晶葉「出来たぞ! 助手修復装置の設計図だ!」 (26)

みく「何が書いてあるかさっぱりわからないにゃ」

晶葉「実際の作業については私たちがやるから読めなくても問題ない」

みく「じゃあみくたちは素材集めするのかにゃ」

ちひろ「そうですね。この辺ならみんなで出来ますし」

晶葉「ああ。それでも苦労はするだろう」

ちひろ「仕方ありません。全てはプロデューサーさんと世界のためですから」

P「」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406899046

回想

みく「おっはよーにゃ!」

P「ああ、おはよう。みく」

みく「今日も暑いにゃ」

P「そうだな。もうすぐ夏だもんな」

みく「なんか涼しくなるお仕事したいにゃ」

P「肝試しとかホラー系か? 最近そういう番組やらないんだよな」

みく「昔はもっとやってたにゃ?」

P「ああ、昔はしょっちゅうしょっちゅうやってたててたえってててってたぞ」

みく「ん? Pチャン?」

P「なんなんなんなんなんなんなんなんみくみくみくみくみくみく」

みく「ちひろチャーン! Pチャン壊れたー!」

P「桃華の口から入り、子宮に宿り生まれたい」

ちひろ「あー、結構ひどい壊れかたしてますね。夏の暑さのせいかな」

P「みくをバックで突きながら、おっぱいに顔を埋めたい」

みく「セクハラの上に軟体生物になりたがってる……」

ちひろ「要はテレビを直す要領でナナメに頭を……チョップ!」ポコン

P「ぴ」

みく「テレビを直すのにチョップなんてしないにゃ……」

ちひろ「昔はよくやったんですよ。直ったかな」

P「ぽろんぽろんぷぴぷっぷー!」

ちひろ「む、まだ直ってませんね。もう一回!」ドゴン

P「ちひろさん、大変です!」

ちひろ「おお、直りましたか。どうしたました?」

P「俺の鼻からうどんが出てきて止まらないんです! ああ! 止まらない止まらない!」

ちひろ「フン!」ゴシャ

P「ピーピョロピョロピョロ」

ちひろ「こんのッ!」ドグシャ

P「ケップン」バタリ

ちひろ「あ、あれ?」

みく「大変にゃ! Pチャン死んじゃったにゃ!」

ちひろ「ちょっと強くやりすぎましたね」

みく「どうするにゃ!?」

ちひろ「……とりあえず晶葉ちゃんに相談しましょう」


晶葉「時間の猶予はどのくらいあるんだ?」

ちひろ「うーん。ざっと一ヶ月ぐらいですかね」

晶葉「スケジュール調整については任せるぞ」

ちひろ「わかってます。あとこれは私が知り合いに頼むので自分で取りに行きますね」

晶葉「なるほど。じゃあアイドルに取ってきてもらうものはこの四つか」

晶葉『こほん』

晶葉『あーあー、アイドルの諸君。お疲れ様』

晶葉『本来ならば全員を揃えて言いたかったのだが時間が合いそうにないし
   これからスケジュールの変更も多くなるだろうから今回は動画にした』

晶葉『おそらくは大丈夫だとは思うが、この動画が見れないと困ってる人がいたら
   手助けをしてやってくれ』

晶葉『さて、本題に入ろう』

晶葉『知っている人間は多いと思うがプロデューサーが死んだ』

晶葉『ちひろさんの見立てでは猶予は一ヶ月だそうだ。この間に修復しなければいけない』

晶葉『修復の実際の作業は私や専門の知識がある人間がやるので他のアイドルにはいつも通り
   素材集めを担当してもらうことになる』

晶葉『誰がどれを集めるかはこちらで勝手に決めさせてもらった。別口でアップロードしてある
   からそっちもダウンロードして確認してほしい。わからない人間がいたらわかりそうな人
   に聞いてくれ。私でも構わない』

晶葉『全てはプロデューサーとこの世界のために』

晶葉『それでは検討を祈る』

みく「というわけで集めたにゃ」

志希「いっぱい持ってきたね~」

ありす「数量の指定はされてませんから」

桃華「本当に出来ますの? こんなので」

志希「レシピが合ってるなら出来るよ~。
   んーっと、うん。全部あるかな」

みく「早くもみくたちはお役御免にゃ」

志希「一番まともというか集めやすい物だからねー。
   早速つくろーっと」

桃華「うーん……」

みく「不安にゃ?」

ありす「気持ちはわかりますが私達が作ろうとしているものはもっと身近なものですから」

桃華「そうですの?」

ありす「はい。おそらく桃華さんが想像している伝説の不老不死の薬ではなく、
    薬用酒に近い類のものだと思います」

桃華「それならまぁ……」

みく「最初はびっくりしたにゃ。『エリクサーの材料を調達してこい』なんて言われて」

ありす「『材料は調べれば出るから』なんていわれましたけど本当に出るなんて」

桃華「しかもアロエだのサフランだの簡単な素材でしたわ」

みく「これが一番簡単って言ってたけど実は他のも大した事……いや、なんでもないにゃ」

ありす「よくわからないものばかりですからね。他の物は」

『霊薬エリクサーを手に入れた!』

涼「着いたぞー」キッ

アヤ「霊園っていうからもっと静かな場所かと思ったけど結構車の通り多いんだな」バタン

涼「都内だしな」バタン

アヤ「そういえばこの車って涼のか?」

涼「……アタシがこんな可愛らしい軽を買うと思うか?」

アヤ「だよな。つーと誰のだ? ちひろさん?」

涼「いや、楓さん」

アヤ「あの人運転できるのか……」

涼「自分で運転して温泉とか銭湯にでも行ってるんじゃね?」

アヤ「なるほどなー」

涼「おーい、小梅。大丈夫かー?」

小梅「うん……。ちょ、ちょっと大きいから……」ヨロヨロ

アヤ「アタシが持ってやるよ」

小梅「あ、ありがとう」

アヤ「小梅はちっちゃいからな。もっと飯食えよ」

涼「いいんだよ」

アヤ「は?」

涼「小さくていいんだよ」

アヤ「……まぁ小さいのもいいかもな。可愛くて」

涼「だろ?」

小梅「早く行こう」

涼・アヤ「「ハイ」」

アヤ「ところでさ」

涼「ん?」

アヤ「勝手に入っていいもんなの?」

小梅「か、解放されてるし……。静かにしてれば……」

涼「だってさ」

アヤ「そういうもんなのか。
   アタシもやることをちゃんと理解して無いんだけど
   えーっと、魂を捕まえるって言われたんだよな?」

小梅「う、うん……」

アヤ「捕まえられるの?」

小梅「やり方が……あるから……。そ、それに何でもいいわけじゃないし……。
   あっ……」

涼「ん? あっちから誰か来るな」

アヤ「逃げる?」

小梅「だ、大丈夫……だと思う……。すれ違うときに喋らないで頭下げてね……」

アヤ「わかった」

涼「……なるほど」

「……」テクテク

小梅・涼・アヤ「「「……」」」ペコ

「……」ペコ テクテク

小梅「……もう大丈夫」

アヤ「こんな夜中に女一人で霊園なんて危ないな。あの人」

涼「いや、大丈夫だろ」

アヤ「なんでだ?」

涼「あれ、幽霊だろ? 小梅」

小梅「う、うん……」

アヤ「えっ」

小梅「でも……む、無害だから大丈夫……」

アヤ「マジかよ……。あれが幽霊なのか……」

小梅「幽霊にも、色々いる……。けど、ああいうのは……め、珍しい」

アヤ「幽霊っつーと人を脅かしたり呪ったりするイメージがあるもんな」

小梅「た、多分それは……幽霊って強い思いで動いてるから……。人の一番強い感情は……憎悪」

アヤ「嫌な話だな」

涼「アヤ、怖くないのか?」

アヤ「ん? 幽霊? まぁ突然出てこなければ平気じゃない? というか涼のほうが怖がって無いか」

涼「ホラー映画は大丈夫だけどこういうのはどうもな」

アヤ「意外だな」

小梅「だから……涼さん肝試しに付き合ってくれない……」

涼「ほら、映画には付き合ってやるから。な?」ヨシヨシ

小梅「う、うん……」ニマー

アヤ「仲いいなぁ……ん? あれ、人魂じゃね?」

人魂「」フワー

涼「おおう……」ズリズリ

アヤ「後ろ下がんな」

小梅「あ、あれ……捕まえる……!」

アヤ「じゃあこれ使うな。布取るぞ」パサッ

卒塔婆「」デーン

小梅「まずは……ゆっくり近づく……」ジリジリ

アヤ「おう」ジリジリ

涼「ア、アタシはここで待ってるな」

小梅「ま、任せて……」ジリジリ

アヤ「ほー……本当に火の玉が飛んでるように見えるな」

小梅「うん……。こ、ここから卒塔婆を……人魂のほうへ……」ソー

アヤ「後ろ持つぞ」ソー

人魂「」フワー

アヤ「……反応しないな」

小梅「後は……待つ……」

アヤ「釣りみたいだな」

小梅「うん……」

人魂「」ピクッ

アヤ「お、反応したぞ」

小梅「まだ……」

人魂「」スー

小梅「……」

アヤ「……」

人魂「」ピトッ

小梅「今……!」ガバッ

アヤ「よっしゃ!」ガバッ

人魂「」クルクル

小梅「人魂……捕獲完了……」

アヤ「こんなので釣れるんだな」

小梅「幽霊は……時間が経つごとに自我を失う……。さ、最後はこれみたいに
   ただの……人魂になっちゃう……。心地いい場所に……居たがるから
   卒塔婆とか出すと……くっ付いてくる……」

アヤ「じゃあこいつも元は誰かに恨みを持っていたかもしれないのか」

小梅「うん……。い、今は無害だし……むしろ近くにいるとひんやり気持ちいい」

アヤ「言われてみればひんやりするな」

涼「それ、車に入れて持っていくのか……。なんかイヤだな」

アヤ「クーラー入らずだしもうちょっと採っていくか」

小梅「集めすぎると……や、やっぱり良くないことが起きる……。
   それに……素人がやると……」

アヤ「やると?」

小梅「死ぬ」

アヤ「……慎重に持ち帰るか」

涼「お、おう……」

『空っぽの魂を手に入れた!』

凛「……」

凛「ここに来るのも久しぶり、かな」

凛「あの時はみんな一緒だったし、プロデューサーもいた」

凛「今回はそうはいかないけど」

凛「ワンダフルマジックがかけられた人間だけが到達できる世界」

凛「プロデューサーを治すために必要な物がここにあるのなら」

凛「私はその任務を全うするだけ」

杏「ということで頑張ってね」

楓「風が……語りかけます」

凛「二人とも真面目になって」

杏「だってさー、なんだっけー、えっとさー、もういいや」

凛「よくない!」

楓「でもね、凛ちゃん。私達が探すのは流れ星でしょ?
  ここはまだ昼間だしそんな流れ星がすたーっと落ちてきませんよ」

凛「……」

杏「……」

楓「……ふふっ」

杏「耐え切れなくなって自分で笑ったよ、この人」

凛「でもここっていつ夜になるんだろう」

杏「あっちのほうが夜じゃなかったっけ。ほら、城っぽい遊園地っぽいものがあるほう」

凛「ここは場所で朝と夜が別れてるんだっけ。じゃあそっちに行こう」

杏「はぁ……なんで杏がこんなことを」

凛「ワンダフルマジックがかけられた人がプロデューサー除いたら私達しかいないからでしょ」

杏「もっとぱーっといろんな人にかければよかったのに」

凛「一応は大人気アイドルだけが到達出来る世界だからね。自分で言うのもあれだけど」

杏「その大人気アイドルの一人が青い蝶を追いかけてどっかいったよ」

凛「楓さん! どこ行くんですか!」

楓「綺麗な蝶がいたから……」

杏「ほんとに自由人だな。この人」

凛「真面目にしてください。プロデューサーを助けるんだから」

楓「……私達が無事に流れ星を手に入れて、みんながちゃんと素材を集めて修復も
  成功してプロデューサーが帰って来て……またいつも通りの世界が始まる。
  ねぇ凛ちゃん。私達はいつまでそんな幸せな夢を見続けるのかしら」

凛「それは……」

楓「永遠に続く夢の終わりには何が待っているのかしら」

凛「……」

杏「はー。そんな先のことは知らないけどさ、とりあえず杏はさっさと流れ星とやら
  を見つけて、アイス食べたいの。今はそのことを心配すべきだよ」

楓「ふふ、そうね。もうすぐ夜のエリアかしら」

杏「そもそも流れ星ってどうやって見つけるの?」

楓「現実なら燃え尽きなかった隕石のことだけどここだとどうなるのかしら」

杏「待ってればそのうち降ってくるのかな」

楓「隕石……降る……流れ星……」

杏「ギャグはいいから」

楓「つまらない……」

杏「隕石なんか素手で掴んだら危なそうだけど」

楓「そこはここにあるステッキで。えいっ」

杏「壊してどうすんのさ。というかどこから出したのさ」

楓「魔法……まぁ、ほんと?」

杏「最後のは杏の台詞だよ。どちらかというと」

楓「二本あれば箸みたいにして……」

杏「バランス悪いでしょ……」

凛「……」

杏「凛もいつまでも悩まない。どうせ考えたって簡単に答えの出ることじゃないんだから」

凛「そうだけど」

楓「ごめんなさい。少しイジワルなことを言って」

凛「別に楓さんのせいじゃ……」

杏「凛はまたプロデューサーと一緒にアイドルしたいんでしょ?」

凛「……やりたい」

杏「じゃあそれだけ考えればいいんだよ。いつまでだとかそんなことじゃなくてさ。
  まっすぐそれだけを」

凛「うん……。ありがと」

杏「ちぇ、なんか柄でもないこと言っちゃったな。凛、後でアイス奢ってね」

凛「無事流れ星を手に入れたらね」

楓「あ、あれ……」

ヒュー

杏「噂をすれば……あれ、でも消えちゃった」

凛「また降って来た」

楓「あの時は気付かなかっただけなのか今がそういう時期なのかずいぶんと降りますね」

杏「流星群とか来ても、隕石が見つかったなんて聞かないしこれだけ降っても
  最悪、手に入らないんじゃ……」

凛「大丈夫」

杏「ん?」

凛「必ず私達は捕まえられるから」

楓「あの池に落ちた流れ星。消えないで水の上跳ねてますね」

杏「捕まえるんだ! 凛!」

凛「なんで私なの。捕まえるけどさ」

杏「なんか危なそうだから。あんなキラキラして。眩しいし」

楓「卒塔婆についてる幽霊が嫌がりそうですね」

『魔法の流れ星を手に入れた!』

裕子「ほんとにこれで通れるんですか……?」テクテク

茄子「ちひろさんを信じましょう♪」テクテク

裕子「さいきっく身分詐称……」テクテク

「そこのお前達、ここから先は海軍管轄の区域だ。用がなければ速やかに立ち去れ」

茄子「大本営所属の者です」サッ

裕子「同じく、です」サッ

「……確かにまちがいありません。失礼しました。しかしそのような用件は我々には……」

茄子「……昨今各鎮守府において、風紀が乱れているという情報が入りました。
   今回は抜き打ちという形での訪問です」

「そうでしたか。ご無礼をお許しください。鷹富士提督。堀提督」

茄子「それではどうか我々が来た事はご内密に。行きますよ、堀」

裕子「は、はい!」

茄子「……緊張しますねー」

裕子「とてもかっこよかったですよ」

茄子「ありがとうございます♪ ユッコちゃんももっとピシッとしないと怪しまれますよ?」

裕子「うっ……。どうにもこの制服も慣れなくてどうしても緊張が……」

茄子「そういえばプロデューサーはどこにいるのでしょう。ユッコちゃん。サイキックでなんとか
   探せませんか?」

裕子「い、いきなりな無茶ぶりですね。でも任せてください。このエスパーユッコ。
   さいきっく千里眼で……むむむー……」

茄子「そこの君。待ちなさい」

「ふぇ? 私ですか?」

茄子「この提督を探しているんですけどどこにいるかわかりますか?」サッ

裕子「さいきっくズコー!」ズコー

「あ、私の司令官様ですー! 司令官様のお部屋までご案内しますよー!」

茄子「それじゃあよろしくおねがいします」

裕子「ひどいですよ、茄子さん」ヒソヒソ

茄子「いいじゃないですか~♪」ヒソヒソ

「えっと……新しい艦娘のかたですか?」

裕子「かんむす?」

茄子「いえ、我々は大本営所属の提督です。私が鷹富士で、彼女が掘です」

「はわわわ! 大本営のかたでしたか! そうとは知らずとんだ失礼を!」

茄子「お気になさらずに。あなたは艦娘ですね?」

巻雲「はい! 夕張型駆逐艦の巻雲と言います!」

裕子「女の子にしか見えませんね……」

巻雲「堀提督殿は艦娘を見るのは初めてなんですか?」

裕子「え、あー……」

茄子「あっちでは海軍とは名ばかりで書類と人間相手ですからね。
   艦娘はいないんですよ」

巻雲「へえ~、そうなんですか。信じられないです」

裕子(服のサイズが合ってないのが気になる)

茄子(プロデューサーの趣味ですかね~♪)

裕子(!?)

巻雲「あ、ここです~! 失礼しまーす!」コンコン ガチャ

「む、どうした。客人か?」

裕子「プロデューサーそっくり……」

茄子「一応は同一存在、らしいですからね」

「何者だ。今日は客人の予定は入っていないが」

巻雲「大本営所属の提督様です~」

「え、ちょ、え!? ナンデ!? 巻雲! お茶を入れてこい!」

巻雲「はいっ!」ダッ

「す、すみませんね。まさか大本営のほうから人が来るとは思って無かったので」ガサガサ

茄子「片付けなくていいですよ♪ プロデューサー……いえ、今は提督でしたか♪」

提督「へ? えっと、ぷろでゅーさー?」

裕子「いきますよ~。さいきっく……催眠術!」パシュン

提督「が……ぐ、貴様ら何を……」

茄子「大丈夫です。ちょっと魂の記憶を頂くだけですから」

提督「ぐぅぐぅ」

裕子「どうでしたか! サイキックユッコの催眠術は!」

茄子「晶葉ちゃん特製の麻酔銃はすごいですね~♪ さ、例のアレを」

裕子「あ、そうでしたね。えーっと……これだ!」

瓶に入った人魂「」フワフワ

茄子「それを提督の口に入れて……」

提督「モガモガ」

人魂「」ジタバタ スポン

裕子「入りましたよ!」

茄子「後は再び出てくるのを待てば終わりですね~♪」

回想

晶葉「これを見てくれ」

裕子「さいきっくファイアーボール!」

茄子「リストにあった魂、ですか」

晶葉「うむ。正確には空っぽの魂だ。君達の作戦にはこれを使う」

裕子「卒塔婆を持って……?」

晶葉「いや、実際にはこっちの瓶に入ってもらう。瓶にはありがたーいお札が
   貼ってあるから中から漏れだすことはない」

茄子「確か私とユッコちゃんはプロデューサーの心の記憶を取りにいくんですよね」

晶葉「そうだ。わかりやすく言うならば魂というべきものだ。人を構成する上で必要な
   ものの一つで、今のプロデューサーは死んでいるからもうそれがない。
   体を完全に修復して、この魂を入れても目覚めはするが記憶や性格、その人間の
   本質というものが全く別人になってしまう。だから君達にはこの魂にプロデューサー
   の記憶を入れてきて欲しい」

裕子「でももうプロデューサーの魂はなくなっちゃったんですよね? どうするんですか?」

晶葉「別世界のプロデューサーと同一存在から記憶をコピーする」

茄子「別世界……?」

晶葉「プロデューサーの魂というのは本元は一つであるがそこからはいくつも枝分かれしている。
   この世界にいるプロデューサーもその枝の先の一つだ」

裕子「パラレルワールドですか」

晶葉「それに近い。枝の中には我々をプロデュースしていない世界や、もしかしたら男を
   プロデュースしている世界なんてのもあるかもしれない。そういった世界ならもっと話は
   簡単なんだが今回の調査ではそれが見つからなくてな。やっと発見した世界はこことは
   大分かけ離れた状態の世界なんだ」

茄子「と、言いますと?」

晶葉「簡単に言うと海から来る外敵を女の子の形をした兵器で倒す世界だ。プロデューサーは
   そこで兵器の指示役、提督という役割になっている」

茄子「アイドルとはずいぶんとかけ離れた世界ですね」

晶葉「うむ。こちらで身分が詐称出来るようなものは作ってあるからそれを持って、提督になっている
   プロデューサーに接近し、この魂に記憶をコピーする。それが君達の役目だ」

茄子「わかりました!」

裕子「やりましょう!」

裕子「ムムッ! プロデューサーの口から出てきましたよ!」

提督「モガモガ」

人魂「」ジタバタ

茄子「逃がさないように瓶で覆って……出来た~♪」

裕子「思ったよりもすんなりいきましたね!」

茄子「多分そのための私ですよー♪」

裕子「ああ、なるほど……。じゃあ帰りましょうか。この人どうします?」

茄子「多分帰って来た巻雲ちゃんがどうにかしてくれますよ♪」

裕子「よし、それじゃあ帰還装置起動! さいきっくテレポート!」パシューン

『心の記憶を手に入れた!』

晶葉「エリクサー、流れ星、助手の記憶が入った魂……」

みく「あと一つにゃ」

晶葉「問題なく集まってよかった。エリクサーなんてむしろ余るぐらいだ」

志希「どのくらい作ればいいかわからなかったからねっ」

晶葉「使用するのはせいぜいコップ一杯だから余ったのはみんなで飲めばいい。
   おっと酒だから成人だけだがな」

志希「つまんなーい、ぶーぶー」

みく「確かこれはちひろちゃんが取りにいってるんだっけ?」

晶葉「ああ。これのある世界は根底からしてこことは別の世界だ。我々では行く
   ことすら叶わない。行けるのはこの世界生まれではないちひろさんだけだ」

みく「一体どんな世界なんだろう……」

ちひろ「ない!?」

「大声を出すな。この前治療で使っちまったんだよ」

ちひろ「じゃあどうすれば……」

「一応当てはある」

ちひろ「よかった……。手に入らなかったらどうしようかと思いましたよ」

「わかってるとは思うが貴重品なんだからな。あまり俺を当てにするなよ」

ちひろ「そう言わないでくださいよ。私とあなたの仲じゃないですか。ギンコさん」

ギンコ「どんな仲だ。それ」

ちひろ「それで当てとは?」

ギンコ「もうすぐ宴がある。場所は……ここだ」

ちひろ「割りと近くですね」

ギンコ「ここに行けば他の蟲師もいるし、交換で光酒を手に入れるしかない」

ちひろ「交換……何か持ってたかな」ガサガサ

ギンコ「あんまり妙な物を出すなよ。お前の持っているものは変な物が多すぎる」

ちひろ「そんなこと……あるかもしれないですね。でもどうですか。今回の着物は!
    綺麗ですよね?」

ギンコ「いや、変だ」

ちひろ「えっ!? ど、どこがですか!?」

ギンコ「色だな。とにかく当分は俺と行動一緒にするんだし服は変えてくれ」

ちひろ「ぐぬぬ……折角新調したのに仕方ありませんね……」

ギンコ「光酒が手に入ったらまた戻るのか?」

ちひろ「はい。待ってる人がいますから」

ギンコ「……いつまでそうやって過ごすんだ」

ちひろ「終わらない夢の終わりが来るまで、ですかね」

ギンコ「夢はあくまで夢なんだぞ」

ちひろ「わかってますよ。彼女たちだって知っています。
    それでもなおそこに在り続けたいんです。例えそれが彼の夢の中の世界でも」

ギンコ「そうかい。聞いた感じじゃ俺らの範疇って感じじゃないしもしものことが
    あっても助けることは出来ないぞ」

ちひろ「わかってますよ。ギンコさんのお手は煩わせません。
    ……光酒以外では」

ギンコ「そういえば光酒を作った蔵人がいたな」

ちひろ「蟲関連ですか?」

ギンコ「ああ。前の宴の時の話だ」

ちひろ「へぇー。聞かせてくださいよ」

ギンコ「その前にだ」

ちひろ「はい」

ギンコ「着替えてこい」

ちひろ「思ったよりも人いますね」

ギンコ「そりゃ光酒が手に入るんだからな。他の蟲師との取引も出来るし」

「お、ギンコ。女連れか?」

ギンコ「ちょうどいい。光酒持ってるか?」

「あん? 光酒切らしたのか? 珍しいな」

ギンコ「いや、俺じゃない。こっちだ」

ちひろ「どうもー」

「なんだ、お前のを分けてやればいいじゃねーか」

ギンコ「俺も人に分けるほど持ってないんだ。一杯だけやってくれ」

「ほー。まぁいいけどタダじゃやだな」

ギンコ「ちひろ。なんか持ってきたんだろ」

ちひろ「ええ、まぁ……これなんてどうです?」

「これは……」

ちひろ「翡翠と呼ばれる宝石です。大きくは無いですけどこの袋一杯なら
    結構な価値になると思いますけど」ジャラ

「この袋一つで光酒一杯? 乗った!」

ちひろ「ではこちらにお願いします」

「おう。こりゃいい金になるぞ。ねえちゃん。またよろしくな」

ちひろ「こちらこそありがとうございます」

ギンコ「……偽者だったりしねえだろうな」

ちひろ「本物ですよ。光酒には代えられませんからね」

ギンコ「……」

ちひろ「今、俺が取引すればよかったって思いませんでしたか」

ギンコ「……お、そろそろ時間じゃないか」

ちひろ「逃げましたね」

ジャーンジャーン

ギンコ「ほら、行くぞ」

ちひろ「他に道具とか必要ですか」

ギンコ「皿とかはあっちで用意するから大丈夫だ。ほら、やり方見とけ」

コポコポ

ちひろ「……光脈から分けてもらってるんでしたっけ」

ギンコ「まあそんなとこだ」

ちひろ「光酒が無限に湧くならそれを……」

ギンコ「枯れるからやめろ」

ちひろ「ちぇっ」


ちひろ「短い間でしたがお世話になりました」

ギンコ「本当にこれ貰っていいのか?」

ちひろ「ええ。今回の手間賃といったところです」

ギンコ「妙な形をした……本当に鉱石なのか?」

ちひろ「そうですよ。えーっと……蒼鉛とかいう鉱物を加工するとこれになります」

ギンコ「毒とかねえだろうな……」

ちひろ「……」

ギンコ「おい」

ちひろ「ないですよ。多分」

ギンコ「多分って……」

ちひろ「ということで、また何かあればウロさんで連絡します」

ギンコ「ああ、達者でな」

ちひろ「ええ、あなたも旅の無事を祈ります」

ギンコ「……行ったか」

ギンコ「……」ジー

ギンコ「化野に売りつけるか」

その男は夢を見ていた。自らがアイドルのプロデューサーになる夢を。

とても幸福な夢だった。

ある日、男は突然死んでしまった。残されたアイドル達はただ悲しみに暮れた。

そこに一人の女が現れ、アイドル達に男の修復方法を教えた。

そしてこの世界が男の見る夢の中でアイドル達はそこの登場人物でしかないということを。

だがそれでもアイドル達は構わなかった。

例え一夜の夢の中であっても、男と幸福で過ごせるならそれでよかったのだ。

そうしてアイドル達と女の手により、男は蘇った。

この事を男だけが知らない。

他の世界や夢の中であること、女に不可思議な力があることも全て。

ただ何も知らず、無限に続く時の中でアイドル達と幸せな夢を見続ける。

今までと同じように。これからもずっと。

P「……ん」

みく「Pチャン?」

P「みく……?」

みく「水飲むにゃ?」

P「ああ、ありがとう……ここは俺の部屋か」

みく「そうだよ。はい、どうぞ」

P「ありがとう……」ゴクゴク

P「……待て待て。なんでお前がここにいるんだ」

みく「え? 覚えてないの?」

P「何をだ?」

みく「Pチャンが熱出して仕事行けなくなったからみんなで看病してたにゃ」

P「え、まじで? 覚えてない……」

みく「働き過ぎて頭が……」

P「そんな哀れみの目で見ないでくれ」

みく「とりあえず熱計ろっか。はい、脱いで脱いで」

P「俺、どのぐらい寝てたんだ?」ヌギヌギ

みく「ほんとに覚えてないの? 熱出てるときも話してたんだけど」

P「思い出せない……。ああ、でも夢は見たな」

みく「夢?」

P「ああ、スマホのゲームでお前達を育ててる夢。笑っちゃうよな」ピーピー

みく「みく達をゲーム感覚でプロデュースしないでほしいにゃ。熱はないみたいだね。
   体どこか痛くない? 三週間も寝てたんだもんね」

P「三週間!? マジかよ、仕事やばいじゃねえか。早く復帰しないと」

みく「あと一日は安静にゃ。大丈夫。まだ時間はあるから……ずっとね」


自分が[ピーーー]ば、この世界が徐々に壊れ、アイドル達がいなくなること。

そして夢から覚めて、本来の世界に戻れるということ。

アイドル達と女がそれを引き止めるために何度も自分を蘇生させ、夢に引き戻していること。

その事をプロデューサーだけが知らない。

以上
最後の最後でしくじった。ふぁっきゅー言葉変換



「出来たぞ!」系は全部ギャグと思っていたので、落差が半端ない

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom