ポーションメーカー【R18?】 (20)
クリゲーアプリ「ポーションメーカー」をエロにしたかっただけの人生
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俺の住む町は正直田舎だ。王都からもそこそこ遠いし、何が名物ってわけでもない。
そんな町だけど最近色んな人が訪れるようになった。魔法使い、戦士、クレリックなんかだな。
よくよく見るといつの間にかできていたポーション屋に入って行くのが見えたんだ。
道具屋の幼馴染に聞いてみると教えてくれたんだが……
「知らなかったの? よりにもよって私の店の隣に出来たの! 絶対倒してやるんだから!」
小さな胸を縮めるように「ぐぬぬ…」と怒るものだから余計に小さく見える。言うと凶暴になるから言わないでおこう。
けど興味が湧くのも事実といえば事実。
ポーションっていえば安いドリンクくらいしか知らないし、幼馴染の……ティラミーの店でもその程度しか扱ってないからな。
どうせ隣ならティラミーを送るついでに寄ってみようか。うん、それがいい。
「だからアンタもぜーったい行っちゃダメだからね! 行ったら脛蹴るから!」
……バレ無いように行こう。
ポーション屋といっても軒先は案外普通で、小さな看板に気付かなければ通り過ぎていただろう。
実際、俺も今まで気付いてなかったわけだし。
中に入るとなるほど、いくつか違う形のビンに赤、青、黄色の三色の液体が入っていて、それがカウンターに並んでいる。
店の中も暗い訳ではないけれど魔法的な雰囲気で、奥の方には釜と魔方陣。
……なんかドクロにロウソクが乗ってるのは意味があるんだろうか?
少しの間キョロキョロと店の中を見回していると、ふとカウンターの向こうから声がかかる。
「いらっしゃいませ、お客さんですか?」
え、と声が出てしまったのを許して欲しい。それくらい、掛けられた声が意外だったんだ。
軽い足音と共に現れたのは、なんと10歳を過ぎたくらいの小さな女の子。
大げさな装飾を施したローブに、胸元には大きなリボン。背中にあるコウモリみたいな羽は飾りだろうか?
とにかく目立つ大きな魔女帽子。薄紫の長い髪を真っ直ぐにおろしていて、くりくりとした赤紫の目が俺を見つめていた。
ポーションメーカーとは懐かしい
期待
「ええと、お求めのポーションはなんでしょうか」
カウンター越しに見上げてくる女の子は、小さいながらしっかりした言葉遣いで尋ねてくる。
不安げな様子も無く、きっと信頼されていて店番を任されているのだろう。店の人の子供だろうか。
そう思って聞いてみると、驚くべき言葉が返ってきた。
「いえ、ここは私の店です。ポーションを作ってるのもそうですよ」
言われ慣れているのか、クスッと微笑んで余裕の表情だ。
親御さんは?と聞くもあっさりかわされてしまい、なんだか手玉に取られている気分になってしまう。
「それより、お求めのものはありますか? お仕事で疲れているなら赤のポーションがお勧めですよ」
……実のところ最近仕事を探している身だ。前は猟師をしていたが、腕に怪我をしたせいで止めざるをえなかった。
それを伝えるとアタフタと慌てて裏からポーションを持って来てくれた。
「た、大変です! これを飲んでお医者さんの所に行ってください!」
……心配してくれて申し訳ないが、怪我自体は治ってて日常生活にも支障はないんだ。
正直微妙な雰囲気ではあった。でも顔を真っ赤にして恥ずかしがる姿が見えたから良しとしよう。
女の子の名前はピオと言うらしい。
辛うじて持ち直した空気を更に取り繕うように自己紹介をしていくと、案外表情豊かで可愛らしい事が分かってきた。
「これが実習用ポーションです。練習や釜の調整なんかで作ることが多いですね」
失敗とかはするの? と聞くと、頬を染めながら答えてくれた。
「ほとんど失敗しませんけど……どんどんグレードを上げるとたまに失敗するときもあります」
なんでもグレードを上げるほど高価になり、効果も高くなるらしい。
「あ、もうこんな時間ですね」
ふと顔を上げたピオの言葉が何かと思ったら、購入した素材がそろそろ配達されるとのことだった。
俺はここで待っていてくれと言われたんだが、どうも奥まで運ばなければいけないらしい。
「配達屋さんが運んでくださいますから大丈夫ですよ。私が運ぶのはちょっとした小さいものだけです」
えへ、と笑っているあたり本当なのだろうけれど、せっかくだ。手伝いを申し出ると少し悩んでから「お願いします」と小さくお辞儀をしてくれた。
コツコツ、と扉からノックの音が響く。
「はい、お待ちしていました。今日もお疲れ様ですカイルさん」
ピオが開けた扉の向こうに立っていたのは、カイルという顔立ちの良い青年だった。
確か格好いい配達屋がいる、ってティラミーが友達から聞いたらしいが、多分この人だろう。悔しいが確かに格好いい。
「ああ、こんにちはピオちゃん。今日も本当にかわいいね……おや、そこの人は?」
ピオを撫でようとしていたカイルさんの手が止まり、俺に目が向けられる。
軽く自己紹介をしたが……にこやかなんだけど、俺を見る目がちょっと怖いのは気のせいだろうか。
「なるほど、ただのお客さんか。じゃあピオちゃん、荷物を運ぶから手伝ってもらえるかい?」
「はい。あっ、それと今日はこちらの方も手伝ってくれるんです」
「へえ……お手伝いをね。じゃあこっちに来てくれるかな」
……目が笑っていない。俺、この人に何かしたか?
結局最後まで俺は怯えたまま、ピオと握手をして満足そうに帰っていくカイルさんを見送る事しかできなかった。
「ありがとうございました。おかげ様で早く終われて、晩御飯を作る時間がとれそうです」
作業の後、軽くお茶を貰っているとピオが嬉しそうに言うので少し気になった。
聞くとやはり一人で店を切り盛りするため、自分の時間があまりとれないらしい。
「どうしてもポーションを作る時は掛かりきりになってしまうので……」
言葉の端に疲れが見て取れる。やはり、一人だとなにかと厳しいものがあるだろう。
……どう考えても10歳そこそこの女の子が一人で、というのは奇妙だ。
よければ俺を下働きに雇ってくれないか。自然と口から出た言葉に、ピオは心底驚いたようだった。
俺の言葉に下心が無いと言えば嘘になる。ポーションは目玉が飛び出るほど高い物もあるから、給料も案外……と。
けど、それ以上にこの子が心配でもあった。ピオが受け入れてくれたのも、そんな気持ちが伝わったのかもしれない。
「では明日から来ていただいてもいいですか……なんだか従業員を雇うって、大きなお店みたいですね」
少し、楽しいです。そう言って微笑んだピオは撫でたくなるほど可愛らしい。少しばかりカイルさんの気持ちも分かる。
帰り道にお試しで貰った実習用ポーションを飲んでいると、ティラミーに脛蹴りを喰らったのは秘密だ。
初出勤の日、俺は陽が昇る頃にポーション屋の裏手にいた。
別に怪しい目的ではなく、ピオに来てくれと言われていたからだ。
「まずは今日使う予定の素材を準備しましょう。ここに書いてあるもの、分かりますか?」
メモには可愛らしい文字がいくつか並んでいる。ハーブ、キノコ、果実。どれも安い素材らしい。
書いてある通りに準備をするとそのまま店内の釜に向かい、ピオは要領よく机に並べていった。
「まだ店を開けたばかりなので素材も少ないですが、段々増やしていきますから覚えてくださいね」
……善処する。そう答えた俺を見ておかしそうに笑うピオの額にデコピンを入れてみた。
「ひゃうっ!? うぅ、叩かないでくださいっ」
目をまん丸くして涙目になってしまった。これ以上は可哀想なので撫でてみると、途端に嬉しそうに目を細める。
調子に乗って抱きかかえるようにして撫で回してみると。
「きゃっ!? ……」
小さな悲鳴の後、真剣な顔で首を横に振られてしまった。反省。
釜はふつふつと煮え立ち、どこか甘い香りた立ち上っている。
「釜は高温ですから気を付けてください。一番重要なのは最初にいれる素材で、それ次第で出来上がるポーションが決まります」
試しに、と赤いリンゴのような果実を入れてかき混ぜてみると、あっという間に釜の中が赤く染まる。
ピオに言われるままに抽出しビンに入れると出来上がり。案外簡単で拍子抜けだ。
「ベースになるポーションは実は誰でも作れるんです。ただグレードアップが難しいんですよ、飲み比べてみてください」
そう渡されたのは見た目は同じラズベリーポーションだが、グレードは最高の物らしい。
飲んでみると驚いた。俺の作ったポーションより遥かに味も良いし、身体の底から力が湧きそうで効果が段違いだ。
誇らしげに胸を張る仕草もティラミーと違って微笑ましい。こちらは将来のある胸に違いない。
ひとまず俺の仕事は雑用と接客、ピオはポーション作りに専念ということに。妥当な所だろう。
店を掃除したり、ピオの作ったポーションを並べたりしてみたものの、案外やる事は少ない。
「注文がたくさん来ると忙しくなるんです。それに、作っている間動けないので本当に助かります」
微笑みと連動するようにパタパタ動く羽を見るに、ありがたく思ってくれているのは本当かもしれない。
あの羽、本物なのか?
一度気になるとどうにも気がそっちに向いてしまう。鼻歌交じりに釜を混ぜるピオはこちらには目を向けていない。
……そーっと、そーっと。後ろからなるべく優しく……掴むっ!
「きゃうっ!? ひゃ、あぁぅ……」
羽を掴んだ瞬間、ピオは大きく肩を震わせたかと思うと腰が砕けたように座り込んでしまった。
慌てて抱き上げるとなぜか息も荒く、顔もすっかり紅潮して瞳を潤ませている。
膝をモジモジ擦り合わせるピオに謝罪するがにべもなく、脱兎の如き勢いでトイレに向かってしまった。
……どうやら本物らしいが、代償は払わなければなるまい。
ピオが帰ってきた瞬間に始まった土下座大会は、弁償代の間タダ働きと手を打って頂くまで続いたのだった。
「……美味しいです」
ジト目を向けられながら食べる食事は微妙だが、ちゃんと美味しいと言ってくれる辺り育ちの良さを感じさせる。
一緒に飲むポーションは気分をリラックスさせるもののようで、徐々に雰囲気も和やかなものになっていったのは幸いだ。ポーション屋で良かった。
「ごちそうさまでした。午後はいくつか作って」
ピオと午後の段取りを決めようとしていた時、ピオの声を遮るように、扉が強く開かれる。
客かとカウンターまで行き、見慣れた顔が見えた瞬間逃げようとした。失敗した。
カウンターに乗り上げて俺の首元を掴むのはティラミー。なかなか見ない怒り顔は、わりとマジだ。
「おい、アンタなんでこんなとこにいるの? どーゆーことだっての!」
顔が近すぎる。逃げられないと悟った俺は正直に話すことにした。ついでに覚悟もした。
聞けば聞く程、頬を引き攣らせて怒りのゲージを上げていくティラミー。怖い。
「ふぅーん? あっそ、さんっざんウチでバイトしろって言っても来なかったくせに、ピオの店では自分から働きに来てるわけ。ふーん、あっそ」
……ローキックだけじゃすまないかもな。
「どうしたんですか? あ、ティラミーさん。いらっしゃいませ」
騒ぎを聞きつけて顔を出したピオに、ティラミーが怒りのような複雑な表情を向ける。
ちなみに俺に対して向ける表情は今現在、わりともっとひどい。
「ピオ、勝負しなさい! ポーション作りで勝った方が……とにかく勝負だ!」
ちら、と俺を見て頬を染めたのは怒りだろうか。直後に踏みつけられたから多分それが正しい気がする。
ピオはといえば、俺とティラミーを見比べて困ったように首をかしげている。
それでも俺が頷くと意図を察してくれて、ティラミーに付き合ってくれるらしい。
「ではティラミーさん、こちらへどうぞ。ええと勝負はどうやって……」
「そうね、じゃあラズベリーポーションでよりグレードが高く作れた方の勝ちでどう?」
「分かりました」
「ならまずは私から! ふん、そこで見てなさい!」
二人はもう俺でなく、釜に向かって楽しげにしていた。
……なんだかさみしい。
結局俺は一人で立ち上がり、二人の元へ向かった。なにげにピオも助けてくれなかったのは、さっきの事をまだ根に持ってるのかもしれない。
既にティラミーは作成を終え、今はピオがポーションを作っていた。
「なに、もう起きたの? 気絶させておけば良かった……まあいいか、それより見なさい! レベル4! かなりの逸品なんだから!」
平たい胸でふんぞり返るティラミーの手には、澄んだ赤色のポーションがある。
ピオの方はといえば、こちらもまた同じようなポーションが煮たっている。俺には判別できないがティラミーには分かるらしい。
「ピオもなかなかやるじゃない。うぐっ、私と同質……ふ、ふんっ、まあまあね。引き分けってことで……」
「いえ、もう一段階グレードを上げます」
ピシッ、と音が聞こえそうな様子でティラミーは固まってしまった。ピオが余裕そうなのがそれに拍車を掛けて憐れっぽくしてしまう。
最終的にピオが作り出したラズベリーポーションは、最高級のグレードに。
ティラミーはなんとも言えない表情で俺とピオを見比べると、なぜか俺の脛を蹴り飛ばしてきた。
「ふ、ふんっ! やるじゃない、このバカはピオに預けておくから! じゃあねっ!」
「あ、はい。また来て下さい……大丈夫ですか?」
うずくまる俺の目の前でしゃがみ込むピオ。
目に飛び込んできた白い三角形の素晴らしい光景に、俺は返答を忘れてしまうのだった。
今日はここまでで
ネタは知らないが雰囲気は好きだよ
乙乙
過労死にゃんこは出るのかな
韓国だか台湾人が作ったアプリな
久々にプレイしたらピオの片言がだいぶマシになってた
本国の方でラノベ化するらしいね
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