俺の気持ち(ニセコイSS リベンジ) (33)
初めての人は初めまして、もしかして知ってる人がいるならお久し振り!……そして勝手にエタってすんませんでした!
このSSはタイトル通り自分が書いて、エタってしまったニセコイSSのリベンジとなっています。
メインヒロインはマリーです。
結局殆ど出せなかったマリーですが今回は頑張ります!
ところで復帰のキッカケですが
ニセコイ二期放映間近
まとめで続きを望んでいる方が多かった
が大きな要因です(あと期待タグの多さにも驚きました、現金な奴で申し訳ない)
では、叉も申し訳ないですが自分の力量ですと最初からやりますとまたエタりそうなんで続きから書きます、リンクは次レスに貼ります
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1425407097
俺の気持ち(ニセコイSS)
俺の気持ち(ニセコイSS) - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1398019316/)
こちらになりますね
取り敢えず開始は昼以降になります、おやすみなさい
千棘「……」
鶇「……」
一瞬の静寂、それは気を抜けば相手に先手を取られ死ぬ事。
私とお嬢、両者が静かににらみ合い……同時に動いた。
千棘「……ッ!」
鶇「くっ……」
パンッと乾いた音が鳴るその瞬間にバック転で危機一髪避けたーーとは言うものの完全に避けられた訳では無かった。
肩から血が出ていた。
しかもかなりの量だ。
千棘「チッ……まぁいいわ。この銃弾はビーハイブにある銃弾でも最強クラスの殺傷性能を兼ね備えてるの」
千棘「意味ーー分かるわよね?」
この人は本気で殺しに来ている、改めて痛感させられた。
鶇「でしたら私は、お嬢の目を覚まさせないといけません」
自分の命を懸けて守り通すと決めたから。
だから、自分のせいでもあるが止めないと、正しい道へ戻さないといけない。
千棘「私の目を覚まさせる前にアンタが一生眠りそうだけど?しかも後銃弾は5発残ってるわ」
5発……つまりそれを避けきればいくら身体能力に秀でているお嬢と言えど私が勝てる!
全弾……避けてみせるっ!
昼以降と発言しながら真夜中更新で申し訳ない……ストックとか無いんでその時々で即興なんですよね……
力量の無さが恨めしい(´д`|||)
千棘(アイツ……全弾避けきる気なの?)
アイツは昔からいつもそうだ。
無理だと分かっていても突っ込んでくる。
最初会った時はひ弱だった癖に、今では格闘じゃ勝てない程。
何でも出来た私に挫折を味あわせた。
そして今、コイツは私の目の前に立ち塞がっているーー今度は私に『絶望』を味あわせる為に。
正しい道?ふざけるな、正しい道は私が決める。
正しい道を開拓したその私の後ろを歩いていれば良かったのに……
千棘「昔から私はアンタが嫌いだった、大嫌いだったーー今も変わらずね」
鶇「お嬢!目を覚まして下さい!今ならまだ、お嬢なら戻れます!」
自分はもう戻れない癖して私なら戻れる?
本当、幸せな脳ミソね。
千棘「ーー反吐が出るわ」
鶇「お嬢!!」
千棘「うるさいのよ!アンタに私の何が……何が分かるのよ!?」
しまったーーそう思った時には遅かった。
気付いたら2発目を勢いで撃っていた。
2発目……鶇の髪を掠めるもそれ以上の被害は無し
sagaいれたら
はっきり言って2発目を完全に避けられたのは良い意味で誤算だった。最初の予定では腕一本を盾にするのは仕方ない事だと覚悟していた。
それは今も変わらないが。
鶇(とにかく今は次の回避行動に専念せねば)
生憎外した事に動揺しているお嬢だが銃を持っている事に変わりはない。
迂闊に近付けば致命傷を負いかねない為、近付く事はまず残弾を全て避けてから考えるべきだろう。
次の回避行動への準備が出来ただけマシとしよう。
千棘「……ハッ。一発避けたくらいで調子に乗らないでよ」
鶇「私はいつでも全力です」
明らかに声が上ずっている。
額に脂汗を掻き、憎しみに顔を歪めるお嬢の姿は――見るに堪えかねるものだった。
千棘「その態度が……その態度がムカつくのよ!」
鶇「ええ何とでも言って下さって構いません」
ここまで来ると最早子供の我が儘にしか見えなくなってきた。
一条楽の何がお嬢を狂わせたのか、それは分かっている。
同じように、一条楽に恋を『していた』のだから。
でも、だからこそ、目を覚まさせる義務が私には――
千棘「アハッアハハハハハハハハ」
そんな私の思考を遮る様に、お嬢が狂った様に笑いだした。
それは10~15秒程度続いて、笑い終えたお嬢の顔は今まで以上の憎悪感に満ちていた。
千棘「良いわ、だったら――」
千棘「アンタの大切なものから奪ってあげる」
お嬢は躊躇無く銃口を向け撃ち放った。
しかしそれは私の横を過ぎて行くだけ。
一瞬何がしたかったのか問おうとして
「があああああっ!?」
後ろから悲鳴が聞こえた。
思考が刹那固まる――そして気付いた。
『守るべき部下』が撃たれたのだと。
そして思考が部下に向いた瞬間――私は撃たれた。
3発目……部下に命中
4発目……鶇に命中
≫7
いやはや、忘れてましたw
千棘「チッ」
折角一発無駄撃ちしてまでアイツの気を逸らさせたのに、撃った瞬間初動が遅れたとは言え直撃を回避された。
当たったのは右脇腹、当然一本は折れただろうが、それでアイツが止まる訳がない。
つまり無駄撃ちと大差無い結果になってしまったのだ。
但し、私自身幾分か冷静さも取り戻し、残り一発に今までで最大限の集中力を込めていた。
あと一発
されど一発
考え方一つで人間は冷静にも、逆に正気を失う事もある。
私は強い、負ける訳がないと、そう思う事で冷静さを保っていた――
鶫「ぐっぅ……」
――幸い、銃弾の直撃は免れた。
反応が一瞬遅れた為に脇腹に喰らってしまったが傷みを堪えていればそれなりに動ける。
あと一発避ければ勝ちだ――が、心配なのは先に撃たれた部下の方だ。
「ぐあ……がっ」
意識はあるが大量出血によるショック死等はよく聞く。
つまり、早々に決着を着けなければいけない様だ。
そうとなれば、多少当たるのは覚悟の上で一気に間を詰めるスタイルに変更だ。
残りの銃弾は一発――
千棘(まだ、まだあと一発ある……)
鶫(残り一発……これを凌げば……!)
千棘(私の)
鶫(私が……)
千棘(勝ち!)
鶫(勝てる!)
次回!(多分)千棘vs誠士郎完結!
さあ、早いとこメインヒロインと主人公を出さねば!
――双方睨み合う形で多分だが数分、体感時間では数時間以上牽制し合っていた。
私の左腕は恐らくもう使い物にならないだろうし、脇腹の出血もあまり長引くといけない。
これが本当に最後の闘い。
これを何とか躱せばその瞬間、お嬢に隙が出来る。
いくら片腕が機能しなくともお嬢も瞬間的とは言え同条件になる。
鶫(いや、例え当たったとしても致命傷にさえならなければ……)
――正直言って、ここまで弾を使わせて尚且つ未だアイツが生きてるのは誤算と言っても良い。
弾もあと一発、慎重にならざるお得ない。
どう考えても撃った後カウンターを強行してくるに違いない。
そう、撃った瞬間の、僅かな隙を狙って。
だが私は、敢えてそれを行う。
無論、諦めた訳じゃない。
その逆……完全に勝利を手中に収めたからこその行いだ。
千棘(あーあ、その真っ直ぐ過ぎる性格が最期仇になるなんてね)
それから更に数分、体感時間では数時間の静寂。
その静寂を破れば勝負は一瞬だろう、それだけ双方集中力を高めていた。
――そしてそれを破ったのは千棘だった。
千棘「私の為に死ねぇ!」
一瞬で鶫の胸元に照準を合わせ躊躇無く撃つ姿は大型アメリカンマフィアのボスの娘であり、幹部の風格である。
しかし鶫もその同マフィアの幹部であり、体術を極める一歩手前付近までたどり着いた身、そこまで行けば一瞬の動作で大体の照準は見抜ける……完全ではないが。
そしてこの一発、千棘は綺麗な動作での発砲、普通なら胸を貫通し即死するくらい無駄の無い、洗練された動き。
だが鶫にとってすればその洗練された動きは照準を正確に見抜くのに絶好だ。
洗練された動き、迷いはなく、一直線に。
鶫(勝った!)
鶫からすると、照準の特定がいつもは円形なのに今回は点だからだ。
1~4発は千棘の心が乱れていたり、心理的妨害を受けていたのも反動になり、より正確に、瞬間的に特定していた。
ヒラリと躱すその動きは自信に満ち溢れていた。
そして予定通りカウンターに移る――はずだった。
正確には途中までは出来た。
自分の今出せる全てを、千棘に対する想いを拳に籠め顔面近くまでは接近した、が――そこにはニタリと笑う千棘の顔と
千棘「バイバイ、お馬鹿ちゃん」
の一言。
次の瞬間、鶫の動きは止まり胸元からは紅蓮の鮮血と言う名の華を咲かせていた――――
ええ、久々にノリノリの深夜テンションで書いた結果がこれですよw
無駄に長い上地の文が厨二病を発症、更に次回終わらす宣言しながら終わらなかった……。
ともあれ人生初のバトル描写は終わりました。
ようやくマリーと楽が近々動かせるんや
鶫「な……んで……おま……ガハッ」
私は確かにお嬢の隙を突き、勝てたはずだった。しかし気付けば私は倒れていた。
胸元が熱い、そう感じ見ると私の胸にはナイフの刃が見えた。
つまりは背後より刺されたという事だ。では誰がやったのか?
ーーこの場に人間は私を含め三人しかいない。
内、お嬢は目の前にいる為実行不可能。すると答えは一つしか無い。
「いやあ、撃たれる演技は難しかったですよ?お嬢」
逃げ遅れたはずで、ついさっき撃たれて重傷を負ったはずの部下だった。
千棘「コイツ、最近アンタんとこに配属されたでしょう?ーー私の行動を監視するスパイとしてさ?でも残念ねぇ、コイツ二重スパイなのよ」
次第に霞み始める視界と遠くなる声。私の負けは最初から決まっていた、そう突き付けられているのと同格の言葉に力が抜けてしまう。
全部……茶番だった?
私は何の為に闘っていた?誰の為に闘っていた?何もかもが崩れていく。
鶫「あ……あぁ、ぁ……」
もう声がまともに出ない。出血も止まらない。
千棘「……邪魔するアンタが悪いのよ?ほんっとバカよねぇ……………………誠士郎」
ーーその時名前で呼ばれなかったら、私の命はすぐ尽きていただろう。私は諦めていただろう。
それでも。それでもまだ、お嬢に、僅かでも。人間としての心が見えたと分かったならば。
千棘「ーー行くわよ」
間に合う。今ならまだ、間に合う!
ここで諦める訳には!
抜けていた力を強引に入れ、何分も何分も掛け立ち上がる。
遠ざかっていたお嬢の姿は見えない
それでも、例え私の命が尽きるとしても。
この意志と言う名のバトンさえ渡せれば悔いは無い。限界を越えている体、それは一歩動くのにも相当な力を消耗する。
ーー体感時間にして数日、多分実際は30分程度で階段まで辿り着く。
ここを昇り、誰かしらに一条楽宛てへの遺言を一言、それだけで良い。
手すりに手を掛け、必死に昇る。
もう遺された時間は殆ど無い。
鶫「あと……すこ……」
ここを乗り越えれば、一階のある部屋に出る。
そこから深夜勤務の医師、看護士がいるところまで数十m、直線上に入るのにはそこを出ればすぐだ。
階段もあと一歩だ。
早く……
誠士郎……
鶫「え……?」
背後の声に応え振り向くのと、それは幻聴だったと気付くのは同時だった。
だが気付いても、もう遅かった。
鶫「あーー」
限界を越えていた私の体がバランスを保っていられる訳が無かった。
落ちて行く体。
お嬢との思い出が蘇る。
初めて私と遊んで下さった思い出
初めて一緒にお風呂に入った思い出
お嬢と訓練に励む思い出
初めて部隊を持った時、お嬢や部下達と祝った思い出
日本でお嬢と再会した思い出
お嬢との全てがフラッシュバックし終わった瞬間、時間は動きだしーー
鶫「お嬢……私は……楽し」
翌朝、鶫誠士郎は見回りの警備員により遺体として発見された。
奇しくも死因は、鶫誠士郎自身が殺し掛けた警備員へ行った行動と同じ「階段からの転落」による全身強打と失血だったーー
第三章「消えない想いは永久に」end
エタる前のスレから含めて半年以上この章でした、続きを待って下さっていた皆さんには改めて、謝罪させていただきます。
本当に申し訳ありませんでした
そしてようやく終わりましたこの第三章。
残念ながら誠士郎は展開していく中ではこうする他ありませんでした……
次章以降ももしかすると死人は出るかもしれないので、その辺はどうかご了承下さい。
そろそろ書かなきゃ……でもネタが……うごご
でも書く
第四章「誠士郎の死と再び揺れる楽の心」
クロード「……どういう事だ」
深夜、桐崎家の離れに2つの影。
橘父「許してくれとは言わん。だが……殺すつもりは万に一つも無かった、それは紛れも無い事実だ」
クロード「万に一つも無かったとしても、誠士郎が死んだ、殺された、これも紛れも無い事実だ」
この日の朝、警備員により鶫誠士郎の遺体が見つかり、警察へと通報が入った。
そしてその通報は鶫一派と戦闘を行っていた機動隊の指揮者である橘万里花の父親へと即座に伝わる。
本来、そこで鶫誠士郎が仕えていた桐崎家の当主――つまりは桐崎千棘の父親に伝えるのが当たり前だろうが、鶫自身の暴走による死となると直接的に接触すればマスコミに漏れる可能性も高い、更に桐崎家当主の性格を考えると長くは隠しておけないだろうと言う考えからこの様な結果となった。
クロード「――だが、元はと言えば誠士郎自身の自業自得、この結末はある程度予想はついてはいた……」
橘父「意外と冷静、なんだな」
クロード「元々マフィアやヤクザは闇社会でも一番と言って良い程死と隣り合わせ。いつ、どこで、誰が死んでもおかしくないからな」
橘父「そう……か」
端から見れば冷静で冷酷で、至って無表情なクロードの顔。
だが橘の父親が見たクロードの目には、深い悲しみと憎悪が宿っているのを確かに見た。
――しばらくし、橘の父親はそっと離れを後にした。
クロードは無表情で、外の少し欠けた月を見上げる。
見上げた後もその表情は一切変わらなかった。
ただ――
ただ、クロードの目からは一筋の涙が零れ落ちていた。
毎回即興で作るから疲れるんじゃ。
ストックなんて作ってる余裕は無いんじゃ……
楽「……話?」
最近……と言っても小野寺と別れたくらいからあまり話す機会が無くなっていただけだが、クロードに呼び出されたのだ。
今いる面子は入院中の橘とあの一件以降姿が完全に見えなくなっている鶫を除く集英組から俺と親父、竜。
ビーハイブから呼び出した当人のクロード、千棘、千棘の親父さん。
それに加え集、小野寺、宮本。
しかし当人のクロードに関しては準備とかの為今はまだいない。
わざわざこんなに人数を呼んでクロードは何を伝えたいのか……。
集「しっかし、楽と小野寺さんがまともに顔合わせんのはあれ以来か?」
楽「あぁ、その話は止めてくれ。頭が痛い」
よりを戻すとか云々は置いとくにしても、恋人になる以前の友人関係には最低限戻したいとは思う。
別れて以降まともな会話どころか、挨拶や業務程度の会話すら無い、と言うか目すら合わせてくれない。
未だに俺の何が悪いのか分からないし。
まあ集は分かってそうだけど、聞いたら意味無いしな。
集「ナハハ……なんつーかスマン」
楽「いや良いよ、お前の忠告気にしずに付き合った結果だしな。だが俺はしぶといぞ」
集「あれ、意外とポジティブっぽい?」
楽「……こうでもしないとネガティブになり過ぎて死にそうだから」
中学の時からずっと大好きで、友人以上恋人未満な関係だったのに恋人になったと思ったら数ヶ月で別れ挙げ句初対面未満の関係に急落したのに正気を普通に保っていられる訳がない。
集「まあ、何だかんだ普通の友人よりは遥かに仲良かったからなあ」
楽「もう良い、この話は一旦置いとく。で、さ。その……橘は退院の目処立ったのか?」
集「お?何だよ何だよやっぱり気になるのか?」
楽「そりゃ……な」
記憶が無くても橘は橘だ。
まだ直接会うのは無理だが心配なのも事実だ。
集「記憶は相変わらずだけど、退院ならあと一週間も経てば出来るみたいだぜ。それと今日なら堤と高宮辺りに様子見に行ってもらってるよ」
楽「そうか」
もうすぐ退院と聞いて安堵する反面、極力避けるつもりだがそれでも会ってしまわないか、会ってしまったらどうすれば良いのか、不安も大きい。
クロード「またせたな」
そうこうしている内にようやくクロードが現れた。
クロードが現れたと同時に、ビーハイブ側の表情が一気に曇る。
いや、もしかしたらさっきまでも必死に表情を崩さない様にしていただけなのかも知れない。
――嫌な予感が全身を駆け巡る。
そしてそれは的中してしまうのだった。
いやあ、ニセコイ二期始まりましたね!(ちょっと遅いけど)
1話からマリーは滅茶苦茶可愛かった!
千棘と楽の絡みも相変わらずで良かった!
だがもう少し、もう少し小咲ちゃんの存在感をですね、目立たせてあげて下さいモブ寺さんは見とうないんや……
まあ雑談はこれくらいにして、これからもエタらない程度には書いていきます。
いつ完結するのか、前スレで中盤と言っていた発言も迷走しつつある中ではありますが本当に自分でも分からない状態にあります。
とにかく見ていてくれている皆さんには感謝の気持ちしかありません。
本当に本当にありがとうございます!
p.s ニセコイのSSがまた増える事を心より願っております
クロード「……まずはこの場で皆様方に謝罪をしなければならない」
来て早々発した一言目がそれだった。
何事かと思ったがクロードの表情を見て俺は押し黙ってしまった。
いつもの自信と冷静さを兼ね備えたクロードはそこにはいなかった。
目には隈が出来、後悔と殺気を押し殺したオーラが室内を漂う。
事情を知らないビーハイブ以外の面子全員が全員、何か言いたそうな雰囲気だったがクロードの状態からただ事ならない事態だと察し、俺と同じく黙っている。
クロード「……誠士郎が…………死んだ」
楽「な……!?」
小咲「そ……ん、な」
集「…………」
るり「嘘……ではない、のね」
……あの時、捕まったあと鶫と話をしていて、この結末はある程度『最悪の事態』として予想の範囲内にいれていた。
だがいれていたとは言え『最悪の事態』にカテゴリされていたのだ、今だって冷静を装ってはいるが親しい友人を失った悲しみやら色んな気持ちが交差して泣くに泣けない、というか涙が出てこなかった。
楽「くそっ……!」
それでも何も感じない訳じゃない。
なんであの時ちゃんと引き止めてやれなかったのか、なんでもっと話を聞いてやれなかったのか……後悔は積もるばかり。
アイツとはよく千棘の事で対立したり、喧嘩もした。
少し褒めたり可愛いなんて言って発砲されたりもした。
でも、それでもアイツとは友達だった。
楽「アイツは……鶫はなんで死んだんだ?」
クロード「……誠士郎は橘万里花嬢の暗殺を試みていたらしい。そこを橘の父親の警備特殊部隊と遭遇、銃撃戦の末地下室へ逃げ込んだが、そこで死んでいたらしい。……私自身橘警視総監から聞いた話だがつまり、橘万里花暗殺の元々の実行犯は……誠士郎だった可能性が高い」
楽「くっ……」
小咲「そんなあ!そんなのって……なんで……」
竜「坊っちゃん……」
鶫自身、橘とよく対立していたが友人関係であったし仲が悪かった訳でもなかった。
そうなると殺す理由が見当たらない。
鶫は何の為に橘を殺そうとし、死んだのか――
……いやあ、気が付けばこのSS執筆開始から丁度一年経ちましたよw
まあSS自体これがほぼ処女作ですが。
まあこれからものんびり頑張ります、はい。
「らーくーさーまー!」
「おわっ!いきなり抱き付くのは勘弁してくれよ……」
「良いではありませんか!私は楽様を愛しているのですから!それとも楽様は私に抱き付かれるのは嫌ですか?」
「うぐ……その、嫌じゃねえけど、恥ずかしいんだよ……」
「まあ楽様ってば私の魅力にメロメロなんですね~!」
ーーある日病室にきた私の『友人』と語る殿方。
しかし私にその方との思い出は愚か知り合いだった記憶すら無い。
その殿方と私が談笑している光景が見える。
いや、これは夢だと分かっている。
でもこれは本当に夢なのだろうか。
知らないはずなのに、どこか懐かしさを感じるのは気のせいなのだろうか。
「待ってください楽様ー!」
「いやいやこんなとこハニーに見られたら殴られるから!」
「良いではありませんか桐崎さんの事など」
「いや良くねーよ!?」
……何故、今まで桐崎さんの恋人の存在を忘れていたのか。
確かに桐崎さんに恋人がいるのは覚えている。
でもそれが、あの人物だと言うのは思い出せない。
思いだそうとしても霞んで見えない。
思いだそうと言う気持ちと思い出したくない気持ちが交差する。
ついこの間まで、思い出したくない気持ちの方が上だったのに、今は五分五分まで変わった。
この夢を見ているから?
勿論それも多少はある。
けれど大元じゃない。
私の直感が、これを私の記憶なのだと言っている。
私の一番大切な記憶、と。
「……楽様、鍵はまだ……」
「……俺だって、そりゃ10年前の約束は気になるけど、責任とか考えると卒業まで開けない方が良いと思う」
10年前……約束……鍵……何か、何か思い出しかけている。
どうする?
このまま行けば抜け落ちた記憶の真相が分かるかも知れない。
知りたい気持ちと知りたくない気持ちが押し潰し合い、混ざり合う。
「ら…………ま……しは……く…………のこ……」
幸か不幸か、その声は遠ざかっていく。
それで良かったのかどうか、今はまだ分からない。
そして私はまた、意識の闇へと落ちていった。
「ん……う」
目を覚ますとそこは知らない部屋の天井だった……とは良く言う表現だけどまさか自分が使う事になろうとは。
いや、実際は病室のベッドだと分かっているけどさっきまで見ていた夢が現実的過ぎてそんな感覚なだけだけれど。
外は……少し明るい。
「誰かを好きになる気持ち、か……」
私には誰かを好きになる気持ちは分からない。
もしかして、夢で見た事が本当で、恋をしていたとしても『今の私』には分からない。
夢で見た私は、どんな気持ちだったのだろう。
少なくともあの方に恋心を抱いていたんじゃないか……とは思う。
記憶の中の私はあんな幸せそうな笑顔をした事は無かったと覚えている。
しかしよく考えれば、さっきの夢が事実ならば私のモヤがかかった記憶にもある程度の推測が立てられる。
10年前、私が変わるキッカケをくれた出来事、そして病弱な私がこの土地にわざわざ来た理由……どちらもある男の子が関係してるのだけど病院で目を覚ました時既にその記憶にモヤがかかっていた。
そして私の病室に、夢に出てきた知り合いと言う知らない男の方。
本当にただ、知らないだけ?
違う、最初あの方が現れた時から何故か懐かしい感じがしていた。
そして……
「このモヤモヤは……」
あの方の事を考える度、切なくて、どうしようもなくて。
――この気持ちの正体に気づくにはまだまだ時間が掛かりそう。
小説形式、始めました
てか最初セリフだけだった名残でずっと台本だったけどやっぱ地の文書くんなら邪魔やな
「なあ、竜」
「なんです、坊っちゃん?」
「俺……橘のお見舞い、行こうと思う」
「坊っちゃん……無理、しなくても」
「――もうさ、大切な奴亡くしたくないからさ、少しでも俺自身が変わりたいんだ」
鶫が死んだと聞いてから半月、落ち込んだり自分を責めたりもした。あの時もっと引き留めておけばと何回も思った。
そして苦しんで苦しんで辿り着いた答えは『もう二度と大切な人を失わない為に前を向く』だった。
「焦らなくても、少しずつ進んで行ければ何か変わるんじゃないかってな……俺の頭じゃそれくらいしか思い付かなくて」
「……分かりやした。じゃあ、あっしは車を出してきやす」
「おう、ありがとな」
結構余裕そうに見えるかも知れないが、これでかなり緊張している。
数ヶ月も会ってない、更に言えば今、俺の事は覚えてない奴に会いに行くんだから当然っちゃ当然だが……橘、俺の事思い出しててくれたら、いいんだけどな。
「ここが、橘のお嬢さんの病室ですか」
「……ああ」
ずっと緊張しっぱなしで時間の感覚も分からなかった。
気付いたら着いていた。
そしていざ来てみると、緊張で手が震え、喉はカラカラ、胃も多少だがキリキリする。
「坊っちゃん、あっしは下の階で待ってますので……頑張って下せえ!」
「お、おう!が、頑張ってくる!」
やべえよ……一人とかやべえよ!
どうする?まず何を話せば……俺との思い出か?いやそれはマズイか。じゃあご趣味は……ってお見合いかよっ!
ああダメだ何も思い付かねえええええ!
「どうされたのですか?」
「え……ってた、た、橘ぁ!?」
「あら?……ああ、確か貴方が一条さん、でしたね。前もいらしてましたよね」
まさか橘と病室前で鉢合わせるなんて……いやでも、俺が前お見舞いに行った事は覚えてたんだな。
……しかしそうなると俺が発狂したのも覚えてんのか……うわあ、何かそう思うとかなり恥ずかしいっ!
「一条さん」
「え、あ、どうした?」
「立ち話もなんですし、近くの椅子にでも座ってお話しましょう?」
「あー……そ、そうだな」
本当は俺が気を遣わなきゃいけないのに、ああもう!俺は何をこんな緊張してんだ!?
確かに久し振りだし俺の記憶は無いから緊張するけど、それとは別の……こう、胸がドキドキする、何となく小野寺と付き合う前と似た、でも少し違う感覚。
「――私と、貴方はどういう関係だったのですか?」
「っ!」
突然とした問いかけに、先程までの感覚は一旦途絶える。
しかし橘はどうして急に俺との関係、記憶について聞いてきたんだ?
俺との思い出を何か思い出したのか?
――いや、それは自意識過剰か。
純粋に記憶を思い出したい……が、理由か。
まあどちらにせよ自意識過剰に変わりはないが。さて、どう答える?
「……」
その時無意識に、でも少なくない量の邪念が降りてきた。
……正直、小野寺の事は無理と思ってるし、尚更降りてき易かったのかも知れない。
今なら事実を歪曲する事が出来る。
付き合っていたと答えても、橘の元々の純粋さから信じてしまうだろう。
もしもそれが嘘と分かっても、それまでに本気で好きになってもらえば問題ない。
「俺と、橘は――」
し
「俺と、橘は――」
「あ、橘さん。検査の時間ですよ」
「え?退院は決まっているのでは?」
「ハハッ一応ですよ。橘さんは元より身体が弱いですし……」
はぁ、はぁ……今、俺はなんて答えかけた?
俺は……越えてはいけない一線を越えかけていた?
ち、違う!俺が本当に好きなのは小咲だ!
別れたのも何かの間違いのはず……だからやり直せる、やり直す為にもこれ以上は越えちゃいけない!
「すいません一条さん、そういう事ですので答えはまた後日、という事で」
「あ、ああ……」
と、とにかくギリギリで踏み留まれた、のか……?
「……外の空気でも吸うか」
一回、頭の整理をした方が良いかもな。
こんな気の迷いで小野寺を諦めたくない。
小野寺だって急に別れを切り出したのには訳か、何か誤解があるに違いない。
そう、きっとそうだ。
「ふぅ」
そうと決まればさっさと帰ってシャワーでも浴びてスッキリするか。
・
・
-小咲宅前-
「……」
俺は小咲の家の近くに来ていた。
勿論、小咲に事情を聞く為に、だ。
よくよく考えれば不自然過ぎるとは思った。何せ千棘みたいな理不尽な別れ話の切り出し方だった訳だし、これはますます千棘が絡んでる可能性が怪しくなってきたな。
「ん?あれは……」
家が本格的に見えてきたところで、二つの人影が見えた。
いや、人影じゃなくて小咲と千棘か……ここは隠れて様子を伺うか。
「……小咲ちゃん、まさかとは思うけど」
「ら――い、一条くんとヨリ戻すとか、か、考えてなんてないよ……」
「そ、まあ楽と付き合ってたのは金目当てだったんだし良いんじゃない?」
「!?」
確かに千棘の前でヨリを戻す戻さないは危ない話だし小咲の反応も理解出来る。
だが、今の……千棘の発言は、な、なんだ……?
「そ、そんな言い方……」
「でも事実じゃない?潰れそうなおのでら救う為だし仕方ないわよね~」
「……ッ」
お、おい
待てよ
言い返せよ
なんか、訳が有るんだろ?
そこまで言われたら何かしら言いたくなるだろ?
言えよ『金目当てじゃなかった、好きだった』って
いつも見てきた小咲なら思わず言うだろ?
なあ……
「仕方、なかったんだよ……家を、守る為に……」
「まあ、集英の他の連中とも寝て金取ってたみたいだし?おのでらはそこそこ安泰したんじゃない?」
「寝……た……?小咲が、他の、奴と……?」
有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない!!!
小咲が、小咲が他の奴と寝たなんて有り得ない!
付き合って知った小咲は、そんな奴じゃない!
だって、あの夜の出来事、小咲の初めてを奪う時なんて震えて泣くくらい恥ずかしがり屋で、恐がりな小咲が……有り得る訳が――
「な……!?バ、バレて……そ、その事一条くんには言ってないよね……?」
「当たり前でしょー?親友の悪評を広げられたくはないし」
「ご、ごめんね……有り難う」
「嘘だ……」
俺はもう、何も、何一つ考えられなくなった――
「…………」
夕暮れの街を、抜け殻の如く歩き続ける。
何人か人にぶつかった様な感触もあったが、今はもう、そんな事はどうでもいい。
ただ今は、小咲に騙されていた、その悔しさと悲しさとが俺を押し潰していた。
しかも千棘までもが俺を騙していた。
この数ヶ月で、一人は記憶を失い、二人に騙され、一人は死んだ。
俺は何を信じればいいんだ?
俺は誰を信じればいいんだ?
俺はどうすればいいんだ?
「……あら?」
「橘……」
橘がいるって事は……ああ、ここは病院か。
何時の間に来てしまったんだろうか。
「どうかされたのですか?」
「い、いや別に……」
「目、赤いですわよ」
「うっ……」
コイツは……記憶が無くなってもしつこいな。
でも今は、それが底はかとなく嬉しいと感じてしまう。
コイツだけは……橘だけは俺を裏切らないという確証の無い確信があった。
「ちょっと、信頼してた知り合いに裏切られて、さ」
「そうですか……」
「ごめんな、こんな愚痴言っちゃってさ」
「いいですよ、貴方とはかなり仲の良い友人関係だったのでしょう?私はまだ記憶が戻りませんが、記憶を無くす前と同じ感じで言ってもらえれば」
「本当、お前は記憶が無くても一番ストレートだな」
「そうなのですか?」
「ああ、一番気持ちのいい好意を示して……スマン、今のは無しで」
「気にしないでいいですわ……それより一条さん、貴方は私の事どう思ってらっしゃるのですか?」
「なっ……」
流石にこの問い掛けは予想してなかった……まさか自分が好きでもないはずの奴に、ましてやこんな質問普通はしないだろう。
全く心底橘には驚かされてばかりだ。
そして信用出来る女を全員失った今だからこそ、俺はこの言葉を言える。
「一人の女として、好きだ」
このSSまとめへのコメント
鶫は死んでしまったがT^T
次の章が気になるわ
頑張ってください。