四季折々 (7)
『一話。ブレイク・コンプリート』
僕の名前は普通杉流(ふつう・すぎる)
歳は二十六。
身長175cm、体重64kg。
勉強もスポーツも完璧。
どこにでもいる、普通の小学生だ。
僕「寝坊して遅刻するなんて、参ったな」タタタ…
そんな僕は、ある日、普通じゃない体験をすることになる。
それは、シーチキンマヨおにぎりをくわえながら、とある家の角を曲がった時だった。
?「きゃ!」
僕は、一人の女の子とぶつかってしまった。
同時に、これが全ての始まりで、終わりだった。
僕「いたたた。大丈夫ですか?」
ぶつかった女の子は、四人に増えていた。
そして時が止まった。
僕「あれ?」
神「君。やっちゃったね」
僕「え?」
神「君のせいで、世界は崩壊した」
僕「はぁ」
神「彼女は季節の女神でね。今、四人に分裂したことで、この世界の秩序が破壊されてしまった」
僕「なるほど」メモメモ
神「てなわけで、彼女達を一人の女神に戻すために、彼女達の心をへし折りなさい」
僕「なぜですか?」
神「なぜミーがロリババアなのかって?そりゃ、この世界の神様だからだよ」
僕「いえ。そうではなくて、どうして心をへし折る必要があるんですか?」
神「それはね。彼女達が君に、好意を持ってしまったからさ」
僕「へー」
神「君は恋愛フラグを立ててしまった。だから、そのフラグをへし折って、彼女達の心をブレイクし、ひとつにしなさい」
僕「はーい」
神「ん。じゃ、とりあえず。世界をミー達だけにするから、頑張ってね」
僕「え?」
神「じゃ、学校で待ってるよ」シュン
春巻「すみません!大丈夫ですか?」
僕「はい。そちらこそ」
夏祭「あたし達は大丈夫です!本当ごめんなさい!」
僕「こちらこそ、すみませんでした」
秋葉原「いけない!遅刻しちゃう!」
冬海「それでは失礼します」ペコリ
僕「……僕も急がなきゃ」タタタ
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【煉瓦小学校。六年生、パイン組の教室】
僕「すみません!寝坊しました!」ガララ!
神「先生も今来たところだから、今日は許してあげよう」
僕「ありがとうございます」
神「じゃ、席について。ホームルームはじめるよ」
僕「よいしょ」オスワリ
神「さて、突然ですが。今日、転校生がうちのクラスに」
春巻「こんにちまき!私は四季春巻(しき・はるまき)です!」ガララ!
先生「もぅ!少しは待ちなさいよ!」プンプン
春巻「うへへ!」テヘッ
先生「まぁいいわ。みんな、入っておいで」
夏祭「はじめまして。あたしは、四季夏祭(しき・なつまつり)です!」
秋葉原「あ。四季秋葉原(しき・あきばはら)です」
冬海「わちは、四季冬海(しき・ふゆかい)じゃの」
四人「今日から一年間、よろしくお願いします!仲良くしてください!」ペコリ
神「みんなが、黒板に名前書いてる間に、プロフィール配るね」
僕「なになに」
四季春巻
年:この世界と同じ。
好きな食べ物:春巻。
一人称:私。
二人称:○○君。
口癖:こんにちまき!
性格:天真爛漫。
血液型:オウゴンオニクワ型。
四季夏祭
年:みんな一緒。
好きな食べ物:そうめん。
一人称:あたし。
二人称:君。
口癖:暑い、熱い。
性格:元気で熱血。
血液型:ニジイロクワ型。
四季秋葉原
年:みんな一緒。
好きな食べ物:松茸。茸。
一人称:あ
二人称:ん
口癖:竜巻の目があったら入りたい。
性格:涼しい感じ。たまにテンション上がる。
血液型:ノコギリクワ型。
四季冬海
年:一緒
好きな食べ物:わさび
一人称:わち
二人称:あなたさん
口癖:じゃの。不愉快じゃの。とか。
性格:大人しい。冬眠状態によくなる。
血液型:ロリババア型。
僕「これ、プロフィールというよりも、簡単なキャラクター説明ですね」
神「うん。ブレイクしやすいでしょ?」ウィンク
僕「なるほど。ありがとうございます」
神「みんな名前書いたね。うん。本当は書く必要なんてないんだけど、定番だから」
春巻「先生!私たちの席は!?」
神「えと。杉流君の前が冬海ちゃん。後ろに春巻ちゃん。右に秋葉原ちゃんで、左に夏祭ちゃんね」
春巻「はーい!て、あれれ?」
夏祭「もしかして、さっきの!」
秋葉原「こんな偶然があるなんて!きゃーーー!!!」トキトキ
冬海「これが、初恋?不愉快じゃの……」テレ
神「何々?まさか、知り合い?」
僕「僕が加害者で、彼女達は被害者です」
春巻「私達を庇ってくれるなんて……!」キュン!
夏祭「君、名前は?」
僕「とりあえず、席に着こう。ホームルームは」
神「終わり」テクテク
僕「僕は普通杉流です」
春巻「じゃあ、あだ名は花粉症ね!」
僕「ありがとうございます」
春巻「冗談だよ!やだなーもう!」
僕「すみません。昨日、八時間しか寝てないんで、授業が始まるまで寝させてください」
冬海「んじゃ、わちも隣で寝る」
僕「ごめんなさい。お気持ちは嬉しいんですけど、僕、トイレじゃないと眠れないんです。では、また」タタタ
春巻「ちょっと冬海!抜け駆けはずるいよ!」プン!
冬海「冬眠……」スヤ
夏祭「ずるい子!」
春巻「ん?もしかして……みんな、杉君のこと好きになっちゃった?」
秋葉原「あはそんなこと……」
夏祭「嘘つけ!テンション上がってたぞ!」
秋葉原「竜巻の目があったら入りたい……」イヤンイヤン
春巻「私?」
夏祭「竜巻ね。台風と違って、目があるかどうか知らないけど」
春巻「て、そんなことはどうでもいい!みんな!白状なさい!」
冬海「好き」
秋葉原「好き」
夏祭「好き」
春巻「好き」
夏祭「満場一致で、戦争開幕だね!」
秋葉原「待って。はやまらないで」
春巻「何か意見でも?」
秋葉原「まずは、協力しましょ」
冬海「協力?なぜじゃの?」
秋葉原「あ達が醜い、陰湿な争いを行えば、んはドンビキするに違いないわ」
春巻「それは困りますな」
夏祭「じゃあ、まずは協力して、杉のことをよく知ろう!」
冬海「敵情視察じゃの」
春巻「それだ!」
【一時間目】
春巻「先生!教科書がありません!」
神「おぅ!ミーとしたことが……」
僕「僕が必要なページ、コピーしてきます」
神「ミーが行ってくる。自習して待ってて」テクテク
春巻「ねぇ、杉君。趣味は何?」
僕「すみません。今は自習の時間なんで」
夏祭「君、真面目だね!胸が熱くなるくらい素敵だよ!」
秋葉原「何勉強してるの?」ススス
僕「はい。どうぞ」スッ
秋葉原「嬉しいけど、んに教えてほしいな」
夏祭「あたしも!」ススス
僕「……」
春巻「こほん。やーやー、ちみたち。杉君が困っているじゃないか」
僕「はい。すごく」
秋葉原「ごめんなさい」
夏祭「あたしも、ごめんなさい」
僕「はい」
春巻「……」ニヤリ
冬海「のう、あなたさん」
僕「何ですか?」
冬海「あんまりジロジロ、わちの背中を見んでくれ」ポッ
春巻「見てないよね?」
僕「はい」
冬海「ぷん……」
神「お待たせ!教科書見つけてきたから、みんなに配るね」
春巻「はーい」
夏祭「一時間目は国語かー。苦手だなー」チラ
僕「……」ムシ
神「はい。じゃあ、教科書三百八ページ開いてね」
秋葉原「あら、消しゴムを落としちゃったわ」コロコロ
僕「ごめん。踏んじゃった」
秋葉原「え」
僕「本当ごめんね」
秋葉原「ううん、ありがとう。消しゴムが転がり過ぎないように、わざと踏んでくれたんでしょ?」
僕「それはないな」
【昼休み】
春巻「わぁ!杉君のお弁当すごーい!」
僕「君の、春巻きしかないお弁当の方が、すごいよ」
春巻「うへへ!これね。自分で作ったんだ!」
僕「いただきます。あむ」モグモグ
秋葉原「あは松茸弁当。珍しいでしょ?一口食べてもいいよ」
僕「ごめん。僕、茸アレルギーで、食べると全身から血が噴き出すんだ」
夏祭「危ない!お弁当にえのきが入ってるぞ!あたしが食べてあげる!」
僕「冗談だよ。あむ」モグモグ
秋葉原「じゃあ」
僕「松茸は嫌いなんだ」
秋葉原「そっか……あを傷つけない為に、冗談を言って誤魔化してくれたんだね」
僕「それはどうかな」モグモグ
冬海「わち……梅干し嫌い」チラッ
僕「へー」モグモグ
冬海「食べてくれんかの?」ウルウル
僕「僕も苦手なんだ。ごめんね」モグモグ
冬海「わち……頑張って食べるよ!見ててね!」
僕「そ」モグモグ
春巻「ねぇ!杉君の好きな食べ物は何?」
僕「人肉」
夏祭「ジンギスカンかー!うまいよね!熱々のご飯と一緒に食べると、くっー!」
僕「……」モグモグ
春巻「じゃあ、好きな女性のタイプは?」
夏祭、秋葉原、冬海「!!!」
僕「メデューサ」
春巻「ロマンチック!」
僕「は?」
春巻「あのサラサラヘアーがいいよね!」
僕「ね」モグモグ
夏祭「シャンプーとリンス、何使ってるのかな?」
春巻「きっと生コンクリートだよ!」チラッ
僕「……」モグモグ
秋葉原「生コンクリートはないでしょ」
冬海「きっと、石鹸派じゃの」
僕「ごちそうさまでした」ガタッ
春巻「どこ行くの?」
僕「さぁ?」
夏祭「風の吹くままか!かっくいー!!!」キラキラ
僕「帰りたい」テクテク
【屋上】
神「どう?」
僕「殺してください。耐えられません」
神「小学生がそんなこと言っちゃ駄目。それに、世界滅亡するよ?」
僕「構いません」
神「ペットのハムチーズも死ぬぞ!」
僕「神様って、卑怯なんですね」
神「この世界を護るのが、ミーの仕事だから」
僕「そ」
神「あ、ヤバイ事がひとつ」
僕「何ですか?」
神「この世界を乗っとるために、他の神様が攻めてくるかも」
僕「ふーん」
神「まぁ。護ってあげるから、安心して」
僕「ありがとうございます」
うっうーうっうーうっうーうっうー!
僕「何の音ですか?」
神「エマージェンシーサイレン。つまり、緊急事態。イコール神の攻撃」
どかーん!
僕「ふーん」
神「教室がテロリストに占拠されたよ」
僕「ほっといたらいいんじゃないですか?」
神「四季の女神が死んだらそれこそ」
僕「でも僕、普通の小学生ですし」
神「とりあえず行こっか」
僕「えー」
【教室】
神「敵は四十人か」
僕「みんな、律儀に着席してますね」
神「つまり、チャンス」
僕「?」
神「はーいみんな。午後の授業はじめるよー」テクテク
テロリスト「はーい」
神「あ。保護者の方が一人、見学に来てるからね」
僕「こんにちは。お邪魔します」
テロリスト「やだ、イクメン……!」
春巻「まさか……私達を助ける為に!?」トクン
僕「さてと」
神「……」ウィンク
あ
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