俺「時間だ!時間がないんだ!」男「はたしてそうかな?」(50)

カタカタカタカタカタ

OL達「あははーだよねーw」

カタカタカタカタカタ

OL達「そうそうほんと怖い~」

カタカタカタカタカタ…カタッ

OL達「マジうける~w」

ガタッ

俺「仕事終わったので上がりますね」

OL達「あ、俺さんいつも通り仕事はやーいw」

OL達「それより俺さん【犬のプー太郎】って漫画知ってますよね?」

俺「いえ、知らないです」

OL達「え~知らないはずないじゃないですか~最近社会現象って呼ばれてるくらい人気な漫画ですよ~」

俺「知らないです 失礼します」スタスタ

OL達「…」

OL達「…なにあれ~チョー無愛想~」

OL達「ってか【犬のプー太郎】知らないとかかなりヤバくない?w」

OL達「…まあ仕方ないよ俺さんなら…だってあの人が一番大切にしてるのって…」

ーーーーー

時間だ

時間が足りない

地球が生まれてから人類全てに平等与えられたもの
それが時間だ

時間が何よりも大事なのだ

俺「くそぅ…あのOL共が話しかけてきたせいで8秒時間をロスした」スタスタ

俺は腕時計を見る

俺「時間が足りない 少しいつもより歩行速度を速めよう」

今日はいつもより仕事が2分14秒も遅く終わってしまった まずい

丁度タクシーが止まっている

俺「タクシー!タクシー!」コンコンッコンコンッ

運転手「…んん…?あーはいはい」

俺「早く開けろ!」

運転手「はいはいすいませんねぇ」ウィーン

俺「スーパーだ!急いでくれ!」

運転手「分かりました」ヴイーン

俺はいつものごとくタクシーでスーパーに向かい帰りのタクシーで食事を済ませる予定だ

運転手「お客さん なんか急ぎの用事でも?」

俺「…」

運転手「…汗かいてますよ 窓開けましょうか?」

俺「いいから急いでくれ」

運転手「…分かりました」

無駄な事はする必要ない
当たり前の事だ

例えばタクシー運転手との会話
そこから何か生まれるのか?
生まれたところで数分後にはそのタクシー運転手とはお別れだ

その会話に需要があったのか?

無駄は消費する

時間の為にも

ーーーー

俺「なんとか9時前に間に合ったようだ」

俺は家につくとまず風呂場へ行きお湯を焚く
そしてリビングに行き電気とクーラーの電源をほぼ同時につけテレビをつける
するとピッタリに番組と番組の間のニュースが始まった
いつものことだ

俺はニュースのオープニングのような音楽が流れニュースキャスターが自己紹介をしているその数秒にすぐさまポットに水を入れスイッチを入れる

キャスター「それでは一つ目のニュースです」

俺は暑苦しいスーツを脱ぎつつソファに座る
この頃には部屋が涼しくなり始めている
そしていつものごとく爪を切りながらニュースを見る

キャスター「今朝警察の調べにより続く連続殺人事件の犯人の映像が映ったとされる防犯カメラの映像が公開されました」


くだらん

全くもって理解できない
何人もの人を殺すことに何の意義がある?
どうせすぐ捕まる
捕まらなくても日々警戒して生きていかなくてはいけない

時間の無駄だろ
バカなのか?


俺はニュースを見つつ予め机に用意してあるコップにココアパウダーを入れる

そしてニュースと自分の地域の天気予報が終わるとテレビの電源を切りポットを手にとり湯をコップに注ぐ

そしてココアを冷ます間に風呂へ向かいシャワーを浴びるのだ

俺「今日も完璧だ」

俺の頭の中にはみっちりと細かいスケジュールが入っている

今の一連の流れは俺が会社に入社して一度も欠かした事のない動きだ

俺「よし 時間は10時30分 寝るか」

こうして俺はいつもと全く変わらぬ1日を終えるのだった

ーーーーー

カタカタカタカタカタ

OL達「あーそうそうそれそれw」

カタカタカタカタカタ

OL達「あのシーンまじウケるよねw」

カタカタカタカタカタ…カタッ

OL達「続き気になるよね~」

ガタッ

俺「仕事終わったので上がりますね」

OL達「さすが俺さんはやーいw」

OL達「俺さん【犬のプー太郎】みた?」

OL達「…ちょっと俺さんはそういうの見ないんだってw(小声)」

俺「失礼します」スタスタ

くだらん

漫画など見て何が面白いのか
所詮は創作
他人が頭で面白がって作ったものだ
そんなものを見るほど時間の無駄はない

俺は漫画は疎かアニメや小説 映画などの創作物は見たことがない
そんなことをするほど時間の無駄な事はないのだ


俺はタクシーを降りいつものスーパーに向かう

俺「今日は仕事がスムーズに終わったし少しは余裕があるな」

買うものは決まっている
おにぎりにパックのサラダそしてエナジードリンクだ

このスーパーのルートからすれば中に入って店頭にある値引きおにぎりを先に2つ手に取りそのまま直進すれば唐揚げや惣菜の売り場に辿り着く
そしてパックのサラダを籠に入れそのまま来た道を引き返しレジ横のエナジードリンクを取るのが一番の近道であることは身を持って経験している

俺「さて入るか」

ウイーン

俺「…な!?」

多い

人が多いぞ

確かに今日は連休の前日ではあるがいつもに比べ多すぎる

俺「…しかし人が多いところで俺のすることは変わらん」

俺はそそくさといつものルートでおにぎりとパックのサラダを籠に入れる

俺「あとはレジ横のエナジードリンクと…」スタスタ

俺「…!?」

俺「そんな…バカな…!」

レジに見たことのない行列ができている

15…いや20はいるか…?

俺は一瞬呆然としてしまった

しかしここでわざわざ商品をもどして別の店に行くのはそれこそ時間がかかる

ここまできて諦めるわけにはいかなかった

俺「ちっ…並ぶか」

俺が2つあるうちの列の短い方に並ぼうとしたその時

男「…」タッタッタッ…!ス…

俺「!!」

見知らぬジャージ姿に帽子を被った男がギリギリで俺の目の前に走り込んで並びやがった

俺「ぐ…!」

ただでさえ時間がないというのにこんなことをされては怒りが込み上げてくるのも仕方がない

男「…」

俺「いやあの」トントン

男「…ん?」

俺「俺が先に並ぼうとしてたんですけど…」

男「…」

男「…で?」

俺「いやいや…」

男「並ぼうとしてただけでしょ?でも結果俺が先に並んだ 何か問題ありますか?」

なんなんだこの腹立たしい男は

俺「ただの横取りですよ」

男「横取りってw」

俺「何笑ってんだよ」

男「俺はただ列が空いていたからそこに並んだ そしてらあなたが後で後ろに並んできた ただそれだけの話ですよ」

俺「いやあなたが意図的に列を奪ったようにしか見えませんでしたが?」

男「そもそもいいじゃないですか たった一列くらい」

俺「たった一列?あのねぇ その一列で何秒の時間が無駄になると思ってるんですか?」

男「さぁ何秒だろうなw」

俺「ふざけてるのか?」

男「何をムキになっているんだあなたは
変わらないでしょそんなことで」

俺「言ったな?なら僕と場所変わってください」

男「やだよ」

俺「は?なんで?」

男「そりゃ嫌でしょぉぉ…俺が先に前に並んだんだから」

俺「別に俺と場所変わったくらいで何もないだろ?」

男「じゃあ変わらないでいいじゃないですか」

俺「…」

久々にここまでイライラした

そもそも行列は俺がベスト10に入る嫌いなものの一つだ
あの待ち時間の無駄さと言ったらない
それに加え前がこの腹立つ男なのだからな

時間が過ぎていく

刻一刻と過ぎていく

こんなにイライラしているのは何年ぶりだろうか

隣のもう一方のレジを見る
こちらが大体9か10人に対してあちらはまだ12、3人いるな…
まだこっちのレジにしたのは正解だったか

そんなことを考えていた時だった

ピイイイイイイイイイイイイ

俺「…なんだ?」

列の前の方がざわざわとし始める

前の方で「すいません、すいません」と声が聞こえる

くそ 前の奴らがチューチュートレインみたくレジの方を覗こうとするから前が見えない

「少々お待ちください!」

何!?
今のは俺の並んでるレジの店員の声に違いない

そして慌てた様子で行列を平行にその店員がこっちに走ってきた

その時俺はハッキリと見た

そのレジ店員の名札の上の部分には「実習生」と書かれていた

確信した

彼が何かミスを犯したのだ
そして今何かレジに詳しい者を呼びにでも行ったのだろう

移動すべきか…!

彼が戻ってくるまでにどのくらい時間がかかるかによる…!

俺はもう一方のレジに目を向けた

オバサンだ

商品のバーコードを打つ速度も速い
きっとベテランだ

俺は列の移動を決心し走り出した

そして隣のレジの最後尾に立った時俺はあまりの驚愕に声が漏れた

男「…」

あの男だ
あの男が平然と前に立っていた

俺「お…お前」

男「…ああどうも あなたもこっちに来たんですか」

俺「いつの間に移動した…」

男「いつの間にって言われてもねぇ…」

俺「俺が動き出した時にはもうお前は…隣のレジへ移動していたのか…?」

男「あぁ…まあ…そうですけど…」

俺「なぜ…!なんで…!」

男「なぜって言われても…」

俺「…」

男「…まず彼が実習生であることは把握してましたし…嫌な予感はしてたんですけど…」

俺「…!」

男「ま…案の定彼はミスを犯した だから俺はすぐさまこちらの列に移動した その方が効率がいいんでね それだけだけど?」

俺「…な…」

俺「…お前…なんでこっちにきた?」

男「はい?」

俺「お前には時間がないのか?」

男「…」

男「ありますよ たっぷりと」

俺「なら俺と場所変われ 俺は時間がないんだ」

男「嫌ですよ」

俺「なんで!」

男「俺は商品を早く買いたいと思ってるし早く買えることを有意義に思う
あなたはただの他人だ 俺があなたに場所を譲ったところで何もない」

男「俺が場所を譲るも譲らないも俺には関係ないんですよ」

俺「喧嘩売ってるのか」

男「売ってきたのはあなたですが」

俺「…」

男「じゃあこう考えましょう
もし俺とあなたが逆の立場だったら あなたは場所を譲りますか?」

俺「…そりゃ譲るさ」

男「ほんとに?」

俺「…」

男「…ふっw」

男は誇らしげに前を向いた

なんてことだ
こんな事初めてだ
このままでは俺のスケジュールが狂ってしまう

人々は時間がどれだけ大切か分かってないのだ

ネットゲームをしたり2ちゃんねるたる掲示板に1日明け暮れたり
それがどれだけ無駄な時間なのか理解できないのか?

俺はこれまで時間の一秒一秒を大切に生きてきた
学生時代は家に帰ればまず宿題を済ませ5教科の予習をした
家族は話しかけられると無駄に時間をとられるのでできるだけ避けた
おかげで勉強でもトップに立つ事ができ良い企業に就職することもできた
そして今安定した収入で一人暮らしできている

これも全部俺が時間を大切にしてきたからなのだ

このままこれまでの完璧なスケジュールを崩すわけにはいかないのに…

しかし今回ばかりはどうしようもなかった

男「…」

俺「…お前…何買うんだよ」

男「…俺?俺はこれですよ」

俺「漫画?」

男「そう 【犬のプー太郎】って漫画」

俺「はあ…まあそれか…」

男「また?」

俺「所詮は創作だ
そんなもん見てたら時間の無駄だ」

男「最近人気なんですけどねぇ」

俺「なんでこんなスーパーでそんなもん買うんだよ」

男「いやこれホント人気でねぇ どのコンビニも本屋も無かったんですよ」

俺「でたでた…そうやって流行りに乗ろうとして」

男「でも流行るってことは多くの人々に認められたって事なんですよ?それはあなたの感性がずれてるって事じゃ…」

俺「あぁいいさそれで!
…でもなぁ…間違ってんのは俺じゃない お前らなんだよ!」

男「ほう…と言いますと?」

俺「だーかーらー…」

俺「時間だよ!人類は時間を無駄に使いすぎなんだ!ゲームやネットに明け暮れる事になんの意味がある!?好きな歌手のライブに行ってどうなる!?映画を映画館に見に行って何が生まれる!?映画の専門家にでもなるのか!?」

男「…」

俺「どうせお前もそうなんだろ!?」

男「…そうですけど?」

俺「ちっ…やっぱりなっ」

男「それもニートです 毎日ネットでもやったりたまにアニメ見たり漫画見たり適当に過ごしてる」

俺「ふんっw 俺が一番嫌いなタイプだ」

男「何も考えず一時間ずっと机に座ってる時だってあるし」

俺「…お前生きてる価値ねぇわ」

男「…ふふっ…そうですかね」

その時だ
俺達の横を若い女の店員が通った
そしてもう一つの
三番目のレジに入っていったのだ

状況としては今最初に並んでたレジには9人
俺が今並んでるレジには前に5人いる 後ろには…6人くらいか

しかしもしあの三番目のレジが解放されたら…

解放され先頭に立つことができれば時間を見る限りいつもの俺の頭のスケジュールが無事完成する

俺だけじゃない
全員が察していた

「三番目が解放される」

どうやら男も身構えている

俺はゴクリと唾を飲み込んだ

「こちらレジ開きました~」

女店員の甲高い声が響くと共に俺達は走り出した

どうやら敵は…
5人だ

その5人に男も含まれていた

こうなることを見越してあえて行かない方を選んだ者もいるらしい

俺は全力でレジに向かい走った

時間の為に



勝てる…!

気付くと俺がトップを走っていた

いける…いける…いける…!

俺「うおおおおお…!」

俺「…!!」

俺がレジの直前まで駆け抜けた時だった

レジ横の陳列棚にあるものが見えた

エナジードリンクだ

そう 俺が毎日買うもの
おにぎりとパックのサラダにエナジードリンク

崩すのか?日常を

しかしここでエナジードリンクを手に取ると抜かされる…!奴らに…!

その一瞬で俺の頭で葛藤が起きる

俺「ちくしょう!!」

ーーーーー

男「なんでです?」

俺「あ?」

男「なぜあなたはエナジードリンクを取った?」

俺は男の後ろに立っていた
そう俺は先頭から…4列目に立っていたのだ

俺「なぜ…って…」

俺はそんな質問に答える元気などなかった
いつものスケジュールが崩壊寸前だからだ

列が一つ進む

男「…」

男「そのエナジードリンクなら別に外の自販機でも買えますよ」

俺「…」

男「…いつもここで買ってるから…ですか?」

俺「…」

男の言葉などに耳を傾けていなかった
ふと腕時計を見る

俺「ん?」

間に合うかもしれない

今から全て最速で事を済ませる事ができたら

ギリギリ間に合うかもしれない

レジが変わり列の進むスピードもこちらの方が早いらしい

しかしその為にはあと一人分

俺「おい…」

男「…はい?」

俺「やっぱり変われぇ!俺と場所!」

男「ちょ…!何するんですか!」

俺「いいだろお前には時間があるんだから!」

男「嫌ですよ!」

俺「なんでだよ!」

男「俺も早く買いたいからですよ!」

俺「それはお前の欲望だろ!?俺には時間がないんだよ!」

男「じゃあこのあと何があるんですか」

俺「あのなぁ…俺には入社して4年間一度も欠かす事のなかった一番時間をスムーズに有効活用できるスケジュールが頭の中にあるんだよ!
早く9時51分に帰ってニュースを見ないとそれが狂っちまう!」

男「…」

俺「だからもう時間がない!分かったらどけてくれ!」

男「それだけですか?」

俺「あ?」

男「それだけの理由で?」

俺「あー…はいはいそれだけですよ
お前にとっちゃそれだけかもしれんけどなぁ 俺にとっちゃ大切な事なんだよ!」

男「なら…時間はたっぷりあるじゃないですか」

俺「お前…話聞いてたかよ…!」

男「時間がないのはあなた自身のせいですよね?」

俺「なに?」

男「あなたがそんなスケジュールなんて作るから時間に縛られているだ」

俺「だからそのスケジュールは時間を有効的に使う為に…」

男「いやあなたはその毎日の日常を狂わさない為に寧ろ時間に追われてるのでは?」

俺「なっ…!」

男「今あなたは先頭に立てたのにわざわざエナジードリンクを取りに行った それはなぜか
あなたがいつもこのスーパーでそれを買っているからだ」

俺「…」

男「あなたは密かに変化を恐れているんだ いつもの日常が変わってしまう事をね」

俺「だから…それが一番効率の良い時間の使い方だから…!」

男「楽しいですか?」

俺「なに?」

男「そんな日常 楽しいですか?」

俺「…」

男「日常っていうのは…日々何か変化や驚き 感動があってこそ楽しいものなんですよ」

男「あなたには挑戦する勇気というものが欠けているのではないでしょうか?」

俺「…」

男「俺から言わせて貰うと
変化に挑戦してそれを楽しむ それこそ時間の有効的な使い方だと思いますよ」

俺「…」

俺「…ふっ…くだらねぇ…」

男「…おっと…ここで順番が回ってきたみたいだ…」

男「あーでもそういえば俺 この漫画友人に借りる予定だったんだ…」

俺「は?」

男「仕方ない…この漫画あなたにお譲りしますよ」

俺「は…ちょ…いらねぇよ…!」

男「あ、すいません この漫画は彼が買うようなので 僕はこのガムだけで」

店員「かしこまりました 110円です」

俺「…っておい!」

男「…」スタスタ


男は俺の籠に漫画を入れそそくさとスーパーを出て行った

ーーーーー

運転手「…はい…着きましたよ」

俺「釣りはいらん!」バッ

運転手「えっ…お客さん!こんなに…!」

俺「くそぅ無駄な買い物した上に時間がぁ!」ダッダッダッダッ

俺は家を開けるとまず駆け足で風呂場へ行きお湯を焚く
そしてリビングに行き電気とクーラーの電源をほぼ同時につけテレビをつける
すると番組と番組の間のニュースが始まった そう ピッタリに

間に合ったのだ

俺は安堵しつつニュースのオープニングのような音楽が流れニュースキャスターが自己紹介をしているその数秒にすぐさまポットに水を入れスイッチを入れる

キャスター「それでは一つ目のニュースです」

ーーーーー

俺「ふぅ…なんとかいつも通りに過ごせたぞ…」

時刻は10時29分

俺「寝るか」

その時机の上に置かれた袋に入った漫画に目がいく

…くだらん

そう…所詮は創作なのだ

あんなものに使っている時間はない




ーーーーー

カタカタカタカタカタ

OL達「あー分かる分かるw」

カタカタカタカタカタ

OL達「あーあれ凄かったよね~」

カタカタカタカタ…カタッ

OL達「そうそうそれ~w」

ガタッ

俺「仕事終わったので上がりますね」

OL達「あ…俺さんやっぱ早いですね」

俺「失礼します」

OL達「あ~俺さんw」

OL達「ちょっと…だから俺さんは…!(小声)」

俺「【犬のプー太郎】ですか?」

OL達「…え?」

俺「読みましたよ【犬のプー太郎】」

OL達「…え?え?」

俺「いや…あのタイトルとのギャップと言いますか…話に入り込んじゃいましたよ
意外と面白いものなんですね 漫画って…」

OL達「…」

OL達「…そ」

OL達「そうなのよ~!俺さん分かってる~w」

OL達「え~意外~w 俺さんそういうの読むんだ~w」

俺「いや…昨日の夜 少し出来心で読んでしまっただけですよw 」

OL達「ちょっと俺さん今からみんなで飲み会行くんだけど来ませんか~w」

俺「…」

俺「…」

OL達「あ…やっぱ…」

俺「分かりました 行きましょうっ」ニコッ

OL達「…ええ!」

OL達「…」

OL達「やったー!」

OL達「さすが俺さーんw今日ノリ良い~w」

OL達「行こ行こ~w」

俺「騒がないでくださいw 」

OL達「じゃあ今日は他の人も誘おうよせっかくだしーw」

OL達「いいね~」

俺「せっかくって何ですかw 」

OL達「アハハハw」



まあ…

楽しみの為に時間を使うというのも

悪くない



ーーーーー

男「…」

男「あ、あれスーパーで後ろだった人だ」

男「OL達とあんな楽しそうに歩いて…」

男「変わったんだ…あの人も」

男「そう…そうやって何事にも挑戦して…自分の楽しめる事に時間を使わないとね」

タッタッタッ…

男「…ん?」

警察「すいません○○警察の者ですが」

男「はい?何かようでしょうか?」

警察「最近この辺で起こってる連続殺人事件は知っていますよね?それについていくつか質問させていただきたくて」

男「え?俺を疑ってるんですか?」

警察「いえいえ ちょっと質問するだけです」

男「職務質問略して職質ってやつですか」

警察「まあ上の者に言われてるんでね 怪しそうな人には声かけとけって」

男「俺が?怪しい?」

警察「まあこんな細いビルとビルの間から商店街覗いてたんじゃ怪しいですよ」

男「そうですよね 分かりました」

警察「はい それじゃまず名前と住所を教え…な!?」

警察「お前…何をする気だそのナイフで…」

男「さあ なんでしょう」

警察「おま…」グジャァァア

男「…」

警察「はう"ぅぅあ"………あ"………あ"………」

男「…ふんっ」

警察「あ"……」グジャッ! グジャッ!

男「ククク…クククククク…」

警察「や"め"…」バタッ

男「…」

男「…」

グジャッ グジャッ グジャッ グジャッ グジャッ

グジャッ グジャッ グジャッ グジャッ グジャッ

男「…」

警察「」

男「ククク…フフハハハw」

男「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハwwwwww」

男「フフフ…w」

男「…」

男「そこのあなたも…退屈した時間の使い方をしていないか?」

男「そう」

男「時間は確かに大切だ
だが使い方によってはそれが無駄なモノにもなる」

男「時間に縛られず変化に挑戦するんだ」

男「きっとあなたにも楽しめるモノが見つかるよ」

ーーーーー

キャスター「警察の調べによりますと昨夜午後9時頃 連続殺人事件の検察に向かった警察官が人通りの少ない路地裏で発見され その死体には腹部を執拗に刺した跡があったとのことです」

キャスター「防犯カメラに映るその男はジャージ姿に黒い帽子、痩せ型体型で人を刺したあと笑みを浮かべているのが伺えます」

キャスター「まるで殺人を楽しんでいるかのように」



end

おわり

面白かった。乙

ありがとう

面白かった

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