クロウ「今日は楽しいクリスマス」 (40)

クロウ「ありがとうございました~」

クロウ(ふぅ、これでノルマ完了っと。それにしても今日は一段と冷えるな~)

クロウ「おまけに……」チラッ


「パパ~サンタさん来てくれるかな~」

「映画の時間までまだ時間あるけどどうする?」

「早めに移動してツリーが良く見える場所取っとこうぜ」


クロウ「クリスマス・イヴか……独り身には余計寒さが身にしみるな」

はい

…………

クロウ「ただいま~。稼ぎ頭のお帰りだぞ~」

遊星「お帰り、クロウ。寒い中配達の仕事、大変だったな」

クロウ「まったくだ。手が悴んじまって、Dホイールの運転も苦労したぜ」

遊星「今温かいお茶を入れて来よう。ストーブの前で待っていてくれ」

クロウ「言われなくてもそうするよ。お~あったけ~♪」ホカホカ

クロウ「そういえばジャックの奴はどうした? 姿が見えねえけど……」キョロキョロ

遊星「お前が帰って来る少し前に出掛けたよ。ほら、お茶」

クロウ「サンキュー。何だ、まさかまーた何時ものカフェで高い紅茶でも飲みに行ってんのか?」

遊星「さあ? 行き先は言わなかったが今夜は遅くなるらしい。
そういえば出掛ける直前に『今夜くらいは相手にしないと』とか呟いていたが」

クロウ(……女か。相手はカーリーか、深影さんか、それともカフェの店員か?)

クロウ(いや、ジャックの場合、3人まとめてって可能性もあるんだよな。
『女3人相手に出来ず何がキングか』とか言って……ちっ、どっちにしろ忌々しい)ズズッ

遊星(お茶、苦かったかな? クロウの奴、随分と渋い顔をしている……)

遊星「おっと、もうこんな時間か。俺もそろそろ出掛ける準備をしないと」

クロウ「ああ、そういえばお前もこれからアキとデートだっけ?」

遊星「デートじゃない。一緒に映画を観て、そのついでに食事をして来るだけだ」

クロウ「知ってるかな、遊星君。それ世間一般的にはデートって言うんだよ?」ニッコリ

遊星「喋り方がおかしいぞ、クロウ。それとその何処か殺気を感じさせる笑顔は止めてくれ」

クロウ「良いよな、リア充共は。イヴにキャッキャウフフのデートかよ。羨ましい限りだぜ、畜生」

遊星「だからデートじゃない。元々アキはこの映画を学校の友達と観に行くはずだったんだ。
だが直前になってその友達に急用が出来て行けなくなったらしい」

遊星「それで予め買っておいたチケットが勿体ないからと俺を誘った……ただそれだけだよ」

クロウ(はい、どう聞いても遊星を誘う為のベッタベタな嘘です。本当にありがとうございました)

遊星「しかし1人では行き難かったのか、俺が了承した時のアキはとても嬉しそうだったな。
余程この映画が観たかったに違いない」

クロウ(だけどそんな事にはまったく気づかないのがこの鈍感蟹頭こと不動遊星である……アキも苦労するな)ズズッ

見てるぞ

ワイは楽しくデュエル三昧や

クロウ「そう言えばお前、まさかその恰好で出掛ける気じゃねえだろうな?」

遊星「そのつもりだが?」

クロウ「お前な、イヴに女と2人で出掛けるのにオイルの臭いが染みついた普段着はねえだろ?
行くならもう少しマシな服を着て行けよ」

遊星「映画を観に行くだけなのに、何でわざわざ服を着替える必要があるんだ?」キョトン

クロウ「良いから俺の言う事聞いとけって。お前確か一着だけ背広持ってただろ? あれに着替えて来い」

遊星「分かった」トコトコ

クロウ(多分アキの奴は目一杯お洒落して来るはずだ。遊星が普段着だと逆に浮いちまう可能性があるからな)

クロウ(……ていうか何で俺は他人のデートの心配してんだよ)タメイキー

遊星「じゃあ行って来る。俺も帰りは少し遅くなると思う」←着替えた。

クロウ「この際もう朝帰りでも良いぞ。その方が俺も清々しく感じられる」

遊星「意味は良く分からないがそんな事はしない。アキはまだ学生だし、少なくとも日付が変わる前には家まで……」

クロウ「真面目に答えんな。ああ、もう行け。さっさと行っちまえ」ノシ

遊星「分かった。クロウも出掛けるなら戸締りの方はしっかり頼む」ノシ

クロウ(……行ったか)

クロウ(しかし遊星もジャックも2人揃ってクリスマス・デートか……今夜はさぞお楽しみだろうな)

クロウ「…………」

クロウ「……フン、鉄砲玉のクロウさまは別に羨ましくも何ともないぜ」ケッ

クロウ(あ~何か腹減っちまったな。少し早いけど夕飯の準備でもするか)

<マイチル-サクラノシタデ-イマーネガイヲチカウヨー

クロウ「ん、メール? 誰からだ?」

その頃双子は二人仲良く性夜を過ごしていると

クロウ(龍亞と龍可か。そういえば久々に両親が戻って来たから、家族でクリスマスを過ごすんだっけ?)

クロウ「『クロウもクリスマスを楽しんでますか』ねえ……はい、1人寂しく過ごしてますよっと」

クロウ(しかし写メの2人、どっちも良い顔で笑ってるじゃねえか。子供の笑顔ってもんは何時見ても良いもんだな)

クロウ(そういえば去年ガキ共とクリスマス・パーティー開いた時も、あいつら良い顔で笑ってたよな。
小さなケーキしか用意出来なかったけど、あいつらすげー喜んでたっけ)

クロウ「…………」

クロウ(……何で俺、今年のガキ共からの誘いを断っちまったんだろ?)ズーン

クロウ(いや、少なくとも先月までは俺もマーサハウスでガキ共とクリスマスを過ごす予定だったんだ。
あいつらもわざわざここまで来て誘いに来てくれたし……)

クロウ(それなのに1人が余計な事を……)


『クロウ兄ちゃんってクリスマスを一緒に過ごす女の人とかいないの?』


クロウ「そんな事言われたらいませんとか言えないだろ! 男としてのプライドが働いて『います』って言っちまうだろ!
『今明かされる衝撃の真実ぅ! みんな大好きクロウ兄ちゃんはイヴを一緒に過ごす彼女も居ない童○野郎でした』とか言える訳ねえだろ!!」ユカドン

クロウ「挙句の果てには今年のクリスマスはいもしない彼女とラブラブチュチュするから行けないって誘い断っちまったよ。
あいつらも残念がってたし、俺も後からすげー虚しい気分になったし、本当に誰得だったんだよ、この嘘」

クロウ「はぁ、なんかもう夕飯作るのも億劫になって来た……コンビニで適当になんか買って来よう」トボトボ

…………

クロウ「うぅ~、寒い寒いと思ってたら雪降ってんのかよ。こりゃ明日には積もってるかもな」ブルッ

クロウ(こんな事ならもう少し厚着で出るんだったぜ。今から上着取りに戻るか? いや、それも面倒臭いし……ん?)

女「ねえ、ダリーン。雪よ、ホワイト・クリスマスよ」

男「本当だね、マイ・スイート・ハート」

女「綺麗な景色……本当に美しいものってこういうものを言うのね」ウットリ

男「そうだね。だけどどんなに美しいものでも、それは世界で二番目の美しさだよ」

女「どうして?」

男「一番は、君だからさ」ドン☆

クロウ(……ぶん殴りてえ)イラッ

俺も同じクロウのクリスマスネタでSS書こうと思ってたのに

クロウ(こんな往来でイチャついてんじゃねえよ! まだ夕方になったばっかだろうが! 子供が見たら悪影響だろうが!
セキュリティはああいう奴らこそ取り締まれってんだよ、クソが!!)プンスカブックス

<キャキャキャ

<ウフフ

クロウ(くっ、良く見たらこいつらだけじゃねえ。右を見ても、左を見ても、正面を見てもカップル、カップル、カップルの嵐だぜ。
畜生、俺は何て時間に外に出ちまったんだ。独り身の俺にとって今のネオ童実野シティはさしずめラビリンス・オブ・ナイトメアだぜ)

クロウ(俺のBFでここにいるカップル全員にデュエルを挑んでぶっ飛ばすか……いや、落ち着け、クロウ・ホーガン。
そんな八つ当たりみたいな事をしても何の意味も無い。ただ虚しさが募るだけだ)

クロウ(あーあ、さっきは遊星達を羨ましくなんかないって言ったけど、やっぱり羨ましいんだよ、彼女欲しいんだよ。
もうオセロみたいにカップルとカップルの間に挟まれたら俺にも彼女できねーかな。出来ねえよな、分かってるよ)

コナミくんクリスマスどうすんの?
ツァンと?レインと?ゆきのんと?ゆまと?
それとも全員か

クロウ(そうなれば俺に残された道はただ1つ……)チラッ

『ケン○ッキーフライドチキン ネオ童実野シティ店』

クロウ(やけ食いしかねえ!!)

クロウ「クククッ、覚悟しやがれ、カー○ル。今日はもう金の事なんか気にせず食べて食べて食べまくってやるからな。
そう、これは攻撃でも宣戦布告でも無く、俺がクリスマスを1人で過ごす事になった世界への逆襲……」

女「――きゃああぁぁ!! 私のバッグが!?」

クロウ「!」

クロウ(ひったくりか……ちっ、見かけちまった以上は放っておけないぜ!!)ダッ

>>18
???「ミーと過ごすに決まってるじゃない」

クロウ「待ちやがれ、ひったくり野郎!!」タッタッタッ

ひったくり犯「はぁ、はぁ!」タッタッタッ

クロウ「まあ、さすがに待てと言われて待つ馬鹿はいないか……なら無理やりにでも止めてやるぜ!」スチャ

クロウ「喰らえ、制限になってるせいで余りまくってる疾風のゲイル手裏剣!!」シュバァ

ひったくり犯「ぐわぁ!?」グサッ←足に刺さった

ドテーン!

クロウ「はい、確保っと。たくっ、こんな日に悪い事してんじゃねーよ」

ひったくり犯「くっ、離せぇ~!!」ジタバタ

クロウ「暴れんなよ。しかしお前、何だかモテなさそうな顔してるな」

ひったくり犯「いきなり何だよ! ていうかマーカーだらけの顔してるお前が言うなよ!!」

クロウ「成る程、分かったぜ。お前もクリスマスを1人で過ごすはめになった輩だろ?
だから幸せそうなカップルが疎ましくてこんな事したんだろ? 違うか?」

ひったくり犯「えっ、いや、俺はただ金目の物を狙っただけで……」

クロウ「そう、お前が鞄を奪ったのはカップルの女の子からだったんだよ……可愛い顔してたけど彼氏いるんだよ!
つまり俺がこうやって華麗に鞄を取り返しても、その女の子とラブストーリーは突然にとか起きないんだよ!!」

ひったくり犯「何で急に怒ってるの!?」

クロウ「うるせえ! もう何か色々ムカつくから殴らせろ! 俺の怒りの鉄拳を喰らえ!!」

ひったくり犯「ちょ、止め、ぎゃあああぁぁぁ!?」

遊馬と十代って背後霊みたいなやついるからヒロインとやれないな

1時間後、ネオ童実野シティ・セキュリティ本部……

牛尾「やり過ぎだ、馬鹿野郎」

クロウ「…………」シュン

牛尾「いくらひったくり犯だからって、顔面の形が変わる程殴る奴があるか。
もし現場に来たのが俺じゃなかったら、もっとやばい事になってたかもしれねえんだぞ?」

クロウ「すまねえ……迷惑掛けちまって」

牛尾「たくっ、まあひったくり犯を捕まえた事に関しては素直に褒めてやるよ。目撃者の話じゃ見事な手際だったそうじゃねえか。
最後にやり過ぎたのはまずいが……お前って意外とセキュリティの仕事とか向いてるのかもな」

クロウ「冗談はよせよ、こんなマーカーだらけの顔のセキュリティが何処の世界に居るっていうんだよ」

第二次スパロボZSSかと思ってワクワクしながら開いたのに……

クロウ(頭に血が上ってセキュリティの世話になっちまうとは……最悪のイヴだぜ)グゥー

牛尾「何だ、腹減ってんのか?」

クロウ「ああ、そういやひったくり犯捕まえに行ったせいでチキン食い逃したんだっけ……」

牛尾「腹減ってたからイライラしてたんじゃねえのか? ほら、昼飯の残りだがこれでも摘まめよ」

クロウ「鳥の唐揚げ? へ~美味そうじゃん。何処で買ったんだ?」

牛尾「俺が作ったんだよ」

クロウ「え!?」

牛尾「そんなに驚く事ねえだろ。くそ、十六夜の奴と同じ様なリアクション取りやがって」

>>26
前作の話をちょいちょい挟んでいるな

クロウ「うわぁ、しかも味も普通に美味え……お前って料理得意だったんだな」

牛尾「伊達に長い事1人暮らししてねえよ。これでビールでもあれば完璧なんだが、まだ勤務中だからな」

クロウ「大変だな。イヴまで仕事なんて」モグモグ

牛尾「お前だってさっきまで仕事してたんじゃねえのか? パトロール中にちらっと見かけたぞ?」

クロウ「そうだけどさ、さすがにこんな時間まではしねえし……」モグモグ

いつもの5d's書くやつで安心した

牛尾「まあ、こういう日だからこそ俺達が頑張らないとな。なんせ今日はクリスマス・イヴ、めでたい日だ。
めでたい日は男も女も、子供も大人も、みんなが笑顔でなきゃいけない」

牛尾「だけどこの世界にはお前が捕まえたひったくり野郎みたいに、誰かの笑顔を奪う奴が居る。
クリスマスとか関係なしに、そんなクズ野郎は必ず出て来るもんだ」

牛尾「俺達セキュリティの仕事はな、そんな奴らから笑顔を守れるんだ。それは誇りある仕事だ。
大変なのは確かだが、そう考えればこんな日にセキュリティの仕事が出来るのは、とても光栄な事だと俺は思うぜ」

クロウ「……何か珍しくお前がカッコ良く見える」モグモグ

牛尾「ケッ、何言ってんだ。俺は何時でもカッコ良いだろうが」

クロウ「さてと、世話になったな。腹も膨れたし、そろそろ帰るぜ」

牛尾「こら、何勝手に帰ろうとしてんだ。もうすぐ身元引受人が来るからそれまで待ってろ」

クロウ「身元引受人? 今は遊星もジャックも家を空けて……」

マーサ「――クロウ!」

クロウ「げっ、マーサ!?」ビックリボー

クロウ「な、何でマーサがここに……?」

マーサ「それはこっちの台詞だよ! 最近は真面目に働いているって聞いてたから安心してたのに……人様に迷惑かけんじゃないよ!」ゴツン!

クロウ「痛っ!? くぅ~、久々のマーサのゲンコツは頭に響くぜ……」ズキズキ

牛尾「まあそのくらいにしといてやれよ、マーサ。一応良い事をしたんだし、やり過ぎた件も反省してるみたいだからよ」

マーサ「久々だね、あんた。こんな日にウチの馬鹿が迷惑かけて悪かったねぇ~」

クロウ(くそ、よりにもよって身元引受人にマーサを呼ぶなんて……牛尾の奴、覚えてろよ)ギロリ

…………

牛尾「それじゃあな。もうこういう事でここに来るんじゃねーぞ」ノシ

クロウ(やっぱり今日は最悪のイヴだ)ノシ

マーサ「ほら、何をボサッとしてんだい。さっさと行くよ」

クロウ「……行くって何処にだよ?」

マーサ「決まってるだろ、ウチだよ。子供達が待ってるんだから」

クロウ「へ?」

マーサ「あんた、子供達に彼女がいるからクリスマス・パーティーに参加出来ないとか嘘ついたらしいね?」

クロウ「な、なんで嘘って……」ギクッ

マーサ「何年あんたの面倒見て来たと思ってんだい。子供達ももう知ってるよ。
だから今日改めて誘おうとしたらこんな所に厄介になって……本当にびっくりしたよ」

クロウ「……すまねえ」

マーサ「謝るのが遅いよ。ほら、早く行くよ。どうせ今日は暇なんだろ?」

クロウ「決め付けるなよ……まあ事実暇だけどさ。行くけどさ」

クロウ(結局今年も何時も通りのイヴか……まああいつらの笑顔が見れるから良いけど)

クロウ(そういえば牛尾の奴、セキュリティは笑顔を守る仕事とか言ってたな。
当然、その笑顔は俺が知ってるガキ共の笑顔も入ってんだよな)

クロウ(少なくともイヴをただふて腐れて過ごしてた俺よりよっぽど立派だよな、あいつ)

クロウ「…………」

クロウ「俺にも出来っかな……牛尾は素質はあるみたいな言い方してたけど……でもこの顔だしな……」ブツブツ

マーサ「何を1人でぶつぶつ言ってるんだい?」

クロウ「いや、何でも……WRGPが終わったらちょっと考えてみようかなと思っただけ」

マーサ「? おかしな子だね」

クロウ「さあ、さっさと行こうぜ。ガキ達を待たせちまってるみたいだしな」

クロウ「今夜はあいつらと騒いで騒いで騒ぎまくってやるぜ!」

おわり

読んでくれた人、ありがとうございました。

本当はイヴに投下する予定でしたが、諸事情で少し早めの投下となりました。ではまた来年にでも。

おい、デュエルしろよ

いい話だ…

アキの人か?

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