登場人物
ソウラ
ウェディ、男、戦士
ドラゴンに憧れを抱く、冒険者の少年
謎の戦士
人間、男、戦士
冥竜王の使い
魔族?、男、???
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蒼天のソウラ・前回までのあらすじ
魔公子イシュマリクを追い詰めたかに見えたソウラ達だったが、黒い龍脈(ライン)の力により形勢は逆転。
イシュマリクが放った一撃により、パーティーは壊滅状態となってしまう。
イシュマリク「…そして今はもうただの敵だ。ここで死ね、鬼面の戦士」
アレック「何してるソウラ!かわさんか!!」
マリク「拡大轟風呪文(エクス・バグ)」ギュワッ…コォオォオオ
ソウラ「えっ…」
マリク「フォースギガブレイク《風(ビエンド)》!!」
シュゥッガァアアアアァアアッ!!
ソウラ「うっ…ぅ、あ…あぁああああっ!?」
キュゴォオッ
ズドォオオオ……ン…
……
ソウラ「…………ぅ」
ソウラ「……っ、…なにが…どうなったんだ……」ムクリ
ソウラ(…広がる海……白い砂浜…………そして、澄んだ青空……けど、ウェナの空とは違う…)
ソウラ「どこだ…ここ…!?」キョロキョロ
ソウラ(だいたい俺、カルサドラ火山にいたハズだよな!?…それで、操られた勇者ユルールが襲ってきて……その洗脳を解いたと思ったら…魔族の親玉が…っ)
ソウラ「……そうだ、俺…龍脈(ライン)で拡大された一撃を受けて……」
ソウラ(俺……死んだのか…?…ならここがあの世ってやつ…)
ソウラ「いやっ違う」ブンブン
ソウラ「こんなとこでっ…みんなを残して死ねるわけねぇ!そうだ…身体の痛みもある……俺は死んでない!早く戻らなけりゃ…アズがっ」
ソウラ(けど…どうやって!?だいたいここはどこなんだよ!)
ザザーン…ザブザザー…ン…
ソウラ「くっそぉおお!」
???「…フ、あれだけ叫ぶ元気があるなら、すぐに始めても良さそうだな」
ザブザザー…キィーコ…キィーコ…ギギィ
ザブザザー…キィーコ…キィーコ…ギギィ
ソウラ「……なんだ?…小舟…に人?」
ソウラ(あの出で立ち…腰の剣……冒険者…いやっ、どっかの国の戦士か!?)
スタッ
戦士「……ふぅ、さて…と」
ソウラ「なぁ!アンタ!ここはどこなんだ!教えてくれ頼む!俺は今すぐカルサドラ火山に戻らなくちゃっアズが…仲間達が!」
戦士「…気持ちは分かるが、少し落ち着け」
ソウラ「悠長なこと言ってる暇はねぇんだ!今にもあいつが…魔族がアズを」
戦士「……魔族。やはりそうか」
ソウラ「!…アンタ、何か知ってるのか…?」
戦士「いや、何も」
ソウラ「なっ」
戦士「だがお前の、仲間を思う気持ちは…よく分かる。早く……みんなの所へ戻りたいという気持ちも」
ソウラ「だったらっ」
戦士「今戻って、何ができる?」
ソウラ「!」
戦士「お前は…負けたんだろう」
ソウラ「それは…」
戦士「そのズタボロの格好と…顔を見れば分かる……」
ソウラ「いや……」
戦士「……」
ソウラ「まだだ…まだ負けてねぇ」
戦士「ほぅ…」
ソウラ「諦めてたまるか…俺は絶対にっ…!」
戦士「その意気や良し。…ならこうしよう」
ソウラ「…?」
戦士「…オレに勝てたら、お前をもといた場所に返してやる」
ソウラ「あ、アンタに勝てたら…」
戦士「ただし負ければ」
ソウラ「…」ゴク…
戦士「……オレの生徒になってもらう」
ソウラ「……は?」
戦士「さぁ…来い!!」
ソウラ「なっ…なんだかよく分かんねぇけど……俺は戻らなくちゃいけないんだ…!」チャキ…
ソウラ「本気でいくぜ!ぅおりゃああああ!」ビュンッ
ガキィイン…!
ソウラ「っ!」
戦士「…いい踏み込みだ。折れた剣で向かってくる度胸も褒めてやる。…だが」
ドガッ!
ソウラ「うぐっ!」
戦士「はぁっ…!」
ソウラ「っ…でりゃああ」
シュンッ
ソウラ「!?…速っ」
ピタッ…
ソウラ(こ、こんな一瞬で、背後をとった上…首筋に剣を…!)
戦士「……フッ、オレの勝ち…だな」
ソウラ「ぅ……く、そぉ…!」
戦士「約束通り、お前にはオレの生徒になってもらう。そして……強くなってもらう。今よりも…………オレよりも…!」
ソウラ「!……あ、アンタ、いったい」
戦士「オレは……勇者の家庭教師。…とでも言っておこうか」
ソウラ「勇者の……家庭教師…?」
ソウラ「な、なんだそりゃあ」
戦士「えーあー」
ソウラ「?」
戦士「…んん、『正義を守り悪を砕く平和の使徒。勇者、賢者、魔法使い。彼らを育てあげ超一流の戦士へと導くのが、私の仕事です』…というわけだ」
ソウラ(棒読みじゃん…)
戦士「さて、早速…特訓を始める」
ソウラ「……」
戦士「…オレの特訓を受ければ、必ず勝てる。……だから今は堪えろ」
ソウラ「…あぁ、分かった。けど特訓を終えたら絶対に」
戦士「もちろん、お前を返してやる」
ソウラ「…よし!…」スゥ
戦士「…?」
ソウラ「ヴェリナード出身!ソウラ!!よろしくお願いします!!」
戦士「…フ、いい気合いだ。まずは…」ググッ…
ドシィィ…ン
戦士「これを斬れ」
ソウラ「こっ…この巨岩を!?」
戦士「今すぐクリアしろ。これは初歩中の初歩だ」
ソウラ「なっ…」
ソウラ(折れた剣で…こんなデカい岩を……しかも、連戦のダメージで身体はもうヘトヘトなのにっ)
戦士「…どうした?できんのか。できなければ返してやれんぞ」
ソウラ「……」チャキ…
ソウラ(やるしかねぇ…こうなったら、正しく……当たって砕けろだ!!)
ソウラ「でりゃあああっ!!」ヒュオッ
ズバァッ!!
ミシ……
ドゴォォオオ…ン…!
ソウラ「ぁ……き、斬れ…た?」
戦士「上出来だ。次は」
ソウラ「な、なんで…」
戦士「……お前の実力だ。できないと感じていたなら……お前自身も知らぬ間に、レベルアップしていたということだろう」
ソウラ「俺自身の…レベルが…」
ソウラ(確かに…ここんところ必死で戦ってきたけど……でもそれは、龍脈の力や、みんなの…仲間のサポートがあったからで……俺、は…)
ドサァッ
戦士「!…その場に倒れ込んで寝てしまうとは。……さすがに体力の限界だったか」ガシッ…ヒョイッ
戦士(充分に休ませんとな…こいつに……自分の身体を痛めつけるような、無茶な戦い方を覚えて欲しくはない…)
スタスタスタ……
……
……
ホー…ホー…
ソウラ「ぐ、ぅ……夢…?」
ソウラ(……じゃないよな。ここはやっぱり、知らない浜辺だ。いつの間にか、夜になってるし、洞穴にいるけど…)
ソウラ「って!俺、寝ちまったのか!?」
ダッ
ソウラ(急いで戻らなきゃいけないってのに…!……あの人はどこだ?)
タッタッタッ…
ソウラ「!…いたっ」
戦士「……起きたか」
ソウラ「わ、悪ぃ、俺寝ちまったみたいで。今すぐ特訓を」
戦士「ダメだ」
ソウラ「なっなんで!」
戦士「日が昇るまで待て。どのみちその状態では…最後までやりきるのは無理だ。せめて少しだけでも、体力を回復させろ」
ソウラ「……くっ」
戦士「…仲間が、心配か」
ソウラ「……」
戦士「……信じてやれ」
ソウラ「…!」
戦士「お前は間に合う。…そのぐらいの時間、仲間達がどうにかしてくれる。きっと……お前が来ることを信じて…!」
ソウラ「……ありがとう、先生。…そうだよな。みんながいるんだ…あんなに、頼りになる仲間達が」
戦士「…先生か。……なんともこそばゆいものだ」
ソウラ「けど……それでも不安になるのは…あの敵」
戦士「魔族だと言ったか。…強いのか?」
ソウラ「あぁ…そりゃ、強いのは、とんでもなく強ぇ……けど、そうじゃないんだ」
戦士「なら、」
ソウラ「あいつ……人を、肉親の死を利用して操ったりしたんだ。平然と…」
ソウラ「あんな……真っ直ぐな目で」
戦士「……」
ソウラ「言ったんだ。魔族には、親兄弟をなくす悲しみも分かんないのか…って」
ソウラ「そしたらあいつ……知ってる…だから利用した……なんて言いやがったんだ……」
戦士「……そうか」
ソウラ「俺には…分かんねぇんだ。あいつが、魔族の復興とか、世界征服とか……そんなんのために戦ってるとは思えない。どうしてあんなに真っ直ぐなくせに…あんな酷いことをっ」
戦士「……肉親の死か。…あの痛みには、誰も耐えられない」
ソウラ「!!」
戦士「例え……暗黒に生きる魔族でも」
ソウラ「あ、アンタ…」
戦士「その魔族も…本当は何か……もっと個人的な感情で動いているのかもしれん」
ソウラ「それって…」
戦士「復讐…」
ソウラ「…!」
戦士「とか、な。……今のはあくまで例えだ。そいつが真に何を望むのか。直接相対していないオレには、何とも言えん」
ソウラ「…先生、俺は」
戦士「分からないものは、誰でも恐ろしい。敵の目的が見えないということは……何をしてくるか予想できない、ということだからな」
ソウラ「……もしかして、先生も家族を…?」
戦士「…………あぁ。オレの父は……武人の鑑だった」
ソウラ「親父さんを…」
戦士「父を想うあまり……オレも昔は、個人的な情念に従い、ひたすら戦っていた……だが」
ソウラ「今は乗り越えて、家庭教師なんてやってるわけか。なんか、少しホッとした」
戦士「?…なぜだ」
ソウラ「いや……悲しみを乗り越えて、憎しみを飲み下して、こうやって先生やってる人もいるんだって思うと、さ」
戦士「……お前も、肉親を亡くしているのか」
ソウラ「俺の父ちゃんと母ちゃんは…すげぇ立派な人だった。ずっと、俺の誇りだ」
戦士「フ……お前を見ていれば分かる」
ソウラ「え?」
戦士「充分に、受け継がれているようだな。両親の心が。…お前のような、勇者に相応しい男には、久々に会った」
ソウラ「ぃ、いや俺なんて勇者じゃないって!ただがむしゃらにやってるだけで……それに勇者って呼ばれてるやつなら、一緒に戦って……そうだよ。俺より、ユルールにこそ」
戦士「かつて…世界を救った勇者は言った」
ソウラ「!」
戦士「自分と共に戦った者、その全てが勇者だと」
ソウラ「……へへっ、じゃあ、先生も勇者なんだな」
戦士「…どうしてそう思う」
ソウラ「だって……今先生、すげぇ幸せそうな顔してたぜ?」
戦士「……フ、そうか…」
ソウラ「…ありがと。ちょっと、楽になったよ」
戦士「…………日が昇り始めたな。さぁ、朝食後、早速特訓再開だ」
ソウラ「おぅ!頼むぜ!先生!!」
……
……
ソウラ「はぁ…は、ぁ……い、いくらなんでも…ハードすぎないか…?」
戦士「そんなことはない。現にお前はこの特訓についてきている」
ソウラ「そうだけど……基礎訓練から、剣術、格闘技を、全部実戦形式で先生と戦わされて…体力もだけど、気力が保たないって…」
戦士「……身体で覚えるのが一番早い」
ソウラ「先生、ほんとは教えるの苦手だろ」
戦士「そんなことはない…。それに安心しろ。次の特訓は、オレ相手ではない。また、1つ斬ってもらう」
ソウラ「よっし!なんでもこい!」
戦士「…斬ってもらうものは、これだ」
ソウラ「これ……って」
ザザーン…ザブザザーン…
ソウラ「海が広がってるだけで、何もないんだけど……まさか」
戦士「そのまさかだ。海を斬れ」
ソウラ「お、おいおい無茶言わないでくれよ先生。岩みたいに形があればともかく…海なんて斬れっこないだろ」
戦士「…諦めるのか?」
ソウラ「……やるよ。やればいいんだろちきしょうめ!」ザザッ
ゾザザザ……
ソウラ「うおりゃあ!!」ビュッ
ザッパーン!
ソウラ「わっぷ!ぺっぺっ」
戦士「…重要なのは速さ、そしてタイミングだ」
ソウラ「タイミング…?」
戦士「もっと引きつけてから斬るんだ。そうだな……大波に対して、すんでにカウンターを入れる感覚だ」
ソウラ「カウンターか……よし…」
ゾザザザザザ……ザッパァ
ソウラ(今だっ…!)
ソウラ「でぃやぁああ!」シュバァッ
ザバァーン!
ソウラ「……」ビシャビシャ
戦士「……」
ソウラ(…かしぃな…波の呼吸に合わせて……タイミングは完璧だと思ったのに…)
……ドゴオォォオオン…!
戦士「!」
ソウラ「なっ、なんだぁ!?」
戦士「っ…」ダッ
ソウラ「お、おい待ってくれよ!先生ぇ!」
タッタッタッタッ……
戦士「これはっ…」
ソウラ「岩場が、滅茶苦茶に…」
魔族「ククッ……ようやく来ましたね」
戦士「貴様はっ」
魔族「私は、冥竜王の使い…」
ソウラ「め、冥竜王…!?」
魔族「そう……今はまだ動けぬ冥竜王様の手足となり動く者…それが私」
戦士「…その冥竜王の使いとやらが、何の用だ」
魔族「ククク……決まっているでしょう」
魔族「貴方達を、殺すんですよ」ボボゥッ
ソウラ「っ!」
戦士「どいていろ!」ドカッ
魔族「ベ・ギ・ラ・マーッ!!」
ドゴオォオオオオ!!
戦士「はぁあっ…海波斬ッ!」ズバァッ!!
ドォオオン!…ボァアッ…!
ソウラ「ほ、炎を…斬っちまった…!」
魔族「やるな…だがこれならどうだっ!」
魔族「極大火炎呪文(メラゾーマ)!!」
ボボォオオオオオゥ!!
戦士「無駄だ!海波斬!!」ズバァッ…ガキィイン!
戦士「なにっ」
ソウラ「ぁあっ剣に鎖が巻きついてっ!」
戦士「ぐっ…メラゾーマはこのための囮か!」
魔族「その通りです…そしてこの鎖を通してならばっ」ジャラッ
戦士「!」
魔族「閃熱呪文(ベギラマ)ァ!!」ボボォッ
ボボボボボォウッ!
ソウラ「く、鎖を炎が伝っていく…!」
戦士「ちっ!」パッ
ドゴオォオオ!
魔族「クク……剣を離して難を逃れましたか。けれど、武器をなくし、呪文も使えぬ戦士である貴方が、どう戦うつもりですか…?」
戦士「…貴様には、この両の手で充分!」
魔族「ほざけっ……鎖殺法!双竜縛!!」
シュンッシュバァアア!!
戦士「ぬぉおっ!」
ズガァアアン!!
ソウラ「先生ぇーっ!!」
戦士「はっ…はぁ…」
魔族「ククク……どうしました?やはり逃げ回るだけで精一杯ですか…?」
戦士「…まだだ」
ソウラ(つ、強い…!あの魔族っ何本もの鎖をまるで手足のみたいにっ!)
魔族「ここまでです……鎖殺法っ…奥義!閃熱極竜乱打!!」
ビュオンッヒュガァアアアア!!
ソウラ「危ない!!」
戦士「今だっ!」ヒュッ
魔族「なにっ!?」
戦士「うおぉおお!」ダダッ
ビシュッズバァッ!
魔族「ば、バカな!この燃え盛る鎖がのた打つ中を…向かってくるだと!?」
戦士「鎖全てを伸ばし放った今!貴様の懐はガラ空きだ!」ガシィッ
ソウラ「は、羽交い絞めにっ…けど、いったい何を…」
魔族「ま、まさかっ…まさか貴様ぁああ!」
戦士「武器がなくとも……呪文が使えなくとも!できることはある!!」グォアァ…
ソウラ「!!」
戦士「グランドクルス!!」カッ…
魔族「やめろぉおおお!!」
ドゥッ!ズドガァアアアアアアッ!!
ソウラ「ぅ、うぁあああああ!」
ズズゥウ…ウ…ン……
ソウラ「ど、どうなったんだ……2人はっ」
ドガッガラガラッ
ソウラ「せ、先生!?」
魔族「……残念でしたね。先生は、もういませんよ」
ソウラ「っ……そん、な」
魔族「グランドクルスは、ただでさえ扱いが困難な自爆技…それを内側に向けて放つなど……」
ソウラ「う、ウソだ…」
魔族「さ、次は…貴方ですよ」
ソウラ「く、ぅ……のやろぉ」ググッ
魔族「へぇ…やる気ですか……しかし、私も今の一撃から逃れるために、鎖が全て焼き切れてしまいましたし……仕方ありませんね」
魔族「とっておきを…お見せしますよ」
ソウラ「なにっ…」
魔族「ぐぉおお…」グググゥッギリィッ
魔族「火竜変化呪文(ドラゴラム)!」
ゴァアアアアアアアアッ!!
ドラゴン「グォオオオオン!」
ソウラ「な、なんだよ…それ」
ソウラ(ドラゴンに変身するだなんて…!まるで……おとぎ話の中の魔王じゃないか!!)
ドラゴン「グワァアア!」ギュンッ
ズガァアッ!
ソウラ「うぁあああ!」
ソウラ(くそっ…くそ!こんなところでっ…)
ソウラ「負けてたまるかぁああ!!」ヒュッカキィイイン
ドラゴン「グクククク…」
ソウラ「っ…つぅ……なんて硬い鱗だよ…!」
ドラゴン「スゥウウ…」
ソウラ「!まずいっ」
ドラゴン「ガァアアアア!」ボボォオオオオゥ!!
ソウラ「うぁああああっ」ゴロゴロゴロッボチャアアアン!
ドラゴン「グォオ…」
ソウラ(あ、あっぶねぇえ…とっさに海に転がり込んだけど、あんなブレス食らったら一溜まりもねぇぞ!?)ゴボゴボ…
ソウラ(それに、あの鋼鉄みたいに硬い鱗…あれじゃ刃が立たねぇ)ゴボ…
ソウラ(どうするっ……どうすりゃいいっ)
ドラゴン「グクク…波間に身を隠したか……異界の戦士よ。しかし、無駄です」
ドシィン…ドシィン…
ソウラ(向かってくる…!?潜ってる位置がバレたのか!?)ゴボボッ…
ドシィン…バシャア…
ソウラ(くそっ……くそぉ!ここまでなのかよ…!龍脈の力がなけりゃ、こんなもんなのかよ!俺は!!)
((…お前の実力だ。……お前自身も知らぬ間に、レベルアップしていたということだろう…))
ソウラ(…!)
((……お前のような、勇者に相応しい男には、久々に会った…))
ソウラ(いや……信じるんだ。先生の言葉を…!)
ソウラ「俺自身をっ!」ザバァッ
ドラゴン「!…諦めてその身を晒しましたか。ならば望み通りっ」スゥウウ…
ソウラ「俺はっ…諦めたりなんかしねぇええ!」ダッ
ドラゴン「グォオオオッ!」ボボォオオオオオゥ!!
ソウラ(波を……引きつけるようにっ)
ソウラ「今だっ!!」
ソウラ「ぅおりゃああああ!!」ズバァアッ!!
ボガァアアアン!!
ドラゴン「!?私のブレスをっ…斬った…!?」
ソウラ「まだだ!食らいやがれっ……竜破斬(ドラゴンスラッシュ)!!」ギュオォッ
ザシュウゥウウ!!
ドラゴン「ギァアアアアッ!ば、バカなぁあああ!」
ソウラ「へ、へへ…先生、特訓の…成果が」ヨロッ
ドラゴン「貴様ぁあっ」バシィッ!
ソウラ「ぐあっ!」ドザッ…
カラン…カランカラン…
ソウラ「け、剣がっ…!」
ドラゴン「…よく足掻いたと思いますが……これで終わりです」グォオ…
ソウラ「っ…!」
ドラゴン「死ねぇえええ!」ブォオオン!
ソウラ(!…俺の足下にある……これはっ)
((…もっと引きつけてから斬るんだ……すんでにカウンターを入れる感覚だな…))
グォオオオオッ
ソウラ(まだっ……)
ドラゴン(こ、こいつっ何故私の爪をかわそうとしないっ!)ギュオオッ!
ソウラ「そこだぁあ!」パシッ
ドラゴン「や、ヤツの剣をっ逆手に!?」
ソウラ「ぅうああああああっギガッスラァァアッシュ!!」
ギュオオォオオオオオン!!
ドラゴン「ぐぎゃあああぁああっ!」ドザァアア…ン…
ソウラ「……ゃ…やった……今度こそ。……へへ…勝った……俺、ドラゴンに……かっ」
ズサァアッ…
……
……
アズ「…ソウラ!!ソウラ!どこ!?どこに行っちゃったの!?返事をしてよっ!!」
アズ「ねぇっ!お願い…!返事を…!!」
イシュマリク「…奴は直撃だ」
マリク「バラバラに引き裂かれて骨も残るまい…」
アズ「えっ…ぇえっ…!?……ぇ…?」
ソウラ(ここは……どこだ…………俺は)
(ソウラっ……ソウラぁっ)
ソウラ(……呼んでる……そうだっ…アズ!…行かなくちゃ……俺がっ…!)
ガコッ…
ソウラ「ダメだっ!!」
ガラ…ガララッ……
ソウラ「アズは…そんな奴の所に行っちゃダメだ…!」
アズ「そ…ソウラ!!」
マリク「…存外貴様が、一番厄介な敵になるのかもしれないな……拡大業火呪文(エクス・メガ)」
マリク「フォースギガブレイク《炎(ジャーマ)》!!」ギュオォオオッ
ソウラ(…さぁどーする!?どーする!…今は丸腰で体はボロボロ…!…何がある!?まだ俺に……俺にぶつけられるもの…!!)
グォオオオオ……
ソウラ「ぉおおぉおおオオォオ!!」ギュアッ
ズガァアアアァアアアアアアッ…!!
……
……
戦士「…これで良かったのだろうか」
魔族?「えぇ、彼ならきっと…やってくれますよ」
ボワンッ…
アバン「きっと、多元世界に渡り存在する邪悪な竜に……打ち勝ってくれます」
戦士「しかし、相変わらず無茶なやり方を」
アバン「それはこちらの台詞ですよ。組み付かれてグランドクルスを放たれたときは本当に驚きました」
戦士「ちゃんと外側に向けて放ちましたよ」
アバン「その衝撃で岩を崩して隠れる…まぁ、彼に戦わせるには良い方法かもしれませんが……彼、貴方が死んだと思ったままじゃありません?」
戦士「…それを言うか。……どのみち、こちらでのことを、彼は覚えていない。…その身に染み付いた…技を除いては…!」
アバン「…ですね」
戦士「天界から我々に届いたメッセージ…その使命の1つは果たした」
アバン「次は…」
戦士「あぁ……迎えに行かなくては!」
アバン「魔界の果てで戦う……私達の仲間を…」
戦士「この世界の……勇者を!!」
END
乙です。面白かった!
ヒュンケルだったか
イシュマリクに龍脈を授けたドラゴンは、冥竜王ヴェルザーの可能性が微レ存……?
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