亜美「彼女の失恋」 (22)
彼女が失恋をした。
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失恋をしたのは私の姉だ。
二週間ぐらい前のオフ、彼女は告白をした。
告白をした、らしい。
でも、断られた。
それから、彼女はしばらく落ち込んでいた。
見た目からはよくわからない。
落ち込んでいる間にも、いつもの様に元気に振る舞い、いつもの様にイタズラをして、りっちゃんに怒られ、いつもの様にアイドルをしていた。
でも、分かる。
分かった。
双子の自分には。
家で落ち込んでいる姉に理由を聞いた。
「にいちゃんにふられちゃった」
涙も流さず、微笑みながら自分に言った。
告白をした相手に、酷いふられ方をしたわけじゃないんだろう。
いや、むしろ姉を極力傷付けないように。
いたわるように、諭すように。
でも、キッパリ断ったんだろう。
断った理由はわからない。
年齢が離れているから?
アイドルとプロデューサーだから?
他に好きな人がいるから?
もう付き合っている人がいるから?
当事者の姉なら、知っているかもしれないけど、そんなことはどうでもよかった。
姉が告白したのは、自分にとってもかなりの驚きだった。
しかし、もっとショックだったのは、姉がふられたこと。
姉がふられた。
つまり、自分が告白しても同じことになる。
双子は同じ人を好きになる、なんて言われるけど、本当だったんだね。
彼女の失恋は、そのまま自分の失恋。
告白をする勇気もなかった自分は、姉よりももっと惨めな気持ちになった。
アイドル活動は自分のほうが忙しかったが、その分、姉のほうが自分より少しだけ大人になっていたんだろう。
そのとき姉に向かって自分は、慰めの言葉を言った。
でも、それはそのまま自分への慰めだったんだろう。
「これから、うーんといいオンナになって。凄いアイドルになって。兄ちゃんを見かえしてやろうよ」
「あのとき、OKしなかったことを一生コーカイさせてやるくらいにさ!」
自分の言葉が彼女への励ましになったのか。
それとも彼女自身が別に納得した理由があるのか。
それからは、姉はまたすっかり以前のように戻った。
でも、自分は……。
「なに、考えこんでるの? ちゃんとレッスン身を入れなさいよ」
「あらあら、亜美ちゃんだって悩める年頃なのよ。伊織ちゃん」
「ほうら! 三人共、無駄話しないの! 亜美、ステップが遅いわよ!」
「うあうあ~。悩んでる暇もないよ~」
「悩んでる暇があったら、体動かしなさい! そうすれば悩みなんかどこか行っちゃうから!」
「うん! りっちゃん。ありがとう!」
自分はあと少しだけモヤモヤするのだろう。
自分はあと少しだけ悲しむのだろう。
いつまでも告白もしなかった失恋を忘れないのだろう。
でも、姉やみんなや兄ちゃんの好きな人に負けないようにがんばれば。
いつか、本当の告白。
できるよね!
おわり
最後まで読んでいただき、ありがとうございます
双子の恋って実際どうなんでしょうね?
乙
男だが同じ女を好きになったことがないから支障はなかった。
お互いの彼女にドッキリを仕掛けて遊んだりはした。
>>17
何の話してんだよ
>>17
おお! 同じ人を好きになるとは限らないのですね
そして、入れ替わりのイタズラは鉄板なんですね
乙
シリアスな亜美とは
続けてもいいのよ
>>17
ウィーズリーさんお疲れっす
もうー
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