犬「くぁ。今日も平和ですね」 (32)
今日も綺麗なお月さまです。
初めまして。ボク、犬って言います。
ご主人に飼われてもう・・・何年???
とにかく、ご主人と2人で暮らしています。
ん?誰かきました。
あぁいつものおじさんです。
毎日朝早くに出掛けて、夜遅くに帰ってくる人です。
今日はお酒飲んでるみたいですね。
おじさんは門の柵越しにボクに話し掛けます。
「お前は良いよなぁ、
毎日寝転がってれば良いんだもんなぁ
俺なんか、毎日、毎日仕事ばっかりだよ。」
そういうと門に寄り掛かって座り始めました。
おじさんの手が門の内側に少し入っています。
マメだらけでゴツゴツしてて、
決して綺麗とは言えない
いっぱい苦労している手。でも格好良い手。
ボクはその手をペロっと舐めてみました。
「おおぅ!くすぐったいな、お前(笑)
なんだ、労って(ねぎらって)くれてんのか?
ありがとうな。」
そう言うとボクの頭をクシャクシャっと撫でてくれました。
撫でてくれる手をボクも舐め返します。
「そうかそうか、頑張れってか?
よっし!!!明日も頑張るか!じゃあなワン公」
そう言って背中越しにボクに手を振って歩いて行くおじさん。
おじさんの背中に向けてエールを込めて
「ワン!」
「ガララ」居間の窓の開く音が・・・
「夜なんだから静かにしてね。」
ご主人に怒られてしまいました(泣)
さて怒られたし、今日はそろそろ寝るとします。。。
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「ブルルン、ガチャ」
ん?もうこんな時間ですか?
新聞屋さんですね。おはようございます。
まだ薄暗い中、バイクのライトが明るく光ってます。
新聞屋さんのおじさんは小声で
「犬、おはよう。ホレ今日も持ってきたぞ」
そう言うとビーフジャーキーをくれます。
晩酌のおつまみの残りだそうです。
ボクも小声で
「わぅん。」
ありがとうございます、おいしいです。
「よしよし、良い子だ。今日も出迎え有難うな。
じゃあ、また明日持って来るからな。」
毎朝ご苦労様です。運転気を付けて下さいね。
新聞屋さんを見送りましたので、小屋に戻ってひと眠りです。
日が昇ってきました。今日も良い天気ですね。
高校生の女の子が走って行きます。
通り過ぎた・・・と思ったら戻ってきました。
門の前で足踏みをしながら、
「犬君、おはよ!今日も元気かい?」
元気なのはアナタです(笑)
毎朝遅刻しそうなのにボクに挨拶してくれる
元気な子です。
ボクも門の前まで行って、軽く
「わん。」
元気です。行ってらっしゃいの挨拶。
「うんそう(笑)行ってくるね。じゃあね(笑)」
ちらっと腕時計を見て
「やばいぃぃ、遅刻ぅぅ!」
また凄い速さで走って行きました。
でも不思議ですね、ボクは「わん」しか
言ってないのに。
人間にはボクの言葉は通じないはずなんですが。
まぁ毎日思うんですが、取り敢えずもうちょっと
早起きしたらどうかと思うのです。。。
すきかも
おっ猫さん。
毎日女の子が走って行った後に現れる彼です。
「おはようございます。」
塀の上の彼に話掛けます。
ツイっとコッチを向いて
「おはよう。今日も良い天気だな。」
毎日話し相手になってくれます。
門柱の上に座ってこっちを向いている猫さん。
後ろの太陽の光に照らされてグレーの
毛色が綺麗に輝いています。
「喉渇いたな。その水貰って良いか?」
「どうぞどうぞ、飲んで下さい。」
「じゃ、ありがたく。」
ストッと飛び降りボクの水桶の水に口を付けてます。
良く犬と猫は仲が悪いと誤解されがちですけど
そんな事も無いんです。
猫さんは水を飲むと毛繕いをしながら
話し掛けてきました。
「どうだい、最近ご主人の調子は?」
実はボクのご主人、足が悪いんです。
だからボクも何年も散歩に行ってません。
ボクに見えるのは門の間からと塀の上の空だけなんです。。。
猫さんはいつもそんなボクとご主人の事を気遣ってくれます。
「最近暖かくなってきて良いみたいですよ。
庭に出るのも増えたし、良かったです。」
「そうか、それは良かったな。君のご主人には
たまに食べ物を貰うからな。よろしく言っておいてくれ」
・・・ボク犬ですから…。よろしく言えません…。
「じゃあ、水ご馳走様。またな!」
そう言うとヒラリと塀の上に上がり向こうに歩いて行きました。
猫さんは自由で格好良いです。ボクの憧れです。
>>4 どもです。
猫さんが通り過ぎた後は暫く誰もきません
今日は小春日和で気持ちよいので、
日向ぼっこでもしようかと思います。
玄関前のコンクリートの部分が最適なんです。
下はちょっとヒヤッとするけど、お日様の日差しで
上はポカポカ。
暖かくて気持ちよくて天国です。
暫く寝転がってウトウトしてしまいました。
ん?ヒクヒク。誰の匂いかな?
この匂いでこの時間だと…。
クッキーちゃんですね。朝の散歩の時間です。
「おはよう。」
門に近づいて挨拶します。白い毛並みが
今日も綺麗です。
やっぱ可愛いなぁ。
「おはよう、犬君。今日は何してるの?」
毎日こう聞かれるのですが、
いつも困ってしまいます。
だって、ボクは一日中ここでこうしているので…。
「今日は天気が良いから、日向ぼっこです。」
「あら、良いわね。気持ち良さそう。
わたしは帰ったら家の中だから中々できないもの。
羨ましいわ。」
羨ましいですか。感じ方は犬それぞれですね。
ご主人が元気がだったらボクも散歩に行きたいです。
「そうですね。でもお散歩も良いですね。
気持ち良さそうです。」
「あら、そんな事ないわよ。
わたし元々歩くのそんなに好きじゃ無いし…。
ご主人様がダイエットで歩くのにわたしも
付き合ってるのよ。」
・・・大変ですね。
「ほら、クッキー行くわよ。」
クッキーちゃんのご主人がリードを引っ張ります。
「もぅ、そんなに引っ張らないでよ。
またね、犬君」
「はい、お気をつけて」
行ってしまいました…
あぁ、後ろ姿も可愛いです。。。
今日も平和でありますように
とても良い
こういう雰囲気の好きです
「ガララ」玄関の扉が開きます。
朝ご飯の時間ですね。
いつもとっても優しいボクのご主人です。
猫さんとも言ってましたが、
足が少し悪くて辛そうです。
今日も腰の辺りに手を当ててます。
早く良くなって貰いたいです。
「はい、犬。ご飯だよ。
お座り。」
はい、ご主人。座りマス!
「お手」
はい、右手ですよね。よいしょっと。
「おかわり」
今度は左手ですよね。毎日やってますから。
「おあずけ」
・・・これがいつもながら辛いです。
ついヨダレが出ちゃいます。。。
でも我慢です。
「はい、食べて良し。今日も良い子ね」
ありがとうございます。いただきます。
おっ今日はドッグフードですか。
半生なこの食感がまたなんとも。。。
ふぅ、おいしかった。ご馳走様でした。
「うん、美味しかったかい?今日も良い天気だね。
こんな日にもお散歩連れて行けなくてごめんねぇ」
ご主人、そんな事言わないで下さい。
ご主人が大変だったらボク我慢しますから。
ボクに朝ご飯をくれると縁側で座って
佇むのがご主人の日課です。
ボクは縄の届く限りご主人に近づき、
寄り添ってお付き合いします。
少しのんびりとした時間が過ぎご主人は
家の中にいってしまいました。
ちょっと寂しいです。。。
また日向ぼっこ再開です。
ふう、本当に今日は良い天気です。
・・・・・・・・・くぅ。
あら?寝てしまったみたいですね。
もう日差しが随分高いです。
ん?クンクン。
この匂いは・・・。
「いぃぬぅさんー(笑)きゃきゃ(笑)」
兄君です!遊びに来てくれたんですね。
ご主人がとっても喜びます。。。
「ほら兄、そんなに走らな・・あっ。
ほら転んだぁ。だめでしょ」
後ろからママさんが歩いてきました。
腕には弟君が抱っこされてます。
寝てるみたいですね。。。
兄君と弟君とママさんが来ると
ご主人がとっても喜ぶんです。
ボクも嬉しくなります。
あっ!目の前で兄君が転んでるんでした。
「ふえぇぇ。」
あぁ兄君、泣かないで。
ほら、ボクに乗っていいから。よいしょっと。
起き上がった兄君の足の間に頭を入れ、
背中に乗れる様に伏せてみます。
「あら犬ったら。遊んでくれるの?ありがとう」
いえいえ、どういたしまして。
…うっ重い。兄君も大きくなったなぁ。。。
「キャッキャ(笑)」
良かった。泣き止んでくれました。
さて玄関まで兄君を連れて行きますか。
「ワンワン」
ご主人!遊びに来てくれましたよ。
出てきて下さーい。
あ、ご主人が出てきました。
「あら、ママ。来てたの?
良いわねぇ兄君。犬と遊んでるの?」
うんうん、良かったご主人の顔がとっても明るい。
…に…しても…兄君。
耳を引っ張るのはやめてくれないでしょうか?
「ほら、あに、中入って。犬、ありがとうね。」
そう言うとボクの頭を撫でて家の中に
入っていきました。
さてと、まだ暖かいし日向ぼっこを続けましょう。
大分日も傾いてきましたね。。。
「ガラガラ」
暫くして玄関の扉が開きます。
もう帰るみたいですね。
「うん、母さん。また近いうちに遊びにくるから
うんうん、分かったわよ。
出なくていいから。座ってて。」
「兄君、弟君。また遊びに来てね。」
「ほら兄、ご挨拶は?」
「ばあば、ばいばーい」
「犬、母さんを頼んだわよ。」
ボクの頭と顎の下を撫でてくれました。
気持ちいいです。
「わん。」
了解しました!お任せ下さい!
手を振り3人が帰って行きます。
ご主人が寂しそうです。。。
また遊びにきて下さいね。
3人を見送ったご主人が縁側に座ってます。
ちょっと疲れたみたいですね。
じゃあ、ボクもお供します。
またご主人にできるだけ寄り添って
お付き合いします。
しばらく夕日を見ながらボーっと佇みます。
ううーん、今日は良い日でした。
「ドサッ」
あれ?どうしました?ご主人??
ご主人?ご主人?起きて下さい。
こんな所で寝てたら風邪引いちゃいますよ。
「い・・ぬ・・・」
ご主人が苦しそうです。何とかしないと。
そうだ、隣のうちの主婦Cさんを呼ぼう!
早く行かないと・・・。
「キャン!」
走り出そうとしたボクを縄が・・・。
早く行かないとなんだ、邪魔するな!
ボクは縄をかじり必死に切ろうと頑張りました。
硬いです、でもご主人の為に頑張らないと!
あと少し、あと少し。…切れた!!!
あぁ、でも門が開けられない・・・。どうしよう。
これじゃ外に出られない。
「よう、どうした?」
門柱の上から声が聞こえます。
「猫さん!!」
ボクは必死にご主人の事を伝えます。
「ご主人が倒れて、誰か、誰か呼ばないと」
「あっホントだ、ちょっと待ってろ!」
そう言うと猫さんはヒラっと門の内側に飛び降り、
門に掛かっている掛け金に向かってジャンプ!
ああ、失敗。頑張って下さい。
2回目、ジャンプ!やった、掛け金が外れた!
「さあ、早くヤツラを呼ぶんだ!」
「ありがとうございます!行ってきます!」
門を身体で押しのけて外に飛び出しました。
全力で隣の主婦Cさんの家に走ります。
玄関の前で
「ワンワンワン!」
吠えてみますが、誰も出てきません。
お出かけ中・・・か。どうしよう。
主婦Cさんの家の門から飛び出し、逆隣の主婦Aさんの家に向かってみます。
はらはら
>>17 繝峨く繝峨く
門から飛び出すと誰かの姿が見えました。
あっいつもの朝の女の子だ!
「あれ?犬君。どうしたの外に出て?」
大変なんです、ご主人が…ご主人が。
失礼とは思いましたがスカートの裾を咥えて
うちの門の中に引っ張ろうとしました。
「ちょっと、やめて犬君。どうしたの君がそんなになるって?」
大変なんです、来て下さい。あぁこんな時に人間の言葉が話せれば…。
「ワン!ワン!」
やっぱり通じませんか…。
お願いです来て下さい(泣)
「ん?何かあったの?コッチにこいって事?」
そうです!通じました!コッチです。
ご主人を助けて下さい!
女の子を引き連れて家の中に駆け込みます。
ご主人はまだ庭に倒れてます。
しっかり!ご主人!
「あっ飼い主さん!大丈夫ですか?
救急車呼びますね、ちょっと待って下さい」
そう言うとバックの中から携帯電話を取り出し、
電話してくれました。
「はい、はい、そうです本町通りの
飼い主さんの家です。
急いで下さい、お願いします。」
電話をすると、女の子はご主人の脇で
ずっと声を掛けてくれてます。
ボクはその横で見ているしかありません。
何もできない自分が情けないです。
「ワン!ワン!」
ご主人、頑張って!もうすぐ助けが来るから。
「犬・・が女ちゃん・・・を呼んで
きて・・くれたの? ありがとう・・・」
良いんです、そんな事言わなくても、
無理しないで下さい。
猫さんもずっと心配そうにこっちを見ています。
ピクっと何かの音に気が付いて猫さんが
向こうの方を向きます。
「おい!くるまが来たぞ!もう少しだ!」
猫さんが叫んで教えてくれてます。
ご主人、もうちょっとです。頑張って下さい。
ボクの耳にもサイレンの音が聞こえてきました。
いつもはこの音を聞くとつい遠吠えして
しまいますが、
今はそんな事してる場合じゃないです。
家の前にくるまが着きました。
「通報はこちらですか?患者さんは…
そちらの方ですね?もう大丈夫ですよ」
そう言うとご主人を担架に乗せてくるまの中に
連れて行きました。
女の子も付き添って一緒に乗って行きました。
「アオーン!」
ご主人をお願いします!助けて下さい!
走り去るくるまに向かって遠吠えしていました。
助かれ
猫さんが降りてきてボクを勇気づけてくれます。
「きっと大丈夫だ。あとはヤツラに任せよう。」
そう言うと一緒に居てくれました。
不安でいっぱいのボクには猫さんの優しさが
嬉しかったです。
辺りが暗くなった頃、女の子が戻ってきました。
「犬君、頑張ったね。飼い主さん、
もう大丈夫だって」
そうですか、良かった(泣)
ありがとうございます、ありがとうございます、
ありがとうございます。。。
「良かったな。ふぅ安心したよ」
「猫さんもありがとうございました。
お陰でご主人が助かりました。」
「よせよ照れるだろ(笑)
そんな大した事してないよ」
フっと笑う猫さん。やっぱり格好良いです。
女の子は目の前にしゃがみ込んで
ボクの頭を優しく撫で続けてくれました。
「クゥン。。。」
女の子と猫さんの優しさで泣きそうです。
女の子はボクの頭を撫でながら横にいる猫さんを
見つけ話し掛けました。
「あれ?チビ?こんな所に居たの?
犬君と友達なんだ(笑)ほら帰るよ。
今日こそシャンプーの日なんだからね!」
猫さんがビクっして女の子の方を振り向きます。
知りませんでした。彼女は猫さんの
ご主人だったようです(笑)
「え゛・・・いや、まて女、
何回嫌だって言えば… 犬、じゃあまたな!」
「あっコラ、逃げるな!待て?チビぃ。」
お二人とも、ありがとう。…ってもう見えないです。
やっぱり、足が速いですね・・・。
ん?モゴモゴ。プッ。
あ・・・歯が…。さっき縄を切った時かな?
まぁ良いです。ご主人の為です。
ふぅ。今日は色々あって疲れました。
もう寝ます。
>>22 飼い主さんへの応援ありがとうございます
素晴らしい
犬の歯って生え替わるんだっけか
「ブルルン、ガチャ。
おはよう、犬。今日も出迎えご苦労。」
新聞屋さんです。ご苦労様です。
「おはよう、ワン公!
さて、今日も行ってくらぁ」
おじさんです。元気そうです。
「おはよ、犬くん。昨日はお手柄だったね(笑)
ん?んあぁぁ遅刻ぅぅぅ」
女さんです。昨日はありがとうございました。
「よう、おはよう。
ったく、昨日は酷い目にあったよ」
猫さんです。結局シャンプーされたちゃったみたいですね(笑)
「おはよう、犬君。あれ?その歯どうしたの?」
クッキーちゃんです。この歯ですか?
ボクの名誉の勲章です!
あっご主人がママさんとくるまに乗って
帰ってきました。
「犬、ありがとね、ありがとね。
心配掛けたねぇ」
走ってこっちに来てボクの事を抱きかかえてくれます。
あぁ足が痛いんですから無理しないで下さい。
でもご主人に抱かれて温かいです。幸せです。
…あと、お腹空きました。。。
これからもずっと、ボクはご主人を守るんです。
ちょっと、歯の間から風が入って
スースーしますが…。
ボクはこれからもこの目の前の、
門の間の景色と空を見て、
ご主人と一緒に過ごしていきます。
この見える景色がボクの世界で十分です。
くぁ。今日も平和ですね。。Zzzz
ー 完 ー
>>1、犬
おつかれさまでした。
素敵な時間をありがとう!
乙
動物を大切にしよう
こういう動物系好きだから続き期待!
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