蛍光灯の照明がまぶしかった。
朝ごはんの納豆の臭いが嫌だった。
踏み切りの警報がうるさかった。
かけ過ぎた唐辛子が辛かった。
効きすぎた冷房が肌寒かった。
そんな頃が、懐かしいと思えた。
そんな毎日の話。
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「もうそろそろで一通り検査は終わるからね」
白衣を着た、にこやかな笑顔の青年が言った。
うるさいな。そんな偽物の笑顔で
見ないでくれよ。
僕は寝台に寝そべっている。
鉄パイプの土台に暑いマットを
敷いただけの、寝心地最悪の寝台。
棺桶の方がまだマシかもしれない。
寝心地最悪な理由は他にもある。
両手両足が固定されて身動きがとれない、とか、
さっきからずっとカメラで見られている、とか。
でも一番の理由は、これからする検査そのものだった。
MRIーーーそう、とってもうるさい検査だ。
今の僕にとっては、みんな以上に。
「じゃあリラックスしてね」
表情を変えないまま、青年は僕を置いて
足早に部屋を出て、隣の部屋に入った。
すぐに隣の部屋だとわかった。
検査が始まった。
僕は耳を、ただ伏せるしかなかった。
9月13日。天気は、晴れだったはず。
僕はその日、一度死んでいる。
死んだことになってる。……書類上では。
そのことを知らされたのは、
MRIの検査が終わった後だ。
まだ頭が痛い。
大音量のせいで耳がおかしくなりそうだった。
「"ユウ"、大丈夫かい?」
僕がしばらくぼうっとしていたせいか、
青年が心配そうな目で………。
またそれか。やめてほしいな。
そう言いたかったけれど、できない。
僕は今、しゃべれないからだ。
だから、うなずくしかできない。
Dグレとはまた珍しい
とりあえず期待
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