エリカ「隊長の…上着…? (76)


~黒森峰~

エリカ「2時方向敵戦車!射撃準備!」

砲手「照準よし!」

エリカ「撃て!」


 BRUM!  DOOMM!


砲手「やった!」

エリカ「まずい!回り込まれた!8時方向旋回急いで!」

操縦手「ダメだ、間に合いません!」


 BAGOOOOMM!!


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砲手「いたた…やられちゃいましたね」

エリカ「『やられちゃいましたね』じゃないわよ」

装填手「あーあ、これで3連敗…」

 『戦闘終了、集合して整列してください』

装填手「また隊長に怒られる」

エリカ「うるさいわね、次よ次」

装填手「勝てる気しないよ…」


~格納庫~

まほ「……また私の勝ちだな」

エリカ「は、はい、申し訳ありません…」ショボン

まほ「戦力を集中させ過ぎたな、後ろががら空きだったぞ」

エリカ「前回の反省を活かそうと思ったんですが…」

まほ「前回は分散させて各個撃破されたろう、やることが極端だ」

エリカ「気をつけます……」

まほ「まったく……勝ってもらわないと困るんだがな」

エリカ「隊長が強すぎるんですよ」ボソ

まほ「何か言ったか?」

エリカ「い、いえ、なんでも」


まほ「まあいい、次はいつになるか分からないが気をつけるように」

エリカ「はい!」

生徒「隊長、少しよろしいですか?」

まほ「どうした、やっぱりダメか?」

生徒「はい、修理しようにも専門的な知識がないもので…」

エリカ「どうかしたんですか?」

まほ「いや、さっきから無線機の調子が悪くてな、整備班は帰ってしまったし」

エリカ「よければ私が見てみましょうか?どこが悪いかくらいは分かると思います」

まほ「すまない、頼めるか?私はこれから用があるんだ」

エリカ「喜んで」

生徒「ごめんなさい、お願いね副隊長」


エリカ「隊長はどちらへ?」

まほ「1年の車長を集めて課外授業だ」

エリカ「あー…毎度大変ですね」

まほ「他の者に任せても良いんだが、自分でやらないとどうも不安でな」

エリカ「あはは、隊長らしいです」

まほ「笑い事じゃないぞ、来年はお前の役目になるんだ」

エリカ「わ、わかってますよ」

まほ「じゃあ、私は行くから頼んだぞ」

エリカ「はい、任せてください」





エリカ「さ、これくらい隊長の役に立たないとね…」


~教室~

まほ「よし、そろそろ始めるぞ、前回まではソ連戦車についてだったが今回からアメリカだ」

まほ「サンダースが所有するM4中戦車のバリエーションをざっと解説していく、装甲厚、主砲の貫徹力くらいは頭に叩き込んでおけ」

 「シャーマンかぁ…」 「どれも似たようなもんで分かりづらいよね」

まほ「確かに一目で見分けがつくような車両じゃないが、それでも特徴はある、ではまず主力のM4から……」



――――――――――――――――



エリカ「Es braust ein Ruf wie Donnerhall♪wie Schwertgeklirr und Wogenprall♪」

エリカ「ん~…やっぱり電源装置かしら、結構厄介ね…」

エリカ「Zum Rhein, zum Rhein, zum deutschen Rhein♪」


まほ「次にM4A3E8、通称イージーエイト、所謂最終型だが……」

生徒A「ねぇ、なんで隊長制服着てないのかな」ヒソヒソ

生徒B「暑いからでしょ」

生徒A「昨日は着てたよ、私たちも着てるし」

生徒B「昨日は寒かったんでしょ、知らないわよそんなの、話聞かないと怒られるよ」

まほ「おい、そこの二人聞いてるのか?」

生徒A「は、はい!」

まほ「そうか、シャーマンジャンボの車体正面装甲厚は?」

生徒A「え、えと…152mmです」

まほ「……明日は砲撃練習の標的車両に乗せてやる、光栄に思え」

生徒A「げっ…」

生徒B「だから言ったでしょうが」




まほ「今日はここまでにしておこう、各自復習を忘れないように、では解散!」

 「うあー、疲れた…」 「練習の後のこれはきついね」

まほ(さて、私も帰るか、エリカのほうも気になるな)


エリカ「よし、こんなものね、まるごと取り替えれば何とかなりそう」

エリカ(あとは隊長に報告して…さっさと帰ろ)

エリカ(ん…?)

エリカ(この制服…誰のかしら)ヒョイ

エリカ(…そういえば、さっき隊長は上着着てなかったわね、練習前は着てたのに…)

エリカ(ということは、これは……)

エリカ「隊長の…上着…?」


エリカ「……」

エリカ(いやいやいやいや、なに考えてるのよ私は!)

エリカ(隊長のだからなんなのよ、届けて終わりじゃない)

エリカ(そうよ、何も邪なことなんか…)

エリカ「……」ジー

エリカ「ちょ、ちょっとだけなら…」ソー



エリカ「んっ…隊長の…匂い…」クンクン


~格納庫~

まほ(まさか、制服を忘れてることに今まで気づかなかったとは…)

まほ(ちょっと疲れてるのかな)

まほ(まあいい、エリカもそろそろ作業が終わってるだろうし)

まほ「よ…っと」

まほ「エリカ、無線機はどうなって―――」ガコン





エリカ「ハァ…ハァ…んんぅ!たい…ちょお……スー…ハー…」

まほ「……!?」


まほ「なっ…え…?」

まほ(あ、あれは私の制服か…?)

まほ(というか、こっちに気づいてない…?)

まほ「お、おい、エリカ…?」



エリカ「隊長…いい、匂い…んぁ!」ビクンッ

まほ(こ、これは一体…)



まほ「ゴホンッ……エリカ!!」

エリカ「へぇぁっ!?た、隊長!?え、あ…?なんで?あ、あれ…?」


まほ「なんでじゃないだろう、様子を見にきたんだ」

エリカ「え、えとえとあのこれはそのなんというか」

まほ「落ち着け」

エリカ「は、はははい」

まほ「まずそれを返せ、私のだろう?」

エリカ「で、でも洗ってからのほうが」

まほ「洗わなければいけないような事をしたのか?とにかく渡せ」

エリカ「はい」サッ


まほ「それから、その……なんだ、年頃だし、気持ちは分かる」

エリカ「……」

まほ「この件に関しては忘れてやる、次からは自宅で…えっと……するように」

エリカ「……」

まほ「…わかったな?」

エリカ「」コクコク

エリカ(ダメだ…完全に軽蔑された……)

まほ「それから、無線機はどうだ?」

エリカ「そ、そうでした、ノイズを除去する機能に異常があったみたいで…」

まほ「わかった、ご苦労だったな、帰っていいぞ」

エリカ「し、失礼します」フラフラ

一旦ここまで、また夜にあげる

乙。
続きが楽しみ。


~帰り道~

まほ「はぁ…とんでもないものを見たな…HEATで頭を吹き飛ばされた気分だ」

まほ「忘れてやるとは言ったが…とても無理だ、明日からどう接したら…」

まほ(まてよ…そういえば、エリカはあのとき『隊長』と言ってたな…)

まほ(おそらく……私のことか?)

まほ(そして、私の制服であのような行為に及ぶということは……)

まほ(まさか……いや、同性だぞ?ありえないだろう、そんなこと…)

まほ「私もあいつのことは嫌いじゃないし、最近は頼れるようになってきてるが……」

まほ(一人で考えてもまとまらないな、誰かに相談するのが一番か…)


~翌日~

生徒「おはようございます」

エリカ「ええ、おはよう…」

エリカ(ああ、どんな顔して会えばいいのよ…)

小梅「副隊長、元気ありませんね」

ヤクパン車長「隊長に負けすぎたショックかな?」

Ⅲ号車長「そういえば隊長は?」

マウス車長「用があってアンツィオに行ってるそうだ」


~アンツィオ高校~

まほ「…というわけだ」

アンチョビ「そういうことなら任せなさい、イタリア式恋愛術でどんな奴も一発で落とせるわ」

まほ「いや、落とすとかそういうことじゃなくてな」

アンチョビ「まずスポーツカーが必要ね、色は赤かオレンジがベストよ、最悪でも暖色がいいわ」

まほ「話聞いてたか?」

アンチョビ「あんたのとこ金持ちだから大丈夫でしょ?ファッションは渋めにキメてサングラスも…」

まほ「違うと言ってるだろ」

アンチョビ「じゃあどういうのが良いの」

まほ「だから…自分に好意を持ってる後輩にどう接するべきかだ」

アンチョビ「そんなの知らないわよ……」


アンチョビ「付き合ってみればいいんじゃない?」

まほ「そんな乱暴な……同性だぞ?おかしいとは思わないのか」

アンチョビ「物は試しでしょ、ダメならダメで…」

まほ「……もっと親身になって考えてくれないかな」

アンチョビ「正直メンドクサイ…」

まほ「そうか、では先日の資金援助の話はなかったことに…」ガタッ

アンチョビ「ちょ、ちょっと待って!カルパッチョ!ピザ持ってきてピザ!」

カルパッチョ「はいただいま!」

アンチョビ「うちのピザ美味しいわよ!だからもう少しここにいない?ね?」

まほ「仕方ないな」


カルパッチョ「お待たせしました」コトン

アンチョビ「だいたい真面目すぎるのよ、女同士なんて女子高じゃよくあるわ」モグモグ

まほ「…そんなものか」

カルパッチョ「そうですよ、気にする事ないと思いますよ、ね、ドゥーチェ♪」ギュッ

アンチョビ「こ、こら、客の前だ///」

まほ「えっ」

カルパッチョ「いいじゃないですか少しくらい、最近ご無沙汰ですし///」

アンチョビ「まったくもう…少しだけだぞ」チュ

まほ「えっ」

まほ(なんてことだ…私がおかしいのか?いや、そんなはずは……)


まほ「……結局、あまり有益な情報は得られなかったな、ピザは美味しかったけど」

まほ(他に相談できる相手か……プラウダは副隊長が危なそうだな…)

まほ(じゃあサンダース……いや、色々オープン過ぎて参考にはならないか)

まほ(仕方ない、あまり頼りたくはないが…)


Prrrrrr

みほ「あ、お姉ちゃんからだ」カチ

まほ『みほか?突然すまないな』

みほ「ううん、どうしたの?」

まほ『いやその、相談があってな…』

みほ「悩みでもあるの?」

まほ『ああ……恋愛の相談だ』

みほ「えぇ!?」ガタッ

沙織「うわ!びっくりした!」

みほ「お、お姉ちゃん好きな人できたの?」

まほ『そうじゃない、いや、そうなのかな……ちょっと複雑で』

沙織「なんか興味深い話だね…ふふふ」

華「沙織さんには関係ないでしょう?」

まほ『急な話だが明日会えないかな、私がそちらに行こう』

みほ「うん、構わないよ」

まほ『ありがとう』


~翌日~

小梅「あれ?今日も隊長いないんですか?」

マウス車長「今日は大洗に行ってるらしい」

ヤクパン車長「忙しそうだね、練習試合でも組むのかな」

パンター車長「副隊長があんな状態じゃ試合にならないと思うけど…」



エリカ「隊長が2日も不在……これはもう副隊長解任か戦車を降りることになるか…」ブツブツ



ヤクパン車長「あれじゃ試合どころか練習もまともにできないよ」

マウス車長「何があったんだ?」

小梅「それが全然わからないんです」


~大洗女子学園~

沙織「お姉さん遅いね」

みほ「もうすぐだと思うんだけど…」

優花里「道に迷っているのでしょうか」

麻子「地図は読めるだろ」

華「隊長さんですからね」


 VRROOOOOOMM!!


沙織「な、なに!?」

麻子「車だ」

ツチヤ「すげー!カマロだ!」

ナカジマ「この艦じゃ珍しいね、誰のだろ?」

ホシノ「黄色か…いいね」


 QUiiiiii!!

 ガチャッ

まほ(きまった…)パタン

沙織「だ、誰!?あのサングラスのイケメン!」

麻子「こっちにくるぞ」

沙織「やだ!声かけられたらどうしよー!」

華「いえ、あれは…」

みほ「久しぶりだね、お姉ちゃん!」

沙織「えっ」

まほ「ああ、久しぶり、みほ」


沙織「騙された…」

麻子「勝手に勘違いしただけだろ」

みほ「あの車どうしたの?」

まほ「いや、貧乏な友人にそそのかされたというか…やっぱり変だったか」

沙織「いえ!すっごくかっこいいですよ!」

まほ「そうか?ありがとう」

沙織(おお、笑顔がまぶしい…)

みほ「とりあえず校舎いこっか」


みほ「それで……どんな人なの?」

優花里「お茶をどうぞ!」コトッ

まほ「ありがとう、その前に聞いておきたい」

みほ「なにかな?」

まほ「……同性愛についてどう思う?」

みほ「ふぇ!?え、えっと…」

まほ「やっぱりおかしいか?」

みほ「ううん!ぜんぜん!だって…その…私も…」チラ

優花里「え、エヘヘ…///」

みほ「あはは……///」

まほ「ま、まさか…」



優花里「ば、バレちゃいましたね…///」

みほ「う、うん…秘密にしててごめんねお姉ちゃん」

まほ「Mein gott…」


みほ「や、やっぱりお互いの気持ちが大事だよ!」

優花里「そうです!愛さえあれば!」

まほ「愛か…ハハハ」

優花里「だ、大丈夫ですか?」

まほ(お母様、西住の家系はここで途絶えるかもしれません)


まほ(なんてことだ…)フラフラ

沙織「大丈夫かな?みぽりんになに言われたんだろ」

華「意外ときつく言われたのかもしれませんね…」

まほ(歪んでるぞこの世界は…男女の恋愛こそがあるべき姿じゃないのか…?)

まほ(時代が変わったのか?戦車にばかり乗っていて時代に乗り遅れたのか…?)

まほ「…そうだ、まだグロリアーナがいた、彼女なら…」


桂利奈「すっごーい!バンブルビーだ!」

ナカジマ「特に中はいじってないみたいだね」

ホシノ「あんまり面白くないなぁ」

スズキ「あ、オーナーさん戻ってきたよ」

まほ「……」

ツチヤ(なんだこの威圧感)

まほ「退け」

桂利奈「あ、あい!」サササ


バタン VRRRRRR……


ナカジマ「行っちゃった」

桂利奈「もうちょっと見たかったのに…」

ちょっと書き溜めるのでまた後ほど、スレタイミスってるのに今更気づいた

かっこ閉じてないのか


~聖グロリアーナ~

まほ「…というわけだ」

ダージリン「なるほど……」

まほ「やっぱりおかしいと思うか?」

ダージリン「いいえ」

まほ「な…」

ダージリン「こんな言葉をご存知かしら、『恋愛的な友情は恋愛よりも美しい、だがいっそう有毒だ』」

まほ「……は?」

ダージリン「決して認められることはないけれど…私はおかしいとは思わないわ」

まほ「……そうかな」

ダージリン「障害の多い恋こそ燃え上がると言うでしょう?」

ダージリン「それにあなたは体裁を気にして真剣に向き合おうとしていないのではないかしら」

まほ「…!」

まほ「そんなことはない!私は…!」


ダージリン「では、相手のことをどう思ってるの?」

まほ「はぁ…正直、よくわからない」

ダージリン「自分の気持ちを知ることが先みたいね」

ダージリン「相手の好意に気づいてあなたはどう思ったのかしら」

まほ「一緒に戦った仲だ…驚いたが、悪い気はしない」

ダージリン「では…好き?」

まほ「好きか嫌いかで言えば……そうだな、好きだ」

ダージリン「そう」

まほ「……妙な気分だ」

ダージリン「もう大丈夫そうね」

まほ「何が」

ダージリン「私が言えることはそれだけよ」

まほ「……」

オレンジペコ「あ、あの、紅茶飲みますか?」

まほ「ありがとう」


~黒森峰 格納庫~

まほ(夕日が綺麗だな…)

まほ(くそ、なんで私がこんなに悩まなければならないんだ、悪いのはエリカだぞ)

小梅「あれ?帰ってたんですか隊長」

まほ「赤星か、たった今な」

小梅「わ、なんですこの車…?」

まほ「色々わけがあってな」

まほ「お前はなにしてる?」

小梅「ちょっと戦車に忘れ物をしてしまいまして…今取ってきたところです」

まほ「…そうか、車内に異常がなくて何よりだ」

小梅「…?」


小梅「そうだ、コーヒー飲みませんか?さっきダ○ドーの自販機で当たったんです」

まほ「…いいな、もらおうか」

小梅「どうぞ」

まほ「赤星、ついでと言ってはなんだが、ちょっと相談に乗ってもらえないか?」パコッ

小梅「構いませんよ、私でよければ」ゴクゴク

まほ「同性愛ってどう思う?」

小梅「!?」


小梅「ケホッケホッ…い、いきなりなんて事言うんです、むせちゃったじゃないですか」

まほ「すまない、そんなつもりでは…」

小梅「隊長、もしかしてそっちの気が…?」

まほ「違う、友人が…」

小梅「まさか相手は副隊長とか」

まほ「な、なんでそこでエリカが出てくるんだ、違うと言ってるだろ」

小梅「だっていつもべったりですし…」

まほ「そう…か?」

小梅「そうですよ、二人並んで歩く姿は恋人同士に見えなくも…」

まほ「なっ…!恋人…」


小梅「顔赤いですよ?」

まほ「あ、赤くない」ゴクゴク

まほ「でも…言われてみればそうだな…大抵は一緒に…」

小梅「色々二人きりでご指導とかされてましたよね」

まほ「ああ…教えることは山ほどあるからな……」

小梅「そのあたりで愛が芽生えたとか」

まほ「違う!」

まほ「と、ともかく相談に乗ってくれてありがとう、コーヒーも」

まほ「それとこの話はくれぐれも内密に、わかったな?」

小梅「は、はい、では私はこれで…」





まほ(いつもべったり…か)

まほ(なんなんだ?さっきから、妙な気分だ)

まほ(……どのみち、答えは出すべきだな)


~翌日~

エリカ(今日は結局一言も交わせなかった…このままでは練習に支障も…)

小梅「あ、副隊長、隊長から伝言です『私のところにくるように』と」

エリカ「んなっ…そ、それ本当?」

小梅「はい」ニヨニヨ

エリカ「なんで嬉しそうなのよ…」

小梅「なんででしょう、確かに伝えましたからね」

エリカ「わ、わかったわ」

エリカ(ついにこの時が……)


~隊長室~

まほ(遅いな…)

 コツコツ

まほ「ん、入れ」

 カチャッ バタン

エリカ「逸見エリカ!出頭しました!」カンッ

まほ「来たか、そんなに固くならなくてもいいぞ」ガタッ

エリカ「は、はあ…しかし」

まほ「さて…先日の件だが」ツカツカ

エリカ(う…やっぱり…)

まほ「聞きたいことがある」

エリカ「なんでしょうか」


まほ「その…私の制服であんな行為に及ぶということは、『そういうこと』でいいんだな?」

エリカ「……?」

まほ「察しが悪いな、お前が私をどう思っているかだ」

エリカ「つまりそれは…」

まほ「本心を聞きたい」

エリカ(この際、言ってしまったほうが…)



エリカ「……はい、私は隊長のことが好きです、それも、友人としてではありません」

まほ「そうか…」

エリカ「どのような処罰も受け入れます」

まほ「いや、そこまで大げさな問題じゃない」


まほ「返事をしなければいけないな、私自身、はっきりしないが…」

エリカ「……?」



まほ「私も…私もエリカのことが……好きだ」

エリカ「…え?」

まほ「こんなこと何度も言わせるな、色々悩んだ結果だ」

エリカ「あ…う…嘘…ですよね?そんなはず…」

まほ「こんな嘘を言ってどうする」

エリカ「だって、私は隊長にご迷惑をかけてばかりで…今回も…」

まほ「迷惑とは思ってない、驚いたがな」

エリカ「決勝でも私は!」

まほ「まだ気にしてるのか?何度も言っただろう、お前に非はない」


エリカ「でも……」

まほ「あの時は私がこだわり過ぎたんだ、それだけだ」

まほ「……隊長失格かな?」

エリカ「そんなことありません!誰も…そんなこと思ってませんよ」

まほ「…ありがとう」ガシッ

エリカ「あっ…たいちょ…」

まほ「これでも信じてくれないか?」ギュッ

エリカ「グスッ…嬉しいです、隊長…私…エグッ…嫌われたのかと……」

まほ「嫌ってなんかいない、安心しろ」ナデナデ

エリカ「よかった…本当に…グスン」


まほ「…落ち着いたか?」

エリカ「…はい」

まほ「じゃあ、もうひとつ聞く」

エリカ「…なんでしょうか」

まほ「こんな戦車バカの何が気に入った?」

エリカ「その…誰にでも公平で、公正というか…それで、自分にも他人にも厳しくて」

エリカ「時折見せてくれる優しい笑顔が素敵で…最初は憧れてただけなのに……いつの間にか」

まほ「そうか、いざ聞くと照れくさいな…」

エリカ「隊長は、私の何処が…?人の制服であんなことするような奴なのに…」

まほ「ずっと隣で戦ってくれただろう」

エリカ「え…」


まほ「エリカは副隊長になってからずっと、私の側にいてくれた」

まほ「いきなりの任命で色々と苦労をかけてしまったが…文句のひとつも言わずについて来てくれた」

まほ「そんな生真面目な友人と、これからも共に歩む……それも良いなって…そう思ったんだ」

エリカ「…ありがとうございます」

まほ「もっとも、人に言われてようやく気づいたんだがな…」

エリカ「それでも嬉しいです、隊長にそこまで言ってもらえるなんて…」グスン

まほ「正直、まだ半信半疑なんだ、だからお互いのことをもっと知るべきだと思う」

エリカ「…どういう意味ですか?」

まほ「……」

 チュウ

エリカ「んむっ!?」

まほ「ん…レロ…」グイッ


エリカ「んぐぅ!」(し、舌が…)

まほ「んむ…ふふ…」

エリカ「…っ!ハァ…ハァ…」

まほ「……どうだった?」

エリカ「ひどいですよ!こんないきなり!」

まほ「す、すまない、こういう事には慣れてなくて……嫌だったか?」

エリカ「嫌なんかじゃ、ないですけど…初めてだったんですからね!」

まほ「ふふ、それは私も同じだ」

エリカ「ぁう…///」



まほ「さ、そろそろ帰ろう」


ヤクパン車長「あー…1日に4回履帯が外れるとは…記録更新だね」

ヤクパン車長(あの戦車絶対呪われてるよ…おかげで遅くなっちゃった)

ヤクパン車長(ん?あれは…隊長と副隊長?)



エリカ「あ、あの…」

まほ「どうした?」

エリカ「……手をつないで頂いても?」

まほ「そんなことか」ギュ

エリカ「ありがとうございます、えへへ…///」ギュー



ヤクパン車長(あ、あれは…俗に言う恋人つなぎ…?)

ヤクパン車長(なんか怪しい雰囲気…副隊長やけにデレデレしてるし…)


~寮~

まほ「もう着いたか、今日はこれで…」

エリカ「隊長」

まほ「ん?」

エリカ「今日は…私の部屋に泊まっていきませんか?」

まほ「……」

エリカ「ダ、ダメですよね?すみません、いきなりこんな…」

まほ「いや、どうせ予定もないからな、お邪魔するよ」

まほ「それに、恋人同士だろう?」ニコ

エリカ「は、はい…///」


ヤクパン車長「あ、もしもし小梅ちゃん?い、今隊長と副隊長が…」

小梅『何かあったんですか?』

ヤクパン車長「い、いやね、帰り道で手をつないでたかと思えば、そのまま副隊長の部屋に…」

小梅『あら~…』(やっぱり…)

ヤクパン車長「これってやっぱりそういうことだよね!?」

小梅『だ、断定はできませんよ?とりあえず私も今からそっちに行きます』

ヤクパン車長「うん、それじゃあ…」



Ⅲ号車長「あれ?なにやってんのアンタ」

ヤクパン車長「あ、ヒャッハーメガネ」

Ⅲ号車長「変な呼び方やめてくれる?」


エリカ「ど、どうぞ」カチャ

まほ「…中々綺麗にしてあるじゃないか」

エリカ「普段はもう少し散らかってますけどね、今日はたまたま…どうぞ、座ってください」

まほ「ああ、失礼する」

まほ「それで、どうする?夕食でも作るか?」

エリカ「わ、私、シャワーを浴びてもいいでしょうか?えっと、練習が終わった後だと気持ち悪くて…」

まほ「それは構わないが…」

エリカ「で、では行ってきますね!隊長は適当にくつろいでて結構ですから!」バタバタ

まほ「慌てなくてもいいぞ」


小梅「お待たせしました…お二人は?」

ヤクパン車長「まだ出てこないよ…」

Ⅲ号車長「これはちょっとしたスキャンダルね…」

ヤクパン車長「副隊長が隊長のこと好きなのは皆わかりきってたことだけどさ」

Ⅲ号車長「両想いだったとは…」

小梅「まだ決まったわけじゃ…」

ヤクパン車長「だって恋人つなぎだよ?いつもよりベタベタしてたし…」


まほ(割と殺風景な部屋だな…人のことは言えないけど)

まほ(このやけにごついパソコンは何に使うんだ?)

まほ(これは教本か、しっかり勉強してるな、感心感心…真面目な奴なんだ、基本的には)

まほ(他にも色々本が……ドイツ軍ばっかりだな、クルト・マイヤーにカリウス…)

まほ(映画も見るのか、『鷲は舞い降りた』『戦争のはらわた』『スターリングラード』……こっちもか)

まほ(『撃墜王アフリカの星』…これモノクロだぞ?)


まほ(くつろぐと言ってもやることがないな)

 バタッ

まほ「ん、終わったか?」

エリカ「は、はい、お待たせしました」

まほ「っ…!」

エリカ「どうしました?」

まほ「いや、随分…薄着だな」

エリカ「いつもこんなですが…」

まほ「そうか、別に変な意味じゃないんだ、気にしないでくれ」

まほ(肌、綺麗だな…今まで意識したことが無かったが…)

エリカ「み、見すぎですよ隊長」

まほ「すまない、つい…///」

まほ(話を変えないと…)

エリカ(隊長……)ゴクッ


まほ「そうだ、さっき勝手に物色させてもらったが…これだ、この本――」

 ギュッ

まほ「お、おい、どうした?急に…」

エリカ「すみません…」

 ガバッ

まほ「うあっ!」ドサッ

エリカ「隊長…」

まほ「よ、よせエリカ!おい!せめてシャワーくらい…」

エリカ「はぁぁ…///隊長の匂い…汗と混じって…すっごい…///」

まほ「この物好きめ…!」


エリカ「ハァ…ハァ…もう我慢できないんです、いいですよね?恋人同士なんですから…」

まほ「がっつき過ぎだ!順序というものが…」

エリカ「えへへ…焦ってる隊長、かわいいです…」ギュ

まほ(聞いてないな…こうしてやる…!)グイッ

エリカ「ひゃ!」ボフ

まほ「まったく…」

エリカ「い、今何を…」

まほ「年上相手にあまり好き放題するものじゃないぞ…」ギロ

エリカ「す、すみませ……んん!?」

まほ「んむっ……ジュル…」

エリカ「んぁ…チュパッ…」(隊長と…ディープキス…さいこう…///)


エリカ「ふぁ…///」

まほ「大丈夫か?そんな声出して…」

エリカ「もっと…もっとシてください、たいちょぉ…///」

まほ「こんなときくらい名前で呼んでくれるか?」

エリカ「う……えと…ま、まほ…さん…///」

まほ「そのほうがいい、ほら」

エリカ「んんぅ!」(あたまがぼーっとして…きもちいぃ…///)


Ⅲ号車長「あ、電気消えた」

ヤクパン車長「あちゃー…」

小梅「お、お楽しみ中なのかな」

ヤクパン車長「お楽しみとか言わないでよ」

Ⅲ号車長「どっちがタチだと思う?」

小梅「やっぱり隊長かな…」

Ⅲ号車長「意外とわかんないわよ?」

ヤクパン車長「タチとかネコとかいいから!」


ヤクパン車長「と、とにかく…私たちがここにいても得られるものは…」

小梅「そ、そうですね、解散しましょうか」

Ⅲ号車長「なにか食べて帰る?」

ヤクパン車長「あ、いいね」

小梅「こんな時間ですし、お腹すきましたね」

Ⅲ号車長「アンタ奢りなさいよ」

ヤクパン車長「なんで!」

Ⅲ号車長「ここまで付き合ってあげたでしょ」

ヤクパン車長「だれも頼んでないよ!」

小梅「私は電話で呼ばれましたし…」

ヤクパン車長「うぐぐ…」

Ⅲ号車長「決まりね」


~翌朝~

エリカ「ん…」ノソノソ

まほ「やっと起きたか?今朝食を作ってるから少し待っていろ」

エリカ「あ、何か手伝いますよ!」

まほ「色々あって疲れただろう、しばらく休んでおけ、それと、シャワー借りたぞ」

エリカ「はい…では、お言葉に甘えて…」

エリカ(なんか…夢みたい……昨日はすごかったわね…///)

エリカ(やっぱり西住流は夜も…いや、なに考えてるのかしら)





まほ「Ob's sturmt oder schneit,Ob die Sonne uns lacht~♪」ジュー


まほ「さ、食べろ」

エリカ「いただきます…」モグモグ

エリカ「ん…美味しいです!とっても…」

まほ「そうか?誰が作っても同じだろう、こんなもの」

エリカ「いえ、私ではこうもいかないと思います」

まほ「…少しは練習したほうがいいぞ」

エリカ「…隊長の手料理食べるからいいです」

まほ「名前」

エリカ「あ…すみません、まほさん…」

まほ「昨日はあれだけ呼んでくれたのに」

エリカ「うぁ…言わないでくださいよ///」

まほ「まぁ、外では今までどおりでいいが…二人きりのときは…な?」

エリカ「はい、まほ…さん」


エリカ「ご馳走様でした」

まほ「……エリカ、パソコンが趣味なのか?」

エリカ「え?ええ、まぁ…インターネットとか…」

まほ「私はああいうのはどうも苦手で…色々便利そうで、使ってみたくはあるんだが」

エリカ「簡単ですよ、よければ今度説明します」

まほ「助かる」

エリカ「まほさんは、なにか戦車以外にご趣味は?」

まほ「チェス…とか?」

エリカ「おぉ…渋いですね」

まほ「うるさいな……相手がいなくて困ってたところだ、付き合ってもらうぞ」

エリカ「頑張ります…」


まほ「そろそろ行こう、準備できたか?」

エリカ「はい、いつでも」

まほ「待てよ…二人で行くと怪しまれるな…」

エリカ「え…」ショボン

まほ「あ、そ、そんな顔するな、悪かった、一緒に行こう」

エリカ「はい!」パァァ


~格納庫~

マウス車長「あぁっ、クソ!またエンジンがイカれたぞ!」

マウス砲手「なんでドイツ軍はこんな戦車作ったんですかね…」

マウス車長「伍長閣下とポルシェに聞いてくれ、私が知るか」

マウス車長「もうすぐ隊長が来るぞ、さっさと修理しないと…」

マウス砲手「そういえば車長、聞きましたか?隊長と副隊長のこと」

マウス車長「ん?ああ、もうチーム全体に広まってるぞ」

マウス車長「まさか隊長まであっち側の人間だとは…」

マウス砲手「意外ですよね…」


マウス車長「お、噂をすれば…夫婦揃ってご出勤だ」

マウス砲手「心なしかいつもより仲よさそうですね」

マウス車長「ちょっとからかってくる」

マウス砲手「殺されても知りませんよ」

マウス車長「滅多に無いチャンスだぞ」

マウス砲手「そりゃそうですけど…」


マウス車長「おはようございます、お二人とも」

まほ「ああ、おはよう」

マウス車長「噂は聞いてますよ、どうやらうちの隊長は敵だけじゃなく味方を仕留めるのも上手いようだ」

まほ「……どういう意味だ?」

マウス車長「昨晩はどうだった?副隊長」

エリカ「えっ?」

まほ「待て、何故そんなことを聞く?」

マウス車長「いやぁ、朝までお楽しみだったとか…お盛んですね」

まほ「なっ…!どこで聞いた!?」

マウス車長「どこと聞かれましても、もう皆に広まってますよ」

まほ「なに!?」

マウス車長「それで、どうだった?副隊長」

エリカ「す、すごかったです…///」

まほ「答えなくていい!」


まほ「誰から聞いた!言え!」

エリカ「お、落ち着いてください、まほさん」

マウス車長「ん?」

エリカ「あ」

まほ「……このバカ」

マウス車長「へへぇ、『まほさん』ね…」

エリカ「あ、いや、これは…///」

マウス車長「仲がよさそうで羨ましい限りです、祝砲でもどうです?マウスの12.8cmならいつでも…」

まほ「必要ない!自分の仕事に戻れ!」

マウス車長「Jawohl!」


 パーン パーン

まほ「ん?」

パンター車長「おめでとうございます!お二人ともー!」パチパチパチ

ヤクパン車長「おめでとう副隊長ー!」

 「おめでとうございまーす!」 「おめでとー!」 「式には呼んでくださいねー!」

まほ「な、なんだこれは…」

エリカ「一日でバレちゃいましたね…」

まほ「くそ、どこから漏れた…」

エリカ「いいじゃないですか、皆祝福してくれてますし」

まほ「そういう問題では…」


 BAM! BAM! BAGOOOOMM!!


まほ「なんだ!?」

Ⅲ号車長「おめでとうございます、どうでした?8.8cmと12.8cmの祝砲は」

まほ「ぐっ…」


まほ「全員自分の持ち場に戻れ!今すぐ練習開始だ!とっとと行け!」

Ⅲ号車長「は、はい!」

小梅「照れ隠しですね」 

ヤクパン車長「うん」

まほ「何か言ったか!早くしろ!」

小梅「了解!」

ヤクパン車長「はーい」



まほ「まったく…!」


まほ「始めるぞ、エリカも行け」

エリカ「はい」

まほ「ああ、待った」

エリカ「…?」


 チュッ


エリカ「あ…///」

まほ「よし、いいぞ」

エリカ「あ、あはは…それでは」タタタ


エリカ「隊長!」



まほ「なんだ?」



エリカ「今日は勝たせてもらいますよ!」



まほ「っはは…望むところだ!」



 完

終わりになります、お付き合い頂いた方には感謝したい、スレタイのミスは気にしないでほしい

個人的にこの二人は双方真面目で良いコンビだと勝手に思ってます


良かったよー



エリカとまほの絡みも良かったけど、みほと忠犬の所も非常に良かったです。


やっぱエリまほはええなぁ~

ヤクパン娘って直下さんじゃなかったか?

>>75
あくまでオフィシャルではないそうです

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