キョン「太眉っていいよな」 (50)

ハルヒ「何よ、あんた朝倉みたいなのが好みなわけ?」

キョン「なんでそうなる」

ハルヒ「だって、太眉がいいって」

キョン「だからそこで何故朝倉が出てくる」

ハルヒ「あのねえ、太眉と言えば朝倉、朝倉と言えば眉毛でしょうが!」

キョン「認めん。朝倉と言えばフトモモだ」

ハルヒ「よし死ね」

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キョン「痛ってぇ……おもいっきりグーパンしやがって」

ハルヒ「デレデレと鼻の下伸ばしてるからでしょエロキョン」

キョン「眉毛の話から何故こうなった」

ハルヒ「あ、あんたが朝倉のこと好きって言うから…」

キョン「言ってねえ。太眉=朝倉の認識を改めろ」

ハルヒ「うん、それ無理」

キョン「やれやれ」

ハルヒ「まあいいわ。朝倉とは本当に何もないのね?」

キョン「ねーよ。眉毛は立派だが、ああいう委員長タイプは苦手なんだ」

ハルヒ「キョンのくせに贅沢ね……じゃ、じゃあどんな人が好みなのよ」

キョン「人っていうか眉の話だろ。そうだな……太く筋の入った、意志の強さを感じる太眉だな。少し吊り上ってるほうがいい」

ハルヒ「こち亀みたいな?」

キョン「あれはゲジゲジ眉だろ。もっとこう、鋭さを持った眉毛だ」

ハルヒ「注文が多いわね。そんな人いるの?」

キョン「近いところで森さんだな。朝倉の影に隠れがちだが、あの人もなかなかの太眉の持ち主だぞ」


PPPPP…


古泉「はい、どうしました?閉鎖空間は発生していませんが……え?森さんが完全武装して飛び出していった?ぼ、僕が止めるんですか!?」

ハルヒ「ねえキョン、もしも……もしもよ?森さんがキョンと付き合いたいって言ってきたら……OKする?」

キョン「なんだそれ。ありえないシチュエーションだな」

ハルヒ「だからもしもの話って言ってるじゃない!」

キョン「…ったく。まあそうだな、森さんなら大歓迎だ」

ハルヒ「!!!」

キョン「礼儀とお淑やかさを兼ね備え、それでいて一本芯の通った性格…」

ハルヒ「……」

キョン「整った顔立ちにメイド服に包まれた抜群のプロポーション、そして理想形に近い太眉。ほぼ完璧だな」

ハルヒ「……」

キョン「ただどう考えてもそんな人が、俺みたいな奴の相手をしてくれるとは思えんが」

ハルヒ「…そ、そうよね、その通りだわ!」



古泉「ゴフッ……も、森さん、顔が真っ赤でsぼまっ!」

涼宮家


ハルヒ「キョンは森さんみたいな人がタイプなのか…」

ハルヒ「確かに美人だし、スタイルもいいわよね」

ハルヒ「でも、あたしだって見た目は負けてないはず」

ハルヒ「芯の強さだってあるし、礼儀は……や、やればできる子だし!」



ハルヒ「…………なんだ、要は眉毛の太さだけじゃない」


ハルヒ「……太眉……強い意志……」


ハルヒ「ZZZ……」

翌朝


谷口「おーっすキョン」

キョン「おー」

谷口「なんだなんだぁ?朝っぱらっからシケた面してよお」

キョン「お前は無駄に元気だな」

谷口「へへっ、俺様のようにもっと爽やかになれよ」

キョン「言ってろ」

谷口「おっと、前を歩いてるのは涼宮か。どうだキョン、挨拶代わりにちょっと驚かせてみないか?」

キョン「やめとけ。災いの元だ」

谷口「チッ、つまんねーヤツだな。だったらそこで見てろよ」

キョン「あ、おい…」

谷口(へっへっへ、涼宮のヤツ気付いてねーな)

谷口(よし、今だ!)


ガッ!


谷口「うぼらぁ!」

ハルヒ「…音も無く、あたしの背後に近付くんじゃないわよ」


キョン(た、谷口の首が変な方向に…!?)


キョン「お、おいハルヒ…」

ハルヒ「……」ギロッ

キョン「うっ!」

ハルヒ「何か用?」

キョン「ハ、ハルヒ…?」

ハルヒ「だから何よ。用件を言いなさい」

キョン「いやその、お前、その眉毛はどうした?」

ハルヒ「……」

キョン「なんていうか、たくましいというか別人の様というか」

ハルヒ「……」


スタスタスタ…


キョン「い、いっちまった」


キョン「なんなんだよあれ。膝が震えてきやがる…」

古泉「んっふ、また妙なことが起きているようですね」

キョン「顔が近いぞゲ泉。ありゃなんだ?ハルヒの眉毛が太く…」

古泉「昨日の話じゃないですか。太眉がお好きなのでしょう?」

キョン「確かにいい眉毛になったが、あの凄まじい殺気はどういうことだ」

古泉「それはなんとも。ですが、貴方好みになるように自分自身を改変したのでは?」

キョン「冗談キツイぞ。あれじゃまるでデューク涼宮じゃねえか」

古泉「ふむ、それは困ったものですね」

キョン「ニヤつくな。全然困った風に見えんぞ」

古泉「まあ、こちらでも少し調べてみましょう」

眉太か………いいよね!

キョン(そして授業中…)

ハルヒ「……」

キョン(背後からのプレッシャーが半端ねぇぇ!)

ハルヒ「……」

キョン(休み時間はどこかへ行ってくれるからまだいいけど…)

ハルヒ「……」

キョン(は、早く昼休みになってくれぇぇ!)

キンコンカンコーン♪


ハルヒ「……」ガタッ


スタスタスタ…


キョン「ぶはぁっ!はぁっ、はぁっ」

朝倉「ちょっとキョン君、大丈夫?」

キョン「こ、殺されるかと思った…」

朝倉「原因は涼宮さんよね?どうしてあんなにピリピリしてるのかしら」

キョン「わからん……が、このままだと俺は、明日にでも胃潰瘍で入院だな」

朝倉「とりあえず保健室行きましょう。付き添ってあげるわ」

キョン「済まん、助かる」

校舎裏


古泉「これは一体…」

機関員「ぐ……う……」

古泉「しっかりしてください!何があったんですか?」

機関員「こ、古泉……逃げ……」

古泉「今、応援を呼び……はっ!」


古泉(…背後を取られましたか。僕に気付かせないとは、相当な実力者のようですね)


ハルヒ「…古泉君、動かないでね」

古泉「す、涼宮さんですか!?」

ゴルゴみたいになってんのか

古泉「僕に……何か御用でしょうか?首筋のナイフを離していただけるとありがたいのですが」

ハルヒ「古泉君。あなたが普段、誰とどこで何をしているかは興味ないわ」

古泉「……」

ハルヒ「でも、あたしの周りをこそこそ嗅ぎまわるのはやめなさい。次はこの程度では済まないわよ」


古泉(この重圧……どうやら彼女は本気のようですね)


ハルヒ「…返事は?」

古泉「承知しました団長殿。我々はおとなしく手を引くことを約束しましょう」

ハルヒ「…OKよ。彼らは2、3日もすれば歩けるようになると思うわ」


スタスタスタ…


古泉「思ったより深刻な事態ですね…」


古泉「んっふ、不覚にも数滴チビってしまったようです」

朝倉SSかと思わせた森さんSSかと思いきや巧妙なゴルゴSSだった
何を言ってるか分からないと思うが(ry

保健室


朝倉「じゃあキョン君、ゆっくり休んでてね」

キョン「ああサンキュ。ところで朝倉、ハルヒの奴に何が起こったかわかるか?」

朝倉「ごめんなさい。私たちに対して何か大きな力が働いてるみたいで、涼宮さんに関することは何もわからないの」

キョン「私たち、ってことは長門もか」

朝倉「ええ、状況はおろか居場所さえ特定できないの。無意識のうちに監視の目を拒絶してるみたい」

キョン「お前たちの親玉ですらシャットアウトか。大したもんだ」

朝倉「……」

キョン「なんだ?俺の顔に何か付いてるか?」

朝倉「あのねキョン君…」

キョン「ん?」

朝倉「……ううん、やっぱなんでもない。また後でね」

カラカラカラ…


古泉「失礼します。お加減はいかがですか?」

キョン「古泉か。あまり良くはないな」

古泉「そうですか。実は少しお話があったのですが…」

キョン「大方、ハルヒにやられたって話だろ?」

古泉「ええ、その通りです。監視兼護衛の機関員が13名、行動不能にされました」

キョン「そうか。宇宙人組の方でもハルヒのことはわからんらしい」

古泉「我々の正体もどこまで知られたのか……いずれにせよこれ以上の情報漏れを防ぐため、機関の行動は大幅に制限されることになります」

キョン「早めに長門に相談しに行くか。このままじゃおちおち寝てもいられねえ」

古泉「僕が肩を貸しましょう」

キョン「ゲ泉。顔は近づけるな」

部室


キョン「長門、聞きたいことがあるんだが」

長門「…私には、何も話せることがない」

古泉「長門さん。涼宮さんは今、一切の監視も護衛もない状況です。これがどれほど危険なことか、貴女にならわかるはずです」

長門「…現在、私は情報統合思念体の制御から独立した状態にある」

キョン「うん、さっぱりわからん」

古泉「長門さんは何の制約も無く自由に動ける、ということですか?」

長門「違う、その逆。私は涼宮ハルヒによって、ある役柄を演じるよう強制されている」

キョン「役柄…?」

長門「じきにわかる」

ガチャッ


キョン「……!」

古泉「す、涼宮さん…」

長門「いらっしゃいませ」

キョン「へっ?」

ハルヒ「……」


スタスタスタ…


ハルヒ「デイブ、頼んでおいた物はできてる?」

長門「私は長門有希」

ハルヒ「あたしは注文の品ができてるかどうかを聞いたの」

長門「……」

ゴトッ


長門「依頼通りトリガーは軽め、弾は100発」

古泉「ライフル銃、ですか」

キョン「おいおい、穏やかじゃねーな」

長門「心配はいらない。ただのエアガン」

ハルヒ「いい出来ね。追加で弾丸の加工を頼むわ。BS弾を50発、この図面通りにできる?」

長門「…加工自体は難しくはない。でも、改造は県条例に抵触するため推奨できない」

ハルヒ「報酬よ。先に1ダース、完成後にもう1ダース渡すわ」

長門「引き受けた」

キョン「お、大人のたけのこの里、だと!?」

古泉「長門さんの腕に、それだけの価値があるということですね」

ハルヒ「24時間で仕上げてね。あんたならできるでしょう」

長門「Oh、クレイジー」


※BS弾:てるてる坊主型の弾。BB弾に比べて飛距離、威力に劣る。ゴム、樹脂、プラスチック製などがある。サバゲーには向かないが男のロマン。

キョン「つまりお前は武器職人デイブの役、ってことか」

長門「そう」モグモグ

古泉「これでは有事の際に、長門さんの力をお借りするのは難しそうですね」

長門「現在の涼宮ハルヒの戦闘能力は、某S級スナイパーのそれとほぼ同等」モグモグ

キョン「あいつが飽きるまではこのままなのか?」

長門「普段通りにしていれば、命にかかわることはない」モグモグ

古泉「迂闊に手出しする方が危険、ということですか」

キョン「わかった……ところで長門」

長門「…何?」モグモグ

キョン「大人のたけのこの里、うまいか?」

長門「デカルチャー」モグモグ

放課後、保健室


みくる「キョン君、具合はどうですか~?」

ハルヒ「……」

みくる「あれ、涼宮さん?キョン君が寝てるって聞いたんですけど…」

ハルヒ「……」

みくる「す、涼宮さんも調子よくないんですか?」

ハルヒ「……」

みくる「どどどどうしてそんな怖い目で見るんですか?」

ハルヒ「……」

ギシッギシッギシッ…


みくる「アアア~ッ、わ、私の禁則事項が涼宮さんの禁則事項で…」

ハルヒ「……」

みくる「オオオ~ッ、こんなの規定事項になかったですぅ」

ハルヒ「……」

みくる「す、すごいですぅ、もう止められないですぅ」

ハルヒ「……」

みくる「雨のサントロペ!恋のサントロペ!オオオ~ッ、アアア~ッ…」

ハルヒ「……」


ギシッギシッギシッ…

数日後、通学路


谷口「キョン、助けてくれ!」

キョン「なんだいきなり……というか生きてたのか」

谷口「当たり前だろ!と言いたいが、このままじゃ俺は殺されちまう!」

キョン「何があった?」

谷口「昨日、自宅に脅迫状が届いたんだ」

キョン「なになに、『お前は許さないにょろ。めがっさ恐怖を与えてから地獄に送ってやるっさ』って、おいおい…」

谷口「あと、誰かに後をつけられてる感じがしたり、靴にGが入ってたり、無言電話が来たり、有料エロサイトからの請求書が届いたりしてるんだ!」

キョン「悪いが他を当たってくれ。とばっちりはごめんだ」

谷口「キョン~、俺たち友達じゃないか」

キョン「許さない、ってことは何か恨みを買うようなことをしたんだろ?あきらめろ」

谷口「お、俺のした事なんて、健全な男子高校生なら誰でもやってることだろ!」

キョン「…例えば?」

谷口「朝倉の椅子にスリスリしたり、偶然を装って朝比奈さんとぶつかって胸の弾力を味わったり…」

キョン「ほうほう、他には?」

谷口「図書室で本を探すフリして長門有希のパンツ覗いたり、鶴屋さんの下駄箱を漁って靴を涎まみれにしたくらいだ」

キョン「救いようのない変態だな」

谷口「ちくしょう、誰だよ!俺は何も悪くねーだろ!」




ハルヒ(……ギルティ)

ズキュゥゥン、ガウゥゥン!


キョン「銃声!?」

谷口「お、おいキョン、なんだよ今の音は」


バサバサバサッ


キョン「谷口、カバンが壊れてるぞ」

谷口「えっ………うおおおおおなんじゃこりゃあ!」

キョン「お前、学校にエロ本しか持ってきてないのか?」

谷口「ち、違う!これは俺のじゃない!俺は無実だ!」

キョン「…済まんが、馴れ馴れしく話しかけないでくれ」


女生徒A「うっわ、エロ本とかありえないし」
女生徒B「しっ、見ちゃ駄目よ。襲われるわ」
女生徒C「マジヒクワー」


谷口、社会的に抹殺

キョン(状況的に見てハルヒの狙撃だな)

キョン(依頼主は鶴屋さんか。あの人のことだ、面白半分に依頼したんだろう)

キョン(しかしエアガンでカバンの持ち手とバックルを壊すとは、恐ろしい精度と威力だな)

キョン(まあハルヒのやることだ。何でもアリっちゃアリだろ)

キョン(ん……俺の下駄箱に手紙が……)



『放課後、1-5の教室で待っています』


キョン「Oh……Jesus……」

キョン「ナガえもん、助けてください」

古泉「んっふ、あなたも隅に置けませんね」

長門「手紙に悪意はない。危険性は限りなく低いと思われる」

キョン「そ、そうなのか?差出人はやっぱり朝倉なんだろ?」

長門「……不明」

古泉「僕としてはあまりお薦めできません」

キョン「まあお前はそう言うだろうな」

古泉「予想通りと言いますか、涼宮さんがあの状態になってからは閉鎖空間は全く発生していません。予兆すらないんです」

キョン「強靭な精神力の賜物か」

古泉「ですが、放課後のあなたの逢引現場を目撃して、心が乱れるようなことになれば…」

キョン「修羅場プラス最強の神人が登場する可能性が高い、と?」

古泉「もちろん、全く揺らがないということも考えられますが、現状ではリスクを最小限にして欲しいというのが我々の願いです」

キョン「わかったよ。確かにハルヒが元通りになるまでは危険過ぎるな」

古泉「あなたの決断に感謝します」

長門「……」

キョン「長門、別に問題はないよな?」

長門「ない……と思う」

古泉「長門さんにしては珍しく歯切れの悪い返事ですね」

キョン「親玉だけじゃなく朝倉との連携も制限されてるのか?」

長門「そう」

古泉「まだ予断は許されない状況です。一応、あなたの護衛を増員しておきましょう」

キョン「大丈夫なのか?ハルヒに結構な数をやられたんだろう?」

古泉「今はあなたの安全が最優先事項になっていますから」

放課後


キョン(今日はとりあえず部室に籠っていよう。他のメンバーといれば、おいそれと手出しはできないはずだからな)


ガチャッ


朝倉「…来てくれると思ってたわ」

キョン「あ……ありのまま今起こった事を話すぜ!『俺が文芸部の部室に入ったと思ったらいつのまにか1-5の教室に入っていた』な、何を言ってるのかわからねーと思うが俺も何が起きたのかわからなかった。頭がどうにかなりそうだった。夢遊病だとか閉鎖空間だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」

朝倉「ちょっとキョン君、ポルナらないでよ」

キョン「お前、俺に何をした!?」

朝倉「お手紙出して、教室で待ってただけよ?」

キョン「嘘をつくな!」

朝倉「そんなに警戒しなくても、あの時みたいに閉じ込めたりしてないわ。出入りは自由よ」

キョン「そうかわかった。じゃあ俺、部室に行くから」

朝倉「待ってよ、話くらい聞いてくれてもいいじゃない」

キョン「こんな罠まで張って、一体何の用だ」

朝倉「ニブチンのキョン君に回りくどい言い方はしないわ。あのね……私と正式にお付き合いして欲しいの」

キョン「…なんだと?」

朝倉「理解してくれるまで何度でも言うわ。私を、キョン君の恋人にしてください」

キョン「お前、今の状況がわかってんのか」

朝倉「もちろんよ。長門さんが動けない今が、僅かに残った絶好の機会なの」

キョン「……」

朝倉「キョン君は太い眉の女の子が好きなんでしょう?だったら私にもワンチャンあるかなって、ダメ元で仕掛けてみたの」

キョン「なるほどな」

朝倉「虫のいい話だとは思ってる。でもキョン君には私の想いを知っていて欲しいの」

キョン「また独断専行だって言われないか?」

朝倉「下手すると、どっちに転んでも私は転校させられるかもね」

キョン「朝倉…」

朝倉「できれば私が消えた後、長門さんの時のように…」


キョン(俺は、どうすればいい?NOを突きつけるのは簡単だが…)


朝倉「ごめんねキョン君、時間切れみたい」

キョン「えっ?」


ズキュゥゥン…!

キョン「あ、朝倉!?」

朝倉「…大丈夫、オモチャの銃なんかに遅れを取る私じゃないわ。ねえ涼宮さん?」

ハルヒ「……」

キョン「ハルヒ、お前…」

朝倉「やはりあなたと決着をつけない限り、二人だけの甘い時間は迎えられないのね」

ハルヒ「……」

朝倉「恨むわよ?もう二度と、キョン君の前でナイフなんか持ちたくなかったのに!」


ギィィン!


朝倉「でもあなたを倒せば、キョン君は私だけのもの!」


決死の覚悟を受けてか、ハルヒも同様にナイフで相対する。


普段の立場とは逆に、感情を剥き出しにする朝倉。表情一つ変えないハルヒ。


斬り合うこと数合。ハルヒが凄いのか、朝倉が凄いのか、二人の争いは全くの互角のようだった。

ガシャーン!


ハルヒ、朝倉「「!?」」

キョン「今度はなんだ!」

森「お待たせしましたキョンさん。私が来たからにはもう安心です」

キョン「も、森さん…?」


彼女が古泉の言っていた護衛なのか?心強いが、たった一人では無茶が過ぎないか?


朝倉「誰もあなたなんか待ってないわよ!」

ハルヒ「……」

森「キョンさん……あなたの告白、とても嬉しく思いました。私、森園生は全てを捨ててあなたと共に歩む所存です!」

キョン「えっ?」

朝倉「…ちょっとキョン君、どういうことかしら?」

ハルヒ「……」

朝倉たちの迫力に、思わず後ずさりしながら逃げ道を探そうと窓の外を見る。


するとそこには、本来の護衛と思われる生徒達が死屍累々と倒れていた。


古泉「逃げ、てくださ……今の森さ……危険……」

キョン「こ、古泉……」


その助言は少しばかり遅かったようだ。


朝倉「逃げようにも、飛び降りるしか選択肢はないわよ?絶対に逃がさないけどね」

朝倉、さっきまでの殊勝なお前はどこへ行った?


森「大丈夫です。貴方が私を選んでくれさえすれば、邪魔者は外の連中同様、全て排除して差し上げます」

森さん、あなたの笑顔がこれほど恐ろしいと思ったことはありません。


ハルヒ「…どうあがこうと、結末は変わらないわ」

ハルヒ、お前が一番わけわかんねーよ。

朝倉「後出し眉毛の分際で、私とキョン君の間に入ってこないでよ!」

森「最初に想いを打ち明けられたのは私です」

ハルヒ「…あたしに刃を向けて、無事で済むとは思わないでね」


俺の目の前で、再び三人が足を止めてのインファイトを始める。


当然、俺にはなびく眉毛以外、その動きが見えるはずもない。


ただ、肉を弾き骨を軋ませる不快な打撃音が、俺のSAN値をガリガリと削っていくだけだった。










朝倉「………あれ?キョン君気絶してる」

~~~~~~~~~~


キョン「うぅ、ここはどこだ?」

古泉「お気づきになりましたか?保健室ですよ」

キョン「古泉!お前、無事だっ……いや、そんな風には見えんな」

古泉「お恥ずかしい限りです。機関の精鋭部隊が、たった一人の女性にこう何度も蹴散らされるとは…」


古泉の顔面はストⅡの敗者並にボコボコに腫れ上がっていた。


キョン「俺は生きのびたのか。ハルヒたちはどうした?」

長門「問題ない。私の制約が解除されたと同時に、記憶の改竄をしておいた」

キョン「解除されたって……ハルヒの奴は元通りになったのか?」

長門「そう。通常の眉毛」

古泉「んっふ、あなたがあれだけ寝言でうなされていては、涼宮さんも考えを改めざるを得ませんね」

キョン「すげえ嫌な予感がするが、一応どんな寝言だったか聞いておこうか」

長門「…太眉怖い、と延々繰り返していただけ」

キョン「な、なんだそうか、それくらいなら…」

古泉「但し幼児バージョンで、と付け加えておきましょう」

キョン「おい待てこら」





寝キョン「ふえぇぇん、太眉怖いよぉ……眉毛怖いよぉ……」

キョン「なんてこった…」

古泉「いいじゃないですか。あなたの不用意な一言が原因とはいえ、無事に解決できたのですから」

キョン「そのツラにならもう一発くらいぶち込んでも変わら…」

長門「……」チョンチョン

キョン「ん、どうした長門」

長門「朝倉涼子があなたに謝罪したいと、外で待機している」

キョン「朝倉が?」

古泉「こちらも森さんがお待ちかねですよ」

キョン「そ、そうか。なら入ってもらえよ」

古泉「わかりました。どうぞ、お入りください」

カラララ…


朝倉「……」

森「……」

キョン「あ、えーっと…」

朝倉「あの、ごめんねキョン君」

森「こ、この度は立場もわきまえず、とんでもないことをしでかしてしまいまして…」

キョン「いやまあ、俺が原因っていうのもあるから…」

森「お許しいただけるんですか!?」ズイッ

朝倉「いいの!?転校はナシだ、って長門さんを説得してくれるの!?」ズズイッ


キョン「ひぃぃっ!近寄るなぁぁ!」


朝倉、森「「!?」」

キョン「嫌だ……眉毛は嫌だ……太眉は怖い……」

朝倉、森「「そ、そんなぁ…」」

古泉「おやおやこれは…」

長門「…太眉にトラウマができたと推測される」

古泉「まあ、機関の方でも森さんは今後、彼への接近が禁止になりそうですからね」

長門「朝倉涼子にはおしりぺんぺんの罰が待っている」


古泉(ただ、結果的に彼の好みを変えさせ、恋敵が減ることになった)

古泉(これは一連の事件が涼宮さんの思惑通りだった可能性も微レ存…?)


長門(このまま巨乳、デコっぱち、僕っ娘と順番に潰していけば…)

長門(ゆきりん大勝利の日は近い)ぶい



キョン「太眉怖い太眉怖い太眉怖い…」


~完~

おまけ


キョン「そういえば鶴屋さん、どうしてハルヒに依頼を出したんですか?」

鶴屋「んんっ?」

キョン「鶴屋さんなら谷口の始末くらい、簡単にやってのけそうなんですが…」

鶴屋「あははっ、多分彼が犯人ってことはわかってたんだけどさっ、証拠が無くってねー」

キョン「そうなんですか?」

鶴屋「だからハルにゃんに頼んで、作戦を立ててもらったにょろよ」

キョン「なるほど」

鶴屋「まっ、キョン君がうまく自爆を誘ってくれたってのもあるっさ。感謝してるよっ」




みくる「あのあの、それで私は、何のためにヤられちゃったんですかぁ?」

ゆきりんかわいい
おつ

何だかわからん謎の面白さ
ゆきりん可愛い

とりあえず非童貞と中古はキョンの隣に立つ資格はないな

キョンのトラウマが増えていく未来が見える

やっぱり古泉しかいないね(ニッコリ

面白かった乙

最終的に妹と駆け落ちする未来が見える

>>46
中古ってハルヒ?

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