女騎士「オーク狩りにいかない?」 女エルフ「ふむ」(35)

女騎士「おーい、エルフぅ」

女エルフ「?……なんだ、貴様か」

女騎士「なんだってなによ。せっかくいい話もってきたのに」

女エルフ「どうせろくでもない話だろう?」

女騎士「そんなことないよ!」

女エルフ「……とりあえず言ってみろ」

女騎士「オーク狩りにいこう!!!」

女エルフ「は?」

女騎士「え?」

女エルフ「……」

女騎士「……」

女エルフ「なにそれ超面白そう!!!」

女騎士「な!!!!」

-オークが住む森-

オークA「ぶごっふ、ぶひひ」

オークB「ぶごひー♪」

オークA「ぶごごご」

オークB「ぶご?」

オークA「ごぶっふ!?」

オークB「ぶふぉwwwwww」

オークA「ぶふぉふぉふぉwwwwwww」



女騎士「いたいた」コソコソ

女エルフ「なにやら楽しそうだな」コソコソ

女騎士「とりあえずさ」

女エルフ「うん?」

女騎士「行く?」

女エルフ「いきなりか」

女騎士「だってこそこそするの性に合わないし?」

女エルフ「まあそれはそうだが……いきなり狩りにいって失礼にならんか」

女騎士「大丈夫でしょ。彼ら社交的だし」

女エルフ「でもいきなり狩るのは・・・ちょっと恥ずかしいな・・・」

女騎士「大丈夫。誰にだって初めてはある」

性に合わないだって?

これはクッコロ不可避ですわ

いいや、俺はミスリードの可能性に賭けるね。

期待

女エルフ「で、でも……」

女騎士「ううむ…… ならこうしよっか♪ エルフはあいつを捕まえていてよ」


 そう、まるでグラスを撫でたかのような薄く、綺麗な声がエルフの耳にだけ響いて消える

その音には、今までにやった狩りへの絶対的自信が見え隠れしていた


女エルフ「えっ、それは、どういう……?」

女騎士「やる気がないんでしょ? だったら私が独り占めする。 だから足止めをして……」

女エルフ「ば、バカにするな! やる! やってやるよ!!」


 そんな女騎士の言葉が少し頭にきたのか、さっきまでとは違いやる気になっていた

まぁ、熱くなっただけと言われればそれまでなのだが……


女騎士「さっすがエルフ! 話がわかるぅ♪ それじゃ、やろっか」


オークA「ブゴッ? ブゴゴゴ?」(そういや明日、社会学だっけ?)

オークB「ブゥー、ブゴゴ?」(あぁ、かったるいよなぁ…… フケるか?)

オークA「ブゴ、ブブゥ」(フケたい、でも受けようぜ? 将来のためってやつだ)


 二人のオークは相も変わらずに雑談をしている。 基本的に生真面目な性分のようで

遊びに行きたい子供心を抑えるように適当な話をして気を紛らわせようとしているようだ

だが、それが周囲に気を配ることを忘れさせたというのなら、大きな失敗だろう……


女騎士「………今だ!!!」

女エルフ「OK!!!」

オークA&B「「 !!?!!?? 」」


二匹のオークに向かって、二人の狩人が飛び出して行った


オークA「ブゴォッ!!?」


 一匹のオークは、いつも腰に付けている鉄斧へ右手を伸ばす…… だがっ…


女騎士「遅いよッ!」 ギィンッ!!


 右手が斧に触れることすら出来ず、武器を弾き飛ばされ……

瞬きを忘れた瞬間に、首を掴まれ、そのまま地面に押し倒される


オークB「ブッ! ブゴォッ!?!?」

女エルフ「フッ、油断したな? 女の力なら負けることは無いとでも思ってたのか?」


 その間、オークBは身体を動かす前に腕を取られ、ひねり上げられていた

これで、どちらのオークとも、動くことができなくなってしまった……


オークA「………」ゴクリッ

女騎士「ぬふふふ…w」

オークB「………」ブルブル…

女エルフ「ふんっ、他愛もないな」


 この時、既に狩る者と、狩られる者がどちらか、決まってしまっていた……

オーク二匹は既に狩人の賞品と化し、その判決を聞くだけの存在になっていた


女騎士「ん~、えっと、あなたたち、ことば、わかる?」

オークA「……スコシダケ…」

オークB「…ッ……」 ブンブンブン!!!


 その言葉に、二人ともども肯定の意味を持つ行動をとっていた


女騎士「お♪ これはアタリかも♪」


 それをみて、狩人は嬉しそうな表情をし始めた


オークA「オ、オマエラ、オレタチ、ドウスル……」

オークB「ナ、ナニモ、シャベラナイ……」ブルブル


 二人は、最悪の結末を覚悟していた。 が……


女騎士「うふふ♪ ねぇ君たち、オークと人の中立協定って、知ってる?」

女エルフ「お前、料理は出来るか?」


 どうも、様子が違うようだった


オークA「シ、シラナイ……」

オークB「リョウリ…… デキル……」

女エルフ「おぉ、そうか! いや、良かったぁ」


 エルフはオークBの腕を固めながらも、純粋な喜びの声を上げていた


女騎士「それじゃ、手っ取り早く言ってあげよう。 君たちオークは、強い者ならなんでも従う掟があるよね?」

オークA「ア、アル……」


 そう、このオークたちには掟がある。 それもたった一つ「強い者に従う」というものが

では、強い者とはどういうことか……


女騎士「今、私たちは君たちを取り押さえてる。 つまり、力が強いのはわかった?」

オークA「……ワ、ワカッタ…」

女騎士「うんうん、素直な子は好きだよ? で、君らの『強き者』の条件って覚えてる?」

オークB「……チ、チカラ、ト……セイリョク…」

女騎士「そのとおり、よく出来ました♪」


 そう言って、女騎士は鎧と服を脱ぎ始めた


 そう、オークは種の存続を求めた結果、力と精力が強い者に従うというルールが存在していた……


女騎士「君たちは、強き者と一生を共にし、その生涯をその者の為に費やさなければならない」


 鉄の装飾を、強固に止めていた物が、カキンッと音を立ててを外れていく

それと同時に、少しの汗と、甘く、体の芯をくすぐる香りが鼻腔をつつく


女騎士「まぁ、それは同じオークという種族限定だった。 今までは、ね?」


 ガッチリはまっていた手甲を、もう待てないと言うかのように地面に投げ、肩の装甲板に手をかける

その度に、男には決してでない匂いが辺りに振りまかれていく


女騎士「……中立協定とは、その種族に人も含めて良い。って内容なんだよ♪」


 オークAの背中に馬乗りをしながら、溶けるような笑顔をうかべていた


オークA「ナ、ナニヲ……」

女騎士「君らは頭が良さそうだし、良かったら見る? それの公的に認めたって書類」

女エルフ「そんなのあるのか…?」

女騎士「有るし、取り寄せられるよ? これでも一応、お国務めの騎士だからね♪」


 とても無邪気でいて、パァッと笑顔を浮かべて答える

ただ、無邪気であっても、そこに悪意も存在していたが……


オークB「ソ、ソレジャ……」

女騎士「さて、君らは今、二つの岐路に立たされています」


 まるで教師であるかのように、コホンッと咳払いをして言い放つ


女騎士「性技に耐えて おウチに帰るか、奴隷になるか、ね♪」

なんか虚しくなってきた。 需要ある? ないならこのまま落とそう

はよ

続けて、どうぞ。


オークA「………ッ…」


 彼は、自分の相手している者の雰囲気から、勝ち目がないと本能的に察知していた

ならばどうするのか…… 簡単な話だ。 『逃げる』 それに尽きる

この話、今なら知らなかったし、人の言うことだから信じられなかった。 と、そういえば強引だが大丈夫だ

そもそも、彼らと中立とは言っているものの、人は潜在的な敵という様に教え込まれている

約束や、掟破りは決して褒められる事ではないだろうが、状況が状況ならみんなも許してくれるだろう


オークB「………」チラッ


 彼らはその視線だけでやり取りをし、逃げる事を決断する

親友の彼らだからこそ出来ることである。 後は良いタイミングを見計らっていると……


女騎士「うふふ♪ だぁめだよ?」


 唯一、素肌を晒している手が、背中の上に置かれた

それはまるで麻薬のようにジクジクと、ヌルい暖かさが身体中に広がっていくよう感じられた


オークA「!? ナ、ナニヲ、イッテ……」

女騎士「背中に乗ってるとね、わかるんだよ? ドコがカタくなってる~、とかね♪」


 背中に『の』の字を指で書きながら、そんなことを言い始める

その間にも、片手は留め具が外れたのだろう、肩の装甲板を放り投げていた


女騎士「今、キミは、背中の私を跳ね上がげてから、エルフに攻撃しようと思ってるね?」


 それはまさに考えていることだった

攻撃は絶対に当たらないだろうが、彼女が避けようとしてくれればと考えていた

それで仲間の肩が折れるかもしれないが、拘束は絶対に取れる

一度拘束から抜けてしまえばこちらのものだ  なんせ、ここはオークの得意とする森の中なのだから

ただ、それは相手が何も気付かず、拘束を解くことが出来たらの話であったのだが……



女騎士「だめだよ♪ ちょっと痛いけど、我慢して、ね」

オークA「……ッ…?」


 そう言って、カプッとした音がオークの脳に響く

耳を甘噛みし始めたようだ


図らずとも、真横に来た身体からメスの匂いが飛び込んでくる

耳の後ろから、ヌメリとし、またザラっとした感触が走り回り、興奮を痛いほどに伝えてきていた

そして……


女騎士「はむっ、んむんむ…… んっ、ン!!!」 ブツッ!!!


 耳が、痛みを感じる暇もなく、半分が噛みちぎられた

女騎士「ん、ちゅる…… すちゅ…… ん~… ぺろんっ、と」


 オークは、何がなんだかわからないと混乱している間に

騎士はその耳を一通り味わい、口から出していた


女騎士「エルフぅ~、これに『保存』の魔法を掛けておいて~」

女エルフ「保存? まぁ、わかったよ」


 女騎士以外は、何をしているのかわからずに、ただ状況だけが流れていった……


オークB「ナ、ナニヲ……」

女騎士「ん? マーキング、かな♪」

 女騎士は、これでよし! とでも言いたげに、警戒心を解いていた


女騎士「もし、今逃げても、この耳を元に君らを追いかけます。 わかった?」

オークA「ブグッ!?」

女騎士「これで君たちは今、もし逃げたら…… 元の集落とかにも帰れずに、『はぐれオーク』になるしかないよ?」

 それは、社会的な死を意味するものであった……


女騎士「大変だよねぇ、もし君らが集落の者なら、他の集落に行っても酷い扱いされちゃうし

     もし、国とかのオークだったら、それこそ大変! この事を知らない人が居なくなっちゃうもんね♪」


 笑顔とは、本来は威嚇をするために行われたものだとわかる。 彼女の笑顔はそういうものだった

つまり、こういっているのだ。 逃げることだけは、許されないと……


女騎士「うふふ♪ ……ん…? あ、ご、ごめん! 血が流れちゃってる!! え、ええと……」


 そこまでして、オークの顔横にできている血だまりに焦ったようだ

先程までの恐ろしい雰囲気はどこに行ったのだか、ワタワタとして何かないかポーチを探っている


女エルフ「おい……、なにしてるんだよ……」

女騎士「あ、エルフ!! 回復魔法して!! お願い!!」

女エルフ「お前、さっきまでのは何だったんだ……?」

女騎士「これは全部、先輩の受け売りだよぉ! それより早く!! 血が出ちゃってるよぉ!!」

女エルフ「その程度、放っておけよ」

女騎士「そんなぁ! ヤダ! お願い!!」


女エルフ「お前のお願いは命令だろ、まったく……」

 女エルフは、自分の胸辺りにある道具袋を探り始める

ん? 胸に挟んでないのかだって? ……酷なことを言うんじゃない!!! みんなが出来ると思(


女エルフ「ん、薬草があるから、これでも使ってやれ」


 そう言って、治癒効果を大きく高めることが出来る草を投げ渡す


女騎士「ありがと! エルフ! 大好きだよ!!」

女エルフ「はいはい、そりゃどうも……」


 さっそくその薬草を血だまりを作っている場所に当てると、ゆっくりと、血の出る速度が遅くなっていく


女騎士「エルフゥ!? これ効かない!!??」


女エルフ「効いてはいるよ、まぁ、本来はすり潰して塗るもんだから、効果は薄くなってるだろうが……」

女騎士「そうなの? それじゃあ!」


 そう言ったかと思えば、薬草を口に放り込んで咀嚼を始めた


女騎士「う”え”ぇ”ぇ”ぇ”…… に、にがぁ”ぁ”い”………」

女エルフ「……お前は何をしてるんだよ、ったく」

女騎士「が、がまんがまん…… んぐっ…… んぐっ……」

オークA「…???」


 オークは、何をしているのかわからない、といった表情を抑えられずにしている

『ぺちゅっ……』

 すると、自分の横から、そんな音と、生暖かさ伝わってきた


オークA「ッ!? !??」


ジュッと、焼けたような感触は薬草が効いてるからなのか、また、それ以外の理由なのかはわからない

ともかくわかるのは、耳から大きな熱が伝わってきていることだけだ


 女は、自分の作った傷口を舐めていた


女騎士「ん…… あ! 凄い!! 効いてる効いてる!!」


 その女は、傷がゆっくりとだが、目に見えて消えていくことに歓喜していた


女騎士「それじゃ、もっと頑張ろっと!」


 その事実が、彼女の作業欲とでも言うものを促していた


『ぺちゅ…… ちゅ… ちゅぷ…… ちゅぱぁ… ぺろ…』


 森の中に、鳥の鳴き声、木々の揺れる音…… それと一緒に、似つかわしくない音が響く


女騎士「ん…… んん…… ちゅぱっ… れるっ…」


 耳をなぞる様に、舌がスススッと流れていく

対輪中央から対珠、耳朶…… つまり、耳の残った部分をすべて舐めとっていく

それは精一杯の謝罪に見えるし、搦めとろうとする欲望にも見える

ただわかるのは、彼女が一心不乱に耳を舐めているという事実だけである


女騎士「はむっ…… れるれる…… ちゅ…… ちゅぷっ……」


 少なくとも、血だまりが広がっていくことが無くなったように見えるが、口を離す気配はないようだ

カサブタのようになった部分を必死に舐めている


女騎士「ペロ…ペロ… ちゅ…… んふ♪ ザラザラだぁ♪ ちゅ……」


 それは既に治療のためでなく、舌に伝わる感触を楽しむために目的が変わったようだった

猫がじゃれつくように、犬が尾を振るように、オークの横顔を舐めとっていた


オークA「ブ、ブブゥ……ッ」


 もちろん、人生の危機だとはわかっている。 頭ではわかっている。 だが……

それとは別に…… いや、そんな状況だからなのか、彼のオスを証明するものがムクムクと反応していた


女騎士「ちゅ…… ちゅ…… ん?」


 その女は、既にメスとなっていた。 だからこそ、オークの横顔をみて、察した

純粋な嗜虐心が、イタズラをしてやりたいという気持ちが、そして、征服欲が湧き上がったようだ


女騎士「うふふ♪ それじゃ、一つだけ選ばせてあげるよ♪」

オークA「ナ、ナニヲ…?」

女騎士「勝負の結着方法、だね♪」


 そう、もちろんこれは勝負なのだから勝敗を決めなければならない

そのための取り決め、つまりルールは存在するのだが、それは全員が合意をした場合に認められる


つまり、譲歩のように言っているが、彼女らも反対されたらそれに従わなければならず

このような言い方をする必要などないのである……


女エルフ「なっ!? お、おい! 勝手に決めるなよ!!」

女騎士「それくらい良いじゃない? キミもそう思うでしょ?」

オークB「……!?」ブンブンブンッ!!


突然話を振られて戸惑うが、不利な状況から逃れたい一心で首だけを縦に振る


女騎士「はい♪ 多数決でけってーい!」

女エルフ「はぁ…… それじゃ、気を引き締めなきゃな……」


 もし、これが街や露店街で、ただ見かけただけなら、種族が違うといえども恋に落ちるだろう

そんな、眩しい笑顔と、とても可愛らしい仕草をしている二人であった


女騎士「さぁって、それじゃ、決めてもらおうかな♪」


 ただ、この状況において、その笑顔からは恐怖しか感じられないものであったが……


オークA「ソノ…… ケッチャクホウホウハ……?」

オークB「ナニ…… ガ… アル…?」


 たとえ不意打ちをくらおうと、女性に締め上げられてようと、彼らにも意地がある

畏怖の気持ちを抑えつつ、虚勢の顔を張りつけ、必死に言葉をこぼす


女騎士「なぁに、簡単だよ。 勝負は二種類!

     相手をイかす、速度を競うか。 相手の足腰を、立たなくさせるか」

女エルフ「つまり、技術勝負か、耐久勝負ってことか?」

女騎士「うん! そういうこと!!」


 そういうことである。 相手をいかにイかせるかということは、強者としての貫禄に繋がり……

耐久力は純粋に、子供を作る確率を上げることとなる。 この二点をオークは重視していた



女騎士「さぁて! どうする!?」


 目を煌めかせて言う姿は、本当に楽しそうだと思えた

もう一人は諦めたような、どこか達観した顔でため息を口からはきだしていた


オークA「………」チラッ

オークB「………」コクッ

オークA「……タイキュウ、デ…」


 彼らは視線を合わせたあと、その意見を出した


 突然だが、彼らはいくつぐらいと思うだろうか……

30代か? いや、老練の50代だろうか? その姿は大きく、まるでタンクと言った感じだ。 が……

彼らはまだ20にもなっていない、だが青年と呼んでも良いだろう年齢の男だ


 対して、二人の女性は、年齢はわからないが、彼らの半分 ~ 2/3ほどしか背丈がない

そのことから、彼らは思ったのだ。 体力勝負なら、絶対に負けはしないだろうと

事実、そうなるのなら彼らの勝利は疑いようのないものであるだろう


女騎士「おっけー! それじゃそういうことで!! 勝負は今すぐからで良いかな?」

オーク「アァ……」

女騎士「うん! わかったよ!! それじゃ、よろしくお願いします!!」


ただ、それは実力が対等であった場合の話であるのだが……

残りは任せた

なんだと...

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