「では、次の方どうぞー」
スタスタ…
コン、コン
面接官「はい、どうぞ」
ガチャ
男「し、失礼します!」
面接官「はいはい、じゃそこ座って」耳ホジ
男「は、はい!」カチコチ
面接官「えーっと…男さん、でお間違いありませんか?」ペラ…
男「はい!男です」
面接官「えー、ではさっそく、面接を始めたいと思います」ふぁあ…
男「はっはひ」
面接官「えっと…?○○高校卒業、アルバイトを…二年やってたんだ」
男「はい!居酒屋のアルバイトでして、駅前で結構大変だったんですけど、でも効率よく仕事に臨めましたっ」
面接官「ああ、そう…。んで、今26歳」
ドキッ
男「…はい」
面接官「この7年間くらい、空欄ですけど?何してたんです?」
男「え、ええっと…それは…」
面接官「…」
男「そ、その…」
面接官「…あのさあ」
面接官「別にね、こっちとしてはね。はっきり言ってあんたを採用しようがしまいが別に困らないわけ。人手が足りないわけじゃないんだし」
男「…」
面接官「なにしてたの?この空欄の間。まあ大体わかるけどさ、なに?そんなことも怯えて言えないんなら、あんた、この会社にいる必要ないからね」
男「…そ、その…」グッ
面接官「もう、いいから。帰ってくれない?」
面接官「君なんか、うちには必要ないんだよ」
男「……」
男「………わ、わかりました」
ガタッ
スタスタ…
男「…あ、ありっありがとうございますた」
バタン
カー、カー、カー…
男「…」トボトボ
男「……はぁ」
男(二十歳からニートになって、約6年。親が早死にして初めて実感したのは、焦りじゃなくて、恐怖だった)トボトボ
男(やっぱり、いきなり社会に出るなんて無理だ。なにもかも、慣れないんだもの)
トボトボ
男「…これで、100回くらい面接してる気がするなあ」
男「…あーあ」
ガチャガチャ
キィイ
男「…ただいま」ボソッ
ひたひた
男「ただいまあ。シロ、帰ったぞお…」
………
……トコトコトコ
猫「ニァア」
男「シロ、ただいまあ」
猫「ナォン」ぐりぐり
男「……俺、今日もダメだった」ナデナデ
チラ
こういう「~しましょう」とか「~ですね」みたいなくっさいラノベみたいな話し方のss嫌い
餌皿カラッ
猫「ニァア、ニァア」ぐりぐり
男「……ごめんな、今日もカリカリは無しだ」
男「安売りの缶詰で我慢してくれ」
カンカン、
ボトッボトッ
猫「あんぐあんぐ…」
男「……よっこらせ」どさっ
男「……」
男(親も死んだ、家族はいない)
男(いつまでたっても、職が決まらない)
チラ、
猫「んぐんぐ…パクパク…」
男(……もう、)
男(この子をどこかに預けて、死んだり)
バタッ
男(…なんて)
猫「……ニァア」スタスタ
男「…シロ」
ナデナデ
猫「ニャア?」
男「シロは俺といて、幸せか?」
猫「……」
スタスタスタ
男「あっ…」
猫「…」プイー
男「……」グッ
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