。
○
町長「王女 エルフ族を飼っているのですか!?」
娘「なんですって!!」
娘は憤慨した。
少年エルフ「娘!」
少年エルフがしがみついて娘を引き止める。
第七王女「エルフはわらわの弟分じゃ 何ぞ問題があるかのう」
町長「弟分 まぁそういうことでしたらそういうことで……」
少年エルフ「……(弟分)」トオイメ
娘「……」イライラ
町長「ただ この町は魔法国出自の家も多いのです 町ではエルフ族が居るコトは内密に」
娘「言われなくてもそうするわ」
町長「それはよかった」
娘「っ! 行きましょ王女! エルフ!」
娘は少年エルフを引っ張って歩いていく。
少年エルフ「何!? どうしたの?」
第七王女「……ふむやっかいなことにならぬといいが」
○夜・酒場
夕食をとりながら少年エルフは魔法国について第七王女から聞いている。
第七王女「魔法国は昔エルフ族狩りを行ったためエルフ族に滅ぼされた国じゃ」
少年エルフ「エルフ族狩り!?」
第七王女「さよう 古来魔法国はエルフ族から魔法を習って発展したのじゃが いつしかエルフ族の魔力特性を利用しようとしたのじゃ」
少年エルフ「そんな……」
娘「エルフ大丈夫? 無理に知らなくてもいいのよ」
少年エルフ「ううん 知っておきたいんだ 王女つづけて」
第七王女「うむ エルフ族は魔法国との戦争に勝ったのじゃが その後帝国が介入して再び戦争になり負けておる 今では魔法国は帝国の一部じゃ」
少年エルフ「そうなんだエルフ族と人が戦争を」
第七王女「ざっと100年程前のことじゃ その時の魔法国の民は周辺国にちらばり魔法使いの家元となったのじゃ 魔法の普及にもつながっておる」
少年エルフ「100年前なのにエルフ族を嫌う人がいるの?」
第七王女「それは……」
娘「エルフ……」
第七王女「戦いにおいてエルフ族は圧倒的な魔法を振るったという それゆえ恐怖の対象として伝承されておるんじゃ」
少年エルフ「そうなんだ…… そうだよねこんなに魔力があるんだし……」
娘「大丈夫よ エルフは攻撃魔法は使わないし嫌いでしょ?」
少年エルフ「そうだけど」
第七王女「それにしてもあのバカ勇者がいいふらなさければいいがのう」
娘「そうね アレと一緒の宿はイヤだし別の宿にしましょうよ」
娘は町長の紹介状を振りながら言う。
第七王女「わらわもそう思うがのう 今は祭ゆえにどこも満室なんじゃそうじゃ」
娘「困ったわね」
少年エルフ「ごめんね僕のせいで……」
娘「そんなことないわ あのバカ勇者が余計なことしたせいよ」
第七王女「そうじゃ あのバカがのう」
少年エルフ「でも本当にどうするの?」
娘「うーん」
第七王女「ここらに詳しい者がおればのう」
神官「安心してください この町に詳しい旅の僧侶がここにいますよ」二カッ
少年エルフ「あっ 神官さん」
神官があらわれた。
神官「どーもお久しぶりですエルフさん 娘さんに王女サマも」ニコニコ
第七王女「久しぶりじゃのう 魔王温泉いらいじゃの息災であったか」
神官「はい 王女サマもお元気で何より」
娘「それより貴方なんでここに」
神官「いや~ この先の知り合いに顔をだそうと思いまして まぁ船が出てないので足止めを食らってる次第です」
第七王女「それよりここらに詳しいのか? こっそり泊まれる宿を探しておるのじゃが」
神官「ははあ それなら安心安全秘密厳守のステキなお店がありますよ」ニコニコ
少年エルフ「ホント!? どこ?」
○町はずれの酒場?
神官「ここですよー」
ガチャ
姉・妹サキュバス「「いらっしゃいませー」」
たゆんたゆん
扉を開けると双子のサキュバスが豊満な胸を揺らして出迎えてきた。
少年エルフ「あ!」
娘「んな!?」
第七王女「お?」
そこは双子のサキュバスの店だった。
○
※更新終了 今回はここまで
忙しいのが予定より早くなって書くのは遅れ気味です、進みが遅いですがご了承願います。
ちなみにカニを食べながら作戦会議するシーンが砂漠編であったのですが会議にならないので没にしました。
次回更新も日曜の夜までに。
乙!
乙
カニに挟まれながら双子を食べたい
#20 シェアハウス・ウィズ・ツインサキュバス
○双子サキュバスの店
ガチャ
姉サキュバス・妹サキュバス「「いらっしゃいませー」」
神官「今日もきちゃいましたー」
妹サキュバス「なんだ神官さんか あの話ならお断りよ」
神官「いえいえ今日はステキなお客様も一緒ですよ」
第七王女「なんじゃここは?」
少年エルフ「あの……」
姉サキュバス「きゃーー もしかしてエルフちゃん!?」
少年エルフ「やっぱりお姉さん!?」
神官「おや? お知り合いでしたか」
少年エルフ「ええ ちょっと交流会で……」
姉サキュバス「嬉しいわー わざわざ来てくれたの」
シュッ
姉サキュバスは少年エルフにかけよろうとすると前を遮る者があらわれた。
娘「いいえ タダの偶然よグウゼン」ゴゴゴゴゴゴ
姉サキュバス「あら!? アナタ」
少年エルフ「え? 知り合い?」
娘「いーいーえ 知らないわ 初対面よね」ゴゴゴゴ
姉サキュバス「え? ええそうね」
少年エルフ「そうだよね お姉さんは以前交流会で知り合ったの……ご飯食べてそれから……えっと(寝ちゃったんだっけ?)」
○???
娘友「……(聞こえますか 今アナタの心へ直接かたりかけています)」
娘友「……(異種族交流会 それはアタシの親父が開催した異種族交流をお題目にした異種族婚活パーティでした)」
娘友「……(そこでエルフさんに目を付けたのがエルフ族を騙った双子サキュバスだったのです)」
娘友「……(あわやエルフさんがその毒牙にかかるその時 乱入した娘は双子サキュバスに鉄拳制裁を加えてエルフさんを救い出しました)」
娘友「……(ちなみにエルフさんはその時の記憶はエナジードレインの影響であやふやになってます)」
娘友「……(それでは続きをお楽しみください)」
○
少年エルフ「えっと?」
娘「あら それはそれはエルフが世話になったわね」ゴゴゴゴ
姉サキュバス「……(コワイ)いえいえこちらも結構なモノを」ドキドキ
第七王女「浅からぬ因縁を感じるのう」
妹サキュバス「とりあえず何しに来たの ホント?」
○
姉サキュバス「へー それでお姫様と一緒に旅をしてるの」
第七王女「そうじゃ それでこの町に来たのじゃがエルフの耳がばれてしまってのう」
姉サキュバス「そうね 私はエルフちゃんを先に知ってたからそうでもないんだけど…… ヘンな噂話でエルフ族を嫌ってる人はいるわね」
少年エルフ「噂……どんなの?」
姉サキュバス「そうね…… 洪水を起こしたとか竜巻を起こしたとか」
娘「たしかにエルフ族の魔法ならそれくらい出来るわよね」
妹サキュバス「巨大化して手が六本で眼から光線をだしたとか」
少年エルフ「ええ!?」
神官「他にも年末に山からおりてきて悪い子供をさらって食べてしまうとか 泳いでる子供の尻からエナジードレインをするとか……」
第七王女「それは違うじゃろ」
神官「まぁ結局はただの噂ですよ 尾ひれがつくのはよくあることです」
少年エルフ「エルフ族ってなんなんだろう」うーん
少年エルフは混乱している。
娘「ただの噂よ 気にしないで」
姉サキュバス「何か飲む? 落ち着くわよ」
姉サキュバスはそういってメニューを渡した。
少年エルフ「ありがとう…… 飲み物いっぱいあるね」
娘「ほとんどお酒よ 私たちが飲めるのはこっちよ」
第七王女「ほうほう……この『ぱふぱふ』とはなんじゃ?」
神官「あらら 気づいちゃいましたソレ」
少年エルフ「どんな飲み物なの?」
妹サキュバス「それはね飲み物じゃなくてサービスよ」うふふ
姉サキュバス「試す? 気持ちいいわよ~」うふふ
少年エルフ「えっと?」
姉サキュバス「特別にエルフちゃんは二人でしてあげましょうか」
妹サキュバス「お代は魔力払いでいいから ね?」
少年エルフ「えっとえっと?」
娘「あーら だったら私からして貰おうかしら」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ガシッ
姉サキュバス「え!? ちょっと」
妹サキュバス「まって またアレですか!? ヒィ!!」
娘は双子サキュバスを掴んで隣室へひきづっていく。
少年エルフ「娘? えっと……どうしたの」
娘「エルフちょっとまっててね」
バタン
娘は双子サキュバスと共に隣室へいってしまった。
\魔力払いね じゃあコレで/
\まってそれだけはご勘弁を/
\タスケ……/
バリバリバリバリ
\オムネガー!!/
\エリクトリカルパレードー!!/
シュー
ガチャ
娘が隣室から戻ってきた。
娘が隣室から戻ってきた。
娘「エルフ 今夜の宿代も払っておいたから」ニッコリ
少年エルフ「……お姉さんたちは?」
娘「もう寝たわ」ニッコリ
少年エルフ「……」
第七王女「わらわ達ももう寝るかの」
神官「そうですね 二階で寝れますよ」
○
※更新終了 書く時間がなくて進みません 来週も時間がないので次の更新は再来週の日曜で
七月になってしまいますね……スミマセン
最後の休暇はいつだったのか次の休暇はいつになるのか では次回で。
誰かと思ったらあの二人か
#21 シェアハウス・ウィズ・サキュバス2
○双子サキュバスの店・二階の部屋
ガチャ
第七王女「ここかの」
少年エルフ「いいのかな勝手に入って」
娘「話はついてるわよ」
神官「ここなら安全ですよ 秘密厳守ですから」
娘「って なんでアナタまで入ってくるのよ」
神官「ええ~ だって部屋はここだけですし」
娘「だからって一緒じゃなくてもいいじゃない」
少年エルフ「娘 そんな言い方しなくても だいたいここを紹介してくれたのは神官さんでしょ?」
娘「うっ」
神官「そうですよね さすがエルフさん 話が分かりますね」
第七王女「それよりシャワーを浴びたいのじゃが?」
娘「そうね…… 潮風でベタベタだしさっぱりしたいわ」
神官「それでしたらあちらに……」
神官が指さす方にガラス張りのシャワールームが設置されている。
娘「……」
少年エルフ「なにあれ? あれじゃあ見えちゃうじゃない」
第七王女「ふむ モダンな造りじゃのう」ぬぎぬぎ
第七王女は服を脱ぎ始める。
娘「ちょっと 王女……」
○廊下
ドゲシッ
娘「しばらく待ってなさい!」
神官「ぎゃふ」
神官は廊下に蹴り出された。
神官「やれやれ…… オトコは辛いとろこですね」
少年エルフ「ごめんね なんだか気が立ってるみたいで……」
神官「おや エルフさんも追い出されましたか?」
少年エルフ「だって娘もシャワーするんだし出てなきゃ……」
\エルフ? エルフは出なくてもいいのに/
\エルフも一緒に入らぬか/
神官「エルフさんは良かったみたいですよ」
少年エルフ「もう…… 娘も王女さまも子供扱いしないでよ!」
\親子だから別にじゃない/
\子供あつかいなんぞしとらんぞ…… 弟扱いじゃ/
少年エルフ「も~ とにかくダメ 早く済ませて」
\\はーい//
神官「……エルフさんも苦労されてますね」
○
神官と少年エルフが廊下で娘達のシャワーが終わるのをまっている。
少年エルフ「ねぇ 神官さん」
神官「はい 何ですか?」
少年エルフ「その…… 約束覚えてる?」
神官「約束…… 何だったでしょうか?」
少年エルフ「魔王温泉でわかれる時にしたじゃない また会ったら教えてくれるんでしょ?」
神官「あぁ 思い出しました 私の魔力についてでしたよね」
少年エルフ「うん 神官さん普通の人の魔力じゃないよね どうして?」
神官「そうですねー……(どう話したものか) 確かに私は他の方と違います」
少年エルフ「うん……」
神官「そういえば少年エルフさんはサキュバスさん達とお知り合いでしたね?」
少年エルフ「え? うんそうだけど」
神官「彼女達の生い立ちは聞いていますか?」
少年エルフ「えっと? この町の出身だったよね」
神官「はい 彼女たちはこの町生まれの普通の人間の姉妹でした」
少年エルフ「普通の人間? でもお姉さんたちって……」
神官「はいサキュバスです 彼女達は成長途中で魔族の血が発現したのです」
少年エルフ「魔族の血?」
神官「はい たまに居るのです混血児の末裔が……その古い血が発現した者がこの数十年で増えています」
少年エルフ「そうなんだ……知らなかった」
神官「無理もありません大抵は人目を避けますから 彼女たちのように町中で暮らしているのは珍しいです」
少年エルフ「そうなんだ でもそれが神官さんとどう関係するの?」
神官「私も彼女たちと一緒ということです」
少年エルフ「え゛っ!? 神官さんもサキュバスなの」
少年エルフは思わず後ずさった。
神官「いやいや違います 私はシャドウ族です」
少年エルフ「シャドウ族?」
神官「実体が希薄な影の魔族ですよ 魔力に秀でていたそうで私もその性質が強く現れました」
少年エルフ「そうなんだ」
神官「おかげで聖職者が魔族の末裔なんて! ってことで破門されちゃいましたけど」
少年エルフ「え そうなの!?」
神官「それで途方にくれていたところをある方に拾われまして 同じような魔族の末裔を探してお互いに助け合おうと組合を作ろうとしている最中なのです」
少年エルフ「組合って そんなに沢山いるの?」
神官「いや~ なかなかいませんしサキュバスさん達みたいになかなか賛同してくれない方もいますので」
少年エルフ「そうだったんだ」
神官「どうです? よろしければエルフさんも組合に入りますか?」
少年エルフ「僕が?」
神官「ええ エルフさんは魔族の末裔というわけではありませんが少数派なのは変わりませんし」
少年エルフ「少数派…… それはそうだけど」
神官「どうですかお困り事などありませんか~? 力になりますよ~」
少年エルフ「困り事……」
ギィイ
娘「あーら 一体何の勧誘でしょうかね」ゴゴゴゴゴ
神官「ふはっ」
娘が扉を開けて現れた。
娘「エルフ ダメよこんな怪しい奴の話を信じちゃ」
神官「怪しいだなんてそんな これでもレッキとした僧侶ですよ~ やだな~」ハハハ
娘「……まあいいわ 私と王女は済ませたからエルフも済ませてきて 待ってるから」
少年エルフ「うん わかった」
少年エルフは娘たちと入れ替わり部屋にはいる。
神官「エルフさん考えておいてくださいね 急がなくていいので」
少年エルフ「え? うんわかった」
○部屋
第七王女「さて寝るのじゃ 岬は歩いては結構かかるそうじゃからの早くに発たねば」
少年エルフ「でも……大きいベットが一つだけだよ どうしよう」
娘「……このサイズなら一緒でも問題はないわね」
神官「そうですね 今夜はみんな仲良く一緒に寝ましょう」ニコニコ
○廊下
ドゲシッ
神官「ぎゃひん」
娘「アンタはそこ!」
バタンッ!
布団でスマキにされた神官が廊下に蹴り出された。
○部屋
娘「まったく……遠慮ってものを知らないのかしら」
少年エルフ「えっと……じゃあ僕も向こうで寝るから」
第七王女「ダメじゃ エルフはここでわらわと寝るのじゃ」ぽんぽん
少年エルフ「イヤです」トオイメ
第七王女「むぅ 娘よエルフが反抗期なのじゃ」
少年エルフ「いやそうじゃなくって……」
娘「そうね…… パパ?」
少年エルフ「なに?」
娘「”睡眠”」ポワワーン
少年エルフ「ぅあ……」カクン
第七王女「おっと」
眠ってしまった少年エルフを第七王女が受け止めた。
娘「王女 パパと一緒にそっちで寝てくれる?」
第七王女「うむ わかったのじゃ…… それにしても簡単に魔法にかかったのう」
娘「パパは感受性が高いから…… それじゃあ私はこっちで寝るね」
第七王女「うむ おやすみなのじゃ」
娘はベットの扉側で横になり扉を見つめる。
娘「おやすみ……(パパは私が守る)」
○深夜・階段
ミシミシ……
姉サキュバス「この時間ならみんな寝てるわよね」
妹サキュバス「姉さん あれだけやられてるのにまだ狙うの?」
姉サキュバス「もちろんよエルフちゃんのエナジーは極上なんだから 妹ちゃんにも味わさせてあげたいわ」
妹サキュバス「そうなの? まぁ姉さんがいうなら」
○二階廊下
姉サキュバス「あら神官さんが寝てるわ」
神官「スピースピー」
スマキになった神官が廊下で寝ている。
妹サキュバス「メンドクサイからほっときましょ」
姉サキュバス「そうね」
○部屋前
双子サキュバスはエルフ達が寝ている部屋の前に来た。
姉サキュバス「よーしここね エルフちゃんの濃厚でありながら若々しさを感じる新鮮なノド越し そして悶える姿~ フフフ あの味をもう一度」じゅるり
妹サキュバス「姉さん大丈夫?」
姉サキュバス「大丈夫よ 二人で吸ってもお腹いっぱいまで吸えるわよ~ 桁外れの魔力なんだから」
妹サキュバス「そうじゃなくて……まあいいわ でもバレたら今度こそ黒焦げにされるわよあの電撃ムスメに その点わかってる?」
姉サキュバス「大丈夫よ いくら狂暴でも人間だもの こんな時間に起きてるわけないわ」
ガチャ……ギィ
姉サキュバス「さて極上エルフちゃんはどこかしら?」
姉サキュバスは扉を細くあけて室内を伺う。 室内で横になっている3人が見える
第七王女「むにゃむにゃ……」
少年エルフ「すーすー」
娘「……」キラン
姉サキュバス「ヒィ!」
バタン
妹サキュバス「姉さん?」
姉サキュバス「今 娘さんと目が! 目が合ったわ逃げましょう」アタフタ
妹サキュバス「寝てるっていったのは姉さんでしょ?」
ガチャ
妹サキュバス「半眼あけて寝てるとかじゃ……」
娘「……」ジー
妹サキュバスが覗くと扉越しに娘が凝視している!!
姉・妹サキュバス「「ヒィ!?」」
娘「誰が電撃ムスメですって?」ゴゴゴゴゴゴ
妹サキュバス「あああ そんな滅相も……」ガクガクブルブル
姉サキュバス「そうですす す……”睡眠”」ポワワーン
しかし娘には効かなかった。
妹サキュバス「ウソぉ!? ”誘惑”」ミョミョーン
しかし娘には効かなかった。
娘「……私にその手の魔法は効かないわよ 知ってるでしょ」ゴゴゴゴ
姉サキュバス「そんな!? ”幻惑”」シュワワワ
しかし娘には効かなかった。
妹サキュバス「お願い! ”魔封じ”」シュピン
娘は魔法が封じられた!
娘「あ」
妹サキュバス「やったわ!」
姉サキュバス「すごいわ妹ちゃん 魔法が無ければアナタなんて怖く……」
ガッ! ガッ!
娘のアイアンクロー! 娘が双子サキュバスの頭を締め上げる。
ギリギリギリギリッ
姉・妹サキュバス「「ヒイイイイイイイイ」」
娘「静かに…… 下に行きましょうパパが起きちゃうから」ゴゴゴゴ
○
\ヒィ……ゴメンナサイ……/
バタバタズルズル
神官「……んん? おや娘さんこんな時間にどちらへ」
スマキの神官は双子サキュバスを引きずって歩いていく娘に気付いた。
娘「あら? 起きたの」
\タスケ……/
娘「ウルサイっていってるでしょ」
\ハゥ……/
神官は悲壮な双子のサキュバスを見て悟る。
神官「ははあ お姉さんたちが何かやらかしましたか しかし娘さんもそんな事をしてるなんてエルフさんが知ったらどう思うでしょうかね?」
娘「……」
\ヤッタキイテル……/
\イイワモットイッテヤッテ/
神官「エルフさん優しい方ですから貴方の行いを知ったらきっと悲しむのでは……」
娘「……大丈夫よ 知られなけばいいから」
神官「え? それはどういう……まって まってください」
娘はスマキの神官をふんずけた。
神官「ぐげぇっ」
神官は気絶した。
○階段
娘「さ 行きましょうか(後で記憶消しておかないと)」
姉サキュバス「あの 下で何を……」ガクガク
娘「そうね 魔法が使えないから…… オババ直伝の”交渉”よ」ニタリ
妹サキュバス「ヒイイ」ガクガク
姉サキュバス「許して……」ブルブル
娘「……それか”しつけ”かな 下で決めるわ」
トントン
姉サキュバス「誰か……」
妹サキュバス「助けて……」
ズルズルズル
双子サキュバスが階段にしがみついて抵抗するが無慈悲に引きずりおろされる。
娘「……自業自得でしょ まったく」
娘はオババの言葉を思い出す。
――オババ『素早く そして徹底的に』
○朝・双子エルフの店 一階
少年エルフと台七王女が二階から降りてくる。
第七王女「ふわー よく寝れたのじゃ」
少年エルフ「娘ー? 起きてるの?」
娘「パパ おはよう 先にいただいてるわ」
娘は朝食を食べている。
第七王女「早いのう わらわもいただくのじゃ」
第七王女も席に着く。
少年エルフ「こんな朝ごはんまでありがとうね お姉さん」
姉サキュバス「はひぃっ! エルフちゃんと娘サマのタメでしたらぁ」ビクビク
少年エルフ「え!? どうしたの? 何かあった?」
妹サキュバス「いいえ 何もアリマセン大丈夫です」ビクビク
第七王女「何をそんなに怯えておるんじゃ?」
姉サキュバス「いえ そんな」
娘「……そうよ いつも通りよね?」
妹サキュバス「ハイイィ 娘サマの仰る通りです」
少年エルフ「……娘……サマ?」
娘「ほら 早く食べないと 灯台まで結構かかるって話よね」
第七王女「うむ そうじゃったな早く発つ手はずじゃな」
少年エルフ「うん そうだね……?」
モグモグ
少年エルフ「……お姉さんたちは食べないの?」
妹サキュバス「いえ 私達はそんな……」ビクビク
娘「後で食べるって だから早く」
少年エルフ「う うん」
姉サキュバス「そうです早くっ…… うぅダメ戻しそうだわ」ガク
妹サキュバス「姉さんしっかり! 娘サマの前で粗相なんてしたら」ガクガクガクガク
少年エルフ「あの……お姉さん大丈夫?」
姉サキュバス「えぇ大丈夫よ(あぁなんて天使なのかしら)」
娘「……」ギロリ
姉サキュバス「はぅ!! ぅぐ……」
バタバタバタ
姉サキュバスは逃げ出した。
妹サキュバス「まって一人にしないで」
バタバタバタ
妹サキュバスは逃げ出した。
少年エルフ「娘 夜中になにしてたのホントに?」
娘「そんな別に……ちょっと”お話し”てただけよ ほらもう時間よ先に支度するわ」
バタバタ
娘も逃げるように二階へ上がっていった。
少年エルフ「……」
第七王女「とりあえず食事を済ませるのじゃ」
少年エルフ「……うん」
○
第七王女「よーし皆の者準備できたの?」
少年エルフ「結構時間かかったねぇ」
娘「誰かさんが遅かったから」
神官「あの? 結局ほどいてくれたのエルフさんでしたよね? ですよね?」
娘「なんで貴方まで来るのよ」
神官「灯台までは道が細いし霧も出ますよ案内が無いと迷いますよ それに灯台守が私の友人でして……」
第七王女「ふむ 知り合いなのか?」
神官「どうせ船で寄るつもりでしたし 貴方たちが歩いて行くならご一緒した方が早いと思いまして」
少年エルフ「そうだったんだ 無事でいるかな? 心配だね」
神官「……そうですね 心配です」
第七王女「ならば急ぐのじゃ しゅぱっーつ」
第七王女たちは岬の灯台へ向かう。
○
※今回はここまで
暑いですね 激務に体調不良に通信制限にとイロイロ難儀しています
なんとか生存して更新していきます 次の更新は来週の日曜に
おつ!
乙
#22 霧の中
○朝・広場
爺僧侶「やはりもうこの町を発ったようですぞ」
魔法勇者「そうか 宿にもいなかったしな……どこに泊まったんだ?」
タッタッタ
孫僧侶「買い出し戻りましたよー」
魔法勇者「ご苦労 よし食事をすませたらもう一度宿屋を一回りするぞ」
爺僧侶「そうですな」
ガサガサ
孫僧侶の買ってきた軽食を食べつつ相談する。
孫僧侶「なんです? また宿屋で聞き込みですか?」モグモグ
魔法勇者「そうだ やっと見つけた手がかりだからな……しかしなんであんなチンチクリンなんかと一緒に」モグモグ
爺僧侶「坊 どのようであれ一国の姫にそのような言いぐさは……」モグモグ
孫僧侶「姫ちゃんやんちゃで可愛いじゃない さっきも朝から元気な挨拶してくれたよ」モグモグ
魔法勇者「やんちゃって……やんちゃにもほどがあるぞ オトコのまたぐら蹴り上げるような奴は……」
爺僧侶「あれは坊も悪いですぞ 従者と姫を間違うなどと……」
モグモグ
魔法勇者「……まて お前いま挨拶したって どこで?」
孫僧侶「え? 屋台で姫ちゃんたちもお弁当買ってたよ『これから灯台にいくのじゃ』って」
魔法勇者・爺僧侶「「ゴホッ!!」」
孫僧侶「うわ きたな」
魔法勇者「バカお前! アイツがいたらあのちびエルフも一緒だろうが 行くぞ! 追いつくぞ」
孫僧侶「まってまって お爺ちゃんが喉つまらせた」
爺僧侶「ゴフッゴホッ」
魔法勇者「ああもう これ飲め 早くしろ!」
○崖っぷちの道
少年エルフ「うわー 霧がスゴイねぇ」
第七王女「潮の香もすごいのじゃ 海の中を歩いておるようじゃな」
娘「ふたりとも足元に気をつけてよ 海におっこちないでね」
少年エルフ「落ちないよ もう」
第七王女「落ちるよりはやく着地するから大丈夫じゃ」
娘「なによそれ」
神官「おや? 道が」
少年エルフ「神官さんどうしたの?」
神官「道が塞がってますね」
道は巨大な岩のようなもので塞がっている。
娘「落石? 困ったわね」
第七王女「これくらい登って……なんじゃ? やけにツルツルした岩じゃのう」
ゴゴッ
少年エルフ「まって! この岩動いてる」
第七王女「なんじゃと?」
ズボォン
少年エルフ「うわああ」
娘「きゃあ」
第七王女「ほおおおお!?」
岩だと思ったのは巨大な巻貝だった! 下から巨大なハサミが伸びてくる。
シャキンシャキン
神官「またカニですか?」
第七王女「いやこれは ヤドカリじゃ! 巨大ヤドカリじゃ」
巨大ヤドカリが襲い掛かってきた。
カサカサカサ シャキンシャキン
娘「カニだかエビだかしらないけど……もうたくさんよ”雷斬り”」
ズバァン ビリビリ
娘「くっ 硬いわね……」
シャキンシャキン
第七王女「うーむ こんなところで暴れられてものう」ヒョイヒョイ
少年エルフ「ねぇ この崖の下って海でしょ?」
神官「そうですよ」
少年エルフ「だったら……”風弾”」ビュオオオン
巨大ヤドカリ「!?」グラッ
ひゅーん ドボーン
巨大ヤドカリは風で体勢を崩して海に落ちて行った。
娘「凄いわパパ 流石だわ」
神官「ただの風弾であんな巨体を……たいした魔力ですね」
少年エルフ「え? その……僕はあれしか出来ないから」エヘヘ
第七王女「よーし進むのじゃ」
神官「おや足元に気をつけてください…… ウニがいますよ」
第七王女「なに?」
○
第七王女「海の中みたいじゃといったが……」
少年エルフ「ホントに海の中歩いてるんじゃないよね?」
灯台への崖の道は巨大なイソギンチャクやヒトデ ウニといった磯辺の生き物にあふれていた。 巨大化して。
巨大ウミウシ「……」ヌロン
巨大ウミウシがあらわれた。
少年エルフ「……」
第七王女「……」
のそのそ
娘「……」
神官「……のろいですねぇ」
のそのそ
巨大ウミウシは道を横切っている。
少年エルフ「歩いてるだけだし 待とうよ」
第七王女「そうじゃな」
娘「でもこの巨大海産物は一体なんなの? ここらの特産なの?」
神官「いえいえ こんな巨大なの初めてみますよ異常ですよ」
少年エルフ「これってやっぱり灯台の異変と関係あるのかな?」
神官「どうでしょうね ……でもこんなものが歩き回ってたら普通の人は外に出れないですね」
第七王女「そうじゃな 灯台守も困っておるのかもしれんの」
○
神官「もう少しですかね」
第七王女「やっとか結構かかったのう」
\キャーー/
第七王女「悲鳴じゃ! 誰かが襲われておる」
ダダダ
第七王女は道を引き返して悲鳴の元へ向かう。
娘「でも後ろからって?」
神官「他にもお客さんがいたんですかね」
○
孫僧侶「きゃーヘビー!!」
爺僧侶「似てるが違う これはウツボじゃ!!」
魔法勇者「なんだここは? ハァハァ……さっきから無茶苦茶じゃないか……ぜぇぜぇ」
巨大ウツボ「シュルル」
魔法勇者たちが巨大ウツボに襲われている。
孫僧侶「来るな”風刃”」シュバッ
巨大ウツボ「ギュオ」
巨大ウツボに風の刃が当たるが大したダメージにはならない。
爺僧侶「坊 はやく魔法を」ブンブン
爺僧侶はメイスを振り回してけん制をしている。
魔法勇者「まて……走りっぱなしで息が……」
巨大ウツボ「ギュオオオ」
爺僧侶「うおおお」
娘「”電撃”」
バリバリバリッ
巨大ウツボ「ぎゅわあああ」
巨大ウツボは電撃に怯んで逃げ出した。
爺僧侶「おう……助かりました」
第七王女「なんじゃ おぬしらか」
魔法勇者「ふん なんだその……偶然だな」
娘「偶然ってウソでしょ」
孫僧侶「あ 王女ちゃん今朝ぶりー 走って追いかけてきたよ」
爺僧侶「霧の中を走ったせいで何度が大変な目に遭いましたがの」
魔法勇者「だからお前ら全部勝手に言うんじゃねぇ!」
第七王女「ほーう 追いかけてのう なんぞ用があったのかの?」
魔法勇者「別に…… 俺は勇者としての責務を果たしに灯台に行く途中だ」
第七王女「勇者のう…… まぁ勇者を名乗るのは誰でもできるからのう」
魔法勇者「なっ お前だって勝手に二代目とか名乗ってるんじゃねーよ」
第七王女「なんじゃと!」
魔法勇者「お やるか? 言っておくが俺は熱量操作は上位系統まで習得済みだぞ」
第七王女「な~にが上位系統じゃ そんなものこうじゃ」シュッ
第七王女は投げナイフを投げつけた!
少年エルフ「ちょっと王女!?」
魔法勇者「んな!?」
ザシュ
???「キュエエ」
霧の中から魔法勇者を狙っていた何かが引っ込んだ。
第七王女「なんじゃ今のは? またウツボかの」
魔法勇者「やってくれるじゃねえか ”氷牙”」シュキン
魔法勇者は氷の刃を打ち出した。
爺僧侶「な!? 坊!」
第七王女「よっと」ヒョイ
シャキン パキパキ
???「キュエエ」
第七王女「な!?」
第七王女が立っていた場所に氷漬けになった触手が落ちている」
魔法勇者「なんだこれは? タコか?」
孫僧侶「ちょっと……今の何?」
娘「気をつけて 霧の中に何かいるわ」
ニュルニュルニュル
バシンバシン
少年エルフ「うわぁ」
霧の中から触手が襲い掛かってきた。
神官「いやはや困りましたね」
○
孫僧侶「きゃーー」
孫僧侶が触手に捕まり霧の中へ吸い込まれた。
魔法勇者「お前! どこ行った!?」
第七王女「おのれ 姿を現さずに卑怯な!」
娘「王女危ない!」
バシン
少年エルフ「娘!」
娘「痛ぅ ドジったわ……きゃっ」
娘も触手に捕まってしまい霧の中へ消えてしまった。
少年エルフ「娘! こんな霧……”旋風”」ゴオオ
旋風が巻き起こりあたりの霧を散らした。
???「」ニュルニュル
孫僧侶「きゃあああ ナニコレ!?」
魔法勇者「イカぁあ!?」
巨大イカが娘たちを捕まえている。
魔法勇者「魚介類のくせに陸で戦うとは不届きな 食らえ”豪火球”」
ボオォン
巨大イカ「!!」
娘「熱っつ ちょっとお!」
孫僧侶「アタシたちも居るんですよ バカ坊!」
魔法勇者「ぐぬう だったら双高閃熱で……」
神官「豪火球より範囲が広いじゃないですか」
少年エルフ「もっとピンポイントの魔法はできないの?」
魔法勇者「俺はチマチマした魔法は好かん!」
第七王女「だったらわらわが直に切り落としてくれるわ」シュッ
少年エルフ「王女」
○
巨大イカ「」ウニュルウニュル
巨大イカは魔法に怯んで海に逃げようとしている。
孫僧侶「このっこのっ はなせ」ぺしぺし
娘「……(剣は落としたしあの子がいたんじゃ電撃も……何か手は)」
タタタ
第七王女「いま助けるのじゃ」
孫僧侶「わーたすけてーこっちですー」ジタバタ
第七王女「とーう」
娘「あ 王女ダメ!」
第七王女は高く舞い上がり跳びかかった。
巨大イカ「」シュル
パシ
第七王女「あ」
第七王女は空中で巨大イカに捕まえられてしまった。
娘「遅かった……」
第七王女「ぬかったわ……」
孫僧侶「空中じゃ避けれないですよね」
娘「っていってる場合じゃないわ 落ちるわよ!」
巨大イカは崖から海へ飛び込む。
孫僧侶「きゃああああ」
第七王女「おおおおお」
ザッパーン
○
少年エルフ「うそ 娘ー!?」
爺僧侶「なんてこと……孫よ」
神官「あ 浮いて来ましたよ」
海面に巨大イカと娘たちが浮かび上がった。
少年エルフ「娘ー! 王女ー!」
神官「……今の衝撃で気を失ってるようですね」
魔法勇者「くそ アイツらが捕まっていなければ俺の魔法で」
爺僧侶「あやつあんな所へ……」
巨大イカ「」ニュルニュルニュル
巨大イカは大きな岩の割れ目にその巨体を滑り込ませていく。
爺僧侶「信じられん あんな巨体が」
魔法勇者「くそ 逃げられるぞ」
みるみるうちに巨大イカはその体の大半を岩の向こうへ滑り込ませた。
少年エルフ「娘ー!」
娘「う…… エルフ……?」
ニュルン
最後に見えていた、捕まえられた娘が闇に消えた。
○
少年エルフ「そ そんな娘……」
魔法勇者「くそまだ間に合う いくぞ!」
爺僧侶「おやめください 海に飛び込むつもりですか!?」
少年エルフ「あんな所どうやって下りれば……」
神官「あそこは確か……灯台の魔力の間ですよ」
爺僧侶「灯台の? どうしてこんな所にそんなものが」
神官「おや? だってもう灯台ですから」
少年エルフ「え?」
霧の向こうにうっすらと塔らしき物が一瞬見えた。
神官「霧が濃いですからね 気づきませんでしたか」
少年エルフ「じゃあ灯台の地下があの岩の向こうに……」
神官「そのはずですよ」
魔法勇者「よし 行くぞ」
○灯台・入口
魔法勇者「ここが入口だな」
神官「焦るのはわかりますが あまり軽率に動いては……」
爺僧侶「たしかに中に何が居てもおかしくはありませんな」
少年エルフ「でも早くしないと娘達が」
魔法勇者「ええい もう何が出ようと怯まぬドーンと来い」
バァン
魔法勇者は扉を開け放った。
イカ男A「!」
イカ男B「!」
イカ男C「!」
イカ男D「!」
イカ男E「!」
イカ男F「!」
少年エルフ「ひ……頭が……」
爺僧侶「またイカか!?」
神官「これはまた『イカ人間』ですかね」
イカ男たち「ッ!ッ!!」ニュルニュル
イカ男たちが襲い掛かってきた!
少年エルフ「うわあああ」
魔法勇者「このゲソ野郎!」
○
※更新終了
某ゲームで貝殻しょったカニがでますが、アレってヤドカリだよねと友人に行ったらなんか怒られましたことがあります。
まぁカニでも貝殻しょう奴いますよね多分。
ギリギリだったり少なくなりますが一応来週の日曜に更新します。 ねむいけどまだねれない。
カニといえばテイルズ最強モンスターカニしか思い浮かばん
#23 博士の特殊な愛情
○???
ニュルニュルニュル
???「戻ったか今度は何を捕まえた」
巨大イカが使えた娘達を差し出す。
娘「……」
孫僧侶「……」
第七王女「……」
娘達は気絶している。
???「これは素晴らしい! 最高の素材だ」
巨大イカ「」ニュルニュル
???「よくやった 船に運んでおけ 丁重にな」
???『やめろっ こんな子供まで巻きこむな!』
???「貴様…… まだそんなことを」
???『もう計画は終わりだ 皆をもとに……もど……』
???「……うむ よし消えたな……研究は既に私のものだ」
\ドーン ボゴォン/
???「まだ騒がしいのが残っておるな」
○灯台一階
ドタドタドタッ
魔法勇者が魔法を連発しながらイカ男を蹴散らしていく。
魔法勇者「どけどけーい”爆裂”」
ドドォン
イカ男「ッッ!!」
イカの焼ける匂いをかきわけ少年エルフ達は駆け抜ける。
少年エルフ「こっちでいいの?」
神官「そうですね 管理室があるはずです」
管理室への扉が見えた。
魔法勇者「ここか?」
ガチャ
少年エルフ「あかないっ!?」
魔法勇者「これしき ”炸裂”」
ボォン
魔法勇者は魔法で扉をふっとばした。
○管理室
灯台守「ひゃあああっ お助けー」
神官「おや? 無事でしたか」
魔法勇者「灯台守か」
灯台守「おぬし! それに貴方たちは?」
魔法勇者「俺は魔法勇者だ助けにきたぞ」
灯台守「それはなんとありがたい……急に生物が大きくなってしまって」
少年エルフ「ごめんなさい 詳しく話してる場合じゃないの地下にはどこから行けるの?」
灯台守「地下…… 魔力の間ですかな? あの扉の向こうに階段が」
少年エルフ「ありがとう いこうっ」
灯台守「しかしその先はどうなっているやら…… どうなっても知りませんぞ」
魔法勇者「そうか しかし行かねばならん乙女のピンチなんだ」
爺僧侶「しかしこのご老人を独りにするのも…… 扉をふっとばしてしもうたし」
魔法勇者「う……」
神官「だったら私が残ります 皆さんは先に行ってください」
少年エルフ「わかった ありがとう神官さん」
魔法勇者「よし いくぞ!」
ダダダダッ
○地下階段・魔力の間前
魔法勇者「よしここだ 入るぞ」
少年エルフ「うん」
爺僧侶「いつでもいいですぞ」
ガチャッ
○魔力の間
バタン
サクサク
少年エルフ「砂だ…… この部屋海とつながってるんだ」
爺僧侶「こちらには潮だまりが…… 海から魔力を引き出すようですな」
魔法勇者「おかしい…… イカはどこだ?」
爺僧侶「そういえばいませんな まさか孫を連れて海に」
少年エルフ「まって何か聞こえる……」
ポコッポコポコ
魔法勇者「なんだ!? 貝?」
砂の中から一抱えもあるシジミが現れた。
少年エルフ「うわぁ おっきい」
爺僧侶「これ一つで鍋になりますな」
魔法勇者「言ってる場合か? どんどん出てきたぞ」
ボコボコ
無数の巨大シジミが現れて口を開いた。
巨大シジミ「」パカ―
開いた口から不思議な匂いが漂う。
少年エルフ「……っあ これ吸っちゃ」スースー
少年エルフは眠ってしまった。
魔法勇者「おいチビ助」
爺僧侶「まずいですぞ坊 息を止めてください」
無数の巨大シジミから不思議な匂いが立ちのぼる。
魔法勇者「罠か 逃げるぞ」
魔法勇者は少年エルフを抱えて扉へ向かう。
ガチャン ガチャガチャ
爺僧侶「なぜじゃ!? 開かん!! ぐぅ――」
爺僧侶は眠ってしまった。
魔法勇者「クッ……(ハメられた くそっ)」フラッ
ドサっ
魔法勇者は眠ってしまった。
○
ガコン ギィイ
扉が開き灯台守とイカ男達が入ってきた。
灯台守「どうなっても知らんと……警告はしたぞ? よし外にでも放り出しておけ」
神官「まさか あれが貴方の研究成果だったとは」
イカ男たちが少年エルフ達を担ぎ上げる。
灯台守「あんなものは実験作にして失敗作だ」
イカ男達は少年エルフたちを担いで壁の裂け目から外へ出ていく。
神官「あれで失敗ですか? ちゃんと合体生物として機能しているようですが 外の巨大生物もお見事でした」
灯台守「それをお主がいうか」
神官「謙遜しないでください 進化合体の秘法を一部でも解明したのはお手柄ですよ」
灯台守「進化合体か フン……そんなものは手段にすぎん」
神官「おや それなら最強生物とか戦闘生物とかを造るとかがお望みで?」
灯台守「そんなものただの巨大進化させたイカで十分だ ……私の望みは美の境地」フフフ
神官「美の境地? 人魚でも造るおつもりで?」
灯台守「なんで半魚人なんぞを合成しなきゃならん そんなものより優美で可憐 そして妖艶……それを体現できるのは触手と少女の合体生物”スキュラっ子”に他ならない!」ドーン
神官「す……スキュラっこ?」
灯台守「わからんか? 可憐なる少女にして優美な流線型の触手を下半身に持つ妖艶なる存在…… 少女と触手が合わさり最高に見える! そうは思わんかね?」
神官「えーっと そうかもしれませんね」
灯台守「なんだ? 貴様も私を蔑むのか」
神官「いえそんな…… ただあの子たちを実験台にするのはやめたほうが」
灯台守「なにをいう! あれこそ奇跡だ! 理想だ! あのボディを私は待ってたのだ!!」
神官「しかし……」
灯台守「お主には恩があるが実験を邪魔するというのなら……」わさわさわさ
灯台守の髪が膨れ上がり揺れ動く……灯台守の頭は大きなタコになった。
タコ博士(灯台守)「お主も貝にしてやろうか」ニュルニュル
神官「……いえいえ 滅相もありませんよ博士」
タコ博士「ならば良い 私はさっそく実験の準備にかかる 邪魔しないなら見学を許そう」
神官「そうですか それなら是非」
タコ博士「では船に向かう これを口に含め」
神官「海藻ですか?」
タコ博士「進化合体させた海藻だ 酸素を大量に発生させるから海中でも息ができるぞ」
神官「便利ですね~ って船まで泳ぐのですか!?」
タコ博士「そうだ さっさとしろ! 実験が遅れるだろうが」ニュル
神官「うわっちょっと」
ザッパーン
神官はタコ博士に引っ張られて潮だまりに引きずり込まれた。
○砂浜
魔力の間から放り出された少年エルフ達は砂の上で意識を失っている。
魔法勇者「……ぐ」
爺僧侶「ぬぅ……」
少年エルフ「……うぅん」
さくさく
???「……(この人たちならば)」
ひょい……ズルズルズル
少年エルフは背負われ、魔法勇者と爺僧侶は引きずられていった。
○
※更新終了
調べるともともとスキュラの下半身はタコ足ではなかったようですね、まぁなかったら造るしかないというわけです。
では次回の更新も日曜に。
乙
#24 私は貝にされました
○灯台への道
女騎士と娘友が霧の中を歩いている。
女騎士「まったく王女は勝手にこんなところまで……」
娘友「娘とエルフさんが一緒だけど……早く追いつかなくっちゃね……」
女騎士「そうだな……ん? 行きどまりか?」
道が大きな岩のようなもので塞がれている。
娘友「道を間違えちゃった?」
女騎士「しかし一本道だったはず?」
ゴゴッ
娘友「これ動くわよ!」
女騎士「魔物かっ! だが何がこようとも……」
ワシャワシャ
無数の節足がうごめいている。
娘友「ヒィッ!!」
女騎士「まさか!?」
巨大フナムシが現れた!
娘友「イヤ――ゴキブリ―っ!!」
娘友は逃げ出した。
女騎士「まてまてまて反則だぁああああああ!!」
女騎士は逃げ出した。
ダダダ……
巨大フナムシ「?」
○海辺の洞窟
少年エルフ「う……ん」
少年エルフが目を覚ます。
魔法勇者「おう やっと起きたか」
少年エルフ「あ……えっと魔法勇者さん」
魔法勇者「起きれるか? 俺たちはこいつに助けられたんだ」
魔法勇者は大きなホタテ貝を指さす。
少年エルフ「貝?」
魔法勇者「驚くなよ」
ホタテ貝が口を開くと人間の顔が現れた。
少年エルフ「うわあああ!?」
ホタテ男「やはり驚かれましたか」
ズズズズ
少年エルフ「えええええええっ!?」
ホタテ男は砂の中から体も引っ張り出して全身を現した。人間の体に貝の頭、顔は貝の中である。
魔法勇者「くっくっく まぁ普通そうなるよな」
少年エルフ「あのあの……あなたは?」
ホタテ男「東の町の者です…… 私は貝にされました」
○
ホタテ男「あの灯台守はもとは魔法国地方の博士だったそうです」
少年エルフ「そうなんだ」
魔法勇者「そこそこ有名だったぞ 俺も名前だけは知ってたからな」
少年エルフ「へぇ…… どうしてそんな人がこの町に?」
ホタテ男「わかりませんが この海が気に入ったようでそれで灯台守をやっていたそうです」
魔法勇者「こんな所気に居るのか? 変人だな」
ホタテ男「たしかに人嫌いで変わった人でした」
少年エルフ「あの……あなたは灯台守の知り合いなんですか?」
ホタテ男「私は月に数回 食料などを運んでました……先月までですが」
魔法勇者「何があったんだ?」
ホタテ男「あの日は灯台の明かりが消え霧が立ちこめてました 霧の中で何かに襲われて気が付くとこんな体にされました」
少年エルフ「ひどい……」
ホタテ男「灯台守は私を見ると失敗作といって 浜に捨てました」
魔法勇者「失敗ねぇ 元々どうしたかったのも不明だな……ヒトとホタテってなぁ」
ホタテ男「私はこんな体では町に戻れません どうか灯台守を倒してもとに戻してください」
少年エルフ「でもそんなこと……」
魔法勇者「迷ってる時間もないぞ 娘……とその他諸々も捕まってるんだ」
少年エルフ「そうだ娘!? 助けにいかなきゃ!」
魔法勇者「そうだな でも簡単にはいけなくてな」
少年エルフ「行けないってどこ? どこに?」
ホタテ男「船です 彼の実験場です」
少年エルフ「船? だったらボートか泳いでいけば」
魔法勇者「そうは言うがな……」
○船の一室
娘「ん……」
孫僧侶「起きたー? よかったー」
娘「貴方無事だったの ……王女は?」
孫僧侶「その……ここには二人だけでした 姫ちゃん無事かな」
娘「王女…… それよりこの部屋は?」
孫僧侶「さあ よくわかりません船の中みたいなのですが何か変で」
孫僧侶は床を指さす。
娘「なにこれ照明?」
孫僧侶「天井にはテーブルがぶら下がってます なんで逆さまなんでしょうね~?」
娘「窓はないの?」
孫僧侶「そこですよ 夜なので真っ暗で何処かわかりません」
娘は船室の窓を覗き込む。
娘「……そういうこと」
孫僧侶「どういうことです?」
娘「ここは沈没船よ」
孫僧侶「ええ!?」
娘が指さす窓の向こうに魚が泳いでいる。
娘達は沈没船に閉じ込められていた。
○沈没船・実験室
神官「しかし沈没船を実験室にしてるとは……」
タコ博士「ここは静かでよい この体になってからは行き来に不自由はせんからな」ニョロニョロ
神官「それにしても……理想のボディって彼女のことでしたか」
実験室の奥には第七王女が寝かされている。
タコ博士「何だ? おかしいか?」
神官「いえ…… でも他にももっとこうボンキュッボーンな子もいたわけじゃないですかぁ」
タコ博士「まったく お前もか……無駄な凹凸なぞ水中では邪魔でしかないわ 見よ! あの無駄のない曲線をイルカのような美しさだろう」
神官「ソウデスネー」
第七王女「ヌフフ(寝言)」
タコ博士「……」
神官「ヌフフって言いましたよ今」
タコ博士「なぁに些細なことだ コレを見よ 分析結果は”ワガママ”と”無邪気”が高い」
神官「デスヨネー」
タコ博士「身体面では”かしこさ”や”器用さ”がかなりの数値だ 私のムスメに実にふさわしい」
神官「あ 意外です…… ってムスメ? ムスメにするつもりですか!?」
タコ博士「そうだ だからこそこの数日 彼女につりあう美触手を選別しておるのではないか」
神官「美……触手……」
ガラガラ
右手がタコ足になったタコ女がガラスケースに入った巨大タコを運んできた。
タコ女A「先ほど勧誘しました」
巨大タコ「……」ニュルニュル
タコ博士「むぅ……太りすぎだバカモンっ 次!」
ガラガラガラ
手足に吸盤がついたタコ女が別のケースを運んでくる。
タコ女B「美脚自慢の帰国子女です」
巨大イカ「……」ペタペタ
タコ博士「長けりゃいいってもんじゃないっ 次っ!」
上半身がタコ……というより巨大タコから生足がぶら下がっているタコ女が別のケースを運んできた。
ガラガラガラガラ
タコ女C「……」ニュル
巨大アンモナイト「……」ウゾウゾ
タコ博士「……よく見つけたな しかし残念だが私が求めるのとは違うのだ わかるか?」
タコ女C「?」
神官「……(タコになっても凝り性は変わりませんね おかげで王女ちゃんがタコ足になるのが免れてますが)」
タコ博士「いいかお前達 私が求めるのはなぁ……」ウダウダ
神官「……さてさて どうしますかね」
○
※更新終了 今回はここまで
バケモノも見てないしポケモンも捕まえてませんが進捗が遅いです 私は残業を憎む 休日出勤を発明した奴を心底憎む
さて次回更新も日曜日に……ガンバリマス
乙
#25 サークンシップ・アドベンチャー
○沈没船・娘達が閉じ込められている部屋
孫僧侶「やっぱり鍵がかかってますね」
娘「そうね 王女ならすぐ開けれるのだけど……」
孫僧侶「魔法でドッカーンと開けれませんか? ウチの坊ちゃんはよくやってますけど」
娘「出来なくはないけど……ここは海の底よ 外壁まで壊しちゃったら逃げるどころじゃないわ」
タコ女A「おまえらもう起きたのか」
孫僧侶「うわぁ!? 誰?」
タコ女たちが扉の窓から覗き込んでいる。
タコ女A「私たちは博士に仕えるタコ女よ」ニュル
孫僧侶「うわぁ ホントだタコっぽい」
娘「ふぅん その博士とかいうのがあの巨大イカや生物の元凶なのね」
タコ女B「元凶だと? ふざけた口をきくなよニンゲン あの方は新たなる世界をつくる方なのだ」
娘「あらそう そんなことより王女はどうしたの? あの子も捕まえているんでしょ」
タコ女A「王女? あぁ博士のムスメ候補か……あいつのせいでアタシたちがどれほど苦労してるか……」
タコ女B「ホントにもう タコなりイカなり適当にしてって感じよね」
娘「あの子に何かするつもりね」
タコ女A「心配するなお前たちもいずれ適当な実験に使われるはずだ」ふっふっふ
タコ女B「そしたらうんとコキ使いましょう」うっふっふ
タコ女の二人は笑いながら歩いていった。
孫僧侶「感じ悪ぅ……って 私達もあんな風にされちゃうのでしょうか」
娘「出来る訳ないでしょそんなの」
孫僧侶「そっか~ それにしてもお腹すいたなぁ」
娘「そうね……(パパ 心配してるだろうな)」
ベチ ピチピチピチ
部屋の中に魚が放り込まれた。
孫僧侶「うわっ 何?」
娘「食事らしいわ…… 彼女が用意してくれたようね」
タコ女C「……」うねうね
孫僧侶「うわー ほとんどタコだ」
タコ女C「……」ニュルニュルニュル
タコ女Cは触手で歩いていく。
娘「あなた…… その ありがとう」
タコ女C「……」ニュル
タコ女Cは足を一本ふると角を曲がって姿をけした。
孫僧侶「それにしても生かぁ……」
娘「うーん だったら”帯電”」バリバリバリ
娘の手にもった魚が電撃で焼けていく。
魚「」シュー
娘「あつつ 上手くいったわ」
孫僧侶「すごい これもこれも」
娘「ほらこっちを先にたべて 熱いわよ」
孫僧侶「わーい いただきます」
娘は焼けた魚を孫僧侶に渡す。
ぱく もぐもぐ
孫僧侶「……うーん 淡泊な味」
娘「焼いただけだしね ガマンしましょ」
○浜辺
ザザーン
少年エルフ「お爺さんひとりで偵察とか大丈夫かな?」
魔法勇者「大丈夫だ爺はベテランだしな 死んでも死なない」
少年エルフ「たしかに大きなお爺さんだったけど」
魔法勇者「……なぁ お前聞いてもいいか?」
少年エルフ「なに?」
魔法勇者「お前以外のエルフ族に会ったことは? 魔法使いのエルフ族に会ったことはないか?」
少年エルフ「え? その……」
魔法勇者「教えてくれ エルフ族が行きそうな場所は? 人間には教えれないか? どこでもいい頼む」
少年エルフ「あの……あのゴメンナサイ 僕は人里育ちで……」
少年エルフは自身の経歴を魔法勇者に話した。
少年エルフ「だからお母さんしか知らなくて……お母さんも居なくなって……僕も他のエルフ族を探してて……」ぐすぐす
魔法勇者「……そうかスマン ハーフエルフだったのか」
少年エルフ「ゴメンなさい 役に立てなくて」
魔法勇者「いや いいんだ」
少年エルフ「魔法勇者さんはどうしてエルフ族を探してるの?」
魔法勇者「……そうだな」
○沈没船・娘達が閉じ込められている部屋
孫僧侶「坊ちゃんの一族はエルフ族とゆかりがあって それで坊ちゃんの師匠もエルフ族だったんですよ」
娘「そうだったのね」
孫僧侶「それで何があったのかわかりませんが出て行ったお師匠さんを坊ちゃんは探してるんですよ…… どうせ坊ちゃんに愛想を尽かせて出てったのにね」
娘「……(パパ以外のエルフ族がやっぱり居るんだ)」ドキドキ
孫僧侶「エルフ族が人間から好かれたって向こうからしたら大木がセミに好かれてるようなものでしょうね」
娘「……そうね」
孫僧侶「それで娘さんも他のエルフ族を探してるんですか?」
娘「ええ 近くのエルフ族の里には誰もいなかったし エルフの為にも他のエルフ族を見つけないと……」
孫僧侶「そうですねエルフ族にはエルフ族ですよね」
○浜辺
少年エルフ「そうだったんだ」
魔法勇者「まったく自分勝手なオンナだったが一応師匠だしな」
少年エルフ「好きなの?」
魔法勇者「好きィ!? バカいえそうじゃない ただ……尊敬はしてる うん尊敬だ」カアア
少年エルフ「尊敬かぁ(いいなぁ……僕も娘に尊敬されるくらいにならなくちゃ)」
魔法勇者「とにかく お前はエルフ族だ俺よりも師匠と会う確率が高い! 会ったら教えてくれ」
少年エルフ「え? うんわかった」
魔法勇者「そうかよし約束だぞ アイツは片耳が切れていてな……」
\坊ー/
魔法勇者「バカやろう 偵察が大声で戻ってくるな」
少年エルフ「……(お母さんと僕以外のエルフ族の人)」ドキドキ
爺僧侶が偵察から戻ってきた。
爺僧侶「偵察してまいりました 貝人殿のいうように灯台は手薄でした」
魔法王子「よし いくぞ」
少年エルフ「うん」
――ホタテ男「沈没船には泳いでいく以外にもひとつだけ方法があります」
灯台に突入する少年エルフ達
ダダダダダダ
魔法王子「うおおおお」
少年エルフ「うわああああ」
――ホタテ男「実験には膨大な魔力が必要とされますが」
イカ男達「!!??」
魔法王子「”爆裂”」
ドドォン
――ホタテ男「その供給源に灯台の魔力を利用してます」
魔法王子「よし登れっ!」
ダダダダダ
――ホタテ男「灯台の頂上から沈没船への供給路があるようです」
少年エルフ「えびぃ!?」
エビ男「ッ!」ブンブン
エビ男は襲い掛かってきた。
――ホタテ男「灯台を元のように灯せば供給路内を通れるようになるはず」
ガキィン
少年エルフ「お爺さん!?」
爺僧侶「ここは任せて坊たちは上へ……孫を頼みます」
魔法勇者「任せろ! 行くぞ」
――ホタテ男「ただし 頂上がどうなってるかはたどり着かないとわかりません」
バァン
魔法勇者「ぜぇぜぇ ここか!」
ブワッ
少年エルフ「うわ!? 何?」
魔法勇者が照明室への扉を開けたとたん二人は濃霧に包まれた!
○屋上・照明室?
――???『エルフ』
少年エルフ「だれ? 魔法勇者さん?」
――母エルフ「あらエルフ どうしたのこんな所で」
少年エルフ「お母さん!?」
母エルフ「どうしてそんなに驚くの? ほら家に帰りましょう」
少年エルフ「え? うん(あれ? なんだっけ何か忘れたような)」
母エルフは少年エルフの手とって歩き出す。
母エルフ「ほらお腹は空いてない? 晩御飯は何が食べたい?」
少年エルフ「あのねお母さん……なんでもいいや早く帰ろう」
母エルフ「フフ……」
○
少年エルフ「それでね いっぱいあちこちに行ったんだよ娘と一緒に……」ピタ
母エルフ「どうしたの?」
少年エルフ「娘」
母エルフ「エルフ?」
少年エルフ「そうだ娘 娘を助けなきゃ」
母エルフ「どうしたの? こっちにいらっしゃい」
少年エルフ「ごめんなさいお母さん 僕行かなきゃ」
母エルフ「何処へいくの?」
少年エルフ「僕はパパだから! 娘を助けにいかなきゃ!」
母エルフ「フフ……それで」
少年エルフ「”旋風”」ビュオオ
―― それでいいのよ
○屋上・照明室
ビュオオオオオオオオオオオッ
風が霧を吹き散らした。
少年エルフ「ううう……ゴメンさないお母さん」
魔法勇者「まて行くな!? ハッ!?」
爺僧侶「今のは幻!?」
巨大蛤「バファ」
照明室の中心に巨大な蛤が霧を断続的に吐き出している。
少年エルフ「この貝が霧を……このぉ! ”竜巻”」
グオオオオオオオオオオオオオッ!!
巨大蛤「」
ゴゴォン ボォン
竜巻が発生して照明室の天蓋が吹き飛ぶ。
爺僧侶「うおおお なんちゅう魔力じゃ」
グオオオオオオオオオオオオオッ!!
巨大蛤「ボフっ」グラッ
巨大蛤が竜巻に巻き上げられて宙に浮かぶ。
魔法勇者「まるで嵐だ! ……流石エルフ族だな」
ブォオン ザブーン
巨大蛤は海へ落ちて行った。
少年エルフ「はぁはぁ……」
魔法勇者「よし 灯台を灯すぞ」
○東の町・港
兵士A「凄い風だったな? 何があったんだ」
兵士B「今ので霧が晴れました 勇者丸も修復できてます 行きますか?」
兵士長「出航したいが灯りがなければ……」
女騎士「なんとかなりませんか 王女に何かあってからでは遅いですよ」
兵士長「しかし……」
兵士C「見てください灯りが」
灯台に明かりが灯った。
\おおー/
娘友「これで出航できるわね」
兵士長「ううむ仕方がない……灯台調査に出航する ほかに同行希望者はおるか?」
\いくぜー/ \おれもおれも/
町で待機していた勇者チームが我先に名乗りでる。
兵士長「よーしお前達とお前達も……」
兵士長が勇者チームを選び乗船させていく。
女騎士「ずいぶんと活気がいいな」
町長「なにせ勇者祭ができてませんでしたからな この出航をその代わりにしたいのでしょう」
乗船する勇者チームはそれぞれ大きな旗を抱えて乗り込んでくる。
娘友「そうみたいね 皆お祭り好きねぇ」
男「おお女騎士か? 王女はどうした?」
男が現れた。
女騎士「男!? もう追いついたのか 王女はまだ見つかってない船で探しにいくところだ」
男「そうか わかった 兵士長俺も乗っていいか?」
兵士長「おお!? 男殿ではないですか 是非同行してください」
娘友「あら男さんは顔が広いのね」
女騎士「あいつは一応王国一番だし目立つからな……ったく」
兵士長「よーし……(これだけいれば安心だ)出航!」
\うおおおお/
王国所有の船『勇者丸』が無数の旗をなびかせて出航した、乗船できなかったものも各々の小舟で後を追いかけていく。
男「なんだ? 祭か?」
○灯台屋上・照明室
魔法勇者「よーし これで灯台は大丈夫だな」
爺僧侶「坊 エルフ殿 供給路らしきものを見つけました」
少年エルフ「ってこれなに? パイプ?」
灯台の頂上から海中へ大きなパイプのような物が垂れ下がっている。
魔法勇者「なるほど進化融合させた生体パーツを伝導路にしていたのかこれなら大量生産できるな」
少年エルフ「でもこれなに? 貝?イソギンチャク?」
爺僧侶「ホヤとかそういう生物のようですな……」
少年エルフ「……ここを通るの?」
魔法勇者「……そうなるな よし爺行け」
爺僧侶「……いやいや 坊からどうぞ」
\いやいやお前が/ \いえいえ坊から先に/
魔法勇者と爺僧侶がパイプの前でもみあう。
少年エルフ「そんなことしてる場合じゃ」
魔法勇者「よーし じゃあ年の順だ若い方から……俺は18だ エルフは」
少年エルフ「え? 61」
爺僧侶「おや 同い年ですな」
魔法勇者「しまったぁ!? エルフ族なんだこいつ」
爺僧侶「決まりですな そりゃ」ドン
魔法勇者「あ お前 うわあああああ」
魔法勇者はパイプの中を滑り落ちていった。
\あぁぁぁ/
少年エルフ「大丈夫かな」
爺僧侶「これしき大丈夫です しかし小さなエルフ殿から先にいかせようとするとは……まったく情けない」
○沈没船・娘達が閉じ込められている部屋
孫僧侶「すぴーすぴー」
娘「……(エルフ……他のエルフ族……)そんなことよりまず脱出を」ボソ
ぼぅ
扉の向こうが少し明るくなる。
娘「……(また誰か来た? タコ女? いえ……少女?)」
扉の窓から少女が顔をのぞかせる。
ガチャ ギィイ
扉が開いた。
娘「な!?」
少女?「……」
少女は青白い光をまとって立っている。
娘「……(普通じゃない というより生きてないわね)」
少女は幽霊だった。
幽霊少女「……」ぱくぱく
何かを言おうとするが声は聞こえない。
孫僧侶「ん? うわっなんですかあの子 お化け!?」
娘「落ち着いて 危害を加える気はないみたい」
幽霊少女「……」スッ
孫僧侶「消えた……扉もあいてる やったこれで逃げれますよ」
娘「逃げる前にやることがあるわ」
○
※更新終了 あと1,2回でひと段落 次回更新も日曜に
乙
ばかやね
#26 サークンシップ・アドベンチャー2
○沈没船・実験室
タコ博士「結局造ったほうが早かったか」
神官「そうなんですね」
水槽に大きなタコが泳いでいる。
タコ博士「こいつに私への忠誠を入力したら合体実験だな」
タコ博士は水槽に付属しているパネルを操作している。
神官「精神操作も出来るのですか?」
タコ博士「おおざっぱだかな」
神官「そんなことが出来るなら王女ちゃんに直にした方が早くないですか?」
タコ博士「人間にはまだ出来ん タコくらいならばすぐに済む」
神官「でもタコが忠誠心があるかどうかなんてわかります?」
タコ博士「実績がある 先ほどのタコ女どもはタコを人型に進化させたものだが…… どれも忠実であろう」
神官「え゛っ!? あれタコだけなんですか?」
タコ博士「そうだ 進化誘導因子に人間の血を使っておるがベースはタコだ タコだけでは人型にはできなかったからな」
神官「はぁ……(本当に人間嫌いだな)」
タコ博士「よし……あとは待つだけだな」
神官「あの……毎回こんなに手間がかかるのですか?」
タコ博士「いや 合体させるだけならコレで直ぐだ」
タコ博士は怪しく光る結晶を取り出した。
神官「それは?」
タコ博士「進化合体媒体だ 見せよう」パキッ
タコ博士は結晶を二つに折った。
タコ博士「適当に実験生物を……そうだなこのサメでいいか」
ドスッ
ネコザメ「!?」
タコ博士は手近な水槽のネコザメに結晶を刺した。
タコ博士「ふむ 多重合体も可能か試すか……」
タコ女C「?」
ドスッ
タコ博士はタコ女に残りの結晶を差し込んだ。
タコ女C「!?」
ガシャン バシュウン
タコ女とサメが光に包まれる。
神官「な!?」
タコ博士「ふむ 問題は無いようだな」
光が収まるとサメの頭をもったタコ女が現れた。
サメタコ女「?」ニュル
タコ博士「ふむ また頭か……この方法だと簡便だがどう合体するのか不確定なのだ よし行っていいぞ」
サメタコ女「」ニュルニュル
サメタコ女は出て行った。
神官「はー 驚異の生命体になりましたね」
タコ博士「サメ頭ならもう少し賢くなるだろう さて進捗は……」
ビーッ ビーッ!!
神官「なんです!?」
タコ博士「む? 機関室の出力が……故障か? 肝心な時に」
○沈没船・魔導機関室
タコ女A「出力がでてないわよ なにしてんの」
捕虜「ひぃ わかりません何かが魔導機関に詰まったようで」
魔導機関「おわー どこだここは!?」バタバタ
タコ女A「しゃべった……というより誰よ中でふざけているのは」
魔導機関「”爆裂”」
ドドォン
魔導機関が内側から爆破された!
魔法勇者「酷い目にあった……爺のやつ」
タコ女A「な!? 侵入者!侵入者よ!」
タコ女は逃げ出した。
捕虜「おお貴方は一体」
魔法勇者「む? 普通の人間だな捕まっているのか?」
捕虜「はい 我々は船乗りやただの漁師ですイカに捕まってここで働かされてました」
するする
爺僧侶「おや……にぎやかですな」
少年エルフ「ケガなかった?」
爺僧侶と少年エルフがロープで降りてきた。
魔法勇者「なんだそれは!? そんなものがあるなら早く言え!」
爺僧侶「いやいや エルフ殿が見つけてくれたのですよ 坊はせっかちでいけませんな」
魔法ゆうしゃ「いやお前のせいだよ!」
少年エルフ「とりあえず皆さんはこのロープを登ってください 灯台に出れます」
\たすかった/ \ありがたい/
捕虜になっていた者がロープを順番に登っていく。
魔法勇者「さてここはこれでいいが……」
少年エルフ「娘たちを探さないと」
爺僧侶「その前にお客ですぞ」
通路からイカ男達が現れた。
○沈没船・廊下
孫僧侶「誰もいませんね」
娘「さっきの爆発音といい何かあったようね」
スゥ
幽霊少女「……」
幽霊少女が現れある部屋を指し示す。
孫僧侶「うわ また出た」
娘「何かを教えたいようね……この部屋は?」
○沈没船・タコ博士の部屋
孫僧侶「うわ汚い 坊ちゃんの部屋みたい」
娘「……研究者の部屋のようね 研究日誌があるわ」
○博士の日誌
■月■日
あのオトコが持ってきたサンプルからようやく合体の技術も抽出、再現することに成功。既に下等生物の合体には成功した。
■月■日
どれもこれも巨大化傾向が多い。興味深い対象として蛤は自ら特殊な霧を吐き出し地上での活動も可能にした。 この環境では他の水生生物も活動できるようだ。
■月■日
進めもあり自身にタコを合成、手の数が増え非常に便利である。 また水中でも活動が行えるため献体集め、観察が容易になる。
■月■日
献体が手に入ったため実験を行う。近辺で手に入る下等生物で限界点を試した結果、貝まで成功……おそらくそれ以下でも可能性があるが必要性がないため計画はしない。
■月■日
沈没した客船を発見した。 船内を調査したが妻やムスメは見つかる事はなかった、タコばかりだ。 彼女たちの旅行を許したばかりに……このような事が書くべきではない
■日
記憶……いや感情が安定しない。 融合したタコにも精神があったのだろうか? 内なる声が日に日に……
■
私は新たなる種である。 そして父である、美しい種族と導かなくては……もちろんムスメも美しくなければ
○
孫僧侶「……かなりヤバい人みたいですね」
娘「そのようね…… つまりお父さんを止めて欲しいのね」
幽霊少女「」コクン
スゥ
幽霊少女は消える寸前に微かにうなづいた。
○沈没船・実験室
第七王女「なんじゃ? ここは」
少年エルフ「よかった王女が起きたよ」
魔法勇者「ようし 後は娘とウチのバカだけだな」
タコ博士「おのれ!」
タコ女B「博士下がって」
魔法勇者「”凍結波”」ヒュオオオ
イカ男達「!?」ピキーン
タコ博士をかばったイカ男が氷漬けになる。
魔法勇者「お前も頭を冷やすかい?」
タコ博士「うぬぬ」
少年エルフ「娘は? 孫僧侶さんはどこ?」
第七王女「うむ きりきり白状するのじゃ そうすれば情状酌量の余地はあるぞ」
魔法勇者「お前……(状況わかってるのか?)」
タコ博士「ぬぬ…… ふっ私はそもそも争いは好まない」
少年エルフ「じゃあ 教えてくれるの?」
タコ博士「しかし計画はやり遂げる どのような手段でもな 巨大イカよ!」
ドドォン
巨大イカの触手が壁を突き破った。
第七王女「なんじゃ!?」
タコ博士「仕切り直しだな なにもかも」
巨大イカの触手が引き抜かれた穴から大量の海水が流れ込んできた。
タコ博士「ここは私達のフィールドだ 降参するならは早めがいいぞ」
タコ博士たちは海中へ逃げ込んだ。
魔法勇者「野郎! ”氷牙”」シュキン
魔法勇者の魔法、しかし海中には届かない。
少年エルフ「うわわ どうしよう水が……この部屋沈んじゃう」
第七王女「出口はどこじゃ?」
魔法勇者「あそこだ とりあえず逃げるぞ」
少年エルフたちはせり上がってくる水から逃げる。
○沈没船・廊下
少年エルフ達は水から逃れるために走る。
ダダダダ
魔法勇者「あのタコ野郎信じらんねぇ」
爺僧侶「水中では勝ち目はありませんぞ」
神官「まったくですね」
魔法勇者「ってお前だれだ!?」
少年エルフ「神官さん!? よかった無事だったんだ」
神官「はいなんとか」
第七王女「とにかく脱出じゃ」
ザブザブザブ
バタン
○沈没船・魔導機関室
少年エルフ「ああ!? 脱出路が」
イカ男達「!?」
イカ男達が先回りしていた。
魔法勇者「どけ ゲソ野郎 ”爆裂”」
少年エルフ「まって」
ドドォン
イカ男達「ッ!!」
イカ男達を倒した。
魔法勇者「しゃあ!」
ドドドドド
脱出路が破れて海水が流れこんできた。
魔法勇者「あ」
神官「あ~らら やっちゃいましたね」
爺僧侶「後先考えずに……まったく情けない」
魔法勇者「うっせぇ! とりあえずに逃げるぞ」
少年エルフ「でも後ろは沈んじゃったよ」
通ってきた通路は既に水没している。
神官「戻りましょう 途中で上にいく通路がありますおそらく娘さんたちもそっちに」
少年エルフ「本当!? 行こう」
爺僧侶「しかし水中で襲われたら……」
神官「ためらっているほど不利になりますよ」
少年エルフ「僕が先に行くよ……えい」ドボン
第七王女「うむ わらわもじゃ」ドボン
魔法勇者「えーいくそっ いったらぁ」ドボン
少年エルフ達は海中へ飛び込んだ。
○沈没船・水中
少年エルフ「……」すいすい
魔法勇者「……」バタバタ
イカ男「」ニュル―ン
泳いでいる少年エルフ達にイカ男が襲いかかってきた。
魔法勇者「……ガハッ(マズイ 魔法が唱えられん)」
イカ男「……」ニュルニュル
イカ男は触手を伸ばして少年エルフと魔法勇者を拘束する。
少年エルフ「……(この放して)」ポコポコ
魔法勇者「……(ほどけん 溺れさせるつもりか)」バタバタ
シュッ
スパン スパパン
イカ男「!?」ニュ
イカ男は触手が切られ逃げ出した。
○沈没船・食堂
魔法勇者「ぶはぁ!」
少年エルフ「げほげほ ありがとう王女」
第七王女「あれしきで手も足もでなくなるとは魔法勇者とやらと大した事ないのう」
爺僧侶「まったくですなあれぐらい引きちぎれる位でなければ……情けない」
魔法勇者「お前と一緒にするな脳筋!」
神官「それにしてもそのメスはどこで?」
第七王女「このナイフか? さっきの部屋で拾ったのじゃよく切れるのう」
神官「……(手癖が悪いというか抜け目がないというか)」
魔法勇者「よしここから反撃する方法を……」
ドドォン
巨大イカの触手が壁を突き破って襲いかかってきた!
少年エルフ「うわぁ!?」
第七王女「エルフっ!」
触手が少年エルフを掴みあげた。
魔法勇者「今助け……」
ドドォン ドドォン
別の触手が壁を破って襲い掛かってきた!
魔法勇者「”氷牙” くそ一気にきやがった」
爺僧侶「こしゃくな」
第七王女「うっとうしいのう」
それぞれが触手と格闘しだした。
神官「うわぁ どうします」
○
シャキン
少年エルフ「うわっ!?」
少年エルフを掴んでいた触手が切られた。
娘「エルフ 大丈夫」
少年エルフ「娘!?」
娘「パパを汚い手で触るな!! ”電撃”」
バリバリバリバリ
娘の電撃が触手と通して巨大イカを感電させた。
シュッ
巨大イカの触手が引っ込んだ。
娘「あぁよかったエルフ ケガない?大丈夫?何もされてない?」ペタペタペタ むぎゅうう
娘は少年エルフの身体を調べてから抱きしめる。
少年エルフ「ちょっと それはこっちのセリフ……んぷ 放して大丈夫だから」カアア
魔法勇者「……えっと どっちが保護者だっけ?」
第七王女「どっちもどっちもじゃな」
爺僧侶「おお孫よ無事だったか」
孫僧侶「お爺ちゃん 坊ちゃんも来てくれたんですね」
魔法勇者「まぁ一応な……」
少年エルフ「あれ…… なんだか音が」
ドドドドドド
孫僧侶「もしかしてこれって」
海水が無数の穴から流れ込んできた。
少年エルフ「うわああああ」
魔法勇者「またかあああ」
○沈没船の外・海中
タコ博士「ふうむ 巨大イカでも手を焼くか……」
タコ女B「全員集まりました 仕掛けますか?」
タコ博士「包囲だけにしろ 奴らが弱るまで待つのだ」
タコ女A「なるほど…… どうせ逃げれませんしね」あっはっは
タコ博士「そういうことだ 小一時間もすれば空気が…… なんだ?」
サメタコ女「……ッ」ニュルニュル
タコ女A「うわっキモ!? 今度はサメ」
タコ女B「相変わらず何言ってるのかわからないんだけど?」
サメタコ女「……」ニュルニュル
タコ博士「?」
○沈没船・食堂
孫僧侶「どーしましょうこの状況」
少年エルフ達は水没を免れた一角に集まっている。
魔法勇者「攻撃は無くなったが……水位が上がるのが止まらねぇな」
少年エルフ「……どうしよう」
神官「困りましたねぇ」
魔法勇者「お前あのタコ野郎と知り合いならなんとか言ってこいよ」
神官「ええ!? 無理ですってそれが出来たらこんなことになってませんよ」
第七王女「なぜ攻撃してこんのじゃろう」
娘「……多分 酸欠になるのを待っているんじゃない?」
第七王女「ううむ 兵糧攻めじゃな」
爺僧侶「討って出ても水中では分がありませんし耐えるのも長くはもたない……」
幽霊少女「……」スゥ
少年エルフ「うわ!? 君は?」
幽霊少女が現れた。
娘「また貴方…… 大丈夫よ敵ではないわ」
神官「おや…… 博士のお嬢さんでは」
魔法勇者「え!? お前幽霊とも知り合いなのか」
神官「いえ幽霊になる以前のお嬢さんですが」
幽霊少女「」スゥ
幽霊少女は神官に近寄ると
神官「?」
パァン
神官「ぶへらっ」
幽霊少女は神官をビンタした。
娘「貴方 こんな子にまで…… サイテー」
神官「違います ゴカイです~」
スゥ
幽霊少女は少年エルフに近寄る。
少年エルフ「え? ……下のタルに海藻? 酸素が出るの?」
神官「ははあ そういうことですか」
娘「なによ?」
神官「博士は酸素を大量に発生させる海藻を作ってこの沈没船の空調に利用していました」
魔法勇者「ほう そうだったのか」
神官「それでその海藻は熱と反応して酸素を出します なのでそれを口に含むと水中でも息が出来ます…… コツはいりますが」
少年エルフ「じゃあ その海藻をとってくれば水中でも戦えるの?」
神官「いや無理でしょうね 息が出来るだけです海中でイカやタコには敵いませんよ」
孫僧侶「だったらどうしたら……」
第七王女「その海藻で船の酸素を賄っておったというが具体的にはどうやってじゃ?」
神官「たしか……加熱してましたね 熱いほど反応が大きくなるそうです」
第七王女「なるほど ならばその海藻に熱魔法をかけたらどうなるんじゃ? それも1タル分の量に……」
神官「それは…… 本気ですか!?」
娘「なるほど……可能性はあるわね」
魔法勇者「だったら俺の出番だな」
少年エルフ「……えっと? 何? どうするの?」
○沈没船の外・海中
タコ博士「そろそろ倒れておるかの?」
タコ女A「まってください様子がヘンです」
沈没船「」ゴボン
沈没船から大きな泡がでてきた。
タコ博士「なんじゃ!?」
沈没船「」ゴボゴボゴボゴボゴボ
ボボボボボ
ドボボボボボボォオオオオオオオン!!
沈没船が爆発して海面へ吹きあがっていく。
タコ博士「なにぃいいいいいい!?」
○
※更新終了 今回はここまで
どんどん雑になってる気がしますが次回で勇者祭編を終わらせます。
次回更新は来週日曜か月曜で
乙
#27 内海の大決斗
○海上・調査船勇者丸の甲板
ザザーン
男「王女無事だといいが 今回は流石に心配だな」
女騎士「そうだな…… 兄王はどう仰っていた?」
男「あー そうだな まぁ一言でいうとキレた」
娘友「はぁ…… やっぱりそうなるよね」
男「連れ戻してたら何らかの処分……まぁ外出禁止だろうな」
女騎士「仕方ない…… とにかく無事に連れ戻さないと」
ザザーン
娘友「ハッ(この二人から波動を感じる……)ちょっと失礼しますね」ソソクサ
女騎士「船酔いか?」
娘友「そんな感じで…… ではごゆっくり」
娘友は二人を残してどこかへ行ってしまった。
娘友「ふむ……流石に旅の疲れがでたか?」
男「今回は長い旅になってるしな」
女騎士「そうだな…… 次に王都にもどったら少しはゆっくりしたいな……」
男「そうだな」
女騎士「……」
男「……」
ザザーン
男「なぁ お前って好きな奴居るのか?」
女騎士「……は?」
男「いやだから 付き合ってる奴いるのか?」
女騎士「なななナニを言っているのだこんな時にふざけるな」ドキドキ
男「いやいやふざけてお前にこんな話はしないぞ そうだろう?」ズイ
女騎士「それは……いやお前それはどういう意味で(チカイチカイ何が起こってるんだ!?)」ドキドキ
ドドドドドド
女騎士「うう……(足元がおぼつかない 船が揺れているのかそれとも)」グラグラ
男「危ない大丈夫か」ガシッ
女騎士「ッ!! なにを!?」カアアアア
男「しゃがめ 揺れてるぞ」
ドドドドド
\爆発か!?/ \前方の海面から噴出!/
グラグラ
男「一体なんだ クジラか!?」
前方の海面が泡立ち何かが下からせり上がってくる。
\ウワー/ \キャー/
女騎士「はわわわ」
ドドドドォオオン
男「な!?」
女騎士「は!?」
海面から沈没船の船首が飛び出して来た。
\船だ―?/ \人が降って来たぞ!?/
第七王女「天晴なり! 成功じゃー!」シュタ
男・女騎士「「王女!?」」
娘友「なんでこのタイミングで!?」
近くの物陰から娘友は叫んだ。
男・女騎士「「え!?」」
○海面・浮上した沈没船の残骸
神官「いやはやなんとか海面までこれましたね」
浮上した残骸の上に神官がしがみついている。
少年エルフ「うわー」
ドパァン
娘「ぷはぁ エルフ大丈夫?」
吹き飛ばされた娘と少年エルフが着水した。
少年エルフ「はぁはぁ 大丈夫 皆は?」
\うわあああ/ \きゃあああ/
爺僧侶「坊ちゃん! 孫よ!」
ドゴン
魔法勇者「ふごっ!!」
魔法勇者は残骸の甲板に叩き付けられた!
爺僧侶「ああもう みっともない……」
ドスン
魔法勇者「うごおッ!?」
孫僧侶「きゃあ!? あ……坊ちゃんゴメン」
孫僧侶が魔法勇者の上に降ってきた。
爺僧侶「坊 今のは受け止めるところでしょうが まったく情けない」
孫僧侶「無理よ モヤシの坊ちゃんじゃ」
爺僧侶「それを言うとモヤシに失礼だろう モヤシは結構生命力があるんだぞ」
孫僧侶「そっか じゃあモヤシ以下ということで」
爺僧侶「それぐらいが妥当だの」
魔法勇者「お前らまず俺の心配をしろよ!」
娘「……あっちも無事みたいね」
少年エルフ「……治癒しないでいいのかな」
娘「僧侶が二人も居るから大丈夫よ」
少年エルフ「そうだよね(お爺さんが魔法使うの見たことないけど……)」
神官「さあさあ ゆっくりできませんよ船が来てるのでアレに乗せてもらいましょう」
神官が近くを航行する勇者丸を示す。
\おーい/ \王女―/ \無事ですかー/
第七王女「今の声は」
少年エルフ「女騎士さん!?」
娘「友も」
第七王女「男も居るのか 見事なタイミングじゃ」
○海上・調査船勇者丸の甲板
男「お前達無事か? ケガはないか」
女騎士「それより一体どうしてこんなことに!?」
少年エルフ「それは……」
娘友「えっと……アレ見た方が早いみたいよ」
一同「「あれ?」」
タコ博士「うぬぬ おのれ人間め」
巨大イカに乗ったタコ博士が手下達を引き連れて海中から現れた。
\イカだー/ \タコだ―/ \SAN値がピンチ/
突如現れた異形の者に船上はパニックに陥る。
タコ博士「ものども! あのムスメを奪い返せ!」
イカ男達「ッッ」ニュルンニュルン
イカ男たちが勇者丸に襲い掛かってきた!
○勇者丸の甲板
ニュル べったんべったん
イカ男達が甲板に上がってきて少年エルフ達と町の者を取り囲む。
兵士長「うおおお なんだ!? キモチわりぃ!?」
町長「こんな魔物は見たことがない もしや魔族か!?」
\魔族!?/ \やべぇ/
女騎士「まずいな数が多すぎる」
男「かといって逃げれるわけでもなさそうだ……」
ざわざわ
第七王女「うろたえるでない! こやつらが灯台を占拠しておったのじゃ 東の町の者よ立ち向かうのじゃ これが勇者祭の締めくくりじゃ!」
町長「祭」
\よっしゃー祭じゃー/ \やったるでー/
町の勇者チームが次々とイカ男達たちに挑んでいく。
\\わああああああ//
娘友「王女もうまい事言うわね」
娘「ほら友 下がってて危ないわ」ズシャ
娘はイカ男を切り捨てながら娘友たちを下がらせる。
女騎士「しかし町の者の加勢があればこの数でもなんとかなるか?」
男「こいつらはともかくあのデカいのはどうするんだ?」
巨大イカが船の前方から近づいてきている。
娘「パパ達は町の人と後方へ アイツは私が魔法でなんとかするわ」
男「よし女騎士 町の者を後ろへ下がらせろ エルフも負傷者に治癒魔法を」
少年エルフ「うん わかった」
第七王女「わらわも巨大イカと戦いたいのじゃ」
女騎士「下がってください 剣ではどうにもなりませんあんな奴」
第七王女「いーやーじゃー わらわは二代目勇者じゃぞ」
女騎士「またはじまった……」
娘友「王女 仲間を守るのも勇者の務めでしょ?」
第七王女「そうじゃが……」
娘友「ほら見て キャメラよこれでかっこいい所をバンバンとるから」
第七王女「ほう写真か!? よーし町の者を守るのは任せるのじゃ!」
第七王女は後方のイカ男に挑んでいった。
男「いつのまにそんな物を?」
娘友「バザールで買ったのよ これで新聞の記事もばっちりよ」
女騎士「毎度のことながら本当に助かる ありがとう友君」
娘友「いえいえそんなそんな」テレテレ
\友はやくー/
娘友「じゃああのデカブツは任せたわよ」
娘「もちろん」
魔法勇者「おっと魔法なら俺に任せろ 娘は俺の雄姿を見届けてくれ」キリッ
娘「貴方…… 呼び捨てにしないでよ 慣れ慣れしい」
魔法勇者「ぐっ」
孫僧侶「そうですよーナレナレシー」
魔法勇者「やかましい」
爺僧侶「それよりもう目の前ですぞ」
巨大イカが足を振り上げて襲い掛かってきた。
○甲板前方
魔法勇者「一撃で終わらせる ”多重大爆裂”」キュイイ
タコ博士「なに!? 防御体勢」
巨大イカ「ッ!」ニュルルン
ドドドドドン
連続する大爆発が巨大イカを襲う。
娘「へぇ……(この年でこんな大魔法を)」
孫僧侶「一撃っていいながら連続じゃないですか」
魔法勇者「うっせい」
爺僧侶「しかしこれなら流石の巨大イカも無事ではすみませんな」
もくもく
爆炎が晴れると巨大イカは足を失っていた。
魔法勇者「ほう 耐えたか」
巨大イカ「」ウニニニ
魔法勇者「なに!?」
失った足がみるみる再生していく。
タコ博士「ふっふっふ こいつにはプラナリア並みの再生力があるぞ」
爺僧侶「ならば畳みかけるまで!坊 再度魔法を……ってどうしました?」
魔法勇者「……今のでガス欠デス」
爺僧侶「あぁまったく肝心なところで!」
孫僧侶「だからバカ坊ちゃんなんですよ もー!」
魔法勇者「うっせぇ ずっと魔法打ちっぱなしだぞ!? これでも魔力はあるほうだろが!」
タコ博士「やかましい」
巨大イカのなぎ払い
ビターン
\ぬわーー/
魔法勇者たちは弾き飛ばされた。
タコ博士「ふっ 人間などこんなものよな」
娘「そうかしら ”落雷”」
ガラガラガッシャーン
魔法勇者「やったか」
しかし巨大イカには効果がなかった。
孫僧侶「そんな!? 直撃だったのに」
タコ博士「知らんのか 濡れた体では電撃は体表を走るのだこいつには大したダメージにはならん」
娘「へぇ 勉強になるわね」
○甲板後方
少年エルフ達が町の人を守りながら戦っている。
女騎士「まずいな 娘君が苦戦しているのか」ザシュ
男「しかしこっちも手一杯だ」ズバッ
イカ男達を切り捨てながら前方の戦いを伺う。
神官「こっちも負傷者が大勢でてますし動けませんね」
少年エルフ「そうだね って神官さんもこっちだったの?」
神官「そうですよ」
少年エルフ「だったら治癒魔法を皆に」
神官「あ無理です 魔力もう切れたのでタダの一般人です」
少年エルフ「え そうだったの」
娘友「……(本当にこの人はどうやって僧侶になれたんだろう?)」
○
ズバッ ザシュッ
しだいに負傷者が増え戦える勇者チームも減り防戦になってきた。
女騎士「くそ……たいして強くないが次から次へと」ズバン
男「そうだな……なぁ女騎士」ザシュッ
女騎士「なんだ?」ズバッ
男「さっきの話のつづきなんだが」ドゲシッ
女騎士「さっきの話? って」カアアアア
男「おっと後ろ」ドスッ
男は女騎士の後ろをイカ男を突き刺した。
女騎士「バカ野郎こんな時に言うことが! 町に戻ってからでいいだろ」ズドン
女騎士は横から来たイカ男を真っ二つにした。
男「バカ それだとやべぇフラグが立つだろ もういい要件だけ言う」シャキン
女騎士「なんだ? バカ野郎!」ズバッ
男「結婚してくれ」
女騎士「な……」
娘友「キターーー」
少年エルフ「え!? いきなり?」
第七王女「ほう」
神官「あらまぁ」
男「ほらほらぼさっとするな危ないぞ」ズバン
女騎士「//////」プルプル
男「で返事は? こっちは忙しいんだ」
女騎士「こんな場所で……こんな状況で……本気?」カアアア
男「だからお前にふざけてこんなこと言わないって イヤか?」
女騎士「//////」ブンブン
女騎士は高速で首を横に振る。
男「よーしじゃあ ここでやるか神官 立ち会ってくれ」
少年エルフ「ええーここで!?」
神官「やったことないですけど」
男「適当で」ザシュッ
女騎士「え? え! ここ!? 今!?」
\それでは誓約をしていただきます/
男「お前の気が変わらないうちに…… 俺の気かな?」
女騎士「待て! 変わるな変えるな」ガシッ
\健康な時も病めるときも/
男「手っ取り早く頼む」ズバッ
神官「えーとそうですね 男さんは女騎士さんを変わることなく愛する事を誓いますか」」
男「たぶn」女騎士「っ!」ズドン
男の真横のイカ男が吹っ飛ぶ。
男「誓います」
少年エルフ「こんなのアリ?」
娘友「いいんじゃない 一生忘れられないわよ」
第七王女「まったくじゃの」
少年エルフ「いいんだ」
神官「女騎士さんは男さんを変わることなく愛する事を誓いますか」
女騎士「は……い 誓います」カアアアア
男「だから手を止めるなって」ズバッ
イカ男「オノレリアジュウっ」
イカ男が船から落ちて行った。
少年エルフ「なんか今しゃべった?」
娘友「さぁ?」
神官「えーと なんだっけ指輪は……ないか じゃあ誓いのキスを」
女騎士「はっ!? まて心の準備が」
男「諦めろ」
○甲板前方
\わああああああ/ \パチパチパチ/
魔法勇者「なんか後ろ盛り上がってるな 拍手まで」
娘「ホントね」
ドドォン
巨大イカのなぎ払い。
爺僧侶「おうりゃあ」
爺僧侶はメイスで受け流した。
孫僧侶「えーい ”*****”(死の言葉)」
しかし効果はなかった。
孫僧侶「何度やっても効かないかぁ」
娘「……(あの2人も大したものね)」
爺僧侶「まだ魔法は唱えられませんか」
魔法勇者「チマチマした魔法じゃ意味がない もう少し耐えてくれ」
爺僧侶「魔力ぐらい気合いでなんとかしてください まったく情けない」
魔法勇者「気合いでなんとかなるか!」
爺僧侶「なるますとも」
巨大イカの攻撃。
爺僧侶「ムゥン 防御壁」
ビターン
爺僧侶の仁王立ち! 爺僧侶は大ダメージを受けた。
爺僧侶「ほら御覧なさい」ドクドク
魔法勇者「出来てねーよ! おい治癒魔法を」
孫僧侶「あ 魔力切れましたー」
魔法勇者「お前も人のこと言えねーじゃねーかバカ!」
娘「これしか出来ないけど ”治癒”」パアア
爺僧侶「ぬぅ 助かりました」
娘「……(このままでは呼ぶしかないか 仕方ない)」
魔法勇者「スマン助かった…… どうした?」
娘「うーん キャラじゃないんだけどね……味方をよぶわ」
魔法勇者「味方?」
娘「先にいっとくけど…… 言われた通りにするだけだからね」
魔法勇者「おう?」
くねくね
娘は不思議な踊りを踊り天高く指さすポーズを決めた。
娘「ホワイトドラゴン カモォー―ン!(高音)」
魔法勇者「……」
孫僧侶「……」
爺僧侶「……」
巨大イカ「……」
タコ博士「……(哀れな 恐怖で狂ったか)」
娘「……」カアア
魔法勇者「えっと 落ち着け な?」
娘「うっさいわね ちょっとまってなさい」
孫僧侶「えっとえっと なんていったらいいか」
グモモモモ
爺僧侶「む? なんじゃまた巨大イカか? 下からくるぞ」
ザバーン
白竜「ハーイ 娘ちゃん呼んだ?」
魔法勇者「な!?」
爺僧侶「なんと!?」
孫僧侶「ドラゴン!?」
タコ博士「そんな馬鹿な!?」
娘「……”電撃ィ”」
バリバリバリ
白竜「きゃー ビリッとするー」
電撃が白竜を直撃した。
娘「早くきなさいよ まったく」ガー
白竜「ちゃんと来たじゃない もー娘ちゃんの怒りんぼ」
娘「ハァア!?」
白竜「ハイゴメンナサイ で要件は? 帰るの?」
娘「その前にアレ 倒して」
巨大イカ「」うねうね
白竜「えーイカ? あんまり好きじゃないのよね」
娘「そいつは合成されてコラーゲンたっぷりの美容イカよ」
白竜「いただきます」ゴォオオオオオオ
白竜は燃え盛る炎を吐いた。
タコ博士「なにぃーーーー!?」
○東の町・祭会場
実況者「というわけで今年の年勇者はドラゴンすら従えている第七王女勇者に決定だ」
\わあああああ/ \王女様バンザーイ/
第七王女「うむ くるしゅうない」
実況者「そして同じカニさんチームの二人も」
\パチパチパチ/
少年エルフ「えへへ 照れるね」
娘「……私は疲れたわ」
パシャッ パシャッ
少年エルフ「?」
娘友「ほら笑って 写真を撮ってるんだから」
娘「もう 王女だけにしておいてよ恥ずかしい」
実況者「そして飛び入り&結婚おめでとう 男さんと女騎士さん」
\ヒューヒュー/ \オメデトー/
男「はっはっは 祝ってもらえてるぞ」
女騎士「あぁもう こんなことしてる場合じゃ」カアア
娘「そんなことになってるなんでね…… 見たかったわ」
娘友「見る? 撮ってあるわよ~」
娘「ホント? キャメラって便利ね~」
男「はっはっはいい記念だな 後で焼き増してもらうか」
女騎士「……」カアアアア
第七王女「女騎士 わらわからも祝うぞ おめでとうじゃ」
女騎士「……王女」ガシッ
第七王女「なんじゃ?」
女騎士「捕まえましたよ さあ王都に帰りますよ」ゴゴゴゴゴゴ
第七王女「いや もうすこし祭りをじゃな……せっかく優勝したのじゃし」
女騎士「男」ゴゴゴゴゴ
男「当身」シュドン
第七王女「はひっ」
第七王女は気絶した。
少年エルフ「……遠慮ないね」
男「さすがに今回はワガママが過ぎた これ以上は無理だ」
娘「まー これでやっと帰れるわね」
白竜「じゃあ 帰りましょうか乗って」
少年エルフ達はホワイトドラゴンが掴む馬車に乗り込む。
○東の町・港
魔法勇者「あいつらはもう王都に戻るようだな」
孫僧侶「あたし達はどうします」
爺僧侶「王都へ行きますか?」
魔法勇者「いやエルフから話も聞けたし 一度もどろう」
孫僧侶「そうですね船にも乗れますし」
魔法勇者たちは隣国行きの船に乗り込む。
○東の町・町はずれ
神官「うーん エルフさんから勧誘の答えを聞けませんでしたね」
神官「ま 色々収穫はありましたし よしとしましょう」
ホタテ男「神官さま 本当に私のような者が他にも?」
神官「ええもちろん 貴方は新しい方ですが古くからの方もいますよ」
ホタテ男「はぁ?」
神官「会えばわかりますよ」
ホタテ男「わかりました一緒にいきます」
神官「はい では行きましょう」
神官は町はずれの道を歩きだした。
神官「……(エルフさん いずれまた)」
○遠い海上
ザザーンザザーン
タコ博士「ぐぅ」
タコ博士はサメタコ女の背中で目を覚ました。
タコ博士「……お前 他の奴は」
サメタコ女「……」フルフル
タコ博士「匂いが…… そうか私をかばったのか」
サメタコ女「……」ウルウル
タコ博士「国に帰るか……」
サメタコ女「」ニュルニュル
サメタコ女は泳ぎ始めた。
○
※更新終了 勇者祭編はこれにて終了です
次回更新は再来週に 小話の集まりかもしれませんが まぁ小話すらかけてないですが(短く書くって難しい)
乙
#28 天才第七王女の生活
○王城・離れの書庫
兄王「というわけでお前はしばらくここで頭を冷やせ」
東の町から戻った王女は兄王と第六王子に書庫に連れてこられた。
第七王女「なんじゃと!? 東の町を救ったのにこの扱いはヒドイではないか!」
兄王「その件は王国兵でも処理は出来たはずだ」
第七王女「そんなはずはない あの巨大生物はわらわ達だからこそ対処できたのじゃ さらに謎のタコ面の……」
兄王「だまれ そんなことはどうでもいい。 それよりお前の行程無視の方がよっぽど重大だ 約束しただろう? 規定した行程を守って調査を行うと」
第七王女「ぬ それはそうじゃが…… 事は急を要したのじゃ 勇者としての使命だったのじゃ!」
兄王「言い訳無用 とにかくお前は違反したから罰としてしばらくここに居ろ」
第七王女「それでは調査団はどうするのじゃ 魔王の所在はいまだに掴めておらんのじゃぞ」
兄王「お前の調査したところで国内及び近隣諸国に居ないのは確認できた それで充分だろう」
第七王女「何をいっておるのじゃ 他国に居るかもしれんのじゃぞ早急に調査に乗り出さねば」
兄王「ウチはウチヨソはヨソ 第一お前がドラゴン連れて他国にいってみろ外交問題になるぞ」
第七王女「うぬぬ だったら白竜は留守番で……」
兄王「もういい ほらお前本が好きだろしばらくここで勉強していろ 必要なものは運び入れてある食事も届ける」
第七王女「こんな窓もないような部屋に……監禁ではないか」
第六王子「牢屋でないだけ感謝しろ よし閉じるぞ」
第六王子の合図で宮廷魔術師が呪文を唱える
パキン
第七王女「なんじゃ!?」
第六王子「結界魔法だ 流石のお前も結界からは逃げれんだろう」
第七王女「結界じゃと?」
第七王女が開いた出入り口に手を伸ばすと魔法の壁に触れた。
バン
第七王女「うぬ おのれこんなもの」バンバン
第六王子「無駄だ無駄だ 常時魔術師が外で見張りにつくあきらめろ」
第七王女「うぬぬ おれれバカ六!」
第六王子「なんだと!? 妹の分際でお前は!」
第七王女「バカと言われて怒るのは本物のバカじゃ まったく器が小さいのう」
第六王子「貴様ァ!! この」
ドガン
第六王子は第七王女に詰め寄ろうとして結界に激突した。
第六王子「はふっ」
第七王女「だからバカじゃといったのじゃ 己で張らせた結界を忘れるとは」
兄王「お前ら 本当に……仲良く出来ないのか」ハァ
第七王女「無理じゃな」フン
○王城・渡り廊下
兄王と第六王子が廊下を歩いている。
兄王「やれやれ とりあえずこれで一安心だな」
第六王子「はんな奴牢屋でもひひじゃないでふか」
兄王「お前鼻は大丈夫か?」
第六王子「もどっはら治癒まほーをひてもらいまふ」
兄王「そうか」
第三王子「兄貴 あそこまでしなくてもよかったんじゃない?」
第三王子が現れた。
兄王「お前は王女に甘すぎるんだ」
第三王子「兄貴は厳しすぎじゃないかな?」
兄王「お前なぁ…… 今回の王女の暴走はお前にも原因があると報告が上がっているが?」
第三王子「え~と そうだっけなぁ?」はっはっは
兄王「まぁいい ようやく帰ってきたんだ はやく報告書をまとめてこい」
第三王子「え~ 何年分あると思ってるの? そう簡単には」
兄王「実から出た錆だろうが! 何年ほっつきあるいていたんだバカ野郎 そもそもな……」
第三王子「あ じゃあ報告書まとめるから後で~」スタタタタ
兄王「あ こら…… まぁいい あとお前は王女と面会謝絶だからな」
第三王子「ええ~ そんなぁ」
兄王「お前ら二人そろったらまた逃げ出すだろうが お見通しだ」
第三王子「そんなまさか」はっはっは
第三王子は笑って逃げていった。
兄王「やっぱりそのつもりだったな」
第六王子「いくら三兄上でも結界ではどうしようもありませんよ」
兄王「……お前は魔法を買い被りすぎだ」
第六王子「買い被りですか……」
○離れの書庫
第七王女「ふぅむ 見事に天井まで結界に囲まれておるな」
天井近くまで積み上げた本の上で第七王女は唸る。
第七王女「窓は無し 通気口は細すぎるし隠し通路もないのう」
パキン
第七王女「む 結界が?」
ガチャ
召使「王女様 お食事です」ガラガラガラ
召使がワゴンで食事を運んできた。
第七王女「今じゃ!」シュッ
召使「きゃっ!?」
ダダダッ
第七王女は素早く扉をくぐりぬけ外へ駆け出した。
ドガンッ
第七王女「ッ!? あいた~~!?」
外へ出ようとした第七王女は二つめの結界に激突した。
宮廷魔術師A「大丈夫ですか王女?」
宮廷魔術師B「申し訳ありませんが第六王子の指示で二重結界となっております」
第七王女「お~の~れ~バカ六!!」
○
兄王「まったくお前は半日もじっとしておれんのか」
第七王女「ちょっと外の空気を吸いたかっただけじゃ」
兄王「1人にすると何するかわからんな やはりお前には監視をつける」
女兵士「えっとはじめまして王女サマ」
女兵士があらわれた。
第七王女「なんじゃ? 女騎士ではないのか」
兄王「……女騎士には休暇を与えた」
第七王女「なんじゃと!? まさか」
兄王「勘違いするな処罰ではない 俺も驚いたというかようやくというか……結婚したそうじゃないか男と」
第七王女「ああそれで」
女兵士「ええー!?」
兄王・第七王女「「!?」」
兄王「君 どうしたんだ?」
女兵士「え! いえあのスイマセン でも結婚ってあの男さんッてたいちょーが……女騎士さんとがですか」
兄王「そうか君は男の元部下だったな そのうち披露宴をするからその時に招待状が行くはずだ」
女兵士「ヒロウエン はぁ そうですか……はい」
兄王「……とりあえず王女を見張っていてくれ いいか?」
女兵士「はい 了解いたしましたのでありまする」ボーゼン
兄王「……(男~ あいつは本当に)」
○
第七王女「ふむそうか 男は分隊長だったしのそれでのう」
女兵士「うう~ 王女さまの調査からやっと帰ってきたと思ったら~」えぐえぐ
第七王女「うーむ なんかスマヌ」
女兵士「はぁ~ 女騎士さんかぁ そっかぁ~」ドヨーン
第七王女「……(ううむ この状態の者と四六時中一緒ではかなわんのう)」
女兵士「たいちょーは理想のおとーさんだったのになー おとーさんにしたかったのになー」ぐすぐす
第七王女「そうかおとーさんか……ふむ父上? お主は男を父上にしたかったのか?」
女兵士「え? まぁそーですねーたいちょーと結婚してお父さんになってもらって一生甘いモノを奢ってもらうのが理想でしたねー」
第七王女「(男も大変じゃのう)……しかしそれならばまだ男を父上にする方法がまだあるではないか」
女兵士「え? どういうことです?」
○謁見の間
兄王「というわけで第七王女は旅の疲れから臥せっておる お引き取りを」
娘「かしこまりました それでは失礼します」
娘友「……(本当かな?)」
娘と娘友が退室した。
家老「……第七王女はよいご友人を得られましたな」
兄王「そうだな…… それで第七王女の様子は?」
第六王子「大人しく本を読んでるようです ようやく懲りたかなあのアホも」
兄王「第三王子は?」
家老「部屋で報告書のつづきをまとめさせております」
兄王「そうか早く全部まとめるように伝えてくれ ……こんなこと王女が知ったらまた飛び出してくぞ」
○離れの書庫
娘と娘友からの手紙を読んでいる第七王女。
第七王女「うーむ兄上め わらわを病気で臥せっておるとうそぶいておるな」
女兵士「娘ちゃんか 元気かな?」
第七王女「なんとかして娘たちにわらわの現状を知らせたいものじゃ」
女兵士「お手紙の返事はどうです?」
第七王女「ここをみてみい 封筒のノリがズレておる 検閲されておるの」
女兵士「あらら ホントだスゴイ用心してますね」
第七王女「ここにあった王家の家宝目録にあったアレがあればこんな所逃げ出せれるのじゃがのう……」
第七王女は手紙をしたためながらいう。
女兵士「王家の家宝ですか? だったら第三王子さんとかに頼めば」
第七王女「無理じゃ 三兄は監視されておるじゃろうし第一この王都には既に無いのじゃ」
女兵士「え? ないって家宝じゃないんですか?」
第七王女「家宝として姉上の嫁入り道具として持ち出されておる」
女兵士「あらら それじゃあどうしようもないですね」
第七王女「なので 娘たちにそれをとってきてもらうよう手紙を…… よし出来たのじゃ」
第七王女は手紙を女兵士に渡した。
第七王女「これを娘友に届けるように外の者に手配しておくれ」
女兵士「わかりました でも検閲されるんじゃ?」
第七王女「大丈夫じゃ 見られてもワカラン暗号を使用したのじゃ」
○一週間後・離れの書庫
第七王女「男と女騎士の披露宴も終わったのう 行きたかったのう」
女兵士「そうですねー いけませんでしたねー いきたくもなかったですがー」ぐでぐで
第七王女「男を父上にする件はわらわが話した通りにすればよかろう?」
女兵士「いやそうでしょうけど 急には……」
パキン
ガラガラガラガラ
召使「お食事です 女兵士様もどうぞ」
第七王女「うむ いつもすまんのう」
女兵士「ありがとうございます」
カチャカチャ
食事を始める二人。
女兵士「はぁ なんだかヤケ食いしたい気分ですね 豚の丸焼きとか」
第七王女「豚の丸焼きのう わらわ一人では無理じゃが…… それじゃ! 丸焼きじゃ!」
女兵士「?」
○別の日・離れの書庫
女兵士「今日は丸焼きらしいですよ」わくわく
第七王女「そうじゃな 準備はよいか?」
女兵士「はい」
パキン
ガラガラガラ
召使が大きな台車を押して入ってきた。
召使「よしょ ふぅ お待たせしましたお食事を……」
第七王女「待っていたのじゃ!」
○数十分後・離れの書庫の外
ガラガラガラガラ
召使「終わりましたー」
宮廷魔術師A「おわったか 今あける」ゴニョゴニョ
パキン
召使「どもー」
ガラガラガラガラ
召使と大きな台車が書庫から出てきた。
宮廷魔術師B「よくまぁ オンナ二人で豚の丸焼きなんてオソロシイネ」
召使「えー? いやそんなに食べれてないですよ ほとんど残してますって」
パキン
内側の結界が再び張られた。
宮廷魔術師A「くっちゃべってないで早く外側をあけろ」
宮廷魔術師B「へいへい」ゴニョゴニョ
パキン
外側の結界が開いた。
召使「よし……(今だ)」
ガラガラ
宮廷魔術師B「ねぇねぇ ほとんど残ってるんじゃ俺たちにくれない? お腹へってきちゃって……」
宮廷魔術師Bが大きな台車に手を伸ばそうとする。
召使「だ!? ダメですーだめですぅうううう」
ドドドドド
召使は猛全と走りだした!
ガラガラガラガラ……
\うおわあああ/ \ごめんなさーい/
第六王子「……なんだ今のは?」
宮廷魔術師A「ハッ 第六王子様今のは第七王女の食事でした」
第六王子「あいつの……妙だな オイ結界を解け あいつらは中に居るのか?」
宮廷魔術師B「え? 出てきたのは召使だけですが?」
第六王子「いいから開けろ」
パキン パキン
○離れの書庫
バァン
第六王子が書庫にはいると椅子で寝ている女兵士と第七王女の寝ているベットが見えた。
宮廷魔術師A「王子! いくらご兄弟でもいきなり女性の部屋にはいるのは……」
第六王子「バカ野郎 これを見ろ」バサッ
第六王子が第七王女の布団をめくると
豚の丸焼き「……」
宮廷魔術師B「え? どういうことだこれ? お前何をしていた!?」
宮廷魔術師が女兵士に詰め寄ると
ポロ
女兵士の変装が落ちる。
召使「……」フガフガ
女兵士は無理やり変装させられた召使だった。
第六王子「あいつ!」
○王城・渡り廊下
ガラガラガラガシャン
大きな台車から第七王女が飛び出した。
第七王女「よし 成功じゃ」
ガバッ
女兵士「ぷはっ ばれてないですかね?」
ジリリリリリリリリリリリリリ
警報が鳴り響く。
第七王女「だめじゃな もうバレタようじゃ あのバカ六め」
\いたぞあれか?/
女兵士「うわぁ はや!?」
\こっちだ/
第七王女「むぅ 後ろからも」
女兵士「失敗ですかね」
第七王女「まだじゃ」ヒョイ
第七王女は欄干の上に飛び乗る。
\どよどよ/ \あぶねぇ!?/
女兵士「ええ? まさか!? かなり高いですよ」
第七王女の眼下には川が流れている。
第七王女「これくらいなら大丈夫じゃ 一緒に来ないのか? 男子にも会えんぞ?」
女兵士「うう~~ 行きます! 行きますよ!」
第七王女「よーい 行くのじゃ!」バッ
\うわああああ/
女兵士「えーい」バッ
第七王女と女兵士は川へ向かって飛び出した。
ドボーンドボーン
第六王子「信じられん! あのアホ」
○
※更新終了 今回はここまで 次は悩める男子編です
次回更新は来週の日曜に
乙
#29 若き準騎士 男子の悩み
○第七王女たちが戻ってくる前の王都・兵士詰所
騎士団長「退院したのか その後の障りはないのか」
男子「はい 大丈夫です」
*「おお 大丈夫なのかジュニア」
*「すこし痩せたんじゃないか?」
男子「大丈夫です明日から通常任務に就きます」
騎士団長「そうか 一応病み上がりだ無理をするなよ」
男子「はい」
○王城内兵舎
自室へと向かう男子。
スタスタスタ
男子「……(やっと退院できたんだ 王女が戻ってくるまでは準騎士として勤めをちゃんと果たさなければ)」
召使A「……あ この子」
召使B「どうぞ」スッ
おしゃべりしていた召使たちが男子に道をあけた。
男子「どうも」
スタスタ
男子は自室へ入っていった。
召使A「誰今の? おおきい子ねー」
召使B「知らないの あの男さんの息子よ」
召使A「え! あの近衛兵だった男さん!? へえーあんな大きな子が」
召使B「あの子は男さんと違ってマジメでいいコよ 顔も可愛らしいし王女さまの護衛についてたから将来も有望よ」
召使A「あらー 私も10歳は若ければほっとかないんだけど」
召使B「だったら 私はダメ元でがんばちゃおうかしら」
召使A「あなたチャレンジャーね」
○自室
自室に戻るとルームメイトの先輩騎士が声をかけてきた。
先輩騎士「おお ジュニア挨拶はすんだのか?」
男子「はい 明日から任務に戻りますよ それとジュニアって呼ばないでくださいよ」
先輩騎士「いやなぁ 男さんの息子だろ その方がわかりやすい」
男子「その呼ばれ方は正直いって 若干イヤなのですが」
先輩騎士「そうかもしれねーがおめーは父親が元近衛兵の男さんだろ そしたらあの剣聖の孫でもあるだろ 超エリートじゃん ちょっとぐらい嫌がらせさせてくれよ」
男子「はぁ……(まぁここまでハッキリいってくれるとむしろラクだよな)」
先輩騎士「だから超エリートジュニアお茶いれてくれー お前の退院手伝ったろ腰がやばいンだわ」
男子「はいはい わかりましたよ先輩」
○第七王女が戻って来た日・兵士詰所
男子「父上 王女護衛任務お疲れさまです 女騎士さんも」
男子は第七王女の護衛から戻ってきた男と女騎士を出迎えた。
\お疲れさまでーす/ \土産はー/ \コラ/
女騎士「ありがとう男子君 皆 えっと土産話ではないが報告があってな……その……」
男「まぁなんだ 俺たち結婚した」
\ふぇ!?/ \ハァ!?/ \ええー/
女騎士「お前そんないきなり!?」カアア
男子「」
女騎士「男子君も困ってるじゃないか!」
男「いやだってどうやって言ってもショックだろ だったら早めに……」
女騎士「心の準備とかが必要だろうがバカ…… すまない驚かせたか男子君」
男子「……ええと はい」
*「マジですか男さん」
*「やっと落ち着く気になりましたか」
先輩騎士「よかったですねぇ女騎士さん 嫁ぎ遅れなくて あ 充分遅いか」
ゴン
騎士団長「お前は…… とにかくおめでとう 式はいつやるんだ?」
男「えー 今更式とかなぁ……」
女騎士「なに? まさか本当にアレで済ませる気だったのか!?」
男「いいじゃないか ちゃんと僧侶もいたし」
女騎士「いやいや アレはないだろアレは」
男「じゃあもっかいやるのか? 指輪やらキスやら全部ちゃんとするのか」ニヤニヤ
女騎士「な!」カアアア
男「俺はかまわんぞ]
女騎士「いや…… アレは流石にもう勘弁してほしい……」カアアアアア
男「それじゃあ式にならないじゃないか どうするんだ? やるのかやらないのか?」
女騎士「いや それは その……」カアアア
先輩騎士「ヒューヒュー アツイねこのこのー」
女騎士「黙れ 貴様らー」ドドド
\ギャー怒ったー/ \退避退避ー/
騎士団長「間をとって披露宴ならどうだ?」
男「なるほど それなら丁度いいな…… 男子? どうした」
男子「……いえ」
男「まさか反対だったか?」
男子「いえ決して」
男「じゃあ相談しなかったから怒ってるのか?」
男子「それもありません 父上のことは父上で決めて下さればよいので」
男「……だったらなんでそんな顔してるんだ」
男子「いえ……その…… この顔は生まれつきです」
男「……(遠まわしにディスられてるのか俺?)」
○翌日・大通りの喫茶店
男子「というわけですが 俺どうしたらいいですかね」
娘「そんなことで相談にきたの?」
男子「うるさい 俺はエルフさんに相談しにきたんだ」
少年エルフ「えーと 女騎士さんは嫌いだった?」
男子「それはありません 父上と違ってマジメだし人として騎士として尊敬しています ただそのこれからどう接すればよいのか……」
娘友「そうよね 男子君からしたら上司みたいなものだったわけだし 微妙よね」
少年エルフ「そう? 具体的にどんな風に困ってるの?」
男子「それは……うまく言えませんが」
娘友「母親ってものにどうやって接するのかがわからないとか」
男子「! そうだな……そうかもしれない」
少年エルフ「友ちゃん……(そういえばこの子もお母さんが……)」
娘「そんなの適当でいいじゃない」
男子「それじゃあ失礼だろう 義理とはいえ母親にはそれなりの対応が」
娘「そんなこと言ったってアンタ母親の事覚えてるの?」
男子「もちろんだ…… 俺の母親は厳しい人だった言いつけをやぶった罰に魔法を撃ってくるような……」
娘「それオババよ」
男子「え」
少年エルフ「うん オババだね男もやられてたし君も小さい頃に火球投げられてたよ」
娘「それで火傷を治すのは毎回パパだったのよ 感謝しなさい」
男子「そうだったのか すみませんエルフさん」
娘友「マジで……(オババさんって一体)」
娘「ほらアンタ小さかったから母親の事なんて覚えてないでしょ」
男子「いやまて他にも覚えているぞ 母親は不器用だった! 俺の髪をきってくれたんだが酷い出来で結局丸刈りにした記憶が……」
娘「アンタねぇ」
少年エルフ「それ娘だよ」
男子「ええ!?」
娘「本当に余計な事は覚えているのね~ 不器用? そりゃ私も子供だったからねぇ」ゴゴゴ
男子「まて子供の頃の話だろう なぁ」
娘「今ならこの剣で器用に斬れるわよ 髪伸びたんじゃない? 斬ろうか」スラッ
男子「まて落ち着け」
ドタバタ
少年エルフ「あーもう いつまでたっても子供なんだから」
娘友「ホント姉弟みたいね」
少年エルフ「そう……?(普通の姉弟って剣でやりあうものなの?)」
○
男子「すいませんエルフさん」
少年エルフ「謝らなくていいよ 娘が悪いんだから ”治癒”」パアア
娘「……男子が動くからよ ジッとしてたらちゃんと出来たわ」
娘友「それ以前に店内で勝手に断髪式はじめないでください」
娘「ん……ごめん」
少年エルフ「はいおしまい 他に痛むところない?」
男子「いえ……ありがとうございます」
少年エルフ「そう よかった」ニコ
男子「……(母親か エルフさんが一番イメージに近いよな)」
娘「男子 エルフは私のパパよ」
少年エルフ「え?」
男子「わかってる」
娘友「……(男子×エルフさん アリかしら)」ドキドキ
○
少年エルフ「結局相談にのれなかったね ごめん」
男子「いえ いいんです」
少年エルフ「たいしたアドバイスじゃないかもしれないけど 普段通りにしてたらいいんじゃない? そんな無理にこうしようってしなくても」
娘「そうよ アンタはイメージとか思い込みとかにこだわりすぎるから気をつけなさい」
男子「……そうかもしれないな ありがとうエルフさん 娘」
○後日・披露宴
披露宴は宴もたけなわである。
*「じゃあここでもう一度誓いのキスの再現を」
女騎士「なにぃ!? それはもういいだろ」
*「えー 俺たちみてなーい」
\キースキースキース/
女騎士「おまえらー!」
*「ぎゃー メスゴリラが怒ったー」
*「男ー ちゃんと手綱を握っておいてくださいよー」
男「むしろ俺が握られてる方だぞ」
*「じゃあ夜もですか?」
男「夜はむしろ女騎士の方が……」
女騎士「男ー!! 何を言おうとしてるー!!」カアアア
男「はっはっは 顔が真っ赤だぞ」
*「紅白でめでたいな」
女騎士「貴様らー そこになおれー」シャキン
男「やべ逃げろ」
バタバタ
女騎士はケーキ入刀用のナイフを振りかざして男達を追いかけ始めた。
○
少年エルフ「兵隊の人たちって元気だねー」
男子「まぁ 基本そうですね」
娘「こっちにも元気というか荒れてるのがいるけど」
女薬師「っかぁー もっと強い酒はないの」
ダンッ
女薬師は酒を飲み干すと瓶を机に荒っぽく置く。
少年エルフ「そんなに飲んだら毒だよ その辺でやめておこうよ」
女薬師「なぁにいってんのよぉ 祝いの席でしょ ぶれーこーよぶれーこー」ヒック
8本目の詮を抜く女薬師。
娘友「すごいわね どうしてこんなに荒れてるの?」ボソ
娘「……女薬師は表向きはああいうけど男が好きだったのよ」ボソ
娘友「それで……」
女薬師「なによ アタシがあんなの好きなわけないでしょ 好きだったらこんなとこ来ないわよ! うおー」ぐびぐび
8本目をラッパ飲みする女薬師。
少年エルフ「こら それ以上だめ! こんなトコで吐いたら僕怒るよ!」
女薬師「なによぉうエルフ わかったわ飲まないわよ」
少年エルフ「本当? よかった」
女薬師「男にのませてくるわよ 男に!」ドスドス
少年エルフ「ええっ!? ちょっとまって女薬師」
大股に歩いていく女薬師を少年エルフは追いかけて行った。
娘「やっと静かになったわね」
男子「王女は来れなかったか まぁ仕方ないよな」
娘友「王女はね なんか閉じ込められてるって噂よ」
男子「そうなのか? 旅の疲れで病気になったと聞いていたが」
娘「男子…… あの王女があれくらいで病気になると本気で思う?」
娘友「まぁ病気は建前よね この前の脱走で怒られたんでしょうね」
男子「そうか 次は一体どうなるんだろうな」
娘「さぁ 王女の事だから次の事は考えていると思うけど」
娘友「ねぇねぇ 病気ならお見舞いって名目で会いにいってみない? もしかしたら会えるかも」
娘「そうね 言ってみる価値はあるかな 男子はどうする?」
男子「俺は……やめておくよオンナ同士の方が気が楽だろう」
娘「王女はそういうの気にしないと思うけど…… まぁいいわ気が向いたら言いなさい」
男子「ああ」
\うわあああ/ \ガシャーン/ \わははははは/
少年エルフ「ひゃふ 男子くんみんなをとめてぇ」
娘「どうしたのパパ真っ赤よ のまされたの?」
少年エルフ「ちがうよ アレみて」
女薬師「ほら結婚祝いよー」
男「やめろ女薬師 お前らも酔いすぎだー」
*「俺らの気持ちっすよー」
*「ぶれーこーぶれーこー」
男は女薬師と兵隊仲間から次々と酒を頭から浴びせられている。
娘「うっわ酒臭い あっちに行きましょうパパ」
少年エルフ「でも 早くとめなひと女薬師が……」
男子「わかりました止めてきます」
○
男子「ほら女薬師さんそれぐらいで……」
男子は女薬師を男から引き離す。
男「おお助かった」
女薬師「なによ男子放しなさい」バタバタ
*「ジュニア邪魔するなよう」
*「マジメか」
男子「先輩たちも悪のりしすぎですよ ほどほどにしないと明日に響きますよ……どうしました?」
先輩兵隊たちが後ずさりする。
女薬師「……う 気持ち悪い」
女薬師の顔は真っ青だ。
男「うわああ男子! 女薬師を向こうに」
○
\オロロロロロロロ/ \ウワアアア/ \ヒィイイイイ/
娘友「阿鼻叫喚になったわね」
少年エルフ「ああもう 遅かったかぁ」
○更に後日・水路沿いの通り
男子は訓練場に向かいながら数日前に男から言われたことを思い出す。
――男「新婚旅行ってわけじゃないから気にしなくていいんだぞ」
男子「いや どう考えても新婚旅行だろう」ボソ
男と女騎士は北の国へ旅行へ行っていた。
男子「それについて行く娘たちもどういうわけだ?」
少年エルフと娘と娘友も同行して旅立っていた。
男子「まぁいい なまった体を鍛え直さないとな」
\男子 これ男子/
男子「?」キョロキョロ
どこからか呼び止められ辺りを見渡す。
第七王女「ここじゃ」
なんと第七王女が用水路から顔を出して男子を呼んでいる。
男子「王女!? 何してるんですかこんな所でそれにずぶ濡れじゃないですか!?」
第七王女「いいから引き上げるのじゃ」
女兵士「あ 男子君!? すごい偶然」
男子「女兵士さんも!?」
男子は二人を引き上げた。
○
男子「なぜこんな所に?」
第七王女「それよりどこか着替えれる所に案内するのじゃ」
男子「だったら城に……」
第七王女「バカもん 城から逃げ出してきたのじゃ 兄上はわらわを閉じ込めておったのじゃ」
男子「そんな……」
第七王女「お主はわらわ達を兄上に引き渡したりはせんじゃろう? そうじゃろう」
男子「でも俺も一応騎士ですし……」
第七王女「うむ しかし兄上からわらわを探すように命は受けておらんな」
男子「はい それはまだ」
第七王女「そしてお主はわらわの騎士じゃ わらわの命令を聞くのは自然のことじゃな」
男子「はぁ 確かに」
第七王女「ならば わらわ達を匿うのじゃ」
男子「しかし…… そんな場所」
女兵士「っくしゅん」
第七王女「ほれ 何処でもよい 早く案内するのじゃ」
男子「むぅ だったら」
○王城内・兵舎 男子の自室
男子「……」そー
先輩騎士「ジュニアどうした? それより城から招集がかかったぞ お前はどうする?」
男子「招集ですか!? ええっと一応非番ですので」
先輩騎士「そうだったな お前も旅行いけばよかったのに」
\いくぞー/
先輩騎士「おっといかねーと じゃな」
騎士達は集合して城へ向かった。
第七王女「ふむ 丁度出払った所とは好都合じゃな 灯台元暗しじゃ」
男子「うわ 待っててくださいっていいましたよね」
女兵士「だって馬糞くさいんだもん」
男子「女兵士さんまで…… とにかく早く部屋へ」
○
男子「入りますよ……ってなんですかその恰好は!?」カアア
第七王女「そうはいってもおぬしの服は大きすぎるのじゃ」
女兵士「ほんとダブダブ」
第七王女と女兵士は男子のシャツを着てダブついている。
男子「ちゃんと下……ズボンも履いて下さい!」カアア
第七王女「むうう だから大きすぎるのじゃ何回裾をまくらなければないないと思うとるのじゃ」
女兵士「それに腰回りも大きすぎてずりおちちゃうよ 他に合う服ないの?」
男子「ありません 第一ここは女性立ち入り禁止ですよ バレたら……」
第七王女「どうせ出払っておるんじゃろう? バレやせん」
ガチャ
女兵士「そうですよねー なんせあたし達を探しにいってるんでしょう」
男子「だからって勝手に出ないでください……なにするんですか?」
第七王女「なにちょっと調べるだけじゃ」
○
第七王女「こんなところじゃな」
女兵士「さすがに男性ものだとぴったりとは行きませんね ここキツイ」ぎゅうぎゅう
女兵士は胸を抑える。
男子「……それでこれからどうするつもりですか?」
第七王女「むろん 調査を続けるのじゃ」
男子「調査って また旅立つつもりですか!?」
第七王女「当たり前じゃ 魔王の所在はいまだに掴めておらんのじゃぞわらわの旅はまだまだこれからじゃ」
男子「でもどうやって出ていくつもりですか? 旅の用意もなしに」
第七王女「それはここで揃えたのじゃ」ドサッ
男子「それはここの支給品ですよ」
第七王女「もともとウチ(王家)のじゃろ 問題なかろう」
女兵士「外に馬もいますにすぐに出れますねー」
男子「本当に行くつもりですか」
第七王女「そうじゃ それでお主も準備はよいか?」
男子「準備って 俺もですか!?」
第七王女「当たり前じゃ わらわの騎士じゃろう? 伴をせい」
女兵士「それとも残ります? 色々なくなったモノの言い訳とか大変になるかもですけど……」
男子「ッ! ……わかりましたお伴しますよ 行きますよ」
女兵士「やったぁ」
第七王女「どうじゃ わらわの言った通りであろう」
男子「はぁ……(王女にはかなわないな)」
○王都の外
夕闇の中男子達を乗せた馬が走っている。
パカッパカッ
第七王女「よし王都脱出成功じゃ」
男子「馬上です あまり動かないでください」
女兵士「いまさらだけど本当に一緒にきてよかった? 男子くん」
男子「……(本当に今更だなぁ) いいですよしばらくは王都から離れたい気分だったので」
女兵士「そっかぁ よかった」ニコニコ
男子「それより女兵士さんこそいいのですか? しばらく戻れませんよ」
第七王女「女兵士はお主と一緒のほうが都合がいいのじゃ」
女兵士「王女サマ!」
男子「?」
女兵士「それよりどこに向かうんですか? 何か当ては?」
第七王女「とりあえず帝国領に向かうのじゃ」
男子「本気ですか!? 本当の他国ですよ」
第七王女「勇者に国境は関係ないのじゃ ゆけー!」
第七王女一行は帝国領へ向かう。
※更新終了 次回更新も日曜に
凡人っぽくて見てて安心する
乙
#30 娘と少年エルフとオジサンオバサンオジサン?
○山道を走る馬車・車内
ガラガラガラ
男「いやぁ 休暇も貰えたし旅行まで用意してもらって悪いなぁ」
女騎士「本当に兄王と王女に感謝ですね」
少年エルフ「……本当に僕達も同行してよかったの?」
女騎士「もちろんだ べ別にしし新婚旅行とかそんなんじゃないからな!」カアア
少年エルフ「そう? ……(やっぱりコレ王女からの新婚旅行のプレゼントだよねえ?)」
男「まーしばらく骨休みだ 王女もしばらく閉じこ……ゲフンゲフン 休養だからな」
娘友「へー 休養ねー(表向きはそうよね)」
娘「それにしてもまだ着かないの? 谷の国から結構たつでしょ?」
男「なにこの峠を越えれば見えるぞ…… ほら」
ガラガラ
少年エルフ「わぁ」
峠を越えて眼下にレンガ造りの街が見える。
娘「素敵ねぇ」
女騎士「ああ 北の国だ」
○
○北の国・観光ホテルのスイートルーム
男「本当にいいのか? 部屋は広いし一緒でもかまわんぞ」
娘「何言ってるの せっかく王女が手配したスイートルームなんだから二人だけに決まってるでしょ」
女騎士「いやだから 別にそういうのじゃなくてな」カアアア
娘友「いえいえ これ以上邪魔しちゃ悪いから…… アタシ達は知り合いの宿に泊まるし」
少年エルフ「じゃね ごゆっくり」
バタン
少年エルフ達はスイートルームに男と女騎士を残して出て行った。
女騎士「ああもう 本当にこれじゃあ……」
男「……まぁまぁまぁ せっかくのみんなの好意を無駄にしちゃいけないよな なぁ?」
女騎士「なぁってお前ちょっとまて まだ着いたばっかりだろう!?」
○北の国・宿
少年エルフ「さてと どうしよっか」
娘「……」
娘友「……やっぱり言ってなかったの?」
少年エルフ「なに?」
娘「パパ 実はね私たち王女から手紙をもらってたの」
少年エルフ「どういうこと?」
娘と娘友が話始める。
○王都出発前のある日・娘友の部屋
娘「王女から手紙?」
娘友「ええ それがコレなんだけど」
娘友は手紙を広げた。
娘「……なんだか王女らしくないわね 当たり障りのないというか」
娘友「でしょ それとコレも入っていたの」
娘「コレって……ロウソク?」
娘友「そそ それでココに書いてある『病に焼きミカンが』云々ってあるでしょ」
娘「そうね……焼きミカン……」
娘友「それとこの手紙 行間がけっこう空いてるでしょ」
娘「ああ それでロウソクを」
娘友「わかった? ちょっと火をつけて」
娘「”火球”」ボッ
○北の国・宿
娘友「で あぶり出てきたのがコレ」
娘友は少年エルフにあぶりだしの手紙をみせた。
少年エルフ「へぇ あぶりだしか懐かしい…… えっとなんて書いてあるの?」
あぶり出しの字はやたらと達筆である。
娘「まぁ要約すると王女は結界に閉じ込められてるみたい」
少年エルフ「え!? そうなの」
娘友「それで抜け出すのにこの国にあるお宝を持ってきてほしいんだって」
少年エルフ「おたから? 具体的にはどんな?」
娘「元王家の家宝 変身ベルトだって」
少年エルフ「元家宝ってどういうこと?」
娘友「この国に王女のお姉さんが嫁いだ時の嫁入り道具らしいわ」
○北の国・王宮
皇太子妃(第四王女)「きゃー本当に娘様? 感激だわ」
娘「ありがとうございます…… なぜ私の事を」
皇太子妃(第四王女)「これこれ勇者新聞呼んでるの あなた載ってるでしょ」
娘「本当 でもなにこの新聞 王女と調査隊のことばかりじゃない」
娘友「あらー 言ってなかったっけ? アタシが新聞会社買収したの 王女の活躍と調査隊の結果を届けてるわ」
少年エルフ「いつのまに……」
皇太子妃(第四王女)「他にも男子くんカッコいいわよね~ 今日は居ないの?」
娘「いません…… あと王女からの言伝がここに」
皇太子妃(第四王女)「あらこれ 懐かしいわねあぶり出し コレ教えたのアタシなの」
少年エルフ「ええっとそれで変身のベルトは貸していただけますか?」
皇太子妃(第四王女)「あ うん 出来るならそうしてあげたいんだけどねー いまね ないの」
娘「ないといいますと?」
皇太子妃(第四王女)「しばらく前に海賊に盗まれちゃったの」
○海賊の砦
海賊頭「ふっふっふ念願の変身道具を手に入れたぞ」
子分A「あとは魔力があれば使えますね」
海賊頭「そうだな どこかで魔法使いをさらってだな……」
子分B「おかしらー 大変です海が」
海賊頭「なんだそうぞうしいな」
子分C「海が立ってます」
海賊頭「はぁ?」
子分A「なんだそりゃ」
子分B「とにかくに外を見てください」
海賊頭「なんだありゃ!?」
外を見ると海から垂直に海流が流れている。
○近くの海岸
少年エルフ「んーとあの辺かな? ”大水流”」
バッシャアアアアアンン
ドドドドドド
\どわー/ \ひいー/
娘「パパスゴイわ まるで水龍ね」
娘友「狙い通り海賊が流れてきたわよ」
少年エルフ「娘 やり過ぎちゃダメだよ」
娘「わかってる手加減するわ(とはいっても海水まみれじゃね)……”雷撃”」
バリバリバリドドドーン
\\ウギャアアアアアアアアアア//
○海賊の砦
娘「んー やっぱりあまり意味なかったわね」
海賊頭「」
子分A「」
子分B「」
子分C「」
プスプス……
娘友「いいじゃない 昔から『悪党に人権はない』っていうじゃない」
少年エルフ「いやいや あると思うけど……」
娘「えっと 例の魔法道具は……」
娘友「アレかな このオッサンが装備してるわ」
娘「うわ 面倒くさいわね」
海賊頭「くくく やってくれたなお前達」
娘友「うわ 起きた」
海賊頭「今ので魔力が充填された俺の悲願が達成される!」
娘「離れて! 変身するつもりよ」
少年エルフ「え!?」
海賊頭「とうっ ”変身”!」
ピカーッ
海賊頭のベルトが輝く!
娘友「うおっ まぶし」
○
少年エルフ「え?」
娘「パパ 見ちゃダメ」
娘友「キモッ」
海賊頭「なんだと!? この美少女海賊に……なってねぇ!? なんじゃこりゃあ!?」
海賊頭はセーラー服で女装したオッサンに変身した。
娘「それはこっちのセリフよヘンタイ! ”電撃”」
バリバリバリ
海賊頭「ギャアアア」
海賊頭を倒した。
ドサッ
海賊頭「ぐ……何をやっても経済効果のあるピチピチの女子高生になりたい人生だっ……た ぐふ」
娘友「最低の最後の言葉ね」
娘「いやいや気絶しただけでしょ」
○山道を走る馬車・車内
ガラガラガラ
娘友「ということで褒美にあっさりと変身ベルトを貰えちゃったわね」
娘「そうね 燃費が悪い上にまともに使えないって話よね」
少年エルフ「まともに使えないってどういうことかな?」
娘友「あの海賊も使ったけど まぁ見れたものじゃなかったわよね そういうことじゃない?」
少年エルフ「えっと魔力充填するから使ってみていい?」ドキドキ
娘「え?」
娘友「あらエルフさんチャレンジャーね~ はいどうぞ」
娘友は変身ベルトを少年エルフに渡した。
少年エルフ「ありがとう…… ”渡魔”」キュイン
少年エルフは変身ベルトに魔力を充填していく。
娘友「何に変身するつもりかな?」ボソ
娘「なんとなく想像はつくけど……」ボソ
少年エルフ「よし……(180センチ180センチ180センチ)”変身”」
ピカ―
娘「いちいち光るのね」
娘友「それはお約束でしょ」
光が収まり変身した少年エルフがあらわれる
少年エルフ(180センチ?)「うわ 娘より高い やったぁ!」
少年エルフが娘を見下ろして喜ぶ。
娘「パパ あの……自分の体をよくみて」
少年エルフ「え? うわぁなにこれ!?」
娘友「うわー エルフさん胴長っ」
少年エルフ(胴長)「えー こんなはずじゃ」
娘友「まぁ まともに使えないっていうのはこういうことなのね」
娘「いいんじゃない? 一応背は伸びたしダックスフンドみたいでカワイイわよ」
少年エルフ(胴長)「こんな180センチやだよ 靴下も履けないじゃない」
娘「だったら私が履かせるわよ 靴下もズボンも下着だっていっそのこと上から下まで全部」ハァハァ
娘友「娘おちつけ それ以上はいけない」
○王都・酒倉
娘達は第七王女の手紙に書かれていたようにホワイトドラゴンの元へ来た。
白竜「なんだか外が騒がしいわね」
娘友「第七王女が脱走したみたい コレ(変身ベルト)はいらなくなっちゃったかな?」
白竜「あらー ちゃんと持ってきてくれたのね懐かしいわソレ」
少年エルフ「知ってるのコレ?」
白竜「知ってるもなにもワタシの物だったから いつの間にか王家の家宝になっちゃってたけど」
娘「でもそれまともに使えないわよ」
白竜「コツがいるのよ 変身後の具体的なイメージがないと思い通りにはいかないから」
娘友「で 王女はそれでどうやって脱走するつもりだったのかしら」
白竜「聞いてないけど……以前相談してたヤツかな? 変身したワタシが王女ちゃんを助けにいくカンジ?」
少年エルフ「そんな相談してたんだ」
白竜「王女ちゃんがアナタ達にソレをとって来させたならきっとそういうこと」
娘「たしかに王女ならそれくらい考えるわね」
少年エルフ「でも王女も逃げ出せたみたいだし どうしよう?」
白竜「あら? 逃げ出した王女ちゃんがどうするかはわからない?」
少年エルフ「えーと?」
娘「調査隊を続行するわね 魔王を見つけるまで」
白竜「だとしたらどこへ?」
娘友「えーと調べたところ以外?」
少年エルフ「それだと範囲が広すぎるよ」
娘「帝国領ね」
白竜「はい正解」
少年エルフ「え?」
娘友「なんで?」
白竜「王女ちゃんには実は一番調べにいきたい場所があったの」
少年エルフ「どこ?」
娘「帝国領北東部 元魔法王国……さらに言えば 勇者と魔王の決戦の地」
白竜「そういうこと 元魔法の根城があった所よ魔王が居る可能性が一番高いわ」
少年エルフ「そんなところが……」
娘「さてと どうしましょうか」
少年エルフ「どうするって?」
白竜「カンタンよ王女ちゃんを追いかけるか そうしないのか」
娘友「そんなの決まってるじゃない一緒にいかなきゃ」
娘「そうよね放っておけないわよね」
少年エルフ「ん~ やっぱりそうだよねぇ」
白竜「じゃ決まりってことで 出かける準備をするわね」
白竜は指に変身ベルトを着けた。
白竜「あ すごい魔力満タンじゃない エルフちゃんね ありがと」
少年エルフ「うん でも着ける場所そこでいいの?」
白竜「そうよ ワタシの指輪なの」
少年エルフ「そうだったんだ」
白竜「それじゃ久しぶりだけど…… ”変身”」
ピカ―
○王都・城門
門番「お……(娘さん達だな 白竜の所からの帰りか)」
娘「お疲れさまー」
門番「うむ」
少年エルフ「お邪魔しましたー」
門番「うむ」
娘友「お勤めごくろうさまです」
門番「うむ」
???「お世話になりましたー」
門番「うむ? ……(4人だったか?)」
○
少年エルフ「すごいバレなかったね」
白竜(人型)「当たり前よ どうみてもニンゲンだもの」
娘「でもなんでオッサンなのよ それじゃあオネエじゃない」
白竜(人型)「しかたないでしょー 久々だったんだから(まぁ本質から大きく変容できないんだけどね)」
娘友「それじゃ さっそく王女を追いかけましょう」
白竜(人型)「まって準備がいるわ」
少年エルフ「白竜も準備がいる?」
白竜(人型)「もちろんよ! ……ちゃんと日焼け対策しなきゃ」
娘「あ~もう この美白マニアは~」
娘友「そーね じゃあウチに寄りましょう新商品のサンプルもあるわ」
白竜(人型)「ホント? いくいく」
タタタタ
娘友と白竜は走り出す。
娘「あーあ こんなんでいいのかしら」
少年エルフ「ほら 行こう娘」
少年エルフが娘を促す。
娘「わかったわ いきましょうエルフ」
少年エルフと娘は走りだした。
○
※更新終了 次回更新は忙しくなるので10月9日に
今回みたいに25時に更新しないようにします(多分)。
乙
オッサンかー
ほしゅ
#31 山と里を越えて ~オー・シスターズ!~
○王城
兄王「結局逃げられてしまったのか……」
第六王子「ホワイトドラゴンも居なくなりました」
兄王「すぐに探しに……男と女騎士を呼べ」
第三王子「二人は北の国に新婚旅行中だよ、呼んでも一週間はかかるよ」
兄王「くそうっ 王女めこれも計算の内か!? 誰でもよい誰か探しに行け」
第六王子「私の宮廷魔術師達がすでに追っています」
兄王「そうかよし この件はお前に任せるぞ」
第六王子「御意」
第三王子「……(男たちに知らせたほうがいいかな)」
○王都国境の橋・関所
警備兵「だから許可証をもらってこいって言ってるだろうが」
第七王女「それは出来んと言っておるじゃろう 時間が惜しいのじゃ」
第七王女が警備兵と押し問答を繰り広げている。
女兵士「うーん ダメそうですね 身分を明かすわけにもいかないし」
男「明かしたところで許可がおりるとは考えられませんよ むしろ捕まる可能性のほうが……」
第七王女が警備兵との押し問答をあきらめて戻ってきた。
第七王女「まったく我が国の関所がこんなに厳しいとは……嘆かわしい」
男「……(嘆くところか?) しかし実際どうします?」
第七王女「こうなれば夜をまって白竜を呼ぶしかあるまい きっと娘たちも一緒であろう」
男「白竜をって どうやって呼ぶんですか?」
第七王女「うむ召喚の儀式を教えてもらっておる」
○南の町
白竜(人型)「あら ずいぶん復興してるのね」
娘友「ゾンビ騒動からずいぶん経ったから」
少年エルフ「あ 女薬師の店と……僕の家だったところ……」
復旧した薬屋の隣は更地になっていた。
少年エルフ「う……わかってたけど悲しい」
娘「無事な荷物は教会で預かってるって」
少年エルフ「そっかぁ 女薬師はどうしてるのかな……あれ閉まってる」
娘友「ここに張り紙があるわよ」
貼紙「しばらく旅に出ます ―女薬師―」
少年エルフ「ええー!? 無責任なことして もー」
娘「仕方ないんじゃない? 女薬師にもいろいろあったし……(傷心旅行ね)」
少年エルフ「むー 勝手なんだから…… それにしてもこんなところにいていいの? 王女を探さなくちゃ」
白竜(人型)「大丈夫よ あの子から連絡がきたらすぐに飛ぶから そのためには人目が少ないところのほうがいいから……」
ピロロロロ ピロロロロ
少年エルフ「何の音?」
白竜(人型)「きたわ連絡よ」スッ
白竜は髪の中から角笛のようなものを取り出すとなにやら覗き込む。
ピロロロロ ピッ
白竜(人型)「あらまだ国境のあたりね これならすぐに着くわ」
娘「へぇ そうなの…… それで今の角みたいなの何? とれるの?」
白竜(人型)「これはスマ……まぁ受信機よ それより準備はいい? 忘れ物ない」
少年エルフ「ないよ」
白竜(人型)「アタシの日焼け止めは持った?」
娘友「とりあえず2週間分はあるわよ」
白竜(人型)「わかったわ」
娘「……(一番荷物になってるわよねアレ)」
白竜(人型)「じゃあ行くわよ」
バサッ
ホワイトドラゴンが変身を解いて翼を広げた。
○帝国領西部の田舎町
娘友「というわけで 王女と合流して白竜でここまで飛んできました」
少年エルフ「どうして目的地までいかなかったの?」
白竜(人型)「ここから先はどうしても人目があるし 昼間は飛びたくないわ」
第七王女「よしここからは馬車を確保せねば……」
ブロロロ……
馬が引いて無い馬車のようなものが走っていった。
少年エルフ「なに今の!?」
娘友「あれは自動車よ 帝国では一般的な乗り物よ」
第七王女「帝国は魔導が発達しておるからな……よしあの自動車に乗っていくのじゃ」
娘友「じゃああっちに ここじゃ乗り合い馬車も自動車らしいわ」
女兵士「へー 面白そう」
男「あんな不気味なものに乗るのか」
娘「不気味って 魔法と機械よ」
男「……俺は馬のほうがいいな」
娘「馬は国境で返したでしょ あきらめなさい」
男「むぅ」
○帝国西部の田舎町・バス停前
第七王女「うぬぬ 王都の貨幣は使えぬとな」ぐぬぬ
娘友「忘れてたわねー 国境の町を飛ばしたから両替してなかったわね」
少年エルフ「それじゃあ自動車に乗れないの?」
女兵士「それどころかほぼ無一文ですよ」
娘「都まで行くか国境まで戻るか……」
白竜(人型)「えー 今日はもう飛びたくないわよ お肌が限界よ」
男「(このドラゴンは……)」
第七王女「いーやーじゃー! 自動車に乗りたいのじゃ 早く進みたいのじゃ!」
少年エルフ「そうは言ってもねぇ」
娘「うーん わがまま始まちゃったわね」
男「困ったな」
???「お嬢ちゃんたちお困りですかい?」
娘「誰?」
娘友「あーー!」
???「おーー!? 商人さんのお嬢さんじゃないですか!?」
娘「知り合い?」
娘友「そうよ 旅の吟遊詩人 よくイベントや宿屋で演奏してもらってるわ」
吟遊詩人が現れた。
吟遊詩人「いやですよお嬢さん あっしらのことは今風にシンガーソングライターといってくだせぇ」
娘友「またそんなガラにもないこといって でもちょうどよかったわ」
○荒野を走るワゴン車
ブロロロロ……
吟遊詩人「ほーそれで魔法都市まで行きたいってわけですか」
第七王女「そういうことじゃ」
娘友「でも路銀がこころもとなくてねー」
吟遊詩人「そんなら この先に歌うと銭をもらえるところがあるんですよ やってみますかい?」
第七王女「ほう 面白そうじゃな」
娘「えー そんな歌なんて歌えないわよ」
娘友「大丈夫大丈夫 知ってる歌ならなんでもいいから よーし稼ぐわよ」
男子「俺は歌とか無理なんだが」
吟遊詩人「だったら楽器ですね なぁに簡単なのを教えますから」
少年エルフ「で できるかな」
娘「大丈夫よパパ なんとかなるわ」
○荒野のラジオ局
バァン
吟遊詩人「おやっさん 居るかい」
DJ「なんだお前か 新曲でもできたのか」
吟遊詩人「いいや今日はあっしじゃなくてこっちが歌うんでさ」
DJ「誰だい?」
娘友「ハァイ この子たちは『ビリビリシスターズ』よここで歌えばお金がもらえるって聞いたけど」
DJ「OK 新人なら大歓迎だ スタジオの準備をするからそっちも用意してくれ」
○
DJ「ブラボ! 若い子が懐メロを歌うとこうなるのかこれはイイゾ! おっとテープを替えるから少し休憩してくれ」
娘友「よーしこの調子でいくわよ」
吟遊詩人「すごいなお嬢ちゃんたち これならあっしとバンドを組んでくれやせんか?」
第七王女「あいにく使命があるからの それには応じられぬ」
吟遊詩人「ううん もってぇねぇなぁ」
娘「でも王女こんな古い曲よく知ってるわね」
第七王女「時代劇でよく流れるからのう覚えてしもうた」
女兵士「娘ちゃんだってなんで知ってるの?」
娘「まぁオババに育てられたしね 成り行き?」
女兵士「そうなんだ あたしと似たような感じね」
吟遊詩人「にーさんもドラムうまいじゃないですか バンドでもしてました?」
白竜(人型)「そうね…… 昔取った杵柄ってやつね」フッ
娘「どれだけ大昔よ」
白竜(人型)「それをいわないでよ イケズ!」
少年エルフ「僕たちもがんばろうね」
男子「はい……」タン…タン…タン
少年エルフと男子はカスタネットを練習している。
○峠道を走るワゴン車
ブロロロロ
娘友「やったわね 随分稼げたわね」
第七王女「これで魔法都市まで一直線じゃ」
娘「そうはいかないみたいよ」
ブルルン
少年エルフ達は渋滞に捕まってしまった。
吟遊詩人「なんだこんなところで」
少年エルフ「ん……検問みたいだよ」
○検問
帝国軍人「本当にここを通るのか」
宮廷魔術師「ああ」
帝国軍人「タレこみには感謝するが なんで余所者の命令なんかに」
宮廷魔術師「だったら勝手に探してもいいのか?」
帝国軍人「ここは俺たちの管轄だ」
宮廷魔術師「だったら早く見つけてくれ 領主は気が短いんだろう?」
帝国軍人「くそ……(余所者が)」
○ワゴン車・車内
少年エルフ「って感じの会話してるよ」
第七王女「おのれバカ六め あやつの仕業か」
男子「第六王子が他国にも影響力あるのか?」
第七王女「あやつは魔法都市に留学しておったからのう こちらの領主に顔がきくんじゃ」
女兵士「どうする このままだと見つかっちゃうよ」
娘友「ほかに抜け道は……」
吟遊詩人「そうさね 少し戻ると旧道があるね」
女兵士「どこにつながってるんです?」
吟遊詩人「山向こうの村にでるよ そっから魔法都市へも抜けれるよ遠回りだけども」
娘「他に道は?」
吟遊詩人「ないね あとは正面突破か帰るかだな」
第七王女「やりあうとバカ六に居所がばれるのう よし旧道に向かうのじゃ」
吟遊詩人「んー 後ろも混んでるし旧道は車が通れねぇんだわ」
娘「歩きで行くしかないのね」
第七王女「うむむ 仕方ない徒歩で山越えじゃな」
女兵士「なんだか犯罪者みたいですね」
男子「実際に密入国者ですよ俺ら」
白竜(人型)「えー歩くの やだー アタシはこのまま残るわ多分ばれないでしょうし」
娘「あなたねぇ……」
第七王女「それならわらわ達が山を越えたところで呼べばよかろう すぐに飛んでこれるのじゃから」
娘友「そうね 王女がそれでいいなら」
白竜(人型)「さすが王女ちゃんわかってるわね ある程度の荷物も一緒に運ぶから最低限だけ持っていきなさいそのほうが楽でしょ」
第七王女「よしならば善は急げじゃ 支度をするのじゃ」
○旧道・入り口
娘友「渡された地図によるとここから旧道らしいわね」
女兵士「わー 草ボーボー ピクニックですね」
第七王女「よし出発じゃ」
第七王女たちは旧道を歩き始めた。
男子「しかし随分と古いが本当に大丈夫か」
娘「大丈夫よ山には慣れてるでしょ ねぇパパ」
少年エルフ「……」
娘「パパ?」
少年エルフ「え!? うん 大丈夫慣れてるから」
娘「どうしたの何か気配がするとか?」
娘友「なになにまたゴーストとかゾンビとかいる? 感じる?」
少年エルフ「え いや」ビク
娘「やーめーなーさーい パパを脅かさない」
娘友「ハイワカリマシタから その手を放してクダサイ」
娘「でも本当に変な気配とかないの? パパ」
少年エルフ「うん……変な気配とかはないよ」
娘「そう じゃあ行きましょう ほら王女達に置いてかれちゃうわ」
少年エルフ「うん……行こう」
少年エルフ「……(なんだろ気配はないけど……これは……匂い?)」
少年エルフ達は草木の生い茂る旧道を歩いていく。
※更新終了 今回はここまで 保守感謝です
次回も日曜日に更新します。
乙
#32 キノコ山の一夜
○旧道
第七王女「ヘイホーヘイホーヘイヘイホー♪」
第七王女は小唄を歌いながら荒れた旧道を歩いていく。
男子「王女足元気を付けてくださいよ」
第七王女「わかっておる」
テクテク
女兵士「男子君って結構面倒見がいいんだね」
少年エルフ「そうだね結構世話焼きだから」
女兵士「うーんしっかりしてるよねぇ 若いのに……王女を任されるだけはあるよね」
少年エルフ「任されるって女兵士さんも護衛でしょ?」
女兵士「え!? そうね一応任命されたしあたしも護衛よね そうだったわ」
少年エルフ「えっと? もしかして違った?」
女兵士「そんなことないって 王女サマの護衛よゴエー あははは……」
少年エルフ「?」
テクテク
娘友「なんで女兵士さんが一緒かと思ってたけど……事態は深刻のようね」
娘「深刻ってあなた…… 考えすぎでしょ」
娘友「でもねぇ なんかアタシは相手されてないし……やっぱ年上って魅力的なのかしら」
娘「さぁ 人によるんじゃない?」
娘友「男子君の場合は?」
娘「アレは…… 年より性格でしょ本人が結構メンドクサイ性格だし」
娘友「そう? でも実際5歳以上上ってアリ?ナシ?」
娘「アリよ 私は40以上離れてても構わないわ」キリッ
娘友「娘に聞いたアタシがバカでした」
○竹林
少年エルフ「わあ なにこれ変わった木だねぇ」
旧道は竹林の間を通っていた。
娘友「これは竹よ こう見えても草の一種なんだって」
少年エルフ「へー これで草なの? 不思議」
第七王女「この竹の小さいのをタケノコというらしいがそれを食する習慣もあるそうじゃ」
少年エルフ「おいしいのかな?」
娘友「この先の村でもしかしたら食べれるかもね」
娘「そうね…… そうこう行ってるうちに村だわ」
○竹の里
第七王女「随分と静かだね」
村は静まり返っている。
少年エルフ「ん? あっちに誰かいるみたいだよ」
○公民館
娘友「こんにちわー」
ガラガラガラ
「「きゅあああ」」
玄関を開けると、おびえた様子の村人が奥に集まっていた。
娘「何? 集会……にしては変ね」
若者「あなたたち一体どこから!?」
一人の村人が進み出てきた。
娘友「どこって旧道を通って……」
若者「本当ですか!? 一体どうやって……もしかして帝国軍の方ですか? 援軍はいつこちらに!」
第七王女「なんじゃ落ち着くのじゃ ここに来たのはわらわ達だけじゃ」
若者「ああ そんな……助けにきたのじゃないのですか……」
第七王女「ふむ 助けないとは言っておらんぞ 何せわらわは二代目勇者じゃからな」
若者「ゆう……しゃ?」
第七王女「いかにも 困った人を助けるのは勇者の勤めじゃて」
若者「本当ですかありがたい この村を助けてください」
第七王女「無論じゃ かっかっか」
娘友「あらー 王女のスイッチが入ったみたね」
娘「仕方ないわね」
○
若者「あの山の中腹に杉の村がありましたが山から化け物が出てきて村人はみんなつかまってしまいました」
第七王女「化け物とな 安心せいわらわ達はこう見えても魔物退治には慣れておる」
若者「おお 確かにお供の方は強そうだ」
若者は男子をみてうなずく。
娘「図体ばっかりでかいくせに」ボソ
男子「ほっとけ」ボソ
若者「私は杉の村の者ですが化け物に襲われたときに一人だけ逃げ延びました 山を下りてこの里に助けを求めたところ 男衆が杉の村に行きましたが……戻ってきませんでした」
第七王女「皆捕まったというのか?」
若者「おそらく…… 山を下りて帝国軍を呼びに行こうとしたものも村を出た途端に化け物に襲われ杉の村のほうへ連れられていきました。」
娘友「変ね? それならアタシ達も襲われそうなのに?」
女兵士「運がよかったのかな?」
娘「どうかしら」
若者「それでここに残るのは年寄と女子供だけです ここもいつ襲われるかおびえていたところです」
少年エルフ「それでみんなここに隠れていたんだ」
男子「それにしても村が丸々一つやられたなんて……一体どんな化け物なんだ?」
若者「……」
第七王女「どうしたのじゃ?」
若者「今あなた方に話したところで……信じてもらえるものかどうか」
第七王女「ふむ? 大抵の魔物なら見てきておるが……獣の類かの?」
若者「いえ あれは獣なんてもんじゃありませんでした」
娘友「じゃあゾンビとかお化け?」
若者「ゾンビ…… まだゾンビが居たというほうが信憑性があったでしょう」
少年エルフ「そんなに言えないようなものなの?」
若者「そうですね……実際に見ないことには」
第七王女「ようし ならばわらわ達が杉の村までいって退治してこようぞ」
若者「おお なんと勇敢な! 流石勇者を名乗られる方たちだ」
第七王女「うむうむ」
第七王女は鷹揚にうなずいている。
娘「実際半分あきらめてるけどね」
娘友「そうね」
少年エルフ「そうだったの?」
若者「とにかく私は一度村の様子を見てこようと思っていたところです」
娘友「でも村を出たら襲われるって」
若者「私だけが知る近道を知っています そのおかげでここまで逃げてこられたので」
第七王女「なるほど では案内を頼む」
若者「わかりました ただしあなた方がついてこれるかどうか」
○杉の村への近道
若者「ここを登ります」ひょいひょい
男子「……ここをか?」
若者は身軽に断崖を登っていく。
第七王女「どうした登らぬのか?」ひょいひょい
第七王女は若者に続いて登っている。
娘友「アタシ無理 これは登れないわ」
女兵士「あたしもー」
娘「だらしないわねぇ」ひょいひょい
少年エルフ「ええ!? 僕たちだけ?」ひょいひょい
娘友「娘と王女はともかくエルフさんも意外と登れるのね」
少年エルフ「えっと 一応山育ちだから」
若者「ほかの方はこれませんか ならば公民館を守ってくれませんか」
男子「わかった 公民館を守ろう……王女無理しないでくださいよ」
第七王女「わかっておる…… まったく女騎士に似て来よって」ぶつぶつ
男子「娘とエルフさん王女を頼みます」
娘「わかってるって」
少年エルフ「男子君たちも気を付けてね」
男子「はい」
男子たちは公民館に引き返していった。
第七王女「村まではどれくらいじゃ?」
若者「ここを登ればすぐです 行って帰るだけなら明るいうちに戻れます」
娘「行って帰るだけならね」
○杉の村・村はずれ
村はずれの小屋に少年エルフ達はたどり着いた。
若者「うまく奴らに気づかれずに村に入れました」
第七王女「うむ それで化け物とはどこじゃ?」
若者「ちょっと遠いですが ここから見えます」
第七王女「うむ…… なんじゃあれは!?」
娘「……キノコ?」
少年エルフ「おっきいキノコが踊ってる!?」
村の中心では人間サイズのお化けキノコが輪になって踊っていた。
パタタタパタパタ パタタタ……
○
若者「この山は地元ではキノコ山と呼ばれています……しかしあんなモノが出てくるとは」
第七王女「まったく信じられんのう」
娘「それで話しても無駄と言っていたのね」
若者「キノコが襲ってきたなんて話したところで私の正気を疑われるところでしょう」
第七王女「まったくじゃな それに短いが手足までついておるの」
若者「確かに短いですね おかげで足は遅いですが奴らはいくらでもいます」
第七王女「ホントじゃのう広場がキノコで埋まっておる」
娘「それにしても踊るなんて随分人間ぽいことするのね」
少年エルフ「ホント知性があるのかな? あれ?まって人の声がするよ 広場の奥!」
少年エルフが指摘すると広場の奥に村人が捕まっているのが見えた。
若者「竹の里の村人です やっぱり捕まっていましたか」
娘「あいつら捕まえた人をどうする気?」
○広場
村人A「おのれ何をする気だぁー」
お化けキノコ「……」
バフッバフッ
お化けキノコは頭を激しく振り胞子をばらまいた。
村人A「げふっげふっ」
村人B「うへぇ 鼻にはいった」
村人C「おいお前……頭!」
にょき
村人B「うわぁキノコが生えたぁ!? お前も!」
にょき
村人C「ひぃい!? なんだこれ抜けねぇ」
村人A「お前ら大丈夫かしっかりしろ……おのれこの化けキノコが焼いてくっちまうぞ!」
お化けキノコ「……」ぬぅ
ズボッ
村人A「うげっ!?」
お化けキノコが村人の口に手を突っ込んだ。
ズボッ
村人A[うげげ マジに食っちまった……うぐぐ」
にょにょにょき
村人A「な!? キノコが体中にうぐわわ」
村人の全身からキノコが生え出しおおわれていく。
○
若者「そんな……」
第七王女「なんということじゃあのキノコは皆 人間だったのか!?」
娘「うそ……」
少年エルフ「……ちがうよ キノコにされた人とキノコといるよ」
第七王女「わかるのか エルフよ?」
少年エルフ「キノコにされた人は心臓の音が聞こえるよ そうだね広場にいるキノコの半分にならないくらいがキノコにされた人だね」
若者「ちょうど杉の村の人口ぐらいですね納得です それにしてもすごい耳がいいんですね」
少年エルフ「ええまぁ ちょっと耳が長いので」テレテレ
第七王女「しかし人が混じっておるなら一網打尽にするわけにもいかんのう」
娘「そうね 戻せるか分からないけど」
第七王女「しかし人が混じっておるなら一網打尽にするわけにもいかんのう」
娘「そうね 戻せるか分からないけどむやみに倒すわけには」
少年エルフ「……あれが病気みたいなものなら薬が作れるかも サンプルと時間があれば……」
第七王女「そうか エルフは薬草学に詳しいのよな」
若者「そうなんですか? そんなに小さいのに……」
少年エルフ「う……(小さい) その叔母が薬師だったので」
若者「なるほど しかしどうやってサンプルを……」
第七王女「なにあやつらを1人捕まえれば」
○
ちびキノコ「」
パタパタ
広場の端で小さいお化けキノコが歩いている。
第七王女「今じゃ」
バサッ
ちびキノコ「!?」
第七王女はちびキノコを捕まえた。
第七王女「こやつ足だけじゃのう これくらいならカワイイものじゃ」
若者「捕まえましたか それにしてもこいつら結構ニブイですね 気づいてない」
広場ではお化けキノコが輪になって踊りつづけている。
少年エルフ「気づかれないうちに逃げようよ」
第七王女「そうじゃな しかし人をさらう魔物がさらわれるとはな……夢にも思っておらんじゃろうて」
娘「そうでしょうね」
ちびキノコ「ッ!!」
パタパタタタ
ちびキノコは足を打ち合わせている。
若者「なんだろ拍手みたいですね 足だけど」
娘「……! 拍手じゃなかったみたいよ」
第七王女「なぬ?」
お化けキノコ達「「……」」
気づくとお化けキノコは踊りをやめてこちらを向いている。
少年エルフ「ひっ こっち見てる!?」
第七王女「まさか 目玉がついておらんのだぞ」
ちびキノコ「」
パタタパタタ
娘「まさかこの音」
パタタパタタタ
ちびキノコの音に呼応するようにお化けキノコが手を打ち鳴らして襲い掛かってきた。
少年エルフ「うわぁ 拍手で話してるんだ!」
第七王女「おのれ目玉はなくとも耳はあったのか!?」
若者「とにかく逃げますよ!」
少年エルフ達は逃げ出した。
※更新終了 今回はここまで、次回更新は来週の日曜に。
乙!
乙
#33 キノコ男、公民館襲撃す!
○竹の里・公民館
村人「どうぞ名物のタケノコごはんです」
女兵士「わーいおにぎりおにぎり」
村人「あれ? お連れの方は?」
女兵士「男子君は外の見回りしてます」
村人「あれ 女の子もですか?」
女兵士「あれ? 友ちゃん?」
○
男子「友 どこへ行くつもりだ危ないぞ」
ギク
娘友「えっと ちょっとそこまで」
男子「魔物を見に行くつもりだろう」
娘友「ばれてた? まぁちょっとだけ撮影しておきたくて」
男子「……(例の新聞か)わかった俺も一緒にいく」
娘友「助かるわ 男子君もかっこよく撮ってあげるから」
男子「……俺はいい」
○キノコの山・ふもと
娘友「暗くなってきたわね」
男子「山あいだからな……(王女無茶してなければいいが)」
娘友「さーて件のモンスターはいずこ」
男子「居なかったら戻るぞ あまり公民館から離れられないからな」
娘友「いないかなー カモンカモーン」
ボフッ
お化けキノコ「……」
娘友のすぐ隣にお化けキノコが生えてきた。
娘友「きゃあああ」パシャパシャ
お化けキノコ「!?」
男子「下がれ! 危ない」
男子は娘友をかばった、お化けキノコのしかかり攻撃!
娘友「きゃああ男子君!」パシャパシャ
ボフッボフッ
お化けキノコは胞子をまき散らしている。
男子「ゲホゲホ この野郎!」
男子はお化けキノコを投げ飛ばした。
ドシン
男子「よし逃げるぞ」
娘友「はいはい」
タタタタタ
男子と娘友は公民館へ走りだした。
○竹林
男子「……よし振り切ったようだ」
娘友「びっくりしたわね キノコが襲ってくるなんて」
男子「まったくだ」
娘友「でも男子君カッコよかったわよ いい写真になったと思う」
男子「……そうか?(いいとこなかったと思うが) 」
娘友「男子君? 顔色悪いわよ大丈夫?」
男子「そういえば気分が悪いな……さっきの粉は毒だったか?」
娘友「タイヘン! 早く戻りましょう」
○公民館
娘友「女兵士さん手伝って 男子君が!」
村人「うわあああ キノコ!」
娘友「え?」
女兵士「うわーどうしたのそれ キノコ生えてるよ」
男子(キノコ)「……なに?」
男子の頭からキノコが生えていた。
○キノコ山
若人「早く! 日が暮れたら逃げれませんよ」
少年エルフ達は暮れかけの山中を走っている。
ボフンボフン
地面からお化けキノコが次々と生えてきた。
第七王女「おのれ次から次へと」
娘「パパ あれは?」
少年エルフ「キノコだよ 鼓動がない」
娘「じゃ遠慮なく! ”電撃”」
バリバリバリ
お化けキノコ達「!?」
お化けキノコは黒こげになったが、しかし。
ボボボン ボフンボフン
少年エルフ「うわぁ!? 増えた」
焦げたお化けキノコの周りから更に増えたお化けキノコが生えてきた。
若人「落雷あとにはキノコがよく生えるんですよ」
娘「だったら燃やすわ ”閃熱”」
ヒュゴオオ
お化けキノコ「ッ!!」
お化けキノコが燃えてのたうち回る。
第七王女「おうわ こやつら!?」
枯草に火が燃え移り行く手が火の海になった。
若人「ああ近道が!? 仕方ありません山道を下りますよこっちです」
第七王女「山火事にならんかのう?」
娘「こいつら思ったよりやっかいね」
少年エルフ「とりあえず公民館に」
ダダダ
少年エルフたちは公民館へ向かう。
○竹林
若人「ここまでくればもう少しです」
少年エルフ「なんとか戻ってこれたね」
娘「キノコもここまでは来ないみたいね」
第七王女「しかしこやつが暴れてかなわんぞ」
バタバタ
ちびキノコが袋の中で暴れている。
少年エルフ「……山に帰りたいのかな?」
娘「仕方ないわよ ほら着いたわ」
○竹の里・公民館
娘友「――それはキノコというにはあまりにも大きすぎた
大きく分厚く重くそして御立派すぎた
それはまさにキノコヘッドだった」
男子(キノコ)「行ってる場合か!? なんとかしてくれ」
女兵士「うわー 男子君のキノコおっきい」
男子(キノコ)「……」
娘友「……天然とは才能よね」
男子(キノコ)「とにかく助けてください」
女兵士「え?」
村人「ひいい もうだめじゃおしまいじゃー」
娘友「そんな大げさなちょっと御立派になっただけで」
男子(キノコ)「ぐわ うぐ ぐむむむ」
男子の全身にキノコが生え出して体をを覆っていく。
○
※更新終了 今回はここまで 次回更新も日曜に
ご立派様
#34 キノコ男、公民館襲撃す!(2)
○竹の里・公民館前
\わー/ \ひえー/
第七王女「何事じゃ!?」
若人「まさかここまで!?」
バタン
娘友「オタスケ―」
娘友と村人の何人か公民館から飛び出してきた。
少年エルフ「どうしたの!?」
娘友「あ エルフさん じつはコレコレシカジカ……」
若人「そんなここまで来るなんて……今までなかったのに」
女兵士「ひゃー 無理っぽいわー」
女兵士も公民館から出てきた。
第七王女「女兵士! 無事か」
女兵士「王女 あたしは大丈夫だけど男子君と何人かキノコに……」
第七王女「なんじゃと男子が」
第七王女が公民館の中をのぞき込む。
キノコ人間達「ふぉふぉふぉ……」
ノロノロ
第七王女「なんということじゃ男子があの中に」
少年エルフ「そんな男子くん……」
娘「とにかく体制を整えないと……どこかに隠れましょう」
村人「だったら竹林に 作業小屋があります」
○竹林・作業小屋
若人「ここです」
逃げ延びた村人と少年エルフ達は小さな作業小屋にたどり着いた。
娘「……ここはまだ安全のようね」
第七王女「さてどうするかのう」
若人「これでは村を捨てるしか……」
女兵士「えー 男子君あのままなの?」
少年エルフ「それは……」
第七王女「弱点とかはないのか?」
ガヤガヤガヤ
娘友「落ち着いて! 状況を整理しましょうよ」
○
○
娘「まず杉の村の報告ね 王女」
第七王女「村はキノコどもに占領されており村人もキノコ人間にされておった」
若人「この村の男衆もキノコにされてました」
\うおぉ/ \せがれー/
女兵士「人をキノコにするなんて…… おいしくなさそう
少年エルフ「食べる気だったの!?」
娘友「それで男子君もキノコ男に…… あたしをかばったから」
娘「かばったってどこで襲われたの? 里までは来ないはずでしょ?」
娘友「えーと見回りしてたら 急にいたのよ ホントホント」
娘「……(若干ウソくさい)」
女兵士「そもそもあのキノコは一体どこから来たの?」
少年エルフ「うーん 今までいなかったんだよね?」
若人「そうですね…… 数か月くらいまえから山に変なものが出る噂はありました」
第七王女「わらわの国でも急に魔物が出るようになったしの…… それにしても数か月前になにか変わったことはなかったかえ?」
若人「変わったこと…… そういえば季節外れの嵐がありましたね その後に山でキノコが大量に発生して総出で収穫しましたよ」
娘友「収穫されたキノコの怨念が魔物になったのかしら?」
女兵士「まさかー?」
娘「どこから来たより これからどうするかを考えない?」
第七王女「そうじゃな このまま放っておけば被害が増えるじゃろう」
娘友「魔法でバーっと退治できないの?」
娘「それはね……」
娘はお化けキノコに魔法を使ったあらましを説明した。
娘友「雷効かないの!? ヤヴァイじゃない」
娘「効かないわけじゃないけど……増えるのよ」
若人「あれには参りましたね」
娘友「でも火の魔法は効くのよね?」
第七王女「確かに火は効くが火事になってしまうの」
若人「村人ごと焼き払うというのも…… 本当に助ける手段はないのでしょうか?」
少年エルフ「うん…… そう思ってサンプルを捕まえてきてるんだけど」
バタバタ
ちびキノコが入った袋が暴れている。
娘友「下手に開けないほうがいいかも」
少年エルフ「そう思ってた所 あれを調べれば特効薬とか駆除剤がとか作れるかもしれないけど」
若人「でもそんな都合よく駆除できるものですか? あれに襲われたものは大抵キノコにされてるんですよ 恐るべき増殖力です」
※途中ですが 通信制限のため今回はここまでです 月が開けたら残りをあげます
乙!
同時上映『ハワイの若大将』
乙
娘「増殖力ねぇ でも今まで山にしかいなかったのよね もしくは山にしか居れなかったか」
少年エルフ「うーん そこだよね……どうしてこの里は今まで襲われなかったのかな?」
娘友「うーん たまたま?」
第七王女「縄張り意識があるのじゃろうか?」
娘「普通縄張り意識ある動物は群れないわよ」
第七王女「そうじゃったな」
娘友「というかアレが動物かどうかも不明よね」
少年エルフ「それに僕たちがここに来た時にも襲われてないよね?」
女兵士「そういえば襲われなかったね」
少年エルフ「それにさっきも…… どうして若人さんや女兵士さんは無事だったの?」
女兵士「え?」
若人「確かに私もキノコになっていてもおかしくなかったですね」
少年エルフ「なにか意外なものが弱点なんじゃない? そのあたりにあるような……」
○
娘「男子はキノコにされたのに女兵士さんは無事 この差って?」
女兵士「えーと? 性別が違う?」
第七王女「それだと若人殿がキノコにならなかった道理が通らぬ」
少年エルフ「なにか変わったことした? なにか薬を飲んだとか塗ったとか?」
若人「いえ特に変わったとこは何も……」
女兵士「あ!?」
第七王女「なんじゃ!? なんぞ気づいたのか」
女兵士「でもまさか」
第七王女「なんでもかまわん言ってみるのじゃ」
女兵士「おにぎり…… タケノコご飯のおにぎり食べました」
若人「まさか……タケノコ?」
娘友「調べればわかるわ」
娘「どうやって?」
娘友「ここに村人のご厚意いただいたおにぎりがあります」
女兵士「タケノコご飯ー♪」
娘友「ここからタケノコの欠片をとりだして チェスト―っ!」
娘友はちびキノコが閉じ込められている袋にタケノコの欠片を放り込んだ。
ちびキノコ「!!??」
バッタンバッタン
少年エルフ「うわ!? すごい暴れてる」
バタ……シーン
第七王女「動かなくなったのう」
娘友「どうなった?」
少年エルフ「えっと…… うわ ドロドロに溶けてる」
少年エルフは袋を閉じながらいった。
○
※今回はここまで 若大将をよくご存じで
次回の更新も日曜に
乙!
杉の小枝を放り込んだらどうなるのだろう
#35 仁義なきキノコタケノコ戦争
○竹の里・公民館
若人「まさかタケノコが特効薬とは」
少年エルフ「だから竹林は安全だったんだね」
娘友「というわけで公民館のキノコを駆除しました」
男子「うう? なんだこれは」ドロドロ
男子は溶けたキノコの中から起き上がった。
娘「あーもう 汚いわね 早く洗ってきなさい!」
男子「お おう」
少年エルフ「娘ー もうちょっと言い方ないの?」
娘「いいのよ 心配ばっかりかけるんだから」
少年エルフ「……(一応心配してるんだよねえ)」
第七王女「とりあえずこれでここは何とかなったのう」
若人「そうですね 村人も戻ったようです あとは竹の村を取り戻せれば」
村人「今動ける者がタケノコを採りにいっとるけ お前さんらは今のうちに休みんしゃい」
第七王女「あいわかった ご厚意感謝なのじゃ」
○翌朝
第七王女「皆の者 タケノコは持ったか!」
\オウ!/
少年エルフと村人がそれぞれタケノコやタケノコご飯をもっている。
第七王女「よーし 出発じゃ」
○杉の村
\うおお/
タケノコを持った村人たちとお化けキノコが戦い始めた。
男子「おりゃ」ドス
キノコ人間「フォオオ!?」
キノコが溶けてキノコ人間はもとに戻った。
村人「はっ 俺は一体何を?」
女兵士「すごい 効果抜群ねー」
第七王女「ほれおぬし これを食べるのじゃキノコ耐性がつくのじゃ」
第七王女はタケノコの欠片を村人に食べさせた。
杉の村の村人が次々とキノコから解放されていく。
娘友「えいっ」バシッ
お化けキノコ「ッ!!」
お化けキノコがタケノコで叩かれたところから溶けていく。
娘友「感染しなきゃこいつら楽勝ね アタシでも勝てる」
娘「ほら油断しないで あと相手を間違わないでよ」
娘友「大丈夫だって とう」バコン
キノコ人間「ふぉごご!? イてぇ」
娘友「あ ヤバ」
村人「」バタッ
キノコから戻った村人はそのまま倒れてしまった。
娘「いわんこっちゃない」
娘友「えーと 死ななきゃオーライよ」
娘「そんな適当な」
若人「まぁ タケノコで殴られたくらいなら……柔らかいですし」
娘友「ですよねー よっしゃどんどん行くわよー」
娘「もう…… 珍しく戦えるからってはりきり過ぎよ」
少年エルフ「あまり無茶しないでね…… あ? みんな山から新手だよ」
お化けキノコ達「……」ぞろぞろ
娘友「このタケノコがある限り負けはしない!」
第七王女「そうじゃ おぬしら全部駆逐してくれるわ」
○
娘友「ぜぇぜぇ とかいったけど ぜぇぜぇ」
第七王女「こ……こやつらどれだけおるんじゃ? ハァハァ」
おばけキノコ達「……」ゾロゾロ
娘「どれだけっていうより……」
ボン
娘の隣にお化けキノコが生えて来た。
娘「シャアッ!」バシュン
娘はタケノコでお化けキノコを薙ぎ払う。
ベシャア……ボボン
溶けたキノコが杉の木に当たるとそこから新たなお化けキノコが生えてきた。
娘「これじゃあキリがないわ」
男子「どうするんだコレ 体力がもたないぞ」
女兵士「それよりも もうタケノコが壊れちゃいました 助けて―」
男子「女兵士さん! せいっ」バシュン
男子が女兵士を襲っていたお化けキノコを薙ぎ払う。
男子「大丈夫ですか」
女兵士「ありがと あ?」
男子「怪我しましたか?」
女兵士「えっと 上――」
ドスン
男子「ぐわ!?」
女兵士「――からキノコが」
男子「早くいってくださいよ うぐ!? ぐわわ」
男子に飛び乗ったお化けキノコが胞子をまくと男子がキノコに覆われていく。
女兵士「きゃああ 男子くん」
少年エルフ「タケノコの効果が弱ってるんだ!? 早く新しいタケノコを」
娘「もうこれしかないわ ほら食べなさい」ぐいっ
男子「それ殴ったやつじゃ ぐげっ!?」
娘は生タケノコを男子の口につっこむ。
男子「ぐおおお にげええええ……」
ドロドロ
男子の体からキノコが溶けていく。
娘「アンタも邪魔よ」パコン
お化けキノコ「」ベシャア
娘が残りのタケノコで殴るとお化けキノコも溶けたがタケノコも壊れてしまった。
娘「ああもう 男子のせいよ まったく」
男子「うげげ(俺がなにをした!?)」
男子は生タケノコの灰汁で舌がマヒしている。
若人「まずいです もうタケノコがありません またキノコにされたものまで」
第七王女「うむむ 撤退じゃ 里まで戻って体制を整えるのじゃ」
女兵士「はーい みなさん里まで避難してくださーい」
第七王女と女兵士が村人を誘導していく。
お化けキノコ達「……」ノロノロ
少年エルフ「あっちいって ”風弾”」ビュオオオ
少年エルフは魔法の風でお化けキノコ達を吹き飛ばした。
娘「パパの魔法が一番無難ね」
少年エルフ「ただの時間稼ぎだけど…… でも里に戻ってからどうするの?」
娘「それは戻ってから考えましょ」
少年エルフ達は追ってくるお化けキノコを吹き飛ばしながら竹の里まで撤退した。
○竹の里・公民館
女兵士「どうしますー? 皆さんが集めてくれたタケノコももうこれだけです」
第七王女「少ないのう」
若人「こうなったら山ごと焼いてしまいますか」
娘友「それで倒せるのかな? 残ったらまた増えるでしょうし」
娘「それに竹林が焼けたらどうしようもないわ」
少年エルフ「そうだね すっかり囲まれてるみたいだし」
第七王女「ならば白竜を呼んで一旦脱出じゃ 脱出先でタケノコを手に入れたらよいじゃろう」
男子「なるほどその手があったか」
女兵士「そうだった白竜さんが来たら解決ねー」
第七王女「よしならば合図を送るのじゃ 男子も 皆も一緒にじゃ」
男子「俺もですか!?」
女兵士「わーいやるやる」
娘「私はやめとくわ……(恥ずかしい)」
くねくね
若人「なにしてるんですか?」
娘友「えーと一応召喚の儀式ね」
第七王女達が不思議な踊りを踊ってポーズを決める。
ビシッ
第七王女・女兵士・男子「「ホワイトドラゴン カモォーン!」」
若人「……」
娘「……」
少年エルフ「……? 来ないね」
娘友「うっ頭が!? 『お掛けになった番号は電源が入っていないか電波の届かない場所にあります もう一度……』 はっ 今のなに?」
少年エルフ「大丈夫!? どうしたの」
娘「何を受信してるのよアナタ」
第七王女「ううむ どうやらここでは呼べないようじゃな」
女兵士「そうですねー」
少年エルフ「そうなの?」
若人「そうですね ここは谷合ですから峠を越えないと無線もつかえませんね」
男子「無線…… 無線機があるのか?」
若人「ええ緊急用に…… 杉の村にですが」
娘友「また? もうアソコ行きたくないわよ」
男子「この里にはないのか?」
若人「ここの人が救助を求めに出たときに一緒にもっていったのでありません」
第七王女「ならば方法は…… 杉の村の無線機で助けをよぶしかないの」
○
※今回はここまで 次でマタンゴ編は終わりですかね
次回の更新も日曜に
乙!
きのこたけのこ戦争の溝は深い
#36 マタンゴ・アタック!
○竹林の出口
少年エルフ「いくよ ”風弾”」
ビュオオオオオ
竹林の外にいたお化けキノコの群れの真ん中が開ける。
第七王女「今じゃ 走るのじゃ」
ダダダダ
娘と第七王女を先頭に 若人と少年エルフ 男子と女兵士が走る。
娘友「がんばってねー」
娘友は竹林の中から見送った。
ボン ボボン
一団の前後からお化けキノコが発生する。
娘「本当にどこからでも よけるわよ」
お化けキノコ「……」ブンブン
娘たちはお化けキノコを避けながら進む。
若人「うわわ」
男子「危ない」ズバッ
男子がお化けキノコを切り払う。
男子「ここは俺にまかせて先に……」
スタタタタ
娘たちは振り返らずに走り去った。
男子「せめて振り返って~」
○杉の村への近道・断崖
第七王女「よし 登るのじゃ」
娘「行くわよ」
少年エルフ「男子くん大丈夫かな?」
娘「またキノコになってるわよ しんがりなんだし仕方ないわ」
女兵士「救助を絶対に呼ばないといけませんねー」
娘たちは断崖を登り始める。
ブォン バシン
第七王女「なんじゃ!?」
ちびキノコが下から飛んできた。
娘「なにあいつ」
キノコ人間「ふぉふぉふぉ……」
大きなキノコ人間が近くのちびキノコを掴むと投げつけてきた。
バシン
少年エルフ「うわぁ! どうしよう」
女兵士「う~ん 王女ぜったい助けてくださいよ えーい」
女兵士がキノコ人間の上へ飛び降りる。
第七王女「女兵士!」
どしーん
キノコ人間「ふぉ!!」
女兵士のヒッププレス! キノコ人間からキノコがはがれ落ちる。
女兵士「あいたたー あれ? 男子くん?」
キノコ人間は男子だった。
若人「あーあ」
娘「……まったく 自業自得ね」
少年エルフ「そうなの?」
第七王女「とにかく男子と女兵士の犠牲を無駄には出来んのじゃ」
○杉の村
第七王女「よし また近道から登ってこれたの」
少年エルフ「男子くんと女兵士さんのためにも絶対救助をよばなきゃ」
娘「それで無線機はどこに?」
若人「村長の家ですね 広場近くの大きな家です」
○広場
ドンドコドコドコ
広場ではお化けキノコ達が踊っている。
少年エルフ「また踊ってる 踊るのすきなんだねぇ」
若人「しかし手拍子だけでよく踊りますね 歌ぐらい歌えばいいのに」
第七王女「あやつらに口はないからのう」
娘「広場からは無理ね 裏からこっそりいきましょう」
第七王女「賛成じゃ」
○村長の家
少年エルフ達は家の裏口から室内にはいった。
若人「ええとこの辺に……」コソコソ
少年エルフ「うわー 窓の外キノコでいっぱいだ」ボソボソ
第七王女「バレたらやっかいじゃのう」ボソボソ
娘「大きな音を出さなければ大丈夫でしょ」
ピーッガガ――ッ!!
無線機から大音量が鳴り響く。
若人「しまった! 音量最大だった」
ドンドンドン
少年エルフ「うわぁ!? こっちに気づいた」
お化けキノコ達が家に向かって突進してきた。
第七王女「脱出じゃ 峠まで走るのじゃ」
ボボン
第七王女「なに!?」
第七王女が通ろうとした裏口にお化けキノコが生えてきた。
お化けキノコ「!」
お化けキノコはのしかかってきた。
少年エルフ「王女あぶない ”風弾”」
ビュオオ
お化けキノコは吹き飛ばされた。
第七王女「おう 助かったのじゃエルフ」
娘「王女タケノコを構えて! こうなったら突破するわよ」
第七王女「うむ 押し通る」
○キノコ山・中腹
少年エルフ達は魔法とタケノコでお化けキノコを蹴散らしながら峠を目指す。
第七王女「ふぅふぅ まだか?」
若人「だめですまだ通じません」
若人が無線機を確認するが通じない。
少年エルフ「はぁはぁ…… まだ追ってくる」
娘「パパ大丈夫? 王女も疲れてない?」
第七王女「疲れておるが…… 言ってる場合ではなかろう」
お化けキノコの大群がゆっくりと追ってきているのが見えた。
娘「ここなら……”双閃熱”」ヒュボボボ
お化けキノコ達「「ッーー!!??」」
お化けキノコ達が燃え上がる。
第七王女「おお一網打尽じゃな」
若人「ああ!? なんてことをこちらが上手なんですよ!」
メラメラメラ モクモク
炎と煙が少年エルフたちのほうへ流れて来た。
少年エルフ「ゲホゲホ 危ない逃げなきゃ」
娘「まさかこんな…… ごめんなさい」
○峠
第七王女「ふぅ やっと煙を抜けたのう」
娘「あれパパは?」
第七王女「む! 若人殿もおらんぞ」
○煙の中
モクモク
\パパ―/ \若人殿―/
少年エルフ「ゲホゲホ…… あっちかな?」
少年エルフは煙に巻かれてはぐれてしまっていた。
\ゲホゲホ/
少年エルフ「あ 若人さんこっちですよ」
スタスタ
少年エルフは音を頼りに若人を見つけた。
若人「ゲホ よかったエルフさん……これを」
少年エルフ「若人さん 危ない!」
若人の近くにいたお化けキノコを少年エルフが突き飛ばした。
お化けキノコ「!」ボフンボフン
お化けキノコは胞子をまき散らしながら転げ落ちていった。
少年エルフ「ゲホゲホ(吸い込んじゃったかな?)…… 若人さん大丈夫?」
若人「なんてことを 私はもう手遅れだったのに……」
○峠
娘「パパ― どこー」
\ここだよー/
少年エルフと若人が煙の中から現れた。
娘「ああよかった はぐれてごめんなさい」
少年エルフ「ダメ 来ちゃダメ」
少年エルフは駆け寄ろうとした娘を制止した。
娘「エルフ?」
第七王女「エルフ…… 若人殿まで」
少年エルフと若人の頭からはキノコが生えていた。
娘「そんな!!」
若人「コレを峠を越えたあたりで使ってください」
若人は無線機を投げてよこした。
パシッ
第七王女「あいわかった」
少年エルフ「早くいって キノコが追いついてきてるから」
娘「そんな! パパはどうする気なの」
少年エルフ「……まだ意識があるうちにキノコを足止めするから」
娘「イヤよ! パパがキノコになるなら私もキノコになるわ」
少年エルフ「ダメだって! それにタケノコがあれば戻るんだから」
若人「そうです救助を呼んできてください 早く!」
娘「でもっ」
第七王女「行くのじゃ娘 わらわ達までキノコになってはエルフも村の者も戻せなくなるのじゃぞ」
娘「……わかったわ パパすぐ戻るからね」
少年エルフ「わかってる いってらっしゃい」
○
第七王女と娘が峠を駆け出すと背後からすさまじい暴風が吹き始めた。
ダダダダ
娘「……(エルフ)」
第七王女「おのれキノコがもうこんなところまで」
行く手にお化けキノコ達がうごめいている。
娘「しかたないわね……(王女の前で使うなって言われたけど) 光よ」ポワァ
娘の持つ剣が光をまとう。
娘「せいッ」
お化けキノコ「?」シュワアアア
お化けキノコは切られたところから消えていく。
娘「よし……効くわね」
第七王女「なんじゃそれは? 魔法剣?」
娘「そんな感じよ…… それより無線機は? 峠は越えてるはずよ」
第七王女「わからん ウンともスンともいわぬ」
娘「どうしたら…… あ! あそこよ」
娘は大岩を指さした。
○大岩の上
娘「よいしょ…… ここならしばらくはあいつらもこれないはず」
第七王女「うむよい眺めじゃ あれが魔法都市かのう」
娘「ここなら大丈夫でしょ 通じる?」
カチャカチャ
第七王女「うむ? むぅ?」
ザザー ピー……
第七王女は無線機の使い方がわからない。
第七王女「応答願う応答願う…… 通じておらんのか?」
娘「なによこれ どうしたらいいの?」
カチャカチャ
\こちらは……/
第七王女「通じた! 応答せよこちらは……」
第七王女は話かけるがこちらに反応する様子がない。
娘「王女違うわ コレはラジオよ」
\今日も荒野のラジオからゴキゲンな一曲を……/
第七王女「なんじゃと!? 無線機ではないのか?」
娘「まさか……」
無線機はラジオを受信している。
お化けキノコ達「」バフ
娘「きゃあ もうここまで」
お化けキノコが大岩をよじ登ってきた。
第七王女「うぬぬ 万事休すか」
娘「ダメよ パパを迎えにいくんだから」
娘が剣を構えるとお化けキノコ達が襲いかかって来た。
○荒野のラジオ局
DJ「最初のリクエストは 放送直後から問合せ殺到人気炸裂の謎のガールズバンド! クラシカルな曲を透明感のある歌唱とファンキーな曲調でカバーした実力は本物…… それじゃいこう ビリビリシスターズの『ヘイホーヘイホー』」
○キノコ山・大岩の上
無線機から音楽が流れてきた。
お化けキノコ達「ッ!!」
\ヘイホーヘイホー/
第七王女「む この曲はこないだの」
娘「キノコの様子が変ね?」
お化けキノコ達は身もだえている。
\ヘイヘイホー/
お化けキノコ達「ッッ」
シュパァン
娘「きゃ!?」
お化けキノコ達が次々とはじけていく、残りは背を向けて逃げ出した。
パァンパァン……
第七王女「一体なにが起こったのじゃ?」
娘「まさか……歌?」
娘が無線機の音量を大きくする。
\ヘイヘイホー/
パパァン
逃げようとしていたお化けキノコもはじけ飛んでしまった。
第七王女「ふむ 意外なものが弱点だったというわけじゃな」
娘「あいつら音には敏感だったしね」
第七王女「よしこのまま村にもどって……」
第七王女が大岩から降りると無線機は通じなくなった。
第七王女「これは困ったのう」
娘「なにいってるの さっきの誰の歌?」
第七王女「おう そうじゃったな…… して声はまだでるかの?」
娘「ま 歌うくらいの体力は残ってるわよ」
第七王女「よし ここからなら山中に響くであろう」
娘「そうね それじゃ……」
娘・第七王女「「せーの」」
○竹の里
娘友「というわけで 娘と王女のデュエットによってお化けキノコは駆逐されました ちゃんちゃん」
娘「誰に言ってるの?」
娘友「気にしないで」
村長「このたびの尽力 誠にありがとうございます」
第七王女「なにこれも勇者としての勤めじゃて」
村人「これはせめてものお礼です」
男子「っていってもコレ」
女兵士「わー キノコがいっぱい」
村長「なにしろ長いこと山に入っていませんでしたから」
娘「キノコの魔物に襲われたっていうのにのん気というかたくましいというか……」
娘友「いいじゃない 山を越えたら市場で売るわよ ほら持てるだけもって」
第七王女「友もたくましいのう」
○長距離バスの中
白竜と合流した娘たちは魔法都市へ向かうバスに乗っている。
白竜(人型)「あらそんなことがあったの大変だったのね」
第七王女「うむ 大変であったがこれも二代目勇者としての試練じゃて かっかっか」
娘友「そーね これで次回の新聞のネタも決まりね またまた売れるわよ~」
男子「売れてるのかあの新聞?」
少年エルフ「若い女性に人気なんだって」
男子「へぇ」
白竜(人型)「で? 王女の前でアレ使ったの?」ボソボソ
娘「仕方ないじゃない 誰かさんは呼んでも来ないし あの時は必死だったのよ」ボソボソ
白竜(人型)「まー あの子のことだから何も気づかないわけはないけど……」ボソボソ
娘「まだ何も?」ボソボソ
白竜(人型)「今のところわね」ボソボソ
第七王女「おおー!」
娘「なに!?」
少年エルフ「すごいあんなに塔がたくさん」
娘友「かつての魔法国の流れをくむ魔法都市よ 今でも魔法に関しては世界一の都市よ」
第七王女「ここに魔王の本拠地があったのじゃな よし突撃じゃー」
女兵士「わーいとつげき―」
男子「座ってください揺れますよ」
少年エルフ達を乗せたバスは光り輝く塔が無数に立ち並ぶ魔法都市へと進んでいく。
○畑
お化けかぼちゃ「……(次は俺たちの番だなウケケ)」
農夫が鼻歌を歌いながら歩いてきた。
農夫「れりごー♪ れりごー♪」
お化けかぼちゃ「(ぬわー この音は ぐわー)」
お化けかぼちゃは元のかぼちゃに戻った。
※更新終了 今回はここまで
次回更新は少し時間をいただきまして12月4日、日曜に 古い資料は集めるのが難しいです。
乙
乙!
#37 エルフ・イン・ワンダーワンド ~マヨナカテレビショウ~
○魔法都市
少年エルフ達は魔法都市に到着した。
少年エルフ「わー すごい大きな塔がいっぱい」
男子「すごいな塔というか砦じゃないか?」
女兵士「でもこんな町中に?」
第七王女「建物の様式がずいぶん違うようじゃのう」
娘友「あれはビルヂングっていうのよ 近代的建築ね」
少年エルフ「へー」
娘「それでこれからどうするの?」
白竜(人型)「アタシはさっさとホテルでゆっくり寝たいわ」
娘「貴方寝てばっかりじゃない」
白竜(人型)「寝不足はお肌の大敵よ」
娘「炎も雷もはじく皮のくせに それくらいが敵になるわけないでしょ」
白竜(人型)「やーん ドイヒー」
娘友「でも確かにまずはホテルを決めない? 今後のことも決めなきゃだし」
男子「……そうだな魔法都市には来たけど 具体的には何をするんだ?」
第七王女「ムロン 魔王城に乗り込むのじゃ」
男子「それはどこなんだ?」
第七王女「……」
少年エルフ「知らないの?」
第七王女「何しろわらわの知る文献は古くてのう」
娘友「じゃ とりまホテルね」
○魔法都市・大通り
娘友「このガイドブックによるとこの先のホテルがコスパがいいわ」
娘「コスパって…… それ信用できるの?」
娘友「大丈夫よ商隊の人からもらったんだし」
第七王女「それに魔王城については……」
娘友「残念 のってないわ」
白竜(人型)「そりゃそうだわ」
少年エルフ「前みたいに観光名所になってたらよかったのにね」
第七王女「そうじゃのう」
娘達がホテルに向かっていると少年エルフが何かに気づいた。
ガヤガヤガヤ
少年エルフ「あれなんだろう?」
少年エルフの視線の先に人だかりができている。
娘友「あああれ? ちょっと見てく?」
○街頭テレビ
\なんだぁ夢か? ちくしょうヒヤでやりゃあよかった/
\はっはっはっ/
男子「なんだあれ!?」
女兵士「あんな箱に映画が映ってる!?」
娘友「あれは放送よ…… そしてあれが魔法都市が誇る最新マシーン『テレビジョン』よ」
\おめえ本当は何が怖いんだ そうだな熱いお茶がコワい/
\はっはっは/
少年エルフ「すごい…… あんなのあったら映画館行かなくていいね」
少年エルフは感動している。
娘「そう? あんな小さいのじゃ迫力がないじゃない」
白竜(人型)「ま それは人それぞれね」
第七王女「すごいのう わらわもひとつ買おうかの」
娘友「買っても王国じゃ映らないわよ」
第七王女「ううむ そうかおしいのう……」
○小一時間後
\ふと顔を上げるとふるいつきたくなるようなイイ女 タンメーだろう!/
\あっはっはっは/
娘「ちょっとちょっと みんないつまで見てるつもり」
第七王女「おう!? そんなに観ておったか」
娘「いいかげんにしないと日が暮れるわよ」
少年エルフ「うん……ごめん なんだか見終えるタイミングがなくって」
娘「まったくもー ほら男子もシャキッとしなさい」
男子「おう すまん」
女兵士「つい見続けちゃいましたねー」
娘「ほら白竜が待ちくたびれたから先にホテルに行ったわよ」
第七王女「いつの間に!? 急がねば」
○ホテル・娘たちの部屋
娘友「さてと明日からどうしようかしら」
第七王女「まずは情報収集じゃな」
男子「何を調べればいいんだ?」
第七王女「魔王について…… と言いたいところじゃがまずはなんでもいいの」
女兵士「えっと? なんでもって?」
娘「仮に復活した魔王がこの都にいるとしたら何か異変が起こってるはずよ」
少年エルフ「そっか 魔物が発生してたりするんだよね」
第七王女「そうじゃな ただここは大都市じゃからの表沙汰には出てないかもしれん」
娘友「だからヘンな噂や情報がないか調べるのね それならアタシの十八番よ」
第七王女「任せるのじゃ ……しかしこんなことより魔王城跡が直接特定できればのう」
少年エルフ「本は?」
第七王女「うーむ わらわの持っておるのでは正確な場所まではのう……」
少年エルフ「そうじゃなくて…… ここにも本あるよね?」
第七王女「うむ?」
少年エルフ「えっと本がたくさんあるところ えっと……」
娘友「本屋?」
男子「古文書とか売ってるのか?」
少年エルフ「本屋じゃなくて…… なんていうんだっけ?」
娘「図書館のこと?」
少年エルフ「うんそれ! 図書館」ニコニコ
○翌日・図書館へ向かう道
第七王女と少年エルフが道を歩いていく。
第七王女「いやまったく わらわとしたことが失念しておったわ かっかっか」
少年エルフ「ふふ でもこんな大きな街の図書館ってやっぱり大きいのかな?」
第七王女「ムロンじゃ 魔法都市の図書館といえば有名じゃぞ そもそも勇者の供だった魔法使いが……」
少年エルフ達に続いて白竜と娘が歩く。
白竜(人型)「アタシは留守番でもよかったのになー」
娘「じゃあ友と一緒に行ったほうがよかった?」
白竜(人型)「それもいいかもー男子君もいっしょだったし」
娘「それは友が断ったでしょうよ」
――娘友「むりむり これ以上フラグが立ったらどうするの!? 回収できないっていうかさせないわよ」
白竜(人型)「え? アタシ嫌われてる?」
娘「それはないわ…… でも(一応男子のことあきらめてないのね……友)」
白竜(人型)「でも?」
娘「人間にもいろいろあるってことよ」
どん
娘は立ち止まっていた少年エルフにぶつかった。
娘「パパ?」
少年エルフ「あ ごめん」
娘「またテレビ?」
\今日のお天気は……/
少年エルフ「ほらすごい 天気予報やってるすごいわかりやすいね」
少年エルフは興奮している。
娘「もー ただの天気でしょ 前を向いてないと危ないわよ」
少年エルフ「うんごめん 注意する」
\このあとのドラマは……/
少年エルフ「……」じー
少年エルフはまたテレビに見入っている。
娘「むー(パパにテレビは危険だわ)」
○図書館・ホール
第七王女「おお さすがに立派じゃのう」
少年エルフ「本当すごーい あ! それにテレビまで」
図書館のホールには大型テレビが備え付けられ観衆が大勢いた。
\本日の相談は……/
娘「ちょっと ここには本を調べに来たのでしょ」
少年エルフ「あ ごめんごめんつい……」
???「コラァ――ッ!」
少年エルフ「!?」ビクッ
○
図書館館長が現れた。
館長「お前ら図書館に何をしにきとるんじゃ! テレビなんぞ見るんじゃないバカモノ!」
どよどよ
大型テレビの観衆がざわめく。
\なに? あのおじいちゃん/
\また始まったよ/
\だったらテレビ置いとくんじゃねぇって/
館長「おのれー! やはり『てれびじょん』なんぞ置くべきではなかった! 今日こそぶっ壊してや……」
ズゴン
館長「はふっ」
図書館館長は背後から分厚い本で殴られ気絶した。
司書「すいません 祖父が騒がしくて…… どうぞごゆっくり」おほほ
司書は愛想を振りまきながら図書館館長をひきづっていった。
ざわざわ
\やっと静かになった/
\毎日あきねー爺さんだな/
娘「……さてと 調べものしましょうか」
少年エルフ「……うん」
○
少年エルフ「すごい本がいっぱい」
第七王女「さすが大図書館といわれるだけあるのう 手分けして調べるのじゃ」
娘「そうね でもどこから調べたらいいのかしら」
第七王女「わらわは伝記・伝説のあたりを調べるのじゃ エルフは郷土の資料を」
少年エルフ「わかった」
第七王女「白竜は……」
白竜(人型)「ごめんなさい あたし美容と健康の本以外の興味ないの」
娘「貴方ねぇ 何しに来たのか自覚ある!?」
白竜(人型)「だって興味ないの読んでると眠くなるんだもの」
娘「まだ寝足りないっていうの!?」
白竜(人型)「だってー 現代語難しいしー」
第七王女「よし ならば白竜と娘は最近の雑誌や記事を調べておくれ」
白竜(人型)「それくらいなら」
娘「わかったわ」
第七王女「では調査開始じゃ」
○
※更新終了 今回はここまで
以前はテレビ中毒という問題があったそうです 久しぶりに聞きました。
次回の更新も日曜に。
乙!
乙
#38 調べども調べども
○図書館・受付カウンター
第七王女は閉架図書の目録を見せてもらっている。
第七王女「これとこれ……あとこれも読みたいのじゃが」
図書館員A「はいお持ちしますのでしばらくお待ちください」
○図書館・ロビー
ペラペラ
娘「ねぇ白竜」
白竜(人型)「なに?」
娘「こんなことしなくても貴方ほんとうは知ってるんじゃないの?」
白竜(人型)「何を? 美容と健康の秘訣?」
娘「そうじゃなくて…… 魔王とか……勇者とか」
白竜(人型)「そうね教えてもいい頃かもね」
娘「だったら……」
白竜(人型)「やっぱり十分な睡眠とバランスの取れた食事 あとは適度な運動がぁあだだだ!」
ギリギリギリ
娘のアイアンクローが白竜の顔を締め上げる。
娘「いい加減にしなさいよ! 怒るわよ!!」
白竜(人型)「あだだだ 既に怒ってるじゃない」
ギリギリギリ
娘「怒ってないわよ~ だから怒る前に……」
図書館員B「貴方たち図書館ではお静かに!」
娘達は図書館員に叱られた。
娘「あ……すいません」
白竜(人型)「ふー 助かった」
○図書館・受付カウンター
ペララララララ パタン
第七王女「ふむ……(目新しいものはなかったの)」
貸し出された図書を瞬く間に読破した第七王女は次の図書を目録から探す。
第七王女「次はコレとコレ……あと『魔法使いの手記』じゃが 原書を読むことは出来んか? あるじゃろう」
図書館員A「原書ですか? ……それは一般公開はしていませんので」
第七王女「ならば写本かこの現代語訳版の初版はないかの」
図書館員A「そうですね 調べますのでもう少しお待ちください」
○図書館・郷土コーナー
ペラペラ
少年エルフ「うーんと これは……」
少年エルフは次の本を本棚から抜き出す。
少年エルフ「歴史かな……」
ペラペラ
ページをめくる少年エルフに『エルフ族との戦争』の文字が目に入る。
少年エルフ「戦争! ……(そういえば魔法国はエルフ族との戦争で滅んだって話があったっけ)」
少年エルフ「えーと『戦いにおいてエルフ族は凶悪な魔法と弓術でもって暴れまわり兵の顔の皮を剥い』」
少年エルフ「……(顔? 皮?)」
少年エルフ「『残虐非道で頭蓋骨から作った杯で酒を』……」
パタン スッ
少年エルフは本を閉じて棚に戻した。
○夕方 ホテル・少年エルフ達の部屋
女兵士「あー 疲れたー」
第七王女「お疲れなのじゃ」
娘「何かわかった?」
娘友「えーと 行方不明 お化け騒動 都市伝説 ただのヘンタイ ……予想してたけどいろいろありすぎよ」
第七王女「そうかやはりのう」
娘友「そっちはどうだった?」
少年エルフ「んっとねエルフ族の話があったけど……なんか僕の知ってるエルフ族とちがうんだけど」
娘「大丈夫パパ? 顔色悪いわよ」
少年エルフ「うん……ちょっと気持ち悪い」
男子「他には?」
白竜(人型)「そうね 最新の美顔器とかあるらしくってぇ」
娘「コレのいうことは無視して」
白竜(人型)「ああ!? なんかどんどん冷たい扱いになってない?」
娘「だーれーのせいで図書館を追い出されたと思ってるの!」
白竜(人型)「それは大声だした娘ちゃんのせいよ」
娘「あんたが真面目に調べないからでしょーが!!」
白竜(人型)「やん 乙女心はお天気なのよん」
娘「黙れオッサン」
\ドイヒー/ \ギャーギャー/
女兵士「娘ちゃんと白竜さん仲良くなったねー それで王女サマは?」
第七王女「うむ…… いろいろ…… 特に魔法使いの手記について調べたのじゃがのう」
少年エルフ「どうだったの?」
第七王女「勇者の伴の魔法使いが旅の経緯について詳細に綴られたものじゃが…… 魔王城の件になると急に大雑把になるし内容が少ないのじゃ いきなり戦後になるしの」
男子「なんだそりゃ? 魔法使いは魔王城にいってなかったのか?」
第七王女「それは考えにくい むしろ考えられるのは落丁…… もしかしたら検閲があったのかもしれぬ」
少年エルフ「らくちょう?」
娘「本のページ抜けよ」
女兵士「けんえつって?」
娘友「まぁ ざっくりいって表現規制ね こうムフフな内容が」
娘「なんでそっちなのよ むしろ政治的に公になるのが不都合な情報のことでしょ」
娘友「ま そーね」
少年エルフ「えっと? 元のままの内容じゃなかったってこと?」
第七王女「おそらく それで原書の閲覧を申し込んだのじゃが」
娘「まぁ 無理でしょ…… そもそも本物が残ってるの?」
第七王女「そのはずなんじゃがのう あー原書をよみたいのじゃ」
ジタバタ
娘「ジタバタしても始まらないわ それより他の手段で調べないと」
男子「そうだな とりあえず噂を精査したほうがよくないか」
娘友「そーね とりあえず起こっていることだし」
\あーだこーだ/
第七王女「むー」
少年エルフ「……王女 むくれてないで寝たら? 疲れたでしょ」
第七王女「あいわかった ならばエルフもわらわと一緒に寝るのじゃ 弟成分で癒してたもれ」
少年エルフ「イヤです」キッパリ
○真夜中・図書館裏の路地
少年エルフ「うん?」
少年エルフは第七王女の背中で目覚めた。
第七王女「エルフ起きたか」
少年エルフ「え!? なに? どこここ?」
辺りは真っ暗で大きな建物の裏手にいるようだ。
第七王女「静かに 騒ぐでない」
少年エルフ「王女何してるの? 僕はどうしてここに?」
第七王女「ムロン 図書館に忍びこむのをエルフに手伝ってほしいからじゃ」
少年エルフ「えっ……ふが」
第七王女は驚いた少年エルフの口元をふさぐ。
第七王女「言うたであろう魔法使いの手記の原書を読みたいと 直接調べに行こうと思ってな」
少年エルフ「図書館に忍びこむの?」
第七王女「左様 地下の閉架書庫にあるじゃろう 昼間調べた限りでは魔力式の警備ゴーレムがあったのでなそれでエルフを連れてきたのじゃ」
少年エルフ「そんな……」
第七王女「ここまで来て帰るとはいわんじゃろう?」
少年エルフ「ここまでって…… もう仕方ないなぁその本を読んだらすぐに帰るんだよ」
第七王女「わかっておるわかっておる」
少年エルフ「もー わがままなんだから」
第七王女「ふふふ」
ガチャ
第七王女は余裕の笑みで裏口の扉を開錠した。
○図書館・ロビー
第七王女「さて警備は……」
少年エルフ「……ねぇ あれ」
少年エルフは壊れた警備ゴーレムと開いた閉架書庫への扉を指さす。
第七王女「なんじゃ!? 強盗か! ケシカラン奴めわらわが成敗してくれるわ!」
ダダッ
第七王女は閉架書庫へ駆け出した。
少年エルフ「ケシカランって…… 自分はいいの?」
○図書館地下・閉架書庫
ドン バタン
閉架書庫では図書館館長と何者かが揉めている。
図書館館長「貴様 何が目的だ!」
テレビ頭「さー 何が目的でしょうか? 当ててみてください制限時間は30秒ハイスタート! チッチッチ……」
スーツ姿に頭部がテレビになった男が制限時間を刻み始めた。
図書館館長「ふざけおって そもそもなんじゃその被り物は! テレビごと叩き割ってやるわ!」
図書館館長はもっていた魔導書を開いて効果を発動しようとするが。
テレビ頭「ブーッ 時間切れ不正解失格ペナルティデース」
ビカッ
テレビ頭の画面が明滅すると発動しかけていた魔導書の魔力が吸い取られた。
図書館館長「なんじゃと!? ぬう!」
テレビ頭「暴力は反対ですよ これだから古い人間は正直嫌いヘイトヘイトです」
テレビ頭は図書館館長に詰め寄ると明滅する画面で覗き込みながら言う。
テレビ頭「それに本なんて古いです 本なんて5年もすれば誰も見ませんよ」
図書館館長「きっさまぁ! 何をいうか」
テレビ頭「これからはテレビの時代ですよ 書物なんてかび臭いだけです…… それにホラ」
テレビ頭は手近の本を手にして自身の画面へ近づけると呑み込むかのように消えた。
テレビ頭「ザザッ 『昔々ある所にお爺さんとお婆さんとお婆さんがいました』 どうですいい映りでしょう?」
図書館館長「なんということを……それになんだその内容は婆が増えておるではないか!」
テレビ頭「このほうが面白いじゃありませんか どうです滅びゆく図書館なんて辞めてここをテレビ図書館にしてみてわ」
図書館館長「なにをバカな! 第一情報を捻じ曲げて伝えるなんぞ先人への侮辱じゃぞ!」
テレビ頭「貴方は本当にうるさいですね真空管が割れそうです…… そろそろ要件に入りましょうか」
図書館館長「要件じゃと!?」
テレビ頭「……『断片集』はどこですか?」
図書館館長「なに!? おぬしまさか…… そんなものは無」
ドスン
図書館館長「ぐわ」
テレビ頭は図書館館長を壁に投げつけて再び詰め寄る。
テレビ頭「……お判りでしょう『魔法使いの手記』の『断片』ですよ これ以上手間を取らせないでいただきたい」
図書館館長「おのれ……化け物に貸し出す図書なぞここにはないわ!」
テレビ頭「ならば貴方の頭に直接お伺いしましょうかね」
図書館館長「なに!?」
テレビ頭は図書館館長の胸倉を掴み高々を持ち上げ……。
第七王女「まてぇーい 狼藉はそこまでじゃ!」ビシッ
少年エルフ「うわぁ! ちょっとあの人人間じゃないよ」わたわた
第七王女と少年エルフが現れた。
テレビ頭「なんですか 貴方達は?」
図書館館長「逃げろこいつは化け物じゃ」
第七王女「それは承知済みじゃ せいっ!」
シュッ
第七王女はテレビ頭にナイフを投げつける。
フッ
突然テレビ頭の姿が消えた。
ドサッ
図書館館長「ぐわ」
第七王女「どこじゃ!?」
テレビ頭「……危ないですね モニターが割れたら悲劇ですよ」
別の方向にテレビ頭が現れた。
第七王女「そこか!」
シュッ…… カキン
第七王女は別のナイフを投げるがナイフは壁にあたって落ちた。
第七王女「おおう分身の術か!?」
図書館館長「ゲホゲホ…… 妙な魔法を使いおって」
室内なのにあたりに霧が立ち込めはじめた。
少年エルフ「幻術みたい…… だったら本体は」
少年エルフが集中して本体を探り出そうとすると……。
スッ
テレビ頭「おっと 貴方からご招待しましょう」
ピカッ
少年エルフ「うわ!?」
少年エルフは背後から現れたテレビ頭の画面に吸い込まれた。
図書館館長「なんじゃ! 坊主に何をした!」
第七王女「エルフ! おのれ!」
スッ
テレビ頭「二名様ご招待接待ウェルカーム」
第七王女「ぬぅ!」
ピカッ
第七王女もテレビ頭の画面に吸い込まれた。
図書館館長「貴様 あの子らをどこへ……」
テレビ頭「ご安心を楽しい悲しい良いところですよ」
図書館館長「ふざけるな!」
テレビ頭「ふふふ イッツァテレビショ~ウ」
ピカッ
○図書館・ロビー
テレビ頭「やれやれ 予想外のお客様でしたが……しばらく退屈しなくて済みそうですね」
テレビ頭は大型テレビの画面に手を触れるとそのまま画面へ入っていく。
テレビ頭「それにしても先ほどは驚きましたね当ててくるとは 次は気を付けましょうそうしましょう」
カラン
テレビ頭の姿が画面に吸い込まれると第七王女のナイフが音を立てて床に落ちた。
○
※更新終了 今回はここまで
次回の更新も日曜に
乙!
乙
#39 厄災テレビマン
○翌朝・ホテル
娘「パパがいない!」
女兵士「王女サマもいないよ?」
娘友「まーたどこかに飛び出していったんじゃないの?」
娘「だだだ大丈夫よパパには発信機があるから」
男子「そそそうだな 多分一緒だな だよな?」
娘友「落ち着きなさいよあんたら」
娘は荷物から探知機を取り出し電源を入れた。
カチッ ツーツーツー
探知機には反応が見られない。
娘「んな!?」ガクッ
男子「しっかりしろ娘」
娘は衝撃のあまりその場に座り込む。
娘「まさかバレてたの どどどどうしよう」ガクガク
男子「そうと決まったわけじゃ」あたふた
娘友「一応悪いとは思ってたのね」
白竜(人型)「まー どうせいつもの王女のわがままにエルフちゃんが巻き込まれてるんでしょ 多分」
男子「だとしても王女は何かしら行先を伝えてから行っているんだ それが無いということは……」
娘「すぐに戻るつもりだったのね…… だとするとますます何かトラブルに巻き込まれたに違いないわ」
娘友「だったら探さないと 探知機が役にたたないなら地道に探すしかないわね」
女兵士「すごく遠くにいったってことはないの?」
白竜(人型)「今回はわたしが残ってるからそれは考えにくいわよね」
娘「とりあえず王女とパパが行きそうな場所を探しに行きましょう」
男子「おう」
娘友「娘…… アタシもいろいろ調べるから落ち着いて行動するのよ」
娘「……分かってるわ」
○???
少年エルフ「ここは?」
少年エルフは暗くて狭い所で目を覚ました。
パカッ
少年エルフ「!?」
\おやまあ/
\こんなところから子供が/
突如暗闇が割れて声が聞こえる。
○『オーガ退治』
お爺さん「というわけでお前は住民を苦しめているオーガを退治しにいきなさい」
少年エルフ「え? え?」
お婆さん「これは食べた者を虜にできるチート団子ですよ持ってお行きなさい」
少年エルフ「それって違法なもの入ってない?」
お爺さん「大丈夫じゃ わしは毎日くっておるぞ」
お婆さん「おほほ」
少年エルフ「……(いいのかな)」
こうして少年エルフはオーガ退治に旅立たされた。
少年エルフ「あれ……(何か探してた気がするけど なんだっけ?)」
○大通り
娘は少年エルフを探しながら大通りを足早に歩いている。
娘「まさかまたエルフ族ってことがばれて誘拐されたんじゃ……」ブツブツ
男子「王女も一緒なんだそこまでは……多分大丈夫だ……」ブツブツ
娘「イヤな予感がするの 一刻も早くみつけなきゃ!」
男子「お前がそれいうなよ お前の感は当たるんだから!」
白竜(人型)「二人とも落ち着いてよ 焦っても駄目よ」
ピコ―ンピコ―ン
娘「は! 反応が出た!」
娘の持つ探知機が反応を示した。
男子「本当か! どっちだ」
娘「あっちよ!」
白竜(人型)「なんで急に?」
バタバタバタ
○街頭テレビ前
ガヤガヤ
テレビの前では今日も人だかりができている。
娘「近いわ まさかまたテレビ見てるの?」
男子「そんなまさか……」
\これがほしいの? 食べる?/
娘「エルフ! エルフの声が……どこ!?」
男子「おい見ろ!? エルフさんがテレビに映ってるぞ!」
なんと少年エルフがテレビに映っている、犬に何かを食べさせているようだ。
娘「なんで!? それにどうして探知機が……」
ピコ―ンピコ―ン
男子「どうなってるんだコレ?」
娘「そうか! だったら」
ダダッ
男子「おい!」
娘は駆け出してテレビ画面に向かって突進する!
ギュオン
\ザワッ/
男子「娘!?」
なんと娘の上半身がテレビの中に入ってしまった。
○テレビの中・『オーガ退治』
娘「居た! エルフー」
テレビから上半身だけ乗り出した娘は、はるか先にエルフが居るのを見つけた。
娘「この空間普通じゃない…… はやくエルフを連れ出さなきゃ」
娘は画面を抜けようとするが下半身がつっかえて通り抜けれない。
○テレビの外・街頭テレビ前
\なんだこれ/ \マジックか?/
男子「娘大丈夫か! どうなってるんだコレ!? ウゲ」
男子は娘の足を掴んで引き戻そうとするが逆に蹴られている。
白竜(人型)「あらもー 年頃のコがそんなカッコしてはしたない ほら見せられないわよ~」
白竜は下半身だけで暴れる娘をかばっている。
○テレビの中・『オーガ退治』
娘「んっくう 狭い……」
テレビ頭「おやおやおやこれは驚きました しかし御用急用無用に願います」
テレビ頭が娘の前に現れた。
娘「貴方…… 魔族ね」
テレビ頭「ピンポンパンポン大成かーい 景品はタワシ一年ブーン」
娘「ふざけないで エルフをどうする気! 王女もいるんでしょ」
テレビ頭「んー 残念ながら今は放送中ですので テレビは明るい所でなるべくたくさん離れて見てくだサーイ ェア!」
娘「な!?」
ドン
テレビ頭が手を振ると娘は弾き飛ばされた。
○テレビの外・街頭テレビ前
娘「いったー あのふざけたテレビ魔人…… やってくれるわね」
白竜(人型)「なにがあったの? とりあえず男子君から降りたら」
娘は男子の頭に尻餅をついていた。
男子「」チーン
娘「あーもう 何気絶してるのさっさと起きなさい」ゲシッ
娘は男子を蹴り起こす。
男子「ぐはっ…… なにがあった?」
娘「行くわよ 居場所がわかったわ」
男子「なんだって どこだ?」
娘「テレビよ」
○大図書館前
娘友「あら娘? 何かわかったの?」
司書「お連れ様ですか?」
大図書館の前までくると娘友と女兵士が司書と話していた。
娘「まあね 友はどうしてここに?」
娘友「情報によると昨日の夜に図書館の裏手でエルフさんと王女っぽいコを見かけたって話があって」
娘「いったいどんな情報網もってるの貴方…… それで図書館はどうしたの? 休館日?」
司書「あの実はお爺ちゃんが……館長が行方不明なんです それに蔵書が荒らされていていま調べてるので今日はお引き取りを……」
娘「……館長さんの行方に心当たりがあると言ったら?」
司書「え!?」
○大図書館ロビー・大型テレビ
ギュルン
娘「やっぱり異空間につながってるわ」
娘は大型テレビの画面から戻ってきて言った。
司書「そんな!? こんな……こんな機能まであるなんて」
娘「いやそうじゃなくて…… 魔族が絡んでるわ」
娘は目にした魔族について説明した。
女兵士「すごいテレビの魔物だってハイカラだね」
男子「そんな奴いるのか?」
司書「たしか……新しいもの好きの魔族の伝承もありますね」
娘友「居るんだ」
娘「おそらく館長さんはあの魔族に襲われて…… その場面に王女とエルフが遭遇したのね」
司書「遭遇ってすごい偶然ですね」
娘「そうね偶然ね ほほほ」
娘友「ほほほ……(多分忍び込んでたのね)」
男子「しかし王女まで連れ去られたかどうかは確証が」
娘友「はいこれ テレビの前に落ちてたって」
娘友は第七王女の投げナイフを示す。
男子「それじゃあ王女も……」
白竜(人型)「それでどうするの? テレビの中へ探しにいくの?」
娘「当然 このテレビなら通れるわ」
女兵士「でも一体中はどうなってるんでしょうね?」
娘「そうね 多分あの魔族の空間ね 何があるかわからないわよ」
男子「そんなこと関係ない はやく探しに行かないと」
司書「あの…… 私も同行しても? 館長もおそろく中に……」
娘「多分ね…… でも危険よ?」
司書「大丈夫です これでも魔導書取扱者甲種です 自分の身は守れます」ブンブン
司書は分厚い魔導書を軽々と振り回す。
娘友「魔導書ってそういうものだっけ?」
司書「ちゃんと使えますよ ほら」
司書は魔導書を開くと魔力を発し始める。
娘「これは頼もしいわね…… こちらからもお願いするわ きっとあなたの知識が必要になるわ」
司書「そうですね図書の事ならお任せください」
男子「よし じゃあ行くぞ」
男子を先頭に大型テレビをくぐっていく。
白竜(人型)「はい いってらっしゃーい」
娘「アンタも来なさい!」
白竜(人型)「やーん」
白竜も娘に引きずり込まれた。
○テレビの中・『???』
テレビの中にはいると辺りは霧が立ち込めている。
娘友「これ外からテレビの電源消されたら出れなくならない?」
司書「そうですね 図書館員さんにお願いしてきます」
ぎゅおん
しばらくして司書が戻ってきた。
司書「頼んできました 行きましょう」
娘たちはテレビの中を歩きだす。
男子「それにしても妙なところだな 暗いような明るいような」
娘友「それになんだか声がするようなしないような」
司書「そうですね 書庫みたいですね魔導書のささやきみたいな」
娘「そういえば本もなくなってたとか言ってなかった?」
司書「そうですね 閉架書庫の本がずいぶんと」
娘「どんな本がなくなったの?」
司書「ほとんど古文書や魔導書…… ジャンルを問わずに発行の古いものがほとんどです」
ザーッ ザザーッ
娘「何!? 今のは」
男子「何かあるぞ……テレビだ」
前方にテレビが雑多に積まれており画面は砂嵐になっていた。
女兵士「テレビの中にテレビがあるなんて不思議ですね 何が映るのかな?」
女兵士がテレビに近づくとなんとテレビが襲い掛かってきた。
男子「危ない!」
ドン
女兵士「きゃ!」
ガシャン
男子は女兵士をかばってテレビに呑み込まれた。
娘「男子!」
司書「他のも動いてますよ!」
ガシャンガシャン
テレビが襲い掛かる。
女兵士「きゃあ!」
ガシャン
女兵士もテレビに呑み込まれた。
娘「男子! 女兵士! ”雷撃”」
バリバリ ボボン
娘が魔法でテレビを破壊するが二人の姿は見当たらない。
白竜(人型)「気配もないわ 転送されたのね」
娘友「まずいわ分断して各個撃破するわけね きゃあ!」
ガシャン
娘友も飛んできたテレビに呑み込まれた。
娘「友! 白竜あなた本気だしなさい」
白竜(人型)「えー でも司書ちゃんもいるしー 恥ずかしいわ」
娘「いいから! はやく!!」
白竜(人型)「もー 娘ちゃん怖い― えい」
白竜は変身を解いて元のドラゴンの姿にもどる。
白竜「がおー なんちゃって」
娘「いいからさっさと焼き払って」
白竜「はいはい」
ボオオオオオオオオオオオ
白竜が火炎をはいてテレビを一掃した。
司書「すごい ドラゴンに変身できるんですか」
娘「まー そんな感じね」
白竜「すごいでしょー ん?」
ひゅるるる ガシャーン
司書「きゃあ!」
上方から大型スクリーンが降ってきて白竜を呑み込んだ。
娘「白竜! もうなんでもアリってわけ!」
テレビ頭「イエスここはマイルームマイワールド イッツアスモールワールド」
テレビ頭が現れた。
娘「貴方! 一体何が目的なの」シャキン
娘は剣を抜いてテレビ頭との間合いを詰める。
テレビ頭「おっと暗いので足元に御注意ください」
娘「な!? きゃあ!」
娘は足元に現れたテレビ画面に呑み込まれた。
テレビ頭「はい没収となりマス」
司書「そんな!? 皆さん」
テレビ頭「そこのお嬢さんちょうどよかったインタビューに伺おうと思っていたところです」
○
※更新終了 今回はここまで
来週の更新も日曜に
乙
丼40 プレ入 インタビュー
#40 プレイ インタビュー
○???
テレビ頭「はい という訳で『テレ子の部屋』の時間です」パチン
テレビ頭が指を鳴らすと辺りの景色は落ち着いた色調の部屋に変わった。
司書「これは一体!?」
テレビ頭「今日のゲストは大図書館で働いてらっしゃる司書さんですどうぞおかけください」
悠々とソファに腰掛けて話始めた。
司書「……そんな事より お爺ちゃんと皆さんはどうなったんですか」
テレビ頭「んー こちらが聞きたいことがあるのですが…… こうしましょう一つ教えていただいたらこちらも一つお教えしましょう 質問ゲームです」
司書「……いいでしょう」
司書はソファに腰掛けた。
○『侵略者』
娘「……ここは?」
娘は真っ暗な部屋に立っていた。 よく見ると壁のような物が等間隔に並んでいる。
娘「なによコレ? イヤな予感がするわね」
ピロピロピロビビーン
部屋の反対側から突如大音量とともにやたら角ばった魔物が大量に現れた。
娘「来たわね! ……なに隊列?」
ザッザッザッザッザ……
娘が壁に隠れて様子を伺っていると魔物達は横移動して壁に当たると一歩全身し、魔法弾を撃ってきた。
バシン バシュン
飛んできた弾に当たって壁が崩れていく。
娘「だったらこっちも迎撃よ”雷撃”」
バリバリバリ ドドン
娘の魔法によって次々と角ばった魔物が消えていく。
娘「動きが単調ね…… とは言ってもあの数はやっかいね」
ザッザッザッザッザ……
魔物達は仲間が吹き飛ぼうとも隊列を崩さずに横歩きを繰り返している。
○『テレ子の部屋』
テレビ頭「それでは最初のご質問をどうぞ」
司書「……(私から?) ……お爺ちゃんをどうしたのですか?」
テレビ頭「それは見ていただいた方がいいですね 中継先のテレビ頭サーン」
司書「え!?」
どこからかテレビが出てきた。
テレビ「ザザー ドドド ドカンドカン ガガガ」
中継テレビ頭「えーこちらは激しい戦闘が続いております」
\やらせはせんやらせはせんぞぉ!/
司書「お爺ちゃん!?」
テレビでは図書館館長が魔導書を使ってゴーレムを操りテレビ頭達と戦闘を繰り広げていた。
\ドンドン ドカァン/
中継テレビ頭「えー犯人の要求はすべてのテレビの破壊とのことでこちらとの交渉は決裂してそれ以後このような激しい戦闘となっております」
中継先のテレビ頭が真剣な声でいうものの後ろに映っている戦闘中のテレビ頭達はバナナやトマトを投げつけたりとかなりふざけている。
中継テレビ頭「現場からは以上です」
テレビ頭「はいありがとうございます この後も気を付けて中継してくださいね」
パカァン
中継の映像が消える寸前に中継先のテレビ頭のテレビが吹き飛ぶのが見えた、と同時に映していたテレビも吹き飛んだ。
バァン
司書「うわぁ!?」
テレビ頭「注意がちょっと遅かったでしょうかね」
司書「お爺ちゃん……」
テレビ頭「御覧のように大変お元気ですよ…… 今のところは」
司書「……」
テレビ頭「それではこちらの番ですね…… 『断片集』はご存知ですね?」
司書「……えい!」
司書は急に立ち上がり逃げ出そうとした。
テレビ頭「おやおや 急にどうしました?」
テレビ頭は慌てる様子もなく座っている。
バタバタバタ……バタバタバタ
司書「うそ…… 出口がない」
司書は出口を探して走り回るが窓も扉も見当たらない。
テレビ頭「まだ答えを聞いていませんよ お座りください」パチン
テレビ頭が指を鳴らすとソファが飛んできて司書を無理やり座らせた上で逃げれないようにソファの生地が手足をぐるぐる巻きにした。
司書「うう……」
テレビ頭「貴方は『断片集』をご存じですね そうですね」
司書「……はい」
司書はしぶしぶ答えた。
テレビ頭「素晴らしい では次はあなたの番ですよ」
司書「さっきの場所は…… お爺ちゃんはどこなんです!」
テレビ頭「さて? この世界は世界ごとあちこち動きまわりますのでわかりませんね」
司書「なによそれ!」
テレビ頭「では私の番ですね 『断片集』は図書館の何処に保管されていましたか?」
司書「ちょっと さっきので答えたことになるの!?」
テレビ頭「そりゃあまぁ わからないものはわかりませんから」
司書「ふぅん……(まともに答える気はないのね だったら)『断片集』の保管場所なんて知らないわ……痛たたたたた!?」
司書が適当に答えるとソファが噛みついてきた。
司書「おっと 言い忘れてましたがそのソファはウソが嫌いですのでウソを言うと噛みつかれますよ」
司書「っう……(どうしたら)」
テレビ頭「さてもう一度お聞きします 『断片集』は何処に隠されていましたか?」
○『オーガ退治』
犬を仲間にした少年エルフは歩いていると何処からか声がかかった。
\おーいここだここ/
大岩の下敷きになっている猿が話しかけてきた。
猿「おらぁ腹へって力がでねぇ 何か食いもんねぇかい?」
少年エルフ「このお団子しかないけど……」
猿「おお! 食わしてくれ」
少年エルフはチート団子を猿の口に放り込んだ。
もぐもぐ
猿「うめぇなぁ おりゃあ」
ドドォン
猿は食べ終えると大岩を投げ飛ばして出てきた。
猿「久々に自由の身だ おめえについてけばもっとコレ食えるかい」
少年エルフ「うん でも今からオーガ退治に行くんだけど」
猿「構わねぇオラ強ぇ奴は大好きだ いっちょいってみっか」
猿が仲間に加わった。
犬「強そうな猿で戦力になりそうですね」
少年エルフ「うん」
○『テレ子の部屋』
司書「……閉鎖図書よ」
テレビ頭「ブラボー! 貴方はお爺様と違って柔軟で素晴らしいですね…… それで閉鎖図書の何処に?」
司書「待ちなさいそれは二つ目でしょう 先に私の質問に一つ答えなさい」
テレビ頭「フームム そうですね では質問をどうぞ」
司書は手にしていた魔導書を握りしめる。
司書「……(本は無事ね)さっきの娘さんはどうなったの?」
テレビ頭「んんー どうでしょうね」
パチン
テレビ頭が指を鳴らすと床からテレビ付きのテーブルがせりあがってきた。
テレビ頭「んんー そうですねまだ頑張ってるようですね ほお7面ですかどこまでいけますかね」
\いつまで続くのよ/ \バリバリバリバリ/
テレビ画面の中では高速で移動する魔物の群れを娘が雷光で迎撃している。
司書「娘さん……」
テレビ頭「このような具合ですね ではあなたの答えをお聞きしましょうか」
司書「……そうね 『断片集』はその名の通りそれぞれ分けられて閉架図書の中に隠されているわ」
テレビ頭「なるほど木を隠すなら森 ページを隠すのは本ですか」
司書「だからそれを見つけるには私たちの使う”調査”や”探索”といった図書管理魔法が無ければ見つけられないわよ」シュン
テレビ頭「おや? 貴方今なにを?」
司書「それは次の質問かしら? 残念だけど質問ゲームは終わりよ ”分類”」
バシュシュン
司書を拘束していたソファが材質ごとに分類分解されてしまった。
テレビ頭「おおっと!?」
司書は自由になるとテレビ付きテーブルの画面へ飛び込む!
司書「娘さん!」
○『侵略者』
どさっ
頭上から司書が落ちてきた。
娘「司書!? どこから」
司書「いたた それは後で娘さん下です 床を壊してください」
娘「床? わかったわ”重雷撃”」
ドンガラガシャーン
バリバリ…… バリンッ
娘の雷撃が床を破壊すると同時に高速横移動する魔物も消えた。
娘「やったわ ……ってあれは?」
底の方から強烈な光が伸びている。
司書「あそこが出口です 飛び込みますよ急いで!」
娘「迷ってる場合じゃなさそうね」
娘と司書が光に飛び込むと光は消えた。
○
テレビ頭「おーやおやおや 私としたことが逃げられてしまいました」
テレビ頭は天を仰いて大げさに嘆くがすぐに立ち直る。
テレビ頭「でもまぁ『断片集』の在りかはわかりましたからそこからここからしらみつぶしですから」
パチン
テレビ頭が指を鳴らすと部屋の様子が変わり雑多に積まれた図書の山が現れた。
テレビ頭「わお この量は確かにこれは骨が折れますね でもこうすれば」
ぽいぽいぽい シュンシュンシュン
手にした本を次々と呼び出したテレビの画面に放り込んでいく。
テレビ頭「さて今度は宝探しゲームですよ」
メキメキ
テレビ頭はそう言うと自身のテレビ画面に手足をねじ込み始めた。
メキメキ
体も折り込んで頭部、テレビだけになってしまった。
テレビ頭「おっとこの辺りですかね?」
ガチャガチャ
画面内から手を伸ばしてチャンネルのダイヤルを調整する。
テレビ頭「ではこの辺で チャオ」
メキメキ……メキャ
最後に自らの画面も裏返して消えてしまった。
○
※更新終了 今回はここまで
次の更新は来週の日曜に
乙
乙!よいお年を
#41 失われたセカイ?
○『実物投影百科辞典』
延々と続く本棚の間を司書と娘が歩いている。
娘「ここは一体なんなの? 図書館に戻ってきたの?」
司書「いいえここは辞典の中ですね」
娘「辞典?」
司書「あの魔族は取り込んだものから影像の世界を造れるようです」
娘「ふぅん つまりここはあいつのテレビで映した辞典なのね」
司書「そうなりますね 先ほどこれらの世界を調べたら出入りにはテレビを通るのが必要です」
娘「でもさっきのは?」
司書「あれは照射点で影像の根源です この世界を破壊するのと同じなのでかなり危険です」
娘「以外と度胸あるのね」
司書「ふふ それにこの辞典の世界にこれたのは幸運です ”検索”」シュン
司書が魔導書を操ると一冊の本が棚から飛んできた。
司書「ありました これでなんとかなるでしょう”転写”」パララララ
飛んできた本と魔導書の間でページが飛び交う、内容を写しているようだ。
娘「それは何を?」
司書「これは閉鎖図書の辞典なんです…… だからこんな事も可能ですよ”投影”」
ポン
司書が魔導書の中からテレビを現出させた。
娘「本からテレビって…… 洒落た事ができるのね」
司書「この辞典は実物を投影するのが売りです まぁそれで色々問題があったので発禁処分になりましたが」
娘「でしょうね」
司書「さて『テレビ』の項目を転写したのでいつでもテレビを出せますよ これで移動には困りません」
ガチャガチャ
司書は出てきたテレビのチャンネルを回す。
娘「そうね エルフもみんなも閉じ込められてるのよね」
司書「そうですねお爺ちゃんも助けないといけないですし 回収しなきゃいけないものもあるので」
娘「……『断片集』ね」
司書「なぜそれを!?」
娘「実はね……」
娘は第七王女の目的とこれまでのいきさつを説明した。
司書「そうでしたか わざわざ王国から」
娘「ごめんなさいね こんな事になっちゃって」
司書「いえ むしろあなた方が居なければ祖父を探しにここまで来れなかったかもしれません」
娘「そういってもらえると嬉しいわ はやく見つけないと」
司書「はい」
○
ガチャガチャ
娘「これチャンネルが多すぎよ 盗まれた図書はどれくらいだったの?」
司書「ざっと千冊ほどですかね」
娘「気が遠くなるわね 人を検索とかできないの?」
司書「検索は本に対してでしかできませんので」
娘「本ね…… だったら断片集の検索は?」
司書「うーん…… 番組にされた本に対して出来るかどうか」
娘「とりあえずやってみてよ」
司書「そうですね ”検索”」
司書はテレビに向かって魔法を唱えた。
ガチャガチャガチャ……
高速でチャンネルのダイヤルが回りある番組が映る。
\きゃああああ/ \ガオオ グオオ/
娘友が何かに追われている。
娘「友が! 行くわよ!」
司書「はい」
娘と司書はテレビ画面に飛び込んだ。
○『ドラゴニック・パーク』
ダダダダ
娘友「助けて――ッ!!」
ドスンドスン
ドラゴン「グオオ」
娘友はドラゴンに追われている。
ひゅーん
娘「チェスト―」
ドスッ
上方から落ちて来た娘がドラゴンの脳天を剣で貫く。
ドラゴン「グギャアア」
ザザ―― プツン
ドラゴンは砂嵐のように明滅したかと思うと消えてしまった。
司書「やはり全て影像なんですね」
娘「そうね…… 大丈夫だった 友?」
娘友「娘゛ぇー ありがとう死ぬかと思ったわよ~」ぐしぐし
娘「はいはい 無事でよかったわ他に誰かみてない?」
娘友「ん…… 見たけど見間違いだったと思いたい…」
娘「え?」
○『ドラゴニック・パーク』 原始の湖畔
白竜「グオオオオオオオオオン」
ドラゴン達「グオオオオオオオオオオオオオオン」
ドラゴンの群れにホワイトゴラゴンが君臨している、群れのリーダーになっているようだ。
ダダダ
娘「なにやってんのアンタわーッ ”落雷”」
ガラガラガッシャーン バリバリバリ
娘の雷が白竜めがけて落ちる。
白竜「グギャアア」
雷を浴びた白竜が暴れ出す。
娘「アンタ私がわからないの!?」
○
白竜の攻撃をかわす娘を遠くから司書と娘友が眺める。
娘友「やっぱりアレ白竜さんだったか」
司書「スゴイですね 野生のドラゴンとあんなになじむなんて 白竜さんって何者ですか?」
娘友「まー 見た通りよ」
○
白竜「グオオオオオオオ」
娘「本当にもうっ! 貴方ねぇ この炎天下にそんなことしてていいの? シミになるわよ!」
娘はそう言うと日焼け止めクリームを高々と掲げた!
白竜「グオ…… やっばい 塗りなおさなきゃ!!」
白竜は正気にもどった。
○
白竜(人型)「やだわー つい若い頃に戻ったような気分だったわ」ぬりぬり
再び人間に変身した白竜は日焼け止めを塗りながら言う。
娘「若い頃って何百年前なのよ」
白竜(人型)「やーん それを聞かないでよー」
娘友「でもこれで他のドラゴンも怖くないわね 白竜がいるから」
白竜(人型)「ホント 若い子がいるっていいわ ここに住んじゃおうかしら」
司書「ここはテレビ番組の中で現実じゃありませんよ」
白竜(人型)「判ってるわ それが残念ねー」ふー
司書「それで…… 貴方から”検索”の結果が検知されてるのですが本とか紙片をもってませんか?」
白竜(人型)「あら? それだったらコレかしら」
白竜は若干湿った紙片を差し出した、古語でなにかがびっしり書かれている。
娘「これが断片集?」
司書「そうですね この反応は間違いありません」
娘友「……読めない」
司書「古語でしかも暗号化を掛けてますので…… 白竜さんこれをどこで?」
白竜(人型)「んー 人に戻った時に口からねー あんまり覚えてないけど若い子を食べちゃった時にひっかかったのかしらね」
娘「食べたって貴方」
白竜(人型)「あ 食事的な意味で」
娘友「よりコワイ」
娘「菜食主義っていってなかったかしら?」
白竜(人型)「……若いころは肉食系女子だったから ほら最近でも流行りじゃなあい?」
娘「アンタのような肉食系女子が居てたまるか」
白竜(人型)「やーん いけずー」くねくね
司書「とりあえず次いきますね」
司書はテレビを投射して検索魔法をかける。
○
○『オーガ退治』
少年エルフはその後も雉を仲間にして海辺まで歩いてきた。
少年エルフ「うわー 海だ」
犬「オーガ島は沖にありますよ どうします?」
少年エルフ「そういえばそうだね どうしよう」
\わいわい/
雉「あっちがなんだか騒がしいですよ」
少年エルフ「なんだろ?」
○
子供A「よーしこいつは売って金にしよーぜ」
子供B「いや合体経験値用に飼おうぜ」
海亀「ひいい」
少年エルフ「あ ひどい」
子供達が海亀をいじめている。
猿「こらこら おめぇら弱いモンいじめしてんのか?」
子供A「うわ 猿だ」ビク
子供B「目ぇ合わせるな 襲われるぞ」ビクビク
猿「なんだってぇ!?」
\うわあ/
少年エルフ「そんな怖い顔しちゃ…… 君たちダメだよこんなことしちゃ」
子供A「うっせ チービ」
子供B「バーカ」
少年エルフ「ぅ……」
雉「なめられてますよ」
猿「やっぱ ここはガツンといかねーと」
少年エルフ「うーん そうだコレを上げるからこの亀を頂戴」
少年エルフはチート団子を一袋差し出した。
猿「あ もったいねぇ」
犬「まだ大量にあるでしょ いいじゃない」
子供A「……うまそうだな」
子供B「仕方ねーな 交換してやらぁ」
子供達は団子をひったくると走っていった。
少年エルフ「やれやれ……」
子供たちが去ると海亀がお礼をいう。
海亀「ありがとうございます お礼に竜宮城へ……」
少年エルフ「それよりあの島に行きたいんだけど 乗せてってくれない?」
海亀「えー? いやでも乙姫さまとかタイやヒラメが……」
雉「つべこべ言わずに乗せなさい」キッ
海亀「あ ハイ」
○
※今回はここまで 進捗が遅いですが毎週更新できるようにがんばります。
次回の更新も日曜日に。
乙
#42 フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン
○『???』・コクピット
ゴゴゴゴゴ
男「いやぁ 家族旅行なんて久しぶりだな」
男子「そうですね父上」
ドドドドド
女騎士「それにしてもまさか月に行ける時代が来るとはな」
男「まったくだな はっはっは」
\耐衝撃姿勢をとって下さい/
男子「ほらもうすぐですよ 横にならないと」
男「よしきた」
女騎士「緊張するな……」
○『月世界家族旅行』・見晴台
シュイン
テレビ画面から娘たちが降り立つ。
娘「今度は何のほ」
ドドドドオオオオオオオオン!!
轟音と共に巨大大砲から巨大砲弾が打ち上げられた!
\おおおお/
娘「何が起こったの!?」
司書「ああっ!? 今のに検索反応がありましたよ」
娘友「今の? アレに? 仕方ないわね落ちてくるまで待ちましょうか」
司書「無理ですよ ここは『月世界家族旅行』の話です あれは月まで行ってしまいます」
娘友「つきぃ!?」
白竜(人型)「あんなところ行ってどうするの?」
娘「そんな大砲で月までって…… 無茶苦茶ね」
司書「まぁ空想のお話ですから しかしどうしましょう…… 原作通りなら無事に戻ってきますが」
娘「このエセ番組の世界じゃ どうかしらね」
娘友「でも追いかけようにもねえ……」
司書「いえ 方法はありますよ」
娘「あるの?」
司書「ええ ちょっとまっててください」
司書はテレビ画面へ戻っていった。
白竜(人型)「どうするのかしら?」
娘友「さあ?」
○
ぎゅぬぬぬぬ
娘友「きゃあ!?」
娘「今度は何!?」
テレビから巨大な何かが押し出されてきた。 大きな球体のようだ。
白竜(人型)「まさか宇宙船?」
バシュン
司書「うまくいきましたか」
娘友「何これ?」
司書「もう一つの月へ行く本『月世界最初の人』をこちらに影像化しました」
娘「これで月まで追いかけるの?」
司書「そうです 行きますよ」
司書はボール型宇宙船のハッチを開けて乗り込んでいく。
娘友「でもこの作品がこっちに来た影響ってないの?」
司書「それはなんとも…… 似た作品ですから大きく破たんはしないと思いますよ」
○ボール型宇宙船
娘達はボール型宇宙船に乗り込んだ。
白竜(人型)「で この宇宙船はどういう理屈で月まで行くの?」
娘友「これも大砲?」
司書「いえ これは反重力物質を利用しています」
白竜(人型)「反重力…… まさに夢の乗り物ね」
娘「操縦できるの?」
司書「もちろんです 何度か読み直してますから」
ガチャン ガチャン パチパチ
司書はレバーはボタンを操作している。
娘「……いざとなったら白竜 頼むわよ」
白竜(人型)「無茶いわないで 月は管轄外よ」
ヒュルルルルル
機械が音を立てて動き出す。
娘友「大丈夫よね お話の世界だもん ご都合的に――」
ビュー―――――――――――――ン!!
ボール型宇宙船は空へ向かって飛び出した。
\\きゃあああああああああああああ//
○『オーガ退治』・オーガが島
ザザーン
少年エルフとお供は海亀に乗ってオーガの住むオーガが島に上陸した。
少年エルフ「うわー岩だらけ」
犬「いよいよ本拠地ですね」
猿「オラわくわくしてきたぞ」
雉「この脳筋に正面突破させましょうか」
海亀「あのもう帰っていいですか?」
雉「お待ち 帰る足がなくなるじゃない」
雉は海亀に乗ってけん制する。
海亀「はい」
雉「あたしゃこいつを見張っておくから 坊ちゃん達は安心していってきてください」
少年エルフ「えっと うん任せたよ」
犬「……(うまいこと逃げたな)」
猿「ようしいくぞー」
○オーガ城・大門
少年エルフ「大きいねー どうやって開けよう」
犬「というか正面からでいいんですか?」
少年エルフ「他に道もないし…… うーん」
トントン
少年エルフ「ごめんくださーい!」
犬「マジか!?」
シーン
返事はない。
少年エルフ「居ないのかな?」
犬「……よかった これで出てきたらどうしようかと」
猿「ちょいと偵察にいきますわ きんとぅーん」
ギュイーン
少年エルフ「うわ 雲が勝手に」
犬「」
猿「じゃ ちょっと見てくっから」
ギューン
猿は雲に乗って飛んで行った。
少年エルフ「猿すごいねー」
犬「雉いらねーなー」
○オーガ城・大広間
青オーガ「誰かきたのか?」
赤オーガが監視カメラで確認する。
赤オーガ「……なんか子供と犬がいるぞ 迷子か?」
青オーガ「こんな島に迷子がくるか? ……めぼしいものも持ってなさそうだしほっとけ」
猿「おめーらヒデーな居留守かよ」
赤オーガ「なんだこの猿!?」
青オーガ「どっから入った!? まあいい小腹が減ってたところだ」
猿「お? なんだ飯にするのかオラにも食わせてくれよ」
赤オーガ「馬鹿め貴様がおやつだ!」
オーガ達が猿に襲い掛かる。
猿「なんだそういうことか じゃ仕方ねーな」
○オーガ城・大門
少年エルフ「……猿おそいねー」
犬「さすがに無謀でしたかね?」
\はぁーー/
どどどーん
\ウギャー/ \ヒイーー/
ひゅるるる どどん
少年エルフ「うわあ!?」 犬「!?」
少年エルフ達の目の前にオーガ達が落ちて来た。
ギュイーン
猿「大将 こいつらオラのこと食おうとしたから先に退治しちまった」
少年エルフ「そうなの? 怪我ない?」
猿「全然」
犬「つうかオーガがボロ雑巾ですよ 一体何をしたらこんな」
赤オーガ「うおお…… 猿ヤベェ 金色の猿ヤベェ」
猿「お まだ生きてたよかったな大将 とどめを」
青オーガ「ヒイイッ! 命ばかりはお助けうおー」
ペコペコ
オーガ達は必死に謝り始めた。
犬「どうします?」
少年エルフ「うーん(なんだかかわいそう)」
猿「ほっといたらまた悪さするぞ こいつら」
少年エルフ「そうなの?」
\もうしません/ \許してクダサイ/
少年エルフ「……うーん」
猿「大将 それより腹へっちまった 団子くれよ」
犬「お前はそればっかりだね」
少年エルフ「団子…… そっか団子だね はい猿」
少年エルフは猿にチート団子を渡す。
猿「やったぁ」
少年エルフ「はい犬も」
犬「ありがとうございます」
少年エルフ 「はいオーガさんたちも」
赤オーガ・青オーガ「へ?」
犬・猿「ええ!?」
少年エルフ「この団子を食べてお供になってよ」にっこり
○『月世界家族旅行』・月面の砲弾型宇宙船
男「ここが月かなんにもないな」
男は砲弾型宇宙船の窓から月面を眺める。
男子「岩と氷ばかりですね」
女騎士「とりあえず出てみようか……」
男「待て待て 危険って表示が出てるだろう外は有毒な『しんくう』でいっぱいだぞ」
男子「有毒ですか?」
女騎士「せっかく来たのに眺めるだけか…… おや日の出だ」
しゅーしゅー にょきにょき
月面に昼が来ると氷が解けて酸素やらなんやら空気が出来て植物が生えてきた。
男「おおー」
女騎士「素晴らしいな」
男子「みろ外に出ても安全になったようだ ほら蝶もとんでる月面蝶だ」
女騎士「ああ すごい数だ」
男「探検にいきましょう」
男たちはすっかり緑の生い茂った月面へ探検に出かけた。
○少し後・月面のボール型宇宙船
ビービー
娘友「うーんうーん」
娘「ほら起きて 月についてるわよ」
娘友「月? えっと?」
司書「大丈夫ですか? 発射のショックで気を失っていたのですよ」
娘友「そっか…… でここが月?」
にょきにょき
\ぎえーぎえー/ \ほっほー ほっほー/
娘友「どう見てもジャングルじゃない」
白竜(人型)「そうよね わたしの知ってる月と違うわ」
司書「この話の月では昼の間だけ植物が生い茂るのです 夜になるとまた岩と氷だけの世界になります」
娘「じゃあ 今のうちに砲弾型宇宙船を探さないとね」
司書「もちろんです”検索”」しゅいん
司書は魔法を唱えた。
司書「あれ?」
娘「どうしたの?」
司書「反応が移動してますね」
娘友「ページが歩いてるの? どゆこと?」
司書「……おそらく登場人物の中に断片集が」
○月面・ジャングル
男子「父上母上 あそこの洞窟キノコがいっぱい生えてますよ すごい」
男子は興奮してどんどん先へ歩いていく。
女騎士「こら そんなに先に行くと危ないぞ」
男「いいじゃないか そんなに心配するな」
女騎士「しかし」
男「大丈夫大丈夫 多分あいつなりに気を使ってくれたんだろう」
女騎士「気を使って?」
男「まぁ ゆっくり二人で歩くとしようや ゆっくりと」
女騎士「……」カアア
女騎士「まてまて お前何を考えてるんだこんなところで!?」
男「いや ただの散歩じゃないか 一体なにを考えるというんだ? ん?」
女騎士「いや 違ういまのは言葉のあやで」カアア
???「……」じー
男「なんだよ 何があやなんだ? 言ってみろよ」にやにや
???「……」じ――
女騎士「いやそんな まて落ち着け それより誰かに見られてるような」
???「……」じ―――
男「お? ごまかすのか? だったらますます……」
???「……」じ――――
女騎士「いや 本当にアレ誰だ」
男「何?」
???「……?」
男と女騎士は至近距離まで来ていた月面人と目があった。
○月面・洞窟内
\きゃああああああ/ \うおわああああああ/
男子「母上!? 父上!?」
月面人「シャッ!!」
忍びよっていた月面人が振り返った男子を襲った!
○洞窟前
ダダダダ
反応を追って娘たちがジャングルを駆け抜けていく。
司書「近いですよ」
娘「まって 月面人だわそれに……」
白竜(人型)「男!?」
娘友「女騎士さんも!? なんでここに!?」
マスクをした月面人に捕まった男と女騎士が洞窟へ連れられて行くのが見えた。
司書「知り合いですか? しかしこの世界の登場人物はすべて影像のはず……」
娘「……原因がわかったわ 男子が居るわ あのバカ」
洞窟の奥で男子が縛られているのが見えた。
司書「なるほどあの方が『主人公』にされているのですね」
娘「どこまでいっても世話をかけさせるんだから」
○月の地下宮殿
テクテク
女騎士「不覚 不意を突かれて捕まるとは」
男「しかしスゲーな地下にこんな宮殿があるなんて」
男子「それにしてもこの月面人 俺たちをどうするつもりでしょう」
月面人「とまれ」
\女王様のおなーりー/
ドンドコドコドコ
男「なんだなんだ? 女王」
男子「……」ごくり
ゆっくりと奥の扉から現れたのは……。
第七王女「かーっかっか 侵入者というのはお前たちか」
女兵士「洞窟の入り口をうろついていたんだって」
月面女王の第七王女と従者の女兵士が現れた。
男「オンナ?」
女騎士「それに子供?」
男子「……?(どこかで見たような 思い出せない?)」
○
※更新終了、今回はここまで。 今月内に切り上げたいけどかなりテンポあげないと。
それか話途中で休止を入れざるを得ないのか……、 とりあえず次回更新も日曜に。
乙
○#43 アマゾーン
○月の地下宮殿・女王の間
第七王女「そなたたちには不法侵入の罪が問われておる…… が条件によっては不問にいたす」
男「おお 寛大だな それで条件とは?」
第七王女「それはな…… 我々は見ての通り女性ばかりの女系の一族ゆえに古来より外部から夫となる者を招きいれて来た。 条件とは他でもないお前はこの中の誰かと結婚するのじゃ」
男「おおッ!? マジでかそれなら是非と」
ズドン
女騎士の膝が男の横っ腹に刺さった。
女騎士「貴様はぁ~」ゴゴゴ
男「ゴフッゴフッ」
男子「……」
○月の地下宮殿・物陰
追跡してきた娘たちが様子を伺っている。
娘友「どゆこと?」
司書「本来は昆虫型月面人なのですが…… おそらく『女系戦闘民族』の話が混ざってますね」
娘「オトコが生まれると殺されてオンナは戦士として育てられるという伝説の民族ね 他民族から婿をとって子供が生まれたら婿は頭から食べられるとか」
司書「……大方あってます」
娘友「マジで」
娘「それにしても男子は王女と女兵士を見てもなにも気づいてないようね」
司書「『配役』されているので役にあった記憶に操作されているのでしょう 自力での解除は難しいかと」
娘「それで王女も女兵士も役にされてるので 性格はそのままみたいだけど」
娘友「だったらそう面倒な事には…… まてよ」
○月の地下宮殿・女王の間
女騎士「月の女王よそれはご容赦ください そのコイツは私の…… 夫ゆえ」カアア
第七王女「ふむ そうであったか それは仕方がないの」
女兵士「えー あたしのお父さんにしたかったな……」
第七王女「ふむ…… ならばそこのお主! この者の息子か?」
第七王女は男子に問いかける。
男子「はい? 俺は息子の男子といいます」
第七王女「よし ならば男子よ女兵士と結婚するのじゃ」
男子「ええ!?」
女兵士「あの子と?」
第七王女は女兵士に耳打ちする。
第七王女「何をいうとる あの者はあのオトコの息子ならば結婚すれば自動的にアヤツも自動的にお父さんにできるであろう 」ボソボソ
女兵士「……そっかでも」ボソボソ
男「よかったな 姉さん女房が向こうから来てくれるぞ」
女騎士「お前は~ 本人同士の気持ちってものがあるだろうが」
男子「ふーむ……(まぁいくらなんでも年の差があるし断られるだろう……)」
○
女兵士「うーん……」
第七王女「そう悩むか? ならばあの者たちと家族になった時を想像してみい」
女兵士「んーと」
――たいちょうがお父さんで 女騎士さんはお母さん
――それで男子君は年下のダンナさん
――あたしはお姉さん的なお嫁さん
女兵士「……?(名前なんで知ってるんだろう?)」
第七王女「どうじゃ?」
女兵士「……アリかな♪」ニコ
女騎士「マジか!?」
男「っしゃあ 無罪放免」
女騎士「お前は息子の結婚をなんだと思っとる!」ゲシッ
男「ゲハッ」
女騎士のつま先が男のみぞおちに刺さった。
男子「ええ? 初対面なのに?」
女兵士は男子に歩み寄る。
女兵士「なんだろ 初対面って感じしないんだよね~? 君は?」
男子「え? そういわれるとなんとなく……」
第七王女「よーしならば 式の準備じゃ」
男子「ええ!? すぐにか!?」
娘友「まてーーいッ!!」
娘友が物陰から飛び出した。
○
※更新終了 次回更新は来週日曜に
乙!
#44 ネバーハッピーエンディングストーリー
○月の地下宮殿
第七王女「なんじゃ曲者か!?」
男子「誰だ?」
女兵士「一族のコではないですよね?」
娘友「まてまてまてーい 男子君とは娘の次に付き合い長いハズなのになんでアタシにはフラグが立たないのよ! 責任者でてこーい!!」
第七王女「……」
男子「……」
女兵士「……」
女騎士「何を言っている?」
男「……ムッ 頭が!?『それは仕様です』 俺は今何を?」
娘友「ムキ―ッ!!」
白竜(人型)「……(憐れな)」
第七王女「ええい何しておる 取り押さえろ!」
第七王女の号令で女性戦士たちが娘友に押し寄せる。
娘友「うわわ 頼むわよ白竜」
娘友は白竜の背中にしがみつく。
白竜(人型)「はいはい いくわよ」
白竜は変化を解いてドラゴンに戻った。
\うわあああ/ \ドラゴンだー/
白竜「さーてそれじゃこのコは貰っちゃうわよー」
白竜は女性戦士を蹴散らしながら首を伸ばして男子を咥えた。
パク
男子「んぐわー」バタバタ
娘友「……ほんとに食べないのよね?」
白竜「ひゃいひょうふよ(大丈夫よ)」
男子「はなせー」バタバタ
白竜「ふぁ(クシャミが出そう……) ふぁっひょい」
ボボフッ
白竜はクシャミと共に炎を吹いてしまった。
男子「」チーン
白竜「……」
娘友「まぁ 吹き飛ばさなかっただけマシかしら」
白竜「ほうね」
○
第七王女「おのれー 竜を打ち取ったものには勇者の称号を……ゆうしゃ?」
\わーわー/
第七王女の号令で女性戦士たちが白竜にむかっていく。
第七王女「ゆうしゃ…… わらわは……」うーむ
女兵士「どうしました?」
司書「今です」
回り込んできた娘と司書が飛び出してきた。
娘「”睡眠”」シュワン
第七王女「ハヒッ」カクン
女兵士「ひゃ!?」カクン
娘の睡眠魔法が第七王女と女兵士を眠らす。
娘「うまくいったわ 王女をお願い」
司書「よいしょっと 行けますよ」
娘「白竜 はやく」
白竜「はいはい」
白竜が首を伸ばして第七王女を抱えた司書と女兵士を負ぶさった娘を迎える。
女性戦士「大変 女王サマがサラワレタ―!」
○月面
女性戦士を蹴散らしながら白竜たちは地下から出て来た。
ドシンドシン
娘「日没が近いようね」
月面に出ると日が傾き植物が枯れ始めている。
司書「筋書どおりですよ これで砲弾型宇宙船が探せます」
娘友「ホントだ あっちにある」
遠くの崖の上に砲弾型宇宙船が刺さっているのが見えた。
白竜「いひょぐわよ」もごもご
男子「」
男子は白竜に咥えられたままである。
娘「……男子を落とさないでよ」
白竜「はひふぁひ」
バサッ
白竜は翼を広げると宇宙船めがけて飛び立った。
○崖の上・砲弾型宇宙船
娘友「すごいところに刺さってるわね?」
娘「とりあえず乗って」
砲弾型宇宙船に着いた娘たちは乗り込んでいく。
司書「断片集も…… やはりココですね 宇宙船ごと帰らないと」
第七王女「すーすー」
司書は近くの席に第七王女を座らせる。
娘「はやくしないと月面人が追いかけてくるわよ」
女兵士「むにゃむにゃ」
娘も女兵士を席に座らせた。
白竜(人型)「というよりもう来てるわ」
男子「」
ベチャ
娘「男子べたべたじゃない…… 気持ち悪いから端にしてよ」
ゲシッゲシッ
娘はベタベタの男子を端へ蹴とばした。
白竜(人型)「むごい……」
娘「貴方のよだれでしょうが」
白竜(人型)「そんなこといったってー」
娘友「……(両方ムゴイ)」
司書「とか言ってる間に追いつかれちゃいましたよ」
\わーわー/
砲弾型宇宙船は女性戦士達に囲まれた。
娘「この宇宙船も操縦できる?」
司書「どうでしょう…… これかな?」
ボボン
宇宙船は噴射をして崖から飛び出し――
ヒュ――ン
落ち始めた。
娘友「きゃあああー!?」
娘「落ちてるわよ!?」
司書「仕方ないですね ”投影”」シュン
落ちる宇宙船の先に大型テレビを投影した。
ヒュ――ン
娘友「一緒に落ちてたらテレビをくぐれないじゃない」
司書「大丈夫ですよ こちらの方が重いから速く落ちます」
娘友「そんなバカな」
バシュン
砲弾型宇宙船は落下するテレビに追いついて画面の中へ吸い込まれた。
ガシャーン!!
直後にテレビは地面に激突した。
○『実物投影百科事典』
ドサッ
司書「ほらこの通り」
娘友「マジで……」
白竜(人型)「常識は時代によって変わるものね……」
娘「みんな無事? 王女と女兵士は?」
第七王女「うーん なんじゃ? 何が起こった?」
女兵士「あれー 王女サマ…… みんなもどうしたの?」
娘「よかった無事ね ……一応男子は」
男子「うう……何だベタベタする?」ベタベタ
娘友「『役』にされていた間の記憶はないようね」
娘「とりあえずアンタ汚いから洗いなさい ねえ司書お風呂とか投影できる?」
司書「できますよ いろいろ投影しますから休憩しましょう」
娘友「さんせー」
○『???』
テレビ頭「どうしましょうどうしましょう どんどん集めらてる」
テレビ頭がテレビ越しに娘たちの様子を伺っている。
テレビ頭「困った困ったコマドリシスター このままでは先を越されてしまう」
ウロウロ
テレビ頭「あの手この手いい手はないものか 頭を切り替えるんだ」
ウロウロ
テレビ頭「だめだ尺が足りない 思いつかない―ッ」
ボボン
テレビ頭のテレビが爆発してテレビ頭は止まってしまった。
テレビ頭「」モクモク
\うわー大変だー/
どこからか小さなテレビ頭が大勢現れる。
\大変だ―/ \タイヘンだ―/ \新しいのモッテこーい/
何人かで新しいテレビを持ってくると壊れたテレビ頭めがけて投げつけた。
ガシャン…… ブブゥン
テレビ頭「んッんー! 電波ビンビン僕満足」
テレビ頭のテレビが新品と入れ替わって再び動き出した。
\やったー/ \わーい/
テレビ頭「頭が切り替わったらいい考えが浮かびましたよ ……やはりタタミとテレビは新品に限りますな」
ガチャガチャ
テレビ頭は自身のテレビのチャンネルを切り替える。
テレビ頭「どこに行きましたかね? ……いたいた」
○『オーガ退治』
赤オーガと青オーガをお供にした少年エルフはお宝と共にお爺さんとお婆さんの家に戻って来た。
お婆さん「よくやりましたね」
お爺さん「ホントにのう 友達もたくさん増えたようじゃの」
少年エルフ「友達…… うん! いっぱい友達できたよ」ニコニコ
赤オーガ「友達ねぇ」
青オーガ「まぁいいか」
犬「これからどうします?」
少年エルフ「みんなでここに住もうよ 大きな家立ててさ」
雉「それもいいかもしれませんね」
猿「ようしお城を造ろう」
少年エルフとお供たちは力を合わせてお城を立てました。
○
犬「おおきなお城ができましたね」
少年エルフ「これでみんな一緒に住めるね」
お爺さん「よかったのう あとは幸せにくらすだけじゃの」
少年エルフ「うん」
お婆さん「エルフや川にこんな生き物がいたんだが知り合いかい?」
お婆さんは海亀を拾ってきた。
少年エルフ「あ 海亀さん」
海亀「お久しぶりです やはり助けていただいたお礼をちゃんとしたくて持ってきました」
少年エルフ「別にいいのに 何をもってきたの?」
海亀は大きなつづらと小さなつづらを差し出した。
少年エルフ「プレゼント?」
海亀「はい 貴方様の願いをかなえるつづらです」
少年エルフ「僕のねがい?」
○
※今回はここまで 次回更新も日曜に
乙
乙!
#45 大図書館戦争
○『海亀の恩返し』
少年エルフの前には大きなつづらと小さなつづらがある。
少年エルフ「願い事って具体的には?」
海亀「大きいつづらは貴方を大きくしてくれますよ」
少年エルフ「本当!? じゃあ小さい方は?」
海亀「小さい方は小さくしますよ…… これはまぁ保険ですね」
少年エルフ「じゃあ開けるよ……(180センチ180センチ)」ドキドキ
海亀「どうぞ」
カパッ
ブシュ―ッ モクモクモクモク………
大きいつづらから大量の煙が噴き出した。
○
ゲホゲホ
青年エルフ「なにこれすごい煙…… すごい大人になってる!!」
少年エルフは青年エルフになっていた。
老海亀「よ……よかったですねぇ」
青年エルフ「海亀さん!? どうしたのシワシワだよ」
老海亀「いやぁ私も煙に巻かれましたし まぁ他の方よりはましですの」
青年エルフ「他のって……」
青年エルフは辺り見渡す。
犬の骨「」
猿の骨「」
雉の骨「」
お爺さんの墓「」
お婆さんの墓「」
青オーガのミイラ「」
赤オーガのミイラ「」
青年エルフ「うわああああああッ!?」
老海亀「ざっと500歳程年をとりましたのでな…… あらから死んでしまいましたね」
青年エルフ「うわああ みんなゴメン!」
老海亀「わ……私もそろそろ寿命のよう……で」プルプル
青年エルフ「まって 死なないで独りにしないでよ」
老海亀「なら小さいつづらを……」プルプル
青年エルフ「わかった! せめて海亀さんだけでもっ」
カパッ
青年エルフは小さなつづらを開けた。
ボワン モクモクモクモク
○
少年エルフ「……元に戻った? 海亀さん?」
子供に戻った少年エルフは海亀を探す。
少年エルフ「海亀さん うみがめさーん」
コロン
卵「」
少年エルフ「え!? まさか……」
少年エルフは海亀の卵を見つけた。
少年エルフ「うみがめさーん!?」
○『大図書館戦争』
第七王女「なるほど…… それで残る『断片集』は図書館館長殿が持っておるというわけじゃな」
娘友「そういうこと…… でもあれじゃあねぇ」
図書館館長「騙されんぞ貴様らぁ! わしの本は1ページたりとも見せんわい!!」
キュドンキュドン ズドドドドド
本棚の向こうから怒号と大量の魔力弾が間断なく射出されている。
男子「どうなってるんだアレ うわっと」
キュン ドン!
娘「頭下げてなさい 窓から流れ弾が飛んでくるわよ」
娘たちは司書が投影したトーチカへ避難している。
第七王女「なんちゅう砲撃じゃ」
女兵士「お爺さん1人じゃないの?」
司書「お爺ちゃんは魔導書の著作・編集もできますからね たぶん陣地防衛の魔導書を大量配置してるのでしょう」
娘「魔導書の要塞ってところね」
娘友「アタシ達もテレビ頭の一味と思われてるみたいね…… 正気じゃないみたいね」
司書「そうね…… 最近ボケも来てるから『配役』か『素』かわからないわね」
第七王女「それにしても件のテレビ頭はどうしたのじゃ?」
白竜(人型)「そこらの壊れたテレビがそれじゃない? あの剣幕と弾幕にやられちゃったんじゃない?」
辺りには壊れたテレビのようなものが大量に散乱している。
第七王女「そうかもしれんのう」
娘「……そうだといいけど」
男子「娘? ……エルフさんか?」
娘「うん…… 王女も無事だったからパパも無事よね」
第七王女「ならば迅速にあの要塞を攻略するのじゃ 図書館長殿の協力があればエルフを探すのも容易かろう」
娘「そうね でもどうやって攻略する?」
司書「私がお爺ちゃんの近くまで行けたら確実に止めれます」
男子「その間合いまでどうやって行くかだな……」
第七王女「まずは……」
○
第七王女「シンプルイズベスト 正面突破じゃ」
白竜「うーん 気乗りしないけど仕方ないか」
娘「あれだけの攻撃に耐えれるのは貴方だけよ 頑張って」
白竜「約束は守ってよ…… 最新エステ全身フルコース」
娘友「エステで済むなら安いものよ」
司書「じゃあ白竜さんお願いします」
白竜「いくわよ」
第七王女と娘と司書を乗せた白竜が本棚の陣地へ突撃する。
ドシンドシンドシン
魔導書A「索敵殺害」キュイィ
魔導書B「サーチアンドデストローイ」キュンキュン
魔導書C「見敵必殺」キュオオオオ
ズドドドドドド キュドンキュドン
魔導書の猛攻が白竜を襲う。
白竜「あいたたた」
第七王女「大丈夫か?」
白竜「まーイタ気持ちいいくらい? いたた」
娘「なにそれマッサージ感覚? 余裕ね」
司書「もうすぐ本陣ですよ」
白竜「突撃―!」
ドシンドシンドシン
白竜は本陣めがけて疾走する。
図書館館長「”防衛配列”」
シュタタタタ
魔導書が積み上がり防壁を構築した。
白竜「こんな本の壁くらい」
べシンッ!! ドドン
本の壁は白竜の突進を跳ね返した。
第七王女「うわぁ」
娘「ちょっと」
司書「きゃああ」
白竜「痛ったー もう怒ったわよ!」
ブオオオオオッ
白竜は燃え盛る炎を吹き出した。
第七王女「ああ 本が燃えるではないか!」
娘「まって……」
魔導書の防壁は炎を受け付けない。
白竜「うっそー!?」
司書「お爺ちゃんの本への守護装丁はおそらく世界一ですよ」フフン
白竜「いってる場合じゃないわ 反撃くるわ!」
ペラペラペラ キュイイイイ
壁になった魔導書がページを開いて反撃してくる。
キュドドドド
白竜「あたたたた 痛いってば」
第七王女「退却 一時退却じゃー」
○
※更新終了 今回はここまで 来週の更新も日曜日に
乙
#46 大図書館戦争2
○
白竜(人型)「もーいやーもう絶対行かないわよ」
白竜はふて寝している。
娘友「というわけでプラン2よ」
女兵士「工作とか懐かしーい」
ペタペタ
男子「おい これで本当に大丈夫なんだろうな?」
男子は魔導書の扮装をさせられている。
娘「人が駄目なら本で潜入ね うまく行くかしら?」
第七王女「大丈夫じゃどこから見てもお主は本じゃ」
大判書(男子)「こんなデカい本とか怪しまれないか?」
娘友「世界最大の本に比べればこれくらい普通よ」
司書「守護装丁も効きましたしちゃんと図書として認識されてますよ」
大判書(男子)「本当かよ……」
娘「ほらさっさと行きなさい」
ゲシッ
大判書(男子)「うおっ蹴るな! 倒れたら起き上がれないぞ」
○
のしのし
大判書(男子)「……(足元が見えない)」
大判書に扮装した男子は図書館館長のいる魔導書の陣地へ近づいていく。
魔導書「!」フワフワ
大判書(男子)「むっ!?」
魔導書が男子の前に現れた。
魔導書「サーチ…… クリア」
大判書(男子)「あ…… どうも」ペコ
魔導書「……」ペコ
○
娘たちは投影した望遠鏡で様子を伺っている。
第七王女「やったのじゃ 第一関門突破じゃ」
娘「本当にアレでいいのね」
司書「あとはお爺ちゃんですね」
○
図書館館長「なんじゃお前は…… 本か?」
男子は図書館館長に詰問されている。
大判書(男子)「ええっと(ばれてないのか?) ……そうです」
図書館館長「むぅ魔力を感じるの…… 自律型魔導書か?」
大判書(男子)「……(もう少し)」じりじり
男子は少しづつ図書館館長と距離を縮める。
図書館館長「ふぅむ……貴様の表題を言ってみよ」
大判書(男子)「へ? ひょうだい」
図書館館長「タイトルじゃ 老眼でのうよくみえんのでな貴様のタイトルを教えてくれんか」
大判書(男子)「はい……(タイトル!? この本のか……そういや何の本になるんだコレ)」ダラダラ
図書館館長「どうした早く言え」
大判書(男子)「ええっと(なんかそれっぽい事……) ええっと『辞典に載ってなって無い虫』です」
○
\ウソつけボケがー/
ドドーン
\ぎょわー/
娘友「バレタ」
娘「あのバカ」
女兵士「やっぱり無理があったよね」
第七王女「ぬぅ」
司書「じゃ回収しますね”抜出”」
\うわあああああ/
大判書(男子)が司書の魔法で飛んできた。
ドタッ ズサーッ
娘「バカ アンタのタイトルは『今日の小鉢料理百選』よ」
焼け焦げた大判書(男子)「それは先に言っておいてくれよ」
女兵士「どうします ほかに作戦は?」
第七王女「うーむ仕方ないのう」
○
第七王女「稀覯本作戦じゃな」
娘友「アレを使うのね 今だすわ」
ゴソゴソ
娘友は鞄の中を手探る。
第七王女「せっかく見つけてくれたものなのにのう……惜しいのう」
女兵士「何を探してるんです?」
第七王女「以前に古文書の類を探してもらった時に見つけた稀覯本 というより手紙じゃ」
娘「手紙?」
司書「希少な古文書や手紙なんかもうち(大図書館)にありますが一体どんな?」
娘友「あったわこれ 激レアなんだから」
娘友は古びた巻物を第七王女に渡した。
第七王女「なにせ未発表の伝説の魔法使いの手紙…… それも恋文じゃからな」
司書「な!? 魔法使いの未発見のラブレターーッ!!」
娘「司書 声大きい…… それにしても有名人も大変ねこんなのが残ってるなんて」
娘友「有名人のプライバシーはいいゴールドになるのよ」へっへっへ
娘「友…… 顔がヤバいわよ」
娘友「あら オホホ」
ドドドドドドド……
女兵士「あれ誰か来」
図書館館長「未発表のラブレターじゃとーーーッ!?」
バッ
図書館館長が駆け寄ってきて手紙を奪いとる。
図書館館長「うおおおおお 間違いない本物じゃ!? 何ということじゃああああ」
司書「お爺ちゃんうるさい」
バコン
図書館館長「へベッ!」
図書館館長は司書の魔導書で殴られて気絶した。
娘友「効果は抜群ね」
第七王女「おおう…… 手間が省けたの」
娘「それじゃあこれで『断片集』は回収できたわけね」
第七王女「やったのじゃ 後はこれを解読できれば……」
パチパチパチパチ
テレビ頭「いやぁ おめでとうございます やっと全部集めてもらえましたね」
いつの間にかテレビ頭が現れた。
第七王女「おのれテレビの化け物め」
司書「貴方に『断片集』は渡しませんよ」
テレビ頭「それは結構ケッコウ しかしそれは決行できますかねこれを観ても」
ガチャガチャ
テレビ頭は自身のチャンネルを回すと……。
\マッチ……マッチはいりませんか/
娘「パパッ!?」
テレビ頭の画面にマッチを売る少年エルフが映っている。
○
※更新終了 今回はここまで 見直しが出来てないな設定のブレがががg
次回の更新も日曜に。
乙!
乙
#47 テレビの時間
○『マッチ売り』
雪の中、路地で少年エルフはマッチ売りをしていた。
少年エルフ「マッチいりませんかー」
スタスタスタ
人々は足早に通り過ぎるばかり。少年エルフは孤児院に入れられたがそこは悪徳孤児院で品物を売り切らないと罰が与えられるのだった。
少年エルフ「帰りたい…… 帰れない……」
はぁー
少年エルフ「……寒い そうだマッチの火で少し暖めれば」
少年エルフは品物のマッチをひと箱あけてマッチ棒をとりだした。
○大図書館戦争跡
娘「パパー ダメ―!!」
第七王女「点けてはならんー!!」
男子「落ち着け二人とも」
男子が飛び出そうとする娘と第七王女を引き留めている。
テレビ頭「フフフ…… もうすこしでクライマックスですよ 高視聴率の予感」
娘「司書! あの番組に割り込めない?」
司書「検索かけても反応しません なんで!?」
司書が投影したテレビに検索魔法をかけるが画面は砂嵐である。
娘友「さては…… 放送してないのね」
テレビ頭「ピンポンピンポンメガネガール正解! 実はこの番組は収録に切り替えました割り込みは御容赦ください」
第七王女「アヤツからしか入れんというわけか」
テレビ頭「そうですよ さてお時間も迫ってますので集めていただいた『断片集』を頂きましょうか」
娘「……妨害が無いと思ってたけどそういうことね」
第七王女「人質とは卑怯な」
テレビ頭「ンフフ~ いいのですか? バットでデッドなエンドはこの後スグ」
娘・第七王女「「ウヌヌ」」
○
娘「……できた?」
司書「はい 多分」
第七王女「よしコレを丸めて」クルクル
第七王女は『断片集』を丸めて紐で縛った。
娘「さあ 渡すからエルフを先に解放しなさい!」
テレビ頭「フフー いいところなんですよね 先に『断片集』をいただけますか」
\消えちゃった……/
テレビ画面では一本目のマッチが燃え尽きたところだ。
第七王女「むぅ 仕方ない先に渡すのじゃ」ポイ
第七王女が『断片集』を投げる。
パシッ
テレビ頭「結構結構 ご苦労様です…… ふむこれが『断片集』ですか」
娘「さぁ 早くパパを解放して」
テレビ頭「おや? そうですか? しかしそのような約束はした覚えはありませんな」
第七王女「貴様ァ!」
テレビ頭「フフフ 全ては視聴率のために…… 特別に悲しい楽しいバットエンドを先行上映しますよ」
\オババに会いたい……/
シュボッ
テレビ画面の少年エルフがマッチに火をつけ場面が変わる。
娘「パパッ!」
○『夕飯前』
パープー パープー
豆腐屋のラッパが外から聞こえる。
少年エルフ「あれ? ここは?」
少年エルフはちゃぶ台のある居間に座っている。
バタバタ
女薬師「エルフ 豆腐買ってきたわ オババはまだ?」
女薬師が豆腐を入れた桶をもって入ってきた。
少年エルフ「えっと…… (そうだオババはすき焼きの肉を買いにいったんだっけ)」
少年エルフは設定を思いださせられた。
少年エルフ「まだ戻ってないよ」
女薬師「オババまだかな~♪ スキ焼スキ焼き」
ガラガラガラ
オババが肉屋から帰って来た。
女薬師「オババお帰り~ 遅かったね」
オババ「ああ 肉屋の帰りに見合いの話を持ち掛けられてね…… それで遅くなっちまった」
女薬師「またそんな でイケメン?」キラキラ
オババ「ほら」
女薬師「どれどれ」
オババ「ほらエルフ お前にも」
少年エルフ「僕にも!?」
オババ「お前も見た目はともかくいい年だろう 見るだけ見てみな」
少年エルフ「ふ ふーん」ドキドキ
ペラ
少年エルフ「え゛!?」
オババ「どうだい? いいコだろう」
オババは肉の包みをもって台所へ向かう。
少年エルフ「えっと…… あのオトコの人だけど」
オババ「んん?」
女薬師「オババあたしも いくら美人でもさすがに同性は……」
オババ「おっと逆だ」
ポイ
オババは女薬師から見合い写真を受け取ると少年エルフに向かって放り投げる、
少年エルフ「うわっ」
オババ「でアッチがアンタだ」
女薬師「もー オババは雑なんだから」
少年エルフ「……見合いってそんな」ドキドキ
オババ「いいから見てみな」
少年エルフ「うん」ドキドキ
ペラ
少年エルフ「……えっと この子……」
見合い写真には娘が写っている。
少年エルフ「娘…… そうだ僕は王女と図書館に行って」
オババ「そうだほら しっかりしてちゃちゃっと行きな」
オババは少年エルフを立たせて背中を押すと周りの景色は暗転して少年エルフだけになった。
少年エルフ「オババ? オババ!?」
\パパー/
少年エルフ「娘の声 行かなきゃ……」
タッタッタ
少年エルフが声の方へ走ると光に包まれた。
○
バリバリバリ
少年エルフ「娘ーッ」
娘「パパー!」
テレビ頭「何ですと!?」
少年エルフがテレビ頭の画面から這い出てくると娘に抱きしめられた。
ぎゅう
娘「あー よかった大丈夫? 怪我ない?」むぎゅうむぎゅう
少年エルフ「ちょっと放して何が起きてるの!?」
第七王女「よかったのじゃ危うく悲劇のヒロインになるところじゃったんじゃぞ」むぎゅうむぎゅう
少年エルフは娘と第七王女に挟まれもみくちゃにされる。
少年エルフ「ヒロインって 僕はオトコだって」
テレビ頭「ば…… バカな自力で『配役』から抜け出すなんて」
白竜(人型)「親子の絆の奇跡ね」ホロリ
娘友「そうなの?」
男子「とにかく 茶番は終わりだ」
女兵士「そうよ なんだだっけ……『だんぺんしゅー』を返しなさい」
テレビ頭「ムム」
第七王女「いや おぬしのような悪者はわらわが退治してやるのじゃ」
娘「そうね…… エルフに悲しい思いさせたのは許せないわ絶対」ゴゴゴ
テレビ頭「ムムム」
司書「そうです お爺ちゃんの仇をとらせていただきます」
図書館館長「」チーン
娘友「いや死んでないし 気絶させたのアンタでしょ」
司書「……覚悟してください」
娘友「スルーっすか」
テレビ頭「ムムムム」
テレビ頭「かくなる上は『断片集』だけでも」
ずぽっ
テレビ頭は断片集を自身の画面に突っ込む。
第七王女「させるかっ」シュッ
バリン ドカン!
第七王女の投げナイフがテレビ頭の画面を破壊する。
ドサッ バチバチバチ
第七王女「うぬ 遅かったか?」
ガシャガシャ
娘「……無いわね 何処かに転送されたのかしら」
女兵士「何処かって?」
娘「そうね 本体とか?」
???「「ピンポンピンポンピンポンポン」」
少年エルフ「うわぁ!? いっぱいいる」
娘友「またこのパターン!?」
テレビ頭の群れ「「テンプレ天丼様式美 いっぱいいるのはいいことだ」」
テレビ頭の群れが現れた。
○『テレビ局前』
テレビ頭「みてください 悲劇のエルフを救出した勇者一向に出待ちの群衆がおしよせます」
辺りは一変して夜の街となるテレビ局がそびえ立っている。
\インタビューにお答えください/ \不正はなかったんですかー/ \今ならこの羽毛布団がもう一枚/
ドドドドド
様々な扮装をしたテレビ頭が群れがテレビ局から飛び出してきた。
娘友「出待ちって……逆でしょ」
娘「それより物量で攻めて来たわね」
第七王女「エルフは取り戻したのじゃ遠慮はせぬぞ 娘!」
娘「そうねお礼をしなくちゃね」バチバチバチ
第七王女「白竜!」
白竜(人型)「え~あたしも? はいはい」
第七王女「懲らしめてやるのじゃ!」
娘「いくわよ”重雷撃”」
ガラガラガラガッシャーン
テレビ頭の群れ「「ビビビビッ」」バリンバリンバリン
白竜(人型)「もう竜使いが荒いんだから」
白竜は本来の姿にもどって燃え盛る火炎を吹き出した。
ゴオオオオオオオオオオオオオ
テレビ頭の群れ「「溶ける― ウボアアアアア」メラメラ
白竜「エステに美白パックもつけてよね」
○
司書「スゴイ…… まるで伝説の魔法使いのよう」
娘友「ま あのコらは特殊だから」
ドドドドド
テレビ頭「アチチ 上も火事下も火事これなーんだ?」
テレビ頭が燃えながら突進してきた。
少年エルフ「うわあ!? こっちきた」
第七王女「むぅ!」
男子「危ない」
ザシュ
テレビ頭「アチャーッ そうです燃えるテレビさんでした」ガシャン
男子が燃えるテレビ頭を切り捨てた。
男子「あっつ こいつら何も感じないのか?」
女兵士「そうかも 頭カラッポだし」
ドシュ
女兵士も襲ってくるテレビ頭を倒しながら答える。
司書「いくらでも沸いてるように見えますよ」
白竜と娘がテレビ頭の群れをなぎ倒しているが後から次々とテレビ頭がテレビ局から出てくる。
第七王女「ならば白竜 テレビ局を狙うのじゃ!」
白竜「はいはーい」
ゴオオオオオオオオオオオオオオッ
???「電磁波バリヤーッ!」
グニュア
白竜の炎を曲げられて拡散する。
第七王女「むっ さてはテレビ局が本体じゃな!」
???「ピンポーンピンポーン」
ズゴゴゴゴ
テレビ局に手足が生えて動き出した。
テレビ局男「そうです私が本体ですよ」ゴゴゴ
少年エルフ「うわ でっかい」
娘友「なるほど テレビは媒体で放送元が大元ってわけ」
娘「どうせ図体が大きいだけでしょ ”重雷撃”」
ガラガラガッシャーン
テレビ局男「おっとヒライシ―ン」
バリバリバリ
娘の雷は避雷針に吸い込まれてしまった。
テレビ局男「電波塔に落雷対策は基本ですよ基本」
娘「へぇ やるじゃない」
第七王女「うぬぬ おのれ」
テレビ局男「貴方たちを番組にすれば高視聴率まちがいない さぁスタジオに入ってもらいましょうか」
テレビ局男とテレビ頭の群れが襲い掛かってきた。
○
※更新終了 今回はここまで 次でこの話とスレッドを終了します。
次回は土曜日に更新します。
乙!
乙
#48 パイレーツ・オブ・テレビジョン ワンダーエンド
ドドドドド
インタビューテレビ頭「すいませーんテレビ局の者ですがお時間ありますかー」
男子「せいっ」ズバッ
レポーターテレビ頭「みてくださいこのおっきなカニ」
娘「邪魔ッ」ズバッ
女兵士「あ もったいない」
司会テレビ頭「さぁ制限時間は30秒お答えください」
白竜「知らないわよ」ゴオオオ
娘たちは押し寄せるテレビ頭を倒していくが尽きるようすがない。
娘友「防戦一方じゃない またこのパターン?」
第七王女「親玉を何とかできんのか?」
白竜「アタシ達は対策されてるしあの巨体じゃ……」
テレビ局男は次々とテレビ頭を生み出している。
少年エルフ「あれだけの魔力を一体どこから補給してるんだろう」
司書「調べてみますね "調査"」ヒィーン
少年エルフ「どう?」
司書「これは…… そんなまさか街じゅうから!?」
第七王女「どういうことじゃ?」
テレビ局男「はっはっはっは お教えしましょう私の魔力は53万の視聴者です」
第七王女「なんじゃと!?」
テレビ局男「あなたの声と受信で最強放送 視聴率こそ我がパワー我が魔力!」
娘友「そんなバカな」
少年エルフ「でも確かに電波があの塔で魔力に変換されてる すごい量!」
娘「じゃあ 視聴者がいる限り魔力が供給されるってこと!?」
テレビ局男「そのとおり 全ては視聴率のために 視聴率は正義!! これぞ視聴率パワー!!」
ドドォン
テレビ局男が大量のテレビを塊にして投げつけて来た。
少年エルフ「”風防波”」ぎゅるるる
バシンバシン ガチャンガチャン
少年エルフが風の障壁で降り注ぐテレビを防いだ。
少年エルフ「うっ…… すごい圧力」
娘「パパ大丈夫? あいつの魔力供給をと止めることができれば」
男子「電波をとめれないのか!?」
司書「それなら電波を反射する金属片を大量にまけば……」
娘友「なるほど 司書さんその金属を投影できる?」
司書「無理ですよ あの巨体を覆うほどの量なんて」
男子「あぶないっ 伏せろ!」
バキンッ
障壁を抜けてきたテレビを男子が剣で薙ぎ払った。
パラパラ
女兵士「きゃっ 破片が顔に」
司書「擦らない方がいいですよ ブラウン管にはアルミ粉末が蒸着してますから」
第七王女「アルミ…… それじゃ!」
娘「そうよ エルフなら」
少年エルフ「え なに?」
娘は少年エルフに作戦を伝える。
少年エルフ「わかったよ…… でもその間の防御は」
男子「俺にまかせてくれ エルフさんは魔法に集中を」
少年エルフ「わかった 行くよ”旋風”」ゴオッ
少年エルフが魔法の風を生み出す。
テレビ頭「おや風が騒がしいですね……」
少年エルフ「まだまだ”突風”」ビュオオオ
テレビ頭「でもこの風少し…… うわあああああああ」ヒュゴッ
旋風が突風を吸収して竜巻になった。
ゴゴゴゴゴ
\うわああああ/ \ぎゃあああ/
テレビ男たちが次々と竜巻に呑み込まれていく。
テレビ局男「む? 今度は竜巻ですか? しかしこの電波塔はタイフーン対策もバッチリです」
竜巻は巨大化してテレビ局男を襲う。
ヒュゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ
テレビ局男「はっはっは この程度なら耐えれますぞ」
娘「パパ頑張って」
少年エルフ「うん”旋風”」
少年エルフはいくつもの竜巻を発生させて竜巻をさらに巨大化させていく。
ヒュゴゴゴゴゴゴゴゴッ
テレビ局男「災害震災タイフーン中継も視聴率が取れるかっこうの番組ますます魔力が……」
\ぎゃー/ バチバチ \ガシャン バリン/ バチバチバチ
テレビ局男「なんだ魔力が減るなぜだ!?」
テレビ局男は自身が徐々に縮んでいくのに気付いた。
娘「うまくいってるようね」
テレビ局男「まさか電波が届かない…… 視聴率パワーが届かない!?」
第七王女「そうじゃ お主はお主のテレビのブラウン管のアルミによって電波を遮断されたのじゃ!」
娘友「身からでたチャフね」
テレビ局男「なるほど 考えましたなしかし私の魔力が尽きるまで耐えれますかな?」
少年エルフ「ううっ……うわっ!?」
ぶわっ
娘「パパっ危ない」ガシッ
竜巻に吸い込まれそうになった少年エルフを娘が捕まえる。
娘「うそ!?」
フワッ
第七王女「エルフッ!」ガシッ
男子「娘!」ガシッ
第七王女と男子が娘たちを引き留めた。
娘友「あっぶなー ってアタシも!?」ふわっ
司書「友さん! きゃっ」ふわっ
ガシッ
白竜「みんな捕まって こうなりゃ我慢くらべよ」
白竜が竜巻に引き込まれそうになった娘友たちと少年エルフ達を抱き寄せて竜巻に耐える。
テレビ局男「ぐぐぐ(動けない…… しかしそれはあちらも同じ耐えれば……)」
第七王女「耐えるのじゃ白竜! エルフ!」
少年エルフ「うう……」
ヒュゴゴゴゴゴッ
テレビ局男「ぐおおお 視聴率…… 私の視聴率が」ボロボロ
テレエ局男はさらに小さくなり崩れていく。
女兵士「まだ……ッ?」
少年エルフ「もう少し……」
ズズッ ズズッ
白竜「みんな離しちゃだめよ……」
白竜ごと竜巻に引き寄せられていく少年エルフ達。
娘「パパっ」ぎゅうううう
少年エルフ「んぐぐぐぐ」
ヒュゴゴゴゴゴゴゴゴッ
テレビ局男「す 全ては視聴率のためにッ!」ヒュゴッ
テレビ局男がとうとう竜巻に巻き上げられた!
\ぐわああああああああああああああサヨナラ/ ガシャーン
テレビ局男は上空で砕け爆発四散! 空の描かれた天井にヒビが入った。
第七王女「やった やったのじゃ!」
少年エルフ「……お おわった」ヒュッ
ぶわっ どさーっ
少年エルフは竜巻を解除すると白竜ごと床に転がる、さらに巻き上げられていた様々な破片が降ってくる。
ザザザザーッ ガチャガチャガチャン
白竜「あいたた やだもーアザができちゃう」
白竜が翼を広げ降りそぞぐ破片から少年エルフ達を守った。
娘「できるわけないでしょアンタが…… パパ大丈夫? 怪我ない?」
少年エルフ「ないから…… 放して」むぎゅむぎゅ
娘「あーよかったー」ぎゅううう
少年エルフ「はな……」ぎゅぎゅー
第七王女「よしこれにて一件落着じゃな かっかっか……」
パリン
男子「王女まて 様子が変だ」
司書「この空間が壊れますよ」
バキバキバキ パリン ガチャン
頭上のテレビ局頭が砕けた天井のヒビが広がり崩れてくる。
第七王女「なに!? しかし『断片集』を探さねば」
バリバリバリ ピキピキ
白竜「そんな時間はないわよ ここから出なきゃ!」
第七王女「ぬうう 仕方ない撤収じゃ!」
娘「走って! 行くわよパパ」
ダダダダ
少年エルフ「走るから放して……んぎゅ」
娘達は走りだした。
○翌日・大図書館
図書館館長「テレビ魔の討伐、閉架書庫の蔵書の数々の奪還と王女様の御一行の皆さまには大変感謝しております」
第七王女「これも勇者の勤め して館長殿『断片集』についてじゃが」
図書館館長「原本は未だ見つかっておりません おそらくあの魔物に食われてしまったかと……」
第七王女「やはりそうか…… ならば写本のほうは?」
司書「目下解析中ですよ 解読した冒頭ならここに写してきました」
第七王女「是非読みたいのじゃ」
第七王女は司書の魔導書を覗き込む。
娘友「『断片集』とっさに司書さんの魔導書に転写したけど手掛かりになるのかな?」
娘「さあどうかしら」
図書館館長「伝説の魔法使いは几帳面な性格で旅の行程を詳細に残してます」
女兵士「そもそもどうしてバラバラのだんぺんしゅーになってたのですか?」
白竜(人型)「……誰かにバラバラにされたか 自身でバラバラにしたのか」
図書館館長「それでも残しておきたかったようですな 代々の館長にその存在だけは伝えられておりました」
娘友「歴史の謎ね~ あ王女何かわかった?」
第七王女がメモを控えて戻って来た。
第七王女「うむ魔王城にたどり着く記述を写したこれを元に捜索再開じゃ」
娘「そうね 行ってみましょう」
○街はずれ
テクテクテク
第七王女「ふむふむ……旧教会を起点にたどるとあっちに門があるはずじゃ」
第七王女を先頭にして娘たちは街はずれまで歩いてきた。
男子「けっこう歩いたぞ合ってるのか?」
女兵士「建物も減ってきましたね」
少年エルフ「でもあっちにたくさん人がいるみたいだよ」
娘「あれは…… 何かの学校があるみたいねあれは校舎よ」
娘友「学校ねー アタシたちの学校もそろそろ修復されたかしら?」
娘「……そういえば私たちの学校が崩壊したのって確か」
男子「ゾンビだろ?」
娘「そうだけどゾンビが襲撃したのは確か……」
少年エルフ「中庭に埋まってた手を魔物が持って行ったよね」
娘「そうよだから――」
第七王女「うむ 間違いないここじゃ!」ピタ
第七王女が立ち止まり校門を指し示す。
娘「ここは――」
第七王女が校門に刻まれた学校名を指さして言う。
第七王女「魔王が潜んでおるのはこの『超魔力学園』じゃ!」
○
※更新終了 今回はここまで
次回以降は別スレを3月半ばに作成して続きを書きます、3月25日には再開したいです。
保守に毎週一回は確認します、ここまでお読みいただきありがとうございました。
乙
単語帳にメモしてる伝説の魔法使いを想像したら微笑ましかった
それとも刑事の持ってそうなヨレヨレの安い手帳かな
※保守 魔法使いの手記は日記帳ですね。勝手に読んだものに災いが降りかかる呪いがありましたが没後解呪され公開されました。
プロテクトは絶対破られるからちゃんとに消去しろとあれ程
自作エロ小説とか読まれちゃったんだろうな
※保守
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません