唯「むっふっふ…平畑唯三郎だよ!」 (107)
唯「…あー、おほん」
唯「みなさんはじめまして、わたくし平畑唯三郎です!」
唯「えー…みなさんにも恥ずかし~い経験はあると思います」
唯「たとえばぁ…ステージで転んで、観客のみんなにパンツを見せちゃったりとか~」
唯「猫耳のカチューシャを付けて、つい『にゃ~』って言っちゃったりとか」
唯「でも、人生には進んで恥ずかしいことをしないといけないときもあるんです」
唯「う~ん、たとえば…」
ガチャッ
憂「…お姉ちゃん?部屋真っ暗にして懐中電灯ぶら下げて、なにしてるの?」
唯「ああ~憂っ!ダメだよ勝手に入ってきちゃ~」
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けいおん二期6話の「梅雨!」の直後が舞台です
さわ子「はー…疲れたー…」ゲッソリ
さわ子(でも…やっと解放されたわ!あの書類の山から!)
さわ子(いや…正しくは『今日が期限の』書類の山ね)ゲッソリ
さわ子(このあと吹奏楽部の練習も見に行かなきゃいけないけど…)
さわ子(その前に部室で久々のティータイムを楽しもうっと♪)
さわ子「今週は部室に行けてなかったから楽しみね~」
…タカナ~ナガーレヨ~♪
さわ子「ん?」
モルダーウノ~♪
さわ子(隣の音楽室から…)
ヒローキミナーモハイマーモーナオ~…♪
さわ子(ああ、今日はここで合唱部が練習してるんだっけ)
さわ子「さて、今日のおやつは何かしら~♪」ガチャッ
さわ子「あら…?」
澪「あ…先生」
さわ子「澪ちゃんだけなの?」
澪「はい、ムギは日直で。唯と律は掃除当番です」
さわ子「な~んだ、そうだったっけ。じゃあティータイムはまだね」
澪「先生、部室に来るの久々ですね」
さわ子「クラス担任ともなると扱う書類が多くって」
さわ子「りっちゃんと唯ちゃんにも早く進路希望表出すように言っとかないと」
さわ子「澪ちゃんは弦交換してるの?」
澪「はい。大事なベースですから、手入れしとかないとって思って」
さわ子「唯ちゃんもだけど…あなたもかなり自分の楽器を愛してるわよね」
澪「べ、別に唯ほどべたべたしてるわけじゃ…」
さわ子「名前付けちゃったりしてるんじゃなぁい?」
澪「そ、そんなわけないじゃないですか!」
さわ子「やぁねぇ、ムキになることないでしょ」
澪「うぅ…」
さわ子「いいじゃない、自分の楽器は大事にしてあげなきゃ」
澪「…はい」
さわ子「まぁ自分の楽器をかわいがるのもいいけど…こっちもかわいがってあげなさいよ」
澪「え?」
トンちゃん「……」スーイスーイ
澪「あっ…」
さわ子「もうエサあげたの?」
澪「…まだです」
さわ子「もう、ちゃんと面倒見てあげないと…梓ちゃんだけじゃなくてあなたたちの後輩でもあるんだから」
澪「はい…」
さわ子「まったく」パラパラ
ギシッ
さわ子「ああっ!このいすに座るのも久々!…ってあら?こんなとこに紙が落ちてる…」
ピラッ
さわ子「『ああ、愛しのエリザベス。』」
澪「えっ」
さわ子「『あなたの奏でる低い音色はわたしの心を虜にするの』…」
さわ子「…なにこれ?」
さわ子「…?澪ちゃんどうしたのよ青ざめちゃって」
澪「うわあああああああ!見ないでください!」
さわ子「わっ…どうしたのよ」
澪「そ、それは!」バッ
さわ子「おっと」ヒョイ
さわ子「なになに?『エリザベス、あなたは縁の下の力持ち。決して目立ちはしないけれど、あなたがいないと始まらない…』」
さわ子「…まさか澪ちゃん、エリザベスって」
さわ子「そのベースのこと?」
澪「…!///」カァ…
さわ子「なんだぁ、あなたもやっぱり唯ちゃんと同じじゃない」
澪「や…!わ、私は別に…///」
さわ子「それこそ『愛しのエリザベス』って、エリザベスへの愛情を詰め込んだラブソングでも作ればいいじゃない」
澪「…///」カアァ
さわ子「それを…そうねぇ、バニーの格好でもして弾き語り風に歌えば…」
澪「バニー…弾き語り…はは…///」プシュー…
さわ子「あら?」
パタリ
さわ子「…ちょっと…澪ちゃん?秋山さん?」
澪「」
さわ子「まさか…この子気絶しちゃうなんて…デリケートすぎるわよ」
さわ子(マズいわね…この部屋には澪ちゃんと私の二人っきり)
さわ子(この状況で気絶するまで何かしたと思われたら、あらぬ誤解を受けかねないわ)
さわ子(と、とにかくわたしは知らなかったってことでここを離れよう)タタタ
ガチャッ
さわ子「…ん?」
ギシッギシッギシッ
さわ子(まずい、誰か来る!)
ガチャッカチッ
さわ子「……」
ギシッギシッ…ガチャガチャ
紬「あら?鍵が…」
さわ子(ムギちゃんか…)
紬「おかしいなぁ…澪ちゃんがもう来てるはずなんだけど」
コンコン
紬「澪ちゃん?いないの?」
コンコン
さわ子(マズい…逃げないといけないのに、これじゃあ逃げようが…)
さわ子(そうだ!音楽室の方から…)
さわ子(…ってそうよ!音楽室は合唱部が練習中じゃない!)
コンコン
紬「うーん…鍵は澪ちゃんが持って行っちゃったし、澪ちゃんが来るまで待っていようかしら」
さわ子(くっ…この場を切り抜ける方法は…考えるのよ!さわ子!)
さわ子(なにか…)ハッ
さわ子(そうだわ!倉庫に確か…!)ソロ~
さわ子(あった…時間がないわ、もうこの方法で行くしかないわね)
さわ子(よし、じゃあまず澪ちゃんを倉庫に運んで…)
紬「遅いなぁ…澪ちゃんどこに行ってるのかしら…」
キャー!
紬「え?音楽室から悲鳴…」
ガチャッ
キャーキャー
ドタバタドタ…
紬「ど、どうしたの?」
合唱部「と、隣の倉庫の中から気味の悪いおっきな音が聞こえてきて…」
合唱部「『お前らが来るのを待っていた~!』とかなんとか言ってて」
合唱部「今もまだ鳴ってるの」
紬「ええ?」
ヴォオオオオオオオオ…!ズンズンズンズン
紬「こ、この音ってまさか…」タタタ
紬「うっ…凄い音」
ガチャッ
澪「」
紬「澪ちゃん!」
ラジカセ「ヴォオオオオオオオオ!」
紬「とりあえずこっちを止めないと…」カチッ
ラジカセ「ヴォオオ…」ピタッ
紬「澪ちゃんしっかりして、澪ちゃん!」ユッサユッサ
澪「」
【部室の前】
唯「てれってーれてって♪てれってーれてって♪」
律「あ、やっと来た…遅いぞ!」
唯「えへへ、掃除当番で遅れましたぁ」
律「あたしと同じ時間に終わっただろ」
唯「いやぁ~、それにしても教室からここまで遠いよぉ。わたし疲れちゃった」
律「なに言ってんだ唯」
ぺちん
律「いてっ」
唯「こらピカ泉くん、わたしのことは平畑さんと呼びなさい」
律「はぁ?」
唯「今日のわたしは平畑唯三郎なんだからね!」
律「…まさか唯、お前…」
唯「だから平畑さんだってば~」
唯「あ、そうだピカ泉くん、ギー太をどこかに置いといてよ。大切なギターなんだからね、誰にも盗まれないようにね」
【部室】
ガチャッ
梓「あ、唯先輩」
唯「おお、わが優秀な部下あずにゃん寺くんよ」
梓「へ?」
唯「今日のわたしは平畑唯三郎だからね、ちゃんと平畑さんって呼んでね!」
梓「…律先輩、律先輩」
梓「唯先輩、どうしちゃったんですか?」
律「あー…実はな」
【回想・放課後の掃除時間】
ザアアァ…!
律「うっへ~…ほんとによく降るなぁ」
唯「りっちゃ~ん」
律「ん、どしたー唯」
唯「進路調査票のことなんだけどさ~」
律「あー、そーいやこの前そんなの配られてたっけ…」
唯「わたし、進路決めたよ」
律「えっ、唯もう決めたのかよ!あたしまだなのに…」
唯「うんっ」
律「で、どうすんだ?」
唯「ふっふっふ、それはね~」
唯「名探偵!」
律「…は?」
唯「昨日、ギー太を学校に置きっぱなしだったでしょ~」
律「昨日も雨だったもんな」
唯「それでね、気を紛らわせるために憂とドラマ見てたんだ~」
律「そんで?」
唯「そのドラマって言うのがねぇ、完全犯罪を目指す犯人を頭のいい主人公がどんどん追い詰めていくドラマでさぁ」
律「ほう」
唯「カッコイイ!って思って!」
律「はぁ」
唯「どーかなぁ!?」キラキラ
律「いや…それって進路って言うよりただの夢じゃ…」
唯「卒業したらすぐに名探偵になるよ!」
律(そもそも『名探偵』って職業じゃねーし…)
唯「ね~ね~ど~思う~りっちゃん隊員~」ユッサユッサ
律「揺すんなって」
律「おまえなぁ…(いや待てよ…ここで頭ごなしに否定するのもおもしろくないな…)」
律「(ここは…)いーんじゃね?」
唯「ほんと!?」
律「うん。唯って目の付け所が独特だしさ~」
唯「うんうん!」
律「それにいつでもマイペースを崩さずに物事を進められるし」
唯「えへへ」
律「ライブでもテストでも、集中したときの唯ってすっげぇ力発揮するしさ。案外向いてるかもよ?」
唯「そ、そうかなぁ…ありがとうりっちゃん!なんだかわたし自信出てきたよ!」
唯「早く何か事件起きないかなぁ~」
律「いやいや、そんなに都合良く起きるわけ…」
唯「えーっと、わたしが名探偵なら~、りっちゃんはデコさんかなぁ」
律「誰がデコさんだよ」
唯「それでそれでぇ、あずにゃんがちっちゃいけど優秀な部下でぇ」
律「まーいいや、先行っとくぞ~」テクテク
唯「あっ!『あずにゃん寺くん』なんていいなぁ!」
~~~~~~~
律「…ってわけ」
梓「…なんだか唯先輩から見た私のポジションにちょっとした悪意を感じるんですけど」
律「奇遇だな梓、あたしもだ」
梓「というか、唯先輩がその気になった原因は律先輩じゃないですか!」
律「いや~まさか本気にするなんて思わねーじゃん」
唯「あずにゃん寺くん、とりあえずのことはピカ泉くんにメールで聞いたけどさ。詳しい状況を説明してくれる?」
梓「……」チラッ
律「まぁ、付き合ってやってよ」
梓「はぁ…えっと、倒れていたのは澪先輩です」
唯「フルネームでお願いします」
梓「…秋山澪さんです。軽音楽部の部員です」
唯「ふむふむ。現場の状況は?」
梓「澪先輩は倉庫に倒れていました」
梓「部室の扉には鍵がかかっていて、鍵は澪先輩が持っていたそうです。つまりこの部屋は密室だったってことになりますね」
唯「はっ!じゃあ、まさかこれは…」
唯「密室殺人!?」
律「勝手に殺すなー」シラー
唯「澪ちゃん殺人事件だよ…!」
梓「はいはい」
唯「あしらわれた…」ショボン
梓「一人で盛り上がってるとこ悪いんですけど、これは事故ですね」
梓「澪先輩が倒れているのが見つかったとき、すぐ側に置かれていたラジカセから大音量で音楽が流れていたそうですから」
唯「なにが流れてたの?」
梓「えっと…律先輩」
律「ん」
カチッ
ラジカセ「ヴォオオオオオオオオ!」
唯「ひゃああ!」ビクッ
カチッ
唯「うう…今のは?」キーン
梓「昔の軽音部のデモテープみたいです」
律「たぶんこれ、さわちゃんが学生時代のだよ」
梓「先生…こんなワイルドな演奏してたんですね…」
律「なかなかの黒歴史だろ」
唯「今のが大音量で流れてたんだ」
梓「はい。だからおそらくこういうことですよ」
梓「澪先輩は倉庫で何か捜し物でもしてて、自分でやったのかたまたま押しちゃったのかはわかんないですけどラジカセのスイッチを入れたんです」
律「それで大音量のデスボイスが流れたんで、驚いて気絶しちゃったってわけ」
唯「なぁんだ、つまんない」
梓「つまんないって…」
唯「…ん?」
唯「ああっ!」
律「どーしたんだ?」
唯「エ、エリザベスの弦が切られてるよ!」
唯「かわいそうに、こんなあられもない姿に…」ワナワナ
律「おい」
唯「ま、まさか!誰かが澪ちゃんを襲って、エリザベスにまで手をかけたんじゃ…」
梓「なに言ってるんですか…。ここ見てくださいよ、ペグ緩めてあるじゃないですか」
唯「ペグが…?なんで?」
梓「…一昨日教えましたよね」ジト
唯「あ、あーあーそういうことね!そっか~ペグが緩めてあるねぇ~…」
唯「…で?」チラッ
梓「はぁ…だから、きっと弦交換してる途中だったんですよ」
唯「な~んだ、そういうことかぁ」
梓「平畑さん、弦切るときいつもペグ緩めてないんですか?」
唯「うん、あの弦がピンって跳ねてくる感じが好きなんだよねぇ」
唯「ギー太とスキンシップ取ってる感じでさぁ」
梓「もう…ペグ緩めてから切らないとネック痛んじゃいますよ」
唯「えっ!?そうなの?知らなかった…」
唯「ギー太~、いままでごめんねぇ」スリスリ
梓「またギー太ギー太って…」
律「まぁた三角関係か、妬けますなぁ」ニヤニヤ
梓「なっ…そんなんじゃないです!」
唯「そういえば澪ちゃんは?」
梓「澪先輩なら気を失ったままだったので、ムギ先輩が保健室に運びました」
唯「ムギ先輩って言うのは?」
梓「…第一発見者の琴吹紬さんです」
唯「とりあえず戻ってきたら詳しい話を聞いてみよっか~」
唯「あ…でもね、その前に話を聞いとかないといけない目撃者がいるんだよ」
律「目撃者ぁ?」
唯「彼は間違いなく事件の一部始終を見ていたはず…」
梓「えっ…そんな人がどこにいるんですか?」
唯「むっふっふ、どこにいるかって?それはねぇ…」
唯「ズバリ、あの水槽の中なのです!」ビシッ
律梓「……」
コポコポコポコポ…
トンちゃん「……」スーイスーイ
唯律梓「……」ジー
唯「トンちゃん、何か見てないかな~…」
律「確かに、常に部室の中にいるトンちゃんは信頼できる目撃者…」
律「…って、トンちゃんが話せるわけないだろ」
唯「うーん、やっぱりダメかぁ」
梓「当たり前ですよ」
梓「あっ…もうこんな時間!トンちゃんにエサあげないと!」
ポロポロ
律「愛してるなぁ梓」
梓「もう、からかわないでください」
トンちゃん「……」スーイスイ…パク、パク
梓「あれ…二粒しか食べない」
唯「いつもは五粒すぐに食べちゃうのにね」
梓「どこか具合でも悪いのかな…」
律「ムギがもうあげちゃったんじゃないの?」
梓「そうなんですかね…」
トンちゃん「……」スーイスイ
唯「はっ!まさか事件を目撃したショックで、食事がのどを通らないんじゃ…」
梓「はいはい」
唯「またあしらわれた…」ショボン
ガチャッ
梓「あ、ムギ先輩」
律「澪、どうだって?」
紬「保健室の先生は心配ないって。軽い貧血だろうって言ってたわ」
律「そっか…よかった」
梓「あの、ムギ先輩。トンちゃんにエサあげましたか?」
紬「え?私はあげてないけど…」
梓「そうですか…」
唯「あのー、スミマセン」
紬「ああ、唯ちゃん」
唯「初めまして、平畑唯三郎と申します」フンスッ
紬「え?」
唯「あなたが第一発見者の琴吹紬さんですね?」
紬「…えーっと」チラッ
梓「ムギ先輩、とりあえず合わせてください」ボソッ
紬「は、はい」コクリ
唯「え~、澪ちゃんを発見したときのことを詳しく教えてもらえませんか?」
紬「えっと…私は日直の仕事が終わって部室の前にいたの」
唯「部室に鍵がかかってたからだね」
紬「そう。そしたら、隣の音楽室から合唱部の子たちが飛び出してきて…」
唯「合唱部?」
紬「ええ」
唯「どうして合唱部の子たちが音楽室に?」
梓「もう、昨日言われたじゃないですか」
唯「ほぇ?」
律「合唱部のいつもの練習場所が配電盤の工事で使えないから、工事が終わる二~三日の間だけ音楽室を使わせてくれって」
紬「私たちは、音楽準備室の方しか使ってないしね」
唯「あれ~、そうだっけ」
唯「でも、隣ではわたしたちも演奏するし、お互いに練習の邪魔になるんじゃないの?」
律「あたしたちがそこまでまじめに練習してるか?」
唯「…あぁ」
梓「納得しないでください!」
唯「怒らないでよぉあずにゃん寺くん、ティータイムのいいBGMになるんじゃない?」
梓「も~!」
紬「まぁまぁ」
梓「とにかく…音楽室では合唱部が練習していましたから、部室は完璧な密室だったことになります」
唯「むー、そうなんだ…。あ、それでムギちゃん続きは?」
紬「合唱部の子に隣の倉庫から不気味な声が聞こえるって聞いたから、音楽室の方から倉庫に入ってね」
紬「そしたらラジカセから音楽が流れてて、澪ちゃんが倒れてたの」
律「やっぱ事故だと思うけどな~」
唯「う~ん…ちょっと」トタトタ
唯「ここが倉庫で、こっちの扉を開けると音楽室…」ガチャッ
唯「音楽準備室と音楽室はこの倉庫でつながってるんだ」
律「って知ってるだろ、あたしらの部室なんだから…」
梓「なにが気になるんですか唯先輩?」
唯「平畑さんだよ、あずにゃん寺くん」
唯「ムギちゃん、ここの鍵はいつも開いてるの?」
紬「ええ、とは言っても、音楽室の方からこっちに入ることはまずないけど…」
唯「じゃあ完全な密室じゃなかったんだね」
紬「まぁ、そう…なのかなぁ」
梓「でも音楽室には合唱部がいたんですから、倉庫から誰にも見られずに出入りするのは不可能ですよ」
梓「密室と同じなんじゃないですか?」
唯「うーん、どうだろうねぇ」ワクワク
一旦ここで締めます。また20時以降に再開します
梅雨ってギー太ぐるぐる巻きにする話だっけ?
乙
再開します
>>35
そうです、ギー太を守った唯が雨でずぶ濡れになる話です
ガチャッ
さわ子「あら、みんないるわね」
律「お、さわちゃん」
さわ子「澪ちゃんが保健室に運ばれたって聞いたけど…大丈夫なの?」
紬「はい。とりあえず保健室の先生は、軽い貧血だろうから寝かせておけば大丈夫だって…」
さわ子「そう…悪いんだけど、もう一度保健室に行って、様子を見ててあげてくれない?」
紬「わかりました」
律「あー、じゃああたしも行ってくるよ。心配だし」
さわ子「何かあったら知らせてね」
タタタ…
唯「あの~」
さわ子「え?」
唯「失礼ですけど、あなたは?」
さわ子「……」
さわ子「梓ちゃん、ちょっと…」ボソッ
さわ子「唯ちゃんどうしちゃったの?記憶でも飛んじゃったの?」
梓「話せば長くなるんですけど…今日の唯先輩は名探偵平畑唯三郎なんです」
さわ子「名探偵…?平畑…?」
梓「とりあえず、合わせてください」
さわ子「はぁ」
さわ子(なんだか知らないけど…今の私にとっては厄介そうな相手ってことかしら)チラッ
唯「えへへ…」ニッコリ
さわ子「…ごめんなさい、ご紹介が遅れちゃって。軽音楽部顧問の山中さわ子よ」
唯「むっふっふ、今回の事件を担当します平畑唯三郎です、よろしくお願いしま~す」
さわ子「事件って…まさか、澪ちゃんが誰かに襲われたって言うの?」
唯「いやぁ~、それはまだなんとも」
梓「でも入り口には鍵がかかっていて、隣では合唱部が練習してたんですよ?」
梓「部室は誰も出入りできる状態じゃなかったんですから、事故以外に考えられなくないですか?」
唯「うーん、それはそうなんだけど…ちょっとごめんね」テクテク
唯「あずにゃん寺くん」
梓「はい」
唯「わたし、倉庫の中にいるからさ。部室の外からノックして、名前を呼んでくれる?」
梓「わかりました」
コンコン
梓「唯先ぱー」
唯「平畑さんだってば-」
梓「平畑さーん」
唯「ありがとう」
唯「うーん…」
さわ子「なにが気になるの?」
唯「ああ、さわちゃんもこっちへ入ってきてよ」
さわ子「ええ…」
唯「あずにゃん寺くーん、もう一度お願い」
コンコン
梓「もしもーし」
唯「ね?」
さわ子「…どういうこと?」
コンコン
梓「おーい」
唯「聞こえるでしょ?あずにゃん寺くんの声も、ノックの音も」
さわ子「そうねぇ…」
唯「ありがとうあずにゃん寺くん、もういいよ~」
梓「はーい」
唯「声もノックの音も聞こえてたのに、澪ちゃんはどうしてすぐに倉庫から出てこなかったのかなぁ」
さわ子「うーん…なるほどねぇ」
さわ子「あなたが疑問に思うのはわからないではないけど…」
さわ子「その謎を解くのは簡単よ」
唯「ほぇ?どういうこと?」
さわ子「あくまで推測だけどね」
さわ子「この隣は音楽室でしょ?」
唯「うん」
さわ子「で、今日はここで合唱部が練習してたのよね」
唯「そうだねぇ」
さわ子「この場所で、合唱部の歌声と、向こうの扉のノックの音。どっちがより聞こえると思う?」
唯「そっか~、それなら合唱部の練習かも…」
さわ子「でしょ?」
さわ子「ムギちゃんもずっとノックし続けてたわけじゃないだろうし、きっと偶然合唱部の歌声と重なって聞こえなかったのよ」
唯「なるほど~、確かにそう考えたら納得だぁ」
さわ子「これで疑問は解決したわね」
唯「ただねぇ~、気になるのはそれだけじゃないんだ~」
さわ子「え…まだあるの?」
唯「そもそも澪ちゃんは、倉庫で何をしてたのかなぁ?」
さわ子「それは…何か、探し物とか?」
唯「それなら鍵をかけなくてもいいんじゃないかなぁ」
さわ子「そうねぇ…」
さわ子「あ、じゃあ…何か見られたくないものがあったとか」
唯「見られたくないもの?」
さわ子「そう、何かはわからないけど…みんなに見られて恥ずかしいものがあったんじゃないかしら」
さわ子「それなら鍵をかけておいたのにも納得いくんじゃない?」
唯「確かにそうだとしたら一応の説明はつくよね~…」
唯「でも恥ずかしいものってなんだろう」
さわ子「さぁね、澪ちゃんは恥ずかしがりだし。想像もつかないものかも」
唯「ま~どっちにしても澪ちゃんが目を覚ましたら、事件は解決だよ」
さわ子(くっ…そう、どうごまかしたところで澪ちゃんが目を覚ましてしまえば全てがバレてしまうわ)
さわ子「…そうね」
唯「でも、いま澪ちゃんの目が覚めちゃったらおもしろくないんだよね~」
さわ子「おもしろくないってねぇ…」
唯「あれ…?先生、あんまり気分が良くないの?」
さわ子「え…?いや、大丈夫よ」
唯「顔色があんまり良くないけど…」
さわ子「み、澪ちゃんのことが心配なのよ」
唯「そりゃ心配だよね…、早く目が覚めるといいねぇ」
さわ子「……」
梓「平畑さん!」
唯「ん?どうしたの?」
梓「ムギ先輩から今メールが届いて、澪先輩が目を覚ましたそうです!」
さわ子「な…」
唯「なんと!」
梓「何事もなかったみたいで、よかったです…」
さわ子「そ、そうね…」
唯「ぶー、いま澪ちゃんが目を覚ましちゃったらわたしの出番がないじゃん」
唯「澪ちゃんにもうちょっと眠っといてって言っといてよ~」
梓「なに言ってるんですか…」
梓「とにかく保健室に行きましょう!」
さわ子「え、ええ」
梓「澪先輩に話を聞けば事件は解決ですね」
唯「わかってないなぁ、わたしが解決するから意味があるんだよ~」
梓「はいはい、わかりましたから。行きますよ」テクテク
唯「あぁん…ちべたい…ちべたいよ、あずにゃん寺くん」
さわ子(終わった…)
【保健室】
ガラガラ
唯「失礼しまーす」
梓「失礼します」
さわ子「…失礼します」
紬「ああ、みんな」
唯「澪ちゃんが目を覚ましたんだって?」
律「ああ、まぁ…覚ますことには覚ましたんだけど…」
梓「何かあったんですか?」
紬「覚えてないらしいの」
さわ子「ええ!?」
唯「覚えてない!?」
梓「ま、まさか記憶喪失ですか!?」
律「いやいや」
紬「自分がどこの誰だとか、そういう記憶はしっかりしてるんだけどね」
紬「どうして倒れてたのかとか、部室に着いて以降のこと覚えてないみたいなの」
さわ子(こんなことってあるかしら…!)ホッ
唯「こんなことってあるのかな…!」キラキラ
梓「なに考えてるんですか…?」ジトー
唯「…はっ!よ、よかったねぇ~、澪ちゃんになにごともなくて!うんうん!」アセアセ
梓「それで、澪先輩は今どこに…?」
律「ああ、そこのカーテンの向こうで、まだ横になってるよ」
唯「とりあえず澪ちゃんに話を聞いてみよう」
シャッ
梓「澪先輩!」
澪「ああ、梓…」
さわ子「だ、大丈夫なの?澪ちゃん」ドキドキ
澪「先生…」
さわ子「……」ドキドキ
澪「大丈夫です、心配かけてすみません」
さわ子「そう…」ホッ
唯「澪ちゃん、今回の事件の捜査を担当する平畑唯三郎です。よろしく~」
澪「…?」
澪「…なぁ梓、私の記憶が間違ってるのかな。どう考えても目の前の人物は平沢唯のはずなんだけど」
梓「いやぁ…えと、いろいろありまして…」
唯「むっふっふ」
唯「ねぇ澪ちゃん、本当に倒れたときのこと、なんにも覚えてないの?」
澪「ほんとに覚えてないんだよ…私、倉庫で倒れてたんだって?」
梓「はい、側のラジカセで大音量の音楽を鳴らして」
梓「なにをやってたのか、覚えてないんですか?」
澪「うーん…ダメなんだ、部室に行って以降の記憶がさっぱり…」
唯「む、無理に思い出すことはないよ!うんうん!」
さわ子「そうそう、記憶が飛ぶなんて相当衝撃的な出来事だったんだろうし」
さわ子「なんにしても、本当によかったわ!何事もなくて…!」ガシッ
澪「は、はぁ…」
さわ子「もしもうちの部員に何かあったら、親御さんになんてお詫びをしたらいいか…」
さわ子「じゃ、もう少し休んでなさい。もし体調が悪いようだったら、親御さんに連絡するけど…」
澪「ありがとうございます。でも大丈夫です、少し休んでから部室に戻ります」
さわ子「そう…ならゆっくり休みなさい」
さわ子「ほら、行くわよ」
唯「はーい」
梓「お大事に、澪先輩」
澪「ああ、ありがとう」
シャッ
さわ子「あれ?ムギちゃんは?」
律「部室に澪の荷物を取りに行ったよ」
さわ子「あら、本人はもう少し休んでから部室に戻るって言ってたけど…」
律「あり、そうなの?あちゃー、じゃあ取りに行ってもらわなくてもよかったか」
さわ子「わたしたちも戻るけど、りっちゃんはどうするの?」
律「あたしはもう少しここにいるよ。まだ心配だしさ」
さわ子「じゃあお願いね。もし何かあったら知らせてちょうだい」
律「あーい」
ガラガラ
さわ子「~♪」
唯「さわちゃんご機嫌だね~♪」
さわ子「あなたもそう見えるけど?澪ちゃんに何事もなかったんだから、喜んで当然でしょ」
梓「ほんとによかったです。私も安心しました!」
唯「う~ん。でも澪ちゃんの記憶がないとなると、また捜査は振り出しだなぁ~。困ったなぁ~」
梓(全然困ってるように見えない…)
さわ子「まだそんなこと言ってるの?」
唯「だって、まだなんの謎も解決してないよ?」
唯「説明のつかないことが多すぎるんだよね~」
さわ子「ちょっと…」
唯「なんで澪ちゃんが倉庫に入ってたのかがわかんないし…」
さわ子「待ちなさいよ…」
唯「どうして部室に鍵をかけてたのかもまだ…」
さわ子「いい加減にしなさい!」
唯「はいぃ!」ビクッ
さわ子「いつまでも探偵ごっこやってないで早く帰りなさい!だいたいねぇ唯ちゃん」
唯「唯じゃなくて平畑…」
さわ子「あぁん?」ギロッ
梓(こわっ!)
唯「ごめんなさいなんでもないです」
さわ子「とにかく、今日はもう練習できないでしょう。澪ちゃんもあんな状態だし、エリザベスだってまだ弦張ってないままでしょ。それに今日も…」
唯「そうなんだよねぇ…エリザベスの弦が張ってなかったのも気になるんだよねぇ」
さわ子「はぁ?」
梓「どういうことですか?」
唯「二人は知らないかもしれないけど、澪ちゃんも昨日エリザベスを置いて帰ったのがよっぽど寂しかったみたいでさぁ」
唯「わざわざ一時間目の前に部室にまでエリザベスに会いに行ったんだよ」
唯「エリザベス…って言って頬ずりまでしてたんだから」
さわ子「そんなことまでしてたの…」
梓「意外です…澪先輩が…」
唯「それなのにさ、その日のうちにだよ?弦を張り替えてる途中のエリザベスをほっといて別のことをするなんて、考えられないんだよね~」
唯「わたしだったら、ギー太をそんなあられもない姿のまんまにして側を離れたりしないけどなぁ」
さわ子「そりゃ、あなたならそうかもしれないけど…」
唯「あずにゃん寺くんだってそうだよね?」
梓「それは、まぁ…確かにそうですね。私もよっぽどのことでもなければ、弦交換の途中でむったんをほったらかしにはしないと思います」
さわ子「むったん…?」
梓「はっ!な、なんでもないです!///」アタフタ
唯「ほらね。澪ちゃんだっておんなじだと思うよ」
さわ子「…そうね。けどもしかしたらエリザベスをほっとくぐらいのよっぽどの用事が倉庫の中にもあったのかもしれないじゃない」
唯「う~ん、ほんとにそうかなぁ…」
さわ子「とにかく、天気だって悪いし。雨もこれから酷くなるらしいから、遅くならないうちに早く帰りなさい」
唯「はーい」
カツカツカツカツ…
梓「唯先輩…ほら、もう行きましょう」
唯「平畑さんだよ~」
梓「まだ言ってるんですか…。先生にも言われたじゃないですか、もう探偵ごっこはやめましょうよ」
唯「そんなことよりあずにゃん寺くんや」
梓「もう…なんですか?」
唯「ムギちゃんに会いに行こう。ちょっと確かめたいことがあるんだ~」
梓「ムギ先輩ならまだ部室じゃないかと…」
唯「よし、行こう」トタトタ
梓「あ、待ってください」
【部室】
唯「ムギちゃん!」ガチャッ
紬「あ、ちょうどよかった二人とも」
紬「どうしよう、エリザベス…弦が張ってないままなんだけど、このままケースに入れちゃってもいいのかなぁ?」
紬「私、弦楽器のことはよくわからなくて…」
梓「澪先輩あとで部室に戻って来るって言ってましたから、そのままで大丈夫だと思いますよ」
紬「あら、そうだったの。だったら荷物は持って行かなくてもよかったのね」
唯「そんなことより、ムギちゃんにちょっと確認したいことがあるんだけどね」
紬「なぁに?」
唯「倉庫から部室に入ったとき、ここに何か落ちてなかった?」
紬「え?」
唯「なんでもいいんだ。見慣れないもの」
紬「いや…別になにも…」
唯「ほんとに?」
梓「平畑さん、どうしたんですか?」
唯「大事なことなんだよ!」
紬「…大事なこと?」
唯「うん!」
紬「…うーん」
紬「内緒にしておくつもりだったんだけど」ガサッ
紬「実はこれが床に…」ピラッ
梓「えっ…これって…?」
唯「…むっふっふ」
唯「ちょっと出てくるよ」
唯「ムギちゃん!これ借りていくね!」
紬「え、ええ」
ガチャッパタン
梓「…どうしたんでしょう、平畑さん」
紬「さぁ…」
【保健室】
ガラガラ
唯「ピカ泉くん!澪ちゃんは?」
律「澪ならまだ横になってるけど、どうしたんだ?」
唯「ちょっと話があるんだ」
律「話ぃ?」
シャッ
唯「澪ちゃん!」
澪「ど、どうしたんだよ、大きな声出して…」
唯「ごめんごめん。実はちょっと確かめたいことがあってさ~」
唯「えっと、どこにいれたっけな~」ゴソゴソ
澪「…?」
唯「あ~、これこれ!これ、澪ちゃんのだよね?」ピラッ
澪「っ!!?」
律「なんだよそれ…作文?」
唯「澪ちゃん、どうなの?」
澪「…それは、その」カァ…
律「ちょっと見せてみろって」ヒョイ
律「なになに…?ぶっ!」
律「こ、これって…!ぶはっ!」
澪「~!」カアァ~!
唯「澪ちゃんのなの?」
澪「…ん///」カァ…
唯「澪ちゃんが書いたんだね?」
澪「そ、そうだよ!///」カアァ…
唯「ありがとう」ニッコリ
澪「う~ん…」プシュ~…パタリ
律「くくっ…!あっ!澪!」
唯「澪ちゃんありがとう、助かったよ!」トタトタ
澪「」
律「しっかりしろ、澪!澪~!」
今日はここまでで一旦締めます。明日の午後にでも再開します。
乙
けいおん懐かしい
また古畑の再放送やってるからタイムリーやで
おつ
再開します
>>62-63
ありがとうございます
【三年三組教室】
さわ子「戸締まりの確認はOK…っと」
さわ子「さて、職員室に戻ろうかしら」
唯「さーわちゃん」ヒョコッ
さわ子「どわぁ!」ビクッ
さわ子「あ、あなた、神出鬼没すぎるわよ!」ドキドキ
唯「えへへ、ごめんごめん」
唯「実はさわちゃんに確かめておきたいことがあってさぁ」
さわ子「なによ?」
唯「今日の放課後、さわちゃんはなにしてたの?」
さわ子「…ちょっと待って、それってまさか」
さわ子「私のアリバイがあるかどうか、確認しに来たわけ?」
唯「いやいや~、こんなの形だけだってばぁ」
さわ子「…ホームルームが終わったら、校舎内の見回りをして、そのあとは吹奏楽部の練習を見に第二音楽室まで行ったわ」
さわ子「それで職員室まで戻ったときに、澪ちゃんが保健室に運ばれたって話を聞いたのよ」
唯「第二音楽室に行ったのは何時頃かわかる?」
さわ子「四時過ぎ頃…かな?見回りは二十分ぐらいだったし」
唯「ふむふむ。ちなみに校舎を見回ってるときは一人だった?」
さわ子「見回りなんてペアでやらないわよ。今だってそうでしょ?」
唯「なるほど~、そりゃそうだ」
さわ子「…やっぱり疑ってるわね私のこと」
唯「どうしてお茶するより先に吹奏楽部の練習を見に行ったの?さわちゃんらしくないよね?」
さわ子「失礼ね!吹奏楽部の大会が近いから、先に向こうに顔を出しに行ったのよ」
唯「そんな怒んないでよ~」
唯「それよりちょっと気になってたことがあるんだけどさぁ」
唯「どうして職員室からまっすぐ部室に来たの?」
さわ子「どういうこと?」
唯「だからさぁ、澪ちゃんが倒れたって聞いて、どうして部室に来たのかなぁって」
さわ子「どうしてって…澪ちゃんが倒れたって聞いたら、そりゃあ心配になるでしょ。おかしいことかしら?」
唯「でも保健室に運ばれたってこと知ってたんだよね?部室より保健室の方が近いよ?」
唯「心配だったんなら、どうして先に保健室に行かなかったのかなぁって気になってね~」
さわ子「…私が澪ちゃんがなぜ倒れたのか知ってたから、保健室に行かなかったんじゃないかって疑ってるのね」
唯「そんなぁ、誤解だよさわちゃん!わたしはただどうしてかなぁって思っただけで…」
さわ子「いいわ。私が澪ちゃんを気絶させた犯人だとしましょ?」
唯「ちょっと待ってよわたしそんなこと一言も…」
さわ子「まぁいいから聞きなさいよ」
さわ子「でも私が犯人だとしたら、どうやってあの密室から抜け出したのかしら?」
さわ子「確か合唱部の子たちは、ラジカセの音に驚いて飛び出してきたのよね?」
唯「うん」
さわ子「あのラジカセは私の先輩よりさらに前の代から使っていたものらしいから、当然タイマーなんて付いてないわよ」
唯「そうだよねぇ」
さわ子「それに入っていたのも私たちが録音したテープなんだから、当然そっちにも細工はないはず」
唯「うんうん」
さわ子「ほかにラジカセのスイッチを押せそうな細工の痕跡はあったの?」
唯「それがまだ見つかってなくて…」
さわ子「だったらあのラジカセのスイッチは、誰かが直接押したってことよね」
唯「今のところはそうなるよね」
さわ子「普通なら澪ちゃん自身がスイッチを押して、流れたわたしたちの演奏に驚いて気絶したって考えるのが一番現実的だけど」
さわ子「誰かが密室のラジカセのスイッチを押したって言うのなら、その方法はなんなのかしら?」
さわ子「犯人が直接押したって言うのなら、いったいどうやってそこから抜け出したって言うの?」
唯「うーん…それがまだわかんなくて…てへへ」
さわ子「その方法がわからないんなら、お話にならないわね」
唯「でも、逆に言えばその方法さえわかれば事件は解決すると思うよ」
さわ子「…言うじゃない。まぁ頑張りなさい」
唯「どこ行くのさわちゃん?」
さわ子「職員室よ。まだいくつか仕事が残ってるの」
さわ子「ま、下校時間までにトリックを解くことね」
唯「えへへ、解けたら真っ先に知らせに行くね!」
【部室】
唯「む~…」
梓「…平畑さん、まだ悩んでるんですか?」
唯「な~んか方法があるはずなんだけどなぁ」
紬「ほんとに探偵さんみたいね~」
唯「えへへ、そうかなぁ」
紬「はい、お茶でございます名探偵」キリッ
唯「うむ、いただこう」キリッ
唯「う~ん、密室のトリックさえ解ければなぁ…」
梓「倉庫をどれだけ探しても、トリックに使えそうなものや仕掛けはなかったじゃないですか」
梓「そうやって何でもかんでも事件にしたがるのはよくないと思いますよ」
唯「う~ん…」
ゴクゴク
唯「ん~うまいっ!」
梓(聞いてない…)
紬「まぁ、ありがとう♪」
唯「わたしのバリケードな脳細胞を活性化させるのはムギちゃんの入れた紅茶だけだよぉ」
梓「それを言うならデリケートですよ…」
唯「あれぇ、そうだっけ~」
梓「どっちにしても平畑さんの脳細胞はデリケートとはかけ離れてると思いますけどね」
唯「はぅっ!あずにゃん寺くんしどい…」バタッ
唯「あぁあ~、犯人の目星はついたんだけどなぁ」ポツリ
梓「ええっ?まさかそんな…冗談ですよね?」
紬「誰なの?」
唯「密室の謎が解けてないからね~。迂闊なことは言えないよぉ」
ガチャッ
律「うう…」ポタポタ
梓「わっ!どうしたんですか律先輩!」
紬「ずぶ濡れ…大丈夫?」
律「大丈夫大じょ…いっきし!」
律「…じゃないかも」
唯「どうしたのさぁピカ泉くん」
律「ズズッ…いや、それが渡り廊下から雨の様子見てたらさ、雨どいからいきなり雨水が溢れてきちゃって…ふぁ…」
律「ハックション!」
紬「いけない、風邪引いちゃうわ」
梓「着替え持ってないんですか?」
律「着替えって言っても、今日も体育ないし…」ブルブル
紬「あっ!そうだわ」
紬「倉庫の中に、制服に似た衣装があったはずよ」
唯「あ~、それわたしも一昨日見た気がする」
梓「どうしてそんなものが倉庫にあるんですか?」
紬「前に先生が衣装を持ち込んだときにね、桜高の制服に似せた衣装も持ってきてたのよ。制服をアレンジした衣装も作ってみたのって言って」
梓「なに考えてるんですか…」
紬「帰りに着て帰るぐらいなら大丈夫じゃないかなぁ」
律「なんでもいいや、持ってきてよ」ブルブル
紬「ちょっと待っててね、探してくるから」
梓「私も手伝います」
紬「あれー、おかしいなぁ」ガサガサ
梓「見当たりませんね…」ゴソゴソ
律「ないのー?」
紬「一昨日唯ちゃんの着替えを取りに入ったときには確かにあったのに…」
梓「そういえばこの前は平畑さんがずぶ濡れになったんですよね」
梓「…って、少しはまともな着替えがあったんならどうしてメイド服なんて着せたんですか…」
紬「唯ちゃんが『メイド服がいい』って聞かなくてね~」
梓「はは…」
紬「昨日も倉庫に入ったときにはここにかかってたはずなのよ。おかしいなぁ…」
律「あーもうなんでもいいからさ、ほかに着て帰れそうなやつ持ってきてよ」ブルブル
紬「じゃあ…これは?バニーガールとか」
梓「こっちはどうですか?チャイナドレス」
律「まともなのないんかい…」
唯「あはは、だってしょうがないじゃん。探してた衣装がないんだし…」
唯「…!」
律「だーっ!もっとほかの衣装持ってきて!」
梓「えっと…、それじゃ、前にムギ先輩が着てたナース服とか?」
紬「あっ、さわ子先生の昔の衣装なんてどう?」
律「もうこのまま帰ろっかな…」
唯「…むっふっふ」
律「あん?唯~、なにがおかしいんだよ~」
唯「平畑さんだってばぁ。そんなことよりピカ泉君、お手柄だよ」
律「はぁ…?」
パチッ
梓「なんでいきなり電気消すんですか」
唯「あずにゃん寺くん、これでちょっとわたしを照らしてくれる?」
梓「はぁ…」
カチッ
紬「懐中電灯…?」
唯「えー、これで密室の謎は解けました!」フンス
律「え…ちょっと、唯さーん?」
唯「ヒントはズバリ、消えた衣装」
梓「ムギ先輩…この人はいったいどこに向かってしゃべってるんですか?」
唯「むっふっふ~、察しのいい皆さんならもうおわかりですよね?」
紬「さぁ…どうしちゃったのかしら…」
唯「ふふふ、やっぱりわたしって名探偵かもぉ」
律「なに一人で照れてんだよ」
唯「下校時刻が近いのでこの辺で。平畑唯三郎でした!」
一旦ここで終了します。また夜中に再開します。
乙
これは面白い。解決編が楽しみ
再開します、解決編です
>>80
ありがとうございます
お待ちしておりました
【職員室】
教師「じゃ、先に上がりまーす」
さわ子「お疲れ様でした~」ニコニコ
バタン
さわ子「はぁ…バタバタしてたせいで全然今日の仕事片付いてないわ」ゲッソリ
さわ子「あとは家に持って帰ろうかしら…」
コンコン
唯「失礼しま~す」
さわ子「あら…まだ帰ってなかったの」
唯「えへへぇ、ごめんなさい。実は提出物出すの忘れちゃってて」
さわ子「提出物?」
唯「はい、進路調査票です!」
さわ子「へぇ、あなたらしくないわね…期限前に提出物を出しに来るなんて」
唯「今日のわたしはひと味違うのです」フンス
さわ子「いつもこうだったら助かるんだけど。どれどれ?」
さわ子「第一志望…名探偵?」
唯「えへへへ」
さわ子「ふふふふふ」
唯「どうですか!?」キラキラ
さわ子「やり直し!」
唯「ええ~!」
さわ子「まじめに考えなさい」
唯「わたし本気なのにぃ」
さわ子「まったくあなたって子は…」
唯「だってわたし、今日の事件解決したんだよ?」
さわ子「…なんですって?」
唯「密室のトリックが解けたんだよ!」ピース!
さわ子「はは、まさか…」
唯「あ~っ疑ってる!ほんとだよ~」
さわ子「何かトリックの仕掛けでもあったの?」
唯「仕掛け?いいや、なかったよ」
さわ子「だったら」
唯「むしろ何かがあったってことよりもなくなってた、ってことが重要なんだよ」フンスッ
さわ子「どういうことよ」
唯「さっきね、ピカ泉くんがずぶ濡れになっちゃったんだ~」
唯「渡り廊下から外見てたら、いきなり雨どいから雨水が溢れてきちゃったんだってさ。おマヌケさんだよねぇ」
さわ子「それがどうしたの」
唯「まぁまぁ焦んないでよ~。それでね、ムギちゃんとあずにゃん寺くんが着替えを探してあげたんだ」
さわ子「それで?」
唯「ムギちゃんは制服みたいな衣装があったって言って探してたんだけど、結局見つからなくてね」
唯「とうとうピカ泉くん、メイド服を着て帰ることになっちゃったんだよ~」
さわ子「衣装作った私が言うのもなんだけど、さすがにあれを着て帰るのはどうかと思うわね…」
唯「だよねぇ。でも大事なのはそこじゃないんだぁ」
唯「問題はね、なんでその制服みたいな衣装がなかったのかなぁ、ってとこなんだよね」
さわ子「ムギちゃんの勘違いだったんじゃないの?」
唯「そんなことないと思うよ。だってわたしも一昨日、いろいろ着替えを選んでるときにその衣装見たんだもん」
唯「さわちゃんが作ったんでしょ?ほんとに制服そっくりだったね~、ちょっとスカートが短かったけど…」
さわ子「そりゃどうも」
唯「ムギちゃんは昨日もその衣装を見てるんだって。つまりね、その衣装は今日のうちになくなっちゃったってことなんだよ」
唯「不思議だと思わない?さわちゃん」
さわ子「そうね。でもそれが密室とどう関係があるのかしら?」
唯「むっふっふ~、知りたい?」
唯「どうしてもって言うなら教えてあげないでもないけど~…」
さわ子「…まぁ別にいいわ」
唯「あぁん、さわちゃんのいけず~」
さわ子「で、なんなのよ?早く言ってみなさい」
唯「衣装はねぇ、犯人が着て行っちゃったんだよ」
さわ子「へぇ…なんのために?」
唯「ムギちゃんが部室の前にいたとき、ラジカセの音に驚いた合唱部の子たちが音楽室から飛び出してきたって言ってたでしょ?」
唯「そのとき、犯人も倉庫から出てきて、合唱部の子たちと一緒に飛び出してきたんだよ!」
唯「倉庫にあった衣装を着てね!」
唯「着てた服を置いていくわけにはいかないし、きっと上から衣装を着たんじゃないかなぁ」
唯「そうなると犯人はすっごく着太りしてたはずなんだ。身だしなみに気を遣う人なら恥ずかしかっただろうね~」
さわ子「ふふ…おもしろいじゃない」
さわ子「でも、それを私がやったっていう証拠はあるのかしら?」
唯「ええっ?ちょっと待ってよ、わたしさわちゃんがやったなんて一言も…」
さわ子「わかるわよ」
さわ子「でもね、密室のトリックが仮にそうだったとして、私がやったって証拠はないでしょう?」
さわ子「その方法ならりっちゃんや梓ちゃん、それにあなたにだって…」
唯「さわちゃーん、それだと消えた衣装の説明がつかないじゃん」
唯「ピカ泉くんやあずにゃん寺くんだと、わざわざ着替える必要がないよ」
唯「だからね、制服を着る必要があって、それに制服姿にあまり違和感がない人ってなると、この学校の中だともう一人しか思いつかないんだよねぇ」
さわ子「…それが私ってわけね」
唯「えへへ~」
唯「着太りして体型をごまかして、しかも眼鏡を外せば、出てくる合唱部の子たちに紛れ込んでもさわちゃんだって気づかれないと思うんだよねぇ」
さわ子「…まぁ制服姿に違和感がないってところは褒め言葉として受け取っておくわ」
唯「全然ないわけじゃないよ」
さわ子「うるさいわね」
さわ子「確かにこの学校の関係者で、さらに生徒以外で制服姿が似合うのは私だけかもしれない」
さわ子「けど、さっきも言ったとおり証拠よ。それがないわ」
さわ子「まさかとは思うけど、制服姿に違和感がないってだけで私を犯人だって決めつけてるんじゃ…」
唯「ねぇ、わたし気になってたんだけどさぁ。どうして弦が張ってないこと知ってたの?」
さわ子「は?」
唯「ほらさわちゃん、わたしに『探偵ごっこはやめなさい!』って怒ったときにさ、言ってたじゃん」
唯「澪ちゃんもベースもあんなだし、天気も悪いから早く帰りなさいって」
さわ子「…私がエリザベスの弦が張ってなかったことを知ってたのが証拠って言うわけ?」
唯「えっ?あー、いやぁ~…あはは」
さわ子「甘いわよ」
さわ子「私がさっき部室に入ったとき、エリザベスの弦は張ってなかったわ。確かに見たもの」
唯「あれ~、そうだったっけ…」
さわ子「あなたまさか、そんなくだらないことで私を犯人にしようって言うんじゃないでしょうね?」
唯「……」
さわ子「ほら、なにか言ってみなさい?(勝った…!)」
唯「…えへへ」
さわ子「…なにがおかしいの?」
唯「さわちゃん。エリザベスって名前、なかなかいいと思わない?」
さわ子「なによいきなり…」
唯「あれってね、昨日わたしが付けた名前なんだよ」
さわ子「へぇ…そうだったの。あれはてっきり澪ちゃんが」
唯「さわちゃん。どうして澪ちゃんのベースの名前がエリザベスだってこと知ってるの?」
さわ子「…え?」
唯「どうして?」
さわ子「それは、その…」
唯「さっき怒られたとき、私がほんとに気になってたのはそこなんだよ」
唯「澪ちゃんが自分で教えるはずないから、きっと澪ちゃんの書いた詩を見たんでしょ?」
さわ子「……」
唯「えっと…どこやったっけ…あぁ、あったあった」ゴソゴソ
唯「この詩だよね」ペラッ
唯「今週さわちゃんは部室に来てなかったから、昨日わたしが『エリザベス』って名前を付けたことは知らないはずだし」
唯「澪ちゃんが見つかったあとはムギちゃんがこの詩をずっと持ってたから、さわちゃんがこの詩を見る機会はないよ」
唯「だから、さわちゃんがエリザベスって名前を知ることができたのは、今日の放課後、澪ちゃんが一人で部室にいたときしかなかったと思うんだけど」
唯「どうかなぁ?」
さわ子「…っ」
唯「あ、ちゃんと証人もいるよ。わたしだけじゃなくてあずにゃん寺くんも聞いてたからね」
さわ子「…ムギちゃんかりっちゃんからエリザベスって名前を聞いたのかも」
唯「むっふっふ、それはありえないよ~」
唯「わたしたち、今朝澪ちゃんに凄く怖い顔で『エリザベスって呼んでたことは誰にも言うなよ』って言われたんだもん」
唯「もしさわちゃんにでも言ったなんてばれちゃったらどうなるか…」
唯「むっふっふ、以上です」
唯「どう!?さわちゃん!」
さわ子(…言い訳が、なにか…!)
さわ子「……」
唯「……」ジー
さわ子(…思いつかない)
さわ子「…お手上げよ、まさかあなたに追い詰められるなんてね」
唯「えっへん!」フンスッ
さわ子「恥を忍んで学生時代の黒歴史を流して…制服のコスプレまでしたって言うのに」
さわ子「澪ちゃんの記憶がないって聞いた時は逃げ切れると思ったんだけど」
唯「残念でした~」
さわ子「…どこから私に目を付けてたの?」
唯「ええ?うーん…」
さわ子「結構早いうちから私のこと疑ってたでしょ」
唯「そうだなぁ…なんとなく、かなぁ?」
さわ子「は?」
唯「いや~、掃除中にみんなの役はどんなのか考えてたんだけどさぁ」
唯「そのときさわちゃんは犯人役っぽいなぁって思ってたんだよねぇ」
さわ子「あなたねぇ…」
唯「えへへ、じょうだんだよぉさわちゃん」
唯「ほんとはちゃんとした理由があるんだぁ」
さわ子「もったいぶらずに言いなさいよ」
唯「あのね、教えてくれたのはトンちゃんなんだよ」
さわ子「トンちゃん…?」
唯「あずにゃん寺くんがエサをあげたときにね、いつものトンちゃんなら五粒全部食べちゃうのに、今日は二粒だけしか食べなかったんだよね」
唯「だからわたしたちが来る前に、誰かがトンちゃんにエサをあげたのかなって思って」
さわ子「けどそれなら、澪ちゃんがあげたのかもしれないじゃない」
唯「それはないよ」
唯「澪ちゃんね、まだトンちゃんのこと怖がってるから、一人でエサあげられないんだ~」
唯「だからね、あの時間帯にトンちゃんにエサをあげることを覚えてるのは、わたしたちの他にさわちゃんしかいないんだよ」
さわ子「…じゃあ私は会う前から疑われてたってわけか」
さわ子「慣れないことするもんじゃないわね」
唯「そうだよ~、もうおしとやかキャラなんて慣れないことはやめようよ」
さわ子「それは関係ないわよ!」
唯「えへ、ごめんごめん」
唯「それじゃ、行こうか」
さわ子「…ええ」
さわ子「って、どこへ?」
唯「どこへって、謝らないと。澪ちゃんに」
さわ子「ああ…そうね」
唯「じゃ、行こ!」
唯「ふーふーふふーふーふふーふーふふ~ん♪」
さわ子「なによその鼻歌」
唯「エンディングだよ!」
唯「ふーふーふふーふーふふーふーふふ~ん♪」
END
【後日談・部室】
梓「すごいですね唯先輩、まさかほんとに事件を解決しちゃうなんて!」
唯「むっふっふ、わたしはやればできるのです!」フンスッ
梓「その『やれば』をいつもの練習でもやってくれればさらに見直すんですけどね」
唯「えへへぇ、もっと褒めてぇ」
梓「今のは褒めるニュアンスで言ってませんよ…」
唯「みゅあんす?」
梓「『みゅ』じゃありません、ニュアンスです」
唯「あー、『にゅあんしゅ』かぁ」
唯「で、どんな意味なの?」
梓「もういいです…」
唯「えぇ~」
紬「ほんとに名探偵だね、唯ちゃん」
唯「いやぁ、それほどでも~」デレデレ
紬「次は断崖絶壁の上で犯人を追い詰めようね!」
唯「え~、それは怖いよぉ」
律「まぁあたしは最初っからさわちゃんが怪しいと思ってたけどな!」
ペチン!
律「いてっ!」
唯「あれだけ事故事故言ってたくせにぃ」
律「デコを叩くなデコを!」
紬「まぁまぁまぁ」
梓「まったく…唯先輩に振り回されるこっちの身にもなってくださいよ」
唯「ごめんねぇ、あずにゃん」
唯「でもさ~、なんだかんだ言いながら、あずにゃんは最後までわたしのことを『平畑さん』って呼んでくれたよね~」
梓「えっ?そ、そうでしたっけ…」
紬「助手として一緒に動いてたし、倉庫でトリックの仕掛けを探すのも手伝ってたし」
律「梓も案外ノリノリだったんだよな~」
梓「…///」
唯「それでこそちっちゃくて優秀なわが部下、あずにゃん寺くんだよ!」
梓「や、やめてくださいよっ!もういいじゃないですか、事件は解決したんだし///」
梓「そんなことより…」チラッ
律「ああ…」
澪「……」チーン
紬「澪ちゃんは恥ずかし~い詩がみんなにバレちゃったし」
澪「…ははは」
さわ子「……」チーン
律「さわちゃんは罰として一週間ケーキ抜きだし…」
さわ子「…ふふふ」
律「解決しても誰も幸せにならない事件だったな…」
唯「知らない方がいい真実って言うのもあるんだね…勉強になったよ」
唯「やっぱりわたし、名探偵はいいや~」
律「じゃ、進路どうするんだよ」
唯「う~ん…そうだなぁ…」
唯「まぁ、のんびり考えるよ~」
律「おいおい…ってあたしも人のこと言えないけどさ」
紬「ゆっくり考えればいいと思うよ」
梓「けっきょく進路調査票、白紙に戻っちゃいましたね」
END
以上で終了です。突っ込みどころもあるかもしれませんが、ここまでお付き合いくださってありがとうございました。
おもしろかったよあずにゃんデラックスくん
おつ
乙です
ギャグかと思ったら日常ミステリだった
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません