時系列は化物語の「まよいマイマイ」から
地の文、キャラ崩壊、胸糞、軽くリョナあり、原作ほとんど無視
苦手な方はUターンでお願いします
今日は全国的に母の日だった。
お母さんが好きな人でも嫌いな人でも、お母さんと仲がいい人でも仲が悪い人でも、日本国民ならば誰もが平等に享受する事になる、母の日。
僕は、確固たる目的があってこの公園に来た訳ではない。ただ単に、出鱈目に、気分気ままに、足の向くままに、マウンテンバイクで駆けていたらこの公園に行き着いてしまったのだ。
しかし、日曜日の公園に僕しかいないだなんて、まるで世界に僕しかいないみたいじゃないか。
というのはいくら何でも大袈裟だとしても、まるでこの公園の所有権が僕にあるかのようだった。もう二度と家には帰らなくてもいいみたいな、そんな気分になった。
僕だけ。一人だけだから。
こんな事を考えながら一人公園のベンチに座って下を向いていたら余計に気が滅入りそうだ。
何せ今の僕は、出掛けに自慢の妹二人、いや、正確には火憐ちゃんだけだが、しかし火憐ちゃんと月火ちゃんは二人で一人みたいなものだから、もう二人一緒でもいいだろう。
その二人から言われてしまったのだ。「兄ちゃんはそんな事だから、いつまで経っても大人になれない」って。
全く。なんというか、流石は僕の妹だ。僕はこう見えてもかなりデリケートな心の持ち主だというのに。
傷ついた僕の心を癒す為に、その内、二人とも調教して、お兄ちゃん大好きと言わせてしまおう。僕だけ妹大好きだというのは、不公平だからな。兄弟は平等であるべきだというのが僕の信条だ。
と、まあ、そんな素敵な事を考える事で僕は少し自分を取り戻したのだった。それで、ふと顔を上げると、公園の入り口あたりに一人の小さな女の子がいた。
小学生ぐらいの子供だ。
鳥、ひよこ、豚? とにかくそんなのをモチーフにしたような、自分の体と同じぐらい大きさのリュックサックを少女は背負っていた。髪をツインテールにしてるから、横から見たらそれが触手みたいに見えて、まるで巨大なカタツムリみたいだ。
その女の子は、片手にメモ書きを見ながら公園に備え付けてある近隣地図を見ていた。僕以外に誰もいない公園に、ようやく訪れた誰かだ。と思っていたら、少女はすぐに走り去っていってしまった。
公園には、また僕一人だ。
少しセンチメンタルな気分になった僕は、携帯を取り出すと、戦場ヶ原ひたぎの電話番号を出した。
もっとも、携帯の表示にはこう出ているのだが。
『性奴隷、一人目』と。
僕と戦場ヶ原の関係をいうなら、それは御主人様と奴隷の関係だ。
簡単にこれまでの事を説明すると、ひたぎを暴力で大人しくさせ、その後縛って犯して、更に恥ずかしい写メを撮って脅した、というところだ。
あの時の、泣きながら処女を失ったひたぎは本当に可愛かった。
それで、その後、僕はひたぎに服を着せて、拘束も解いてやって、そしてそのまま放置した。だから、その後の事については僕は全く知らない訳だが、ただ、後でひたぎから聞き出したところ、どうやらあいつはそのすぐ後に一匹の巨大な蟹に会ったらしい。
そして、再び重さを取られたそうだ。おかげで今のあいつの体重は一キロもない。強風が吹いたら吹き飛ばされるぐらいに軽い。
まあ、性欲処理には困らないだろうから僕はそのままほっといたけど。
怪異絡みだから、忍野に相談すればきっとどうにかなっただろうが、生憎、そんな親切心は僕にはなかった。つまり、僕はそんな人でなしな人間だ。実際、半分は吸血鬼だし。
とはいえ、少し気にはなったので、一応、忍野に尋ねてみたところ、どうやらひたぎが出会ったのは重石蟹という怪異らしい。人の重い、つまり思いを取ってしまうそうだ。
結構な事だよな。
僕がこうして警察にお世話にもならず、ひたぎも鬱病だとかそんなのにならなかった理由は、多分それのおかげだろう。辛い思いを取られたから、あいつはまだやっていけてるに違いない。少々やり過ぎた感もあって心配したもんだが、これなら何の問題もなさそうだ。本当、怪異には感謝だな。
ただ、その後に一悶着あったから、これ以上ひたぎを追い込むのはまずいと判断した僕は、それから一切ひたぎには手を出していない。僕の命令を絶対にきくようにと再度脅してはおいたが、それだけだ。
その時の一悶着については……まあ大して面白くもないから省略しよう。簡潔に言うなら、ひたぎが僕をカッターやらハサミやらで殺そうとしたから、僕は反撃して蹴り飛ばし、その後お仕置きとして散々ひたぎをいたぶっただけの事だ。
本当、大して面白くもない話だ。
もちろん僕は、その時、ひたぎの顔に傷をつけるような事はしなかった。バケツに水を入れてその中にムリヤリ頭を突っ込ませ溺れる寸前で助けるとか、逆さにして天井から吊るしロープをぐるぐるひねって回すとか、まあとにかくそんな感じで色々な事をした。
その度にひたぎは「もう許して……!」とか「ごめんなさい……!」とか「助けてっ……!」とか言って僕に泣きついて許しを乞おうと必死だったが、僕は許さなかった。二度とそんな気を起こさせないように、そこは徹底的にやった。
その甲斐があってか、それらの拷問に似た行為が終わった頃には、ひたぎは完全に僕の従順な奴隷と化していた。靴を舐めろと言えば、ひたぎは怯えながらすぐさま靴を舐めたし、土下座して謝れと言えば、こいつは躊躇わずにいつでもどこでも土下座した。
僕の奴隷としてはこうでなきゃいけない。
で、その時に少し思った事だが、ひたぎみたいな攻撃的な性格のやつは、やっぱり痛みと恐怖で支配するのがベストだという事だ。優しくして依存させるなんてとんでもない。そもそも僕の性格上、例え演技だとしても「優しく」なんてのはまず不可能だ。それが出来るとしたら、多分、僕の自慢の妹二人に対してだけだろう。
結局、僕が思うに、ひたぎは生かさず殺さずがベストの状態だという事だ。適度に怯えさせ、適度に生ぬるく接するべきだ。追い詰め過ぎず、かといって優しくもせず、それが一番良いと思う。つまり、ひたぎは虐げる事で服従する、そういうタイプの女だという事だ。
ただ、もしもこれが羽川だったら、きっとそれはまるで違った事だろう。多分、あいつは僕がどれだけ暴力を振るおうとも、心から僕に服従する事はないと思う。
あくまで僕の中のイメージだが、羽川はそういうタイプの女だ。人それぞれ性格が違うのだから、それによって調教の仕方も変えなきゃいけないだろうな。
と言っても、今の僕には羽川を奴隷にする方法というか手段が全く思い付かないんだけども。
閑話休題。そろそろひたぎを呼びつけるとしよう。
屋上で犯してから日も経っている。そろそろ調教を開始してもいいだろう。体と心を休める時間は十分に与えたはずだし、これ以上休ませたらまた反抗心が芽生えてくるかもしれないからな。
僕は携帯のコールボタンを押した。ニ、三度鳴ってからひたぎが怯えた声で「……はい」と電話に出た。うん、少なくとも僕からの電話に出るぐらいには従順だ。
「ひたぎ。今すぐ○○公園に来い。30分以内だ。それと、来る時は一番可愛い服と下着を身につけてから来い。僕が少しでも気にくわなかったらその場でひんむくからな」
それだけ言って、僕は返事を聞かずに通話を切った。
ははっ。あいつが来るまで楽しみだ。
それからおよそ十分後、残念な事にも、公園に現れたのはひたぎではなく先程のカタツムリ少女だった。
あいつは前と同じで、公園の入口近くに設置されてある近隣の地図をじっと眺めている。……迷子だろうか?
一応、僕の名誉の為に先に弁解しておくが、僕は鬼畜であると同時に誇り高い変態でもある。つまり、ロリコンでもある事に誇りを持って生きている。あのカタツムリ少女も十分に僕の許容範囲だ。思わずヨダレが出るなあ、うぇっへっへっへ。
ま、そこら辺の冗談半分本気半分はさておくとして、とりあえず声をかけてみよう。見るとリュックに名前まで書いてある。八九寺……真宵……。はちきゅうでら……まよい、だろうか? 珍しい名字だな。
こいつは顔も僕の好みだし、何よりその幼児体型がたまらない。あわよくばあいつも僕の性奴隷に出来ないだろうか。
そんなやましい事を考えながら、僕はカタツムリ少女の元へと向かい、そして声をかけた。
「よう、どうした。道にでも迷ったのか」
「…………」
こいつが迷子だというなら尚更好都合だ。拐ってそこらで犯したとしても、誰も助けには来ないからな。
ただし、母親あたりが警察に迷子探しを頼んでいたとしたらとてつもなく厄介だ。もし見つかったら、行為に及ぶ及ばない以前に、きっと問答無用で補導されてしまう。まずはそこら辺りをうまく聞き出さないと。
カタツムリ少女は僕の顔を訝しげにじっと見た後、こう言った。
「話しかけないで下さい。あなたの事が嫌いです」
ははっ。立派なクソガキだ。幸い今は人気も人目もない。なら、多少しつけてやる必要があるな。……そらよっと!
「うぇっ!!」
僕はこいつの頭を遠慮なく掴むと、掲示板にガンっと押し付けてやった。カタツムリ少女が抗議と怒りの目を僕に向ける。
「な、何をするん……ふげっ!!」
僕は、こいつが喋ろうとしたところを狙って、腹に膝蹴りをかましてやった。全く、バカなやつめ。小学生が高校生に逆らうからそうなるんだ。
「で、お前、迷子なのか。さっさと答えろよ」
「あぐっ! 離……して……下さい……!!」
僕はこいつの頭を強く掲示板に押し付けたままだったから、当然、このカタツムリ少女は苦しそうだ。まあ、この辺で許してやるか。
僕はこいつの頭を離した。カタツムリ少女は僕をきっと強気な目で睨んできた。しかし、多少はやはり僕に対して怯えが出ているのは十分に見てとれた。ひたぎと似てる部分があるな、こいつ。なかなか楽しめそうだ。
「い、一体、いきなり何をするんですか! 酷いじゃないですか! あなたはそれでも大人なんですか!」
「黙れ。お前は僕の質問にだけ答えていればいいんだ。また蹴るぞ」
「うっ……!」
足首を軽く回しつつ脅し声でそう言ってやると、こいつは明らかに怯んだ。いい感じだな。扱いやすそうだ。
「さて、それじゃ答えろ。お前は迷子か?」
「……いえ、あの……」
カタツムリ少女は一瞬言い淀んだが、僕が蹴るそぶりを見せると、びくっと震え、それから仕方なくといった感じで答えた。
「……迷子です。……カタツムリの迷子です」
「は?」
カタツムリ? 何の話をしてるんだ、こいつは。自分の格好と合わせての洒落か?
カタツムリ少女は目を伏せ、言いにくそうに顔をそむけながら、そっと呟いた。
「いえ……あの……何でもありません」
何だってんだ、一体。訳のわからないやつだな。
「まあ、いい。次に名前は?」
「人に名前を聞く時は、まず自分から名乗るのが礼儀と聞きました。あなたから話すのが筋じゃないんですか」
なるほど、そうかそうか。
「大体、何ですか、あなたは。警察の方でもないのにレディの名前を聞くのは失礼というものです。おまけにか弱い小学生女子に向かって暴力まで振るうなんて、人として最低です」
いやはや、全くもって楽しいやつだな、こいつは。せいっ!
「ぐげっ!!」
僕は一つ笑ってから、こいつを蹴り飛ばした。舐めた態度をとるから……痛っ!!
「がうっっ!! がるるるる!!」
痛い! 痛い! 噛みついてきやがった、こいつ。何すんだこのガキ! 離せよっ!! おらぁっ!!
「いげふっ!!」
僕は思いっきりこいつの腹を殴りつけた。カタツムリ少女は意外な事にもあっさりと気を失う。それでも尚も噛みついたままだったので、もう一度殴って歯を離させた。この雑魚が。
「ふっ……。いや、笑えないな。最近、僕はどうも殴りすぎだ。……多少は自重しないと」
小学生女子に殴る蹴るの暴行をはたらいて失神させた挙げ句、能力を使う度に寿命を削ってしまうヒーローを気取って、一人たそがれている男子高校性の姿がそこにはあった。
というか、僕だった。
さてさて、どうしようか。現実に返った僕は少し悩んでしまった。
とりあえず、今ならこいつをどこか人気のないところに連れ去ってやりたい放題出来る。だが、名前や迷子になった経緯も聞かずに連れ去るのはとてつもなく心配である。不可抗力とはいえ、先に失神させたのはまずかったな。
それに、僕はひたぎを呼びつけてもいたんだ。まあ、あいつは僕の奴隷だからここで何時間待たせようがそれは全然構わないが、とはいえ放置しておくのも微妙に心配だ。何せ、呼び出しは今回が初だからな。待ってる間に妙な気変わりを起こす可能性だってある。そもそもあいつが来ない可能性だってあるんだ。
「どうしたものかなあ……」
僕は地面に寝転がって失神しているカタツムリ少女を見下ろした。こいつも、いつ気がつくかわからないしな。とはいえ、こんなところを誰かに目撃されたらあらぬ誤解を受けそうだ。いや、誤解というか真実か。だからこそ余計にまずいんだよな。
参ったな……。これからどうするか。
安価↓1から↓3。行動に無理がない限り、選べるものは選びます
ただし、バッドエンドは今回もありますし、セーブポイントもやり直しもきかないので行動は慎重にどうぞ
真宵を公園の茂みに隠し、ひたぎに連絡して猿轡等の拘束道具を持ってこさせる
公園にあるトイレの個室に放り込んで放置する
真宵を縛って放置
ひたぎと青姦する
そうだ。こいつを縛ってしまおう。道具はひたぎに持ってこさせればいい。それで、こいつをしばらく放置して、ひたぎと犯った後、それからまたどうするかを考えればいいか。
そうと決めた僕は、早速、こいつをとりあえず公園の茂みに隠す事にした。両脇に手を入れて持ち上げてみると意外と重い。びっくりだ。
もちろん、リュックの重さのせいもあるんだろうけど、一番の原因はここ最近ひたぎを持ち上げたりしていたからだろうな。あいつの体重に慣れてしまったんだ。
僕は一旦こいつからリュックを外し、改めて茂みに連れていった。それからリュックを取りにもう一度戻り、これも少し離れた茂みに隠した。
ひたぎが来る前にこいつが目覚めてしまったら、その場合はまた気絶させるしかないか。もしその時、人がいるようだったらもうどうしようもないな。逃げよう。
僕はそんな事を思いながら、携帯を取り出した。
ひたぎに電話をかけると、あいつは前と同じ様に、ニ、三度のコール音の後、怯えた声で電話に出た。
「ご、ごめんなさい……。仕度に少し時間がかかってしまったの……。あ、あの、もうすぐ着きますから……!」
なるほど。どうやらひたぎは、僕が、来るのが遅いと思って電話したと捉えたらしい。ひたぎの荒い息遣いが電話口からかすかに聞こえる。走ってきているのか。来ないかもしれないという、僕の心配はどうやら杞憂だったみたいだ。
「ひたぎ。少し事情が変わった。お前は今から僕の言う物を持ってこい。これは命令だ」
「え……?」
「猿轡とロープ。それを持ってここに来るんだ」
「っ……!」
電話口からでも、ひたぎが息を飲んだのがわかった。少し考えて、ああ、そうか、と僕は納得した。ひたぎはこちらの事情を知らないのだから、この言い方だと、どう考えてもひたぎにそれを使うとしか思われないよな。そりゃ怖がる訳だ。
「あ、あの……! 許して下さい……! 何でもしますから……」
ガチガチと歯の根が鳴る音が聞こえた。多分、こいつは今きっとがくがく震えてるんだろうな。この前、少し恐怖を与えすぎたみたいだ。少し面倒だ。
「大丈夫だ。お前に対しては使わない。別のやつにだ。だからそれだけは安心しろ。僕に逆らったりしない限りは、もう痛い目には遇わせないから」
「だ、だけど……!」
声の様子からして、こいつが僕の言う事を信用してないのはよくわかった。ちっ、と僕は舌打ちする。それもそうか。ひたぎが僕の言う事を信用するはずもない。何せ、僕はこいつを一回ひどく騙してる訳だからな。前言撤回、かなり面倒だ。
この場にいれば今すぐ殴り付けて言う事をきかせてやるところだが、電話越しではそうもいかない。辛抱強く、僕は説得というか脅しをかました。ここは我慢するしかない。
「ひたぎ、僕の命令に逆らう気か。言っておくがな、お前の全裸姿も、足を広げてあそこ丸出しのポーズも、僕の精液にまみれた顔も、僕は全部撮ってあるんだぞ。この画像をネット上にばらまかれたいのか」
「い、嫌……!! で、でも……ロープとかは……!」
「猿轡やロープはお前には使わないとさっきから言ってるだろ。それに、僕の言う事を信用するしないはお前の勝手だけどな、少なくとも、僕の命令に今逆らうようなら、確実にネットにはお前の全裸画像がアップされるぞ。僕はやると言ったら必ずやるからな。それはお前もよく知っているだろ」
出来るだけひたぎに考える余地を与えないよう、僕は怒気の混ざった声で早口に捲し立てた。
「ひたぎ。何なら今すぐ顔にモザイクを入れてアップしてやろうか。モザイク外しなんて今は簡単に出来るから、いつかはお前の事だって辿りつくやつもきっと出てくるだろうけどな! それでいいんだな、お前は!」
結局、ひたぎは僕の恫喝に屈した。
「お願いだからやめて下さい……」と泣き声で言ってきたので、僕は再度同じ事を命令した。十分以内にだぞ、と新しく付け加えて。
「あ、あの……ロ、ロープはともかく、猿轡はすぐには用意出来ないかもしれないわ。だからもう少し時間を……」
そんな言い訳めいた事を言いやがったから、「じゃあタオルでも何でも代わりになるものを持ってこい。少しは機転をきかせろ」と言って、僕は乱暴に通話終了ボタンを押して、会話を終わらせた。
全く。奴隷は黙って僕の言う事に従ってればいいものを。
それはさておき。
今回の件は、僕にとっては良い教訓となった。実際、勢いでどうにか押しきったが、もしも脅しに失敗してたらひたぎは恐怖のあまりバックレてる可能性も十分にあり得た。結構、危険な橋を渡っていたような気がする。
ひたぎに対し、僕に逆らったらどうなるかを徹底的に教え込んだのは今でも間違ってないとは思っているが、その代わりとして、写メの脅しよりも僕にいたぶられる方のを怖がるようになってしまったのは計算外だ。
今はまだ写メの脅しで繋ぎ止めてはおけるだろうが、いつかそれが逆転する可能性も十分にあり得た。つまり、僕にこのままずっといたぶられ続けるぐらいなら、もう写メをネット公開されてもいいから警察に駆け込むという具合にだ。
そうなったら僕は非常にまずい事になる。
かといってあまり甘くし過ぎるのも問題があるだろうし、何より僕のストレスがたまって仕方がない。僕にとって、奴隷は性欲とストレスのはけ口だというのに、これでは本末転倒だ。まるで意味がない。
どうしようか。多少我慢してでも、ひたぎに無茶な命令をさせずにゆるゆると調教していくべきか、それとも写メ以外の効果的な脅しの方法を新たに考え実行するべきか。
そんな事を色々とぼんやりと考えていたら、いつの間にか十分以上経っていたみたいで、ロープとタオルを持ってきたひたぎが公園の入り口に見えた。
ひたぎは今にも泣きそうな顔で荒い息を吐いている。多分、全力疾走でここまで来たのだろう。額には小さな汗が浮かんでいた。久々だったからか、その姿に僕は思わず見蕩れてしまった。こいつは本当に可愛いらしい。
「ご、ごめんなさい……遅くなりました。ホームセンターが混んでいたので……。ごめんなさい……」
ひたぎはロープとタオルを大事そうに抱えながら、僕が座っているベンチの横まで走って来て、今にも泣きそうな顔でそう言った。うつむいたまま、体は小刻みに震えている。どうやら時間内に間に合わなかったので、僕にお仕置きされると思っているらしい。
当の僕はと言えば、そもそも時間なんか計ってすらいなかったし、十分以内に来いと言った事すらひたぎに言われるまで忘れていた。この認識力の差はなかなかに凄まじいと思う。
でも、まあ、ひたぎがお仕置きされると思っているのなら、こいつにはお仕置きしてやらなきゃいけない。それは仕方がない。こいつはそういうタイプの女だからな。ここで許したら、次も許されると考えるタイプだ。それはもう、どうしようもない。
「ひたぎ。お前への罰は後だ。とりあえず、ロープを僕に渡せ」
「ぃっ……。は、はい……」
ひたぎは涙目で、かたかたと震えながら僕にロープとタオルを差し出した。ある程度の覚悟はしていたのだろうが、言う通りにしたのだから許されるかもしれないと心の隅では思っていたのだろう。許さなくて良かったと、僕は心の隅で思う。
ただまあ、僕もそこまで鬼じゃない。とりあえずお仕置きとしては、今のところここで犯すぐらいで我慢してや……待てよ。
そうだ。と、その時、不意に妙案が浮かんだ。
こいつにカタツムリ少女の拉致監禁を手伝わせてしまうというのはどうだろう。そうすれば、こいつは犯罪の片棒を担ぐ事になる。これはひょっとして新しい脅しとしてかなり使えるかもしれない。
もちろん、少し法律をかじっていればわかる事だが、脅されて仕方なくそれを行った場合は、自分における被害と相手における被害によって罪の重さがかなり変わってくるし、無罪になるケースも多々ある。
とはいうものの、実際、そんな事はどうでもいいのだ。要は、犯罪に荷担させる事が大事なのではなく、こいつに罪の意識を植え付けてやる事の方が大事なのだから。
そしてそれは、あのカタツムリ少女が酷い扱いをされればされる程強くなる。人間というのはそういうものだ。自分のせいでこんな事に、と思わさせれば、もう後戻りは出来なくなるだろう。後はこちらで上手く言いくるめてやればいい。それだけでも、十分な効果だ。
「ひたぎ。罰が嫌なら、お前は今から僕のする事を手伝え。その働き次第では、罰に多少情けをかけてやる」
「……は、はい……」
ひたぎは少しだけ目を輝かせて返事をした。相変わらず単純なやつだ。実際、情けをかけるつもりなんて僕には一切ないというのに。
ただ、こう言っておかないと、こいつは罰を恐れるあまり、いきなり逃げ出そうとするかもしれないから、これは必要な言葉だ。希望を与えておけば、その間は大人しく従うというのは、こいつを犯した時に実証済みだ。全く、お前はバカで学習能力がなくて、本当に可愛い奴隷だよ、ひたぎ。
さてと。それじゃあのカタツムリ少女を隠したところに行くか。僕は「ついて来い」とひたぎに命令して、先に歩き出した。ひたぎは僕から三歩分ぐらい下がってその後を追う。
ちなみにひたぎの今日の服装は、黒地のなんかふわふわした服だ。女物の服なんて僕はよく知らないから詳しくは説明出来ないけど、とにかく文句なく可愛い。
そうそう、思い出した。後でパンツとブラもチェックしておかないとな。僕的には、服とは正反対の白色だとかなり萌える。少し透けてるやつならもう蕩れる。実に楽しみだ。
僕がひたぎを連れて公園の茂みの中に分け入ると、幸いカタツムリ少女はまだ気絶していた。僕はまずこいつの口を開けさせると、巻いたタオルを噛ませて首辺りで縛った。これでもうろくに喋れないはずだ。
次に体を軽く起こさせ、両腕ごとぐるぐる巻きに縛る。足首も当然縛る。うん、完璧だ。これで身動き一つとれないだろう。僕は自分で自分を誉めようと思う。僕はすごい。
虚しいだけだった。
よし。とにかく、これで後は、誰にも見つからないように、トイレの個室にでも放り込んでおけばいいだろう。ここだとひょっとしたら誰かに見つかる可能性があるし、それに、他に人が来たらこいつを連れ出しにくいからな。
僕は後ろに立っているひたぎに顔を向けた。
「おい、ひたぎ。お前はそっち側に回れ。二人で向こうのトイレまでこいつを運ぶぞ」
「え、あ、あの……」
ひたぎは驚いたような顔を見せる。まあ、当然か。
「早くしろ。僕を苛立たせるなと言ったはずだ」
「え、だ、だけど……」
「なんだよ。まさか、お前、子供を拉致監禁するのは良くないとか、今更そんな常識的な事を言い出すんじゃないだろうな。言っておくが、ロープとタオルを持ってきた時点でお前も同罪なんだからな。別にこいつを殺したりとかはしないから、さっさと僕の言う通りにしろ」
「あ、えっと……。その……はい……」
?? 何だろう、この違和感は。
……なんというか、だ。具体的にどこがどうおかしいとは言えないが、僕はこの時のひたぎに少し違和感を抱いた。
子供を拉致監禁する事について、もう少し抗ったり躊躇ったりするかと思ったのだけれど、こいつはそれについて何も言わなかったし、それをする事についてもほとんど抵抗がないように見えたのだ。
今もひたぎは、寝ているカタツムリ少女の頭側に来て、僕からの次の指示を戸惑ったような表情ながらもじっと待っている。僕が言うのも何だが、罪の意識とかそういうものがこいつにはないのだろうか?
そう。思えばこいつは、僕がカタツムリ少女を縛っているところを見ても、何も言わず大人しくそれを見ていた。僕を恐れて何も言えなかった、っていうなら、まあ、わからなくもないけど、どうにもそんな感じがしないから不思議だ。仕方なくというよりも、困惑しているみたいな、そんな印象の方が強い。
「なあ、ひたぎ」
「あ……。な、何かしら? 私は何をすればいいの?」
「それはひとまずいい。それよりもお前、ひょっとして子供が大嫌いとか、そんな事あったりするのか? 特にこいつみたいな、生意気そうな小学生女子は」
「……え? あ……そ、そうね……。ええ、子供なんか全員死ねばいいとは思っているけど……」
なるほど。納得出来た。どんな理由かは知らないが、とにかくこいつは子供を憎んでいる訳だ。それなら拉致監禁に対してそれほど抵抗がないのもうなずける。
僕にとって、都合がいいのか悪いのか。
何となく一つ息を吐くと、僕はひたぎに命令を下した。こいつの両脇を抱えるように持てと。
「その……。こんな感じ……かしら? これでいい……の?」
いや、そこは頭と腕だ。何をしてるんだ、こいつは。僕に喧嘩を売ってるのか。
結論。
ひたぎは結局何の役にも立たなかった。それも理系的な意味で。
失念していた僕も僕だが、今のひたぎには重さがほとんどなかったのだ。故に、重い物を持ち上げようとしても持ち上げれないのだ。
例えば、クレーン車。あれは自重よりも重い物を持ち上げる事はまずない。転倒の危険があるからだ。早い話、重みに耐えきれず、バランスを崩して倒れてしまうのだ。
人間のバーベル上げだってそうだ。あれは重みの真下にいるから持ち上げて維持出来るのであって、真横だったら転ぶだけだろう。ひたぎは筋力によってある程度の重さの物なら持ち上げられるが、ある一定ラインを越えると、全く持ち上げられなくなる。自身の体重が軽すぎるのが原因だ。
よって、今のひたぎにこのカタツムリ少女を運ぶ手伝いは出来ない。結局、僕が一人で運ぶ事になり、ひたぎには見張りをさせた。
カタツムリ少女をトイレの個室の中に放置し、更に内側から鍵をかけ、僕自身はドアをよじ登って上から降りた。とりあえずはこれで一安心といったところだろう。
「お前は本当に役に立たなかったな、ひたぎ」
「ごめんなさい……」
震えながら殊勝に謝るひたぎ。その姿にそそられ、僕は早速ひたぎに罰を下す事にした。とりあえず、さっきまでカタツムリ少女がいた茂みに誘い込み、そこでこいつを押し倒した。
「い、嫌っ!!」
突然の事に悲鳴を上げるひたぎ。折り重なって馬乗りの状態になると、僕は早速、拳を振りかざした。
「大声を出すな。騒ぐな、喚くな。次に騒いだら殴るぞ」
「っ!!」
ひたぎはそれだけで、自ら口を押さえ大人しくなった。僕は上げた拳を下げると、代わりに軽く髪を撫でてやった。多少は安心感も与えておかないとな。
「いいか、ひたぎ。お前は遅刻して来たんだから、罰を受けるのは当然だ。おまけに何の役にも立たなかった。こうなったのは全部お前の責任だよ。だから、お前にはこれから少しの間、ここで僕の性欲処理の為に役立ってもらう。いいな」
「ぅっ……」
「いいな?」
涙を滲ませて、僕の顔から目を背けるように横を向くひたぎ。恐らくそれが肯定のしるしだったんだろうが、僕はその態度が気にくわなかったので、再び拳を振りかざした。すると、ひたぎがぎゅっと目を閉じ、喉の奥から絞り出すようにそっと呟いた。
「どうぞ……」
そう。それでこそ僕の奴隷だ。僕はもう一度ひたぎの髪を撫でてやった。この時の僕は、自然と優しい表情になっていたと思う。ひたぎの調教開始に至って、これは幸先の良いスタートのような気がした。
ずいぶんと長くなったが、とりあえずこれでひたぎを犯す準備は全部綺麗に整った訳だ。後はどんな風に犯すかだな。いっその事、調教を加えながら犯してもいい。
ただ、なんと言っても、こいつはこの前処女を失ったばかりだ。あまり無茶な事をしたら逆効果になるかもしれないし、ハードなプレイや調教にはついていけないかもしれない。
世の中、何であれ、物事には段階というものがある。それは調教だって例外じゃない。そういった事を踏まえた上で、これからどう犯すかは慎重に考えた方がいいだろう。ひたぎの様子によっては、途中でやめるというのも一つの勇気だ。焦ったらろくな事がない。
とりあえずだ。まず先に、ひたぎに僕の事をこれから何と呼ばせるかを決めよう。ついでに僕に対しては敬語を使わせるかどうかもだ。別に使わせなくてもそれはそれで構わないから、これはまあ適当に決めよう。
それよりも大事なのは呼ばせ方だ。どんな呼ばせ方がいいだろうか。御主人様? 暦様? それとも普通に阿良々木君にするべきか。ぱっと思い付くのはこの三つだな。よし、このどれかにしよう。
呼び方、安価↓1。三択で
敬語を使わせるかどうか、安価↓2
御主人様ですね
使わせない
よし、決めた。僕の事は御主人様と呼ばせよう。ただ、話し方はこのままでいい。もちろん、舐めた言動をするようなら張り倒すが、とりあえずはそれでいいだろう。
「ひたぎ。まず最初に僕の事を御主人様と呼べ」
ひたぎは一瞬ためらった素振りを見せたが、既に観念しているせいかすぐに諦めたようで、そこは素直だった。
「……はい。……御主人様」
「よし。次に僕が言う事を復唱しろ。私は御主人様の奴隷です、だ」
「……私は御主人様の奴隷です」
「次。御主人様の為に尽くします」
「……御主人様の為に尽くします」
「次。御主人様の命令には絶対に従います」
「……御主人様の命令には絶対に従います」
「次。今から私を使って好きなように遊んで下さい」
「…………」
そこで言い淀んだので、僕はひたぎの髪の毛を掴んで引っ張り上げた。
「ひたぎ、言え。それともまた、逆さに吊るされる方がいいのか」
「痛っ! ご、ごめんなさい……! 言うわ、言うから!」
「言うからじゃない。これはお前が率先して言わなきゃいけない事だ。本当なら、土下座した状態のまま、僕にそうお願いする事だぞ」
「わ、わかりました! だから、お願いします。もう、吊るすとかはしないで! し、しないで……下さい……!」
「じゃあ言え。さっき教えた通り、僕にお願いするんだ」
僕はひたぎの髪の毛を離してやった。下にいるひたぎは小刻みに震えながら、目に一杯の涙を浮かべて、僕の顔を見つめ、やがてゆっくりと口を開いた。
「い……今から私を使って……好きなように……あ、遊んで……下さい……」
よく出来たな、ひたぎ。お望み通りお前で好きなように遊ばせてもらうよ。
僕はご褒美として、ひたぎにそっとキスをしてやった。ひたぎはぎゅっと目を閉じて耐えるような顔をしていたが、僕には関係ない。
ふとそこで気づいたのだが、実はこれが僕のファーストキスだった。願わくばひたぎもそうであったらいいなと、僕はそんな事を思いながら、ひたぎにもう一度そっとキスをした。
これからどうするか、安価↓1から↓3
その中から一つ選びます
服は着たまま下着だけ外させる
もう一度撫でる
ひたぎにできる限りの奉仕をさせる
「それじゃ、ひたぎ。まずは下着だけ脱げ」
「わかったわ……」
意外にも、ひたぎは素直に従った。まあ、服を着た状態から脱ぐ訳だから、裸にされるよりはマシだと思ったのだろう。
ひたぎは軽く背中を浮かせて服の中に手を入れると、ブラのホックを外そうとしばらく僕の下でもぞもぞしていた。瞳は相変わらず半泣き状態だ。なんというか、これはこれで萌える。
やがてブラを外し終えたのか、ひたぎは服の襟から手を入れてそれを出した。残念。白ではなく水色だった。僕は手を出してそれを受けとる。
うん、体温が残っていて生温かい。やったー!
僕はひたぎのブラをしばらくクンカクンカした後、それを丁寧に丸めてーー茂みの奥へと放り投げた。ひたぎが唖然としていてなかなか楽しい。
「何してるんだ。下もだぞ」
「あ、はい……」
ひたぎは少しためらったが、やがてそっとスカートの中に手を入れた。また体をもぞもぞと動かし、少しずつ脱いでいく。
「あの……足を上げないと脱げられないから……」
確かに。僕は馬乗りの体勢から体をずらしてどいてやった。ひたぎは上半身だけ起き上がって、僕に背中を向ける。
「ひたぎ。こっちを向いて脱げ」
「…………」
ひたぎは無言のまま向き直り、僕の目の前でするするとパンツを脱いでいった。恥ずかしくないのか、こいつ? もう少し別の反応を期待していたんだけど、ひたぎは特に隠そうともせず、見られてもまるで構わないような感じだった。あそこが丸見えで何だか僕の方が恥ずかしくなる。
ひたぎはパンツを脱ぎ終わると、脱いだそれを僕の顔の前に持っていって、証拠と言わんばかりに広げて見せる。
「ブラとお揃いなんだな」
「ええ……。その……自分では出来るだけ可愛いのを選んだつもりだったけど……」
そう言って、顔色を伺うようにひたぎは僕をちら見した。そういえば、僕が気にくわなかったらその場でひんむくと言っておいたんだっけ。
「そうだな……。僕的には白色なら百点だったけど、これも悪くはない」
そう言いつつ僕は再び手を広げて出した。寄越せ、という意思表示だ。ひたぎは諦めたかのように、脱ぎたてほかほかのパンツを僕に渡した。僕はそれをまた丁寧に畳むとーー今度はポケットの中にしまった。あわよくば持ち帰って夜のオカズにでもしよう。
「ひたぎ。それじゃこっちに来い。言う事をきいた御褒美に撫でてやる」
「…………」
ひたぎは無言のまま、抱き寄せられるぐらいにまで僕に近づくと、目を閉じ軽く背を反らせて胸を突き出した。体は小刻みに震えている。
「……? 何のつもりだ?」
「……撫でるって言ったから」
「??」
「胸を触るんじゃ……」
……こいつ、バカか。いや、バカに違いない。なかなか面白い勘違いをするバカだ。うん。エロくて最高だー!
とはいうものの。
流石に僕も分別をわきまえるところはわきまえている。じゃあ遠慮なく、とはせず、「違う、頭だ」と言って軽くひたぎの頭に手を乗せ、それから髪を優しく撫でてやった。自分でも驚く限りだが、火憐ちゃんや月火ちゃん以外にも、僕は優しく出来るんだな。
大人しく僕に頭を撫でられるひたぎ。その間ひたぎは目を閉じていたから、表情の微細な変化まではわからなかったが、少なくとも体の震えは止まっていた。
まあ、十五分以上もずっと撫で続けていれば、そうはなるか。僕も僕でよく飽きなかったなと思う。
ついでだから、こいつにもう少し甘くしてやろう。甘くしすぎるのもどうかと思うが、僕自身が今はあまり酷い事をする気がないのだから仕方ない。少し様子見もかねて、こいつに奉仕をさせてみよう。
「ひたぎ」
名前を呼ぶと、ひたぎはびくっと目を開けた。次こそ酷い命令を下されると思ったのだろう。これまでがこれまでだからそう捉えて当然か。
「お前の出来る範囲でいい。僕を悦ばせろ」
「え……」
「一応言っておくが、喜ばせると言っても、性的な意味での悦ばせるだからな。お前だって、多少は知識ぐらいあるだろう。それを僕に実行しろ」
「あ……あの、私が……腐れド変態ーーではなく、御主人様に色々な事をす」
「おい、ちょっと待て。今、何て言った。とんでもない言葉が聞こえた気がしたんだが」
「あ、いえ、そんな! 何も本音なんて言ってないわ! 御主人様の気のせいよ。本当に!」
ひたぎはおろおろおどおどと、文字にすると非常に読みにくい上に「お」が異常に多い様相で、僕に対して必死に弁解を始めた。というか、本音ってなんだ、おい。
百歩譲ってそれが本音だというのは許してやる。千歩譲ってつい口が滑ったというのも許してやらなくもない。しかし、一万歩と二千歩譲って、それを口に出しておいて許してやるというのはいかがなものか。
普段の僕なら、問答無用で気がついた時にはもう殴り飛ばしているところだがーーそう。プロシュートの兄貴の如く、それを口にする前にはもう実行しているーー話が逸れた。つまり要約すると、今の僕は機嫌がいいという事だ。今回は聞こえなかったふりして、我慢してやる程度には寛大な心を持っている。
ただ、この先もこいつがこんな調子だったらそれこそ問題だ。もし、同じ様な事を繰り返すなら、多少は罰を与えた方がいいかもしれないな。
「とにかくひたぎ。お前が僕にご奉仕しろ。上手く出来たらこれから殴る蹴るはやめてやる。いいな」
「はい……」
そう言うと、ひたぎは仕方なくといった感じで僕の肩に両手を置き、それから舌を伸ばして僕の首筋あたりをぺろぺろと舐め始めた。やばい、これ、気持ちいい。
「……こんな感じで……いいのかしら……?」
「ああ。いいぞ。続けろ」
「ん……」
ひたぎは少しずつ箇所を変えて、ぺろぺろと舐め続ける。僕はその度にくすぐったさと気持ちよさの両方から、体が軽く身震いしてしまう。ひたぎの熱い吐息も微かにあたって、それが何とも言えず心地よい。いいなりにさせているというその事自体にも、かなり興奮を覚えた。
僕のものはと言えば、もう完全に大きくなっている。
しばらくそうして首筋をちろちろと舐めていたひたぎだが、僕が急に叩いたりする事はないと判断したんだろう。首筋を伝って舌を上げていき、今度は僕の耳を舐め始めた。
耳は僕にとって初めての体験だが、これもやばい。気持ちよさとくすぐったさから、思わず体が逃げるように動いてしまった。
「あ……ご、ごめんなさい!」
ひたぎが怯えたように謝る。そういう意味じゃないんだ。
「いいから。そのまま続けろ」
「あ……は、はい……」
ひたぎはゆっくりと舌を伸ばし、再び恐る恐る耳を舐め始めた。丁寧に舐めているのがわかる。こそばゆい。ぞくぞくするような刺激がたまらない。思わず鳥肌が立つ。
「もう少し、大胆に舐めていいぞ」
「……はい」
つまり、大胆に舐めろ、という命令にひたぎは素直に従った。耳を唇で挟んでみたり、挟んだまま舌先で舐めてみたり、とにかく耳の裏から耳たぶまでひたぎは余すところなく舐めていった。
段々と僕の息も荒くなっていく。こいつの中にぶちまけたくなってきたが、まだ我慢だ。胸を揉みしだきたくなる衝動にも耐えて、僕はそのままひたぎに奉仕させ続けた。
安価↓1から↓3。次に何をするか
今回みたいに、まとめられるものはまとめます。まとめられない時は、どれか一つを選びます
ガハラさんを喜ばせてあげよう。ひたすら甘い言葉を囁く
ひたぎからディープキスさせる
甘やかす
「ひたぎ。お前って可愛いよな」
僕はそんな言葉をひたぎにかけてみた。考えてみれば、これまで僕は何回もそう思ったけれども、それをこいつに対して直接言った事は一度もなかったはずだ。従順に僕にご奉仕しているのだから、少しは甘やかしてみるのもいいかもしれない。
ひたぎは舌の動きを少しだけ止めると、僕の耳元でぼそりと呟いた。
「そうね。当たり前の事だけど」
そうか、そうか。そういう事を言うか。僕が折角誉めてやったというのに。
少し腹が立ったが、ひたぎはまた黙々と僕の耳を舐め始めたので、そこは我慢した。中断させるのも惜しかったし。
「それにしても、本当にいい女だよ、お前って」
主に都合が、だけど。
「……そう」
ひたぎは無反応だった。僕は我慢してまた誉めてみる。
「正直、僕がこれまで出会った中でお前が一番可愛いと思ってる。スタイルもいいし。何て言うか僕の理想だな。こんな彼女がいたら最高だなと思う」
「…………」
「ひたぎ。僕はお前に会って幸せだ。こんな風にお前が従順に僕の言う事をきくのなら、僕は命をかけてお前を守ろうと思う。嘘じゃない」
「……阿良々木君。いえ、御主人様。……一つだけ、いいかしら?」
「何だ? 一つと言わず、二つでも三つでもいいぞ」
「私はいつまでこうしていればいいのかしら? いい加減、疲れてきてるのだけど」
「…………」
「私としては、もう犯すなりなんなりしていいから、さっさと帰らせて欲しいの。あなたの耳障りな声も聞きたくないし、あなたの顔を見るのも吐き気がする。まして、舐めるなんて鳥肌が立つぐらい気持ち悪いの」
「…………」
「あなたが私の事を大事にーー奴隷として大事にという意味でしょうけど、もし、本当にそう思っているのなら、早く出すものを出して私をここから帰らせてくれないかしら。それが私にとって一番ありがたい事なのだから」
「ははっ。お前は本当にいい奴隷だよな、ひたぎ」
僕はそう言うやいなや、服越しにこいつの胸をわしづかみにしてやった。
「痛っ!!」
「ひたぎ。どうも忘れているみたいだから、思い出させてやる。僕になめた口をきくとどうなるか、これまでお前は散々味わったはずだよな。それをもう一度再現してやる」
僕はもう片方の手で髪の毛をぐいと掴む。それから引きちぎっても構わないぐらいの気持ちで思いきり下に引いた。
「いぐっっ!! ご、ごめんなさい、ごめんなさい!!」
「もう遅い。お前に対しては、もう一回躾をする必要がありそうだ。二度とそんな生意気な口がきけないように」
「嫌っ! や、やめて! ごめんなさい、ごめんなさい、私が悪かったから! もう御主人様に失礼な口をききませんから! だから許ーーうぐっ!」
僕は問答無用でひたぎの頭を地面に押し付けた。本当に懲りない女だ、こいつは。強気すぎるのもどうかと思う。
さて、どうしたものか。このまま、また小一時間ぐらいひたぎをいたぶってやりたいところだが、今日は流石に場所が良くない。
なにせ公園の茂みの中だ。いつ誰に見つかったとしてもおかしくはないからな。
もちろん、こいつの口を塞いで縛り上げる事ぐらいは何とか出来るだろうが、それでも多少は声が漏れる訳だし、音をあまり立てないようにいたぶるのは難しい。
あまりに状況が悪いな。
本当だったら、この後、ひたぎにディープキスでもさせようかと思っていたが、そんな気分ではなくなってしまったし。
ただ、ここまでで一つはっきりとわかった事としては、こいつを甘やかすとつけあがるばかりだという事だ。もう少し調教を重ねてからならともかく、今は甘やかすとろくな事にならないだろう。最初に思った通り、こいつは今のところ生かさず殺さずがやはりベストだ。
とにかく、僕はもうそんな気にはなれなくなってしまっていた。僕のものもすっかり萎えている。それに、カタツムリ少女もずっとあのままにしておく訳にはいかないだろう。そろそろ気がついてもおかしくない頃だ。
とりあえず、ひたぎに反省の意味で何かさせるか、あるいは音を立てないように仕置きをするかして、今日のひたぎの調教はこれで終わりにしておこう。それからカタツムリ少女のところにでも行くか。
安価↓1。どうするか
カタツムリ少女をひたぎに調教させる、出来るなら安全な場所で
ひたぎには見えないでしょ
怪異の件が解決してないから見える筈なんだよな~
見えないからいいんじゃないか(ゲス顔)
「あぐっ!! ゆ、許して下さい、御主人様! 何でもしますからっ!」
僕の足下でひたぎがそんな事をわめいてる。どうするか考える前に、とりあえず先にこいつの口を塞いでーーいや、待てよ。
「ひたぎ。今、お前、何でもするって言ったな」
「し、します! するわ、させて下さい! だからっ!」
なるほど。それならいっその事、こいつにあのカタツムリ少女の調教をさせてしまおう。これはひたぎへの脅しにも使えそうだし、僕はその間、安全な場所で見てもいられる。いい事だらけだ。
それに、調教するところを見ているというのも楽しそうだ。
うん。僕は確信する。これは名案だ。
「それならひたぎ。さっき拉致監禁した、小学生ぐらいの女の子がいただろ」
頭をおさえつけている腕の力を多少緩めてひたぎにそう尋ねる。ひたぎは一瞬の沈黙の後、「え、ええ。いたわ……」と苦しそうな声を出した。
「そいつをお前が調教しろ。それがお前への罰だ。もちろん、上手く出来なかったらお前には変わらず罰を下す。いいな」
「……調……教?」
「そうだ。あいつを僕の奴隷にする。言ってみれば、お前の後輩だ。お前は子供嫌いだから、調教するのに何の抵抗もなくて丁度いいだろ」
「あの……! でも、わ、私……!」
「黙れ」
僕は顔をもう一度ぐいっと地面に押し付けてやった。ひたぎがうめいた声を出す。
「い、痛いっ! やめて……! やめ、やめて下さい……! します……から……!!」
そんな事は当たり前だ。僕の命令は絶対だ。いちいち手間を取らせてくれる。本当に面倒くさいやつだな。
僕はとりあえず忠誠の証として、ひたぎにその場で土下座をさせ、
「……に、二度と御主人様には逆らいません、失礼な口をきいて申し訳ございませんでした」
と謝らせた。
まあ、これぐらいで許してやろうと思う。僕も甘いとは思うが、これからひたぎにカタツムリ少女を調教させるのだから、あまり痛めつける訳にもいかなかったからな。
出来る事ならその内、自分から股を広げて、御主人様のものを下さい、欲しいんです、とエロゲ並におねだりするぐらいにまではひたぎを調教したいところだが、どうやらそうなるまでにはまだまだ先が長そうだ。
仕方ない。それまでの経過をゆっくり楽しむつもりで気長にいこう。
「それじゃひたぎ。早速行くぞ」
僕は周りを確認してから、茂みの外へと出た。未だに公園には誰もいないし、来る気配すらない。非常に助かる。
「はい……」
ちなみにひたぎの顔や髪の毛には、押し付けた時についた土や砂がところどころまだついている。僕が命令して、それを払う事を禁止させたからだ。お前にはその方が似合ってるぞ、ひたぎ。
「ああ、そうだ。そこらの茂みにお前のブラとリュックが落ちてるはずだから、それを探してから来い。ブラは着けずにそのリュックの中に入れとくんだぞ。リュックはそのまま隠しておけ。いいな」
「はい……」
僕はそう言い残して、さっさと先に歩き出した。多分、僕の後ろでは、ひたぎがまた泣きそうな顔で、おまけに土や砂で汚れた顔でそれを探しているんだろうな。その事を想像すると、僕は少し興奮する。
さて、あのカタツムリ少女はどうしてるかな……。
僕が公園のトイレの中に入ると、本当にかすかにだが、「ぅ……」という声が聞こえてきた。ああ、やっぱり気がついていたのか。
僕はカタツムリ少女を隠した個室の前に立つと、ドアをよじ登って上から覗いてみた。
カタツムリ少女と目があった。
「……ぅぅ!!」
うん。こいつは何かを必死で訴えている。全く聞こえないけどな。
カタツムリ少女は相変わらず生意気そうな目つきで僕を睨んできやがった。つまり、誰に何をされたかは、ある程度把握出来ている訳だ。説明の手間が省ける。
もちろん、するつもりもないけれど。
そこで、ふと思い出したんだが、こいつ迷子なんだよな。まだ夕方にもなってないから、多分、親は探す事すらしていないだろうけど、流石に夕方を過ぎるとそうもいかないか。
それに最近はGPSだとか、そんなものまである。縛りあげた時に携帯だとかの確認を怠っていたのは完全に僕のミスだったか。今からでも遅くはない。先にそれだけ確認しておくか。
僕はそのまま中に降りると、丁寧にこいつの体を調べあげ始めた。そのついでに胸も存分に揉んでおいた。多分だけど、こいつのファーストタッチを奪ったのはきっと僕だろう。別にたいして嬉しくもなかったが、カタツムリ少女が嫌がるように体をくねらせるのには少し興奮を覚えた。
改めてもう一度言う。僕はただの変態ではなく、誇り高き変態だ。揉む事が大事なのではなく、揉まれる事によって生じる反応の方がより大事なのだ。特にあどけない少女の場合であれば尚更だ。ぐへへ。
こうして散々こいつの体をまさぐった結果。
わかった事は、こいつは携帯だとかの通信機器を今持っていない事、子供パンツを履いている事、そこそこの発育をしているという事だ。
その中で重要なのは、甲乙決めがたいが、あえて言うならば最後だ。某週刊少年漫画雑誌に連載中の、タイトルが二つの英単語の繰り返しで成り立っている、休載期間とその回数なら恐らくダントツで一番多いであろうその漫画の中に出てくる奇術師の言葉を借りるのなら、青い果実ってのはどうしてこうも美味しそうなんだろうかねえ。思わず涎が出るじゃないか、ははははは、じゅるり。
可愛いなあ、こいつは可愛いなあ。ぺろぺろ、ちゅっちゅっ。きゃっほーい!
僕がこいつに色々な事を、具体的には放送コードに引っ掛かりそうな事を幾つもすると、その度にこいつは体をくねらせて心底嫌がってくれる。もう楽しすぎて楽しすぎて理性とパンツが吹っ飛びそうだ。
「いいぞー、いいぞー。最高だな、お前は! もっともっと触らせろ、舐めさせろーっ!」
「ぃぅーーーーーっっ!!!」
しばらくお待ち下さい。
只今、大変お見苦しいものが流れております。
しばらくお待ち下さい。
ふう……。さてさて……。
何だか既にへろへろになっているこいつをとっととひたぎに調教させないといけないな。
というか、ひたぎのやつ、少し遅すぎないか。あいつは一体、何をしてるんだ。
僕は少し不安になったので、またドアをよじ登りそこから外へと降りた。トイレから出て、辺りを見回す。
ひたぎの姿がどこにも見当たらない。
おい、まさか、あいつ逃げたんじゃ……。
結果から言うと、ひたぎは逃げてなんかいなかった。ひたぎは茂みの中にまだいた。隠れて見えなかっただけだ。正直、かなり焦ったじゃないか。心臓に悪い。
「ひたぎ。お前、何してるんだよ。トイレに来いと言っておいたはずだろう」
普段の僕ならもうそれだけで蹴飛ばしているところだが、今は焦りから心臓がばくばくいっているので、そんな事を思いつく余裕もなかった。ただ、そう尋ねただけだ。と言っても、それだけでひたぎはびくっと震えるのだが。
「ご……ごめんなさい。その……リュックがどこにも見つからなかったから……」
そんな事を言うひたぎのすぐ隣には、リュックがちょこんと存在を主張していた。つまり、今、見つけたという事か。
「それなら、さっさとその持っているブラをリュックの中にしまえよ」
「……いえ。だから……その……。リュックが見当たらなくて……」
なるほど。そうか、そういう事か。
「つまり、お前は僕に喧嘩を売ってるんだな」
「ち、違うわ! 違います! 見つけられなかったのは謝るわ。私が悪かったの。謝ります。……どうか許して下さい、御主人様」
そう言うと、ひたぎは地面に額をつけて再び僕に土下座をした。段々、土下座慣れしてきてないだろうか、こいつ。気分は悪くなかったので許す事にはしたけど。
「もういいから、早くそれをしまえよ」
僕はめんどくさくなってきたのもあって、ひたぎの土下座をやめさせた。しかし、土下座が様になる女だな、と改めて僕は思う。
「でも……リュックがまだ見つからなくて……」
まだ言うのか。
とりあえず、僕は挨拶代わりとして一発ひっぱたいてやった。「っ!」っとひたぎが声にならない声をあげる。悲鳴を上げなかったのだけは誉めてやる。
「早くしろ。リュックはそこにあるだろ。それをさっさとしまえよ」
「?? ……ここに……?」
そこ以外のどこにあると言うんだ。ひょとしてこいつの目は節穴なんだろうか。それともやっぱり僕に喧嘩を売っているのだろうか。
ひたぎは何故か困惑しきった表情をしていた。はて、この表情を僕は前にも見たような気が……。
「あ、あの……御主人様……」
「何だよ」
「その……怒らないで聞いてほしい事があるの……。どうかお願いします。聞いて下さい……」
「怒るかどうかは僕が決める事だ。お前が指図をする事じゃない」
「…………」
「それで、何だ。さっさと言え。早く言わないと、確実に僕は怒り出すぞ」
「う……あ、あの……私……」
ひたぎはそこで一瞬ためらったが、やがて意を決した様に僕に瞳を向けた。
「私には……御主人様が、そこにあると言うリュックが、まるで見えないの……」
「…………」
どういう事だ? リュックが見えない?
まったく全体どこからどういう風に捉えても、僕はこいつの言っている事がまるで大宇宙の真理でもあるかのごとく、途方もなく皆目皆無に理解できなかった。何かの比喩としての「見えない」という事なのだろうか。
「それだけじゃなくて……」
ひたぎはうつむきながら、ぽつり、ぽつり、とこぼす。
「さっきの小学生ぐらいの女の子も、私には見えなかったの……。見えないって言ったら、御主人様に怒られそうで怖くて……だからその……言えなかったのだけど……」
「…………」
何なんだろうな、これ。つまり、あれか。調教をするのが嫌でこいつはこんな嘘をついているという事か。いや、それとも……。
怪異。
という可能性もなくはない。ひたぎは蟹の怪異に依然として遇ったままだし、こいつの精神状態は今かなり不安定だ。ひょっとして、何かしらの別の怪異に出会っていたとしてもそれほど不思議という訳じゃあないが……。
仮に、もしそうだったとしたら、流石にそろそろ忍野のところに行ってこいつの怪異をどうにかしてやらないといけないな。日常生活に支障が出なければ問題ないけど、見えないものが出てくるというのは、流石にまずい気がする。
とはいえ、今、こいつの怪異をーー蟹を取り払ってもよいものかどうか。蟹の事については黙っておいてもいいが、忍野は勘も鋭いところがある。ひたぎの様子を見て、ひょっとしたら、何か勘づくかもしれない。
どうしようか。
安価↓1
取り払う
少し考えた挙げ句、結局、僕はひたぎの怪異ーー蟹も含めて、それを取り払ってやる事にした。とはいえ、するのは僕ではなく忍野なんだけどな。
ひたぎは僕の奴隷だし、これからも調教していかなきゃいけない。ここで使い捨てるというならともかく、そうでないのならある程度は面倒も見てやるべきだろう。
「ひたぎ、お前にもう一度尋ねるけど、本当にそのリュックが見えないんだな?」
「ええ……。全く……」
仕方がない。忍野のところに連れて行こう。
と、そこまで考えた時、あのカタツムリ少女の事を失念していた事に気がついた。あいつ、どうすればいいんだろう。あのまま拉致監禁しておくのは少しまずい気がする。かといってあの格好のまま連れていくのはよりまずい。すぐに警察に通報されてしまう。
ひたぎだけを忍野のところに行かせればそれで済む話なんだが、ひたぎは忍野と会った事がないから、やっぱり僕が連れていかないと駄目だろう。これはアウトだ。
となると、僕だけ忍野のところに行って、その間、カタツムリ少女はひたぎに監視させておくか。そうも思ったが、これはこれで危険な気がする。今、ひたぎについている怪異がどんな怪異かは知らないが、影響のあるものの側においておくのは良くないだろう。
どうしようか。何だか今日の計画が段々と破綻してきたぞ。本当だったら、ひたぎの調教をした後、あのカタツムリ少女を奴隷化させる予定だったのに。今となってはあのカタツムリ少女は邪魔でしかない。
もういっその事、あいつの奴隷化は諦めてやり捨てるだけにしてしまおうか。いや、それだと後が少し怖いな。少なくとも何らかの形で口封じだけはしておかないと。
本当に参ったぞ。一体、どうすればいいんだ、僕は。
安価↓1から↓3。ただし、行動に無理が出たらスルー
ひたぎに見えないのなら半吸血鬼である自分にしかあの少女は見えていないのかもしれない
気にせずロープで縛り口はさっきのタオルで塞いで引きずって忍野の所へ行こう
ひたぎもついでに連れて行く
放置する
とりあえず恥ずかしい写メを撮って、弱みを握るため会話で探りを入れる
とりあえず、恥ずかしい写メを撮っておくか。ひたぎの時と同じでワンパターン気味だけど、これが一番効果的だ。だからこそワンパターンになるんだろうが。脅しの王道だな、これは。
「ひたぎ。お前、ちょっと待ってろ」
僕はそう言いつけて、いや、待てよ。
「ひたぎ。やっぱりお前はこっちに来い。お前はまた見張りだ」
「…………」
「返事をしろ」
「はい……」
僕はひたぎにそう言いつけ、それから再びトイレへと戻った。誰か公園に来たら、すぐに僕に報告するようにと釘を指し、個室の中へとまた上から入る。
「ぅぅーー!!」
カタツムリ少女は相変わらず僕の事を敵意むき出しの目で睨み付けていたが、今は放っておこう。この後、ひたぎを忍野のところに連れていかないといけないからあまり時間をかけたくはない。
「ぅーっ!!」
僕は嫌がるカタツムリ少女を完全に無視して、縛っているロープの隙間をまず作り、それからこいつの服のボタンを一つずつ外していった。
「ぅっ!! ぅーっ!!」
やがて、白色のお子様ブラが顔を見せる。ちょっとした膨らみが嫌でも僕を興奮させるなあ。
僕はカタツムリ少女を片手で壁に押さえつけながら、背中へと手を回してブラのホックを外した。それから肩紐に手をかけ軽く引っ張る。
「ぃぅーーーっ!!」
ブラがぽろんと外れて、小さな膨らみが出てきた。なんかもうたまらない。こんな事をしている場合じゃないというのはわかっているけど、僕はついついそこに顔を寄せ、乳首に吸い付いた。
「ぃっ! ぅーーーっ!!」
口の中に頬張り、乳首をころころと舌で転がす。たまに強く吸いもした。カタツムリ少女は唯一動かせる頭を激しく振って嫌がったが、逃げられる訳がない。諦めろ。
これはもう、ひたぎを無理矢理犯した時とはまた違って、僕にとっては完全に新しい種類の興奮だ。ちっぱいとロリ少女がこんなにも僕を興奮させるとは。
僕はある程度満足したところで乳首から口を離した。僕のよだれでてかてか光っている乳首を今度は手で弄びながら、もう片方の手でスカートをまくりあげる。
先程確認したお子様パンツだ。今度はその中身を確認しないとな。
「ぅぅっ!! ぅぅぅっ!!」
カタツムリ少女は、なんかもう、涙目になってきてる。それでも暴れる元気の良さがいいな。凌辱しているという気分が出る。僕はその表情を眺めながら、パンツを下へとするりと引き下ろした。
「……へえ。毛は生えているんだな」
「ーーーっ!!」
とは言っても、まだ大して生えてはいない。これもぷにぷに触ってこいつの反応を見たいところだけど、とりあえず、まずは先に写メを撮っておこう。
僕は携帯を取り出すとこいつの撮影会を始めた。ひたぎの時と同じで、まず全身を何枚か撮り、それからおっぱいとあそこのドアップを何枚か。カメラの音消しはしてあるから、全く音はしない。
「ぃぅっ!! ぅぅっ!!」
何かわめいているが、僕の知った事じゃない。それに、外に出る声はほんのわずかだから、トイレの中にでも入らない限りまず聞こえる事はないだろう。
はっはー、残念だったな、カタツムリ少女。これでお前は完全に僕のものだからな。これからは奴隷第二号として色々と可愛がってやるよ。楽しみにしていな。
さて、ひとまずこれで良しと。僕は携帯の画像フォルダを確認した。実によく撮れている。
それじゃ、早速こいつに色々と聞いていくか。
「おい、お前。これからお前の口に挟まっているタオルを取ってやる。ただし、大声は出すなよ」
僕はしっかりと一言一言丁寧に言葉を繋いでいった。ここで、失敗する訳にはいかない。
「いいか。大声を出したら、お前のこの恥ずかしい写メをネットにアップする。それに、今お前は動けないんだから、もし大声を出したら、今のお前の状態を必ず誰かが見る事になる。誰かにイタズラされた後ってのが明白にわかる状態をな」
「ぅ…………!」
「その点、僕は誰かが来る前に逃げればいい。まるで僕に害はない。つまり、それをすると、結局、お前はネットに写メをアップされ、ずっと恥ずかしい思いをする事になるだけだ。僕に損は全くないけど、お前にとっては損しかない。わかるな?」
「…………」
カタツムリ少女は涙目のまま、悔しそうな顔を見せていた。よし、これなら問題なさそうだ。
そう判断した僕は、こいつにくわえさせていたタオルを外してやった。
結果的に、その僕の判断は大間違いだったのだが。
「たーすけーてー!! 誰かーっ!! 誰か助けてくださいーっ!! 犯されますーっ!!」
「なっ!? このバカッ!!」
瞬間的に僕はこいつの腹を思いきり殴り付けた。「ぐえっ!!」とカタツムリ少女が再び呆気なく気絶する。すぐさま僕はタオルをもう一度こいつの口にかませた。くそっ! くそっ! 僕がこんなミスをするなんて! タオルを外すべきじゃなかった!
「あの……御主人様……」
コンコン、というノックと共にひたぎの声がドア越しに聞こえてきた。まずい。誰かにこいつの悲鳴を聞かれたのか。
「今、羽川さんが公園に……。何かを探しているみたいにきょろきょろ辺りを見回しているのだけど……」
「羽川!?」
まずい。これは、かなりまずい。どれぐらいまずいかと言えば、警察が六十人ぐらい来てこの公園を徹底捜索する次ぐらいにまずい。
羽川翼。
こいつは、ある意味では忍野よりも遥かに警戒しなくてはいけない存在だ。あまりに頭が良すぎて、色々な事を何でも調べ上げてしまう。おまけに、決断力、判断力、洞察力、その全てをかなり上のレベルで兼ね備えている超人だ。あの忍野でさえ、羽川を警戒している節があるというのに。
とにかく、この事態をどうにか乗り越えないと僕は身の破滅だ。これから僕はどうするべきか。
安価↓1から↓3。行動に無理があるのはスルー
ひたぎに仮病の演技をさせて羽川に家まで連れ帰させる
ひたぎにはうまくいかなかったらどうなるか分かっているなと念押し
ひたぎとデートしている体で羽川に話しかける
ひたぎに誤魔化させる
「羽川さん、さっき阿良々木君の家の方角から悲鳴が聞こえたのだけれど、なにかあったのかしら」
まつ
あげ
期待化
よし。こうなったら、ひたぎにどうにかさせるしかない。こいつは僕の奴隷なんだから御主人様の為に役立たせるべきだ。怪異の事は少し気になるけど、今はそれどころじゃないしな。
「ひたぎ。お前、病気の振りをして羽川の注意を自分に向けさせろ」
「え……」
「お前は病弱って事になってるだろ。だから、病気の振りをするんだ。それで羽川を自分の家まで送らせろ。いいな」
「…………」
「返事をしろ。いいな? 上手くいかなかったらどうなるかぐらい分かるだろ」
「……はい」
ひたぎは曖昧な表情ながらもうなずいた。まあ、元々ひたぎは家に帰りたがっていたから、何であれ帰れるなら、と思ったのだろう。
「じゃあ早く行け。絶対にこいつの事は言うなよ」
「……ええ。わかったわ」
その後、ひたぎと羽川の間でどういうやり取りがあったかは、ずっとトイレに隠れていた僕にはわからない。
ただ、それから何分か経った後、ひたぎからこんなメールが来た。
『羽川さんと今、家に向かっています』
どうやらひたぎはうまくやったみたいだ。けど……。
僕は失神しているこのカタツムリ少女を眺める。全くめんどくさくて叶わない。今は気絶しているからいいが、起きてタオルを取ったら多分こいつはまた騒ぐだろう。
写メの脅しが効かないなんて、本当に大したやつだよ、お前は。単なる馬鹿ともとれるけれど、厄介な事には変わりがない。一難去ってまた一難というより、一難片付いて残り一難というところか。こいつの後始末さえ出来れば後はどうにかなるんだろうけど。
参ったな。
こいつの口さえ塞げればいいんだけど、何かいい方法はないだろうか。と、そんな思案に僕はふけっていた。
結論からいけば、そんな思案はどうでもよかった。
しばらくトイレの中で考え込んでいたら、いきなりコンコンとドアをノックする音が聞こえたからだ。冗談ではなくかなり本気の部類で、僕は心臓が口から飛び出すんじゃないかと、それぐらい驚いた。
「…………」
もちろん、ドアノブには鍵がかけてある。仮に回されたとしても開く訳もない。僕はその間、息を殺してひたすらじっとしていた。
……いや、待て。一応ノックを返した方がいいかもしれない。もしも清掃の人だったとしたら、鍵が壊れてると思うかもしれないからな。僕は若干震える手で軽くノックを返した。
「…………」
やや間があって、ドア越しの人物は横の個室を開けた。そして、次にその横の個室も。何故だかわからないがとてつもなく悪い予感がした。
ドア越しに小さな囁き声が聞こえる。何を言ってるのかまでは聞き取れない。
それから少しして、もう一人誰かがトイレの中にやってきた。足音からして、一人のはずだ。再び小さな囁き声。そして、もう一回ドアをノック。
「用を足してるところすみません。こちら○○警察署の者なんですがね」
警察っ!?
「ちょっとお訊きしたい事があるんで、出来るだけ早く出てきてもらえないですか」
おい! 待てっ! どういう事だよ、これは! 何で警察がここに来るんだ!?
ひょっとしてひたぎが通報したのか!?
それとも、このカタツムリ少女の親が捜索願いでも出したのか!?
頭の中では色々な疑問が沸き上がったし、体からは冷たい汗が次々と流れ落ちた。
だが、そんな事は今はどうでもいい。とにかく今ここを開ける訳にはいかない。開けたら最後。僕のこれまでの散々な人生もここで終わってしまう。
「すみませーん。聞こえてるんでしょう? 早く出てきてくれませんか?」
黙秘。も一応考えたが、今の状況でそれはまずいと思った。不審に思って中を覗かれたら終わりだ。僕はほとんど反射的に声を出した。
「お……お腹を壊してるんです。だから少し外で待っててもらえませんか。落ち着かないので」
「…………」
返事がない。
背中からは嫌な汗が滝の様に流れ落ちていった。
また囁き声。そして……。
「すみませんがね。こちらもあまり時間がないんで。あと一分経っても出てこられない場合は、悪いですけど中を覗かせてもらいますよ」
いやいやいやいやいや、おかしい、それはおかしい!
「まあ理由を言うとね。通報があったんですよ。こちらの公園で女の子の悲鳴が聞こえたってね。聞き間違いかもしれないとは言ってましたけど、もし本当なら大問題ですからね」
って事は羽川か!? ひたぎを送る前にあいつ通報してたのか!?
「そういう訳でしてね。事情を理解してもらえたならそこのドアを開けて欲しいんですよ。少しの間だけでいいですから。ぱっと開けてぱっと中を見せてもらえたら、私たちも帰りますし」
それが出来ないから僕はこうしてこんなに困っているんじゃないか! くそっ! 羽川のやつ、なんて余計な事を! やっぱりひたぎに任せるんじゃなかった!
僕はその後、千の言葉と万の単語を並べて必死に抗ったが、警察官二人は聞く耳なんて最初から持ってなかったようで、予告通り一分待った後、隣の個室から仕切りを登って中を覗いた。
そして、恐らくひどくきょどきょどしていた僕と目が合った。
終わった。終わった……。こいつの姿を見られてしまった。
こうなったらこの二人をどうにかして口封じしてやろうと、僕はかなり危険な考えを巡らせていたのだが……。
僕にとっては思いもつかない意外な台詞が上から来た。
「……あ、いや、失礼。ですが、一応これも仕事なんでね」
ばつの悪そうな顔で、するりと仕切りから降りる警察官。横の同僚がむしろ戸惑ったような声を出す。
「何もなかったのか?」
「ええ。確かに一人でした。持ち物もなく、特に不審な点も」
「そうか……。いや、失礼しました。では、私達はこれで……」
そう言って去っていく足音二つ……。助かった……のか? 何がなんだかよくわからないけど……。
僕は隣でまだ失神しているカタツムリ少女を眺めた。そういえば、ひたぎもこいつの姿は見えないって言っていたよな…………。
その後の事を少し話すなら、僕にとってはかなり不快な出来事しかなかったと先に言っておこう。
「では、私達はこれで……」なんて事を言っていた警察官だが、僕が外の様子を確認する為にトイレから出ると、そこで二人とも待ち構えていた。
そして、任意同行とは名ばかりのままパトカーの中に連れていかれ、そこで事情聴取という名の尋問を受けた。この日以来、僕は警察という組織を一切信用しない事を固く心に誓っている。
僕が事情聴取を受けている間、もう一人の警察官は姿を見せなかった。これは推測だけど、トイレの中をもう一度調べていたんだと思う。つまり、警察は僕の言う事なんか一ミリグラムも信じていなかった訳で、そして彼ら二人の目には僕は不審人物としてしか映ってなかったという訳だ。
人を疑うのが商売とは、よくぞ言ったものだと本気で思う。
その間、カタツムリ少女は相も変わらずトイレで縛り上げられていたのだが、これは奇妙な事にも発見されなかった。茂みに隠しておいたあいつのバッグもだ。なんというか、こうまで来るとあいつを見えるのがまるで僕だけみたいじゃないか。
……本当にそうかもしれないな、とそんな事を思った。
今回の一件で僕にとって幸いだったのは、持ち物検査をされなかったという事だけだろうか。
携帯の写メはもちろんの事、僕のポケットの中にはひたぎのパンツが入っていたから、これは見つかったらかなりめんどくさい事になっていたはずだ。言い訳もきっと通用しなかっただろう。
「だから、さっきから言ってるじゃないですか! ツーリングの途中でたまたま公園に寄って、それでお腹が痛くなったからずっとトイレに引き込もっていたって!」
「母の日にツーリングねえ……」
言っておくが、母の日は関係ない。断じて、ない。
そういったろくでもない想い出を五個ほど作った後、ようやく警察は僕の身柄を解放し去っていった。
具体的にはパトカーから僕を下ろして、頭一つ下げずに帰っていった。
「捜査協力、御苦労様」
はっきりと言っておくが、僕は彼らに協力した覚えなんか何一つない。その言い草にあまりにも腹が立ったので、僕は近くの電柱を殴りつけてやろうと拳を振りかざした。
「どうしたの? すごく怖い顔してるよ」
不意に横から声をかけられた。見ると、羽川がいつのまにかそこにいた。
「今度はびっくりした顔になったね。でも、その方が阿良々木君らしいかな。ふふ……」
羽川はにこやかに僕に笑いかける。普段なら眩しすぎるぐらいの笑顔だが、今はそれが逆に腹立たしい。
「ところでさ。何かあったの? 阿良々木君がパトカーから降りるところを見たけど」
「何でもない。誘拐犯だと疑われて、今、疑惑が晴れたところさ」
「それって結構すごい事だよね? でも誘拐犯って……。あ、ひょっとしてあれかな?」
「……何か心当たりでもあるのか?」
「うん、まあね。ちょっと前にここを通ったらさ。小さな女の子の悲鳴が聞こえた気がしたから。だから一応警察に通報しておいたの」
やっぱりか……。本当にこいつだけは侮れない。
「だけど、この公園にいた戦場ヶ原さんには聞こえなかったって言っていたから……やっぱり私の空耳だったのかな。阿良々木君には悪い事しちゃったね」
「全くだよ。おかげでこっちは三十分以上尋問された。たまたまここのトイレにいただけなのに」
「ごめんね、阿良々木君。今度、何かお詫びでもするよ。例えば……勉強を教えるとか」
冗談めいた口調だったけど、あいにく僕はこいつの口から冗談を聞いた事は一度もない。つまり、本気なんだろう。三十分の不当な束縛の対価として、代わりに勉強を教えるというのは、羽川からしたらいささか割に合わない気もするが……。
ただ、羽川の場合、僕の様な人より劣っている人間を世界で一番可哀想な人間だと思い込んで、それを助けるのが当たり前だと考えている可能性もある。
もしそうだとしたら、とんだ傲慢でしかないのだが、しかしこれは何かに利用できそうな気がしないでもなかった。
「……お詫びはいいよ。僕の運が悪かっただけだ。ただ、もしも僕が困った事になったらその時は少しだけ助けてくれるとありがたい」
ちょっと考えた上で僕はこう返事をした。利用出来るものは徹底的に利用すべきだ、が今の僕のポリシーだ。こういう約束を取り付けておけば後々何かの役に立つかもしれない。例えば、羽川を僕の性奴隷にする時なんかに。
「それでいいか?」
「うん。いいよ」
羽川は快く承諾してくれた。もちろん性奴隷になる事の方ではないが。
この後、僕は羽川と少し他愛もない話をして、それから用があると言って羽川とは別れた。
公園にはまた僕一人。
正確には僕とトイレで監禁されているカタツムリ少女の二人だが、パッと見は僕一人だ。
「……忍野に電話をしてみるか」
僕は携帯を取り出し、忍野の番号を呼び出した。
カタツムリ少女の事について僕は聞きたかった。あれは多分……。
怪異だから。
続く
乙
「うーん……どうだろうねえ、阿良々木君だけに姿が見える怪異ってだけじゃあ何とも言えないけどさ」
あくび混じりの声で忍野は眠たそうに答える。その態度に多少のいらつきは覚えたものの、電話一本で済まそうとした負い目もあって、僕もあまりそれを強くは言えない。
「ただまあ、本人が蝸牛の迷子だって言うならさ。多分、迷い牛だよ。保証は出来ないから近付かない方が無難だけどね」
「それはまあ、わかる」
「随分と素直になったもんだねえ、阿良々木君も。いや、自分の欲望に素直になったと言った方が正しいかな」
「…………」
相変わらず鋭い。そして、気に触る事を平気で言うやつだ。僕は舌打ちを噛み殺して、我慢強く忍野に訊ねた。
「それで、その迷い牛とかいうのはどういう怪異なんだ? 何か僕に害はあるのか?」
「ないよ。全くない。ついていかなければ、完全に無害だね。ついて行くと永久に迷う事になるけどさ」
「ついて行く?」
「そう。前の阿良々木君のように親切心を出してしまうとね。放っておけばいいものを、助けようとして痛い目に遭う。君はその事をあの時に学んだんじゃないのかい?」
……電話を切ってやろうかと僕は本気で思った。
とにかくまあ、そうやって僕は忍野から聞くだけの事を聞いた。つまりあいつは幽霊とかの類いで、イコールそれは人権がないって事だ。人権がないって事は奴隷同然という事で、早い話、僕が何をしようと構わないって事だろう。
なんて都合のいいやつだ!
僕は心の中で歓喜しつつ、口では忍野に感謝の言葉を述べつつ、頭の中ではあいつをこれからどうするかを考えて期待と欲望を膨らませつつ。
電話を切った。
しまった。ひたぎの事を話すのを忘れていた。
僕は慌てて電話をかけ直し、その事を忍野に伝えた。忍野は特に気にした様子もなく、あっさりと了解した。実はめんどくさかっただけなんじゃないか、あいつ。
さて。
これからひたぎを忍野の所へと連れて行かないとな。
カタツムリ少女に関してはもうそのまま放置しておこう。どうせ誰にも見つかりはしないだろうし、見つかったところでどうという事はないのだから。
僕は携帯をまた取り出し、今度はひたぎに電話をかける。さて、どうしようか。ここにもう一度呼び出すか、あるいは僕があいつの家に行くか。
確か、羽川の話だとひたぎは金持ちで立派な家に住んでいるらしいからな。押しかけて事のついでに調教してやってもいいだろう。
が、そこまですると、あいつも精神的に追い詰められて突飛な行動に走る可能性もなくはない。まだ完璧に従順だという訳でもないからな。
とはいえ、今日はろくな事がなかったし、僕はカタツムリ少女にもひたぎにも羽川にも何も出来ず、つまり完全に不完全燃焼状態だ。ややこしい言い方だけどそうとしか言いようがない。少しぐらいその鬱憤をあいつの体にぶちまけたいと思うところもある。
ちょっとの間、悩んだ末に僕は……。
安価↓1
とりあえずひたぎを家の前まで迎えに行き、家を見てからどうするか判断する
とりあえず、家の前まで行ってみる事に決めた。ひたぎには、僕から連絡があるまで家から一歩も外に出るなと命令して、そのままにした。
幸い、あいつを奴隷にした時に家の住所は調べてある。まずは見に行ってそれから判断しよう。まさかとは思うが警備員がいるような大豪邸って事はないだろう。
僕はずっと放置していて少し淋しげに佇んでいたマウンテンバイクに乗り、ひたぎの家へと鼻歌混じりに向かった。ここからならそんなに時間はかからないはずだ。
自転車で駆ける事、少々。
ひたぎの家の住所まで辿り着いた僕は、なんというか、呆然としていた。
「ここが……ひたぎの家?」
疑問形となったのには訳がある。そこは大豪邸というものとは程遠く、むしろあばら家と言った方が遥かに正しい。
こんなところがひたぎの家のはずないと僕は確信して住所を間違えたのかと踵を返し、家の中にいるひたぎと目が合った。間違いなくひたぎの家だ。僕はそう確信した。
「阿良々木君……どうしてここに?」
驚きと恐怖の入り交じった瞳でひたぎが僕を見つめる。僕は周りを見渡し、誰もいない事を確認してからひたぎに逆に尋ねた。
「今、家の人はいるのか?」
「……いないわ。私一人よ」
「嘘じゃないだろうな」
「……ええ」
伏し目がちにひたぎは答える。その怯えた様な、諦めた様な態度を見て、僕も嘘ではないだろうと判断した。もしも、家に誰かいたならひたぎはきっと僕を可能な限りここから遠ざけるだろう。ひたぎは僕に逆らえないのだから、誰かいると都合が悪いのはひたぎも一緒だ。
これから僕が何をするか、自分が何をされるか、という予想ぐらいひたぎだってしているだろうからな。
どうするか。安価↓1。連続安価取り可。
部屋にあがって事情を話させた後一緒にお風呂
「とにかく家に上がらさせてもらうからな。まさか、文句はないよな、ひたぎ」
「…………ないわ。どうぞ」
あるが言えないという表情だった。たまらなくいい。僕は早速家に上がりこんだ。
一応、親が帰ってくる時刻をひたぎに訊いたら、深夜まで帰ってこないとの事。ますます都合がいい。今日は前半がろくでもなかった分、後半はいい日になりそうだ。そんな予感がした。
「さてと……。それじゃ早速」
「…………抱くの?」
ひたぎは俯きながら、僕とは決して目を合わそうとはせずにそう尋ねた。気丈を装ってはいるものの、震え声だ。全く、いい玩具だよ、こいつは。これだけ僕をそそらせるツボを心得ているなんて。
「抱いて欲しいなら今すぐ抱いてやる。でも、その前に尋ねておきたい事と話しておかなきゃいけない事があるんだ。これから僕が質問するから正直に答えろ、ひたぎ。後で嘘だとわかったらまたお仕置きをするからな」
「…………はい」
僕にされた事を思い出したのか、ひたぎは体も弱々しく震えだした。いい傾向と言えばいい傾向だ。少なくとも従順でないよりはだけど。
その後、ひたぎからどうして蟹と出会ったのかのについてざっと聞いた。
ひたぎは最初、怯えた子供みたいに震えてなかなか話し出そうとしなかったが、僕が拳を振りかざしてみせるとぽつりぽつりと語り始めた。
詳しい話を省いて簡単に言うなら、蟹に会ったのは男に乱暴されかけたのと家庭が崩壊した事が原因だった。ひたぎが今、こんなボロ家に住んでいるのも、こいつの母親が怪しげな宗教にはまったせいだ。
よく聞く話と言えば、そうだとも思う。
その話を聞いて、別に僕は同情なんかしなかった。
ひたぎに対しても、ひたぎに乱暴をしようとして怪我を負った男に対しても。
ひたぎは単純に運が悪かっただけだ。ただそれだけの事だ。
僕と同じで。
たまたま、不幸に出会った。
出会った事自体に意味はない。
出会いには、理由がないのだから。
別れには理由があるが、出会いには理由なんて一つもない。結局、運が悪かっただけ。ただ、それだけ。子供が生まれる家を選べないのと同じようなものだ。
だから僕はひたぎに同情なんかしない。
レイプされかけてもどうにか守った処女。そのせいで家庭が崩壊したのかもしれないと考えてしまうひたぎ。そしてこいつは結局僕にレイプされて処女を失ったばかりか、今は脅されて奴隷になっている。
守ったものは全て失い、崩壊した家庭は戻らず、その先にはろくでもない未来しか見えない。
馬鹿な女だった。
同情なんかしなかったが、聞くんじゃなかったとは思った。
自分でした事とは言え、あまり聞きたくない話だった。
とはいえ、僕がした事について後悔はない。
ひたぎは、僕が階段の踊り場で受け止めなければ死んでいた女だ。死んでいた女をどう扱おうが僕の勝手だ。
それなのにこいつは、その後、凶器めいた文房具を手にして僕に脅しを入れてくる様なやつだ。逆に脅して何が悪い。
色々と考え、色々と考えさせられ、色々と嫌な事を思い出して僕はもううんざりとした気分になった。
「ひたぎ。今日、お前のその体重、戻してやる」
吐き捨てる様にそれだけ告げた。ひたぎは機械的に「そう……」と呟き、当ても期待もしてないような投げやりな表情を見せた。実際、もう重さを取り戻そうが取り戻せまいがどうでも良かったのかも知れない。
僕は溜め息をつき、それからひたぎを風呂に誘った。ひたぎは小さく頷き、特に何も言わずに僕を風呂場へと案内する為に立ち上がった。そこで何をされるかは想像がついているだろうに。
話す事で諦めがついたのか、それともやけになっているのか、あるいは何も考えないようにしているのか。
僕にはその判断がつかなかった。
風呂場で何をするか。安価↓1
尻穴を集中的に責めて何度も絶頂させ、ひたぎに「自分はお尻の穴でイク変態」だと自覚させる
無理があったらスルーでお願いします
基本、安価可能なのは暦だけ
アナル責めは可能だけど、ひたぎが絶頂するかどうかは保証しない
それで良ければ→OK
ダメなら→再安価
再安価の場合は内容込みで
安価↓1
優しく、ひたぎが感じるように愛撫して、ひたぎに気持ち良くなってもらう(あくまで目標)
風呂場は、この家のアレから察するにやっぱりアレだった。別にジャグジーだとかの豪華な風呂を期待していた訳じゃないけど、とにかく狭かった。二人で入るのがギリギリな感じだ。
まあ、五右衛門風呂でなかっただけマシだろう。シャワーもついてるし、立派なもんだよ、と僕は自分に言い聞かせる。
ひたぎに風呂を沸かすように命令すると、ひたぎは粛々とそれに従った。風呂は沸かすタイプじゃなかったから、お湯が張るまでシャワーも使えない。
その間、特にやる事もなく暇だった僕はひたぎの裸体を堪能しようと思い、脱げと命令した。性的な事に関して、今のひたぎがどこまで従順なのかを確かめたかったっていうのもある。
「……ええ」
ひたぎは小さく返事をして、僕の目の前でゆっくり脱ぎ始めた。上を脱ぐと、今度は薄い黄色のブラが現れる。どうやら家に帰った時に下着もまた着直したみたいだ。これはこれでなかなか良かったけど、僕としては前の水色のブラの方が好きだ。どっちにしろ僕のものはもう反応していたけど。
脱いだ上着を丁寧に畳むひたぎ。そして、次にスカートに手をかけ始めたので、僕はそこで止めた。
「ひたぎ。先にブラから外せ」
「……はい」
「それと、御主人様をつけろ。お前は僕の奴隷なんだからな」
「わかりました。……御主人様」
ひたぎは素直に従い、ほとんど躊躇いもなくブラを外した。形の良い胸が出てきて、少しだけ揺れる。僕はそこでまた止めて、そのまましばらく動くなと命令した。その間にじっくりと観察する。乳首が立ってなかったのは残念だったけど、それでもやっぱりこの眺めはエロい。
「よし、いいぞ。下も脱げ」
じっくり堪能した後、そう命令する。ひたぎは小さく頷いただけで返事はしなかった。
スカートに手をかけてするりと脱ぐひたぎ。パンツもお揃いで、薄い黄色だ。
脱いだスカートを上着と同じように丁寧に畳み、それからひたぎはパンツをゆっくりと脱ぎ始めた。僕は少しだけ前に進んで、それをじっと眺める。ひたぎの裸は綺麗だと思う。そして、これは僕の物だ。
僕はしばらくの間、そこに座ってひたぎの体を眺め続けた。回れ右をさせて後ろからもじっくりと眺めた。ひたぎは手で隠そうとしなかったので、そこら辺はなんと言うか少しだけ萎えもしたが、面倒がなくて良いと言えば良い。等身大の言いなりになるフィギアみたいなものだ。
そんな事を思いながらふと上を向くと、ひたぎと目が合った。
ひたぎは悲しげな瞳で僕をじっと見つめていた。まるで涙を流さずに泣いているような、そんな表情だった。例えるなら、どしゃぶりの雨の中、鍵をどこかで無くしてしまったせいで、家の前で傘もささずじっと立ちながら母親の帰りを待つような子供……。
そんな目をしていた。
僕が悪いとも言わない目。
自分のせいだから仕方ないと思っている様な目。
確かにその通りだ、お前のせいだと言えば、ひたぎは頷いて僕に謝ったかもしれない。
「ごめんなさい……。私が悪かったの」
……その方が僕にとっては都合が良かったと思う。
奴隷として調教していく分には確かにその方が都合が良かったはずだ。
でも、何故か僕はそう言えなかった。
何も……言えなかった。
しばらくした後、僕はひたぎに風呂の様子を見に行かせた。もうお湯が張っているという事だったので、ひたぎには先にシャワーを浴びる様に告げて、僕は座ったままそこで少し天井を見上げていた。
何となく興醒めしていた。
さっきまで大きくなっていた僕のものもすっかり萎えてしまっている。
ひたぎと僕はどこか似ているのかもしれない。あいつも蟹に出会わなければ……不幸に出会わなければ……。
文房具だとかを振り回す様な女にはなっていなかったんじゃないかと思う。
不幸に出会った事で、僕はこんな鬼畜野郎になったし、あいつはあんなコンパスみたいな尖った女になった。
だからどうしたって訳でもないし、今更後戻りなんか出来ない事なんだろうけど。
何となく憂鬱な気分だ。
僕はさっさと服を脱いで風呂場へと向かった。考えたってどうしようもない様な気がした。
「ひたぎ。入るぞ」
「どうぞ。……御主人様」
ひたぎは言いつけ通り、ちゃんとシャワーを浴びていた。入ってきた僕の全裸姿を見て、ひたぎがついと目を逸らす。ここら辺はまだ生娘という感じがして、僕は少しだけほっとした気分になった。
「……シャワーは使うかしら……?」
意図的に後ろを向いてひたぎがそう尋ねた。僕が使うと答えると、ひたぎは無言でシャワーを僕に渡して、湯船には入らずそっと横にずれた。
「入らないのか? 入っていてもいいぞ」
「あの……まだ体を洗ってないから……」
ああ、そういう事か、と僕は納得する。僕がシャワーを使っていると、ひたぎが座って体を洗うスペースがこの狭い風呂場にはない。必然的に順番待ちになる。
「そういう事なら僕が体を洗ってやる」
ほとんど考える前に声が出てた。特にやましい気持ちはなかった。少しだけ優しく扱ってやろうっていうそんな気分になっていただけの事だ。
ひたぎはその言葉を予期していたかの様に、僕にボディーソープを渡した。まあ、風呂に誘った時点でこれぐらいは察しがついていたかもしれないけど。
僕は受け取ったボディーソープを手に広げ、ひたぎの肩辺りから洗い始めた。肌に触れた時、ひたぎはぴくっと小さく震えたが、それも最初だけで、それ以降は特に動く事もなく、されるがままの状態だった。
僕は出来るだけ優しく洗った。こいつに優しくするのはあまり良くないとはわかっていたが、かといって今は乱暴にする気分ではなかった。性感帯を攻める様に洗う事もせず、恋人にするように優しく丁寧に洗う。
肩から腕、そして手に移って、それから腋と横腹。ここら辺は流石にくすがたかったんだろう。声を出す訳じゃなかったけど、こそばゆいのを我慢する様に少しだけ体を動かす。ここは程々に止めておいて、軽く胸、そしてお腹と背中、尻に移ってそれから太もも。本当に、よくこれだけ丁寧に洗ったと思う。僕としては奇跡の部類に属する。
「ひたぎ。足も洗うから、そこに座って。じっとしてろよ」
「…………」
ん? と思った。てっきり素直に従うかと思っていたのだが、ひたぎは言う通りにはしなかった。代わりに僕の方を向いて、躊躇いがちに口を動かす。
「……まだ……洗うの?」
「当たり前だろ。全部洗ってやるよ。だから言う通りにしろ」
「…………」
しばらくの間を置いて、仕方なく、といった感じでひたぎは僕の言う事に従った。ただ、これまでの仕方なくとはどこかニュアンスが違った気がした。どこが、と言われれば、僕には上手く説明出来ないんだが。
少し気になりつつも、僕はひたぎの脚をまた丁寧に洗い始めた。ひたぎはくすぐったいのかじっと堪える様な表情でそれを眺めていたが、足の指まで洗い始めた時には流石にまた身をよじり始めた。くすぐったいのはわかるが、動かれると洗いにくい。
「動くな、ひたぎ」
「……ご、ごめんなさい」
脚をぴったりと閉じて、ひたぎはまた耐える様な表情を見せる。まあ、結局、動くのは止まらなかったんたけど。
とにかく、これで一応ひたぎの全身を洗い終わった僕は、シャワーのノズルを掴んで、ひたぎの体の泡を全部落としてやった。お湯をかけながら手でも洗い落とす。その時にふと気付いた事だけど、ひたぎの乳首はしっかりと立っていた。
……そりゃあれだけ全身触りまくっていれば立つ、よな? 別に特別な事でもないはず……。
そう思った僕だが、かなり気になったので、確認の為にひたぎのあそこにそっと手を伸ばしてみる。
「ま、待って! やめて!」
すると、ひたぎは慌てたように咄嗟に脚を閉じてガードした。という事は濡れていたんだろうか? いや、別にあれだけ触りまくっていれば濡れていても不思議じゃない、よな? この前まで童貞だった僕にはどうにもよくわからない。
ただ、やめろと言われたら、したくなるのが人間っていう生き物だ。うん。そうだ。それについては間違いないはずで、つまりこれを確かめるのは性的欲望ではない。そうだ。そうに違いない。きっとそうだ。もちろんそうだ。確かめないとな。
「ひたぎ。お前の御主人様は誰だ?」
「それは……」
ひたぎが言い淀んだので、僕は強い口調で畳み掛ける。
「誰なんだ? 言えよ」
観念したようにひたぎが呟く。
「……阿良々木君よ」
「そうだ。僕だ。その僕に向かって命令出来る権利がお前にあると思ってるのか?」
「……いいえ。ない……わ」
「なら、わかっているだろ。足を開け。僕が触りやすい様に大きくだ」
ひたぎは俯いてしまい、それから蚊の鳴く様な小さな声を出した。
「開かないと……駄目……?」
「ああ、駄目だ。開け」
これ以上何か言うようなら、また水攻めの刑にしてやろうかと思っていたが、ひたぎがゆっくりと脚を開き始めたのでそれはなくなった。僕は少しほっとする。
「限界まで開け」
僕がそう命令すると、ひたぎは顔を逸らしながらも言う通りにする。いつの間にか性奴隷としての調教みたいな感じになっていたけど、もうなんかどうでも良くなってきたし、僕のも大きくなってきていたから仕方がない。
結局、全裸で大きくM字開脚をするひたぎ。
裸を見られても特に動じる事のなかったひたぎだが、これは流石に恥ずかしかったのか、頬をうっすら染めていた。真横を向いて僕の顔を見ようともしない。
「そのまま、待て、だぞ。ひたぎ」
「……はい」
わざと犬をしつける時の様に言う僕。脚を開いたひたぎのあそこは濡れている様にも見えたが、シャワーのお湯かもしれないし、触ってみるまでは何とも言えないよな。確かめる必要はやっぱりあるはずだ。
でも、僕はあえて触らない。
ここまで来たなら、さんざん焦らしていこうと思う。
僕はひたぎの太もも辺りをまさぐりつつ、顔をこちらに向けさせて無理矢理キスをした。
「んんっ!」
ひたぎは僕の肩に手をかけて咄嗟にどかそうとしたが、途中で自分の立場を自覚したのか、あるいは僕にされたお仕置きの事でも思い出したのか。すぐに力を込めるのを止め、肩にかけていた手も震えながらそっと下ろした。
僕はひたぎの口の中をゆっくりと念入りに舌でかき回す。舌と舌とを絡めさせ、時折吸い上げ、少し口を離しては唇を舐め、また舌を入れて絡ませる。
その度にひたぎが逃げる様に体を反らせていくので、僕はひたぎの後頭部に手を回して逃げられないようにし、もう一方の手ではあそこに触るか触らないかぐらいの際どいところをずっと優しく撫で回し続けた。
段々とひたぎの息が荒くなっていくのがわかった。
次の行動。安価↓1
内腿や胸(乳首以外)を愛撫して、陰部や乳首には触れないようにし焦らしを続行する
「ひたぎ……。可愛いぞ」
「……そんな事」
ないと言うつもりだったのか、言われても嬉しくないと言うつもりだったのかは僕にはわからない。ひたぎはそこで言葉を止めてしまったし、僕は構わずキスを続けたからだ。
手の方も内もも全体を触る様な感じに変え、たまにおっぱいもそっと撫でる様に触った。乳首には触れない。敏感な部分は避けて、乳輪の周りを刺激する様になぞり、たまに軽く揉んだ。そして、お腹を伝うようにしてまた太ももへと戻り、ひたすらキスしながら愛撫を続ける。
唇を離すと、ひたぎは我慢する様な短く荒い息を吐き、体を切なげによじる。声を出すのを必死で耐えている様に見えるのは多分僕の気のせいじゃないはずだ。
僕は、今度はひたぎの耳へと口をつけ、軽く舐めたり甘噛みしたりを繰り返す。それから首筋の方に舌先を伸ばし、ゆっくり舐めあげると、遂にひたぎの口から微かな喘ぎ声が漏れた。
「あっ……。っ……」
何だかひたぎがとても可愛く思えた。
一度声が漏れた後は、歯止めがきかなくなったのか、ひたぎは断続的に小さな喘ぎ声を漏らし始めた。
「っ……ん……。あっ……」
そして、直接触るまでもなく、ひたぎの下の口からはとろりとした愛液が出ているのがわかり、際どいところまで触れると手にねとついたものが残る。きっと中は相当濡れているだろうな。この様子だと。
こうしてじっくり攻める事でわかった事だが、ひたぎは首筋がかなり弱い。ここをじっくり舐め上げると、ひたぎは子供がいやいやする様に体をよじらし震わす。それに、声もよく出す。逃げようともする。その度に僕はひたぎを逃げられない様にしてしっかりとまた舐め上げるんだけど。
それと、これは僕の推測だけど、ひたぎは多分キスにも弱い。唇を離し終わった後はいつも細かい荒い息を吐き、その後の体への攻めも敏感になる。これはあくまで僕の主観の話で、ひょっとしたら僕がキス好きなだけかもしれないが。
そうしてひたぎをしつこく愛撫していると、やがてひたぎが僕に向かって小さく途切れ途切れな声を出した。
「御主人様……。もう……終わりに……して……」
やっぱり可愛い。そう思った。
次の行動、もしくは台詞。安価↓1
愛してるぞ
「ひたぎ……。愛してるぞ」
僕がそう言うと、ひたぎは急に唇を噛み締め、僕の目を見て悔しそうに睨みながら言った。
「……嘘ばっかり」
そして顔をさっと背けてしまった。その時、目尻にほんの少しだけ涙が浮かんでいる様にも見えた。
それ以降、僕がどれだけ触ろうともひたぎはろくに反応しなくなった。いや、反応は相変わらずするし、小さな喘ぎ声も出すのだけど、何て言うか機械的な反応に変わってしまった。ボタンを押せば一定の動作をする人形みたいな、そんな感じだ。
目は固く閉じて、開けようともしない。
いや、確かに嘘だったけどさ……。僕はこいつの事を可愛いとは思っているけど、流石に愛してるとまではいかないけどさ……。
でも、この変わり様はないんじゃないか。
理不尽かもしれないが、僕はそんな事を思った。
その後も、僕はしばらくひたぎを触り続けたが、一向に反応が変わる様子はなかったので、いつしか僕はひたぎを離していた。
ひたぎは性的な刺激からようやく解放されたからか、途切れ途切れで小刻みな息を吐き、その場に倒れるようにぐったりと寝転んでしまったが、それでも僕の顔を見ようとはせず顔を頑なに背け続けた。
何なんだろうな、これ。僕はそんなにも酷い事を言ったか? まるで僕が悪いみたいじゃないか。
……いや、奴隷として扱ってるんだから、実際、そうなんだろうけどさあ……。
そのまま時間が経ち、ひたぎの息もようやく収まりを見せ始めたのだけど、それでもひたぎは起き上がろうとはせず、こちらを見ようともしなかった。
それをずっと見ていた僕の体も当然すっかり冷えてしまったので、僕はシャワーのコックをひねってお湯を出し、それを自分の体に当てた。ひたぎもこのままにしておく訳にはいかないので、シャワーを体全体に当ててやり、それから僕は声をかけた。
「ひたぎ。起きろ。風邪引くぞ」
「…………」
返事がない。ただの屍のようだ。
なんて冗談を言っている場合でもないか。
仕方なく僕はひたぎの体を抱えあげーー特に抵抗はなかったーーそのまま持ち上げて湯船へと丁重に入れた。しばらく休んでろ、と申し付けて、僕は自分の体を洗う為にまたシャワーのコックをひねる。
「…………」
ひたぎは湯に大人しく浸かりながらも、壁を向いて変わらず僕から顔を背け続けた。勿論、僕が「ひたぎ」と呼びつければ一応こちらを向くが、決して目を合わそうとはしない。俯き、無表情のまま、感情を込めようともせず、「……何ですか、御主人様」と抑揚のない声を出す。敬語になってるのが逆に反発の証の様に思えて、僕は軽い苛立ちを覚えた。
といっても、文句をつけるところがないので、僕は何も言えない。結局、「何でもない。もういい」とだけ答えて、そのままシャワーを浴びる。
「……そうですか。わかりました」
僕は心の中にむかつきを覚えながらも、体を洗った。自然と洗い方は雑になっていたと思う。
次の行動、もしくは台詞。安価↓1
仕掛けるのが速すぎたんだ…
安価は
軽々しく愛してるという言葉を口にしたことを謝罪。今日は抱くのは諦めて、ひたぎに機嫌を戻してもらう事を目指す
体を洗い終え、僕も湯船へと浸かる。浴槽の広さからいって当然の如く二人一緒には入れない。
「ひたぎ。一旦、上がれ」
「……はい。御主人様」
ひたぎは俯いたまま、淡々と湯船から上がる。僕は苛立ちから一つ息を吐き、そして中へと浸かった。ひたぎは湯船の外で僕とは目を合わそうとはせず突っ立っている。僕からの次の命令があるまでそうして待機しているつもりらしい。多分、僕が何も言わなかったら永遠にそうしてる様な気がする。従順だし、奴隷らしくもあるが、これほど反抗的な態度もそうないと思う。
「ひたぎ。こっちに来い。お前も中に浸かれ」
自然と言い方と口調が荒くなったけど、ひたぎはまるで気にした様子もなく、むしろ完全な無関心で僕の命令に従う。うんざりして何も言う気がなくなった。
僕はひたぎに後ろを向かせ、それから湯船に浸からせた。つまり、僕が後ろ向きに抱きかかえる形だ。ひたぎの肌は柔らかく滑らかで、長く綺麗な髪からはいい匂いがしたが、いまいち僕のものは反応してくれない。
ひたぎがこんな調子だから、だろうな……。従順なのはいい事だが、これは僕が考えている理想の性奴隷とは程遠かった。多分、今のひたぎなら何を言っても素直に言う事をききそうだが、これでは僕が興奮しない。むしろ萎える。特に心が。
何でこんな事になったんだ……。
僕は苛立ちと冷めた心を器用に両方抱えながら、ついでにひたぎも抱きかかえながら、何とはなしにひたぎの頭をわしゃわしゃといじくった。
ひたぎは勿論反応がない。後ろ向きだから表情はわからないが、多分無表情なんだろう。全く。何をお前はそんなに……。
ヲコッテイル。
んだよな……。多分。もしくは今の僕の様に、苛立ちと冷めた心を抱えているのだろうか。
反抗的な従順。そんなものもあるという事を僕はこの時初めて知った気がする。女っていうのは訳のわからない生き物だとつくづく思う。
そんな事を考えつつ、僕はずっとひたぎの頭をわしゃわしゃした。時折、綺麗に髪を整え、またわしゃわしゃする。その繰り返しだ。不思議と飽きる事はなかった。
「なあ……ひたぎ」
「……何ですか、御主人様」
相変わらず無感情な声。僕はしばらく躊躇ったが、結局、思った事を口に出した。
「さっきは悪かったな」
「いいえ、御主人様は何も悪くありませんから」
とりつくしまもないとはこの事かもしれない、とそう思った。それぐらいひたぎははっきりとした声で即答した。これじゃどちらが御主人様なのかわかりはしない。
僕はまた少しだけ躊躇ったが、やっぱり言うしかないと決断した。鬼畜な僕の、多分、一生に一度の気まぐれなんだと思う。
「……ひたぎ。そのまま少し黙って聞いてろ」
「…………」
「正直に言うぞ。確かに、お前に愛してるって言ったのは嘘だ。僕はお前をそこまで想っていない。お前の事を可愛いとは思うけど、それと好きとは別物だ。嘘をついて悪かった。もう軽々しく愛しているとかは言わない。すまなかった」
「…………」
「多分、僕がお前に謝るのはこれが最初で最後だと思う。そして、それ以外の事を僕は謝りもしないし、悪びれもしない。お前を僕の奴隷としてこれからも当たり前の様に扱う。だけど、今これだけは謝る。もうお前に嘘はつかない。だから許してくれ、ひたぎ。お願いだ。お願いします」
「…………」
……ひたぎは僕の言い付け通り、何も言わなかった。僕も返事は期待してない。ただ伝えたかっただけだ。
「……僕からの謝罪はこれで終わりだ。もう喋っていいぞ」
「……そう」
ひたぎはそれだけ答えると、特に何かを言う訳でもなくそのままだった。僕も何も言わず、ひたぎの頭をわしゃわしゃした。
前よりも、少しだけ優しく。
ひたぎはやっぱり黙ったまま、こちらを振り向こうとはしなかった。
何故か、こいつの羽みたいに軽い体重が、その時だけは何となく重く感じられて、僕はそっと湯船の栓を抜いた。「もう出るぞ」とひたぎに告げると、ひたぎは後ろを向いたまま小さく頷いた。
僕とひたぎは何も言わず、揃って風呂から上がった。排水口の中に吸い込まれていくお湯の音が、何故か切なげに僕には聞こえた。
風呂から上がった後の行動。行動によってはそのままエンディングに突入
グッドかバッドかは当然教えない
安価↓1
夕食を作らせる、もちろん作ってる最中に悪戯する
風呂から上がった後、ひたぎに夕食を作れと僕は命令した。ひたぎは「……ええ」と無機質な答えを返して、台所へと向かう。
機嫌が直った、とは思わないが、少なくとも敬語を使うのだけはやめてくれたようだ。それが良い事なのか悪い事なのか、僕にはよくわからなかったが、何となく人心地ついたのは確かだ。
冷蔵庫を開け、ひたぎが僕に尋ねる。
「……御主人様、何を作ればいいのかしら? 今、冷蔵庫の中には大した物はないけれど……」
逆に何があるんだろうか? 買い物にまで行かせる気はなかったので、僕はひたぎの横に立ち冷蔵庫の中を覗く。
確かに大した物はなかった。牛ひき肉が少々と昨日の残り物だと思われるシチューが少し、ウィンナー、卵、もずく、豆腐が二丁、その他バターやチーズ牛乳のり等々……。
「……冷凍食品で良ければピラフがあるけど」
結局、それとサラダに落ち着いた。味気はなかったけど、こった物を作らせるつもりもなかったし、手軽でいいかな、と。
電子レンジにピラフを入れて温めている間、ひたぎはレタスや玉ねぎ人参なんかを用意してまな板の上でそれを切り始めた。
その後ろ姿を見て、何となく悪戯心を起こした僕は後ろからそっと忍び寄り、服の上から胸を揉む。
「御主人様……」
「どうした?」
揉みしだきながら僕は尋ねる。
目の前に包丁を突き立てられた。
ヤバイ。ヤバイ。ヤバイ。ヤバイどころじゃなくヤヴァイ。
あまりに唐突の事だったので、僕は完全に固まってしまい、全く身動きがとれなくなってしまった。まるで蛇に睨まれた蛙の様にその場から一歩も動けない。そして、ひたぎは蛙を睨んだ蛇の如く、冷ややかで無機質な目を僕に向ける。
「料理の邪魔ですから、両目を抉られたくなければ向こうで座っていなさい。御主人様」
「はい!!」
かつてこれ程までにはっきりくっきりと元気の良い返事をしたのは、僕の記憶によると幼稚園の時に星組全員で出掛けた水族館見学の時以来だ。あの頃、僕はイルカという流水形の愛らしい哺乳動物が大好きだったから、よく親に水族館に連れていってのねだっていたのだが、その頃は丁度月火ちゃんが生まれたばかりだったのでその事を理由に親は全然連れていってくれず、だから水族館に行けるとあって僕の鼓動とテンションはもうはちきれんばかりで、つまり何が言いたいかと言えば、僕は迅速にその命令に従って、チーターも驚く様な瞬発力とダッシュでテーブルの前に行儀良く正座をしたという事だ。
「あ、あの、ひたぎ……さん。これで宜しいでしょうか?」
「……ええ。それでいいのよ、御主人様。そこで動物園にいるカピパラの如く大人しくしていなさい」
「はい!!」
僕はとても良い返事をして、素直にひたぎの言いつけに従った。何かがおかしい。
次の行動、もしくはセリフ。安価↓1
下手に出過ぎても駄目だし、無理やり力づくでも駄目だし…難しい
出された料理に対して感謝をしつつも、きちんと評価する(不味かったら厳しく指摘、美味しかったら褒める)
しばらくして、出来上がった料理を食べる僕とひたぎ。
味はまあ、冷凍食品だけあってつまりそういうレベルだ。サラダも市販のドレッシングで、ひたぎは野菜を切って盛り付けただけだから、誉めようもけなしようもない。
「……まあまあだな」
「でしょうね」
カチャカチャと音を立てる二つのスプーン。特に会話をする訳でもなく、僕とひたぎの奇妙な食事は終了した。
というか、これから僕はこいつに対してどう接すればいいんだろう。このままだと、主従が逆転してしまいそうで、何だか怖い。
「あの……ガハラさん?」
「何かしら、御主人様」
山中に不法投棄された粗大ゴミでも見るような目が僕に突き刺さった。ちょっと前までは駐車場に置いてある放置自転車でも見るような目だったから、確実にランクダウンしている。というか、僕もいい加減怯え過ぎだろう。
頑張れ、暦。頑張るんだ。
前にそんな言葉が印象に残る小説を読んだっけ。なんて事を僕は思い出しながら、ひたぎに尋ねた。
「マダ、ヲコッテマスカ……?」
「…………」
無言。そこで会話は終了した。会話になってねえー!!
結局その後、ろくな会話もないまま、僕とひたぎは忍野の所へと出掛ける事にした。ひたぎを自転車の後ろに乗せ、僕がペダルをこぐ。
いや、一応言い訳をさせてもらえるなら、ひたぎは体重がほとんどないから自転車の二人乗りと言っても一人でこいでいるのとほとんど変わらないし、ひたぎにペダルをこがせるのは無理があるってだけで、つまりは物理的な問題だ。ただ、それだけで、別に僕が怖がっていたからそうしたという訳じゃない。もちろん、全部、言い訳だ。
僕のお腹あたりに手を伸ばして、ひたぎは自転車から落ちないようにと掴まりながら尋ねる。風で飛ばされる様な体重だから必然的にそうしなければならないんだろう。
「……御主人様、これからどこに行くのかしら?」
「学習塾跡だよ。そこに忍野ってやつがいる。怪異の専門家みたいなやつだ。見かけは変態中年だけどな」
「……そう」
僕を掴むひたぎの腕に少しだけ力がこもった。心なしか声も震えていたような気がする。不安……なんだろうか?
「……一応言っておくけど、忍野は信用出来るやつだぞ。僕の怪異も解決してもらったからな」
「……あなたの?」
「あなた、じゃなくて、御主人様だ」
いつまでも調子に乗るな、と続けようとしたが不思議とそれは言えなかった。いや、これは本当に怖かったからとかじゃなくて、何て言うか……。
そういう雰囲気じゃなかったんだと思う。
「……ごめんなさい、御主人様」
ひたぎもこの時ばかりはしおらしい声を出した。
また……僕を掴む腕に少しだけ力がこもる。
「聞いても……いいかしら? 御主人様の怪異の事」
「ああ……。別に大した話じゃないからな……」
本当に、大した話じゃない。
むしろつまらない話だ。面白くもない話だと思う。
学習塾跡につくまでの間、僕は吸血鬼ーーキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードーーとの一部始終をひたぎに話した。僕にとっては思い出したくもない忌々しい過去だが、ひたぎには包み隠さず全部話した。
多分、これも僕の気まぐれなんだろう。
何となく、嘘をつく気にはならなかった。
「話はこれで終わりだ」
そう言うと、ひたぎは「つまらない話ね……」とどこか淋しそうに言った。
その感想を聞いても、別に僕は腹を立てなかった。
本当に、つまらない話だから。
誰も、幸福にならなかった話だから。
学習塾跡前に辿り着いた僕たちは、自転車を適当な所に止めて降りる。
「行くぞ、ひたぎ……さん」
「ええ……」
とは言ったもののひたぎは一向に足を進めようとしなかった。どこか怯えた様に下の地面をじっと眺めている。その足はわずかに震えていた。
「ひたぎ……行くぞ」
「……はい」
「…………」
やっぱり返事だけ。体は動かない。
「ひょっとして怖いのか? 怪異を祓うのが」
「いいえ……そうではないの。ただ……」
ひたぎは学習塾跡の建物を不安気に眺める。それからずいぶん躊躇ったが、やがて口を開いた。
「御主人様……。私は……」
また長い沈黙。何かに葛藤する様にひたぎはそうしていたが、やがて決意したのか言葉を出した。その言葉も震えていた。
「……私は……はっきり言って御主人様の事をほとんど信用していないわ……。それに……これまで私の怪異を祓うと言って近付いてきた人間は全員が詐欺師だった……。だから……」
……また長い沈黙が続いた。
「……つまり、忍野も詐欺師かもしれないって思ってるって事だろ。別に心配する様な事じゃないさ。もし怪異が消えなかったら代わりに僕が料金を払ってやる。だから行くぞ」
僕はひたぎの手をとった。ひたぎは嫌がる様に振りほどこうとする。
「……違うの。そういう事じゃ……ないの……」
じゃあ、何だって言うんだ。僕にはひたぎの言いたい事がまるでわからない。
「あ、阿良々木君……」
「……御主人様だ」
その言葉が耳に入っていないかの様にーー実際入ってなかったんだろうがーーひたぎは続ける。
「も、もしも怒ったのなら……土下座して謝ります……。靴も舐めます……。犬の真似もします……。でも、やっぱり不安だから……」
「……あのな、ひたぎ。さっきも言ったけど、忍野は別に騙す様なや」
「あ、あの……私は今……コンドームを一つしか持ってきていないの……だから……」
「?」
「……もし、忍野さんっていう人がコンドームを持ってなかったら……そのままするかもしれない……。だから……コンビニまで……先に買いに行かせて欲しいの……。に、妊娠は……したくないから」
「…………」
そういう事……か……。
僕はようやく理解した。確かに僕が連れてきた場所はこんな人気のない廃ビルだ……。そして、ひたぎは忘れようのないトラウマを抱えている……。
そう思っても仕方がないかもしれない。
むしろ、そう思うのが普通なのかもしれない。
こんな事を僕に言うって事は、多少は僕に対して信用があるんだろうけど、でも最悪のケースをひたぎは想像している。
ひたぎが怖がっていたのは、怪異でも忍野でもなかった。
僕だ。僕が嘘をつく事だった。
僕が騙して輪姦する為にここに連れ出したんじゃないかと恐れている。
前に僕からされた事はひたぎにとってやはり相当な恐怖だったんだ。例え、どんなにひたぎが強気を装ってはいても。例え、僕がどれだけ情けない態度をひたぎにとったとしても。それは拭えなかった。
だからこそ、ひたぎは僕のどんな命令にも従うし、僕を怒らせるんじゃないかとこんなにも怯えている。今思えば、包丁を突きつけられた時もそうだった。あの時、ひたぎは怒っていたんじゃなくて怖がっていたんじゃないだろうか。包丁なんてものが近くにあったのだから余計に。
そして、ひたぎは僕にそれを突き立てようとはしなかった。威嚇に使っただけだ。もうひたぎは僕に対してきっと反抗が出来ない様になっている。例えそれがどんな事であろうとも。多分、ひたぎもそれを理解しているんじゃないだろうか。
ダカラ僕ニ騙サレル事ヲ怖ガッテイル。
そう思って愕然とした。
「わかった……。また戻るか。コンビニにゴムを買いに……」
多分、これ以上僕が何を言っても無駄だろう。説得なんて不可能だ。言葉じゃ駄目だ。行動で少しずつ示していくしかない。そう思った。
「あり……がとう……」
ひたぎは俯きながらそう答えた。どんな気持ちでその言葉を吐いたんだろうな。ひたぎの視点からすれば、輪姦されるかもしれない前にただ避妊具を買いに行く事を許されただけなのに。
僕にはまるで想像もつかないし、想像したくもなかった。
そして、自分の身勝手さに呆れ、嫌悪した。
だけど、僕は多分こうしてヘドが出るような最悪の偽善者としてこのまま生きてくんだと思う。鬼畜になりきれない歪な存在だ。少なくとも、ひたぎを殴り付けて無理矢理連れ込むような事はしたくなかった。
僕はいつの間にこんな風になったんだろう。
ひたぎと初めて会った頃なら間違いなくそうしていたはずなのに。
それとも、今日ひたぎと色々あった事で僕自身が変わってしまったんだろうか。あるいは、こんな感情を持つのはひたぎに対してだけで、他の人間に対してはそうでもないのだろうか。
……ふと、僕は公園に放置してきたカタツムリ少女の事が気になった。あいつは今どんな気持ちでそこにいるんだろうな……。
今更考えたって仕方がない事を僕は思った。
僕とひたぎはコンビニまでゴムを買いに戻り、そしてまた学習塾跡まで来た。
ひたぎはそれでもやはり中に入るのをかなり躊躇っていたが、もう埒があかないので仕方なく僕は「入れ」と強めに命令した。
「……わ、わかりました」
ひたぎは処刑を言い渡された囚人の様に僕の後に従った。不本意だが、実際ひたぎの考えている様な最悪のケースの事をする訳じゃないのだから、それはもういいだろう。
そうして中に入り、階段を上がってしばらく行くと、途中で吸血鬼の残りカスと出会った。踊り場の端の方でいつもの様に体育座りをしている。
僕は当たり前の様にそれを蹴飛ばして、何事もなかったかの様にまた階段を上がり始めた。それを見て、横のひたぎが何か言いかけたが、結局何も言わなかった。残りカスだって何も言わない。当たり前の様に蹴られ、その場で苦痛を堪えながらうずくまるだけだ。もし、何か言うようならまた蹴飛ばすだけの事でもある。
そのまま二人とも無言で階段を上がり、やがて忍野が住み処にしている元教室まで辿り着いた。ドアを開けると、忍野は当たり前の様に僕に言う。
「やあ、遅かったねえ、阿良々木君。またあの子を蹴飛ばしてたのかい? いっその事、見捨てちゃった方がいいと僕は思うんだけどね」
余計なお世話だ。お前に僕たちの何がわかる。
「それは僕が決める事だ、忍野。他人に口出しされる様な事じゃない」
僕は心の中でそう言う。
口に出してはこう言った。
「忍野。……この娘が昼間に電話した戦場ヶ原だ。それで戦場ヶ原、あいつがさっき話した忍野。忍野メメ」
「宜しく。お嬢ちゃん」
「……せ、戦場ヶ原ひたぎです。あの……ほ、本日は……どうか宜しく……お願いします……」
深々と頭を下げるひたぎ。事情を何も知らなければ、さぞかし礼儀正しい奥手のお嬢様に見えたと思う。
「はいはい、宜しく。で、お嬢ちゃん。そこの阿良々木君から聞いたんだけど、蟹に出会ったんだって?」
「……ええ。いえ……あの。……はい」
「ふーん……。お嬢ちゃんは、あまりそんな風には見えないけどねえ……まあ、人ってのは見かけじゃ判断出来ないからさ。……そうだろ、阿良々木君?」
何で僕に尋ねるんだ、お前は。
「正直に言えばねえ、阿良々木君。僕はちょいとばかし驚いてもいるんだ。あれだけ変わってしまった阿良々木君が人助けをしようなんて到底思えなくてね」
「……僕の気まぐれだ。それに……僕が助ける訳じゃない」
「うん。確かにそうだね。全くもってその通りだよ、阿良々木君。君は僕を紹介するだけだし……そして、僕はこのお嬢ちゃんを助けない。お嬢ちゃんが勝手に助かるだけで、それは人助けとは言えない。君の言ってる事は間違いなく正しいよ」
「回りくどい言い方をするな、忍野。逆に恩を着せてるようにしか僕には聞こえない」
「いやいや、そんな事はないさ。もし阿良々木君がそう聞こえるんだとしたらね、それはさ、君がそう思っているからだよ。僕はそんな気はこれっぽっちもないし、そんな言い方だってしていない。まあ、そんな事はどうだっていい事なんだけどね」
「……なら、もういい。とにかく、戦場ヶ原を勝手に助かる様にしてやってくれ、忍野」
「その言い方はかなり語弊があるんだけど……まあ、いいさ。少し話を聞かせてくれるかい、お嬢ちゃん」
「あ……。はい……」
やや戸惑いながらもひたぎは蟹の事について説明し始めた。意外そうな顔……はしてなかったと信じたい。
その後の事は全部事務的な話だ。おもし蟹についての簡単な説明と、また今夜体を清めてここに来るという事、そして料金の話。
「払う必要はないぞ、戦場ヶ原。さっき忍野が言った通り、お前が勝手に助かるだけの話だ。忍野に感謝や恩を感じる必要なんかこれっぽっちもないからな」
「あ、でも……」
躊躇いの表情を見せるひたぎに、忍野はいつもの調子で軽く笑う。
「やれやれ、嫌われたもんだねえ。とは言ってもさ、阿良々木君の言う通り、僕は別にどっちでもいいんだよ。生活にはそれほど困ってる訳じゃないし、それにまだ未払いのがたんまりと残っているからね」
「お前は本当にぼったくり野郎だよ、忍野」
「おいおい、今日はやけに噛みつくねえ、阿良々木君。何かいい事でもあったのかい?」
忍野は僕の目を覗き込む様に見る。やっぱり僕はこいつが苦手だ。色々な事を全部見透かした様な目。
「とにかく。忍野にはビタ一文払う必要はないからな。行くぞ、戦場ヶ原」
「あ……。は……いえ、わかったわ……」
帰り際、忍野が僕の背中に向けてこんな事を言った。
「阿良々木君、実はあの子に名前をつけたんだ。忍野忍って名付けたんだけどね……いい名前だろ? 忍ぶ、ってのはさ、隠れるって意味以外にも、辛い事を耐えるって意味もあるからさ。……本当に辛いのはどっちだろうかねえ」
僕は振り向きもせず、乱暴に戸を閉めてそこを後にした。階段を下りる途中、また残りカスを思いきり蹴飛ばして。
後日談、というか今回のオチ。
ひたぎはその日、無事に体重を取り戻す事が出来た。僕がその場にいた事もあってだろう、ひたぎは蟹に出会った理由を一切語らなかったが、最終的には忍野が蟹を踏み潰して終わりとなった。
「形式的にはこれで終わりさ。本質的な終わりはお嬢ちゃん次第だろうけどね」
体重を取り戻した後も、結局、ひたぎは変わらない。
「ごめん……なさい……」
その時、どういう意味で僕に謝ったのかもわからない。
何も解決しなかったと言っていいと思う。あえて言うなら、ひたぎの生活の不便さが少し減っただけだろう。
ひたぎが僕に忠実な奴隷だという確認が出来たのが、今回の僕の収穫だ。代わりに失ったものも大きいし、前とは少し違う自分もいる。良くもあり、悪くもあり、僕は何とも言えない。
ああ、そうそう。カタツムリ少女なら、その日の深夜に解放してやった。少し惜しい気もしたが、そんな気分でもなくなってしまったから。
ちなみにその時、カタツムリ少女からは手酷く噛みつかれ、僕はこの世のものとも思えない絶叫を上げた。それを聞いていた近所の誰かが通報し、僕はまたパトカーに乗せられた。当然、事情聴取だけで済みはしたものの、何だか無性に泣きたい気分にはなった。
翌日、羽川が「昨日は二回も大変だったね、阿良々木君」とからかうように言ってきたのは僕にとってかなり驚きだった。こいつは本当に何でも知っているとつくづく思う。ただ、その巨乳を見て僕の心が癒されたのは確かだったので、やっぱりいつかは僕の性奴隷にしようと改めて固く心に誓った。
ただし、出来ればひたぎにした様なやり方ではなく。
そんな事を思う僕はやっぱり変わってしまったんだろうな。
「ところで、阿良々木君。勉強の方は本当に大丈夫? 進路の事とかは決めたの?」
それに関しては大きなお世話だったので、僕は適当にお茶を濁して会話を終わらせた。羽川はそれを察したのか、特に踏み込む訳でもなく、「そっか」と言って去っていった。頭の回る女っていうのは扱いやすいのか扱いにくいのかわからない。
将来か……。
ひたぎはどうするつもりなんだろうか。
少し気になったが、それを僕が訊ける訳もなく、また絶対に訊いてはいけないとも思う。窓の外を眺めると空は雲一つない快晴で、逆に僕は憂鬱な気持ちになった。清々し過ぎて今の僕の目には痛い。まるで吸血鬼だなとまた憂鬱な気持ちになる。
それと、母の日の事については、何とか妹二人から許しを得る事が出来た。これからは母の日にはずっと家にいるという約束のもと、それを誓約書にして書かされた上でだ。
「兄ちゃんはこれぐらいしないとダメだからな」
「むしろ、元からダメダメだけどね」
あまりに生意気過ぎて、むしろ可愛い。可愛すぎる。僕の自慢の妹二人だ。いつかはベッドの上でヒイヒイ言わせようと思う。
そうそう。明日からは、ひたぎの調教を進めるつもりだ。とは言っても、ゆっくりやっていこうと思う。時間はまだまだたっぷりあるし、急ぐような気分でもないからそれでいい。
それと、羽川や妹二人を性奴隷にする方法も考えなきゃいけない。僕は現状で満足する様な男ではないからな。常に前進する輝かしい男であり続けたい。
全く……。僕はちょっと忙しすぎだ。これじゃ勉強なんかしてる暇がないじゃないか。しばらく進路の事については棚上げにするしかないよな。
まるでダメ人間の様の事を僕は思った。
グッドエンドルート、完
真宵は取り損ねましたけど、一応、グッドエンドです
正規エンドとはずいぶん違った内容と終わり方になりました。なので、スレタイがよくわからない感じに。どうしよう、これ(困惑)
その内、この続きのスレを立てるとは思うので、その時はまたお願いします
次回は多分「献身モンキー」になるかと。多分ですが……
途中でずいぶん間が空いたのに、それでも保守してくれた方、ありがとうございます
乙でした
どういう風にひたぎに接すれば、ひたぎが快楽に溺れるようになったんだろう
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