【白猫プロジェクト】フラン「シノビの道」 (73)
白猫プロジェクトのSSです
ストーリー、一部キャラのネタバレがあるのでご注意ください
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433549203
―飛行島
赤髪「?」
―赤髪宛てに一通の封筒が届いていた
中には地図と、手紙が入っていた
『赤髪殿へ
直接会って伝えたいことがあります
○○島の地図の地点で待っています
キャトラ殿とアイリス殿も連れて来て下さい』
―差出人の名前が書かれていなかったが、手紙の最後には洋梨の絵が描かれている
赤髪「…」
期待
―赤髪は、とりあえずアイリスとキャトラに事情を説明した
キャトラ「へーえ、アンタもなかなか隅に置けないわね」ニヤニヤ
アイリス「…」
キャトラ「で、アンタはどうするつもりなの?」
赤髪「?」
キャトラ「とぼけるんじゃないわよ!
こんな手紙が送られて来たってことは、それはもう、そういうことじゃない」
赤髪「汗」
アイリス「キャトラ、そうと決まった訳じゃないんだから」
キャトラ「何言ってんのよ、アイリス、どう見たって…!!」
キャトラ(どうしよう、アイリスの目がすごく怖い)
アイリス「○○島…ちょうど、この近くの無人島ね。
事情はわからないけど、とにかく行ってみましょう、ね?」
赤髪「汗」
キャトラ「…でも、確かに気になるのよね。
なんでアタシとアイリスも一緒じゃないとダメなのかしら?
むしろ邪魔者なんじゃ…いや、もしかして見せつけるために」
アイリス「…キャトラ?」ニッコリ
キャトラ「 」ビクッ
アイリス「早くしないと、置いていくわよ?」ニコニコ
キャトラ「は、ハイ!今イキマス!」
赤髪「汗」
もしかしてシュラ、イサミ、シズクを書いてた人?
―○○島
キャトラ「とうちゃーく!」
アイリス「地図の印の場所には、この森を抜けないといけないみたいね」
キャトラ「モンスターがいるみたいだけど、赤髪ならどうってことないわよね。
さっさと約束の場所まで行っちゃいましょ」
赤髪「♪」
キャトラ「あ、それから」
赤髪「?」
キャトラ「到着するまでに、どう返事するかちゃんと考えておきなさいよ!」
赤髪「汗」
―指定された場所に到着すると、一人の少女が立っていた
フラン「…」
キャトラ「やっほー、フラン!
アンタもなかなかダイタンねえ、あんな手紙送るなんて」
フラン「…」
キャトラ「アタシとアイリスは別の場所で待ってるから、さっさと済ませて…」
アイリス「待って、キャトラ」
キャトラ「何よ、アイリス。邪魔しちゃヤボってものじゃない」
アイリス「そうじゃなくて。…何か様子が変だわ」
???「ほう、なかなか察しがいいな」
赤髪「!!」
―気が付くと、背後に2人の少女が立っていた!
リンゴ「リンゴ、参上」
ミカン「ミカン、さんじょ~ぅ」
リンゴ「…おいミカン、もっとシャッキリしないか」
ミカン「だって~…」
リンゴ「…まあいい、さっさとこんな仕事終わらせよう」
キャトラ「ちょ、ちょっとアンタ達どうしたのよ!?
仕事って一体何の話!?」
リンゴ「お前達に恨みは無いが…これも任務だ、許せ」
ミカン「なるべく痛くしないようにするから、許してね…」
―リンゴとミカンが武器を構える!
アイリス「!! 待って、急にそんな…」
リンゴ「姉上、何をボサっと突っ立っているんです!やりますよ!」
フラン「…シショー」
赤髪「!!」
―フランが剣を抜く!
フラン「シショー、おイノチ、頂戴するでござる!」
アイリス「どうしよう、このままじゃ…」
キャトラ「逃げるしかないでしょ!
赤髪も、ほら急いで!」
リンゴ「逃げられたか。…ここまでは、計画通りだな」
キャトラ「ハァ、ハァ…ここを抜ければ海岸に…」
―森を抜けると、目の前に大きな岩壁が立ちはだかった!
赤髪「!!」
アイリス「そんな、来た道を戻ったはずなのに…」
リンゴ「悪いな、少し細工をさせてもらった」
アイリス「!! …追いつかれちゃった」
キャトラ「細工ですって?」
リンゴ「森の中を進む時、目印になるようなものを探しながら進んだんだろう?
後ろからこっそり後を付けて、目印の位置を変えてここに誘導するよう仕組んだのさ。
冒険慣れしているのが仇になったな」
アイリス「慌てていたから、道が違うことにも気付けなかったのね…」
リンゴ「これで逃げ場は無くなった。…ミカン、姉上、やるぞ」
ミカン「…うん」
フラン「…」
―ミカンがキャトラを追いかける!
ミカン「待てー!!」
キャトラ「待たないわよ!!」
ミカン「捕まえたー!!」
キャトラ「離せー!!」
ミカン「暴れないでよー…あたしだってこんなことしたくないんだから…」
―リンゴがアイリスに弓を向ける!
リンゴ「…抵抗しないのか?」
アイリス「…はい。皆と争うようなことは、したくないから」
リンゴ「…まあいい。姉上、後は頼みます!」
―フランと赤髪が対峙する!
フラン「…行くでござるよ、シショー」
赤髪「!!」
フラン「やっ!」カキン
赤髪「!」カキン
フラン「とーぅ!」カキン
赤髪「汗」カキン
キャトラ「マズイ、押されてるわ!」
アイリス「…!!」
フラン「やあっ!!」カキン
―フランの攻撃で、赤髪の剣が弾き飛ばされた!
赤髪「!!」
フラン「…これで、終わりでござる」
赤髪「…」
フラン「…」
リンゴ「姉上、何をしているんです!早くトドメを!」
フラン「…でござる」
リンゴ「何?」
フラン「やっぱり無理でござる!!
セッシャにはシショーを手にかけるなんてできないでござる!
シショー、ごめんなさいでござる!!うわああああああん!!」
赤髪「♪」ナデナデ
リンゴ「―で、いい加減離れたらどうです?」
フラン「イヤでござる」
リンゴ「少しは落ち着いて話を…」
フラン「イヤでござる」
リンゴ「…ああもう!止めだ、止め!これでは任務もままならん」
フラン「リンゴはシショーに近付いたらダメでござる」
リンゴ「 」イラッ
ミカン「ねえ、あたしもダメ?」
フラン「ミカンは…ちょっとだけならケセラセラでござる」
ミカン「わーい♪」
赤髪「汗」
キャトラ「…命拾いしたのかしら?」
アイリス「ええ、皆無事で良かったわ」ニッコリ
キャトラ(アイリス…目が笑ってない!)
リンゴ「どうしてこうなった…私の計画は完璧だったはずなのに…」
フラン「そもそも、こんな任務が間違っていたのでござる。
シショー達を始末しようなんて考える連中の気がしれないのでござる」
ミカン「そーだそーだー」
キャトラ「おーい実行犯」
アイリス「…それにしても、私達が命を狙われるようになるなんて…」
キャトラ「そういえばそうよね。
一体誰よ、そんなことを依頼したヤツは!」
リンゴ「依頼者については何も言えんぞ。
忍者は信頼関係が第一。簡単に依頼者を裏切るようなマネをすれば、里全体の信用が…」
フラン「依頼をしてきたのは、学術都市スキエンティアの理事会でござる」
リンゴ「おい」
赤髪「!!」
アイリス「…!!」
キャトラ「!!」
リンゴ「…何やら訳アリのようだな。
ここでこうしていても埒が明かない、一度引き上げるとしよう」
ミカン「今日の晩御飯は何かなー?」
キャトラ「…って、ちょっとアンタ達!まさか飛行島に来る気じゃないでしょうね!?」
ミカン「そうだけど、ダメ?」
キャトラ「さっきまで何をしようとしてたのか忘れたの!?」
アイリス「落ち付いて、キャトラ。…多分、大丈夫だから」
リンゴ「少なくとも、今のところ私達に敵意は無い。
…それに、姉上があの調子では」
フラン「シショーはセッシャが守るでござる!」
赤髪「汗」
リンゴ「…どうやって頭領に報告しよう」
キャトラ「…アンタも大変なのね」
今日はここまで。
続きは早ければ明日、遅くても茶熊が始まる前には終わらせたいです。
>>7
はい、そうです。
白猫とか珍しいなぁ
シャオフーが大好きです
乙ペティーでござるな!
自分のお気に入りはカモメかなぁ……初めての☆4だし、正月版もゲットしたから相棒と言える存在だね。
次は茶熊カモメをゲットしてカモメパにリーチをかけたい。
>>22
やはりそうですか!おもしろいから期待しかない。
できれば、前作のURLを貼っ貰えませんか……?
遂に白猫SSが来たかっ
もう少し時間がかかりそうです。
>>25
【白猫プロジェクト】シュラ「鬼の理」
【白猫プロジェクト】シュラ「鬼の理」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432310222/)
です。
乙
白猫ss増えてほしい
―飛行島
ハルカ「!! 戻って来た!
あんた達大丈夫!?ケガとかしてない?私がすぐにヒールを…」
キャトラ「急にどうしたのよ、アンタ。
アタシ達なら大丈夫よ」
ハルカ「…良かったぁ~」
バロン「巫女殿、無事でしたか。…赤髪、よく守ってくれたな。
それで、後ろの3人は一体…?」
リンゴ「詳しい話は食事の後だ。あ、デザートはアップルパイが食べたい」
キャトラ「アンタはほんとにもう…」
―食後、赤髪が○○島での出来事を説明する
ハルカ「…そんなことになっていたのね。
ごめんなさい、私のせいで」
アイリス「どういうことですか?」
ハルカ「スキエンティアで、この前『闇の勢力が人間に紛れて街を襲ってる』って騒ぎがあったの。
学校の卒業生も何人か行方不明になって…
その時聞いた犯人の特徴があんた達とそっくりだったからびっくりしちゃって、それで…」
バロン「色々と問い詰められたそうだ。…お前達のことについて」
赤髪「!!」
ハルカ「なんだか皆いつもと雰囲気が違ってて、あんた達のことをかばえるような雰囲気でも無くて…
もしかして、直接危害を加えようとする人がいるんじゃないかって心配になって…」
バロン「ハルカが飛行島に着いたのは、お前達が○○島に入っていった直後だった。
話を聞いて、刺客に嵌められたのではないかと心配だったが…依頼を受けたのが彼女達だったのが幸いしたようだな」
ハルカ「本当に良かった…私のせいで皆が傷ついたらってずっと不安で」
アイリス「ありがとう、ハルカさん」
リンゴ「…何がいいものか。これでは任務を達成できない」
フラン「まだそんなことを言っているのでござるか、リンゴ」
バロン「…私には、彼女達の行動が良く分からないのだが」
ミカン「あたし達、元々この任務はイヤだったんだよ…でも」
リンゴ「頭領から直々に命令が下ったのだ。
『この任務は、お前達三人で遂行しろ』と」
フラン「スキエンティアは忍者の里の上客でござる。
任務に失敗したら、里の評判も下がってしまうのでござる」
キャトラ「…アタシが言うのも何だけど、アンタ達あんなことして大丈夫だったの?」
フラン「最初は里のためにと思って任務を受けたのでござる。
…それでも、やっぱりシショー達の暗殺なんてできないでござる!」
ミカン「あたしも、こんな仕事したくないよー…」
リンゴ「…私は、最後まで諦めないぞ」
赤髪「!!」
フラン「リンゴ、何を言うのでござるか!」
リンゴ「頭領が私達に直接任務を伝えたということは、それだけ期待されているという事。
しくじれば、里の損害になるだけでなく、頭領の期待も裏切ることになるのですよ?」
ミカン「それは…そうだけど…」
フラン「…リンゴは何も分かってないでござる」
リンゴ「…どういう事です」
フラン「リンゴは、シショーが見せてくれたルミエールを忘れたのでござるか?
進むべき道に迷い、悩んでいた時に見せてくれた輝き…セッシャは忘れていないでござる」
ミカン「あたしも覚えてる!」
フラン「あんな綺麗な輝きを見せてくれたシショーが、悪いヒトに見えるでござるか!?
もっとしっかり見るでござる、リンゴ!!」
リンゴ「…」ジー
赤髪「汗」
リンゴ「…姉上の言いたいことは分かりました。
しかし、これからどうするのです?このまま里には帰れませんよ」
フラン「正直にできませんでしたと報告するでござる」
リンゴ「おい」
バロン「…仮にそれで許されたとしても、理事会が他の組織に暗殺を依頼する可能性もある。
そうしたら、今回のようにはいかないだろう」
アイリス「そんな…」
キャトラ「このままアタシ達狙われっぱなしの生活になっちゃうの!?」
ミカン「どうしたらいいんだろう~」
リンゴ「…仕方ない、禁じ手を使うか」
キャトラ「禁じ手?」
リンゴ「任務を遂行できない、でも失敗したら里に迷惑がかかる…
そうなれば、残された手は一つだ」
赤髪「?」
リンゴ「任務そのものの正当性を無くせばいい」
キャトラ「えっと…どういう事?」
リンゴ「忍者は一度受けた依頼を確実に遂行しなくてはならないが、例外もある。
報酬が正当に支払われない場合、依頼によって私達に不利益が生まれる場合、依頼内容が第三者にねつ造されていた場合…」
フラン「そういう時は、依頼をサボタージュできるのでござる」
リンゴ「暗殺を依頼するようなきな臭い連中だ、付けいる隙はあるだろう」
キャトラ「もし無かったら?」
リンゴ「だったら、不正をでっち上げればいい」
アイリス「そんなことをして大丈夫なんですか?」
リンゴ「バレたら忍者をやめなくてはならないだろうな。
里を追われることにもなるだろう」
赤髪「!!」
フラン「…それでも、やるでござる。
セッシャは、シショーの示してくれたシノビの道を信じるでござる!」
ハルカ「…あの、ちょっといい?」
フラン「何でござるか?」
ハルカ「ずっと気になってたんだけど…あたしには理事会が暗殺を依頼したっていうのがどうしても信じられないの」
キャトラ「でも実際にこうしてフラン達が来たじゃない」
ハルカ「理事会ってスキエンティアの最高決定機関よ?
私怨で暗殺を依頼するならともかく、理事会が裁判も通さないでこんな事をするとは思えないわ」
リンゴ「…探ってみる価値はあるかもしれんな」
フラン「そうと決まったら、早速出発でござる!」
キャトラ「ってアンタ達、今から行くつもり!?」
アイリス「今日はもう休んだ方がいいんじゃ…」
フラン「善は急げ、でござる」
リンゴ「夜の方が潜入するには楽だからな」
ミカン「よーし、頑張るぞー!」
アイリス「…行っちゃった」
ハルカ「…さて、あたしもそろそろ戻るわ」
キャトラ「アンタも行くの?」
ハルカ「明日も授業があるし、今回の件で調べられそうなことを少しでも探してみたいの」
アイリス「ありがとうございます、ハルカさん」
ハルカ「私にできるのはこれ位だから…
何か分かったら、すぐに報告するわ」
キャトラ「…なんだか今回は助けられてばっかりね」
バロン「良い友を持ったな、赤髪」
赤髪「♪」
―翌日、スキエンティア
ハルカ(昨日はああ言ったけど、学生の身分だと調べられることって限られるのよね…
おまけに、この前の聞き取りのせいであたしまで怪しまれちゃってるからヘタに動けない。
皆ごめん、あたしじゃ役立てそうにないわ…)
―放課後、イザベラの教官室
ハルカ「失礼します。クラス全員分の課題が集まったので持って来ました、先生」
イザベラ「ご苦労様。そこに置いてちょうだい。
…いつも悪いわね、あなたにばかりこんなことをさせて」
ハルカ「いえ、もう慣れましたから」
イザベラ「…生徒が皆、あなたみたいに聞きわけの良い子だといいのだけれど。
特に彼ときたら、また授業をサボって…」
ハルカ「あ、ハハハ…」
イザベラ「サボるのは問題外だけど、あなたも少しは息抜きをした方がいいわ。
この前の件ではかなりしつこく聞き取りをさせられたのでしょう?」
ハルカ「…でも、一番大変なのはあたしじゃないです。
皆、赤髪達を闇の連中だって決めつけて…
そんなことができるようなやつじゃないって、話せばちゃんとわかるはずなのに」
イザベラ「…今回の件では、教師の立場として彼らを擁護することはできないわ」
ハルカ「先生!」
イザベラ「多くの目撃証言から、彼らが事件に関わっているのは疑いようが無いの。
それに、英知のルーンが持ちだされたのは事実だし、行方不明になった卒業生も見つかっていない…
状況だけ見れば、彼らが疑われるのは仕方の無いことだわ」
ハルカ「でも、だからって暗殺なんて…!」
イザベラ「…ちょっと待って、暗殺ですって?
それはどういう事?」
ハルカ「え…?」
イザベラ「理事会が決定したのは飛行島と彼らに関する『調査』よ。
『暗殺』なんて、決議を通すはずが無いわ」
ハルカ「でも、昨日確かにあいつらに刺客が送られているのを見ました!
理事会からの依頼だって…」
イザベラ「まさか…」
ハルカ「!! …先生、聞きたいことがあるんですが」
残りは今晩に投下できたらな、と思います。
ストーリーの進行度てきに上級クエストが終わったぐらいか?
―飛行島
フラン「ただいまでござる」
アイリス「フランさん、何か分かりましたか?」
フラン「これを見て欲しいでござる」
バロン「これは…理事会の議事録か」
リンゴ「それも公開前のものだ。
そして、その中には暗殺のあの字も出てこない。
本来私達に依頼されるのは、飛行島の調査だけだったようだ」
キャトラ「ってことは…」
リンゴ「私達がでっち上げるまでも無く真っ黒だった、ということだ」
アイリス「そんな…」
リンゴ「だが、これで私たちが暗殺の任務を実行する理由は無くなった。
もっとも、依頼をねつ造した犯人を見つけなければ問題の解決にはならないがな」
バロン「…しかし、この記録だけでは犯人を特定するのは難しいな」
リンゴ「おまけに、理事会全員がグルで、議事録そのものがねつ造されているという可能性もある。
…その場合は、私達だけではどうにもできない」
キャトラ「他に役立ちそうな資料は無かったの?」
フラン「申し訳ないでござる。セッシャ、もう一度潜入してもっと手がかりを…」
ハルカ「おーい!」
アイリス「ハルカさん!」
キャトラ「ずいぶん早く戻ってきたわね。何か分かったの?」
ハルカ「ええ。多分…これで犯人が分かる思うわ」
赤髪「!!」
ハルカ「イザベラ先生から話を聞いてきたの。
それで、理事会の決定はあくまで飛行島の調査で、暗殺なんて少しも触れられていないって」
リンゴ「それはもう調べてある。
だが、理事会全体がグルという可能性も…」
ハルカ「それは無いわ。イザベラ先生も会議に出席していたんだもの」
バロン「ということは、依頼をねつ造した犯人がいるということになるが…」
ハルカ「そこなんだけど、理事会の決定をねつ造して依頼するなんてよっぽどの地位にいる人じゃないとできるはずが無いの。
この時点でかなり犯人を絞れるはずだわ」
キャトラ「すごいじゃない、ハルカ!」
ハルカ「…イザベラ先生の受け売りだけどね。
それから、法的な手段をすっ飛ばして直接殺そうとするってことは、あんた達に対して相当な恨みを持っているってこと。
もしかしたら、直接会ったことがあるかもしれないわ」
アイリス「でも、そんな人いたかしら…?」
ハルカ「イザベラ先生によると、理事会であんた達に対して攻撃的な意見を持つ人が何人かいたらしいの。
これがその人達の写真。その中に見知った顔がいればもしかしたら…」
赤髪「!!」
アイリス「この人って…!」
リンゴ「…当たりのようだな」
フラン「それじゃあ、すぐに懲らしめてくるでござる」
アイリス「…待って下さい、私も行きます」
キャトラ「アイリス!?」
ハルカ「そんな、危険だわ!!」
リンゴ「…行ってどうするつもりだ」
アイリス「もう一度、会って話がしたいです」
リンゴ「相手はお前たちを殺そうとした奴だぞ?
…うまくいくとは思えないがな」
アイリス「それでも…きっとこれは、私達が解決しなきゃいけない問題だから」
赤髪「 」コクン
キャトラ「…でも、スキエンティアに行くのはやっぱり怖いわ…」
アイリス「絶対に島の人に見つかるわけにはいかないわね…」
リンゴ「…それについては問題ない。
基本的にどの島にも忍者が使う抜け道があってな。
それを使えば人目を気にせずに移動できる」
ミカン「でも、他の人にはナイショだよ?」
リンゴ「少々険しい道になるが…お前たちなら問題ないだろう」
バロン「赤髪」
赤髪「?」
バロン「今回は私も同行しよう」
キャトラ「珍しいわね、アンタが付いてくるなんて」
バロン「今回の行動はかなり危険だ。
巫女殿を守れるものが一人でも多くいた方がいいだろう」
バロン(…それに、私の考えが正しければ)
赤髪「?」
バロン「…いや、何でもない」
フラン「それじゃあ行くでござる、シショー!」
赤髪「♪」
―スキエンティア
キャトラ「…着いたわね」
フラン「まずは、セッシャ達が行くでござる」
???「おや、お前さん達…その装束は忍者の里のものか?」
フラン「ウィ、でござる」
???「…ということは、任務が上手く行ったんじゃな?」
リンゴ「そうだ。無事に遂行した」
???「ほっほっほ…流石は優秀な忍者の里の忍達よ。
こうも簡単に始末してくれるとは」
リンゴ「…決まりだな」
―隠れていた赤髪達が飛び出す!
アイリス「…やっぱり、あなただったんですね」
老賢者「こ、これはどういうことじゃ!
まさか貴様等…結託しおったな!?」
ハルカ「老賢者様、どうしてあなたともあろう方がこんなことを!?」
老賢者「…小娘には分かるまい。
儂の長年の悲願をぶち壊した憎き闇の連中と…あの獣への憎しみがどれほど深いかを」
バロン「…獣とは、私の事か」
老賢者「おお、バロンか。
…バロン、バロン、バロン!!!
貴様、よくも抜け抜けと儂の前に姿を現せたものじゃな、この卑しい獣め!!」
キャトラ「い、一体どういうことよ!?」
老賢者「…儂は、どうしても諦めきれなかった。長年の夢、真理の探究…
そのために、どうしても奴の知識が欲しかった。
…そこで、儂はもう一度行ったのじゃよ、アストラ島へ」
赤髪「!!」
老賢者「恥も何もあったものではない。儂はもう老い先短い身体、まさに決死の覚悟じゃった。
…じゃが、奴はいなかった。
島の者に話を聞けば、しばらく前に島を出ていったというではないか…赤い髪の少年と共に。
その時儂は気付いたのじゃ…貴様等が、グルだったということに!!」
バロン「…」
老賢者「それに気付いた時の儂の絶望と怒り…貴様等には分かるまい。
藁にもすがる思いで飛びついた希望が、黒く薄汚れた闇の者達に汚されていると知った時、儂は屈辱と怒りに震えあがった…
貴様等を皆殺しにするまで、この怒りは収まらん!」
アイリス「待って下さい!
聞いて欲しいんです、私達は闇の勢力なんかじゃありません…!」
老賢者「今更外道どもの言うことなど信じるとでも思ったのか?」
アイリス「そんな…」
キャトラ「アイリス…」
バロン「…最早何を言っても無駄なようだな」
老賢者「…じゃが、儂にもまだ希望はある。
学者として後世に名を残すことはできなくても、貴様等を殺すことで島を救った『英雄』としてならば、名を残すことはできるじゃろう」
バロン「…お主、そこまで堕ちたか」
老賢者「黙れ、ケダモノめ!!」
リンゴ「…だが、この状況でどうするというのだ?
こちらは多勢、貴様一人ではどうにもならんぞ」
老賢者「…愚か者たちよ。儂が何の備えもしていないとでも思っていたのか?」
赤髪「!!」
―老賢者の影から、大量の魔物が湧き出てくる!
アイリス「これは…!!」
老賢者「通りすがりの道化に借りたこの力、これさえあれば貴様等などすぐに片付けられるわ!」
ハルカ「!! …いけない、このままだと魔物が街の方へ行ってしまうわ!」
アイリス「それだけは、なんとか食い止めないと…!」
リンゴ「…私達の出番だな」
ミカン「思いっきり暴れてやるぞー!」
フラン「行くでござる!」
老賢者「無駄なあがきよ…ここでまとめて死ねぇ!!」
―赤髪達は周囲の魔物を一掃するが、新たな魔物が次々と湧き出てくる!
キャトラ「このままじゃキリが無いわ!」
赤髪「汗」
バロン「…赤髪」
赤髪「?」
バロン「ここは私に任せてもらえないだろうか」
アイリス「バロンさん…?」
バロン「お前達の成長のためと思って普段は手を出さないでいるが、今回の件は私に責任がある…
私にケリをつけさせてくれないだろうか」
赤髪「…」コクン
老賢者「バロン…貴様は儂自らの手で葬ってくれる…」
―老賢者をの身体を影が覆い尽くし、魔物の姿へと形を変えていく!
バロン「…人間であることすら捨てたか。
哀れな男だ、研究を続けていれば一端の学者として名を残せていただろうに」
―魔物がバロンに襲いかかる!
バロン「…もう言葉も届かないようだな。…さらばだ」
―バロンが天に向かって大きく咆哮した!
キャトラ「すごい迫力…!」
フラン「ビリビリがここまで伝わってくるでござる…!」
―バロンが魔物に飛びかかり、一瞬で真っ二つに引き裂いた!
ハルカ「…すごい」
アイリス「…これが、バロンさんの力」
老賢者「グ…ガガ…」
―老賢者の消滅と共に、周囲の魔物も消え去っていく
リンゴ「…長居は無用だ。撤退するぞ」
―飛行島
バロン「…今回の件の責任は私にある。
…すまなかった」
キャトラ「何でバロンが謝るのよ!」
バロン「…あの男をぞんざいに扱い、闇に堕ちるきっかけを与えてしまったのだ。
そのせいで、巫女殿を危険な目に合わせてしまった…
私も、まだまだ未熟者だ」
アイリス「バロンさんが悪いわけじゃありません。
私に、もっと力があれば…」
キャトラ「ストーップ!その辺にしておきなさいよ、二人とも。
まあ、バロンが頑なに話したがらないのは確かにアレだけど」
バロン「…」
アイリス「でも、いつかちゃんと話してくれるって信じていますから」
バロン「…はい、必ず」
赤髪「♪」
―少し離れた場所
ミカン「どうしたの、リンゴ?」
リンゴ「…今回の依頼、頭領は分かっていたんだ」
ミカン「分かってたって、何を?」
リンゴ「依頼の内容がおかしかったこと。
でもそれに気付いていながら、あえて私達にこの任務を下した。
…普段調査や警護の依頼しかしないスキエンティアの理事会が、暗殺を依頼してくる時点でおかしいと気付くべきだった。
だが、私は頭領に直接指示されたせいで疑いを捨ててしまっていた」
ミカン「でも、どうしてそんなことをしたのかな?」
リンゴ「恐らく、私達を試したのだろう。
任務を正しく見定める能力、…自分の目で、何をすべきかしっかり見定めることが必要だったということだ。
…あるいは」
ミカン「あるいは?」
リンゴ「これから先、同じようなことがいつ起きてもおかしくないということを伝えたかったのかもしれない。
忍者として生きるなら、友を手にかけねばならない時が来るかもしれない、と」
ミカン「あたし、皆と戦うなんて嫌だな…」
リンゴ「そういう覚悟も必要だということだ。
忍の道とは、険しいものだな」
リンゴ「―だが、頭領の意図を汲み取り、里の損害を最小限に抑えることができるとは、流石私。
武術だけでなく頭も良く回るとなれば、これはもう数十年、いや、数百年の逸材。そう遠くない未来、私の名は忍の世界に轟くことに―」
ミカン「…あ、ちょうちょだ!待てー」
リンゴ(まあ、今回の件は姉上も相当堪えただろうな…
今後の任務に支障が出ないといいが)
―数日後、スキエンティア
イザベラ「老賢者は己の名声のために忍者の里への依頼を偽装、暗殺が失敗に終わると不正の発覚を恐れて逃亡…現在行方不明ということになっているわ」
ハルカ「…」
イザベラ「飛行島の調査は改めて行われることになるわ。
これからは、依頼の擬装なんてことを心配する必要もないでしょう」
ハルカ「これで、良かったんでしょうか?」
イザベラ「え?」
ハルカ「私、今回の件で何もできませんでした。
もしかしたら、皆の無実を証明できるチャンスがあったかもしれないのに…」
イザベラ「…それはどうかしら。
仮に今回の顛末をあなたの言うままに信じたとしても、彼らが島の人達を納得させられる材料を持ち合わせているとは思えないわ」
ハルカ「…」
イザベラ「…それでも」
ハルカ「え?」
イザベラ「彼らなら、いつか最高の答えを導き出せると信じているわ。
何ていったって、彼らも私の生徒なのだから」
ハルカ「…はい!」
―飛行島
フラン「セッシャ、あれからいろいろ考えたのでござる」
キャトラ「…はあ」
フラン「シショー達を危険な目に合わせてしまったのは、セッシャの忍者としての力が足りていないからでござる」
キャトラ「ほうほう、それで?」
フラン「忍者としてもっと成長するために何が必要か…
そして分かったのでござる。セッシャはシショーを目標にするべきだと」
キャトラ「うん…うん?」
フラン「シショーのように冒険家としての力を身に付ければ、もっとすごい忍者になれるはずでござる!
そこでセッシャ、冒険家のための学校に行くことに決めたでござる」
キャトラ「何かズレてる気がするんだけど…
そもそも、アンタ仕事はどうするのよ?
ミカンとリンゴがセッシャの分も頑張ってくれるからケセラセラでござる」
キャトラ「後輩頼みかい!!」
フラン「セッシャ、やる気に満ち溢れているでござる!
もっともっとすごい忍者になってみせるのでござる!
だからシショー、セッシャの活躍をしっかり見ていて欲しいのでござる!」
赤髪「♪」
終わりです。
何とか茶熊に間に合って良かったです。
できるだけ紙芝居を意識したつもりですが、焦って雑になってしまった気もします。
ともあれ、茶熊フランがとても楽しみです。
それでは失礼します。
おつおつ
フランちゃんはキャドゥーを置いちゃうから潜入に向かないでしょうが…w
てかあの子ら姉妹なんだね初めて知った
兄弟子とかそんな感じじゃないかな?
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