アイプロイタリアンの台詞をほぼほぼ引用しています。ネタバレ注意。
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P「うーん…」
ちひろ「どうですPさん。新しい番組の企画書、提出できそうですか?」
P「ああ、ちひろさん…それが…色々考えてはみてるんですけど、どれもありがちというか…」
ちひろ「ふむふむ…いまいちインパクトに欠けると…」
P「人材が多い分、役割分担ができてしまっているんですよね…この子ならこれ、この子はこれという風に」
P「マンネリ、とまではいきませんけど…今更新企画となると、やっぱり…ううん…」
ちひろ「……ふむ。でしたらいっそ、その役割分担、崩してみてはいかがでしょうか?」
P「……へ?」
ちひろ「ここにくじがあります。中には事務所のアイドル全員の名前が」
P「…どうしろと」
ちひろ「ですから、はじめに何名か、くじ引きで出演者を決めて、その後…そうですね、TVをつけましょう」
ちひろ「その時に放送中の番組と同じジャンルの企画を、その子達で仕上げる、というわけです!」
P「ふむ…」
ちひろ「一見運任せですけどね。こういうのはもう勢いでやったほうが上手くいきますよ!」
P「…確かにこのままグダってても仕方ないですしね…うん、例え企画自体が運でも、俺が上手くやればいいんだし」
ちひろ「その意気です!さあさあくじをどうぞ!」
P「………あの、それよく見たらくじってかガチャ…」
ちひろ「さあ!」
P「………ええい、ままよ!」
ガチャー
一人目 西園寺琴歌
P「ほっ…よかった、わりとまともだ…えと、あと何人引きますかね」
ちひろ「時期的に調整が効く人数となると…あと三名ですかね」
P「三名か…よっと」
ガチャガチャ
二人目 姫川友紀
P「………………ちひろさん、引き直しって…」
ちひろ「次をどうぞ!」
P「まあある意味プラマイゼロ…か…? それ!」
三人目 橘ありす
P「これは……どうなんだ…? や、上手くすればしっかりしてるし上手くまとめ役に…」
ちひろ「ラスト一人ですよー」
P「よし、ここまで来たら怖気付いてもしゃーない、そら!」
ガチャ
四人目 喜多見柚
P「柚か…番組の賑やかしにはいいかもしれないな…空気も読めるし。うん、これなら…」
ちひろ「では最後にTVを…ポチッとな」
「ゲロゲロキッチン~!」「面妖な…」
P「料理………だと………⁉︎」
ーその後、なんやかんやで企画は進んでいき、ついにリハーサルにー
P「…そもそも、この中で料理ができる奴…いるのか?」
柚「ムッ、失礼だよPサン!柚、パスタくらいならつくれるもん!」
P「どうせ茹でるだけだろ?…つか、だとしてもお前は味見役だからな。審査、しっかりな」
柚「むー…いいよーだ、Pサンのぶんまでこっそり食べてやるモン!」
P「おい待て、こっそりやるのに堂々宣言するな…っと、肝心の料理班三人は…」
ありす(刃物…怖くない…怖く…)
友紀「いっくぞー!一本ネギ打法!」
琴歌「友紀さん…ネギを振り回しながらトマトを投げて…そのような料理の仕方があったのですね…!」
P「もうダメだぁ…おしまいだぁ…」
柚「まだ始まってもないんだよPサン…」
P「うん、今確信したわ。やっぱお前俺の食っていいよ、うん」
柚「えっ」
P「よくよく考えたら俺今日腹の調子がいまいちでさー、いやー残念だなーあははー」
柚「おにー!あくまー!」
P「何言ってんだ、鬼や悪魔は緑の…はっ⁉︎」
ちひろ「何か言いましたか?」ニコニコ
P「いえ、なんでも…」
ちひろ「せっかくみんなが作ってくれるんです。残さず全部食べてあげるのが礼儀であり義務ですよ。」
ちひろ「くれぐれも残したりしないようにしてください。食材だってタダじゃないんです」
ちひろ「もし残したら…わかりますね?」
P「アッハイ」
ちひろ「よろしい♪ では私はこれで。お仕事頑張ってくださいね!」
P「………何しにきたんだ、あの人…」
P「はあ…仕方ない、こうなりゃいちいちみんなに付いて回って、料理の様子を見ながら逐一アドバイスしていくか…」
ーーーーーーー
ーと、いうわけで。ー
P「まあ、一気に三人の面倒は見きれないからな。とりあえず一番危なっかしいお前からだ、ありす。」
ありす「橘です。別に、危なっかしくなんて…」
P「さっきからずっと包丁見てはびくびくしてただろ、それにお前はこの中じゃ一番ちっこいんだ。」
P「嫌かもしれないが、ケガをしてもらってもこっちが困る。まあ…俺の顔をたてるつもりで、な」
ありす「はあ…まあ、いいですけどね…じゃあこの際ですし色々教えてください。まずは…」
友紀「あ、ありすちゃん!ジャガイモ取ってくれないかなー!」
ありす「え、ジャガイモですか…? はい、どうぞ」
友紀「サンキュー!よーっしピッチャー姫川、振りかぶって第一球っ!」
琴歌「そのような料理法が…!」
P「料理をしろ姫川ァ‼︎」
P「ごほん…。……で、まず何を作るかだが」
ありす「見られてるとやり辛いですね…あと、キッチン、高くありませんか…?」
P「あ、そっか、大人用だっけ…台、台…踏み台…」
柚「Pサンが踏み台だよ!」
P「お前は座ってろ…っと、あったあった」
P「そもそも、料理とかしたことないんだっけか? お母さんの手伝いとかさ」
ありす「うちはそもそも親が忙しいので…夜は、基本的にお惣菜とか買って、食べてますね」
P「あぁ、それでか…じゃあ教えてもらったりとかも?」
ありす「一応、経験がないといえばウソになりますけど…家庭科の授業で、多少は」
P「授業でってもなあ…やっぱああいうのは回数こなさないと覚えないもんだし」
ありす「…ですね。それに…料理くらいできないと、自立した大人になんてなれませんよね」
P「……自立できてない社会人が目の前にいてさっきまでネギ振り回してた記憶があるけどな」
友紀「んー、どの調理器具が一番飛距離出るかなー?…このフライ返しとか? ねえ、プロデューサーはどれだと思う?」
P「まず一番ぶっ飛んでるのはお前の頭だと俺は思うんだが…」
友紀「頭は空っぽの方が夢とかつめこめるよ! 昔お兄ちゃんが見てたアニメで言ってたんだー」
P「こんな妹がいたらさぞかし大変だろうなあ…」
ありす「どうでもいいですけどプロデューサー、姫川さんに辛辣ですよね」
P「そら(普段から尻拭いさせられれば)そう(なる)よ」
ーーー
ありす「とりあえず、レシピはタブレットにメモしてきました。あとは、その通りやるだけ…」
P「そういやあお前、いつも持ってるよな、タブレット」
ありす「あ…これ、親が買ってくれたんです。ひとりでも、困らないようにって。…今回もこれで調べて…」
ありす「うん…うまく、やってみせます」
P(…あまり深入りすべきじゃないんだろうけど…そういう事情か…)
P(背伸びばっかりに見えるけど…ひとりでにこういう風になるわけないもんなぁ…)
ありす「つまりは設計図通りにやればいい話なんです。それで…プロデューサー?」
P「ん、ああ、すまん、考え事してた…えっと、そこはだな…」
ありす「……?」
ーーーーーー
P「うん、だいたい無難なとこだな、あとは茹で上げるだけか…パスタなら、それこそ火加減と時間にさえ注意すればどうにかなるだろうし」
ありす「そうですね。私も、あとはなんとかやれそうな気がします」
P「とはいえ火を使うのには変わりないしな…柚、ちょっと付いててやってくれ」
柚「あいあいさー! まっかせなさーい♪」
P「……ついでにつまみ食いするんじゃないぞ、あくまで味見だからな」
柚「ンモー、わかってるってば、それに言ったでしょ、パスタなら得意だって♪」
P「へーへー、じゃあまあ、ここは任せたぞ」
P「とりあえず次は琴歌だな…別の意味でケガされるとマズイし」
ーーーーー
琴歌「第一の目標は…食べられるもの、ですわ!」どんっ
P「お、おう」
琴歌「色々不慣れな私ですけれど…本番前の今だからこそ…! 必ず一人前になってみせますわ!」
P「うん、よく言った。確か琴歌も料理経験はゼロに近いんだっけな」
琴歌「家に専属のシェフがおりますからね。ですが、このキッチンという戦場に立つ以上、私も全力で戦おうと思いますの!」
P(相変わらずパッションしてるなあ…キュート属性だけど)
琴歌「いちおう、家庭科の授業で一通りはやりましたけど……まあ、大きなカリフラワー…こんなの、一口で食べられるのでしょうか…?」
P「うん、切ろうかとりあえず。つかその発想はなかった」
琴歌「??」
ーーーー
琴歌「せめて、学校でお料理部に入っていればよかったですわ…別の部活に入っているので…」
P「あれ、意外だな。帰宅部かと思ってたよ…何かスポーツとか?」
柚「柚はバドミントン部だよ!」
P「お前じゃなくてだな…つかちゃんと見てなってば」
友紀「あたしは野球部だったなー、マネージャーだったけど」
P「聞かなくてもわかるんだよなあ…」
琴歌「ええと…スポーツではないのですけど…私設部で…『可愛いらしいもの愛好会』を」
P「私設…流石パッションだな」
柚「キュートだよPサン…」
P「あ、あれ?」
琴歌「部活、と言うほどではないのですけどね。ただ、みんなで集まって、お茶とお菓子とおしゃべりを楽しむ集まりで…」
琴歌「あ、最近、活動の場を学校に限らず事務所でも…と思っているのです。部活動とは別にもう一つそういう集まりが作れれば…と」
P「へえ、誰か集まりそうなのか?」
琴歌「はい、この前みりあちゃんをお誘いしたのですが…」
P(…可愛いらしいもの愛好会っていうか可愛いものそのものじゃねーか)
P(いや…それ言ったらそもそもそういう愛好会自体可愛い感じするけども…)
琴歌「そしたら、美嘉さんが「アタシも入るから!絶対入るからその愛好会‼︎」と凄まじい食いつきで…私、嬉しくなってしまいましたわ…」
P「いや、やめたほうがいいんじゃないかな、って言いたいんだけど言い出せないよどうしよう…」(小声)
柚「誰かお目付役を入れたほうがいいんじゃないカナ…莉嘉ちゃんとか未央ちゃんとか」(小声)
琴歌「それにしても…姫川さん…凄いですわ…あんな斬新な洗い方があったなんて…」
友紀「もっと水とかジャーっと出してさ!ドバーッと一気に洗っちゃえばいいんだよ♪」がしゃがしゃ、パリン!パリン!
P「洗うってか割ってんじゃねえか姫川ァ! ちゃんと洗え!」
姫川「ええ、プロデューサーも新井が悪いって? そりゃ言い分ももっともだけどさあ…」
P「皿の話だよ!阪神関係ないやろ!」
柚「…まともに食べられるもの、出てくるのかなぁ…」
ーーーーー
P「さて、あとは一番の問題児だが…」
友紀「あーっとプロデューサー、撮るならミット構えてサイン出すからそれで…」
P「料理番組だよ⁉︎」
友紀「料理も野球も一緒だよー、練習しないと結果が出せない!だから今日はプロデューサーと料理の特訓!ってことで、バッチコーイ! ちなみにあたし料理したことないよ!」
P「どこに投げてもエラーしか出さなそうだなあオイ…」
友紀「そこはプロデューサーの腕の見せ所だよ!ど真ん中、しっかり狙えば大丈夫だから!」
P「不安だなあ…」
友紀「とりあえず…食材をフライパンに、ストラーイク!」
P「まず食材を切れ姫川ァ‼︎」
ーーーー
P「そもそもだな、お前は基本からしてなっちゃいない。まず料理をする時にだ、一番初めに何をやる?」
友紀「手を洗う!」
P「誰か助けてぇ⁉︎」
友紀「つまみ作るくらいなら、問題ないんだけどなー」
P「はあ…まあ本格イタリアン、なんて銘打っちゃいるが、何も素人にそこまで期待しないからさ…」
友紀「だよねー…もっとしっかり出来上がってからじゃないと、流石にシーズン初めから素人に期待してもねー」
P「お願いだから料理の話させてぇ⁉︎」
ーーーー
友紀「そもそもあたしが作れるのなんて、つまみかレモンのハチミツ漬けくらいだしなあ…あと、姫川流フルコース。」
P「お、ここへきてなんかそれっぽいの出てきたじゃないか…フルコースってのは、なんだ」
友紀「スポーツドリンクとプロテイン!」
P「フルコース(飲み物のみ)とは一体…」
友紀「え、長い試合を乗り切るには栄養補給は欠かせないでしょ?フルイニング常に全力投球できないとさあ」
P「フルってそっちのフルかよ⁉︎ どこまでも野球脳だなお前は⁉︎」
友紀「あ、プロデューサーはエナジードリンクの方が良かったかな? あれ飲むと走りたくなるんだよねー!それもいいなあ、うんうん!」
P「もうさあ…せめて料理の話をさあ」
友紀「へ? 料理の話?あたしは野球の話をしてたんだよ?」
P「」
友紀「あれれ? おーいプロデューサー? …おかしいなぁ、どうして固まっちゃったんだろ…?」
ーーーーーー
P「…はあ…何やかんやあってようやく実食タイム…後半意識無かったから結局ほぼノータッチだよ俺…」
P「不安だ…果たして食えるものは出てくるのか…?」
P(いや、まあまだ本番までは数日あるしな…このリハで問題点を指摘できればいいわけだし、うん)
P「ええい、こうなりゃままよ!バッチコーイ!」
柚「Pサン、ゆっきーのがうつってるよ…」
P「道連れもいるしな、もうなにもこわくないぞ…!」
柚「うう、なんか道連れで柚までフラグ建ってる気がするのにこれ以上余計なの建てないでよー…」
P「というわけで、せーのでフタを取るぞ、いいか」
柚「ウ、ウン…こうなったらもうやけくそだよっ!」
P「いくぞ、せーのっ!」
ーーーー
まず初めに目に入った色は、赤だった。
血のように真っ赤で、それでいててらてらと輝くそれは本来であれば食欲をそそる、鮮やかな色彩であるにも関わらずー
一目で食べられないものだとわかってしまう迫力を放っていた。
~橘流イチゴパスタ~「この一口で黙らせます」編ー
次に目に入ったのは…なんだろう。確かに色々な食材が無造作に乗せられた…生地?
カラフル…と言うよりはごちゃ混ぜにされたそれらは、言うなればそう、フタを開けてはいけないパンドラの匣のような…
~西園寺流ピッツァイタリアーナ~「焼くのをすっかり忘れていましたわ」編ー
最後に目に入ったのは黒だった。深淵のような暗黒。
なにをどうするでもない、ただひたすらに焦げて、真っ黒な消し炭は、もはや料理と呼ぶのもおこがましい物体に成り果てていたー
~姫川流燃えるネギバット~「強火で焼いたらこうなった」編ー
P「………」
柚「………」
(無言のそっ閉じ)
P「…逃げるか」(提案)
柚「……!」こくこくこくこく!(迫真)
P「よし、では早速…!」
ちひろ「逃がさんよ?」
P「げぇっ⁉︎ちひろ⁉︎」
ちひろ「言いましたよね、食材にもお金がかかっているんです。どんな料理が出てこようとも、すべての責任はプロデューサーさんの監督責任になります」
柚「! ってことは柚は食べなくてもいいんだよね⁉︎ねっ⁉︎」
P「あっ!きったねえぞ柚てめえ!」
ちひろ「確かに柚ちゃんは今後のスケジュール等も考えると、これを全て食すのは厳しいかなあとは思います」
ちひろ「身体を壊されでもしたらそれこそ損害ですからね」
柚「じゃ、じゃあ…!」
ちひろ「同様に、作った料理を無視された場合のみんなの今後のモチベーションを考慮した場合の損害も相当なものになると思われます」
柚「⁉︎」
P「残念だったなあ鬼悪魔からは逃げられない」
ちひろ「何か?」
P「イエ、ナンデモアリマセン」
ちひろ「というわけなので、柚ちゃんは最低一口ずつ、Pさんは自分の分を全て食べきってから帰ってくださいね。では、はじめ!」パチン
P「えっ、ちょっとなんか黒服出てきたんだけど⁉︎」
ちひろ「巴ちゃんに頼んで村上組を出動させました」
P「なにしてくれてんだアンタ⁉︎ あ、ちょ、無理やりはダメ、ちょ、ま」
アッーーーーーー!
ーーーーーーーーーーー
P「………知らない天井だ」
柚「おはようPサン…気分はどう…?」
P「ここは…そうか、事務所の仮眠室…ぐぉっ…」ぎゅるるるる…
柚「うう…Pサン…柚、今夜は帰りたくないカモ…っていうか、帰れそうにない…」くきゅるるる…
P「奇遇だな…俺もだよ…ぐう…腹が……」
ーこうして一晩中、二人して悪夢(物理)に苛まれたとかなんとか…
P「こんなんで本番大丈夫なのかオイ」
…後日、どうにか食べられるものを作れるようになりその進歩を褒められる二人と、あいも変わらず真っ赤に染まるフルコースを作り上げた一人と、試食係としてその全てを味合わされた一人がいたらしいが…
P「…誰がどのポジションに収まったのかは、諸君らのご想像にお任せしようと思う。彼女らの名誉のためにもな…」
P「……ちなみに…その試食係が食べきれなかった分は…スタッフ(P)が美味しくいただきました……ごふっ…!」
おしまい。(胃袋が)
ここまで読んでくださりありがとうございます。
あのアイプロは本当に数々の伝説を遺してくれたなあと。
もうじきデレステに柚ちゃんがやってくるようですが…くれぐれも人間ポリバケツにしたりしないよう切に、切に…
乙。
実はネギ一本を見た目真っ黒になるまで焼いても層構造のおかげで皮二枚下の内側からは食える
というかむしろ程よく火が通っておいしい。まあ酒のツマミ向けなメニューだけど
いちごパスタは味付け間違えなければ食えるって!俺は食わないけど!
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