─ 校舎裏 ─
不良「さて、一服するとしましょうか」シュボッ…
不良「…………」スパー
不良「…………」フゥ…
委員長「オイ!」
不良「!」ビクッ
委員長「こんなとこでサボってんじゃねえぞ、コラァ! クソ野郎が!」
不良「……またあなたですか」
委員長「しかもモクになんざ手ェ出しやがってよォ……」
委員長「未成年(ガキ)はモク吸ったらいけねえことぐらい、小学生でも知ってんぞ!」
委員長「没収だ、オラァ!」バッ
不良「あっ」
委員長「ライターもだ!」バッ
不良「…………」
不良「あなたは女性だというのに、いちいち乱暴ですねぇ」
不良「せっかくの美しいお顔が台無しですよ」
委員長「テメェこそ、男のくせにタマついてねえような喋り方すんな!」
委員長「ったく、なんでテメェはまともに授業受けねーんだ!?」
委員長「ガッコ舐めてんのか? あぁん!?」
不良「私は所詮、世間からのはみ出し者ですからね」
不良「善良な方々ばかりの教室に、私の居場所などないのですよ」
委員長「そういうのを逃げっつうんだよ! このチキン野郎が!」
委員長「とにかく、出席日数だってそう余裕ねえだろ!」
委員長「とっととアタシについてこい! いいな!?」
不良「騒々しいお方だ……」
不良「なぜいつもいつも、あなたは私の世話を焼くのです?」
委員長「!」ギクッ
委員長「ん、んなもん決まってんだろ!」
委員長「アタシは教室(チーム)の委員長(アタマ)だからだよ!」
委員長「テメェみたいな落ちこぼれがいると、アタシまで先公に目ェつけられっだろが!」
委員長「アタシの顔に泥を塗らないためにも、マジメに授業出ろ!」
委員長「いいな!?」
不良「やれやれ……そうまでおっしゃられては仕方ありませんねぇ」
─ 教室 ─
教師「──では、ここの値が分かるものはいるか?」
委員長「オラァッ!」バッ
教師「お、では委員長」
委員長「“X=17”だッ! ──どうよォ!?」
教師「さすが委員長……正解だ」
委員長「しゃあッ! ありがとよ、先公!」グッ
「すっげぇ~、さすが委員長」
「頭いいなぁ~」
「模試とかでもいつも全国100位以内だもんな」
教師「さて次の問題は──」
グゥ~…… グゥ~……
不良「…………」グゥグゥ…
不良「…………」グゥグゥ…
教師(たまに授業に出てきてると思ったら……アイツめ)
教師(しかし、注意するのは怖いからなぁ……)
「うるっせえなぁ……不良の奴」
「だれか起こせよ……」
「やめとけって……。前に起こそうとした奴が、寝ぼけた不良にブン殴られたじゃん」
委員長「オイ不良、テメェ!」
不良「!?」ガバッ
不良「……誰ですか? 私の神聖なる眠りを妨げる愚か者は?」
不良「たとえ教師であろうと、許されるものではありませんよ?」
委員長「アタシだよ!」
不良「な……! あ、あなたでしたか」
委員長「テメェ惰眠こいてんじゃねーぞ! 先公に失礼だろが! おォ!?」
不良「せっかく授業に出てあげたのに、やかましい人ですねえ……」
委員長「出るだけじゃ意味ねーんだよ、クソ野郎!」
不良「著しく知能の低い私が授業を聞いたところで、どうせ馬耳東風なのです」
不良「ならば、寝ている方がよっぽど有意義というものでしょう?」
委員長「うっせえ! バカならバカなりに努力しろや!」
委員長「アタシが一番きれぇなのは、バカじゃなく、努力しようともしねえ奴だ!」
委員長「いいか、今度寝たらアタシがぶっ殺してやっからな!」
不良「……分かりました。今後は寝ないようにしますよ、なるべくね」
委員長「よし! 授業中に怒鳴ってすまねえな、先公。授業続けてくれや」
教師「う、うむ(助かった……)」
「さすが委員長、あの不良を大人しくさせるとは……」
「不良も委員長にだけは甘いよな。なんでだろ?」
「さぁ……」
昼休み──
─ 教室 ─
委員長「ん?」
委員長「不良、テメェ……メシは?」
不良「ありませんよ、お腹が空いていないものでね」
委員長「…………」
委員長(そういや、不良んちは貧乏で、親も弁当とか作ってくれねえって聞いたな……)
委員長「ほれ、食えや。アタシが作ったおむすびだ」スッ
不良「申し訳ありませんが、私は施しを受けるつもりはありませんよ」
委員長「ゴチャゴチャうっせえ! 食わねえとムリヤリ口に詰め込むぞ!」
不良「そこまでいわれては仕方ありませんねえ。いただくとしましょうか」
不良「…………」モグモグ…
女生徒A「委員長、あまり不良君に関わらない方がいいよ」ボソッ…
女生徒B「そうだよ~」ボソッ…
委員長「なぁに、あんな社会のゴミの一匹や二匹、恐れるアタシじゃねえさ」
委員長「それに猛獣ってのは、空腹にしとくのがもっとも危険っていうしよ」
委員長「飯を恵むぐらいで組(チーム)の平和が保たれんなら、安いってもんよ!」
女生徒A&B(委員長って頼もしいなぁ……)
放課後──
─ 教室 ─
委員長(あれ……? 不良の奴がいやがらねえ)キョロキョロ…
女生徒A「委員長、一緒に帰ろう!」
女生徒B「今日は部活も予備校もないんでしょ?」
委員長「…………」
委員長「わりぃが……アタシは今日、野暮用があっからよ!」
委員長「アンタらだけで帰っててくれや!」
女生徒A「え~、それならしょうがないね」
女生徒B「また明日ね!」
委員長「おう! 道草食うんじゃねーぞ!」
─ 校舎裏 ─
番長「待ってたぜ、不良ォ……」ズンッ
不良「おやおや、今度は親分さんのお出ましですか……」
番長「ちょっと腕が立つからって、いい気になんなよ? ガキの分際でよ」
不良「この間、私に挑んできた舎弟さんたちは大したことありませんでしたが」
不良「あなたは少しは楽しませてくれるのでしょうねぇ?」
番長「たっぷり楽しませてやんぜェ!」ダッ
バキッ! ドカッ! ガッ! ドズッ!
番長「ぐおっ……!」ヨロッ…
不良「なるほど、舎弟の方々とちがって少しはできるようですが──」
不良「私を楽しませる、とまではいかないようですねえ」
バキィッ!
ガッ! ゴッ! ドカッ!
番長「ぐっ……!(や、やられる……!)」
不良「さて、そろそろ決着をつけさせてもらいますよ」スッ…
不良「二度とこの私に刃向かえないようにしておきませんとねえ……」
委員長「なぁにやってんだ、テメェ!」バッ
不良「!?」ビクッ
委員長「ホームルーム終わったとたんフケたと思ったら、やっぱケンカかよ!」
不良「こんなところまで来るとは……つくづくしつこい方だ」
委員長「腕っぷしで相手叩きのめしたって、なんにもなりゃしねえだろ!」
委員長「テメェは気に食わない奴見るたび、殴らなきゃ気が済まねえのか!?」
委員長「んなことやってたら、いずれブタ箱かくたばるのがオチだ!」
委員長「ちったァ大人になれや、クソ野郎が!」
不良「フッ、言いたい放題ですね」
不良「ですが、ケンカする気力も薄れてしまいました。今日はもう止めにしましょう」
不良「さようなら、番長さん」スッ…
番長「ぐぐぐっ……!」ヨロッ…
番長(あの野郎……このままじゃ済まさねえぞ、絶対に!)
─ 校門 ─
不良「ではここでお別れしましょうか」
委員長「おうよ、道草くわねーでまっすぐ帰れよ!」
委員長「さすがにポリが絡むような騒ぎ起こされたら、かばいきれねーしよ」
不良「ご忠告、ありがたく承っておきましょう」
不良「ところで──」
不良「今日あなたがくださったおむすび……おいしかったですよ」
委員長「!」ギクッ
委員長「バッキャロー! 褒めたってなんも出やしねーぞ!」
不良「フフ、ではさようなら」
委員長「ケッ、じゃあな!」
─ 校舎裏 ─
番長「いてて……」
舎弟A「大丈夫っすか、番長!?」
舎弟B「番長までやられるなんて……」
番長「ちくしょう……。あの野郎、こうなったら仲間集めて叩き潰してやる!」
舎弟A「しかし、あいつは勘も鋭いっすよ」
舎弟B「ええ、人数を集めたところにわざわざ飛び込んでくるような奴じゃない……」
番長「だったら──飛び込んでくるようにすりゃいいんだよ」
舎弟A「え、どうやって──」
番長「とにかくおめえらは人数かき集めろ! 次に仕掛けるのは一週間後だ、いいな!」
舎弟A&B「へいっ!」
一週間後──
─ 廊下 ─
委員長(不良の野郎も、だいぶまともに授業出てくるようになったな……)
委員長(このままの調子でいきゃあいいんだが……)
委員長「──ん!?」
委員長「なんだテメェら!? 通せんぼなんかしやがって!」
舎弟A「ちょっと体育館まで来てくれや」
舎弟B「大人しくしてりゃなにもしねえからよ」ガシッ
委員長「くっ……なにしやがんだ! はなせ! はなしやがれえっ……!」ジタバタ…
─ 昇降口 ─
不良(そういえば、今日は先ほどから委員長の姿がありませんねえ)
不良(早退でもされたのでしょうか……)
不良(おっと、女性に気を配るなど、反社会的存在である私らしくもない……)ガチャッ
不良「!」
不良「これは……果たし状!」ガサッ…
不良(委員長を助けたくば体育館まで来い、ですって!?)
不良「なるほど……彼らもいい度胸をしていますねぇ」
不良「こんなに怒りを感じたのは、生まれて初めてかもしれません」
不良「いいでしょう……。この挑戦、受けて立ちましょう!」
─ 体育館 ─
ズラッ……
番長「待ってたぜぇ?」
不良「ざっと30人ですか……。ま、こんなことだろうと思っていましたがね」
番長「後輩のくせに今まで散々俺らをコケにしてくれたが──」
番長「今日こそおめえを叩き潰してやる! 覚悟しろ!」
委員長「不良、逃げろぉっ! アタシなんかにかまうんじゃねえ!」
委員長「アタシはもうこいつらに処女奪われて、マワされる覚悟はできてんだ!」
委員長「アタシのせいでボコられるテメェなんざ……見たくねえッ!」
不良「フッ、お下品ですよ……委員長」
不良「すぐに助け出しますからご安心下さい」
不良「なぜなら、私の怒りのボルテージは──」
不良「今まさに最高潮(クライマックス)に達しようとしているのですから!」
番長「なぁ~にがクライマックスだ、やっちまえっ!!!」
舎弟A「うおおおおっ!」ダッ
舎弟B「どりゃあああっ!」ダッ
不良「では始めましょうか……“舞踏会”をね!」キッ
ドゴォッ! バキィッ!
舎弟A「ぐええっ……!」ドサッ…
舎弟B「ぐはっ!」ドザァ…
不良「さあ、どんどん来なさい! 怒れる私を食い止めてみせるのです!」
ワアァァァ……! ウオォォォ……!
……
…………
………………
不良「ハァ、ハァ、ハァ……」
不良「さて残るはあなただけですね? お山の大将さん?」
番長「くっ……くそぉぉぉぉぉっ!」ダッ
バキィッ! ドゴォッ! ドズゥッ!
番長「ご、ふっ……」ガクッ
不良「おっと、あなたはこの程度では済ませませんよ?」ガシッ
不良「私を激怒させた報いを、きちんと味わってもらわねばなりません」
不良「究極の罰──“死”という形でねぇ」
番長「ゆ、許してぐれぇ……もうおめえに手は出さねえから……!」
不良「今さら命乞いしても遅すぎます。今すぐ殺害させてもらいますよ」スゥ…
委員長「待ちなッ!」
不良「!」ピクッ
委員長「助けられといていうセリフじゃねえが……もうケリはついてんだろ」
委員長「そいつを放してやんな」
不良「……つくづく甘い方ですねぇ」スッ
番長「ぐはぁ……」ドサッ…
不良「──ですがこれでお分かりになったでしょう?」
不良「私に関わっても百害あって一利なし、だと」
委員長「いいや……逆だ。ますます放っておけなくなっちまった」ニヤッ
委員長「テメェがカタギになるまで、つきまとってやっから覚悟しな!」
不良「これはこれは……酔狂なお方だ」
不良「ですが……。あなたのそういったところ……私は好きですよ」ニコッ
委員長「!」ポッ…
委員長「バ、バッカ野郎! やぶから棒になにほざいてやがんだ!」
不良「あなたは私のことが嫌いですか?」
委員長「バカいうんじゃねえ! 大好きに決まってんだろーが!」
委員長「そうでもなきゃ、拉致られてんのにつきまとうとかしねーよ!」
委員長「──って、優等生であるアタシにこんなこといわせんじゃねえ!」
委員長「社会のゴミクズのくせによ!」
不良「これは失礼」フッ…
不良「私もあなたを見習って、多少は真っ当な道を歩むとしますかねぇ」
委員長「おう、そうしろ、そうしろ!」
不良「では……今日は勉強を教えていただけますか?」
委員長「いいぜ!」
委員長「ただしアタシは勉強となると手加減できねえからよ……覚悟しろよ?」パキポキ…
不良「望むところですよ、委員長」
おわり
出オチネタですが楽しんで頂ければ幸いです!
乙
面白かったよ
不良が全然不良じゃなかったけど
不良が予想以上に紳士だった
何を言ってるのか(ry
すっきりしてて好き
乙
乙
面白かったけど不良がだんだんフリーザ様になってしまうし、委員長がベジータになったw
乙
不良が不良になる話とか委員長の片思いにいたる話とか気になります
乙
確かに出落ちwwww
途中までは育ちで丁寧な口調になったが反発して不良にとか考えたが
単なる厨二になりやがった
乙
面白かった。乙w
出落ちwwww
このSSまとめへのコメント
なにこれ新鮮……