切嗣「ん、あれ、ここは?」 (100)
プリズム☆イリヤの世界観にfate/zeroの設定を少し混ぜたようなお話です
勢いと設定集を熟読してないので、もしかしたら矛盾が生じるかもしれませんが
まあそこは都合のいいように解釈して読んでください
そういうのがどうしても無理って人はブラウザバックがおすすめです
ちなみに更新は不定期なので
寝る前に一回確認するぐらいの間隔で読んでいくのをおすすめします
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1416492366
期待待機
愚地独歩です…
モワンモワン
切嗣「ここは村か?・・・見覚えがあるな・・・」
切嗣「夢みたいだが少し歩いてみるか・・・」
切嗣「夕暮れか・・・」
??「―知らない?」
??「ううん」
切嗣「あの少年・・・まさか・・・!!」タッタッタ
??「シャーレイ?」
切嗣「ああ・・・そうか・・・これは僕の・・・」
??「君が殺して・・・今ならまだ・・・」
切嗣「僕の過去だ」
切嗣「うああああああああああああああ!!」ガバッ
切嗣「はぁはぁ・・・ゆ、夢か・・・」
チュンチュン
切嗣「・・・起きよう」
セラ「おはようございます、旦那様」
切嗣「ああ、おはよう・・・」
イリヤ「おとーさん、元気ないね?」
切嗣「そ、そうかな?」ハハッ
クロ「あらおとーさん、寝不足?」
切嗣「うーん・・・」
切嗣「いや、なんでもないよ」ハハハ
アイリ「・・・」
午後1時・遠坂邸
葵「紅茶を入れました、どうぞ」スッ
切嗣「ありがとう」
時臣「・・・で、君から私の家に来るとは珍しいが、何か話でもあるのかね?」
切嗣「平行世界という存在について、何か知っていることはないか?」
時臣「平行世界か・・・。確か、第二魔法『並行世界の運営』だったかな。それを使い手とする魔術師もいるようだが私もあまり詳しくはない」
切嗣「そうか。いや、遠坂の家なら魔道書とか置いてないかと思って聞いてみたんだ」
切嗣「そうか、時臣でもその程度しか知らないのか」
時臣「どうした、どうして急に平行世界に興味を持ったのだ?」
切嗣「いやぁ、イリヤと結ばれる世界があるのかなぁってね」
時臣「はっはっは、私も凛が『お父様と結婚したい!』と言ってくれる未来が見てみたいと思っていたところなんだ」
切嗣「どうやら僕たちは気が合うようだね」
時臣「握手しよう」
ガシッ
葵「」ガシャン
切嗣「おっと、君の妻があまりの同様に手に持っていたティーカップを落としてしまったようだ」
時臣「冗談が過ぎたようだな、失礼」
時臣「君の目的は別にあるのだろう?」
切嗣「ああ、実はな・・・」
この前プリヤのダメ親父切嗣書いてた人?
プリズ「マ」だとあれほど(ry
プラズマイリヤなのです!
プラズマイリヤなのです!
支援
>11
ご指摘どうもありがとうございます!
ここは『Fate/kaleid liner プリズマイリヤ』のssです
fate/zeroの設定やキャラが少し混ざっていますので予めご了承ください
午後2時・穂群原学園小等部
大河「はい、次の問題いくわね。次の表は,過去へ行った回数をあらわしたものです。一人平均何回過去へ行きましたか。ってなんじゃこの漫画の影響をモロに受けた問題はー!?」
モブ男子「先生が本性を現したー」
モブ女子「先生、今から教科書を販売したところに苦情を言いにいくべきだと思いまーす」
美遊「ことみねくん6回、ありすさん5回、わかめくん0回、ジナコさん1回か・・・」
大河「名前に癖が有りすぎるんじゃーい!!なんでたかしとかたろうにしなかったんじゃい!!」ガオー
那奈亀「先生、落ち着いてください」
クロ「まあこれくらいなら余裕だわ」
大河「まあいいわ、はい!じゃあこれミミちゃん!!前に出てやってみて!!」
美々「は、はい!」スタッ
龍子「やばい、難しすぎて俺の頭がエンストしちまったぜ」プシュー
美々「ええっと、こうやってこうして・・・こんな感じかな?」カッカッカ
イリヤ「・・・お兄ちゃん、今頃なにしているのかなぁ」
午後2時・穂群原学園高等部
凛「ねえ、衛宮君?その・・・放課後暇?」
士郎「放課後・・・ああ、今日は部活が休みだから大丈夫だ」
凛「弓道部、今日休みなんだ」
士郎「弓道部の副部長がなんか異性関係でトラブル起こしてさ、部活やってるどころじゃなくなったんだ」
凛「え、それ大丈夫なの?」
士郎「まあいつものことだしなぁ」
凛「いつものことなんだ・・・」
ルヴィア「シェロ!!今日の放課後暇ですか?」
士郎「悪い、凛と約束が入った。急用でなければまた今度にしてくれないか?」
ルヴィア「トオサカ・リンに先を越されたですって・・・」ガーン
凛(グヒヒ、ルヴィアばっかりにいい思いはさせないわよ!)ゲヘヘ
午後3時・穂群原学園周辺
クロ「あ、ミミじゃん」
美々「ねえ、イリヤちゃん、クロちゃん。この後遊びに行かない?」
クロ「私はいいけど、イリヤはどう?」
イリヤ「いいよー。どこ行く?」
美々「アニメショップとかいいかな?」
イリヤ「うん!行こう!」
美々(アニメショップのBLコーナー、一度行ってみたかったの///)ウフフ
クロ「ミミ、顔に出てるわよ・・・」
衛宮家
アイリ「キリツグはまだ帰ってきてないのね」
セラ「はい、遠坂様のところへ行くとおっしゃっていましたが」
リズ「今朝の夢がどうとかって言ってた」
アイリ「へー」
アイリ「ま、それならこれから3人でケーキ食べに行きましょ」
セラ「は?イリヤさん達がもうすぐ帰ってくると思うのですが」
アイリ「鍵は持たせているし、お土産買って帰ればいいと思うわ」
セラ「はぁ、まあ奥様がそうおっしゃるのであれば・・・」
リズ「ケーキだ、わーい」
午後4時・ゲームセンター
士郎「へぇ、遠坂ってゲームセンターとか興味あったんだ」
凛「ええ。でも、1人で入るのはなんか勇気なくって・・・って別にいいでしょ!?///」
士郎「え、俺、別にゲームセンターに興味を持つのが悪いとか思ってないけど」
凛「あ、そうか。ごめん、私の早とちりだったわ」
士郎「遠坂も早とちりすることがあるんだな」
凛「な、なによ、悪い?」
士郎「いいや、可愛いところあるんだなって思ってさ」
凛「・・・///」
士郎「どうかしたのか?」
凛「な、なんでもないわ/// それよりも早く衛宮くんのおすすめを教えてよ!」
士郎「あ、ああ・・・」
午後5時・遠坂邸
時臣「フルハウスだ!」
切嗣「ぐっ、ワンペア・・・」
時臣「これで35勝8負1分。君はこういうカードゲームには慣れていないのかね?」
切嗣「そりゃだって僕、2児のパパだし、こういうポーカーとかはやらないからね」
時臣「ふむ・・・そういえばもうこんな時間か・・・」
切嗣「ほんとだ。そろそろ帰らないと」
時臣「葵、送ってあげなさい」
葵「ええ、切嗣さん。お帰りはこちらです」
時臣「あまり力になれなくてすまなかったな」
切嗣「いや、謝る必要はないさ。なんせ過ぎたことだ。何もできなかったとしてもそれはしょうがないとして受け入れるさ」
時臣「・・・」
葵「・・・」
某アニメショップ
雁夜「いやぁすまないね、桜ちゃん」
桜「いえ、いいんですよ。私もちょうど欲しい本がありましたから」
雁夜「桜ちゃん、こういうところ抵抗あるんじゃないの?」
桜「いいえ。先輩もよくここに来るので、私もその付き添いでよくここに来てました」
雁夜「先輩ってあの衛宮とかいう青年のことかい?」
桜「はい。なんか妹のためとか言ってましたけど」
雁夜「あーいるいる。そういう兄妹の仕業にして、本当は自分が一番好き好き!とかいう隠れオタクタイプだろうな」
桜「先輩って隠れオタクなんですか?」
雁夜「まああくまでもそうかもしれないって話だよ」
桜「だとしたら私、先輩の好きな作品聞いて勉強しなくちゃ!」
雁夜「・・・え?・・・え?」
イリヤ「あれ、あそこにいるのは桜さんかな」
クロ「イリヤ、ミミを止めるのを手伝ってくれない?」
イリヤ「え?・・・ってわあ!!」
美々「あれも欲しいなぁ/// でも、これもいいなぁ///」
イリヤ「美々ちゃん、それR-18のだから!私たちが買っていいものじゃないから!!」
一成「ん、お前は衛宮の妹と従妹じゃないか」
クロ「あ、こんにちは、一成さん」
一成「何をしておるのだ、ここはR-18エリアだぞ。しかもBLのだ」
イリヤ「私の友達がその・・・暴走しちゃって・・・」
美々「これとかちょっと刺激強すぎるかも・・・でも、見てみたいなぁ///」
一成「・・・関わるととんでもないことに巻き込まれそうなので、私はこれで失礼する」スタスタ
イリヤ「え、ちょっと待ってくださいよ、一成さぁ~ん!」
クロ「てかあの男、どうしてこの辺に出没したのかしら?」
イリヤ「」
美々「うふふ///」ニコニコ
午後6時・衛宮家前
切嗣「おや?」
凛「―それで、―なのよねぇ」
士郎「なんでさ。それって・・・あ、親父」
凛「こんにちは、衛宮くんのおじさん」
切嗣「こんにちは、凛ちゃん」
士郎「俺、もう少し遠坂と話して帰るよ」
切嗣「分かった、あまり遅くならないようにな」
衛宮家
切嗣「ただいまーってあれ?」
セラ「あ、お帰りなさいませ、旦那様」
アイリ「あらあら、もう帰ってきたの?今日は飲みに行くのかと思ってたわ」
切嗣「それで、今日は随分と惣菜物が多いな。しかもそれに加えてケーキときたか」
アイリ「ちょっとスーパー寄ったらどれも美味しそうで、ついね?」
セラ「ついねじゃありませんよ。これじゃあ栄養偏りまくりじゃないですか」
アイリ「まあまあ、いいじゃないの~」
セラ「奥様、それでいいんですか・・・」
リズ「しょうがないね、セラは食べたものが全部お腹につくからね」
セラ「あら、リズ。今の聞き捨てなりませんわ。ちょっと表に出ましょうか」
切嗣「喧嘩はほどほどにな」
イリヤ「ただいまー」
クロ「あら、今日は随分と油物が多いわね」
士郎「なんか母さんがいろいろ買って帰ってきたんだってさ」
アイリ「今日はご馳走よ♪」
リズ「キリツグ、お皿運ぶの手伝って」
切嗣「分かった」
セラ「私はお風呂掃除してきますね」
イタダキマース
切嗣「・・・」モグモグ
イリヤ「ねえ、おとーさん。なにか悩み事?」
切嗣「え、どうして分かるんだい?」
イリヤ「家に飾ってある青タイツの男の人形みたいな顔してたから・・・」
セラ「あ、そういえばあれ、両腕両足が破れて中身が出て悲惨なことになっていましたね」
士郎「またか。明日買って帰るよ。これで18体目か」
切嗣「なんでそんなものが飾ってあるんだい?」
クロ「あれ飾り始めてからいいことが立て続けに起きるのよ」
リズ「アニメショップの1番くじでA賞が当たったり、道を歩いていたら500円拾ったり・・・とか?」
クロ「だからあの青タイツの人形って幸運を呼ぶフィギュアだと思ったの」
士郎「どっちかっていうと、悪運を吸い取っている感じがするけどな」
切嗣(僕の顔ってどんだけ暗いんだろう・・・)
アイリ「舞弥さんにお願いして10体ぐらい発注してもらいましょうか」プルプルー
アイリ「あ、もしもし?舞弥さん?」
舞弥『なんですか、奥様?』
アイリ「えっとね、青タイツの男の人形を10体ぐらい発注しといてくれないかしら?」
舞弥『分かりました、後でどのようなものか写メで送ってもらえますか?』
アイリ「分かったわ♪」
イリヤ「さすがママ、行動が早い!」
クロ「舞弥さんパシりに使っただけだけどね」
アイリ「それで、なんか悩み事あるの?」
切嗣「いや、なんでもないよ、ささ、早くご飯を食べよう」パク モグモグ
切嗣「ああ、ご飯がおいしい。本当においしい・・・。ぐっ・・・ぐすん・・・ひっぐ・・・」グスン
イリヤ「おとーさん、また泣いちゃって・・・」
士郎「本当に弱虫だなぁ」
切嗣「ああ・・・ごめんな・・・ぐすん・・・」
アイリ「あらあら、しょうがない人ねぇ」
クロ「おとーさん、私の温泉卵上げるから元気だしなよ」
切嗣「クロ・・・。うん、ありがとう。ああ、食べるのがもったいないなぁ。部屋に飾っておきたい・・・」
クロ「いや食べてよ。部屋に飾ったら腐っちゃうじゃない」
士郎「あはは・・・」
セラ「旦那様は本当に家族の温かみに弱いのですね」
イリヤ「おとーさんの過去に一体何があったんだろう・・・」
午後8時・浴室
ポチャン
切嗣「ふー、生き返るなぁ」
切嗣「よく考えたら平行世界へ行くだけじゃだめだ。そこから更に過去へ飛ばないと」
切嗣「なんとか方法はないものか」
ガラガラ
アイリ「はぁーい、あなた」
切嗣「あ、アイリ!?」
アイリ「一緒にお風呂に入りましょう?」スタスタ
切嗣「大の大人が2人でこの浴室はなかなか狭いと思うんだが」
アイリ「固いこと気にしないの!それにね、キリツグの様子、ちょっと気になってるの」
切嗣「アイリ。君に相談するようなことじゃない」
アイリ「相談しねぇ俺、まじカッコいい!ってやつ?」
切嗣「そうじゃないが」
アイリ「じゃあ問題ないわね。まあイリヤのパンツ欲しいとかクロのブラ頭に巻きたいとかそういう系の相談ら流石に受けられないけど」
切嗣「アイリ、僕をなんだと思っているんだい?」
アイリ「ふふっ、ちょっとした冗談よ」
切嗣「まあそこまで言うならちょっと聞いてくれるかな。実はね・・・」
切嗣「・・・という訳なんだ」
切嗣(僕は今朝の夢、時臣の家での出来事をアイリに話した)
アイリ「キリツグの初恋の相手を助けたい、ねぇ」
アイリ「私じゃ飽きたっていうの?」
切嗣「いや、そうじゃない。ただ、あのとき助けられなかったし、僕の甘さが島を滅ぼす原因となったんだ。きっと僕にとって家族と全世界の人間を天秤にかけたら迷わず全世界の人間を選ぶくらいのトラウマになったと思う」
アイリ「まあなんて極論なのかしら。そんな天秤のかけかたされたら誰だって悩むわ。きっとそれは歪んでるわ、ひどく歪ね。DTな上にEDに違いないわ」
切嗣(考えたの僕なんだが・・・)
アイリ「でも私でも平行世界の過去への行き方は知らないわ、ごめんね」
切嗣「いや、いいよ。相談乗ってくれただけでも少し気が楽になった」
アイリ「ふふ、その代わり・・・」
アイリ「気持ちよくしてあげるわね」フフッ
午後10時
切嗣「ふぅ、イリヤ。そろそろ寝る時間じゃないのか?」
イリヤ「えー、あと2話でこのアニメ終わるから待って」
切嗣「しょうがないな」
セラ「しょうがなくありません!イリヤさん、早く寝ないと明日が辛いですよ?」
リズ「育つところも育たないよ」
イリヤ「・・・それもそうだね」チラッ
セラ「おいこらちょっと待てや。今どこ見たよ?」
切嗣「はっはっは、これはしょうがふごぶひっ!!」ドガァ
セラ「あらうっかり旦那様の顔に右ストレートを当ててしまいましたわ」
切嗣「ほふとふに、ひょーがひやい・・・」
午後11時・夫婦の部屋
クロ「」zzz
切嗣「クロはかわいいな」ナデナデ
クロ「おにいちゃん……大好き……///」エヘヘ
切嗣「士郎はモテモテだな」
クロ「うん、おにいちゃん・・・こんなところ、触っちゃダメ・・・んっ・・・」ビクン
切嗣「」
午前2時
切嗣「・・・」
アイリ「むにゃむにゃ、シロウ、私のおっぱいは気持ちいい?ああ、シロウの硬くて熱いね、むにゃむにゃ」zzz
クロ「おにいちゃん、もう我慢できないよぉ・・・///」zzz
切嗣「眠れん」
切嗣「アイリ、実は起きているだろう?」ユサユサ
アイリ「んー・・・激しい・・・」zzz
切嗣「本当に寝てる・・・」
切嗣「・・・起きるか」スッ
リビング
切嗣「何か面白いテレビやってないかな」ピッ
切嗣「録画している中には」ピッピッ
切嗣「fateでも見るか」
カキン ドゴーン バキドカグシャ
切嗣「これはなかなか面白い」
イリヤ「ん、あれ、おとーさん?」
切嗣「イリヤ、起きたのかい?」
イリヤ「うん、ちょっとトイレに」
切嗣「そうか・・・」
イリヤ「おとーさん、なんか元気ない?」
切嗣「そう見えるかい?」
イリヤ「うん、なんだか疲れているみたい」
切嗣「・・・ちょっと昔のことを思い出してね」
イリヤ「昔のこと?私で良かったらお話聞くよ?」
切嗣「イリヤ・・・なんていい子なんだ」ブワッ
イリヤ「おとーさん、泣かないで!」
自分にも一つ下さい、青タイツの男の人形
切嗣「昔、お父さん、島に住んでいたことがあってな」
切嗣「父さん・・・おじいちゃんと生活していたんだ」
イリヤ「私のおじいちゃん?」
切嗣「そうだよ。それでお父さんはそのおじいちゃんの助手だった村の女の子に恋をしていたんだ」
切嗣「でも、その子がおじいちゃんが研究していた薬に手を出して、化け物になっちゃったんだ」
イリヤ「え?」
切嗣「僕が見つけたとき、殺してくれって頼まれた」
イリヤ「おとーさん、その子殺しちゃったの?」
切嗣「そのときの僕はそんな勇気なくてね。殺せなかったさ。でも、そのせいで僕とおじいちゃんが住んでいた村は壊滅した」
切嗣「全ての元凶となったおじいちゃんはこの手で殺したんだ」
イリヤ「・・・」
切嗣「そんな昔の出来事を夢を昨日見てね、なんとかしてその子を助けておじいちゃんも殺さなくて済んだ方法がなかったか、ちょっと考えてた」
ルビー「なるほど、それで平行世界について他の魔術師から話を伺っていたんですね」
切嗣「君はイリヤが持つステッキかい?」
イリヤ「ルビー。・・・そうだ!ルビーだったらなんとかできるんじゃ!」
ルビー「平行世界の過去を変えたところでこの世界は何も変わりませんよ。無駄足だと思いますが」
切嗣「それでも構わない。僕はこの手でシャーレイと父さんを救ってみたい。正義の味方になりたいんだ」
ルビー「そうですか。まあおもしろそうなんで、そういうならパパッと行っちゃいますかね」
イリヤ「え、本当に行けるの?」
ルビー「あんまり細かいこと気にしてたら禿げますよ。さあ、早く準備をしてください!」
今回はここまで
明日へ続きます
既に下書きは書き終えていますが
そんなに長くありません
土日で全て更新しますので
お楽しみに!
乙
楽しみー
平行世界過去・アリマゴ島
切嗣「っと、ここは・・・」
イリヤ「あれ、私も?てか服が普段着に変わってる!」
ルビー「移動中にぱぱっと着替えてもらいました!ささ、キリツグさん。あなたが一番来たかった場所ですよ」
切嗣「暗いな・・・深夜か・・・」
切嗣「とりあえず、シャーレイの家に行ってみよう」
イリヤ「待って、おとーさん!」
切嗣「着いた・・・ん?ドアが半開きになってるな」
イリヤ「おとーさん・・・」
切嗣「イリヤは離れていなさい。僕が様子を見てくる」
シャーレイ「これで間違いないよね・・・」チラッ
切嗣「なっ!あれは!!」
切嗣(まずい、あれを飲ませては死徒になってしまう!)
シャーレイ「先生の研究をみんなに分かってもらうにはこうするしか・・・」ゴクリ
切嗣(タイムアルターでも間に合わない!やはり、この運命だけは分岐することはないのか・・・!)
ルビー「切嗣さん、考えている暇はないですよ!?」
イリヤ「おとーさん!!」
切嗣(僕は・・・何も・・・できないのか・・・)
シャーレイ『ケリィはさ、どんな大人になりたいの?』
シャーレイ『世界を変える力、だよ。いつかキミが手に入れるのは』
切嗣「世界を変える・・・」
切嗣「そうだ、僕は・・・僕は世界を変える!シャーレイの言った意味とは違うかもしれないけど、僕は・・・この世界を変えてみせる!!」
シャーレイ「怖い・・・でも・・・」パカッ
切嗣「まだ間に合う!タイムアルター・・・ダブルアクセル!!」
切嗣(すばやく銃を構えて・・・)カチャ
切嗣(当たれ!!)バン
ガシャーン
シャーレイ「キャッ!?な、なに!?」
切嗣(空き瓶を銃で割った。気を取られている今のうちに!!)
切嗣「タイムアルター・・・ダブルアクセル!!」ダッ ガシッ
シャーレイ「ちょ、ちょっと!!なんですか、あなた!?」
切嗣「君!!それを離しなさい!!それは危険なものだ!!」ググッ
シャーレイ「嫌だ、離さない!!先生の研究は人のためになるんだから!!」
切嗣「ダメだ!それは・・・人を・・・この島を滅ぼす薬だ!!島を滅ぼしたいのか!?シャーレイ!!」
シャーレイ「どうして、私の名前を・・・?」スッ
切嗣「ようやく・・・手を離してくれたか・・・」ハアハア
シャーレイ「あ、あなたは誰?」
切嗣「僕は・・・正義の味方だよ。君を助けに来たんだ、未来からね」
シャーレイ「未来から?信じられないけど、もしかしてケリィ?」
切嗣「お、僕のことが分かるのか?」
シャーレイ「その感じ、ちょっと暗いけど、ケリィだよね。でも、どうして、大人になっちゃったの?」
切嗣「シャーレイ・・・誰かに見つかるとまずい。とりあえず、その薬は元の場所に返して、例の場所に行こう」
シャーレイ「例の場所?・・・うん、分かったわ。あ、私から質問したいことがあるんだけど、もちろんいいよね?」
切嗣「ああ」
イリヤ「わぁ、ここ綺麗・・・」
シャーレイ「ここ覚えてる?」
切嗣「もちろん、ここで君が僕に問いをしてきたよね」
シャーレイ「うん、じゃあ最初の質問はそれ。ケリィはどんな大人になったの?」
切嗣「僕は・・・」チラッ
イリヤ「ん、どうしたの?おとーさん」
切嗣「正義の味方になった。ただし、家族限定の・・・だけどね」
切嗣「とかかっこよく言ってみたけど、本当はただのお父さんだよ。シャーレイが望んだものとは全然違うだろうね」
シャーレイ「だけど、ケリィはこの時代にきて、私が試薬を飲もうとしたところを止めてきた。それで次の質問。私があれを飲むとどんなことが起きてたの?」
切嗣「それは話せば少し長くなるけど――」
切嗣「――ということさ」
切嗣(僕の世界でおきたこの島の末路をシャーレイに話した)
イリヤ「・・・」
シャーレイ「そっか。私、不完全な死徒になって村を滅ぼしちゃうんだね・・・」
切嗣「結論からいうと親父の研究は成功しない。なぜなら僕の世界ではその時点で研究が終わってしまうからだ」
切嗣「僕が親父を殺してね」
イリヤ「・・・」
シャーレイ「そっか、私のせいで・・・そんなことに・・・」グスン
切嗣「シャーレイ!?」
シャーレイ「ごめんね、ケリィ。私のせいで、ケリィが辛い目に・・・」ヒック グスン
切嗣「シャーレイ・・・。・・・僕はね、君を悲しませないためにこの時代へ来たんだ」
シャーレイ「え?」
切嗣「言っただろう?僕は正義の味方だって。君を不幸にはさせない!」
切嗣「シャーレイ。協力してくれるか?」
シャーレイ「何をするの?」
切嗣「親父を止める、それでこの世界は変わるはずだ」カチャ
矩賢「シャーレイ、侵入者とは本当か?」
シャーレイ「はい、寝込みを襲われて・・・」
矩賢「見事に瓶が割られているな・・・一体どうしたというのだ?」
切嗣「それは僕がお前の研究をここで終わらせるからさ」カチャ
矩賢「なっ、お前は・・・!」
切嗣「久しぶりだね、父さん」
矩賢「まさか・・・切嗣?どうして、そんなに大きく・・・」
切嗣「そりゃ未来から来たからね。父さん、残念ながらあなたの研究は成功しない」
矩賢「・・・」
切嗣「封印指定だって受けている。こんな逃亡生活を繰り返したところで研究の成功は無理だ」
矩賢「切嗣、お前は私の研究の後を継いでいないのか?」
切嗣「そうだ。そして、僕は父さんの研究を止めに来た」
矩賢「そうか。私の研究を止めさせたいか。ならば、力づくで止めてみることだ」
矩賢「私だって多くの犠牲を払いながらここまで研究を進めてきたんだ。簡単には辞められない!」
矩賢「タイムアルター・・・ダブルアクセル!!」ヒュン ドガッ
切嗣「ぐっ!!」
イリヤ「おとーさん!!」
シャーレイ「ケリィ!!」
ルビー「イリヤさん!変身しましょう!!」
切嗣「やめるんだ。父さんとは自らの手でケリをつける。あの時と同じように・・・タイムアルターダブルアクセル!!」ヒュン バンバンバン
矩賢「ふんっ!」サッサッサ
矩賢「こちらも銃でいくぞ!!」バンバンバン
切嗣(くっ!)サッ
矩賢「そこだ!!」バンバン
切嗣「タイムアルター・・・ダブルアクセル!!」サッ カチャ
切嗣「はぁ!!」バンバンバン
矩賢「タイムアルター・・・ダブルアクセル!!」カキンカキン
切嗣(ナイフを隠し持っていたか・・・なら!)タッタッタ
矩賢(突撃してきただと?まさにいい的だな!)カチャ バンバン
切嗣(狙い通り!!)
切嗣「タイムアルター・・・ダブルアクセル!!」サッサッサ
切嗣「銃弾をかわして一気に間合いをつめる!!」
矩賢「やはりそう・・・きたか!!」ブン
切嗣「なっ!」サッ
切嗣(倍速になるのを見越して動いてきただと?さすが父さん、この魔術については熟知済みだ)
矩賢「ふん」バンバンバン
切嗣「とっとっと!」タッタッタ ガバッ
矩賢「壁に隠れてないで出てこい。親の言うことを聞かない息子にはおしおきをしなければならないからな」バンバンバン
イリヤ「おとーさん!!」
シャーレイ「だめよ、今近づいたら殺されるわ!」
ルビー「そうですよ、イリヤさん。あの人はキリツグさんと違って純粋な魔導師。近づいたら容赦なく殺されます!」
イリヤ「大丈夫かな・・・おとーさん・・・」
切嗣「・・・」バンバン サッ
切嗣(向こうは無駄撃ちしている。だから、もうすぐ球切れがあるはず。そこを一気に攻めて・・・これを・・・)カチャ
矩賢「出てこい!切嗣!!」バンバン カチカチ
矩賢「しまった、球切れか」
切嗣「今だ!!タイムアルター・・・・ダブルアクセル!!」ヒュン
矩賢「ちっ!」サッ ヒュン
切嗣(ナイフ!?)ガキン
切嗣(銃でなんとか防いだが、まだナイフを隠し持っているなんてね)
矩賢「タイムアルター・・・ダブルアクセル!!」ヒュン ヒュン ヒュン
切嗣「タイムアルター・・・ダブルアクセル!!」サッサッサッ
切嗣(こんな世界・・・変えたところで僕の日常が変わるわけじゃない)サッサッサ
ヒュンヒュンヒュン
切嗣(ここは平行世界の過去。でも・・・だからこそ・・・何も起きなかった世界がひとつぐらいあってもいいじゃないか)サッ
ヒュン
切嗣「僕は、正義の味方なんだ!タイムアルター・・・トリプルアクセル!!」サッ カチャ
矩賢「ぐっ・・・」
切嗣「抵抗はよせ。この銃に入っている球は特別でね。父さんの魔術師、それから人間としての人生を終えたくなければ無駄な抵抗はやめるんだ」
矩賢「切嗣、実の親を殺すというのか?」
切嗣「自分の世界では既に殺している。冗談に聞こえるか?」
矩賢「・・・」
切嗣「・・・」
シャーレイ「・・・」
イリヤ「・・・」
ルビー「・・・あーもうめんどくさい人たちですね!」
矩賢「なんだ、この変なステッキは?」
ルビー「ここで殺し合っても仕方ありません。とりあえず、一旦元の時代へ戻りましょう。そこの2人にも来てもらいますので」カー
矩賢「なんだ、この光は!?」
シャーレイ「ケリィ!!」
パアー
衛宮家裏庭
切嗣「うああああああああ!!」ドスン
イリヤ「きゃっ!!」ドス
切嗣「ぐふぅ!!」
矩賢「ここはどこだ?」スタッ
シャーレイ「見たことない建物・・・」スタッ
ルビー「転送位置が微妙にずれていましたね」
矩賢「切嗣、これはどういうことか説明してもらおうか」
切嗣「父さんとシャーレイには平行世界の未来に来てもらった、ということでいいのかな?」
ルビー「はい。だってあんな殺気立っていたらうっかりどっちかが殺しかねません」
矩賢「私は別にどこで争っても構わん」
ルビー「こんな住宅街で戦うのですか?ここは未来の日本の冬木市です。騒ぎを起こせば警察やら魔術師やらがあなたをつけ狙って来るでしょうね」
シャーレイ「ここが未来・・・」
切嗣「とりあえず中に入ろう。そこでゆっくり話をしようじゃないか」
矩賢「・・・やむを得ないか。ついてきなさい、シャーレイ」
シャーレイ「は、はい!」
これは支援せざるを得ない!
乙ー
午前4時・衛宮家ダイニング
イリヤ「粗茶ですが、どうぞ」スッ
矩賢「ありがとう。名はなんと言うのかな?」
イリヤ「イリヤです。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン・・・」
切嗣「僕の娘だよ」
シャーレイ「ケリィ、結婚してたの!?」
切嗣「ああ、今は3児の父さ」
矩賢「そうか。それで私の研究は?」
切嗣「研究どころか僕は父さんの魔術刻印を2割程度しか受け継いでいない」
矩賢「・・・」
切嗣「ショックかい?」
矩賢「いいや、そもそも封印指定を受けていた魔術だ。無くならなかっただけマシだったかもしれない」
切嗣「ちなみに僕は自分の魔術刻印を誰にも受け継がせる気もない」
矩賢「そこまでするのか」
切嗣「出来れば父さんも今の研究中止してくれないかな。あれが良い結果をもたらすとは思えないんだ」
矩賢「何を言うか。あれはまだ試作段階だ。きちんとしたものが出来れば問題ないだろう」
ルビー「あーそれは止めといたほうがいいですね。あの試薬が成功した平行世界は私が知るところ、ひとつも存在しませんので」
矩賢「なんだと・・・」
シャーレイ「そんな、先生の薬は完成しないんですか・・・」
イリヤ「おじいちゃんってよく考えたら恐ろしい研究をしていたんだね」
切嗣「すぐには気が変わらないのはなんとなく予想していたさ。父さん、シャーレイ。しばらく家に泊まっていくといい」
矩賢「もとの世界に切嗣を残しておいてか?」
ルビー「そこは問題ありません。お二方がいなくなった1時間後くらいに帰れば、残してきた子どもの心配をする必要はありませんよ」
矩賢「なんともご都合主義なステッキだな」
午前7時・ダイニング
セラ「」
士郎「」
クロ「」
アイリ「あらあら」
矩賢「切嗣の父、衛宮矩賢だ」
シャーレイ「先生の助手をしているシャーレイです。よ、よろしくお願いします」
切嗣「二人とも訳ありで少しの間うちで寝泊まりすることになった」
イリヤ「ふわぁぁ、眠い・・・」
クロ「イリヤ、なんかした?」
イリヤ「まあちょっとね」
セラ「そんな困ります!こんな狭い家にふたりも増えたら大変です!」
切嗣「狭い家で悪かったな・・・」シュン
セラ「す、すいません。でも!寝る場所はどうするんですか?」
矩賢「ああ、それなら心配しなくていい。私もシャーレイもリビングで寝るから」
アイリ「布団余ってるからそれを敷けばいいわね」
士郎「な、なんだかよくわからないけど、いいんじゃないかな。じいさんは死んだって聞いてたけど」
リズ「それになんか若い?」
矩賢「切嗣、これ本当に泊まって大丈夫なんだろうな?」
切嗣「ここ、一応僕の家なんだけどなぁ」
アイリ「セラ、あまりカリカリしないの。別にいいじゃないの、人数が多いほうが楽しいわ!」
セラ「旦那様も奥様もそうおっしゃるなら、私に止める権限などございませんが、本当によろしいのですか?」
アイリ「構わないわ。対応の仕方はセラに任せるから」
セラ「かしこまりました」
イリヤ「それじゃあいってきまーす」
クロ「いってきます」
矩賢「待ちなさい」
イリヤ「なぁに、えっと、おじいちゃん?」
矩賢「私が学校まで送っていこう」
イリヤ「えっと・・・」チラチラ
クロ「いいんじゃない?一緒に行こう、おじいちゃん!」
矩賢「ああ、行こう。シャーレイはお留守番してなさい」
シャーレイ「分かりました、先生。行ってらっしゃいませ」
アイリ「あなたがシャーレイさん」ジー
シャーレイ「はい、えっとなにか?」
アイリ「切嗣から少しだけ話は聞いてるけど、こういう人だったのね」
シャーレイ「・・・アイリさんでしたっけ?ひとつ聞いてもいいですか?」
アイリ「はい?」
シャーレイ「先生の研究は誰からも認められない、いけないものだったんでしょうか?」
アイリ「それは難しい話ね」
アイリ「成功すれば認められるかもしれない。でも失敗すれば結局いけない研究で終わってしまうわ」
シャーレイ「結果的に失敗したのがこの世界ってことですか」
アイリ「ええ、そうね」
シャーレイ「私は先生の研究が正しいものだとずっと信じてきました。でも、今じゃよく分かりません。私が研究を証明しようとしたばかりに村を滅ぼすだなんて・・・」
アイリ「それに気づけただけでもいいんじゃないかしら?せっかく未来の世界に来たのだから、一緒に遊びに行きましょう!」ガシッ
シャーレイ「え、あ、ちょっと!!」
切嗣「ふぁー、僕はちょっと寝るか」
リズ「キリツグおやすみー」
午後8時・通学路
イリヤ「おじいちゃんはどんな研究をしていたの?」
矩賢「そうだな、まあ簡単にいえば人を理性を持った吸血鬼に変えることだな」
イリヤ「な、なんだか恐ろしい研究だね・・・」
矩賢「でもうまくいけば、最終的には世界を変える研究になるかもしれない。切嗣は研究をやめろというが、簡単にやめられるものじゃない」
クロ「でもそれって研究の成果を試すために犠牲となる人間が出ちゃうのよね?」
矩賢「当然だ。最終的に人間に使うものだからその過程で犠牲が出るのは仕方ない」
イリヤ「そっか・・・」
矩賢「どうした?」
イリヤ「なんだかちょっと悲しいなぁって。どうして、そんな犠牲を出してまで研究を続けようとするの?」
矩賢「それはもちろん、私がそうしたいからだ」
クロ「イリヤ、話すだけ無駄よ。研究者ってのは頭がかたくて融通が利かないんだから」
イリヤ「そっか。それはなんかもう、しょうがないのかな・・・」シュン
矩賢「・・・」
矩賢「ま、まあ、そうだな・・・。状況次第では気が変わるかもしれんな・・・多分、きっと、ひょっとしたら」アセアセ
イリヤ「そっか」ニコッ
矩賢(ああ・・・なんだかやりにくいな。息子と孫じゃ全然可愛さが違う)
クロ(へぇ、意外に人間らしいところもあるのね)
龍子「あ、イリヤとクロじゃん」
美々「あれ、その人は・・・?」
イリヤ「あ、うちのおじいちゃんだよ」
矩賢「ど、どうも・・・」
雀花「おはようございます、イリヤのおじいさん」
矩賢(おじいちゃんって言われるのは違和感があるな・・・)
那奈亀「イリヤのおじさんに似てるね」
矩賢「・・・イリヤ、送るのはここまでだ」
イリヤ「おじいちゃん?」
矩賢「お友達と仲良く登校しなさい」フッ
イリヤ「・・・うん、分かった!いこっ、クロ!」
クロ「ちょ、ちょっと、イリヤ!待ってよ。えっと、行ってきます、おじいちゃん」
矩賢「いってらっしゃい」
矩賢「孫を送ったが何をしようか。少しこの街を歩いてみるか」
時臣「おや、あなたは・・・」
矩賢「ん?どうかしたか?」
時臣「・・・いえ、なんとなく封印指定を受けていた魔術師に似ていたもので」
矩賢「なっ・・・」
時臣「そう警戒なさらないでください。仮にあなたに心当たりがあったとしても、魔術を使わなければ見つかることはないでしょう」
矩賢(その言い方じゃバレたようなもんじゃないか)
矩賢「そうか、一応の忠告に感謝する。では、これで」
時臣「待ってください。あなた、もしかして衛宮切嗣の関係者じゃありませんか?」
矩賢「なぜそれを?」
時臣「私の知人でして、平行世界がどうとか相談を持ちかけられたのですよ。まあ私に出来ることは何もありませんでしたが」
矩賢「・・・勘の鋭いやつだ。私をどうするつもりかね?」
時臣「冬木の街を案内しようと思いまして。私もあなたには単純に興味があるのですよ。遠坂の名にかけて悪いようには致しません。いかがでしょうか?」
矩賢「ふむ、嘘をついているようには見えないな。それではお言葉に甘えて街を案内してもらおうか」
午前10時・ボウリング場
アイリ「それー」バコーン
アイリ「やった!ストライク!!」
シャーレイ「あの……なんかここ落ち着かないです」
アイリ「そう?でもあそこの堅物そうなおじさんも楽しそうにボウリングしているわ」
ケイネス「ふはは、それー!」バコーン
ケイネス「どうだ!連続ストライクだぞ!」ニタニタ
モブおっさんA「すげぇな」
モブおっさんB「こりゃ負けられんばい!」
シャーレイ「私の村は静かだったのでこういう場所はちょっと・・・」
アイリ「まあまあそういわずに!はいはい、投げてみて」
シャーレイ「えっと、じゃあ失礼して・・・えいっ!」ゴロゴロ バコーン
アイリ「5本倒したわね。はじめてにしてはなかなか筋があるわね!」
アイリ「よーし、私も頑張っちゃうぞ!」グッ
午前11時・ショッピングセンター
矩賢「ふむ・・・」
時臣「何かありましたかな?」
矩賢「いや、いろんな店があるのに研究向けの機材を売っているところがないなと思ってな」
時臣「そういうのはここにはないですね。あくまでもファミリー向けのショッピングセンターなので」
矩賢「そうか」
時臣「少し早いですが昼食にしませんか?この辺にある中華料理店が美味しいんですよ」
矩賢「そうだな」
学校小等部
イリヤ「うーん・・・眠いなぁ・・・」
イリヤ「よく考えたら昨日あまり寝てないや・・・」
大河「はーい、それじゃあ今日は英作文を書いてみようねー」
大河「多少文法間違っていてもいいから自由に書いてみてね!」
クロ「めんどくさいなぁ。『お兄ちゃん、ラブ』みたいなタイトルで書こうかな」
大河「ミーミちゃん、何書いているのかな?」
美々「えっと短文小説っぽく思い付いた話を・・・」
大河「えーっとなになに。ふむふむ・・・こ、これは!?」
大河(BL!?しかも士郎が主役だと!?ケツ掘ってるし!待て待て落ち着け私!)
大河「ミ、ミミちゃん。どうしてこれを書こうと思ったのかな?」
美々「えっと、これしか思いつかなくて・・・」
大河(お前の頭のなかはどうなっとんじゃい!?)
龍子「美々すげーな。先生びっくりしてるぞ」
那奈亀「そういうタッツンは全然進んでないじゃん」
雀花「こりゃ負けられないな」
大河「美遊ちゃん?どんな英作文書いて・・・」
大河(え、なにこれ!?偉い人の論文!?)
美遊「英語という語学に関する概論を他言語と比較して相対的に述べてみました」
大河「また難しいこと書いて!こんなの小学校の先生が採点できるレベルじゃねーよ!!」ガオー
イリヤ「あはは。えーっと、私はどうしようかなぁ」
イリヤ「あ、そうだ。いいこと思いついちゃった」ニコッ
午後12時・中華料理店
時臣「なるほど、そんな研究を・・・」
矩賢「ああ、だがあまり村からの理解は得られていない」
時臣「そうでしょうなぁ。私も生まれたときから魔術師をやっておりますが、そのような研究が成功した話は聞きませんね」
矩賢「さっきから気になっていたが、遠坂氏は本当に魔術師なのか?」
時臣「おや、疑うのですか?」
矩賢「魔術師としてはやけに人間ぽいというか、魔術師特有の冷酷さがどこにも見られないな」
時臣「私は昔からこんな性格だったわけじゃありません。娘の存在が私を変えたのです」
矩賢「娘か・・・」
時臣「あなたにはお子さんはいらっしゃらないのですか?」
矩賢「息子が1人いる。いずれ私の研究をついでもらわなければならん」
時臣「それは息子を苦しめることになるでしょうな」
矩賢「・・・息子を苦しめる?」
時臣「あなたの家系の魔術に危険が伴う研究。そんなものを子どもに継がせようという気が知れません。御言葉ですが、あなたは本心から息子のことをどう思っているのですか?」
矩賢「そういう聞き方はずるいとは思わないのか」
時臣「おや、ずるいと思ってくれるのですか」
矩賢「・・・それにしてもこの麻婆豆腐・・・」
矩賢「からっ!辛いっ!ウエエ・・・ゲホッゲホッ!!」ゲホゲホ
時臣「これがおいしいんですよ」モグモグ
矩賢「くっ・・・そんなものか」
矩賢(よくもこんな辛いものを眉ひとつ動かさずに食べられるものだ)
矩賢(ちょっとした驚きだ)
ハンバーガーショップ
シャーレイ「これおいしい!」モグモグ
アイリ「あら、気に入ってくれたのね」モグモグ
シャーレイ「はい、気に入りました!」
アイリ「ふふ。あ、そういえばあなた、魔術は使えるのかしら?」
シャーレイ「先生から少しやらせていただいたことはあります」
アイリ「筋がいいのね。あなたは偉大なな魔術師の元で修行を積めば優秀な魔術師になれるわ」
シャーレイ「でも、私は先生の研究を応援していますから」
アイリ「あのね、シャーレイちゃん。こんなこと言うのも気が引けるけど、お義父さんには研究を止めさせるべきだと思うわ」
シャーレイ「・・・私のせいですか?」
アイリ「違うわ。事情はキリツグから聞いているけど、封印指定を受けているうえにあんな研究・・・とても世代をまたいで続けられるとは思えないわ」
シャーレイ「・・・正直、私も今日一日アイリさんにお付き合いしながら考えました。私は、先生の気がそう簡単にはかわらないんじゃないかと思います」
シャーレイ「でも、今の研究に未来がないなら、別の策を考えるべきだとは私もちょっと思っていたりします」
アイリ「そう、やっぱりあなたはいい子ね。キリツグが惚れるだけのことはあるわ」
シャーレイ「ケリィが私のことを?」
アイリ「あ、もうあげないからね。キリツグは私がいただきました」ニコッ
アイリ「でも、お義父さんにも家族を愛する気持ちってあるみたいだから、きっと心変わりすると思うわ。だって、孫は子どもより何倍も可愛いらしいもの」ニコニコ
午後1時・学校高等部
一成「なに、衛宮のおじいちゃんだと?あ、この唐揚げいただくぞ」ヒョイ
士郎「ああ。なんか突然うちに来てさ。親父は研究を止めさせたいとかなんとかいってた」
一成「お前の家は従妹といい祖父といい、後から生えてきたかのようにどんどん家族が増えるな」
一成「そうだな・・・衛宮家はまるで・・・そう、ピク○ンみたいだ」
士郎「・・・」
イリヤ『ピクピク~///』
クロ『ピ、ピク○ン///』
アイリ『ピク~』
セラ『ピ・・・ピク・・・///』
リズ『ピクピク』
切嗣『ボンボー!!』ピピー
士郎「」
士郎「・・・それで今夜のご飯は何がいいのか考えているんだ」
一成「衛宮、お前のスルースキルには脱帽するぞ」
午後2時・遠坂邸
葵「どうぞ、紅茶です」
矩賢「どうも」ズズッ
矩賢「なかなか美味だな」
時臣「気に入っていただけましたかな?」
矩賢「ああ。・・・遠坂氏は随分と私に良くしてくれるのだな」
時臣「そうですね、友人の父親ですからね」
矩賢「私からは下心しか感じられないが」
時臣「どのような研究をされているかは気になっていました。でもほんとそれだけです。好奇心ってやつですよ」
矩賢「そうか。・・・冬木はいい街だな」
時臣「気に入っていただけたなら、案内をしたかいがありました」
午後3時・小等部正門前
士郎「お、イリヤ」
イリヤ「おにいちゃん!」
美遊「こんにちは、士郎さん」
クロ「部活はいいの?」
士郎「ああ、じいさんがいるし、今日は俺が夕飯の当番だから、ご馳走にしようと思ってな」
クロ「それで私たちを待っていたの?」
士郎「ああ、それとちょっと考えていることがあってな」
士郎「良かったら買い物手伝ってくれるか?」
イリヤ「もちろん!おにいちゃん、早く行こう」
美遊「あ、それじゃあ私はこれで」
士郎「・・・料理・・・考えるの手伝ってくれると嬉しいんだが」
美遊「えっと、私でよければお供します。士郎さん」
今日はここまでです
明日には終わると思います
次回もお楽しみに!
乙
乙、めっちゃ和むわぁ
……明日までと言わず、もっと続けてもええんやで
午後5時・衛宮家
アイリ「ただいまー」
シャーレイ「ただいま帰りました」
アイリ「あら、いい匂いね」
イリヤ「ああ、ママ、シャーレイさん、お帰りなさい!おにいちゃんが今、ご馳走作ってくれてるの!」
クロ「イリヤー、サラダ作るの手伝ってよね」
イリヤ「はーい」
シャーレイ「あの、私もなにか手伝ったほうがいいですか?」
切嗣「いや、シャーレイはゆっくりしていてくれ、客人なんだから」
シャーレイ「わ、分かった」
士郎「よっと!」 ジュッ
セラ「私、洗濯物入れてきますね」
シャーレイ「」モゾモゾ
リズ「」ツンツン
シャーレイ「あ、えーっと」
リズ「アニメでも観る?」
シャーレイ「あ、はい、それじゃあ・・・」
イリヤ「えっとお皿はいくついるのかな?」
クロハ「パイプ椅子持ってきたわよ」
アイリ「みんながんばれー」ヒラヒラ
午後6時
矩賢「つい遠坂邸でのんびり過ごしてしまったな。夕食はもう出来上がって・・・いるようだな」クンクン
イリヤ「あ、おじいちゃん、お帰りなさい!」
矩賢「イリヤ、ただいま」
イリヤ「早く!みんな待ってるよ! 」グイッ
矩賢「お、おう」グイグイ
矩賢(柔らかく温かい手だな)
矩賢「これは・・・」
切嗣「僕もびっくりだよ。まさか士郎がこんなご馳走を作ってくれるなんてね」
士郎「じいさんとシャーレイさんのために用意したんだ。それからイリヤ、クロ」
クロ「これはシャーレイさんのね」ドーゾ
シャーレイ「箱?中には・・・わぁ、青タイツの男の人形。あんまり可愛くないけど」
士郎「何をあげたら喜ぶか分からなかったから、とりあえず幸運を呼ぶらしい人形にしたんだ」
クロ「どっちかっていうと悪運を吸い取ってくれる感じだけどね」
シャーレイ「うれしい!ありがとう!」
イリヤ「おじいちゃん、これどうぞ」
矩賢「ふむ、私のは包みか」
ガサガサ
矩賢「首飾りと・・・手紙?」ピラッ
『おじいちゃん、いつも研究おつかれさま! 士郎・イリヤ・クロエ』
矩賢「・・・」
士郎「どうかな、じいさん。あんまり時間なくてさ、いいのが思いつかなかった」
矩賢「・・・」
イリヤ「おじいちゃん?」
切嗣「・・・」
矩賢「どうか、したのかな?」
イリヤ「おじいちゃん、泣いてる・・・」
矩賢「泣く?まさか・・・」
矩賢「あれ、おかしいな。視界が歪んで・・・」グスン
アイリ「泣き虫なところは親子そっくりね」
セラ「奥様!しっ!」
矩賢「そうか・・・これが家族の温もりか・・・」グスン エッグ
切嗣「父さん・・・」
矩賢「ありがとう、士郎、イリヤ、クロエ。・・・おじいちゃん、うれしいよ」
矩賢「まさか私が家族に泣かされるとは思いもしなかったな。私もこんなに甘いんじゃ魔術師として失格だな」
イリヤ「おじいちゃん、あのね。私、誰かを巻き込む研究はしてほしくないの。だって、世の中にはたくさんの人として生きたいって思っている人がいるんだから」
矩賢「しかしだな・・・」
クロ「私もイリヤの意見に賛成かな。おじいちゃんにとって大切なものは本当に研究なの?」
矩賢「それはそうだが」
クロ「じゃあその涙はなに?」
矩賢「・・・」
矩賢「・・・はは、こりゃ一本取られたな」
切嗣「父さん・・・」
シャーレイ「先生・・・」
矩賢「分かった、死徒の研究はやめよう。孫の顔を見たらなんだか気が変わってしまった」
アイリ「衛宮矩賢の長年の悲願が11歳の娘の存在に負けるなんてね・・・」フフッ
矩賢「何かおかしいのかね?」
アイリ「私も実家の悲願より生まれて間もないの生命を優先しましたからね」
士郎「あはは、みんなイリヤにメロメロなんだな」
クロ(肝心なおにいちゃんが一番イリヤにメロメロになっていない気がするけどね)
イリヤ「とりあえずこれでなんとかなったのかな」
ルビー「ですね。あ、お二方は後で元の時代に帰しておきましょう」
過去の平行世界・アリマゴ島
矩賢「流石に食べ過ぎたな」
シャーレイ「あんなに食べたの初めてかも」
イリヤ「おじいちゃん、シャーレイさん」
矩賢「イリヤ、私はもっと違った研究をしてみるよ。イリヤが悲しまなくて済むような研究で成功させてみせる」
シャーレイ「私も先生を全力でサポートします」
イリヤ「うん、約束だよ!」
矩賢「ああ、約束だ」
ギュッ
ルビー「おじいちゃんと孫の時を越えた握手!感動しますね!」
切嗣「これで良かったんだな」
切嗣「ん・・・?」
ルビー「おや、どうやら無理に過去の世界を変えてしまった影響か、招かざる客人がやってきてしまったようですね」
矩賢「・・・なに、人数は分かるか?」
ルビー「2人ですね。まあ概ね手柄を横取りしようと単独で嗅ぎつけてきた魔術師でしょうね」
矩賢「切嗣を拾って逃げるか」
切嗣「いや、とりあえずここで迎え撃とう」カチャ
矩賢「・・・そうだな。シャーレイ、イリヤと切嗣を守りなさい」カチャ
シャーレイ「は、はい!」
イリヤ「おとーさん・・・」
切嗣「心配するな、イリヤ。ここまで世界を変えてこれたんだ。こんなところでしくじるわけにはいかない」タッタッタ
タッタッタ
魔術師A「もうすぐだな」
魔術師B「ああ、ここを見つけたのも俺たち2人だけ。きっと協会もびっくりするぞ」
バンッ
魔術師B「ぐっ!!右肩かすった!!」
魔術師A「なに!?気づかれただと!?」
矩賢「はっ!!」ブン
魔術師A「ナイフか!」サッ
魔術師B「何しやがるこの!」
切嗣「お前の相手は僕だよ」ガシッ
魔術師B「くっ、もう1人いたか!?」ブン タッタッタ
矩賢「ふん!はぁ!!」ブンブン
魔術師A「くっ!」サッサッ
矩賢「タイムアルター・・・ダブルアクセル!!」ビュン グサッ
魔術師A「ぐふぅ!!これが、封印指定の魔術・・・」ドサリ
切嗣「そこだ!!」バンバン
魔術師B「そんな球、剣で弾けるわ!」カキンカキン
切嗣「タイムアルター・・・ダブルアクセル!!」カチャ バンッ
魔術師B「そんな近代兵器、当たらんわ!!」サッ
魔術師B「これでも食らうがいい!!」シュン
切嗣「くっ、ガンドか!」タッタッタ
魔術師B「せいやあああああ!!」シュン
切嗣(一度に撃てる数は一発か)サッ
魔術師B「しかしまあ、こんな貧相な島によくも逃げ延びれたものだ」
切嗣「・・・」
魔術師B「封印指定を受けながらの逃亡生活。その道中で母親は死亡・・・本当惨めな家族だよな」
魔術師B「危険な研究をしているらしいが、今度はこの島を実験台にするつもりだったのかね」
切嗣「・・・」
魔術師B「衛宮矩賢とは随分と愚かな男よ。自分のために母親も関係のない人間も次々に巻き込もうとする」
魔術師B「お前がどこの魔術師かは知らないが、本当はそう思っているだろう?なぁ」
切嗣「・・・」
切嗣「それが遺言ってことでいいな」カチャ
魔術師B「おのれ、貴様!あの男をかばったこと、いつか後悔することになるぞ!!」
切嗣「うるさい、僕は既に・・・後悔しているんでね!!」タッタッタ
バンバン
魔術師B「ぐっ・・・」サッサッ
魔術師B「ガンド!!」シュン
切嗣「当たるか!」サッ
切嗣「僕は後悔しないために戦っている!!」タッタッタ
切嗣「お前にひとつ教えてやる!!」カチャ
切嗣「僕は・・・この世界を変える・・・正義の味方なんだ!!」
魔術師B「おのれぇ!!ちょこまかと!!」タッタッタ
切嗣「タイムアルター・・・ダブルアクセル!!」バン
魔術師B「なっ・・・ぐぼおおおお!!かはぁ!!」ビチャビチャ
魔術師B「なんだ、この弾は・・・!!」ゲホゲホ
切嗣「特殊な弾さ。これでお前は魔術師としても人としても、再起不能だ」
魔術師B「なんだと・・・ぐふぅ!!」ビチャビチャ
魔術師B「くそ・・・あと一歩だったのに・・・」バタリ
ピクピク
矩賢「死んではないようだが、生きていられるのも時間の問題か」ズササ
切嗣「魔術協会に嗅ぎ付けられてなければいいが」
矩賢「いや、ちょうどいい機会だ。この島を離れよう」
矩賢「シャーレイも連れていく。3人新たな地でもう一度やり直そうと思う」
切嗣「そうか」
矩賢「孫との約束もあるからな」
切嗣「それなら、少しだけシャーレイと話す時間をくれないか」
矩賢「いいだろう。私も準備をしなければいけないからな」
スタスタスタ
シャーレイ「話ってなに、ケリィ」
切嗣「シャーレイ、この時代の僕を頼む。僕はこの島での出来事で大きく変わってしまった」
切嗣「僕に別の未来の可能性があるとしたら、きっとそれに影響を与えるのは、シャーレイ。君の存在だと思う」
シャーレイ「・・・」
切嗣「勝手なお願いで悪いが、頼めるか?」
シャーレイ「もちろん。要はケリィのお姉さんになればいいのね?」
シャーレイ「この命はあなたに助けてもらったものだもの。ケリィの頼み、ちゃんと守るから」
切嗣「ああ、安心した」
シャーレイ「それからケリィ。今更だけど、ありがと」チュッ
切嗣「・・・な、なななほっぺに!?」
シャーレイ「あはは、口にしてあげても良かったけど、それじゃあ奥さん怒るでしょ?」
切嗣(いや、ほっぺにチューも十分アイリに怒られそうだけど・・・まあ、いっか)
シャーレイ「それとね、やっぱり君は私の言った通りだったね」
切嗣「ん?」
シャーレイ「世界を変える力、だよ。君は世界を変えたんだよ」
切嗣「他力本願だった気もするけど、まあその辺はいいか」
切嗣「シャーレイ、生きてくれてありがとう。そして、これからも生きて父さんやこの時代の僕のサポートをよろしく頼む」
シャーレイ「ふふ、ケリィの頼みじゃしょうがないなぁ」ニッコリ
南側の海岸
シャーレイ「ケリィ、よく寝てますね」
矩賢「ああ、起きたらきっと驚くだろうな」
イリヤ「起きたら海の上、だもんね」
ルビー「うっかり落ちて水死させないでくださいね」
切嗣「ははは、せっかくここまで世界を変えてきたのに、この世界の僕が水死とか洒落にならないね」
矩賢「それじゃあ暗くならないうちに行こう」
シャーレイ「ケリィ、イリヤ。今度こそお別れね」
切嗣「ああ、元気でなシャーレイ、父さん」
イリヤ「シャーレイさん、おじいちゃん、身体には気を付けてね?」
矩賢「本当にお年寄りのような扱いだな」
矩賢「だが、孫に心配させるのも悪くないな」フッ
矩賢「元気でなイリヤ。少しだったが、孫と過ごせた時間は楽しかった。それから切嗣も、元気でな」
切嗣「ああ。・・・さようなら、父さん。そして、シャーレイ・・・」
ブオオオオオオオオオン
ルビー「行っちゃいましたね・・・」
イリヤ「あ・・・夜が明けるね」
切嗣「これで・・・本当にこの世界の未来が変わったんだよな」
ルビー「はい、間違いありません。・・・もっともこれから先どう生きていくかはあの3人次第ですが」
切嗣「・・・くっ・・・ぐすっ・・・」グスン
イリヤ「おとーさん・・・」
切嗣「父さん!!シャーレイ!!今度こそ・・・今度こそ生きてくれよぉ!!」ヒック グスン
切嗣「くっ・・・ごめんなイリヤ。いつも変なタイミングで泣いてしまって・・・」フキフキ
イリヤ「ううん、おとーさん。今は泣いてもいいと思うよ」
ルビー「・・・キリツグさん、夜も明けますしあまりゆっくりはできませんよ?」
切嗣「分かってる・・・。でも、今だけは泣かせてくれないか・・・」
切嗣「ああ、本当に良かった・・・。生かすことができて、本当に・・・良かった・・・」グスン
イリヤ「・・・」
数日後・衛宮家リビング
切嗣「結局、あのあと父さん達はどうなったんだろうか」
イリヤ「うーん。でもきっと元気にやっているよ」
切嗣「そうだといいんだが、なんせあの父さんだからなぁ」
ルビー「気になるならもう一度過去に飛んでみます?」
切嗣「いや、やめておこう。あそこから先は父さん達が考えることだ」
切嗣「それに、今度は父さん達、うまくやってくれそうな気がするんだ。なんとなくだけどね」
イリヤ「・・・あ、そうだ。おとーさんにこれ渡さなくちゃ」
切嗣「ん、手紙?英語で何か書いてあるみたいだが」
イリヤ「えーっと、その小学校で英作文の課題があってね、間違えたところを直して別の紙に書いてみたの」
切嗣「ふむふむ、えっと」
切嗣「『おとーさん、いつもありがとう。お仕事お疲れさま! イリヤより』」
イリヤ「えっとどうかな?藤村先生の添削が間違ってなかったら大丈夫だと思うんだけど」
切嗣「・・・イリヤ、ううっ」ブワッ
イリヤ「わわわ、おとーさん!そんな泣くほど嬉しかったの!?」
切嗣「そりゃそうさ、ぐすん。子どもに『ありがとう』と言われるほど親として嬉しいことはないぞ、ひっぐえっぐ」
イリヤ「おとーさん・・・」
切嗣「ありがとな、イリヤ。おとーさん、これからも頑張るからな!」
イリヤ「うん、頑張って!」
ーおわりー
~おまけ~
???・小屋
シャーレイ「先生、お茶が入りました」
矩賢「ありがとな、シャーレイ」
矩賢「・・・」
シャーレイ「どうかしましたか?」
矩賢「はは、今でも先生と呼んでくれるのだな」
シャーレイ「当然じゃないですか、私は先生からいろんなものを教わりました」
矩賢「そうか・・・」
矩賢「切嗣はうまくやっているだろうか」
矩賢「聖杯戦争の初戦で負けて、妻子を連れてあちらの家から逃げたと聞いたが」
シャーレイ「あーその話でしたら、こんなものが届いていますよ」ピラッ
矩賢「ん、手紙?」
シャーレイ「はい。なんでもイリヤちゃんの運動会があるそうです。先生にも観に来て欲しいと書いてあります」
矩賢「そうか。まったく、どこかへ行ったかと思えば急に呼び出しか。もう少し親の気持ちを考えて欲しいものだ」
シャーレイ「先生・・・顔が笑ってますよ?」
矩賢「そりゃそうだろう。久しぶりに孫の顔が見れるのだ。これが嬉しくないわけがないだろう」
矩賢「さあ、そうと決まれば準備だ。シャーレイ、頼めるか?」
シャーレイ「はい!すぐに支度します!!」
矩賢「・・・こんな世界も悪くないな」フフッ
国民の祝日に関する法律第2条
「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」
というわけで本編は以上で終わりです
思いつきで考えたんで随分と無理のある話でしたが
まあこういう話もあってもいいじゃないかってことで書いてみました
少し前に更新されていた変態切嗣が主役のプリヤssがあり
この話も変態切嗣でいこうかと思いましたが
真面目な切嗣も見てみたいと思って普通の切嗣になりました
まあ泣き虫なのは変わりませんでしたけどね
ここまで見てくださった方
ありがとうございました!
乙!
短く感じたが楽しませてもらった! また暇な時ぜひ書いてくれ!
乙
面白かったよ!!
思っていたのより短かったので
別のお話を更新します
思いつく限り書いていきます
更新頻度はこれまでよりも更に落ちると思うので
たまに気が向いた時にチェックするぐらいでいいかと思います
~外伝・遠坂「ん、あれ、ここは?」~
凛「病院・・・」
午後4時・ルヴィアの屋敷
凛「最近、ひとつ気になることがある」
凛「それは・・・」
士郎「よう、遠坂」
凛「衛宮くんがよく私の様子を見にやってくるということだ」
応接室
士郎「遠坂、良かったらこれ・・・」ガサッ
凛「プリン、ねぇ。衛宮くん、毎回毎回こんなのことしなくていいのに」
凛(そもそもどうしてこんなことになったのか、あれはそう、数日前のことだった)
数日前・学校
ルヴィア「おーほっほっほー!シェロォ!一緒にお昼食べませんこと?」
士郎「え、俺、昼は一成と・・・」
一成「そうだぞ、そもそも男女が一緒に昼食など、なんというか不純だ!!」
士郎「いや、それは言いすぎな気が・・・」
凛「ルヴィア、もうそれくらいにしなさいって」
ルヴィア「なんですの?トオサカ・リン!邪魔しないで下さる?」
凛「そうじゃなくて、衛宮くんが迷惑・・・」グラッ
凛「あれ?」
バタン
ルヴィア「ちょっと、トオサカ・リン?ここはベットではないですわよ?」ユサユサ
士郎「ルヴィア!手を離せ!」
ルヴィア「ど、どうしたんですの、シェロ!?」
士郎「いいから!触っちゃダメだ!」
ルヴィア「・・・トオサカ・リン。うちのメイドとしてだらしないですわよ」
士郎「学校以外ではずっとメイドをやらせていたのか?」
ルヴィア「別に強制はしていませんわ。ただここ最近、考えてみれば働き詰めでしたわね」
士郎「・・・」
士郎「一成、救急車を頼めるか」
一成「任せておけ」タッタッタ
士郎「それからルヴィア、今日はメイドの仕事を休みにしてやってくれ」
ルヴィア「・・・シェロがそういうなら・・・」
病院・個室
凛「・・・ん、あれ、ここは?」
士郎「あ、遠坂。気がついたか」
凛「衛宮くん?ここは・・・」
士郎「病院だ」
凛「そっか、私倒れて・・・」
士郎「過労だってさ。ふー、何かの病気とかじゃなくて良かった」
凛「衛宮くん、学校は?」
士郎「何言ってんだ、もう夕方だぞ? 1時間前に先生と入れ替わるようにしてここに来たんだ」
凛「え、もう夕方なの? こうしちゃいられない!帰って洗濯物と・・・」
士郎「いや、遠坂。今日は入院だ」
凛「は?」
士郎「この個室もルヴィアが手配してくれた。遠坂、最近バイト頑張っているんだってな」
凛「・・・なによ、衛宮くんには関係ないでしょ?」
士郎「そうはいうけど、目の前でいきなり倒れられたらびっくりするのこっちなんだからな」
凛「それは・・・ごめんなさい・・・」
士郎「なら今日はしっかり休め。バイトのことは明日ルヴィアとよく考えて決めるんだ」
士郎「遠坂が無理されると俺も辛い。ただのワガママだけど、あんまり無理して欲しくない・・・」
凛「・・・」
支援
現在・応接室
凛「そう、それで結局バイトはやめられなくてこれまでと同じように続ける意思を示したら・・・」
凛「毎日衛宮くんが私の様子を見に来るようになったのね」
士郎「遠坂のこと、心配なんだ。放っておいたらなんかまた無理してるし」
凛「・・・」
凛(そんな困ったような顔されたら、追い返そうにも追い返せないじゃない)ムー
午後7時・ルヴィアの屋敷浴室
美遊「凛さん・・・失礼ですが、今日はご機嫌がよろしくないのですか?」
凛「んー、そう見える?」
美遊「はい、士郎さんが来るようになってから眉間にシワが寄っています」
凛「・・・美遊。ちょっと独り言なんだけどさ」
美遊「はい」
凛「私、衛宮くんのこと、ちょっと気になっているの」
凛「でもね、毎日心配して来てくれると・・・その、なんか衛宮くんに迷惑かけてるみたいでね、落ち着かないの」
美遊「凛さんは士郎さんが来てくれるのは嬉しくないのですか?」
凛「それはそりゃ嬉しいわよ。私が倒れてからルヴィアも気を利かせて士郎が屋敷に来ることに関しては首をつっこんでこないみたいだし」
美遊「ルヴィアさんは凛さんが倒れたことで少しばかり罪悪感を感じているみたいです」
凛「・・・あーあ、ルヴィアもあんなんじゃ調子が狂うわ」
美遊「あの・・・もう少し士郎さんに甘えてみてはどうですか?」
凛「・・・」
美遊「凛さんは士郎さんと本当はもっと近づきたいのに、いろんな思いが邪魔をしてなかなか近づけないんだと思います」
凛「・・・」
美遊「・・・すいません、少し喋りすぎました」
凛「・・・まあ、美遊がそういうなら、しょうがないわね」フッ
凛「あーもう!こうなったら衛宮くんが屋敷に二度と来れなくなるくらいこき使ってやるんだから!」グッ
午後8時・衛宮家
ジャー
セラ「シロウ、最近ルヴィアさんの家に毎日のように行ってますね」
士郎「ああ、友達が倒れたんだ。心配でね」
士郎「なんだ、行くなって言われても俺はいくぞ」
セラ「しかしバイト先ではないですか。迷惑になるとは思わないのですか」
士郎「・・・」
セラ「・・・はぁ、思い当たることがあるなら行かなければいいのに」
士郎「・・・遠坂ってさ、結構ツンツンしてるけど、それだけあいつ無理しているんだと思うんだ」
士郎「だからさ、心配なんだ」
セラ「まったく、そうやって私に説教したところで私の意見が変わるとでも思うのですか?」
士郎「セラは頭がかたいから無理そうだ」
セラ「だから、最初から行くなとは言ってませんよ」
セラ「ただしうちに苦情の電話が来たらさすがに止めますからね」
士郎「ああ、分かってる」
翌日午後4時・ルヴィアの屋敷
凛「あ、衛宮くん」
士郎「よう。今日は差し入れは無しだ」
士郎(さすがに毎日持っていったら気を遣いそうだからな)
凛(よく考えたら私のお仕事、衛宮くんに押し付けるわけにはいかないわね)
凛(しまった、これじゃあコキ使えないじゃないのよ)
士郎「えっと、なにか手伝おうか?」
凛「それはダメよ。私、ここで働いているんだな。あなたに任せるわけにはいかないのよ」
士郎「そうか・・・」
凛「ねえ、衛宮くん。どうしてここまで私の心配をしてくれるの?」
士郎「それは俺が心配しているから・・・じゃダメか?」
凛「はぁ・・・」
凛「ああ、もう!それじゃあ飽きるまで毎日でもうちに来なさいよ」
士郎「ああ、そうする」
凛(全く・・・こんなんだから余計に気になっちゃうのよ)
凛(このどこまでもお人好しで他人を想うこの男がね・・・)
~おわり~
更新来た!と気付いたらもう終わっていた……なんか虚しい
乙でした
面白かった 乙です
このSSまとめへのコメント
どうでもいいが、衛宮家の研究は時間に関するものであって死徒に関する物じゃないぞ。
死徒化薬は研究に必要な時間を稼ぐための手段の一つだ。切嗣が勘違いしてるのはいいけど、当主本人がそうなのはおかしい
いいSSだった
青タイツって……お前らいい加減兄貴を不幸の権化みたいにするのはやめろよ!
えっ?人形?ならいいや(無慈悲)