「生き物の心と物の魂」 (11)
魔王vs勇者ものですが、
自分の書きたいことをただつらつらと書いているSSです。
それでも読んでいただける方、よろしくお願いします。
更新者、又は支援以外は基本sageでお願い致します。(感想はsage)
それでは遅い進行と更新(2日に80行程度)になりますが、どうぞお手柔らかによろしくお願い致します。
それでは15分後にスタート致します。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391784985
『魔王復活』
-001-
オレの名前は鬼灯 節嶐(ほおずき ふしる)。普通の高校生だった。
だった――
そう、過去形だ。今さっき知ったのだがオレはどうやら普通の高校生じゃなかったらしい。
なぜなら今オレは、勇者と名乗るやつから攻撃を受けているからだ!!
事の発端は二時間前。オレが学校から帰る帰路での事。
「あーあー、今日もつまんねー一日だったぜ。
せめて一緒に帰ってくれる可愛い幼なじみが居てくれればなぁ……。はぁ……。」
学校はつまらない。ただ勉強して、友達とありふれた事を話して帰るだけ。
ラブコメも、学園内での決闘も何もない。そんな帰路、いつもに寄っていた橋の下に腰を下ろす。
そこには箱があって、捨てられた白い子犬たちが身を寄せあって生きている。
「よしよし、いつもの持ってきてやったぞ。」
こうして学校からの帰路の時は毎回コンビニでパンと牛乳を買い、こいつらに持ってきてやってる。
「……こいつらがいきなりボインなお姉さんになって俺にあんな事やこんなご奉仕してくれれば……うへへ……。」
そんな事を考えて我に返る。子犬に欲情してどうするんだ……。
「じゃ、もう遅いしもう帰るわ。」
頭をなで、箱の中に戻してやる。暗くなると急に風が寒く感じ、震える。
「今度、家の要らなくなった毛布持ってきてやるからな……。」
そう言うと子犬達が嬉しそうな顔をした。そんな気がした。
オレは隙間風ができるだけ入らないように、だけどちゃんと吸える空気が入るよう箱を閉じた。
その橋を渡って徒歩十分先に、オレの家がある。
もう少しで着きそうなそんな時、その男は居た。
そいつはオレの事を睨みつけ、怒りと憎しみに満ちた目でオレを見る。
「……オレに何か用か?」
「用……だと……?」
改めてそいつの顔を見るがやはり知らない顔だ。瞳は赤で金髪。
海外留学生(りゅうがくせい)のようにも見えるが日本語がお上手そうな男だ。
「お前が私に……私達にしたこと……忘れたとは言わせんぞ……!」
お上手だった。
そんな事よりオレがコイツにしたこと?
そんなものには心当たりがないし、誰かにケンカを吹っかけたりした事も無い。
そういう面倒な事はしたくない。
退屈を嫌っても、やはり厄介事には首を突っ込みたくないのだ。
「知らないな……。何かの間違いじゃないのか……?」
「………しらばっくれるな!!ルシファァアアアアアアアアア!!!」
その時だ。そいつの腕が燃え、オレに向かって何かを投げた。
間一髪避けるも服の一部が焦げる。
「て、テメェ……いきなり何するんだ!!」
後ろから爆発音がした。
さっき投げた何かが爆発したようだ。火炎瓶だろうか。
冷や汗のような何かが頬に流れる。血かも知れない。
そう考えると同時に手にもべっとりとした汗が溜まる。
殺意と言うものは人に新鮮な恐怖感を与える。
そんな事を何処かで聞いたことがあるが、オレの頭の中は真っ白だ。
何が起こって何をされたのかさえ分からない。
そいつの手は未だに燃え続けている。
逃げなければやられる。
そう思った瞬間オレの脚は回れ右と走ると言う行動を行いっていた。
「……! 逃すか……!!」
そんなセリフを聞いてしまった。丁字路を曲がり、後ろを見ずに走る。
爆発音が聞こえた。どうやら流れ弾がまたどこかにぶつかったらしい。
あんなもの、そう何度も避けられる気がしない。
向かうところはあの橋の下。そこに隠れればやり過ごせるかもしれない。
そうして一番最初に戻るってわけだ。
次々と爆発音が聞こえる。
橋についてその下に飛び降り、息を潜める。
「ハァ……ハァ……。何なんだよ一体……。」
ふと、奴が呼んだ名前を思い出す。
『ルシファー』――。あの男は確かにそう言っていた。
「知らねぇよそんな奴……やっぱり人違いじゃ――
コツ、コツと足音が聞こえてくる。
息を潜め、唾を飲む。数分後、舌打ちが聞こえ、靴音が遠のいていく。どうやらやり過ごせたようだ。
「ハァ……良かった……ッッ――」
安心した途端。腕に痛みが走る。最初の一撃を避けた時に、どうやら腕を擦りむいてしまったようだ。
隣の箱に手を伸ばし、子犬達の様子を見る。身を寄せ合い、オレを見返している。
「ゴメンな、毛布はまだだ……。」
今日二度目の日課を終え、帰ろうとした時、川の向かい側に人影が写る。
「見つけたぞ……。」
さっきの金髪の男だ。そいつの赤い目からは未だに殺気が出ている。
「なっ……。」
その男は歩いてきた。川の上をだ。
「観念しろ。もう逃げ場は無いぞ……。」
「何なんだよ、お前は……!オレはルシファーなんかじゃない!オレの名前は鬼灯だ!!」
「……? まさか貴様……記憶でも消えたのか……?」
記憶が引き継がれていない――さっきから奴の言っていることがさっぱり分からない。
「まぁいい……逆に好都合だ……だが貴様に勇者に殺されるという屈辱を感じさせる事が出来ないと言う事は残念だがなぁ……!」
奴の腕が再度燃え始める。死を覚悟した。そんな時――
「ぐっ……何だ……?」
子犬達が金髪男の脚に噛み付いている。
「お前ら……!!」
「チッ……魔王に従う愚かな生命よ……。」
奴が手を挙げる。腕の焔も大きくなり……まさか……
「まずは貴様らから……!引導を渡してやる――!!」
「やめろぉおおおおおおおおおおおお!!!!」
十年ぶりに、人を殴った気がする。
金髪男は大きく後ろに飛ばされた。
「テメェがオレにどんな恨みを持ってるか知らねぇけどな……こいつらには!!何も関係ないじゃねぇか!!!」
「貴様は……!!」
「[ピーーー]なら、オレだけを殺れよ!!!」
「ならばお望み通り……魂もろとも消し炭にしてくれる!!」
こんなところで死ぬなんて、不幸だな。
でもまぁ、こいつらを守れて、良かったかな……。
そう思って目をつぶる。
「ぐぁっ……!!」
打撃音。しかし、オレの方はなんともない。覚悟を決めたのに何も起きない。痛みもない。恐る恐る目を開けるとそこには――
「……お怪我はありませんか。我が主(あるじ)―― ルシファーよ!」
犬耳とふわふわの尻尾のついた、半裸の白髪の美少女が立っていた。
今回の更新はここまでです。
次の更新は月曜日辺りに。
第一話をPDFにしたものを用意しました。
修正箇所
>>4
記憶が引き継がれていない――さっきから奴の言っていることがさっぱり分からない。
の部分を適切な文章に変更いたしました。
-002-
「貴様……魔王の使い魔だな!?」
金髪男が僕を助けてくれた少女に問う。
いつのまにか雨が降っていて、その強い雨音に耳が痛くなる。
「だとしたら何です? 勇者」
と、少女の答えず聞き返した。
勇者――
確かに少女は金髪男をそう呼んだ。
コイツが、こんな奴が勇者だって?
それで俺が魔王? どう見てもこいつが魔王じゃねぇか!
「質問を質問で返すな!!」
金髪男が動き、赤く燃えた手刀を犬耳娘に出すが――
犬耳娘は金髪男の燃えている手首を左手で掴み、足払いをしながら右手の掌打で後ろに突き飛ばす。
雨で足場が悪い所為か、金髪男は大きく後ろに倒れこんだ。
「ぐっ……くっ、速さだけはあるみたいだな……。」
金髪男が素早く体制を立て直す。
少女の手の平は黒く、焼けただれている。そこから肉が焦げた匂いが煙と一緒出て橋下に充満する。
雨のお陰で地面から出た土の匂いが嫌な匂いを薄めている。
「おい、お前……その手……。」
「大丈夫です、主。」
「でも……くっ、何なんだよ!さっきからわけわかんねぇ!! オレはルシファーなんかじゃねぇ!! 大体テメェ等も一体誰なんだ!」
もう我慢の限界だ。 一日に三回も死ぬような思いをしたっていうのに、誰も現状を教えてくれない。
「説明は後です。今は逃げますよ。」
そう言うと犬少女は俺を――
川に投げ込んだ――
-002-
「貴様……魔王の使い魔だな!?」
金髪男が僕を助けてくれた少女に問う。
いつのまにか雨が降っていて、その強い雨音に耳が痛くなる。
「だとしたら何です? 勇者」
と、少女の答えず聞き返した。
勇者――
確かに少女は金髪男をそう呼んだ。
コイツが、こんな奴が勇者だって?
それで俺が魔王? どう見てもこいつが魔王じゃねぇか!
「質問を質問で返すな!!」
金髪男が動き、赤く燃えた手刀を犬耳娘に出すが――
犬耳娘は金髪男の燃えている手首を左手で掴み、足払いをしながら右手の掌打で後ろに突き飛ばす。
雨で足場が悪い所為か、金髪男は大きく後ろに倒れこんだ。
「ぐっ……くっ、速さだけはあるみたいだな……。」
金髪男が素早く体制を立て直す。
少女の手の平は黒く、焼けただれている。そこから肉が焦げた匂いが煙と一緒出て橋下に充満する。
雨のお陰で地面から出た土の匂いが嫌な匂いを薄めている。
「おい、お前……その手……。」
「大丈夫です、主。」
「でも……くっ、何なんだよ!さっきからわけわかんねぇ!! オレはルシファーなんかじゃねぇ!! 大体テメェ等も一体誰なんだ!」
もう我慢の限界だ。 一日に三回も死ぬような思いをしたっていうのに、誰も現状を教えてくれない。
「説明は後です。今は逃げますよ。」
そう言うと犬少女は俺を――
川に投げ込んだ――
オレは死んだのか――
今(いま)思い出せばつまらない時間を延々(えんえん)と続けた日々だった。
嫌な事からは目を背けて、つまらないと言いながらも行動も起こさない。
誰かがオレの人生を変える出来事(できごと)を起こして欲しいと願うだけの人生。
「……い……ろ……。 おま……」
何だか声が聞こえる。これが走馬灯(そうまとう)と言う物なのだろうか。
「生きろ、お前の日々はこれから楽しい物になる。迷惑かけるかも知れないが、俺の眷属達をよろしく頼む。」
銀髪の男――
あんたが――
そうだ。折角誰かがオレの人生を変える出来事を起こしてくれたじゃないか。[ピーーー]ない。死んでたまるか。面白い事ばかりじゃないかも知れないけれど、退屈しない人生がオレを待ってるんだ!
胸に激痛が走る。
「ゲホッ……!グッ……オエッ……。」
「やった……!」
「何だ……?ゲホッゲホッ……。」
半裸の少女がオレに馬乗りになっている。どうやらオレ達は川に飛び込みなんとか金髪男から逃げ切れたらしい。
「あの……。」
「何ですか?私に何なりとお申し付け下さい、主よ!」
少女は蔓延の微笑みをオレに向けている。尻尾も引きちぎれんばかりに暴れている。嬉しいのだろうか。
「とりあえず、オレの上から降りてくれないかな……。それとオレのブレザー羽織ってくれよ。目のやり場に困る……。」
少女と言えど、やはり女性の胸は見慣れなくて……。
「あっ……!……も、申し訳ございませんでしたぁ……!!」
少女は急いでオレの上から降りて、顔を赤めらせながら、シュンとしている。
「それと――」
オレは胸が見れて少しニヤけた顔を無理やり真面目な顔に戻し、問う。
「それと、説明してくれないか……?あいつが誰なのかと……俺が魔王だっていうのを――」
そうオレが言うと少女の顔も真面目なものになっていた。
金髪男と退治していた時のように――
『前代(ぜんだい)魔王(まおう)の死』
-001-
昔々、遥か昔の出来事。
ある魔王が人間界を支配しようと沢山の魔族軍を差し向けました。
多くの人が死に、悲しみました。
その時の人間界で一番栄えている国がありました。
その国は魔王討伐の為、無謀にも魔界へ進軍したのです。
結果は全敗。なんとか逃げ帰ってきた兵も酷く怯え、二度と剣を握ることが出来ませんでした。
その国は兵が残っておらず、他国から兵を集め初めました。
貧しくも栄えても居ない国がありました。
その国は多くの聖職者がおり、希望を信じる者が集まる街でした。
その国にも徴兵が行われました。多くの物は剣を握ることに抵抗を持ち、途方に暮れる者も多かったそうです。
ある聖職者が「国のために戦う事は何も悪いことではない。今こそ神の為に戦うのだと」と言い、自ら剣を握り、魔族を立ち向かいます。
その男に続いて、戦いに向かい、多くの犠牲を出してしまいました。
魔族軍は貧しくも栄えてもいない国を狙い――
滅(ほろ)ぼしました。
栄えた国を落とせば支配できるのに、魔族は貧しくも栄えても居ない国を滅ぼしたのです。
理由は特にありません。実は余興だったのかもしれません。
魔族が魔王の命令を聞かず勝手に行った事だという噂もあります。
滅ぼされた街には昔のような賑やかさもなく、血の匂いで溢れていました。
その街に残された、最初に武器を握った勇気ある聖職者の息子が「勇者」として天界に選ばれたのです。
しかし、その勇者は神の為に戦うには多くの血を見すぎてしまった。
運命を呪い、魔王を憎み、復讐(ふくしゅう)の為に魔王を[ピーーー]。
そう、誓ってしまったのです。
七年後、勇者は四つの武器を眷属として引き連れ、魔王に一騎打ちを申し込みました。
三日三晩の戦いの末、勇者は捨て身の一撃を行い魔王に深手を追わせました。
しかし、あと少しというところで魔王の眷属が魔王を逃してしまったのです。
勇者は自分の無力さを恨み、死に際に魔法を使い来世に希望を送りました。
「来世こそ、魔王を抹[ピーーー]る」
恨み、憎しみ、怒りが混ざり合った、そんな血塗られた希望です。
これは魔族しか知らないことですがそんな魔王も勇者が死んだ後、深手の治療が間に合わず、亡くられました。
今回の更新はコレにて終了です。
水曜日にpdfファイル(最初から更新された分)と-002-から再開したいと思います。
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