少女 「聞いて聞いてドラゴン!」 竜 「……む?」(372)

少女 「やっと火が出せるようになったの!」

竜 「ほう、我が直々に特訓した甲斐あったというわけか」

少女 「特訓って……炎吐いただけじゃない!」

竜 「むう、だが魔力と魔法の感覚は実物を見て掴めたのではないか?」

少女 「……それは、そうだけど……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371216865

少女「今のはメラゾーマではない・・・メラだ・・・」

少女 「それにしても……」

少女 「お花ばっかりのところで炎を吐いてもお花に炎が燃え移らないなんて、不思議だよね」

竜 「ああ、それはだな……」

竜 「大樹が一本、我と少女の後ろにそびえ立っているだろう?」

少女 「え? うん、大きいよね、これ」

少女 「日光だって遮っちゃうよね」

竜 「……我が言いたいことはそういうことではないのだが」

少女 「うん、だって別にどうだっていいもの、そんなこと」

竜 「そう、なのか……」

竜 「……やはり見かけ通りの子供だな、少女は」

少女 「むむ、子どもじゃなもん、もう7歳だもん、十分お姉さんできるもん」

竜 「……いや、まだ産まれてから7つなど、幼すぎる」

竜 「我から見れば赤子も同然だ」

少女 「……ドラゴンから見たら、みんなそうなんだろうね……」

竜 「ククク、……それはそうとだな……」

少女 「あ、忘れてた!」

少女 「それじゃ、見ててね……」

少女 「ちちんぷいぷいの……えい!」 メラメラ

竜 (ちちんぷいぷい……必要なのか?)

竜 「ほう、ヒトの手のひらほどの大きさの炎か」

少女 「ね、ね、凄いでしょ?」

竜 「我に比べれば、まだまだだろうな」

竜 「……だが、修練の期間を思えば大したものだ」

少女 「ほんと!? ありがと!」 ニッコリ

竜 「礼を言う暇があるなら、修練を重ねることだ」 ナデナデ

少女 「えへへ、温かい、硬いけど柔らかい、落ち着く……」 ポワワーン

竜 「……そうか」

少女 「ね、ね、鱗触ってもいいよね?」

竜 「……ああ、構わn」

少女 「わーい!」 サワサワ

竜 「……いつものことだが、触り過ぎると火傷するぞ……?」

少女 「大丈夫、多分」

少女 「それにしても……ドラゴンはやっぱり大きいよね」

少女 「鱗も暖かくてつるつるだし、本当にドラゴンって感じ」

竜 「ふん……我以外の竜を見たこともないだろうに」

少女 「そりゃ……写真でしか見たことないけど」

少女 「ドラゴンは悪いことをしたからみんな殺されたって、友ちゃんが言ってたっけ」

少女 「……でも、ドラゴンを見てると、本当にそうなのかな? って考えちゃう」

竜 「……さあ、どうなのだろうな」

竜 「我がお前を取って食おうとしている、そうは考えないのか?」

少女 「まさか、だって最初に会ってからもう1年になるんだよ?」

少女 「ドラゴンにその気があるなら、あたしはもうとっくに食べられてる」

竜 「ククク、丸々と肥えてから喰らうつもりかもしれんぞ?」

少女 「……え」 ササ

竜 「もちろん冗談だ」

少女 「な、なんだ……真顔で言うから焦ったよ」 ホッ

竜 「やはり、面白い奴だな」

竜 「だが……、我の表情はそうもわかりやすく変化しているのか?」

少女 「……うーん、わかりにくいけど、よく見てたらわかるy」

少女 「って、今一瞬笑ったよね!」

竜 「……なんのことだ?」

少女 「今笑った、絶対笑った!」

竜 「気のせいだろう」

少女 「それはそうとね」 ゴロン

竜 「む、なんだ?」

少女 「悪いことをしてるのはドラゴンじゃなくて魔族のほうだと思うの」

竜 「ふむ……なぜだ?」

少女 「だって、あたしたちを傷つけてるのは魔族だもん」

少女 「本当にいなくなるべきなのは、魔族のほうだよ」

竜 「……人も魔族を傷つけている」

少女 「……?」

竜 「……忘れてくれ」

少女 「……?」

竜 「そういえば魔族を滅ぼしたい、とお前は言ったわけだが……」

少女 「……言ったっけ?」

竜 「……ああ」

竜 「竜はまだ滅びていない、少女しか知らないこととはいえ、我が生きているからな」

少女 「うん」

少女 「確か、ドラゴンのことは誰にも言っちゃいけないんだよね」

竜 「ああ、よく覚えているな」

竜 「一つの種族を本当の意味滅ぼす気ならば、我のような生き残りも殺さなければならん」

竜 「きっと、難しいことだ」

少女 「……そこまで徹底しなくてもいいんじゃ?」

竜 「いや、その生き残りから一つ種族が再生するかもしれん」

少女 「……そっか」

竜 「だからだ……」

少女 「……」zzz

竜 「……眠ってしまったのか」

>>6修正
竜 「丸々と肥えてから喰らうつもりかもしれんぞ?」
→竜 「お前が丸々と肥えるまで喰らわずに取っているだけかもしれんぞ?」

これにて区切り

期待

期待

竜 (それにしても、いつみても可愛らしい寝顔だ)

竜 (そういえば、もう7つと言っていたか)

竜 (確かに初めに出会った頃よりは成長しているようにも見えるが……)

少女 「……」 zzz

竜 (いや、この娘は幼い、そして危うい)

竜 (……)

少女 「うにゃ……ドラゴン……」 zzz ペタ

竜 「……動けん」

少女 「……ふぁあああ」

竜 「……む」

少女 「あ、ドラゴン」

少女 「あたし、寝てた?」

竜 「ああ、いくらなんでも眠り過ぎではないか?」

少女 「……そんなに寝てた?」

竜 「ああ、触れても起きなかったぞ」

少女 「……触られてたなんて、まったく気付かなかった」

竜 「嫌、か?」

少女 「ううん、全然」

少女 「むしろとっても暖かい気持ちになれた気がする、夢でだけどね」

竜 「そうか……」

少女 「もしお父さんやお母さんが生きていて……」

少女 「撫でられでもしたら、さっきみたいな暖かな気持ちになれるのかな?」

竜 「暖かな気持ち、か」

少女 「ね、どう思う?」

竜 「……我には答えられん」

少女 「物知りなドラゴンにも知らないことって、あるんだね」

竜 「我のような竜という存在も、全知全能ではないということだ」

少女 「ふーん」

少女 「じゃ、そろそろ帰るね?」

竜 「……そうか」

少女 「ばいばい!」 タッタッタ

竜 (行ったか)

――ザワザワ

竜 (……寂しくはない)

竜 (嘘ではない)

竜 (だが、ああして慕われる資格は我にはないだろうがな……)

-とある街-
少女 「ああ、今日も楽しかった」

少女 (学校も休みだったし、色々あって久しぶりドラゴンとも沢山会話できた)

少女 (うん、本当に楽しかった)

少女 「……さ、帰ろう」

-少女の住む街・家-

少女 「ただいま!」

義母 「あら、お帰りなさい、少女ちゃん」

少女 「ちょっと遅くなってごめんなさい、なにか手伝うことある?」

義母 「そうねえ……、友を呼んできてくれないかしら?」

義母 「もう夕飯もできあがってるし、あとは友を呼ぶだけなのよ」

少女 「うん、わかった!」 タッタッタ


少女 「……はあ」

少女 (お母さんもお父さんも、もうこの世界には居ない)

少女 (そんなことはわかってる)

少女 (あたしを育ててくれている義母さんには感謝しなきゃいけない)

少女 (そんなこともわかってる)

少女 (言うことを聞かないと、捨てられちゃう)

少女 (それも、わかってる)

少女 (あ、暗くなっちゃいけない、ポジティブにいかないとね)

少女 「友ちゃん、入るよ?」 トントン

ここで一旦区切り

このようなssにお付き合いいただき感謝しつつ、ぼちぼちと連載していきます

支援

支援

友 「……」 zzz

少女 (ああ、机に突っ伏しちゃって、風邪引くよ……?)

少女 「おーい、起きて、友ちゃん」 ユサユサ

友 「……うーん」ムニャムニャ

友 「あ、少女さん、お帰りなさい」

少女 「うん、ただいま」

少女 「友母さんがね、ご飯できたから来て、だって」

友 「……もうそんな時間なんですね」

少女 「うん、それにしても寝過ぎだよ寝過ぎ、不健康だよ?」

友 「うう……」

少女 「ああ丸まらない丸まらない、さ、行くよ?」 ギュ

友 「え、ちょっとまt」

少女 「お腹空いてるから待てない!」 タッタッタ

友 「痛い痛い、手引っ張らないで、あ、目、目が回r」 ピュー

※義母→友母

友母 「あらら、目が回ってるじゃないの、友」

友 「お、お母さん……」 クラクラ

少女 「そんなに激しかったのかな?」

友母 「みたいねえ」

少女 「うーん、ごめん」

友 「ううっ――」

友母 「まあいいじゃない、それじゃあみんな揃ったことだし」

少女 「食べよう!」

友母 「そうね、食べましょうか」

友 「め、目がまわります――」

少女 「うん、やっぱり友母さんの料理は美味しいや」

友 「はい、美味しいです」

友母 「あらあら、煽てでもなにもでないわよ?」

友母 「それに少女ちゃん、別に私のことはお母さんって呼んでもいいのよ?

友母 「一緒に住んでるわけだし」

少女 「あはは……」

少女 (死んだお母さんのことを思い出しそうで言い辛い、なんて言ったら怒られちゃうかな?)

友 「そういえば、少女さんは今朝からどこへ?」

少女 「うーん、内緒」 ムシャムシャ

友 「少女さん、いつもわたしにそう言いますよね?」 ムッ

友 「怪しい、すごく怪しいです」

友母 「うふふ、少女ちゃんはもう秘密を持つお年頃なの?」

少女 「そーいうこと」

友 「……わかりません」 キョトン

友 「お父さん、帰ってきませんね」

友母 「いつも帰りは遅いじゃない、お父さん」

少女 「友父さんは確か……勇者達に向けた色んな装備を作ったり、直したりする仕事に就いてたんだっけ?」

友母 「ええ、そうよ」

友 「この近くの工場で働いていましたよね?」

友母 「ええ、戦争の上でしか成り立たないけれど、そこそこ儲かってるみたいだわ」

友母 「こちら側が優勢、とも聞いているわ」

友 「……戦争が終わったら、お父さんはどうなるのでしょうか?」

友母 「さあ、その時になってみないとわからないわね」

友 「……いつまで戦争は続くのでしょうか?」

少女 「……魔族をみんな殺してしまうまで、続くんじゃないかな」

友 「……ですよね」


少女 (魔族をみんな殺してしまうまで、か)

少女 (……人も魔族を傷つけてる、ってドラゴンは言ってたけど)

少女 (先に仕掛けてきたのは魔族のほうでしょ? だから魔族は悪で滅ぼさなきゃいけないんでしょ?)

少女 (少なくともあたしはそう教えられた)

少女 (なら反撃しないといけない、傷つけなきゃ傷つけられる)

少女 (それにあたしのお母さんとお父さんも、戦死したって聞いた)

少女 (勇者や僧侶として勇敢に戦って、そして散ったって)

少女 (……ごめん、ドラゴンの言ってたこと、あたしにはよくわからないや)

少女 (そんなことを考えてたらあたしが死ぬかもしれないから)

少女 (お母さんやお父さんみたいに)

友 「……少女さん、少女さん」

少女 「……へっ! な、なに?」 ビクッ

友 「よかった……、急に怖い顔をするからどうしたのかと思って」

友母 「なにか、悩み事かしら?」

少女 「ううん、なんでもない、なんでもないから!」

少女 「ご馳走様!」 タッタッタ

友 「少女さん……?」

-少女の部屋-

少女 (うーん、今日は変に悩んじゃったよ、ドラゴンのせいで)

少女 (せっかくのお休みなのに)

少女 (変に疲れちゃった、もう寝よう……)

竜が出てませんがこれにて一旦区切りです

支援

コケコッコー

少女 「ううん、あと5分……」

ダメですよ少女さん、朝ですよ、起きてください

少女 「揺らさないで、目がまわるよ……」

目がまわるも何も、目開けてないじゃないですか

少女 「言わないで……ううん、眠いからあと10分……」

……学校遅刻したらダメだから聞けません! 早く起きてください!!

少女 「だ、だからそんな激しく……、わかった、わかったから」 ムニャムニャ

友 「やっと目を開けましたね、おはようございます」

少女 「うん、おはよう……ってもう友ちゃんは着替えちゃってるんだ」

友 「もちろん、少女さんがいつも遅いんです」

少女 「ふーん、いつも通りだけどきっちりしてるね、友ちゃんは」

友 「そうですか?」

少女 「うんうん、じゃあそういうことで後5ふn」

友 「こら!」

友 「まったく……油断するとすぐこれなんですから」

少女 「あはは……、ごめんごめん」

友 「わたしはもう行きますけど、寝ちゃだめですよ?」

少女 「うーん、寝ちゃうかも」

友 「はあ……部屋から出るに出られないじゃないですか、色々と心配で」

少女 「ごめんごめん、ここにいるならベッドにも寝ころんでちょっと待ってて」

友 「今すぐ着替えるんですか?」

少女 「ふあぁぁぁ……、そういうこと」 ヌギヌギ

友 「着替えは……もう準備してあるんですね」

少女 「あたしでも簡単に取り出せるような箪笥っていいよね」

友 「……一人で着替えの用意を?」

少女 「まあ、こんなことで友母さんを頼るのも……、なんて思っちゃって

少女 「自分でできることは自分でしないと」

友 「……少女さんは偉いです」

少女 「友ちゃんのほうがよっぽど偉いと思うよ?」

友 「わたしは……お母さんに頼りっきりですし」

少女 「別に頼りきりだっていいと思うよ? 生きてるんだし」

友 「……」

少女 「ああ友ちゃん、暗くならない暗くならない」 アタフタ

―――――――――――

友母 「鞄持った?」

友 「……はい」

少女 「流石に鞄忘れたりはしないよ、友母さん」

友母 「それならいいのだけれど……」

友母 「じゃあ行ってらっしゃい、2人とも」

友 「はい、お母さん」

少女 「行ってきます」 バタン

少女 「うん、今日も気持ちのいい朝だね」

友 「少女さん、朝ごはん食べてから欠伸しなくなりましたね」

少女 「うん、なにか食べると力が湧いてくるからね」

友 「じゃああまりにお腹が空き過ぎてると……」

少女 「友ちゃんを食べちゃうかもね」 ニッコリ

友 「えっ」 ジトー

少女 「そんな引かないでって、傷つくよさすがに」

――おーい、二人ともー!

ここで一旦区切り

のんびり平和に進んでいます

少女 「この声は……少年!」

友 「確かに少年君ですね」

少年 「よっ、相変わらず仲が良さそうだな二人とも!」 タッタッタ

少女 「少年は今日も朝から元気だねぇー……」

少年 「そりゃそうだ、なんだって俺は将来の勇者長だし」

少年 「やっぱりいつでも明るくなきゃな」

少女 「はいはい」

少年 「あ、どうでもいいとか思ってるだろ!」

少女 「別に? あたしは応援してるよ」

少年 「そ、そうか?」

少女 「ウン」

少年 「……ホントか?」ジトー

友 (……わたしは空気?) ショボーン

少女 「別にどうだっていいじゃない、そんなこと」

少女 「友もそんなところでノの字書いてないで、早く行くよ?」トコトコ

友 「ああ置いてかないで!」タッタッタ

少年 「どうでもいいわけあるか!」 タッタッタ

少女 (こうして喋ってるのも楽しいけど、やっぱり……)

少女 (早くドラゴンに会いたいな)







-大樹の下-

竜 (いつものことではあるのだが……)

竜 (こうして空を仰ぎ見ていると、少女のことが心配になってならん)

竜 (話に聞く友とは健全な関係を築けているだろうか)

竜 (少年に誑かされてはいないだろうか)

竜 (いや、少年ならばまだこのような心配は無用か)

竜 (……何事もなく平穏無事な生活が送れているだろうか)

竜 (……悩みの種は尽きんな)

竜 「……グルル」

少女 「!」 ハクション

友 「風邪ですか? 少女さん」

少女 「ううん、平気」

少女 (噂でもされたのかな?)

少年 「風邪か? 少女は弱いなー」 ゲラゲラ

少女 「だから風邪じゃないって」ムッ

少年 「いやいや冗談だって、怒るなよ」 アセアセ

少女 「ならいいけど」

ザワザワ ザワザワ

少女 「あ、学校が見えてきた」

少女 「みんなぼちぼち登校してきてるみたいだね」

友 「わたしたちはみんな別々のクラスですし、一旦お別れですね」

少年 「そういやそうだ、俺は立派な勇者長になってみせるぜ!」

少女 「この街の魔法使いをまとめる魔法使いの長……うん、疲れそうだからやめとこう」

友 「僧侶の長……柄じゃないです」

少女 「……そういえば、明日から夏休みだったね」

友 「……あ、言われてみれば」

少年 「そういやそうだ」

――あたしのいるクラスは魔法使いに向いている子が集まるクラス

この学校を卒業すると勇者のクラスなら勇者に、僧侶のクラスなら僧侶に、あたしのクラスは魔法使いにならなきゃいけない

そして平和のために魔族と戦ったりしないといけないんだって

あたしの学校生活は悩み事もあるにはあるけど、話し相手もいてそれなりに充実してる

でも友や少年はあたしよりも数倍楽しく学校生活を送れてるみたい

二人とも仲のいい友達が学校にもいるみたいだし、ちょっと羨ましく思う

教室で先生の言う夏休みの注意を聞き流しながら、あたしは頭の中でぼんやりと火をイメージしてみる

その火はほかの子よりも小さくて、形もちょっといびつ

ドラゴンは褒めてくれたけど、やっぱりドラゴンのあの綺麗な炎にはとても届かない

……また今度練習しよ

-放課後-

少女 「……さっき考えてたんだけどね」

友 「なんですか?」

少年 「またなんか面倒な話か?」

少女 「聞きたくなきゃ聞かなくてもいいけど」

少女 「あたしって魔法の才能あるのかなって」

少年・友 「……才能?」キョトン

友 「そんなの、今気にする必要があるんですか?」

少年 「そんなの努力次第でどうとでもなるだろ、考えるだけ無駄無駄」

少女 「そうなのかな、でも少年みたいな剣術ならそれでも大丈夫なんだろうけど」

少女 「そういえば友ちゃん」

友 「なんですか?」

少女 「友ちゃんって回復魔法が上手なんだよね」

友 「……確かによく言われます、実感わきませんけど」

少年 「回復魔法の腕は僧侶のクラスで上から数えたほうが早いんだろ? なら十分すごいじゃんか」

友 「どうでしょう、僧侶としてはまだまだですし」

友 「回復魔法なんて学校で習ったような術式を唱えながらぼんやりと癒しをイメージしてるだけで使えちゃいますし」

友 「回復魔法が上手なんて褒められても、どうしても実感が湧かないんですよね」

少女 「……イメージだけでそこまでなんて、普通ありえないよ、普通」

少年 「ああ、俺もイメージだけでそんなにうまくいきゃ苦労しないよ」

友 「うーん……」

少女 (よく言えば天然なのかな、友ちゃんって)

少女 「じゃ、あたしは寄り道してから帰るよ」

友 「わたしは連れてってくれないんですか?」

少年 「いつものことなんだけどな」

少女 「こればっかりはね、ごめん」

友 「気にしませんよ、もう慣れちゃいましたし」

友 「でも変な事件に巻き込まれたりしないでくださいね?」

少女 「うん、気を付ける」

少年 「少女は心配するだけ無駄じゃないのか?」

少女 「……あたしって一体」

少女 「まあいいや、それじゃ!」 タッタッタ

今日はここまで

こつこつと連載

乙でした

-大樹-

少女「ドーラゴン♪」 ギュ

竜 「……なにか悩み事か?」 ナデナデ

少女 「……ドラゴンって実はエスパー?」 ジー

竜 「……少女がそうして我に甘える時はいつもそうであろう」

少女 「……そうだっけ?」

竜 「見ていればわかることだ」

少女 「そうなんだ、じゃ、聞いてもらおっかな」

竜 「……自分は落ちこぼれなのではないか、か」

少女 「うん」 スワリ

少女 「友ちゃんは回復魔法に関しては誰が見ても認める天才だし」

少女 「少年だってほんの少し特訓するだけで剣がすごく上手くなってく」

少女 「……でもあたしはだめ」

少女 「どれだけ頑張っても、二人には魔法や剣じゃとても届かない」

少女 「二人みたいな才能は、あたしにはない」

竜 「……ほかの才能を見つけてはダメなのか?」

少女 「だって、学校のみんなや先生は魔法や剣の腕しかちゃんと見てないし認めてくれないんだもん」

少女 「将来魔族と戦うためとかなんとか言ってね」

竜 「ふむ……」

少女 「あたしは魔法の扱いが上手いとは言えないし、剣も下手」

少女 「だからあたしはただの落ちこぼれでいらない子」


竜 「……もし本当に少女のことを誰も認めぬのならば、我が認めよう」

少女 「……?」

竜 「少女は努力を続けているのだろう? 少しでもその二人に近づくために」

少女 「……うん」

竜 「なら少女が貶されることはない」

竜 「もし心なきニンゲンがそのような下らない理由で少女を貶すとしても」

竜 「少女の努力を知る我はいつでも少女の味方だ」

少女 「……」

少女 (ドラゴンは励まそうとしてくれてるんだよね、あたしのことを)

少女 (根本的な解決にはなってないけど……、いいよね? ちょっとだけ甘えたって)

少女 「ありがとドラゴン、ちょっとは気が楽になったよ」 ニッコリ

竜 「ならば、なによりだ」

竜 (しかしこの娘を悪く言うニンゲンがいるのか)

竜 (ニンゲンと言うのはつくづく……)

竜 「……グルル」

少女 「ちょっと、怖い顔になってるよドラゴン」

短めながらここで区切り

竜 「少女よ」

少女 「うん?」

竜 「その首からぶら下げているペンダント、我によく見せてくれ」

少女 「ああ、これのこと?」 チャラン

竜 「竜が描かれたペンダント……大切にしているようだな」

少女 「まあね、なにせお母さんの形見だし」

少女 「それにあたしにとってのお守り代わりだから」

竜 「そうか……」

少女 「でも、お母さんが嫌われてた理由でもあるんだよね、これって」

少女 「竜のペンダントをいつも身につけてただけで嫌われて」

少女 「で、竜は悪じゃないなんて人前で言ったら悪者扱い」

少女 「おかしいよね、お母さんはなにも間違ったこと言ってないのに」

少女 「だれも竜と会ったり話したりしたことがないくせに」

竜 「……少女はやはり竜を信じるのだな」

少女 「うん、だってお話に出てくる竜はあくまでもお話の中の竜だから」

少女 「こうして会って話してるのに、そんな嘘っぽい話を信じるなんておかしな話でしょ?」

竜 「……やはり面白い娘だ」

少女 「昔話の一つでもしてくれたら、もっと信じられるのになー」 チラ

竜 「まだ少女には早い話だ」

少女 「えー」 プクー

竜 「……ところでだ、それを身につけている少女は大丈夫なのか」

少女 「あたしは大丈夫」

少女 「友ちゃんと一緒にいたらなにも言われないからね」 ニッコリ

竜 「友といれば、か……」 グルル

少女 「うん、だからドラゴンは傷を癒すことを考えててよ」

竜 「少女に心配されるような目立つ傷は癒えたはずだが」

少女 「それでもまだダメだよ、また傷口が開いちゃうかもしれないでしょ?」

少女 「それに、ドラゴンがあたしたちの街に来ちゃったら色々ややこしいことになるでしょ?」

竜 「……」

少女 「大丈夫だって、あたしはドラゴンとこうして話せてるだけでも幸せだし」

少女 「みんながいればいろんな悪口にだって負けないから、ね?」

竜 「……人にしてはやはり強いな、少女は」

少女 「とーぜん!」 ブイ

少女 「それに、もしドラゴンが無理して死んじゃったりでもしたら、あたし、嫌だよ……?」

竜 「……我を誰だと思っている」ギロ

竜 「我は竜だ、故にそう簡単にくたばりはせん」

少女 「さっすがドラゴン、自信大ありって感じだね」

竜 「……もう時間ではないか?」

少女 「あ、そうだった、じゃあまたね!」タッタッタ







竜 (……やはり少女は我を慕うのか……)

――ザワザワ

竜 (……それは少なくとも、今の少女には必要のない話だ)

ここで区切り

面白かろうとなかろうとこつこつと積み重ねる

乙でした

今のところ「灼眼のシャナ」で脳内再生されてる

やはり……ロリコンか

俺得スレ発見

-友の家-

少女 「魔物を見に行こう?」キョトン

友 「はい、教科書でしか見たことがない魔物を見に行かないかって、少年君に誘われまして」

友 「本物の魔物を見ることができるいい機会と思いますし、少女さんも一緒にどうです?」 ニッコリ

少女 「……あたしたちだけで見に行くつもりなの?」

友 「いえ、少年君のお姉さんも一緒です」

少女 「あのお姉さんが一緒なんだ……なら安心かも」

少女 「でも、別にそんなことに命を賭けなくてもいいんじゃ?」

友 「まあそれもそうですけどね、でもせっかくのお誘いですし」

友 「でも実をいうと一人で行くのはちょっと心細くて、少女さんがいると心強いんです」

少女 「ふーん……」

少女 「どうせ暇だしいいよ、付き合う」

友 「やった! ありがとうございます!」 ギュ

少女 「別にそんなに手を握らなくても……」 アセアセ

-街の広場-

少女 「ここで待ち合わせ?」

友 「らしいですよ? なんでも準備があるとかなんとか」

少女 「ふーん」





「あの子たち、仲が良さそうねぇ」

「ほんと、微笑ましい」

「でもよく見て見ると、あのペンダント、あのブロンドの髪……」

「片方は少女ちゃんじゃない?」

「言われてみれば、竜の子じゃない」

「ほんと、竜を崇めてた女さんの娘じゃないの」

「髪色といいペンダントといい、気味が悪いわねぇ」

「ほんと、昔人々を脅かしたっていう竜を崇めてるだなんてどんな神経をしてるのやら」

少女 「……」 イラ

友 「あんな人たちなんて放っておきましょうよ、少女さん」 ムカ

少女 「あたしは人間なんだけどね……」 ハァ





「あんた達、あの子たちに何か用?」

「……用事なんてありましたか? 奥様」

「いえいえ、めっそうもない」

「そう、ならとっとと失せなさい、不愉快よ」



少女 「この声ってもしかして」

少年姉(以下姉) 「少女ちゃんと友ちゃん……だったわね」

少年 「よう、来てくれたんだな二人とも!」

友 「あ、少年君とお姉さん、こんにちわ」

少女 「こんにちわお姉さん、やっぱり少年に似てないね」

姉 「……一言余計よ、少女ちゃん」

少女 「……余計?」

少年 「おーい少女、俺を忘れてないか?」

少女 「ううん、そんなことないよ、多分」

少年 「多分なのかよ……」

少女「……ところで、今日はなんでまたこんな話に?」

姉 「ああ、そのことね」

姉 「私が上からの命令でこの付近に潜伏中らしい魔物を討伐することになった」

姉 「そう少年に言ったら自分もついてくるなんて言い出した、それだけ」

姉 「でもまさか友ちゃんと少女ちゃんまで巻き込んでくるとは思ってなかったわ……」 ハァ

少年 「いいだろ? だって見て見たかったんだしさ、魔物」

少年 「で、どうせ見るなら、俺の家の近くに住んでる二人を呼ぼうって思いついてな」

少女 「……なるほどね」 ハァ

姉 「話に聞く洞窟に潜伏している魔物はさほど強力な個体ではないらしいわ」

姉「だから別についてくるっていうなら止めない」

姉 「でもそれでもあなたたちには荷の重い相手」

姉 「だから死にたくないなら極力私の傍から離れないこと」

少女 「……まあ魔物と対峙するわけだし、あたりまえだね」

友 「でも、大丈夫でしょうか……」

姉 「この前見せてもらった友ちゃんの回復魔法、大したものじゃない」

姉 「あの魔法があるなら多少傷ついても大丈夫、自信を持ちなさい?」 ニッコリ

友 「は、はい……」

姉 「……このあたりかしら」 ガサゴソ

少年 「っと、あれが入口じゃないか?」

少女 「あ、言われてみればそれっぽいね」

友 「行ってみましょう?」 タッタッタ





姉 「地図は……これね」

姉 「入口も……あってるわね」

姉 「……でも私を置いていくなんて」 タッタッタ

姉 (自殺願望でもあるのか、それともただ無鉄砲なだけなのか……)

-洞窟内部-

少女 「幽霊でも出てきそうなぐらい暗いね……」 ボワ

少年 「ゆ、幽霊か……」 ブル

友 「少年さんって、実は幽霊がお嫌いですか?」

少年 「そ、そんなわけないだろ!?」

少年 「な、なんたって俺は姉ちゃんみたいな立派な勇者長になるおとk」

少女 「ヒュードロドロドロ……」 ピチャ

少年 「ギャアア!」 ガク




少女 「後ろから回り込んで肩に手を置いただけなんだけどね」

少女 「意外な弱点発見と」 クス

少年 「しっかし便利だな、その炎」 ジー

少女 「復活早いね少年」

友 「確かに……、ランタンいらずですね」

少女 「まあね、言っても上には上がいるわけだけど」

少女 「もっと感覚的に魔法が使えるようになりたいよ、ほんと」

少女 「ところで、お姉さん置いてきてよかったの?」

友 「……よくなかったと思いますよ」

少年 「大体姉ちゃんに釘を刺されてたしな、さっき」

少女 「だよね、これでもし魔物に見つかったりなんかしたら」



「……声が、声がするぞ」

「な、まさかニンゲンか?」

少女 「……声が聞こえたよね、いま」 ヒソヒソ シュワー

友 「……魔物でしょうか?」 ヒソヒソ

少年 「ニンゲンって言ってたってことは人じゃないだろ」ヒソヒソ

少女 「うん、少年の言う通りだと思うよ」

少女 「……それにしても、火を消すと途端に暗くなるね」

――カタン、カタン

ゴブリンA 「……いないな」

ゴブリンB 「気のせいじゃないのか?」

ゴブリンA 「ああ……俺は疲れているんだろう、きっと」

ゴブリンB 「寝たらどうだ?」

ゴブリンA 「いや、大丈夫だ」

ゴブリンB 「そうか、でも気を付けろよ?」

ゴブリンA 「ああ、なんたって俺たちは魔界じゃなくてニンゲン界にいるんだ」

――カタン、カタン

少女「大きな岩のお陰でやり過ごせたみたいだね……」

少年 「しかしなんたってあの魔物達はこんな洞窟の中に?」

少女 「さあ? 少数で来たって見つかって殺されるのがオチなのにね」


少女 (見つかった理由……誰かが洞窟の中を探索したのかな)

少女(それともなにか裏があるのかな)

少女 (あの魔物達も人の言葉を話してるし)

少女 「……うーん」




「誰だ!」

少女・友・少年 「!」

ゴブリンA 「……ニンゲンの餓鬼じゃないか?」

ゴブリンB 「らしいな、なんだってこんなところにニンゲンの餓鬼が紛れてやがる?」

少女 「……」ゴクリ

友 「見つかったみたいですね……」

少年 「下がってろ!」シャキン

ゴブリンA 「俺に剣を向けたか、餓鬼にしちゃ威勢がいいじゃねえか」ブオン

ゴブリンB 「威勢が良かれ悪かれ、目撃者は消してしまわないとな」 ゲラゲラ

少女 「あの金棒痛そうだね……ガンバレ少年!」

友 「後ろのほうから応援してます!」

少年 「カッコつけるんじゃなかった」 ポカン

ゴブリンA 「余所見してる余裕があるたあな!」 ブオン

少年 「うおッ!」ヒラ

少女 「すごい破壊力だね……」 ポカン

友 「あんなの受けたら一たまりもありませんよね、絶対」

少女 「……もういっそ逃げちゃう?」

友 「そうしたいのはやまやまですけど……」 ツンツン

少女 「……?」

ゴブリンB 「……」 ジー

少女 「視線を感じる気がするのは気のせいだよね」

友 「纏わりつくような気持ち悪い視線を感じる気がするのはきっと気のせいですよね」

少女 「気のせいのはずなのに、なんであたしたちは動けないんだろ」



少年 「やったな! 喰らえ!」 スパッ

ゴブリンA 「無駄無駄!」 カキン

少年 「弾かれた!?」

少女 「あの金棒をああも自由自在に扱えるなんて……さぞ力持ちなんだろうね」

友 「恐ろしい相手ですね……」

友 (でも、こうして魔物と戦う少年君は、ちょっとカッコいいかも)

少女 「下手に見とれてたら死んじゃうかもよ、友ちゃん」

少女 「あの魔物さんがいつ襲ってくるかもわからないんだしね」

ゴブリンB 「……」 ジー

少年 「も、もう限界……」ゼエゼエ

ゴブリンA 「遊びは終わりだな」 ブオン

少年 「アガッッ!」

少女 「少年ッ!」



魔物が手に持っていた金棒の一振りが、相手に隙を晒した少年を壁に叩きつけた

……すっごく痛そう

ゴブリンB 「さてと、次はこいつらだな……」

――少年の心配をする暇もなく、魔物があたしたちに近づいてくる

逃げなきゃやられるのはわかってる、けど足が竦んじゃって動けない

何だかんだであたしはあの魔物が恐いみたい、何が恐いのかはよくわからないけど恐いみたい

友ちゃんも動けないみたい、二人そろって情けない話だよね

はあ、どうしてこんな馬鹿げたことに付き合っちゃったんだろ……

空腹のため一旦区切り

間隔が空いても連載中

俺が代わりに食ってやるから続きはよ

1乙。

ゴブリンB 「さて……」

ある意味魔物らしい緑色の手があたしの頬に触れた

ひんやりとしていて気持ち悪い、吐きそう

ゴブリンB 「綺麗で汚れのないニンゲンだな……」

なんか言ってる、これって変態って奴だよね

ゴブリンB 「そんな純白なニンゲンを俺の手で穢して、黒く染め上げてボロボロにできるとは……」

今すぐ叫びたい、逃げ出したい、でもあたしよりも強大なそれが恐ろしくて声がでない

魔物が傷ついてる? それよりも先にあたしが傷つけられそうなんだけど

うう、ドラゴン………

ゴブリンB 「さて……フフフ」

頬に置かれた緑色の指があたしを撫でまわしてる……

あたしが動けないのをいいことに、吐きそう

ゴブリンB 「お前も一緒にどうだ?」

ゴブリンA 「いや、俺はあの餓鬼を始末しなきゃならんからな」

気持ち悪い、気持ち悪い、キモチワルイ

いや、やめて

やめないなら燃え尽きて、灰になれ


――プツン

ゴブリンB 「な、手が燃えてる!?」

ゴブリンA 「んだと!?」

ゴブリンB 「熱い、熱いィィィィィ、やめろ、やめろッ!!!!」

ゴブリンA 「な……」

友 「魔物が燃えていく……!?」

少女 「……」 フラフラ

ゴブリンA 「あいつのあの鎧ごと燃やせるだけの力だと……!?」

ゴブリンA 「あの餓鬼か……!」

「余所見してる暇なんてあるのかしら?」

ゴブリンA 「誰d―――」

姉 「やあ」 ニヤリ

―――グサリ

姉 「少女ちゃんは……衣服が乱れてるみたいだけど、一応命は無事みたいね」

少女 「……おねえ、さん?」 ゼエゼエ

姉 「少年の馬鹿は……」

少年 「……」 チーン

姉 「……友ちゃん、あの馬鹿の治療、お願いできるかしら?」

友 「は、はい」 タッタッタ


少女ちゃん黒い

乙でした

………

姉 「 私より後ろに居なさい、そう言ったはずなのだけれど」ハァ

少年 「……」 ボー

友 「ご、ごめんなさい」

少女 「……」 ブルブル

姉 「……過ぎたことは仕方ない、か」

姉 「今日はもういいわ、貴方たちは生きてるのだから」

姉 「二人とも、怖かったでしょう」

友 「……怖かったです」

友 「でも、なぜかあまり嫌な気がしませんでした」

姉 「友ちゃんは運がよかったのよ、魔物達は少女ちゃんを狙ったみたいだから」

姉 「嫌な気にならなかったのも、そういうことなのでしょうね」


少女 「……あたしは平気だったよ? ちょっと気持ち悪かったけど恐くなんてなかった!」 ニッコリ

姉 「……無理、してるでしょう」

少女 「してないよ?」 キョトン

姉 「……そう、無理に問い詰めたりはしないわ」

姉 「……少女ちゃん、あれだけの魔法を使った後だけど、動けるかしら?」

少女 「う、うん、ちょっと体が重く感じるけどね」

姉 「……そう、ところで」

姉 「少女ちゃん、あんな高位の炎魔法をいつ使えるようになったのかしら?」

姉 (そう、あれはまるで竜の炎)

少女 「……実はあたしもびっくりしてる」

少女 「だってあの魔物を灰にしたいって、強く思ったら突然あんな炎が出せたんだもん」

姉 「そう……」

姉 (少女ちゃんもよく知らないみたいね……、鵜呑みにするとしたらだけど)

姉 「少年、いつまでもぼんやりしない」パン

少年 「痛ッ!」

少年 「いや、俺だって頑張ったんだぜ?」

姉 「でも結果として守れてないでしょう? あの子たちを」

少年 「うッ」 グサッ

姉 「そんな甘い考えで勇者長なんて目指さないことね、死ぬだけよ」

少年 「あ、ああ……」

少年 (今日の姉ちゃん、なんかこええよ)

「……ふあぁぁぁぁ」

少女 「……女の子の声?」 フラフラ

姉 「人間か、それとも魔物か……」

友 「どちらにしても行ってみましょう?」

少年 「お、おう、そうだな……」

姉 「油断しちゃだめよ、可愛らしい声で人をおびき寄せて食べるような魔物かもしれないから」

少女 「なんだか急に明るくなったね」

姉 「そこら中に火の玉が浮いてるからでしょ」 キョロキョロ

少年 「でも、なんだってここは火の玉が浮いてるんだ?」

友 「なにかあるんでしょうね、そのなにかまではわかりませんけど……」

?? 「う、ううん……」zzz

友 「わたしたちよりも一回りぐらい小さな女の子、ですか……?」

少女 「赤い目に白い髪、目立たないぐらいの小さな角で布きれみたいな地味な服の女の子……」

少年 「……可愛い」

友 「えっ?」

少年 「……ゴホン、角が生えてるってことは魔族か?」

姉 「ええ、悪魔でしょうね、それも高位の」

少年 「……殺すのか?」

姉 「生かしておくと後でヒトに牙を剥くかもしれないわ」 チャキ

少年 「で、でもよ……」

?? 「……だれ?」ゴシゴシ

姉 「だれでもいいでしょ?」

?? 「ころす気、なの……?」 ビュン

姉 (結界……?)

姉 「……刃が通らない、か」

?? 「……?」

少女 「結界に弾かれてた?」

姉 「みたいね」

姉 「……あなたは一体?」

?? 「……しらない」

姉 「あなたは悪魔なの?」

?? 「……あくま? しらない」

姉 「……弱ったわね」

少女 (うーん、なにかいい方法、ないのかな)

少女 (この子を殺さないで、ヒトの脅威にもさせない方法)

少女 (流石に小さな子が死ぬところを見るのはちょっとあれだし……、あ)

少女 「……この子を信じるなら、あたしにいい考えがあるよ」

姉 「……聞かせて頂戴」

少女 「……みたいな風にしたらいいと思うよ?」

姉 「この子に人間の教育を受けさせて、人間たちの役に立たせるね……」

姉 「本当にこの子が無知ということが前提だけど、それも手か」

友 「結界魔法を見て、ですか?」

姉 「ええ、あの力は味方につけれることができるなら心強いわ」

姉 「それに、私の力じゃどうやっても殺せないみたいだし、どちらにしても連れ帰る必要がある」

姉 「いいわ、勇者長として街にかけ合ってみましょう」

少年 「さっすが姉ちゃん!」

友 「ちょっと安心しました」 ホッ

姉 「あなたは……そうね、幼女とでも名乗りなさい」

幼女 「よう……じょ?」

姉 「ええ、幼女」

幼女 「ようじょ……うん」

少女 「じゃ、一段落したみたいだし、帰ろうか」

友 「そうですね」











友 (……なぜでしょう、この場所がほんの少し懐かしい気がします)

友 (来たことなんてないはずなのに)

――その後は特に何事もなく、あたしたちは洞窟を後にした

幼女ちゃんはお姉さんがうまく魔法学校や街の人たちを説得して、晴れてこの街の住人になった

もちろん最初はみんないい顔をしなかったけど、幼女ちゃんの可愛さに惹かれたのか、

それともお姉さんが脅したのか、街は次第に幼女ちゃんを受け入れる体制を整っていった

幼女ちゃんは監視も兼ねてお姉さんの家で育てられるみたい

あたしも時々遊びに行ってみようかなって思う

でも、大丈夫なのかな?

人間のあたしですら、この街にちゃんと馴染めてないのに

これにて区切り

基本ほのぼの時々シリアスめいたなにか

乙、ドラゴンに悲劇が起きませんように

ドラゴンなら幼女の種族も分かるだろうけど
会わせられないよなぁ……口に戸は立てられないもの

-大樹の下-

少女 「ドラゴン」 ヒョッコリ

竜 「……む、少女か」 グルル

少女 「……もしかして寝てた?」ジィー

竜 「目を閉じていただけだ」グル

少女 「あたしが来てから体起こしてたよね」

竜 「少し横になっていただけだ」

少女 「……それって寝てたんだよね」

竜 「意識は保っていた」

少女 「ほんとに?」

竜 「そうでなければ少女の呼びかけにも応じられんだろう」

少女 「それもそう……なのかな?」

少女 「それはそうとね」

竜 「どうした?」

少女 「今日はお弁当持ってきたの」

竜 「……ほう」

少女 「食べるよね? 食べるよね?」

竜 「……どういう風の吹き回しだ?」

少女 「いやだなあ、あたしなりの感謝の気持ちだって」 アセアセ

竜 「……そうか、ならいただこう」

少女 「やった!」 ガサゴソ

少女 「はい、これ」 っ弁当箱

竜 「ほう、野菜炒めに肉料理……」

竜 「……なにやら異臭がするのだが」

少女 「気のせいなんじゃないかな」 スタコラ

竜 「弁当箱を避けながらでは説得力に欠けるのではないか?」

少女 「……痛いところをつくね」

竜 「これは返そう」 っ弁当箱

少女 「ええ……、食べてくれないの?」ジィー

竜 「……いただこう」 ムシャムシャ

竜 (これは……) グルゥゥゥ

少女 「どうかな……? そのお弁当」

少女 (言えない、そのお弁当は友母さんが使い忘れて腐らせた食材だけで作っただなんて)

少女 (友母さん、あたしの料理の練習をわざわざ腐った食材でしなくてもいいと思うんだけど……)

少女 (ドラゴンもなんだか苦しそう)

少女 (さすがのドラゴンでも、あのお弁当は不味かったかな……)

竜 (いくら調理が下手だとしても、このような味を出すことができるとは思えん……)

竜 (見た目だけはまともなのだが……)








少女 「……ドラゴン?」

竜 「……弁当とは恐ろしいものなのだな」 グルルルルルル

なんだかんだで完食して

竜 「……」 グルル

少女 「……あのお弁当で体壊したりしないよね?」

竜 「我の体は人のように軟に出来てはいない」

竜 「本来は食事も必要としない」

竜 「……だが、我にも味覚はある」

少女 「……」

竜 「なぜ、このようなことをした?」 グルル

少女 「ちょっとしたいたずら心」 ニッコリ

少女 (いたずら心も半分くらいあったからね)

竜 「……我でなくともよいのではないか?」

少女 「ほかの子にしたら嫌われそうなんだもの」

竜 「我なら大丈夫というのも、どうかと思うのだが……」

竜 (こういった行為が我への信頼の裏付けであるとするならば、尚更だ)

竜 (我は人ではなく、竜だ)

竜 (人からも魔族からも狙われている身故に、ずっと傍にいて見守ってやることはできん……)

少女 「……嫌いになっちゃった?」ウルウル

竜 「このような悪戯如きで嫌いにはならん……」

竜 (ありえん話だ、だが……)

竜 「……こういったことはほどほどにしておけ」 コツン

少女 「痛ッ!」プクー

少女 「……ごめんなさい」 ペコリ

竜 「今度弁当を持ってくるときは食材を選ぶことだ」

少女 「また持ってきていいの?」 キョトン

竜 「期待している」 グルル

ほのぼのしかなくても一旦区切り

レスはすべて>>1の燃料になるようです

竜さんかわいいよ竜さん

おつ

竜のサイズはどれぐらいなんだろ

乙でした

何故そんなもの作ったんだw

燃料になるならやらんといかんな。

竜に関係する種族だからあの炎が出たのかはたまた竜から手解きを受けたからなのか

少女 「ドラゴンっていつみてもすっごく大きいよね」 ジィー

竜 「人間や魔族と比べてというならば、確かにそういえるだろうな」

少女 「うん、大人の男の人でも見上げないといけないぐらいには大きいと思うよ、ドラゴンって」

竜 「否定はせん、そしてそれは人でなく魔族と比べてもそう言える」

少女 「だよね、あたしが背伸びしてもドラゴンの首に手が届かないんだし」 ヨイショ

竜 「言いながら背伸びしようとも、届かぬものは届かん」 グルル

少女 「むむ……」 ノビ

竜 「……背伸びしたままでは疲れるのではないか?」

少女 「うん、物凄く疲れる」

少女 「だからドラゴンはいつもみたいに軽く横になっててほしいな」

少女 「首もあたしの手が届きそうなぐらいまで近づけて、ね」 ペタ

竜 「……」 グル

少女 「それはそうとね、ドラゴン」

竜 「む?」

少女 「この前ね、こんなことがあったんだ」

竜 「ほう……」





あたしはこの前の小さな探検で起きた出来事を、包み隠さずドラゴンに話した

洞窟で魔物と出会って、そして殺したことを

その時にあたしが放った炎のことを

魔族っぽいけど人にも見える女の子との出会いを

竜 「……災難だったようだな」 ナデナデ

少女 「うん、自業自得なんだけどね」 モタレ

竜 「恐ろしかったであろう」

少女 「うん、見栄張っても怖いものは怖いから、ね」 ボー

竜 「……何もされなかったのだな?」

少女 「うん、される前に焼き殺しちゃったから」

竜 「……そうか」 グル

竜 「少女よ」 グル

少女 「うん?」 コクリ

竜 「少女は以前我に見せた炎以上の炎……」

竜 「魔物を燃やせるだけの炎を放てたと言ったな」

少女 「うん、ほんといえばよく覚えてないんだけどね」 ウーン

少女 「魔物を燃やしたい、燃やさないとあたしがやられる」

少女 「みたいな感じで、あの時は生きることに必死だったから」

竜 「ふむ……」

竜 「ならば、今は放てないのだな?」

少女 「うん、多分無理だと思う」

竜 「……そうか」

少女 「やっぱり、あたしは強いほうがいい?」

竜 「……我が少女に力を求めたことが、一度でもあったか?」 グルルル

少女 「……強くなれっていったことはあるよね」 コクリ

竜 「戦う力を求めることだけが、強くなることであるはずがなかろう」 グルル

少女 「……じゃあ、ない?」ウーン

竜 「ああ……ただの人間がそういったことに時間を費やしても、成果が出るとは思えんからな」

少女 「……今さりげなく馬鹿にした?」

少女 「でも、その人間にほかの竜は殺されちゃったんだよね」

竜 「……」

少女 「それって、そんな感じで人間を甘く見てたからなんだよね」 ジィー

竜 「……それで構わん」 グルゥ

少女 「……ほかに理由があるってこと?」

竜 「今の少女にはまだ早い話だ」

少女 「むっ、またはぐらかす気でしょ」

竜 「……早いと言っている」

少女 「……意地悪」 プクー

竜 「……そうだな、我から見て少女が強くなったと思えた暁に、褒美としてこの話をしてやろう」

少女 「……」

――――

竜 「……帰るのか?」

少女 「うん、あまり遅くなると友ちゃんが心配するのとね、ちょっと整理を付けたいことがあるから」

竜 「……心配する、か」

竜 「良い友ではないか」

少女 「友ちゃんはいい子だからね、それじゃ!」 タッタッタ

竜 「……」 グルゥ

竜 (この世界における今の人と魔族の戦争、その火種こそが竜……)

竜 (……このような話を、人間でただ一人竜を支えとする、今の少女にするわけにはいかん)






――ザワザワ




竜 (それは建前で、本音は我自身が傷つきたくないだけではないか……だと?)

竜 (……ありえん、我が今さら、傷つくことを恐れているなど)

竜 (そう、ありえん)

竜 (そして魔族の子というのも、妙だ)

竜 (魔族……それも高位とあろうものが、なぜ魔界ではなく人間界にいたのだ?)

竜 (……その魔族とやら、いつの日かこの目で確かめてみたいものだ)



竜 (……そして、少女の強大な炎、ペンダント、髪色)

竜 (初めて少女に出会った時より感じていたことではあったが、もしや少女は……)

竜 「グルルゥ……」

眠いのでこれにて区切り

このssがほんの少しだけでも誰かの暇つぶしに役立てば幸いです

楽しみにしてるよー

乙乙、楽しんでるよ

面白いよ

続きまだかなー

個人的に一番完結がみたいSSである

そろそろ続きが読みたいなー('・ω・)チラチラ

少女 「……」zzz

「少女さん、起きてください、朝ですよ」

ユサユサ、ユサユサ

少女 「うーん、あと二か月……」 zzz

「……寝過ぎです!」

バシッ

-友の家・少女の部屋-

少女 「わざわざ杖で打たなくてもよくない……?」ムニャムニャ

友 「だって少女さん、揺すっても全然起きませんでしたし」ムウ

少女 「だって……夏休みなんだよ?」ファァ

少女 「いいじゃん、ずっと寝かせてくれたって……」

友 「夏休みだからこそもっとすべきことがあるんじゃないですか?」

少女 「……例えば?」

友 「宿題や魔法の練習、人助け……」

少女 「疲れそうだからお休み」

友 「寝るな!」 バシッ

友 「どうして少女さんはそう眠りたがるんですか……」

少女 「眠たいから」

友 「……夜更かしでもしてるんですか?」

少女 「ううん、そういうわけじゃないんだけどね」

友 「なら、どうして眠くなるんですか?」

少女 「睡眠時間の問題じゃないとしたら……、なんだろ」

友 「疲れてると眠たくなるって、聞いたことがありますけど……」

少女 「じゃあ多分そういうことなんだろうね」

友 「子どもは疲れを溜めこまないとも聞きましたけど」

少女 「……本当に?」

少女 「じゃ、そういうことであと二週間」 ゴロン

友 「こらっ!」

バシッッ





少女 「あたしを永眠させる気なのかな?」 ズキズキ

友 「……そんなに痛かったですか?」

少女 「……滅ぼされたって聞く竜が見えた気がした」

友 「……ごめんなさい」

少女 「……別にいいよね?」

友 「眠ることがですか?」

少女 「うん、友母さんにも別になにも言われないし」

友 「……お母さんは少女さんに甘すぎるんです!」

少女 「甘すぎる、ね……」

友 「なにが起きないなら放っておいたらですか!」

少女 「……」

友 「そういうことで、朝ごはんの時間ですからそろそろ行きましょう?」

少女 「はいはい……」

-廊下-

友 「少女さんって、昼寝からはすぐ起きてきますよね」

少女 「そうかな?」

友 「朝よりは、ですけど」

少女 「朝もそこまで遅いって自覚はないんだけどね」

友 「学校がある時は、確かにそうですけど」

少女 「うぐぐ」

少女 「友ちゃんはその逆だよね」

友 「へっ?」 キョトン

少女 「一旦お昼寝するとなかなか起きてこないし、起きてきてもどことなく寝ぼけてる」

友 「そうですか……?」

少女 「そうだよ、それこそ寝過ぎってレベル」

友 「……実感わきません」

少女 「お互い様ってわけだね」

友 「わからないからって早起きしない理由にはなりませんけどね」

少女 「うぐぐぐぐ」 グサッ

-食卓-

少女・友 「いただきます!」

友母 「元気がいいわねぇ、二人とも」

少女 「うん、異臭がしなくて美味しいや」 パクリ

友 「異臭って、なに食べたんですか……」 ジィー

友母 「この前のお弁当、結局食べちゃったの?」 キョトン

少女 「まあ、せっかく自分で作ったからね」

友 「……どういうことですか?」

少女 「実はね……」

カクカクシカジカ

友 「お弁当を作れるようになりたいからとお母さんに練習を付き合ってもらった、ですか」 フムフム

少女 「それだけならよかったんだけどね……」

友 「……お母さん、抜けてるってレベルじゃありませんよそれ」 ジトー

友母 「ごめんなさいね、気付かなかったの」 ウフフ

少女 「あたしはあの場でちゃんと言ったんだよ? これ絶対腐っt」

友母 「気づかなくてごめんなさいね?」 ニッコリ

少女 「……ま、まあそんなこともあるよね」 ブルッ

友 「……?」

少女・友 「ご馳走様!」

友母 「今日も全部食べてくれたのね」

少女 「うん、友母さんの料理はやっぱり美味しいや」

友 「ですね」

少女 「材料もまともみたいだから、なおさらそう感じるよ」 ウンウン

友 「……料理の腕だけでは補えない物もあるんですよね」

少女 「材料への感謝って、実は大事ことなんだね……」 シミジミ

少女 「よし、この料理もいつか必ず習得してみせるよ!」

友母 「あらあら」

友 「……できるんですか?」

少女 「友母さんの料理を見てたり手伝ったりしてたらなんとなく理解できるよ」

少女 「実際、簡単な料理はこれで覚えられたしね」

友 「要領がいいんですね、少女さんって」

友 「……そういうところ、羨ましいです」

少女 「そう?」 ドヤ

友母 「……」

これにて一旦区切り

毎度沢山のレスありがとうございます、燃料になります

なぜこんなに嫌味を連呼するのかww

乙でした

友 「少女さん、これからどうします?」

少女 「寝る」

友 「……いいんですか、そんな時間の使い方をして」

少女 「だって眠いの寝たいの疲れを取りたいの!」 ジタバタ

友 「寧ろ不健康じゃないですか……?」

友 「しかし、疲れですか……」 ウムム

友 「……もしかして、この前の洞窟探検の疲れがまだ残ってるんですか?」

少女 「うん、それもあるね」 コクリ

少女 「だってさ、あそこで魔物に襲われてたのって主にあたしじゃない!」 ドンッ

友 (少年君は少年君で吹きとばされてた気がしますけど……言っても無駄そうです)

友 「……あれは災難でしたね」

少女 「同情するなら寝かせてよ!」 ジタバタ

友 「同情するからこそ健康に気を使ってるんです!」 ムムッ

少女 「なんでそうなるの!」

友 「不健康な生活は心まで不健康にしそうな気がして」

少女 「……あたしってそんなに脆く見える?」

友 「脆そうには見えませんけど、むしろ強そうに見えますけど」

友 (……心はわたしよりも強そうです)

少女 「でしょ? だからおやすm」

友 「こらっ!」

ギャーギャー

友母 「あらあら……」

友母 「二人共そんなに元気なら、ちょっとお使い頼んでもいいかしら?」

少女・友 「……お使い?」

-少女の住む街-

少女 「まったくもう、なんであたしまで……」

友 「お使いさえ果たせば、後は好きなものを買えますよ?」

友 「お母さん、財布の中身を多めにしてくれてるみたいですから」

少女 「まあ、それは嬉しいけどね」

-商店街-

「おや、友ちゃんじゃないかい」

少女 「ん? 誰か近づいてくるよ?」

友 「もしかして……この前重そうな荷物を担いでたお婆さん?」

婆さん 「この前はありがとうねぇ、これはそのお礼」 コクリ

友 「クッキー……、いいんですか?」

婆さん 「いいよいいよ、貰っておくれ」 カタン、カタン

友 「ありがとうございます!」

少女 「あ、行っちゃった」

少女 「でもよかったね、友ちゃん」

友 「……別にお礼なんていいんですけどね」

少女 「いいじゃん、貰えるものは貰っとけば」

少女 「でも人助けかー、あたしもやってみようかな」

友 「……物がもらえるから、とか思ってるんでしょう?」

少女 「バレた?」

友 「バレバレですって……」 ハア

少女 「まあ、誰も疎まれ者のあたしの助けなんていらないと思うけどね」

友 「……」

少女 「あのお婆さん、あたしには見向きもしなかった」

少女 「敢えてあたしから視線を外してるようにも見えた」

友 「……そういう風には見えませんでしたけど」エッ

少女 「ああ、あたしはなんてかわいそうな子なのだろう」 シクシク

少女 「誰かこーんな見るからに惨めな子を哀れんでお菓子でも恵んでくれないかな……」チラッ

友 (……このクッキー欲しいんでしょうか?)

少女 「……」 チラッ

友 「……」

少女 「……」チラチラッ

友 「……さてと、行きましょうか」 トコトコ

少女 「そんなひどい」

友 「……退いてください、少女さん」

少女 「そんなひどい」 ササッ

友 「回り込まないでください、少女さん」

少女 「そんなひどい」

友 「……はあ、わかりました」

友 「クッキー、後であげますから退いてください」

少女 「嬉しいな、嬉しいな!」 ニコニコ

友 「変に無邪気に振る舞っても違和感しかありませんよ?」

少女 「そんなひど」

友 「もういいですから」

少女 「それにしても、いろんな店があるよね」

友 「食べ物屋さんに服屋さんに雑貨屋さん、本当になんでも揃いそうです」

少女 「戦争中ってことを忘れそうなぐらい、裕福なものだよね」

友 「……でも一歩外に出たら人が殺されているんですよね」

少女 「一歩外に出た人たちも殺されてるよ」

友 「……なんだか、冷たいですね」

少女 「興味本位で魔物を見に行こうだなんて誘った人には言われたくないよ」

友 「……あれは少年君が」

少女 「はいはい、悪いのは少年君なんだね、もういいよそれで」

友 「……」ムッ

少女 (ま、なんだかんだであたしもそんな誘いに乗ったわけだしね)

「毎度ありー!」

友 「お肉に野菜に人参に……今日はシチューでしょうか?」

少女 「みたいだね、シチューって結構好きだよ」

友 「わたしも、口当たりのいい優しい味? がするみたいで大好きです」

少女 「母性的な優しさが感じられる白い汁っていいたいんだね、わかるよ」

友 「どこか違う気がするんですが……」

少女 「気のせい気のせい」

-買い物を済ませて-

少女 「で、お金が余っちゃったわけだよ」

友 「そうなるように計算されてお金を手渡されてたみたいですけどね」 っG

少女 「友ちゃんのお陰で食材が安く買えたっていうのもあると思うけどね」

友 「わたしの……?」

少女 「普段から色んな人に親切にしてるんだってね、友ちゃん」

友 「まあ……」

少女 「だからおまけしとくって、さっきの人たちがいってたじゃん」

友 「あ……ちょっと悪い気もしますけどね……」

少女 「好意には甘えとくべきだよ」

少女 「それで、なにに使う? お釣り」

友 「そうでした……」 ウーン

少女 「もしかして、あてがない?」 ジィー

友 「可愛いらしいぬいぐるみやお洋服は……さすがに買えませんよね」

少女 「まあ、ちょっと少なすぎるよね」

友 「……うーん」

少女 「そうだ! あたしにいい考えがあるよ!」 ピコーン

-路地裏-

友 「……どうしてわたしは、治安が悪いと噂されてる裏路地にいるのでしょうか」

少女 「このあたりは比較的安全だから、心配しなくてもいいよ」

友 「本当ですか……?」

少女 「ほんとだよ、あたしって信用ないんだね」 シクシク

友 「まあ、少女さんって時々言動が嘘くさいですから」

少女 「……友ちゃんを危険な目に遭わせるわけにはいかないっていうのは、本音なんだけどね」 ポツリ

友 「なにか言いましたか?」 エッ

少女 「ううん、別に」

少女 「……まあ、奥に行き過ぎるとクスリ売りの男性がいたりするけどね」

友 「空腹でなくても夢を見てそうですね……、その男の人」

少女 「ほかの人にも夢を見せられそうだね」

友 「見せちゃダメでしょう」

少女 「ま、話しかけたことはないけどね」

友 「……ちょっと意外です」

少女 「あたしだって命は大切なの!」 ムッ!

友 「……はぁ」 トボトボ

少女 「また唐突にため息なんてついて、どうかした?」

友 「……危ないところには近づいちゃいけちゃいけないって、お母さんに言われているというのに……」 ハァ

少女 「なんだ、そんなことか」

友 「そんなことって……」

少女 「いいよ別に、あたしについてこなくても」

友 「……一人で帰るほうがよっぽど恐いです!」

少女 「そ、まあ友母さんにばれなきゃ大丈夫だって♪」

友 「……なんだか楽しそうですね」

友 「……少女さんもそういった注意を受けているんじゃないですか?」

少女 「ううん、あたしはそんな注意受けてないよ」

友 「本当ですか……?」

少女 「疑い深いなあ、ほんとだってば」

友 「……」

少女 「あ、この建物だよ」 ピタッ

友 「……なんでしょう、雑貨屋?」 キョトン

友 (それに言い知れぬ魔力を感じるような、そうでないような……)

少女 「ね、惹かれるなにかがある気がしない? この建物」 チラッ

友 「……確かに」 コクリ

少女 「じゃ、そういうわけで行ってみよう!」

友 「あ、置いてかないでください!」

キリがいいので一旦区切り

いつか新しくスレ立てして、これの続編にあたるシリアスな活劇物をを一本書く、予定

まずはこのスレをしっかりと完結させることだな

おつ

何か少女がウザイ
ウザカワイイじゃ無くてウザイ

乙でした

-雑貨屋-

カランカラン

少女 「ごめんくださーい」

店主 「……」 ペラ

少女 「また小難しそうな本を読んでる、おーい」 フリフリ

友 「なんだか、寂れたところですね……」

店主 「……!」 キョロ

友 「あ、いえごめんなさい!」

店主 「……」

友 「……ごめんなさい」

店主 「……」 ゴホン

友 「首飾りや宝石に……剣?」

友 「いろいろ売ってますね……」 キョロキョロ

少女 「この街ではあんまり見かけないものばっかりでしょ?」

友 「はい……」

店主 「……」 ペラ

友 「でも、いつの間にこんな店を?」

少女 「ふらふらと散歩してたらね、偶然見つけたの」

友 「……こんなところを一人で散歩したら危ないですよ」

少女 「昼間は人が少ないから大丈夫だって」

友 「でも、万が一のことも……」

少女 「その時はその時だよ」

少女 「で、店主さん店主さん」

店主 「……?」

友 「このお金で、なにか買えませんか?」っG

店主 「……」 コクリ

少女 「……奥の部屋に引っ込んじゃった」

少女 「ん、これ……」 ジィー

友 「竜の置物、ですか?」

少女 「……」コクリ

友 「……この街で小さな竜の置物を見かけるなんて、思ってもみませんでした」

少女 「……みんな竜を恨んでるから?」

友 「……はい」

少女 「……そ」 ナデ

少女 「……冷たいや」

友 「生きてるわけじゃありませんし」

少女 「……だよね」

友 (……??)

-しばらくして-

店主 「……」 カタン

少女 「ん、カウンターを見ろ?」

友 「……花火セット?」

店主 「……」 コクリ

友 「……花火ってなんですか?」

少女 「今よりも平和だった頃に、流行ってた見世物らしいよ」

友 「流行ってたんですね、知りませんでした…」

少女 「うん、あたしも実際に見たことはないけど綺麗みたいだよ?」

友 「……そうなんですか?」

店主 「……」 コクリ

少女 「気になるよね?」

友 「気にはなりますけど……、うーん……」

少女 「いい買い物になると思うけどね、無理強いはしないけど」

友 「珍しいといえば、珍しいですしね、花火」

友 「……それじゃ、これください」 っG

店主 「……」 っ

友 「……花火、どんな風に綺麗なのかがすごく気になります」

少女 「家の庭でもできるだろうし、帰ってからのお楽しみってことで」

友 「……帰りましょうか」

少女 「そうだね、じゃあね!」 タッタッタ

店主 「…………」

-路地裏-

少女 「ぼちぼち暗くなってきたね」

友 「ちょっと怖いです……、お化けとかが出てきそうで」

少女 「あたしは見るからに怪しそうなおじさんが出てくるほうが怖いや」

友 「……」

友 「おじさんといえば……」 トコトコ

少女 「いえば?」 トコトコ

友 「あの店主さん、いかにも渋いおじさんって感じでしたね」

少女 「あー、あたしは見慣れてたせいか忘れかけてたけど」

少女 「あの迫力と存在感、下手するとドラ……」ビクッ

友 「……ドラ?」

少女 「ど、ドラキュラ以上かもね!」 アハハ

友 「……なぜドラキュラなんですか」

少女 「ん、だってドラキュラは長生きなんだよね」

友 「そうですけど……」

少女 「長く生きてたら、色々悟ってそうだと思って」

友 「悟りから迫力や存在感に繋がる、と?」

少女 「実際のところはわからないけどね」

少女 (危うくドラゴンを話題にするところだった、気をつけよう)

-広場-

少女 「あー、やっと日の当たる場所に帰ってきた!」ノビ

友 「もう夜ですよ」 ハァ

少女 「言われてみれば……道理で人気が少ないわけだよ」

友 「あとちょっとだけ涼しいです」

少女 「あー、確かに」

少女 「……そういえば、何時だったっけ?」

友 「なにがですか?」

少女 「……門限」

友 「……それはどうでもいいで済ませないんですね」

少女 「友ちゃんも一緒だからね、今日は」

友 「一人だったらいいんですか?」

少女 「うん、問題ないよ」

友 「お母さんに怒られたりしないんですか?」

少女 「別に?」

友 「……ちょっと、羨ましいです」

少女 「どして?」

友 「怒られないことを羨ましく思わない人なんて、いると思いますか?」

少女 「いるかもね、世界は広いから」

友 「……クラスメイトは、みんなそう言ってますけど」

少女 「そ、じゃあいないかもね」

友 「……なんでそんなに投げやりなんですか」

友 「はあ……、ん?」

少女 「?」

「この街には慣れたか?」

「うん……」

「そっか……」

「うまかったか? あのかき氷」

「うん……、冷たくて、ちょっと甘かった」

少女 「この声は……少年と幼女ちゃん!」

友 「声で判断しなくてもわかりますって」

幼女 「あっ……」 コソ

少年 「大丈夫、こいつらは俺の子分だ」 ヨシヨシ

友 「子分じゃなくて友達ですけどね、怖がらないでください?」

幼女 「……そうなの?」 ジィー




少女 「……誰が子分なのかな?」 ニッコリ

少年 「……」 ゾクッ

幼女 「……」 っ

友 「……握手ですか?」

幼女 「……」 コクリ

友 「ふふ、いいですよ?」っ

幼女 「……暖かい」

友 「幼女ちゃんだって、十分に」





メラメラ

少年 「腕を燃やす気かッ!!」 フゥーフゥー

少女 「別に軽い火傷を負うぐらいで済むと思うよ、友ちゃんもいるし」

少女 「なんにしても、これに懲りて子分だなんて嘘は言わないでね?」

眠すぎて取り返しのつかないヘマをやらかしそうなのでこれにて区切り

威厳ある竜と可愛らしい女の子がいちゃいちゃしている絵は癒されますねぇ……ふぅ

>>215
うp

おつ

怒るのは相手を心配してるからこそなんだけど、まだ少女に遠慮してるのかそれとも…

乙でした


「まだ外にいたのね、少年……と幼女ちゃん」

「それに、少女ちゃんと友ちゃん」

少年 「げっ、姉ちゃん!」

姉 「……げっ、はないでしょ」 ハァ

少女 「あ、お帰りなさいお姉さん」

友 「お姉さん、出かけてたんですか?」

姉 「ええ、仕事よ」

姉 「少年、迷子にならずに幼女ちゃんを案内できたかしら?」

少年 「う、うるせぇ! 俺はもう子どもじゃないんだ!」

姉 「私から見ればまだまだ子どもよ」

少年 「ウグ……」

幼女 「……?」 キョトン

少女 「……」 クスッ

少年 「笑うな!」

少女 「あはは、ごめんごめん」

少女 (わかる、わかるよその気持ち)

姉 「ん、少女ちゃん、手に持ってるそれ……」

少女 「ん? 花火セットのこと?」

姉 「驚いたわ、この街でまだ手に入ったなんてね」

幼女 「……はなび?」

姉 「私も実物は初めて見るわ」

姉 「百聞は一見にしかず、遊んでみる?」

-姉の家/庭-

姉 「ああそうそう、友母さんには連絡を入れておいたわ」

友 「あ、ありがとうございます」

少女 「……相変わらず広いね、お姉さんの家の庭」

姉 「隣の芝生は青く見えるからじゃないの?」

幼女 「どうやって、遊ぶの?」

姉 「そうだったわね」

姉 「少年、とりあえず水汲んできて頂戴」

少年 「なんで俺が」

姉 「貴重な男手でしょ? それとも女の子を働かせる気なのかしら?」

少年 「わ、わかったよ……」 トボトボ

友 「お姉さんには頭が上がらないんですね、少年君」

少年 「うっ、うっせえ!」

少年 「ほら、水汲んできたぜ」 っバケツ

姉 「確かに、じゃあ始めましょうか」

幼女 「……」ジィー

姉 「まあ見てなさい、とりあえず線香花火を一本、袋から取り出して……」

姉 「そしてそれに火をつけて……」 パチパチ

少年 「へぇ、こりゃ……」

友 「綺麗ですね……」

少女 「こんなに綺麗なのに、どうして花火はなくなったの?」

姉 「本によれば、これの元になった打ち上げ花火がなくなったからだそうよ」

姉 「花火の光で魔物を刺激しないため……だったかしら」

少女 「なるほど……」

友 「見て見たい気もしますけどね、その打ち上げ花火」

姉 「平和になれば、幾らでも見れるわ」

姉 (もっとも、そんな見込みはどこにもないけれど)

姉 「はい、友ちゃん」っ花火

友 「わぁ、バチバチ言ってますね」

幼女 「……綺麗」

少年 「俺もみたい!」 タッタッタ

友 「二人ともわたしにくっつかないでください!」

姉 「火に触れると火傷するから、3人とも気を付けなさい」

少女 「……」 ハァ

姉 「少女ちゃんは見ないの? 線香花火」

少女 「うん、それよりもほかの花火が見て見たい」

姉 「そう……」

姉 「なら、少女ちゃんにはこれを見せてあげましょうか」

少女 「さっきのと形が違うね、この花火」

姉 「まあ見てなさい」 カチッ

シュシュッ

少女 「わわっ! ねずみみたいに動き回ってる!?」

姉 「少女ちゃんもこれは知らなかったみたいね、これはねずみ花火」

少女 「……これも綺麗」 ジィー

ポンッ

少女 「……消えちゃった」

姉 「気に入ったかしら?」

少女 「うん、蛍っぽさがね」

姉 「そう、ならよかったわ」

姉 「……このあたりで見られたかしら? 蛍」

少女 「街外れの森でなら見られたはずだよ」

姉 「そうだった……かしら?」

姉 「……次の仕事の時にでも確かめてみるわ」

少女 「……別に確かめなくても」クスッ

姉 「やっぱり、子供は笑顔が一番ね」

少女 「……あたしって、そんなに笑ってなかった?」

姉 「別に少女ちゃんだけを指したつもりはないわ」

少女 「……そうだったんだ」

姉 「部隊一つ率いるだとか、魔物の虐殺だとか、成果だとか」

姉 「そういったしがらみが吹き飛びそうになるわね、あの笑顔は」

少女 「……成果?」

姉 「ええ」

姉 「部隊一つ纏める勇者の長と言えども所詮ただの人間、代わりはいくらでもいるの」

姉 「だから、『王国』のきまぐれでこっちは簡単に捨てられる」

姉 「それはもう、ボロ雑巾のようにね」

少女 (……)

少女 (王国、確か人の住むこの世界を統治している大きな国だったね)

少女 (魔物たちが街に入ってこないのも、その王国に所属する勇者とかが頑張ってるから……)

少女 (あたしの通う学校も、王国に支援されて立てられた学校だったはず)

姉 「この地位から転落しようものなら、私はたちまち嘲笑の的になるのでしょうね」

姉 「普段から地位を利用して好き勝手やってる分、ね」

少女 「……好き勝手って、幼女のこと?」

姉 「……そうよ」

少女 (半ば愚痴だよね、これ)

少女 (これは、フォローに入るべきなのかな……?)

少女 「……お、お姉さんって、大人なのにあたしを苛めようとしないよね」

姉 「そんなことをしても、面白くもなんともないもの」

少女 「それだけじゃなくて、私が街の人々から酷く苛められないようにしてくれたでしょ?」

姉 「……独断と偏見だけで、無意味にあなたを貶す連中にイラついただけよ」

少女 「……ありがとう」

姉 「……いいわ、礼なんて」 プイ

-その頃-

友 「火が消えてしまいました……」

少年 「姉ちゃん、新しいの!」

姉 「はいはい……、点火して……こうね」 っ線香花火×6

姉 「火傷しないようにだけ、気を付けなさいよ」

姉 「あと、消えたらそこのバケツにつけとくこと」

少年 「サンキュー」タッタッタ

友 「少女さん、少女さんも一緒にしましょうよ!」フリフリ

幼女 「……線香、花火」

少女 「誘ってくれるなら遠慮なく!」 タッタッタ

姉 「ねえ、少女ちゃん」

少女 「……えっ?」

姉 「さっきは愚痴に付き合わせてごめんなさいね」

少女 「いいよ別に、あたしもお礼が言えたから!」

姉 「……そう」

姉 (……少女ちゃんも幼女ちゃんも、今はうまくやっていけてるようね)

友 「はい、少女さんの分です」

少女 「黄色だ、これはこれで綺麗だね」

友 「ですねー」




姉 (それにしても)

姉 (少女ちゃん、どこで花火なんて手に入れてきたのかしら)

姉 (……場所によっては、一度ちゃんと叱っておいたほうがいいかもしれないわね)

姉 (……そういえば)

姉 (このところ魔族側に不審な動きが見られるらしい……)

姉 (勇者長として、策を講じる必要があるかもしれないわね)

姉 (……この日常、実はいつ壊れてもおかしくないのよね……)



―――



少年 「なあ、少女」

少女 「ん?」

少年 「さっきさ、姉ちゃんと何話してたんだ?」

少女 「ふふっ、内緒」ニッコリ

少年 「なんだよ、ケチ」

友・幼女 「……?」

これにて区切り

ネタが思いつけば少女と竜とその他の日常を書き綴り、
思いつかなければこのssは一旦終わらせる予定

思いつけ死ぬ気で思いつけ

ドラゴンと少女のイチャラブとか、ドラゴンの昔話とかなんか色々あるだろ

頑張れ頑張れできるできる
あきらめんなよ



ネバーギブアップ

少年家の一日とか、魔族の暗躍()風景とか、幼女ちゃんが大人びたらどうなるのかとか

頑張れよぅ

思い付けよおおおおおおおおおおお!

龍と少女とデコヒーレンスを思い浮かべたわ

-大樹の下-

少女 「……お父さんはドラゴンがよかった」

竜 「……いきなりなにを言い出すのだ、少女は」 グルッ

少女 「だってドラゴンは強いし、カッコいいから」

竜 「……」

少女 「それに、あたしは人の子なのに竜の子って言われてるんだよ?」

少女 「主に生まれた場所とペンダントのせいで!」 プンスカ

竜 「……偏見か」

少女 「そういうこと」

少女 「そんなわけだし、どうせならあたしは本物の竜の子……」

少女 「ドラゴンの子どもとして生まれてきたかった」

竜 「……今以上に苦しむことになるかもしれんぞ」

少女 「たったそれだけで、ドラゴンともっと一緒に居られるなら結果オーライだよ」 ニッコリ

竜 「たったそれだけ、か……」 グルッ

竜 「……案外、今とそう変わらぬかもしれんぞ?」

少女 「ううん、そんなはずない、例えば……」

少女 「ドラゴンと人のハーフなら、何も食べなくても生きてける力は受け継がれると思うの」

少女 「そうしたら、ずっとここで一緒に暮らせるよね!」

竜 「……そううまくいくとは思えんが……」

竜 (む、母親の存在はどこへ消えた……?)

少女 「……うーん」

少女 「じゃ、じゃあさ、せめてすっごい力とか!」

竜 「……何に使う気だ」

少女 「ド、ドラゴンの悪口をいう人を懲らしめるために使うよ」

竜 「本当に、それだけのために力を振るえるのか?」 ジィー

少女 「……」

少女 「……ごめん、無理かも」

竜 「……家で共に暮らすとしてもだ」

竜 「我にしてみればニンゲンの住処は小さすぎる」

少女 「まあ大きいからね、ドラゴンは」

少女 「だから家に収まりきらないのも無理は……あっ!」

少女 「それならドラゴン用に巨大な小屋を作れば」

竜 「我は家畜か」 グルッ

竜 「……生きていたころの父親のことは、あまり好いていなかったのか?」

少女 「……わからない」

少女 「お父さんはあたしが生まれる前に死んじゃったって、昔お母さんが言ってたから」

竜 「……戦争か?」

少女 「さあ、お母さんあんまり話してくれなかったから」

少女 「……お父さんのこと」

竜 「……そうか」

少女 「……どんな人だったのかな、あたしのお父さん」

竜 「……」

少女 「ドラゴンみたいにカッコよくて、優しくて――」

少女 「そしてすっごく強い、頼れるお父さんだったのかな?」

竜 「……わからん」

少女 「……そうだよね、ドラゴンにもわからないことはあるよね」 ヨイショ

竜 「……すまんな」 ナデナデ

少女 「ううん、わかったらわかったで怖いよ」

少女 「やっぱり、ドラゴンは暖かいや……」

竜 「……そうか」

少女 「……ずっとここに居られたらなぁ」

竜 「……食料はどうする気だ」

少女 「……」 ハァ

竜 「……悩みがあるのならば、我が直接手を貸そう」

少女 「……ありがと、でもドラゴンには生きててほしいから」

少女 「下手に存在を知られて、ドラゴンが死んじゃったらいやだから」

少女 「こうしていてくれるだけで、十分だから……」 ギュッ

竜 「そうか……」

竜 「……ならば、気が済むまで休んでいけばいい」

少女 「うん、そうする……」

竜 「……だが、あまり遅くなりすぎるのはまずいぞ?」 ナデナデ

少女 「うん、わかってるよ……」

竜 「……」

少女 「……」 スゥ…スゥ…

竜 (眠ったか……)

竜 (時折、少女はこうして甘えてくる)

竜 (……それだけ、疲れているということか)

竜 (……)


――ドラゴンには生きててほしい

竜 (……我は、なにをしているのだろうな) グルゥ

これにて区切り

今回は原点回帰で少女と竜のいちゃいちゃでした

やったー!続いてる!

っー! っー! っー!! (声にならない歓喜の叫び)

――あたしは昔、竜の里ってところに住んでた

そこは竜を神さまのように慕う里

でも、お母さんの手で、あたしはお母さんの友達の友母さんって人に預けられることになったの

理由を聞いても、お母さんはなにも言ってくれなかった

ただ、あたしが竜の里から来たことだけは言っちゃいけないとは言われたっけ

……その街についたとき、あたしは二つぐらい気になった

一つ目は、この街の人たちは、みんな竜を悪くいうこと

二つ目は、言ってもいないはずなのに、あたしが竜の里から来たことをみんな知ってるってこと



「ここが、あなたの新しいおうちよ? 少女ちゃん」

「そうなんだ!」

前に住んでた家よりも広い家を見て、あたしはすぐに思ったことを忘れちゃったけど

「友ー、ただいまー」

「お帰りなさい! ……あなたは?」

「あたし、少女!」

友母さんは、友って呼ばれてた女の子にあたしのことを説明した

そしたら、友って呼ばれてた女の子はあたしを歓迎してくれた

あたしたちはすぐに仲良くなれた

「行ってきます!」

魔法学校に行くために、あたしはこの街にきて初めて外に出た。

お母さんに言われた通り、竜をあしらったペンダントは家に置いてきた

「……あれが竜の里の子か?」

「あら、可愛らしい」

街のみんなはあたしをめずらしい物を見るような目で見つめてきた

……ちょっと恥ずかしくなった

けど、それはほんの一瞬だったみたいで

「でも、災厄をもたらす竜を信仰する竜の里の子どもなのよ?」

「……呪われてるかもしれない」

「いやいや、実は隠れて生き残った竜が人に化けているとか……」

次第に、街の人たちの目は冷たくなっていった

……この人たちは、なにを言ってるの?

あたしを怒っているの? あたしはなにもしていないのに?



急に心細くなっていく

「……」

友ちゃんの手をぎゅっと握りしめた

その手を友ちゃんは握り返してくれた

背中をトントン、と優しく叩いてくれた

大丈夫、と囁いてくれた

ちょっとだけ、落ち着いた気がした

なんだかんだで、あたしは魔法学校に来た

転校生として紹介されたあたしを、クラスメイトのみんなは拍手で迎えてくれた

仲良くなれるといいな……


あ、友ちゃんとはクラスが違うみたい、残念

「綺麗で長い髪だよね」

「可愛いね」

休み時間になると、あたしはクラスメイトたちに話しかけられた

あまりこういうのには慣れてなかったせいか、ちょっと照れちゃった

そうしていたら、誰かがあたしに問いかけてくる

「竜の子だろ? お前」

あたしのお母さんは人間で、お父さんも多分人間

お母さんは竜を信仰しているだけだった

あたしは決して、竜の子どもなんかじゃない

そんなことを考えてたら、

「竜は魔族に力を貸したりもした悪い奴って聞いたことある」

「わたしは竜は意味もなく人を食い殺す悪い生き物って聞いた」

みんな口々に竜の悪口を言い始める。

お母さんと言っていることが違う

『竜は人と魔族が喧嘩しないように見張ってたの』

『けれど人が竜を殺してしまったせいで、人と魔族は喧嘩を始めたの………』

それを信じてたあたしは、たまらなく腹が立った

あたしはそう言って反論した

けれど、誰もそれを聞き入れようとしなかったし、信じようともしなかった

それどころか、みんなの目が途端に冷たくなった

さっきの大人たちのような冷たさだった。



なにか違う世界のモノを見つめるような目が

…………コワかった

キリがいいので区切ります

マイペースに竜と少女のいちゃいちゃを、気が向けば少年たちの日常を

ひゃっはー( ゚∀゚)
乙だぜー

いつからか、大人たちはあたしを遠ざけるようになっていった

で、たまに言葉を交わしたと思ったら

「息子が死んだのはお前のせいだ!」

「戦争が起きたのはお前のせいだ!」

「娘が病に伏したのはあなたのせい!」


『竜の子のせいだ!』

『竜の子の呪いのせいだ!』

なんて言われる始末

どれも身に覚えのない事ばかり、そう言う人たちだってあたしからすれば見覚えのない人ばかり

わけのわからない言葉の暴力にあたしは怯えた、苦しんだ

ついでに悩んだっけ

自分に非はないはずなのに、ただ自分が竜の里の出身であるせいというだけで罵られる

あたしがちょっとドジを踏んだだけでひどく怒られて、貶される

彼らはあたしのことをほとんどなにも知らないはず、なのに出会い頭に罵られたりする

あたしは誰も不幸にしていないはずなのに、どうして……?

「ごめんなさい、私にはどうすることもできないわ……」

「話ぐらいは聞いてあげられるけど……」

友母さんに相談してみたりもした

けれど、友母さんはどこか他人事

確かにご飯は作ってくれるし、家にも住まわせてもらってる

でも、それだけ

すごくありがたいことではあるけれど

お母さんと友母さんは、違う

「……わたしは、少女さんを信じてますから」

「だから、大丈夫です」

友ちゃんは、あたしが不幸をまき散らしていないって信じてくれてる

あたしもそれを信じれた

けれども、あたしは見てしまった

そう、あるときに、学校からの帰り道で

「ねえねえ友ちゃん、友ちゃんって頭いいよね」

「そ、そうですか……?」

「うんっ!」

「……あっ」

「……竜の子なんて放っておきなよ、呪われるよ?」

「で、でも……」

「友ちゃんも大変ね、あんなのと一緒だなんて」

「少女さんは、大切な友達です……」

「わかってるんだよ私は、竜の子に脅されてそう言わされているんだよね」

「……違」

「言わされてるんだよね?」

「……はい」

「……ッ」

「……あっ……」

付いた時、あたしは学校でも孤立していた

椅子に座ろうとしたら椅子が見当たらないときもあった

手渡された紙に死ねとか書かれてたこともあったっけ?

……ワカラナイ、覚えていない、ワスレタ

そう、忘れた

クスクス、クスクス

そんな笑い声が教室をこだましている。

そのすべてがあたしに向けられているような気がしてならなかった。

やめて、と一言いえばこの笑い声が止まるだろうか

それとも、今以上に晒し者にされるだろうか

当然、誰もあたしの話を聞こうとしない

誰もあたしと口を利かない

一方的に罵られることはあっても、暴力を振るわれることはあっても、

誰もあたしを気に掛けない

『竜の子』だからとかなんとか言って、あたしを遠ざける

どこをどうみても、あたしはちゃんと人の形を成しているはずなのに

そう言われて、大人からは忌み嫌われクラスメイトからは晒し者にされる

……ワカラナイ

今日は魔法の授業

「……はっ!」

「……やっ!」

「……どうして?」

みんな当たり前のように魔法を使える

炎や水や雷……彼らはそれぞれの魔法を極めようとしている

でもなぜか、あたしには魔法が使えなかった

言われた通りに想像して、言われた通りの手順を踏んでいるはずなのに

習った呪文も覚えたはずなのに

どうやっても魔法を使えない

「……あ」

さっき魔法の授業を行っていたグラウンドから声が聞こえてくる

同じように魔法が使えない人たちが、放課後に居残りで特訓させられているみたい

けれど、あたしにはそんな声すらかからなかった

あたしは先生からも見放されているのだろうか?

「あの子、魔法が使えないんだって?」

「先生たちも見放したらしいよ」

「それがいいよ、竜の子なんかと関わって呪われでもしたら大変だ」

「大抵の人間は、特訓すればだれでも魔法が使えるはずですが」

「まあ、その特訓すらあの子は受けてないから」

「魔法の授業、どうするんだろ?」

「一人だけで炎が出せるように練習、とか?」

クスクス クスクス


「……」

彼らは魔法を操れる

けれど、あたしは操れない

力の差は火を見るよりも明らか

言い返せない




……頭が痛くなった

……吐き気がした

……叫びたくなった

……

それでもあたしは学校に通い続けた

休もうとしても、友母さんに追い出されるから



頭が痛んだ

体が重い

耳が遠く感じる


魔法学校に近づけば近づくほど、足元がぐらついた

それらを乗り越えて、学校についたらついたで


「……ねえ、あたしの席は?」

ザワザワ ザワザワ

「…………」

クスクス クスクス

「このあたりに……あった!」

机と椅子が見当たらないと思ったら外に放り投げられてた

あたしはグラウンドに出て、どうにかそれを見つけ出した

またなにか貼ってある

あたしは目を瞑って、それを破り捨てた

そして、あたしはそれを教室に引き摺った

「遅刻だぞ、少女」

「だって、机が外に……」

「うっかり自分で落としたんじゃない?」

「ドジを踏んだんだろ」

「……違う」

「ああ?」

「なにもできないくせに呪いだけは立派にまき散らす竜の子が、俺たちに口答えか?」

「やだーっ」




クスクス クスクス

ザワザワ、ザワザワ

「……次からは気を付けなさい」

「……」

誰もあたしを見てくれない

……ううん、もしかしたらみんなあたしのことを見てくれてるのかもしれない



笑い話の種としてなら、だけどね


……ひどく疲れていたことだけは、よく覚えてる

けれど、あたしがなにをしていたかまではよく思い出せない

というより、思い出せなくなっていた

忘れようとしたのかな

あたしには、ワカラナイけど

反論する気力も、抵抗する気力もとうに失くしてた

そもそも、あたしはどうしてこんなところにいるのだろうか

お母さんに言われたから?

お母さんが竜を信じてたから、こんなことになっているのに?

……こんなわけがわからない連中のせいで、あたしはお母さんのことが嫌いになるの?

竜が信じられなくなるの?

「……」

それから数日後の夜に、あたしは誰にも気づかれないように家を出た

お母さんの形見のペンダントを持ってね

誰にも干渉されない場所で、一人でいたかった

もうどうでもいい

頼むから誰もあたしに構わないで欲しい

それで死んだって構わない

少しだけ休ませてほしかった

それに、ペンダントを持って死ねばお母さんに会えるかもしれない

もう忘れかけてるあの暖かさに、再び巡り合えるかもしれない

あたしは、どこへともなく歩き出した

区切ります

この少女はいつか人の世を竜の火で燃やしつくすんじゃないかな-と思います


でも前半の展開的にはこのあと友達出来るんだよね


そうして、どれだけの時間森を彷徨っていただろうか

気付いた時、あたしは色とりどりのお花が広がる場所にいた

……お花畑?

だとすれば、どこまで歩いてもお花畑

ここが天国ってところなのかな?

しばらく歩いてみると、一本の大樹が見えてきた

それは森では見たことがないぐらい大きな大樹


それを道標に、あたしは歩き続けた

あたしは大樹の根本に、巨大な影を見つけた

その姿に見覚えがあった

……あの翼、あの爪、あの目

『竜』だ

――あたしは走り出した

炎のように真っ赤な竜はあたしよりも大きくて

感じたことのない殺気を放っていた

獲物を見つめるかのような目

ここであたしは殺されるのだろうか

ずっと、誰にも干渉されることなく眠ることができるのだろうか

すっと、肩の力が抜けた

あたしは竜に近づいた

けれど、なぜか竜の目から殺気が消えた

……どうして?

竜はあたしの身につけているペンダントを指した


「……竜の里の、ニンゲンか」

「……暗い目を、しているな」

まさか、竜に心配されるとは思っていなかった

「……竜のせいだよ、竜のせいで……」

赤い竜は目を伏せた

竜がなにを思おうと、あたしは竜によってすべてを台無しにされた

竜の悪い噂のせいで、あたしはこんなにも酷い目に遭ってるんだ

「……すまない」

あたしは謝罪の言葉が欲しかったのだろうか?

「……謝るなら、あたしの街を壊してきてよ」

「人をみんな、焼き殺してきてよ」

あたしはただただ叫んだ

「この世界を壊してよ!」

「みんなみんな殺してよ!!」

「あたしを……一人ぼっちにしてよ……」

誰にもぶつけられなかったから

ぶつける相手がいなかったから

この憎しみを

この苦しみを

この怒りを



そんな、あたし自身の感情を

「それで、竜の里の者の恩に報いることができるというのであれば……」

「我は……」

竜はその大きな翼を広げた

近くで見たそれは、傷だらけだった

竜は苦しそうだった

見ていてこっちまで悲しくなってくる

……どうして?

こんなことになっても、あたしは竜を信じようとしているの?

お母さんの話を、今だに信じているあたしがいるってことなの?

……あれ?

……あたしは、なにを憎んでいるの?

憎んでいるのは、人のはず

そもそも、竜一体の力でそんなことができるの?

そう、殆どすべての竜は人によって殺されたって聞いた

だから、そんなことを願っても叶うとは思えない

「……やっぱり、いい」

不意に、なにかに包まれた気がした

暖かかった

頬が冷たい

泣いている

あたしは、泣いている

「……なら、せめて吐きだせ」

「感情のすべてを、吐き出せ」

「我は、お前を裏切らん……」

竜は目を閉じて、そう口にした

それはまるで囁くかのように

けれども心に響かせるかのように

……今日ぐらい、いいよね

ううっ、うう……

あたしは目の前の竜にすべてを話した

なにを口にしたかまでは覚えてないけど

今までの苦しみを吐きだしたことだけは、よく覚えてる

すべてを吐きだしても、目の前の竜は嫌な顔一つしなかった

それどころか、頭を優しく撫でてくれた

「……孤独はさぞ辛かったであろう」

「さぞ、虚しかったであろう」

「さぞ、苦しかったであろう」

「……お前は、よく耐えた」

「………………」

「そして、済まなかった……」

そんなことをいわれるなんて、思いもしなかった

ただ、竜はあたしの頭を撫でてくれた

―――

「……ねっ」

「……む?」

「名前とか、あったりするの?」

「……好きに呼べばいい」

「そうなんだ」

「じゃあ、こう呼ぶね?」

「ドラゴン」

区切ります

(/_;)

乙でした

胸糞展開だった・・・
おつ

少女 「ね、ドラゴンってどうしてここにいるの?」

竜 「ここにいるから、ここにいるのだ」

少女 「……答えになってないよ、それ」

竜 「……話すと長くなる」

少女 「ふーん、じゃあ今日はいいや」

竜 「……そうか」

少女 「ね、ドラゴン」

竜 「……む?」

少女 「あたしにも魔法が使えるようになると思う?」

竜 「……魔法の在り方は心が決める」

少女 「……へ?」

竜 「どんな形であれ、心を強く持てばいずれ使えるようになるはずだ」

竜 「無論、それは少女にも当てはまる」

少女 「あたしは心を強く持ってるつもりだよ?」

竜 「少女は心が壊れかけていたではないか」

少女 「そう……なのかな?」

竜 「……あれでは魔法も使えんはずだ」

少女 「……そんなにひどかった?」

竜 「……忘れたのか?」

少女 「覚えてるよ」

少女 「でも、あの時のあたしにとってはそれが当たり前だったから」

竜 「……」

少女 「ドーラゴン♪」 ギュッ

竜 「……どうした」

少女 「……意味はないけどこうさせて」

竜 「……好きにすればい」

少女 「うん、そうする」

少女 「……はぁ」

竜 「……どうした?」

少女 「クラスの子たちが相変わらずだと思って」

竜 「……由々しき問題だな」

少女 「言い返したところで、焼石に水だろうしね……」」

竜 「……我が少女に代わって彼らを制裁しても構わんのだぞ?」

少女 「騒ぎが大きくなっちゃうよ」

少女 「まあ、多少はマシになった気がするけどね」

少女 「あたしが慣れたせいか、本当にマシになってるのかまではわからないけど」

竜 「……」

少女 「ま、あたしはドラゴンさえ生きてればそれでいいんだけど!」

竜 「……少女が生きていなければ、意味がないのではないか?」

少女 「もっちろん! あたしも生きてなきゃドラゴンとお話もできないし」

少女 「きっと、触れることもできないから」

竜 「……そうか」

少女 (まあ、優先すべきはドラゴン、なんだけどね)

少女 「ドラゴンっ!」

竜 「……少女か」

少女 「なんか話して!」

竜 「……漠然としているな」

少女 「別に何でもいいから」

少女 「ね? いいよね?」

竜 「……ふむ」

それから、あたしは暇を見つけてはドラゴンのところへ遊びに行くようになった

どうでもいい話をしたり、甘えてみたり、魔法について相談してみたり

とにかくいろんな話をした

楽しかった、すっごく楽しかった

ドラゴンだけは、あたしの話を聞いてくれるから

あたしの相手をしてくれるから

あたしを見ていてくれるから

「少女ちゃん、最近妙に明るくなったよね」

「あれはあれで気味悪いね」

「……ふふっ」

無視されようが苛められようがなにされようが、今のあたしには大した問題じゃなかった

攻撃したければすればいい、笑いたければいくらでも笑えばいい

された分だけ、ドラゴンとの話の種にできるのだから

まったく怒っていないかと聞かれれば、嘘になる

むしろ、人に対する嫌悪感は増しているようにすら思う

けれど、残念なことにあたしは無力

魔法すら使えないあたしにはきっとどうすることもできないし

仕返せばいじめがこれ以上ひどくなるかもしれない

この街で生きていけなくなるかもしれない

だから、あたしはこの学校への関心を失くす

ドラゴンと会うことだけを永遠と思い浮かべ続ける

今日はドラゴンとどんな話をしよう

今日はドラゴンとどんなことをして遊ぼう

今日はドラゴンにどんなことを教えてもらおう

そうして壁を作り、ほかの誰の言葉も聞き入れないようにした

なにをされようと、なにを言われようと

あたしにとっては、どうでもいい話

―――転機は突然訪れる



「……ここね」

「なんたって転属先をここに選んだんだ? 姉ちゃん」

「……」

「こんな王都に比べれば辺鄙な街よりも、もっと条件のいい街はいくらでもあるはずだぜ?」

「……そうかもしれないわね」

「なら、どうして」

「……ただの、気まぐれよ」

少年まだいなかったのか。それでいじめられてたのな

そんな風に日々を過ごしていたある日のこと

この街に少年という子とそのお姉さんが引っ越してきた

二人はそんなに似ていない気がする

お姉さんは勇者長という、凄い地位にいる人らしくて

街の人たちはそのお姉さんを慕っているらしかった

そのお姉さんが、あたしに目を付けた


「おはよう、少女」

「ね、ね、少女ちゃん、今日の朝ごはんは何食べてきた?」

「……え?」

その次の日から、あたしは苛められなくなった

あたしと他愛もない話をしようと寄ってくる子はいるけどね

なんにしてもあまりに突然のこと過ぎて、眩暈がしたのはよく覚えてる

時々変なことを言ってくる子はいる、でも

「竜の子が勇者長と知り合いなんてな、竜の子のくせに――」

「……」

「おい、なんだよその言い方」

「……げっ、少年」

「姿形はおんなじ人間だろうに、どうしてそう差別するんだ?」

「……や、やるのかよ?」

「上等、掛かってこいよ」

少女 「あ、ありがと」

少年 「お前もちょっとは言い返したらどうだ?」

少女 「……今までは言い返しても無駄だったし」

少年 「今までは、だろ?」

少女 「……?」

少年 「家が隣同士のよしみだ!」

少年 「言い返しても無視するようなヤツがいたなら俺にいえ」

少年 「ぼっこぼこにしてやるから、な?」

少女 「……面白いね」クスッ

少年 「わ、笑うところじゃないだろ!」

少女 「……ありがと」

でも、彼の好意を素直に受け取れない自分がいた

いつの間にあたしはこんなにも疑い深くなってたんだろ

そもそもドラゴン以外の誰かと話すことに、まだ慣れてなかった

そんなことを考えてると、街の人たちがこんなことを口にしていた

「……姉さん、竜の子に味方しているんですって?」

「ええ、なんでも竜の子竜の子煩わしい、その口を今すぐ閉じなさいですって」

「勇者長を敵に回すと、あとが恐いですからねぇ……」

「でも、うまく取り入ることができれば王都の要職につけたりして?」

「……それにしても、勇者長がどうして竜の子を……?」

「王国でも竜は忌み嫌われていたはずですわ」

少女 「お姉さん」

姉 「……何かしら?」

少女 「……どうして、あたしを苛めないようにってみんなに言ってくれるの?」

姉 「……竜の子という言葉を聞くとイラつくから」

姉 「それじゃ、理由にならないかしら?」

少女 「……裏がありそう」

姉 「心外ね」

姉 「……なんにしても、よ」

姉 「今だに少女ちゃんを苛めるヤツがいるなら私にいいなさい」

姉 「少しは力になれるはずよ」

少女 「……うん」

あのお姉さんのいうことがどこまで本気かはわからない

でも、事実としてあたしは誰からも苛められなくなった

だから、友ちゃんとも気兼ねなく話せるようになった

なんだかんだで少年とも友達になれた

あたし自身も人と話せるようになってきた

まあそれは、そうしろってドラゴンが言うから、っていうのもあるけどね

それにしても

苛めの終わりは、あまりに呆気なかった

お姉さんたちによる、一時的な終わりだとは思うけど

そうだとしても

街の人たちからすれば、始めからそんな物は存在していなかったみたい

……まあ、今でもたまーに竜の子って言われるのが苛めの名残かな

……でも、あたしは絶対に忘れない

街の人々の仕打ちを

あたしの存在を否定したことを

友ちゃんのあの冷たさを

あたしは、絶対に忘れない

-少女の部屋-

「……今度こそッ!」

「……炎よ!」

メラメラ

「……!」

その日の夜、あたしはようやく魔法が使えるようになった

自分の部屋で練習してたら、すごく小さな炎が出せたの

息を吹きかければすぐに消えそうな、未熟な炎

いつの日かに見た、ドラゴンの炎には遠く及ばない歪な炎

けれど、あたしにとっては大きな一歩

これを見せたら、ドラゴンはなんていうかな

驚くかな? それとも喜んでくれるかな?

……でも、あのドラゴンのことだから

きっとこの進歩も軽く流しちゃうんだろうなぁ

……まあ、それでもいいや

明日は学校もお休み

起きたらすぐに、ドラゴンのところへ行こう

この炎を見てもらうために

またドラゴンとお話するために

あたしも成長してるんだよっていうために







「聞いて聞いてドラゴン!」

ほかにも書くべきネタがあるのはわかってるが、
一番書きたかったネタを書き終えてもう燃え尽きたぜ……

ネタは思いつけば書きます、ネタのリクエストはほかキャラの過去以外で可能な範囲で書いてみるかも
たいこの昔が舞台になりそうな竜の過去などは別スレを立てて書くつもり
なにも思いつかなかったり、リクがなければもうキリも
いいしキャラの過去も文字にしたいので、HTML依頼出してきます


少年イケメン

おつ

乙でした

竜の過去→少女と竜の現在(現スレ)→姉の思惑に続いて締めてくれると嬉しいな
何にせよ乙でした

特にネタもないので、このssはこれにて完結とします
過去編は追々、別スレで

というわけで、このssを最後まで読んでくれた方々、
燃料となるレスを付けてくれた皆様に心からの感謝を
では、ご縁があればまたどこかで ノシ


少女の出した凄い炎が何だったのかも過去編でわかるのかな?

乙でした

乙。いろんなフラグ回収してくれるのかな

友ちゃんへのわだかまりがどうなるかも気になる所だな

乙でした

よし、最初から読み直しながら次の話を待つとするか

過去編のスレタイはよ

乙乙!

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