閑無「マジうざいんだけど……」


慕「どうかしたの、かんなちゃん？」


「親と喧嘩したんだってー」


慕「喧嘩？」


閑無「洗濯を一緒にしようとしたからさ」


閑無「もう子供じゃないっつーのによ……」


慕「小学生は子供じゃないの？」


閑無「５年にもなったんだからもう大人だっての」


慕「そうなんだ……」

ちょい訂正

閑無「マジうざいんだけど……」


慕「どうかしたの、かんなちゃん？」


杏果「親と喧嘩したんだってー」


慕「喧嘩？」


閑無「洗濯を一緒にしようとしたからさ」


閑無「もう子供じゃないっつーのによ……」


慕「小学生は子供じゃないの？」


閑無「５年にもなったんだからもう大人だっての」


慕「そうなんだ……」

閑無「そういう白築はどうなんだよ？」


慕「うちはおじさんと仲いいよ？」


閑無「ふうん……」


慕「料理とかは私が作ってるし……」


閑無「洗濯とかは？」


慕「一緒にしてるよ？」


閑無「まじありえねえ……」


慕「そう？」


閑無「普通は嫌いだとか思うもんなの！」


慕「ふーん」

閑無「だいたい反抗期が来ないと大人になれないんだよ！」


慕「そうなの？」


閑無「反抗期が終わったら大人なんだってテレビで言ってた」


杏果「閑無の場合は大人ぶってるだけだけどねー」


閑無「う、うるさいな！」


慕「じゃあ私は大人になれないの……？」


閑無「おじさんの嫌がることをすれば反抗したことになるんじゃねーの？」


慕「頑張ってみる……」


杏果「閑無のいうことはあんまり真に受けない方がいいと思うけどねー」


閑無「うっさい！」

慕「おじさんが嫌がることってなんだろう……」


慕「とりあえず嫌いなものでも作ればいいのかな……？」


慕「たしかおじさんはトマトが嫌いだから……」


慕「うん、今日の晩ご飯はトマトづくしにしよう！」


慕「こうすればおじさんも嫌がってくれるよね……？」


慕「そうと決まったら買い物に行かなくっちゃ！」


慕「大人になるために頑張って作るぞ！」

慕「というわけで今夜はトマトづくしです」


耕介「なにがというわけだよ！？」


慕「今日はトマトが安くて買いすぎちゃったから……」


耕介「だけど俺がトマト嫌いだって知ってるよな？」


慕「う、うっかり忘れてて……」


耕介「ふうん……？」


慕「と、とにかく食べないと冷めちゃうよ！」


耕介「かなり拒絶反応を示してるんだが……」


慕「おじさんのためを思って作ったのに食べてくれないの……？」ｳﾙｳﾙ


耕介「た、食べればいいんだろ！？」


慕「うん！」


耕介「い、いただきます……」


慕「いただきます」

慕「おいしい？」


耕介「あ、ああ……」


慕「嫌なら残しても……」


耕介「そ、そんなことするわけないだろ！？」


慕「じゃあ食べてくれる……？」


耕介「わ、分かったよ……」


慕「うん、頑張ってね！」


耕介「お、おう……」

慕「なんとかおじさんは食べてくれたな」


慕「でもかなりいやそうな顔をしてたけど……」


慕「少しはおじさんが嫌がることをできたかな……？」


慕「でもなんだかおじさんが嫌がる顔を見るのも嫌なような……」


慕「お、大人になるためだから仕方ないもん！」


慕「で、でも……」


慕「ううん……」


慕「あと閑無ちゃんがすればいいって言ってたのは……」

耕介「洗濯か？」


慕「うん！」


耕介「それにしてはいつもより量が少ないような……」


慕「おじさんのとは別々に洗濯することにしたの」


耕介「そ、そうか……」


慕「もう少しで終わるからね」


耕介「干すの手伝おうか？」


慕「うん、おねがいします」


耕介「はいよー」

慕「おじさん嫌がってないかな……？」


慕「で、でも私が大人になるためだし……」


慕「だけどおじさんに嫌われたくないし……」


慕「おじさんに嫌われたら私……」


慕「ど、どうすればいいか閑無ちゃんに相談してみよう……」


慕「きっと閑無ちゃんならいいアイディアをくれるよね……？」


慕「今日はもう寝ちゃおう……」

慕「かんなちゃん」


閑無「んー？」


慕「昨日言われた通りにしてみたんだけど……」


閑無「どーだったよ？」


慕「たしかにおじさんは嫌がってたんだけど……」


閑無「だけど？」


慕「悪いことしたなーって気持ちになって……」


閑無「それが大人への第一歩だよ」


慕「そうかなあ……」


閑無「もう少し続けてみればいいんじゃねーの？」


慕「う、うん……」

それから一週間ぐらい閑無ちゃんの言う通りにしてみた……


最初こそ不思議に思ってたおじさんだけど今はそうでもない


むしろ意図的に避けられてるような……


その度に私の心は痛くなって……


大人になるのがこんなに辛いとは思わなかった……


おじさんにごめんなさいすれば許してくれるかな……？


それとももう私のことは嫌いになっちゃったのかな……


どうすればいいんだろう……

耕介「よ」


瞬斗「らっしゃい」


瞬斗「ってリチャードソンかよ」


耕介「だから本名で呼べよ……」


瞬斗「おまえって名前あったの？」


耕介「こーすけだよ！」


瞬斗「相変わらず地味な名前だな」


耕介「ほっとけ」

瞬斗「それで今日はどうしたんだ？」


耕介「最近姪の様子がおかしくてよ」


瞬斗「ほう？」


耕介「無理矢理俺が嫌がりそうなことをしててさ……」


瞬斗「ちなみにこーすけが嫌がることって？」


耕介「ぜってー教えねー」


瞬斗「それって反抗期なんじゃねーの？」


耕介「反抗期？」

瞬斗「それくらいの子なら親離れする頃だろ？」


耕介「ということは俺から親離れしようと？」


瞬斗「多分そうなんだろ」


耕介「じゃあなんであいつは悲しそうな顔をしてるんだ？」


瞬斗「え？」


耕介「なんかすっげー申しわけなさそうな顔しててよ……」


瞬斗「ふーん……」


耕介「なんかいい方法ないか？」


瞬斗「話してみればいいんじゃねーの？」


耕介「そうしてみるよ」


耕介「サンキューな」


瞬斗「おう」

耕介「慕、ちょっといいか？」


慕「な、なに……？」


耕介「少し話さないか？」


慕「わ、私は特に……」


耕介「最近学校でなにかあったか？」


慕「ふぇ！？な、なにもないよ！」


耕介「図星か……怒らねーから話してみ？」


慕「う、うん……」

耕介「つまり大人になりたくてこんなことしてたと？」


慕「うん……」


耕介「最近元気がなかったのは俺に嫌われるんじゃねーか心配だったからと？」


慕「うん……」


耕介「なあ、慕？」


慕「な、なに……？」


耕介「俺のこと嫌いか？」


慕「そ、そんなことないよ！？」

耕介「俺は親としては未熟だけど無理に離れる必要なんてねーんじゃねーの？」


慕「え？」


耕介「俺は慕のこと嫌いじゃねーし慕も俺のこと嫌いじゃねーんだろ？」


慕「う、うん……」


耕介「だったら無理に親離れする必要はねーよ」


慕「そうなの？」


耕介「それぞれのやり方があっていいと思うけど慕はどう思う？」


慕「……そう思う」


耕介「だったら今まで仲良くやって行かないか？」


慕「うん！よろしくおねがいいたします！」


耕介「ああ、こちらこそよろしくな！」


慕「じゃあ今夜はおじさんの好きなものを作るね」


耕介「久しぶりに美味しいものを食べられそうだ……」

慕「かんなちゃーん」


閑無「どうかした？」


慕「おじさんと仲直りしたの！」


閑無「え？」


慕「おじさんと今までみたいに仲良くやってくことにしたの」


閑無「そう……」


慕「だから私には反抗期はいらないかな」


閑無「あんたにはその方がいいと思うわ」


慕「じゃあかんなちゃんも仲直りしたほうがいいよね？」


閑無「そ、それとこれとは別問題だろ！？」


慕「そうなの？」


閑無「そうなの！」


慕「そうなんだ」


杏果「閑無も素直じゃないなー」


閑無「うっさい！」



カンッ

読んでくださった方ありがとうございました

また、先週末にはスレ立ての予定だったのが遅くなったことをお詫びします

ありがとうございました

乙
リチャードソンいいやつ
脇役に周藤が出てきたのも嬉しい

乙
トマトは身体にいいから食べられるようになったほうがいいと思う

乙乙
反抗期がんばっちゃう慕ちゃんかわいい

乙
ほっこりした。

乙です

乙です。
ほのぼのSSって滅多に見かけないからナイスだし。
>>1の書くシノリチャはキャラが生き生きしてて、とても良いし。

たくさんのレスありがとうございました

>>22
耕介が気軽に相談できそうな友人キャラが瞬斗でした
なので原案の段階から出そうと思っていました

>>23
たしかにトマトは美味しいし栄養満点ですもんね

>>24
背伸びしたくなる年頃なんでしょうね

>>25
ありがとうございます

>>27
>>1は基本的にほのぼのしか書けません
また、キャラのことを褒められたのは初めてです
最高の褒め言葉をありがとうございます


またなにか書く機会があれば読んでいただけると幸いです

ありがとうございました